歯の再生医療実用化はいつ?現在の動向と今選ぶべき治療法を解説
公開日:2021.03.22 スタッフ ブログ 豆知識「歯の再生医療はいつ実用化されるのか」
「今の治療を受けるべきか迷っている」
歯を失ってしまった後の治療法に、再生医療と既存治療のどちらを受けるべきか悩む方もいるでしょう。
失った歯を元に戻せる可能性がある再生医療は注目を集めていますが、実際にいつ受けられるのかはわかりにくいのが現状です。
本記事では、歯の再生医療の最新動向や実用化の目安について解説します。対象となるケースや、今治療すべきか判断するためのポイントも紹介するので、参考にしてください。
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目次
歯の再生医療はいつ実用化される?
歯の再生医療は、失った歯を人工物で補うのではなく、体内の仕組みを利用して新たに歯を生やすことを目指す治療方法です。近年、京都のベンチャー企業では歯を再生させる「歯生え薬」の研究が進んでいますが、現時点では一般診療として広く受けられる段階には至っていません。
実用化の時期は研究の進展や安全性の確認に大きく左右されるため、数年で普及する可能性もあれば、さらに時間を要する場合もあります。現状を正しく理解し、過度な期待を抱かずに情報を見極めることが重要です。
現在の研究・臨床試験の段階
歯の再生医療における研究・臨床試験の現状は、以下のとおりです。
|
時期 |
内容 |
|---|---|
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2020年5月 |
・京都大学発バイオベンチャー「トレジェムバイオファーマ」設立 ・マウス・フェレットなどのモデル動物で有効性が確認される |
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2024年10月 |
・30〜65歳未満の成人男性を対象に第1相臨床試験(健康な人で安全性を確認する試験)開始 |
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2025年9月 |
・厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定される(文献1) |
歯の再生医療は、主に「歯の元になる歯胚(しはい)の活性化」や「特定のたんぱく質の働きを抑えて歯の発生を促す」などのアプローチで研究が進められています。
動物実験では歯の再生における成功例も報告されており、人への応用に向けた臨床試験も一部で行われました。厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定され、今後は歯が4本以上少ない2〜7歳の患者を対象に臨床試験が進められる予定です。
ただし、臨床試験は安全性や有効性を慎重に確認する必要があります。誰でも受けられる治療として確立するには、さらに多くのデータと検証が求められる段階です。
実用化の目安
研究チームは、2030年までに歯の再生医療における一般実用化を目標に掲げています。
まずは、希少疾患である先天性無歯症の治療から承認が始まり、その後に一般的な虫歯や事故で歯を失ったケースへと対象が拡大される見通しです。ただし、医療機器や医薬品の承認には厳格なプロセスが必要なため、すべての歯科医院で誰でも受けられるようになるには、さらに数年を要するかもしれません。
また、仮に医療機関で提供が始まった場合でも、初期は限られた症例や施設にとどまると想定されます。一般的に普及し、多くの方が選択できる治療法になるまでには、さらに時間がかかると考えられています。
歯の再生医療が対象になるケース
歯の再生医療は、すべての歯の欠損に適用されるわけではなく、症例ごとに適応が検討される治療です。
現在の研究では、すべての歯のトラブルを解決できるわけではありません。また、実用化が進んだとしても、適応条件が設けられる可能性が高く、自分が対象になるかは慎重に見極める必要があります。
ここでは、歯の再生医療が対象となるのか、解説していきます。
対象となる可能性があるケース
歯の再生医療の対象として期待されているのは、生まれつき歯の本数が少ない「先天性無歯症」のケースです。
先天性無歯症とは、生まれつき歯の元になる歯胚が成長せず、生えてこない歯が6本以上ある状態を指し、発症率は0.1%といわれています。先天性無歯症を放置すると、以下の点で影響を受けてしまいます。
- 顎関節
- 滑舌
- 歯並び
歯を失ったまま放置してしまうと、咀嚼・嚥下機能や会話機能が弱くなってしまうため、噛み合わせを戻す治療が必要です。
幼い子どもの場合、一般的な治療が難しいケースもあるため、歯の再生医療が可能となれば需要も高まるでしょう。
現時点では難しいとされるケース
歯の再生医療は、事故や虫歯・歯周病などの後天的に歯を失ったケースへの適用は難しいとされています。
開発チームは歯の再生医療の開発をさらに進め、将来的には後天的に歯を失った方や高齢者への応用も視野に入れていますが、実用化するまでには時間がかかるでしょう。
現段階では限られた条件下での研究が中心であり、すべての症例に対応できる治療とは言えません。再生医療を待ち続けて歯を失った状況を放置するより、まずは今の骨や歯茎をこれ以上悪化させないよう維持するのが重要です。
歯の再生医療が抱える現実的な課題
歯の再生医療は画期的な治療として期待される一方、実用化に向けては複数の課題が残されています。
薬や細胞を用いて歯を再生させる研究は進みつつありますが、再生した歯を「一生使い続けられる」ように機能させるには、さらに多くの検証が必要です。
ここでは、歯の再生医療が抱える現実的な課題を解説していきます。
再生した歯が定着できるのか
再生医療で得られた歯が、顎の骨や歯茎にしっかり定着するかは重要な課題です。
歯は単独で存在するのではなく、歯根膜や顎の骨との連携によって機能しています。そのため、歯の形だけ再生されても、噛む力に耐えられる強度や安定性が伴わなければ実用性は限定的です。
さらに、個人差や口腔内環境によって結果が左右される可能性もあり、長期的な予後のデータ蓄積が求められています。確実性を高めるためには、今後も検証が不可欠です。
また再生医療はその名のとおり、自身の再生力を活かした治療方法です。再生した歯がうまく定着するには、治療の評価とフォローが重要であり、中長期で経過を観察する必要があります。
治療は保険適用外と想定される
歯の再生医療は先進医療に位置づけられるため、実用化された初期段階では保険適用外となる可能性が高いと考えられています。
自由診療となれば、治療費は高額になる傾向があり、誰でも気軽に受けられるとは限りません。また、医療機関ごとに費用設定が異なる点も患者の負担を大きくする要因です。
将来的に保険適用が検討される可能性はあるものの、実績や安全性の十分な蓄積が前提となります。現実的に治療を受けるには、経済的な側面も踏まえた判断が求められるでしょう。
歯の再生医療を待つべき?今治療すべき?判断のポイント
歯の再生医療を待つか、現時点で治療を受けるかは、症状の進行度や生活への影響を踏まえて判断する必要があります。
再生医療は将来有望な選択肢ですが、実用化の時期や適応範囲はまだ限定的です。一方、インプラントやブリッジなどの既存治療は実績があり、機能回復を早期に図れる利点があります。
将来の可能性だけで決めるのではなく、現在の口腔状態とリスクを総合的に考慮するのが重要です。歯科医師と相談し、自分に合った選択を見極めましょう。
待つべき人の特徴
歯の再生医療を待つべき人は、生まれつき歯が少ない「先天性無歯症」の子どもです。
開発チームが目指している2030年の実用化は、あくまで「生まれつき歯が少ない(先天性無歯症)」の子どもたちであり、歯の元となる歯胚がない状態は対象外です。(文献2)
一般的な成人が事故や虫歯・歯周病など、後天的に失った歯を再生させるためには、まだ時間がかかるといわれています。
ただし、再生医療が実用化するまでに、ただ待てば良いわけではありません。定期的なクリーニングを欠かさず、残った歯の健康を保つ必要があります。
また、高い費用を払っても「再生医療を受けたい」という強い意志があるなら、じっくりと時期を待つ価値があるでしょう。
今すぐ治療した方が良い人の特徴
一般の成人で虫歯や歯周病で歯を失った人は、従来の治療を早めに受ける必要があります。治療を受けるべき理由は、以下のとおりです。
- 歯を抜けたまま放置すると顎の骨が急速に痩せてしまうため
- 歯を失うと歯並び全体が崩れてしまうため
歯を複数失って噛めない状態が続くと消化器官に負担がかかるだけでなく、顎の骨が痩せてしまいます。再生医療は健康な顎骨であることが望ましいため、既に歯茎が痩せ始めている場合は、再生医療を待つよりも、既存の治療を受ける方が賢明です。
また、放置によって隣の歯が移動してしまうと、将来再生医療を受けようとしても、「再生させる十分なスペースが確保できない」という事態を招きかねません。
今の生活の質を優先し、既存の確立された治療で機能を回復させるのが、結果的に全身の健康寿命を延ばす近道となります。
現時点で選択できる歯の治療法3選
歯の再生医療が実用化していない現状では、欠損部の回復には既存の治療法を検討する必要があります。代表的な方法はインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つであり、それぞれ特徴は以下のとおりです。
|
治療法 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
|---|---|---|---|
|
インプラント |
顎の骨に人工歯根を埋め込む |
・見た目や噛み心地が自然 ・周囲の歯に負担をかけにくい |
・外科手術が必要 ・費用が高い |
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ブリッジ |
両隣の歯を支えに人工歯を固定 |
・比較的短期間で治療可能 ・固定式で違和感が少ない |
・健康な歯を削る必要がある |
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入れ歯(義歯) |
取り外し式の人工歯 |
・幅広い症例に対応可能 ・費用を抑えやすい |
・違和感やズレが生じやすい |
重要なのは、自分の口腔状態や生活スタイルに合った方法を選ぶことです。ここでは、各治療法の違いを紹介します。
インプラント
インプラントは、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。
天然歯に近い見た目と噛み心地が得られる点や、周囲の歯に負担をかけにくい点がメリットです。
一方で、外科処置が必要となるため、全身状態や骨の量によっては適応外となる場合がある点はデメリットといえます。また、自由診療となるケースが多く、費用負担が大きい点も考慮すべきポイントです。
インプラントは、適切なメンテナンスを継続すると、良好な状態を維持しやすくなります。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣にある歯を削り、橋を架けるように人工の歯を固定する手法です。
固定式のため、入れ歯のような取り外しの手間がなく、比較的短期間で治療が完了します。保険診療の範囲内でも治療できる場合が多く、経済的なバランスに優れた選択肢として広く普及してきました。
一方で、土台となる健康な歯を大きく削らなければならないというデメリットも存在します。削られた歯は寿命が縮まるリスクを抱えるため、将来的に再生医療へ切り替える際、土台の歯が弱っている可能性も考慮しなければなりません。
また、汚れが溜まりやすく、ケアを怠ると二次的な虫歯を招く恐れがあります。
入れ歯
入れ歯(義歯)は、取り外し式の装置で欠損した歯を補う方法です。部分入れ歯と総入れ歯があり、多くの症例に対応できる柔軟性が特徴です。
多少は歯を削る場合がありますが、ブリッジよりも削合量は少なく歯への負担も減らせます。また、比較的費用を抑えやすく、外科的な処置が不要な点もメリットです。
ただし、噛む力は天然の歯の2〜3割程度にまで低下するとされています。違和感が強く、装着時の喋りにくさを感じる方も少なくありません。
定期的な調整などの適切なケアを行うと、快適性を高められるでしょう。
歯の再生医療実用化は時間がかかる!定期的なメンテナンスが重要
歯の再生医療は将来有望な治療法として期待されているものの、実用化には安全性や有効性の検証が不可欠であり、一般的に普及するまでには一定の時間がかかります。
現時点では既存の治療法を適切に選択し、口腔内の状態を良好に保つことが重要です。とくに、定期的なメンテナンスを受けると、歯周病や虫歯の進行を防ぎ、将来の治療選択肢を広げやすくなります。再生医療を見据えつつ、今できるケアを継続する姿勢が大切です。
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歯の再生医療実用化に関するよくある質問
歯の再生医療は2030年には実用化する?
一部のニュースでは2030年前後の実用化が期待されるといわれていますが、現時点で明確な時期は示されていません。臨床試験の結果や安全性の確認、各種承認手続きの進み具合によってスケジュールは大きく変わります。
仮に早期に実用化されたとしても、初期は「先天性無歯症」のみの症例や医療機関が限定される可能性があるのも事実です。
「2030年になれば誰でも受けられる」とは限らず、一般的な普及にはさらに時間がかかると考えられています。現実的には、数年〜10年単位で段階的に広がると理解しておくと良いでしょう。
副作用で、他の場所から歯が生えたりしませんか?
歯の再生医療における副作用で、意図しない部位(腕や内臓など)に歯が形成されるような事態は極めて考えにくいとされています。
開発中の「歯生え薬」は、特定のたんぱく質の働きを抑えて、顎の骨の中に眠る「歯の元」だけを活性化させる仕組みです。歯の元が存在しない部位である腕や内臓などに歯が形成されるリスクは、極めて低いとされています。
ただし、薬物療法である以上、まったく副作用がないわけではありません。治験の主な目的は、意図しない組織への影響やアレルギー反応の有無を厳密にチェックすることです。
過去の動物実験では安全性が高く評価されていますが、人間への投与でも同様の結果が得られるかを慎重に見極めている段階です。今後、科学的な検証を積み重ね、安全性が十分に確認された段階で、一般的な治療として普及していくと考えられます。
参考文献
重症型先天性部分無歯症に対する抗 USAG-1 抗体「TRG035」、 厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定|トレジェムバイオファーマ株式会社









