肩腱板損傷の再生医療は手術よりも多くのメリットがある
当院では国内でもあまり行われていない肩腱板損傷の再生医療を数多く手掛けてきました。肩腱板損傷と診断されて日常生活が困難になったり、スポーツに支障が出るといよいよ手術という話になります。
肩腱板損傷に対する保険治療になると一般的には関節鏡が第一選択となります。腱板損傷の大きさによっては、自分の身体の腱や筋肉を移植することもあります。
腱板の損傷した部分を糸で縫合して治療するのですが、手術した後の再断裂という大きな問題があります。縫合した糸が筋肉や鍵板と擦れてしまい切断してしまうのです。
再断裂をすると損傷箇所が大きくなりさらに治療の難易度が高くなります。また、関節鏡の手術をしても痛みが変わらなかったり、余計に痛みが強くなったりする可能性もあります。
そして、問題なのが肩の関節の動きが悪くなることです。手術をしてから約6週間は装具で固定しなければいけません。その間に手術した箇所が癒着といって組織と組織がくっついてしまうのです。
もちろん、手術後しばらくしてリハビリすると改善しますが、手術前と同じぐらいの動きにまで戻らないこともよくあります。このように関節の拘縮が起こると、さらに痛みが強くなります。
私も以前は肩腱板損傷の手術に携わってきましたが、再生医療をすることで、このような手術後の再断裂、関節の拘縮といった問題はほぼ解消されました。そして一番大事な症状の改善率ですが、手術をするよりも幹細胞による再生医療の方が痛みや可動域の改善の治療成績が良好という結論になりました。
再生医療の場合は、簡単な注射だけで、装具による固定はなくても大丈夫です。なので、関節の拘縮は起きません。入院の必要もありません。
また、糸も使用しないので再断裂のリスクもかなり軽減されます。肩腱板損傷の幹細胞による再生医療は手術に比べてメリットしかありません。ただ、自由診療なので保険は適応できませんが、、。
このように、肩腱板損傷の幹細胞による再生医療は、従来の糸などによる腱板の縫合という概念ではなく、腱板損傷部を修復することができます。もちろん、冷凍せず培養された生存率の高い幹細胞がとても重要なポイントとなります。
再生医療医師監修:坂本貞範