臼蓋形成不全は生まれつき?原因や治療法、やってはいけないことを解説
公開日:2024.08.29 スタッフ ブログ 関節 カラダの仕組み臼蓋形成不全は、生まれつきの骨格だけでなく、胎児期の姿勢や乳幼児期の発育なども関係すると考えられています。
股関節の痛みや違和感があると、「臼蓋形成不全は生まれつきなのか」と不安になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、臼蓋形成不全の原因や症状、治療法、やってはいけない生活習慣を解説します。股関節の痛みでお悩みの方は、受診や治療を検討する際の参考にしてください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、股関節の治療に用いられている再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。股関節の痛みや気になる症状がある方は、ぜひご登録ください。
目次
臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は生まれつき?
臼蓋形成不全は、生まれつきの骨格や股関節の発育が関係する場合があります。
ただし、「生まれつきだけで起こる病気」と断定されているわけではありません。胎児期の姿勢や乳幼児期の股関節の発育など、複数の要因が関わると考えられています。
臼蓋形成不全とは、股関節の骨盤側にあるくぼみ「臼蓋(寛骨臼)」が浅く、大腿骨頭を十分に覆えない状態です。体重を受ける面が狭くなるため、股関節の一部に負担が集中し、関節軟骨の摩耗や変形の進行によって痛みにつながることがあります。
症状が進むと変形性股関節症へ移行するケースもあるため、股関節の違和感や歩きにくさが続くときは、整形外科で相談しましょう。
なお、乳幼児の股関節脱臼は、以前「先天性股関節脱臼」と呼ばれていました。現在は脱臼だけでなく、亜脱臼や臼蓋形成不全なども含めた「発育性股関節形成不全」という概念で説明されることがあります。(文献1)
臼蓋形成不全の主な原因・症状
臼蓋形成不全は、生まれつきの要素だけでなく、股関節の発育過程や骨の形が関係すると考えられています。
ここでは、臼蓋形成不全が起こる背景と、股関節に現れやすい症状について見ていきましょう。
原因
臼蓋形成不全の原因は、一つではありません。
生まれつきの骨格が関係する場合もありますが、胎児期の肢位や姿勢、幼少期の股関節の発育過程で臼蓋が浅くなることもあると考えられているのです。
日本整形外科学会では、乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然改善すると考えるのが通説である一方、成人の臼蓋形成不全がいつ、どのような形で成立するかは現在も明らかではないと説明しています。(文献2)
したがって、「生まれつきだから仕方ない」と決めつけず、股関節の違和感や歩きにくさがあるなら、整形外科で状態を確認することが大切です。
症状
臼蓋形成不全の初期は自覚症状が乏しい場合がありますが、症状が出ると、股関節の痛みや違和感、歩きにくさなどを感じやすくなります。
痛みは、足の付け根やお尻、太ももの外側に現れることがあり、立ち上がるときや歩きはじめに気になるケースも少なくありません。長く歩いたあとに痛む、片足に体重をかけるとつらい、などの変化で気づく方もいます。
痛みや動かしにくさが続くなら、変形性股関節症へ進む可能性もあるため、早めに整形外科で相談しましょう。
臼蓋形成不全の治療法|早めの相談で進行予防を目指す
臼蓋形成不全の治療法は、年齢や痛みの程度、股関節の変形がどこまで進んでいるかによって変わります。
ここでは、臼蓋形成不全に対する保存療法と手術、再生医療についてまとめました。
保存療法
臼蓋形成不全で痛みが軽い段階では、股関節にかかる負担を調整しながら経過を観察する保存療法が選択されます。
保存療法では、次のような方法を組み合わせます。
- 体重管理で股関節にかかる荷重を抑える
- 杖を使い、歩くときの負担を分散する
- 水中歩行や平泳ぎ以外の水泳で筋力を保つ
- 痛みが強い場合は、医師の判断で薬を使う
日常生活では、長時間の歩行や重い荷物の持ち運びなど、痛みが強くなる動作を把握しておくことが大切です。
なお、運動を完全に避けると筋力が落ち、歩行時の不安定さにつながるおそれがあります。一方で、痛みを我慢して動き続けるのも、負担になるため注意しなければなりません。
股関節の状態に合わせて、医師や理学療法士と相談しながら進めましょう。
手術
保存療法を続けても痛みが軽くならない、もしくは股関節の変形が進んでいる場合は、手術が検討されます。
初期段階で自分の関節を残せる可能性がある方には、骨盤の骨を切って臼蓋の向きを整える「骨切り術」が選択肢の一つです。
一方、関節の変形が進み、痛みや歩きにくさが日常生活に強く影響しているケースでは、「人工関節置換術」も検討されます。
なお、手術の必要性は画像検査だけではなく、痛みの強さや歩ける距離、立ち上がりのつらさなども判断材料です。
再生医療
保存療法を続けても痛みや歩きにくさが残る場合、手術以外の方法として再生医療が選択肢になります。
再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。
代表的な治療法として、他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板に含まれる成長因子などの働きを活用する「PRP療法」があります。
いずれも、注射や点滴を通じて症状のある部位にアプローチする治療法で、入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。
当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞治療とPRP療法の両方に対応しています。
「人工関節は避けたい」「自分の関節を残したい」と考えている方は、手術前の段階で医師に相談しましょう。
以下の記事では、50代の女性の患者様が変形性股関節症に対して再生治療を行った当院の症例をご紹介しています。
臼蓋形成不全でやってはいけないこと
臼蓋形成不全では、股関節に強い負担がかかる動作を続けると、痛みや歩きにくさにつながることがあります。
ここでは、日常生活や運動で避けたい行動を見ていきましょう。
股関節に強い衝撃や、ねじれが加わる運動
臼蓋形成不全がある方は、股関節に強い衝撃やねじれが加わる運動を避けましょう。
臼蓋が浅い状態では、大腿骨頭を覆う面が小さく、走る・跳ぶ・急に方向転換する動きで股関節へ負担が集中しやすくなります。
とくに注意したい運動は、以下のような動きです。
- 長距離のランニング
- ジャンプを繰り返す運動
- 急な切り返しが多い球技
- 股関節を大きくひねる動作
- 痛みを我慢して続ける筋力トレーニング
運動そのものをすべて避ける必要はありません。
ただし、足の付け根に痛みが出る、歩いたあとに違和感が残る、翌日まで股関節が重いといった変化がある場合は無理に続けず、医師に相談した上で股関節に負担の少ないトレーニングへ切り替えましょう。
体重の増加
体重が増えると、立つ・歩く・階段を上るといった日常動作で股関節にかかる荷重も大きくなります。臼蓋形成不全では大腿骨頭を覆う面が小さいため、体重増加によって関節への負担が集中しやすくなるのです。
急な減量を目指す必要はありませんが、食事量の見直しや負担の少ない運動で、体重を大きく増やさないように心がけましょう。
ハイヒールを履く
臼蓋形成不全がある方は、ハイヒールを長時間履く習慣に注意が必要です。かかとが高い靴では姿勢が前に傾きやすく、歩行時に股関節へ余分な負担がかかることがあります。
外出や仕事でヒールを履く必要がある場合は、低めのヒールを選び、長時間歩く日はクッション性のある靴に替えるなど工夫しましょう。
足の付け根に痛みが出る、帰宅後に股関節が重く感じるときは、靴の高さや履く時間を見直すことが大切です。
片側だけに重い荷物を持つ
片側だけに重い荷物を持つと、骨盤の傾きや歩き方の左右差が大きくなり、股関節に負担が偏りやすくなります。
臼蓋形成不全では股関節を支える面がもともと小さいため、左右どちらかに荷重が集中する持ち方は避けたい動作です。買い物袋や通勤バッグを持つときは、左右に分ける、リュックを使う、荷物を軽くするなどの工夫をしましょう。
片側の足の付け根だけ痛む、荷物を持った翌日に股関節が重いと感じる場合は、持ち方を見直すサインです。
長時間同じ姿勢で過ごす
長時間同じ姿勢で過ごすと、股関節まわりの筋肉がこわばり、立ち上がりや歩き始めに痛みが出やすくなります。
臼蓋形成不全では股関節への負担が一部に集中しやすいため、座りっぱなしや立ちっぱなしの時間にも注意が必要です。
デスクワークや車の運転が長くなる日は、30分から1時間に一度を目安に姿勢を変えましょう。軽く立つ、股関節を無理のない範囲で動かす、短い距離を歩くなど、小さな動きでもこわばりの予防につながります。
まとめ|臼蓋形成不全は生まれつきだけではないが、変形性股関節症に注意
臼蓋形成不全は、股関節の骨盤側にある臼蓋が浅く、大腿骨頭を十分に覆えない状態です。
生まれつきの骨格が関係することもありますが、胎児期の姿勢や乳幼児期の股関節の発育、乳児期の脚の扱い方など、複数の要因が関わると考えられています。
初期は症状が乏しくても、進行すると変形性股関節症へ移行するおそれもあるため、足の付け根の痛みや違和感が続くときは、整形外科で相談しましょう。
「人工関節はまだ避けたい」「自分の関節を残したい」と考えている方は、再生医療も選択肢の一つです。
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臼蓋形成不全が生まれつきなのか気になっている方からよくある質問
臼蓋形成不全は大人になってから早期発見できますか?
大人になってからでも、X線検査を受けることで臼蓋形成不全を発見できる場合があります。
初期は痛みが少なく、腰痛や坐骨神経痛と間違われるケースもあるため、足の付け根の違和感や歩きにくさが続くなら早めに整形外科を受診しましょう。
臼蓋形成不全で手術するタイミングは?
臼蓋形成不全の手術を検討する時期は、痛みの強さや歩行への支障、関節の変形の進み具合によって変わります。
保存療法で日常生活の不便が減らない、歩ける距離が短くなった、夜間も痛むなどの変化がある場合は、手術も選択肢の一つです。
臼蓋形成不全は将来的にどうなりますか?
臼蓋形成不全は、将来的に変形性股関節症へ移行する場合があります。臼蓋が浅いと股関節の一部に荷重が集中し、痛みや歩きにくさにつながるケースがあるのです。
違和感が続くなら、早めに整形外科で状態を確認しましょう。
臼蓋形成不全の方が生活する上での注意点は?
臼蓋形成不全の場合は、股関節への負担を増やさない生活を意識しましょう。
長距離歩行や激しい運動、重い荷物の持ち運びは痛みにつながるおそれがあります。体重管理や靴選びにも気を配り、痛みが続くときに無理は禁物です。
臼蓋形成不全は難病指定ですか?
臼蓋形成不全自体は、厚生労働省の指定難病(医療費助成対象)ではありません。
なお、股関節に関係する指定難病には「特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)」があります。(文献3)
医療費助成の対象か迷うなら、診断名を確認したうえで医療機関や自治体に相談しましょう。
臼蓋形成不全は何人に1人の確率ですか?
日本整形外科学会では、日本人の成人男性の0〜2%、女性の2〜7%が股関節形成不全とされています。
人数に置き換えると成人男性で100人中0〜2人、女性では100人中2〜7人が目安で、女性に多い傾向があります。(文献2)
臼蓋形成不全にはどんな筋力トレーニングが有効ですか?
臼蓋形成不全による股関節への負担を軽減するために、股関節を支える筋肉を鍛える運動が役立つことがあります。なかでも、お尻の外側にある中殿筋は、歩行時の骨盤のぐらつきを抑える筋肉として重要です。
横向きで脚を上げる運動などから始め、痛みが出ない範囲で筋力トレーニングを行いましょう。
臼蓋形成不全におすすめの筋力トレーニングについては、以下の記事も参考にしてみてください。
参考文献
(文献1)
発育性股関節形成不全|一般社団法人日本股関節学会







