関節の仕組み|機能や構造について【図で解説】
公開日:2020.12.21 スタッフ ブログ 関節 カラダの仕組み「関節はどんな仕組みで動くの?」
「膝や股関節の痛みに悩んでいるから、関節について詳しく知りたい」
このように、関節の仕組みに興味をお持ちの方は多いのではないでしょうか。関節は関節包・滑膜・軟骨などが機能することで、なめらかな動きを可能にしています。
この記事では、関節の仕組みや種類、かかりやすい病気についても解説します。また、関節の痛みに根本的にアプローチできる再生医療についても紹介しているので、参考にしてみてください。
目次
関節の仕組み
組織名 | 図の場所 | 役割 |
---|---|---|
関節包(かんせつほう) | 水色の部分 | 丈夫な線維性組織で関節を包む |
滑膜(かつまく) | 青色の部分 | 滑液を分泌する |
滑液(かつえき) | 青色の内側 | 潤滑油のように関節の動きを滑らかにする |
関節は肘や膝などの骨と骨のつなぎ目に位置し、関節包(画像の水色の部分)と呼ばれる丈夫な線維性組織に包まれています。
関節包の内部には滑膜(画像の青色の部分)があり、滑液(青色の内側の部分)を分泌しています。滑膜で囲まれた空間は関節腔(かんせつくう)と呼ばれ、滑液で満たされているのが特徴です。滑液は関節の潤滑油としての働きがあり、衝撃を吸収したり、関節の動きを滑らかにしたりします。
関節部分の骨の表面は、軟骨と呼ばれる弾力性がある組織で覆われていて、骨同士がぶつかるのを防いでいます。
関節とは?
関節とは、二つの骨が軟骨組織と関節包によってつながっている部分を指します。この項目では、関節の役割や場所、種類について詳しく解説します。
関節の役割
関節の役割は、以下の通りです。
- 骨同士がぶつかるのを防ぐ
- 体重を支える
- 複雑な動作が可能になる
- 衝撃を吸収する
- 関節の動きを滑らかにする
加齢や怪我などで関節が損傷して骨同士がぶつかるようになると、身体の動きが悪くなり痛みが生じます。さらに症状が進行すると、安静にしていても痛んだり骨が変形したりして生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。
関節の場所
主な関節の場所は、以下の通りです。
- 膝・肘・肩・股関節
- 手首・足首
- 頭蓋骨
- 歯とあごの骨の間
- 肋骨と胸骨の間
- 背骨
- 恥骨
骨と骨をつなぐ関節は人間の身体に多数あり、とくに手足に集中しています。関節が多い部位ほど、複雑な動きができます。
関節は可動域によって分類でき、膝や肘、肩など比較的自由に動かせる関節(可動関節)や、頭蓋骨、歯とあごの骨の間のように動かない関節(不動関節)があります。
関節の種類
関節包のある関節は、可動できる範囲や方法が異なる6つの種類に分けられます。
主な関節の種類を、以下にまとめました。
関節の種類 | 仕組み | 主な部位 |
---|---|---|
滑走関節(かっそうかんせつ) | 骨同士がずれるように動く | 椎骨と椎骨の間 |
蝶番関節(ちょうつがい かんせつ) | ドアの蝶番のように動き曲げ伸ばしできる | 肘や指、膝 |
車軸関節(しゃしゅかんせつ) | 左右に回旋させる | 首の骨 前腕部の尺骨と橈骨をつなぐ骨 |
顆状関節(かじょうかんせつ) | 前後左右に曲げ伸ばしする | 手首 後頭部と首の間 |
鞍関節(あんかんせつ) | 回転以外の曲げ伸ばしなどができる | 親指の付け根付近 |
球関節(きゅうかんせつ) | 自由に回転できる | 股関節、肩関節 |
関節の動きを理解できれば、身体の自然な動きを意識しやすくなります。たとえば、膝の関節は曲げたり伸ばしたりする動きは得意ですが、ねじるような動きはできません。日常の動作やトレーニングの際に膝をねじってしまうと、膝を痛めてしまう恐れがあります。
関節の種類や動かせる方向を理解して、無理な動きによる怪我を防ぎましょう。
関節の怪我・病気
関節の怪我や病気について、症状、対処法などを紹介します。関節の痛みにお悩みの方は参考にしてください。
ねんざ・突き指
ねんざや突き指は、骨と骨をつなぐ関節包や靭帯が損傷した状態で、主な原因は転倒やスポーツなどです。
ねんざはひねる力によって関節が損傷した状態、突き指とは、指の先端から縦方向の力が加わって関節が損傷した状態を指します。
主な症状は痛みや腫れ、内出血などです。
ねんざや突き指は身近な怪我ですが、放置してしまうと痛みが長引いたり、関節が不安定になり再発しやすくなる可能性があります。怪我をしたら患部に以下の処置をして、医療機関を受診しましょう。
- 安静:タオルや添え木などで固定する
- 冷却:氷や氷のうなどで冷却する
- 圧迫:テープを巻いて圧迫し内出血の拡大を防ぐ
- 挙上:心臓よりも高くする
転倒や着地、無理な方向転換の後に関節の痛みを感じる方は、ねんざや突き指を疑ってみましょう。
脱臼
脱臼は、関節が動かせる範囲を超える程の強い衝撃が加わり、関節が外れる状態を指します。関節の骨が完全に離れている際は脱臼、一部の関節の骨がずれている場合は亜脱臼と呼びます。
主な原因は事故や転倒、スポーツによる過度な使用です。
脱臼が起こりやすい部位を、以下にまとめました。
- 肩
- 肘
- 指
- 股関節
- あご
主な症状は痛みや腫れ、あざ、変形などです。
治療は、医師が手で関節を正常な位置に戻す、整復と呼ばれる処置が一般的です。整復後は、関節の安定や再発防止のために、1~3週間ほど動かさないように固定します。
脱臼してから時間が経つと、外れた関節を元に戻しにくくなるので、早めに整形外科を受診しましょう。
痛風
痛風は血液中の尿酸値が高くなり、関節に尿酸の結晶が蓄積して強い痛みと炎症が起きる病気です。血液中の尿酸値が高くなる原因は、アルコールやプリン体を多く含む食品の過剰摂取などが挙げられます。
中年期の男性や閉経後の女性、メタボリックシンドロームの方は、痛風が発症しやすい傾向にあります。
症状の特徴を、以下にまとめました。
- 関節に突然激しい痛みが起こる
- 腫れや発赤を伴う場合がある
- 夜間に多い
- 足の親指の付け根に多い
痛風の治療では、安静やアイシングの他に、炎症を緩和する薬や尿酸値を下げる薬、尿酸の結晶を溶かす薬を使用した薬物療法が代表的です。
痛風を放置して発作を繰り返すと、関節が変形して機能が低下する恐れがあります。日常生活に支障をきたす前に、医療機関で適切な処置を受けましょう。
関節リウマチ
関節リウマチは免疫システムの異常により、自身の関節や細胞を攻撃して炎症を起こす疾患です。
炎症を起こした関節は、関節の内側の組織である滑膜が腫れて軟骨や骨、靭帯などが損傷し、放置していると関節の変形に繋がる恐れがあります。
関節リウマチの症状は、以下の通りです。
- 関節の腫れ・痛み
- 関節を動かさなくても痛む
- 手足や手首の関節で起こりやすい
- 左右の関節同時に症状が起こりやすい
関節リウマチは、30~50代の女性に発症しやすく、関節を動かさなくても痛む点が特徴的です。手足や手首の関節が動かさなくても痛む方は、リウマチ科や内科、整形外科などを受診してリウマチの専門医に診てもらいましょう。
変形性関節症
変形性関節症は、膝関節や股関節などの軟骨や周囲の組織が損傷して炎症し、痛みや腫れを引き起こす疾患です。膝や股関節の軟骨は関節包の内部にあり、骨の表面を覆って骨と骨がぶつからないようクッションの役割を果たしています。
初期症状では動き始めに違和感や痛みを感じる程度ですが、症状が進行すると関節が腫れて変形し、日常生活に支障をきたすほどの痛みを感じる場合があります。
主な原因は加齢で、O脚やX脚、痛風、関節リウマチ、肥満なども挙げられます。
変形性関節症の治療法は、以下の通りです。
- 理学療法:アイシング、サポーターの活用、ストレッチ、筋力強化
- 薬物療法:痛み止めの服用、ヒアルロン酸の注射
- 手術:人工関節に置き換える手術
- 再生医療:自身の幹細胞を活かして、損傷した関節の修復を目指す
変形性関節症は少しずつ進行する病気なので、膝や股関節に痛みや違和感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
【関連記事】
変形性膝関節症の初期症状とは?原因や治療方法もわかりやすく解説
再生医療は股関節や膝関節などの疾患に対する治療選択肢
股関節や膝関節など、関節の疾患に対する新たな治療法一つに、再生医療があります。
再生医療の幹細胞治療では、患者様の脂肪を少量採取し、幹細胞を抽出・培養したものを患部に注射します。
患者様自身の細胞を使うため副作用のリスクが小さく、入院を伴うような大きな手術も必要がありません。患者様の負担が少ない治療法です。
股関節や膝関節などの疾患にお悩みの方は、再生医療による治療もご検討ください。
再生医療に関する詳細は、以下をご覧ください。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
まとめ|関節の種類やしくみを知って怪我を予防しよう
関節は、肘や膝などの骨と骨のつなぎ目にあり、関節包や滑膜、滑液などで構成され、骨同士がぶつからないようにしたり、滑らかな動きを可能にしたりします。
関節の怪我・病気には、ねんざや脱臼、痛風、関節リウマチ、変形性関節症などがあります。どの病気も早期の治療が必要な場合や、徐々に症状が進行する場合があるため、異変があれば早めに医療機関を受診しましょう。
また、関節の疾患に対しては、再生医療による治療も選択肢の一つです。再生医療による治療に興味のある方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
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