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腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説! 腰椎分離症をご存じですか? 今回は、成長期の疾患で意外と見落とされがちな腰椎分離症についてご紹介します。分離症はどのようになってしまうのか、なってしまった後の治療法や予防法などを分かりやすく解説します。 腰椎分離症はどういうもの? 腰椎分離症とは、10代前半から中盤(小学生高学年、中学生、高校生)の成長期のスポーツ選手に多い腰のケガです。 背骨を構成する腰椎の「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれる部分に疲労骨折が起こり、その名の通り腰椎が2つに分離してしまう状態のことを言います。 出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 発症は成長期ですが、腰椎分離症に気づかず、大人になってから指摘されるケースも珍しくありません。場合によっては、疲労骨折した部分がより離れてずれてしまう「腰椎すべり症」へと進行することもありますので、早期の発見・治療が必要です。 腰椎分離症の原因 腰椎分離症の原因は大きく2つあります。 まず一つめは、未熟な骨の脆弱性です。10代の子どもたちの骨はまだ未熟で、軟骨部分も多いため強いストレスが繰り返し加わると悲鳴をあげてしまいます。 二つめに、激しいスポーツ動作により繰り返される腰椎へのストレスが挙げられます。 以下に発症しやすい動作を伴うスポーツとその動作を挙げていますのでご参照ください。 [スポーツの種類の例] ・サッカー ・ラグビー ・バスケットボール ・バレーボール ・野球 [スポーツ動作の例] ・ダッシュ ・ストップ ・ジャンプ ・体の反り ・強く捻りを伴う動作 このような「反らす」「捻る」動作が特に負担がかかりやすく、繰り返し加わることで疲労骨折が生じます。さらに、カラダの柔軟性が低下していたり、下半身や体幹の力が弱くなっていたり、不良な動作を身につけてしまうことで、腰椎分離症を発症しやすくなるのです。 腰椎分離症の症状と診断 症状 例えば、こんな症状はありませんか? ・体を反らす、捻る動きによる腰の痛み ・スポーツ中やスポーツ後の痛み ・下半身のしびれ(神経症状) ・骨折した部分の圧痛(指で押した時の痛み) もしかすると、腰椎分離症の症状かも知れません。医療機関では以下のようにして診断が行われることがあります。 診断 痛みやしびれの程度は個人差がありますので、年齢やスポーツ歴、痛みの問診、理学所見、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査で総合的に判断します。 ①問診 これまでの研究では、スポーツ選手の約3割程度が腰椎分離症を持っていると言われています。 スポーツ歴やどの動作で痛みやしびれが出るのか、これらを聴取することが重要な判断材料となります。 ②理学所見 理学所見は、身体の診察のことで視診、触診を中心に行います。 痛みの場所を触診したり、痛みが出る動きを再現させて原因を特定したりします。 ③画像診断 レントゲン: レントゲンで分離部(骨折部)がハッキリ写る(※1スコッチテリアの首輪)と進行期や終末期である可能性が高く、骨の癒合が極めて困難である場合が多い ※1スコッチテリアの首‥‥分離部が犬の首輪のように見えるためこのように表現されている。 CT: 骨癒合の状態をみることができるため、分離部の進行状況や固定期間の予測に有用。 MRI: 完全に分離していない初期段階の疲労骨折の発見に有用。ヘルニアの有無など他の腰部疾患との鑑別にも有用。 腰痛やしびれを症状とする腰部疾患は多く存在するので、腰椎ヘルニアや筋膜性腰痛などの他の疾患との見極めが必要です。 腰椎分離症の治療法3つのポイント では実際に腰椎分離症になってしまったらどのような治療をしていくのでしょうか。治療を進めていく中で重要なことは、「早期発見、早期治療」です。 他のどの病気にも言えることですが、ほったらかしにしておくと、高校生になった時や、大人になった時に痛みが再発し、思うように動けなくなってしまうことも多々あります。そのような状況を未然に防ぐことが重要です。 ポイント①疲労骨折部の安静 腰椎分離症の治療は「患部の癒合」が一番に優先されます。そのため、初期の段階であれば、患者のカラダに合わせた硬いコルセットを用い、患部に負担がかからないように固定し安静を保ちます。 コルセットを装着することにより、脊柱の捻るストレスを軽減することができるため、骨折部の癒合を促せるのです。骨が未熟な小・中学生では癒合の可能性も高いため、スポーツを一定期間中止し、癒合に専念することをオススメします。 ポイント②患部以外の柔軟性、筋力の強化 原因のところでも述べましたが、腰椎に負担がかかる要因は以下のことが挙げられます。 ・下肢(特に股関節など)や上半身(胸椎など)のかたさ ・下肢、体幹の筋力および筋持久力の低下 ・不良なスポーツ動作 これらの改善には、ストレッチや筋力トレーニングといったカラダのコンディショニングが重要となります。患部に負担のかからないところから徐々にストレッチや筋力強化をし、身体機能を上げていきましょう。 ポイント③腰椎へ過度なストレスにならない動作の獲得 柔軟性や筋力不足だけでなく、カラダの使い方も大きな原因となります。 例えば「カラダを反らせてください」と指示した時に、本来なら弓なりに背骨全体で反らせてほしいところ、胸が張れずに腰のところだけで反らせている人を多くみかけます。この動きだと腰だけに負担がかかりやすく、腰椎分離症を発症するリスクが高くなるのです。 また、カラダを捻る動きになると、頑張って背骨を捻ろうとしてしまいます。背骨の動きはそんなに大きな動きはできません。 カラダを捻る時に大事な役割をしてくれるのが、骨盤や股関節です。骨盤、股関節の動きが不十分だと背骨にかかる負担も増えてくるので、スポーツ復帰する前に改善しておきましょう。 予防の観点からもストレッチや筋力トレーニング、動作訓練は大切 前述した治療方法は、そのまま予防にもつながります。腰が痛くない人でも、普段から運動前後のストレッチやウォーミングアップ、クールダウンを徹底して行うとケガのリスクを下げることができます。 動作においても、日頃から自分の動きをチェックしておきましょう。無理な使い方をしていないか、指導者や保護者の方と一緒に確認することでケガの予防だけでなくパフォーマンスの向上にもつながります。基本的な動作の反復練習は、地味ですが大きな意味を持ちます。 腰椎分離症のQ&A 腰椎分離症になったらどうしたらいいの?腰椎分離症について、Q&Aでお答えしていきます。 Q.固定期間や安静期間はどれくらい必要? A.初期の腰椎分離症では、癒合の目安がおよそ2〜3ヶ月、進行期になると3〜6ヶ月と言われています。ただ、骨癒合には安静度や年齢、栄養状態などさまざまな要素が絡んでくるので一概には言えません。 定期的なCT画像検査により、癒合状況を確認することをオススメします。 Q.コルセットはずっとつけておかないといけないのか? A.医療機関にもよりますが、基本的にはお風呂以外の時間はつけておきましょう。 Q.安静にしておけば必ず骨癒合するのか? A.腰椎分離症にも初期から終末期があり、なりたての初期段階であればかなりの確率で癒合できます。しかし、終末期になると癒合は難しいので、体幹の強化や動作の改善の訓練を行い、患部に負担をかけない工夫が必要になります。 Q.固定以外にも治療方法はあるのか? A.終末期で症状がとれない、分離部がぐらぐらする、などといった症状が残っており、今後のスポーツ活動に支障を及ぼす可能性が高い場合に、手術療法を行うこともあります。 まとめ・腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説! 本記事では、腰椎分離症について原因や症状、治療法について紹介しました。 腰椎分離症は、早期に発見し、適切な治療を行えば後遺症も残さず治る傷害です。ただし、骨癒合まではある程度の期間、固定と安静が必要となります。 スポーツを休まなければいけないのは根気と我慢が必要となりますが、無理して治療を先延ばしにしておくと、痛みが長引くだけでなく、後になってより強い腰痛を引き起こす原因となることもあります。成長期の年代で腰痛に悩んでいる方は、ぜひ一度整形外科に相談してみましょう。 No.086 監修:医師 坂本貞範 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
2022.09.28 -
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腰椎分離症でやってはいけないこと3つ!正しい治療で悪化を防ぐ スポーツ活動をしている成長期の子どもによく見られる腰椎分離症。 選手として取り残される不安から、早く競技復帰したい気持ちになるかもしれません。しかし、正しい治療を守らなければ症状が悪化する恐れがあります。 今回は腰椎分離症でやってはいけないことを、治療の流れを確認しながら紹介したいと思います。 腰椎分離症とは 腰椎分離症は疲労骨折により背骨の骨が分離してしまった状態です。 背骨は椎骨(ついこつ)というブロックのような骨が積み重なってできています。 椎骨の背中側には椎弓(ついきゅう)と呼ばれる出っ張りがありますが、この椎弓が分離してしまうことで、腰から殿部、太ももにかけての痛みがみられます。また、骨折でずれた骨が神経を圧迫するとしびれが見られる場合もあります。 椎弓が分離する主な原因は成長期の過剰なスポーツ活動による疲労骨折で、成長期のスポーツ選手による腰痛の30〜40%を占めるとされています。 一度の衝撃で起こる骨折ではなく、骨が発達しきっていない時期に、腰を繰り返し捻ったり、ジャンプを繰り返したりして、椎弓部分にかかる負担が蓄積して起こります。骨折は発生の初期であるほど癒合(※)しやすく、完全に分離してしまったら骨が癒合することはありません。 (※癒合(ゆごう)・・・傷が治り、離れていた皮膚や筋肉、骨がくっつくこと) 腰椎分離症でやってはいけないこと3つ 腰椎分離症は骨折の早期であるほど骨が癒合しやすい為、正しい時期に無理をしないことが重要です。 そこで、腰椎分離症になった場合に、やってはいけないことを3つ紹介します。 ①無理な運動やスポーツをする 安静が必要な期間に無理な運動をすると、骨折している部分に負担がかかり、分離が悪化したり、骨が治癒するのを妨いだりしてしまいます。 特にスポーツ活動をしている場合、競技に早く復帰したい焦りから、少しでも体を動かしたい気持ちになるかもしれません。しかし、骨折部に負担がかからないように固定している期間は、腰を無理に曲げ伸ばししたり、捻ったりする動作は禁物です。 そのため、医師に指示されている間は、運動やスポーツは中止しましょう。 ②コルセットの装着を守らない 腰椎分離症の最初の治療として、疲労骨折により分離した部分を守るため、硬いコルセットの装着をして動きを制限します。腰痛があるうちはコルセットの装着を守るものの、痛みが軽くなればコルセットが動きを妨げるため、邪魔な感じがするかもしれません。 しかし、腰椎分離症は骨がしっかり癒合するより先に腰痛がなくなるため、痛みがなくなったからといって治ったわけではありません。そのため、痛みの程度により自己判断でコルセットを外さないようにすることが大切です。 ③痛い部分にマッサージやストレッチをする 腰痛があるからといって、痛い部分を圧迫するようなマッサージや腰をひねるようなストレッチをすると骨折を悪化させる恐れがあります。そのため、自己判断で痛い部分のマッサージやストレッチをしないようにしましょう。 ただし、腰椎分離症が起こりやすい発育期は、筋肉の柔軟性が低下して、腰椎分離症を含め、さまざまな成長期特有の怪我の要因となります。そのため、適切な指導のもとで行う脚のストレッチなど、骨折部分以外のストレッチを行うことは重要です。 腰椎分離症の治療の流れ 腰椎分離症ではやってはいけないことに関して理解を深めるために、治療の流れを知っておきましょう。 骨折の初期〜進行期(急性期) 疲労骨折が起こり、進行するまでの間を急性期(きゅうせいき)と呼びます。 急性期に治療を開始すれば、骨の結合する可能性が高いため、正しい治療を継続する必要があります。治療は硬いコルセットや体専用のギプスを着用して、腰の動きを制限するとともに、スポーツなどの運動を中止します。 あくまでも骨を癒合させるための治療ですので、痛みがなくなったからといって勝手に治療を中止しないことが大切です。しっかりと骨が癒合するのを待ち、医師の指示が出たら運動やスポーツを再開します。 骨折の終末期 骨の分離が進んでしまった時期を終末期(しゅうまつき)または慢性期(まんせいき)と呼びます。 慢性期で完全に骨が分離しまうと、再び癒合することは期待できません。そのため、骨を癒合させる目的での安静は行わずに、痛みをコントロールしながら運動やスポーツを再開していきます。 痛みのコントロールは、柔らかいコルセットを着用したり、痛み止めを服用したりします。分離したからといって強い痛みがなく、日常生活で支障が出ない場合も多く、腹筋や背筋などを鍛えていくことで腰痛の予防につながります。 成人に見られる腰椎分離症も骨が癒合することはないので、痛みが軽い場合は必ずしも仕事や運動を中止する必要はありません。 まとめ/腰椎分離症でやってはいけないことを守り悪化を防ごう 腰椎分離症は骨折部に負担をかけないようにして、骨が癒合するのを待つことが重要です。そのため、腰椎分離症でやってはいけないことをしっかり守る必要があります。 早期での治療が行われれば高い確率で骨が癒合する骨折ですので、腰痛が見られた場合は無理をせず早めに整形外科への受診をして、正しい治療を行いましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S085 監修:医師 加藤 秀一
2022.09.23 -
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腰部脊柱管狭窄症の後遺症!手術後に痛みや痺れが残る可能性について 部脊柱管狭窄症とは、背中に通る神経の束である脊髄を保護している脊椎のうち、腰骨に当たる部分が変形して脊髄を圧迫している状態をいいます。 これは加齢にしたがって生じることが多く、文字通り、脊柱管が狭くなることで神経を物理的に圧迫するため、足のしびれなどの症状や、腰痛などが起こります。 腰腰部脊柱管狭窄症の発症率は、高齢化社会を迎えている我が国では増加の一途を辿り、中年以降に発症する確率が高くなっているので注意が必要です。 この疾患に対する治療は、対症療法を含めて保存的加療が中心となりますが、症状を根本的に改善させるためには手術が有効とされています。 手術は、患者個々のケースで症状や、部位を診断したうえで、出来る限り正常な組織を温存して神経への圧力を減らす除圧術が望まれます。ただ、その一方で手術を行っても場合によっては症状が再発する可能性もあることを知っておきましょう。 今回は、腰部脊柱管狭窄症の症状と手術後のしびれ、うずき、痛みなどの症状が残った場合に新たな光明となる「再生医療」という先端医療の可能性について解説していきます。 腰部脊柱管狭窄症の症状 腰部脊柱管狭窄症という病気は、主に椎間板の変化や、その周りの靱帯が腫れて厚くなったことが原因となり、脊柱管を圧迫した結果、管内のスペースを狭めてしまい神経を圧迫し、発症します。 その結果としてお尻周辺の殿部から、足を中心に「下肢全体に“しびれ”などの症状」を生じさせます。時には「膀胱障害」なども現われることがあります。 現在において日本では概ね500万人以上の患者数が存在していると考えられており、超高齢化社会が進行するにしたがって今後、さらに本疾患で悩まれる方が増加していくことが予想されます この病気で感じる痛みは、腰椎椎間板ヘルニアほど強くはないのですが、それとは別に「下肢痛やしびれを代表とする感覚異常が主な症状」となり、患者さんを苦しめます。 腰部脊柱管狭窄症の症状については、安静時にはそれほどではないものの、歩行していると、ふくらはぎの筋肉がうずくように痛みだして、とても歩き続けることができない状態となります。 これはしばらく休憩すると落ち着くのですが、再び歩きはじめると同じように痛みだすという厄介なものです。 腰部脊柱管狭窄症は、60歳以降あるいは70歳前後の高齢者に多くみられるとされており、先に記した歩行時のような症状が進行すると、連続して動くことが出来なくなります。 それだけではなく、進行すると次第に安静時にも、しびれや、うずき、痛み等を強く感じるようになり日常生活に支障をきたすようになります。 腰部脊柱管狭窄症の治療と、術後のしびれや痛み 腰部脊柱管狭窄症における一般的な治療は、「薬物療法やブロック注射などの保存的治療」が行われますが、効果が見込めないケースでは「手術的治療」を考えねばなりません。 症状が軽い場合は、神経レベルの血流改善を図るべく、内服薬が処方されますが、数ヶ月以上服薬しても症状の改善がみられない場合や、逆に症状が悪化する際には、根治的な手術治療が考慮されます。 手術による治療成績は、おおむね良好です。術式としては、脊柱管間隙スペースを拡大することによって神経そのものへの物理的な圧迫を除去することになり、神経に関するものだけに慎重な手術が行われます。 ここで注意すべき点は、「手術前に長期間にわたって神経症状を自覚されている場合」です。 こうなると圧迫された神経そのものが元通りに改善できなくなる可能性があり、残念なことに例え手術が成功しても、しびれや、痛みなどの症状の回復が思い通りにいかない例もあるということです。 そして、実際にそのようなケースになった場合で日常生活に支障をきたすことがあります。こうなった場合は、一般的な保存的治療や痛み止めのブロック注射などをするしかなく、辛い症状が続くことになります。 そこで注目したいのが「再生医療」という文字通り再生を期待する医療です。 この再生治療の利点は、脊椎手術を受けたあとで下肢のしびれ症状が残存してしまっている方にとどまらず、腰部脊柱管狭窄症の術前状態で厳しい症状に日々悩まされている人にも推奨できる治療法であることです。 治療 ・保存療法(薬物療法、ブロック注射など) ・手術療法(保存療法で効果が見込めない場合) 手術 ・術前の症状が長期にわたっていた場合、術後にもしびれ、痛みが残る可能性 まとめ・腰部脊柱管狭窄症の後遺症!手術後に痛みや痺れが残る可能性について 腰部脊柱管狭窄症は、年齢を重ねると罹患しやすく特に高齢者に起こりやすい病気です。いわゆる椎間板ヘルニアや変性すべり症、あるいは椎体の変形や椎間関節および靭帯が厚く変化することによって脊柱管という神経を覆う管を狭くすることが発症します。 脊柱管内に存在している神経が圧迫を受けてしまうと「腰痛や下肢痛のみならず足全体のしびれや、うずき、痛みなどの症状を自覚」することになります。 治療法は、保存療法として消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛に対する鎮痛薬、血流障害を改善するための血管拡張剤などをはじめとする内服薬を使用し、外用薬を貼付してブロック注射などを併用する場合があります。 これら数週間から数か月程度の保存的治療を行っても良い効果を示さない場合や、しびれ症状が強く下肢の筋力低下や膀胱、直腸障害がある場合には根治的な手術となる可能性が高くなります。 また昨今では、そういった手術治療と従来の保存治療の中間的な存在として「画期的な再生医療という選択肢」ができるようになってきています 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の可能性 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です No.S016 監修:医師 加藤 秀一
2022.08.21 -
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坐骨神経痛やってはいけないこと! 坐骨神経痛の痛みは、慢性的な背骨への刺激によってできた骨の棘や、椎間板ヘルニアが腰の脊髄神経根を圧迫し、背中や足、臀部に耐え難い不快感をもたらします。 坐骨神経痛に悩んでいる方は、内服薬に始まり、理学療法、硬膜外注射など、痛みを止めるために、あらゆる方法を試されているかもしれません。しかし、日常的によくとりがちな行為が症状を悪化させてしまうことがあることをご存知でしょうか? そこでこの記事では、坐骨神経痛に悩む方が「やってはいけないこと」「避けるべきこと」についてご紹介してまいります。。 1.重いものを持ち上げてはいけない! 坐骨神経痛の急性期に荷物などを持ち上げる場合、たとえ数kgであっても、かなりの負担になる可能性があり、坐骨神経痛を悪化させることがあります。それでも荷物などを持ち上げねばならないときは体から遠い場所にあるものをその位置関係のまま持ち上げようとしないでください。 できれば持ち上げない方が良いのですが、そうもいかない場合、効果的な対処法は、足を肩幅に開き、対象物の近くに立つ。膝を曲げて、対象物に向かって背中を伸ばしたままでしゃがむ。 左右の手で物を持ち、持ち上げる。頭、背中、お尻が一直線になっていることを意識します。臀部と腹部の筋肉を引き締める。しゃがんだ状態から物をできるだけ体の近くで持ち、背筋をできるだけ伸ばして、足の筋肉で立ち上がるようにして持ち上げます。 このような持ち上げ方をすることで、腰への負荷を最小限にすることができます。 腰への負担を減らす荷物等の持ち上げ方 ・身体から遠くのモノを持ち上げない ・足を肩幅に開き、持ち上げるモノの近くにポジションをとる ・頭、背中、お尻を直線にする意識で膝を曲げてしゃがむ ・臀部と腹部の筋肉を引き締め、頭、背中、お尻を直線にする意識を持ち足の筋力で持ち上げる 2.長時間、座りっぱなしではいけない 長時間座っていると、腰に負担がかかってしまうため避けたいものです。 そこで、例えばオフィスであれば2~30分くらい経ったら、立ち上がって少し歩いてから座り直します。長時間の乗り物に乗る場合は、坐骨神経痛の痛みを避けるために、こまめに休憩を取るようにしましょう。 ちなみに座るときは、前屈みにならないようにし、また柔らかいソファーに座ることは腰に負担がかかるのでやめましょう。ずっと座っていると腰や背中の筋肉が硬直してしまい、運動能力も低下してしまいます。 数時間おきには休憩を入れ、しっかりと歩き回り、背筋を伸ばすことです。そうすることで負担を軽減するばかりか、腰への負担を乗り越える力を蓄えることもできます。 座る場合は腰に負担を掛けない姿勢を維持する ・深く腰掛ける ・背筋を伸ばす ・頭や肩を後ろに引くイメージで猫背は厳禁 ・足を組まない ・同じ姿勢を続けない ・急な動きを行わない 3.ハムストリングスのストレッチをしてはいけない ふくらはぎの筋肉であるハムストリングをストレッチさせると、坐骨神経痛が悪化することがありるため、注意が必要です。 これは準備運動などの一環でよく行われる動作ですが、ハムストリングを伸ばす行為は、坐骨神経に刺激を加え、痛みを増強させることがあります。 したがって、坐骨神経痛の痛みがあるときは、全身の筋肉を温めるウォーキングや、水の浮力を利用して背中に体重をかけない水泳を試してみてください。 ハムストリングとは ・太ももの内側の半腱様筋、半膜様筋と、外側にある大腿二頭筋からなる3つの筋肉の総称です。 4.前かがみになってはいけない 例えば屈みで物を取ろうとすると、前屈みの姿勢に対して、背骨にかかる力が増大します。更に持ち上げようとしている物の重さが組み合わさると、靭帯、骨、椎間板に負荷がかかり、坐骨神経痛が悪化する可能性があります。 そこで、地面に落ちているものを拾うときや、普段の生活で食器洗機から食器、衣類乾燥機から洗濯物を出し入れするときは、まず背骨をまっすぐにし、そのままの姿勢で膝を曲げて腰を落とします。 食器洗い機からは一気に多くの食器を取り出すことは避け、重いものを保たないようにします。こうすることで、腰に負担をかけることなく目的を果たすことができます。 ・背中(背骨)をまっすぐする意識を持つ 5.間違ったサイズの椅子に座ってはいけない 座り心地の悪い椅子は、腰椎を支えきれず、坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。逆に沈み込み過ぎるような椅子も避けたいものです。 最善の椅子は、背骨を伸ばしたままでニュートラルな姿勢を保てるような、人間工学に基づいた椅子を使用することです。股関節と膝の角度が90度の状態で、足の裏を床にフラットにつけて座っていられることを意味します。 6.背骨をねじりすぎてはいけない 背骨をひねる動作と前屈や側屈などの他の動作を組み合わせると、腰の痛みを悪化させることがあります。やってはいけないことの例は、雪かきや間違った方法で物を持ち上げることです。 すでに何度か説明したように、ものを持ち上げるための正しい方法を学ぶことです。合わせて体幹のコアマッスルを強化するエクササイズを行い、柔軟性、可動域を向上させ、怪我を防ぐために運動や活動をする前にストレッチを行うことです。 7.ベッドで柔らかすぎるマットレスに寝てはいけない ベッドで仰向けになると、腰に負担がかかります。ベッドで休む時は横むきになると良いでしょう。また柔らかいマットレスも腰に負担がかかります。ある程度硬いマットレスのほうが健全です。 またベッドから立ち上がる時は、ゆっくりと起き上がるだけでなく、腰に負担がかからないようにすることを意識します。特にベッドから腰を上げる時は、膝の力を使うこと、両手を膝について力を膝に集めることも有効でしょう。 8.体を冷やしすぎてはいけない 腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、体が常に緊張状態になってしまいます。そのため、筋肉が固まってしまい、神経を更に圧迫してしまうと考えられています。 特に夏場に冷房の効いた部屋に長時間滞在すると症状が悪化しやすいので、ブランケットや薄手の上着などを持ち歩くなどして対策するようにしましょう。 9.太ってはいけない 脂肪をつけすぎないこと、太らないようにすることも、坐骨神経痛の症状を悪化させないために重要です。 食べすぎや運動不足によって上半身に脂肪が付きすぎると、腰に大きな負担がかかってしまいます。坐骨神経痛の症状がある人は、食事量や運動量を調節し、脂肪が付かないように、太りすぎないように気を付けましょう。 まとめ・坐骨神経痛やってはいけないこと! 坐骨神経痛で悩む方がやってはいけないこと、注意すべきことををいくつかご紹介しました。 坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されることで引き起こされる症状で、背中や足、臀部に激しい痛みやしびれを感じます。この症状を改善するためには、日常生活で以下の8つの「やってはいけない」ことに気を付ける必要があります。 やってはいけない!8つのこと 1. 重いものを持ち上げない 2. 長時間座りっぱなしにならない 3. ハムストリングスのストレッチをしない 4. 前かがみにならない 5. 間違ったサイズの椅子に座らない 6.背骨をねじりすぎてはいけない 7.ベッドで柔らかすぎるマットレスに寝てはいけない 8.体を冷やしすぎてはいけない 腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、体が常に緊張状態になってしまいます。 以上の8つのことに気を付けることで、坐骨神経痛の症状を軽減することができます。しかし、これらのことだけでは根本的な解決にはなりません。 坐骨神経痛の原因は人それぞれ異なりますので、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切な治療を受けることが重要です。 特に適切な立ち方やものの持ち上げ方には、アドバイスや訓練をすることでより効果的にできるようになります。是非かかりつけの整形外科医やリハビリの担当者に相談してみましょう。 No.S084 監修:医師 加藤 秀一
2022.08.03 -
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腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説 腰椎すべり症は、実は全ての年代における慢性的な腰痛の原因ともなりうる症状です。腰痛に苦しむアスリートのなかに、腰椎すべり症を発症している人がいると聞いたことがある方がおられるかもしれません。 そこで今回の記事では、腰椎すべり症の症状、原因や治療法についてご紹介します。 腰椎すべり症とは? 腰椎すべり症とは、腰痛の原因となる脊椎の病気です。腰の骨である腰椎のひとつが、その下の腰椎との位置がずれてしまうことで起こります。多くの場合、非外科的治療で症状を和らげることができますが、重症化すれば手術が必要となることもあります。 腰椎すべり症の症状 腰椎すべり症は、腰椎の不安定性を伴っており、腰椎が必要以上に動きます。そのため脊髄神経を圧迫し、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。ただし、腰椎すべり症の初期は、症状が現れないこともあります。 症状が出てくると、一般的には腰痛が主な症状です。痛みは、お尻や太ももにまで及ぶこともあります。また、そのほかにも太ももの裏の筋肉のけいれん、背中のこわばり、長時間の歩行や立位が困難になる、足のしびれ、筋力低下などが生じることもあります。 腰椎すべり症の原因 腰椎すべり症の原因は、主に2つに分けられます。 変性すべり症 椎間板の変性により、椎骨がずれてしまうこともあります。椎骨のクッションである椎間板は、加齢に伴って水分が失われ、磨耗していきます。椎間板が薄くなると、椎骨はその位置からずれやすくなります。 また椎骨と椎骨の間にあり、各椎骨同士をつないでいる関節面がすり減ることもあります。関節面がすり減ると、表面積が不均一で不安定になり、椎骨が定位置にとどまることができなくなります。 変性すべり症の多くは、進行するまで症状が出ません。脚の痛みを感じる場合は、椎骨の位置がずれて脊髄神経のために必要なスペースが狭くなり、さらに脊柱管から出る神経根が圧迫されたり、挟まれたりすることが原因です。 なお変性すべり症は、50歳以降に多く、男性よりも女性に多くみられます。 分離すべり症 分離すべり症は、脊椎を繋ぐ関節突起部が生まれつき不完全なために、椎骨の一部分の分離を生じることがあります。 また骨が成長する思春期に、陸上競技、体操やサッカーなど、腰に過度に負荷のかかる運動を続けていると、椎間の関節部にストレスがかかってしまい、その結果関節突起の疲労骨折を起こすことがあります。 この疲労骨折が、度重なる運動のために十分に治癒していないと、後々腰椎の分離を起こし、分離すべり症を発症します。分離すべり症は、10代の子どもが腰痛になる最も一般的な理由の一つです。 腰椎すべり症の診断 症状や診察より、腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行うことが一般的です。 はじめに脊椎のX線検査を行います。X線検査により、腰椎のずれが生じているか、確認することができます。それに加えて、CTスキャンやMRIを用いた検査を行います。これらの画像検査は、脊椎の状態をより詳しく見るため、あるいは椎間板や神経などの組織の状態を評価するために必要な場合があります。 腰椎すべり症の治療 治療は、すべり症の程度、症状、年齢、全身状態によって異なりますが、通常はまず手術を行わない、非外科的治療法を試みます。 腰椎すべり症の非外科的治療 非外科的治療の最初のステップは、安静にすることです。当然ですが、激しい運動やスポーツを休みます。腰への負担を軽減させることを目的に、コルセットを併用することもあります。 また同時に、痛みを軽減させることを目的に、鎮痛薬を使用します。通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が用いられます。 さらに激しい痛みに対しては、神経婚ブロックを行い、痛みを最小限にできるようにコントロールします。場合によっては、腰椎のけん引を行うこともあります。 痛みが落ち着いてきたら、腹部と背部の強化を目的に筋力トレーニングをしたり、ストレッチをしたりして、症状の進行を止めるよう試みます。 腰椎すべり症の外科的治療 すべりの程度が強く、痛みがひどい場合、または非外科的治療を試みたがうまくいかない場合、手術が必要になることがあります。 手術では、脊椎の減圧術を行うことで神経への圧迫を解除し、圧迫による刺激を受けている神経からの痛みを和らげ、機能を回復させることを目指します。また原因に応じて腰椎の固定術を行い、すべった部分の腰椎を安定させることもあります。 腰椎すべり症の予後 腰椎すべり症は、自然に治ることはありませんが、安静や薬物療法、リハビリテーションによって、症状が緩和されることはよくあります。 手術の成功率は高いと言われています。腰椎すべり症の手術を受けた人の多くは、術後数カ月で以前の生活に戻ることができています。なお、手術後は機能を完全に回復するためにリハビリテーションが必要になることが多いでしょう。 まとめ・腰椎すべり症は、変性すべり症、分離すべり症を原因とし、その治療方法を解説 腰椎すべり症について、その症状や原因、また治療法について説明しました。もし自分が腰椎すべり症かもしれないと思う方がおられたら、ぜひ整形外科クリニックまでご相談ください。 腰椎すべり症には、なかなか効果的な予防法がありませんが、背筋と腹筋を鍛えるためのエクササイズを定期的に行ったり、腰への負担軽減を意識して減量したり、日常生活のなかでできる工夫もありますので、専門医にご相談することをお勧めします。 No.S081 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
2022.06.09 -
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ぎっくり腰の前兆、なんとなく違和感?!まずは原因を知って予防する! 日常生活の中で、重いものを持ち上げたりした時、身体を起こしたりした時、お辞儀をしたりする時などの何気ない動作の中で、急に腰が痛くなり歩けなくなる、ということを経験した人は少なくないと思います。 世間ではこれを『ぎっくり腰』と言っています。実は『ぎっくり腰』という病気は正式な疾患の名前ではありません。正式には『急性腰痛症』と言われます。ぎっくり腰で起こる腰痛は、『急性腰痛症』という文字の通り、急激に発症しますが、腰痛を起こさないため、おすすめの方法はないのか、その前兆について解説していきます。 ぎっくり腰について 先ほど述べたように、正式には『急性腰痛症』と言います。急性腰痛症は発症からの期間が 4 週間未満の腰痛を総称して言います。 腰痛の原因自体は、実はたくさんあります。腰や背骨を支えている様々な組織(椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管など)が疾患や外傷によって傷がついて腰痛を起こしていると言われています。 腰痛の原因と大きく分けると、脊椎が原因の痛み、神経が原因の痛み、血管が原因の腰痛、内臓が原因の腰痛、心が原因の腰痛に分けることができると言われています。 腰痛の原因 ・脊椎が原因 ・神経が原因 ・血管が原因 ・内臓が原因 ・ストレスが原因 このように腰痛の原因は様々ですが、ぎっくり腰自体の原因は、実ははっきりとしたことが解明されておらず、腰痛の様々は原因が関係しあって引き起こしているのではないかと言われています。 ぎっくり腰の原因と治療法 腰痛の原因にもありますがストレスが原因で「ぎっくり腰」が起こるというのは意外かもしれませんね。実は、『ぎっくり腰を起こしそう』と思っていることも、ぎっくり腰を起こす原因の一つであると言われています。 ぎっくり腰の症状は、『力を込めて物を持ち上げようとした際』や『挨拶をしようと頭を下げた際』、『座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした際』などに、急激に痛みが出現して、歩けなくなったりします。 経験している人は身をもって感じていることが多いですが、痛みは耐えられないくらいの激痛で、今までに経験したことのないほどの痛みであることが多いです。 経過について、意外かもしれませんが、急激に発症する腰痛は、慢性的な腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多いと言われています。治療について、明確に決まった治療法はなく、安静を保ち、ゆっくりと過ごすことが大事です。 ただし、これは単にゆっくり過ごすということではなく、なるべく早く日常の生活に戻ることも治療のために必要であると言われています。 身体を伸ばしたり、軽く体操することが効果がある可能性もあると言われていますが、ぎっくり腰を起こし痛みがどうしても耐えられない人は、鎮痛剤を内服したり湿布を貼ったりしながらも早期に日常生活に戻る努力を行いましょう。 ぎっくり腰の原因 ・力を込めて重い物を持ち上げようとした ・挨拶をしようと頭を下げた ・座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした ・腰に関わる急激な姿勢変動 ・ストレス(心理的要因) おすすめの治療法 ・受傷した当初は安静 ・痛み止め(鎮痛剤や、湿布等) ・早めに意識して日常生活に戻る。安静のし過ぎは良くない。 ・急激に発症した腰痛は、慢性腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多い ぎっくり腰ではなかった?に注意 ぎっくり腰で治療のために入院が必要になるということは、ほぼないと言われています。 しかし、ここで注意しなくてはいけないのは、『実は骨折していた』『実はヘルニアだった』などということもあるので、症状がなかなか良くならない時や、いつもと違う痛みのときは、なるべく早く病院に受診するのがよいでしょう。 日本整形外科学会のガイドラインでは、自然に症状がよくなるために影響している可能性があるものが紹介されています。 腰痛がより早く良くなるために大事なこととしては、発症する前に定期的に運動を行う習慣があることや、年齢が比較的若いこと、健康状態が良好であること、精神の状態を良好であることなどが挙げられています。 その反対に、腰痛がなかなかよくならない原因として、『痛みが頭から離れないこと』『痛みに対して無気力であること』『痛みを過大にとらえる』などの考え方が挙げられています。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなくの違和感?!」 ぎっくり腰の前兆についてお待たせしました!果たして、そんな症状はあるのでしょうか。 実は前兆について、大変残念なのですが『明らかなものがない』と言われています。何回も経験している人の中には『なんとなく腰が痛くなりそう』『嫌な予感がする』と前兆を感じることがあると言われます。実は、症状ではなく感覚として危険性を感じるようなのです。予感のようなものでしょうか・・・ この『なんとなく』といった違和感こそが、ギックリ腰の「前兆」と言えるものなのです。しかし、今までに経験したことのない方にとっては、そのような『なんとなく』などといったあいまいな前兆については、判別が難しいことでしょう。 結論は、「ギックリ腰の前兆については、そのような曖昧なものしかない」のが本当のところなのですが、予防策はあります。腰に不安がある方はぜひこの予防策をとっていただき、ギックリ腰に合わないための方法を知っておきましょう。 具体的には、姿勢を整えたり、規則正しい運動習慣を身につけたり、しっかりとした睡眠をとったり、身体も心も健康に保つことが予防のために重要であると言われています。 その反対に、身体の健康を損なった時や、ストレスなど心理的要因を抱えていたり、精神的に不安定なときは、ぎっくり腰を引き起こしやすいと言われています。そういう意味では、身体が疲れている時や、心が疲れている時、睡眠不足などの生活習慣の乱れも、前兆であると考えても良いのかもしれません。 もし、そのような予兆を感じた場合は、まず一旦、「今しようとしていることを止めて姿勢を正す」など、そのように思った流れを断ち切るように心がけましょう! ぎっくり腰は、前兆よりも、心と体を健康に保つことで予防できる ・姿勢を整える(意識する) ・定期的な運動習慣 ・しっかり睡眠 ・心と体の健康で予防する ・普段からストイレッチなど体の状態を管理する まとめ・ぎっくり腰の前兆はあるのか?まずは原因を知って予防する! ぎっくり腰は、日常的な動作の中で急激に起こる腰痛です。一度引き起こすと痛みで動けなくなり、とてもつらい思いをします。また、一度起こすと繰り返し起こりかねない疾患です。 外的要因以外、ストレスなどの心理的要因にて身体や心の健康が乱れることが、前兆となって起こる可能性もあります。つまり、ぎっくり腰を引き起こさないようにするのに大事なのは、身体や心の健康を保つことであると言えるでしょう。 実際になってしまった時は、あわてず早く良くなるために医療機関を受診されることをおすすめします、また、再発しないようにするために、身体や心を健康に保つことが非常に重要です。ぎっくり腰と思って放置していたら、別の病気が隠れていることもありますのでご注意ください。そのためにも軽い重いにかかわらず病院を利用しましょう。 病院いかず、症状がなかなかよくならない時、病院で診察を受けたけど経過が思わしくないときなども病院を受診してください。 以上、ぎっくり腰に前兆はあるのか、あるならどんな症状という内容で解説させていただきました。参考にして頂けると幸いです。 ▼こちらもオススメの記事です。あわせてご覧ください ぎっくり腰とは?やって良いこと、悪いこと No.059 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療という新しい先端医療をご存知ですか 自分自身の、自然治癒力を活かしたこれまでになかった医療です
2022.06.06 -
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- 腰部脊柱管狭窄症
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坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 坐骨神経痛とは、いわゆる腰付近に存在している坐骨神経に沿ってお尻辺りの臀部から下肢のうしろ面などにかけて電撃のように引き起こされる痛みを伴う症状の総称です。 坐骨神経は腰の辺りから足先までに伸びている神経の束であり、この坐骨神経が何らかの原因によって物理的に刺激されると下半身に痛みや、しびれ、といった症状が引き起こされることとなります。 今回は、そのような坐骨神経痛という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 坐骨神経痛の原因 坐骨神経痛の原因は、一般的には「腰椎椎間板ヘルニア」や、「腰部脊柱管狭窄症」などが挙げられます。傾向としては若年者の場合では、腰椎椎間板ヘルニアが多く、その一方で高齢者では腰部脊柱管狭窄症の罹患率が増加してきます。 腰椎椎間板ヘルニアの場合は、日常的に腰部に負担がかかりやすい重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどが主な発症原因として知られています。 腰部脊柱管狭窄や腰椎椎間板ヘルニアの両者とも腰椎と呼ばれる背骨の部分に引き起こされる異常によって脊髄の神経根が圧迫されて、同様に坐骨神経痛を始めとする下半身痛や下肢領域の「痺れるような痛み」を起こすと言われています。 また頻度としては少ないですが、坐骨神経痛は骨盤内腫瘍などによって神経束が圧迫されることが原因として症状を表すこともあります。 さらに注意したいのは、体重が増加すると腰に負担がかかるため、肥満体形にならないように食事や運動などを意識して行い体重管理に努めることが必要です。また、下半身の冷えが坐骨神経痛につながることがあることも知っておきましょう。 坐骨神経痛の辛い症状 坐骨神経痛による代表的な症状としては、お尻や脚の後面にかけて「電撃のような痛み」や、「痺れるような痛み」が起こります。 また、それ以外にも、冷感や灼熱感を自覚する事もありますし、それらの症状は下肢の一部の領域のみに出現することもあれば、下肢全体にかけて認められることもあります。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛では局所的な疼痛症状を訴えることが多い一方で、腰部脊柱管狭窄症が原因のケースでは間歇性跛行という症状を生じることが往々にして認められます。 間歇性跛行とは、日常生活において、しばらく歩くなど動くことでお尻や太ももにかけて痛みといった症状を自覚するものの、一旦休むことで自然と痛みが治まり、歩行を再開すると再度同様に疼痛症状を起こすことが特徴の一つです。 本疾患では、様々な症状をくり返すうちに、痛みがさらに悪化して、歩行自体や椅子から立ち上がることすら困難になる可能性も指摘されているため、日常生活に高度に支障をきたす恐れがある病気ですので十分な注意が必要です 坐骨神経痛の検査 坐骨神経痛における検査方法は、本疾患の原因となっている病気を精査することで特定します。 ほとんどの腰椎レベルにおける病変自体が坐骨神経痛の原因となることが多いとされているのですが、時に帯状疱疹、子宮筋腫、変形性股関節症などの病気が主症状の根本的な原因となっていることもあるため、疑われる病気に応じて各種検査が行われます。 実際に医療機関を受診する場合の一般的な診断の流れは、まずは問診や診察を行って坐骨神経痛が強く疑われたときには、その後にX線によるレントゲン検査やMRIを用いた画像検査などを行うことによって病変部を詳細に評価します。 坐骨神経痛の治療方法 坐骨神経痛に対する治療策はさまざまであり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因となるケースでは、まずは患部安静や固定、薬物療法、理学療法などを中心とした保存療法が勧められます。 1.薬物療法 非ステロイド性消炎鎮痛薬が処方されることが一般的であり、それ以外にも神経障害性疼痛に対する治療薬、筋緊張を和らげる薬剤、あるいは血管拡張薬などを服用することもあります。 2.理学療法 日常生活の質の維持などを目標として、コルセットと呼ばれる装具を身につけながらストレッチ体操や歩行訓練などを行って疼痛症状を緩和できるようなリハビリを実践します。 3.神経ブロック療法 局所麻酔を行うことで、神経に痛みが伝わらないように行うのがブロック療法です。(痛みをブロックすることから)整形外科や、ペインクリニックなどで行われ流ことが多いです。 4.認知行動療法 物事の考え方・捉え方や行動に働きをかけて、ストレスを軽減する治療法です。痛みについての認識を改めて理解し、必要以上のストレスや悪い感情を軽減することを目的としています。 5.装具療法 コルセットをはじめとした装具を用いて、腰椎を安定させることで痛みを和らげる療法です。ただし、あまり長い期間使いすぎてしまうと元々の体力が低下してしまうため、医師と相談をしながら、1ヶ月前後を目安にしましょう。 6.物理療法 神経痛の原因の一つに、血行不良が挙げられるケースがあります。そのため、マッサージや低周波電気療法などを行い、血液の流れに訴えかけたり、刺激を促す効果を期待します。 身体への負担が少ないため、自身の体力に合わせて検討してください。 万が一、これらの保存的治療で症状が改善しない場合、あるいは下半身の脱力症状や膀胱直腸における排尿や排便に関する機能そのものに障害が認められるケースでは脊椎内視鏡を用いた外科的手術治療を考慮することがあります。 坐骨神経痛の痛みの予防方法と改善の仕方 坐骨神経痛を予防・改善するためには椎間板や背骨の関節への負担をかけないことが重要です。小さなことでも日頃から意識をすることで、大怪我の予防につながるためしっかり理解しておきましょう。 1.坐骨神経痛を予防するために 坐骨神経痛を予防するためには、ストレッチを行うことが効果的です。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢になりがちな方は、こまめにストレッチを挟むことで、筋肉や背骨の緊張をほぐすことにつながります。 2.坐骨神経痛を改善するために 坐骨神経痛の改善には以下にご注意ください。 ・同じ姿勢を長時間とらない ・あまり重たいものを持ち上げる動作を行わない ・腰回りの筋力をつける ・肥満を避ける生活を心がける ただし、症状や原因によっても異なるため、具体的な予防法・改善方は診断を受けている医師と相談しましょう。 まとめ・坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 今回は坐骨神経痛とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 坐骨神経痛とは、主に腰部から足先にかけて走行している坐骨神経束が色々な原因によって圧迫されて物理的に刺激されることで痛みやしびれなどの症状を来す疾患を指します。 この病気は、日々の生活習慣を見直すことで予防や症状改善に繋がりますので、疑わしい症状がある際には自己判断で放置せずに専門医に相談しましょう。 以上、坐骨神経痛とは、その原因と症状、治療についてと題してご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S070 修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
2022.04.13 -
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腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 最も多くの日本人が悩んでいる健康の問題とは何かご存知でしょうか? がん? 肺炎? 新型コロナウイルス感染症? 心筋梗塞・・・いえいえ!答えは「腰痛」と「肩こり」です。(平成28年国民健康基礎調査より) 特に腰痛は、男性の中で最も多く、また女性のなかでも2番目に悩んでいる人が多い症状です。この記事を読まれている人の中にも、腰痛で悩んでいる方が多いのではないでしょうか。 今回は、そんな腰痛の中の約7%を占めるという「腰椎椎間板ヘルニア」と、「腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと」について解説してまいります。 腰椎椎間板ヘルニアとは 腰椎とは腰にある背骨のことです。 骨盤の上で、上半身の重さを支えている5つの骨を腰椎と言います。この背骨(腰椎)は1つずつ椎間板と呼ばれるクッションでつながっており、クッションがあることで腰を回したり、伸ばしたりするなどの動きが可能になっています。 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰に過度な負担が掛かることによって、クッションとなっている椎間板が壊れて神経を圧迫し、腰痛が出現するという病気です。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 腰椎椎間板ヘルニアを起こしてしまう原因の一つに、椎間板に過度な負担がかかることがあげられます。 腰に負担をかける動作 では、腰への負担をかけてしまうような動作とはどのようなものでしょうか。 なんとなく、腰に負担がかかる場面は思い起こすことができますね。重いものを持ったり、中腰の体勢を続けていたりした時に腰が痛んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。 1966年に日常生活における動作と腰にかかる負担についての報告がされています。 この報告によると、立ったまま前かがみになると、ただ立っているときと比べて約1.5倍の圧が腰にかかることが分かりました。さらに中腰で20㎏のものを持とうとすると、ただ立っているときの2倍以上の負担が腰にかかることも判明しています。 1999年には、新しい計測機器を用いて腰の負荷をさらに正確に測定した報告がされています。 その報告によると、座っているときの腰の負担は、立っているときとほとんど変わりがないという衝撃の内容でした。しかも、中腰の場合での腰の負荷は立っているときの2倍。さらに中腰で20㎏のものを持っているときの腰の負荷は実に4.5倍にもなるということがわかりました。 重いものを持ちあげるときに注意したいのは、その姿勢です。膝を折り、しゃがんだ状態で足を延ばして持ち上げるようにすることで、腰の負荷を2/3程度まで減少させることができたと報告されています。 これらの報告から、腰部への過度な荷重がかかる場面は、中腰になっているときであることがわかりました。また重い荷物を持つ際には、お辞儀するように上体を前に折った体勢をとると腰の負担が増えてしまうことが科学的に判明されています。 腰椎椎間板ヘルニアと診断された方は、ぜひこのような科学的根拠に基づいて、腰に負担をかけないよう、注意して動作を行うようにしてください。 立っているときと比較して 腰への負担 座っている状態 立っている時とほぼ同等 中腰になっているとき 2倍 中腰で20㎏の持つと(重い荷物を持つ想定) 4.5倍 上記のように腰に負担を与えないためには、姿勢や、重いモノを持ち上げるなどでは、やり方をよく研究することが大切であることが分かります。 やってはいけない、避けたい喫煙 腰椎椎間板ヘルニアは、「喫煙」との関係が深い疾患であることが知られています。 喫煙者は、1.27倍、腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクが上がることがわかっています。たばこの中に含まれるニコチンが椎間板周囲の毛細血管を収縮させ、椎間板に栄養が充分に行き渡らなくなることで椎間板がもろくなり、腰椎椎間板ヘルニアのリスクが上がるようです。 それだけではなく、非喫煙者は喫煙者に比べて痛みの程度が低く、痛み止めの内服量も少なく済んだという報告もあります。 つまり喫煙者は腰椎椎間板ヘルニアになりやすいだけでなく、腰椎椎間板ヘルニアによる痛みも強く、なかなか痛み止めを飲んでも疼痛のコントロールが難しいことが示唆されています。 喫煙は、個人の嗜好ですが腰椎椎間板ヘルニアに非常に悪い影響を与えます。もし、腰椎椎間板ヘルニアを患っていて喫煙されているのなら、これを機に禁煙をするほうが良いでしょう。 喫煙は、不利です、やってはいけないではなく、吸ってはいけない!と言えるのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアで喫煙の弊害 ・喫煙者の発症リスクは、1.27倍 ・喫煙者は痛みの程度が高くなる傾向がある ・喫煙者は痛み止めの効果が薄くなる傾向がある ・喫煙者は痛み止めの内服量が多くなる まとめ・腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 今回は腰椎椎間板ヘルニアとは何か、腰椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんが日常生活で気を付けるべき注意点をお伝えしました。 やってはいけません ・中腰での動作は避ける ・重いものを持つときには膝を曲げて持つ ・姿勢をよくする ・喫煙者は、禁煙する 上記に気を付けて、腰椎椎間板ヘルニアにならない!悪化させないような生活を送りましょう。 No.S013 監修:医師 加藤 秀一
2021.11.23 -
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日本人は多くの人が1度は腰痛に悩まされた経験があります。 多くの腰痛は時間が経てば症状が改善しますが、もし腰椎椎間板ヘルニアの場合は、痛みが強く生活に影響を与える可能性があります。 ヘルニアとは身体の組織の一部が、本来あるべき、正しい位置からはみ出した状態をいいます。なぜ、本来とは関係ない場所にはみ出るのでしょうか? そこで今回は、「腰椎椎間板ヘルニアを生じる原因・症状と痛みを和らげる方法」について詳しく解説します。 腰椎椎間板ヘルニアとは 背骨は頸椎(首の骨)が7個・胸椎(胸の骨)が12個・腰椎(腰の骨)が5個に分かれて、それぞれ1つずつ骨が積み上げたように構成されています。 そして、1つずつの骨と骨のあいだには椎間板が存在します。椎間板は、多くの水分を含んだゼリー状の髄核、その周りを取り囲む線維輪により二重構造となっており、腰にかかる負担を和らげるクッションのような役割があります。 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の椎間板に負担がかかり、椎間板の中にある髄核という組織が外に飛び出して神経にぶつかった状態です。 腰椎椎間板ヘルニアの症状 腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、お尻・足の痛みはもちろん、しびれ、力を入れにくい、動かしにくいなどの症状があります。痛み・しびれは下半身のどの場所にも出ますが、その中でもお尻から太ももの裏側の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、代表的な症状です。 また、神経が強く押されている場合は、おしっこ・お通じなどが出にくい、漏れてしまう場合もあります。 腰椎椎間板ヘルニアは2つのタイプに分かれる 椎間板ヘルニアは下記の2つのタイプに分かれ、圧迫される神経によって症状が変わります。 神経根型 神経根型は、背骨に対して縦に走っている神経ではなく、そこから左右へ枝分かれして伸びている神経根という場所を圧迫しています。症状として、腰・片足の痛みなどがありますが、危険度は高くありません。 馬尾型 馬尾型は、背骨に対して縦に走っている神経を圧迫します。 症状として、お尻・足全体への痛みがあるだけでなく、そのまま放置すると尿漏れなどの排尿障害が生じる、場合によっては歩けなくなり、寝たきりになる可能性があるなど馬尾型は神経根型よりも危険性が高くなります。 ▼もし、下記の症状が当てはまる場合は注意が必要です。 ・痛みはないが、しびれがある ・両足にしびれ・痛みが生じる ・両足の裏側がしびれる ・お尻の周辺がしびれる ・歩いてる最中に尿が出そうになる 腰椎椎間板ヘルニアを生じる原因 腰椎椎間板ヘルニアは下記のようにさまざまの原因で生じます。 年齢 体にある組織の多くは、年齢とともに劣化します。椎間板もその中の1つです。 椎間板は、体重を支えるため、身体の中で最も負担のかかる組織ですが、血管がないため栄養の届きにくい仕組みとなっており、なんと10歳代後半から劣化が始まり、少しずつ徐々に、みずみずしさが失われてクッション機能を果せなくなっていきます。 姿勢の悪さ 普段の姿勢が反り腰・猫背の人は、一般的な姿勢より、体重が腰にかかりやすくなります。そのため、長期間そのような姿勢でいると椎間板への負荷が大きくなり、ヘルニアの原因になる場合があります。 また、意外かもしれませんが、腰への負担は立っているよりも座っているときの方が大きくなります。そのため、車の長時間の運転、デスクワークなど、長時間座るような生活をしている人は注意が必要です。定期的に立つ、歩く、屈伸を行うなどで姿勢を変化させることが必要です。 喫煙 ご存知でしょうか!喫煙と椎間板ヘルニアには関係があります。 上記で解説したように椎間板には血管がありません。そのため、周囲の毛細血管から必要な栄養分をもらっています。しかし、喫煙者はタバコの影響のため、毛細血管の血流が悪くなり、椎間板の回復が遅く劣化しやすい状態になりかねません。 痛みを和らげる方法 腰椎椎間板ヘルニアは、どれだけ腰に負担をかけないで過ごせるかが大切です。痛みを和らげる方法としては下記のようなものがあります。 姿勢に気を付ける 座った姿勢は腰に負担がかかるため、長時間座らないようにし、休憩時間には気分転換にストレッチをする、また周囲を歩いて気分転換をおこないましょう。 また、座るときの姿勢も腰のあたりにクッションを入れる、背もたれの角度を調整できる椅子を選ぶなど自分にとって負担が少ない姿勢を見つけることが重要です。 筋肉トレーニングや、ストレッチをおこなう 筋肉を強化すると、お腹まわりの筋肉がコルセットのような役割をするため腰にかかる負担を軽減できます。また、硬くなっている筋肉をストレットで柔らかくすることにより、ヘルニアの症状を軽減できます。 筋肉トレーニングは身体の深部に存在するインナーマッスルを中心におこないます。インナーマッスルは、腰を安定させて腰椎をゆがまさない役割があるため、腰の負担が減り症状の改善が期待できます。 また、ストレッチは腰だけでなく、股関節や足などの下半身と体幹を中心にストレッチすることにより、筋肉に柔軟性が出るため腰への負担が軽減されます。 まとめ 腰椎椎間板ヘルニアの80〜85%は症状が良くなるといわれています。しかし、場合によっては強い痛み・しびれに長い間、悩まされている人もいます。 今回解説した内容をおこなえば多くの人は症状が改善されますが、1週間程度経過したのに関わらず症状が全く改善されない場合は、そのまま放置せず、躊躇することなく専門医を受診しましょう。 No.S012 監修:医師 加藤 秀一
2021.11.23 -
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ぎっくり腰を、ただの腰痛と侮るなかれ!自己診断厳禁 腰痛の中でも、ぎっくり腰の痛みは特別です。ある日突然、何の前触れもなくグキッ!という感じで急激に痛みが起き、痛みの程度も激しいからです。 まさに1秒くらいで急激な痛みが襲うので、ドイツ語では、ぎっくり腰のことを魔女の一撃(Hexenschuss ヘクセンシュース)と言うくらいです。 ぎっくり腰の痛みは、数秒で起きるので、他の腰痛のように数か月~数年で徐々に痛みがひどくなる「腰椎症」。そして、数日で痛みがひどくなるスポーツによる腰痛などと区別できます。 ぎっくり腰の原因 ぎっくり腰は、一説に50人に1人は経験するとまで言われているほど日常的に起こりえる病なので注意が必要です。原因としては、変な体勢で重いものを持ち上げるなど、通常でない力が、筋膜や椎間板に加わって、組織の炎症が瞬間的、急激に起こるものです。 しかし、重いものを持ち上げるなど無理な姿勢からの大きい負荷だけで起こるのではなく、姿勢によっては簡単な事であっても、ぎっくり腰が起きることがあります。 たとえば、単に身をかがめただけ(あいさつでのお辞儀など)、後ろを振り向いただけ、ただ咳をしただけ、掃除機をかける時に少し体を折り曲げただけ、子どもを抱っこしただけ、正座などの座った体勢から立ち上がろうとしただけ、これら普通の生活でありえる動作でも「ぎっくり」が起きることがあるので困ります。 ぎっくり腰を侮るなかれ 痛み方についても一定ではなく、典型的な急激に発症する際の激痛型のぎっくり腰だけではなく、最初は、痛みが軽度だったのに、数時間から数日かけて、身動きがとれなくなるくらい徐々に痛くなる場合もあります。 また、重い物を持ったからといった、きっかけが全くない状況なのに段々と身動きがとれないほどの激痛になるという非典型的な、ぎっくり腰もあります。 多くの場合、ぎっくり腰は2週間程度で自然経過で治ることが多いのですが、実のところ、ぎっくり腰だと思い込んでいたら、実は全く違う病気で、病院での治療が必要な重い病気だった・・・ ということが実際にあることを覚えておいてください。そのため自己診断は避け、医師による正確な診断が必要です。 最も怖いのは、ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、調べてみると内科の病気で多発性骨髄腫という血液の悪性腫瘍で、腰椎が圧迫骨折を起こしていたための腰痛だった人もいます。 または、泌尿器科の病気が、腰痛を引き起こしている可能性もあります。中には前立腺癌の腰椎転移で腰痛を起こしていた人もいます。 仮に自己診断の通り、ぎっくり腰だったとしても、適切な治療をせず、自分勝手な自己流の方法で治そうとしたために、かえって痛みが慢性化してしまうこともあります。 やはり、自己診断や症状を過信せず「何かおかしい?!」と思ったら、迷わず病院等、医療機関の専門家に相談することが大事ということです。 ぎっくり腰と日常生活 日常生活について、「ぎっくり腰は、安静にし過ぎても、かえって治りが遅くなる」ことがあります。安静は必要なのすが、長すぎる安静は回復するのを遅らせる可能性があります。。 安静にしている長さは個人の状態によって変わりますが、痛みが引いた時点で適度に動いたほうが安静を続けるより回復が早いと言われています。 痛みを避けるためには「この姿勢なら楽だ」という無理のない楽な姿勢を意識した日常生活を送ることが大切です。楽な姿勢なら、組織の炎症を悪化させることもなく、組織の修復を助けてくれるからです。 面倒だからと、つい変な姿勢で何かを行ってしまうなどのことが無いようにしましょう。かがむ、腰を折る、腰を曲げるなどの姿勢は要注意。膝を折ることを意識してください。 ぎっくり腰のお薬 ぎっくり腰は最初、冷やすと効果的と言われています。そのため湿布を貼って患部を冷やす方法もありますが、冷やしすぎるのも皮膚を刺激することで症状が悪化してしまう恐れがあります。 また、痛みについて「耐えられない」という場合は、鎮痛剤の服用に頼ってもいいですが痛み止めの薬を飲み過ぎると、胃炎や胃潰瘍などの胃腸障害を起こすので、過量服用や空腹時は避け、多くの水と共に飲むことが大事です 特に、「胃潰瘍を過去に起こしたことがある」という人の場合は、鎮痛剤を飲む場合にはガスターなどの制酸剤を一緒に飲む必要があるかもしれません。 また、鎮痛消炎剤としてモーラステープなどの貼り薬でも、副作用として、光線過敏症や皮膚のかぶれなどが起きることがあるので、「単なる貼り薬だから大丈夫」と侮ってはいけません。 なお、発症した当日など腰に炎症が起こった状態になっているため、その当日の入浴は控えた方が無難です。当初、温めるのは厳禁です。よく聞かれるのがマッサージの良否ですが、これも控えたほうが良いと思われます。 仕事でぎっくり腰 ぎっくり腰が会社の仕事で起きた場合ですが、労災が認められないことが多いようです。厚生労働省のリーフレットには、次のように書いてあります。 「災害性の原因による腰痛」の労災認定要件①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 「災害性の原因によらない腰痛」の労災認定要件突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業時間からみて、仕事が原因で発症したと認められるもの(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 労災で認められるには、「ぎっくり腰」が、業務に起因すること、それが業務遂行中であることが必要です。 つまり、仕事中のぎっくり腰でも、業務とは関連性の乏しい理由で発症した場合は、労災に認められる可能性は低くなります。 ぎっくり腰が仕事中に起きて、2週間程度、休まなくてはならない場合でも、上記を明確に証明しなけらば労災にならないとは、厳しいですね。 労災がダメでも傷病手当金をもらうことは可能なので、ぎっくり腰が起きた日に病院を受診しておけば、発症日の証明になります。そのため、ぎっくり腰が起きた日に、病院を受診しておくのは、いいかもしれませんね。 ただ、避けるべきは痛みを我慢して仕事を続けることです。 ぎっくり腰を早く治すための食生活 いろいろな栄養素を挙げて、特定の食べ物を勧められることがありますが、絶対確実なものはありません。それよりも、「絶対確実に悪い!」というものがあります。 アルコールです。アルコールでビタミンBやミネラル、微量元素などが欠乏し、組織修復を妨げるばかりか、炎症を悪化させて、治りが遅くなります。 また、日頃からアルコールを多飲している人は、ぎっくり腰になりやすく、予防の上でも良くありません。「酒は百薬の長」などというのは、真っ赤な嘘です。 また、ぎっくり腰の予防などについて、詳しくはこちらをご覧ください ぎっくり腰の原因と予防|やって良いこと、悪いこと! まとめ・ぎっくり腰は、ただの腰痛ではない!自己判断厳禁 以上、「ぎっくり腰の症状を、ただの腰痛と侮るなかれ」と題して話をしましたが、実のところぎっくり腰の正確な発症メカニズムや原因については詳しく解明されていないことが多い状況です。 ぎっくり腰を発症し、激痛で動けない期間が生じて多くの人が苦しむことになるため、今後の研究が待たれるところです。 くれぐれも、ギックリ腰を自己判断で侮って重症化しないよう、繰り返し発症させないよう、発症したら病院などの医療機関を受診し、指導を受けるようにしましょう。 No.S011 監修:医師 加藤 秀一
2021.11.17 -
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ぎっくり腰とは?ぎっくり腰でやって良いこと、悪いこと! よく聞く「ぎっくり腰」という言葉!ぎっくり腰って実際にはどういったものか?ご存知ですか? ぎっくり腰は、予期せず急に起こります。その痛みの強さから、海外では「魔女の一撃」などと例え、ギックリ腰が発症した時の驚き!とその痛みの酷さを表現しています。。 ここでは、ぎっくり腰の原因と応急処置、日常生活での注意点、急性期(症状が現れ、病気になり始めた時期)後の治療法、そしておすすめの予防法や、治療期間などについて、分かりやすくお伝えしてまいります。 また、最も気になる「ぎっくり腰になったら、どうすれば良い?おすすの行動は?!」といったご心配にもお答えしてまいります。 ぎっくり腰とは?どんな時になるのか ぎっくり腰とは、通称名です。正式な名称は「急性腰痛症」という病名になります。 症状としては、重いものを持ち上げるなどした際に、いきなり“グキッ”という衝撃とともに強烈な痛みに襲われます。その衝撃があまりにも突然であること、その驚きと痛みで歩けなくなってしまうほどです。 ぎっくり腰が起こる状況として、よくある場面は先にも記しましたが「重いものを持ち上げた時」がありますが、実は、それ以外にも、単に「立ち上がろうとした時」、「急に姿勢を変えた時」、床に落ちた物を拾おうと「かがんだ時」、中には「くしゃみをした時」など、突拍子もないことや、何でもないような場面で、全く警戒していないときに起こることがあります。 ぎっくり腰が起こる可能性がある場面 ・重いモノを持ち上げる ・重いモノを運ぶ動作 ・身体を捻じるような動作 ・急に立ち上がろうとしたとき ・急に姿勢を変えたとき ・かがんだとき(しゃがんだとき) ・くしゃみをしたとき ・突然の動きや急な方向転換 ・その他、突拍子もない時に このように、まったく予期しない場面、タイミングで急に起こることがあるため、痛みはともかく、まったく警戒していないために起こる驚きは大きな精神的なダメージを受けます。 ぎっくり腰の原因とは 実は、ぎっくり腰の原因は、はっきりとは判明していないのです。 しかし、影響する事として次の 5 点が考えられます。これらが複合的に絡まりあって、ある時、条件が整ってしまうと予期せず起こると考えられています。 徳ぬ普段から腰が気になる、腰痛気味の方は、今のうちに以下を参照していただき、もし当てはまるものがあるなら日常的に気を付けるなどの予防に努めることが必要です。 日常生活や仕事でこのような場面のある方は要注意 1.少しずつため込んだ腰の筋肉疲労 ∟引越し作業、重い荷物の上げ下ろしなど重労働、ジムで身体に負荷をかける運動にも要注意 2.普段から運動不足 3.座りっぱなしの仕事 4.姿勢に”ゆがみ”がある 5.いきなり大きい負荷が起こりやすい仕事や状況 いかがでしたか? 何個か当てはまりましたか? 実は、これ個数ではなく、1 つでも思い当たる節のある人は、ぎっくり腰になる可能性があるということです。日常的に注意が必要です。そんな方は、生活習慣の改善や、ぎっくり腰の予防策を講じておきましょう。 ただ、上記で当てはまる項目が多い方は、身体に大きな負荷がかかる動作は限りなく「ぎっくり腰」になる可能性が高いため、日常的に注意されることをおすすめします。 重い荷物の取り扱いや、普段の動作などに注意が必要です。 ▼あわせてご覧ください。 ぎっくり腰に前兆はあるのか?あるならどんな症状か ぎっくり腰の応急処置!やって良いこと、ダメなこと ぎっくり腰になると、今までに経験したことがない激痛が、予期せぬ状態で急に襲ってくるため、その驚きでパニックになることがあります。 大切なのは、まず「落ちつくこと」それを待ち、動揺を自覚してください。無理しないように”ゆ〜っくり”と正座して、深く息を吸って、長く吐き出すような深呼吸を何度か続けましょう。すると、腰の周りの筋肉の緊張が取れてくるため、少しずつ楽になっていきます。 また、ぎっくり腰になったばかりの時にあわてて無理に動こうとはしないで下さい。なるべく楽な姿勢を見つけて、しばらくの間、そのまま安静にしておくことが必要です。あわてずに深呼吸を続けていると数分後、痛みは徐々に和らいでくるはずです。ただし、痛みが和らいだからと、急に動くのはいけません。 ゆっくり、ゆっくりとスローモーションを意識して、腰の周りに意識を集中!痛みに警戒しながら、少しずつ自分で動きましょう。その際、机や、椅子などなるべく動きにくいものに、つかまるのも有効、おすすめです。 ぎっくり腰を起こしたら気を付けて! ・急がない! ・急に体制を立て直そうと動かない ・深呼吸、深い呼吸で腰回りの緊張を取る ・痛みが和らいだらスローモーションで動く ・何かにつかまり、あくまで自分で動く ・人に起こしてもらわない この中で最も気を付けたいのは「人に起こしてもらうこと」自分の意思で身体を動かして起きないと思わぬところに力が入って更なる痛みが起こることもあるためご注意ください。 ※もしも、周りが心配して起こそうとしてくれても「自分で少しずつ動いた方が安心なので・・・」と伝えて自分のペースで動きましょう。 ぎっくり腰の急性期に、おすすめの対処法 ぎっくり腰になったばかりの状態を「急性期」といいます。この急性期におススメしたい治療法は、まずは痛む部分を冷やすことです。 急性期には氷枕などをタオルでくるみ、腰に当ててください。そうすると5分〜10分くらいで痛みが軽減されてきます。ただし、あまり長い時間冷やすと逆効果になることがあるので注意してください。痛みが取れて落ち着いてきたら冷やすのはやめましょう。 また、急性期に、湿布や痛み止めも有効です。他にもコルセットを巻いた方が楽なら利用してください。ぎっくり腰で傷んだ腰回りの筋肉をサポートしてくれるからです。1〜2週間くらいであれば、コルセットを利用しても、腰の筋力が低下してしまうことはないので安心です。 ぎっくり腰の急性期にお勧めの対処法 ・急性期(初期)は安静 ・最初、まずは冷やす(痛みが取れるまで) ・湿布や、痛み止めも有効 ・コルセットも有効 ・繰り返しますがまずは、安静が第一 ぎっくり腰を起こした後、ずーっと安静にするのは間違いです(起こした初期の時点は安静に!) 痛みが和らぎはじめた頃から、なるべく早く普段通りの生活に戻る努力をしましょう。 実は、痛みが取れれば、できるだけ安静にしない方が早く治るというデータがあります。もちろん、痛くて動けない場合は、無理に動く必要はありません。痛みがあるうちは無理は禁物です。 動いた方が良いのは確かですが、ぎっくり腰になった時と同じような動作(原因となった動き)や、急な動き、立ち上がり、かがむ等の動作を行う場合は、慎重に行って下さい。 ・痛みが和らいだら普段の生活へ(安静のし過ぎに注意) ・急のつくような動きは厳禁 ・動くことも大切、安静後に痛みがとれたらゆっくり活動することをおすすめします ぎっくり腰になったら病院に行った方がよいのか? 結論からお伝えすると、ぎっくり腰になったからといって必ずしも、すぐに病院に行く必要はありません。とはいえ、可能なら医療機関を受診されることをおすすめします。 特に「痛みがなかなか引かない」とか、「下肢がしびれる」、「発熱がみられる」などの場合は、椎間板ヘルニアや感染性脊椎炎など他の病気の可能性がありますので、その場合は早めに整形外科を受診されることをおすすめします。 悪性の病気を心配して、内科を受診する人がいますが、まずは整形外科を受診しましょう。その上で、他の病気が疑われる場合は整形外科から内科へ紹介される場合もあります。 ぎっくり腰の場合、整形外科でおこなう治療法 ぎっくり腰でなかなか痛みが引かない場合、整形外科では症状によって次のような治療をおこなうことがあります。痛みがある場合は痛みを止めて、筋肉を支える方法を提案されたり、血行を良くして回復を早めるなどの治療法です。 ・神経ブロック注射 ・テーピング ・温熱療法 ・リハビリ 簡単なリハビリを勧められることもあります。治療法の選択は、整形外科医の判断に従いましょう。 ぎっくり腰の時にストレッチや、マッサージをやってもよい? ぎっくり腰を発症してすぐにストレッチをしても、ぎっくり腰を悪化させることはありません。ただし、ストレッチに不安があるなら安心できるまで待ちましょう。 おこなってみて気持ちよければ、無理のない範囲で行ってください。大きな負荷は禁物です。少しずつ! ぎっくり腰でマッサージをやってよいかどうかの判断は症状や状態によるので、自己判断せず、不安があればまずは整形外科を受診して医師にご相談ください。患部を無理に揉むなどの行為はあまりお勧めできないことが多いからです。 ぎっくり腰になった場合、おすすめの寝方 ぎっくり腰になり、夜に寝る場合、その姿勢によっては痛みがひどくなることがあり、気を使います。 仰向けに寝る場合は、膝の下に丸めた毛布などを敷き、膝を曲げた状態で寝てみてください。横向きに寝る場合は痛い方を上にすると良いようです。 少しずつ動きながら楽な姿勢をゆっくりで良いので探しましょう。くれぐれも痛みのある部分に力が入らないよう気を付けながら、痛みがマシな姿勢を見つけてください。 ぎっくり腰は癖になる?ならないための予防法とは ここまでは、「ぎっくり腰になったら」を前提に記してまいりましが、「ぎっくり腰にならないための予防」についても触れておきたいと思います。 ぎっくり腰は、繰り返し起こることがあるので、その意味でも、普段から予防する意識を持つことで再発を防ぐことが可能です。 ぎっくり腰の予防法 よく、ぎっくり腰は「癖になる」と言います。 これは当然そうなります。なぜなら一度ぎっくり腰になると、ぎっくり腰になった患部の筋肉が傷ついて弱っているため、その部分に力が入ると再度、発症してしまうからです。要はなりやすい状態ということです。 治療後にまだ不安がある人は、日中などしばらくの間、腰にコルセットやサポーターなどをしておくと不安なく過ごせますが、そうならないための予防法をいくつか示します。 ぎっくり腰をさいはつさせないために! ・朝起きる時、すぐに起き上がらない。まず布団の中で腰を丸めて体をほぐしてから、ゆっくり起きてください ・顔を洗うときは、腰を曲げるだけではなく、膝も曲げて腰を落とし、腰にかかる負担を和らげましょう ・床の上の物を拾うときは、膝も曲げて腰を落とすようにして拾ってください ・背筋や腹筋の筋力トレーニングしてください ・ストレッチで股関節を柔らかくしてください ・もし、太り気味なら腰にかかる負担を軽くするため、ダイエットして肥満を改善しましょう ・太らないように体重管理が大切です ・背筋を伸ばして姿勢を良くする意識を持ちましょう 二度、三度と繰り返さないためには、中途半端にせず、しっかり治療を行い完治させることがおすすめです。普段から予防する意識を持ち、再発を防ぎましょう。 まとめ・ぎっくり腰になったら慌てずに適切な対応を いかがでしたか?ぎっくり腰になったとき、やって良いこと、悪いことについてお伝えしました。 ぎっくり腰は、誰にでも起こる可能性がある身近な腰痛です。しかも、一度起こると、何度も起こってしまうことがあるので注意が必要です。患部が弱ってしまった結果、何度も繰り返す可能性があるため、完治させることが大変重要です。 今回紹介した情報を忘れず、腰に不安がある人は特に予防する意識が必要です。起こらない方が良いのですが、いざという時や、周りで誰かに起こった時の知識として参考にしていただければ嬉しく思います。 以上、お役に立てれば幸いです。 No.S010 監修:医師 加藤 秀一 本ぺージの内容が小学館「女性セブン」で取り上げられました ▼こちら合わせてご覧ください ・ぎっくり腰をただの腰痛と侮るなかれ!自己診断厳禁 ・膝や腰、股関節の関節痛の診断でMRI検査を行うわけ 再生医療を求めて日本全国からご来院多数 ・リペアセルクリニック大阪院(福島区)へは、 ・新大阪からタクシーで15~20分(交通状況で変動)。JR線、阪神線の福島駅から徒歩圏内(3~8分) ・リペアセルクリニック東京院(港区)へは、 ・浜松町駅からタクシーで5分(交通状況で変動)、徒歩10分。ゆりかもめ線、竹芝駅から徒歩3分
2021.11.17