ビタミンD不足は疲れやすさの原因に。症状や正しい摂取方法を解説

公開日:2025.12.11 スタッフ ブログ 健康 カラダの仕組み 豆知識

「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「最近なんだか体がだるい」と感じていないでしょうか。その疲れやすさの原因の一つとして、ビタミンD不足が関係している可能性があります。

ビタミンDは、エネルギー代謝や免疫機能、さらにはメンタル面にまで関わる重要な栄養素です。しかし、ビタミンDが不足すると慢性的な疲労感や気分の落ち込みなど、さまざまな不調を引き起こす場合があります。

今回の記事では、ビタミンDと疲れの関係性や不足したときに起こる症状、効率的な摂取方法から過剰摂取の注意点まで詳しく解説します。日々の疲れやすさが気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

疲れの原因はビタミン不足?

「最近疲れやすいな……」と感じている方のなかには、睡眠不足や仕事のストレスが原因だと思い込んでいるケースも多いのではないでしょうか。もちろんそれらも疲労の原因になりますが、実はビタミンDの不足が慢性的な疲れに関わっている場合があります。

ビタミンDは体内のさまざまな機能に関与しており、不足すると疲労感だけでなく、気分の落ち込みや免疫力の低下といった不調にもつながりかねません。

また、日本人の多くがビタミンD不足の状態にあるといわれており、東京都内の研究では対象者の約98%が血中ビタミンD濃度の基準値(30ng/mL)に達していなかったという報告もあります。(文献1

「たかが疲れ」と見過ごさず、ビタミンD不足を疑う視点が、疲労改善の第一歩につながります。

ビタミンDとは?

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、体内でカルシウムやリンの吸収を促進し、骨や歯の形成を助ける栄養素です。食べ物から摂取するほか、皮膚が紫外線に当たることで体内でも合成される特徴があります。

ビタミンDが体内で果たす主な役割は、以下の3つです。

役割 内容
骨の健康維持 カルシウムの吸収を促進し、骨密度を保つことで骨粗しょう症の予防に貢献する
免疫機能の調整 免疫細胞に働きかけ、ウイルスや細菌への防御機能をサポートする
筋力・メンタルの安定 筋肉の収縮やセロトニンの生成に関与し、筋力維持と精神面の安定を支える

このように、ビタミンDは骨だけでなく免疫や精神面まで幅広く関わっており、体全体の健康を支える上で欠かせない栄養素です。

ビタミンDが不足すると具体的にどうなる?

ビタミンDが不足した状態が続くと、体にはさまざまな不調が現れます。ここでは、とくに注意したい以下3つの影響について解説します。

それぞれの症状について、順番に見ていきましょう。

疲れやすさや慢性的な倦怠感を引き起こす

ビタミンDは筋肉の機能維持に関わっています。不足すると筋力の低下が生じ、慢性的な疲労感や倦怠感につながることがあります

「十分に睡眠を取っているのに朝から体が重い」「休んでも疲れが抜けない」という方は、ビタミンD不足が影響している可能性を考えてみてください。

とくにデスクワーク中心で日光を浴びる機会が少ない方は、気づかないうちにビタミンD不足が進んでいることがあります。

気分の落ち込みや意欲低下などメンタルにも影響する

ビタミンDは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの生成に関与しています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や前向きな気持ちを維持するために重要な役割を果たしています。

ビタミンDが不足すると、セロトニンの分泌が低下し、気分の落ち込みや意欲の低下、イライラ感が生じやすくなります。

とくに日照時間が短くなる冬場に気分が沈みがちになる「冬季うつ」は、ビタミンD不足との関連が指摘されています。

骨粗しょう症や免疫力低下のリスクを高める

ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収効率が低下し、骨密度の低下を招きます。この状態が長く続くと、骨がもろくなる骨粗しょう症のリスクが高まります。とくに女性は閉経後にホルモンバランスの変化で骨密度が下がりやすいため、注意が必要です。

また、ビタミンDには免疫機能を調整する働きもあります。不足すると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるほか、花粉症などのアレルギー症状が悪化する可能性もあります。

ビタミンDを効率的に生成・摂取する方法

ビタミンDの不足を解消するためには、以下3つのアプローチを上手に組み合わせることが大切です。

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

日光を浴びる

ビタミンDは皮膚が紫外線(UV-B)に当たることで体内合成されます。夏場は1日10〜15分程度、冬場は30〜40分程度、手や顔に日光を当てるだけでも十分です。

ただし、以下の条件ではビタミンDが生成されにくくなるため注意しましょう。

  • 窓越しの日光浴:ガラスはUV-Bを遮断するため、ほとんど合成されない
  • 日焼け止めの使用:SPF30以上で合成量が大幅に減少する
  • 肌の色:メラニン色素が多い方は生成効率が下がる
  • 季節・地域:冬場や高緯度地域では紫外線量が少ない
  • 加齢:皮膚でのビタミンD合成能力が低下する

これらの条件に当てはまる方は、食事やサプリメントからの補給をとくに意識することが大切です。

ビタミンDが豊富な食品を食べる

ビタミンDを多く含む食品は主に魚類、きのこ類、卵類です。

以下の表で代表的な食品の含有量を確認してみましょう。

【魚類】

食品名 1食分の目安量 ビタミンD含有量(目安)
紅鮭(焼き) 1切れ(80g) 約30.7μg
まいわし(生) 1尾(80g) 約25.6μg
さんま(焼き) 1尾(100g) 約13.1μg
さば(水煮缶) 1/2缶(100g) 約11.0μg
しらす干し 大さじ2(10g) 約6.1μg

【きのこ類】

食品名 1食分の目安量 ビタミンD含有量(目安)
きくらげ(乾燥) 5g 約8.8μg
まいたけ(生) 1パック(100g) 約4.9μg
干ししいたけ 2個(6g) 約1.0μg

【その他】

食品名 1食分の目安量 ビタミンD含有量(目安)
卵黄 2個分(34g) 約4.1μg
卵(全卵) 1個(60g) 約2.3μg

文献2

なお、1日の目安量は18歳以上で9.0μgです。(文献3

たとえば、紅鮭(焼き)なら1切れ食べるだけで1日に必要な量を十分にカバーできるため、魚はビタミンD補給にとても効率的な食品といえます。

ビタミンDは、食事からの摂取で過剰症になることはほとんどないため、魚を週2〜3回取り入れることを意識してみてください。

サプリメントを活用する

日光浴や食事だけではビタミンDが不足しがちな場合は、サプリメントの活用も選択肢の一つです。

摂取基準の目安は以下のとおりです。

項目 数値
1日の目安量 9.0μg
耐容上限量 100μg/日

文献3

なお、サプリメントの製品によってはIU(国際単位)で表記されている場合があります。1μg=40IUを目安に換算して確認するようにしましょう。

また、ビタミンDは脂溶性で体内に蓄積されやすいため、過剰摂取には注意が必要です。摂りすぎると高カルシウム血症を引き起こし、便秘や吐き気、腎機能障害などの副作用が現れることがあります。

用量を守り、持病がある方は医師に相談の上で取り入れましょう。

疲れが取れないときはビタミンD以外の栄養素もチェック

慢性的な疲れの原因はビタミンDだけとは限りません。ほかの栄養素の不足や、栄養面では解決しない疾患が隠れている場合もあります。

ここでは、以下のチェック項目について解説します。

疲労の原因を多角的に見ていき、慢性的な疲れの改善を目指しましょう。

ビタミンB群や鉄分の不足も疲労の原因になる

ビタミンB群(B1、B2、B6、B12など)は、食べ物からエネルギーを作り出す代謝に欠かせない栄養素です。水溶性で体内に蓄えられにくいため、毎日の食事からこまめに摂取する必要があります

また、鉄分は血液中のヘモグロビンの構成要素として全身に酸素を届ける役割を担っており、不足すると疲労感や息切れにつながります。

とくに月経のある女性は鉄分不足になりやすいため、レバーや赤身肉などを意識して取り入れましょう。

栄養補給で改善しない場合は医療機関を受診する

食事やサプリメントで栄養面を改善しても疲れが続く場合は、別の原因が隠れている可能性があります

たとえば、更年期障害ではホルモンバランスの乱れから強い倦怠感が生じます。また、甲状腺機能低下症では代謝が落ちて慢性的な疲労感を引き起こし、慢性疲労症候群では強い倦怠感が長期間続くこともあります。

栄養改善でも疲れが取れない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ|ビタミンD不足による疲れを解消しよう

今回の記事では、ビタミンDと疲れの関係や不足時の症状、効率的な摂取方法から注意点を解説しました。ビタミンD不足を解消するためには、以下の3つを日常に取り入れましょう。

  • 適度な日光浴で体内合成を促す
  • 魚やきのこ、卵などの食品から積極的に摂取する
  • 必要に応じてサプリメントで補う

それでも疲れが改善しない場合は、ほかの栄養素の不足や病気が原因の可能性もあります。自己判断で放置せず、医療機関で相談してみてください。

ビタミンDと疲れに関するよくある質問

ビタミンDを摂ると便秘になる?

ビタミンDそのものが直接便秘を引き起こすわけではありません。ただし、サプリメントなどでビタミンDを過剰に摂取すると、高カルシウム血症を起こすことがあり、その症状の一つとして便秘が現れる場合があります。

なお、ビタミンDは1日の耐容上限量(100μg)を超えなければ、基本的に心配は少ないとされています。

疲労回復に良いビタミン剤はほかにもある?

疲労回復を目的としたビタミン剤には、エネルギー代謝を助けるビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンC、酸素運搬に必要な鉄分を含む製品などがあります。

ただし、総合ビタミン剤を選ぶ際は、自分に不足している栄養素が含まれているかを確認することが大切です。

どの栄養素が足りていないかわからない場合は、医療機関での確認が確実です。

参考文献

(文献1)
98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当 国内初の基準値を公表、植物由来のビタミンDはほぼ検出されず|学校法人 慈恵大学

(文献2)
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|文部科学省

(文献3)
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書|厚生労働省