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必見!膝裏のリンパが詰まっていませんか?その原因と対策を解説 「膝から下がむくんでいて気になる」 「膝の裏がふくらんでいるけど何が原因なの?」 このような症状に不安になっている方はいませんか? 膝裏の腫れや膝から下のむくみは「リンパのつまり」が原因かもしれません。 今回は、膝裏のリンパの詰まりに関して、原因や具体的な対処法を解説します。 膝裏のリンパが詰まる原因 膝裏にはリンパの流れる管(リンパ管)の太くなっている部分があります。 このような部分を「リンパ節」と呼び、膝裏のリンパ節は「膝窩リンパ節(しっかリンパせつ)」と言います。 リンパ管を流れるリンパは体内の老廃物や細菌を運ぶ下水道のような役割を果たしています。そしてリンパ節はリンパ管を通ってきた異物を取り除くための部分です。 リンパそのものの流れが悪くなると、リンパ節でリンパ液がうまく循環しなくなってしまい、リンパ節の詰まりを引き起こします。 リンパの流れが悪くなる原因としては以下のようなものが挙げられます。 ・運動不足 ・肥満 ・偏った食生活 ・長時間同じ姿勢を続ける など 運動不足や肥満、長い時間同じ姿勢を続けることに共通して言えることは、「筋肉の働きが低下する」ことです。 リンパ管は筋肉に挟まれながら、体を巡っています。そのため、筋肉が働くとリンパ管を刺激してリンパの流れを促します。 筋肉の働きが低下すると、リンパ管への刺激が少なくなり、リンパの流れを悪くしてしまうのです。 また、肥満は脂肪が邪魔して筋肉が働きにくくなるのに加えて、リンパ菅を狭くしてしまいリンパの流れを妨げます。 偏った食生活は、肥満に繋がるのはもちろんのこと、老廃物を増やしリンパ節の働きを妨げてしまうためリンパ節が詰まる原因となるのです。 膝裏のリンパが詰まっている時の3つの対策 膝裏のリンパが詰まっている場合は、先ほど説明したリンパの流れが悪くなる原因を考慮した対応が必要です。 そこで、具体的な方法を3つ紹介します。 1,適度な運動 筋肉を動かし血液やリンパの流れを促すことを「筋ポンプ作用」と呼びます。筋ポンプ作用を働かせるためには、筋肉を適度に動かす運動が必要です。 おすすめは膝や足首の屈伸運動です。特につま先を上げ下げする足首の運動は、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉を刺激して、血液やリンパ液の循環を促すのでおすすめです。 「テレビを見ながら」「トイレで座りながら」など、「ながら運動」でこまめに行うようにしましょう。 筋肉痛になるほど、きつい運動をすると疲労が蓄積してしまうため、無理な運動は控えるようにしましょう。 2,マッサージ リンパの流れを良くするためのマッサージを行いましょう。 膝裏やふくらはぎを軽くさする程度から始めて、徐々にほぐすようにしていきましょう。 圧迫して痛みや違和感を感じる場合はリンパの流れが悪いだけではなく、他の病気が潜んでいる可能性があるので中止しましょう。 専門家によるマッサージではなく、自分で行う場合は、あくまで気持ちいい程度の加減で行うことが大切です。 3,生活の工夫 リンパの流れを妨げる肥満を予防・改善するために、バランスの良い食事や運動の継続といった規則正しい生活習慣をすることは重要です。 また、生活の中で膝を圧迫したり、足を下ろし続けたりといった長時間椅子に座ることは膝窩リンパ節への負担の原因になります。 適度に休憩して歩いたり、運動やマッサージをしたりするようにしましょう。 自宅などでリラックスできるときは、足の下に布団を引くなどして足全体を少し高く上げるようにしましょう。 そうすることで、足が心臓より高く位置することになり、リンパの流れを体の方に戻す効果があります。 膝裏が腫れている場合に注意したいポイント 膝裏が腫れている場合に、リンパ節のむくみだけではなく、他の病気が潜んでいる可能性もあります。 以下のポイントを参照にして、気になる場合は自己判断で治療したり、放置したりせずに整形外科や循環器内科などを受診しましょう。 全身にむくみがある 全身にむくみがある場合は、心臓や腎臓など内科系の疾患によるむくみの可能性があります。 膝裏のむくみに気づいた場合には、他の部位にもむくみがないかどうかをチェックしましょう。 膝周辺に痛みや熱がある 膝裏のむくみだけでなく、痛みや熱がある場合は、膝関節の炎症や怪我などの可能性があります。また、リンパ節に細菌が入って感染症を起こしてしまうこともあります。 このような症状の場合は、早めの医療機関で適切な治療を受けることが大切ですので注意しましょう。 だんだん浮腫がひどくなる このような場合も病気が潜んでいる可能性があるので気をつけましょう。 膝裏にリンパ以外のものが詰まっている可能性として、「ベイカー嚢腫(のうしゅ)」という病気の場合があります。 ベイカー嚢腫は膝裏にある袋状の部分が肥大してしまう病気で、50歳以降の女性に多く見られます。 また、膝の変形が進んでいくことで、膝の関節に炎症が生じて関節に水が溜まってしまうことがあります。 いずれにせよ、専門家による適切な治療が必要です。 膝裏のリンパの詰まりは規則正しい生活で改善しよう 膝裏のリンパの詰まりは運動やマッサージの継続、正しい食事による肥満の予防などの対策があります。 何よりも継続が大切です。できることから始めて無理ないペースで続けましょう。 また、膝裏のむくみがリンパ以外の可能性もありますので、気になる場合は早めの受診がおすすめです。特に痛みや熱など他の症状がみられる場合は、放置しないように注意しましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.S095 監修:医師 加藤 秀一
2022.11.25 -
- 脊柱側弯症
- 健康
側弯症とは?その症状と原因、治し方について 小中学校での検診で、多くの方が一度はチェックを受ける側弯症という症状をご存知でしょうか? 昔の検診内容なんて覚えていないかもしれません。しかも、一般的に身近に感じることがあまりない病気だからです。この病気は、幼少期には見つかりにくく、思春期に見つかることが多い病気です。また、成人してから進行しはじめる場合もあります。 今回の記事では、側弯症とは、その症状と原因、治療法についてご説明しましょう。 側弯症とは? 側弯症とは、文字通り、背骨が横側に弯曲する病気です。多くは思春期に診断され、脳性麻痺や筋ジストロフィーなど、筋肉や神経の疾患を持っている場合に起こりますが、それ以外、原因がよくわからないことも少なくありません。 側弯症の程度について、多くの場合は軽いことが一般的ですが、なかには成長するにつれて悪化していくものもあります。側弯症状が進行すると、胸部の空間が狭くなり、肺が適切に機能することが困難になることもあります。 また体の動きに支障が出ることもあるため、装具を着用したり、重い場合は手術が必要となることもあります。 側弯症の症状 側弯症の症状には、以下のようなものがあります。ただ、進行するまで本人は生活に支障を感じることはありません。 真っ直ぐに立っているのに、以下のような症状が見られます ・肩の位置が左右で異なる ・腰の位置が異なる ・片方の肩甲骨が飛び出して見える ・胸郭の片側が前に突き出ている、前屈みになった時、背中の片側が隆起する 側弯症の多くで、脊柱は左右に曲がるだけでなく、回転またはねじれを起こしている場合もあります。そのため、体の片側にある肋骨や筋肉が、反対側にある肋骨よりも大きく突き出てしまうことがあります。 日本では、小中学校で行う検診の項目に含まれていることもあり、検診で気づかれることがあります。 なお進行すると胸郭が肺に圧迫され、呼吸が困難になることがあります。また体の中心が片方へ傾いてしまうため、運動や生活に支障をきたすこともあります。 適切に治療されていないと、慢性的な背中の痛みを抱えやすくなります。 ・運動や生活に支障が出る ・慢性的な背中の痛みを抱えやすくなる 側弯症の原因 側弯症は、原因が特定できない。特発性側弯症が最も多く見られるタイプです。ただし、家族内で発症することがあるため、遺伝的要因が関係している可能性が考えられています。 そのほか、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの特定の神経筋疾患、脊椎の骨の発育に影響を及ぼす先天性異常、乳児期に胸壁の手術を受けたことなどが影響することもあります。 なお特発性側弯症を発症する危険因子には、以下のようなものがあります。 危険因子 ・年齢:一般的に思春期に始まる ・性別:女児に多くみられ、かつ女児の方は側弯が悪化し、治療を必要とするリスクがはるかに高くなる ・家族歴:側弯症は、家族に遺伝する可能性がありますが、全く家族歴がないこともあります 側弯症の診断 最初に詳細な病歴を聴取し、最近の成長やもともと抱えている病気について確認します。 身体診察では、子どもを立たせてから、両腕をゆるく垂らしてお辞儀をするように腰を前に曲げ、胸郭の片側がもう片側よりも突出しているかどうかを確認します。 また、筋力低下、しびれ、反射の異常の有無を確認します。 画像検査 X線検査は、側弯症の診断を確定し、脊柱の弯曲の程度を明らかにすることができます。弯曲が悪化しているかどうかを確認するために、何年にもわたって何度もX線撮影を行うため、繰り返しの放射線被ばくが懸念されます。 磁気共鳴画像(MRI)は、脊髄の異常などの基礎疾患が疑われる場合に検討されます。 側弯症の治療法 脊柱側弯症の治療法は、弯曲の重症度によって異なります。ごく軽度の弯曲を持つ子供は、通常、全く治療を必要としませんが、成長とともに弯曲が悪化していないかどうか、定期的なチェックが必要な場合があります。 脊椎の弯曲が中等度または重度の場合は、装具や手術が必要になることがあります。考慮すべき要因は、子どもの成熟度、弯曲の程度、性別などです。 子どもが十分に成熟し、骨の成長が止まっている場合、弯曲が進行するリスクは低くなります。つまり、骨がまだ成長している子どもには、装具が最も効果的です。なお骨の成熟度は、手のレントゲンで確認することができます。 また弯曲が大きいと、時間とともに悪化する可能性が高くなりますし、女の子は男の子よりも進行のリスクが高くなります。 1.装具 骨がまだ成長しており、中程度の側弯症である場合、装具の使用が検討されます。装具をつけることで側弯症が治ることはありませんが、通常は弯曲が悪化するのを防ぐことができます。 最も一般的な装具は、プラスチック製で、胴体部分にフィットするように作られています。この装具は、腕の下と胸郭、腰の周りにフィットするため、服の上からはほとんど見えません。 装具は1日に13時間から16時間装着します。装具の効果は、1日に装着する時間が長いほど高くなります。なお装具を装着していても、多くの活動に参加でき、ほとんど制限を受けません。 必要であれば、装具を外してスポーツやその他の運動に参加することもできます。 装具は、身長の変化が見られなくなったら終了します。平均して、女の子は14歳、男の子は16歳で成長が完了しますが、これには個人差があります。 2.外科手術 重度の側弯症は、通常時間とともに進行するため、弯曲を矯正し、悪化を防ぐために、手術を検討する場合があります。 なお手術には、椎骨と椎骨の間に骨片や骨に似た物質を挟み込み、脊椎の2つ以上の椎骨をつなぎ合わせ、それぞれが独立して動けないようにする脊椎固定術が一般的です。 若くして側弯症が急速に進行している場合、成長に合わせて長さを調節できる拡張可能なロッドを背骨に沿って1本か2本取り付けることもあります。ロッドは数か月ごとに、手術またはクリニックで長さを調節します。 脊椎手術の合併症として、出血、感染症、神経損傷などが考えられます。 まとめ・側弯症とは?その症状と原因、治し方について 側弯症について、その原因や治療法についてご説明しました。 早い段階で発見し、適切に継続して診療を受けていれば、長期にわたる問題を起こすことを避けることができる可能性が高くなります。気になる場合は、かかりつけの医療機関、整形外科医にご相談ください。 No.081 監修:医師 坂本貞範
2022.08.08 -
- 健康
要介護、寝たきりにならず自立した生活を送るため、大切にしたいこと! 寝たきり状態(要介護状態)になることは、本人だけでなく介護する家族にとっても身体的・精神的負担が大きな問題です。そのため、大半の人が「年をとっても元気に!自立した生活を送りたい」とお考えではないでしょうか。 では、要介護、寝たきりにならずに毎日を自由に楽しく過ごすためにはどうすれば良いのでしょうか? 高齢者の寝たきりの原因には、脳血管疾患や骨折、認知機能の低下などが挙げられます。これらの発生を防ぐためには、普段からバランスの良い食生活や身体を動かす習慣をつけておくことが大切です。 「要介護なんて自分には関係ない」「自分には、先の話」と思っている人も、今のうちから寝たきりを予防するための生活習慣について知っておくことは大切なことです。 介護が必要となったり、寝たきりとになる原因 寝たきりになってしまうことには、どんな原因があるのでしょうか?高齢者が寝たきりになり要介護となる原因には、病気や骨折などの身体的な疾患や認知機能の低下などの精神的な疾患が挙げられます。 それぞれの具体的な症状には、次のようものがあります。 ・脳血管疾患 脳血管疾患(脳卒中)は長期間の入院や治療を余儀なくされることが多いだけでなく、身体に麻痺が残って思うように動けなくなる恐れがある病気です。そのため、ベッドで過ごす時間がどうしても長くなってしまいます。発症すると会話ができなくなったり、口から食事が摂れなくなる可能性もあります。 ・骨折 骨折、特に大腿骨の骨折も寝たきりの要因として代表的なものであり、高齢者の骨折のきっかけとなりやすいのが骨粗鬆症です。骨折が治るまで時間がかかるため、長い期間自由に身体を動かすことができなくなり、筋力衰えてしまうというといった問題があります。 ・認知機能の低下 脳血管疾患やアルツハイマー病によって認知機能の低下(認知症)が引き起こされる場合があります。認知機能が低下すると物忘れが増える、会話が成り立たなくなるなどの症状が現れ最終的には自分で生活できない寝たきり状態になることもあります。 寝たきりにならないため!要介護にならないための予防法 日常生活の中で寝たきりを予防するためのポイントにはどんなものがあるのでしょうか。先に述べた寝たきりの原因と照らし合わせながらチェックしてみましょう。 ・血糖値、血圧、コレステロール値の上がり過ぎを防ぐ 脳血管障害は、糖尿病や高血圧、動脈硬化によって引き起こされます。そのため、日頃から血糖値や血圧、コレステロール値を正常値に保つことが大切です。暴飲暴食は避け、タバコを吸っている人は禁煙を検討しましょう。 ・身体を動かすことを意識する 「骨折が怖いから、なるべく歩かないようにしている」という人がいますが、それは逆効果です。骨を支える筋肉が衰えると、身体を動かすことが困難になり、転んで骨折を起こしやすくなります。 筋肉の衰えを防ぐためには、体調に無理のない範囲でストレッチなどの体操やウォーキングで身体を動かすことを意識することが大切です。 ・バランスの良い食事ををしっかり摂る 高齢者は食事の内容が単調になり、食べる量も少なくなることから低栄養になりやすいといわれています。身体に必要な栄養素が不足していることで、筋肉や骨の力が弱くなって病気や骨折のリスクが高くなるのです。 腹八分目にする、よく嚙んで食べる、誰かと一緒に楽しく食べる、こまめに水分を摂ることも重ねて意識してみましょう。 ・メリハリのある生活で認知機能の低下を防ぐ 認知機能の低下は早期に気付いて適切な対処をすれば症状の悪化を抑えることが十分可能です。変化がなく、感情の動きが少ない生活は認知機能の低下を起こしやすいといわれています。 やりたいと思っていたことにチャレンジしたり、日記を付けて生活を振り返るなどしてみましょう。また、悩みを抱えこまずストレスを発散することも大切です。 廃用症候群に要注意! 人の身体は使っていない分だけその機能が衰えていきます。普段から身体を動かさずに安静にしていると、筋力が低下し関節も固くなってしまうのです。身体を動かさない状態が行き過ぎた結果、身体が部分的に動かなくなる症状を「廃用症候群」といいます。 寝たきりは、この廃用症候群が直接的な原因ともいえるのです。 特に高齢者は、家族からも「無理をしてはいけない」と安静にしているように言われたり手厚い介護サービスを受けることもありますが、それが行き過ぎるとかえって廃用症候群のリスクが高くなるため注意しましょう。 和式のトイレでしゃがめない、片足で靴下が履けないという人は筋力やバランス機能が低下しているため、廃用症候群のリスクが高くなっているかもしれません。 まとめ・要介護、寝たきりにならず自立した生活を送るため、大切にしたいこと! どんなに長生きしても、寝たきりになってしまっては生きている時間を自由に楽しく過ごすことはできません。自分の足で歩く、自分のことは自分でできる状態を維持することが寝たきりを防止し健康寿命を延ばすことに繋がります。 寝たきり状態は脳血管疾患や骨折などをきっかけとして身体を動かさない生活を続けた結果起こります。身体が良く動く若いうちから食生活や運動習慣について意識することで、加齢による筋肉の衰えを最小限に抑えて寝たきり防止に繋げていきましょう。 以上、要介護状態、寝たきりにならないため、大切にしたいことに関して記しました。参考にしていただければ幸いです。 No.S067 監修:医師 加藤 秀一
2022.04.01 -
- 健康
寝たきり防止!骨を強くする食事と、弱くする食事がある 骨を強くて丈夫なものにするためには、カルシウムの力が必要不可欠です。しかし、日本人の多くは骨を丈夫にするために重要なカルシウムが足りていないといわれています。 カルシウム不足の食生活は、骨が弱くなる大きな原因です。骨が弱くなると、骨折や寝たきり、ロコモティブシンドローム※によって日常生活に大きな支障が生まれてしまいます。 本記事では、食事で上手にカルシウムを摂る方法や骨を弱くする食事習慣についてご紹介しています。普段の食生活を見直して、丈夫な骨をつくっていきましょう。 ロコモティブシンドローム※とは 人間の基本動作である、立ったり・歩いたりといった移動するための機能が低下している状態をいいます 骨を強くするメリット 骨を強くするということは、骨密度が高い丈夫な骨をつくるということを意味します。骨を強くすると、加齢に伴う骨粗鬆症や骨折などのリスクを少なくし、要介護や寝たきり状態の予防に繋がるのです。 また、骨を強くする方法は、関節軟骨のすり減りを抑える方法とも深い関わりがあるため、関節痛や腰痛の予防にも高い効果を発揮します。 骨折や関節痛に悩まされる事の無い生活を送るためにも、骨を強くするための生活習慣について知っておきましょう。 骨を弱くする生活習慣チェック項目 まずは、骨を弱くするリスクのある生活習慣について紹介していきます。次に挙げる項目の中で、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。 思い当たりませんか? ・1日の中で、牛乳やヨーグルトを全く飲食しない ・1日3食(朝食、昼食、夕食)をきちんと食べることが少ない ・スナック菓子が好きでよく食べる ・自分は肥満だと思う ・運動する習慣がない ・O脚である 上記で当てはまる項目が多いほど、知らず知らずのうちに骨が弱くなっている可能性があるため、生活スタイルを改善するなどの注意が必要です。 また、加齢によって骨は弱くなりやすく、特に閉経後の女性は骨粗鬆症のリスクが高いといわれているため注意が必要です。 極端なダイエットで骨は危険な状態に ただ、骨を弱くする生活習慣に気を付けなければならないのは中高年だけではありません。若い人でも極端なダイエットや激しい食事制限をしていると、身体の中が栄養不足になり高齢者と同じくらいの骨密度になってしまう可能性があるのです。 骨密度の低下は骨粗鬆症のリスク増大に繋がるため、無理な食事制限は行わないようにしましょう。 カルシウムは骨を丈夫にする栄養素 骨はカルシウム、コラーゲンなどのたんぱく質、リンなどからできており、特に骨を硬く丈夫にする栄養素がカルシウムです。カルシウムは人体の中で最も多いミネラルであり、そのうち99%は骨や歯に含まれています。 骨は血液中のカルシウムを取り込んで日々再生を繰り返しています。このとき、カルシウムやカルシウムを補助する栄養素が不足すると、骨は自分を溶かしてでもカルシウムを補給しようとするので更なるカルシウム不足を引き起こしてしまうのです。 カルシウムが多く含まれる主な食品 カルシウムを多く含んでいる食品には次のようなものが挙げられます。 丈夫な骨のため、積極的に採りたい食品 ・牛乳、乳製品(ヨーグルト) ・大豆、大豆加工品(豆腐、おから、納豆) ・魚介類(干しエビ、小魚) ・野菜(モロヘイヤ、小松菜) ・海藻類(昆布、ひじき) ただし、注意したいのは、カルシウムを多く含んでいるからといって乳製品ばかり飲食していると他のの栄養素が不足してしまいます。いろいろな種類の食品を取り入れてバランスの良い食事をすることが理想的です。 カルシウムの吸収をサポートする栄養素 食事で摂るカルシウムは腸で吸収されますが、カルシウムはそのままでは吸収されにくい性質があります。そのため、カルシウムの吸収をサポートする栄養素組み合わせることが重要です。 カルシウムの吸収をサポートする栄養素と、それらが多く含まれる食品には次のようなものが挙げられます。カルシウムを多く含む食品と合わせて摂るようにすると食事全体のバランスも良くなるため、おすすめです。 ・たんぱく質(コラーゲン):豆腐、肉、魚 ・ビタミンC:野菜、果物 ・ビタミンD:きのこ類 ・ビタミンK:納豆 ・マグネシウム:大豆、アーモンド 骨の強化を妨げる栄養素 せっかくカルシウムを沢山摂っても、カルシウムの吸収を妨げる食事や骨を弱くする生活習慣をしていると骨を強くすることが難しくなってしまいます。 ・リン リンは身体に必要な栄養素ですが、摂り過ぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまいます。加工食品に多く含まれることが多いため外食やコンビニ弁当をよく食べる人は気を付けましょう。 ・塩分 塩分はカルシウムの吸収を妨げるため摂り過ぎには注意が必要です。カルシウムを摂ろうとしてチーズや小魚を食べ過ぎてしまうと塩分も摂り過ぎてしまうため注意が必要です。 ・アルコール お酒を飲み過ぎるとカルシウムの吸収が悪くなってしまいます。適量までに抑えるか、休肝日を作るように心がけましょう。 ・タバコ タバコに含まれるニコチンもカルシウムの吸収を妨げる他、骨粗鬆症のリスク増大にも繋がります。喫煙習慣のある人は、禁煙するか本数を減らすだけでも骨を強くする効果が期待できます。 他にも、身体を動かす習慣がない人も骨が弱くなりやすいため注意が必要です。 まとめ・寝たきり防止!骨を強くする食事と、弱くする食事がある 骨の強さを表す骨密度は加齢に伴い減少していきます。特に女性は閉経を期に骨密度が大きく低下し骨粗鬆症のリスクが増大するといわれています。また、中高年に限らず若い人も極端なダイエットや食事制限は骨密度の低下を引き起こすためおすすめできません。 骨を健康な状態に保つには食事でカルシウムをしっかり摂取することと適度な運動の2つが重要です。カルシウムの吸収を妨げる食事や生活習慣はなるべく避けるようにしましょう。 以上、骨を強くする食事と、弱くする食事があります。普段から気を付けたいものです。 No.S066 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.29 -
- 健康
筋肉の衰えが心配な高齢者が介護のリスクを避けるための生活習慣とは 加齢は筋肉が衰える大きな原因の一つです。加齢により筋肉が衰えることをサルコペニア、運動機能の低下で介護が必要な状態をフレイル、骨折や関節痛に繋がり日常生活に支障が出る状態をロコモ(ロコモティブシンドローム)といいます。 これらの症状は運動習慣をつけることで筋肉量を増加させ、筋力を上げることで予防することができます。下半身のトレーニングを中心に、身体を動かす時間を作ることが大切です。 また、高齢者は食事の内容が単調になり、必要な栄養素が不足しやすいといわれています。できるだけ多くの種類の食品を摂ることと、よく噛んで食べることを意識してみましょう。 筋肉の低下を「サルコベニア」と呼び、「ロコモ」や「フレイル」の原因に 加齢や栄養状態の低下によって筋肉量が減少し、筋力が低下している状態を「サルコペニア」と呼びます。サルコペニアは、フレイルやロコモ(ロコモティブシンドローム)の原因となり、日常生活に支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。 フレイルとは、加齢に伴う運動機能や認知機能の低下によって健康障害や介護が必要な状態になることをいいます。筋肉の衰えだけでなく、食事量の低下による低栄養状態もフレイルに繋がる要素です。 ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、筋肉やバランス機能の衰えによって転倒・骨折しやすくなり自立した生活が送れなくなってしまう危険のある状態です。歩くスピードが遅くなった人や、片脚立ちで靴下を履けない人は知らず知らずのうちにロコモになっている可能性があり、介護リスクが高まる恐れがあります。 筋肉の衰えが嚥下(えんげ)機能の低下に繋がることも 食べ物や飲み物を飲み込むことを嚥下と呼びますが、嚥下の機能にも筋肉が関係します。 嚥下機能が低下すると誤嚥(ごえん)による肺炎(誤嚥性肺炎)のリスクが高くなるため注意が必要です。また、嚥下に使う筋肉が衰えることで食事量が低下、栄養状態の悪化を招きます。 ※誤嚥とは、飲食物や唾液を飲み込んだときに通るべき食堂を通らずに、気道(気管)に入ってしまう状態をいいます。 嚥下機能の低下によって食べられるものが限られると、栄養状態が悪化し筋肉が衰え、更なる嚥下機能の低下を招くという悪循環が生まれるため注意が必要です。 筋肉の衰えを防ぐための食事とは 高齢者が筋肉の衰えを防ぐために特に重要な栄養素は「たんぱく質」です。 たんぱく質は、人間の3大エネルギー源のひとつで、筋肉や内臓など身体を構成する組織の主成分となります。たんぱく質が豊富に含まれている食品には、魚・肉・卵・大豆製品・乳製品などがあります。 ただ、高齢者は食事の内容が単調になり、必要な栄養素が不足しやすいといわれています。おにぎりや麺類など単品メニューだけ食べるのではなく、なるべく多くの種類の食品を取り入れて少量ずつでもバランスよく食べることが大切です。 また、高齢になると料理を作ること自体が難しい場合もあるでしょう。そんな時は、冷蔵庫の中に乳製品や豆腐など簡単に食べたり飲んだりできるものを入れておくと手軽にたんぱく質を摂ることができて安心です。 下半身のトレーニングがおすすめ サルコペニアやフレイル、ロコモを予防するためには、身体を動かすことがとても重要になります。特に、高齢者は普段から足腰や下半身を動かす機会を作ることが自立した生活を送るために大切な要素になっています。 身体を動かす運動によって筋肉量の増加やの筋力をアップさせることができ、内臓の働きも活性化されて食欲にもつながります。また、外に出てウォーキングなどの運動をすることは気分転換にもなって精神状態を安定させることにも効果的です。 外に出て運動するのが難しいという人は、椅子を使う、あまり無理のない形でのスクワットに挑戦するなどでも自宅でもトレーニングができます。 具体的には、椅子に座った状態からゆっくり立ち上がり、またゆっくり座るという動きが椅子を使ったスクワットです。往復10回ほど繰り返すだけで十分なトレーニングになるといわれています。バランス機能に不安がある人は、転倒しないようにテーブルに手をついてやるようにしましょう。 また、壁やテーブルに手をついた状態で片足立ちをするトレーニングもおすすめです。筋力トレーニングをしながらバランス機能も鍛えられます。膝や腰に痛みがあって立ったり座ったりする動きがつらい人は、椅子に座って足を真っ直ぐ伸ばすだけでも大丈夫です。 運動するときの注意点 身体を動かすことが大事とはいっても、誤ったやり方で運動すると逆に筋肉や関節を痛めたり思わぬ事故に繋がったりする危険があります。また、激しい運動を一度に行おうとせず、運動の強度や時間は少しずつ増やすことが大切です。 暑いときや寒いとき、具合の悪いときは無理せずに体調管理を優先させましょう。特に関節や足腰に痛みのある方、高血圧などの持病がある方は、無理して行うのではなく、運動を始める前にかかりつけの医師に相談してからはじめてください。 まとめ・筋肉の衰えが心配な高齢者が介護のリスクを避けるための生活習慣とは 高齢者は、筋肉や運動機能が衰えることで、介護の必要な状態になるリスクが高くなりがちです。さらに、筋肉が衰えることで活動量が減り、ますます身体が動かせなくなるという悪循環に陥る可能性が高くなります。 高齢者が介護のリスクを避けて元気な身体でいきいきと生活するには、食事と運動がとても重要なポイントです。少量でもバランスの良い食事で必要な栄養を摂り、日常生活の中で身体を動かす、運動する習慣を作ることを意識して筋肉を健康な状態にキープしていきましょう。 以上、筋肉の衰えが心配な高齢者が気を付けるべき生活習慣について記させて頂きました。参考にしていただければ幸いです。 No.S063 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.25 -
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軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛に効果的があるのか? 関節の痛みが続くと階段の上り下りや椅子に腰掛けるといった日常的な動きも大変になるため、早目に対処したいものです。関節痛に効果のある成分といえば、コラーゲンや、ヒアルロン酸などがよく知られていました。 しかし、近年これらをさらに上回る働きをもつ成分として近年注目されているのがプロテオグリカンです。プロテオグリカンは、関節と関節の間にある軟骨(関節軟骨)を主成分の一つであり、保水性に優れているため軟骨の保護に効果的と言われています。 本記事では、プロテオグリカンの効果効能や関節痛との関わりについて解説してまいります。 プロテオグリカンとは 関節軟骨は、骨とは違い、約70%が水分、他30%がプロテオグリカンやコラーゲン、ヒアルロン酸で構成されています。プロテオグリカンとは関節と関節の間にある軟骨や皮膚に存在している保水性に優れた成分です。 プロテオグリカンは例えるなら水をよく含んだスポンジです。軟骨に摩擦や衝撃が加わると、水分が浸みだして、軟骨に潤いを与えます。これにより、関節が摩擦や衝撃から守られるのです。 近年では、プロテオグリカンの様々な効果・効能が数多くの研究により報告されており、健康食品や化粧品の原材料として利用する動きが高まっています。 プロテオグリカンはどうやって作られる? プロテオグリカンは、プロテイン(タンパク質)とグリカン(多糖)が結合した「糖タンパク質」と言われるものです。糖は水とよく馴染むため、高い保湿性や弾力性をもたらします。 プロテオグリカンは、19世紀末に発見されました。その当初から関心の高い成分ではありましたが、これまではなかなか研究が進んでいませんでした。 それというのもプロテオグリカンは、分子量が大きく複雑であるため、素材として取り出すことが困難だったことが大きな理由です。しかし、弘前大学医学部の研究により氷頭(ひず)と呼ばれるサケの鼻軟骨からプロテオグリカンを安全で安価に抽出する技術が確立されたことでプロテオグリカンの活用が一気に進むことになりました。 現在では、プロテオグリカンによる様々な効果効能が報告されており、健康食品や化粧品への応用も進められています。 プロテオグリカンの効果・効能 プロテオグリカンには、次のような効果効能が期待できるといわれています。 ・細胞の増殖や成長を促進 ・抗炎症作用 ・生活習慣病の予防 細胞の増殖や成長を促進 プロテオグリカンは、細胞の増殖や成長を促進する因子(EGF)とよく似た作用があることが報告されています。摩擦や衝撃ですり減った軟骨細胞を修復する機能は関節痛を和らげるために非常に重要です。 また、プロテオグリカンはコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す作用があるため、美肌効果も期待できます。 抗炎症作用 プロテオグリカンには、炎症を抑えるサイトカインの働きを促す効果があるため、抗炎症作用があるといわれています。軟骨細胞の修復に加えて、痛みそのものの軽減も期待できます。 生活習慣病の予防 プロテオグリカンは、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果を発揮するといわれています。プロテオグリカンを摂取することで、体重の減少や血糖値の上昇抑制に繋がったとの報告があるようです。 プロテオグリカンは関節痛に効くのか 関節は私たちの生活にとって大切な役割を果たしており、関節痛が慢性化すると日常生活が制限されてしまいます。 プロテオグリカンは擦り減った軟骨の修復を助け、関節痛の症状の進行を抑制すると考えられています。軟骨のもとになる細胞(軟骨前駆細胞)を増やすことで、軟骨細胞の増加の促進に繋がるのです。 また、プロテオグリカンには抗炎症作用もあるため痛みを和らげることにも期待ができます。 食事でプロテオグリカンを取り込むのは難しい プロテオグリカンは動物の軟骨の主成分であるため、食事で摂取することができます。特に、魚や動物の軟骨に多く含まれています。ただ、プロテオグリカンを構成しているタンパク質は熱に弱いため、加熱すると分解されてしまう点が難点です。 また、タンパク質は胃や腸で消化吸収される際にアミノ酸にまで分解されるため、食事で摂取したプロテオグリカンを、そのまま成分として身体に取り込むことは非常に難しいと言わざるを得ません。 ただし、タンパク質は必須栄養素として身体には大変重要で良い働きをもたらします。軟骨のため!美容のため!と摂取してもダイレクトに届けるのは難しいということです。 食事(消化器官から)でプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい サプリメントでもプロテオグリカンを取り込むのは難しい プロテオグリカンは、サプリメントとして発売されており、摂取することで効果的に取り込めると表示しているモノもありますが、一般的に考えて食事同様、サプリは胃や腸で分解されてしまうため、プロテオグリカンを血中に取りこむことは難しいと思われます。 また、取り込めたとしても軟骨は、血流が少ないためにその成分が届くとは考えにくいと思われす。つまり、プロテオグリカンのサプリメントを摂取しても軟骨が再生するというほどの効果を上げることは難しいと考えます。 プロテオグリカンは、膝などの関節以外、美容面での効果を大きく表示していることもありますが上記と同じ理由にて積極的に効果があるとはいえません。ただ、プラシボー効果による効いたような感覚になることがあるかもしれません。ただ、それも効果です。 食事と同様、サプリメントでプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい 取り込めても、血管が少ない関節には届くとは考えにくい プラシボー(プラセボ)効果とサプリメント プラシボー効果(プラセボとも言います)という言葉をご存知でしょうか。プラシボー効果は有効ではない「くすり等」を、成分が含まれている前提で使用者に摂取させると、実際に効いた人が出る現象です。 いわゆる偽薬なのに効いてしまうという訳です。これは、どういうことでしょう? 人は、「〇〇に良い成分が入っているから!」と言われると(知ると)、その効果に対する暗示を受けてか、実際にその効果を実感することがあります。これは自らの治癒力が発揮されて解決に導いている…のではないかと言われる不思議な現象です。 だからといって偽の薬や、サプリがすべて代替えできるものかというと、もちろんそうではありません。プラシボー効果は絶対ではないからです。当然ですが万人に効くとは言えません。 逆に「薬」と言われるものは、当然ですが効果が明確に証明され、安心して使用できるものです。 ただ、サプリメントを摂取することで得られる精神的な満足感があるのは否めず、プロテオグリカンも摂取するとするなら、せっかくなので疑いながらではなく、「効果がある」、「効いてる」と思って摂取したほうが良いかもしれません。 ・実効は無いはずのものが、効果を発揮することがあるいプラシボー効果 ・自身の治癒力が精神的な面から発揮されている可能性がある 実は!関節のプロテオグリカンは自分で増やせる ここまでプロテオグリカンを取り込むために食物やサプリメントのお話をしましたが、実は関節のプロテオグリカンは、身体の中にある成分で、食事やサプリに頼ることなく自分自身で増やすことができると言われています。 では、どうすれば「プロテオグリカン」を自ら増やすことができるのでしょうか? その答えは、実は単純。体を動かす機会を増やすことです。運動などで関節の曲げ伸ばしを行うと、血流量が増加して軟骨細胞に酸素や栄養が行き渡り、プロテオグリカンの増加が促進されるのです。 その逆に、動かしたり、運動をしないでいると身体が、「プロテオグリカンは必要がない」と判断するため減少てしまいます。つまり、自ら積極的に体を動かすことで身体にプロテオグリカンの必要性を感じさせることが大切なのです。 その意味でリハビリなどの運動療法は、非常に効果的であり、理に適っているといえるのです。 また、プロテオグリカンを増加させるのに激しい運動は必要ありません。ウォーキングやストレッチなどでも十分に効果的です。関節の痛みを恐れて運動不足になってしまうと、酸素や栄養が軟骨細胞に供給されなくなります。 結果、プロテオグリカンが減少し、かえって関節痛の悪化に繋がる恐れがあります。 ただし、増えるなら!と無理することは禁物、膝などの関節に痛みや故障がある場合は、病院等、医療機関の専門家の指導の下、身体に無理のない範囲で行うようにしてください。 プロテオグリカンは、軟骨成分 > 身体にある成分なので自分で増やすことができる 身体を適度に動かすこと > プロテオグリカンが必要と身体が反応 > 増加へ 身体を動かさない > プロテオグリカンが不要と身体が判断 > 増えない 医療機関等、専門家の指導の下、適度な運動やリハビリを行ってプロテオグリカンを増やそう! まとめ・軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛に効果があるのか? 関節痛の緩和に効果のあるプロテオグリカンは、食事やサプリメントで摂取することは現実的ではないのが本当ですが、精神的な満足感や、プラシボー効果などで実際に効いてしまう人がいるのも事実です。 ただ、適度な運動を行うことでプロテオグリカンを増やすことができると言われているため、関節の健康のためには、身体を安静にしすぎることなく、医療機関や専門家の指導に従って適度な運動などを行い、関節を動かすことでプロテオグリカンの減少を防ぐことができるはずです。 まずは普段の生活から健康的でバランス取れた食事をしっかり食べて、適度な運動を心がければプロテオグリカンが不足する事態を防ぐことが可能なはずです。 もし今、すでに関節痛で悩まされていて症状を改善したいなら、サプリメントなどに頼るのではなく、病院や医療機関を受診し、指導を受けられてはいかがでしょうか。 また、再生医療という最先端の治療法もあり、興味がある場合は以下のリンクからチェックされることをおススメします。 以上、軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛や美容に効果的なのか?と題して記させて頂きました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 No.S054 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の痛みを止める! 膝の新たな治療法、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます
2022.03.14 -
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要介護を防ぐ!ロコモ(運動器症候群)とロコチェック、ロコトレとは? ロコモ(ロコモティブシンドローム)をご存知ですか? 身体を動かす機能の衰えにより、寝たきりや、要介護になる危険の高い状態を「ロコモ(運動器症候群)」といい、移動する能力・機能が不足したり、衰えたりしている状態を指すものです。この状態が進行すれば将来的に介護が必要になるリスクがあります。 また、ロコモは、略称で正式名称は「ロコモティブシンドローム」と呼ばれるものです。以下、「ロコモ」という表記でご説明してまいります。ロコモは、身体を動かす機能の重要性を分かりやすい形で広く啓蒙することを目的とするものです。 自分の運動機能がロコモに当てはまり、寝たきりや、要介護になる危険性があるか確認できるチェック項目をロコチェックといい、ロコモ対策のトレーニングを「ロコトレ」と呼んで推奨されています。 ロコモは、高齢者に限らず40~50代から徐々に始まるといわれています。どこかに掴まらないと身体がグラグラしたり、歩いたりするとスグに疲れてしまって、座りたくなるという人は、ぜひ本記事を参考にして自分の運動習慣を見直してみましょう。 現代社会は、移動手段が便利になったことで日常生活に支障がないことが多いため、既にロコモになっていることに気が付いていません。生活習慣病や高血圧といった症状がある場合は若年層であってもロコモに気を付けなければなりません。 要介護を防ぐための具体的なロコモ対策 あらためてましてロコモとは、「主に加齢によって身体を動かす機能が低下し、寝たきりや要介護になる危険の高い状態」を指し、ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)、運動器症候群と呼んでいます。 ロコモの原因には、次のようなものが挙げられます ・筋力が低下している ・骨や関節などの機能が低下している ・持久力が低下している ・身体のバランスを取るための力が低下している ・膝や腰の病気が隠れている ロコモは、高齢者になってから、いきなり始まるのではなく、40~50代からでも徐々に兆候が現れます。年齢が若くても長時間歩けない、歩くスピードが遅くなったという人は特に注意が必要です。 ロコモの危険性チェック、ロコチェックとは! まずはロコモになっていないか以下のチェック項目(ロコチェック)を使って、自分の身体の状態を確認してみましょう。この「ロコチェック」は無理にその場でやってみる必要はなく、普段の生活を思い返してみるだけで大丈夫です。 ロコチェック ①片脚立ちで靴下がはけない ② 家の中で躓いたり、滑ったりする ③ 階段の上り下りに、手すりが必要である ④ 横断歩道を青信号になってから赤に変わるまでの間に渡りきれないことがある ⑤ 15分間続けて歩けない ⑥ 2㎏程度(1Ⅼの牛乳パック2本)の買い物をして、持ち帰るのが困難である ⑦ 家の中で、やや重い家事(掃除機をかける、布団の上げ下ろし)が困難である 何個チェックが付きましたか?実は、7項目のうち、1つでも当てはまるものがあれば「ロコモ」の疑いがあります。 ちなみに、横断歩道の青信号の点灯時間は、1秒間に1m歩く速さをもとに赤に変わるよう設定されているため、青信号で渡りきれない場合は、歩く時間がそれ以下だと考えられます。 要介護!とならにため、防ぐためにも普段から気を付けましょう! 更に、次の片足立ち上がりテストに挑戦してみてください! 次のロコチェックの項目でまったく問題なかったら、「片足立ち上がりテスト」にも挑戦してみましょう。 片足立ち上がりテストは、次の手順で行います ・椅子や台に、両手を胸の前で交差させて上体をやや前に傾けて座る ・片方の膝を伸ばす → 手や上体の反動の力を使わずに、片足の力だけで立ち上がれますか?! どうですか? ・手を使わないと立ち上げれない ・ぐらつく ・転んでしまう 上記のようなら、ロコモ状態が始まりかけている「ロコモ予備軍(将来、要介護予備軍の危険性)」の可能性があります。 ロコモ、要介護を予防する「ロコトレ」に挑戦! ロコモ(要介護)の予防や、改善には、筋力やバランス能力を上げるトレーニングが必要です。そのため、ロコモティブシンドロームを効率的に改善するためのトレーニングとして、「ロコトレ」が推奨されているのです。 ロコモティブシンドロームを予防する「ロコトレ」 ▼片脚立ち バランス能力をつける運動です。足の筋力を鍛えられ、寝たきりの原因となる転倒の予防にも効果があります。左右1分間ずつ、1日3回行うと効果的です。支えが必要であれば、机などに手や指をついて行います。 ▼スクワット 足腰の筋力をつける運動です。太ももやお尻の筋力を上げ、体幹を鍛えることにも繋がります。深呼吸をするペースで5~6回繰り返し、1日3回行うと効果的です。椅子に腰掛けて机に手をついて立つ・座る動作を繰り返すだけでも大丈夫です。 ロコトレは「ながらトレーニング」も効果的 ロコモが気になり予防する意識があっていても、運動習慣を作るのは思ったより難しいものです。 忙しくてなかなか運動が実践できない人や、運動が苦手な人は、日常生活の動きに取り入れやすいロコトレである「ながらトレーニング」をやってみるだけでも、要介護に対する予防として効果があります。 「ながらトレーニング」には、例えば次のような方法があります。 ロコモを予防する簡単な「ながらロコトレ!」とは ▼料理をしながら片脚立ち キッチンのシンクのふちなどを支えにすれば、食材を鍋で煮込んでいる間などに片脚立ちをすることができます。片脚立ちでふらついたときのために、周りに障害物が無いか確認し、刃物や火の近くで行わないように気を付けましょう。 ▼テレビを観ながらスクワット テレビを同じ姿勢で見続けていると、身体がこわばってしまい肩こりや腰痛の原因にもなります。CMが流れている間にスクワットなどのロコトレを行うと、時間的にも丁度良く身体をほぐすことができるでしょう。 また、お風呂に入る前にロコトレを行うなど、生活の場面にトレーニングのタイミングを作ることで予防が可能です。 継続した要介護予防には、「ロコトレ仲間」を作ろう 運動習慣がない人にとって「ロコモ」の予防になるとはいえ、一人きりでロコトレをコツコツと続けていくのは、なかなか大変なものです。 ロコトレは、継続することで予防力を発揮します。そのためには、家族に励ましてもらったり、友人や「ロコトレ仲間」と一緒に、声がけしたり、励ましたりすることで楽しく続けていくことができるものです。 自治体によっては、地域ぐるみでロコトレを行っているところもあるのでこうしたイベントに積極的に参加するのも有効です。 まとめ・要介護を防ぐ!ロコモ(運動器症候群)と、ロコチェック、ロコトレとは? ロコモティブシンドロームは、ロコモと訳すことが多く、寝たきりや、要介護になる危険の高い状態を表しています。 普段身体に痛みや自覚症状がない人でも、ロコチェックに当てはまるものがある場合は運動機能が落ちている可能性があります。その場合は、ロコトレなどを取り入れて運動習慣を持つことでロコモを予防することが可能になります。ロコトレは、できるだけ継続することが大切です。 ロコチェックで気付いたことを参考に、周りの人とも協力して身体を動かす習慣をつくっていきましょう。そうすることで、いつまでも自分の足で歩くことができ活き活き!とした生活を送ることができるようになります。 また、関節や腰の痛みなどが酷い場合は、無理な運動をすることなく、ロコチェックやロコトレの前に病院等、医療機関で医師の診察を受けるようにしましょう。 以上、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、運動器症候群についてご説明させて頂きました。要介護にならなうためにも参考にしていただければ幸いです。 No.S052 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.11 -
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コラーゲンのサプリやドリンクは、関節に良い効果を与えてくれるのか 近年、CMなどでよく見かけるサプリメントや、ドリンクとしてのコラーゲン!このような摂取方法で本当に効果があるのでしょうか?コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は体にとっても非常に大切な栄養素です。 そこで本記事では、コラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。関節に違和感があったり、痛みを感じられている方でコラーゲンのサプリメントやドリンクの摂取をお考えの場合は、ぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは、人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 コラーゲンを飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 注意!コラーゲンとアレルギーの関係性 サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 関節や骨への具体的効果について 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に良い効果を与えてくれるのか これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれません。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 No.S041 監修:医師 加藤 秀一
2022.02.16 -
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膝の痛みにグルコサミン、コンドロイチンのサプリは効くのか 膝の痛みや、腰・肩といった関節の痛みに対してテレビや雑誌で毎日のように見かける「グルコサミン」や「コンドロイチン」が配合されたサプリメントのCM! 飲むだけで歩行能力が向上する、関節の痛みが改善したり、楽になるといい!盛んに宣伝されています。ご年配の方が元気に歩いておられたり、走られたり、体操をされていたりと、お元気で活発な印象を受ける画像が多いですね。 このようなことが「グルコサミン・コンドロイチンのサプリ」を飲むむだけでOKという手軽さで実現できるのなら、こんなに良いことはありません! では実際のところ、本当に効果はあるのでしょうか?そのあたりを、分かりやすくご説明したいと思います。 そもそもグルコサミンやコンドロイチンって何だろう? グルコサミンは、アミノ糖の一種で、軟骨をはじめ爪や皮膚といったところに分布しています。コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれ、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 ・グルコサミンやコンドロイチンの働きについて グルコサミンやコンドロイチンは、身体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持するといった性質を持っています。 関節内ではコンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 ▼さらに知識を深めて、正しい使い方を学びましょう▼ ・軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛や美容に効果的なのか? ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか 膝や腰、肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因となります。 残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えていきます。グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も加齢によって生産率は現象していき、関節内での柔軟性や弾力性がしだいに失われていきます。 関節を構成する成分が減ってしまうことで脆くなり、軟骨がすり減ることで骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わることで、痛みが出ます。重労働や激しい運動など膝や腰、肩を使いすぎてしまうような行動を継続することでも痛みの原因になります。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントとしての効果 テレビや広告ではグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントが毎日のように数多く宣伝されています。 内容は、軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンといった成分をサプリメントとして体に補給してげることにより、軟骨の減少や膝や腰、肩の痛みといった症状の改善効果が期待されるといいます。 実際に、サプリメントを飲み続けることにより痛みが軽減したという声もありますが、本当のところ効果があるのでしょうか? サプリメントが痛みに効果があるか、影響するかの研究 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など一部の研究では、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減したというエビデンス(証明)は、ほとんど或いは、まったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンといった成分をサプリメントとして服用することで膝の痛みや、腰、肩の痛みに対して痛みを軽減する可能性があると示唆しているものの・・・ 実際のところ「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらした!といえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究の結果でもグルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンス(証拠となるもの)を示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントは、痛みを軽減するかどうかについては、十分なエビデンスが無いのが実際のところです。 グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや、関節の痛みに効くのか マスメディアや、CMで大きく取り上げられている「グルコサミン、コンドロイチン」ですが研究結果をみると、これらの成分がもたらす効能というものは科学的な根拠に乏しく、膝の痛みをはじめ、各関節の痛みに効くとまでは断言できません。 痛みに効果がない要因として、口からの摂取による影響が考えられます。グルコサミンやコンドロイチンは、アミノ酸や糖質で構成されていますが、口から摂取することによって消化器官を通過します。 消化器官を通過するということは、胃液などにより消化および、分解されてしまうため、軟骨成分として身体に吸収され、軟骨まで到達するとは考えにくいからです。 また軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届くとも考えにくいところが本当のところです。 軟骨成分を摂取しても軟骨に届くのか?! ・口から接種すると胃液など消化器官で分解されてしまう ・軟骨には血管がほとんど無く、成分を届けることができない なぜ、サプリメントを飲むと膝痛など関節に効くと感じるのか? グルコサミン、コンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸など、膝の痛みをはじめとした各関節に対する効果・効能、改善を目的としたサプリメントが大手をはじめ、色々なメーカーから販売されています。 どの製品が良いかは、どの製品が効くのか正確には分かりませんが、実際に摂取された人の中で「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」と声を上げている製品があるようです。 それなら聞くのではないか?思われたかもしれませんが、これについては「プラセボ(プラシーボ)効果が関わっている」のではないかと考えられています。 効いた!と感じる「プラセボ(プラシーボ)効果」とは? プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来薬としての効能が全くない物質を摂取しているのにも関わらず、効能が得られたと感じる効果のことです。 ・実験してみた結果について 実際にアメリカの臨床研究では関節痛など問題を抱えている人を大人数用意し、以下のような二つに分けてモニタリングを行いました。 一方はグルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与え、もう一方には、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 その上で一定期間服用させたところ、確かにグルコサミン・コンドロイチンを服用した層から症状の改善を見ることができたのですが、それと同時に偽薬を服用させた患者さんの中からも「痛みが緩和した」「痛みが改善した」という結果が出ているのです。 ■臨床研究(プラセボ効果)の一例(アメリカ) ・グルコサミン・コンドロイチン入りのサプリメント ・どちらも効果を感じる層がいる ・何も入っていない二セのサプリメント ※結果 > グルコサミン・コンドロイチンは「入っていても」、「入っていなくても」効果が表れる これはどういうことでしょうか?! これがプラセボー効果といわれるもので一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報や先入観、思い込み、イメージ等からそれを摂取することで実際に効いたように感じてしまう状態を指します。 これは、非現実的ですが、感覚的なものによって本当に効果が生み出されていると推察できるものです。つまり、痛みに効くというイメージに身体が騙された可能性が大きいといえるのではないでしょうか。 そのため、何の成分も入っていないサプリメントで膝の痛みなどが消えることがあっても、実際は思い込みということになるのです。つまり、成分が入っていても、入っていなくても効くということです。 しかし例え、思い込みだとしても、それはそれで実際に症状が改善した、良くなったのなら、ある意味、その方にとっての痛みの改善という「目的を達成できている」と見れば良いのかもしれません。 ということで痛みの改善にサプリメントを購入され、それで満足のいく結果が得られたのなら、それが正解でしょう。もし、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 まとめ・グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや関節に効くのか? グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントが色々なところで宣伝されていますが、腰や膝、肩の痛みに効くのかについてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。 確かにグルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。ただ、医学的は、これらの成分をサプリメントとして補ったとしても膝や肩など関節に届く可能性は低くいと言わざるを得ません。 そういった面では、実際に痛みに効くとは言い切れないのが現状です。しかしながら、今後の臨床研究により何らかの効能が見つかる可能性がないわけではありません。 ネットやテレビの情報をそのまま鵜呑みにし、過大な期待をされるのを避けて、楽になったらよいな・・・程度の気休めでお考えになった方が良いかもしれません。それで本当に楽になれば儲けものです。 ただし現在、膝の痛みや、肩など関節の痛みに悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科など専門の医療機関を受診され、しっかりとした診断に基づく治療をお受けになることをおすすめ致します。 痛みには思わぬ病が隠れていたりもします。早期発見、早期治療が何よりの対処方法です。身体の痛みや違和感といった症状を放置されませんように! 以上、グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みなど関節に効くのか?について記させて頂きました。 No.S003 監修:医師 加藤 秀一 ▼ グルコサミンなどのサプリに頼らない膝の痛みなどに対する再生医療とは 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かす最先端の医療分野です
2021.10.06