薬丸裕英さんを
イメージキャラクターに迎え
地上波にテレビCMを放送中
関節(膝、股関節、肩)編
脳卒中・ヘルニア編
インフォメーション
LICENSE厚生労働大臣届出済医療機関
第二種・第三種再生医療等提供計画 届出済
リペアセルクリニックは、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に届出し、受理されました。
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療
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自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた変形性関節症の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療
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多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法
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悪性腫瘍の予防に対する活性化NK細胞を用いた細胞治療
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多自己脂肪由来幹細胞と自己前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new11.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた脳血管障害の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new12.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new21.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new22.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new31.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new32.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた関節症治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new41.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた関節症治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new42.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new51.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた顔面萎縮症、皮膚再生治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new52.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new61.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた脊髄損傷の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new62.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new111.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new112.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた変形性膝関節症の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new71.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた変形性膝関節症の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new72.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new81.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた筋腱炎、靭帯炎の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new82.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new101.webp)
![厚生労働省、再生医療等委員会|多血小板血漿(PRP)を用いた皮膚再生療法](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new102.webp)
![悪性腫瘍の予防に対する活性化NK細胞を用いた細胞治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new121.webp)
![悪性腫瘍の予防に対する活性化NK細胞を用いた細胞治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new122.webp)
![自己脂肪由来幹細胞と自己前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new131.webp)
![自己脂肪由来幹細胞と自己前骨芽細胞分化誘導上清液を用いた変形性関節症の治療](https://fuelcells.org/img/index/index_opinion_joint_new132.webp)
当クリニックでは、国内では数少ない自己の幹細胞を用いた「変形性関節症」「脳卒中」「糖尿病」「肝障害」「肌の再生」などの最先端の再生医療および、PRP(多血小板血漿)の関節内投与を再生医療安全確保法のもと、自由診療にて提供しています。再生医療とは、厚生労働省によって受理されることで行うことのできる治療となります。
自分の細胞を活用し、
蘇らせる「再生医療」とは?
薬での治療は限界ではないだろうか。本当に手術は必要だろうか。
そんな思いで悩んだり、あきらめたりしていませんか?
ケガをしても傷跡が少しずつ薄くなる・・
当たり前のようですが、あなた自身の細胞には、弱ったところ、傷ついたところを修復するチカラがあります。
その細胞のチカラを最大限に引き出して治療を行うことを「再生医療」と呼び、おすすめしています。
リペアセルクリニックの特長
当クリニックは、疾患・免疫・美容という分野すべてを、自己細胞を用いた最先端の医療で行うことができる国内でも珍しい部類の医療機関です。
CPC(細胞加工施設)の高い技術により、冷凍しない方法で幹細胞を投与できるので高い生存率を実現。
ご自身の細胞や血液を利用するため、アレルギーや拒絶反応といった副作用の心配が少ないおすすめの治療方法です。
- 1億の細胞を
投与可能※但し適応による - 高い
安全性 - 入院不要
日帰り - 身体への
負担が少ない - 高い技術力を
もったCPC
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できなくなったことを、再びできるように
わたしは医学部卒業後、大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院で関節や脊椎の疾患、脊髄損傷などの外来や手術に従事しました。また、救命救急センターで脳卒中や心疾患などの内科疾患を幅広く経験しました。
膝や股関節の人工関節については専門病院で約1000例以上の手術とリハビリを手掛け、その後生まれ育った地元でクリニックを開業いたしました。開業してからも患者さまの痛みや苦痛を少しでも和らげ、人生をより楽しく、明るい気持ちで過ごしてもらいたいという思いを持ち続けて診療を行い、地域の皆さまに愛される医療を目指し在宅医療や訪問看護にも力を注いで参りました。
そんな道を進みながらも、わたしは常に患者さまにどうやったらより質の良い医療を提供できるだろう、という思いを抱き続けて模索を繰り返していました。やはり保険診療の範囲では限界があり、患者さまの生活の質を一定以上回復させることは叶わないからです。
そんな時に再生医療と出会い、新たな可能性を見出すことができました。
再生医療の凄いところは、安全性を担保しながら治療を行う事が出来、しかも一般的には治療が難しいと言われる症状に対しても劇的な回復を見込めるという事です。脳血管疾患や脊髄損傷などで深刻な後遺症を持つ方がみるみる回復していく様に、わたし自身も驚きの連続でした。
また、膝、股関節、肩など関節疾患により大好きなスポーツが出来なくなった方が復帰されたり、手術をするしか選択肢がなかった方に、手術に代わる新たな選択肢をご提供する事が出来るようになった事で、多くの患者さまから「この治療を受けて本当によかった」と大変喜ばれております。
「これ以上回復させることはできないのが常識」という概念を覆したのですから、本当に凄いことです。もちろん再生医療は不治の病を全て治すことのできる万全な治療ではありません。しかし、一般的な医療の効果をはるかに超えて結果を出せる可能性がある事を、わたしはたくさんの実績を通して確信に変えています。
そしてもちろん、脳血管疾患や脊髄損傷、整形外科分野の疾患においてリハビリも欠かせない大事な要素の一つです。再生医療×リハビリの相乗効果で回復の幅がかなり広がることでしょう。
再生医療は、わたしが求め続けていた「人生をより楽しく、明るく過ごしてもらいたい」という医療に対する思いそのものだと感じました。現在も日々たくさんの方々にご来院いただき、たくさんの笑顔を見ることが叶っています。患者ご本人さまやご家族が泣いて喜ぶ瞬間は、何度立ち会っても感慨深く、私の原動力になっております。
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再生医療における無限の可能性
再生医療の治療は、幹細胞という細胞を用いて行う治療です。幹細胞はとても小さく、身体の中をすみずみまで巡り、人の手の及ばない細かな箇所にもアプローチしてくれるものですので、この治療はまだまだ無限の可能性を秘めており、今後も様々な症例が報告されることでしょう。様々な疾患で苦しむ方の希望になるだろうと、わたしは思っています。
また、当院では患者さまご自身の細胞を使いますので安全に治療をお受けいただけます。どうか安心してご来院ください。
「できなくなったことを再びできるように」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることのお手伝いができれば幸甚の至りでございます。
医療法人美喜有会理事長 坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
略歴
- 1997年3月
- 関西医科大学 医学部卒
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
- 1998年5月
- 大阪社会医療センター附属病院 勤務
- 1998年9月
- 大阪府立中河内救命救急センター 勤務
- 1999年2月
- 国立大阪南病院 勤務
- 2000年3月
- 野上病院 勤務
- 2003年3月
- 大野記念病院 勤務
- 2005年5月
- さかもとクリニック 開設(2023年3月譲渡)
- 2006年12月
- 医療法人美喜有会設立 理事長就任
- 2019年6月
- リペアセルクリニック大阪院 開設
- 2021年5月
- リペアセルクリニック東京院 開設
- 2023年12月
- リペアセルクリニック札幌院 開設
主な医学論文•学会発表
- 論文名:透析患者に対する鏡視下手根管開放術の費用と手術手技
論文掲載:日本透析医学会雑誌(1340-3451)37巻Suppl.1 Page770(2004.05) - 論文名:IBBC手技を使用したTKAの中期成績
論文掲載:日本人工関節学会誌(1345-7608)30巻 Page35-36(2000.12) - 論文名:寛骨臼巨大骨欠損の再置換法とその成績 同種骨による欠損壁の修復と水酸アパタイト顆粒による空洞の修復
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻2号 Page S319(2000.02) - 論文名:骨セメントと骨界面に水酸アパタイト顆粒を介在させる界面バイオアクティブ骨セメント手技(IBBC)
論文掲載:日本整形外科学会雑誌(0021-5325)74巻3号 Page S666(2000.03) - 論文名:外反母趾手術chevron法に対するPLAの使用経験
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)42巻1号 Page241-242(1999.01) - 論文名:亜急性に経過した膝蓋骨骨髄炎の1例
論文掲載:中部日本整形外科災害外科学会雑誌(0008-9443)41巻4号 Page1107(1998.07)
当院で再生医療を
サポートする専門医
![藤間 保晶](../img/doctor/doctor_img06.png)
藤間 保晶 院長
Yasuaki Toma
略歴
- 1995年3月
- 三重大学医学部学科卒業
- 1995年4月
- 奈良県立医科大学 整形外科入局
- 1996年1月
- 奈良県立奈良病院 救命救急センターおよび麻酔科(救急医療、麻酔)
- 1997年1月
- 三重県大台厚生病院 整形外科(へき地医療)
- 1998年1月
- 大阪松原市立病院 整形外科
- 2000年1月
- 済生会富田林病院 整形外科
- 2002年1月
- 奈良県立三室病院 整形外科
- 2004年7月
- 済生会奈良病院 整形外科
- 2006年7月
- 市立奈良病院 整形外科
- 2008年7月
- 国立病院機構奈良医療センター 整形外科・リハビリテーション科
- 2017年1月
- 市立奈良病院 整形外科・リハビリテーション科
- 2019年4月
- 石心会(新東京石心会)グループ さいわい鶴見病院 関節外科
主な医学論文•学会発表
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論文名:Early bone in-growth ability of alumina ceramic implants loaded with tissue-engineered bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントの早期骨形成能について
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Orthopaedic Research 24(4): 595-603, 2006. -
論文名:Bone marrow-derived mesenchymal cells can rescue osteogenic capacity of devitalized autologous bone自家培養骨髄由来間葉系細胞による壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Ohgushi H, Morishita T, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 2(1): 61-68, 2008. -
論文名:Basic and Clinical Research into Alumina Ceramic Artificial Joint Prosthesis loaded with Tissue-engineered Bone再生培養骨を導入したアルミナセラミックス製インプラントを用いた基礎研究および実際の人工足関節手術での治療成績
著者:Tohma Y, Tanaka Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Tissue Engineering Research Trends, Nova Science Publishers, Inc.: 183-197, 2008.
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4. 論文名:骨への幹細胞移植
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁, 他.
論文掲載:病理と臨床27(4): 367-371, 2009. -
5. 論文名:Osteogenic activity of bone marrow-derived mesenchymal stem cells (BMSCs) seeded on irradiated allogenic bone培養骨髄由来間葉系細胞による同種壊死骨の骨形成能救済技術の開発
著者:Tohma Y, Dohi Y, Ohgushi H, et al.
論文掲載:Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine 6(2): 96-102, 2012. -
6. 論文名:再生医療におけるアログラフト
著者:藤間保晶, 大串始, 田中康仁
論文掲載:再生医療における臨床研究と製品開発. 技術情報協会:109-115, 2013. -
7. 論文名:Reg Gene Expression in Periosteum after Fracture and its In Vitro Induction Triggered by IL-6. 骨折後の骨膜に再生遺伝子(Reg遺伝子)が出現することを発見し、インターロイキン6により誘導されることを見出した研究
著者:Tohma Y, Dohi Y, Shobatake R, et al.
論文掲載:Int. J. Mol. Sci. 18(11): 2257, 2017. - ほか多数
![](/img/doctor/doctor_img03.webp)
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
略歴
- 1991年3月
- 琉球大学 医学部 卒業
- 1991年4月
- 医師免許取得
- 1992年
- 沖縄協同病院 研修医
- 1994年
- 沖縄協同病院 外科 勤務
- 2000年
- 癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
- 2008年
- 沖縄協同病院 内科 勤務
- 2012年
- 老健施設 かりゆしの里 勤務
- 2013年6月
- 医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
- 2014年9月
- 医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
- 2017年8月
- 医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
所属学会
![](/img/doctor/doctor_img04.webp)
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
略歴
- 2002年3月
- 京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業
- 2002年4月
- 医師免許取得
- 2002年4月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2002年6月
- 関西労災病院 脳神経外科 勤務
- 2003年6月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2003年12月
- 大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務
- 2004年6月
- 大阪労災病院 脳神経外科 勤務
- 2005年11月
- 大手前病院 脳神経外科 勤務
- 2007年12月
- 大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務
- 2012年3月
- 大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)
- 2012年4月
- 大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教
- 2014年4月
- 大手前病院 脳神経外科 部長
![](/img/doctor/doctor_img05.webp)
加藤 秀一
Hidekazu Kato
略歴
- 1997年3月
- 埼玉医科大学 医学部 卒業
- 1997年4月
- 医師免許取得
- 1997年4月
- 三重大学附属病院 整形外科 研修医
- 1998年4月
- 伊賀市立上野総合病院 整形外科 勤務
- 2000年6月
- 鈴鹿中央病院 整形外科 勤務
- 2001年6月
- 三重大学医学部大学院 整形外科学 勤務
- 2003年4月
- 医療法人山本総合病院 整形外科 勤務
- 2004年4月
- 三重県立総合医療センター 整形外科 勤務
- 2006年4月
- 四日市社会保険病院 整形外科 勤務
- 2008年4月
- 医療法人博仁会 村瀬病院 整形外科 勤務
- 2009年4月
- 医療法人美喜有会 整形外科みきゆうクリニック 管理者
![幹細胞治療のための細胞培養加工室](https://fuelcells.org/img/index/index_cpc_pic.webp)
症例紹介
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- 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の症例
- 脊髄損傷の症例
- 幹細胞治療の症例
日々、体の調子が良くなっているのを実感!気持ちも前向きに 80代男性 こちらの患者様は、左下肢の筋力低下による歩行のしづらさを訴えて受診されました。 患者様は過去に3回もの脊椎の手術を受けてこられました。20年前に頸椎の手術、2年前に胸椎と腰椎の手術を行いました。7,8年前から左脚を挙げる筋力の低下が出現、徐々に悪化し、歩容(歩く際の姿勢や歩幅)が悪くなってきたそうです。そのため2年前に腰椎と胸椎の手術を受けましたが、改善はみられなかったそうです。上位腰椎にも狭窄があるため、主治医からは4回目の手術を勧められているそうですが、3回もの手術を受けてきてその大変さは身に染みており、手術以外の治療法はないかとご自分で調べて当院を受診していただきました。 これまでは自分で何とかしようと週3回トレーニングジムに通い、筋トレや水中歩行を行っていたそうですが、改善は認めず落ち込んでいたそうです。80歳を超えるとただでさえ身体機能の維持が難しいのに脊髄に障害を抱えておられたら尚更のことと思われます。 現在の保険診療内では、神経機能回復を狙って手術を行った後に、回復が止まってしまった神経機能の回復を再び促す根本的な治療法は残念ながらありません。回復が止まった神経機能の回復を再び促す唯一の方法は「幹細胞治療」になります。 当院では幹細胞の投与方法にこだわりをもっています。通常は脊髄損傷の幹細胞治療は点滴による静脈注射です。しかし血管に入った幹細胞は全身に駆け巡るので、損傷した脊髄に届く幹細胞の数は少なくなってしまいます。損傷した神経細胞へより多くの幹細胞を届け修復を促したいとの思いから、当院では脊髄内への直接投与を行っております。もちろんその幹細胞の生存率も高くないといけません。当院では冷凍せず培養された幹細胞を生きたまま投与する手法で行っています。またご自身の細胞と血液を使用し、化学薬品のない無添加の幹細胞を投与することにこだわっています。このような幹細胞を作成できるのは国内では当院だけと自負しています。 MRI初見 受診時のMRIでは、頚髄の圧迫は20年前の手術で改善されていましたが、頚髄自体に輝度変化があり頸椎の手術までに頚髄へ相当なダメージがかかっていたことがうかがわれます。腰椎MRIでは上位腰椎の中等度の狭窄を認めました。 本来であれば幹細胞投与前に手術により物理的な神経の圧迫を解除した方が良いのですが、こちらの患者様の場合は圧迫が中等度であったことと頸髄の損傷が強かったことから、患者様がお困りになっている左下肢の筋力低下と歩容の悪化は頚髄由来の部分が大きいのではと考え手術より先に幹細胞投与をさせていただくこととしました。 脊髄内に直接幹細胞を3回投与 脊髄内に3回にわけて2500万個細胞ずつ、合計7500万個細胞を投与しました。 1回目の投与後直後から、左脚を挙げる筋力が投与前はMMT3(抵抗がなければ動かせる)であったのが、正常のMMT5(強い抵抗に打ち勝って動かせる)まで明らかな改善を認めました。 トレーニングジムでのトレーナーさんから、水中歩行時の姿勢が良くなっていると褒められたそうです。 患者様からは「日々、自分の体の調子が良くなっているのを実感しており。前向きに物事を考えられるようになった。」と話していただけました。幹細胞が脊髄神経のみならず脳神経にも良い影響を与えて前向きになれたのか、体の調子が良くなっていることがうれしくて前向きになれたのかは、はっきりしません。しかし幹細胞投与によって患者様の身体機能のみでなく、精神面にも良い影響を与えられたのは事実であり、それを思うと大変うれしい気持ちになりました。 <治療費> 198万円〜(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000542 再生医療医師監修:坂本貞範
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- 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の症例
- 脊髄損傷の症例
- 幹細胞治療の症例
両脚の触った感覚が良くなり、尿意と便意がわかるように 60代男性 こちらの患者様は、1年前に両脚に力が入らなくなりました。 3か月経過する頃には両脚は完全麻痺の状態となってしまい、この時点で初めて診断がつきました。診断名は「胸髄内血腫」です。何かのはずみに胸髄内の血管が破綻し、血腫ができてしまったものと推測されますが、脊髄内の血腫は非常に珍しいものと考えます。 整形外科の医師の間で手術で血腫を取り除くかどうか、このまま経過をみるか検討がなされたそうです。手術の際、胸髄を分け入って血腫を取り除かないといけないため、手術操作による神経損傷が起こり症状がより悪化してしまう可能性があるとのこと。それに加え血腫ができてすでに3か月が経過しているため、無事に血腫を取り除けたとしても神経の回復が望めない可能性が高いと、その時は手術は行われませんでした。 しかし神経症状の回復兆しが一切ないことから、さらに3か月経過してから血腫除去の手術を受けることとなりました。手術で無事血腫は取り除かれ大腿部と下腹部に少し力が入るようになりましたが、リスクを取って手術を受けたのに期待していたほどの回復はなく落ち込まれたそうです。尿意が全く感じられないため自己導尿が必要とのことでした。 現在の保険診療内では、神経の物理的な圧迫を取り除く手術を行っても、神経機能の回復がみられなかった方への根本的な治療法は残念ながらありません。手術がもっとも侵襲的であり治療効果が見込める最終手段となっているのです。しかし近年、幹細胞治療によりそういった状況に陥った方でも神経機能の回復が見られる症例が多数報告されるようになりました。当院でも神経損傷の幹細胞治療の黎明期から苦しんでいる患者様の手助けをしたいとの思いで積極的に取り組んできました。 当院では幹細胞の投与方法にこだわりをもって治療に取り組んでいます。通常は脊髄損傷の幹細胞治療は点滴による静脈注射です。しかし血管に入った幹細胞は全身に駆け巡るので、損傷した脊髄に届く幹細胞の数は少なくなってしまいます。損傷した神経細胞へより多くの幹細胞を届け修復を促したいとの思いから、当院では脊髄内への直接投与を行っております。脊髄内への直接投与は、国へ正式な届出をし受理されている病院はほとんどありません。さらに当院では数百例という圧倒的に症例数を誇っており、様々な病状に応じた治療が可能となっているのが特徴となります。 MRI初見 前医での手術前のMRIでは第8胸椎レベルの脊髄内に血腫を認めます。血腫除去術の手術後のMRIでは血腫は取り除かれていることがわかります。 脊髄内に直接幹細胞を2回投与 脊髄内に2500万細胞を合計2回投与しました。 両脚の麻痺にはほとんど変化は認めませんでしたが、患者様からは「両脚の触った感覚が良くなった。尿意と便意がわかるようになった。」と確かな神経の回復を感じていただくことができました。 この結果は脊髄内に幹細胞を投与したのみでは得られなかったと思っています。神経を損傷してしまうリスクを覚悟で、手術していただき血腫による胸髄の物理的な圧迫を取ってくださった執刀医のおかげだとも思っています。 <治療費> 198万円〜(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000561 再生医療医師監修:坂本貞範
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- 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の症例
- 脊髄損傷の症例
- 幹細胞治療の症例
投与後数日でしびれ・尿漏れ改善!多くの驚きの変化! こちらの患者様は、4か月前に受けた腰椎椎間板ヘルニア手術の後遺症のために当院を受診していただきました。 手術前の症状は右足の知覚異常と足趾の屈曲障害だけでしたが、術前にはなかった左足のしびれ、歩行障害、下肢の重だるさ、尿漏れが、術後に出現したとのことでした。特に手術直後には左下肢を全く動かすことができなくなり、大変不安な思いをしたそうです。術後数日からは徐々に左足に力が入るようになってきたそうですが、いまだに左大腿部に力が入りにくいと自覚があり、歩行時には足元を見ながらでないと不安で歩けないとのことでした。 執刀医に再度MRI検査をしてもらったところ、術前にあった腰椎椎間板ヘルニアは綺麗に取れていたそうですが、新たに中枢の方で脊柱管の狭窄が見つかったそうです。そのため当院での再生医療を受けても症状が改善しない場合には同部位の手術を勧められているとのことでした。 全国で年間何万もの脊椎の手術が行われていれば、こちらの患者様のように術後予期せぬ症状に苦しめられる方がどうしても出てき てしまいます。保険診療内での治療と言えば、リハビリや投薬、はたまた神経機能の自然回復を祈るしか手立てはありません。神経機能の自然回復も1年も経過すると期待できなくなるのが事実です。 損傷した神経の回復を促す方法の一つに「幹細胞治療」があります。当院ではこういった脊椎の手術後の合併症に苦しむ多くの患者様に幹細胞投与を行い、満足のいく成果を上げてきた数百以上の実績があります。そして、当院では生きた細胞を無添加で培養することで、他よりも強く安全な幹細胞を作ることにこだわっていま す。 幹細胞の投与は早ければ早いほど効果を発揮することがわかっていますので、初診後すぐに治療に取り掛かりました。 MRI初見 脊髄内に直接幹細胞を2回投与 脊髄内に2回に分けて2500万個細胞ずつ、合計5000万個細胞と1億細胞を点滴投与しました。 1回目の投与後数日で、困難であった階段昇降ができるようになり、左足のしびれが改善 し、尿漏れの改善もみられました。 2回の投与終了後2か月で、投与前は両脚挙げはやっとで きるほどの筋力だったのが、抵抗を加えても楽に挙げられるようになりました。そのため歩行は安定し足元を見なくても不安なく歩けるようになったと喜んでいただけました。 幹細胞治療の確かな効果を実感していただいたため以前から不安のあった両膝の痛みに対しての幹細胞治療も受けていただけることとなりました。また、椎間板ヘルニアの手術をしてくださった先生も、再手術よりも先に幹細胞治療をした方がいいよと患者様に勧めていただいていました。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE こういった事実は幹細胞治療の効果が世の中に広く浸透してきた表れだと自負しており日々の診療の励みになっています。 <治療費> 198万円〜(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID 000963 再生医療医師監修:坂本貞範
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- 幹細胞治療の症例
両下肢のしびれ、痛みが緩和され歩行が安定! 40代男性 こちらの患者様は両下肢の痛み、しびれ、筋力低下で当院を受診していただきました。 患者様は腰椎椎間板ヘルニアのため30代のときに2回手術を受けておられますが、両脚に踏ん張りがきかず歩きづらい、両下肢の痛み、しびれに悩まされ続けてこられました。特に両足底には画鋲を踏んでいるような耐え難い異常感覚があるそうです。 保険診療内での治療と言えば、リハビリや投薬、はたまた神経機能の自然回復を祈るしか手立 てはありません。こちらの患者様も痛み、しびれに対して内服処方を受けていましたが効果が感じられず中止していました。当院ではこういった脊椎手術を受けてもなお後遺症に苦しむ多くの患者様に幹細胞投与を行い、満足のいただける成果を上げてきた実績がありま す。 こういった脊椎の手術後の後遺症に苦しまれている患者様には、幹細胞の点滴投与に加え、さらに脊髄への直接投与(脊髄腔内ダイレクト注射療法)の両方をお勧めしています。幹細胞の点滴治療を行える施設は多くありますが、国への正式な届出を経ており、脊髄内への幹細胞の直接投与が可能な 施設は国内ではわずかです。 さらに数百例の症例を治療している他の医療機関は皆無であります。点滴による静脈注射では、血管に入った幹細胞は全身に駆け巡るので四肢の広範囲に渡る慢性的な痛み、しびれについては効果を発揮しやすいのですが、損傷した脊髄に届く幹細胞の数はどうしても少なくなってしまいます。損傷した神経細胞へより多くの幹細胞を届け、修復を促したいとの思いから当院では脊髄腔内への直接投与も行っております。 MRI初見 脊髄内に直接幹細胞を2回投与 脊髄内に2回にわけて、2500万個細胞ずつ合計5000万個細胞と1億個細胞を2回点滴投与しまし た。 投与後は、 ・下肢に力が入るようになり歩行が安定した ・両下肢のしびれ、痛みが緩和された ・目の前が曇っていたのがクリアになった と大変喜んでいただけました。 <治療費> 198万円〜(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID 0001025 再生医療医師監修:坂本貞範
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脊髄そのものやその周りで出血を「脊髄出血」と呼び、麻痺やしびれなどを引き起こします。 急性期には外科的手術や血管内治療を行うことが多いですが、場合によっては保存的治療が選択されます。 今までは後遺症に対してリハビリテーションなどの対応療法のみでしたが、現在では再生医療も選択可能となり、根治的治療として注目を浴びています。 今回は脊髄出血を引き起こした際にみられる後遺症やその治療法、予後はどうなのか、また術後後遺症が残った場合の治療法「再生医療」についても解説していきます。 脊髄出血の原因や症状については以下の記事で解説しています。 脊髄出血でみられる後遺症 脳から腰に向かって背骨の中を走る太い神経を脊髄と呼びます。脊髄そのものやその周辺に出血をきたすのが、脊髄出血です。 脊髄の圧迫やダメージによって、多くの場合、背部の痛みや麻痺、しびれなどをきたします。 障害部位(頸髄や胸髄、腰髄、仙髄、馬尾)や出血部位(脊髄内やくも膜下、硬膜下、硬膜外)、脊髄へのダメージ具合(部分的か全体的なダメージか)によって症状が異なってきます。 脊髄へのダメージが少ないうちに治療を行うことができれば後遺症を回避、もしくは軽度で済むでしょう。 しかし、治療が遅れてしまった場合や神経へのダメージが大きくなった場合、後遺症を免れることは難しいです。 実際には脳梗塞や脳卒中と似たような症状を呈することもあり、それらに対する治療の後に脊髄出血が判明したという症例も見受けられます。 代表的な後遺症を以下に一覧として示します。 ・運動障害(麻痺) ・感覚障害(温痛覚や振動感覚、位置感覚の障害など) ・膀胱直腸障害(尿失禁、頻尿、便秘、頻便など) ・呼吸障害 ・体温調節障害 ・起立性低血圧 など 脊髄出血の治療法について 脊髄出血の治療ですが、出血部位や症状出現からの時間経過、脊髄損傷の程度、出血原因などによって変わってきます。 積極的治療を行う場合、外科的手術や血管内治療が選択されます。 外科的手術では、椎弓切除や血腫除去による除圧術、出血点がわかる場合には止血術を行うこととなります。 以下では、脊髄出血の治療に関して気になる質問に回答しています。 Q1. 脊椎の構造はどうなっているの? A1. 下記のような構造になっています。 Q2. 椎弓切除術ってなに? A2. 椎弓の一部と黄色靭帯を切除し、脊髄への圧迫を除去する手術になります。ちなみに黄色靭帯は脊髄の背側に位置しています。 Q3. 血管内治療はどんな治療法ですか? A3. 血管内治療とは、いわゆるカテーテル治療のことです。 血管内治療では、血管からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、出血している血管に塞栓物質を流し込んで止血、あるいは予防的に出血原因となりうる異常血管に塞栓物質を流し込むことで血流量を減少させます。 ただし、異常血管の血流を完全に遮断すると脊髄梗塞を生じる可能性があるため、病変を完全に消失させるのは難しいです。 Q4. 外科的手術のリスクはありますか? Q4. 脊髄内に病変がある場合、外科的なアプローチは脊髄そのものを傷つけるリスクがあります。また、硬膜外に位置する異常血管病変では、外科的切開が大量出血を引き起こす可能性があります。 このように外科的手術が困難と予想される症例では、血管内治療が良い適応となります。 現代の医療技術の発展によってMRI検査などの画像処理能力が上がり、積極的治療を行わずに保存療法のみで脊髄出血が改善した症例も見受けられています。薬物治療には効果はなく、放射線治療も治療成績が良くないので、残念ながらこれらは有用な治療法となりません。 初期治療を行なっても残存した症状に対しては、リハビリテーションを行いながら症状改善を目指します。 以前までは根本的治療がないと言われていましたが、近年は再生医療がより身近になり、注目を集めています。リハビリテーションと再生医療については、以下で詳しく説明していきます。 脊髄出血に対するリハビリテーション リハビリテーションとは、病気や怪我の後に社会復帰を目指して行う訓練の総称です。 病気や怪我以前の生活水準を目指し、日常生活を見据えた身体的訓練のほか、不安や無力感といった精神的な障害には心理的訓練、さらに必要に応じて職業訓練も行われます。 リハビリテーションに携わるスタッフは、医師や看護師に加えて、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのスペシャリストとなります。 病院で行われることもあれば、リハビリ専門施設で行うこともあります。 脊椎出血の急性期リハビリ 怪我や病気を患った直後の急性期は、まず全身状態を落ち着かせ、損傷や障害を最低限に抑えるためのリハビリテーションが必要となります。 具体的には、 ・頸髄や上位胸髄の損傷による呼吸機能低下に対しては呼吸訓練 ・手術後にうまく寝返りができない場合には、床ずれ予防のために体位変換訓練 ・ベッド上で動けない間に関節が固まってしまわぬように関節可動域訓練 などを実施します。 全身状態が安定後のリハビリ 全身状態が落ち着いた後は、個々の症状に合わせて積極的にリハビリテーションを進めていくことが重要です。 脊髄出血によって脊髄が大きなダメージを受けてしまった場合は、神経障害などを完全に取り除くことは難しく、後遺症が残ることが多いでしょう。 そこで早期からのリハビリテーションを通じて、残存能力の強化を行い、それに必要な筋力や柔軟性を身につけていくこととなります。 具体的な例として、 ・両下肢の麻痺(対麻痺)の場合には上肢の筋力を高め、プッシュアップ動作を練習し、車椅子の訓練 ・排尿障害を患っている場合は、腹壁徒手圧迫法や反射誘発、自己導尿法などの指導 などが行われ、合併症を引き起こすことなく自分で尿路管理を行えるよう目指します。 脊髄出血の予後 脊髄出血は稀な疾患であるため情報が少なく、死亡率や予後についての言及は難しいのですが、一般的には症状の発現から除圧までの時間が短ければ短いほど神経回復は良好です。 しかし、どこから出血したかや出血の原因、年齢によっても予後は変わってくるとされています。 脊髄硬膜下血腫に対して手術を実施した59症例を検討したある報告では、術前の状態が重篤なものほど回復が不良で、くも膜下出血(軟膜とくも膜の間の出血)を伴うものは術前状態が悪くて除圧後の臨床成績も悪かったとされています。 脊髄硬膜外血腫を1000例以上の報告を検討した論文では、69症例に対する死亡率の検討がなされました。 その結果、40歳以上と40歳未満の患者群それぞれの死亡率は9%と4%とされ、治療法に関係なく40歳以上では死亡率が有意に高くなると報告されました。 同じ報告で患者さんの長期フォローアップの結果をまとめたところ、初めの症状が軽度であった患者群では8.5%が軽度の障害を示すのみであったのに対し、初めの症状が重篤だった患者群では症状の改善を認めたのは78.4%に止まり、また軽度の障害を示したのは28.3%でした。 脊髄出血の術後後遺症に対する再生医療とは 再生医療は、失われた身体の組織を再生する能力、つまり自然治癒力を利用した最先端医療です。脊髄損傷の手術後に残ってしまったしびれ、麻痺といった後遺症に対する治療として、「幹細胞治療」が適応になる可能性があります。 当院で行う再生医療は“自己脂肪由来幹細胞治療”は、患者さんから採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻します。自分自身の細胞から作り出したものを用いるため、アレルギーや免疫拒絶反応がなく、安全な治療法といえます。 ちなみに「幹細胞」とは、さまざまな姿に変化できる細胞で、失われた細胞を再度生み出して補充する機能を持つ細胞のことをいいます。 日本での一般的な幹細胞治療は、点滴によって血液中に幹細胞を注入するものです。しかし、それでは目的の神経に辿り着く幹細胞数が減ってしまいます。 そこで当院では、損傷した神経部位に直接幹細胞を注入する“脊髄腔内ダイレクト注入療法”を採用しています。注射によって脊髄のすぐ外側にある脊髄くも膜下腔に幹細胞を投与するため、数多くの幹細胞を目的の神経部位まで直接届かせることが可能です。 この治療は数分のみで簡単な処置で、入院も不要です。点滴治療と組み合わせることによって、より大きな効果を期待できます。 実際に当院では術後や外傷、脊髄梗塞、頚椎症による神経損傷に由来する麻痺やしびれ、疼痛などの後遺症に対して再生療法を施し、症状が大きく改善した例を経験しています。 ▼詳しくは当院の“脊髄損傷の再生医療”に関する動画もご覧ください。 https://youtu.be/9S4zTtodY-k まとめ・脊髄出血の後遺症やその治療法、予後について 脊髄出血を生じた場合、急性期治療としてまず外科的手術や血管内治療を行い、止血や血腫による脊髄圧迫を除圧する必要があります。 どのレベルの脊髄が障害されているか、どの層での出血なのか、そして出血原因が何かによって治療方法が選択され、場合によっては保存療法が選択されることもあります。 後遺症には運動障害や感覚障害、排尿・排便障害などがあり、早期のリハビリテーションによる残存能力の強化や合併症予防のための訓練が大切となります。 多大なダメージを受けてしまった神経を元に戻す治療がなかった中で、近年になって再生医療が多くの人に提供可能となり、根本的治療として注目されています。 実際に当院でも脊髄損傷患者が再生治療を受け、症状が改善した症例が確認できています。 当院では入院不要で外来のみで再生医療を受けることができますので、気になる方はぜひ当院へ一度ご相談ください。 No.14 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 ホームページ 田島文博ほか. 脊髄損傷者に対するリハビリテーション. 脊髄外科.2016;30:58-67. M Domenicucci, et.al. Nontraumatic acute spinal subdural hematoma: report of five cases and review of the literature. J Neurosurgeon. 1999; 91: 65-73. M Domenicucci, et al. Spinal epidural hematomas: personal experience and literature review of more than 1000 cases. J Neurosurg Spine. 2017: 27;198–208.
最終更新日:2024.07.17 -
- 手部、その他疾患
- 手部
「手首に丸いできものがあるけどガングリオン?」「痛みや腫れがないから放っているけどいいのかな?」「ガングリオンが痛いけど自然に治るだろうか」「悪性だったらどうしよう」と悩んでいませんか? とくに無症状だと、仕事や育児・介護などで忙しいなか、わざわざ病院へ行くべきか迷いますよね。この記事ではガングリオンを放置する危険性や自然に消える確率などをまとめました。 放置してもいいケースや受診する目安、悪性腫瘍の見分け方なども解説するので、ガングリオンができて困っている方はぜひ最後まで読んでください。 ガングリオンの原因と症状 ガングリオンは良性の腫瘍で、関節周囲や骨と筋肉をつなぐ腱・腱鞘の近くにできます。 コブのような丸い見た目をしており、大きさは5mm(米粒くらい)から4㎝(ピンポン玉くらい)。コブの中には、関節を保護している滑液がゼリー状になったものが詰まっています。 ガングリオンがなぜできるのか不思議ですよね!?それでは原因や症状を確認していきましょう! ガングリオンの原因とメカニズム ガングリオンは、関節内にある液体がガングリオンの袋に流れてコブになったものです。 2つの骨が繋がる関節は、袋のような関節包で守られており、関節包の中は滑液(関節を保護する潤滑油)で満たされています。この滑液が、なんらかの理由でできたガングリオンの袋に流れるとコブ状の腫瘤(しゅりゅう)が形成されます。 なぜガングリオンの袋ができるのか原因は分かっていません。手首や足、足首などの関節周囲のほか、骨と筋肉をつなぐ部分の腱や、腱を支えるさやの役割である腱鞘(けんしょう)にもガングリオンができます。 ガングリオンは痛い?よくある症状 ガングリオンは無症状の方も多いですが、以下のような症状があらわれます。 コブのあるところが痛む 手足が痺れる・感覚が鈍くなる ガングリオンが神経にちかい場所にできると、神経を圧迫して痛みや手足の痺れ、感覚鈍麻といった症状がでます。はじめは無症状でも、ガングリオンが大きくなると神経を圧迫しやすいため、大きくなるガングリオンは注意しましょう。 ガングリオンを放置するとダメ? ガングリオンが気になるものの、痛みがないからと様子をみている方・病院に行くほどでもないと感じている方もいるのではないでしょうか。 ガングリオンを放置する危険性 自然治癒するのか 受診する目安 上記の3点をまとめました。 ガングリオンを放置する危険性 痛みや痺れのないガングリオンはそのままにしていても問題はありませんが、ガングリオンと似ている病気を放置すると悪化する危険性があります。 ガングリオンと見分けがつきにくい病気だった場合、放置する危険性を確認していきましょう。 粉瘤(ふんりゅう)だった場合:炎症が起き腫れる・悪臭が発生する 脂肪腫だった場合:悪性の場合がある 滑液包炎だった場合:炎症が強くなる・痛みが増す ガングリオンによく似ている粉瘤の中身は垢や老廃物で、放っておくと赤く腫れたり、悪臭が発生します。 ほかにガングリオンによく似ている腫瘍の1つに脂肪腫があります。脂肪腫は脂肪がつまったコブですが、まれに悪性腫瘍である脂肪肉腫の場合があります。ガングリオンがあると「もしかして悪性ではないか」と不安になる人もいるのではないでしょうか。 ただ、悪性腫瘍は急速に大きくなる・形がいびつなどの特徴があります。 脂肪肉腫は希少がんであり、非常にまれな病気のため心配しすぎる必要はありません。大きくなったり形が変だと感じたら受診しましょう。滑液包炎もガングリオンによく似ており、ケガや関節の使いすぎで炎症を起こしコブができます。中身は血混じりの滑液で、放置すると炎症が強くなって痛みが増したり、関節が動かしにくいといった症状がでます。 見た目だけでガングリオン・粉瘤・脂肪腫・滑液包炎を見分けるのは難しいため、症状がなく放置したい場合でも病院へいき、医師に診てもらうと安心です。 ガングリオンの治療法 ガングリオンの治療では注射で内容物を吸い出したりステロイドを注入します。 注射は怖いからイヤだと思う人もいます。注射はコブの中に何があるか確かめる目的もあり、ガングリオンの診断や治療に必要なもの。注射が苦手な方や痛みが怖い方は医師に伝えましょう。あらかじめベッドに寝て患部を見なくて済むよう配慮してくれたり、局所麻酔を使うなど痛みにも配慮してくれます。 ただし、注射で吸い出す治療ではガングリオンの袋自体は残ったまま。症状は一時的に良くなりますが、再発率は50%と高いです。注射での排出を何度かおこなううちに治るケースもありますが、繰り返す場合は手術でガングリオンの袋自体をとる手術も視野に入れましょう。 ガングリオンは自然に消える? ガングリオンが自然になくなる方もめずらしくありません。忙しいと症状のないガングリオンはつい放置しがちですが、いつのまにか治ってしまうなら嬉しいですよね。自然に治癒する条件や確率をまとめたので、参考にしてください。 自然に治る確率 ガングリオンの58%が自然に解消することが分かっています。また、治療をのぞみ注射で吸引などをしても50%が再発するといわれており、じつは経過観察しても注射治療をしても大きな差はありません。 様子を見てもいい条件 以下の条件を満たしている場合は今すぐ受診する必要はありませんが、なるべく医師に診てもらい放置してよいか確認してください。 コブが大きくならない 赤く腫れない 痛みがない・痺れがない 上記とは反対に、ガングリオンがどんどん大きくなる・赤く腫れてきた・痛みやしびれが出てきた場合は、生活に支障をきたしたり別の腫瘍の可能性もあるため、医師の診察を受けましょう。 ガングリオンが自然に消えた?理由とメカニズム ガングリオンを放置していたら自然に消えたという経験がある方は、なぜ消えたのか不思議に思いますよね。自然に消えるのはガングリオンの袋が破れるためです。 ガングリオンの袋は大きくなると薄い部分ができます。風船も、ふくらむと表面が伸びていき、うすくなりますよね。関節を動かしたり、ぶつけるなどでガングリオンの袋の薄い部分が破れたり穴があくと、中身が流れ出しガングリオンが小さくなったり消失します。 ガングリオンを潰すとどうなる?自己ケア法 自分でケアするのはやめましょう。 ガングリオンは圧迫すると袋に穴があいてコブが消失したり小さくなることがあります。そのため、自分でガングリオンを押して潰そうとする方もいますが、神経を圧迫して痺れたり痛みがでる・傷を負うなどしやすいため、試さないようにしてください。 無理に潰そうとせず自然にまかせ、気になるようでしたら病院で治療しましょう。 ガングリオンで病院を受診する目安 ガングリオンで治療を受ける目安は以下のとおりです。 だんだん大きくなってきた 痛みや痺れがある 外見上の問題がある 詳しく解説します。 受診の目安:大きくなる・痛い・痺れる・見た目が気になる ガングリオンが大きくなってきて関節が動かしにくい、洋服がひっかかってしまうなどの生活に支障がある場合や、色んなところにぶつけてしまってケガをする恐れがあるときは、受診して治療しましょう。 ガングリオンが小さくても、神経を圧迫していると痛くなったり痺れるといった症状がでます。大きさにかかわらず、痛い・痺れる場合は病院へいき、治療を受けてください。 ガングリオンはコブ状のため、見た目が気になる方もいるのではないでしょうか。ガングリオンはさまざまな場所にできるので、外見上の問題があり治したい場合も受診しましょう。 受診前に整理しよう!5つの情報 受診前に、以下の情報を整理しておきましょう。 ガングリオンはいつからできたか 当初の大きさはどのくらいだったか 痛みや痺れはないか どういった動作がしにくいか 麻酔のアレルギーはないか 上記の情報は診断や治療に必要なため、答えを用意して受診すると診察がスムーズです。 診断や治療のためにガングリオンに注射し内容物を吸い出したり、ステロイドの注射をします。場合によっては局所麻酔を使うため、麻酔のアレルギーがある方は申告しましょう。 そのほか、注射で気分が悪くなったり倒れてしまった経験がある方も、前もって言っておくと注射するところが見えないよう配慮してくれたり、ベッドで寝た状態で治療するなど工夫してくれます。 ガングリオンの再発予防で注意すべきポイント ガングリオンがなくなったと思ったのに、またできてしまうのは珍しくありませんが、なぜ再発するのか・再発予防にはどうしたらいいのか解説します。 ガングリオンができやすい人の再発予防 自然にガングリオンがなくなった場合や・注射で吸い出す治療をした場合、ガングリオンの袋自体は残っているため再発しやすい特徴があります。 たとえば手や手首にできたガングリオンで、注射で吸引治療した場合の再発率は50%というデータもありますが、多いですよね。 関節に負荷がかかると、関節包にある滑液がガングリオンの袋に流れやすくなるため、関節を動かしすぎない・体重をかけすぎないようにすると再発予防になります。たとえば手首にできた場合は手首を使いすぎず、手をついて立ち上がる(体重をかける)といった動作を控えるようにしましょう。 ガングリオンでよくある質問 よくある質問①ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方は? ガングリオンは良性の腫瘍ですが、ガングリオンだと思っていたコブが悪性の脂肪肉腫だったケースや炎症を繰り返していた粉瘤が悪性化するといったケースが極めてまれに起こります。 色むらがある 形がボコボコしている 急に大きくなった コブとまわりの境界線がはっきりしない 悪性の場合は上記のような特徴があります。 悪性の腫瘍はまわりの組織に滲むように大きくなるため、コブとまわりの組織の境界がはっきりしません。また、色むらがあったり形がボコボコしている、急速に大きくなるなどの変化があります。 ぱっと見て分かりやすいケースもありますが、見た目だけで判断するのは医師でも難しいため、気になるようであれば受診し検査してもらいましょう。 よくある質問②ガングリオンが痛いときの対処法は? ガングリオンが痛む場合ははやめに病院へいきましょう。すぐ行けない場合は、手持ちの痛み止めを飲むのも対処法の1つですが、効き目がきれるとまた痛くなります。 ガングリオンが痛い場合に考えられるのは以下のケースです。 ガングリオンに神経がおされ痛む ガングリオンだと思っていたが別の病気で炎症を起こしており痛む 赤く腫れて熱を持っている場合は炎症を起こしているため冷やすと痛みが楽になります。しかし、見た目でとくに変わりがなく痛む場合は神経を圧迫して起こる痛みのため、自分でケアができません。 炎症し痛い場合でも神経を圧迫している痛みでも、はやめに受診し治療を受けましょう。 よくある質問③ガングリオンは何科にいけばいい? 整形外科、皮膚科、形成外科を受診します。 ガングリオンは関節が関係しているため、基本的には整形外科で治療しますが、ガングリオンに似ている脂肪腫や粉瘤などは皮膚科や形成外科で診察するのが一般的です。 そのため、関節からすこし離れた場所にあるコブなど、ガングリオンかどうか分からない場合は皮膚科か形成外科を受診しましょう。 ガングリオンを放置するリスクと対処法まとめ ここまで、ガングリオンを放置する危険性や、自然治癒についてまとめました。 ガングリオンはとくに症状がなければ放置してかまいませんが、急速に大きくなったり痛む・痺れる場合は我慢せず整形外科や皮膚科にいきましょう。また、自己流でガングリオンを潰すなど自分でケアするのはケガの原因になるため、控えてください。 この記事で受診する目安をお教えしましたが、適切な時期に受診するためにもガングリオンを完全放置するのではなく、ときおり観察してみてください。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 日本整形外科学会「ガングリオン」 Treatment of ganglion cysts Ganglions of the hand and wrist
最終更新日:2024.07.24 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「関節リウマチってどのような病気?」「関節の痛みや腫れが続いているけど、どうすればいいの?」 このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 関節リウマチは、関節の炎症と痛みを主な特徴とする慢性的な自己免疫疾患です。適切な治療を受けなければ、関節の変形や機能障害が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあるでしょう。 今回は、関節リウマチの症状や診断基準、最新の治療法に加えて、日常生活での管理方法について詳しく解説します。この記事が、関節リウマチと診断され症状に悩んだり、適切な治療法を探したりするあなたの助けになれば幸いです。 関節リウマチとは? 関節リウマチは、免疫システムの異常により、自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。 関節の炎症が慢性的に続き、痛みやこわばり、腫れなどの症状が現れます。病状が進行すると、関節の変形や機能低下を引き起こし、日常生活の質(QOL:quality of life)に大きく関わってきます。 QOLとは、個人が日常生活において感じる身体的、心理的、社会的な幸福感や満足感を表わす概念です。関節リウマチによる関節の痛みや変形は、日常的な動作に支障をきたし、社会活動への参加を制限するなど、QOLを低下させる可能性があります。 疾患の概要と一般的な症状 関節リウマチは、関節滑膜の炎症を主体とする全身性の自己免疫疾患です。この疾患の特徴は以下のとおりです。 ・炎症が慢性的に持続することで、軟骨や骨の破壊が進行する ・関節の変形や機能障害を引き起こす 関節リウマチの一般的な症状は、関節の症状と全身症状に分けられます。関節の症状には以下のようなものがあります。 ・痛み ・腫れ ・熱感 ・こわばり これらの症状は、とくに手足の小さな関節から始まるケースがほとんどです。 また、全身症状として以下のような症状をともなう場合もあります。 ・倦怠感 ・微熱 ・体重減少 前述のように、関節リウマチは関節の症状だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性もある疾患です。 リウマチが体に及ぼす影響 関節リウマチは、関節の炎症と破壊を引き起こすだけでなく、全身のさまざまな臓器に影響を及ぼす可能性があります。 影響 理由 慢性的な炎症反応 関節リウマチでは、免疫システムの異常により、関節だけでなく全身で炎症反応が起こっています。 この炎症反応が長期間続くことで、関節以外の臓器や組織にも影響が及ぶ場合があります。 炎症性物質の全身への拡散 関節の炎症によって生じた炎症性物質(サイトカインなど)が血液を介して全身に拡散します。 これらの炎症性物質が他の臓器や組織に作用し、炎症や損傷を引き起こす可能性があります。 免疫システムの異常による臓器障害 関節リウマチでは、自己免疫反応によって関節が攻撃されますが、この異常な免疫反応が他の臓器にも影響を及ぼすことがあります。 例えば、血管や肺、心臓などの組織に対する自己抗体が生じ、これらの臓器に炎症や損傷が起こる可能性があります。 全身性の炎症による動脈硬化の促進 慢性的な炎症状態は、動脈硬化の進行を促進します。 動脈硬化が進むと、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まります。 症状の詳細 関節リウマチの症状は多様で、その現れ方や重症度には個人差があります。また、同じ人でも症状は時期によって変動することがあります。 典型的な症状とその変動性 関節リウマチの代表的な症状は、以下のようなものがあります。 症状 特徴 関節の痛み、腫れ、熱感、こわばり 特に、手や手首、足、膝などの関節に多く見られます。 症状は左右対称に現れることが多いです。 朝のこわばり 朝起きた時に関節のこわばりを感じ、動かしにくいことがあります。 このこわばりが1時間以上続くことが特徴です。 これらの症状は、日内変動を示すことがあります。つまり、一日の中で症状が変化したり、日によって症状の強さが異なったりする場合がほとんどです。 また、症状は悪化と改善を繰り返すことがあり、症状が一時的に良くなったからといって、油断せずに継続的な観察と治療が必要です。 症状の初期識別とその重要性 関節リウマチの早期発見と治療開始は、関節の損傷の進行を抑え、長期的な予後を改善するために非常に重要です。 初期症状は軽度で一時的なものから始まるケースがほとんどです。 しかし、以下のような症状が数週間以上続く場合は、慢性関節リウマチの可能性を考えて、早めに医師に相談しましょう。 ・手足の小さな関節の腫れや痛み ・朝のこわばりが1時間以上続く これらの症状を見逃さず、早期に診断し治療を開始することで、症状の進行を抑え、日常生活動作の維持や生活の質の向上が期待できるでしょう。 診断基準の解説 関節リウマチの診断は、症状や身体所見、血液検査、画像検査などを総合的に評価して行われます。早期診断と適切な治療開始のために、分類基準が作成されています。 リウマチ診断のための基準とプロセス 米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で策定した分類基準では、以下の項目を評価します。 ・影響を受けた関節の数(大きな関節と小さな関節の数) ・血液検査の結果(リウマトイド因子や抗環状シトルリン化ペプチド抗体の有無) ・炎症の指標(CRP値や赤血球沈降速度) ・症状の持続期間(6週間以上) これらの項目に基づいてスコアを計算し、一定以上のスコアになると関節リウマチと診断されます。診断の過程では、問診、身体診察、血液検査、画像検査(X線やMRIなど)を組み合わせて総合的に評価します。 診断における挑戦と注意点 早期の関節リウマチでは、典型的な症状や血液検査の異常が見られないことがあり、診断が難しい場合もあります。 また、他の関節疾患との区別も重要です。専門医は、豊富な経験をもとに総合的に判断します。 診断後も、定期的に患者の状態をモニタリングし、治療方針を適宜見直すことが必要です。 また症状や検査結果の変化を見逃さず、適切な治療を続けることが重要です。 現代の治療法 関節リウマチの治療は、炎症を抑えて症状を和らげたり、病気の進行を防いだりするのを目的とします。早期に診断し、治療をはじめることが大切です。 治療には以下の方法があります。 ・薬物療法 ・非薬物療法 それぞれについて解説します。 薬物療法:DMARDs、生物学的製剤、ステロイド 関節リウマチの治療では、いくつかの種類の薬が使用されます。それぞれの薬には特徴があり、患者さんの状態に合わせて選択されます。 以下の表は、関節リウマチの治療で使われる主な薬の種類と、その特徴をまとめたものです。 薬剤の種類 具体的な薬 特徴と効果 抗リウマチ薬(DMARDs) メトトレキサート(MTX) レフルノミド、サラゾスルファピリジンなど ・第一選択薬 ・炎症と関節損傷を抑える効果が期待される ・MTXが不十分な場合に追加される場合がある 生物学的製剤 TNF阻害薬、IL-6阻害薬など ・炎症を引き起こす物質をブロックし、抗炎症効果を発揮 ステロイド薬 プレドニゾロンなど ・急な炎症時に短期間使用される ・炎症を速やかに抑える効果が期待される これらの薬剤を適切に組み合わせることで、関節リウマチの症状管理と関節の損傷抑制が期待できます。 非薬物療法:物理療法、運動療法、生活習慣の調整 関節リウマチの治療では、薬物療法と並行して、薬を使わない治療法も大切な役割を果たします。非薬物療法は、関節の健康を維持し、日常生活の質を向上させるために重要です。以下の表に各治療法の内容、目的、説明をまとめました。 非薬物療法の種類 内容(例) 目的 説明 運動療法 ・水中での運動 ・ストレッチ ・軽い負荷を使った筋力トレーニング ・関節の動きの維持 ・筋力の維持 ・過度な負担を避ける 水中運動は関節に負担をかけずに運動ができるため用いられます。ストレッチや軽い筋力トレーニングも、関節の柔軟性と筋力を維持するために重要です。 物理療法 ・温熱療法 ・寒冷療法 ・光線療法 ・水治療 ・その他 ・関節の痛みの軽減 ・関節の腫れの軽減 関節の痛みや腫れを軽減し、症状の緩和が期待できます。 作業療法 ・日常動作の練習 ・職場復帰のための訓練 ・日常生活の改善 ・社会復帰の促進 ・手指の過度な負担を避ける 日常生活の動作を練習することで、自立した生活を送るためのサポートを行います。状況によっては職場復帰のための訓練も含まれます。 装具療法 ・頸椎カラー ・手関節装具 ・足関節サポーター ・傷んだ関節の保護 ・変形の予防 ・痛みの軽減 頸椎カラーや手関節装具、足関節サポーターなどを使用することで、関節を保護し、変形や痛みを軽減しやすくします。 生活習慣の工夫 ・疲労のコントロール ・関節に負担をかけない生活 ・適度な体重の維持 ・バランスの取れた食事 ・禁煙 ・症状の改善 ・全身状態の改善 疲労管理や適切な体重の維持、バランスの取れた食事、禁煙などの生活習慣の改善は、症状の改善と全身状態の向上に期待できます。 これらの非薬物療法を適切に組み合わせることで、関節リウマチの症状を上手にコントロールし、日常生活の質を高めることが期待できます。人によって状況は異なるため、専門家の指導を受けながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。 日常生活での管理とサポート 関節リウマチは、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。症状のコントロールと合併症の予防のために、日常生活での適切な管理とサポートが重要です。 日常生活での調整と自己管理のヒント 関節リウマチとうまく付き合っていくには、日常生活での工夫が重要です。関節への負担を減らすために、以下のようなことを心がけてみましょう。 ・関節に負担をかけない動作を心がける ・自助具を活用する ・疲れをためすぎないよう、休息と活動のバランスを取る ・適度な運動を行い、関節の機能を維持する(ただし、やりすぎは禁物) ・バランスの取れた食事を心がける ・禁煙する ・ストレス対処法を身につける 患者サポートと地域リソースの活用 疾患と向き合っていくには、周りの人のサポートがとても大切です。 ・家族や友人に病気のことを理解してもらい、協力を求める ・同じ病気の人と交流し、情報交換や精神的な支え合いをする ・患者会や支援団体に参加し、さまざまな情報やサポートを得る ・医療ソーシャルワーカーや看護師から、利用できる社会資源の情報を得る ・訪問看護やリハビリ、介護サービスなどを上手に活用する まとめと次のステップ 関節リウマチは、適切なケアと上手な病気との付き合い方で、充実した生活を送ることができます。早期発見と早期治療が大切であり、患者さん自身が積極的に病気の管理にかかわることも重要です。 持続可能な管理戦略と医療チームとの連携 関節リウマチの管理は長期戦です。医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、さまざまな専門家からなる医療チームと連携しながら、自分に合った管理方法を見つけていきましょう。 ステップ 内容 1 定期的な通院と検査を続ける 2 治療方針を医療チームと相談しながら調整する 3 体調の変化や副作用、生活上の問題を医療者に伝える 4 セルフマネジメントのスキルを身につけ、主体的に病気と向き合う 情報更新と自己啓発の重要性 医学は日々進歩しており、関節リウマチの治療法も新しい選択肢が増えています。信頼できる情報源から最新の情報を得ることで、自分に合った治療法を見つけやすくなります。 ・主治医や看護師から、新しい治療法や臨床試験について情報を得る ・患者会や講演会に参加し、他の患者さんの経験や専門家の意見を聞く ・関節リウマチの専門団体が発行するパンフレットやWebサイトで、最新の治療ガイドラインをチェックする 関節リウマチと診断されたからといって、諦める必要はありません。適切な治療と生活管理によって、症状をコントロールしやすいでしょう。 ・定期的に通院し、病気の活動性をモニタリングする ・処方された薬は指示通りに服用し、副作用があれば医師に報告する ・疲労を管理し、関節に負担をかけない生活を心がける ・適度な運動とバランスの取れた食事で、全身の健康を維持する また、日常生活での工夫も大切です。 ・困難な作業は家族や友人に助けを求める ・関節に負担のかかる動作を避け、自助具を活用する ・患者会に参加し、同じ病気を持つ人と情報交換やサポートし合う 症状和らげたり、病気の進行を遅らせたりするには、医療チームとの連携と自己管理が重要です。あなたに合った方法を見つけ、必要な調整を行いながら、できる限り自分らしい生活を送ることを目指しましょう。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 一般社団法人日本リウマチ学会.“関節リウマチ(RA)”.日本リウマチ学会ホームページ 厚生労働省.“第6章関節リウマチ” 厚生労働省.“内科的治療法“ 公益財団法人日本リウマチ財団.“関節リウマチの治療 – リハビリテーション”.リウマチ情報センター.2022-09 公益財団法人日本リウマチ財団.“初めから起こる症状”.リウマチ情報センター.2022-10 公益財団法人日本リウマチ財団.“中期以降の症状”.リウマチ情報センター.2022-10 公益財団法人日本リウマチ財団.“関節リウマチの診断”.リウマチ情報センター.2022-10
最終更新日:2024.07.17 -
- 股関節、その他疾患
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大転子滑液包炎(だいてんしかつえきほうえん)は、特にランニングやスポーツなどをおこなう方に多く、1,000人中の5〜6人が発症します。また、男性よりも女性、40~60歳の方が発症しやすいと言われてます。 大転子滑液包炎について以下のようなお悩みがありませんか? ・痛みの改善方法が分からない ・症状を悪化させる原因を知りたい ・ストレッチや運動などの予防策を知りたい この記事では大転子滑液包炎を改善・予防するための正しい知識を身につけ、原因や生活習慣、予防策について解説しています。 将来、自分の足が大転子滑液包炎になるのを防ぐためにも、適切な対策を行えるようになりましょう。 大転子滑液包炎とは? 大転子滑液包炎とは、股関節の外側に存在する大転子という骨の周囲の滑液包が炎症を起こす症状です。滑液包とは、関節や筋肉がスムーズに動くために存在する滑液という潤滑液を含む袋のことで、滑液包が炎症を起こすと関節や筋肉の動きが制限され、多くの場合、痛みを伴います。 ここでは、以下の2点について解説します。 ・症状と診断プロセス ・発症の原因とリスク要因 まずは基本的な概要から理解していきましょう。 症状と診断プロセス 発症初期のころの痛みは股関節の外側と局所的ですが、症状が悪化すると大腿の外側まで痛みの範囲が拡大します。また、大転子を圧迫すると痛みが出現するため、横を向いて寝ることが大変になります。 また、痛みの程度により、日常生活やランニングなどの趣味活動に制限される場合もあるのです。 また、大転子滑液包炎の診断は以下を用いて総合的に行われます。 ・問診 ・身体所見の確認 ・MRI 問診では、これまでの病歴や痛みが出現する前に行っていたこと、どのような時に痛いのかを確認します。身体所見の確認では、大転子を圧迫し痛みが出現するのかを確かめます。関節包に水が溜まっているかどうかや関節包の炎症の有無の判断は、MRIを使用しなければ分かりません。 発症の原因とリスク要因 大転子滑液包炎の原因には「大腿筋膜張筋」と「腸脛靭帯」の2つが関係しています。この2つの組織は大転子の上部を通過しているため、ランニングやサイクリングなどの同じ動作が行われ大転子滑液包と摩擦が起きることで炎症すると言われています。 また、大転子滑液包炎のリスクとなる要因は以下の4つです。 ・転倒やスポーツなどによる外傷 ・大転子に付着する組織(中殿筋・小殿筋など)の損傷に伴う二次的な滑液包炎 ・滑液包自体の摩擦・微細損傷による炎症 ・関節リウマチや痛風などの疾患 大転子滑液包炎の原因とは? 大転子滑液包炎の原因は大きく分けて以下の2つがあります。 ・活動レベルと生活習慣の影響 ・姿勢の問題と身体的負荷 それぞれ以下で詳しく解説します。 活動レベルと生活習慣の影響 ランニングやサイクリングなどを頻繁に行う方は、大転子滑液包に対する摩擦が増え、炎症を引き起こす可能性があります。 また、生活習慣では肥満も大転子滑液包炎の発症に影響を与えます。なぜなら、体重が増えると大転子滑液包にかかる負担も増加するためです。 このため、同じ動作を繰り返すスポーツや不摂生な食事をしている方は、大転子滑液包炎になる可能性が高いため注意が必要です。 姿勢の問題と身体的負荷 一般的に長い時間立っている方は、大転子滑液包にストレスがかかりやすいため、大転子滑液包炎を発症しやすくなります。 また、散歩やランニングの際に体が左右どちらかに傾いていたり猫背などの不良姿勢であることも、大転子滑液包にストレスがかかる原因となります。 このため、立ち仕事が増えたことや、ランニングを始めてから大転子周囲に痛みが出現した方は、大転子滑液包にストレスがかかっているかもしれません。 大転子滑液包炎の効果的な治療方法 大転子滑液包炎の治療方法は大きく分けて以下の2つです。 ・保存的治療:アイシングと抗炎症薬 ・手術療法:運動器カテーテル治療 それぞれ以下で詳しく解説します。 保存的治療:アイシングと抗炎症薬 大転子滑液包炎の保存的治療の重要な目標は、痛みの軽減を図ることです。大転子滑液包炎に限らず、炎症があり痛みが強い場合にはアイシングが有効です。アイシングをすることで炎症を抑え痛みを抑制できます。 また、大転子滑液包の炎症を抑えるためには、ステロイドの注射や消炎鎮痛剤の内服も有効です。しかし、30%の方は痛みが改善しないと言われているため、保存的治療で痛みを改善できない場合には以下の方法の検討も必要となります。 手術療法:運動器カテーテル治療 大転子滑液包炎が長期化し慢性化すると、大転子滑液包内に異常な血管が生じてしまいます。この場合、ステロイドや消炎鎮痛剤の使用により一時的に痛みは軽減しますが、再度痛みが出現します。 そのため、大転子滑液包炎が長期化している場合は、運動器カテーテル治療を行い、異常な微小血管を減らす治療が有効です。施術時間は20〜30分ほどで終了します。 運動器カテーテル治療後は、大転子滑液包炎による痛みが改善します。しかし、他にも原因がある場合は、痛みが残存する可能性があるため、医師への相談が必要です。 大転子滑液包炎を改善・予防するためのストレッチと運動療法 大転子滑液包炎の治療には保存的治療や手術療法で炎症や痛みの改善を図りますが、その後に痛みの再発を予防するためにもストレッチや運動療法が必要です。大転子滑液包炎は、同じ動作の繰り返しや長期間の不適切な動きや姿勢によるストレスが原因となるため、適切な予防を講じることが大切です。 痛みを和らげるストレッチ 大転子滑液包炎を予防するためには、股関節周囲の筋肉、特に「大腿筋膜張筋」の柔軟性を高めることが重要です。大腿筋膜張筋のストレッチは座った状態と寝た状態どちらでも行えます。 まずは座った状態でのストレッチから解説します。椅子に浅く腰掛け、片方の足を反対側の太ももの上に乗せます。上体をゆっくりと前に倒し、太ももの外側に軽い張りを感じるところで20~30秒ほど保持します。反対側も同様に行います。 次に、寝た状態でのストレッチを説明します。両膝を立てて膝を左右どちらかに倒し、20~30秒ほど保持します。膝を右側に倒した時は左足の大腿筋膜張筋、左側に倒した時は右足の大腿筋膜張筋が伸ばされます。 どちらのストレッチも、1日に数回行うことで筋肉の柔軟性を維持できます。ストレッチを行う際は、痛みを感じない範囲で行い、呼吸を止めないように注意しましょう。膝を倒した時に痛みが強い場合は、痛みが出る直前まで倒すことで痛みなくストレッチできます。 無理なストレッチは症状を悪化させる可能性があるため、痛みのない範囲で行うことが大切です。 再発予防のための運動療法 大転子滑液包炎を予防するためには、股関節周囲の筋力アップが必要です。 ここでは、自宅で簡単に行える以下2つの運動をお伝えします。 ・スクワット ・足を横に開く運動 スクワットの方法は以下のとおりです。 足を肩幅にひらく 膝がつま先より前に出ないように膝を90度ほど曲げる 膝を伸ばし1の状態に戻る 上記を10回繰り返す この時に1つ注意点があり、膝を曲げている時は膝が内側に寄らないようにしましょう。スクワットを行うことで「大腿四頭筋」や「大臀筋」などの筋肉を強化できます。 また、足を横に開く運動は以下のとおりです。 立った状態で椅子や手すりなどに軽くつかまる 体が横に傾かない範囲で片方の足を横に開いて戻す 上記を10回繰り返す この時に1つ注意点があり、足を横に開く時はつま先が外側へ向かないように注意しましょう。足を横に開く運動では「中臀筋」や「小臀筋」の筋肉を強化できます。 大転子滑液包炎の日常生活での予防策 大転子滑液包炎は一度発症すると再発しやすい疾患ですが、日常生活での予防策を実践することでリスクを大幅に減らすことが可能です。 ここでは以下の2点について解説します。 ・正しい運動技術とトレーニングの調整 ・再発防止のための生活習慣の改善 これらの予防策は大転子滑液包炎だけでなく、他の関節疾患や筋肉疲労の予防にも役立ちます。正しい予防策を身につけることで大転子滑液包炎を未然に防ぎ、これからもランニングを楽しんでいきましょう。 正しい運動技術とトレーニングの調整 ランニングやウォーキングに限らず、運動技術が不適切な場合、大転子周辺の筋肉に過度な負荷がかかり、大転子滑液包炎を引き起こす可能性があります。このため、大転子滑液包炎を予防するためには、適切なフォームで運動を行うことが求められます。 また、トレーニングの量の調整も必要です。過度なトレーニングは筋肉が疲労してしまい炎症につながる可能性があります。このため、適度に休息をとり、適切なトレーニング量に設定することが大切です。 再発防止のための生活習慣の改善 大転子滑液包炎を生活習慣から予防するためには以下の2つが大切です。 ・定期的な運動習慣 ・バランスの良い食事 定期的な運動習慣がなければ足腰の筋力が低下してしまい、大腿筋膜張筋にストレスがかかりやすくなります。また乱れた食生活では肥満につながり、体重が増えることでも大腿筋膜張筋へのストレスが増加します。 これらの日常生活での予防策は、大転子滑液包炎の予防だけでなく、他の整形外科疾患の予防にもつながります。 大転子滑液包炎の原因を理解して予防していきましょう この記事を通じて、大転子滑液包炎の基本的な知識から原因、治療方法、ストレッチと運動療法、さらには日常生活での予防策について学びました。 これからランニングやウォーキングを楽しく継続するためにも、正しい運動姿勢やトレーニングの量を把握し、体重の増加には気をつけましょう。 ただし、予防策を講じても大転子周囲の痛みが強い場合は、整形外科の受診を検討する必要があります。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 ・Effect of corticosteroid injection for trochanter pain syndrome: design of a randomised clinical trial in general practice. Brinks A, van Rijn RM, Bohnen AM, Slee GL, Verhaar JA, Koes BW, Bierma-Zeinstra SM BMC Musculoskelet Disord. 2007 Sep 19; 8():95. ・Lustenberger DP, Ng VY, Best TM, Ellis TJ: Efficacy of treatment of trochanteric bursitis: A systematic review. Clin J Sport Med 2011;21(5):447-453. ・Fox JL: The role of arthroscopic bursectomy in the treatment of trochanteric bursitis. Arthroscopy 2002;18(7):E34. ・渡邉 博史.静的ストレッチングの効果的な持続時間について.第47回日本理学療法学術大会.
最終更新日:2024.07.24