森林浴とは?期待できる効果と安全に楽しむための注意点

公開日:2023.05.17 スタッフ ブログ 豆知識 健康

森林浴とは、森の景色や香り、音に触れながら心身を休める過ごし方です。

木々の香りや鳥の声、緑の景色に触れることで、ストレス軽減や気分転換につながります。

本記事では、森林浴の意味や期待できる効果、具体的な楽しみ方、安全に過ごすための注意点を解説します。週末の過ごし方や健康習慣の見直しを考えている方は、気軽に取り入れられる方法から試してみてください。

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森林浴とは「自然豊かな森で心と体をリラックスさせる健康法」

森林浴とは、自然豊かな森の中で五感を使い、心身をリラックスさせる健康法です。

林野庁は1982年、温泉浴や海水浴、日光浴になぞらえて、気軽に森へ親しむ方法として「森林浴」を提唱しました。現在では日本国内だけでなく、「Shinrin-yoku」という言葉で海外にも広がっています。

森林浴で大切なのは、ただ森の中を歩くだけではありません。

以下のように、視覚・聴覚・嗅覚・触覚を通して自然を味わうことが基本です。

  • 木々の緑を見る
  • 鳥の声や葉の揺れる音を聞く
  • 森の香りを感じる
  • 風や木肌に触れる

森林には樹木が放つ「フィトンチッド」と呼ばれる成分が含まれています。フィトンチッドは、樹木が自らを守るために放出する芳香成分です。

森の中で感じる清々しい香りにも関係しており、自然の景色や音、香りに包まれることで、緊張がゆるみ、気分を落ち着かせる働きが期待されています。

森林浴の効果とは?

森林浴は、森の香りや音、木々の景色に触れることで、心身をゆるめる健康法の一つです。

ここからは、森林浴で期待される主な効果を、フィトンチッドやストレス、自律神経、免疫機能との関係から見ていきましょう。

フィトンチッドによって心身がリラックスする

森林浴で心身が落ち着きやすい理由の一つが、樹木が放つ「フィトンチッド」です。

日本全国24か所の森林で実施されたフィールド実験では、都市環境と比べて、森林にいるときのストレス指標や自律神経の働きに変化が見られました。(文献1

ストレスホルモンの一種である「唾液中コルチゾール」は、次のように低下しています。

  • 森林を眺めた後:13.4%低下
  • 森林を歩いた後:15.8%低下

また、自律神経の指標にも変化がありました。

副交感神経活動の指標である「HF」は、次のように増加しています。

  • 森林を眺めた場合:56.1%増加
  • 森林を歩いた場合:102.0%増加

一方、交感神経活動の指標である「LF/HF」は、以下のように低下しました。

  • 森林を眺めた場合:18.0%低下
  • 森林を歩いた場合:19.4%低下

これらの結果から、森林の香りや景色に触れる時間は、体を休ませる方向へ働きかける可能性があると考えられます。

ストレスを解消してくれる

森林浴は、ストレスや不安を和らげる時間としても役立ちます。

日本24か所の森林で男性大学生280人を対象にした研究では、森林を歩く・眺めることで、都市環境より唾液中コルチゾールや脈拍、血圧が低くなり、緊張・抑うつ・怒り・疲労・混乱の低下も示されました。(文献1

また、38人を対象にした研究では、50分の森林歩行によりポジティブ感情が増え、ネガティブ感情や不安、知覚ストレスが低下しています。(文献2

さらに、自然の中で運動するグリーンエクササイズを分析した研究でも、自己肯定感や気分に良い変化が報告されています。(文献3

免疫力の向上が期待できる

森林浴は、免疫機能との関係も研究されています。

林野庁の調査では、森林環境下で運動を行うことにより、NK細胞活性が有意に高まったと報告しています。(文献4

NK細胞とは白血球の一種で、がん細胞やウイルスに感染した細胞などを攻撃する免疫細胞です。

また、日本24か所の森林で男性大学生280人を対象にした研究では、森林浴によるコルチゾール低下や自律神経の変化に加え、ストレスホルモンの低下がNK細胞活性の上昇に一部関与する可能性も示しています。(文献1

ただし、森林浴だけで病気を防げるわけではありません。

睡眠や食事、運動などの生活習慣を整えながら、週末の散策や短時間の森林浴を健康づくりの一部として取り入れることをご検討ください。

なお、当院「リペアセルクリニック」では、健康促進やがん予防を目的として免疫力の向上を図る「免疫細胞療法」を行っております。詳しくは、以下のページをご覧ください。

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森林浴は何をする?

森林浴と聞くと、森の中を長時間歩くイメージを持つ方もいるかもしれません。

実際には、散策や植物の観察、写真撮影、軽い運動など、自分に合った過ごし方で自然を感じることが森林浴につながります。

森の中で何をすれば良いか迷う方は、以下の楽しみ方を参考にしてみてください。

森の中を散策する

森林浴の代表的な楽しみ方が、森の中をゆっくり散策することです。

速く歩く必要はなく、木々の緑や鳥の声、土の香りを感じながら、自分のペースで歩きましょう。

38人を対象にした研究では、50分の森林歩行によりポジティブ感情が増え、不安や知覚ストレスが低下したと報告されています。(文献2

また、自然の中で行う運動を分析した研究では、短時間でも自己肯定感や気分に良い変化が見られました。(文献3

仕事や家事で頭がいっぱいのときは、スマートフォンをしまい、足元や周囲の景色に意識を向けるだけでも気分転換になります。

疲れやすい方は、短い距離から森の中を散策してみましょう。

動物や植物を探して観察する

森の中で動物や植物を観察することも、森林浴の楽しみ方の一つです。

歩くことだけに集中せず、以下のような自然の変化に目を向けてみましょう。

  • 木の葉の形
  • 花の色
  • 鳥の鳴き声
  • 昆虫の動き
  • 季節ごとの植物の変化

普段の生活では気づきにくい自然の表情を感じられます。

ただし、動植物に不用意に触れるのは避けてください。

かぶれや虫刺されの原因になる場合があるため、距離を保って観察を楽しむことが大切です。

絵を描いたり、写真を撮ったりする

森の景色を絵や写真に残す過ごし方も、森林浴に向いています。

たとえば、以下のようなものに目を向けると、自然を細かく観察するきっかけになります。

  • 木漏れ日
  • 苔の緑
  • 季節の花
  • 木の幹の模様
  • 川や池の水面

絵の上手さや写真の出来栄えにこだわる必要はありません。気になった景色を見つけて立ち止まるだけでも、視覚を使って森を味わう時間になります。

撮影するときは、通路をふさいだり、植物を踏み荒らしたりしないよう注意しましょう。自然を傷つけずに楽しむ姿勢も、森林浴を心地よく続けるために大切です。

スポーツを楽しむ

森の中では、軽いスポーツを楽しむこともできます。

森林浴と相性が良いのは、呼吸を整えながら行える運動です。

  • ウォーキング
  • ヨガ
  • ストレッチ
  • 軽い体操
  • 深呼吸を取り入れた運動

ただし、激しい運動は森林浴にはあまり適していません。汗をかくほど無理に動くより、周囲の景色や音を感じられる程度の運動から始めましょう。

ゴミ拾いをする

森を歩きながらゴミ拾いをすることも、森林浴の過ごし方の一つです。

足元に落ちている空き缶や紙くずを拾うことで、自然を観察しながら環境を守る行動にもつながります。散策だけでは物足りない方でも、目的を持って歩くことで、森の中で過ごす時間を楽しみやすくなるでしょう。

ただし、以下のものには素手で触れないようにしてください。

  • 割れたガラス
  • 金属片
  • 注射器や薬品類
  • 正体のわからないもの
  • 動物の死骸やフン

軍手やトング、ゴミ袋を用意し、危険を感じる場所には近づかないことが大切です。

のんびり過ごす

森林浴では、何かをしようとせず、のんびり過ごすだけでも自然を感じられます。

たとえば、以下の過ごし方も森林浴の一部です。

  • ベンチに座って木々を眺める
  • 川の音に耳を傾ける
  • 深呼吸しながら森の香りを味わう
  • 木陰で休憩する
  • 空や雲の動きを眺める

ただし、長時間同じ場所にいると、体が冷えたり、虫に刺されたりすることがあります。

季節に合った服装を選び、休憩場所の安全も確認しておきましょう。

医学的・科学的エビデンスに基づいた「森林セラピー」という森林浴のやり方

森林セラピーとは、森林浴の心地よさを医学的・科学的な根拠に基づいて活用する取り組みです。

一般的な森林浴が自由に森を楽しむ方法であるのに対し、森林セラピーでは、効果が確認された「森林セラピー基地」や「森林セラピーロード」などを利用します。

森林セラピーでは、以下の方法を組み合わせ、五感を使いながら気分を落ち着かせることを目的としています。

  • 森林ウォーキング
  • 呼吸法
  • 自然観察
  • ストレッチ
  • ガイド付きの散策

日本24か所の森林で男性大学生280人を対象に行ったフィールド実験では、森林を歩く・眺めることで、都市環境より唾液中コルチゾールや脈拍、血圧が低く、副交感神経活動が高い結果が示されました。(文献1

ただし、森林セラピーは医療行為ではありません。気になる症状や体調不良が続く場合は、医療機関で相談しましょう。

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森林浴を安全に楽しむためのポイント

森林浴は身近に始められる一方で、森や公園には虫刺され、転倒、天候の変化などの注意点もあります。

心地よく過ごすためにも服装や持ち物、歩く場所など、森林浴を安全に楽しむためのポイントを確認しておきましょう。

しっかり事前準備する

森林浴を楽しむ前に、天候や行き先の環境を確認しておきましょう。

森の中は街中より気温が低く、足元がぬかるんでいる場合もあります。急な天候の変化に備えて、以下の持ち物を準備しておくと安心です。

  • 飲み物
  • タオル
  • 虫よけ
  • 雨具
  • 帽子
  • モバイルバッテリー
  • 絆創膏などの簡単な救急用品

スマートフォンの充電を確認し、帰りの交通手段も事前に調べておきましょう。

また、体調がすぐれない日は無理をせず、短時間の散策にとどめてください。

肌を露出しない服装を選ぶ

森林浴では、肌の露出をできるだけ控えた服装を選びましょう。

森や公園には、蚊・ブヨ・ハチなどの虫がいる場合があります。草木に触れてかぶれることもあるため、長袖・長ズボンを着用すると安心です。

服装や靴は、以下を目安にしてください。

  • 長袖
  • 長ズボン
  • 帽子
  • 歩きやすいスニーカー
  • トレッキングシューズ
  • 通気性の良い服

サンダルやヒールのある靴は、転倒やケガにつながるおそれがあります。

夏場は暑さ対策も必要です。通気性に優れた服を選び、帽子や飲み物を用意して、虫刺されや熱中症のリスクを減らしましょう。

足場の悪い場所へ行かない

森林浴では、足場の悪い場所へ無理に入らないようにしてください。

森の中には、以下のような危険な場所があります。

  • ぬかるみ
  • 木の根
  • 石の多い道
  • 急な斜面
  • 落ち葉で隠れた段差

景色に気を取られて歩くと、つまずきや転倒につながる場合があります。できるだけ、整備された遊歩道や公園内の散策路を選びましょう。

とくに雨上がりは、地面が滑りやすくなっています。歩きにくさを感じたら無理に進まず、早めに引き返してください。

まとめ|森林浴で心身をリフレッシュしよう

森林浴とは、森の中で五感を使いながら心と体をリラックスさせる健康法です。

木々の香りや景色、鳥の声に触れることで、ストレス軽減や気分転換につながる可能性があります。

散策や植物観察、写真撮影、軽い運動など、楽しみ方はさまざまです。服装や足元の安全に気を配りながら、まずは近くの森や自然の多い公園で無理なく始めてみましょう

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森林浴に関するよくある質問

森林浴の発祥の地が日本なのは本当?

森林浴は、日本で生まれた考え方です。林野庁が1982年に「森林浴」を提唱したことから広まり、現在では「Shinrin-yoku」として海外でも紹介されています。

日本は森林が多く、古くから山や森に親しむ文化もありました。森林浴は、特別な道具を使うものではなく、森の空気や香り、景色を五感で味わう過ごし方として発展してきた健康法です。

東京でも森林浴できますか?

東京でも森林浴はできます。

奥多摩地区や秋川渓谷、高尾山などは、都心から日帰りで行きやすい自然豊かな場所です。街中で短時間だけ自然に触れたい場合は、明治神宮の「鎮守の森」も候補になります。

遠くの山へ行く時間がない方でも、緑の多い公園や散策路を選べば、木々の景色や音、香りを感じながら森林浴を楽しめます。

森林浴にデメリットはありますか?

森林浴そのものにデメリットがあるわけではありませんが、森や自然の多い場所では虫刺されや転倒、ケガに注意が必要です。

肌の露出が多い服装で草木の多い場所に入ると、虫に刺されたり、植物に触れてかぶれたりする危険があります。また、雨上がりの道や木の根が多い道は滑りやすいため、無理に進まないようにしましょう。

長袖・長ズボン、歩きやすい靴、飲み物、虫よけなどを準備しておくと安心です。

参考文献

(文献1)
The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan|PMC/National Library of Medicine

(文献2)
Walking Green: Developing an Evidence Base for Nature Prescriptions|PMC/National Library of Medicine

(文献3)
What is the best dose of nature and green exercise for improving mental health? A multi-study analysis|ACS Publications

(文献4)
森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査報告書(要旨)|林野庁