インフォメーション
LICENSE厚生労働大臣許可医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 承認済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理されました。
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自己脂肪由来幹細胞を用いた
脳血管障害の治療 -
自己脂肪由来幹細胞を用いた
糖尿病の治療 -
自己脂肪由来幹細胞を用いた
肝障害の治療 -
自己脂肪由来幹細胞を用いた
関節症治療 -
自己脂肪由来幹細胞を用いた
顔面萎縮症、皮膚再生治療
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多血小板血漿(Acti-PRP)を用いた
変形性膝関節症の治療 -
多血小板血漿(Acti-PRP)を用いた
筋腱炎、靭帯炎の治療 -
多血小板血漿(Acti-PRP)を用いた
毛髪組織治療 -
多血小板血漿(Acti-PRP)を用いた
皮膚再生療法


















当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「糖尿病」「脳卒中」「肝障害」「変形性関節症」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)の関節内投与や「毛髪の再生」を再生医療安全確保法のもと、自由診療を提供しています。再生医療とは、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会において、厳しく審査が行われ、治療の妥当性・安全性・医師体制などが適切と認められる事ではじめて厚生労働省に治療計画を提出することができます。
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療には限界なのだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んでいたり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼びます。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた先進医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配がほぼありません。
- 1億の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC

できなくなったことを、再びできるように。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病、ひざ、股関節、肩などの関節の手術、そして脳卒中や脊髄損傷のリハビリテーションに長い間取り組んできました。従来の治療方法に限界を感じ、この最先端の「再生医療」を新たに治療に加えることで更なる可能性を実感しています。
医学部卒業後、様々の医療機関で外来から手術まで多くの症例の治療に取り組んできました。その後、平成17年に生まれ育った大阪で開業しました。外来では、ひざや股関節、肩の痛み、腰の痛み以外にも糖尿病、高血圧などの生活習慣病、そして、脳卒中や脊髄損傷の治療やリハビリテーションを行ってきました。
そんな中で、薬での限界を感じ、また、手術以外の方法がないのかを模索していたときにこの「再生医療」に出会いました。初めは、再生医療の治療効果には半信半疑でしたが、再生医療を進めるうちに、その効果に驚き、信頼へと変わっていきました。
「今まで、できなかったことが、できるようになる」これは、病気を治す側としてとても嬉しい言葉なのです。もちろん、再生医療は不治の病を全て治すことのできる万全な治療方法ではありません。ただ、従来の治療の効果をはるかに超えて結果が出せる可能性があるのです。もちろん、脳卒中や整形外科分野の疾患ではその後の筋力トレーニングやリハビリテーションは欠かせません。

当院では、長年培ったリハビリテーションの技術で指導もしております。糖尿病においては、インスリンの注射が必要なくなった、飲んでいる薬が減ったという効果がたくさん見られます。多くの患者様が、遠方からも来られます。
もう少し、近くにクリニックがあればというご要望に応えるため、今回、東京にもクリニックを構えることに致しました。
できるだけ、多くの方に再生医療を知ってもらいたい、そして、できるだけ多くの方に、再生医療の治療後もフォローもできたらという願いがあるからです。
今は美容分野でも再生医療は大きな効果があることを経験しましたので、治療から美容までトータルで再生医療を提供できるように再生医療の総合クリニックを目指しました。
今後もわたしは、あくまで自分の”細胞”の力、自分の治癒力を最大限に高めて病気を治すことにこだわっていきたいと思っています。
医療法人美喜有会理事長 坂本 貞範
略歴
- 1997年3月
- 関西医科大学 医学部卒
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 大阪市立大学医学部付属病院 勤務
- 1998年5月
- 大阪社会医療センター附属病院 勤務
- 1998年9月
- 大阪府立中河内救命救急センター 勤務
- 1999年2月
- 国立大阪南病院 勤務
- 2000年3月
- 野上病院 勤務
- 2003年3月
- 大野記念病院 勤務
- 2005年5月
- さかもとクリニック 開設
- 2006年12月
- 医療法人美喜有会設立 理事長就任
当院で再生医療を
サポートする専門医

渡久地 政尚
略歴
- 1991年3月
- 琉球大学 医学部 卒業
- 1991年4月
- 医師免許取得
- 1992年
- 沖縄協同病院 研修医
- 1994年
- 沖縄協同病院 外科 勤務
- 2000年
- 癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
- 2008年
- 沖縄協同病院 内科 勤務
- 2012年
- 老健施設 かりゆしの里 勤務
- 2013年6月
- 医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
- 2014年9月
- 医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
- 2017年8月
- 医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
所属学会

圓尾 知之
略歴
- 2002年3月
- 京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
- 2002年4月
- 医師免許取得
- 2002年4月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2002年6月
- 関西労災病院 脳神経外科 勤務
- 2003年6月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2003年12月
- 大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
- 2004年6月
- 大阪労災病院 脳神経外科 勤務
- 2005年11月
- 大手前病院 脳神経外科 勤務
- 2007年12月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2012年3月
- 大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
- 2012年4月
- 大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
- 2014年4月
- 大手前病院 脳神経外科 部長

症例紹介
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- 膝関節の症例
- スポーツ医療の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
昔よくスキーをしていた。15年前から膝が痛い この方は、昔よくスキーをされていたそうです。約15年前から膝が痛くなり、曲げたり立っていたりすると膝の周りが怠くなる症状が出てきました。当院に来られる3年前に他のクリニックでPRPを8回ほど受けたそうです。その後少しマシになるがやはり普段の生活に支障がある状態とのことで幹細胞治療を決心しました。普通に階段を登りたい、そして昔みたいにまたスキーをしてみたいという願望がありました。 MRIでは半月板損傷 レントゲンでは膝の変形が少しみられました <治療効果>両膝に各2500万個の幹細胞を2回投与+PRP 両膝に冷凍ぜず作成した幹細胞を投与して1ヶ月で右膝は10分の3 左膝は10分の7ほど痛みが軽減しました。2ヶ月目には両方とも10分の1まで痛みがなくなりました。通常よりも早いペースで痛みが取れてきました。それと同時に左膝周りの筋力低下に対してトレーニングを指導し、膝が完全に曲がらない箇所をリハビリテーションで改善しました。その結果両膝とも正常の可動域が得られ筋力もついてきました。 3年前に他院でPRPを8回行ったそうですが、やはりPRPでは半月損傷回復や軟骨再生は望めません。なぜなら、幹細胞とは違ってPRPには傷ついた半月板や軟骨を再生させることが出来ないからです。PRPの中には幹細胞な入っておらず炎症を抑えるという対症療法しかできません。 今までの私の経験から、変形性関節症や半月板損傷、肩腱板損傷に対してはやはり幹細胞治療でないと治療効果は望めないと思っています。もちろん、PRPには痛みを止める作用があるので上手く効けば数ヶ月は持つでしょう。しかし、この方のように効果を持続させるためにはPRPは何回も注射しなければいけません。そうなると治療費も結局幹細胞の方が価格は安くなります。しかも、PRPでは肝心な軟骨再生や半月板再生、腱板再生は起こらないのです。やはり、根本治療をするには幹細胞による再生医療しかありません。 この方は、膝の痛みもほとんど取れたこともありチャンスがあればスキーを楽しんでいただけたら嬉しいですね <治療費> 関節1部位 幹細胞数(2500万個~1億個) 投与回数(1回~3回) PRP治療含む 132~418万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID000277 監修:院長 坂本貞範
2021.04.16 -
- 脳卒中の症例
- 幹細胞治療の症例
脳出血を発症し3年が経つ 3年前に脳出血を発症し、左半身麻痺となり発症後は車椅子でしたが、リハビリを行いなんとか杖歩行ができるようになりました。ただ、杖歩行でも左下肢の力は弱く、下腿に装具をつけてゆっくりと歩くのがやっとで普段は車椅子移動がメインとなっています。週に2回、リハビリ通院しておられ筋力トレーニングを熱心にしておられる方でした。 そんな中で再生医療を知って当院にたどり着き遠方から来院されました。麻痺の程度としては、左腕を上にあげることはできず、かろうじて少し上がる程度でした。左下肢は太ももを上げる事はできず装具をつけてぶん回し歩行をされていました。 <治療効果>点滴で幹細胞を3回投与 まず1回目の幹細胞の点滴をして1週間ぐらいすると少しずつ力がついてきました。ベッドに寝転がった状態で左腕を上げることが出来なかったのですが、自力で挙げることが出来ていつも担当してもらっている理学療法士さんも驚かれたそうです。さらに足の指を自力で曲げることが出来ませんでしたが、1回目投与後には自力で動かせるようになりました。足の指を曲げることができると歩行するときにもしっかりと踏ん張れるので歩行能力が上がります。 2回目投与して約1ヶ月すると、右肩上げる三角筋、前腕を曲げる上腕二頭筋(腕の力こぶの筋肉)、前腕を伸ばす上腕三頭筋が正常の8割ほどまで筋力が回復して、以前はほとんど動かせなかったがしっかり力が入るようになりました。あとは、関節の可動域を増やして筋肉の協調運動をしっかりリハビリしていけば肘の曲げ伸ばしが出来る様になると思われます。 この方は脳出血して3年が経ち慢性期に入り、リハビリで今ある機能を維持することが精一杯でした。そんな方でも幹細胞の力で今まで回復できなかった神経の損傷が再生、修復され筋肉に力が入るようになることができるのです。もちろん個人差はありますが、脳卒中の幹細胞による再生医療はとても期待されています。 今後は遠方からこられている方なので3回目の幹細胞を投与して、しばらくしてからまた、どれほど筋力がついて歩行能力が良くなったのかを確認していきたいと思います。 <治療費> 幹細胞点滴 投与回数(1回~3回) 242~594万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID000276 監修:院長 坂本貞範
2021.04.11 -
- 膝関節の症例
- 股関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
約20年前から膝痛 5年前から股関節痛 20年ほど前から膝が痛くなり、約5年前から股関節が痛くなったそうです。さらにここ1年の間に股関節の痛みが強くなりいよいよ歩行が困難でいろいろ調べている時再生医療に出会ったそうです。 膝や股関節の動きはかなり悪くなっておりました。関節の変形と同時に必ず関節の可動域が悪くなります。そうなると、筋肉が思うように動かなくなることで筋肉も痩せてきます。 実際、痛みが強い時にリハビリをしても可動域はあまり良くなりません。再生医療をした方は皆さんかなりの関節の可動域の改善を認めます。痛みが和らぐことと、軟骨ができることで動きが滑らかになるためです。可動域がよくなると筋肉はよく動くようになり、筋力トレーニングしてもよくつきます。再生医療には可動域改善とそれに伴い効率よく筋力増強が可能となります。 レントゲン所見 レントゲンでは両股関節・両膝関節の変形があり特に股関節の変形を強く認めます。股関節の変形は末期に近い状態でした。 <治療効果>関節に幹細胞1億個を1回投与+PRP 当院独自の冷凍しない方法で培養した幹細胞を投与して約1ヶ月目から効果が現れ、3ヶ月目には10分の2まで痛み軽減する。同時にリハビリと筋力トレーニングを行いました。投与する前より約80%は可動域の改善を認めました。股関節と膝関節が同時に痛む時には、同時に再生医療をすることをお勧めします。痛みのある関節が残っていると、せっかく再生させた軟骨が傷つく原因にもなるからです。痛い関節を同時に治療することで相乗効果が見られます。今後数ヶ月は軟骨を作り続けるので、まだまだ改善の余地は見込めそうです。 <治療費> 関節1部位 幹細胞数 (2500万個~1億個) 投与回数 (1回~3回)132~418万円(税込) PRP治療 16万5千円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID000197 監修:院長 坂本貞範
2021.03.26 -
- 膝関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
7年前から膝が痛い この方は、約7年前から膝の痛みが見られ1年前に増強し歩くことが困難となり近くのクリニックに受診しました。そこでは、もう人工関節しか方法がないとのことで落ち込んでいたところ、当院を知り来院されました。ヒアルロン酸注射も効かなくなり膝も曲がりにくい状態でした。 かかりつけの整形外科の先生に再生医療を相談したところ、『再生医療しても、軟骨はできないし効かないよ』と言われたそうです。再生医療を経験しているドクターは日本ではほんの一握りで、まだその効果効能知らないのが現状です。当初、再生医療を始める前、私も再生医療で変形性関節症の症状がこれほど楽になるものだとは想像もつきませんでした。やっと、近年では、学会で再生医療の分野で研究成果の発表が盛んになってきました。関節に幹細胞を入れると、軟骨ができるという結果も発表されています。その軟骨の種類も本来のものと同じ成分の軟骨が再生されます。 このように、当院に来られるほとんどの患者さんがかかりつけ医に再生医療を相談しても、否定的な答えしか帰ってこないのが現実です。しかし、実際に再生医療を受けて痛みが軽くなった時に、みなさん幹細胞の力の凄さを実感していただいております。もちろん、個人差があり、残念ながら思ったほど効果が出ない方もいらっしゃいますが、約7割以上の方が結果に満足されています。 レントゲンとMRI所見 レントゲンではK-L分類 grade4となり、末期の状態でした。MRIでは、内側、外側の半月板は共に削られて少なくなり、黒く写っている中に白い画像が損傷している部分となります。幹細胞では、軟骨を再生させるだけでなく、この損傷した半月板を再生させることもできます。半月板は膝のクッションの役目があるため、関節の変形が強くても半月板が残っている場合には幹細胞による治療の効果は高くなります。 両膝に各1億個の幹細胞を投与する 両膝に1億個ずつの冷凍せず培養した幹細胞を投与しました。国内でも冷凍せず培養する幹細胞を投与できるところは少なく、やはり冷凍していない方が高い治療効果が認められます。 投与して痛みの推移は、治療前の痛みが10とすると、2ヶ月後は2、3ヶ月後は7、4ヶ月後は6、5ヶ月後は5、6ヶ月後は2とかなり痛いも軽くなりました。その後も徐々に軟骨は再生され痛みは軽くなると予想しています。私の治療経験から、幹細胞を投与してから1ヶ月おきに3分の1ずつ痛みが取れていくことが多く見られました。この方の場合、3ヶ月目でやっと3分の1となりましたが、その後はどんどん痛みがマシになり、半年後にはほぼ痛みなく生活が可能となりました。このように治療経過には多少の個人差はあります。 今後は、好きな運動も少しずつできればと意気込んでおられました。それまでしっかりと、自宅でも良いので筋力をつけていただければそれも可能ですと伝えると、とても喜ばれておりました。 <治療費> 関節1部位 幹細胞数(2500万個~1億個) 投与回数(1回~3回) PRP治療含む 132~418万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID000158 監修:院長 坂本貞範
2021.03.13
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- 腱板損傷
- 肩
腱板損傷とは 腱板損傷とは肩についている腱板と呼ばれる筋肉が損傷する疾患です。腱板は回旋筋腱板(ローテーターカフ:Rotator cuff)ともいい、肩関節の深層にあるインナー筋です。この腱板は上腕骨と肩甲骨をつなぐ4つの筋肉であり、肩関節の前方にある肩甲下筋、上方にある棘上筋、後方にある棘下筋と小円筋から構成されています。 腱板はインナー筋のため筋収縮の牽引力はそれほど強くないものの、上腕骨を肩甲骨に引きつけて肩関節を安定させる重要な役目もあります。この腱板が部分的に、あるいは完全に断裂した状態を腱板損傷といいます。 原因・症状 腱板損傷の原因は外傷や加齢によるものがあります。外傷では転倒や重たい物を持ち上げた際などに発生することが多いです。加齢では変性により腱板が擦り切れることがあります。この他にも野球の投球動作のように、繰り返し肩を酷使するスポーツの経験者にも好発します。 年齢層から見ると、若年者の場合は外傷のように大きな外力が必要ですが、高齢になると日常生活動作でも断裂が生じることがあります。肩に症状がない方を対象にしたM R I検査では、60歳以上の54%に腱板断裂が確認されました。 腱板が切れている(断裂している)と聞くと、肩の痛みを伴うように思われるかもしれませんが、実際は自覚症状がない方も多いです。それとは逆に痛み症状が強い方もおられ、じっとしていても痛みを感じることがあります。 また肩の痛みよりも高頻度にみられるのが筋力低下です。腱板はそれぞれの筋肉がちがう作用(働き)があるため、筋力低下を確認するテスト法が異なります。 筋力テスト 患者さんがテストをする筋肉の作用する方向に力を入れ、検査をする人が抵抗を加えることで筋力を評価するテスト法です。筋力テストにより、疼痛の有無や筋力低下の程度を確認します。 棘上筋(S S P)テスト 棘上筋は外転(腕を体の横から挙上する動作)で作用する筋肉です。腱板の中で最も損傷が多いのが棘上筋であり、棘上筋が断裂すると外転筋力が20〜30%低下するといわれています。 Full can test: 肩関節外転30°で外旋位(親指を上に向ける)にする。 腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加える。 Empty can test: 肩関節外転30°で内旋位(親指を下に向ける)にする。 腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加える。 棘下筋(I P S)テスト 棘下筋は肩関節の外旋(腕を外にひねる動作)で作用する筋肉です。 External rotation lag sign: 腕を下に下ろした状態から肘を90°に曲げます。 肘から先を外側に開いていき左右で差がみられれば陽性。 肩甲下筋(S S C)テスト 肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内にひねる動作)で作用する筋肉です。腱板損傷の場合、痛みにより手を背中に回す動作ができないことがありますので、そのような時は下の2つのテストを試みる。 Lift off test: 背中に手を回し、その手を背中から離して保持できるか確認する。 Bear-hug test: 患側(痛みのある方)の手で、健側(痛みのない方)の肩を押し込み、その力の強さを評価する。 Belly-press: 患側(痛みのある方)の手で、お腹を押し込む力の強さを評価する。 Drop arm sign(ドロップアームサイン) 検査する人が外転90°まで持ち上げ、支持している手を離す。 患者さんが腕を支えられなかったり、わずかな抵抗で腕を下ろした場合は陽性。 このように腱板の各筋肉を個別にスクリーニングするテスト法はありますが、実際は損傷している筋肉と検査結果が一致しない場合があります。例えば、棘上筋が単独で損傷している時に肩甲下筋テストで陽性となる場合や、逆に肩甲下筋が損傷している時に棘上筋テストが陽性になる場合がありますので、腱板損傷の有無はその他のテストも併用して判断しましょう。 腱板損傷のテスト法には、筋力テスト以外に疼痛誘発テストがあります。疼痛誘発テストは検者が患者さんに特定の動きを操作する、または患者さん自身に体を動かしてもらうことで腱板に疼痛が発生するかを評価します。 疼痛誘発テスト 肩峰下インピンジメントサイン 1) Neer test: 検者は患側の肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させていく。 これは上腕骨を肩峰下面に押し当てるテストであり、外転90°を過ぎたあたりで疼痛がみられれば陽性。 2) Hawkins test: 検者は屈曲(前方に腕を上げる動作)90°まで腕を上げ、内旋を加える。 これは上腕骨の大結節を烏口肩甲靭帯の下面に押し当てるテスト法であり、疼痛がみられれば陽性。 Painful arc sign(ペインフルアークサイン) 患者さんの力により外転方向に挙上する。 棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。 画像検査 腱板損傷の診断では上記のテスト法が判断の手がかりになりますが、腱板損傷以外の疾患と鑑別し、正確に損傷部位を特定する場合には、画像による検査が必要となります。腱板損傷ではM R Iや超音波による検査が有用です。 M R I(Magnetic Resonance Imaging)検査 腱板損傷に対する画像診断では、M R Iによる検査が最も有用です。M R Iとは磁気共鳴画像といい、レントゲン検査やC T検査のように放射線を使用するのではなく、電磁波を使用した画像診断です。 M R Iでは、どの腱板が損傷しているのか、どの範囲まで損傷しているのか、腱板のどの場所で損傷しているのかなどを評価することが可能です。 超音波(エコー)検査 超音波検査では、筋肉や腱の状況を確認することができ、炎症が起きている場所の特定も可能です。超音波検査はM R Iと違い診察室で手軽に行える検査のため、患者さんと一緒にモニターを見ながら肩の状態を説明することもできます。 また超音波を当てながら注射の針を進めることで、より正確な目的地(炎症部位や筋膜、神経など)まで誘導することができます。 レントゲン検査 レントゲン検査では筋肉や腱の状態は確認できないため、腱板損傷の判断をするには難しいです。ただし、腱板が断裂すると関節の隙間(肩峰と上腕骨頭の間)が狭くなることがあります。 また腱板損傷は肩関節の肩峰が変形し、骨棘(こつきょく:トゲのように変形した骨)により腱板がすり切れて発生する場合もありますので、原因究明の手がかりにもなります。 まとめ 腱板損傷のテスト法は検査をする目的によって方法が異なります。陽性反応がみられるテストは痛みを伴いますので、痛みの出る強さはポジション、筋力低下の加減を記録しておくと、治療経過を確認する上での指標にもなります。 ただし、腱板損傷は時間の経過とともに疼痛が消失したり、拘縮により関節の動きに制限がかかり、正確なテストの評価ができないことがあります。また急性期であってもテスト法だけでは情報が不十分なため、画像診断も含めて判断する必要があります。 No.0015 監修:院長 坂本貞範
2021.04.01 -
- 腱板損傷
- 肩
腱板損傷とは 腱板とは肩に付いている筋肉(腱)のことで、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4つからなります。腱板損傷ではこれらの筋肉のいずれか、あるいは複数の筋肉が断裂している状態です。損傷の程度は筋肉の一部分が損傷している部分断裂と、完全に切れてしまった完全断裂とに分けられます。 腱板が完全に断裂したり、損傷が広範囲に及ぶと、自分の力では腕が挙げられなくなる場合があります。そうなると日常生活や仕事に支障をきたし、痛みもなかなか軽減しないことが多いです。 腱板の損傷は、断裂の範囲が小さいと修復が期待できますが、完全断裂や広範囲の断裂では時間の経過とともに断裂の範囲が広がることがありますので、手術の適応となります。しかしその反面、部分断裂で損傷の範囲が狭ければ、リハビリにより症状の改善が期待できます。 リハビリを始める前に 腱板損傷に限らず、リハビリを開始するにはまず治療前の状態を把握する必要があります。そのためには、まずはどこの腱板が損傷しているのかを判断する必要があります。確実に損傷部分を判断するには、M R I検査による画像診断が最も優れています。M R I検査では、損傷の部位や範囲を確認することができるため、手術の適応判断にも役立ちます。 ところが、M R I検査は大掛かりな装置が必要であり、また検査にはある程度の時間も必要です。そこで素早く簡易に腱板損傷を評価する方法として、徒手検査法というものがあります。これはそれぞれの筋肉が作用する方向に関節を動かしたり、抵抗運動を加えることで損傷している腱板をチェックするテスト法です。このテスト法には棘上筋(外転)テスト、棘下筋・小円筋(外旋)テスト、肩甲下筋(内旋)テスト、ドロップアームサイン(Drop arm sign)などがあります。 リハビリ前の可動域評価 また可動域の評価も、リハビリを始める前にしておく必要があります。肩関節は球関節であり多方向に動くため、可動域の評価はそれぞれのポジションで計測する必要があります。特に内外旋は下垂位(腕を下に下ろした位置からの評価)だけでなく、外転(側方挙上)90°と屈曲(前方挙上)90°の位置による計測を加えると、より詳細な評価ができます。 ただし、可動域の評価をする上で注意しなければならないのが、代償動作による見かけ上の角度に惑わされないということです。急性期の腱板損傷では疼痛性の、慢性期では筋性の可動域制限が発生することがあります。しかし可動域制限以上に腕を動かそうとして、体幹を傾ける代償動作がよく見られます。体幹を後ろに反らせたり側方に傾けると、見かけ上ではよく動かせているように見えても、正確な関節可動域の評価ができませんので、可動域を評価する際は代償動作に注意をして計測をしましょう。 また可動域の評価は、リハビリの進捗状況を客観的に把握することができますので、定期的に計測するようにしましょう。 治療プログラムの考え方 診断により手術をせずに治療が可能、または患者本人が手術を拒否した場合は、保存療法(手術をしない治療法)をおこないます。腱板損傷における保存療法の目的は、疼痛の除去や損傷していない肩関節の機能を引き出して、挙上運動(肩甲上腕リズム)を再建することです。ただし、リハビリは病態に合わせて進める必要があります。 急性期や疼痛の強いときは無理に動かさない 受傷直後は可動域制限や筋力低下が認められても、関節内での炎症が強く関節運動をおこなうと疼痛を助長させることがありますので、三角巾などを用いて患部の安静がとれるように固定します。また筋緊張が強いと断裂した腱板を牽引してしまい、疼痛を誘発することがあります。このような時は筋緊張を和らげるためのリラクセーションを実施すると効果的です。 しかし、筋緊張を強くすることで患部を固定している状態の場合もあります。その状態で患部をリラクセーションさせると、反対に疼痛を増悪してしまう可能性があります。そのような時は、アライメントを評価した上で自然に筋緊張が緩和されるポジションを探し、リハビリは他の部位の機能改善に取り組みましょう。 急性期以降は積極的な自動運動の可動域を獲得する 急性期以降の時期では、肩甲骨に対して上腕骨頭を引きつけるポジションを保持するために、肩甲上腕関節(肩甲骨と上腕骨からなる肩関節の1つ)の可動域獲得と筋機能の改善を中心におこないます。腱板は隣り合っている腱との組織的なつながりがあるため、損傷した腱以外の腱板筋により代償することが可能です。 最初は自動介助運動(患者自身が力を入れ、セラピストが補助をする運動)から開始し、徐々に自動運動へと移行します。自動運動でも痛みを感じることなく運動することができるようになれば、抵抗運動のように腱板筋に負荷をかけていきます。 腱板損傷をした肩関節の挙上動作の獲得は、スポーツに例えると一度覚えたフォームを改善するのと同じように時間を要することがありますが、このリハビリを焦っておこなうと肩甲骨の過剰な上方回旋のみの運動(肩甲骨の運動だけで挙上する代償動作)となってしまい、肩甲上腕関節の運動を得られるのに非常に時間がかかることがあります。 受傷後、長期間が経過していたら 受傷後長期間が経過している場合、関節包が硬くなることによる伸張性の低下や、疼痛によって動かさない状態が続き拘縮が存在することが多いです。基本的には五十肩といわれる肩関節周囲炎の症状と同様に、まずは関節拘縮の除去をおこない、可動域が広がった部分の腱板機能を改善します。 代償動作による挙上 肩関節を動かすために重要な働きをする腱板が障害を受けると、肩甲骨に骨頭を引きつける機能が損なわれた状態のままで上肢の運動ができるようにしなければなりません。そこでリハビリでは肩関節の求心性(肩甲骨に骨頭を引きつける力)を補償する機能を獲得し、その機能を維持する必要があります。 腱板断裂の症例の多くは肩峰下を上腕骨の大結節が通過するときに疼痛を訴えることが多いので、どのようにして大結節を肩峰下へ通過させるかがリハビリをおこなう上でのポイントとなります。 方法1 ⚪️肩甲骨の関節窩に対して上腕骨頭が上昇して肩峰下で接触する。 ⚪️接触した点を支点として、肩甲骨に対して上腕骨を動かす。 方法2 ⚪️上腕骨の運動よりも先に肩甲骨の下方回旋をさせ、ある程度、肩甲上腕関節の角度を作る。 ⚪️肩甲上腕関節の角度を保ったまま固定した後、肩甲骨の上方回旋をさせる。 ⚪️関節窩が上方を向いてから肩甲骨に対して上腕骨を動かす。 いずれの方法も代償運動により、日常生活レベルでは挙上が可能となります。 可動域制限に対する運動療法 腱板が断裂した症例では、肩甲上腕関節に著明な可動域制限をきたすことは少なく、代償動作の反復による筋性の制限や疼痛逃避による制限を認めることが多いです。痛みを伴うような過剰なストレッチは、病態の悪化や筋の防御性収縮を招き逆効果となりますので、深呼吸とあわせて実施するなどリラックスをしながらおこないましょう。 腱板筋のトレーニング 疼痛誘発テストをおこない、機能低下が認められた腱板に対しては積極的なトレーニングを指導します。ただし、腱板に収縮時痛(力を入れた時の痛み)や伸張痛(ストレッチのように筋肉が伸ばされた時の痛み)が出現し、断裂が疑われる腱板に対しては積極的なトレーニングはおこなわず、他の腱板に対する運動をおこなうようにします。 運動をする際は腱板のどの筋を働かせるかを考えて、目的に合ったトレーニングの方法を選択する必要があります。ただし、腱板筋のトレーニングは筋の収縮再学習としておこないますので、肩甲胸郭関節(肩甲骨と胸郭からなる肩関節の1つ)の運動が起こらない範囲で、なおかつアウター筋が優位に働かないよう低負荷で実践しなければなりません。 また筋肉によっては内外旋の運動をすることがありますが、あらゆる挙上角度での肩甲上腕関節の求心位を保つために、いろいろな角度での内外旋運動をおこなう必要があります。 まとめ 腱板損傷では受賞してからの経過により症状が異なるため、病態に合わせたリハビリが必要です。そして腱板損傷に対するリハビリでは、いかに残存している機能を引き出すか、また残存している機能で日常生活動作を獲得させるかがポイントとなってきます。リハビリのプログラムを作成する時は、一つの機能にこだわらず、残存している色々な機能を活用しましょう。 No.0014 監修:院長 坂本貞範
2021.03.22 -
- 腱板損傷
- 肩
腱板とは一体なに? 肩関節(肩甲上腕関節)は背中についている肩甲骨と、肘から上の骨である上腕骨から構成されています。この肩甲骨と上腕骨が関節となり、肩関節の筋肉の働きにより腕を挙げるなどの運動ができるのです。肩関節を動かすには様々な筋肉が関与していますが、腱板とは肩関節の深層にある筋肉(インナーマッスル)のことです。 腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つから構成されており、ローテーターカフまたは回旋筋腱板とも言われています。これらの筋肉はそれぞれ肩関節の挙上や回旋に関わっていますが、もう一つ重要な役割を担っています。それは上腕骨を肩甲骨に引き寄せる役目です。 肩甲上腕関節は、上腕骨の骨頭と肩甲骨の受け皿が関節となっていますが、骨頭に対して受け皿の面積が小さく、また様々な方向に動かすことができるため、安定性が悪く外れやすい(脱臼しやすい)関節でもあります。そのため腱板が働くことにより、上腕骨が肩甲骨に引き寄せられ、また挙上動作などを円滑におこなう補助作用も担っています。 腱板損傷で見られる症状とは 肩関節の中で重要な役割を持つ腱板が損傷すると、痛みが発生するだけでなく、肩関節の安定性が悪くなり、また肩を挙上することができなくなります。 ・支えると腕を挙げることができるが、自力では挙がらない ・腕を下ろす動作で痛みを感じる ・痛い方の肩を下にして寝ると、痛みで目が覚める ・引き戸の開閉が困難 など 発症をする原因とは 腱板損傷の原因の多くは、転倒や急激な肩への負荷など明らかな外傷です。しかし日常生活による何気ない動作の繰り返しや、加齢による腱板の変性などにより、徐々に腱板がすり減り損傷する場合があります。 年齢別で見ると50歳以上の4人に1人は発症するとされており、最も多いのが60歳代です。また若い方では、ボールを投げたりラケットを振るなど肩をよく使うスポーツをしていると、オーバーユース(使いすぎ)により腱板が損傷されやすいです。 そして受傷の原因によっては、損傷の程度も変わってくることがあります。腱板損傷には大きく分けて完全断裂と部分(不全)断裂がありますが、完全断裂での受傷では転倒など衝撃が大きい原因が多く、部分(不全)断裂では微細な負荷による原因が多いです。 診断を受けるための検査方法 診察をする上で、腱板が損傷しているかどうか、また損傷している場合はどの程度の損傷かを調べなければなりません。例えばどのような動きで痛みが出るのか、どの程度の痛みが出るのか、筋力はどうかなどをチェックします。また腱板損傷を疑う場合におこなうテスト法として、ドロップアームテストがあります。 ドロップアームテスト(Drop Arm Test) 検査をする人が支えながら90度まで外転(横方向への挙上)させていき、支えを外した状態からゆっくりと腕を下ろしていく。 自力で腕を支えられずに、急に腕が落ちるようであれば腱板の損傷を疑う。 レントゲン検査 肩関節の痛みによる診断では、まず始めにレントゲンを撮られることがあります。レントゲンは主に骨の状態を確認できる画像診断ですので、骨折の診断にはとても有効です。ところがレントゲンでは腱板が映らないため、損傷の程度を確認することができません。 ただし腱板が断裂すると、関節の隙間が狭くなることがあり、また肩関節に骨棘(骨の端がトゲのようにとんがっている状態)が見られると、肩を動かした時に骨棘がある部分で炎症を起こす可能性があります。このように、レントゲンでは腱板自体を把握することはできませんが、関節の状態から腱板損傷の推察をすることはできます。 超音波検査 超音波検査では腱板の断裂の程度や炎症の有無、石灰(カルシウムの塊)の沈着などを判断することが可能です。超音波検査では、筋肉と筋肉の間にある筋膜や、滑液包に注射することができます。 また関節を動かしながら観察することで筋肉の動きも見ることができ、患者様と一緒にモニターを確認することで、よりわかりやすい説明ができます。 M R I検査 腱板損傷の診断にはM R Iでの検査が最も有効です。M R Iではレントゲンでは写らない腱板を描写することができ、また骨や関節包など腱板の周りの組織まで読み取ることができます。腱板損傷が起っている場合は、損傷している部位だけでなく、どれくらいの範囲まで損傷しているかを確認しなければなりません。 最初に説明したように腱板は4つの筋肉からできており、損傷した部位が小さければ他の筋肉で補助することができ、手術をしなくても済むことがありますが、広範囲に断裂をした場合は手術が適応となります。 治療法の選択 腱板断裂の治療法には、手術をしない保存療法と手術療法に分けられます。先ほどお伝えしたように、腱板の断裂の大きさによっては手術をした方がいい場合があります。しかし、それほど大きな損傷でない場合は、保存療法と手術療法のどちらが良いでしょうか。 腱板損傷に限らずどの疾患にも共通して言えることが、保存療法を選択する場合は当然ながら手術をしなくでも症状の改善が見込める場合でなければなりません。その見込みを左右する要因の1つが、損傷部位の血行状態です。肉離れのような筋肉の損傷であれば、最終的には損傷部位の修復が見られます。 ところが腱板の損傷では筋肉と比べて血行が悪く、自然治癒が難しい疾患です。それに加えて、肩を動かす(筋肉が収縮する)と損傷した部分が広がる方向に力が加わり、むしろ断裂部分が広がることも多いです。 このように腱板損傷は保存治療をおこなっても、時間の経過とともに症状が悪化することもあり、保存療法の限界があります。また患者さん自身がどの程度の回復を望んでいるかによっても治療方針がわかれます。痛みが収まり、しっかりと腕が挙がらなくても日常生活が送れる程度まで回復すれば良いという方にとっては保存療法から取り組むと良いでしょうし、スポーツや仕事をしていて復帰のためにしっかりと治したいという方は手術を選択する方が良いでしょう。 保存療法 痛みが強い時期の治療としては、薬物療法などで痛みを抑えることを第一に取り組みます。痛み止めの飲み薬や湿布薬などもありますが、強い痛みに対しては注射による治療が効果的です。特にステロイドによる注射は高い治療効果をもたらしますが、頻繁にステロイドを投与すると腱が脆くなることがあり、またそれ以外にも様々な副作用があります。 ある程度痛みが軽減してきたら、肩関節が拘縮しないようにストレッチなどで筋肉をほぐし、血流改善を促しましょう。肩関節は肩甲骨の動きも大きく関わっているため、ストレッチや体操をする際は腕を動かすだけでなく、肩甲骨も意識して動かしましょう。 また筋力トレーニングも効果的ですが、方法を誤ると同じ動作でも違った筋肉に刺激を送ることになるので気をつけましょう。最初に説明したように腱板は深層にある筋肉であり、腱板を鍛えるためには強い負荷は必要ありません。なぜなら強い負荷をかけたトレーニングでは、ターゲットである腱板よりも表層にある三角筋などが優位に働くからです。そのため腱板の筋力トレーニングをするときは、軽めの重りやゴムチューブなどを使い、軽い負荷でたくさんの回数をおこなうように心がけましょう。 手術療法 腱板損傷の手術では、主に関節鏡視下術がおこなわれます。関節鏡視下術とは、1〜2cmほどの小さな穴から内視鏡と言われるカメラや手術器具を挿入し、断裂した腱板を元の骨の位置に縫い付ける術式です。この関節鏡を使った手術では傷口を大きく開かないため、体への負担が少なく感染率も低いです。 ただし手術を受けたからといって、すぐに元の状態に戻るわけではありません。手術をしても腱板に負荷がかかると再断裂をする恐れがあるので、しばらくは装具や三角巾を使って安静にする必要があります。そして3週間から6週間が経つと腱板の接合部分が安定してくるので、徐々にリハビリを開始していきます。重症度にもよりますが目安としては、不便なく日常生活が送れるまでに約2〜3ヶ月、スポーツや重労働ができるまでには約6ヶ月かかります。 まとめ 腱板損傷は明らかな原因が元で発症することがあれば、加齢による変性などで発症することがあります。特に50歳代以上では発症率が高く、身近に起こり得る疾患と言えます。 しかし損傷の程度によっては保存療法が功を奏せず、時間の経過とともに断裂が広がり手術となることもある疾患です。少しでも手術を回避したいのであれば、損傷が拡大しないように早期から治療に取り組みましょう。 No.0013 監修:院長 坂本貞範
2021.03.16 -
- 変形性膝関節症
- ひざ
変形性膝関節症の症状のために、歩行時にぐらついたり、痛みが生じたりしている人のなかには、サポーターを使ってみようと考えている人もたくさんいると思います。そして、「サポーターなら何でもいいだろう」「つけ方なんて適当で大丈夫だろう」と思っている人もいるかもしれません。 しかし、変形性膝関節症の人がサポーターを使用するのは有効ですが、サポーターの選び方やつけ方は重要です。今回は、変形性膝関節症のサポーターの選び方やつけ方を解説します。 こちらも御参照ください。 変形性膝関節症でサポーターをつけたい!選び方やつけ方で注意することはある? 変形性膝関節症の対策としてサポーターを使うのは基本的には有効です。しかし、適当にサポーターを選んでつけると、サポーターの効果がじゅうぶんに発揮されない可能性があります。 また、変形性膝関節症の進行具合や炎症の箇所などによっては、サポーターをつけると逆効果になることもあるので、サポーターを使用していいかどうか、まずは主治医に相談しましょう。 そして、主治医に相談してサポーターを使用することになった場合は、サポーターの選び方やつけ方で注意すべきことがあります。 清潔な状態で使用する 変形性膝関節症でサポーターを使用するときは、膝もサポーターも清潔な状態で使用するようにしましょう。もしも清潔な状態が保たれていない状態のまま使用すると、皮膚がアレルギー反応を起こしたり、接触性皮膚炎を引き起こしたりする可能性があります。 また、膝の汗をしっかりと拭きとってから使用しないと、サポーターがズレてしまうことがあります。汗をかいているときは、汗をしっかり拭きとってからサポーターをつけるようにしましょう。 長時間の使用は避ける サポーターを正しく装着していても、長時間つけていると患部が圧迫されて血流が悪くなってしまいます。また、ずっと使用し続けていると膝を支える筋力が低下してしまうので、長時間の使用は控えるべきです。 サポーターは動く直前につけたり、定期的に外したりして、できるだけつけている時間を短くする工夫をしましょう。また、短い時間であっても安静時には外す習慣をつけましょう。 定期的に交換する サポーターを長期間使用していると素材が伸びたり劣化したりして正しいつけ方でつけてもフィットしなくなってくることがあります。 サポーターは正しくフィットしていることで効果を発揮するので、長期間使用したために、伸びたり劣化したりしてうまくフィットしなくなってきたなと思ったら、新しいものに交換するようにしましょう。 変形性膝関節症のサポーターの選び方とつけ方の基本 変形性膝関節症の人がサポーターを使用し、効果をじゅうぶんに得るためには、つけ方だけでなく、どのようなサポーターを使用するのか、選び方も重要です。 現在は、いろいろな種類のサポーターが販売されていますが、どれも大差ないだろうと適当に選んで使用するべきではありません。適当な選び方をしたサポーターだと、正しいつけ方をしても変形性膝関節症への効果が得られないばかりか、悪影響になってしまうこともあります。 自分の膝のサイズが合ったものを選ぶ 変形性膝関節症でサポーターを使うときは、まず、自分の膝のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。せっかくサポーターをつけてもサイズが合っていないと、サポーターで膝をしっかり固定することができなくなり、サポーターをつける意味がなくなってしまいます。 また、サポーターを選ぶときは自分のサイズを知っておく必要があるので、事前に測っておきましょう。サイズの測り方はメジャーを準備して膝の皿の部分から上下10㎝の部分を測ります。 用途に合ったものを選ぶ サポーターにはスポーツをする人におすすめのタイプや立ち仕事をする人におすすめのタイプ、高齢者におすすめのタイプ、リハビリをおこなう人におすすめのタイプなどいろいろあり、自分の用途に合ったものを選ぶことが大切です。 変形性膝関節症の対策として選ぶ場合は、症状の度合いや体重、筋力、足の状態(O脚など)によってもどれが合うかは異なってくるので、選び方は判断がすごく難しいです。主治医に相談して自分の用途に合ったものを見つけましょう。 使用感の良いものを選ぶ 変形性膝関節症のサポーターを選ぶ際は、使用感についても重視すべきです。サイズが自分にピッタリであっても、実際に使用してみたときに不快に感じると、長く使用することが難しくなってしまいます。 サポーターを販売しているところでは、サンプルを置いているお店もあるので、実際に試して使用感をチェックするのがおすすめです。 変形性膝関節症のサポーターのつけ方 変形性膝関節症の人がサポーターを使用する場合、サポーターの選び方だけではなく、正しいつけ方で使用することも大切です。 変形性膝関節症のサポーターのつけ方のポイントを紹介します。 サポーターのつけ方の手順とコツ ベルトを締めるタイプのサポーターの場合、サポーターは上の方から締めていきます。上のベルトを締めるときは、強く締める必要はなくフィットしていると感じることができるくらいでじゅうぶんです。 上を締めてズレがないかチェックしたら、今度は下のベルトを締めます。下の方を締めるときは、膝の皿の部分をきちんと補助することができるように下から上に引き上げながら締めるのがポイントです。 下の方は上の方よりも強めに圧がかかるように締めますが、強く締めすぎないように注意しましょう。 立った状態で装着する サポーターをつけるときは、立った状態で装着するのがおすすめです。立ち姿勢で膝を伸ばした状態でサポーターをつけると、しっかりとサポーターが巻き付いて膝を曲げたときに緩みにくくなります。 サポーターなしで立つのが難しいという人は座った状態でつけても問題ないので、無理して立った状態でつける必要はありません。座った状態でサポーターをつける場合は、膝を少しだけ曲げた状態でつけるとしっかりとつけることができます。 膝を動かして確認する サポーターをつけ終えたら一度膝を軽く動かしてみて、締め付けが強すぎないかチェックしたり、ズレがなくきちんとフィットしているかチェックしたりすることが大切です。少しでも強すぎたり、フィットしてなかったりしている場合は、面倒でもそのまま使用せずにきちんとつけ直しましょう。 まとめ 変形性膝関節症のサポーターの選び方やつけ方について紹介しました。 変形性膝関節症の対策としてサポーターを使用する場合は、主治医に相談した上で自分に合ったサポーターを選び、正しいつけ方を守って使用するようにしましょう。 No.0012 監修:院長 坂本貞範
2021.03.03