インフォメーション
LICENSE厚生労働大臣許可医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 承認済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理されました。
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた変形性関節症の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた毛髪組織治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法






















当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「糖尿病」「脳卒中」「肝障害」「変形性関節症」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)の関節内投与や「毛髪の再生」を再生医療安全確保法のもと、自由診療を提供しています。再生医療とは、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会において、厳しく審査が行われ、治療の妥当性・安全性・医師体制などが適切と認められる事ではじめて厚生労働省に治療計画を提出することができます。
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療は限界ではないだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んだり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼び、おすすめしています。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた最先端の医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配が無いおすすめの治療方法です。
- 1億の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC

できなくなったことを、再びできるように
わたしは医学部卒業後、大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院で関節や脊椎の疾患、脊髄損傷などの外来や手術に従事しました。また、救命救急センターで脳卒中や心疾患などの内科疾患を幅広く経験しました。
膝や股関節の人工関節については専門病院で約1000例以上の手術とリハビリを手掛け、その後生まれ育った地元でクリニックを開業をいたしました。開業してからも患者さまの痛みや苦痛を少しでも和らげ、人生をより楽しく、明るい気持ちで過ごしてもらいたいという思いを持ち続けて診療を行い、地域の皆さまに愛される医療を目指し在宅医療や訪問看護にも力を注いで参りました。
そんな道を進みながらも、わたしは常に患者さまにどうやったらより質の良い医療を提供できるだろう、という思いを抱き続けて模索を繰り返していました。やはり保険診療の範囲では限界があり、患者さまの生活の質を一定以上回復させることは叶わないからです。
そんな時に再生医療と出会い、新たな可能性を見出すことができました。
再生医療の凄いところは、安全性を担保しながら治療を行う事が出来、しかも一般的には治療が難しいと言われる症状に対しても劇的な回復を見込めるという事です。脳血管疾患や脊髄損傷などで深刻な後遺症を持つ方がみるみる回復していく様に、わたし自身も驚きの連続でした。
また、膝、股関節、肩など関節疾患により大好きなスポーツが出来なくなった方が復帰されたり、手術をするしか選択肢がなかった方に、手術に代わる新たな選択肢をご提供する事が出来るようになった事で、多くの患者様から「この治療を受けて本当によかった」と大変喜ばれております。
「これ以上回復させることはできないのが常識」という概念を覆したのですから、本当に凄いことです。もちろん再生医療は不治の病を全て治すことのできる万全な治療ではありません。しかし、一般的な医療の効果をはるかに超えて結果を出せる可能性がある事を、わたしはたくさんの実績を通して確信に変えています。
そしてもちろん、脳血管疾患や脊髄損傷、整形外科分野の疾患においてリハビリも欠かせない大事な要素の一つです。再生医療×リハビリの相乗効果で回復の幅がかなり広がることでしょう。
再生医療は、わたしが求め続けていた「人生をより楽しく、明るく過ごしてもらいたい」という医療に対する思いそのものだと感じました。現在も日々たくさんの方々にご来院いただき、たくさんの笑顔を見ることが叶っています。患者ご本人さまやご家族が泣いて喜ぶ瞬間は、何度立ち会っても感慨深く、私の原動力になっております。

再生医療における無限の可能性
再生医療の治療は、幹細胞という細胞を用いて行う治療です。幹細胞はとても小さく、身体の中をすみずみまで巡り、人の手の及ばない細かな箇所にもアプローチしてくれるものですので、この治療はまだまだ無限の可能性を秘めており、今後も様々な症例が報告されることでしょう。様々な疾患で苦しむ方の希望になるだろうと、わたしは思っています。
また、当院では患者様ご自身の細胞を使いますので安全に治療を受けていただけます。どうか安心してご来院ください。
「できなくなった事を再びできるように」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることのお手伝いができれば幸甚の至りでございます。
医療法人美喜有会理事長 坂本 貞範
略歴
- 1997年3月
- 関西医科大学 医学部卒
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
- 1998年5月
- 大阪社会医療センター附属病院 勤務
- 1998年9月
- 大阪府立中河内救命救急センター 勤務
- 1999年2月
- 国立大阪南病院 勤務
- 2000年3月
- 野上病院 勤務
- 2003年3月
- 大野記念病院 勤務
- 2005年5月
- さかもとクリニック 開設
- 2006年12月
- 医療法人美喜有会設立 理事長就任
- 2019年6月
- リペアセルクリニック大阪院 開設
- 2021年5月
- リペアセルクリニック東京院 開設
主な医学論文•学会発表
- 論文名:透析患者に対する鏡視下手根管開放術の費用と手術手技
論文掲載:日本透析医学会雑誌(1340-3451)37巻Suppl.1 Page770(2004.05) - 論文名:IBBC手技を使用したTKAの中期成績
論文掲載:日本人工関節学会誌(1345-7608)30巻 Page35-36(2000.12) - 論文名:寛骨臼巨大骨欠損の再置換法とその成績 同種骨による欠損壁の修復と水酸アパタイト顆粒による空洞の修復
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻2号 Page S319(2000.02) - 論文名:骨セメントと骨界面に水酸アパタイト顆粒を介在させる界面バイオアクティブ骨セメント手技(IBBC)
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻3号 Page S666(2000.03) - 論文名:外反母趾手術chevron法に対するPLAの使用経験
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)42巻1号 Page241-242(1999.01) - 論文名:亜急性に経過した膝蓋骨骨髄炎の1例
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)41巻4号 Page1107(1998.07)
当院で再生医療を
サポートする専門医

藤間 保晶 院長
略歴
- 1995年3月
- 三重大学医学部学科卒業
- 1995年4月
- 奈良県立医科大学 整形外科入局
- 1996年1月
- 奈良県立奈良病院 救命救急センターおよび麻酔科(救急医療、麻酔)
- 1997年1月
- 三重県大台厚生病院 整形外科(へき地医療)
- 1998年1月
- 大阪松原市立病院 整形外科
- 2000年1月
- 済生会富田林病院 整形外科
- 2002年1月
- 奈良県立三室病院 整形外科
- 2004年7月
- 済生会奈良病院 整形外科
- 2006年7月
- 市立奈良病院 整形外科
- 2008年7月
- 国立病院機構奈良医療センター 整形外科・リハビリテーション科
- 2017年1月
- 市立奈良病院 整形外科・リハビリテーション科
- 2019年4月
- 石心会(新東京石心会)グループ さいわい鶴見病院 関節外科
主な医学論文•学会発表
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論文名:Early bone in-growth ability of alumina ceramic implants loaded with tissue-engineered bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントの早期骨形成能について
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Orthopaedic Research 24(4): 595-603, 2006. -
論文名:Bone marrow-derived mesenchymal cells can rescue osteogenic capacity of devitalized autologous bone自家培養骨髄由来間葉系細胞による壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Ohgushi H, Morishita T, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 2(1): 61-68, 2008. -
論文名:Basic and Clinical Research into Alumina Ceramic Artificial Joint Prosthesis loaded with Tissue-engineered Bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントを用いた基礎研究および実際の人工足関節手術での治療成績
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Tissue Engineering Research Trends, Nova Science Publishers, Inc.: 183-197, 2008.
-
4. 論文名:骨への幹細胞移植
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁, 他.
論文掲載:病理と臨床27(4): 367-371, 2009. -
5. 論文名:Osteogenic activity of bone marrow-derived mesenchymal stem cells (BMSCs) seeded on irradiated allogenic bone培養骨髄由来間葉系細胞による同種壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Dohi Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 6(2): 96-102, 2012. -
6. 論文名:再生医療におけるアログラフト
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁
論文掲載:再生医療における臨床研究と製品開発. 技術情報協会:109-115, 2013. -
7. 論文名:Reg Gene Expression in Periosteum after Fracture and its In Vitro Induction Triggered by IL-6. 骨折後の骨膜に再生遺伝子(Reg遺伝子)が出現することを発見し、インターロイキン6により誘導されることを見出した研究
著者:Tohma Y, Dohi Y, Shobatake R, et al.
論文掲載:Int. J. Mol. Sci. 18(11): 2257, 2017. - ほか多数

吉塚 将昭
略歴
- 2007年3月
- 広島大学 医学部 卒業
- 2007年4月
- 医師免許取得
- 2007年4月
- 市立三次中央病院 研修医
- 2009年4月
- 松山赤十字病院 整形外科 勤務
- 2011年4月
- 市立八幡浜総合病院 整形外科 勤務
- 2013年4月
- 広島大学病院 整形外科 勤務
- 2017年3月
- 広島大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
- 2017年4月
- 土谷総合病院 整形外科 勤務
- 2020年4月
- 庄原赤十字病院 整形外科 勤務
- 2022年4月
- 斎木病院 整形外科 勤務
マキツボ整形外科クリニック 勤務
- 2022年10月
- リペアセルクリニック東京院 勤務
所属学会
- 日本整形外科学会 専門医

渡久地 政尚
略歴
- 1991年3月
- 琉球大学 医学部 卒業
- 1991年4月
- 医師免許取得
- 1992年
- 沖縄協同病院 研修医
- 1994年
- 沖縄協同病院 外科 勤務
- 2000年
- 癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
- 2008年
- 沖縄協同病院 内科 勤務
- 2012年
- 老健施設 かりゆしの里 勤務
- 2013年6月
- 医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
- 2014年9月
- 医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
- 2017年8月
- 医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
所属学会

圓尾 知之
略歴
- 2002年3月
- 京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
- 2002年4月
- 医師免許取得
- 2002年4月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2002年6月
- 関西労災病院 脳神経外科 勤務
- 2003年6月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2003年12月
- 大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
- 2004年6月
- 大阪労災病院 脳神経外科 勤務
- 2005年11月
- 大手前病院 脳神経外科 勤務
- 2007年12月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2012年3月
- 大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
- 2012年4月
- 大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
- 2014年4月
- 大手前病院 脳神経外科 部長

加藤 秀一
略歴
- 1997年3月
- 埼玉医科大学 医学部 卒業
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 三重大学附属病院 整形外科 研修医
- 1998年4月
- 伊賀市立上野総合病院 整形外科 勤務
- 2000年6月
- 鈴鹿中央病院 整形外科 勤務
- 2001年6月
- 三重大学医学部大学院 整形外科学 勤務
- 2003年4月
- 医療法人山本総合病院 整形外科 勤務
- 2004年4月
- 三重県立総合医療センター 整形外科 勤務
- 2006年4月
- 四日市社会保険病院 整形外科 勤務
- 2008年4月
- 医療法人博仁会 村瀬病院 整形外科 勤務
- 2008年9月
- 医療法人美喜有会 理事
- 2009年4月
- 医療法人美喜有会 整形外科みきゆうクリニック 管理者

症例紹介
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- 肩関節の症例
- スポーツ医療の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
筋トレが再開できて嬉しい! こちらの患者様は、数年前から筋トレ時に右肩痛が出現している、過去に受けた左肩腱板損傷の手術後の痛みが悪化していると当院を受診していただきました。 最近は健康増進のためジムで筋トレを行う方が増えています。男性に人気の種目は分厚い胸板を目指しての大胸筋のトレーニングです。しかし大胸筋トレーニングは正しいフォームで行わないと肩を傷めるリスクが高いです。特に腕の軌道がバーによって制限されるベンチプレスや、大胸筋上部や三角筋に負荷がかかるインクラインベンチプレスなどは注意が必要です。せっかくジム通いをはじめたのに肩の痛みのため思うようにトレーニングが出来ない、しかし筋トレのためだけに大がかりな関節鏡手術までは受けられないといった患者様の当院への受診が増えています。 こちらの患者様も数年前からの右肩痛のため、思うように筋トレが出来ないとフラストレーションを抱えておられました。また以前受けた左肩腱板損傷の手術後の痛みが悪化しているとのことでした。 左肩の手術の際、関節鏡を使用したので傷は小さく体への負担は少なかったそうですが、術後の外固定が3か月、その後の手術と外固定で固まってしまった肩の激痛をともなうリハビリは6か月にもおよび、大変辛かったと話して頂きました。おかげで痛みは軽減し執刀医の先生やリハビリの先生には大変感謝してるものの、もう一度あの辛い思いはしたくないと、入院や外固定が必要のない幹細胞治療に興味をもたれ当院を受診していただきました。残念なことにあんなに苦労して治療した左肩のほうも最近また痛みが強くなってきているとのことでした。受診時のMRIは、右肩は腱板部分断裂、左肩は腱板の再断裂を認めていました。 当院では独自の冷凍せず培養する方法や、独自の培養シートを使用することで生き生きとした幹細胞を投与することができます。その結果、腱板損傷の治療成績は関節鏡と同等かそれ以上を誇っています。 また、擦り切れて短くなった腱板を強い張力でアンカーで元の位置に縫着する手術とは違い、幹細胞治療は擦り切れて薄くなったり短くなった腱板自体を再生させるので再断裂の心配はありません。細胞採取の際は局所麻酔下で下腹部から1cmほどの傷を用いて米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取するのみで、体への負担が手術に比べてはるかに少ないです。そのことをお話しして、是非当院の幹細胞地治療を両肩とも受けたいと言ってくれました。 投与一年後のMRIで腱板の再生を確認 <治療効果>右肩に5000万個細胞を3回、左肩に5000万個細胞を2回投与+PRP 右肩には5000万個細胞を3回、左肩には5000万個細胞を2回投与しました。 投与後4か月で、両肩とも痛みは消失しました。 その時から肩への負担が少ないダンベルプレス、ペクトラルフライなどの種目はやっていただくこととしました。投与後1年のMRIでは、両肩ともに薄かった腱板が分厚くなっていることが確認できました。 最終診察時に患者様には分厚くなった胸板によってトレーニングの成果を見せていただくとともに、投与前には全く出来なかった腕立て伏せが30回できるようになったと嬉しそうに話していただきました。 <治療費> 関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個) 投与回数 (1回~3回)132~418万円(税込) PRP治療 16.5万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID 000548 再生医療医師監修:坂本貞範
2023.09.28 -
- 脳卒中の症例
- 幹細胞治療の症例
右上肢の機能回復しボールが投げられるようになる こちらの患者様は1年前に脳梗塞を罹患され、その後遺症の治療のため当院を受診していただきました。 具体的な後遺症は、右肩の動かしにくさと右上肢しびれです。それに加え目の奥に痛みも持たれていました。特にこの目の奥の痛みは医療関係者に訴えてもわかってもらえず、痛み自体の辛さと理解してもらえない辛さを二重で味わっているそうです。さらに脳梗塞を発症して1年が経過して神経の回復も止まってしまい、不安を抱えていたそうです。効き手である右肩にもう少し力が入り、右上肢のしびれ、目の奥の痛みが少しでも軽減するのであればと再生医療を希望し当院を受診していただきました。 脳卒中や脊髄損傷後の残存するしびれ・痛みに対しては、内服薬の服用などの対処療法を行いまずが、その効果は限定的な場合が多いです。知覚障害は、運動麻痺と比べ些細な問題と捉えられがちですが、知覚障害を抱えている患者様にとっては深刻な問題です。また脳卒中の慢性期に入った患者様の筋力を回復させる手段は現実的にはリハビリしかありません。しかしリハビリの効果も限定的になる場合が多いです。 近年、研究が進み幹細胞を使った再生医療により、筋力低下や知覚障害などの脳卒中の後遺症が回復した症例が数多く報告されています。私達も脳卒中の幹細胞治療の黎明期から積極的に幹細胞治療に取り組みはじめました。 さらに投与する幹細胞自体にもこだわりをもっています。当院の投与する細胞の生存率は90%以上を誇っています。これは一般的な再生医療のクリニックで使用する細胞の生存率が60%ほどであることと比べると群を抜いた数字です。より生存率の高い幹細胞を投与することで、後遺症から回復をより促進できるのではと考えています。 脳動脈血管造影検査 投与後、明らかに画像の青い部分の血管が再生されているのを確認する。 投与後の変化 こちらの患者様には1億個細胞を3回、合計3億個細胞を点滴投与しました。 1回目の投与後わずか1か月で、右肩の可動域が改善し力が入るようなりました。半年後には右肩の筋力は脳梗塞発症前の状態にほぼ戻ったと言っていただけました。 さらに1年後には右手でボールを投げることができるようになり、辛かった右上肢のしびれと目の奥の痛みも3分の1まで軽減しました。 そしてかかりつけの脳神経外科で脳の血管造影検査を受けたところ、血流が途絶えていた領域に再生した血管が確認できたとのことでした。その画像を当院まで持参して見せていただき、検査した脳神経外科の先生も驚いていたと話していただきました。 私達も幹細胞治療の結果を画像を通して客観的に見ることができ、その効果を実感できてうれしく思いました。 <治療費> 幹細胞点滴 投与回数(1回~3回) 242~594万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID 000712 再生医療医師監修:坂本貞範
2023.09.26 -
- 肩関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
右肩腱板損傷に対する幹細胞治療で腱板が再生! こちらの患者様は2か月前から急に出現した右肩の痛みで、当院を受診していただきました。 近くの整形外科の肩専門医を受診し、MRI撮影で腱板断裂と診断されました。関節注射、投薬やリハビリでの改善は見込めないということで、すぐに関節鏡手術を予定されたそうです。 腱板損傷は最初は小さな断裂からはじまりますが、それを放置しておくと徐々に断裂部位は大きくなり、最後には縫合が不可能になってしまいます。縫合が不可能な大断裂・広範囲断裂の場合には大腿部から筋膜を採取して橋渡しをしたり、人工関節が必要になってしまう場合があります。特に50代の若い患者様の場合には、今後の長い人生の中で大断裂に進行してしまう可能性が高いので、肩専門医は手術を勧めたのだと思います。 しかし以前に患者様は当院のYouTubeを見ていただいており、再生医療を思い出し当院を受診していただきました。 関節鏡による手術は傷口は1㎝ほどのものが数か所だけですみ、体への負担は少ないです。しかし手術後は数週間の装具による患部の固定、装具を外した後は数か月のリハビリ、入院も必要になります。また手術の際には感染のリスクや全身麻酔の合併症もあり、術後の装具固定により肩関節の拘縮という合併症や、縫合した腱板の再断裂のリスクもあります。せっかく腱板が縫合されて繋がっても拘縮の痛みが出てしまい、以前よりも痛くなることもよく見られます。 一方、当院の腱板損傷に対する幹細胞治療の効果は手術と同等かそれ以上であり、さらに治療のための入院は必要なく日帰りで大丈夫です。何よりも縫合せず腱板を再生させるため、再断裂という心配はなくなります。 具体的な方法は、下腹部から1㎝程の創で米粒大の脂肪組織を2粒から3粒ほど局所麻酔下に採取し、その中にある脂肪幹細胞を分離及び培養し、エコーガイド下に損傷下腱板に注射します。入院、外固定、リハビリはもちろん不要です。関節鏡と比べ多くの利点があることから、幹細胞治療を選択していただきました。 当院では数多くの腱板損傷の幹細胞治療を行っていますが、明らかに手術するよりも好成績となっており、一人でも多くの方にこの治療を知っていただきたく日々努力をしております。 MRI MRIでは棘上筋腱の上腕骨付着部での部分断裂を認めました。白くなっているところが損傷部位です。肩峰下滑液包に液体貯留を認め炎症が強いことが示唆されました。 Before MRIで腱板が白くなっており形も不整となっている After MRIで白いところが縮小し腱板の形も整っている <治療効果>2500万個の幹細胞投与を計3回+PRP 2500万個の幹細胞投与を計3回を行いました。 初回投与後3か月で痛みは10段階で投与前10点であったのが5点に軽減しました。初回投与から1年後にはすっかり痛みが取れて0点になっていました。 幹細胞治療で満足いく治療効果が得られた患者様にはお知り合いやご家族にも幹細胞治療をお勧めしたいと言っていただけます。しかし幹細胞治療の効果は100%ではありません。幹細胞治療の不確実性を理解いただいている誠実な患者様は、手放しで他の人にはお勧めできないともおっしゃられます。 こちらの患者様には幹細胞治療の不確実性を踏まえた上で旦那様に幹細胞治療をお勧めしていただき、旦那様も治療を受けてもらうことになりました。初回投与後1年に旦那様の幹細胞治療で付き添いに来ていただいた際、お話を聞くと肩の痛みはすっかり良くなったと言っていただけました。さらに他院で撮影したMRIを持参していただき再生した腱板を確認することができました。 旦那様も奥様同様に満足いただける治療効果が得られることを願っています。 <治療費> 関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個) 投与回数 (1回~3回)132~418万円(税込) PRP治療 16.5万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID 000624 再生医療医師監修:坂本貞範
2023.09.11 -
- 股関節の症例
- 幹細胞治療の症例
- PRP治療の症例
まだ人工関節するのは早い 幹細胞で痛み消失 40代女性 こちらの患者様は15年前からの左股関節痛のため受診していただきました。 患者様は先天性股関節脱臼のため、乳児期に左股関節の脱臼整復の手術を受けられました。その後30代で左股関節の痛みが出現するようになりました。 整形外科では臼蓋形成不全による変形性関節症と診断を受け、以来15年間左股関節の痛みと付き合ってこられました。先天性股関節脱臼とは、股関節が生まれつき緩かったり、臼蓋の屋根の形状が不完全な場合に大腿骨頭が臼蓋から外れた状態になります。脱臼した状態のままだと正常な股関節に成長できないため、装具療法、牽引や手術をしたりして脱臼を整復しなければなりません。骨頭への臼蓋のかぶりが浅い場合(臼蓋形成不全)には将来、変形性関節症となってしまうため予防的に骨盤の骨を切って臼蓋の屋根がかぶさるようにする手術などを行う場合もあります。 こちらの患者様は、そういった骨切り術は受けてはいませんでした。現在通院している整形外科では臼蓋形成不全による変形性股関節症と診断され、まだ40代と若いので人工関節をするには耐用年数の問題から早いと言われ、内服薬による対処療法が行われていました。人工関節の耐用年数は平均15年でどんなに長くても30年であるため、若い時期に人工関節を受けると将来的に入れ替えの手術(再置換術)が必要となってしまいます。そのため人工関節をするには60歳以降が望ましいとされています。 変形性股関節症の幹細胞治療を行っている施設は変形性膝関節症と比べて希です。それは股関節は膝関節と比べ解剖学的に隙間が狭い構造となっており幹細胞を注入しづらいことが一因と考えています。 私達は股関節内に確実に幹細胞を届けるということへのこだわりを持っています。エコー、特殊なレントゲン装置、そして針先が細くしなりがある特殊な注射針などを使用して確実に股関節内へ幹細胞を届けることはもちろんのこと、損傷部位に重点的に届くように工夫しています。さらに3種類の穿刺方法を使用し、患者様の股関節の変形の程度や形態に応じて選択し確実性を上げることに努めています。私達は生き生きした細胞を使用するのはもちろんのこと、これらの機器・技術を駆使して変形性股関節症への幹細胞治療も積極的に行ってきました。その症例数は数百例を数え、治療効果においても確かな成果を出してきました。 レントゲン レントゲンでは左股関節の臼蓋の形成不全とそれにともなう関節裂隙の狭小化を認めました。 <治療効果>左股関節に1億個細胞を計2回投与+PRP 左股関節に1億個細胞を計2回投与しました。 初回投与後2か月で、投与前10段階中8であった痛みが0となり、投与後半年が経過しても痛みが0のまま過ごせています。 患者様からは「痛みと15年間も付き合ってきたから将来人工関節を受けるまで痛みから解放されることはないと思っていましたが、痛みから解放される時がこんなに早く来るなんて思ってもいなかった。」と大変喜んでいただけました。 臼蓋のかぶりが浅いことは改善できていないため将来的に痛みが再発する可能性は否めませんが、たとえそうだとしても人工関節を受けるまでに痛みなく過ごせる期間を提供できたので大変意義のある治療だったと思っています。 <治療費> 関節1部位 幹細胞数(2500万個~1億個) 投与回数(1回~3回) PRP治療含む 132~418万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状のよりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ID 000763 再生医療医師監修:坂本貞範
2023.09.08
坂本理事長のブログ
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- 膝部、その他疾患
- 股関節
骨壊死の分類について|股関節・肩の骨頭壊死と膝の骨壊死症 骨壊死とは骨を栄養している血管が障害されて血液が供給されなくなってしまった結果、骨の一部分が壊死してしまう病気です。怪我などの外傷による血管の障害や、アルコール、ステロイド使用者などに原因不明で生じることがあります。 この記事ではそれぞれの骨頭壊死と骨壊死の種類について解説し、重症度を決める分類方法やステージの内容について詳しく解説していきます。 骨壊死と骨頭壊死症 骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ますが、代表的な部位として、股関節の大腿骨頭に起きる大腿骨頭壊死、肩関節の上腕骨に起こる上腕骨頭壊死、膝関節骨壊死などがあります。 股関節、肩関節についてはそれぞれ、大腿骨頭、上腕骨頭という部位があるので骨頭壊死という病名がつきますが、膝関節は骨頭という部位がないので骨壊死という病名となります。 大腿骨頭壊死について 大腿骨頭壊死の原因 股関節を構成している大腿骨頭を栄養している血管が障害されることによって生じます。 原因不明の特発性と股関節の骨折や脱臼などの外傷、放射線治療、潜函病などによって発症する場合があります。 大腿骨頭壊死の分類 原因不明である特発性骨頭壊死では壊死の範囲によって重症度分類がありType A~Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きく、大腿骨頭が潰れてしまうリスクが高くなりType Aが軽症でCになるとより重症となります。Type CはさらにC-1とより重症なC-2に分けられます。 それぞれの内容について解説します。 Type A:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重がかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の内側にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の外側にあるもの 大腿骨頭壊死のステージ分類 大腿骨頭壊死の進行度についての分類です。初期には壊死部分が潰れていき、進行すると軟骨がすり減ることによって変形性関節症になってします。ステージは1〜4に分けられるので、それぞれについて簡単に解説します。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる場合 ステージ2:レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない時期 ステージ3:骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている時期 ステージ4:軟骨がすり減り、変形性関節症となっている時期 これらの重症度、ステージ分類とご本人の年齢や社会生活の状況、希望などを考慮して治療方針が決定されます。軽症なタイプであれば保存治療で治る方もいますが、重症なタイプや末期のステージでは手術を要する場合もあります。 上腕骨頭壊死について 上腕骨頭壊死の原因 肩関節を構成している上腕骨頭という部分を栄養している血管が障害されることによって骨が壊死してしまう病気です。 原因は、外傷性と非外傷性に分けられます。外傷性には上腕骨の骨折、脱臼などがあり、非外傷性にはステロイドの使用やアルコール、鎌状赤血球症、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患などがあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類 病型の分類にはCruess分類が最も使われています。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる場合 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める段階 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている場合 上腕骨頭壊死に対する治療法は、このステージ分類、壊死の範囲、患者の年齢、症状、全身の健康状態などの要因によって決まります。保存治療で治る方もいますが、進行してステージ末期になると人工関節が必要となる場合もあります。 膝関節骨壊死について 膝関節骨壊死の原因 膝関節の骨壊死も同じように、何らかの原因で骨が壊死してしまう病気で、膝関節では大腿骨側によく起こります。 高齢の方によく起こりますが、変形性膝関節症などの膝の痛みと比べて安静にしていても痛みが強いことが特徴です。 原因はまだはっきりとわかっていませんが、肥満やステロイド薬の使用の他、軽微な骨折が原因となる場合もあります。 膝関節骨壊死のステージ分類 いくつかのステージ分類が提唱されていますが、代表的なものを1つ紹介します。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない時期 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられるもの ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいるもの ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている時期 骨の壊死に対する最新の治療法 いずれの骨壊死でも、初期の段階では異常が見つからない場合もあります。しかし、症状が進行すると壊死した部分が潰れてしまい、結果として変形性関節症を起こしてしまいます。 関節が変形してしまうと、保存治療の効果は限られているので、基本的には人工関節置換術が選択されます。 しかし、最近では手術に至らないようにする治療として「再生医療」があります。再生医療は導入されたばかりの最新の治療法であり、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを直接関節内に投与することで組織の修復を促します。それによって骨や軟骨の再生が起こり、症状がよくなる可能性があります。 治療について詳しく知りたい方はいつでもお気軽にご相談ください。 骨の壊死についてよくあるQ&A Q . 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 A . 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なので、飲まないことはおすすしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けることができます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送ることが予防に必要と言えるでしょう。 Q . レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 A . 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないことがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRIでは早期に病気を見つけることができます。 痛みが強く心配な場合はMRIなどの精密検査について担当の医師と相談することをおすすめします。 まとめ・骨頭壊死の分類について|股関節・肩の骨頭壊死と膝の骨壊死症 骨壊死は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 大腿骨頭や上腕骨頭、膝関節によく起こり、初期のレントゲンでは異常がみつからない場合がほとんどです。放置して症状が進行すると骨切り術や、人工関節などの手術が必要になりますが、最近では骨や軟骨の再生を促す再生治療も行われ始めています。 手術に至らないようにするためにも早期に病院で診断してもらい、治療について医師と相談していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S147 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 https://www.cancertherapyadvisor.com/home/decision-support-in-medicine/shoulder-and-elbow/osteonecrosis-of-the-humeral-head/ https://radiopaedia.org/articles/cruess-classification-of-humeral-head-osteonecrosis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562286/
2023.10.02 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは?わかりやすく解説 はじめに もやもや病という病名を聞いたことがあるでしょうか?正式には、ウィリス動脈輪閉塞症といい、脳の血管が閉塞もしくは狭窄することによって引き起こされる疾患です。 もやもや病には、脳の血液供給の大事な一部を担う、内頚動脈や中大脳動脈とよばれる血管が関与しています。 この記事では、もやもや病の病態や症状、治療などについて詳しく解説します。もやもや病について正しく理解を深めましょう。 もやもや病とは? もやもや病は、脳に血液を送るための重要な血管である「内頚動脈」が、狭くなったり詰まったりすることで起こる疾患です。足りない血液を補おうと、細い血管が脳内に異常に発達していきます。 画像検査では、この細い血管がまるでもやもやした煙のように見えます。これが「もやもや病」という名前の由来です。 ウィリス動脈輪の構成について まず、もやもや病の原因となる、ウィリス動脈輪について解説します。 ウィリス動脈輪は、脳内に形成されている血管経路であり、その名の通り、輪になっています。内頚動脈と椎骨・脳底動脈という重要な血管から流れた血液を脳内に供給するため、重要な役割を担っています。その一部が閉塞もしくは狭窄すると、脳の特定の部位への血流が不足してしまうため、非常に重要な血管経路です。 もやもや病では、このウィリス動脈輪のなかで、内頚動脈から中大脳動脈・前大脳動脈が分岐する部分に狭窄が起きます。どうしてその部分が狭窄してしまうのかは、はっきりとはわかっていません。 ウィリス動脈輪の狭窄が起こることで、中大脳動脈や前大脳動脈から供給を受けている脳細胞への血流が低下します。私たちの体は、この血流を補おうとして、小さな新しい血管(側副血行路)を形成します。この側副血行路が、MRIや血管造影で、もやもやとした陰影として見られるため、もやもや病と呼ばれるようになりました。 もやもや病は、10歳以下の小児で症状が現れる場合と、30〜40歳代の成人で現れる場合の2つのパターンが多く見られます。 もやもや病の症状|もやもや病は何が危険? ここからはもやもや病の症状について詳しく解説していきます。 もやもや病で形成された側副血行路は、細い血管であるため不足した脳への血流を十分には補うことができません。 小児では、熱いものをフーフーと冷ましたり、楽器を吹いたりした際に症状を発症することが多いです。これは、過呼吸になることで、脳の血管が収縮し、血流を十分に送ることができなくなるからです。そうすると、一時的に脳への血流が不足し、脱力発作やけいれん、意識障害などを引き起こします。 小児の症状 ・脱力発作 ・けいれん ・意識障害 成人でも、小児と同じように一時的な脳虚血の症状で発症することもあります。具体的には、手足がしびれる・うまく手足を動かせない・言葉が出にくいなどです。 成人の症状 ・手足がしびれる ・うまく手足を動かせない ・言葉が出にくい しかし、もっと怖いのは一時的な症状ではなく、脳梗塞や脳出血を起こしてしまう可能性があるということです。 成人では、ウィリス動脈輪のうち閉塞していない椎骨・脳底動脈への血流が増え、その負荷によって椎骨・脳底動脈に動脈瘤が形成されるケースがあります。その動脈瘤が破裂してしまうと、脳出血やクモ膜下出血を突然発症する可能性があるのです。これらは成人のもやもや病の発症パターンの半分を占めます。 また、細く脆いもやもや血管が閉塞してしまうと、脳梗塞を引き起こします。小児のように一過性の虚血発作であればよいですが、そのまま血流が回復せず脳細胞が死んでしまうと、長期的に続く麻痺や機能障害を残していまいます。 もやもや病の治療と予後について もやもや病は、患者さんの年齢やどんな症状で発症したか、また症状の重さなどによって、治療法や予後が異なります。 症状が軽度である場合は、小児では、慎重な経過観察を行いながら、内科的な薬物療法などを行う場合が多いです。 また、脳血流を改善させるための手術もあります。浅側頭動脈という頭蓋骨の外側にある血管と中大脳動脈を直接吻合する血行再建手術です。バイパス術ともよばれます。この手術を行うことで、脳梗塞や脳出血のリスクを減らすことができます。 ただし、脳梗塞や脳出血で発症してしまうと、重篤な後遺症を残す可能性もあります。後遺症が残った場合には、リハビリテーションを重点的に行い、併せてこれ以上脳出血や脳梗塞を繰り返さないように、薬物療法を行います。 もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)についてのQ&A Q . どのような検査をすればわかりますか?人間ドックで調べられますか? A . 血管造影という造影剤を用いた方法でもわかりますが、最近はMRAと呼ばれる造影剤を使わない検査で、もやもや血管を確認することができます。 MRAはMRIの一種で、電磁波を当てて脳の血管を立体画像として書き出すことができる検査です。通常の人間ドックでは行われない場合もありますので、心配な場合は脳ドックを受けることをおすすめします。 Q . もやもや病になりやすい人はいますか? A . もやもや病は日本を含む、東アジア諸国に多いといわれています。 また、15〜20%の方では血のつながった家族に、もやもや病の方がいて、遺伝する可能性があるといわれているため、家族にもやもや病の人がいる方は、脳ドックなど受けてみるのがいいでしょう。 まとめ・もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは?わかりやすく解説 今回はもやもや病について解説しました。 脳梗塞や脳出血で発症した場合は、命に関わる可能性がある非常に怖い病気です。ですが、早期発見できれば、重篤な後遺症を残さず社会復帰できる可能性も高くなります。 どのような症状が危険信号なのかを知っておくことで予防できますので、是非みなさんももやもや病についての知識を頭に入れて頂ければ幸いです。 No.S141 監修:医師 加藤 秀一
2023.09.28 -
- 脳卒中
- 頭部、その他疾患
もやもや病の症状、大人と子どもでの違いや注意すべきポイント もやもや病とは、脳の重要な血管である内頸動脈が細くなり、代わりにもやもやとした異常な血管が増える病気です。大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。 この記事では、もやもや病の大人と子どもの違いや注意すべきポイントについて述べていきます。 もやもや病とは? もやもや病は、脳の血管に生じる病気で、脳の中の内頸動脈という重要な血管の終末部が徐々に細くなっていきます。人口10万人あたり3〜10.5人程度いると考えられており、日本人に多く見られます。 脳血管は脳に酸素や栄養を供給していますが、血管が細くなるにつれて脳の血流が足りなくなり、その足りなくなった血流を補うために、周囲に異常な血管(もやもや血管)が網のように出現します。このため、もやもや病では、脳血流不足による脳の虚血(きょけつ)や、異常に発達した細い血管が切れることでの脳出血が起こります。 もやもや病の原因ははっきりしていませんが、ある特定の遺伝子を持つ方で発症しやすい傾向があるようです。 もやもや病の症状は大人と子どもでは異なる?注意すべきポイントは? もやもや病の症状は大きく分けると、脳虚血(脳血流が不足すること)、脳出血となります。その他にも、頭痛やけいれんといった症状がでることもあります。 さらに大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。 子どもの症状 子どもの場合は、脳虚血症状がほとんどで、脳出血はまれとされています。 脳虚血症状としては、手足が動かしづらい、言葉がうまく出ない、手足や顔面が痺れる、などの症状が急に起こります。 特に、子どものもやもや病では、呼吸が激しくなること(過呼吸:かこきゅう)によって、この発作が起こりやすくなることが知られています。過呼吸となる場面としては、うどんなどの熱い食べ物を「フーフー」と吹く、リコーダーや鍵盤ハーモニカを吹く、または歌を歌ったり、大笑いしたりすること、激しく泣くことなどがあります。 こうした行動などによる一過性脳虚血発作は、自然に治りますが、脳梗塞の前触れなので、軽視してはなりません。特に、小さな子どもほど進行が早く、脳梗塞になる危険性が高いので、注意が必要です。 大人の症状 一方、大人の場合は、脳の血流不足を補うための側副血行路が破れて出血する、脳出血が起こることが多いです。 脳出血は、もやもや病による死亡や後遺症の最大の原因とされています。 もやもや病の検査や治療法は? ここでは、もやもや病の検査や治療法について解説します。 もやもや病の検査 もやもや病かどうかを検査する方法としては、MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影)、脳血管造影検査(カテーテル検査)、脳血流検査、の3つが代表的です。 ・MRI(磁気共鳴画像診断)、MRA(磁気共鳴血管造影) ・脳血管造影検査(カテーテル検査) ・脳血流検査 いずれの検査も、安静にして行う必要があるので、小さな子どもの場合には、眠たくなる薬を使う場合が多いです。 もやもや病の治療 もやもや病の治療の目的は、脳梗塞や脳出血を防ぐこととなります。 治療法としては、薬による治療と、脳血流量を増やすためのバイパス手術があります。 薬による治療 薬による治療は、抗血小板薬という薬で血液が固まるのを防ぐというものですが、効果には限界があります。 バイパス手術 バイパス治療については、虚血型もやもや病の場合に、脳梗塞を予防する効果が認められています。 バイパスの治療には、頭皮の血管を脳血管に直接つなぎ合わせる「直接バイパス」と、頭皮に血管をつけたまま、血流豊富な組織として脳の表面に接触させて、新たな血管が生えるのを待つ「間接バイパス」、そしてそれらを組み合わせる手術があります。 大人のもやもや病の手術としては、直接バイパスのみ、 もしくは間接と直接を組み合わせた複合血行再建術が行われています。一方、子どものもやもや病の手術としては、間接バイパスのみ、 もしくは複合血行再建術が行われます。 そして、子どもの場合では、間接バイパスのみ、 もしくは複合血行再建術を行うことで、予後の改善効果がそれぞれ報告されています。 もやもや病についてよくある質問 Q1 もやもや病の人はすべて手術をするのですか? A1 症状が多発していない患者さんの場合は、すぐに手術をする必要はありません。 しかし、脳虚血症状がすでにある人や、脳血流検査での血流低下が認められる方、あるいは過去に頭蓋内出血の既往がある方に対しては手術を勧めるのが一般的です。 また、子どもの場合は、将来の脳虚血や出血予防のために、手術適応は広く考えられています。 これらの観点を元に、もやもや病の経験豊富な医師が的確な検査や年齢、患者さんの状況を総合的に検討・判断して手術適応が決まります。 Q2 子どものもやもや病の予後はどのようになっていますか? A2 子どものもやもや病の場合は、ほとんどが脳虚血発作なので、大きな脳梗塞が起こる前に、バイパス手術を受けることができれば、その後脳梗塞を発症することは少ないとされています。 社会生活については、8割以上の子どもたちが通常の生活を送ることができます。一方、2割弱は普通学級への就学困難、もしくはその後の就職が困難になってしまうようです。 診断が遅れ、手術治療を受ける時点ですでに脳梗塞が起こってしまっていると、その後の社会生活に支障が出てしまう可能性がありますので、早期診断と適切なタイミングでのバイパス手術がとても重要です。 まとめ・もやもや病の症状、大人と子どもでの違いや注意すべきポイント 今回は、子ども・大人のもやもや病の違いについて解説しました。 脳梗塞や脳出血をきたす前に、もやもや病の診断・治療を受けることが大切です。脳梗塞や脳出血後の後遺症に対しては、機能回復のためのリハビリテーションが行われますが、再生医療を組み合わせることで、身体機能の改善効果の向上が期待できます。 この記事がもやもや病の大人と子どもの違いについての理解を深めるのに役立てば幸いです。 No.S143 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 もやもや病…ここまできた診断・治療 日本小児神経外科学会|小児もやもや病
2023.09.25 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨頭壊死における禁忌とは?やってはいけないこと はじめに 大腿骨頭壊死は、股関節の一部である大腿骨頭が血流障害によって、壊死してしまう病気です。外傷やアルコール、ステロイドの使用など様々な原因があります。なかには特に原因のない特発性もあり、指定難病にもなっています。 今回は、大腿骨頭壊死と診断されたら、どのようなことに気を付ければよいのか、またどのような生活を送るべきなのかについて詳しく解説します。症状の進行を防ぐために、是非参考にしてください。 大腿骨頭壊死になってしまったら 大腿骨頭壊死は、年間2000~3000人が発症する病気です。「壊死」という病名は、なんだか恐ろしく、将来歩けなくなってしまうかも?と思われる方もいるでしょう。ですが、適切な治療やリハビリを行うことで、進行を遅らせたり、日常生活に支障なく戻れたりする可能性が非常に高い病気です。正しい知識を持って行動することが大切です。 1 . 原因を知る まずは、大腿骨頭壊死の原因がなんであるかを知ることが大切です。前述の通り、全く原因がない場合もありますが、アルコールやステロイドなど原因と疑われるものがある場合は、減らしたりやめたりすることができないか、検討してみましょう。ただし、ステロイドはもともとの病気のコントロールに必要不可欠な場合が多いので、処方している主治医ともよく相談してから判断してください。 2 . 進行度を知る また、大腿骨頭壊死がどのくらい進行していて、壊死がどんな場所にあるかも重要なポイントです。壊死が発症初期であれば、体重をかけずに経過を見ることで壊死部が修復する可能性もあります。こちらも主治医とよく話し合い、治療の方針をしっかりと理解することが大切です。 3 . 治療を検討する どうしても痛みが強い場合や、壊死が進行してしまった場合は人工関節に変える手術を行うことが多いです。ただし、若年で人工関節を入れると、人工関節の耐用年数の問題も出てくるため、可能であれば進行させない生活をすることが望ましいといえます。 また近年では、骨や軟骨の再生を促す「再生医療」という選択肢もあります。手術を行う前に検討してみるのもひとつです。 大腿骨頭壊死でやってはいけないこと 大腿骨頭壊死を進行させる一番のリスクは、大腿骨頭にかかる負荷が増大することです。 大腿骨頭は股関節を形成している部分であるため、立ったり歩いたりすると直接体重を受けてしまいます。そのため、1本杖や松葉杖を使用して、過度な負担がかからないようにすることが必要です。 禁忌!これをやったら壊死が進行してしまう?危険な行動とは 大腿骨頭壊死を発症した場合、激しい運動や階段昇降、重量物の運搬、長時間の立ち仕事など、股関節に持続的に強い負荷がかかることは避けるべきでしょう。また、体重が増えてしまうことにも注意です。体重が増えると、増えた体重分、股関節にかかる負担が大きくなります。 また、壊死は股関節の前方に発生することが多いため、しゃがみこむ動作や、前屈動作など股関節を曲げる姿勢をとると、壊死部に負担がかかりやすいです。そのような姿勢もなるべく避けましょう。 そして、アルコールとタバコは絶対にやめましょう。 アルコールはそれ自体が、大腿骨頭壊死の原因となることがわかっています。また、骨密度を低下させる可能性もあるため、壊死で弱った骨をさらに弱くしてしまいます。 タバコも大腿骨頭壊死のリスクといわれています。さらにタバコは血行を悪化させ、骨壊死を加速させるリスクも指摘されており、絶対にやめましょう。 大腿骨頭壊死の禁忌事項 ・激しい運動や階段昇降 ・重量物の運搬 ・長時間の立ち仕事 ・股関節に持続的に強い負荷がかかること ・体重増加 ・しゃがみこむ動作 ・前屈動作など股関節を曲げる姿勢 ・飲酒 ・喫煙 一番は、全く股関節に体重をかけないことですが、そのように生活するのはなかなか難しいものです。少なくとも、股関節に持続的に強い負荷がかかること、飲酒や喫煙は避けましょう。 どんな生活をしたらいいの? では具体的にはどのような生活がいいのでしょうか。以下の3点に気をつけて生活しましょう。 1 . ベッドや椅子を使用し、洋式の生活を心がける まず、股関節を深く曲げこむ動作が多い、こたつや布団、和式トイレなどの日本式の生活は、股関節に非常に負担がかかります。なるべくベッドや椅子を使用し洋式の生活にすることを心がけましょう。 2 . お風呂に浸かるなどし身体を温めて血行を良くする 大腿骨頭壊死は血流障害によって起こります。体を温めることは血行を良くすることにつながるため、お風呂に入るなど体を冷やさないように心がけることも大切です。 3 . 鎮痛剤の使用しながら安静期間を設ける 痛みが生じている場合は、無理をせず、鎮痛薬を適宜使用しながら安静の期間を設けることも必要です。 ただし、我慢しすぎて手術の時期を逃してはいけません。整形外科医の定期的な診察を受けつつ、これらの生活スタイルを工夫していきましょう。 大腿骨頭壊死についてよくあるQ&A Q:遺伝的に大腿骨頭壊死になりやすい人はいますか? 現在の研究では、大腿骨頭壊死が遺伝的に引き起こされることは確認されていません。ただし、ステロイド性の骨頭壊死に関しては、骨頭壊死を引き起こす遺伝子がある可能性までは研究でわかっており、今後さらなる研究が望まれます。 Q:どのくらいのステロイドを使うと大腿骨頭壊死になりやすいですか? 明確な危険量は分かっていませんが、内服開始から骨壊死が発生するまでの期間で、一日平均約15㎎を超える場合は、骨頭壊死のリスクが高まるといわれています。これはプレドニゾロンというステロイドに換算した値ですので、実際に自分がどのような薬をどのくらい使用しているか気になる方は、主治医に確認してみてください。 まとめ・大腿骨頭壊死における禁忌とは│やってはいけないこと 今回は大腿骨頭壊死になってしまったら、どのようなことに注意をすべきかに焦点を当てて解説しました。大腿骨頭壊死は、患者さんの生活習慣や行動が、その後の進行や症状を大きく左右する病気のひとつです。病気に対する理解と自己管理が、大腿骨頭壊死とうまく向き合うポイントとなります。ご自身の病状をしっかりと把握し、進行予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.146 監修:医師 坂本貞範
2023.09.21