• 変形性膝関節症
  • ひざ関節

変形性膝関節症を放っておくとどうなる?症状の進行と受診の目安

変形性膝関節症 放っておくとどうなる
公開日: 2024.02.14 更新日: 2025.10.31

膝に違和感や軽い痛みがあっても、「まだ大丈夫」と放置している方は多いのではないでしょうか。加齢や疲労によるものと見過ごしがちな膝の痛みは、変形性膝関節症の初期症状かもしれません。

膝の痛みを抱えたまま放っておくと、軟骨のすり減りが進行して関節の変形や慢性的な痛みにつながる恐れがあります。さらに、歩行や階段の昇降など日常生活に支障をきたす場合もあるため、早期の対応が重要です。

この記事では、変形性膝関節症の初期症状チェックリストや進行度ごとの症状、放置した場合のリスクを解説します。膝の痛みや違和感が気になる方は参考にしてください。

なお、変形性膝関節症に対しては、再生医療という手術を伴わない治療法があります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。

\公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ リペアセルクリニック 公式LINE画像

LINE限定で無料オンライン診断を実施中!
>>簡単30秒で診断してみる

【結論】変形性膝関節症を放っておくと歩行困難や手術が必要になることもある

初期の変形性膝関節症は、放置すると徐々に悪化して日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。

変形性膝関節症の放置によって考えられるリスクは、以下の通りです。

  • 膝の痛みが徐々に悪化する
  • 痛みで歩行や日常動作が困難になる
  • 関節が変形してO脚やX脚が顕著になる
  • 人工関節や骨を切る手術など、身体の負担が大きい治療が必要になる

変形性膝関節症は早期に発見・治療すれば、薬物療法やリハビリ、サポーターの使用など、さまざまな治療法で進行を抑えられます。

少しでも膝に違和感や痛みを感じたら、早めに整形外科を受診し、症状の悪化を防ぎましょう。

変形性膝関節症が進行する仕組み

膝関節には、骨同士の摩擦を防ぎ体重を分散させるための軟骨や半月板が存在します。軟骨や半月板は、加齢や肥満、膝に負担のかかる生活習慣などの要因で少しずつすり減り、膝の痛みや違和感が現れます。

変形性膝関節症が進行する流れは、以下の通りです。

  1. 軟骨や半月板がすり減る
  2. 骨同士が接触する
  3. 関節炎やひざの変形が生じる
  4. 膝の痛みが増し、曲げ伸ばしの可動域が制限される
  5. 歩行や日常動作が難しくなり筋力が低下する
  6. 膝への負担がさらに増え、悪循環が進む

変形性膝関節症の主な初期症状は、朝のこわばりや階段の上り下りでの違和感などです。軽くても見過ごさず、早めの対策が重要です。

また、軟骨は血管が通っていないため自然に修復する力がほとんどありません。(文献1)そのため、症状を放置すると徐々に進行して歩行や日常生活に支障が出る恐れがあります。

変形性膝関節症は初期の対策が重要

変形性膝関節症は初期段階では症状が軽く、違和感や軽いこわばり程度で済む場合が多いため見過ごされやすい病気です。しかし、膝の軟骨がすり減り始めているサインかもしれません。軽度のうちに症状に気づき、できるだけ軟骨を温存するのが重要です。

早期に対策すれば、リハビリやサポーターの活用などで進行の抑制が目指せます。

放置すると軟骨がさらにすり減り、膝の変形や痛みが悪化して手術が必要になるケースもあります。軽い違和感や一時的な痛みでも見過ごさず、早めの対策を心がけましょう。

変形性膝関節症の初期症状チェックリスト

以下の症状に当てはまる場合は、変形性膝関節症の可能性があります。

  • 朝起きたときに膝にこわばりを感じる
  • 歩き出し・立ち上がり・階段の上り下りで痛みが生じる
  • 長時間歩くと痛むが、休むと治まる
  • 正座・しゃがみ込み・あぐらがつらい

軽い違和感や一時的な痛みでも見過ごさず、早期に対応するのが大切です。上記のチェックリストに当てはまる項目がある方は、早めに整形外科を受診しましょう。

変形性膝関節症の初期症状について詳しくは、以下の記事が参考になります。

変形性膝関節症の進行度と症状

変形性膝関節症の進行

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで徐々に進行し、痛みや可動域の制限が強くなります。

変形性膝関節症の症状の進行度は以下の通りです。

  • 初期:朝だけ痛む・腫れや違和感がある
  • 進行期:歩行時の痛み・階段がつらい
  • 末期:歩行困難、日常生活に支障が出る

末期まで進行すると選べる治療の幅が限られるため、初期の段階で治療を始めるのが重要です。早期発見できるように、進行度別の症状を確認しましょう。

軽度の症状

変形性膝関節症の軽度では膝関節の軟骨が少しずつ劣化し、すり減り始めます。

主な症状は、以下の通りです。

  • 動かし始めに膝がスムーズに動かない
  • 軽い痛みや違和感がある
  • 正座やしゃがむ動作、階段の上り下りがつらい

軽度の段階でリハビリによる筋力の向上や生活習慣の見直しができれば、症状の進行抑制につながります。

進行期の症状

変形性膝関節症の進行期では軟骨のすり減りが進み、日常生活の動作に支障が出るほどの痛みが現れる場合があります。

進行期の主な症状は、下記の通りです。

  • 膝の強い痛み
  • 可動域の制限が生じる
  • 膝の曲げ伸ばしに支障が出る
  • 正座やあぐら、階段の上り下りがつらい
  • 膝に水が溜まる
  • 不眠や不安

痛みを避けて膝を動かさないでいると、膝周辺の筋肉や靭帯の動きが減少し関節の可動域がさらに固くなり、痛みが悪化する場合もあります。そのため、リハビリや痛み止めの服用、杖やサポーターの使用などで筋力の維持や痛みの緩和を目指すのが重要です。

また、慢性的な痛みや動作制限は外出の減少や孤立感、不眠など精神的な負担にもつながります。

末期の症状

変形性膝関節症が末期に進行すると、膝の軟骨がほとんど消失し膝の骨同士が直接ぶつかるため、安静時でも痛みを感じる場合があります。

末期の主な症状は以下の通りです。

  • 安静時でも痛みを感じる
  • 正座やあぐら、階段の昇降が難しい
  • 杖や手すりなどの補助がないと移動が難しい
  • 脚の変形(O脚やX脚)が著しくなる
  • 日常生活や外出が困難になる
  • 孤立感や気分の落ち込み

末期では、筋力トレーニングや薬物療法だけでは改善が難しく、手術療法が検討されるのが一般的です。

代表的な手術には膝関節を人工関節に置き換える「人工関節置換術」や、骨の一部を切り取って傾きを修正する「骨切り術」が挙げられます。しかし、手術は体への負担が大きく、入院が必要です。

変形性膝関節症の進行度についてより詳しくは、以下の記事をご覧ください。

変形性膝関節症の進行を早める生活習慣

変形性膝関節症は、膝への負担や体の状態によって進行速度が変わります。自身の生活習慣や体の状態を見直して、進行リスクを理解し早めの対策につなげましょう。

膝に負担をかける行動

以下のような膝に負担をかける行動は、変形性膝関節症の進行や悪化につながる恐れがあります。

  • 無理な運動や激しい運動:膝の軟骨のすり減りが加速する場合がある
  • 強度の高い運動:深い屈伸運動やジャンプ動作、階段昇降は膝への負荷が大きく、軟骨や関節にダメージが蓄積されやすい
  • 床に座る生活:なるべく椅子を使うと膝の曲げ伸ばしが減る
  • 重いものの上げ下げ:布団の上げ下げでも膝に負担がかかる
  • 飲酒や喫煙:飲酒や喫煙は軟骨に悪影響を与える(文献2

日常生活の中で膝への負荷を意識し、膝をいたわる習慣を心がけましょう。

加齢・肥満・筋力低下

長年膝を使い続けると関節の軟骨が少しずつすり減り、柔軟性や弾力が低下していきます。

また、太ももや股関節の筋力低下は膝関節を支える力が弱くなるため、歩行や日常動作の際に膝への負担が増加します。

さらに、体重の増加も膝への負荷を高める要因のひとつです。たとえば、歩行時には体重の約2〜3倍の負荷が膝にかかると言われています。そのため、適正体重の維持は変形性膝関節症の予防につながります。

筋力強化や体重管理など、膝にかかる負担を減らす習慣を日常生活で意識しましょう。

運動・生活習慣で進行抑制

変形性膝関節症の進行を抑えるためには、膝に無理のない範囲での運動や生活習慣の改善が重要です。

  • 有酸素運動:ウォーキングや水泳など1日30分以上
  • 筋力トレーニング:週に2〜3日
  • 適正体重の維持:膝への負担を軽減
  • 禁煙・禁酒:軟骨への悪影響を防ぐ
  • 洋式の生活にする:床に座る習慣を減らし、膝の深い屈伸を避ける
  • 膝にやさしい寝姿勢:痛む膝を上にして膝の間にクッションを入れる

厚生労働省によると、楽・ややきつい程度の適度な運動は、変形性膝関節症による膝の痛み軽減や身体機能の維持に効果があるとされています。(文献3

運動中に痛みが強くなる場合は無理せず、医師に相談して適切な治療を受けるのも重要です。

日々の生活習慣や就寝時の姿勢などを工夫できれば膝の負担軽減を目指せます。

無理のない範囲で運動と生活習慣改善を組み合わせ、膝の痛みや関節機能の悪化を防ぎましょう。

以下の記事では、膝に負担をかける「変形性膝関節症の人がしてはいけない動作」について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

変形性膝関節症受診の目安

以下の症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

  • 膝の痛みが数日以上続く
  • 膝の痛みが徐々に強くなる
  • 膝の腫れている
  • 膝に触れると熱を感じる
  • 正座や階段の昇降が難しい
  • 歩行や日常動作で膝に支障を感じる
  • 曲げ伸ばしの制限

膝の軟骨は自然に修復されにくい組織です。違和感や軽い痛みでも放っておかず、早めの診察で適切な治療やリハビリを受けて症状の進行を防ぎましょう。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の治療は、症状の程度や進行状況に応じて選択されます。

  • 保存療法:膝への負担を軽減し、痛みや炎症を抑える
  • 手術療法:保存療法だけでは十分な改善が見込めない場合や症状が末期に達した場合

具体的な治療法の内容について詳しく見ていきましょう。

保存療法

変形性膝関節症の症状が軽度~中等度の場合は、まず保存療法が行われます。

主な治療法は以下の通りです。

  • 薬物療法:内服薬や外用薬、必要に応じて膝の関節内にヒアルロン酸を注射する
  • 運動療法・リハビリ:筋力維持によって膝への負担軽減を目指す
  • 装具療法:膝サポーターや足底板(インソール)を使用し、関節を安定させ負荷の軽減を目指す

内服薬・外用薬は痛みや炎症を抑え、ヒアルロン酸は膝の動きを滑らかにする目的で使用します。また、運動療法や装具療法との併用で膝の負担を減らし、日常生活をできるだけ快適に保つことを目指します。

変形性膝関節症の保存療法(治療法)について、詳細は以下の記事をご覧ください。

手術療法

変形性膝関節症の手術療法には、症状や進行度に応じて複数の選択肢があります。

代表的な種類は以下の通りです。

手術の種類 内容 主なリスク
高位脛骨骨切り術
  • 骨の一部を切り取って脚の変形を矯正
  • 関節への偏った負荷軽減を目指す
  • 軟骨のすり減りや痛みの再発
  • 将来的な再手術の可能性
人工関節置換術
  • 末期症状や60歳以上の方に適応
  • 人工関節への置き換えにより痛みの軽減が期待できる
耐久年数は20年程度で再手術の可能性がある(文献4
関節鏡視下手術
  • 比較的初期に適応される
  • 膝関節に小さな切開を入れ、内視鏡を用いて、炎症や損傷組織を取り除く
手術による進行抑制効果は限定的という研究結果も見られる(文献5

どの手術にも感染症や血栓症、術後の痛み、可動域制限などのリスクがあります。方法によって入院期間や費用も異なるため、医師や家族と相談しながら検討しましょう。

以下の記事では、変形性膝関節症の手術療法について詳しく解説しています。文献をもとに手術の成功率も紹介しているので、不安を抱えている方は参考にしてください。

変形性膝関節症の新しいアプローチ|再生医療の可能性

変形性膝関節症に対しては、再生医療という治療法もあります。

当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による幹細胞治療を行っています。幹細胞治療とは、患者様自身の細胞を用いて、自然には回復しないとされる膝の軟骨にアプローチを試みる治療法です。

主な治療内容は、以下の通りです。

内容
  • 多様な細胞に変化できる幹細胞の能力を取り入れた治療法
  • 損傷した膝の軟骨にアプローチを試みる

治療の流れ

患者様自身のお腹の脂肪から採取した幹細胞を培養し、膝関節内に注入する

入院や手術は不要で、変形性膝関節症の進行度に関わらず受けられます。入院や手術を避けたい方、症状の進行が気になる方もご検討ください。

変形性膝関節症に対する再生医療について詳しくは、以下のページで紹介しています。症例も記載しているので、ぜひご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

まとめ|変形性膝関節症は早期発見が重要

変形性膝関節症は放っておくと軟骨の損傷が進み、関節の変形や慢性的な痛みが生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。

症状が軽いうちにセルフチェックや適切な治療を行うことで、症状の進行を抑えられます。日々の膝の使い方や生活習慣にも注意し、早めに対策を始めましょう。

軽度~中等度の変形性膝関節症の場合は保存療法が行われますが、症状が進むと手術が必要になるケースもあります。

手術に不安がある方は、再生医療も治療の選択肢としてご検討ください。

当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症に対して再生医療による治療を提供しています。

症状が悪化して手術が必要になる前に、進行を予防したい方や重症化を避けたい方は、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

(文献1)
関節軟骨の基礎科学:構造、組成、および機能|PubMed

(文献2)
アルコール、喫煙、軟骨組成と膝関節の形態との関連: 変形性関節症イニシアチブからのデータ|PubMed

(文献3)
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023|厚生労働省

(文献4)
人工関節に関するよくあるご質問|一般社団法人日本人工関節学会

(文献5)
変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術後の人工膝関節全置換術の発生率|PubMed