薬丸裕英さんを
イメージキャラクターに迎え
地上波にテレビCMを放送中
関節(膝、股関節、肩)編
脳卒中・ヘルニア編
LICENSE厚生労働省届出済医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 届出済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に届出し、受理されました。
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた変形性関節症の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法
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悪性腫瘍の予防に対する活性化NK細胞を用いた細胞治療
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自己脂肪由来幹細胞と自己前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療
























当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「変形性関節症」「脳卒中」「糖尿病」「肝障害」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)の関節内投与を再生医療安全確保法のもと、自由診療にて提供しています。再生医療とは、厚生労働省によって受理されることで行うことのできる治療となります。
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療は限界ではないだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んだり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼び、おすすめしています。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた最先端の医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現。
ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配が少ないおすすめの治療方法です。
- 2億個の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC

症例紹介
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- ひざ関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
幹細胞の治療効果に大変満足! こちらの患者様は1年前から両膝の関節の痛みに悩まれており、症状を改善したいとの思いで当院へ受診していただきました。 近くの整形外科では初期の変形性ひざ関節症と診断されました。特によく歩いた後などに膝に水が溜まってしまうことがあり、1か月おきに水を抜いてヒアルロン酸注射を打ってもらっていました。最近ではすぐに膝に水が溜まってしまい、ヒアルロン酸注射や内服薬の効果も薄れてきたそうです。主治医からは軟骨はまだ残っているので人工関節をするのはもったいないと言われたそうです。最近では痛みがさらに酷くなったため、(注射や内服よりも効果のある)より良い治療法を求めて当院を受診されました。 末期の変形性膝関節症で人工関節を勧められて人工関節を回避したいと当院を受診していただく患者様はもちろんのこと、初期・中期の変形性関節症で効果的な治療を求めて当院へ受診される患者様もたくさんおられます。 幹細胞治療の効果は重症度に関わらず治療効果実感されていますが、特に初期や中期は治療成績が良好で、注射、内服、リハビリなどの保険診療の範囲での治療に満足いただけず、効果的な治療を求めている患者様に大変お勧めの治療法です。その良好な治療効果は当院の細胞の質と量へのこだわりによるものと考えています。 当院での細胞培養技術は投与する細胞の生存率はなんと90%以上を誇っています。これは一般的な再生医療のクリニックで使用する細胞の生存率が60%ほどであることを比べると群を抜いた数字です。当院では、冷凍せず培養された幹細胞を、投与のたびに、その都度ていねいに初めから培養を行います。しかし、国内のほとんどの施設では複数回投与する場合でも、一度にまとめて培養して冷凍保存します。そして投与するときは、それらを解凍してそのまま投与します。幹細胞は解凍する際に大きなダメージを受け生存率が大幅に低下し、さらに生きている細胞も弱々しいものとなります。弱々しい幹細胞を関節に投与しても、期待したほどの軟骨の再生・修復が果たせなくなってしまいます。 さらに、当院では米粒2~3粒程度の脂肪を採取するだけで、1億個以上の生き生きとした強い幹細胞の培養が可能です。一般的なクリニックでは1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると細胞数も群を抜いています。投与する幹細胞の生存率が高ければ高いほど、数が多ければ多いほど再生される軟骨が多いことは海外の文献で明らかなになっています。さらに数多くの生き生きした強い幹細胞を重ねて投与することもおすすめで、投与するたびに軟骨欠損部に1層また1層と軟骨が再生を促進し、幹細胞治療後の何年もの間にわたって、痛みのない関節を獲得することが期待できます。 レントゲン所見 レントゲンは両膝とも関節の隙間が狭くなっています。 <治療効果>両膝に5000万個の幹細胞を3回投与+PRP この患者様は両膝に5000万細胞ずつ計3回投与しました。 その結果、初回投与半年後には両膝の痛みは投与前10段階中で6あった痛みが0になりました。 3年ぶりに当院を受診していただいた際にお話しを聞くと、現在も両膝の痛みは出ていないとのことでした。その治療効果に患者様は大変満足された様子でした。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 監修:坂本貞範
2025.02.12 -
- ひざ関節の症例
- 股関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
関節症の痛みが激減!国内で唯一の次世代の幹細胞治療 当院は、「次世代の再生医療」とも言われる、【分化誘導】を用いた治療を厚生労働省に届出し受理された、唯一の医療機関です。 分化誘導とは、独自の培養技術を活用し、傷ついた関節軟骨の土台を整え必要な箇所に必要なものを、効率的に修復します。従来の幹細胞治療とは一線を画し、幹細胞治療の効果を最大限に引き出すことで、関節軟骨の大きな修復と改善を実現します。 今後の医療の主流となるこの画期的な治療法で、さらに多くの可能性を切り開きます。 この患者様は、両変形性股関節症と両変形性膝関節症の診断を受けていました。日常生活は自立しているものの、歩行時には跛行が見られていました。左鼠径部から膝下にかけて痛みを感じており、階段の上り下りに膝の痛みが増して大変お困りのご様子でした。 患者様のご都合もあり、整形外科になかなか通院できておらずリハビリも行えていませんでした。「手術は避けたい」というご希望から、当院の【次世代の幹細胞治療】を選択されました。 次世代の幹細胞治療とは まず、関節の痛みは、軟骨がすり減りその下にある軟骨下骨が損傷することで生じます。関節軟骨の修復には、この軟骨下骨(土台)を修復させることが重要で、軟骨下骨が多く生成されるほど軟骨の生成も増加します。 【次世代の再生医療】では、幹細胞を分化誘導することで軟骨下骨を効率的に修復を促し、従来よりも多くの軟骨を修復することが可能となりました。この独自の培養技術により、痛みの大幅な軽減や関節機能の改善に最大限の効果を発揮できるように導きます。 国内ではほとんどが培養した幹細胞を一度冷凍し、投与する際に解凍する方法をとります。解凍する際には幹細胞は大きなダメージを受け、生存率がかなり低下し、さらに、生きている細胞も弱々しいものとなります。これでは関節にせっかく投与しても十分な軟骨の 修復が果たせなくなってしまいます。 当院では、米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで、1億個以上の数まで生き生きとした細胞の培養が可能です。一般的なクリニックで1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると、細胞数も群を抜いています。当院では生きたまま冷凍せず培養し、さらに化学薬品を使わず無添加で培養します。さまざまな工夫をし、強い細胞を作ることにこだわっています。 <治療効果>股関節と膝関節に幹細胞を投与+PRP 幹細胞投与を行いました。 治療後、患者様の関節の疼痛は10段階中「8」から「4」へと半減。疼痛が軽減したことで、歩行時の負担が軽くなり、階段昇降時の痛みも大きく緩和されました。 患者様は、治療後も日常生活の中で運動機会を意識的に増やし、さらに疼痛軽減を図っています。痛みが軽くなったことで動きやすさが向上し、より活動的な生活を送ることが可能となっていきます。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 監修:院長 坂本貞範
2025.01.24 -
- 股関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
国内で唯一「次世代の幹細胞治療」で、両変形性股関節症に大幅な改善がみられました! 当院は、「次世代の再生医療」とも言われる、【分化誘導】を用いた治療を厚生労働省に届出し受理された、唯一の医療機関です。 文化誘導とは、独自の培養技術を活用し、傷ついた関節軟骨の土台を整え必要な箇所に必要なものを、効率的に修復します。従来の幹細胞治療とは一線を画し、幹細胞治療の効果を最大限に引き出すことで、関節軟骨の大きな修復と改善を実現します。 今後の医療の主流となるこの画期的な治療法で、さらに多くの可能性を切り開きます。 こちらの患者様は、以前から両変形性股関節症の診断を受けており、その症状に悩まされてきました。特に右股関節の状態は悪く、日常生活は何とかこなしていたものの、靴下を履いたり爪を切ったりといった動作に支障をきたし不便さを強く感じておられました。 これまで、整形外科の外来に通院などでリハビリを続けてきましたが、痛みは年々悪化していました。人工関節の手術も検討されましたが、「手術はどうしても避けたい」とのご希望から、幹細胞治療を選択されました。 この方の治療には、国内唯一リペアセルクリニックが提供している治療法である、次世代の再生幹細胞治療を行いました。 次世代の幹細胞治療とは まず、関節の痛みは、軟骨がすり減りその下にある軟骨下骨が損傷することで生じます。関節軟骨の修復には、この軟骨下骨(土台)を修復させることが重要で、軟骨下骨が多く生成されるほど軟骨の生成も増加します。 【次世代の再生医療】では、幹細胞を分化誘導することで軟骨下骨を効率的に修復を促し、従来よりも多くの軟骨を修復することが可能となりました。この独自の培養技術により、痛みの大幅な軽減や関節機能の改善に最大限の効果を発揮できるように導きます。 国内ではほとんどが培養した幹細胞を一度冷凍し、投与する際に解凍する方法をとります。解凍する際には幹細胞は大きなダメージを受け、生存率がかなり低下し、さらに、生きている細胞も弱々しいものとなります。これでは関節にせっかく投与しても十分な軟骨の 修復が果たせなくなってしまいます。 当院では、米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで、1億個以上の数まで生き生きとした細胞の培養が可能です。一般的なクリニックで1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると、細胞数も群を抜いています。当院では生きたまま冷凍せず培養し、さらに化学薬品を使わず無添加で培養します。さまざまな工夫をし、強い細胞を作ることにこだわっています。 レントゲンとMRI所見 <治療効果>両股関節に1億個の幹細胞を3回投与+PRP 治療には、1億個の幹細胞投与を3回行いました。 治療後、患者様の症状には大きな改善が見られました。 股関節の疼痛は、10段階評価で「10」だったものが「4」まで軽減しました。痛みの軽減に伴い動作もしやすくなり、靴下を履いたり、爪を切るといった動作もスムーズになってきています。また、体を動かす際の負担感が軽くなり、さらに動きの改善が実感できるようになったとのことです。 幹細胞治療では、痛みを軽減し関節の修復を促すことで、患者様の日常生活をより豊かにする治療を目指しています。まだ完全な治癒や正常な関節への回復とまでは難しいですが、今回のケースのように、患者様の「日常生活の質を上げる」大きな助けとなることを実感しております。 もし手術を避けたい、あるいはそれ以外の治療法を検討されている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。患者様の現在の状況を丁寧にお伺いし、治療法について詳しくご説明させていただきます。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 監修:院長 坂本貞範
2025.01.24 -
- 肝臓疾患の症例
- 幹細胞治療の症例
幹細胞治療後、肝硬変の腹水が収まる! こちらの患者様は2か月前に尿が出にくくなったため、病院を受診したところ『肝硬変』と診断され、再生医療の可能性に頼って当院を受診していただきました。 肝臓は文字通り、内臓の中で一番大きく肝になる臓器です。その働きはたんぱく質、脂質、糖などの栄養素の貯蓄、アルコールや有害物質の解毒・分解、消化酵素である胆汁の生成です。その肝臓が硬くなり、正常に機能せず肝硬変になると、黄疸、肝性脳症、腹水・浮腫、食道静脈瘤などが引き起こされます。患者様は足のむくみ、腹水、足のこむら返りなどを訴えておられました。 肝硬変の原因には、肝炎ウイルスへの感染、脂肪の摂りすぎによる脂肪肝、お酒の飲みすぎ、自己免疫などがあります。また肝臓は沈黙の臓器とも言われ、肝硬変になって初めて症状が出始めます。そして症状が出た時には肝臓は線維化し硬くなっており、どんな治療をしても元には戻らないと言われています。よって現在の保険診療の治療では、肝硬変に対しての根本的な治療はありません。当院ではそういった肝障害の患者様に対して再生医療を提供してきました。 具体的には、下腹部から採取した脂肪細胞から幹細胞を分離・培養し、幹細胞のホーミング効果を期待して静脈から点滴します。ホーミング効果とは、体内に入った幹細胞が再生を必要としている部位・組織から放出されるシグナルを見つけ出し、その部位・組織に自動的に集まり、目的の細胞に分化したり傷んだ部位・組織を修復することです。肝臓の再生医療において投与された幹細胞は、肝臓の炎症や、硬くなっている細胞を発見し修復させます。そのためには点滴する幹細胞は生きていないとホーミング効果が期待できません。 当院で使用する細胞は当院独自の培養技術によっり、冷凍保存せず投与するたびに培養しているため2回目、3回目に投与する細胞も生存率90%以上の生き生きとしたフレッシュな細胞です。さらに幹細胞に十分なホーミング効果を発揮してもらうには、点滴する幹細胞の数も重要です。 CT所見 投与後の変化 患者様には2億細胞を、計6 回点滴投与しました。一般的な医療機関では1億個の点滴投与となります。 6回目の投与後のエコー検査では、腹水が消失しており、さらに足のむくみも改善しました。血液検査では、肝臓が悪いと少なくなってしまう血小板の値などが改善しました。 患者様には「腹水がなくなってお腹のハリが楽になった」と喜んでいただけました。 肝臓の障害においては保険診療の範囲内で根本的な治療がありません。幹細胞投与であれば根本的治療になりうる可能性があります。肝臓の障害でお困りの方はぜひ当院へご相談ください。 厚生労働省届出済【2億個の幹細胞】投与を実現 2024年1月より、当院では厚生労働省への届出が受理されたことにより、点滴において、一度に2憶個の幹細胞投与が可能となりました。これにより、従来の幹細胞1億個の投与よりも高い治療効果が期待できるようになりました。 <治療費> 幹細胞点滴 投与回数(1回) 242万円(税込) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 再生医療医師監修:坂本貞範
2024.12.13
坂本理事長のブログ
藤間院長のブログ
スタッフブログ
トピックス
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- 脳出血
- 頭部
俳優の下條アトムさんの訃報で注目された「急性硬膜下血腫」。 脳を覆う膜の下に出血し、血腫ができるこの病気は、実は誰にでも起こりうる身近な危険をはらんでいます。日常生活での転倒や交通事故など、一見軽微な外傷でも発症する可能性があり、特に高齢者は注意が必要です。頭痛や吐き気といった初期症状は他の病気と見分けにくいため、早期発見が困難なケースも少なくありません。 この記事では、急性硬膜下血腫の原因、症状、診断方法、そして治療法や予後まで、詳しく解説していきます。ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ一度、急性硬膜下血腫について理解を深めてみませんか? 急性硬膜下血腫とは?原因・症状・診断 突然ですが、皆さんは「急性硬膜下血腫」という病気を聞いたことがありますか? これは、脳を覆う膜の一つである硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう病気です。実は、俳優の下條アトムさんもこの病気で亡くなられました。 「脳の病気」と聞くと、どこか遠い世界の話のように感じてしまうかもしれません。しかし、日常生活での転倒や交通事故など、誰にでも起こりうる原因で発症する可能性がある病気なのです。 今回は、急性硬膜下血腫について、原因や症状、診断方法などを分かりやすく解説していきます。 急性硬膜下血腫のメカニズム 私たちの脳は、まるで3層構造のヘルメットのように、「硬膜」「くも膜」「軟膜」という3つの膜で守られています。急性硬膜下血腫は、このうち硬膜とくも膜の間に血が溜まってしまう状態です。 頭の外傷によって、脳の表面にある血管、特に「架橋静脈」と呼ばれる脆い血管が損傷し、出血が起こります。この出血が硬膜とくも膜の間に広がり、三日月のような形をした血腫を形成するのです。 この血腫が脳を圧迫することで、様々な神経症状が現れます。さらに、血腫が大きくなると、脳への圧迫が強まり、生命に関わる危険な状態に陥ることもあります。 主な原因:頭部外傷(転倒、交通事故など) 急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部外傷です。交通事故やスポーツ中の衝突など、強い衝撃が加わることで発症することが多いです。 高齢者の場合、骨が脆くなっていたり、バランス感覚が低下していたりするため、軽い転倒でも急性硬膜下血腫を発症するリスクがあります。若い世代に比べて、高齢者の硬膜下腔は広く、架橋静脈も伸びやすくなっているため、比較的軽い外傷でも架橋静脈が損傷しやすく、急性硬膜下血腫を発症しやすいのです。 また、一度の強い衝撃だけでなく、繰り返し頭部に軽い外傷を受けることでも発症する可能性があります。例えば、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで、何度も頭部に衝撃を受けていると、気づかないうちに急性硬膜下血腫を発症しているケースもあるのです。 気づきにくい症状:頭痛、吐き気、意識障害など 急性硬膜下血腫の初期症状は、頭痛、吐き気、嘔吐など、風邪や他の病気と間違えやすい症状であることが多く、見逃してしまう可能性があります。 また、症状の現れ方には個人差があり、軽微な場合や、数時間から数日経ってから現れる場合もあります。特に高齢者の場合、症状をうまく伝えられないケースもあるため、周囲の人が注意深く観察することが重要です。 意識障害は、初期には軽度で、時間経過とともに悪化していくこともあります。「いつもよりぼんやりしている」「反応が鈍い」などの変化に気づいたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。急性硬膜下血腫は、初期の段階では症状が軽微であるため、発見が遅れてしまうことが少なくありません。しかし、適切な治療を行わないと、意識障害が進行し、最悪の場合、死に至る可能性もあります。 下條アトムさんの事例 俳優の下條アトムさんは、自宅で転倒し、頭を強打したことが原因で急性硬膜下血腫を発症し、亡くなりました。下條さんの事例は、高齢者にとって転倒がいかに危険であるかを改めて私たちに教えてくれました。 高齢者の場合、若い人に比べて骨が脆くなっていたり、バランスを崩しやすくなっていたりするため、転倒のリスクが高くなります。自宅での転倒予防対策を徹底的に行うことが重要です。具体的には、家の中の段差をなくしたり、手すりを設置したり、滑りにくい床材を使用したりするなど、転倒のリスクを減らす工夫をしましょう。 診断方法:CT検査、MRI検査 急性硬膜下血腫の診断には、CT検査とMRI検査が用いられます。CT検査では、硬膜とくも膜の間に三日月型の血腫が確認できます。MRI検査は、CT検査よりも詳細な画像を得ることができ、脳の状態をより詳しく把握するのに役立ちます。 急性硬膜下血腫は一刻を争う病気です。迅速な診断と適切な治療開始のために、これらの検査は非常に重要です。 慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血との違い 急性硬膜下血腫と似たような病気に、慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血などがあります。これらの病気は、出血の場所や症状、治療法が異なります。 慢性硬膜下血腫:急性と異なり出血がゆっくり進むため、症状が現れるまでに数週間から数ヶ月かかる場合があります。 くも膜下出血:くも膜と軟膜の間に出血が起こる病気です。バットで殴られたような激しい頭痛が特徴です。 脳内出血:脳の実質内に出血が起こる病気です。高血圧が主な原因となります。 それぞれの病気の特徴を理解しておくことが大切です。 急性硬膜下血腫の治療法と予後 下條アトムさんの訃報は、急性硬膜下血腫という病気を多くの方に知らしめるきっかけとなりました。この病気は、頭部外傷により脳を覆う硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう深刻な疾患です。 「血腫」と聞くと、すぐに手術が必要なのでは?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回は急性硬膜下血腫の治療法と予後について、患者さんの不安を少しでも和らげられるよう、詳しく解説します。 外科的治療:開頭血腫除去術、穿頭血腫ドレナージ術 急性硬膜下血腫の治療は、大きく分けて外科的治療と保存的治療の2種類があります。外科的治療は、文字通り手術によって血腫を取り除く方法です。 主な手術方法には、「開頭血腫除去術」と「穿頭血腫ドレナージ術」があります。 開頭血腫除去術は、頭蓋骨の一部を切開し、直接血腫を取り除く方法です。血腫が大きく、脳への圧迫が強い場合に有効です。より確実な血腫除去が可能ですが、身体への負担は大きくなります。 一方、穿頭血腫ドレナージ術は、ドリルで頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから細い管を入れて血腫を吸引する方法です。開頭血腫除去術に比べて身体への負担が少ないため、高齢者や全身状態が良くない方にも行われます。しかし、血腫が硬かったり、複雑な形状をしている場合は、完全に取り除くことが難しい場合もあります。 どちらの手術方法が適切かは、患者さんの年齢、全身状態、血腫の大きさや位置などを総合的に判断して決定されます。例えば、意識レベルが著しく低下している重症患者さんでは、開頭血腫除去術が選択されることが多いです。これは、開頭することで損傷した脳組織の状態も直接確認できるため、より迅速で適切な処置が可能になるからです。GCSスコアが9未満の昏睡状態の患者さんでは、開頭術が選択されることが多いという研究結果もあります。 保存的治療:経過観察、薬物療法 血腫が小さく、症状が軽い場合は、保存的治療が選択されることもあります。保存的治療は、手術を行わずに、安静、薬物療法、経過観察などによって病状の改善を図る方法です。定期的なCT検査で血腫の大きさや症状の変化を注意深く観察しながら、脳圧を下げる薬や合併症を予防する薬などを用います。 保存的治療は身体への負担が少ないというメリットがありますが、血腫が自然に吸収されるのを待つため、外科的治療に比べて治療期間が長くなる傾向があります。また、症状が急変する可能性もあるため、慎重な経過観察が必要です。 手術のリスクと合併症 どんな手術にもリスクはつきものです。急性硬膜下血腫の手術も例外ではありません。考えられるリスクや合併症には、感染症、出血、脳腫脹、麻酔による合併症などがあります。 高齢者や持病のある方は、これらのリスクが高まる可能性があります。手術を受けるかどうかは、担当医と十分に話し合い、メリットとデメリットを理解した上で、最終的に患者さん自身が決めることが重要です。 治療期間と入院期間 治療期間と入院期間は、患者さんの状態や治療方法によって大きく異なります。軽症の場合は数週間で退院できる場合もありますが、重症の場合は数ヶ月かかることもあります。また、後遺症が残った場合は、リハビリテーションが必要となり、さらに長期間の入院が必要になる場合もあります。 後遺症(麻痺、言語障害、認知機能障害など) 急性硬膜下血腫では、麻痺、言語障害、認知機能障害などの後遺症が残る可能性があります。後遺症の重症度は、血腫の大きさや脳へのダメージの程度、治療のタイミングなどによって大きく左右されます。 日常生活に支障が出るほどの後遺症が残ってしまう場合もあります。そのため、後遺症を最小限に抑えるためには、早期発見・早期治療が何よりも重要です。 予後(社会復帰、生活への影響) 急性硬膜下血腫の予後は、意識障害の程度と深く関係しています。意識障害が重症の場合、残念ながら死亡率が高く、社会復帰が困難になることもあります。軽症の場合でも、後遺症が残る可能性があり、日常生活や社会生活への影響は避けられません。 ある研究では、急性硬膜下血腫の死亡率は65%にも達すると報告されています。また、社会復帰できる割合は18%程度と低いという結果も出ています。高齢者や手術前に抗凝固薬や抗血小板薬を服用していた患者さんでは、特に予後が悪化する傾向があります。 急性硬膜下血腫の死亡率 急性硬膜下血腫は、迅速な診断と適切な治療が求められる深刻な病気です。死亡率は高く、早期に適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性があります。 特に高齢者では、頭部外傷による急性硬膜下血腫のリスクが高いため、転倒などの事故には十分に注意する必要があります。 少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期発見・早期治療が、予後を改善し、社会復帰の可能性を高めることに繋がります。 まとめ 急性硬膜下血腫は、頭部外傷による脳への出血で、深刻な症状を引き起こす可能性があります。特に高齢者は転倒などで発症しやすく、下條アトムさんの事例からもわかるように、命に関わる危険な病気です。 頭痛や吐き気など、初期症状は分かりにくいため、少しでも異変を感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。CTやMRI検査で診断し、血腫の大きさや症状に応じて手術や保存的治療を行います。後遺症が残る可能性もあり、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。日常生活での転倒予防など、意識して対策を行いましょう。 参考文献 Vega RA, Valadka AB. "Natural History of Acute Subdural Hematoma." Neurosurgery clinics of North America 28, no. 2 (2017): 247-255. Karibe H, Hayashi T, Hirano T, Kameyama M, Nakagawa A, Tominaga T. "Surgical management of traumatic acute subdural hematoma in adults: a review." Neurologia medico-chirurgica 54, no. 11 (2014): 887-94. Bullock MR, Chesnut R, Ghajar J, Gordon D, Hartl R, Newell DW, Servadei F, Walters BC, Wilberger JE and Surgical Management of Traumatic Brain Injury Author Group. "Surgical management of acute subdural hematomas." Neurosurgery 58, no. 3 Suppl (2006): S16-24; discussion Si-iv.
2025.02.13 -
- 免疫細胞療法
- 内科疾患
子供の頃の水ぼうそう、覚えていますか?実は、あの時のウイルスが潜伏し、再び牙を剥くことがあるのです。それが「帯状疱疹」。50歳以上の方、免疫力が低下している方は特に注意が必要です。 放置すると、帯状疱疹後神経痛といった後遺症に悩まされることも。 この記事では、帯状疱疹の初期症状から合併症、治療法、ワクチン接種まで、徹底的に解説します。あなたの健康を守るための知識を、今ここで手に入れてください。 帯状疱疹の症状と合併症 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされる病気です。子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再び活動を始めることで発症します。体の片側に現れるピリピリとした痛みと、特徴的な赤い発疹を伴う病気で、体のどこにでも発症する可能性があります。 帯状疱疹の症状を理解することは、早期発見・早期治療につながり、後遺症のリスクを減らすことにもつながります。 帯状疱疹の初期症状:ピリピリとした痛みやかゆみ 帯状疱疹の初期症状で一番多いのは、皮膚のピリピリとした痛みやかゆみです。まるで虫が這っているような、針で刺されたような、ヒリヒリするような感覚など、様々です。時には何も触れていないのに、服が擦れるだけでも痛いと感じることもあります。この痛みやかゆみは、再活性化した帯状疱疹ウイルスが神経に沿って広がることで起こります。ほとんどの場合、片方だけに現れ、左右対称になることはありません。 初期症状は風邪とよく似ていて、発熱や頭痛、倦怠感などを伴うこともあります。そのため、風邪と間違えてしまい、適切な治療が遅れてしまうケースも見られます。 帯状疱疹の特徴的な赤い発疹と水ぶくれ 初期症状の後、数日たつと、赤い発疹が現れます。この発疹は、帯状疱疹の最も特徴的な症状の一つです。赤い発疹は次第に水ぶくれへと変化し、最終的にはかさぶたになって治っていきます。水ぶくれの中にはウイルスが含まれており、破れるとウイルスが拡散し、他の人に水ぼうそうをうつしてしまう可能性があります。ただし、帯状疱疹自体は他の人にうつることはありません。 水痘・帯状疱疹ウイルスは神経に沿って広がるため、発疹も神経に沿って帯状に分布することが多く、これが「帯状疱疹」の名前の由来となっています。 帯状疱疹の痛み:部位や程度、持続期間 帯状疱疹の痛みは、人によって部位や程度、持続期間が大きく異なります。チクチクする軽い痛みから、焼けるような激痛まで、本当に様々です。痛みの程度は、神経へのダメージの大きさや、個人の痛みの感じ方の違いによって変わってきます。 痛みが続く期間も数週間から数ヶ月、場合によっては数年続くこともあります。 帯状疱疹後神経痛:帯状疱疹のつらい後遺症 帯状疱疹の症状が治まった後も、痛みが続くことがあります。これが「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる後遺症です。これは、帯状疱疹ウイルスによって神経がダメージを受けたことが原因で起こります。帯状疱疹後神経痛の痛みは、非常に強く、日常生活に大きな影響を与えてしまうこともあります。服を着ることさえも苦痛に感じたり、夜も眠れないほどの痛みを感じる人もいます。 特に高齢者や免疫力が低下している人は、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクが高いと言われています。高齢、ストレス、他の感染症、免疫抑制が主なリスク要因となります。最近の研究では、COVID-19ワクチン接種後にも帯状疱疹の再活性化が観察されているという報告もあります。 その他の合併症:髄膜炎、脳神経麻痺など 帯状疱疹は、皮膚の症状だけでなく、様々な合併症を引き起こす可能性があります。まれに、髄膜炎(脳と脊髄を覆う膜の炎症)や脳神経麻痺(脳神経の機能障害)、 Ramsay Hunt症候群(顔面神経麻痺)や眼の合併症、血管炎、腎臓や消化器系の合併症などの重篤な合併症が起こることがあります。 顔面に帯状疱疹が出た場合は、視力や聴力に影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。 帯状疱疹の治療と予防 帯状疱疹は、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。体の片側に現れるピリピリとした痛み、赤い発疹、水ぶくれなどの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 抗ウイルス薬による治療:アシクロビル、バラシクロビルなど 帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬が第一選択となります。ウイルスを直接攻撃し、その増殖を抑えることで、症状の悪化を防ぎ、治癒を促進します。抗ウイルス薬は、発疹出現後72時間以内に服用を開始するのが最も効果的です。具体的には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがよく用いられます。 これらの薬剤は、ウイルスのDNAポリメラーゼという酵素の働きを阻害することで、ウイルスの複製を抑制します。これにより、ウイルスの増殖を抑え、症状の進行を食い止めます。処方された抗ウイルス薬は、指示された用法・用量を厳守し、最後まで飲み切ることが重要です。自己判断で中断すると、症状が再発したり、ウイルスが耐性を持つ可能性があります。 医師の指示に従わずに服薬を中断すると、治療効果が十分に得られないばかりか、薬剤耐性ウイルスの出現を招き、再発時の治療が困難になる可能性があります。 痛み止め:鎮痛薬や神経ブロック注射 帯状疱疹に伴う痛みは、患者さんにとって大きな負担となります。場合によっては非常に強い痛みを感じることもあります。日常生活に支障が出るほどの痛みには、鎮痛薬の使用を検討します。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの市販薬で対応できることもありますが、痛みが強い場合は、医療機関を受診し、より強力な鎮痛薬を処方してもらう必要があるかもしれません。 神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経に直接局所麻酔薬やステロイド薬を注射する治療法です。神経の興奮を抑え、痛みを緩和する効果が期待できます。痛みが特定の部位に限局している場合や、他の治療法で効果が不十分な場合に有効です。 神経ブロック注射は即効性がありますが、効果の持続期間は個人差があります。場合によっては、複数回の注射が必要となることもあります。 家庭でのケア:患部の清潔を保つ、刺激を避ける 薬物療法に加えて、家庭でのケアも重要です。適切なケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、治癒を促進することができます。患部は清潔に保ち、刺激を避けるように心がけましょう。 患部の清潔:シャワーや入浴時に、患部を清潔な石鹸と水で優しく洗いましょう。ゴシゴシこすったり、タオルで強く拭いたりすると、皮膚が傷つき、症状が悪化する可能性があります。 刺激の回避:患部に衣服が擦れたり、刺激の強い石鹸や化粧品を使用したりするのは避けましょう。また、患部にテープを貼る際は、皮膚への負担が少ないものを選び、剥がす際にはゆっくりと丁寧に行うようにしてください。 患部を冷やすと、痛みやかゆみが和らぐことがあります。清潔なタオルで包んだ保冷剤や氷嚢を患部に当てて、1回15分程度、1日に数回冷やすのが効果的です。 帯状疱疹ワクチン:種類、効果、費用、副反応 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)によって引き起こされます。子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、体内の神経に潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再活性化することで発症します。帯状疱疹ワクチンは、このウイルスの再活性化を抑えることで、帯状疱疹の発症リスクを低減します。 現在、日本では不活化ワクチンである組換え帯状疱疹ワクチンが使用されています。2回の接種が必要で、2回目は1回目の接種から2~6ヶ月後に接種します。 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症を完全に予防できるわけではありませんが、発症リスクを有意に減少させる効果が確認されています。また、発症した場合でも、症状を軽くしたり、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを低減したりする効果も期待できます。 副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫れなどがみられることがありますが、通常は数日で軽快します。 ワクチン接種の推奨年齢とタイミング 帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の方、または免疫機能が低下している19歳以上の方への接種が推奨されています。特に高齢者や免疫力が低下している方は、帯状疱疹を発症するリスクが高いため、ワクチン接種を検討することが重要です。 スペインでは、生ワクチンと組換えワクチンの2種類のワクチンが使用されています。組換えワクチンは免疫不全の方にも接種可能です。ただし、ワクチンの適応や公的支援については地域差があるため、詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。 帯状疱疹に関するよくある質問 帯状疱疹は、誰しもが経験する可能性のあるありふれた病気です。適切な治療を受ければ多くの場合、治すことができますが、放置すると後遺症として神経痛が残る場合があります。そのため、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをお勧めします。 帯状疱疹は人にうつる?感染経路と注意点 帯状疱疹自体は、他の人にうつる病気ではありません。しかし、帯状疱疹の原因となるウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)は、水ぼうそうを引き起こすウイルスと同じです。そのため、帯状疱疹の赤い水ぶくれの中には、水ぼうそうのウイルスが含まれています。 帯状疱疹を発症している人と接触し、この水ぶくれが破れてウイルスが皮膚に直接触れることで、水ぼうそうにかかったことのない人が水ぼうそうに感染する可能性があります。 特に、妊娠中の女性や免疫力が低下している人は、水ぼうそうに感染すると重症化のリスクがあるため、十分な注意が必要です。帯状疱疹を発症している場合は、水ぶくれを触らない、清潔を保つ、水ぼうそうにかかったことのない人や抵抗力が弱い方との接触を控えるなど、周囲への配慮を心がけましょう。 帯状疱疹になったら仕事や学校はどうする? 帯状疱疹になったら、症状の程度に合わせて、仕事や学校を休むかどうかを判断する必要があります。発熱や痛みが強い場合は、安静にして休養することが重要です。皮膚症状が強い場合も、周囲に水ぼうそうをうつしてしまうリスクを減らすため、症状が落ち着くまで仕事や学校を休むことが望ましいでしょう。 仕事や学校を休む期間は、症状の程度や回復状況によって異なります。医師と相談し、適切な期間を決めるようにしましょう。 帯状疱疹の再発は予防できる? 帯状疱疹は、一度かかると再発する可能性がある病気です。特に、加齢や免疫力の低下、過労やストレスなどが再発の要因となることがあります。VZVは、非常に効果的なワクチンが利用可能な唯一の人間ヘルペスウイルスであると報告されていますが、水痘ワクチンを接種していたとしても、帯状疱疹を発症する可能性はあります。 帯状疱疹の再発を予防するためには、健康的な生活習慣を心がけ、免疫力を高めることが大切です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、ストレスをため込まないようにしましょう。規則正しい生活とストレス軽減は、免疫機能の維持に役立ちます。 帯状疱疹の治療にかかる費用は?保険適用について 帯状疱疹の治療は健康保険が適用されます。費用は医療機関や治療内容、受診回数によって異なりますが、初診料、再診料、検査費用、薬剤費用などが含まれます。自己負担額は、加入している保険の種類や年齢によって異なります。3割負担の場合は、医療費の3割を自己負担することになります。 高額療養費制度を利用できる場合もあります。医療費の負担が心配な場合は、医療機関の窓口に相談してみましょう。 帯状疱疹の専門医はどこで探せる? 帯状疱疹の専門医は、皮膚科、ペインクリニックなどで探すことができます。日本皮膚科学会のウェブサイトなどで、専門医を検索することも可能です。「帯状疱疹 専門医」などのキーワードでインターネット検索することでも、情報を得ることができます。 かかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医に相談して、専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。 参考文献 Molero García JM, Moreno Guillén S, Rodríguez-Artalejo FJ, Ruiz-Galiana J, Cantón R, De Lucas Ramos P, García-Botella A, García-Lledó A, Hernández-Sampelayo T, Gómez-Pavón J, González Del Castillo J, Martín-Delgado MC, Martín Sánchez FJ, Martínez-Sellés M and Bouza E. "Status of Herpes Zoster and Herpes Zoster Vaccines in 2023: A position paper." Revista espanola de quimioterapia : publicacion oficial de la Sociedad Espanola de Quimioterapia 36, no. 3 (2023): 223-235. Gershon AA, Breuer J, Cohen JI, Cohrs RJ, Gershon MD, Gilden D, Grose C, Hambleton S, Kennedy PG, Oxman MN, Seward JF and Yamanishi K. "Varicella zoster virus infection." Nature reviews. Disease primers 1, no. (2015): 15016. Patil A, Goldust M and Wollina U. "Herpes zoster: A Review of Clinical Manifestations and Management." Viruses 14, no. 2 (2022): . 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.12 -
- その他、整形外科疾患
「足のしびれ」…とても気になりますよね。その裏には、糖尿病や腰椎椎間板ヘルニアといった病気が潜んでいることもあるのをご存知でしょうか? 実は、足のしびれは、初期症状として現れることが多いのです。この記事では、足のしびれの原因となる代表的な5つの病気を、医師の視点から詳しく解説します。簡単なセルフチェックの方法もご紹介しますので、ぜひ読み進めてみてください。 足のしびれの原因となる病気5選 足のしびれ。それは誰もが一度は経験するありふれた症状です。しかし、その裏には深刻な病気が潜んでいる可能性があることを忘れてはいけません。 糖尿病性神経障害 糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる病気です。この高血糖状態が続くと、血管や神経がダメージを受け、しびれなどが出てきます。その中でも、足のしびれは糖尿病性神経障害の初期症状としてよく見られます。 初期のしびれは、まるで靴下を履いているような感覚の鈍さや、足先がピリピリするといった軽いものから始まります。多くの患者さんは「気のせいかな?」と軽く考えてしまいがちですが、放置すると症状は徐々に進行し、やがて激しい痛みや灼熱感、あるいは逆に全く何も感じなくなる症状も出てきます。 糖尿病性神経障害は、血糖コントロールの状態と密接に関係しています。適切な治療を行わずに高血糖状態が続けば、神経障害は進行し、取り返しのつかない結果を招く可能性があります。 腰椎椎間板ヘルニア 椎体と椎体の間には、クッションの役割を果たす椎間板が存在します。この椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することで、腰や足に痛みやしびれが生じるのが腰椎椎間板ヘルニアです。 腰椎椎間板ヘルニアによる足のしびれは、片側の足に起こることが多く、神経が圧迫される部位によって症状の出方も様々です。例えば、坐骨神経が圧迫されると、お尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけて、痛みやしびれが生じます。 くしゃみや咳など、お腹に力が入る動作で症状が悪化することも特徴です。また、重症になると、足に力が入りにくくなったり、膀胱直腸障害が出たりすることもあります。 脊柱管狭窄症 脊柱管とは、背骨の中を通る神経の通り道です。加齢やその他の要因によってこの脊柱管が狭くなり、神経を圧迫することで、腰や足に痛みやしびれが生じるのが脊柱管狭窄症です。 脊柱管狭窄症の特徴的な症状は「間欠性跛行」です。これは、しばらく歩くと足がしびれて歩けなくなるものの、少し休むとまた歩けるようになるという現象です。まるで一定の距離を歩くと休憩が必要なように感じられます。 進行すると、頻尿や便秘などが現れることもあります。また、馬尾症候群という重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。馬尾症候群は、腰仙骨部における神経の束である馬尾が圧迫されることで、両足のしびれや麻痺、膀胱直腸障害などを引き起こす緊急性の高い疾患です。 末梢神経障害 末梢神経障害は、脳や脊髄から枝分かれした末梢神経が様々な原因で障害されることで、手足にしびれや痛み、筋力低下などの症状が現れる病気の総称です。糖尿病やアルコールの過剰摂取、ビタミン欠乏、特定の薬剤の副作用などが原因で発症します。 末梢神経障害の症状は、手足の末端から現れ、次第に中心に向かって広がっていく「ストッキングとグローブ」型の分布を示す場合があります。初期には、手足の指先にジンジンする、ピリピリするといった感覚異常が現れます。進行すると、しびれの範囲が広がり、痛みや灼熱感、冷感、触覚の過敏などが現れることもあります。 原因によって治療法が異なるため、自己判断で対処せず、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。末梢神経障害の有病率は人口の1%から7%と決して少なくなく、特に50歳以上では増加する傾向があります。 馬尾症候群 馬尾症候群は、腰椎の下部にある馬尾神経が圧迫されることで、両足のしびれや痛み、排尿・排便障害などの症状が現れる病気です。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腫瘍などが原因となることが多いとされています。場合にっては、手術が必要になり、迅速な診断と対応が不可欠です。 腰痛や足のしびれなどから始まり一般的な鎮痛薬が効かない場合や、特に尿閉を伴う場合は、馬尾症候群の可能性を強く疑う必要があります。馬尾症候群は比較的まれな疾患ですが、放置すると神経が不可逆的な損傷を受け、後遺症が残る可能性があります。 一刻も早い診断と治療開始が予後を大きく左右するため、少しでも気になる症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。 足のしびれのセルフチェック3つの方法 足のしびれは、多くの人が経験する症状ですが、その原因は様々です。深刻な病気が隠れているケースもあるため、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。まずは、ご自身の状態を把握するために、以下の3つのセルフチェックを行ってみましょう。 どの指がしびれているか確認する 足のどの指がしびれているかを確認することは、原因特定の重要な手がかりとなります。 神経は、それぞれ特定の領域を支配しています。この支配領域をdermatome(皮膚分節)と言います。例えば、腰から出ている神経(腰神経)は、足の様々な領域を支配しており、しびれの場所によって、どの腰神経が影響を受けているかを推測することができます。 ・親指、人差し指、中指にしびれがある場合:L4という第4腰椎から出る神経が損傷 薬指と小指にしびれがある場合:L5という第5腰椎から出る神経損傷 足の裏全体がしびれている場合:S1という第1仙椎から出る神経が損傷 もちろん、必ずしもこの通りになるとは限りません。複数の神経が同時に影響を受けている場合や、腰ではなく、より末梢の神経が影響を受けている場合もあります。 さらに、末梢神経障害の場合、手足の末端から症状が現れ、次第に中心に向かって広がっていく「ストッキングとグローブ」型の分布を示すことがあります。これは、手足の最も遠い部分から神経障害が始まり、徐々に体幹に向かって広がっていくためです。 どの指がしびれているかを記録しておくことで、医師に伝えるべき重要な情報となります。 しびれの範囲を確認する しびれは、足先だけですか?それとも、足全体、あるいは太ももやお尻まで及んでいますか? しびれの範囲も、原因を特定する上で重要な情報です。範囲が狭い場合は、特定の末梢神経の圧迫などが考えられます。例えば、腓骨神経麻痺は下肢で最も一般的な絞扼性神経障害であり、多くの場合、神経が腓骨頭レベルで圧迫されることで発症し、足首が上がらなくなる足下垂が生じます。 逆に、範囲が広い場合は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの可能性が高くなります。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨のクッションである椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することで激しい痛みやしびれを引き起こします。また、脊柱管狭窄症では、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、間欠性跛行と呼ばれる、しばらく歩くと足がしびれて歩けなくなるものの、少し休むとまた歩けるようになるという特徴的な症状が現れます。 しびれの範囲を具体的に記録しておきましょう。「右足」「足の甲」「くるぶしより上」のように、左右、場所、範囲を記録しておくと、医師とのコミュニケーションがスムーズになります。 動作によってしびれが悪化するか確認する しびれは、常に同じように感じますか?特定の動作によって悪化したり、軽減したりしますか? 動作との関連を確認することで、原因の特定に役立ちます。例えば、長時間立っていたり、歩いたりすることでしびれが悪化する場合は、脊柱管狭窄症の可能性があります。前屈して悪化する場合は、腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。逆に、安静時にしびれが強く、動くと楽になる場合は、血行不良が原因となっている可能性もあります。 症状が強くなる動き、軽減する動きを具体的に記録しておきましょう。「10分歩くとしびれ始める」「座ると楽になる」のような感じです。 これらのセルフチェックは、あくまでご自身の状態を把握するためのものです。 参考文献 Jin PH. "When Is It Not Diabetic Neuropathy? Atypical Peripheral Neuropathies, Neurologic Mimics, and Laboratory Work-up." Clinics in geriatric medicine 37, no. 2 (2021): 269-277. Castelli G, Desai KM, Cantone RE. "Peripheral Neuropathy: Evaluation and Differential Diagnosis." American family physician 102, no. 12 (2020): 732-739. Viigimaa M, Sachinidis A, Toumpourleka M, Koutsampasopoulos K, Alliksoo S, Titma T. "Macrovascular Complications of Type 2 Diabetes Mellitus." Current vascular pharmacology 18, no. 2 (2020): 110-116. Hu YE, Ho GWK, Tortland PD. "Deep Gluteal Syndrome: A Pain in the Buttock." Current sports medicine reports 20, no. 6 (2021): 279-285. Spector LR, Madigan L, Rhyne A, Darden B 2nd, Kim D. "Cauda equina syndrome." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 16, no. 8 (2008): 471-9. Poage C, Roth C, Scott B. "Peroneal Nerve Palsy: Evaluation and Management." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 24, no. 1 (2016): 1-10. 監修医師 リペアセルクリニック 理事長 医師 坂本貞範
2025.02.12 -
- ひざ関節
- 股関節
人工関節手術。それは、痛みや動きの制限からの解放、そして活動的な人生への回帰を約束する希望の光です。日本では年間約20万件もの人工関節手術が行われており、多くの人々がこの手術によって人生の質を向上させています。しかし、手術後のリハビリや仕事復帰、日常生活における注意点など、気になる点も多いのではないでしょうか? この記事では、人工関節手術後のリハビリテーションから仕事復帰、そして日常生活の注意点まで、整形外科医師が詳しく解説します。具体的なリハビリの段階や内容、痛みの管理、合併症の予防、そして職場復帰支援制度の活用方法まで、網羅的にご紹介します。手術を控えている方、手術後の方、そしてそのご家族の方々にとって、きっと有益な情報となるでしょう。さあ、人工関節手術後の明るい未来への扉を開きましょう。 人工関節手術後のリハビリと仕事復帰までの流れ 人工関節手術は、激しい関節痛や動きの制限を改善し、より快適な生活を送るための重要な一歩です。手術を受ける決断は大きなものですが、その先には、リハビリテーションを通じて少しずつ身体の機能を取り戻し、再び活動的な日々を送る未来が待っています。 この手術は、まるで身体に新しい部品を組み込むような大がかりなものです。術後の経過は人それぞれとなります。焦らず、一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。リハビリテーションと仕事復帰までの道のりについて、一緒に確認していきましょう。 リハビリテーションの段階と内容 リハビリテーションは、手術直後から始まります。初期のリハビリは、ベッドの上でできる簡単な運動からスタートし、徐々に難易度を上げていきます。術後のリハビリテーションは、術後の回復を促進し、合併症を予防するために非常に重要です。 術後早期(術後1日目~): この時期は、手術の侵襲による身体への負担が大きいため、安静が最優先されます。しかし、安静にしすぎることで血栓症や肺炎などの合併症のリスクが高まるため、ベッド上でもできる運動が推奨されます。具体的には、足首の運動、深呼吸、寝返りなどです。これらの運動は、血液循環を促進し、呼吸機能を維持するのに役立ちます。 術後1~2週間: 痛みが徐々に軽減し始め、より積極的なリハビリテーションが開始されます。ベッド上での運動に加えて、座位、立位、歩行練習などが行われます。この段階では、関節可動域の拡大と筋力強化を図ることが目標です。理学療法士の指導のもと、杖や歩行器などの補助具を使用しながら、徐々に歩行距離を伸ばしていきます。 術後2~4週間: 歩行が安定してくると、日常生活動作の練習が中心となります。歩行器や杖を使った歩行練習、階段昇降、トイレへの移動、着替えなど、日常生活に必要な動作を繰り返し練習することで、自宅での生活にスムーズに戻れるよう準備していきます。 術後1~3ヶ月: この時期になると、さらに積極的なリハビリテーションプログラムが組まれます。自転車エルゴメーターや水中歩行など、関節への負担が少ない運動を取り入れながら、関節可動域の維持・拡大、筋力強化を図ります。また、退院後の生活を見据え、趣味や軽い運動なども徐々に再開していきます。 リハビリテーションの内容は、一人ひとりの状態に合わせて調整されます。年齢、手術前の活動レベル、合併症の有無など、様々な要因が考慮されます。理学療法士などの専門家と相談しながら、無理なく進めていきましょう。最新の研究では、Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)というプログラムが注目されており、術前から術後の包括的な管理を行うことで、より早期の回復と社会復帰を目指しています。 痛みの管理と合併症の予防 人工関節手術後は、痛みや腫れが出ることがあります。これは手術による組織の損傷や炎症反応によるもので、自然な経過です。しかし、痛みを我慢しすぎると、リハビリテーションへの意欲が低下し、回復が遅れてしまう可能性があります。 痛みの管理には、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。薬物療法としては、痛み止め(鎮痛剤)や消炎鎮痛剤が処方されます。医師や看護師の指示に従って、正しく服用しましょう。非薬物療法としては、冷却や温罨法、マッサージなどがあります。 人工関節手術後の合併症として、感染症、血栓症、脱臼、人工関節の緩みなどが挙げられます。感染症は、手術部位に細菌が侵入することで起こります。血栓症は、手術後に血栓(血液の塊)ができて血管を詰まらせてしまうことです。脱臼は、人工関節が本来の位置からずれてしまうことです。人工関節の緩みは、人工関節が骨にしっかりと固定されなくなってしまうことです。 これらの合併症を予防するために、清潔を保ち、医師の指示に従った予防策を講じることが重要です。定期的な創部の観察と消毒、弾性ストッキングやフットポンプの使用、早期離床と適度な運動などが有効です。 仕事復帰までの期間と流れ 仕事復帰までの期間は、仕事内容や回復状況によって大きく異なります。事務職であれば術後数週間で復帰できる場合もありますが、肉体労働など身体に負担のかかる仕事の場合は、数ヶ月かかることもあります。 仕事復帰までの流れとしては、まず主治医との相談が重要です。現在の身体の状態やリハビリテーションの進捗状況を踏まえ、仕事復帰の時期や方法について話し合います。職場の上司や同僚との連携も大切です。仕事復帰に向けて、職場環境の調整(勤務時間、業務内容など)が必要となる場合もあります。必要な場合は、産業医への相談も検討します。 焦らずに、自分のペースで復帰を目指しましょう。復帰後も、定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行うことが重要です。 職場復帰支援制度の活用 仕事復帰に向けて、さまざまな支援制度を活用することができます。傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ場合に、生活費の一部を補填する制度です。高齢者の医療の確保に関する法律は、75歳以上の方の医療費自己負担割合を軽減する制度です。障害年金は、病気やケガによって障害が残った場合に、生活を保障するための制度です。 これらの制度は、経済的な不安を軽減し、安心してリハビリテーションに専念するために役立ちます。必要に応じて、主治医やソーシャルワーカーに相談してみましょう。 人工関節手術後の生活と注意点 人工関節手術は、痛みや動きの制限から解放され、活動的な生活を取り戻すための大きな一歩です。しかし、手術を受けた後も、新しい関節と長く付き合っていくためには、日常生活での注意点と工夫が欠かせません。まるで身体に新しい相棒を迎えたように、その特徴を理解し、適切に扱うことで、より快適で安心な生活を送ることができるでしょう。 日常生活の注意点と工夫 人工関節は、自分の骨と完全に一体化しているわけではありません。そのため、過度な負担や不適切な動きは、人工関節の寿命を縮めたり、脱臼などの合併症を引き起こす可能性があります。日常生活では、以下の点に注意しながら、人工関節を大切に扱いましょう。 1. 人工関節への負担を減らす工夫 重いものを持つ: 買い物かごやリュックサックなどを活用し、片側だけに負担がかからないようにしましょう。どうしても重いものを持ち上げる必要がある場合は、膝を曲げて腰を落とした姿勢で、両手で持ち上げるようにしてください。 無理な姿勢: 中腰での作業や、足を組む、あぐらをかくといった姿勢は、人工関節に負担をかけるだけでなく、脱臼のリスクも高めます。なるべく避け、どうしても必要な場合は時間を短くし、休憩を挟むようにしましょう。 同じ姿勢を長時間続ける: デスクワークや車の運転など、同じ姿勢を長時間続ける場合は、1時間ごとに立ち上がって軽いストレッチをする、足を動かすなど、血行を促進し、関節の柔軟性を保つように心がけましょう。 和式トイレ: 和式トイレは、股関節を深く曲げる必要があるため、人工関節に大きな負担がかかり、脱臼のリスクも高まります。可能であれば、洋式トイレを使用するか、和式トイレに補助具を設置するなど、工夫しましょう。 入浴: 入浴は、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果があるため、積極的に行いましょう。ただし、滑りやすい場所なので、手すりや滑り止めマットなどを設置し、転倒防止に十分注意してください。また、湯船の出入りは、ゆっくりと行い、急な動作は避けましょう。 2. 転倒防止 転倒は、人工関節に大きな衝撃を与え、破損や脱臼の原因となる可能性があります。家の中だけでなく、外出先でも転倒のリスクを意識し、予防策を講じることが重要です。具体的には、床に物を置かない、段差に注意する、滑りにくい靴を履く、階段では手すりを持つ、など、基本的なことを徹底しましょう。夜間は足元を明るくし、必要に応じて杖や歩行器を使用することも有効です。 3. 感染症の予防 人工関節は、感染症に弱いため、傷口のケアや衛生管理には特に気を配る必要があります。傷口は清潔に保ち、医師の指示に従って適切な処置を行いましょう。また、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、人工関節に感染が波及するリスクがあるため、手洗いやうがい、マスクの着用など、感染予防を徹底することが大切です。歯科治療を受ける際も、人工関節手術を受けたことを必ず伝え、抗菌薬の予防投与が必要かどうか相談しましょう。 スポーツや趣味の再開時期 人工関節手術後、日常生活動作が問題なく行えるようになったら、スポーツや趣味の再開を検討することができます。人工膝関節全置換術(TKA)と人工股関節全置換術(THA)を受けた患者さんには、フォーマルな監督下での活動プログラムだけでなく、非監督下での活動も推奨されています。これは、ご自身のペースで、日常生活の中で身体を動かすことが重要であるということです。 しかし、すべてのスポーツがすぐに再開できるわけではありません。激しい運動や、関節に大きな負担がかかる運動は、人工関節の寿命を縮めたり、合併症を引き起こす可能性があります。再開する際は、必ず主治医に相談し、許可を得てから行うようにしましょう。 許可される運動(例): ウォーキング、水泳、サイクリング、ゴルフ、卓球など。これらの運動は、関節への負担が比較的少なく、筋力や柔軟性を維持・向上させる効果があります。 禁止される運動(例): ジョギング、サッカー、バスケットボール、スキー、スノーボードなど。これらの運動は、関節への衝撃が大きく、人工関節に負担がかかりすぎるため、避けるべきです。 スポーツや趣味を再開する際には、以下の点に注意しましょう。 痛みが生じる場合は、無理せず中止する 徐々に運動強度や時間を増やしていく 適切なウォーミングアップとクールダウンを行う 定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行う 手術前の活動レベルに回復するには個人差がありますが、焦らず、医師の指示に従いながら、徐々に活動レベルを上げていくことが重要です。 まとめ 人工関節手術後、仕事に復帰するには、リハビリテーションと日常生活の注意点、そして職場復帰支援制度の活用が重要です。 手術後は、段階的なリハビリを通して身体機能の回復を目指します。 日常生活では、人工関節への負担を減らす工夫や転倒防止、感染症予防を心がけ、スポーツや趣味の再開は医師と相談の上、徐々に進めていきましょう。 仕事復帰までの期間は仕事内容や回復状況によって異なり、職場との連携も大切です。 焦らず、自分のペースで復帰を目指し、様々な支援制度を活用しながら、快適な生活を取り戻しましょう。 参考文献 Soffin EM, Wainwright TW. 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2025.02.11