血圧低下で発汗するのはなぜ?原因や対処法・予防方法を解説

公開日:2024.09.25 スタッフ ブログ カラダの仕組み 豆知識 健康

「急に汗が出てきたと思ったら、なんだかフラフラする……」
「暑い日に立ち上がったら冷や汗が止まらない」

そんな経験はないでしょうか。

めまいと同時に冷や汗が出るのは、血圧の低下が関係している可能性があります。夏場はとくに起こりやすく、放置すると重大な体調不良につながるケースもあります。

本記事では、血圧が下がると汗が出る理由(メカニズム)から、暑い日に血圧が下がりやすい原因、発汗を伴う血圧低下が起きたときの対処法や予防方法までわかりやすく解説します。

血圧低下に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

血圧低下と発汗はなぜ同時に起こる?

血圧が急に下がると、体は「危険だ」と感知し、交感神経を一気に活性化させます。交感神経は心拍数を上げて血圧を維持しようとするだけでなく、全身の汗腺も刺激します。このとき出る汗が、いわゆる「冷や汗」です。

冷や汗は、運動や暑さで出る汗とは性質が異なります。体温を下げるための汗は主に額や背中など広い範囲にじんわりとかくものですが、冷や汗は手のひらや額にベタッと出るのが特徴です。

こうした反応が起きるのは、自律神経が血圧と発汗の両方を同時にコントロールしているためです。血圧が低下して脳への血流が減ると、体は交感神経を通じて心臓や血管、汗腺にまとめて指令を出します。

つまり、血圧低下と発汗は体の「緊急アラーム」のようなものです。冷や汗が出たときは、「血圧が下がっているサインかもしれない」と覚えておきましょう。

そもそも血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管内を移動する際に血管壁に与える圧力のことです。

イメージしやすいように、水を通したホースに例えてみましょう(※ホース=血管、水=血液で考えてみてください)。

蛇口を全開にしてホースを指でつまむと、水がホースの壁を強く押します。これが高血圧の状態です。

反対に、蛇口を絞ってホースを太くすると、水はチョロチョロとしか流れず壁を押す力が弱くなります。これが低血圧の状態です。

体でも同様に、血液量が減ったり血管が広がったりすると、血管の壁にかかる圧力が下がり、血圧が低くなります。

血圧の正常値と異常値

一般的に、正常血圧は120/80mmHg未満とされています。(文献1)高血圧は140/90mmHg以上、低血圧は上の血圧(収縮期血圧)100mmHg以下が目安です。(文献2

ただし、血圧の基準値はさらに細かく分類されているため、ご自身の数値が気になる方はかかりつけ医に相談してみてください。

低血圧の症状

低血圧になると、全身に十分な血液が行き届かなくなるため、さまざまな不調が現れます。代表的な症状は以下のとおりです。

  • 立ちくらみ・めまい
  • 倦怠感・だるさ
  • 動悸
  • 冷や汗
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 胸痛
  • 失神発作

とくに夏場は、これらの症状が熱中症と重なって判断しにくいケースがあります。「暑さのせいだろう」と軽く考えず、症状が続くときは早めの対処を心がけましょう。

夏や暑い日に血圧が下がりやすい2つの原因

「なぜ暑い日に限って血圧が下がるの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。主な原因は大きく2つあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

発汗による脱水と循環血液量の低下

大量に汗をかくと、体内の水分と塩分が一緒に失われます。脱水によって血管を流れる血液の量が減ると、血圧低下やめまいの原因になります

とくに高齢の方はのどの渇きを感じにくく、自分では気づかないうちに脱水が進んでいるケースも少なくありません。屋外作業や運動をする方、日中に外出する機会が多い方はリスクが高まるため注意が必要です。

暑さや冷房の温度差による血管拡張と自律神経の乱れ

暑いときは、体が熱を外へ逃がそうとして血管を広げます。血管が広がるとその分だけ血圧は下がりやすくなります。

さらに問題になるのが、冷房の効いた室内と暑い屋外との温度差です。冷房の効いた部屋と暑い外を行き来するたびに、血管は「拡張→収縮→拡張」を繰り返します。

血管の拡張と収縮の切り替えが頻繁に行われると、自律神経のバランスが崩れ、血圧の調節が不安定になってしまうのです。

暑い日の発汗を伴う血圧低下の対処法

もし暑い日に冷や汗やめまいなどの症状が出たら、落ち着いて次の手順で対処しましょう

手順 やること ポイント
1 涼しい場所に移動し、横になって足を高くする 足を心臓より高い位置に上げると、血液が脳に戻りやすくなる
2 衣服をゆるめて安静にする ベルトや襟元をゆるめる。ただし体を冷やしすぎないよう注意
3 水分と塩分を少量ずつ補給する 経口補水液やスポーツドリンクが理想的。水だけでは塩分を補えない

意識がはっきりしない場合は、無理に飲み物を飲ませると誤嚥(ごえん)の危険があります。すぐに救急車を呼ぶなど、医療的な対応を優先してください。

血圧低下と発汗が起こるときに注意すべき病気

血圧低下と発汗が同時に起こる場合、暑さや脱水だけが原因とは限りません。ここでは、とくに知っておきたい病気を紹介します

それぞれの特徴を解説します。

迷走神経反射

迷走神経反射とは、強い痛みや恐怖、極度の疲労、長時間の立位などをきっかけに、副交感神経の一つである迷走神経が過剰にはたらいて心拍数と血圧が急激に下がる現象です。冷や汗や吐き気、顔面蒼白、目の前が暗くなるといった前兆に続き、失神に至るケースもあります。

迷走神経反射そのものは生命にかかわることは少なく、横になって安静にすれば回復するのが一般的です。ただし、失神による転倒でけがをする危険があるため、前兆を感じたら早めにしゃがむ・座るなどの対処を心がけましょう。

また、心疾患など他の病気による失神との区別が難しいケースもあるため、繰り返す場合は医療機関への相談をおすすめします。

熱中症

熱中症は、高温多湿な環境で体温調節がうまくいかなくなることで起こります。大量の発汗で体内の水分と塩分が失われると、血液の循環量が減って血圧が低下し、めまいや立ちくらみ、冷や汗、頭痛、吐き気といった症状が現れます。

重症化すると意識障害やけいれんを起こすこともあるため、早めの対応が大切です。涼しい場所に移動して体を冷やし、水分・塩分を補給しましょう。症状が改善しない場合は迷わず医療機関を受診してください。

心筋梗塞

心筋梗塞では、心臓への血流が途絶えることで激しい胸の痛みとともに冷や汗、血圧低下、呼吸困難といった症状が現れます。痛みは30分以上続くことが多く、脂汗が出るほどの強い痛みが特徴です。

夏場は脱水によって血液がドロドロになり、血栓ができやすくなるため、心筋梗塞のリスクが高まるといわれています。胸痛に冷や汗を伴う場合は一刻を争うため、すぐに救急車を呼んでください。

低血糖

低血糖とは、血液中の糖分(血糖値)が正常範囲より異常に低くなった状態です。体がエネルギー不足を補おうと交感神経が活発になるため、大量の冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感といった症状が現れ、めまいやふらつきなど血圧低下に伴う症状を併発することもあります

とくに糖尿病の治療薬を使用している方に多く見られますが、過度なダイエットや長時間の空腹などが原因で起こるケースもあります。

重症化すると意識障害や昏睡に至る危険があるため、前兆を感じたら速やかにブドウ糖や砂糖の入った飲み物などで糖分を補給しましょう。

起立性低血圧

起立性低血圧は、座った状態や横になった状態から立ち上がった際に、血圧が大幅に下がる状態です。立ち上がってから数秒〜数分以内にめまいやふらつき、目のかすみ、冷や汗などが起こり、横になると速やかに改善します。

原因としては、脱水や降圧剤の影響、自律神経の機能低下などが挙げられます。夏場は発汗による脱水で起こりやすくなるため、ゆっくり立ち上がる習慣を意識しましょう。

医療機関を受診すべき症状の目安

以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう

症状 対応
意識がもうろうとする・失神した すぐに救急車を呼ぶ
冷や汗に加えて激しい胸痛や呼吸困難がある すぐに救急車を呼ぶ
安静にしても症状が改善しない 早めに医療機関を受診
繰り返し同じ症状が起こる 慢性的な疾患の可能性があるため受診を検討

「たまたま暑かっただけ」と思っても、症状が繰り返される場合は背景に別の病気が隠れていることがあります。ご自身だけで判断せず、専門家に相談しましょう。

発汗を伴う夏の血圧低下を予防する方法

血圧低下と発汗のトラブルを防ぐには、日頃からの備えが大切です。ここでは3つの予防ポイントを紹介します。

以下、詳しく解説します。

水分と塩分の補給をこまめに意識する

脱水を防ぐためには、のどが渇く前にこまめに水分を摂る習慣をつけましょう。また、一度に大量に飲むのではなく、起床時、食事のとき、入浴前後、就寝前などのタイミングで少しずつ補給するのがポイントです。

とくに、汗をたくさんかいた日は、水だけでなく塩分も一緒に摂ることが大切です。経口補水液やスポーツドリンクを活用すると、水分と塩分を効率良く補えます。

低血圧体質の方は自律神経を整える習慣を取り入れる

もともと血圧が低めの方は、自律神経のバランスが崩れやすい傾向があります。しかし、日頃から以下のような生活習慣を心がけると、自律神経の安定につなげられます。

  • 規則正しい睡眠リズムを保つ
  • 軽い運動(ウォーキングなど)で血行を促進する
  • 入浴はぬるめのお湯(38〜40℃程度)でゆっくり温まる
  • 冷房の設定温度を外気温と大きく離しすぎない(目安は室温27〜28℃)

なお、急な温度変化を避けるだけでも、自律神経への負担はかなり軽減されます。外出先で冷房が強い場所に入るときは、薄手の上着を1枚持っておくと安心です。

降圧剤の服用量を主治医と相談して調整する

高血圧で降圧剤を服用している方は、夏場に注意が必要です。気温の上昇で血管が広がり血圧が自然に下がる上に、降圧剤の作用が加わることで血圧が下がりすぎてしまう場合があるためです。

ただし、自己判断で薬の量を減らしたり飲むのをやめたりするのは危険です。主治医に相談し、血圧の推移を見ながら薬の量を調整してもらいましょう。

また、家庭での血圧測定を毎日記録しておくと、診察時にとても役立ちます。

まとめ|血圧低下と発汗がなぜ起こるかを理解して正しく対処しよう

血圧低下と発汗が同時に起こるのは、交感神経が活性化して体を守ろうとする反応です。夏場は脱水や血管拡張、室内外の寒暖差が重なり、血圧低下と発汗が起こりやすくなります。

症状が出たときは、涼しい場所で横になり、水分と塩分を少しずつ補給する応急対応を覚えておきましょう。また、こまめな水分補給や自律神経を整える生活習慣、降圧剤の調整といった予防策を日頃から意識してみてください。

なお、もし症状が繰り返し起こる場合や、胸痛・呼吸困難を伴う場合は、迷わず早めに医療機関を受診しましょう。

血圧低下と発汗に関するよくある質問

夏に血圧はどのくらい下がる?

一般的に、夏と冬で家庭血圧には5〜10mmHg程度の差が出るといわれています。(文献3

ただし、高齢になるほど変動幅が大きくなる傾向があり、個人差もあるため、ふだんから家庭で血圧を測定しておくと季節ごとの変化に気づきやすくなります。

低血圧体質だと汗をかきやすいのは本当?

低血圧の方は自律神経のバランスが崩れやすく、発汗の調節もうまくいかなくなることがあります。そのため、暑さに弱く、少しの気温変化でも大量に汗をかく方は少なくありません

体質そのものを変えるのは難しいですが、生活習慣(規則正しい睡眠、適度な運動、バランスの良い食事など)を整えると、症状を緩和できる可能性があります。

暑い日に血圧が上がることもある?

意外に思われるかもしれませんが、暑い日でも血圧が上がるケースがあります。たとえば、冷房の効いた室内から急に暑い屋外に出たときなど、温度差によるショックで一時的に血圧が急上昇することがあります。

これは冬場の入浴時などに起こりやすいヒートショックと同様に、急激な温度変化が血圧に影響する仕組みです。夏場は「血圧が下がる」イメージが強いですが、急激な寒暖差によって血圧が上がるリスクもあることを覚えておきましょう。

参考文献

(文献1)
高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会(PDF)

(文献2)
低血圧|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)

(文献3)
Seasonal variation in self-measured home blood pressure among patients on antihypertensive medications: HOMED-BP study|Hypertension Research(PubMed)