専門医が語る、選ばれる再生医療
の安全性と秘密
【再生医療】治療の新たな選択肢に!
低リスクで元の元気な体に戻る治療法をプロがお話します!
なぜ!?当院が選ばれるのか??
そこには幹細胞の強さに秘密があった!!
独自の培養技術について詳しく解説を行います。
症例紹介
東京・大阪・札幌の3院で、変形性関節症、脳卒中後遺症、脊髄損傷など、さまざまな疾患で改善を実感された症例をご紹介します。
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- 脳神経・脊髄の症例
- 頚椎・腰椎ヘルニア・狭窄症・脊髄損傷・脊髄梗塞・脊髄炎などの症例
- 幹細胞治療の症例
膝下全体のしびれが指先のみになった80代男性の腰部脊柱管狭窄症再生治療 「入院や全身麻酔が必要な手術には、なかなか踏み切れない」——。数年前から腰痛と下肢のしびれに悩まされ、30分ほど歩くとしびれと痛みが出る間欠性跛行があった80代男性の患者様。"リペア幹細胞"の脊髄内投与により、膝から下全体にあったしびれが最終的には指先のみに縮小。手術を避けながら、症状の改善を実感されています。 治療前の状態 数年前から腰痛と下肢のしびれが出現 30分ほどの歩行でしびれと痛みが出る間欠性跛行に悩まされていた 近隣の整形外科でMRI検査を受け、腰部脊柱管狭窄症と診断。内服薬でも症状は徐々に悪化 手術には入院や全身麻酔が必要なため、年齢を考慮し慎重になっていた こちらの患者様は数年前からの腰痛と下肢のしびれで当院を受診されました。30分ほど歩くと下肢のしびれと痛みが出る間欠性跛行に悩まされ、近隣の整形外科でMRI検査を受けて腰部脊柱管狭窄症と診断されています。内服薬を処方されましたが、症状は徐々に悪化してきていました。 内服治療で効果が乏しい腰部脊柱管狭窄症では、手術も選択肢となります。ですが、入院や全身麻酔が必要でリスクを伴ううえ、リスクをとって手術をしても神経症状がどこまで回復するかは未知の部分もあり、患者様は手術に踏み切れずにいました。そこで当院では、手術をせずに損傷した神経の回復を促す治療として、"リペア幹細胞"の脊髄内への直接投与をご提案しました。手術前の神経の圧迫が残ったままの方への幹細胞投与の治療効果は、手術で圧迫が取り除かれた後に残った神経症状への治療効果と同等ということがわかってきています。 "リペア幹細胞"とリペアセルクリニックの特長 MRI所見 MRIにて神経の狭窄を認めます <治療内容>脊髄内に2,500万個の"リペア幹細胞"を計3回投与 脊髄内に"リペア幹細胞"2,500万個ずつを計3回投与いたしました。手術や入院の必要はなく、狭窄部で損傷した神経細胞へ直接幹細胞を届けています。 治療後の変化 初回投与後から膝から下全体にあったしびれが縮小し、最終的には指先のみに 下肢の脱力感が良くなり、両足が軽くなったような感覚に ソファから立ち上がりやすくなり、足裏と床との触覚も感じられるように 入院や全身麻酔のリスクを負わず、手術を避けながら改善を実感 初回の投与後から、膝から下の全体にあったしびれが縮小していき、最終的には指先のみとなりました。下肢の脱力感も良くなり、ソファから立ち上がりやすくなったほか、足裏と床との触覚が感じられるようになり、両足が軽くなったような気がするとお話しされています。 手術のリスクと効果の不確かさから治療に踏み切れずにいた患者様が、入院も全身麻酔もせずに症状の改善を実感できたことは大きな変化です。手術を回避したい患者様は、ぜひ当院のカウンセリングへお越しください。
2026.08.02 -
- 関節の症例
- 手・足・肘関節の症例
- 幹細胞治療の症例
仕事を続けながら両手の親指の痛みを克服しつつある60代女性の母指CM関節症再生治療 「仕事中はテーピングを巻いても、ズキズキと痛くて辛い」——。介護と調理の仕事で手をよく使い、2年以上前から両方の親指の付け根の痛みに悩まされてきた60代女性の患者様。"リペア幹細胞"の投与により、10段階中10あった痛みが3ヶ月後には左0〜1、右2まで軽減。手術を避け、関節の動きを保ったまま改善を実感されています。 治療前の状態 2年以上前から両方の親指の付け根に痛みが出現 介護と調理の仕事で手をよく使うことが原因ではないかと考えられた 近隣の整形外科でレントゲン検査を受け、母指CM関節症と診断 仕事中はテーピングで対処していたが、ズキズキとした痛みは10段階中10と非常に強かった こちらの患者様は、2年以上前から出現した両方の親指の付け根の痛みで当院を受診されました。介護と調理の仕事で手をよく使うため痛みが出てきたのではないかとお話しされています。母指CM関節症とは、親指の付け根にあるCM関節の軟骨がすり減って痛みが出る障害です。ビンの蓋を開けるときなど、物を親指でつかむ動作で痛みが出やすく、40歳以降の女性に多いと言われています。 母指CM関節症では、注射や装具、内服などの保存的治療が行われ、効果がない場合には関節固定術や関節形成術が選択されます。ですが、関節固定術では親指の可動域が制限され、関節形成術では手の力が弱くなるという課題があります。患者様は仕事を続けながら痛みを取りたいと希望され、関節を温存したまま痛みの改善を目指す治療として"リペア幹細胞"の投与を選択されました。 "リペア幹細胞"とリペアセルクリニックの特長 レントゲン所見 レントゲンにて関節の狭小化を認めます <治療内容>両母指CM関節に1,250万個ずつの"リペア幹細胞"を投与 両方の母指CM関節に、それぞれ1,250万個ずつの"リペア幹細胞"を投与いたしました。手術や入院の必要はなく、関節を温存したまま治療を進めることができました。 治療後の変化 投与後1ヶ月で痛みが10段階中10から左1、右3へ大幅に軽減 2ヶ月後には左1・右2、3ヶ月後には左0〜1・右2とさらに改善 テーピングを巻いても辛かったズキズキとした痛みが大きく和らいだ 手術を避け、親指の動きを保ったまま改善を実現 投与後1ヶ月で、左右ともに10段階中10と非常に強かった痛みが、左1・右3まで軽減しました。その後も改善は続き、2ヶ月後には左1・右2、3ヶ月後には左0〜1・右2となっています。 テーピングを巻いてもズキズキと辛かった痛みに悩まされていた患者様が、手術をせず、親指の動きを保ったまま痛みから解放されつつあることは大きな変化です。母指CM関節は体重がかかる関節ではないため安静を保ちやすく、幹細胞投与の成績が良い部位と感じております。CM関節症でお悩みの方は、ぜひカウンセリングへお越しください。
2026.07.31 -
- 脳神経・脊髄の症例
- 頚椎・腰椎ヘルニア・狭窄症・脊髄損傷・脊髄梗塞・脊髄炎などの症例
- 幹細胞治療の症例
しびれが軽くなり踏ん張りがきくようになった60代男性の頚椎症性脊髄症術後再生治療 「歩きにくさや手のしびれが、少しでもよくなれば」——。7年前に頚椎症性脊髄症の手術を受けた後も、歩行のしづらさ・ふらつき・書字困難・手のしびれが残っていた60代男性の患者様。"リペア幹細胞"の脊髄内投与により、しびれが軽くなり、足に力が入って踏ん張りがきくように。困難だった排尿も9割できるようになり、確かな手応えを感じられています。 治療前の状態 7年前に頚椎症性脊髄症の手術を受けたが、神経症状が残ってしまった 歩行のしづらさとふらつきが日常生活の負担に 字が書きにくく、手のしびれにも悩まされていた 手術で神経の圧迫は解除されたものの、神経の回復が止まってしまった状態 こちらの患者様は7年前に頚椎症性脊髄症のため手術を受けられましたが、その後も残る神経症状の治療のため当院を受診されました。症状は歩行のしづらさとふらつき、書字困難、手のしびれです。これらの症状が少しでもよくなればと、再生医療を希望されました。 神経機能の回復を狙って手術を行った後に回復が止まってしまった場合、現在の保険診療内では回復を促す根本的な治療法はありません。手術で神経の圧迫が解除されたにも関わらず症状が残ってしまった患者様に対して、当院では"リペア幹細胞"の脊髄内への直接投与をご提案しています。通常の点滴による投与では幹細胞が全身に散らばり、損傷した脊髄に届く数が少なくなってしまいます。脊髄内へ直接投与された幹細胞は髄液の流れに乗って損傷部位まで届くため、より多くの幹細胞で神経の修復を促すことができます。 "リペア幹細胞"とリペアセルクリニックの特長 <治療内容>脊髄内に2,500万個の"リペア幹細胞"を計2回投与+2億個を1回点滴投与 脊髄内に"リペア幹細胞"2,500万個ずつを計2回投与し、あわせて慢性的な痛みに対して2億個の"リペア幹細胞"を1回点滴投与いたしました。手術や入院の必要はなく、外来での治療が可能です。 治療後の変化 1回目投与の1ヶ月後にはしびれが軽くなり、足に力が入って踏ん張りがきくように 困難だった排尿が9割できるように改善 椅子からスムーズに立ち上がれるように 症状の改善に、大変喜んでいただけた 1回目の投与から1ヶ月後には、しびれが軽くなり、足に力が入って踏ん張りがきくようになったと喜んでいただけました。困難だった排尿も9割できるようになり、椅子からスムーズに立ち上がれるようになっています。 手術後7年間残り続けた症状に対して、しびれ・筋力・排尿機能のそれぞれで改善の手応えが得られたことは大きな変化です。頚椎や腰椎の手術後にもなお、しびれ・痛み、筋力低下、歩行障害、膀胱直腸障害などの後遺症に苦しまれている患者様は、ぜひカウンセリングへお越しください。
2026.07.29 -
- 脳神経・脊髄の症例
- 頚椎・腰椎ヘルニア・狭窄症・脊髄損傷・脊髄梗塞・脊髄炎などの症例
- 幹細胞治療の症例
手足のしびれ消失で外出を再び楽しめるようになった70代男性の頚髄損傷再生治療 「もうこれ以上の回復は望めないのでは」——。半年前の転落事故で頚髄損傷を受傷した70代男性の患者様は、緊急手術の後も常に続く手足の辛いしびれに悩まされていました。"リペア幹細胞"の脊髄内投与により、2回目投与の半年後には手足のしびれが完全に消失。お出かけを再び楽しめるようになり、人生に希望が見えてきました。 治療前の状態 半年前の転落事故で頚髄損傷を受傷し、緊急手術で脱臼・骨折した頚椎の整復・固定を実施 受傷時は四肢がほとんど動かず、術後3ヶ月で足が少し動くようになったものの回復が止まってしまった 手足のしびれが常にあり、毎日辛い思いをされていた 「もうこれ以上の回復は望めないのでは」と不安な日々を過ごされていた こちらの患者様は半年前の転落事故により頚髄損傷を受傷されました。緊急手術で脱臼・骨折した頚椎の整復・固定が行われ、頚髄の圧迫は解除されましたが、後遺症が残ってしまいました。受傷時は四肢がほとんど動きませんでしたが、術後3ヶ月で少し足が動くようになりました。しかし、現在は回復が止まってしまったそうです。手足のしびれも常にあり、毎日辛い思いをされていました。 損傷した神経の回復は通常は数年で止まり、それ以上は望めないと言われています。現在の保険診療内では、いったん回復が止まってしまった神経の回復を再び促す治療法は残念ながらありません。手足の運動麻痺や知覚麻痺、排尿・排便機能の障害が後遺症として残り、場合によっては車椅子生活を余儀なくされます。そこで当院では、回復が止まった神経の回復を再び促す治療として"リペア幹細胞"の脊髄内への直接投与をご提案しました。通常の点滴による投与では幹細胞が全身に散らばり、損傷した脊髄に届く数が少なくなってしまいます。当院は脊髄内への幹細胞の直接投与について国から正式な認可を受けており、細い針を用いて痛みの軽減にも努めながら、損傷部位へより多くの幹細胞を届けています。 "リペア幹細胞"とリペアセルクリニックの特長 MRI所見 MRIにて神経の損傷を認めます <治療内容>脊髄内に2,500万個の"リペア幹細胞"を計2回投与 脊髄内に"リペア幹細胞"2,500万個ずつを計2回投与いたしました。手術や入院の必要はなく、腰部から細い針を用いて損傷した神経へ直接幹細胞を届けています。 治療後の変化 2回目投与の半年後には手足の辛いしびれが完全に消失 車椅子や車の助手席の振動で助長されていたしびれがなくなり、お出かけを楽しめるように 手の動きも少しずつ改善 不安な日々から、再び人生を楽しめる日々へ 2回目の投与から半年後には、常にあった手足の辛いしびれが完全になくなったそうです。それまでは車椅子や車の助手席での振動でしびれが助長されていましたが、しびれがなくなったことでお出かけを楽しめるようになりました。手の動きも少しずつ良くなっています。 「もうこれ以上の回復は望めないのでは」という不安を抱えていた患者様が、しびれから解放されて再び人生を楽しめるようになったことは大変意義のある変化です。脊髄損傷の後遺症で苦しまれている患者様のお力添えができるよう、今後も真摯に治療に取り組んでまいります。
2026.07.27
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療は限界ではないだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んだり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼び、おすすめしています。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた最先端の医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞培養加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現。
ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配が少ないおすすめの治療方法です。
- 2億個の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC
LICENSE厚生労働省届出済医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 届出済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に届出し、受理されました。
各治療について、厚生労働省より再生医療等提供計画番号を取得しています。
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「自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療」
第二種 計画番号
PB3210037 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療」
第二種 計画番号
PB3210031 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療」
第二種 計画番号
PB3210034 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症の治療」
第二種 計画番号
PB3210032 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症・皮膚再生治療」
第二種 計画番号
PB3210033 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療」
第二種 計画番号
PB3210036 -

「自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療」
第二種 計画番号
PB3210035 -

「多血小板血漿を用いた変形性関節症の治療」
第二種 計画番号
PB3210055 -

「多血小板血漿を用いた筋腱炎・靭帯炎の治療」
第三種 計画番号
PC3210076 -

「多血小板血漿を用いた皮膚再生治療」
第三種 計画番号
PC3210074 -

「活性化NK細胞を用いた悪性腫瘍の予防の治療」
第二種 計画番号
PC3230218 -

「自己脂肪由来幹細胞+前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療」
第二種 計画番号
PB3230177




















当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「変形性関節症」「脳卒中」「糖尿病」「肝障害」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)療法を、再生医療安全確保法のもと、自由診療にて提供しています。再生医療とは、厚生労働省によって受理されることで行うことのできる治療となります。
坂本理事長のブログ
藤間院長のブログ
スタッフブログ
トピックス
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- 頭部
- 頭部、その他疾患
ご家族が多系統萎縮症と診断されたものの、以前は脊髄小脳変性症と説明され、2つの病名の違いがわからず戸惑っている方もいるのではないでしょうか。 本記事では、この2つの病名の関係を整理した上で、症状・進行の速さ・遺伝・検査の4点から違いを解説します。読み終えるころには、医師が何を手がかりに見分けているのかがわかりますので、ぜひ最後までご一読ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違い【比較表】 まず、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いを表にまとめたのでご覧ください。 項目 脊髄小脳変性症 (多系統萎縮症を除く) 多系統萎縮症 位置づけ ふらつきなどが出る病気の総称 脊髄小脳変性症に含まれるタイプのひとつ 制度上の扱い 指定難病18 指定難病17 遺伝 遺伝するタイプとしないタイプがある ほとんどが遺伝と無関係 中心となる症状 ふらつき、ろれつが回らない ふらつきに加えて、立ちくらみ、排尿障害、動作の遅さなどが現れる 進行の速さ ゆっくり進む 比較的速く進む (文献1)(文献2)(文献3) 多系統萎縮症は広い意味では脊髄小脳変性症に含まれますが、指定難病制度では別の疾患として扱われています。 また、多系統萎縮症では、ふらつきに加えて自律神経症状やパーキンソン症状が現れやすく、比較的速く進行する点も主な違いです。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の関係と制度上の違い 2つの病名が混同されやすい理由は、両者が「並んだ別々の病気」ではなく、「大きな枠とその中身」という入れ子の関係にあるためです。 脊髄小脳変性症とは「歩くときにふらつく」「手が震える」「ろれつが回らない」といった症状が出る神経の病気の総称です。はっきりした原因がないまま、小脳とその周辺の神経細胞が変化していく病気を総称してこのように呼んでいます。 このグループは、まず遺伝するものとしないものに分けられ、患者様の約3分の2は遺伝性ではありません。この遺伝性でないグループをさらに分けたときに出てくるのが、多系統萎縮症です。 「以前は脊髄小脳変性症と言われていたのに、今は多系統萎縮症と言われる」という状況が起きるのは、大きな枠での説明から、より正確なタイプの診断へ進んだためであることが少なくありません。 ただし国の難病制度では、多系統萎縮症が「指定難病17」、脊髄小脳変性症が「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」として「指定難病18」と別々に登録されています。(文献1)(文献2) 以下の記事では、多系統萎縮症と余命の関係について詳しく解説しています。 内部リンク:8月執筆「多系統萎縮症余命」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「症状の違い」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症では、ふらつきや歩きにくさなど共通する症状があります。ただし、多系統萎縮症では自律神経症状やパーキンソン症状が加わることがあり、症状が現れる範囲に違いがあります。 ここからは、脊髄小脳変性症に多い症状と、多系統萎縮症で加わりやすい症状をそれぞれ確認していきましょう。 脊髄小脳変性症に多い症状 多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症では、主に次のような症状がみられます。 起立時や歩行時にふらつく 手をうまく動かせない 話すときに口や舌がもつれる 日常生活では、まっすぐ歩こうとしても左右に揺れる、ボタンをかけたり字を書いたりする細かい動作がしにくい、電話で聞き返されることが増えるのが特徴です。 ふらつきが中心で、立ちくらみや排尿障害、動作の遅さなどが目立たない場合は、多系統萎縮症以外の脊髄小脳変性症が考えられます。ただし、病型によって症状の現れ方は異なり、この症状の有無だけで自己判断できるものではありません。 多系統萎縮症で加わる症状 多系統萎縮症では、ふらつきに加えて、主に自律神経症状とパーキンソン症状が現れます。 自律神経症状には、次のようなものがあります。(文献2) 立ちくらみや失神を繰り返す トイレの回数が変わる 尿が出にくくなる 尿を我慢できなくなる 便秘がみられる 呼吸に関わる症状が現れる パーキンソン症状には、次のようなものがあります。 筋肉がこわばる 動作が少なくなる 動作が遅くなる 動作全体が小さくなる バランスを崩しやすくなり、転びやすさが増す 「多系統」という名前のとおり、脳の複数の部分が影響を受けることが、症状の幅広さにつながっています。初期はほかの脊髄小脳変性症と症状が重なることも多いため、自己判断は避けて脳神経内科を受診してください。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 末期症状」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「進行の速さの違い」 多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症では、症状は比較的ゆっくりと進みます。(文献1) 年単位で少しずつ変化するため、長期間にわたって身の回りのことを自分で続けられる方もいますが、病型や症状によって進行速度には個人差があります。 一方、多系統萎縮症は、ほかの脊髄小脳変性症と比べて進行が速い傾向です。国内の230人を対象とした研究では、発症後約5年で車椅子を使用し、約8年で臥床状態となり、罹病期間は9年程度と報告されています。(文献3) これらはあくまで平均的な数値です。実際の経過には個人差があります。進行の見通しを把握しておくことで、必要になる医療・介護・住まいの準備を早めに進められます。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「遺伝に関する違い」 ご家族が気にされる点のひとつが、遺伝の問題です。 脊髄小脳変性症には、遺伝するタイプと遺伝しないタイプの両方があります。患者様の約3分の1が遺伝性、約3分の2が非遺伝性とされています。(文献1) 一方、多系統萎縮症のほとんどは遺伝とは関係なく起こり、原則として遺伝する病気ではないと考えられています。(文献2) 「脊髄小脳変性症」の段階では遺伝の可能性を考える余地がありますが、「多系統萎縮症」と診断された場合は、遺伝を過度に心配する必要は基本的にありません。気になる場合は、主治医や遺伝カウンセリングの窓口にご相談ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症を検査で見分ける方法 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の診断では、症状の現れ方や経過を確認した上で、頭部MRIや自律神経機能検査などを組み合わせます。 検査だけで直ちに病名が決まるとは限らず、症状がどのように増えていくかを時間をかけて確認することも重要です。見分ける手がかりは、主に次の3つです。 頭部MRIによる画像検査 頭部MRIでは、小脳や脳幹などの萎縮を確認します。 多系統萎縮症では、中脳・橋・小脳などに特徴的な変化が現れる場合があり、診断の手がかりになります。(文献5) 自律神経機能検査 自律神経機能検査では、立ち上がったときの血圧変化を調べる起立試験や、排尿機能を確認する検査などが行われます。 起立性低血圧や排尿障害などの自律神経症状が早い段階から強く現れている場合は、多系統萎縮症を考える手がかりになります。(文献5) レボドパの効き方の違い パーキンソン症状がある場合は、パーキンソン病の治療薬である「レボドパ」の効き方も参考にされます。 パーキンソン病ではレボドパによって症状が明確に改善することが多い一方、多系統萎縮症では効果が乏しい場合が多いとされています。(文献3)(文献6) ただし、薬の効き方だけで診断が決まるわけではありません。多系統萎縮症でも一時的に効果がみられる場合があるため、ほかの症状や検査結果とあわせて判断されます。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「治療・対処法の違い」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症は、どちらも症状を和らげる治療とリハビリテーションが中心です。ただし、多系統萎縮症では自律神経症状や呼吸・嚥下障害にも対応する必要があり、重視される治療内容が異なります。 ここでは、両疾患に共通する治療の考え方と、それぞれで必要となる対応を解説します。 また、以下の記事では「多系統萎縮症の治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説しています。 内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った 人」 治療の中心は症状を和らげることとリハビリ 前提として、どちらも病気の進行を止める治療はまだ確立していません。(文献1)(文献2) そのため、治療では現在困っている症状を和らげ、日常生活をできるだけ維持することが重視されます。 リハビリテーションも重要な治療のひとつです。多系統萎縮症では、短期集中的なリハビリによって運動機能やふらつきが一時的に改善したとの報告があります。(文献4) ただし、無理な運動は転倒や疲労につながる可能性があります。症状や体力に合わせて、医師や理学療法士などと相談しながら取り組むことが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症のリハビリについて詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 リハビリ」 症状別にみる主な治療と対処法 対症療法の中身は、どちらの病気かによって重点が変わります。 症状 脊髄小脳変性症 (多系統萎縮症を除く) 多系統萎縮症 ふらつき タルチレリン水和物などの薬やリハビリを行う 薬やリハビリを行う パーキンソン症状 主な問題にならない病型も多い レボドパなどを使用するが、効果が乏しい場合が多い 立ちくらみ 症状に応じて対応する 血圧を上げる薬や生活上の工夫が必要になる 排尿障害 症状に応じて対応する 薬物療法や自己導尿などを検討する 呼吸・嚥下障害 病型や進行に応じて対応する 呼吸管理や嚥下障害への対応が必要になる場合がある (文献1)(文献2)(文献3)(文献5) 多系統萎縮症では、ふらつきへの対応に加えて、自律神経症状と呼吸・飲み込みの管理が並行して必要になる点が大きな違いです。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症で利用できる支援制度 多系統萎縮症は指定難病17、脊髄小脳変性症は指定難病18に該当します。重症度などの条件を満たした場合は、指定難病の医療費助成を受けることが可能です。 医療費助成を利用すると、1カ月に支払う医療費の自己負担額に、所得に応じた上限が設けられます。上限に達した後は、その月の対象となる医療費について、原則としてそれ以上の自己負担は発生しません。(文献8) また、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症は、いずれも介護保険の特定疾病に含まれています。(文献7) そのため、40歳から64歳の方でも、病気が原因で要介護・要支援状態になり認定を受けた場合は、訪問看護や訪問リハビリ、福祉用具のレンタルなどの介護保険サービスを利用できます。 このほか、症状や障害の程度によっては身体障害者手帳などの支援を受けられる場合があり、利用できる制度は状態により異なるため、自治体の窓口や医療ソーシャルワーカーに相談してください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いを理解して早めに受診・支援の準備を進めよう 多系統萎縮症は広い意味で脊髄小脳変性症に含まれますが、指定難病制度では別の疾患として扱われています。 主な違いは次の4点です。 症状:多系統萎縮症では自律神経症状などが加わる 進行:多系統萎縮症の方が速い傾向がある 遺伝:脊髄小脳変性症には遺伝するタイプがある 検査:MRIや自律神経機能検査などで見分ける どちらも治療は対症療法とリハビリが中心です。ふらつきに加えて立ちくらみや排尿の変化、動作の遅さがみられる場合は、早めに脳神経内科を受診しましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いに関するよくある質問 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の診断に時間がかかるのはなぜですか? 初期には、両疾患の症状が重なりやすいためです。 日本で多い多系統萎縮症のタイプはふらつきなどの小脳症状から始まるため、この段階では、ほかの脊髄小脳変性症との区別が難しい場合があります。(文献3、文献4) その後、立ちくらみや排尿障害、パーキンソン症状などが現れることで、診断が徐々にはっきりしていきます。 多系統萎縮症とパーキンソン病の違いは何ですか? 多系統萎縮症は、初期にパーキンソン病と似た症状が現れることがあります。主な違いは次のとおりです。 比較ポイント パーキンソン病 多系統萎縮症 安静時の震え みられやすい 比較的少ない 進行の速さ 比較的ゆっくり 比較的速い レボドパの効き方 効果がみられやすい 効果が乏しい場合が多い 立ちくらみ・排尿障害 進行後に目立つことが多い 早期から現れる場合がある (文献3)(文献6) 症状だけでは見分けにくいため、経過や検査結果を含めて脳神経内科で総合的に判断されます。 参考文献 (文献1) 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター (文献2) 多系統萎縮症(3)シャイ・ドレーガー症候群(指定難病17)|難病情報センター (文献3) 多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)|難病情報センター (文献4) 多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症(指定難病17)|難病情報センター (文献5) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献6) パーキンソン病|MSDマニュアル家庭版 (文献7) 特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省 (文献8) 指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター
2026.07.31 -
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ご家族が「多系統萎縮症」と診断されて症状が進んでいく様子を見ながら、この先どうなるのか不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 本記事では、多系統萎縮症の末期にあらわれる症状と、検討される医療的な選択肢、利用できる支援制度を解説します。 これから起こりうることと、今のうちに準備できることが整理できますので、ぜひ最後までご一読ください。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症の末期症状と進行経過 多系統萎縮症(MSA)は、体のバランスや動き、血圧や排尿などを調節する神経が、進行性に働かなくなっていく病気です。国の指定難病(告示番号17)に指定されています。 初期の症状の出方には個人差がありますが、進行するにつれて、ふらつき・動作の遅さ・立ちくらみ・排尿の不調が重なってあらわれるようになります。 発症から末期までの経過の目安 多系統萎縮症の発症から末期までの状態の経過についてまとめました。 項目 発症からの目安 主な状態 歩行が不安定になる 数年 ふらつき、転倒、ろれつが回りにくい 車椅子が必要になる 平均約5年 自力歩行が難しくなる 寝たきりの状態 平均約8年 寝返りが打てず、飲み込みや発声の障害が進む 病気とともに過ごす期間 9年程度 ― (文献3)(文献4) ただし、これらは平均的な数値です。発症した年齢や合併症をどれだけ防げるかによって経過は変わるため、ご家族の状態にそのまま当てはまるものではありません。 残っている身体機能を維持し、日常生活を続けるためには、病状に合わせたリハビリテーションも重要です。具体的な訓練内容や病期ごとの目標は、以下の記事で詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 リハビリ」 多系統萎縮症の末期症状①:呼吸の障害 末期でもっとも注意が必要なのが呼吸の障害です。生命に直結する症状であり、ご家族が知っておく意義がもっとも大きい部分でもあります。 睡眠時の喘鳴(いびきとは異なる高い音) 多系統萎縮症では、息を吸うときに「ヒューヒュー」という高い音が出る喘鳴がよくみられます。(文献2) 声帯を開く筋肉の動きが弱まり、空気の通り道が十分に開かなくなるために起こると考えられています。 単なるいびきと思われて見過ごされやすいのですが、進行すると空気の通り道がふさがれる危険につながります。早い段階から単独であらわれることもあるため、夜間の呼吸音の変化に気づいたら早めに主治医へ伝えてください。 睡眠中に呼吸が止まる 寝ている間に呼吸が繰り返し止まったり、不十分になったりすることもあります。(文献1) 呼吸の問題には、空気の通り道が狭くなって起こるものと、呼吸の指令を出す脳の部分の働きが弱まって起こるものの2種類があり、末期には両方が重なることがあります。 気管切開をしていても突然死が起こりうる 気管切開を行った後でも突然死が起こりうることが知られています。(文献4) 空気の通り道は確保できても、呼吸の指令そのものが弱まっている場合は防ぎきれないためです。 「気管切開をすれば安心」ではなく、何を防げて何は防げないのかを理解した上で判断することが大切です。 多系統萎縮症の末期症状②:飲み込みと会話の障害 多系統萎縮症が進行すると、飲み込みや会話に障害があらわれます。飲み込みの障害は、誤嚥性肺炎や栄養不足につながるため注意が必要です。 会話が難しくなる前に、意思伝達の方法も検討しておきましょう。 飲み込みの障害と誤嚥性肺炎 末期には、食べ物や飲み物を飲み込む機能が大きく低下します。(文献1) 問題になるのは食事のときだけではありません。飲み込む力が落ちると、自分の唾液が気づかないうちに気管へ入り込むようになり、繰り返す誤嚥性肺炎につながります。 誤嚥性肺炎は、多系統萎縮症の主要な死因のひとつです。 「むせる回数が増えた」「食事に時間がかかる」「体重が減ってきた」といった変化は、飲み込む機能が低下しているサインです。障害が強い場合には胃ろうが必要となることも多いとされています。(文献4) 声が出せず意思疎通が難しくなる 飲み込みに使う筋肉と声を出す筋肉は共通する部分が多いため、同じ時期に発声も難しくなります。初期の「ろれつが回りにくい」状態から、末期には声を出すこと自体ができなくなります。 一方で考える力は比較的保たれる方も多く、伝えたいのに伝えられない状態が起こりえるため、文字盤や意思伝達装置は、話せる段階から検討しておくことが大切です。 多系統萎縮症の末期症状③:全身の運動機能と自律神経の障害 多系統萎縮症の末期には、全身を動かす機能が大きく低下します。加えて、自律神経の障害により、血圧や排尿、体温の調節も不安定になりがちです。 ここでは、日常生活に影響する主な症状を見ていきましょう。 寝たきり・関節が硬くなる・床ずれ 末期には自力での動作がほとんどできなくなり、寝返りを打つことも難しくなります。 体を動かさない時間が長くなると、関節が硬くなって動かせる範囲が狭まる「拘縮(こうしゅく)」が進み、着替えやおむつ交換にも痛みを伴うようになります。 同じ部位が圧迫され続けることで床ずれもできやすくなるため、定期的な体位変換や皮膚の観察が重要です。 以下の記事では寝たきりにならないための対策について詳しく解説しています。 血圧・排尿・体温調節の不安定さ 立ち上がったときに血圧が下がり、失神を伴うこともあります。(文献2) 一方、横になると血圧が上がる場合もあるため、血圧の変化に応じた薬の調整や生活上の工夫が必要です。 また、自律神経の障害によって排尿機能も低下し、尿が出にくくなる場合と漏れてしまう場合の両方が起こります。さらに、体温調節の障害や便秘・下痢がみられることもあります。(文献3) 多系統萎縮症の末期に起こりやすい合併症と主な死因 起こりやすい合併症・状態 ご家族が気づけるサイン 誤嚥性肺炎 発熱、痰の増加、呼吸が荒い、食事中のむせ 窒息・空気の通り道の閉塞 睡眠中の高い音の呼吸、苦しそうな様子 睡眠中の突然死 睡眠中の呼吸の停止、朝の様子の変化 尿路感染症 発熱、尿の濁りやにおいの変化 床ずれ・感染 皮膚の赤み、ただれ 多系統萎縮症の末期に生命に関わるのは、病気そのものよりも、そこから生じる合併症であることが少なくありません。早く気づいて対応することで、重症化を防げる可能性があります。 多系統萎縮症の末期に検討される医療的な選択肢 多系統萎縮症の末期には、呼吸や栄養を保つための医療的な対応が必要になることがあります。選択肢によって期待できる効果や限界が異なるため、本人の希望と全身状態を踏まえて検討することが大切です。 ここでは、気管切開や人工呼吸器、胃ろうについて解説します。 気管切開・人工呼吸器を検討するとき 呼吸障害に対しては、鼻や口にマスクを装着し、機器から空気を送り込んで呼吸を補助する非侵襲性陽圧換気が用いられることがあります。(文献4) 手術をせずに呼吸を助けられる方法ですが、気道の狭窄が強い場合などには適さないこともあり、より重度の場合や、空気の通り道がふさがれる危険が高い場合には、気管切開が検討されます。 目安は、睡眠中の酸素の値が下がっている時間が長い場合や、はっきりとした喘鳴・呼吸の苦しさがある場合です。適切な方法は呼吸障害の程度や気道の状態、全身状態によって異なります。主治医と相談しながら、治療方針を決めましょう。 胃ろうを検討するとき 飲み込む力が大きく落ちた場合には、おなかから胃に直接栄養を送る「胃ろう」が選択肢になります。(文献4) 体重の減少が続く、誤嚥性肺炎を繰り返す、食事に時間がかかり本人が疲れきってしまう、といった段階が検討のタイミングです。 気管切開・人工呼吸器・胃ろうの効果と限界 医療的な選択肢 期待できること 知っておきたい限界 気管切開・人工呼吸器 空気の通り道がふさがれる窒息を回避できる ・気管切開後も突然死が起こりうる ・声を出しにくくなる 胃ろう ・栄養・水分・薬を安定して届けられる ・食事による疲労や誤嚥を減らせる ・唾液の誤嚥は防げない ・病気の進行を抑えるものではない マスクによる呼吸の補助 手術をせずに呼吸を助けられる 気道の状態によっては適さない場合がある (文献4) 多系統萎縮症では、病状の進行に応じて気管切開や人工呼吸器、胃ろうといった医療的選択肢が検討されます。 これらは呼吸や栄養を支え、窒息や栄養不足のリスクを軽減して生活を維持するための重要な治療ですが、病気そのものの進行を止めることはできません。 気管切開後も突然死の可能性は残り、胃ろうを造設しても唾液の誤嚥は防げません。それぞれの効果と限界を理解した上で、本人の希望やQOL(生活の質)、家族の考えも踏まえ、主治医と十分に話し合って選択しましょう。 話せるうちに家族で話し合う 多系統萎縮症が進行すると、本人が言葉で意思を伝えることが難しくなります。そのため、話せるうちに今後の医療や過ごし方について、家族で話し合っておくことが大切です。 気管切開や人工呼吸器を希望するか、胃ろうをどう考えるか、最期をどこで過ごしたいかなど一度で決める必要はなく、状態の変化に合わせて話し合いましょう。 多系統萎縮症の末期の緩和ケアと在宅療養という選択 多系統萎縮症に根治的な治療法はなく、対症療法とリハビリテーションで症状を緩和する方針がとられています。(文献3) 病気が進んだ段階では、目標は「進行を抑えること」から「苦痛を和らげ、その人らしく過ごすこと」へと移り、在宅療養を希望する場合は、訪問診療医・訪問看護師・訪問リハビリ・ケアマネジャーが連携し、緊急時にも対応できる体制を整えることで、住み慣れた自宅で過ごせます。 ご家族だけで抱え込まず、早い段階からチームをつくることが負担の軽減につながるでしょう。 以下の記事では「多系統萎縮症が治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説します。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った人」 利用できる医療費助成・介護・福祉の制度 末期には、医療費に加えて介護サービスや福祉用具などの負担も大きくなります。こうした負担を軽減するために、医療費助成や介護保険、障害福祉に関する制度を利用できます。 主な制度と対象者、受けられる支援の内容は以下のとおりです。 利用できる制度 対象 主な内容 特定医療費(指定難病)受給者証 難病指定医の診断を受け、重症度の基準を満たす方 医療費に所得に応じた自己負担上限額が設定される 介護保険(特定疾病) 40歳以上の方 訪問介護、訪問看護、車椅子や介護ベッドの貸与、施設入所 身体障害者手帳 肢体不自由、音声・言語機能障害などの認定を受けた方 補装具費の支給、自治体ごとの医療費助成 とくに知っておきたいのが介護保険です。通常は65歳以上が対象ですが、多系統萎縮症は特定疾病に該当するため、40歳以上であれば要介護認定を受けて利用できます。 窓口は自治体で異なるため、病院の医療相談室やケアマネジャーにご相談ください。 多系統萎縮症の末期症状に備えて早めに医療・介護体制を整えよう 多系統萎縮症の末期には、呼吸の障害、飲み込みの障害と誤嚥性肺炎、寝たきりに伴う拘縮や床ずれ、不安定な血圧や排尿の障害が重なってあらわれます。 生命に関わるのは合併症であることが多く、早めに気づいて対応することが重要です。 そして何より、進行すると本人が言葉で意思を伝えられなくなります。話せるうちに、どのような医療を望むかを話し合っておくことが大きな意味を持ちます。 ご家族だけで抱え込まず、医療・介護の専門職とチームを組んで支えられる体制を早めにつくっていきましょう。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症の末期症状に関するよくある質問 多系統萎縮症の末期は必ず寝たきりになりますか? 発症後平均約8年で寝たきりの状態になると報告されています。(文献3) ただし、進行の速さには個人差があり、リハビリテーションや福祉用具の活用によって身体機能を保つ取り組みには意味があります。 多系統萎縮症では突然死が起こることがありますか? 多系統萎縮症では、睡眠時無呼吸や声帯が十分に開かなくなる障害、呼吸中枢の障害などにより、突然死が起こることがあります。 気管切開で空気の通り道を確保しても、呼吸を調節する脳の働きが低下している場合は、突然死を完全には防げません。(文献4) 睡眠中に高い呼吸音がする、呼吸が止まるといった変化に気づいた場合は、早めに主治医へ伝えてください。 家族は介護に向けて何を準備すれば良いですか? まずは訪問診療や訪問看護、介護保険サービスを利用できる体制を整えておきましょう。車椅子や介護ベッド、意思伝達装置なども、必要になる前から相談しておくと準備を進めやすくなります。 あわせて、気管切開や人工呼吸器、胃ろうを希望するか、どこで療養したいかについて本人の意思を確認することも重要です。家族だけで抱え込まず、主治医やケアマネジャー、病院の医療相談室へ早めに相談してください。 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献3) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献4) 多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)|難病情報センター
2026.07.31 -
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ご自身やご家族が多系統萎縮症と診断され、「治った人はいるのだろうか」「本当にこの診断で合っているのだろうか」と情報を探している方も多いのではないでしょうか。 本記事では、多系統萎縮症で「治った人」がいるのかという疑問にお答えした上で、なぜそうした話が生まれるのか、間違われやすい病気との違い、今できる治療、そして使える公的支援制度までを順に解説します。 この記事を読めば、今わかっていることと、まだわかっていないことの境界線がはっきりし、これから何を優先して考えれば良いかが整理できますので、ぜひ最後までご一読ください。 再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症が「治った人」はいるのか? 現在のところ、多系統萎縮症が完全に治ったと医学的に確認された症例は報告されていません。 一方で、インターネット上には「症状が改善した」「再び歩けるようになった」といった体験談も見られます。 ここでは、多系統萎縮症の完治が難しい理由と、「治った」という話が生まれる背景を解説します。 完全に治った症例は報告されていない 現在の医学では、多系統萎縮症そのものを根本から治す方法は見つかっていません。 多系統萎縮症は脳の神経細胞が少しずつ失われていく病気です。一度失われた神経細胞を元に戻す方法は確立されていないため、失われた神経の働きが元どおりになる「完治」の例は報告されていません。 現在の治療は、現れている症状を和らげることが中心です。(文献1) 厳しい事実ですが、完治が難しいことを理解しないまま療養を進めると、根拠の乏しい民間療法に時間やお金を費やし、本来受けられるケアや支援を逃してしまうおそれがあります。 「多系統萎縮症が治った」という話が生まれる3つの理由 一方で、「症状がよくなった」「歩けるようになった」という話が見られるのも事実です。 これらは作り話とは限らず、多くは次の3つの理由で説明できます。 理由1.似た病気との誤診とその後の診断の修正 多系統萎縮症は、発症してまもない時期には他の神経の病気とよく似ており、専門医でも診断に迷うことがあります。 とくに、動作が遅くなる・体がこわばるといった症状が先に出るタイプは、パーキンソン病との区別が難しい病気です。(文献2) そのため、いったん多系統萎縮症が疑われても、その後の検査や経過観察で診断が別の病気に変わることがあります。 もともとパーキンソン病だった方が薬でよくなれば、周囲には「多系統萎縮症が薬で治った」と映ってしまうのです。 逆に、パーキンソン病と診断されていた方が、後から多系統萎縮症とわかることもあります。診断の見直し自体は珍しいことではありません。 理由2.進行が一時的に穏やかになる「プラトー」がある 多系統萎縮症は進行する病気ですが、進み方は一定ではありません。 数カ月から年単位で症状の変化がほとんど見られない、落ち着いた時期が訪れることがあり、これを「プラトー(停滞期)」と呼びます。 この時期に入ると、ご本人もご家族も「進行が止まった」と感じて「治ったのでは」という印象を持つ可能性があります。 理由3.リハビリで日常の動作が良くなることがある 3つ目は、リハビリによる改善です。 多系統萎縮症では、生活の質を保つためのリハビリが治療の重要な柱とされています。(文献3)(文献4) ふらつきで歩きにくかった方が、バランス訓練や歩行訓練、住まいの環境を整えることで、再び安定して歩けるようになることはあります。ただし、こうした変化は多系統萎縮症そのものが治ったことを意味するものではありません。リハビリは、残っている身体機能を活かし、日常生活を送りやすくすることを目的として行われます。(文献3)(文献4) そのため、「治った」という体験談を見る際は「病気が完治したのか」「リハビリによって症状や生活動作が改善したのか」を分けて考えることが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症のリハビリについて詳しく解説しています。 内部リンク:多系統萎縮症 リハビリ(7月執筆) 「多系統萎縮症が治った人」は診断が見直された可能性もある 「多系統萎縮症が治った」という話のなかには、病気そのものが完治したのではなく、その後の検査や経過観察によって診断が別の病気へ変更されたケースが含まれている可能性があります。 とくに多系統萎縮症とパーキンソン病は、初期に似た症状が現れることがあるため、診断が難しい場合があります。 ここでは、両者の主な違いと、診断に疑問を感じたときの相談先について解説します。 多系統萎縮症とパーキンソン病の違い 多系統萎縮症とパーキンソン病は、動作の遅さや筋肉のこわばりなど共通する症状がある一方、手のふるえ、自律神経症状、レボドパへの反応などに違いがあります。 項目 多系統萎縮症 パーキンソン病 目立ちやすい症状 歩行のふらつき、立ちくらみ、排尿障害、動作の遅さ 手のふるえ、筋肉のこわばり、動作の遅さ 手のふるえ 目立たないことが多い 安静時にみられることがある 自律神経症状 早い段階から強く現れやすい 比較的軽いことが多い レボドパへの反応 効きにくい、または効果が一時的なことが多い 効果が現れやすく、持続しやすい 進行 比較的速い傾向がある 多系統萎縮症より緩やかなことが多い ただし、すべての患者様に典型的な特徴が現れるわけではありません。実際の診断では、症状の経過や神経学的診察、MRIなどの検査結果を組み合わせて総合的に判断します。(文献1)(文献2) 以下の記事では、パーキンソン病について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】パーキンソン病とは|初期・進行期の症状・原因・治療法を解説 【医師監修】パーキンソン病の初期症状とは?セルフチェック法や受診の目安を解説 診断に疑問を感じたときの相談先 「説明を受けた症状と実際の状態が異なる」「治療を続けても診断や今後の見通しに納得できない」など、不安や疑問がある場合は、まず主治医に相談しましょう。 診断時には確認できなかった症状や検査所見が、その後の経過で明らかになることもあります。 必要に応じてセカンドオピニオンを受ける方法もあります。自己判断で治療を中断せず、これまでの検査結果や服薬歴を持参して相談することが大切です。 多系統萎縮症に対して行われている治療・対処法 多系統萎縮症を根本的に治す治療法は確立されていませんが、症状を和らげたり、生活機能を維持したりするための治療は行われています。 薬物療法だけでなく、リハビリや飲み込み・呼吸への対応などを組み合わせることが重要です。 ここでは、現在行われている主な治療や対処法を解説します。 症状に合わせた薬物療法 根本的に治す薬はまだありませんが、それぞれの症状を和らげるための薬が使われています。 主な症状 使われる薬 働きと注意点 ふらつき・話しにくさ セレジスト ふらつきなどの改善を目的に使われます。 動作の遅さ・こわばり レボドパ 効果が乏しい場合や、効果が続きにくい場合があります。 立ちくらみ 血圧を上げる薬 血圧の低下を抑えます。横になったときに血圧が上がりすぎないよう、調整が必要です。 排尿障害 排尿症状に応じた薬 尿が出にくい、尿が近いなど、症状のタイプに応じて使い分けます。 (文献1)(文献2)(文献3) 薬価は毎年の改定で変わるため、費用は医療機関や薬局にご確認ください。 自己判断で薬の量を増減させるのは危険です。気になる点がある場合は、必ず主治医か薬剤師にご相談ください。 飲み込みや呼吸の問題への対応 病気が進むと、飲み込みにくさや、睡眠中の呼吸の問題が出てくることがあります。 飲み込みにくさは肺炎の原因になるため、食事の形を変えたり、食べるときの姿勢を工夫したりする対応が必要です。 十分に食べられず栄養を保てなくなった場合は、胃に直接栄養を送る方法である胃ろうが検討されます。呼吸の問題に対しては、マスクを使った呼吸の補助などが検討されます。 いずれも、ご本人の意思とご家族の生活をふまえた話し合いが必要な選択です。早い時期から主治医と方針を共有しておくと、いざというときに落ち着いて判断しやすくなります。 患者様とご家族が使える公的支援制度【一覧表】 項目 主な対象 受けられる支援 相談・申請窓口 特定医療費(指定難病)受給者証 診断基準を満たし、認定された方 ・医療費の自己負担の軽減 ・月額上限の設定 ・保健所 ・都道府県の窓口 介護保険 40歳以上で要件を満たす方 ・訪問介護 ・訪問看護 ・デイサービス ・福祉用具のレンタル ・住宅改修など ・市区町村の介護保険窓口 ・地域包括支援センター 身体障害者手帳 障害の程度が等級の基準に該当する方 ・補装具の購入費用の助成 ・税の優遇 ・各種割引など ・市区町村の障害福祉窓口 障害者総合支援法のサービス 障害の状態や支援区分などの要件を満たす方 ・居宅介護 ・重度訪問介護などの福祉サービス ・市区町村の障害福祉窓口 治療と同じくらい大切なのが、支援制度を漏れなく活用することです。経済的・身体的な負担が軽くなれば、療養環境を整えることに力を注ぎやすくなります。 多系統萎縮症は指定難病に定められているため、認定を受けると医療費の助成が受けられます。(文献5) 申請には難病指定医が作成する診断書が必要です。診断がついたら、早めに主治医へ相談しましょう。 また、40歳から64歳の方でも、条件を満たせば介護保険のサービスを申請できます。要件や運用は自治体によって異なる場合があるため、詳しくは各窓口にご確認ください。 多系統萎縮症は「治った人」を探すより今できることに目を向けよう 多系統萎縮症を完全に治した例は、現在のところ報告されていません。 インターネット上で見かける「治った」という話の多くは、診断が別の病気に変わったケース、進行が一時的に落ち着くプラトーの時期、リハビリで生活動作がよくなったケースとして説明できます。 一方で、症状を和らげげる薬やリハビリは整備されており、進行を抑えることを目指した研究も進んでいます。医療費の助成や介護保険を使えば、療養に伴う負担を軽くすることも可能です。 進行の速さには大きな個人差があります。診断名や平均的な数字だけで将来を決めつけず、今できることを一つずつ整えていきましょう。 気になることがあれば、遠慮なく主治医や相談窓口に声をかけてみてください。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 「多系統萎縮症が治った人」に関するよくある質問 多系統萎縮症が治った人の体験談やブログは信頼できますか? 体験談やブログは、療養生活やリハビリの工夫を知る参考にはなりますが、病気が完治した根拠にはなりません。 「治った」と表現されていても、リハビリによって日常動作が改善したケースや、一時的に進行が落ち着いているケース、その後に診断が別の病気へ変更されたケースなどが考えられます。 体験談だけで治療法の効果を判断せず、診断名や治療内容、医学的な根拠が示されているかを確認しましょう。 多系統萎縮症でも長生きする人はいますか? 多系統萎縮症でも、一般的に示される生存期間より長く生活する方はいます。 多系統萎縮症の患者を対象とした研究では、症状が現れてから死亡するまでの期間の中央値は約8.6年と報告されていますが、実際の経過には個人差があります。(文献6) 発症年齢や、早期に現れる自律神経症状の重さなどによって生存期間は異なるため、中央値だけで個人の寿命を判断することはできません。症状や合併症に応じた治療・ケアを続けることが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症と余命の関係について詳しく解説しています。 内部リンク:多系統萎縮症余命(8月KW) 多系統萎縮症の進行速度には個人差がありますか? 多系統萎縮症の進行速度や経過には個人差があります。症状が比較的早く進む方がいる一方で、平均的な経過より長く生活する方もいるため、診断名だけから個人の経過を正確に予測することはできません。 研究では、発症時の年齢が高いことや、発症から3年以内の転倒、膀胱症状、早期からみられる起立性の症状、強い自律神経障害などが、生存期間の短さと関連する要因として報告されています。(文献7) 一方、多系統萎縮症の病型による生存期間の明確な差は認められませんでした。 定期的に症状を確認し、状態に応じて薬物療法やリハビリ、生活環境の調整を行うことが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症になりやすい人の特徴について詳しく解説しています。 内部リンク:8月KW(多系統萎縮症になりやすい人は) 多系統萎縮症の末期にはどのような症状が現れますか? 多系統萎縮症には明確に統一された「末期」の定義はありませんが、病気が進行すると、自力での歩行や姿勢の維持が難しくなり、車椅子での生活や寝たきりの状態になることがあります。 さらに、飲み込みにくさが強くなり、むせや誤嚥性肺炎、栄養不足が起こる場合があります。声帯の動きに障害が生じると、睡眠中などに息を吸う際の高い呼吸音である「吸気性喘鳴」や、呼吸障害が現れることもあります。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 末期症状」 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献3) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献4) 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018|日本内科学会雑誌第113巻第6号 (文献5) 多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症(指定難病17)|難病情報センター (文献6) Multiple System Atrophy: Prognostic Indicators of Survival|PMC (文献7) Clinical features and autonomic testing predict survival in multiple system atrophy|PubMed
2026.07.31 -
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「多系統萎縮症と診断されたけれど、リハビリでは実際にどのようなことをするのだろう」 と気になっている方もいるのではないでしょうか。 多系統萎縮症は、歩くときのふらつき、動作のしにくさ、話しづらさ、立ちくらみなど幅広い症状が現れるため、必要なリハビリの内容も一人ひとり異なります。 本記事では、多系統萎縮症のリハビリで行う理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの具体的な内容を、病期ごとの目標や適切に続けるための注意点とあわせて解説します。 この記事を読めば、今のご状況でどのリハビリに力を入れれば良いかが整理できます。ぜひ最後までご一読ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症の特徴と現れやすい症状 項目 MSA-C(小脳症状が中心) MSA-P(パーキンソン症状が中心) 主な特徴 バランスを保ちにくい 手足の動きをうまく調整できない 姿勢が不安定になる 動作が遅くなる 筋肉がこわばる ろれつが回りにくくなることもある 共通して現れる症状 立ちくらみ 排尿障害 便秘 飲み込みにくさ 息苦しさ 息を吸うときの喘鳴 (文献1)(文献2)(文献3) 多系統萎縮症(MSA)は、体の動きやバランス、血圧、排尿などを調整する脳や脊髄の働きが少しずつ低下していく進行性の病気です。国の指定難病の一つで、歩行時のふらつきや動作のしにくさ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、排尿障害などが現れます。 多系統萎縮症は、現れやすい症状によって、小脳の機能障害が目立つ「MSA-C」と、パーキンソン病に似た症状が目立つ「MSA-P」の2つに大きく分けられます。(文献1) ただし、完全に分かれるものではなく、病気の進行に伴って両方の症状が重なって現れる場合もあります。また、どちらの病型でも、立ちくらみや排尿のトラブル、便秘などの自律神経症状がみられる点が特徴です。(文献2) 以下の記事では、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いについて詳しく解説しています。 内部リンク:7月KW(多系統萎縮症 脊髄小脳変性症 違い) 進行を止める治療がないなかでリハビリが担う役割 多系統萎縮症を含む神経の変性疾患では、変性した神経を元の正常な状態に戻したり、変性の進行を止めたりする治療法は現時点ではありません。 そのため、症状を和らげる対症療法とあわせて、生活の質を維持するためのリハビリテーションを行うことが治療の柱となります。 多系統萎縮症は比較的進行が早く、発症後平均で5年ほどで車椅子を使用し、8年ほどで臥床状態になると報告されています。(文献2) リハビリの目的は、失われた神経を取り戻すことではありません。残っている機能をできるだけ長く使い続け、転倒や誤嚥性肺炎といった二次的なトラブルを防ぐことにあります。 実際、できるだけ多くの日常生活動作を続けることが、筋力と柔軟性の維持に役立つとされています。(文献1) 以下の記事では「多系統萎縮症が治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説しています。 内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った人」 多系統萎縮症の病期別リハビリ目標 多系統萎縮症のリハビリでは、病気の進行や現在の生活状況に合わせて目標を見直すことが大切です。 症状が軽い時期と介助が必要な時期では、優先すべきことが異なります。 以下は病期ごとのリハビリ目標の目安です。 項目 リハビリの目標 軽度 今ある機能の維持、運動習慣の定着、転倒の予防 中等度 適切な移動手段の確保、誤嚥と失神の予防 重度 関節の拘縮・床ずれの予防、意思疎通の手段の確保 実際の目標は、症状や生活環境を踏まえ、主治医や理学療法士などのリハビリ専門職と相談して決めましょう。 軽度の時期|運動習慣の定着と転倒予防 身のまわりのことや仕事、外出などを、おおむね自分で行える時期です。 この時期は、現在の身体機能や日常生活をできるだけ長く維持し、無理なく体を動かす習慣を身につけることが主な目標です。 あわせて、転倒につながりやすい場面や生活上の困りごとを早めに把握し、症状が進んだ場合にも対応しやすい環境を整えておくことが重要です。 中等度の時期|移動の安全確保と誤嚥・失神の予防 歩行や身のまわりの動作に、見守りや介助が必要になる時期です。 この時期は、自力で行うことだけにこだわらず、安全に移動して日常生活を続けられる状態を保つことが目標になります。 また、飲み込みにくさによる誤嚥や、起立性低血圧による立ちくらみ・失神にも注意が必要です。事故や体調悪化を防ぐため、ご本人の状態に合った介助方法や生活環境を整えていきます。 重度の時期|拘縮・褥瘡の予防と意思疎通の維持 ベッドで過ごす時間が長くなり、日常生活の多くに介助が必要となる時期です。 この時期は、身体機能を高めることよりも、関節が固まる拘縮や床ずれ、呼吸器の合併症などを防ぎ、苦痛を減らすことが主な目標になります。 あわせて、ご本人が希望や体調を周囲に伝えられるよう、意思疎通の手段を確保することも重要です。話しにくさが強くなる前から、今後のコミュニケーション方法について、ご本人・ご家族・専門職で話し合っておきましょう。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 内部リンク:7月KW(多系統萎縮症 末期症状) 多系統萎縮症のリハビリで行う具体的な訓練 多系統萎縮症のリハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職が、症状や生活上の困りごとに応じた訓練や指導を行います。(文献1) それぞれ担当する領域は異なりますが、複数の専門職が連携し、一人ひとりの状態に合わせてリハビリの内容を組み立てます。 理学療法(PT)|ふらつき・歩行障害・姿勢異常への対応 理学療法では、立つ・歩く・起き上がるといった基本的な動作を支えます。 ふらつきに対しては、手首や足首に軽い重りをつけたり、弾性のあるバンドを体幹に巻いたりして、自分の体の位置を感じ取りやすくする方法がよく用いられます。 動作の遅さやこわばりに対しては、「いつもより大きく足を上げる」「大きく腕を振る」というように、あえて動作の幅を大きくする練習が行われ、小さくなりがちな動きを意識的に補うという考え方です。 また、体が前に強く曲がる、首が下がるといった姿勢の変化は、一度固まると戻しにくくなります。 背中を伸ばす訓練や、鏡で姿勢を確認しながら整える練習を早くから続けることが大切です。 作業療法(OT)|日常生活動作と自助具・住環境の工夫 作業療法では、食事・着替え・入浴・トイレといった動作を、できるだけ自分の力で安全に行えるようにすることを目指します。 手が動かしにくくなった場合は、柄を太くしたスプーンや縁の高い食器、滑り止めマットを使うことで、自分で食べられる期間を延ばせることがあります。 また、住まいの環境整備も重要な役割です。手すりの設置や床の段差の解消で転倒を防ぎます。 どこにどのような手すりが必要かは体の状態で変わるため、実際の生活場面を見てもらいながら決めるのが確実です。 言語聴覚療法(ST)|話しにくさ・飲み込みにくさへの対応 言語聴覚療法では、「話す」と「飲み込む」という、生活の質に直結する2つの機能を支えます。 話しにくさに対しては、声を出し続ける練習や、話す速さを一定に保つ練習が行われます。 ゆっくり区切って話す習慣は、聞き取ってもらいやすさにつながります。 飲み込みにくさについては、あごを軽く引いた姿勢をとるといった姿勢の調整や、飲み物にとろみをつける、ゼリー状の食事に変更するといった食べ物の形態の調整を行います。 飲み込みにくさへの対症療法は診療ガイドラインでも項目として扱われており、経過に応じた判断が必要な領域です。(文献4) 「むせる回数が増えた」「食事に時間がかかる」「体重が減ってきた」といった変化があれば、早めに主治医に相談してください。 呼吸リハビリテーション|息苦しさ・痰への対応 多系統萎縮症では、呼吸や飲み込みの障害、息を吸うときの喘鳴(吸気性喘鳴)がみられることが知られています。(文献3) 胸まわりの動きを保つ運動や、痰を出しやすくするための介助などを行います。 とくに睡眠中の喘鳴やいびきの変化は重要なサインですので、ご家族が気づいた場合は必ず主治医に伝えてください。 多系統萎縮症のリハビリを適切に続けるための注意点 多系統萎縮症のリハビリには、他の病気にはない固有の注意点があります。 とくに自律神経の症状は、運動そのものを危険なものに変えてしまうことがあるため、知っておくことが欠かせません。 起立性低血圧による立ちくらみ・失神を防ぐ もっとも注意が必要なのが起立性低血圧です。 立ち上がったときに血圧が下がり、立ちくらみや、ときには失神を起こします。前ぶれなく意識を失うこともあるため、骨折につながる転倒の大きな原因になります。 対策として、塩分と水分の摂取量を増やすことが大切です。血液の量が増え、血圧の上昇に役立ちます。また、ゆっくり立ち上がることも急激な血圧低下の予防になり、腹帯や弾性ストッキングの着用も助けになることがあります。 なお、塩分や水分の適切な量は、心臓や腎臓の状態によって変わるため、自己判断で大きく増やさず、必ず主治医の指示に従ってください。 誤嚥性肺炎を防ぐ姿勢と食事の工夫 飲み込む力が落ちてくると、食べ物や唾液が気管に入り、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。 食事の際は「あごを引いた姿勢を保つ」「体が傾かないように座る」「一口の量を減らす」「テレビを消して集中する」といった工夫が大切です。 食後すぐに横にならないこと、口の中を清潔に保つことも予防につながります。 自宅でのリハビリと家族の介護負担を軽減する方法 通院や通所でのリハビリだけでは、機能を維持するには十分でないことがあります。 日々の暮らしのなかで体を動かし続けることが、結果的に大きな差につながります。 自宅で続けやすい運動の例 椅子に座った状態での足踏み、手すりやテーブルにつかまっての立ち座りの繰り返し、肩や首をゆっくり回すストレッチなどは、体調に合わせて調整しやすい運動です。 そして何より、できるだけ多くの日常生活動作を続けること自体が、筋力と柔軟性の維持に役立ちます。(文献1) 着替えや洗面など、これまでどおりの動作を時間がかかっても自分で行うことが、自然なリハビリになります。安全な範囲で「代わりにやってあげる」よりも「見守りながらやってもらう」ことを意識してみてください。 ただし、病期によって避けるべき動きがあるため、内容は必ず主治医やリハビリ専門職に確認してください。 介護するご家族の負担を軽くする工夫 多系統萎縮症の療養は長期にわたり、進行とともにご家族の負担も増していきます。 介助を自己流で続けていると、腰を痛めるなど、ご家族自身が体を壊してしまうことも少なくありません。移乗や入浴の介助は、訪問看護師やリハビリ専門職から正しい方法を学んでおくことをおすすめします。また、抱え込まないことも重要です。 訪問リハビリ、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせれば、ご家族が休息をとる時間を確保できます。 「まだ大丈夫」と思える段階からケアマネジャーに相談しておくほうが、いざというときに慌てずに済みます。 多系統萎縮症は病期に合ったリハビリを継続しよう 多系統萎縮症のリハビリは、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などを組み合わせ、病期に応じて目標を切り替えながら進めていくものです。 軽い時期には機能の維持と転倒予防を、介助が必要な時期には安全な移動と誤嚥・失神の予防を、重度の時期には合併症の予防と意思疎通の維持を目指します。 神経の変性そのものを止める治療法はありませんが、対症療法とリハビリテーションによって生活の質を維持していくことが治療の中心とされています。(文献2) とくに、起立性低血圧と誤嚥への対策は、リハビリを適切に続ける上で欠かせません。 不安を感じたときは、ひとりで抱え込まず、主治医やリハビリ専門職、ケアマネジャーに相談しましょう。関わる専門職が増えるほど、選べる工夫の幅は広がります。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症のリハビリに関するよくある質問 多系統萎縮症のリハビリでやってはいけないことはありますか? すべての方に共通する禁忌はありませんが、症状や病期に合わない運動は避ける必要があります。 とくに、起立性低血圧がある状態で急に立つことや、ふらつきが強い状態で一人で歩行訓練を行うことは危険です。息苦しさや強いめまい、むせが現れた場合は中止し、主治医や理学療法士などのリハビリ専門職に相談してください。 以下の記事では、多系統萎縮症になりやすい人の特徴について詳しく解説しています。 内部リンク:8月KW(多系統萎縮症余命) 多系統萎縮症のリハビリはどこで受けられますか? 多系統萎縮症のリハビリは、脳神経内科やリハビリテーション科のある病院・診療所で受けられます。 通院が難しい場合は、訪問リハビリや通所リハビリを利用できることもあります。対応できる施設や内容は地域によって異なるため、主治医や病院の地域連携室、ケアマネジャーに相談して受け入れ先を探してください。 多系統萎縮症のリハビリには入院が必要ですか? 多系統萎縮症のリハビリに、必ず入院が必要なわけではありません。症状が安定している場合は、外来や訪問、通所で継続できます。 一方、歩行や嚥下機能の詳しい評価、補助具の選定、家族への介助指導などが必要な場合は、短期入院が検討されることもあります。 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献3) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献4) 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018|日本内科学会雑誌
2026.07.31















