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- ひざ
- 半月板損傷
- スポーツ医療
半月板損傷とは、膝が痛む!その原因と症状、治療法 半月板というのは膝関節に位置する大腿骨と脛骨間に存在する線維軟骨を意味します。一般的には、膝部分の内側と外側のそれぞれに存在し、主には膝にかかる荷重や負担を分散して物理的な衝撃を吸収する役割を有しています。 そして、半月板損傷という病気は膝関節内にある半月板に亀裂が生じる、あるいは組織が欠損する状態であり、若年者から高齢者まで発症し慢性化すると変形性膝関節症を引き起こすことが懸念されていますので、本疾患に罹患した際には適切に治療することが重要です。 今回は、そのような半月板損傷という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 1.半月板損傷の原因 近年では、積極的にスポーツに取り組む人とそうでない場合の二極化傾向が指摘される背景があり、通常の運動不足に伴う運動能力の低下のみならず、過度なエクササイズによって「スポーツ傷害」を引き起こすリスクも危惧されています。 一般的に、スポーツや運動による膝の外傷には、大きく分類すると骨折、靱帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷がメジャーな疾患となっていますが、このうち最も頻繁にみられるのが半月板損傷と言っても過言ではありません。 また、半月板損傷は運動時の怪我から発症する場合だけでなく、加齢により傷つきやすくなっている半月板組織に僅かな外力が加重されて損傷し変性断裂が引き起こされるケースが存在します。 外傷による半月板損傷では、急なターンなどスポーツ中に膝部を傷めて膝前十字靱帯の断裂に合併して引き起こされることもありますし、特に外側半月板損傷は内側に比べて発症率は少ないと言われているものの若年者でよく罹患すると考えられています。 外傷とはまったく関係なく発症するタイプには生まれつき半月組織が大きく分厚いのが特徴的な円板状半月の症例で半月板損傷を認める場合もあります。 2.半月板損傷の症状 半月板が仮に損傷すると膝部に強い痛みが生じて運動する際や膝を屈曲伸展するときに膝に引っかかり感を覚えることがありますし、症状が進行した場合には膝に関節液が貯留して急激に膝が曲げ伸ばしできなくなるロッキングという状態に陥ります。 万が一、半月板が損傷すると激痛のために歩行できなくなることも経験されますし、関節の内部で強い炎症を惹起して水が溜まって膝部分が顕著に腫れあがる、あるいは膝内部の関節区域で出血が引き起こされて血液が貯留することも考えられます。 3.半月板損傷の検査 仮に本疾患が疑われる際には医療機関で整形外科の医師などが用手的に半月板部分に外的ストレスをかけることで、痛み症状などを再現させる診察が施行されることも多いです。 理学的所見などに基づいて積極的に半月板損傷を疑うときには、追加で半月板損傷に伴う関節症変化の有無を評価できるレントゲン検査を始めとする画像検査が実践されます。 また、核磁気共鳴装置を用いて行うMRI検査の場合は、半月板そのものが撮影されないレントゲン写真とは異なって、半月板自体を写し出せるので半月板損傷の診断率が非常に高く有用であると考えられています。 MRI検査を施行することによって半月板に縦断裂や水平断裂、横断裂、弁状断裂を始めとしてどのような組織損傷が起こっているか把握することができますし、半月板の変性状態を推察することにも貢献します。 4.半月板損傷の治療 半月板損傷に対する主な治療策としては、大まかに言うと保存治療と手術療法があります。保存療法とは、一般的に安静を保持する、抗炎症薬などの薬物を内服する、リハビリテーションなどを行うことを意味します。 仮に、これらの保存療法を実践してみても、膝部の痛み、引っかかり感、ロッキングなどの症状が継続して認められる場合には手術療法を検討します。 手術療法には、半月板のなかで損傷した部分を切り取る切除術、ならびに損傷した部分を上手い具合に縫い合わせる縫合術のふたつのタイプが挙げられ、通常では関節鏡を駆使した鏡視下手術を施行することが主流です。 実際には、半月板手術例のうち約9割は切除術が選択されていますが、この方法では膝関節の衝撃を吸収して膝関節の安定性を保持する役割を持つ半月板の機能そのものが失われるため、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクが高率であることが指摘されています。 したがって、特に近年では可能な限り縫合術を選んで半月板を出来る限り温存するという考え方がメジャーとなっています。 まとめ・半月板損傷とは、膝が痛む!その原因と症状、治療法 今回は半月板損傷とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 半月板という組織は膝関節の内部に存在している軟骨様の構造物であり、内側と外側に各々ひとつずつあり、主な役割としては関節に加わる体重の負荷を分散させて関節部を安定に保つ働きを担っています。 半月板には、軟骨部に荷重される物理的なストレスを軽減させる重要な役割があるために現在では手術療法を選択した際には出来る限り半月板を温存して残す治療方法が重要視されています。 以上、半月板損傷とは、その原因と症状、治療法についてご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S049 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療で半月版損傷を治療する 半月板損傷の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院も不要で症状をする
2022.03.10 -
- ひざ
- オスグッドシュラッター病
- スポーツ医療
オスグッド・シュラッター病で膝が痛くなる原因とその治療法 オスグッド・シュラッター病という病気をご存知でしょうか? 普段あまり聞き慣れないかも病名ですが、脛骨結節部という膝の皿(膝蓋骨)の下に存在している骨が飛び出してくることで膝痛が引き起こされる病気です。 この疾患は、患部が赤く腫れあがる、あるいは熱感を認めることもあって、傾向的には成長期に該当する少年に発症しやすいスポーツ障害のひとつと言われています。 特に、サッカーや陸上、バスケットボールなどの競技において、跳ねる行為やボールを蹴る動作を頻繁に必要とされる場合によく遭遇する病気と考えられています。 今回は、そのようなオスグッド・シュラッター病という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 オスグッド・シュラッター病の原因 オスグッド・シュラッター病が引き起こされる原因は、膝を伸ばす力が繰り返されることによって脛骨結節部分が引っ張られて成長期に認められる膝軟骨部が剥離することと伝えられています。 オスグッド-シュラッター病という疾患は大腿四頭筋の過剰使用によるスポーツ障害の一種とされており、骨が軟骨から急激に成長する時期である概ね10歳から15歳頃の成長期における男児に多い病気であると言われています。 もともと、膝の曲げ伸ばし運動は太ももにある大腿四頭筋という筋肉によって常日頃から行われており、この筋肉が膝蓋腱を介して脛骨結節を引っ張っているため、跳躍運動やボールなどを蹴る動作で脛骨結節に過剰な負荷がかかると本疾患を発症しやすいと言えます。 一般的には、成長期が過ぎてしまえば自然と症状が軽快する病気であり、疼痛症状が改善すればスポーツや運動行為を再開することが出来ます。 オスグッド・シュラッター病の症状 オスグッド・シュラッター病における主な症状としては、「脛骨結節部の隆起と痛みや腫れ、あるいは患部が熱感」を持つことなどが挙げられます。 通常であれば、それらの症状は片脚にのみ認められることが多く、痛み症状は膝を動かすときに出現しやすく、休息している際には緩和されていることが知られています。 成長期においては、骨成長スピードに周囲の筋肉が追いつけずにアンバランスになっている状態であり、筋肉自体に強度と柔軟性が乏しいためにスポーツなどを過度に実践すると、大腿四頭筋から繋がっている脛骨粗面部に負荷がかかりやすくなります。 その結果として、膝軟骨が一部剥離するなど物理的な刺激が生じて、かつ成長期の脛骨結節部は通常よりも柔らかい構造であるがゆえに外的刺激がより過重されて、患部の熱感や腫脹などに伴って疼痛症状を引き起こされやすいと考えられます。 オスグッド・シュラッター病の検査 オスグッド・シュラッター病の診断は、基本的には医師による診察と症状、あるいは画像検査などに基づいて評価されます。 この疾患では特徴的な症状を捉えると同時に、患部の隆起所見や圧痛の有無などによって診断されますし、より確実な診断に繋げるためにX線レントゲン検査を行って脛骨結節の剥離があるかどうかを確認する作業が行われます。 膝部分のX線検査を施行することで、脛骨粗面の腫脹の有無、あるいは剥離破片が形成されているか否かも判断できます。また、必要に応じて超音波検査、CT検査やMRI検査などの画像的評価を追加して実施することも往々にしてあります。 オスグッド・シュラッター病の治療 オスグッド・シュラッター病は成長期に一時的に認められる病気とされており、通常では成長を重ねると共に自然と治癒傾向を示します。 この病気に伴う症状は通常であれば数週間から数カ月後の間に消失することが多く、激しい運動ならびに深く膝を屈伸する動作などを避けると症状の軽減に繋がります。 本疾患による症状の悪化を回避するために、大腿四頭筋のストレッチング、あるいは患部のアイシングなどを実践すると同時に、万が一疼痛症状がひどい際には鎮痛剤の服用や湿布を貼付することも考えられます。 症状が改善されればスポーツ活動や運動動作を再開することも可能ですが、スポーツする前後に出来る限りストレッチングやアイスマッサージをする、そして膝にベルトなど固定具を装着するなどの対策を講じると有用ですので心がけましょう。 まとめ・オスグッド・シュラッター病で膝が痛くなる原因とその治療法 今回はオスグッド・シュラッター病とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 オスグッド・シュラッター病とは、主に成長期の子どもたちが膝前下部に痛みや熱感を自覚する疾患であり、激しい運動を繰り返すことで発症しやすいと考えられています。 スポーツ活動中に万が一にも膝部に疼痛を認める際には我慢せずに安静にして休息することが重要であり、症状改善後には運動前後にウォーミングアップやクーリングダウンを確実に実践することで、スポーツ障害の発生を回避できると考えられます。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S048 監修:医師 加藤 秀一 ▼ スポーツ外傷(オスグッド・シュラッター病、筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
2022.03.10 -
- 手
- スポーツ医療
腱鞘炎とは、その種類と原因、治療と予防法について 腱鞘炎の痛みで「お箸も持てない」「ドアノブもつかめない」などと、悩んでいる人はいませんか?腱鞘炎になると手首や手の指に激痛が走り、日常生活にも支障を来たすようになります。このまま痛みが続いたらどうしようかと心配になりますよね。 しかし、腱鞘炎は適切に対応すれば、早期の回復も可能です。ここでは腱鞘炎の種類と症状、原因と予防について解説します。 腱鞘炎の種類と原因 腱鞘炎は、指を動かし過ぎるために、腱の通り道にあるトンネル状の腱鞘が炎症のために厚くなることや、腱鞘の中を通っているロープ状の腱が腫れることで起きます。 以前は楽器の演奏者、ラケットを使う競技、テニスやバドミントン、ゴルフなどのスポーツ選手、作家や重い鍋を振る料理人など一部の人に多く現れるため、職業病とされていました。 ただ、最近では、パソコンやスマホで手指を長時間使用することから一般の人にも増えています。 その他、スーパーなどでレジの操作、子供の抱きおろしなど育児でも起こったり、編み物を頻繁にするなど普段手指をよく使うなど、手を頻繁に使う人に起こりやすい傾向があります。 またホルモン分泌の変化に伴い、妊婦や更年期の女性にもよく見られます。糖尿病やリウマチの患者にも多く生じています。腱鞘炎は痛みが生じるので仕事や日常生活にも支障をきたします。 腱鞘炎の原因(頻繁に繰り返される動作により起こる) ・スポーツ選手:ラケット競技の多い(テニス、バドミントン、ゴルフほか) ・事務:パソコンをはじめとしたキーボードを頻繁に使う職務 ・料理人:中華等で重い鍋を繰り返し使う職務 ・育児:乳児の抱きおろしなど ・その他:作家(文筆業)、一般人(スマホを頻繁に使う) ・ホルモンの関係で妊婦や更年期の女性に多い ・糖尿病やリウマチへの罹患 腱鞘炎の種類 腱鞘炎は、2種類に分けられます。一つは、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と言われるものと、指に症状が現れる「ばね指」というものです。 ドケルバン病は、狭窄性腱鞘炎といい、親指側の手首の腫れや力が入らなくなるという症状が主な特徴です。これは指と手首を繋いでいる2本の腱と、その2本の腱を覆ってトンネル状になっている腱鞘といわれる部分が炎症を起こして痛みが生じます。 また圧倒的に女性に多いという特徴があります。 ばね指は、指に現れる腱鞘炎です。指を曲げたり、伸ばす場合に痛みが出たり、動きにくくなるなどの症状が起こります。これは指の手のひら側にある腱をカバーするように覆っているトンネル状の腱鞘と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。 腱鞘炎が発症すると指を上手く動かせなくなります。症状が進むと急に指が伸びるようなバネ現象が起こる特徴があるため、ばね指と言われています。 いずれの症状も仕事や日常の動作が関係しているので、慢性化することもあり、中には腱鞘炎が原因で、やむを得ず転職するはめになったという方もいます。 手首や指に痛みや違和感を感じたら放置せずに、安静にし、それでも痛みなどが残る場合は、軽いうちに治すよう整形外科等の病院、医療機関を受診してください。 腱鞘炎の種類 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) 手首に起こる、女性に多い ばね指 指に起こる 腱鞘炎の治療法 腱鞘炎の原因は手の使いすぎですから、軽症であれば一定期間手の使用を控えるようにしていれば治ることがあります。手に違和感がある場合は、湿布で冷やすことや、テーピングにも効果が期待できます。 保存的治療 まずは、親指や手首を休ませることです。添え木を用いて手首を固定し、安静にする場合もあります。湿布で冷やしたり、痛み止め、テーピング、痛み止めの内服などの使用が保存療法的な主な治療法です ステロイド注射トリアムシノロン 投薬治療をしても改善されない場合は、ステロイドの注射をする方法もあります。 手術 腱鞘炎の再発を繰り返し、改善がみられない場合は、手術という選択が必要になる場合もあります。手術は、局所麻酔による日帰り手術が可能です。 手指をよく使う腱鞘炎のリスクが高い職種の方は、日頃から手や指のストレッチや、マッサージなどのケアをしっかり行い予防を行うことが大切でしょう。 腱鞘炎の予防策 腱鞘炎の予防は、日頃からのケアが大事です。腱鞘炎は、手の使い過ぎだけでなく、血行不足でも生じることがあります。その予防策について以下を参照してください。 ・手と手首のストレッチをして血流を良くしましょう > 仕事の前、合間、後に行うことをお勧めします ・手や指、手首に違和感や痛みがある > 熱めのお湯と冷水を交互に30秒ずつ5セット、あたため、冷却を繰り返す ・スマートフォンの操作は、両手で操作する > 片手操作は、親指と手首に負担がかかります 普段から長時間同じ作業を続けないように意識しましょう。 ときどき休憩を挟んで手を休ませることが必要です。作業の前後にストレッチを取り入れるのも有効です。パソコンであれば、強くキーボードを叩かないなどの工夫をしてみることも興亜があります。 そして、症状が軽いうちにケアをして、痛みを長引かせないことが大切です。 痛みが続くようなら病院等、医療機関を受診してください。症状に合わせて塗り薬を使う、炎症を抑えるステロイド薬を注射をする、またリハビリを行うなどの治療方法があります。 それでも改善が見られない場合は手術になることもあります。また、近年は、スポーツ医療の分野でも話題になっている「再生医療」で治療するという方法を検討することもできます。 まとめ・腱鞘炎とは、その種類と原因、治療と予防法について 腱鞘炎は、スポーツをはじめとして手や指を使う職業、そして育児など子供の抱きおろしでも発症します。 一度発症すると治るまでに時間がかかってしまう場合がありますが、治らない疾患ではありません。悪化する前に早めに対応してください。また、手を酷使しないように、定期的に休憩をして手を休ませるなどして予防に努めましょう。 腱鞘炎は手や指を頻繁に使う仕事に起こりやすい症状です。腱鞘炎というものを意識して日頃から予防をすれば避けることができます。治療法については、保存的治療、注射、手術の3つの治療を説明しました。 近年は再生医療による治療を選択することもできます。手術以外の選択肢として、この治療法は、患者さんの負担を抑えることができ、副作用も少ないため、注目を集めている治療方法のひとつです。 慢性化した腱鞘炎の治療としては、薬物療法やリハビリテーション、手術、再生医療など、さまざまな方法があります。痛みや違和感が長く続く場合は、整形外科をはじめ専門の医療機関で相談してください。 以上、腱鞘炎とは、その原因、治療と予防法についてと題してご説明させていただきました。この記事が参考になれば幸いです。 No.S047 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.07 -
- スポーツ医療
筋断裂に注意したい「ふくらはぎ」と、そのリハビリについて 筋断裂はいろいろな部位で起こる可能性がありますが、なかでも起こりやすい部位の「ふくらはぎ」です。筋断裂とは、スポーツなどで急に強い力や、無理な力がかかった際に、筋肉が耐えられなくなって筋線維が損傷、避けたり、破れたりして断裂することです。 筋線維のうち、一部など範囲が限定的な断裂の場合は部分断裂といい「肉離れ」とも言われます。筋断裂が起こると、たとえ部分断裂であってもそれ以上の運動はもちろん動けなくなってり歩くことも困難になります。 ふくらはぎの筋肉は、歩行や走る場合、立っている時の姿勢の安定などに関わります.また、血液を心臓へ戻す役割を果たすことから第2の心臓とも言われている筋肉なのです。そのため、筋断裂を起こすと生活に大きな支障が出てしまいかねません。 今回は、ふくらはぎの筋断裂の症状や原因、再発防止や予防法について紹介してまいります。 ふくらはぎの筋断裂の症状 ふくらはぎの筋断裂の主な症状は、ふくらはぎの痛みや内出血です。ふくらはぎの一部分に凹みが出てくる場合もあります。ふくらはぎの痛みは度合いによって異なります。 安静時や、軽く歩く程度なら問題ないものの、走るときだけ痛いという場合もあれば、歩くだけでも痛い場合もあります。また、重度の場合は安静にしていても痛みを感じる場合があります。 ふくらはぎの筋断裂の主な原因 ふくらはぎの筋断裂の主な原因は、筋力の低下や柔軟性の低下、疲労の蓄積などが挙げられます。 スポーツなど激しい動きの有無にかかわらず、事前にウォーミングアップ目的のストレッチを行ったり、終了時にはクールダウンのスチレッチを十分に行うことが大切です。このような準備が不足すると筋断裂の原因につながります。 また、筋力のバランスや身体の動かし方が悪いことも筋断裂が起こりやすくなる原因になります。そのため、スポーツをしている人はフォームやトレーニング方法を見直すことも必要です。 これはスポーツをしていない人にも当てはまり、普段の姿勢などを見直してみるてはいかがでしょうか。 ふくらはぎの筋断裂の再発防止や予防法 ふくらはぎが筋断裂を起こすと痛みや動きの制限などで悩まされることになるので、再発防止や予防が必要になりますす。特に、スポーツに取り組んでいる人などは、完全に回復しないまま早期復帰したために、再発してしまうことがあるので無理や大丈夫との過信は禁物です。 ふくらはぎの筋断裂の再発防止や予防に効果的なのはストレッチですが、筋肉は色々な方向に向かって付いているため、ストレッチする際は一つの方向にだけ伸ばすのではなく、いろいろな方向へ伸ばしたり、捻りや回転などを加える意識を持ってください。ストレッチは、複数の動きを取り入れましょう。 筋断裂の再発防止と予防 ・激しい動きやスポーツには事前のウォーミングアップと事後のクールダウンを行う ・身体のバランスを整える、正しい姿勢を知る ・身体の柔軟性を高めるストレッチは有効 ・ストレッチは一方向だけでなく、筋肉に合わせた色々な方向へのストレッチを行う 筋断裂が起きたとき、回復に欠かせないのがリハビリです 何故リハビリが必要なのか?どのようなリハビリが必要か?という疑問や質問がある人のために、筋断裂の治療でリハビリをおこなう理由や、リハビリを始めるタイミング、どのようなリハビリをおこなうのかについてご紹介しましょう。 筋断裂の治療でリハビリをおこなう理由 筋断裂の治療でリハビリをおこなう主な目的は、柔軟性と筋力の回復です。筋断裂が起きて筋組織が回復していくなかで、患部とその周囲は徐々に硬くなっていきます。 幹部や周囲が硬くなったまま、これまで通り部位を使用していると、思うように動かすことができなかったり、大きな負荷がかかって筋断裂が再発する危険性もあります。 また、筋断裂が起こると動かせる範囲も制限され、動かせたとしても安静にしておく必要があるため、どうしても筋力が低下してしまいます。 そのため、患部をはじめとした州にも硬くなった部分の柔軟性を改善していくと共に、低下した筋力も改善していかねばなりません。このように、柔軟性と筋力を回復させ、発症前と同じような動きができるよう、そして、再発防止のためにリハビリはとても重要なのです。 筋断裂のリハビリを始めるタイミング 筋断裂のリハビリは、筋断裂を起こしてからいきなり始めるわけではありません。 なぜなら筋断裂が起きると断裂した部分は炎症を起こします。そのため、炎症を起こしている間は安静にして、患部を冷やしたり、圧迫し、血腫が大きくなるのを防ぐなどして、痛みや腫れが軽減していくのを待つことが必要です。 その後、腫れが治まり、痛みが治まるのを待って、ゆっくりと患部を動かしてみます。痛みなくリハビリをおこなえる状態であれば、そこからリハビリを開始することになります。 筋断裂のリハビリ リハビリの内容は医療機関や指導者によって異なりますが、ストレッチと筋力トレーニングが基本となります。ストレッチは、患部が軽く伸びるくらいの強さで、時間をかけて(20秒から30秒くらい)ゆっくりと伸ばしていきます。それを3セットから5セットくらい行います。 筋力トレーニングは、筋力低下を改善するという目的の他にも、患部に刺激を与えることで回復が早まることも期待できます。例えば、筋断裂が起きやすい太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)の筋力トレーニングでは、うつぶせになって足を伸ばした状態で上へ挙げるヒップエクステンションというトレーニングがよくおこなわれます。 このようにリハビリ目的での筋肉トレーニングは有効ですが、こうしたトレーニングは過度に行うべきではなく、その際は専門家の指導の下、行うことが再発の防止につながります。 まとめ・筋断裂が起こりやすい「ふくらはぎ」とリハビリについて ふくらはぎの筋断裂の症状や主な原因、再発防止や予防法について紹介しました。ふくらはぎの筋断裂を起こすと痛みや動きの制限で悩まされることになります。 再発したり、慢性化したりしないようにストレッチなどでウォーミングアップやクールダウンをしっかりおこなうようしましょう。また、もし筋断裂を起こしてしまったときは、適切な治療を受けることが必要です。 筋断裂の治療でおこなわれるリハビリは、筋断裂が回復するまでしっかりとリハビリをおこなうことは大切ですが、回復して、筋断裂を起こす前と同じような生活を送れるようになった場合も、再発防止のため、ストレッチなどを行うなど発症予防をしましょう。 以上、筋断裂に注意したい「ふくらはぎ」と、そのリハビリについて記してまいりました。 最近は、スポーツ医療の分野で、「再生医療」に注目が集まっています。この再生医療についても詳細を知っておき、万一の筋断裂を治療する選択肢の1つとして検討してみられてはいかがでしょうか。 No.S045 監修:医師 加藤 秀一 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
2022.03.03 -
- 肘
- スポーツ医療
野球肘を予防する!ストレッチで選手生命を伸ばす スポーツをする上で気を付けたいのが何といってもケガや故障です。 今回ご説明する「野球肘」は少年野球の選手のうち5人に1人が発症するとされるスポーツ障害の一種です。野球肘は、ボールを投げる動作を繰り返すことで起こります。 特に子供さんが野球チームに入り、ピッチャーの才能があることが分かっても手放しで喜んではいけません。ピッチング、投球のしずぎで肘の故障を起こして結果的に野球を断念…といこともあり得るからです。 せっかくの才能をつぶさないで伸ばしてあげるためにも野球肘には十分注意してあげなければなりません。子供さんからの肘が痛いというサインを見逃さないでください。 日本は、とかく根性論に走りがちです。根性は大切ですが万一、症状が悪化してしまっては本末転倒、選手生命を奪いかねません。そこで野球肘の原因や予防方法を知って是非、選手生命を伸ばす方向で取り組んで頂ければと思うのです。 野球肘とは 野球肘とは、ピッチングなど、ボールを投球する動作が原因で起こる「肘関節の損傷をまとめた呼び方」です。 野球肘|起こる原因 野球肘は、肘に反復して過度な負担がかかることが原因で発症します。野球のボールを投げる動作は、腕を大きく振りかぶった状態から肘の機能を使って力いっぱい投げおろすため、肘への負担が大きな動作となります。この動作を繰り返すことで肘の靱帯や軟骨に大きな負担がかかってしまうのです。 野球肘|種類 野球肘は肘関節のさまざまな部位で起こりますが、痛めた部分によって大きく3種類に分けられます。 野球肘が起こる部位 ・肘の内側の骨である橈骨側の靱帯や軟骨を損傷してしまうもの ・肘の外側の骨である尺骨側の軟骨を損傷してしまうもの ・尺骨自体を損傷してしまうもの 球を投げる動作を分解 肘の内側には骨や靱帯が引き離される方向に力がかかりますが、この引っ張られる力は、関節を痛めやすいため、橈骨側の靭帯は野球肘の起こりやすい部位です。 一方、肘の外側と後ろ側には骨がぶつかり合う方向で力がかかります。そのため、骨自体に損傷を与えてしまうことで発症すると重症化しやすく、注意が必要になります。 野球肘の症状と重症化を防ぐ予防法 野球肘の発症後、その治療は、何よりも安静が第一です。短くても数週間、長いと数年、野球肘と付き合いが続く可能性があります。そのためにも、症状や違和感を感じたら、少しぐらいと我慢してはいけません。 軽症のうちから医療機関を受診し、指導を受けて重症化を防ぐことが必要です。 野球肘|症状 野球肘は、ボールを投げるときの痛み、違和感が代表的な症状です。痛みについては、投げるときのみの場合と、投げた後しばらく痛む場合がありますが、軽症の場合なら、安静にすることで痛みは引きます。 これは良いことのようですが実は、この痛みが引いてしまうこと困りものと言えるのです。 なぜなら、少々痛くても休んたら大丈夫と勘違いしてしまうからです。その結果、治療せず放置し、痛みが継続的に出るようになり、こうなると重症化して治りにくくなります。 無理は禁物ということですが、この部分は本人だけでなく、周りの意識も非常に重要です。肘が痛いという言葉に敏感にならなければなりません。 すでに野球肘の症状がある場合 野球肘の心配がある場合は、初期の段階から医療機関で診察を受けることをお勧めします。野球肘の症状がある場合は、何年も肘の安静を強いられることがないように、重症化を防ぐ必要があります。 まずは投球する回数を減らし、肘を休ませましょう。そして、長くプレーを続けるためには、肘に負担が掛かる投げ方をしていないか指導者を交えての指導が必要です。肘に負担が掛かるような投げ方を改善する必要があります。 治療については、スポーツ外来などがある医療機関を受診し、治療はもちろん。リハビリを含め、以後の取り組みについて指導を受けるようにしましょう。エコー検査やレントゲンなど検査を受け状態を確認し、早期に治療を開始することが大切です。 野球肘|予防にはストレッチが有効 肘の関節や靭帯を守るため、動かす前に準備が大切!野球肘を予防するには、プレー前に関節をしっかり伸ばすストレッチを行いましょうす。スポーツの前後にストレッチをしっかり行うことは、大切ですが肘周りのストレッチだけで安心していてはいけません。 野球肘の予防には、肘の関節だけでなく、全身の柔軟性を上げることが重要だからです。そこで以下に野球肘の予防に効果的なストレッチをご紹介します。 野球肘を予防するストレッチの種類 運動前に準備運動を行ったり、ストレッチを行うことは一般的に知られています。野球肘の予防にもストレッチは大切です。肘周り、肩回り、下半身と全身の柔軟性を上げてから練習に挑むことでケガや故障を防ぐことが可能になるからです。 野球肘は肘の酷使が原因ですから、まずは、肘の負担を減らすために肘周りの関節をほぐしていきましょう。痛みがあるときは無理して行わず、専門家に相談することをお勧めします。 手首・肘の内側を伸ばすストレッチ 片手をまっすぐ前に伸ばします。この時、手の甲は天井を向き、手首と腕が90度になるようにします。そして、伸ばしている手と反対の手で、指先を体の方に引き寄せましょう。 次の動作は、そのまま手のひらを反時計回りに180度回転させ、手の甲が地面を向くようにします。そのまま手のひらを机などの平らなところに着き、ゆっくりと体重をかけていきます。 肩・肩甲骨をほぐすストレッチ 投球動作では、肩にも大きな負担がかかります。肩甲骨周りの可動域を広げることは、きれいな投球フォームを作ることにもつながります。 肩回りを伸ばすストレッチ 身体の前で肘を体に対して直角に上げ、手の平から肘までをピッタリつけて肩甲骨を開きます。(肘の角度は90度でキープ!)次にゆっくりと胸を張るように、腕を後ろに引きましょう。この時、肩甲同士を骨を内側に寄せるイメージで行ってください。 体幹と下半身のストレッチ 投球は足を大きく踏み込み、体の回転をボールに伝えることでより肘への負担を軽減できます。そのためには体幹のストレッチも忘れず行いましょう! 体幹と股関節のストレッチ 足を開いて座り、片方の足は体側に引き寄せます。腕を頭上にまっすぐ伸ばし、曲げた足側の手を反対の手で引っ張りながら伸ばしている足の方へ体を倒しましょう。反対側も同様に行います。 効果的なストレッチについて ストレッチにはコツがあります。そのコツを抑えるだけで野球肘の予防効果をアップさせることができます。せっかくストレッチを行うのですから次に紹介するポイントを守って、より効果的なストレッチを行いましょう。 ストレッチをする時に気を付けるポイント 第一に、ストレッチの動作はゆっくり行いましょう。急に関節を伸ばすと、痛めてしまうこともあります。具体的には、1つの部位を伸ばすのに20秒程度かけるのが理想的です。 加えて、ストレッチをしてすぐに激しい動きをするのはNGです。緊張がゆるんだ関節を急に動かすと思わぬケガにつながりますから、軽い運動を行ってから練習を始めてくださいね。 野球肘治療後のストレッチは専門家に相談する ストレッチは関節の可動域を広げるために重要です。ただし、野球肘の治療後にストレッチを始める場合は、医師の指示に従って行うようにしましょう。 また、リハビリにストレッチのメニューが加えられた場合、専門家の指導のもとで行うことも大切です。安易な自己判断で野球肘を悪化させることがないように気を付けてください。 まとめ・野球肘をスチレッチで予防して選手生命を伸ばす 野球の投球は全身で行うことが理想で、手だけの力で投げ続けると、野球肘発症の引き金となってしまいます。練習前に時間をかけてストレッチを行うことで、野球肘の予防だけでなく、練習後の疲労も軽減できるでしょう。 野球肘の原因は肘の使い過ぎです。最初から強く投げたり、いきなり投球するのではなく準備が必要です。プレーや練習前、練習後には入念なストレッチを行うことが必要です。 練習計画に前後のストレッチを取り入れて野球肘を予防しましょう。 それでも肘の違和感がある、痛みがあるというような場合は重症化を防ぐためにも肘を安静にし、早めに医療機関を受診しましょう。せっかくの才能ですから伸ばすためには身体の手入れが一番の練習だとご理解ください。 以上、野球肘を予防する!ストレッチで選手生命を伸ばすと題して説明させていただきました。参考になれば幸いです。 No.S044 監修:医師 加藤 秀一 ▼ スポーツ外傷、野球肘をはじめとした再生医療という手段について 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
2022.03.01 -
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コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか サプリメントとしてコラーゲンを摂取した場合に本当に効果があるのか。 本記事ではコラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。コラーゲンのサプリメントの摂取を考えている方はぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 コラーゲンとアレルギー サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 では、具体的に関節や骨にどのような効果があるのでしょうか。 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれませんね。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 No.S041 監修:医師 加藤 秀一
2022.02.16 -
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膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について 走ったり、ジャンプをするなどのスポーツ、運動をすると、膝に力が加わり続け、靭帯や腱の組織が損傷したり炎症を起こして、膝に痛みなどの障害を引き起こす場合があります。 これは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。これは、運動による膝の使い過ぎが原因であり、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも言われています。そこで今回は、膝の使い過ぎにより発症するスポーツ障害のうち「膝の慢性障害」とその症状について、詳しく解説します。 膝の使いすぎによるスポーツ障害、「膝の慢性障害を起こす3大要因」とは ① 身体要因 1つ目は、筋力不足や筋肉のアンバランス、体の柔軟性の不足など、体自体の発達具合に起因する身体要因です。 ② 環境要因 2つ目は、合わない靴を履いている、地面が固すぎたり柔らかすぎたりして膝に負担がかかるなどの環境要因です。 ③ トレーニング要因 3つ目は、過度な運動量、技量や体力に合わない運動をするなど、自分に合わないトレーニングやスポーツを行うことに起因するトレーニング要因です。 これらの要因が発生している状況で、膝の靭帯や腱に骨が付着する部分や、靭帯が骨の上を通る部分に繰り返し負荷がかかり続けると、付着部分や重なっている部分に摩擦が起き、損傷や炎症が生じて痛みを感じるようになります。 軽度な症状であれば、運動中や運動後に痛みを感じることもありますが、トレーニングやプレーは通常通りできるため、大きな影響はありません。しかし、進行すると運動中に常に痛むようになり、支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱の断裂を引き起こし、日常生活に支障が出るなど、スポーツによる膝の慢性障害を発症してしまいます。 スポーツ障害|膝への代表的な症状で4つの慢性障害とは 前述した要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状としては、以下の4つが挙げられます。 ①鵞足炎 ②大腿四頭筋腱付着部炎 ③膝蓋腱炎 ④腸脛靭帯炎 これら4つの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるものですが、特定の動きにより発症しやすくなります。 ①鵞足炎の「鵞足」とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位をさしますが、ラ ンニング動作などの、足を後ろに蹴り出す動作を繰り返したり、急に方向転換をする動きを繰り返すことで、鵞足がすれて炎症し痛みが出るようになります。 ②大腿四頭筋腱付着部炎は、膝の関節の外側が炎症することで症状が出ますが、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やサッカーボールを蹴る動作、ジョギングなどの走る動作を繰り返したことにより発症します。 ③膝蓋腱炎は、膝蓋骨という通称「膝の皿」と言われる部分の下部からすぐ下の靭帯にかけて痛みが出るもので、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作を繰り返すと発症しやすくなります。 ④腸脛靭帯炎は、膝の外側を通る腸脛靭帯が、長距離ランニングなど、長時間の膝の屈伸運動により、炎症を起こして発症します。 以上のように、ジャンプをしたり、足を蹴り出したり、長時間動かし続けることで、各動作で使われる膝の周りの靭帯や腱と骨の付着部分に摩擦が生じて炎症を起こし、痛みが生じるようになります。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の痛みなどの慢性障害の対処法としては、まず症状が出るのを予防すること、そして、発症してしまった症状を改善することが重要となってきます。そして、予防をするためには自己対処がとても大切です。 ストレッチを行う 体の柔軟性を高めるために、運動開始前に十分にストレッチを行ってください。ストレッチを行うことにより、運動前に体の筋を十分伸縮させ筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげることができます。 アイシングを行う 運動後に、急性炎症を抑えるために、氷や水などで膝を局所的に冷やすアイシングを15分程度行うのも効果的です。 その他 もしスポーツによる膝の慢性障害を発症してしまったら、無理をしないように休憩を適度にとったり、トレーニングメニューを強度の低いものに変更するなど、まずはご自身で調整しましょう。 症状が重い場合は、リハビリテーションを含む専門知識や技術が必要となる場合があります。 また、痛みに対して鎮痛剤を投与したり、装具療法や、時に手術が必要になるなど、各個人で症状や対処法は異なりますので、お近くの整形外科での診察を受け、個々の症状に応じた診断と適切な治療やアドバイスを受けるようにしてください。 まとめ/膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について 健康を意識する方が増え、運動を継続的に行ったり、趣味で競技スポーツを行う方が年々増加傾向にあります。 適度な運動を体に無理がかからない範囲で行うのは良いですが、過度な運動をしたり、合わない靴を履いての運動などをすることで、気づかないうちに膝に負担をかけ続けていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなります。 また、我慢できる程度の痛みだからと、準備運動のためのストレッチや運動後のケアを怠ったり、トレーニングメニューの調整をしないと、症状が悪化し日常生活に支障が出る場合があります。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒することが難しく手術が必要になることもありますので、無理な運動をせず、日頃のコンディショニングをしっかりと行いつつ、トレーニングをするようにしてください。 以上、膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について解説させていただきました。参考になれば幸いです。 No.S037 監修:医師 加藤 秀一
2022.02.10 -
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PRP-FD注射は、メジャーリーグで田中選手や、大谷選手も使った再生医療 膝のPRP-FD注射は、再生医療の新たな選択肢!になるか?従来、膝の変形性膝関節症などに対する注射療法として、ヒアルロン酸の関節内注射が一般的に普及していた時代がありました。 その後、近年には再生医療として血液中の血小板中に含まれる多種の成長因子多血小板血漿(Platelet Rich Plasma: 略してPRP)の関節内注射の効果が報告されてきました。 この自己・多血小板血漿注入療法とも呼ばれる「PRP療法」は、実は海外においては10年以上の使用実績があることをご存知でしょうか。海外では比較的ポピュラーな治療方法なのです。 例えば、プロ野球選手、アメリカのメジャーリーグで当時、ニューヨーク ヤンキースの田中将大氏、あるいは、今も大活躍のロサンゼルス エンゼルスの大谷翔平氏」が右肘の「靱帯損傷」に対して「PRP療法」を行なったことはよく知られています。 一方で、さらにPRP療法は、PRP-FD(又はPFC-FD)療法という新たな再生医療となり注目され始めています。今回は、このPRP-FDに注目して解説してまいりたいと思います。 PRP-FDとは、 Platelet Rich Plasma Freeze Dryの略であり血小板由来因子濃縮物を指します。同様にPFC-FDとは、Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryの略称であり日本語に訳すと「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存」したものという意味の頭文字になります。 これらの療法は、患者さんご自身の血液中の血小板に含まれる「成長因子」を活用するバイオセラピー(再生医療)と呼ばれるもので、関節や筋肉、腱の疾患または損傷に対して「手術をすることなく、注射でのアプローチする再生医療」であることを意味しています。 そこで今回は、再生医療の新たな選択肢となり得る膝のPRP-FD注射について解説してまいりましょう。 1)PRP-FD(PFC-FD)の成り立ち(PRPとの違い) 従来からあった「PRP療法」は、自己多血小板血漿注入療法のことであり、患者さん自身の血液中に含まれる血小板の要素を利用した再生医療です。 この療法は、血液中の「血小板の成分だけを高い濃度で抽出して、患部に直接的に注射」する方法です。 これによって関節部の損傷した組織へ、血小板の修復能力を用いた自己治癒力を高めることが可能になり、痛みを含めた損傷した患部の改善を目指し、手術などを避けて治癒できることを期待するものです。 この方法は、歴史的にまだ浅いもののイランの医師であるDr.Raeissadatらが過去の研究をもとにPRP関節内注射の方が従来のヒアルロン酸の関節内注射よりも変形性膝関節症における症状を改善させると発表したことにはじまりました。 このPRP関節内投与は、他の再生医療同様、手術等を回避しながら、症状の改善効果が期待できることから、患者さんのQOL(※1)を向上させることにもつながります。 一般的な治療法では解決できなかった「変形性膝関節症」をはじめとした各種関節症の患者さんに対する治療の有効なオプションになり得ると報告されています。 (※1)QOLは、英語でQuality of Lifeの略です Quality of Lifeを医療面から考えると「自分らしい生活、毎日が充実し、心身が満たされた納得のいく生活」を考慮した上で治療を行うというものになります。 患者さんへの治療方針を定めるに場合に治療方法や、その後の療養生活が患者さんへ与える肉体的、精神的はもちろん社会的、経済的といった生活の質といえる各要素を維持すべきではないかというものです。 病気の内容や治療方針によっては、その後の症状や副作用などによって治療する前と同様な生活が不可能になることがあります。そこで治療法を選択する場合には、単に症状の改善や、回復といった治療の効果だけに目を向けるのではなく、QOLの維持にも目を向けて治療方法を選択したいものです。 その意味で今後、再生医療は従来の手術による治療方法を転換させるさせるものとしてQOLに沿った治療法と言えるのではないかと思われます。再生医療は最新の医療技術で手術や入院そのものを避けることができるからです。 だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療に着目する このように再生医療は、治療結果だけに着目するものではなく、治療後を考えた治療方法といえるのです。なぜならスポーツ選手なら誰しも手術を避け、入院を避け、治療後にパフォーマンスを落とすことのない治療が条件になるからです。 スポーツ選手にとって、このパフォーマンスの維持こそがQOLになり、それを維持することこそが治療の条件になります。だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療を目指すのです。 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています PRP-FD(PFC-FD)療法について、 これは、PRP療法と同様に患者さん自身の血液から「PRP-FD(PFC-FD)」を作製します。投与方法も患部に直接注射して行うという治療法の面でも同じになります。 期待する効果としても同様でPRP-FD(PFC-FD)を注射した後には、PRP療法と同じく損傷した組織において自然治癒力が促進されて患部の早期修復や、疼痛軽減に繋がる再生医療としての効果を期待されるものです。 PRP-FD(PFC-FD)療法とPRP療法の決定的な違いは何でしょうか? PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんの血液からいったん作製したPRPをさらに活性化させて、「血小板に含まれる成長因子だけを抽出し、無細胞化した上で濃縮する」ため、成長因子の総量がPRP療法の約2倍程度に及ぶところが大きな相違点です。 また投与のスケジュールも違いがあります。PRP療法であれば採血当日に限り投与が可能ですがPRP-FD(PFC-FD)療法の場合には、採血から投与ができるまでに約1週間~3週間必要です。 尚、PRP-FD(PFC-FD)療法では、濃縮した血小板由来成長因子をフリーズドライ加工するため、長期保存が可能となります。そのため約半年の間に複数回、タイミングを見て何度か投与することが可能になります。 PRP療法 PRP-FD療法 分野 再生医療 再生医療 投与方法 患部に注射で投与 患部に注射で投与 投与タイミング 採血した当日 採血後1~3週間後 保管 できない フリーズドライ化にて長期可能 回数 当日一回 回数を分けて複数回投与可能 有効成分(成長因子) ― PRPの約2倍 期待する効果 損傷した組織の自己治癒力を高めて改善を目指す 2)膝のPRP-FD注射で期待できる効果や実際の治療法 さてここからは、膝のPRP-FD(PFC-FD)注射に期待できる効果や実際の治療法などについて紹介していきます。 このPRP-FDは、従来のPRP療法と効用効能は、ほぼ同じと考えられていますが、PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんから単回の採血で作製する量が多く、フリーズドライ化しているおかげで保存も長期に可能です。 そのため、症状が重いなど、複数回にわたって関節内注射を打つ必要があるケースでは、PRP-FD(PFC-FD)療法が期間を設けて複数回打つことができるため、その面ではPRPよりも適しているとみることもできます。 また、これらのPRP-FD (PFC-FD)注入療法によって、「テニス肘(テニスエルボー)」や、「ゴルフ肘」と呼ばれる肘内側部あるいは外側上顆炎、そして「ジャンパー膝」と呼ばれる「膝蓋腱炎」を修復できる可能性があります。 また、アキレス腱炎、足底腱膜炎などの腱付着部における疾患や、肉離れ(筋不全断裂)や靱帯損傷などの病気をより早期に治癒させる確率を高める効果を期待できます。 そのため、PRP-FD(PFC-FD)治療では、比較的早く、腱や靱帯由来の関節部の痛みを軽減する効果が見込まれるため、手術といった回復が長期化する治療法を避けることができ、重要なシーズンまでに回復しなければならないなど一日も早く復帰を必要とするプロアスリートや、トップアスリートなどに対して有効な治療法となる可能性があります。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水を溜めるような場合にも、PRP-FD(PFC-FD)治療を実践すると軟骨や半月板などの組織の改善を促すと同時に関節部の滑膜炎を抑制して症状を軽減、回復させる効果を期待できるものです。 これら従来の方法では、変形性膝関節症に対する薬物療法としては、一般的な鎮痛剤の内服やヒアルロン酸を含む関節内注射などを施行されてきました。 ところが、これらの既存的治療が最初から効かない場合、あるいは効かなくなってしまった場合でも、PRP-FD(PFC-FD)を関節内注射することで痛みが軽減した例が多く存在します。 PRP-FD(PFC-FD)療法の実際の手順を簡単に紹介します。 まずは、患者さんに問診、診察を行うことから開始します。 次に、治療内容の説明をして同意を得られた患者様から、約50mlの血液を採血します。その後、血液検査結果からHBV、HCV、HIV、梅毒など感染症の除外を行なった上で、PRP-FD(PFC-FD)を実際に作製します。 この際、活性化成分のみを抽出してフリーズドライ化するのに約1~3週間かかることを念頭に置いておきましょう。そして、最後にPRP-FD(PFC-FD)を患部に直接的に注射することになります。 これらのPRP-FD(PFC-FD)療法は、体外で成長因子を抽出して無細胞化する作業を行うため、PRP療法より、痛みが少ない治療法であると言われています。 まとめ・メジャーリーグで田中選手や、大谷選手も使ったPRP-FD注射について 従来におけるPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者さん自身の血液中に含まれる血小板を活用した再生医療でした。 そして昨今、注目されている再生医療の一つであるPRP-FD(PFC-FD)療法は、血小板が傷を治す際に放出する成長因子の働きに着目したものでPRP療法を応用した技術を使える上、それらを濃縮活用し、我々の生体が生理的に元来有している「自然治癒力」を高めることで治療効果を向上させるものです。 このように、PRP-FD(PFC-FD)療法はPRPと同様に急性あるいは慢性問わず関節症、あるいは関節周囲の靭帯や半月板など軟部組織疾患に対して治療応用が開始されていますので今後の進展に期待が持てます。 尚、今回ご紹介したPRP療法やP、RP-FD療法には、更に高度な最先端医療といわれる「幹細胞を培養して患部に投与する幹細胞療法」があり、症状や軽減だけでなく、「軟骨そのものを再生することができ、再生医療の本命」といわれる治療法があります。 再生医療は、患者様の生活の質、QOLを大切にできる再生医療を推進しています。これもで多くの症例を有する国内でも唯一のクリニックです。いつでもお問い合わせください。 治療後や、療養生活の質を高める再生医療にご注目ください。 S007 監修:医師 加藤 秀一 ▼QOLを大切にするPRP療法を用いた 再生医療の詳細は以下をご覧下さい PRP療法は、自ら再生しようとする自然治癒力を活かした最先端の治療方法です
2021.10.19 -
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膝の痛みにグルコサミン、コンドロイチンのサプリは効くのか 膝の痛みや、腰・肩といった関節の痛みに対してテレビや雑誌で毎日のように見かける「グルコサミン」や「コンドロイチン」が配合されたサプリメントのCM! 飲むだけで歩行能力が向上する、関節の痛みが改善したり、楽になるといい!盛んに宣伝されています。ご年配の方が元気に歩いておられたり、走られたり、体操をされていたりと、お元気で活発な印象を受ける画像が多いですね。 このようなことが「グルコサミン・コンドロイチンのサプリ」を飲むむだけでOKという手軽さで実現できるのなら、こんなに良いことはありません! では実際のところ、本当に効果はあるのでしょうか?そのあたりを、分かりやすくご説明したいと思います。 そもそもグルコサミンやコンドロイチンって何だろう? グルコサミンは、アミノ糖の一種で、軟骨をはじめ爪や皮膚といったところに分布しています。コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれ、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 ・グルコサミンやコンドロイチンの働きについて グルコサミンやコンドロイチンは、身体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持するといった性質を持っています。 関節内ではコンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 ▼さらに知識を深めて、正しい使い方を学びましょう▼ ・軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛や美容に効果的なのか? ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか 膝や腰、肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因となります。 残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えていきます。グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も加齢によって生産率は現象していき、関節内での柔軟性や弾力性がしだいに失われていきます。 関節を構成する成分が減ってしまうことで脆くなり、軟骨がすり減ることで骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わることで、痛みが出ます。重労働や激しい運動など膝や腰、肩を使いすぎてしまうような行動を継続することでも痛みの原因になります。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントとしての効果 テレビや広告ではグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントが毎日のように数多く宣伝されています。 内容は、軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンといった成分をサプリメントとして体に補給してげることにより、軟骨の減少や膝や腰、肩の痛みといった症状の改善効果が期待されるといいます。 実際に、サプリメントを飲み続けることにより痛みが軽減したという声もありますが、本当のところ効果があるのでしょうか? サプリメントが痛みに効果があるか、影響するかの研究 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など一部の研究では、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減したというエビデンス(証明)は、ほとんど或いは、まったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンといった成分をサプリメントとして服用することで膝の痛みや、腰、肩の痛みに対して痛みを軽減する可能性があると示唆しているものの・・・ 実際のところ「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらした!といえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究の結果でもグルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンス(証拠となるもの)を示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントは、痛みを軽減するかどうかについては、十分なエビデンスが無いのが実際のところです。 グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや、関節の痛みに効くのか マスメディアや、CMで大きく取り上げられている「グルコサミン、コンドロイチン」ですが研究結果をみると、これらの成分がもたらす効能というものは科学的な根拠に乏しく、膝の痛みをはじめ、各関節の痛みに効くとまでは断言できません。 痛みに効果がない要因として、口からの摂取による影響が考えられます。グルコサミンやコンドロイチンは、アミノ酸や糖質で構成されていますが、口から摂取することによって消化器官を通過します。 消化器官を通過するということは、胃液などにより消化および、分解されてしまうため、軟骨成分として身体に吸収され、軟骨まで到達するとは考えにくいからです。 また軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届くとも考えにくいところが本当のところです。 軟骨成分を摂取しても軟骨に届くのか?! ・口から接種すると胃液など消化器官で分解されてしまう ・軟骨には血管がほとんど無く、成分を届けることができない なぜ、サプリメントを飲むと膝痛など関節に効くと感じるのか? グルコサミン、コンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸など、膝の痛みをはじめとした各関節に対する効果・効能、改善を目的としたサプリメントが大手をはじめ、色々なメーカーから販売されています。 どの製品が良いかは、どの製品が効くのか正確には分かりませんが、実際に摂取された人の中で「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」と声を上げている製品があるようです。 それなら聞くのではないか?思われたかもしれませんが、これについては「プラセボ(プラシーボ)効果が関わっている」のではないかと考えられています。 効いた!と感じる「プラセボ(プラシーボ)効果」とは? プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来薬としての効能が全くない物質を摂取しているのにも関わらず、効能が得られたと感じる効果のことです。 ・実験してみた結果について 実際にアメリカの臨床研究では関節痛など問題を抱えている人を大人数用意し、以下のような二つに分けてモニタリングを行いました。 一方はグルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与え、もう一方には、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 その上で一定期間服用させたところ、確かにグルコサミン・コンドロイチンを服用した層から症状の改善を見ることができたのですが、それと同時に偽薬を服用させた患者さんの中からも「痛みが緩和した」「痛みが改善した」という結果が出ているのです。 ■臨床研究(プラセボ効果)の一例(アメリカ) ・グルコサミン・コンドロイチン入りのサプリメント ・どちらも効果を感じる層がいる ・何も入っていない二セのサプリメント ※結果 > グルコサミン・コンドロイチンは「入っていても」、「入っていなくても」効果が表れる これはどういうことでしょうか?! これがプラセボー効果といわれるもので一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報や先入観、思い込み、イメージ等からそれを摂取することで実際に効いたように感じてしまう状態を指します。 これは、非現実的ですが、感覚的なものによって本当に効果が生み出されていると推察できるものです。つまり、痛みに効くというイメージに身体が騙された可能性が大きいといえるのではないでしょうか。 そのため、何の成分も入っていないサプリメントで膝の痛みなどが消えることがあっても、実際は思い込みということになるのです。つまり、成分が入っていても、入っていなくても効くということです。 しかし例え、思い込みだとしても、それはそれで実際に症状が改善した、良くなったのなら、ある意味、その方にとっての痛みの改善という「目的を達成できている」と見れば良いのかもしれません。 ということで痛みの改善にサプリメントを購入され、それで満足のいく結果が得られたのなら、それが正解でしょう。もし、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 まとめ・グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや関節に効くのか? グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントが色々なところで宣伝されていますが、腰や膝、肩の痛みに効くのかについてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。 確かにグルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。ただ、医学的は、これらの成分をサプリメントとして補ったとしても膝や肩など関節に届く可能性は低くいと言わざるを得ません。 そういった面では、実際に痛みに効くとは言い切れないのが現状です。しかしながら、今後の臨床研究により何らかの効能が見つかる可能性がないわけではありません。 ネットやテレビの情報をそのまま鵜呑みにし、過大な期待をされるのを避けて、楽になったらよいな・・・程度の気休めでお考えになった方が良いかもしれません。それで本当に楽になれば儲けものです。 ただし現在、膝の痛みや、肩など関節の痛みに悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科など専門の医療機関を受診され、しっかりとした診断に基づく治療をお受けになることをおすすめ致します。 痛みには思わぬ病が隠れていたりもします。早期発見、早期治療が何よりの対処方法です。身体の痛みや違和感といった症状を放置されませんように! 以上、グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みなど関節に効くのか?について記させて頂きました。 No.S003 監修:医師 加藤 秀一 ▼ グルコサミンなどのサプリに頼らない膝の痛みなどに対する再生医療とは 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かす最先端の医療分野です
2021.10.06