【脊髄損傷×再生医療】車椅子YouTuber「ちんさん」の脊髄損傷を再生医療で治療。治療前インタビュー編
2021.05.07【脊髄損傷×再生医療】車椅子YouTuber「ちんさん」の脊髄損傷を再生医療で治療。治療前インタビュー編
監修/リペアセルクリニック理事長:坂本貞範
はい、suisui-projectちんです。
今日は、こちら大阪のリペアセルクリニックで、ちょうどまさに今、再生医療の第一歩ということで脂肪の採取をしていただきました。
こちらリペアセルクリニックの院長の坂本先生です。宜しくお願いします。
今日は坂本先生に、再生医療の基本的なことについて色々とお聞きしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
まず最初に、そもそも再生医療というものが、どういった医療なのかということについて少しお聞きしてもよろしいですか。
【Dr .サカモト】
再生医療は、まず自分の持っている幹細胞を生かして、それをもう一度体に戻して、傷ついたところや、弱くなったところを回復させる治療法です。
【ちんさん】
今、幹細胞っていうワードが出たのですけど、例えば、僕らが良く知っているのは、IPS細胞。あとES細胞というのを、よくお聞きするんですけれど、これらとの違いがどういうところか?
【Dr .サカモト】
今言った、 iPS 細胞と ES細胞は万能細胞と言いまして、万能細胞はいろんなものに変化するのですが、人為的に作られたもの。
たとえば人が手を加えて作った細胞で、例えば iPS だったら皮膚の細胞を持ってきてちょっと遺伝子を4つ5つほど加えると iPSができてしまったって言うので、山中教授が作っていますね。
ES細胞っていうのは女性の受精卵ですね。国内では不妊治療で使えなくなったものを研究で使って作ったものがあるのですけど、それは受精卵が7日くらい経ったものを、人為的に手を加えて出来上がったものがES細胞です。
IPSとES細胞はほとんど同じような機能を持っていますけれども、少し腫瘍になる可能性があるかもしれないということで、研究が今ゆっくりと進んでいる状況ですね。
幹細胞というのは、もともと自分の持っている体にある筋肉だったり骨だったり、いろんな臓器に幹細胞があるのですけど、その中で一番最近よく使われているのは、脂肪由来幹細胞で、脂肪の中にある幹細胞ですね。
それを使って、当院でも幹細胞を体に戻すということをしています。
【ちんさん】
じゃあ iPS 細胞と ES 細胞は治療で使うことを考えると、いくつか問題があるっていうことですね。
一方でその幹細胞はそういった問題がそこまで大きくない。
【Dr.サカモト】
そうですね。
もともと幹細胞は自分のものなので、癌化はしないですけれど、ただ、よく分化するのはやはりiPSとかES細胞の方が本当はよく分化します。
分化というのは色々なものに変わることです。少し性能が良いですけど、言っておられたようにちょっと研究が進んでいないが、実用化されているのですね。
【ちんさん】
性能はいいけれど問題がある。
【Dr.サカモト】
そうですね。
【ちんさん】
幹細胞の中で、今日僕も脂肪採取してそれを培養するっていうことですね。
その脂肪以外にもありますか?
Dr.サカモト】
幹細胞ですね?
今日本で行われているのは脂肪と、あともう一つ骨髄から取って骨髄の細胞を使う。
ちょっと昔は骨髄でよくやっていたのですけれども、20年前くらいから脂肪の幹細胞は結構培養もできるということで、最近は脂肪由来を使うことが多い。
デメリット・メリットをいうと脂肪と骨髄と比べると脂肪の方がたくさん培養できる、数を増やせる。
骨髄の方は、それほどたくさん培養できないが、骨髄に関しては神経などそういうものに分化しやすい。
もう一つの脂肪の方は、関節の軟骨などそういうものに分化しやすい。
ただ結局数が多い方がいいので、脂肪で培養した方を入れた方が結果的には神経の方も効果があるということは言われています。
【ちんさん】
なるほどなるほど。
いわゆる骨髄も脂肪も、それぞれ得意分野があるということですね。
【Dr.サカモト】
そうですね。
【ちんさん】
ただ数という面で考えると、圧倒的に脂肪の方が増やしやすいのですね。
骨髄って僕のイメージだと、採取するのがすごく大変じゃないかなという印象あるのですよ。
そのあたりはどうなのでしょうか?
【Dr.サカモト】
やっぱり、僕ら医者からしてもちょっと取りにくいというのがあって、ちょうど腰の辺りの骨盤のところで取るのですけど、大きな針でたくさん取らなきゃいけないですし、注射器に入っても20CC・30CC取らなくてはいけないですし、やっぱりその後に骨髄の中に感染と言いまして、バイ菌が入るとやはりすごくリスクが高いので、我々も取るのはちょっとストレスが溜まりますね。
【ちんさん】
やっぱりそれだけ取るのは大変ですね。
【Dr.サカモト】
そうです。骨髄穿刺は痛いっていうのもあるので、 麻酔しても痛いというのはありますね。
【ちんさん】
それこそ、1時間前くらいに脂肪を取ってもらったんですけど、思っていた以上に、すごく簡単で短時間でとれるんだなと。印象としてあったんですよ。
【Dr.サカモト】
結構若くてプチッとして取りやすかったというのはあるんですけども、10分ぐらいで取れるのですよね。
【ちんさん】
なんか気がついたら終わった、なんか喋りながら終わったっていう印象でした。
今回取ったこの脂肪の細胞というのを、この後再生医療で使うためにどんなプロセスを経ていくのか?
【Dr.サカモト】
そうですね、当院の場合は CPC と言いまして細胞加工室というところに送っています。
先ほど取った細胞と自分の血液を一緒に送って、自分の細胞と自分の血液で培養してくれます。
中には国内で自分の細胞と自分の血ではなくて、動物の血を使って培養するとかもあります。
それを4週間から6週間かけて特定の数まで増やしてから、もう一度こちらへ送られてくる。
それを点滴だったり関節だったら膝に入れたりということをやっています。
【ちんさん】
自分の血液を使って培養するんですね。
細胞を取る前に僕も採血で8本くらい結構な量の血を取って、何に使うんだろうなと思って。
培養のためにやつに使うんですね。
【Dr.サカモト】
けっこうこれぐらいのやつを、8本ぐらい取りますけど、見た目からして患者さんもこんなに取るのっていいますね。
【ちんさん】
なかなかの量だなと思いました。
【Dr.サカモト】
そうですね。大体100㏄位取るので、献血で言ったら、200とか400なので、貧血とかにはならないと思いますけど、ただ見た目はちょっとですね。
【ちんさん】
自分の血を使うからこそ、質のいい培養ができるというものですね。
【Dr.サカモト】
そうですね。
本当は動物の方が、細胞が増えやすいらしいですね。
技術がだんだん良くなって、人間の自分の血でもできるようになったのが最近の動きですよね。
全国的に言うと、割合はちょっとはっきりとわからないですけど、まだ動物を使っているところもある。
悪いことではないですけども、あるにはありますね。
【ちんさん】
その培養の施設で幹細胞の量を増やすと思うのですが、数字で言うとどれくらいの数に?
【Dr.サカモト】
そうですね。まず点滴で入れる場合と、関節の中とか局所に入れる場合とでも分かれるんですけど、点滴は一般的に1億個から1.5億個くらいを入れます、1回当たり。
それ以上入れてしまうともっと効くようなイメージですけども、たくさん入れるとやはり血管の中で詰まったりするとよくないので、やっぱり適性の数が1.5億個前後だと思います。
局所に入れる場合は、関節の場合は1千万個から1億個で症状を診てから決めたりしますね。
脊椎の方の硬膜内に入れたり、硬膜外の中に入れる時も、3000万個から5000万個、そのあたりを局所に入れることがあります。
【ちんさん】
ダイレクトに届ける場合はそこまで数は必要ないけど、点滴の場合は1億?
【Dr.サカモト】
そうですね。1億以上入れてもらった方が、(幹細胞が)全身に回ってしまうので、やっぱり少なくなってしまいますね。
なので、ダイレクト入れた方が効果はあると思いますね。
【ちんさん】
そのあたりは今後も治療の技術が進歩していくところになるんですね。
【Dr.サカモト】
そうですね。
まだ日本でも点滴は多いですけど、局所の脊髄に入れるというのは数少ないと思います。
これからまた増えてくるかもしれません。
【ちんさん】
僕自身が再生医療を深く調べることになったきっかけの1つに、1年半くらい前ですかね、札幌医科大学の急性期の脊髄損傷者の方に、こういった自己の幹細胞を使って投与するということがあったんですけど、急性期の方が治療に行き着くまでに結構大変な道のりがあるなと思ったのですが、そのあたりはどうのようにお考えですか?
【Dr.サカモト】
急性期の場合に、病院の方に運ばれますので、その病院でまず再生医療の届出を出しているところがほとんどないことと、再生医療って始まって少ない期間なので、まだお医者さんも理解されてない。
本当にこういう結果が出るのかっていうのは一番の壁になっているのです。
本当は病院できちっと再生医療ができるようになれば、急性期の方とかはすごく発揮できるのかなと思っています。
【ちんさん】
そのあたりが課題そうですね。
坂本先生がこうやって再生医療のクリニックで治療されている中で、具体的にどの辺に再生医療の可能性を感じていますか?
【Dr.サカモト】
一番おこなっている症例というのは、整形外科の関節ですけど、整形外科の関節というと何十年も前からは例えば変形性膝関節症で、膝悪い方は週に一回ヒアルロン酸というものを打っているんですね。
それでどうしても駄目だったり、変形が強くなって O 脚変形になると人工関節というものをするしかなかったんですね。
その間の治療が全くなかったのでもう注射をするか手術するかなんですけど、再生医療を使っていくと手術をしなくても痛みが取れたり、もう数年も注射しなくても自分の足で歩けるよというのが実際目の当たりして、こういうものもあるんだなってちょっと最初のショッキングな印象ですよね。そこから再生医療にハマっていたという感じですね。
【ちんさん】
今までの医療と違って、再生医療ってすごく可能性があるなと思って。
例えば、今までだと年老いて関節が悪くなってくると、いかに悪くならないように進行を遅らせるとか、そういった観点だったのが、自分の細胞を使ってもう一度回復させるって言うところに、僕は可能性を感じたんです。
僕も脊髄損傷障害を持って、そこに対してアプローチしてもらっていますけど、僕はケガをして10日目に二度と歩けないというふうに宣告されたんですね。
その当時の医療の現場っていうのは、脊髄損傷になったらもうダメだ、治療もどうすることもできないから、残った機能を使ってなんとか社会復帰できるように頑張ろうと、言われた。今回再生医療で、もしもう一度歩けるとか、もし立てるという希望があるだけでも、その先の生活を頑張ってみようかなって気になる。
僕自身はそのあたりにすごく再生医療の可能性を感じていて、今回関わらせてもらったのは嬉しいなと思っています。
それこそ、脊髄損傷の人に対してどういった点に今後可能性があるのかなと少しお聞きできればと思います。
【Dr.サカモト】
そうですね、可能性ですよね。
神経の方が動かなくても、見た目的には動かなくても、実は生きている部分ってあると思うんですね。
そこを少しでも再生医療で、筋肉の方の連動というか神経から筋肉に行く連動が現れてくれば、そこでリハビリとか必要かもしれませんけれど、ちょっとずつ筋肉をつけていけば、できることが一個ずつ増えていくと思いますね。そこを再生医療でどれだけすれば、そこまで回復できるのか、ちょっと弱ったところが強くなるのかというのはまだまだ課題ですけど可能性はあると思います。
【ちんさん】
単純に再生医療だけをするって言うだけじゃなくて、リハビリをするっているのも大事になってくる?
【Dr.サカモト】
そうです。
今もずっと毎日先ほど聞いたらリハビリとかも、やられていると思いますけども、今残っている機能を維持されているのはもちろんのことで、再生医療した後も、起きたところをきちんと起きるようにリハビリしないと筋肉と神経がつながっていかないと思うのですね。
再生医療とリハビリは脊髄損傷だったり、脳卒中ですごく重要です。
【ちんさん】
やっぱりそういったトレーニングやリハビリというのも、ある意味掛け算ですよね。
どちらか一方だけだと効果は10くらいで、2つ合わせると100になるイメージですか?
【Dr.サカモト】
はい。
不思議ですけど、データで幹細胞して、リハビリするともっと効果が高かったよとか、動かなくても他人の手で動かすと、その筋肉の神経が早くつながりやすいというのは明らかにデータで研究にあるので、ぜひともそれは掛け算というか、すごいパワーがあると思いますね。リハビリと再生医療をすることによって。
再生医療するだけではもったいないというか、見えてこないですよね。
【ちんさん】
ある意味、車の領域というかどちらも、回すからこそ、推進、前に行けるということですね。
【Dr.サカモト】
そうですね。
両方絶対必要ですね。
【ちんさん】
ここからは、すごく素朴な疑問ですけれども、やっぱりまだまだ費用の面がやっぱり負担として大きいのかなと思いますけどね。この辺りって、例えば保険適用になる可能性などっていうのは?
【Dr.サカモト】
そうですね、やっぱり患者さんでも再生医療をしたい方とか保険効かないの?とか民間の保険でもいいので火災保険とかそれ入ったところを使えないのか?と聞きます。実際、先進医療だけども、そこの中で再生医療はまだ国では認められてないので、現時点で保険は使えないです。
今後できるかと言われると、そこも本当にわからないところですね。
一部脊髄損傷の方とかでも治験が始まって、保険適用になるっていうのは前から言われていますけど、いつどこで実用化されるか、私たちにはまだ情報は入ってないです。(保険適応に)なれば、たくさんの方が受けられるのでそれを本当ありがたいことになります。
【ちんさん】
いろんな人が、多くの人が再生医療を受けられるようになるまで、もうちょっと先になると思うのですけど、その x デーまでに例えば僕のように脊髄損傷の慢性期の患者がやっておくべきこととかは、なにかありますか?
【Dr.サカモト】
今あるべき機能を落とさないようにする。関節もやっぱり固まらないようにする。なるべく維持していただきたい。
【ちんさん】
要は、その再生医療したときに耐えうる体を持っておくということですね。
【Dr.サカモト】
そうですね。
【ちんさん】
それは大事ですよね。
再生医療で戻したけど、体自体が使いものにならないとすごく悲しいですね。
【Dr.サカモト】
特に、関節は固まってしまうと戻しにくいので、やっぱり毎日1回はフルで動かすようには行ってほしいですね。
【ちんさん】
他人の手を借りてでも関節は動くようにしといた方がいいと?
【Dr.サカモト】
そうですね。そこは大切ですね。
【ちんさん】
最後に、今回細胞の採取を行ったんですけど、今後の流れについて少し、聞けたらと思います。
【Dr.サカモト】
今日は細胞を取られて、明日には細胞加工室に着きます。その後、培養で、だいたい1か月から2か月経て、その後、一度こちらに来られて、点滴やもちろん脊髄の中の局所の注射が適応であれば、もちろんやっていくという流れですね。
コースとしては3回。とりあえず注射の方をしようと思っているので、間隔は大体1か月か2か月ぐらいでやっていく。同時リハビリも、ちょっと頑張っていただいて効果が現れるところをどんどん伸ばしていくという感じですね。
【ちんさん】
僕自身こうやって再生医療と、新しくトレーニングを取り組むことになるんですけど、正直どうなるか分からないっていう不安もあれば、少しも良くなるんじゃないかないっていう希望もやっぱりあるので、何かそのあたりをこのチャンネルで今後も発信できたらと思っています。
【Dr.サカモト】
我々もできることは、サポートしていきたいと思っています。
【ちんさん】
ぜひ宜しくお願いします。
本当に坂本先生ありがとうございます。
【Dr.サカモト】
これからまた頑張って行きましょう。
【ちんさん】
はい。
坂本先生これからもどうぞよろしくお願いします。
Dr サカモト(坂本貞範)
再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
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