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特発性大腿骨頭壊死症について医師が解説

特発性大腿骨頭壊死症
公開日: 2025.01.30 更新日: 2025.02.08

特発性大腿骨頭壊死症…耳慣れない病名に不安を感じた方もおられるでしょう。

30歳から50歳代の男性に多く、太ももの骨の先端が壊死するこの病気は、初期にはどうしても自覚症状が少ないため、気づく頃には進行していることも。股関節の痛みや歩行困難といった症状が現れたら、早期発見・治療が鍵となります。

今回の記事では、特発性大腿骨頭壊死症ってどんな病気なのかについて解説し、原因不明とされるこの病気のメカニズムや、様々な治療法、そして日常生活での注意点まで、医師の視点から分かりやすく解説します。

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特発性大腿骨頭壊死症とは?原因・症状・治療法を解説

特発性大腿骨頭壊死症、、、あまり耳にすることはないですよね。簡単に言うと、太ももの骨の先端部分である「大腿骨頭」という場所に血液が行き渡らなくなり、骨が壊死してしまう病気です。「特発性」とは、原因がはっきりと特定できないという意味です。

骨頭が壊死することで、痛みが生じて日常生活が困難となります。早い時期での発見と適切な対応がとても大切となります。

どのような人に多いのか?大腿骨頭壊死の芸能人

特発性大腿骨頭壊死症は、30歳代から50歳代にかけて多く発症し、男性に多いのが特徴です。

千原ジュニアさんやタレントの坂口憲二さんも罹患した、決して他人事ではない病気なのです。

▼大腿骨頭壊死との違いや特発性大腿骨頭壊死症の原因について、併せてお読みください。

なぜ起こる?原因とメカニズム

特発性大腿骨頭壊死特発性大腿骨頭壊死症はどうして起こるのか。原因は大腿骨頭につながる血管が詰まることです。骨は生きている組織であり、常に新しい細胞が作られています。この新陳代謝には、酸素や栄養を運ぶ血液が不可欠です。血流が悪くなると、骨組織への酸素供給が滞り、最後のステージになると骨がもろくなって壊死を起こします。

どうして血流が少なくなるのでしょうか。

残念ながら、現在の医学では明確な原因は特定されていません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。

  1. ステロイド薬の長期使用: ステロイド薬は、炎症を抑える効果が高く、様々な病気の治療に使用されます。そして、このステロイドを長期間にわたって使用すると、血管が収縮しやすくなったり、血液がドロドロになりやすくなったりする副作用があります。その結果、大腿骨頭へつながる血管が詰まり、壊死のリスクが高まるのです。喘息や膠原病などの治療でステロイド薬を長く飲まれている方は、注意が必要です。

  2. 過度の飲酒: お酒をよく飲む方は、血管を収縮させ、血流を阻害する作用があります。毎日たくさんの量のお酒を飲みすぎると、大腿骨頭への血流が慢性的に悪化し、骨の壊死の可能性はかなり高くなります。過度な飲酒は控えましょう。

  3. 潜水病: ダイバーなどが海中で深く潜った後、急に海面へ浮上すると、体内の窒素が気泡となって血管を詰まらせることがあります。これは潜水病と呼ばれる危険な状態で、大腿骨頭への血流を遮断し、壊死を引き起こす可能性があります。

これらの要因以外にも、膠原病股関節の骨折脱臼高コレステロール血症鎌状赤血球症なども、大腿骨頭壊死症のリスクを高める可能性があると考えられています。

また、原因不明の股関節痛がある場合は、早期にMRI検査をお勧めします。。そうすることで早期発見につながる可能性が高くなります。MRI検査は、磁場と電波の力で骨の内側の状態がどう変化しているのかを映し出してくれます。

一度壊死してしまった骨を元に戻すことはできません。ただ、早期に治療を行うことで、進行を遅らせたり、痛みを軽くしたりすることは可能です。

もし、いつもと違う違和感が股関節付近に現れたら、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。

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変形性股関節症

特発性大腿骨頭壊死症の主な症状

特発性大腿骨頭壊死症は、初期には痛みを感じない方も結構おられます。そのため、症状が現れ始めた頃には、壊死も進んでいるケースもよくあります。早期発見・早期治療がとても大切なので、ほんの小さな痛みや違和感でも変化を感じたら、かかりつけの医師に相談しましょう。

股関節の痛み:初期症状、進行時の痛み方の変化

特発性大腿骨頭壊死症の主な症状は、股関節の痛みです。

最初は、「立ち上がった瞬間だけ少し痛む」「歩き始めると違和感がある」といった程度の軽い痛みであることがほとんどです。しかし、日常生活で痛みを我慢しながら過ごしていると、次第に「歩いているとズキズキ痛む」「階段の上り下りがつらい」「正座やあぐらができない」など、症状が強くなっていきます。

最終的には、「夜寝ているときも痛みで目が覚める」「痛みで全く歩けなくなる」といった深刻な状態になることもあります。

症状ステージ

痛みの度合い

具体的な症状の例

初期

動く時に少し痛む

立つ時、歩き始め、階段の昇降など

中期

安静にしていても痛い、動作時の痛みが増強

長時間座った後、夜間、運動中など

末期

激しい痛み、遠くまで歩けない

いつも痛い 生活がしずらい

初めの頃は、症状も軽いため、見逃されてしまいます。本来は、この時期にMRIなどの検査をして発見できれば、その後の症状の進行もある程度抑えることができます。

歩行障害:跛行、杖が必要になることも

特発性大腿骨頭壊死股関節の痛みは、歩行にも影響を及ぼします。痛みをかばって歩くうちに、片足を引きずる跛行(はこう)と呼ばれる状態になることがあります。初めは目立ちませんが、病気が進行するにつれて、跛行は顕著になり、最終的には杖や歩行器などの補助具が必要になるケースもあります。

例えば、「少し歩き方がぎこちなくなったかな?」「ゴルフをしていてなんか股関節や太ももがだるいな」「最初の頃よりヨガのポーズがとりにくくなった」などの症状を感じていたが、放置していたら徐々に跛行がひどくなり、最終的には杖なしでは歩行が困難となることもあります。

関節可動域制限:脚が開きにくい、しゃがみづらいなど

特発性大腿骨頭壊死症では、股関節の動きが悪くなる関節可動域制限も生じます。具体的には、「脚が開きにくい」「しゃがみづらい」「靴下が履きにくい」「あぐらがかけない」「正座ができない」といった症状が現れます。

見逃されやすいサイン:臀部の痛み、鼠蹊部痛、腰痛、膝痛

股関節の痛み以外にも、鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根の内側)臀部(でんぶ:おしり)などに痛みやしびれが現れることもあります。これは、股関節の痛みをかばうことによる姿勢の変化や、周辺の筋肉への負担増加などが原因と考えられます。

40代の男性患者さんは、腰痛を主訴に来院されました。しかし、詳しく問診し、検査を行った結果、大腿骨頭壊死症が見つかりました。このケースのように、股関節以外の場所に症状が現れる場合もあるため注意しなければいけません。

特発性大腿骨頭壊死症に対する診察と治療法

股関節付近が痛くて歩きにくさを感じたら、特発性大腿骨頭壊死症の可能性も考えられます。もし気になる症状があれば、ためらわずに医療機関を受診しましょう。この状態を放置しておくと、日常生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

ここからは、特発性大腿骨頭壊死症の診断方法と治療法について、できるだけ丁寧に説明します。

診断方法:画像検査(レントゲン、MRI、CT)、身体診察

特発性大腿骨頭壊死症の診断は、患者さんが感じている症状、身体の所見、そして画像検査を総合的に判断して行います。

まず、問診では、いつからどのような痛みがあるのか、どの瞬間痛みが出るかなど詳しくお聞きします。

次に、身体の所見では、股関節の可動域、つまり関節の動く範囲をみたり、痛みのある場所、圧痛の有無などを確認します。股関節の診察では、膝蓋骨恥骨打診検査が特異度 86%と比較的高い精度を誇ります。これは、膝蓋骨を軽く叩いた際に股関節に響く痛みがあるかどうかを調べる検査です。

そして、画像検査が診断を確定づける上でとても大切な検査となります。

MRI検査は病変が小さくても映し出されます。つまり、初期の発見に優れています。MRI検査では、骨がどこまで壊死しているのか、そしてその周りの組織の状態などを詳細に確認できます。

実はレントゲン検査では、初期の壊死の段階では病変は映し出されません。病気の進行とともに大腿骨頭に骨の濃度の変化や陥没が確認できるようになります。

CT検査は、骨の三次元的な構造を詳細に観察でき、手術計画を立てる際に役立ちます。

経験上、レントゲンでは病変の異常が見られなくても、MRI検査を行うことで、病変が小さい時点で発見されるケースも少なくありません。特に、ステロイド薬を服用している方や過度の飲酒歴のある方は、症状が軽微であってもMRI検査を受けることをお勧めします。

▼特発性大腿骨頭壊死症の治療について、併せてお読みください。

保存療法:理学療法、内服薬、装具

特発性大腿骨頭壊死症の治療は、病状の進み具合によって異なります。まだ痛みが軽いときに適応となります。保存療法とは、手術をせずに理学療法、薬物療法、装具療法、などを組み合わせて症状の改善を目指す治療法です。

内服薬として、ロキソニンなどの鎮痛薬で痛みをとります。また、骨を強くする薬なども用いられます。

装具療法 杖や装具を使用して、歩行の補助をします。

理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、股関節の柔軟性や筋力を維持・向上させます。例えば、お尻の筋肉や太ももの裏側の筋肉を鍛えることで、関節を安定させて痛みを和らげる効果が期待できます。

保存療法の効果には個人差があり、定期的な画像検査を行いながら、病変部がどのくらい拡大しているのかをチェックします。

基本的に病変部が大きくても、痛みが軽ければ手術は選択しないことが多いです。ただし、病変部が大きくなると骨頭が陥没しやすくなり、陥没して痛みが出てしまうと、いよいよ人工骨頭術となります。

手術療法:人工骨頭置換術、骨切り術など

特発性大腿骨頭壊死病状が進行していて保存療法でも痛みがおさまらない場合には、手術療法が検討されます。手術療法には、人工関節の手術と骨切り術があります。

人工骨頭置換術は、壊死した大腿骨頭自体を切り取り、そこをカバーできる人工関節に置き換える手術となります。その結果、痛みをとり股関節の可動域も改善されます。

骨切り術は、骨を切って骨頭の位置や角度を調整する手術です。まだ病変部が小さい時に行われます。骨切り術は大腿骨頭壊死症の進行期(ArletとFicat分類のIII期とIV 期)には適応とならず、その場合は人工骨頭の手術となります。

どちらの手術を選択するかの判断は、年齢、活動レベル、骨壊死の程度などを考慮して決定されます。

特発性大腿骨頭壊死症の予防と日常生活の注意点

特発性大腿骨頭壊死症は、その名の通り原因が特定できないため、確実な予防法はありません。しかし、危険因子を避けることで発症リスクを下げることができると考えられています。

具体的には、過度の飲酒を控え、ステロイド薬の服用は医師の指示をしっかりと守りましょう。また、日常生活では、股関節への負担を軽くすることが重要です。

例えば、長時間同じ姿勢でいることを避け、適度な運動を心がけましょう。ウォーキングや水泳などの、股関節への負担が少ない運動がお勧めです。

体重管理も重要です。バランスの取れた食事と適度な運動で適切な体重を維持しましょう。

股関節の再生医療

近年、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。これは、患者さん自身の骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、股関節に移植することで、骨や軟骨の再生や修復をさせる治療法です。間葉系幹細胞を用いた治療法は、この疾患の機能予後を改善する可能性を秘めています。

大腿骨頭壊死症の再生医療について詳しくはこちら↓

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手術しなくても治療できる時代です。

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変形性股関節症

参考文献

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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