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変形性膝関節症の再生医療(PRP療法)について専門医が分かりやすく解説

解説/リペアセルクリニック:理事長 坂本貞範

Dr.サカモトです。今回は、患者様の声を交えながらより詳しくお話をしたいと思います。 それではいってみましょう。変形性膝関節症について詳しくお話をしたいと思います。その前に、前回のおさらいをしていきましょう。

変形性膝関節症は、全国で実は3000万人くらいの方がいらっしゃいます。男女比で言うと、1:4と女性のほうがかなり多いです。

原因としては、だんだんと年をとるにつれ軟骨が摩耗したり、少し膝がO脚になっていたり、あとは遺伝性ということも実は言われています。関節が変形してしまって炎症を起こして、歩く時に膝が痛かったり関節に水が溜まったりして動きにくくなるという病態をいわゆる「変形性膝関節症」と呼びます。

変形性膝関節症の治療

 

実際、変形性膝関節症において、どのような患者様が多いかといいますと、数日前や数週間前から歩く時に少し膝の内側が痛いなと感じたり、階段を降りる時に膝の内側が痛いなと感じる、その他にも正座がしにくくなったなと感じる方が結構いらっしゃいます。

その他に、急に膝が腫れてしまって痛くなったという方もおり、そういう方は外来に来た時には膝がパンパンに腫れている方がいらっしゃいます。おそらく水が溜まっている症状が結構多いです。

そういう方は、水を抜いてきちんとリハビリをすれば、ある程度痛みは治まります。

その他では、若い頃にスポーツなどで怪我をして半月板損傷や靭帯損傷などの大きな怪我をされて、10~20年経ってからそれが影響して軟骨が減ってくるということもあり、それが原因で変形性膝関節症になって、痛みが出てくるという方もいらっしゃいます。

私が担当している患者様の中でも変形性膝関節症の方は本当にたくさんいらっしゃいます。その方たちの声を交えて説明をしていきたいと思います。

  • 【50代女性】
  • ・日に日にだんだんと痛みがすごく強くなってきて、外に出るのも車椅子に乗らないといけなくて、自分の足で歩くことができない状態になってきました。
  • ・お手洗いに行くのも床を這いつくばって行くような状態で、この先も車椅子に乗ったままの生活が続くのかなと思うとすごく不安を感じました。
  • 【70代女性】
  • ・急に膝が痛くなって、膝の中が上から下まで釘をさすような痛さで、家の中でも歩けませんでした。
  • ・3日間も家の中でハイハイをした状態だったので、その時はそのまま寝たきりになるんじゃないかとものすごく心配しました。

いかがだったでしょうか。

 

具体的な変形性膝関節症の治療は、大きく分けて保存療法と手術療法というものがあります。

まず対症療法として、痛み止めや湿布、あと痛みが強ければヒアルロン酸などの注射をします。その他にですね、足底板といいまして、膝はどうしても変形するとO脚になってくるので、その体重がかかる部分を変えるために靴の中に足底板を入れます。

そういった装具を作ることもあります。もう1つ対症療法とは違って、根本治療というものがあります。

それは膝の周りの筋肉を強化するというものです。筋力トレーニングになります。その他に膝の周りの筋肉をストレッチによって伸ばすとかなり膝の方も痛みがとれたりするので、リハビリテーションもかなり重要だと思います。

変形性膝関節症の治療として、膝の関節に注射をする治療があります。一般的にはヒアルロン酸という注射を入れます。

膝の中にヒアルロン酸を注射すると膝の中の炎症が治まって、軟骨をコーティングする、守るという機能があります。そうすることによって、注射をした場合としない場合とでは、大体10倍くらい軟骨が減るスピードを遅くできるというデータもあります。

そのため、痛みが強い時には軟骨が減っているという状態なので、必ずヒアルロン酸は入れた方が良いです。

 

足底板とはこういった靴の中に敷くものです。

足底板は実際に自分の体重をかけて形をとり、自分の足にぴったりしたサイズのものを作って入れます。膝がO脚になってしまうとどうしても内側が摩耗して減ってくるので、それを矯正しX脚へとなるように、足底板は小指側の方が高く設置できるようになっています。

そうすることによって、膝がX脚になり、加重のかかる部分を変えているという仕組みのものになります。街の靴屋さんでも作ってくれるところがありますが、実際に行くと3万円くらいします。クリニックや病院とかでも実は保険を使ってこういったものを作成することができるので、実際に近くのクリニックに行き、先生と相談されてみてはいかがでしょうか。

 

リハビリテーションについては、整骨院やクリニック、病院などでやっている膝の周りの筋肉をほぐして伸ばしてあげるストレッチがあります。そうすることによって、膝の力のかかり方が分散されて、痛みがマシになります。

ただよくある街のマッサージで膝の周りをマッサージするだけでは、根本治療にはなりません。やはりきちんと膝の周りの筋肉を伸ばしてあげないといけないと思います。

その他に筋力トレーニング、これは太ももや膝の裏の筋肉などを鍛えてあげると、軟骨がぶつかる回数が少なるというイメージで膝が強化されるので、軟骨の摩耗が少なくなるといった効果があります。筋力トレーニングはかなりの効果がありますが、これだけは自分でやっていただかないとダメなものになります。

 

変形性膝関節症の手術は具体的に3つあります。

まず1つは関節鏡の手術。2つ目は骨切り術。そして3つ目が人工関節術です。変形性膝関節症には、変形の度合いによって変形の少ない初期、変形が中くらいの中期、かなり軟骨が減ってしまった末期というこの3つに大きく分けられます。

先ほど言った関節鏡の手術は、初期の頃に行われることが多いです。膝の周りに小さな穴を3つくらい開けて、カメラを入れ少し軟骨がささくれているところを削りとるという手術です。入院は大体1週間くらい、早くて2~3日で退院できます。ただその後の生活は1~2週間松葉杖が必要となることが多いです。

 

2つ目の骨切り術は、初期と中期、そして膝が90度以上曲がっている方は、骨切り術を行うことがあります。骨切り術なので、自分の骨を使って治していきます。骨切り術にはいろいろな方法があるのですが、膝の周りの骨を切って、O脚変形しているところをX脚にもっていくような骨切り術を行います。

この場合、骨がくっつくまでにかなりの時間がかかるので、入院期間は2~3ヶ月はかかり、かなり長期的になると思います。あと皆さんがよく耳にする人工関節ですが、実はこの人工関節にも2つあります。

内側だけがひどい場合、内側だけを入れ替える部分置換術というものがあり、人工関節の半分だけを使った手術になります。そしてもう1つは全部を覆わないといけない全置換術です。部分的に入れ替えた時には入院はおそらく2~3週間、全部入れ替えた時には1~2か月は入院しないといけないです。

小さいところだけを入れ替える部分置換術のメリットは、やはり傷口が小さくその後のリハビリもあまり苦労なくできることです。ただデメリットとしては、外側の軟骨がまた削れてくれば結局その部分置換術をとって、もう1度人工関節を入れなきゃいけないということもありえることです。

そのため、もう少し痛みを我慢して、全部の人工関節を入れていきましょうという流れがかなり多いと思います。一般的に人工関節というとできるだけ保存療法で頑張って、それでも歩けなくなってしまった場合、全部の人工関節を入れましょうという流れが一般的だと思います。

 

人工関節のリスクとして、3つの大きな合併症があります。1つ目は肺塞栓症、2つ目は感染症、3つ目は神経障害です。1つ目の肺塞栓症ですが、人工関節の手術をすることによって、血の中に血の塊ができます。それが肺の動脈に詰まってしまい、肺が機能しなくなってしまう。

これによって死亡のリスクが約0.7%あると言われています。2つ目の感染症。 これは人工物、自分の体にはないものが膝の中に入っているということから、そこにばい菌が住みやすくなってしまい、感染症を起こしてしまいます。

例えば、右の膝に人工関節を入れると右の足の爪を切った時に傷からばい菌が入り、人工関節にばい菌が定着してしまって、人工関節をとるなどの大きな手術をしなくてはいけなくなることもあります。あと足の水虫の方。 これも感染のリスクがとても高くなります。

 

そして3つ目の神経障害です。

やはり手術をしてメスを入れるということで、手術時には大きな血管や神経などは避けて通るのですが、手術中でも見えない血管や神経を傷つけてしまうと、手術した後でどこが膝の周りの神経かつねってもわからない、いつもどこか痛い、寒くなるとしびれが強くなるといった合併症を伴う方も少なからずいらっしゃいます。

それでは変形性膝関節症が悪くならないために、どうしても手術を避けたいという方のために予防法について説明をします。まず体重がある方はやはり体重を落としていただくことが大事かと思います。その後どうしても痛い時には我慢せずにヒアルロン酸などの注射を受けたほうが良いかと思います。

その他は先ほども言ったように、膝の周りの筋力強化、そして膝の周りのストレッチ、これもかなり効果的だと思います。どうしても手術がしたくないという方には、最近新しい治療として再生医療というものがあります。再生医療を受けられた方の実際の患者様の声があります。

その動画をまた次回の時に紹介したいと思いますので、ぜひご覧になってください。

 

はい、本日は変形性膝関節症の患者様の実際の声や具体的な治療法をお話していきました。もしわからないことがあれば、遠慮なく下のコメント欄まで記載をお願いします。

ではまた次回お会いしましょう。

Dr.サカモトでした。

 

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