高血圧とストレスの深い関係と予防法や改善策
公開日: 2024.04.10更新日: 2024.10.07
目次
高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説します!
高血圧は世界中で数多くの人々が罹患している疾患です 。この病気は、しばしば「サイレントキラー」と呼ばれています。
高血圧自体では症状がほとんどないにもかかわらず、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気のリスクを高めるからです。高血圧とストレスの関係は、多くの研究で注目されており、これら二つの間には密接なつながりがあることがわかっています。
本記事では、ストレスと高血圧の関係を深く掘り下げ、予防や改善のために役立つポイントを解説していきます。
高血圧とは何か
高血圧は、血液が血管壁にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。この状態が継続すると、心臓や血管に過剰な負担がかかり、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な健康問題のリスクが高まります。
血圧は「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の二つの数値で表されます。
収縮期血圧(上の数値)は、心臓が収縮して血液を体中に送り出す際の圧力です。拡張期血圧(下の数値)は、心臓が次の収縮に備えて血液で満たされる際の圧力です。
通常、成人の正常な血圧は収縮期が120mmHg未満、拡張期が80mmHg未満とされています。一方、高血圧は、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上である状態を指します。
血圧は、測定する場所によって以下のように分けられています。
診察室血圧
医療機関で医療従事者が測定する血圧です。
この環境で高い血圧を示す人は、白衣高血圧の可能性があります。
白衣高血圧は、医療機関での血圧測定時にのみ高血圧の値が出る状態を指します。家庭での測定や、24時間血圧モニタリングでは正常範囲内の血圧値を示すにも関わらず、医療機関で測定すると血圧が上昇する現象です。この現象は、医療環境に対する不安や緊張が原因で起こります。
白衣高血圧自体が直接的な健康リスクを示すわけではありませんが、一部の研究では、白衣高血圧の人が将来的に持続的な高血圧(本態性高血圧)を発症するリスクが高まる可能性が指摘されています。
したがって、白衣高血圧の診断を受けた場合でも、定期的な血圧のモニタリングと、必要に応じたライフスタイルの見直しが推奨されます。
家庭血圧
患者自身が自宅で測定する血圧です。
日常生活における血圧の変動をより正確に把握できる方法とされています。
24時間血圧モニタリング(ABPM: Ambulatory Blood Pressure Monitoring)
24時間持続的に血圧を測定する方法で、患者が通常の日常生活を送りながら測定します。
昼夜の血圧の変動や、睡眠中の血圧を含めた全体的な血圧コントロール状態を評価するのに有用です。
高血圧2つのタイプと原因
高血圧には二つの主なタイプがあります。「一次性高血圧」(原因不明の高血圧)と「二次性高血圧」(特定の原因による高血圧)です。
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高血圧のリスク要因として考えられること
高血圧のリスクを高める要因には、以下のようなものがあります。
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なぜストレスがかかると血圧が上昇するのか?
さて、血圧が上がる原因の一つに、ストレスがあると述べました。
ストレスは、私たちの身体に多方面から影響を及ぼします。その影響の一つとして、身体の自律神経系を活性化させることで心拍数と血圧を一時的に上昇させることが知られています。
これは、身体が直面した脅威に対処するための「戦うか逃げるか」の反応として機能し、短期間であれば自然な生理現象とみなされます。しかし、この反応は短期的なものに留まらず、ストレスが慢性化すると、高血圧を引き起こす原因となり得ます。
慢性的なストレスは、心拍数と血圧の持続的な上昇を引き起こし、高血圧につながる恐れがあります。加えて、ストレスが多い環境にいると、健康に良くない食生活や運動不足など、高血圧につながる他のリスク要因が増えがちです 。
不健康な生活習慣は、さらに血圧に悪影響を及ぼし、悪循環を生むことになります。
ストレスは交感神経を刺激し、一時的な心拍数と血圧の上昇を引き起こすだけでなく、長期間にわたるストレスの影響で高血圧症を引き起こす可能性があることが分かります。
そして、慢性的なストレスが不健康な生活習慣へと導くこともあり、さらに血圧に悪影響を及ぼす可能性があるのです。したがって、ストレス管理は血圧コントロールの観点からも非常に重要であると言えます。
高血圧を引き起こす主なストレス源
職場や家庭内でのストレスは、高血圧の主な原因の一つとして広く認識されています。
職場での過剰な負担や、期限の迫ったプロジェクト、職場内での対人関係の問題などが、ストレスレベルを高める主な要因となるのです。これらのストレスは、交感神経系を刺激し、心拍数の増加や血管の狭窄を引き起こし、結果的に血圧を上昇させる可能性があります。
家庭環境も、ストレスの大きな源となり得ます。家族間の不和、経済的な問題、子育てや介護などの責任は、個人のストレスレベルを大幅に高めることがあります。家庭内でのストレスは、しばしば外部には見えにくいため、解決されずに長期化することがあります。
このようなストレス状態が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼします。特に血圧に関しては、その数値を大幅に高めるリスクになります。
さらに、職場と家庭の双方からのストレスは、不健康な生活習慣につながってしまうことがあります。過剰なストレスは、不安や抑うつといった精神的な問題を引き起こすことがあり、これが不健康な食事、運動不足、過度のアルコール摂取や喫煙など、高血圧に直結する生活習慣へつながるのです。
したがって、職場や家庭内でのストレス管理は、血圧を健康的なレベルに保つために、 極めて重要です。
血圧測定時にストレスの影響で血圧は変動するのか
病院や自宅で測定した血圧が正常でも、職場や家庭のストレスにさらされている昼間の時間帯の血圧が高くなることがあります。具体的には、135/85mm/Hg以上の場合、昼間高血圧と定義されています。
精神的・身体的なストレスは血圧に影響を与えることが知られています。
健康診断の際や病院での血圧は正常でも、ストレス状況にある職場で測定した血圧が高い「職場高血圧」は、肥満の方や高血圧の方が家族にいる方に多いという特徴があります。
高血圧の治療 -生活指導や薬物療法 -
高血圧治療は、患者のライフスタイルの見直しと薬物療法を組み合わせていきます。
①ライフスタイルの改善
高血圧治療においては、生活習慣の改善が重要となります。例えば、食生活、運動習慣、禁煙、ストレス管理など、日々の生活習慣を見直していきます。
具体的には、塩分の過剰摂取を避け、果物や野菜を豊富に含むバランスの取れた食事を心がけ、規則正しい運動を行うことが推奨されます。
具体的な食塩摂取量は、「健康日本21(第三次) 」の目標値では7g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
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また、日本高血圧学会では、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることが勧められています。
禁煙や適度なアルコール摂取、良好な睡眠習慣、効果的なストレスマネジメントが血圧管理に役立ちます。
②薬物療法
生活習慣の改善だけでは血圧がコントロールできない場合、薬物療法が検討されます。
血圧降下薬には、ACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、βブロッカーなどがあります。
患者の状態や既往症などを医師が総合的に判断することによって、こうした薬剤は個別に処方されます。
ストレスによる高血圧の予防法 - 生活習慣の改善 -
上記で述べたように、ストレスは高血圧と深い関係があります。そこで、ストレスに上手く対処することが血圧の上昇を防ぐために重要となります。
ここでは、ストレスへの対処法と改善策を詳しくご紹介します。
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ストレスに上手く対処することが、血圧の上昇を防ぐために重要です。日常生活にぜひ取り入れてみましょう。
まとめ・高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説!
高血圧とストレスは、現代社会において無視できない健康問題です。しかし、適切なストレス管理、健康的な生活習慣、そして必要に応じて医療機関を受診し、治療を受けることによって、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。
生活の中で意識的にリラックスする時間を作り、バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。
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