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軟骨は再生するのか医師が解説!すり減りの原因と治療法も紹介

公開日:2021.12.09 スタッフ ブログ 関節 カラダの仕組み

軟骨はコラーゲン(たんぱく質の一種)や少数の軟骨細胞で構成されており、なかでも関節軟骨は骨にかかる負担を緩和するクッションの役割を果たす点が特徴です。(文献1

ところがなんらかの原因によって関節軟骨がすり減ると変形性関節症を発症し、可動痛などを生じやすくなります。

軟骨には血管が存在しない部分が多いため自己修復が難しく、症状を改善するために手術が必要となるケースも少なくありません。

本記事では軟骨がすり減ってしまう原因や再生する可能性、再生方法について解説します。軟骨がすり減る原因や起こり得る症状、および再生医療に興味がある方はぜひ参考にしてください。

すり減った軟骨は再生する?自己修復が難しい理由を解説

軟骨は一度すり減ってしまうと、再生が難しい組織です。

膝や股関節など関節軟骨の再生が難しいのは、関節軟骨には血管や神経が存在しないためです。(文献2

たとえば指には神経や血管があるため、カッターナイフなどで指を傷つけた際に痛みが生じたり、時間の経過によって傷が治ったりします。

一方、関節軟骨には神経や血管が存在しないため、損傷しても痛みが生じない上、血管によって栄養や酸素が運ばれず再生が起こりません。

また、関節軟骨の細胞自体が少ないため、ごく一部を除き自己修復は難しいです。

ただし、日常生活における身体の使い方や動作の見直しにより、関節軟骨のすり減りを遅らせることは可能です。

軟骨がすり減ってしまう原因

軟骨がすり減る主な原因は以下の4つです。

  • 加齢
  • 肥満
  • 激しい運動
  • 遺伝

軟骨は一度すり減ると自己修復が難しいため、原因を知った上で適切に対処する必要があります。

加齢

軟骨がすり減ってしまう原因の一つが加齢です。

年齢とともに白髪が増えたりシワが目立つようになったりするのと同様に、軟骨細胞も老化し始めます。(文献3

古くなった輪ゴムが少しの力で切れてしまうように、軟骨も年齢を重ねるごとに次第にもろくなり、日常の動作に伴ってすり減りやすくなります。

軟骨細胞の老化は生理現象の一種のため、すり減るのを完全に抑えるのは不可能です。

しかし、日常生活の見直しにより、加齢による軟骨のすり減りを遅らせられます。

肥満

肥満も軟骨がすり減ってしまう原因の一つです。

体重が増えれば増えるほど関節にかかる負担が増大するため、肥満になると関節軟骨がすり減るリスクが高くなります。(文献4

とくに1日の間に何度も曲げ伸ばしを繰り返す膝や股関節の軟骨は、すり減りやすい傾向にあります。

肥満は関節の負担を増大するだけでなく、生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群などを引き起こす要因です。こうした健康リスクを減らすためにも、食習慣や運動習慣などの早急な見直しが求められます。

激しい運動

軟骨がすり減ってしまう原因としては、激しい運動も挙げられます。

バスケットボールやバレーボールなど、跳躍を繰り返す競技は膝の関節軟骨に与えるダメージが大きいことで知られています。(文献5

また、サッカーやスキーなどが原因で膝関節の軟骨組織である半月板を損傷しやすいのは、左右への切り返し動作により関節に大きな負担がかかるためです。

適度なスポーツは血行を促進したり筋力を維持したりする際に有益ですが、過度な運動は軟骨がすり減る可能性があると知っておいてください。

遺伝

遺伝も軟骨がすり減ってしまう原因の一つです。

軟骨がすり減った結果として発症する代表的な疾患の一つが、中高年以降の女性に多く見られる変形性膝関節症です。

近年の研究により、変形性膝関節症の発症に遺伝的要因が関わっていると示唆されています。

2010年には理化学研究所により、特定の遺伝子を持っている方はそうでない方に比べ、変形性膝関節症の発症率が1.3倍に増加すると報告されました。(文献6

軟骨のすり減りによって生じる段階的な症状

軟骨がすり減ると程度によりさまざまな症状が段階的にあらわれます。

以下の表は、軟骨がすり減った結果として発症する代表的な疾患「変形性膝関節症」の進行段階をまとめたものです。(文献7

時期 症状
初期 椅子から立ち上がるときや歩き始めなど、動作を開始した際に膝痛が生じる
中期 膝痛のため階段の昇り降りや正座が困難になる
末期 膝痛のため歩くのがつらくなる。動作の際だけでなく安静時にも膝痛が見られる

変形性膝関節症の初期には薬物療法や装具療法、運動療法など保存療法での対処が可能ですが、中期以降になると手術が必要なケースは増加します。

膝関節の違和感や変形が気になりはじめたら、可能な限り早く専門医の診察を受け、適切に対処するのが重要です。

すり減った軟骨の治療法・再生方法

すり減った軟骨の外科的治療法・再生方法として主に以下3つの方法が挙げられます。(文献8

  • マイクロフラクチャー(MF)
  • 骨軟骨柱移植術(OAT)
  • 自家培養軟骨移植術(ACI)

それぞれ解説します。

マイクロフラクチャー(MF)

マイクロフラクチャーは、軟骨下骨に開けた小さな穴から骨髄液を流出させ、軟骨の再生を促す治療法です。

比較的軽度な軟骨損傷の際に適用となるケースが多く、関節鏡下で行うため傷跡が小さくて済みますが、再生される軟骨の耐久性の低さがデメリットです。

広島大学で行われた膝関節軟骨損傷の手術において、マイクロフラクチャー群では、Lysholmスコア(膝関節の機能を評価する指標)が手術前の76.4±18.5から97.2±4.1へと有意に改善しました。

Tegner activity score(スポーツなどにおける身体活動レベルを評価する指標)に関しては受傷前が 7.7±2.5、手術前が3.9±4.7、術後2年が8.0±1.8と有意な回復が報告されています。(文献8

骨軟骨柱移植術(OAT)

骨軟骨柱移植術は、患者様自身の健常な軟骨および軟骨下骨を円柱状に採取し、損傷部位へと移植する治療法です。

マイクロフラクチャーに比べると比較的耐久性に優れている点がメリットですが、移植できる骨軟骨柱の大きさには限界があり、広範囲の損傷には適していません。

広島大学で行われた膝関節軟骨損傷の手術において、骨軟骨柱移植術を受けた群では、Lysholmスコアが手術前の56.1±18.5から94.7±10.7へと有意に改善しました。

Tegner activity scoreに関しては受傷前が6.4±2.4、手術前が1.1±2.4、術後2年が5.7±2.4でした。

手術後の身体活動レベルについては、骨軟骨柱移植術よりもマイクロフラクチャーの方が高いとわかります。(文献8

自家培養軟骨移植術(ACI)

自家培養軟骨移植術は、患者様自身の軟骨細胞を採取して培養・増殖させ、損傷部位に移植する再生医療の一種です。

患者様自身の細胞を利用するため拒絶反応は副作用のリスクが低く、マイクロフラクチャーや骨軟骨柱移植術では難しかった広範囲の損傷にも適用可能です。

広島大学で行われた膝関節軟骨損傷の手術において、自家培養軟骨移植術を受けた群では、Lysholmスコアが手術前の61.3±20.4から92.5±8.75へと有意に改善しました。(文献8) 

Tegner activity scoreに関しては受傷前が7.3±1.5、手術前が1.3±2.5、術後2年が5.9±2.0でした。

手術前と比べると手術後の身体活動レベルに有意な低下が見られますが、広島大学では自家培養軟骨移植術に関して以下のように結論付けています。

『修復軟骨の長期的な耐久性に関してMF(マイクロフラクチャー)やOAT(骨軟骨柱移植術)より優位であり、より長期間のスポーツ活動を希望する場合ACIは良い適応である』(文献8

軟骨の治療をご検討中ならリペアセルクリニックへご相談ください

軟骨損傷の治療をご検討中の方は、リペアセルクリニックまでお気軽にご相談ください。

リペアセルクリニックでは軟骨の治療に「再生医療」を取り入れています。

再生医療では自分の脂肪細胞から幹細胞を分離して培養・増殖させ、点滴を用いて損傷部位に注入するのが特徴です。幹細胞は軟骨の土台ともいえる軟骨下骨に分化(他の細胞に変化)する能力があります。

また、再生医療は手術・入院を必要としないのも特徴です。

変形性膝関節症や変形性股関節症など、手術を要する方にとって、再生医療は選択肢の一つとなります。

カウンセリングは無料で受けられるため、軟骨の治療をご検討中の方・なるべく手術を避けたい方は、リペアセルクリニックまでお気軽にご相談ください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

軟骨再生の治療を検討されている方向けの注意点

軟骨を再生させる外科的治療には、従来の手術療法に比べて身体にかかる負担が小さい点がメリットの一つです。

自分の細胞を活用した術式であれば副作用や拒絶反応のリスクが低く、長期にわたりスポーツを楽しめるケースもあります。

ただし、軟骨再生の治療効果には個人差があり、すべての方が手術前の状態に戻れるわけではありません。

手術の効果に差が出るのは、個人により運動経験や運動習慣、生活習慣、筋肉量、年齢などが異なるためです。

軟骨の自然な再生は難しいので早めの治療が大切

軟骨の自然な再生は難しいため、関節痛や可動域の減少が見られる方は、可能な限り早めに治療を開始するのが大切なポイントです。

関節軟骨には細胞自体が少なく、血管の分布もほとんど見られないため、ごく一部を除き自己修復は期待できません

ただし、軟骨がすり減って発症する変形性膝関節症であっても、初期の段階で適切に対処すれば、手術を回避できる可能性が高くなります。

変形性膝関節症などの疾患に対しては、再生医療という治療選択肢もあります。

再生医療は入院・手術を必要とせず、患者様自身の細胞を活用するため副作用や拒絶反応のリスクが低いのが特徴です。

すり減った軟骨に関わる疾患にお悩みの方は、ぜひお気軽に当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

軟骨の再生と治療法についてよくある質問

軟骨の再生と治療法について、以下2つの質問が多く寄せられています。

  • 自分でできる軟骨の再生方法はある?
  • 軟骨を増やす食べ物(サプリ)はある?

それぞれの質問に回答します。

自分でできる軟骨の再生方法はある?

自分で軟骨を再生する方法は原則としてありません。

軟骨を再生させるのは医療行為のため、専門の医療機関で適切な治療を受ける必要があります。

ただし、軟骨のすり減りを日常的な意識や行動で遅らせることは可能です。

たとえば、体重が増加傾向にある方は日常の食事を見直し、膝にかかる負担を減らすと良いでしょう。

内股・がに股などの歩き方は膝の軟骨にかかる負担を大きくさせるため、正しいフォームを身につけることが大切です。

軟骨を増やす食べ物(サプリ)はある?

軟骨を増やすサプリメントとしては、グルコサミンやコンドロイチンなどがよく知られています。

最近になり注目されているサプリメントの有効成分には、非変性Ⅱ型コラーゲンやプロテオグリカンが挙げられます。

ただし、経口摂取したサプリメントに含まれる有効成分がピンポイントで関節に届くわけではないため、効果は限定的といわざるを得ません。

また、サプリメントはあくまでも栄養補助食品の位置づけであるため、1日3回、栄養のバランスがとれた食事を適切に摂取することの方が大切です。

(文献1)
軟骨損傷|医療法人社団哲仁会井口病院
(文献2)
股関節の神秘|公益財団法人日本股関節研究振興財団
(文献3)
膝軟骨の「すり減り」は変形性膝関節症【原因と治療法について】|ひざ関節症クリニック
(文献4)
肥満と膝の痛みの関係性~なぜ体重が膝を壊すのか~|東京整形外科
(文献5)
今すぐやめて!膝が悪くなる動作3選|中山クリニック
(文献6)
変形性膝関節症の原因究明が大切な理由とは?|医療法人社団活寿会
(文献7)
変形性膝関節症|東京都健康長寿医療センター
(文献8)
膝関節軟骨修復術後のスポーツ復帰状況|広島大学

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