膝軟骨を増やす方法はある?軟骨がすり減る原因や予防法を解説

公開日:2021.12.09 スタッフ ブログ 関節 カラダの仕組み

「医師から膝の軟骨がすり減ってきていると言われた…」
「膝軟骨は自力で増やすことはできるの?」
「放置するとどうなってしまうんだろう?」

そんな疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

関節軟骨は自己修復が難しい組織であるため、自力で膝軟骨を増やすのは困難です。しかし、膝軟骨を修復する治療法やすり減りを抑制する方法は存在します。

本記事では、膝軟骨を自力で増やせるのかどうかをはじめとして以下を解説します。

再生医療についても詳しく解説しているため、興味がある方はぜひ最後までお読みください。

膝軟骨を自力で増やすのは難しい

軟骨は損傷を受けると自己修復がしにくい組織です。そのため、自力で増やすことは基本的に難しいとされています。

軟骨の成分であるグルコサミンやコンドロイチンなどが含まれるサプリメントについても、膝軟骨の修復に効果があるかどうかはまだはっきりとしていません。

実際に「コンドロイチンを摂取している人はプラセボ(偽薬のこと)を摂取している人に比べて関節の隙間の改善が認められた」という研究結果があります。しかし、相反する研究があり結果に一貫性を得られていないのです。(文献1

膝軟骨への負担を減らしてすり減りを抑えることはできます。また、すり減った膝軟骨を修復する治療法も存在します。

すり減った膝軟骨を再生・修復する治療法

すり減った膝軟骨を再生・修復する治療法には、以下のようなものがあります。

それぞれの治療方法について詳しく解説していきます。

なお、ここでは以下の指標を用いて、治療の効果を解説しています。

指標 詳細
Lysholm score
(ライスホルムスコア)
・膝関節の機能を評価する指標
・100点満点で評価(高いほど良好)
Tegner activity score
(テグナーアクティビティスコア)
・スポーツなどにおける身体活動レベルを評価する指標
・0〜10点で評価(高いほど活動レベルが高い)

マイクロフラクチャー(MF)

マイクロフラクチャーとは、軟骨の下にある骨に小さな穴を開けて、そこから出てくる骨髄液の力を使い軟骨の修復を促す治療法です。軽度の膝軟骨の損傷に対する治療に適しており、傷跡の小さな手術です。

広島大学の研究では、手術後に以下のような改善が報告されています。

指標 受傷前 術前 術後2年
Lysholm score 76.4点 97.2点
Tegner activity score 7.7点 3.9点 8.0点

文献2

術前のTegner activity score(3.9点)は軽作業程度の活動レベルでしたが、術後2年では競技スポーツに参加できるレベル(8.0点)まで回復しており、受傷前(7.7点)をわずかに上回る結果となっています。

マイクロフラクチャーは、術後の改善効果が大きい一方で、修復された軟骨の耐久性が低いデメリットがあります。早期のスポーツ復帰を目標とする場合に適した手術と考えられています。

骨軟骨柱移植術(OAT)

骨軟骨柱移植術は、患者様の健康な軟骨を円柱状に採取して、傷んでいる部位に移植する治療法です。マイクロフラクチャーと比較すると、耐久性が優れているメリットがあります。

広島大学の研究では、手術後に以下のような改善が報告されています。

指標 受傷前 術前 術後2年
Lysholm score 56.1点 94.7点
Tegner activity score 6.4点 1.1点 5.7点

文献2

術前のTegner activity score(1.1点)はほぼ日常生活のみの活動レベルでしたが、術後2年ではレクリエーションスポーツが可能なレベル(5.7点)まで回復しています。ただし受傷前(6.4点)の活動レベルには届いていません。

手術後の身体活動レベルについては、骨軟骨柱移植術よりもマイクロフラクチャーの方が高い結果となっています。

自家培養軟骨移植術(ACI)

自家培養軟骨移植術は、患者様の軟骨細胞を採取して培養・増殖させ、損傷部位に移植する再生医療の一種です。

マイクロフラクチャーや骨軟骨柱移植術では難しかった、広範囲の損傷にも対応できる利点があります。

指標 受傷前 術前 術後2年
Lysholm score 61.3点 92.5点
Tegner activity score 7.3点 1.3点 5.9点

文献2

術前のTegner activity score(1.3点)はほぼ日常生活のみの活動レベルでしたが、術後2年ではレクリエーションスポーツが可能なレベル(5.9点)まで回復しています。受傷前(7.3点)と比べると活動レベルの完全な回復には至っておらず、長期的なリハビリの継続が重要です。

受傷前と比べると手術後の身体活動レベルに有意な低下が見られます。

しかし、広島大学では自家培養軟骨移植術に関して「修復軟骨の長期的な耐久性に関してMFやOATより優位であり、より長期間のスポーツ活動を希望する場合、ACIは良い適応である」と結論付けています。(文献2
つまり、理論上は自家培養軟骨移植術は3つの手術の中で最も軟骨が長持ちしやすく、長期的にスポーツを続けたい方に適した治療法といえます。

手術には、それぞれのメリット・デメリットがあるため、復帰時期やスポーツレベル、長期的な経過を考慮して医師とよく相談して選択することが大切です。

再生医療

再生医療とは、人が本来持つ自然治癒力を活用した治療方法です。

当院の再生医療では、自分の脂肪細胞から幹細胞を分離して培養・増殖させ、点滴・注射を用いて損傷部位に注入します。幹細胞には、軟骨の土台ともいえる軟骨下骨をはじめ、さまざまな種類の細胞に変化する能力(分化能)があります。

手術・入院を必要としないのも再生医療の特徴です。手術が必要な変形性膝関節症や変形性股関節症で、お悩みの方にとって、再生医療は選択肢の一つです。

カウンセリングは無料で受けられるため、軟骨の治療をご検討中の方やなるべく手術を避けたい方は、リペアセルクリニックまでお気軽にご相談ください。

\無料オンライン診断実施中!/

無料の再生医療ガイドブックはこちらから!>>

膝軟骨がすり減る原因

膝軟骨がすり減るのは以下のような原因が挙げられます。

それぞれの原因について詳しく解説していきます。

加齢による軟骨細胞の老化

膝軟骨は年齢を重ねるにつれてもろくなり、日常の何気ない動作でもすり減りやすくなってしまいます。加齢によるすり減りは、まずは膝軟骨の内側から始まり、その後に全体へと広がっていきます。

加齢による変化は、自然な生理現象であるため止められません。しかし、生活習慣の改善などにより軟骨のすり減りを遅らせることはできます。

過体重による膝への負担

肥満は膝軟骨がすり減る原因の一つです。体重が増加するほど膝軟骨へ負担が強まり、すり減るリスクが高まるためです。

実際に、1kg体重が増えるごとに膝への負担は2〜3kg増えるといわれています。文献3)とはいえ、過度なダイエットはかえって逆効果です。栄養バランスのとれた食事と、無理のない運動習慣により体重を管理するのが大切です。

激しい運動による摩耗

膝に強い負担がかかるスポーツや肉体労働なども、軟骨がすり減る原因になります。

膝軟骨への負担が大きいスポーツには、以下のようなものがあります。

  • テニス
  • バスケットボール
  • バレーボール
  • サッカー
  • スキー

日頃から「正座やあぐらを避ける」「重い物を持たない」など、膝への負担を減らす動作の意識も大切です。

遺伝による影響

遺伝的に軟骨がすり減りやすい方はいます。近年の研究において、軟骨のすり減りによって発症する変形性膝関節症は、遺伝的要因が関係していることが示唆されているためです。

実際に特定の遺伝子を持っていると、変形性膝関節症が発症する可能性は、1.3倍高いことがわかっています。文献4)このように、遺伝的要因も軟骨のすり減りや変形性膝関節症の発症に影響を与える可能性があります。

膝軟骨のすり減りにより現れる初期症状

膝軟骨がすり減っていくと、歩き始めに以下のような初期症状が現れます。

  • 膝の鈍い痛み
  • 膝の違和感とこわばり
  • 膝の重たさや曲げにくさ

これらは、膝軟骨がすり減ることで発症する変形性膝関節症の初期段階の症状です。進行すると膝に腫れや熱感などの症状が現れます。

正座やしゃがみ込み、階段の上り下りなどの動作も困難になります。変形性膝関節症は早期発見と適切な治療が大切です。気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう。

【関連記事】
変形性膝関節症の初期症状は?原因や治療法、進行を遅らせるポイントも解説
変形性膝関節症を放っておくとどうなる?症状の進行と受診の目安

膝軟骨がすり減るのを予防する方法

膝軟骨がすり減るのを予防する主な方法は以下のとおりです。

それぞれの予防方法について詳しく解説します。

適正体重を維持する

膝軟骨にとって太り過ぎも痩せ過ぎも好ましくありません。適正体重の維持が大切です。一般的にBMI(体格指数)22が適正体重の目安です。

適正体重の計算方法は以下のとおりです。

適正体重の計算方法 (身長m×身長m)×22=適正体重
計算例 1.6×1.6×22=56.3kg(身長160cmの場合)

食事量だけを過度に減らしてしまうと、筋肉量も減ってしまい膝関節の支えが弱くなってしまいます。バランスの良い食事と適度な運動習慣を組み合わせて取り組むことが大切です。

食生活の乱れを改善する

栄養バランスの良い食事を心がけることも、膝軟骨のすり減りの予防に役立ちます。

とくに骨を強くして筋肉をつけるためには、以下のような栄養素を取り入れることが大切です。

栄養素 豊富な食品例
カルシウム 牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、イワシ、シラス、小松菜など
たんぱく質 卵、豆腐、納豆、鶏肉、豚肉、イワシ、シラスなど

主食や主菜、副菜、乳製品、果物など食事の基本形を意識すると、バランス良く栄養を摂りやすくなります。

適度な運動をする

適度な運動は「筋肉の萎縮を防ぐ」「関節内の新陳代謝が改善する」などの効果を期待でき、膝軟骨のすり減り予防に有効です。

適度な運動とは、以下のようなものです。

適度な運動例 詳細
ストレッチ運動 1.椅子に座った状態で片足を伸ばしてかかとを床に置く
2.伸ばした足のつま先を上げる
3.両手で伸ばした足の膝を押さえながら、体を前に傾けて膝裏をゆっくりと伸ばす
膝伸ばし運動 1.椅子に座った状態で片足を伸ばす
2.伸ばした片足を上げる
3.力が入ったところで5秒止める
スクワット運動 1.テーブルの前に椅子を置き、テーブルと椅子の間に立つ
2.両手をテーブルに置いて、後ろの椅子に座るように膝を曲げていく
3.太ももに力が入るところで少し止めて、再び立ち上がる

痛みがあるときは無理をしないようにしてください。激しい運動は、軟骨のすり減りを進行させるため控えましょう。

まとめ|生活習慣を改善して膝軟骨のすり減りを予防しよう

膝軟骨を自力で増やすことは難しいですが、日常生活の工夫によりすり減りを抑えることはできます。具体的には「適正体重を目指す」「たんぱく質やカルシウムを十分に摂る」などです。

膝軟骨のすり減りが進行している場合は、軟骨を修復する手術もあります。マイクロフラクチャーや骨軟骨柱移植術、自家培養軟骨移植術などの手術には、それぞれにメリット・デメリットがあるため医師とよく相談して決めることが大切です。

当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症に対して再生医療を行っています。痛みなどの症状でお悩みの方は、一人で抱えこまず、まずはお気軽にご相談してください。

膝軟骨を増やす方法に関するよくある質問

サプリメントは膝軟骨の修復に効かない?

グルコサミンやコンドロイチンが含まれるサプリメントが、膝軟骨の修復に役立つかは明確にはなっていません。これらの推奨は依然として議論が続いている状態です。

膝軟骨に悪い食べ物はある?

体重が増えると膝への負担が強くなるため、肥満を招く食事は避けてください。食事はたんぱく質やカルシウム、炭水化物、脂質などをバランス良く摂ることが大切です。

膝関節に良い食べ物はある?

たんぱく質とカルシウムを取ることが大切です。膝関節への負担を軽減するには、骨を丈夫にして筋肉をつける必要があるためです。

参考文献

(文献1)
変形性関節症に対するグルコサミンとコンドロイチン|厚生労働省eJIM

(文献2)
膝関節軟骨修復術後のスポーツ復帰状況|日本理学療法士協会

(文献3)
あしの健康教室|名古屋整形外科地域医療連携支援センター

(文献4)
ゲノムワイド相関解析で、膝の変形性関節症の新たなSNPを同定|理化学研究所