脊髄炎後遺症 幹細胞治療 60代女性
公開日:2025.03.05神経の回復が進み、しゃがむこともできるように!
こちらの患者様は両足の力が弱くなったことと、排尿の問題を主な悩みとして当院を受診されました。
この方は何十年も前に「急性横断性脊髄炎」という難病にかかりました。この病気は、背骨の中を通る神経(脊髄)の一部に炎症が起こり、その部分での神経の信号が伝わらなくなってしまう病気です。
原因ははっきりわかっていませんが、体の免疫システムが間違って自分の体を攻撃してしまう「自己免疫反応」が起きていると考えられています。症状としては、しびれ、痛み、筋力低下、トイレの問題などがあります。
この方は病気になった当初、歩けなくなり、両足に痛みやしびれがあり、排尿にも問題がありました。神経内科でステロイドの点滴治療を受け、1年間のリハビリにより杖を一本使えば歩けるまで回復し、足の痛みやしびれも良くなりました。しかし排尿の問題は良くならず、ずっと自分で管を入れて尿を出す方法(自己導尿)が必要でした。
年を重ねるにつれて足の力がだんだん弱くなり、最近では両手に杖を持ってゆっくりなら歩ける程度になってしまい、不安を感じておられました。そこで、「もう一度杖を1本だけ使って歩けるようになりたい!」という目標を持って、当院まで来院されました。
現在の保険診療では、脳卒中や神経の難病による後遺症を回復させることはできません。唯一、回復の可能性がある治療は「幹細胞治療」です。
当院では生きた幹細胞を使うだけでなく、投与方法にもこだわっています。普通は点滴で幹細胞を入れますが、その方法だと全身に細胞が広がってしまい、傷ついた脊髄に届く細胞の数が少なくなります。そこで当院では、直接脊髄内に幹細胞を入れる方法を行っています。この脊髄腔内へのダイレクト注射ができるのは、国内でもごく少数の病院だけです。
リペアセルクリニックは「脊髄損傷」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。
MRI所見
MRI検査では胸腰部に狭窄が認められました。
<治療効果>脊髄内に直接2500万個細胞を計3回投与
治療では、脊髄内に2500万個の細胞を合計3回入れました。
最初の治療直後から、車いすに移るときに両足が軽く動くようになったと効果を感じていただけました。さらに時間がたつにつれて神経の回復が進み、半年後には次のような改善がありました:
- ・姿勢よく一本の杖で歩けるようになった
- ・しゃがむことができるようになった
- ・自分で排尿できるようになってきた
- ・便秘がなくなった
患者様からは「まだ60代なのにどんどんと状態が悪くなっており、不安でいっぱいでした。幹細胞治療でここまで良くなったので、さらに良くなるようにリハビリを頑張ります」と言っていただけました。
年齢とともに体が弱り、気持ちも沈んでいた患者様が、前向きにリハビリに取り組めるようになり、本当に良かったと思います。
患者様に投与後の症状の変化を記録していただきました。
<治療費>
幹細胞 投与回数(1回)
242万円(税込)
<起こりうる副作用>
・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。
・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。
※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。
再生医療医師監修:坂本貞範