水中ウォーキングは膝痛が悪化する?正しいやり方や効果、注意点を解説

公開日:2024.07.17 スタッフ ブログ 健康 豆知識

「健康のために運動をしたいけど膝が痛くて続かない…」
「水中ウォーキングは膝痛を悪化させないのかな?」

このような悩みはありませんか。水中ウォーキングは浮力により膝への負担が少ないため、膝痛がある方におすすめの運動です。とはいえ、不適切な方法やフォームで行うと、膝痛を悪化させるおそれがあるため注意が必要です。

本記事では、水中ウォーキングは膝痛を悪化させるかどうかをはじめとして以下を解説します。

膝痛に対する水中ウォーキングの有効性について、症例をもとに解説しています。具体的な有効性について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

不適切な水中ウォーキングは膝痛を悪化させる

不適切な方法による水中ウォーキングは、膝痛を悪化させるおそれがあります。

水中であっても以下のような動作は控えてください。

  • 力強く蹴り上げる動作
  • 急な方向転換

また、背筋を反らした前歩きや大股での早歩きは、腰痛や股関節痛を引き起こすおそれがあるため控えましょう。

膝痛に対する水中ウォーキングの正しいやり方

膝痛に対する水中ウォーキングを正しく行うには、以下のポイントをおさえる必要があります。

それぞれについて詳しく解説します。

正しいフォームで行う

水中ウォーキングは以下のように正しいフォームで行うことが大切です。

正しい水中ウォーキングのやり方 ポイント
1.背筋をまっすぐ伸ばして視線は前にする 姿勢を安定させるためにお腹に少し力を入れる
2.普通の歩幅でゆっくりと歩く かかとからつま先へ体重を移すイメージでゆっくりと歩く

腕も自然に振ることで、バランスが取りやすくなり全身もしっかりと使えます。

運動後はクールダウンを行う

運動後は、障害予防や疲労回復、運動能力の維持のためにクールダウンを行うことが大切です。効果的なクールダウンは体の各部位のストレッチです。

膝裏のストレッチの一例として、以下のような方法があります。

  • 椅子に浅く腰掛けて片足を前に伸ばす
  • 背中は伸ばして足先は上に反らす
  • 伸ばした足の膝の少し上に両手を置く
  • 両手でゆっくりと膝を押して膝裏とふくらはぎを伸ばす
  • 反対側も同様に行う

1回20秒3セットを目安にしてください。また、運動後は水分も忘れずに飲みましょう。

膝痛の悪化予防に水中ウォーキングがおすすめな理由

膝痛の悪化予防に水中ウォーキングがおすすめな理由は、以下の通りです。

それぞれについて詳しく解説します。

水の浮力で膝関節への負担が軽減される

水中では体重が浮力で軽くなるため、膝関節への負担が軽減されます。浮力により膝関節への負担が軽減されれば、痛みを抑えながら運動が可能です。

さらに、水中では動きがゆっくりになるため、バランスを崩した際や急な方向転換をしてしまったときも膝への負担が少なく済みます。

陸上運動よりも怪我や転倒リスクが低い

水中ウォーキングは、陸上運動よりも膝や足首への負担が少なく、痛みを抱えている方でも行いやすい運動です。水中では浮力によって体重が軽減されるため、着地の衝撃が大幅に軽減されるためです。

また、転倒もしにくく、捻挫や肉離れといった怪我も起こりにくいメリットもあります。プールの底は柔らかめに設計されていることが多く、足腰への負担がさらに抑えられます。

陸上のウォーキングやランニングは、着地のたびに膝へ大きな衝撃が加わるため「運動しなければと思いつつも、痛みが怖くて一歩踏み出せない」と敬遠されてしまう方も少なくありません。痛みが気になって運動が継続できなかった方にこそ、水中ウォーキングはおすすめです。

正しい水中ウォーキングによる膝痛や関節への効果

正しい水中ウォーキングによる膝痛や関節などに対する効果として、以下が挙げられます。

それぞれについて詳しく解説します。

膝痛の軽減につながる

水中ウォーキングは膝痛の軽減につながる可能性があります。水中運動は、全身を水に浸けることによる新陳代謝の活性化に加え、温熱・寒冷効果による血流の改善や筋肉、靱帯の柔軟性の向上が期待できるためです。

寒冷に関しては、冷たすぎるとかえって筋肉や靱帯をこわばらせて、膝痛を悪化させるおそれがあります。そのため、温水プールがおすすめです。膝痛に対して水中ウォーキングを取り入れる場合は、水温に注意しましょう。

関節の動く範囲が広がる

水中ウォーキングは、継続すると関節の動く範囲を広げる効果を期待できます。陸上で痛みやこわばりで動かしにくかった範囲まで、水中ではゆっくりとスムーズに動かしやすいためです。

また、継続的な水中ウォーキングは、関節を支える筋肉や靱帯も徐々に鍛えられるため、さらに関節の動く範囲の拡大が期待できます。また、浮力が働くことから、筋力が弱い方でも効果的に運動ができるメリットもあります。

太ももやお尻の筋肉が鍛えられる

水中では水の抵抗が全身にかかるため、ただ歩くだけでも自然に効率よく筋肉を鍛えられます。

とくに膝を支える以下のような筋肉を効率よく鍛えられます。

  • 太もも前面の大腿四頭筋
  • 太もも後面のハムストリングス
  • お尻の大殿筋

これらの筋肉がしっかりと働くようになると、膝関節への負担を分散し、衝撃を吸収する力が高まります。その結果、膝関節へのストレスが減り、膝痛の軽減や悪化予防が期待できます。

有酸素運動により体重管理につながる

膝痛を軽減するためには、適正体重を維持することが大切です。体重が1kg増えるごとに膝への負担は2〜3kg増えるといわれているためです。

水中ウォーキングは、歩くだけでもしっかりとカロリーを消費できる有酸素運動であるため、体重を減らしたい方にも向いています。水中ウォーキングによる膝への無理のない体重管理は、将来的に膝を守るためにもおすすめです。

むくみを軽減できる

水中ウォーキングはむくみの軽減効果も期待できます。水中運動は、効率の良い筋肉の収縮や水温・水圧の作用により、血液やリンパの流れを促進できるためです

【症例】膝痛に対する水中ウォーキングの有効性

実際に、膝痛に対しての水中運動の有効性を評価した研究があります。

水中ウォーキングなどを3カ月間(週に1回ペース)行った26名と、行っていない25名を比較すると、水中運動を行ったグループには、以下のような結果の報告があります。(文献1

  • 膝の痛みやこわばりが改善した
  • 椅子の立ち座りのしやすさが向上した
  • 片足立ちのバランス能力に改善が見られた

この研究におけるプログラムの継続率は100%であり、参加率は約94%と高い数値を示しています。(文献1これらの結果からもわかるように、水中ウォーキングなどの水中運動は、膝の痛みの改善だけでなく、運動習慣として継続しやすいと考えられます。

膝痛のある人が水中ウォーキングを始める際の注意点

膝痛のある人が水中ウォーキングを始める際の注意点として、以下が挙げられます。

それぞれについて詳しく解説します。

痛みが強い日は無理をしない

膝の痛みが強い日は無理に運動しないようにしましょう。痛みを我慢して動かすと、かえって膝関節や周囲の筋肉を傷めてしまう可能性があります。

「せっかくプールに来たから運動しなきゃ」という思いもあるかもしれません。しかし、膝の調子が悪い日や痛みが強い日は、運動は中断して休養を取ることも大切です。

無理をしない範囲で継続するのが、結果的に膝痛の改善につながります。 なお、いつもと違う痛みや腫れ、熱感、違和感、引っかかり感などがある場合は医療機関を受診してください。

適度な頻度と運動時間を確認する

水中ウォーキングは1回20〜30分ほどを目安に、週1〜2回程度行いましょう。(文献2)ただし、この時間は水中ウォーキングだけの目安であり、実際にプールに行くとそれ以上の時間がかかります。

以下の準備からクールダウンの時間を含めて、2時間ほどを目安にして無理のない範囲で続けましょう。

  • 水着に着替える
  • シャワーを浴びる
  • プールサイドで準備体操をする
  • 水中ウォーキングを行う
  • クールダウンを行う
  • シャワーを浴びる
  • 移動着に着替える

水中運動は着替え終わったあとに「心地良い疲れ」を感じる程度がちょうど良いです。運動後に過度の疲れや膝の痛み、違和感などを感じる場合は、やりすぎの可能性があります。

水深や水温に注意する

水中ウォーキングを行う際は、水深や水温に注意してください。深すぎるプールでのウォーキングは、首や腰の痛みを引き起こすおそれがあります。水深は胸からおへそ辺りを目安にしてください。

水温に関しては、適度な水温であれば寒冷効果によって血液の流れを良くして、筋肉や関節の柔軟性を高める効果を期待できます。しかし、冷たすぎると筋肉や関節をこわばらせて、痛みを悪化させるおそれがあります。可能であれば、温水プールなどの適度に体を温める環境がおすすめです。

不安がある場合は医師や専門家に相談してから始める

痛みの原因は人それぞれですが、膝に以下のような症状がある場合は、なんらかの病気を発症しているおそれがあります。

  • 持続する痛み
  • 熱感
  • 腫れ
  • 違和感
  • 引っかかり感
  • 脱力感

これらの症状があり診察を受けたことがない方は、医療機関を受診して適切な診断を受けることを推奨します。病気の原因に応じた治療やリハビリを行わないと、膝痛が悪化するおそれがあるためです。

すでに変形性膝関節症などの膝の病気の診断を受けている方は、再生医療の選択肢もあります。

膝の痛みに対する再生医療について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。

手術しなくても治療できる時代です。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

まとめ|膝痛に対する水中ウォーキングは正しいフォームで行おう

水中ウォーキングは、浮力により膝への負担を軽減できるため膝痛がある方におすすめの運動です。しかし水中とはいえ、力強く蹴り上げる動作や急な方向転換などは膝を痛めるおそれがあるため注意してください。

適切な水中ウォーキングは、膝痛の軽減だけでなく、筋力やバランス能力の向上、こわばりの改善などの効果が期待できます。とはいえ、やりすぎは禁物です。1回の水中ウォーキングの時間は20〜30分として、週に1〜2回を目安にしましょう。運動後に「心地良い疲れ」を感じる程度がちょうど良いです。

長引く膝の痛みや違和感、腫れ、熱感などの症状が現れている方は、なんらかの病気や怪我のおそれがあります。とくに診察を受けたことがない方は、医療機関の受診を検討しましょう。

膝痛に対する水中ウォーキングに関するよくある質問

膝痛にプール歩行は有効?

プール歩行は、正しいやり方であれば膝痛の軽減につながる可能性があります。ただし、足を強く振ったり、急な方向転換をしたりすると、膝を痛めるおそれがあるため注意しましょう。

変形性膝関節症にもプール歩行は有効?

変形性膝関節症の方でも適切なプール歩行を行えば、膝の筋力向上や歩行速度の改善などの効果が報告されています。文献3)医師や理学療法士と相談して、適切な方法でプール歩行を取り入れましょう。

水中ウォーキングは膝に負担がかかるのでは?

水中ウォーキングは、水の浮力があるため陸上運動よりも膝への負担が少ないです。とはいえ、水中であっても強く足を振ったり、急な方向転換をしたりするのは控えましょう。

参考文献

(文献1)
膝痛を有する高齢者における水中運動の有効性|Waseda University

(文献2)
関節痛と水泳|順天堂医学

(文献3)
水中運動が変形性膝関節症患者の下肢筋力および呼吸筋力に与える影響:症例報告|日本温泉気候物理医学会