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動画でみるインタビュー
実際に当院で治療を受けられた患者さんによるインタビュー動画です。
患者さまのインタビュー
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膝にまつわる症例紹介
具体的な症例紹介を解説しています。
両変形性膝関節症に幹細胞治療 70代女性
幹細胞の治療効果に大変満足! こちらの患者様は1年前から両膝の関節の痛みに悩まれており、症状を改善したいとの思いで当院へ受診していただきました。 近くの整形外科では初期の変形性ひざ関節症と診断されました。特によく歩いた後などに膝に水が溜まってしまうことがあり、1か月おきに水を抜いてヒアルロン酸注射を打ってもらっていました。最近ではすぐに膝に水が溜まってしまい、ヒアルロン酸注射や内服薬の効果も薄れてきたそうです。主治医からは軟骨はまだ残っているので人工関節をするのはもったいないと言われたそうです。最近では痛みがさらに酷くなったため、(注射や内服よりも効果のある)より良い治療法を求めて当院を受診されました。 末期の変形性膝関節症で人工関節を勧められて人工関節を回避したいと当院を受診していただく患者様はもちろんのこと、初期・中期の変形性関節症で効果的な治療を求めて当院へ受診される患者様もたくさんおられます。 幹細胞治療の効果は重症度に関わらず治療効果実感されていますが、特に初期や中期は治療成績が良好で、注射、内服、リハビリなどの保険診療の範囲での治療に満足いただけず、効果的な治療を求めている患者様に大変お勧めの治療法です。その良好な治療効果は当院の細胞の質と量へのこだわりによるものと考えています。 当院での細胞培養技術は投与する細胞の生存率はなんと90%以上を誇っています。これは一般的な再生医療のクリニックで使用する細胞の生存率が60%ほどであることを比べると群を抜いた数字です。当院では、冷凍せず培養された幹細胞を、投与のたびに、その都度ていねいに初めから培養を行います。しかし、国内のほとんどの施設では複数回投与する場合でも、一度にまとめて培養して冷凍保存します。そして投与するときは、それらを解凍してそのまま投与します。幹細胞は解凍する際に大きなダメージを受け生存率が大幅に低下し、さらに生きている細胞も弱々しいものとなります。弱々しい幹細胞を関節に投与しても、期待したほどの軟骨の再生・修復が果たせなくなってしまいます。 さらに、当院では米粒2~3粒程度の脂肪を採取するだけで、1億個以上の生き生きとした強い幹細胞の培養が可能です。一般的なクリニックでは1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると細胞数も群を抜いています。投与する幹細胞の生存率が高ければ高いほど、数が多ければ多いほど再生される軟骨が多いことは海外の文献で明らかなになっています。さらに数多くの生き生きした強い幹細胞を重ねて投与することもおすすめで、投与するたびに軟骨欠損部に1層また1層と軟骨が再生を促進し、幹細胞治療後の何年もの間にわたって、痛みのない関節を獲得することが期待できます。 レントゲン所見 レントゲンは両膝とも関節の隙間が狭くなっています。 <治療効果>両膝に5000万個の幹細胞を3回投与+PRP この患者様は両膝に5000万細胞ずつ計3回投与しました。 その結果、初回投与半年後には両膝の痛みは投与前10段階中で6あった痛みが0になりました。 3年ぶりに当院を受診していただいた際にお話しを聞くと、現在も両膝の痛みは出ていないとのことでした。その治療効果に患者様は大変満足された様子でした。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 監修:坂本貞範
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ひざ関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
両変形性股関節症・膝関節症の痛みが激減!国内で唯一の『次世代の幹細胞治療』
関節症の痛みが激減!国内で唯一の次世代の幹細胞治療 当院は、「次世代の再生医療」とも言われる、【分化誘導】を用いた治療を厚生労働省に届出し受理された、唯一の医療機関です。 分化誘導とは、独自の培養技術を活用し、傷ついた関節軟骨の土台を整え必要な箇所に必要なものを、効率的に修復します。従来の幹細胞治療とは一線を画し、幹細胞治療の効果を最大限に引き出すことで、関節軟骨の大きな修復と改善を実現します。 今後の医療の主流となるこの画期的な治療法で、さらに多くの可能性を切り開きます。 この患者様は、両変形性股関節症と両変形性膝関節症の診断を受けていました。日常生活は自立しているものの、歩行時には跛行が見られていました。左鼠径部から膝下にかけて痛みを感じており、階段の上り下りに膝の痛みが増して大変お困りのご様子でした。 患者様のご都合もあり、整形外科になかなか通院できておらずリハビリも行えていませんでした。「手術は避けたい」というご希望から、当院の【次世代の幹細胞治療】を選択されました。 次世代の幹細胞治療とは まず、関節の痛みは、軟骨がすり減りその下にある軟骨下骨が損傷することで生じます。関節軟骨の修復には、この軟骨下骨(土台)を修復させることが重要で、軟骨下骨が多く生成されるほど軟骨の生成も増加します。 【次世代の再生医療】では、幹細胞を分化誘導することで軟骨下骨を効率的に修復を促し、従来よりも多くの軟骨を修復することが可能となりました。この独自の培養技術により、痛みの大幅な軽減や関節機能の改善に最大限の効果を発揮できるように導きます。 国内ではほとんどが培養した幹細胞を一度冷凍し、投与する際に解凍する方法をとります。解凍する際には幹細胞は大きなダメージを受け、生存率がかなり低下し、さらに、生きている細胞も弱々しいものとなります。これでは関節にせっかく投与しても十分な軟骨の 修復が果たせなくなってしまいます。 当院では、米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで、1億個以上の数まで生き生きとした細胞の培養が可能です。一般的なクリニックで1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると、細胞数も群を抜いています。当院では生きたまま冷凍せず培養し、さらに化学薬品を使わず無添加で培養します。さまざまな工夫をし、強い細胞を作ることにこだわっています。 <治療効果>股関節と膝関節に幹細胞を投与+PRP 幹細胞投与を行いました。 治療後、患者様の関節の疼痛は10段階中「8」から「4」へと半減。疼痛が軽減したことで、歩行時の負担が軽くなり、階段昇降時の痛みも大きく緩和されました。 患者様は、治療後も日常生活の中で運動機会を意識的に増やし、さらに疼痛軽減を図っています。痛みが軽くなったことで動きやすさが向上し、より活動的な生活を送ることが可能となっていきます。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 監修:院長 坂本貞範
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ひざ関節の症例
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股関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
両変形性膝関節症 幹細胞治療 70代女性
幹細胞治療で膝に水も溜まらなくなり、痛みも軽減! こちらの患者様は3年前からの両膝関節痛のため受診していただきました。 近くの整形外科では末期( 関節軟骨がほぼ消失している状態)の変形性関節症と診断され、膝に炎症が起こり水が溜まるので何度も水を抜いてもらっていたそうです。 特に左膝の痛みは10段階中10と強く、歩くのが困難でトイレにすら行けないこともあるそうです。 末期の関節症であるため、主治医からは人工関節を勧められました。しかし、手術時の出血、感染、深部静脈血栓症などの合併症、入院期間、リハビリ期間、術後はアクティブな行動は制限されること、などを考えると手術には踏み切れずにいたそうです。そんな中、再生医療に興味を持たれ当院を受診していただきました。 幹細胞治療において一般的には、末期の変形性膝関節症に対しての治療効果は初期、中期に比べると劣ってしまうと言われています。当院では末期の変形性膝関節症に対しても積極的に治療を行い、患者様に満足のいく治療効果をもたらしてきました。その良好な治療効果は、当院の細胞の質と量へのこだわりによるものと考えています。 当院は細胞培養技術がトップクラスの施設と提携しており、投与する細胞の生存率は90%以上を誇っています。これは、一般的な再生医療のクリニックで使用する細胞の生存率が60%ほどであることと比べると群を抜いた数字です。 国内ではほとんどが培養した幹細胞を一度冷凍し、投与する際に解凍する方法をとります。解凍する際には幹細胞は大きなダメージを受け、生存率がかなり低下し、さらに、生きている細胞も弱々しいものとなります。これでは関節にせっかく投与しても十分な軟骨の 修復が果たせなくなってしまいます。 当院では、米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで、1億個以上の数まで生き生きとした細胞の培養が可能です。一般的なクリニックで1千万個ほどの幹細胞を投与していることと比べると、細胞数も群を抜いています。当院では生きたまま冷凍せず培養し、さらに化学薬品を使わず無添加で培養します。さまざまな工夫をし、強い細胞を作ることにこだわっています。 レントゲン所見 <治療効果>左膝に4000万個細胞、右膝に6000万個細胞を計4回投与+PRP 右膝に4000万個細胞、痛みの強い左膝には6000万個細胞を計4回行いました。 その結果、1年後には右膝は投与前10段階中6であった痛みが0に、左膝は投与前10であった痛みが1まで軽減しました。 患者様には「整形外科で膝の水を何回抜いてもらっても、溜まっていたのに今では水も溜まらなくなり痛みもなくなり、すごくうれしいです。」と喜んでもらえました。 両膝の末期の変形性関節症であったとしても、細胞の質と量にこだわり強い幹細胞を投与し治療をすれば、患者様に満足のいく治療効果をもたらすことができるのだと確かな手ごたえを感じることができました <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 再生医療医師監修:坂本貞範
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ひざ関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
両膝半月板損傷・両変形性膝関節症・左変形性手関節症・TFCC損傷に幹細胞治療 60代女性
今回の治療もよく効いてうれしい!幹細胞治療の効果 こちらの患者様は、数か月前からの両膝関節痛と左手関節痛のため受診していただきました。 患者様は以前、両変形性股関節症のため人工関節置換術を勧められていましたが、当院での幹細胞治療により人工関節を回避でき現在も痛みなく日常生活を送られています。趣味のヨガ、水泳、旅行を楽しまれているとのことでした。今回は、両膝と左手関節の治療に来ていただきました。 診察の結果、両膝の初期の変形性関節症と半月板損傷、左手関節はTFCC損傷と診断しました。TFCCとは手関節の小指側にある靭帯と線維軟骨の複合体のことで、手をついて転倒し強い捻りと背屈が強制されると損傷します。 こちらの患者様は以前に手関節の骨折を受傷した既往があり、その時に同時にTFCCを損傷した可能があります。変形性膝関節症の軟骨破壊は炎症と半月板・ 軟骨などの組織変性によって進行すると言われています。炎症を抑えると共に損傷した組織を再生することができれば、関節鏡や人工関節などの手術までの時間を延長できたり回避できると言われています。一旦人工関節になると、耐用性の問題などからアクティブな活動がかなり制限されてしまうため、高い生活の質を確保すると言う意味では人工関節までの時間を延長することはかなり意義のあることです。 唯一、関節内の抗炎症作用と組織修復・ 再生作用を持ち合わせるのが細胞を用いた再生医療です。当院では再生医療の黎明期から肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、足関節とすべての関節に対して積極的に幹細胞治療を行い、患者様に満足のいく除痛効果をもたらすと同時に手術を回避することを可能としてきました。 こちらの患者様にも幹細胞治療を行うと除痛効果はもちろんのこと、損傷した半月板、軟骨、TFCCを再生・ 修復し変形性関節症の進行を予防し、手術を回避できると考え、股関節同様に幹細胞治療をお勧めしました。 レントゲン所見 レントゲンでは両膝にはごく軽度の関節裂隙の狭小化を認めました。左手関節は尺骨がごくわずかに橈骨に比べて長いことがわかります。 <治療効果>両膝と手関節に計1億個の幹細胞を投与+PRP 右膝に6000万個細胞、左膝に3000万個細胞、左手関節に1000万個細胞を1回投与しました。 その結果、3か月後には右膝は投与前10段階中2であった痛みが0に、左膝は投与前1であった痛みが0に、左手関節は投与前6であったのが1まで軽減しました。 手関節の治療は、本来は難しいのですが、当院の冷凍せず特殊なシートで培養された生存率の高い幹細胞であるからここまで痛みが軽減したものと自負しております。 患者様には「前回の股関節の治療と同様に、今回の治療もよく効いてとてもうれしいです。」と喜んでいただけました。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円( 税込 ) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 再生医療医師監修:坂本貞範
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ひざ関節の症例
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半月板の症例
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手関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
変形性膝関節症の漁師さん 60代男性
両変形性膝関節症に幹細胞治療 こちらの患者様は10年前からの左膝関節痛、1年前からの右膝関節痛のため受診していただきました。 南の島で漁師をしている患者様は、仕事で膝へ負担がかかり両膝の痛みが出たと自己分析しておられました。近くの整形外科では両膝の進行期の変形性関節症と診断されました。ヒアルロン酸注射や内服での保存的加療を行ってきましたが、最近は痛みが悪化し漁師の仕事に支障をきたすようになったそうです。 いったん人工関節をしてしまうと耐用性の問題、可動域の問題などから仕事復帰が難しくなるため、選択肢にはないそうです。まだまだ引退することを考えていない患者様は、再生医療を頼って受診されました。 当院の変形性膝関節症の幹細胞治療効果は、進行期の患者様から末期の患者様まで、多くの方々に治療を提供しています。患者様からは、症状の改善や生活の質の向上について、様々な肯定的なフィードバックをいただいております。個々の状況や進行度によって結果は異なりますが、多くの患者様に満足いただいています。その良好な治療効果は、当院の細胞の質と量へのこだわりによるものと考えています。 当院では冷凍せず幹細胞を培養し、さらに投与する度に培養しているため細胞の生存率は90%以上を誇っています。国内のほとんどのクリニックでは一度に培養して幹細胞を一度冷凍し、投与する際に解凍する方法をとります。それでは解凍する際に幹細胞は大きなダメージを受け、生存率が60%まで低下し、さらに生きている細胞も弱々しいものとなります。 さらに米粒2~3粒程度の脂肪細胞を採取するだけで1億個以上の数まで生き生きとした細胞の培養が可能です。これは、細胞培養時に用いる独自の特殊なシートや繊細な技術をもつ培養師さんのおかげです。一般的なクリニックでは生存率60%の2千万個ほどの幹細胞を投与しているため、実際には生きている細胞は1000万個ほどになってしまいます。一方、当院では冷凍せず培養された生き生きした幹細胞を1億個まで投与可能です。幹細胞の数が多いほど多く軟骨が再生され治療効果が高いということは海外の臨床データで実証済みです。 さらにご自身の血液を用いてかつ不純物や化学薬品を排除して培養しているため、アレルギー反応や副作用の心配もありません。 レントゲン所見 レントゲンでは両膝とも内側関節裂隙の狭小化を認めました。左の方が狭小化は強いです。 <治療効果>左膝に7000万個細胞を計3回、右膝に3000万個細胞を計3回投与+PRP 変形と痛みが強い左膝には7000万個細胞を計3回、右膝には3000万個細胞を計3回投与しました。 その結果、初回投与から3か月後には、左膝は投与前10段階中で9あった痛みが3に、右膝も投与前3であった痛みが0まで軽減しました。 今後も1年ほどかけて、左膝の痛みは軽減していくと思われます。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) <起こりうる副作用> ・細胞採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000139 再生医療医師監修:坂本貞範
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ひざ関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
両変形性膝関節症 幹細胞治療 70代男性
人工関節にするしかないかと諦めていたが、幹細胞治療にかけてよかった! こちらの患者様は40代からの左膝痛で受診していただきました。 整形外科への通院歴は40代からと長く、溜まった水を時々抜いてはヒアルロン酸の関節内注射で痛みをしのいできたそうです。ここ数か月はヒアルロン酸注射でも全く痛みが引かず、かかりつけ医には「末期の変形性関節症で人工関節しか手立てがない」と言われたそうです。 自分の脚で一生歩き続けたいという強い意思をお持ちの患者様は、人工関節は断固拒否、自分の膝を残すことができる再生医療に希望を見出し当院を受診していただきました。 レントゲン所見 レントゲンでは両膝の関節裂隙はほとんど消失しており、末期の変形性関節症でした。見た目もO脚変形が見られました。 当院では冷凍保存しない生き生きした細胞はもちろんのこと、米粒2~3粒程度の脂肪を採取するだけで1億個以上の数まで細胞を培養できます。これは他の幹細胞クリニックと比べて群を抜いた数です。生き生きした大量の細胞を損傷部位にピンポイントで投与するため、この患者様の膝同様に、骨と骨がくっついている末期の変形性関節症であっても疼痛が十分に軽減した経験を多数有しています。 一般的医療機関で行われている、冷凍している幹細胞であればO脚変形している膝に対しての再生医療はお断りされる例がよくあります。とはいえ当院でも、末期でもO脚変形のかなりきつい関節症に幹細胞投与を行っても、思うように効果が見られなかったケースがあるのも事実です。そのことを正直にお話すると、それでも当院での幹細胞治療にかけてみたいと治療を受けていただくこととなりました。 <治療効果>両膝に計5000万個の幹細胞を計3回投与+PRP 両膝に5000万個細胞ずつ、トータル1億個を計3回投与しました。 その結果、半年後には痛みは投与前10段階中7であったのが0.5まで軽減しました。 私達も末期の関節症であってもここまで疼痛が軽減できるものかとあらためて幹細胞治療の力に驚かされました。 <治療費> ・関節1部位 幹細胞数 ( 2500万個~1億個 ) 投与回数( 1回 )132万円( 税込 )/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) <起こりうる副作用> ・脂肪採取部の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。 ・症状によりMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。 ※こちらでご紹介している症例は一部の患者様です。掲載以外の症例も多数ございます。ご自身の症状については、お気軽にご相談ください。 ID T000469 再生医療医師監修:坂本貞範
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ひざ関節の症例
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幹細胞治療の症例
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PRP治療の症例
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変形性膝関節症とは 整形外科医が徹底解説
膝の痛み、特に立ち上がりや階段の昇り降りで感じていませんか? それは、変形性膝関節症の初期症状かもしれません。実は、この変形性膝関節症、40代から増加し始め、60代では多くの方が経験すると言われています。加齢だけが原因ではなく、体重、過去の怪我、遺伝、さらには関節リウマチなどの他の疾患も関係していることをご存じでしょうか? この記事では、変形性膝関節症の症状、原因、そして初期から末期までのステージ分類を詳しく解説。さらに、日常生活での予防策や、効果的な治療法についてもご紹介します。将来の膝の健康を守るための第一歩として、ぜひご一読ください。 変形性膝関節症の症状を詳しく解説 膝の痛みや違和感。それらは、変形性膝関節症の初期症状である可能性があります。初期症状は軽く、日常生活に大きな影響がないため、放置してしまう方も少なくありません。しかし、変形性膝関節症は進行性の疾患であり、放置すると日常生活に深刻な支障をきたす可能性があります。早期発見・早期治療が非常に重要です。 この記事では、変形性膝関節症の症状を初期、中期、末期の段階に分け、具体的な症状やメカニズムを分かりやすく解説します。 初期の自覚症状 初期の変形性膝関節症では、立ち上がりや歩き始めなど、動作開始時に軽い痛みを感じることがあります。これは、安静にしている間に膝関節内に溜まった滑液が、動き出す際に一時的に痛みを生じるためです。階段の上り下りや正座など、膝に負担がかかる動作でも痛みを感じやすくなります。 この段階では、休むことで痛みが軽減することが多く、日常生活への影響は比較的軽微です。朝のこわばりも30分以内におさまることが一般的です。この初期症状は、関節の軽度の炎症や軟骨のすり減り始めによって引き起こされます。健康な軟骨はクッションの役割を果たし、骨同士の摩擦を防いでいますが、軟骨がすり減ると骨同士が直接接触しやすくなり、痛みや炎症が生じるのです。 多くの場合、初期症状は「年のせいかな」「少し休めば治るだろう」と安易に考えてしまいがちです。しかし、これらの症状が続く場合は、変形性膝関節症の初期段階である可能性を考慮し、医療機関への受診をおすすめします。早期に適切な治療を開始することで、症状の進行を遅らせ、日常生活の質を維持することができます。 中期の自覚症状 中期になると、痛みの程度が強まり、持続時間も長くなります。安静時にも痛みを感じるようになり、日常生活にも支障が出始めます。例えば、15分以上続けて立っていたり、歩いたりすることが難しくなる、階段の上り下りで手すりが必要になる、椅子から立ち上がる際に痛みでためらう、といった症状が現れます。 また、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、可動域が制限されます。正座が困難になる、深くしゃがめないといった動作の制限も顕著になります。さらに、関節内に炎症性の液体が溜まり、膝が腫れて熱を持つ、といった症状が現れることもあります。日常生活動作の制限や痛みの増強により、QOL(生活の質)の低下が見られるようになります。 末期の自覚症状 末期の変形性膝関節症では、常に強い痛みがあり、日常生活に大きな支障をきたします。歩くことも困難になり、杖や歩行器、車椅子などの補助具が必要になることもあります。膝の変形が進行し、O脚やX脚が目立つようになります。関節の隙間がほとんどなくなり、骨と骨が直接擦れ合うことで、耐え難いほどの強い痛みを生じます。 夜間にも痛みが続くようになり、睡眠不足や疲労の蓄積につながることもあります。日常生活の多くの動作が制限され、入浴や着替え、トイレなどの基本的な動作にも介助が必要になることもあります。 変形性膝関節症に伴う様々な痛み 変形性膝関節症の痛みは、炎症、軟骨のすり減り、骨棘の形成など、様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされます。炎症による痛みは、ズキズキとした拍動性の痛みであることが多いのに対し、軟骨のすり減りによる痛みは、鈍い痛みや違和感として感じられることが多いです。 骨棘は、骨の端にできる突起物であり、これが神経を刺激することで鋭い痛みを引き起こします。痛みの種類や程度は、疾患の進行度や個々の状態によって大きく異なります。 関節水腫(水が溜まる) 関節水腫は、炎症によって関節内に過剰な滑液が溜まることで起こります。膝が腫れぼったくなり、熱感や圧痛を伴うこともあります。関節水腫は、変形性膝関節症の中期から末期にかけてよく見られる症状です。炎症が強い時期には関節液が黄色みを帯びることがあり、細菌感染が疑われる場合は関節液を採取して検査を行うこともあります。 変形によるO脚、X脚 変形性膝関節症が進行すると、膝関節の変形が進行しO脚やX脚になることがあります。これは、関節軟骨のすり減りや靭帯の緩み、骨棘形成、筋肉のアンバランスなど、複数の要因が複雑に絡み合って生じます。O脚やX脚は、見た目の問題だけでなく、膝への負担をさらに増やし、症状を悪化させる可能性があります。進行した変形性膝関節症では、O脚変形がより多くみられます。 クリック音、ロッキング 変形性膝関節症では、膝を動かした際にクリック音やゴリゴリとした音が鳴ることがあります。これは、軟骨の表面が粗くなったり、骨棘が形成されたりすることで起こります。また、ロッキングという症状が現れることもあります。ロッキングとは、膝が急に動かなくなったり、曲がったまま伸びなくなったりする症状です。これは、関節内の遊離体(剥がれた軟骨片など)が関節の動きを妨げることで起こります。ロッキングは、半月板損傷でも同様の症状が現れるため、鑑別が必要です。 変形性膝関節症は進行性の疾患であるため、早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、整形外科を受診し、適切な検査と治療を受けることをお勧めします。 変形性膝関節症の原因5選 膝の痛み、特に立ち上がりや階段の上り下りで痛む場合、変形性膝関節症が疑われます。加齢や体重以外にも様々な原因が考えられますので、5つの原因に分けて解説します。 加齢による軟骨の老化 年齢を重ねると、肌のハリが失われるように、膝関節の軟骨もすり減ってしまいます。軟骨は骨同士のクッションの役割を果たしています。この軟骨が加齢により薄くなったり、ひび割れたりすることで、骨同士が直接こすれ合い、炎症や痛みを引き起こします。 40代以降から増加し始め、60代では多くの方が経験すると言われています。これは、軟骨を構成するコラーゲンやプロテオグリカンといった成分が、加齢とともに変化し、水分含有量が減少するためです。結果として、軟骨の弾力性や強度が低下し、損傷しやすくなります。加齢は誰にも訪れるものですが、その進行を遅らせるための努力は可能です。適度な運動やバランスの取れた食事を心がけることは軟骨の健康維持に繋がり、変形性膝関節症の予防に繋がります。 肥満による膝への負担増加 体重が増加すると膝への負担も増大します。変形性膝関節症は体重増加と強い関連性があります。体重が1kg増えるごとに、膝には3~6kgの負担がかかると言われています。10kgの体重増加は、膝に最大60kgもの負担をかけることになります。肥満は、軟骨のすり減りを加速させ、炎症を悪化させる可能性があるため、変形性膝関節症の大きなリスク要因です。 肥満の方の手術においては、術後合併症のリスクが高いことが報告されています。適切な術前評価、術中管理、術後サポートは安全な手術のために不可欠です。体重管理は変形性膝関節症の予防と治療において非常に重要です。目標体重を定め、医師や栄養士の指導のもと、無理なく継続できる食生活の改善や運動療法に取り組みましょう。 遺伝的要因 変形性膝関節症は遺伝的要因も影響します。両親や祖父母が変形性膝関節症の場合、発症リスクが高まる可能性があります。これは、軟骨の質や骨の形状などが遺伝的に受け継がれるためと考えられています。具体的には、コラーゲン遺伝子の変異や、軟骨の代謝に関わる遺伝子の多型などが、変形性膝関節症のリスクを高めることが報告されています。遺伝的要因は自身でコントロールできませんが、遺伝的リスクが高い場合でも、生活習慣を改善することで発症リスクを軽減したり、症状の進行を遅らせたりすることが可能です。 スポーツなどによる膝への過度な負担、外傷 スポーツ選手のように、膝に繰り返し大きな負担がかかる活動をしている方は、変形性膝関節症のリスクが高くなります。ジャンプやランニングなどの動作は、膝関節に大きな衝撃を与え、軟骨の損傷や炎症を引き起こす可能性があります。 特に、スポーツによる急激な方向転換や、不適切なフォームでの運動は、膝関節に過剰なストレスをかけ、半月板や靭帯の損傷に繋がる可能性があります。これらの損傷は、将来的に変形性膝関節症のリスクを高めるため、注意が必要です。過去に膝の怪我を経験した人も、変形性膝関節症を発症しやすいため、適切なリハビリテーションと、再発予防のための運動指導を受けることが重要です。 その他の要因(関節リウマチ、痛風など) 関節リウマチや痛風などの疾患も、変形性膝関節症の原因となることがあります。関節リウマチは自己免疫疾患であり、免疫システムが自身の関節組織を攻撃することで炎症が生じます。痛風は、尿酸が関節に蓄積し結晶化することで炎症を引き起こす疾患です。 これらの疾患は慢性的な炎症を引き起こし、軟骨の破壊を促進するため、変形性膝関節症の進行を加速させる可能性があります。また、細菌感染による化膿性関節炎も、軟骨の損傷を引き起こし、変形性膝関節症のリスクを高めます。これらの疾患が疑われる場合は、早期に専門医を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 変形性膝関節症とは 整形外科医が徹底解説 変形性膝関節症のステージ分類と診断方法 膝の痛みは、多くの人が経験するありふれた症状です。しかし、その裏には深刻な疾患が潜んでいる可能性があります。変形性膝関節症は、まさにその代表格と言えるでしょう。初期には「年のせいかな」「少し休めば治るだろう」と軽く考えがちですが、進行すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 変形性膝関節症は、大きく分けて0~4の5つのステージに分類されます。ご自身の膝の状態を把握し、適切な治療を受けるために、まずはこのステージ分類について理解を深めていきましょう。 ステージ0(正常) ステージ0は、まさに健康な膝の状態です。X線検査で異常所見は見られず、関節軟骨は滑らかで、骨にも変形はありません。痛みや違和感といった自覚症状もありません。 この状態を維持するためには、日頃から膝の健康に気を配ることが重要です。具体的には、適度な運動、バランスの取れた食事、適切な体重管理などが挙げられます。若い頃からこれらの習慣を身につけることで、将来の変形性膝関節症リスクを低減することができます。 ステージ1(軽度) ステージ1では、X線検査でわずかな骨棘という骨の突起が見られることがあります。骨棘とは、骨の端にできる小さな骨の隆起です。これは、骨がわずかに変形し始めているサインと言えるでしょう。 関節軟骨のすり減りは軽度であり、自覚症状もほとんどありません。しかし、激しい運動後などに軽い痛みや違和感を感じることがあります。階段の上り下りや立ち上がりといった動作で、違和感や軽い痛みを感じる場合も、ステージ1の可能性があります。 この段階では、日常生活への影響は軽微ですが、膝への負担を軽減するよう心がけることが大切です。長時間の立ち仕事や重いものを持つ作業などを控え、膝を労わるようにしましょう。 ステージ2(中等度) ステージ2になると、X線検査で関節裂隙の狭小化が明らかになります。関節裂隙とは、大腿骨と脛骨の間の隙間のことです。この隙間が狭くなるということは、関節軟骨がすり減ってきていることを意味します。 骨棘も大きくなり、膝の変形も徐々に目立つようになってきます。階段の上り下りや正座で痛みを感じることが多くなり、日常生活にも支障が出始めます。15分以上続けて立っていたり、歩いたりすることが難しくなる方もいます。 この段階では、薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法が中心となります。痛みを我慢せず、医療機関を受診し、専門医の適切な指導を受けることが重要です。 ステージ3(重度) ステージ3では、関節軟骨のすり減りがさらに進行し、X線検査で関節裂隙がほとんど消失しているように見えます。骨棘はさらに発達し、軟骨下骨と呼ばれる骨の部分が硬くなっているのが確認できます。軟骨下骨は、関節軟骨の下にある骨の層です。この部分が硬くなることで、さらに痛みが増強されます。 膝の痛みは強くなり、安静時にも痛みを感じるようになります。日常生活動作にも大きな制限が生じ、歩行が困難になることもあります。杖や歩行器が必要になる方もいます。夜間の痛みで睡眠が妨げられ、生活の質が著しく低下します。 このステージでは、手術療法が検討されることもあります。患者さんの状態や生活スタイル、希望などを考慮し、最適な治療法を選択していきます。 ステージ4(末期) ステージ4は、変形性膝関節症の末期です。関節軟骨はほとんど消失し、骨と骨が直接ぶつかり合う状態になっています。X線検査では、関節裂隙が完全に消失し、骨の変形も著明です。 強い痛みのため、歩行が非常に困難になり、日常生活のほとんどの動作に介助が必要となる場合もあります。入浴や着替え、トイレといった基本的な動作にも苦労するようになります。 このステージでは、人工関節置換術が有効な治療法となることが多いです。人工関節置換術とは、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。この手術により、痛みを軽減し、日常生活の活動性を向上させることができます。 X線検査、MRI検査、CT検査、血液検査 変形性膝関節症の診断には、X線検査が最も重要です。X線検査では、骨棘の形成、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化などの特徴的な所見を確認することができます。変形性膝関節症のステージ分類も、X線検査の結果に基づいて行われます。 MRI検査は、関節軟骨や靭帯、半月板などの軟部組織の状態を詳しく評価する際に有用です。軟部組織とは、骨以外の組織、つまり筋肉、靭帯、腱、軟骨などを指します。これらの組織の状態を詳しく見ることで、より正確な診断が可能になります。 CT検査は、骨の変形の程度をより詳細に把握するために用いられることがあります。CT検査では、X線を使って体の断面画像を撮影します。これにより、骨の微細な構造まで確認することができます。 血液検査は、他の関節疾患との鑑別や、炎症の有無などを確認するために実施されることがあります。例えば、関節リウマチなどの炎症性疾患では、血液検査で炎症反応が上昇することがあります。 これらの検査を組み合わせて、患者さんの状態を正確に診断し、適切な治療計画を立てていきます。膝の痛みや違和感を感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診し、専門医の診察を受けることをお勧めします。早期発見・早期治療が、変形性膝関節症の進行を抑制し、より良い生活を送るための鍵となります。 変形性膝関節症の治療法4選とそれぞれのメリット・デメリット 膝の痛みは、日常生活に大きな影を落とします。特に、立ち上がる時、歩き出す時、階段を昇り降りする時の痛みは、変形性膝関節症のサインかもしれません。 この記事では、変形性膝関節症の治療法を4つのカテゴリーに分けて解説します。それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解し、ご自身の状態に合った治療法を見つけるための一助としてください。 保存療法(薬物療法、注射、リハビリテーションなど) 保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。具体的には、薬物療法、注射療法、リハビリテーションなどがあります。 保存療法のメリットは、身体への負担が少ないことです。手術のような大きな侵襲がないため、日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を進めることができます。高齢者や合併症のある方でも比較的安全に受けることができます。また、変形性膝関節症の初期段階では、保存療法だけで症状が改善する場合も多いです。 一方で、保存療法では変形の進行を完全に止めることは難しいです。症状が一時的に改善しても、時間の経過とともに再び悪化することがあります。また、重度の変形性膝関節症の場合、保存療法では十分な効果が得られないこともあります。 保存療法は、変形が軽度から中等度の段階で、日常生活に支障がない程度の痛みの場合に特に有効です。Hussainらの研究(2016)でも、保存療法は地域社会で実施可能な治療法として推奨されています。 手術療法(骨切り術、人工関節置換術) 保存療法で効果がない場合や、変形が進行している場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、大きく分けて骨切り術と人工関節置換術の2種類があります。 骨切り術は、骨を切って変形を矯正する手術です。比較的若い患者さんや、変形が軽度から中等度で、膝の内側に変形が集中している場合に適応されます。この手術の最大のメリットは、自分の関節を残せることです。Zhangらのメタ分析(2023)では、高位脛骨骨切り術(HTO)は単顆人工膝関節置換術(UKA)に比べて再手術率が低いことが示されています。しかし、骨がくっつくまでに数ヶ月かかり、スポーツへの復帰にはさらに時間を要します。 人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。痛みが強い、変形が高度な場合に適応されます。人工関節置換術には、関節の一部分だけを置き換える単顆置換術と、関節全体を置き換える全置換術があります。単顆置換術は、手術の侵襲が少なく、術後の回復も早いというメリットがありますが、適応が限られます。全置換術は、より多くの患者さんに適応できますが、手術の侵襲が大きく、術後のリハビリテーションに時間を要します。Rossiら(2019)は、重度の内反膝変形に対する人工膝関節置換術で良好な転帰が得られると報告しています。 薬物療法(痛み止め、ヒアルロン酸注射) 薬物療法は、痛みや炎症を抑えることを目的とした治療法です。飲み薬、湿布薬、座薬などさまざまな種類があり、痛みの程度や患者さんの状態に合わせて使い分けられます。 痛み止めは、炎症や痛みを抑えることで日常生活を楽にする効果があります。比較的速やかに効果が現れることが期待できますが、根本的な治療法ではありません。痛み止めは対症療法であり、変形性膝関節症の原因そのものを取り除くことはできません。 ヒアルロン酸注射は、関節内のヒアルロン酸を補うことで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減する効果が期待できます。ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節のクッションの役割を果たしています。変形性膝関節症では、関節内のヒアルロン酸が減少しているため、ヒアルロン酸注射によって関節機能の改善が期待できます。しかし、効果の持続期間には個人差があり、定期的な注射が必要となる場合もあります。 理学療法、運動療法 理学療法、運動療法は、膝関節周囲の筋肉を鍛え、関節の安定性を高め、痛みの軽減と機能改善を図る治療法です。具体的には、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)のトレーニングや、ストレッチなどが行われます。 これらの運動は、痛みが強くない範囲で行うことが重要です。理学療法士の指導のもと、適切な運動プログラムを作成してもらい、無理なく継続していくことが大切です。運動療法は、継続して行うことで効果を発揮し、変形の進行を遅らせる効果も期待できます。 変形性膝関節症は進行性の疾患であり、放置すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。少しでも気になる症状があれば、整形外科を受診し、適切な検査と治療を受けることをお勧めします。 変形性膝関節症の予防と日常生活の注意点 膝の痛みは、日常生活の質を大きく左右します。特に、立ち上がる、歩き出す、階段を昇り降りするといった動作で痛みを感じる場合、変形性膝関節症の初期症状かもしれません。変形性膝関節症は、加齢とともに罹患率が上昇する代表的な関節疾患です。初期は自覚症状が乏しいことも多く、「年のせい」と片付けてしまいがちですが、進行すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 しかし、適切な予防策を実践し、日常生活で膝への負担を軽減する工夫をすることで、発症リスクを下げ、進行を遅らせることが可能です。ご自身の膝の健康を守るためにも、今からできる予防と日常生活の注意点について理解を深めていきましょう。 適度な運動 適度な運動は、膝関節の健康維持に不可欠です。特に、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることは、膝関節の安定性を高め、軟骨への負担を軽減する効果があります。適切な運動は、膝関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を向上させるため、変形性膝関節症の予防に繋がります。 おすすめの運動 ウォーキング: 毎日30分程度のウォーキングを目標に、無理のない範囲で続けましょう。平坦な道を選び、正しい姿勢で歩くことが大切です。 水中ウォーキング/水中体操: 水中では浮力によって膝への負担が軽減されるため、膝に痛みがある方にも最適です。水中でのウォーキングや水中体操は、膝関節周りの筋肉を効果的に鍛え、柔軟性を向上させることができます。 サイクリング: サイクリングも膝への負担が少ない有酸素運動です。景色を楽しみながら自分のペースで運動できるので、運動習慣のない方にもおすすめです。 ストレッチ: 運動の前後には、必ずストレッチを行いましょう。大腿四頭筋やハムストリングス、ふくらはぎの筋肉など、膝関節周りの筋肉を伸ばすことで、柔軟性を維持し、怪我の予防にも繋がります。 運動時の注意点 膝に痛みを感じたら、すぐに運動を中止し、安静にしてください。 運動強度は、徐々に上げていくようにしましょう。急に激しい運動を行うと、膝を痛める可能性があります。 運動の種類や時間、頻度などは、医師や理学療法士に相談し、ご自身の状態に合った適切な運動プログラムを作成してもらいましょう。 適切な体重管理 体重管理は、変形性膝関節症の予防と治療において非常に重要です。体重が増加すると、膝関節への負担が大きくなり、軟骨のすり減りを加速させる可能性があります。1kgの体重増加は、膝関節には3〜6kgの負担増に相当すると言われています。つまり、10kgの体重増加は、膝に30~60kgもの負担をかけることになります。肥満気味の方は、適正体重を維持するために、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。医師や管理栄養士の指導を受けることで、より効果的な減量を行うことができます。また、肥満の方は手術における術後合併症のリスクも高まるため、体重管理は変形性膝関節症の予防と治療の両面から重要です。 バランスの良い食事 バランスの良い食事は、健康な身体を維持するために不可欠です。骨や軟骨の健康維持に役立つ栄養素を積極的に摂取することで、変形性膝関節症の予防に繋げましょう。特に、カルシウム、ビタミンD、コラーゲン、グルコサミンなどは、骨や軟骨の構成成分となる重要な栄養素です。これらの栄養素を含む食品をバランス良く摂取しましょう。 栄養素 含まれる食品 カルシウム 牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、豆腐、小松菜、ひじきなど ビタミンD 魚類(鮭、さんま、いわしなど)、きのこ類、卵など コラーゲン 豚肉、鶏肉、魚類、ゼラチンなど グルコサミン えび、かにの甲羅、軟骨など 膝への負担を軽減する工夫 日常生活の中で、膝への負担を軽減する工夫を意識的に行うことは、変形性膝関節症の予防に大きく貢献します。Michael JWらの研究(2010)でも、変形性膝関節症の予防における生活習慣改善の重要性が指摘されています。 洋式トイレの使用: 和式トイレに比べて洋式トイレの方が膝への負担が少ないため、積極的に洋式トイレを使用するようにしましょう。 椅子に座るときは膝を高くする: 椅子に座るときは、膝の位置を腰よりも高くすることで、膝への負担を軽減することができます。クッションや座布団などを活用してみましょう。 重い荷物は持たない: 重い荷物を持つと膝に大きな負担がかかります。買い物袋などは、両手に均等に持つ、リュックサックを使用するなど工夫しましょう。 長時間の正座は避ける: 正座は膝関節に大きな負担がかかる姿勢です。正座を長時間続けることは避け、どうしても必要な場合は、クッションなどを使いましょう。 階段の上り下りは手すりを使う: 階段の上り下りは、手すりを使って膝への負担を軽減しましょう。 サポーターや装具の活用 膝関節をサポートするサポーターや装具は、膝の痛みを軽減し、関節の安定性を高める効果があります。様々な種類のサポーターや装具があるので、ご自身の状態に合ったものを選ぶことが大切です。医師や理学療法士に相談しながら、適切なサポーターや装具を選びましょう。 定期的な検診 変形性膝関節症は、初期段階では自覚症状がない場合もあります。定期的に整形外科を受診し、早期発見、早期治療に努めることが大切です。特に、40歳以上の方や、肥満気味の方、家族に変形性膝関節症の方がいる方は、定期的な検診を心がけましょう。 専門医への相談 膝に痛みや違和感を感じたら、自己判断せずに、早めに専門医に相談しましょう。整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。Hussainらの研究(2016)では、変形性膝関節症の治療において、患者教育と適切な医療介入の重要性が強調されています。 まとめ 変形性膝関節症について、症状、原因、ステージ分類、診断方法、治療法、予防法など、幅広く解説しました。 変形性膝関節症は、加齢や肥満、遺伝、過度な負担などが原因で発症し、初期症状は軽いため見過ごされがちです。しかし、進行すると日常生活に大きな支障をきたすため、早期発見・早期治療が重要です。 少しでも膝に違和感や痛みを感じたら、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。適切な診断と治療を受けることで、症状の進行を抑制し、快適な日常生活を送ることができます。 この記事が、あなたの膝の健康管理の一助となれば幸いです。 参考文献 Zhang B, Qian H, Wu H, Yang X. "Unicompartmental knee arthroplasty versus high tibial osteotomy for medial knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis." Journal of orthopaedic surgery (Hong Kong) 31, no. 1 (2023): 10225536231162829. Rossi R, Cottino U, Bruzzone M, Dettoni F, Bonasia DE, Rosso F. "Total knee arthroplasty in the varus knee: tips and tricks." International orthopaedics 43, no. 1 (2019): 151-158. Karasavvidis T, Pagan Moldenhauer CA, Haddad FS, Hirschmann MT, Pagnano MW, Vigdorchik JM. "Current Concepts in Alignment in Total Knee Arthroplasty." The Journal of arthroplasty 38, no. 7 Suppl 2 (2023): S29-S37. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG, Hunter DJ. "Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review." JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580. Michael JW, Schlüter-Brust KU, Eysel P. "The epidemiology, etiology, diagnosis, and treatment of osteoarthritis of the knee." Deutsches Arzteblatt international 107, no. 9 (2010): 152-62. Hussain SM, Neilly DW, Baliga S, Patil S, Meek R. 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人工関節術後の仕事復帰について医師が解説
人工関節手術。それは、痛みや動きの制限からの解放、そして活動的な人生への回帰を約束する希望の光です。日本では年間約20万件もの人工関節手術が行われており、多くの人々がこの手術によって人生の質を向上させています。しかし、手術後のリハビリや仕事復帰、日常生活における注意点など、気になる点も多いのではないでしょうか? この記事では、人工関節手術後のリハビリテーションから仕事復帰、そして日常生活の注意点まで、整形外科医師が詳しく解説します。具体的なリハビリの段階や内容、痛みの管理、合併症の予防、そして職場復帰支援制度の活用方法まで、網羅的にご紹介します。手術を控えている方、手術後の方、そしてそのご家族の方々にとって、きっと有益な情報となるでしょう。さあ、人工関節手術後の明るい未来への扉を開きましょう。 人工関節手術後のリハビリと仕事復帰までの流れ 人工関節手術は、激しい関節痛や動きの制限を改善し、より快適な生活を送るための重要な一歩です。手術を受ける決断は大きなものですが、その先には、リハビリテーションを通じて少しずつ身体の機能を取り戻し、再び活動的な日々を送る未来が待っています。 この手術は、まるで身体に新しい部品を組み込むような大がかりなものです。術後の経過は人それぞれとなります。焦らず、一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。リハビリテーションと仕事復帰までの道のりについて、一緒に確認していきましょう。 リハビリテーションの段階と内容 リハビリテーションは、手術直後から始まります。初期のリハビリは、ベッドの上でできる簡単な運動からスタートし、徐々に難易度を上げていきます。術後のリハビリテーションは、術後の回復を促進し、合併症を予防するために非常に重要です。 術後早期(術後1日目~): この時期は、手術の侵襲による身体への負担が大きいため、安静が最優先されます。しかし、安静にしすぎることで血栓症や肺炎などの合併症のリスクが高まるため、ベッド上でもできる運動が推奨されます。具体的には、足首の運動、深呼吸、寝返りなどです。これらの運動は、血液循環を促進し、呼吸機能を維持するのに役立ちます。 術後1~2週間: 痛みが徐々に軽減し始め、より積極的なリハビリテーションが開始されます。ベッド上での運動に加えて、座位、立位、歩行練習などが行われます。この段階では、関節可動域の拡大と筋力強化を図ることが目標です。理学療法士の指導のもと、杖や歩行器などの補助具を使用しながら、徐々に歩行距離を伸ばしていきます。 術後2~4週間: 歩行が安定してくると、日常生活動作の練習が中心となります。歩行器や杖を使った歩行練習、階段昇降、トイレへの移動、着替えなど、日常生活に必要な動作を繰り返し練習することで、自宅での生活にスムーズに戻れるよう準備していきます。 術後1~3ヶ月: この時期になると、さらに積極的なリハビリテーションプログラムが組まれます。自転車エルゴメーターや水中歩行など、関節への負担が少ない運動を取り入れながら、関節可動域の維持・拡大、筋力強化を図ります。また、退院後の生活を見据え、趣味や軽い運動なども徐々に再開していきます。 リハビリテーションの内容は、一人ひとりの状態に合わせて調整されます。年齢、手術前の活動レベル、合併症の有無など、様々な要因が考慮されます。理学療法士などの専門家と相談しながら、無理なく進めていきましょう。最新の研究では、Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)というプログラムが注目されており、術前から術後の包括的な管理を行うことで、より早期の回復と社会復帰を目指しています。 痛みの管理と合併症の予防 人工関節手術後は、痛みや腫れが出ることがあります。これは手術による組織の損傷や炎症反応によるもので、自然な経過です。しかし、痛みを我慢しすぎると、リハビリテーションへの意欲が低下し、回復が遅れてしまう可能性があります。 痛みの管理には、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。薬物療法としては、痛み止め(鎮痛剤)や消炎鎮痛剤が処方されます。医師や看護師の指示に従って、正しく服用しましょう。非薬物療法としては、冷却や温罨法、マッサージなどがあります。 人工関節手術後の合併症として、感染症、血栓症、脱臼、人工関節の緩みなどが挙げられます。感染症は、手術部位に細菌が侵入することで起こります。血栓症は、手術後に血栓(血液の塊)ができて血管を詰まらせてしまうことです。脱臼は、人工関節が本来の位置からずれてしまうことです。人工関節の緩みは、人工関節が骨にしっかりと固定されなくなってしまうことです。 これらの合併症を予防するために、清潔を保ち、医師の指示に従った予防策を講じることが重要です。定期的な創部の観察と消毒、弾性ストッキングやフットポンプの使用、早期離床と適度な運動などが有効です。 仕事復帰までの期間と流れ 仕事復帰までの期間は、仕事内容や回復状況によって大きく異なります。事務職であれば術後数週間で復帰できる場合もありますが、肉体労働など身体に負担のかかる仕事の場合は、数ヶ月かかることもあります。 仕事復帰までの流れとしては、まず主治医との相談が重要です。現在の身体の状態やリハビリテーションの進捗状況を踏まえ、仕事復帰の時期や方法について話し合います。職場の上司や同僚との連携も大切です。仕事復帰に向けて、職場環境の調整(勤務時間、業務内容など)が必要となる場合もあります。必要な場合は、産業医への相談も検討します。 焦らずに、自分のペースで復帰を目指しましょう。復帰後も、定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行うことが重要です。 職場復帰支援制度の活用 仕事復帰に向けて、さまざまな支援制度を活用することができます。傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ場合に、生活費の一部を補填する制度です。高齢者の医療の確保に関する法律は、75歳以上の方の医療費自己負担割合を軽減する制度です。障害年金は、病気やケガによって障害が残った場合に、生活を保障するための制度です。 これらの制度は、経済的な不安を軽減し、安心してリハビリテーションに専念するために役立ちます。必要に応じて、主治医やソーシャルワーカーに相談してみましょう。 人工関節手術後の生活と注意点 人工関節手術は、痛みや動きの制限から解放され、活動的な生活を取り戻すための大きな一歩です。しかし、手術を受けた後も、新しい関節と長く付き合っていくためには、日常生活での注意点と工夫が欠かせません。まるで身体に新しい相棒を迎えたように、その特徴を理解し、適切に扱うことで、より快適で安心な生活を送ることができるでしょう。 日常生活の注意点と工夫 人工関節は、自分の骨と完全に一体化しているわけではありません。そのため、過度な負担や不適切な動きは、人工関節の寿命を縮めたり、脱臼などの合併症を引き起こす可能性があります。日常生活では、以下の点に注意しながら、人工関節を大切に扱いましょう。 1. 人工関節への負担を減らす工夫 重いものを持つ: 買い物かごやリュックサックなどを活用し、片側だけに負担がかからないようにしましょう。どうしても重いものを持ち上げる必要がある場合は、膝を曲げて腰を落とした姿勢で、両手で持ち上げるようにしてください。 無理な姿勢: 中腰での作業や、足を組む、あぐらをかくといった姿勢は、人工関節に負担をかけるだけでなく、脱臼のリスクも高めます。なるべく避け、どうしても必要な場合は時間を短くし、休憩を挟むようにしましょう。 同じ姿勢を長時間続ける: デスクワークや車の運転など、同じ姿勢を長時間続ける場合は、1時間ごとに立ち上がって軽いストレッチをする、足を動かすなど、血行を促進し、関節の柔軟性を保つように心がけましょう。 和式トイレ: 和式トイレは、股関節を深く曲げる必要があるため、人工関節に大きな負担がかかり、脱臼のリスクも高まります。可能であれば、洋式トイレを使用するか、和式トイレに補助具を設置するなど、工夫しましょう。 入浴: 入浴は、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果があるため、積極的に行いましょう。ただし、滑りやすい場所なので、手すりや滑り止めマットなどを設置し、転倒防止に十分注意してください。また、湯船の出入りは、ゆっくりと行い、急な動作は避けましょう。 2. 転倒防止 転倒は、人工関節に大きな衝撃を与え、破損や脱臼の原因となる可能性があります。家の中だけでなく、外出先でも転倒のリスクを意識し、予防策を講じることが重要です。具体的には、床に物を置かない、段差に注意する、滑りにくい靴を履く、階段では手すりを持つ、など、基本的なことを徹底しましょう。夜間は足元を明るくし、必要に応じて杖や歩行器を使用することも有効です。 3. 感染症の予防 人工関節は、感染症に弱いため、傷口のケアや衛生管理には特に気を配る必要があります。傷口は清潔に保ち、医師の指示に従って適切な処置を行いましょう。また、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、人工関節に感染が波及するリスクがあるため、手洗いやうがい、マスクの着用など、感染予防を徹底することが大切です。歯科治療を受ける際も、人工関節手術を受けたことを必ず伝え、抗菌薬の予防投与が必要かどうか相談しましょう。 スポーツや趣味の再開時期 人工関節手術後、日常生活動作が問題なく行えるようになったら、スポーツや趣味の再開を検討することができます。人工膝関節全置換術(TKA)と人工股関節全置換術(THA)を受けた患者さんには、フォーマルな監督下での活動プログラムだけでなく、非監督下での活動も推奨されています。これは、ご自身のペースで、日常生活の中で身体を動かすことが重要であるということです。 しかし、すべてのスポーツがすぐに再開できるわけではありません。激しい運動や、関節に大きな負担がかかる運動は、人工関節の寿命を縮めたり、合併症を引き起こす可能性があります。再開する際は、必ず主治医に相談し、許可を得てから行うようにしましょう。 許可される運動(例): ウォーキング、水泳、サイクリング、ゴルフ、卓球など。これらの運動は、関節への負担が比較的少なく、筋力や柔軟性を維持・向上させる効果があります。 禁止される運動(例): ジョギング、サッカー、バスケットボール、スキー、スノーボードなど。これらの運動は、関節への衝撃が大きく、人工関節に負担がかかりすぎるため、避けるべきです。 スポーツや趣味を再開する際には、以下の点に注意しましょう。 痛みが生じる場合は、無理せず中止する 徐々に運動強度や時間を増やしていく 適切なウォーミングアップとクールダウンを行う 定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行う 手術前の活動レベルに回復するには個人差がありますが、焦らず、医師の指示に従いながら、徐々に活動レベルを上げていくことが重要です。 まとめ 人工関節手術後、仕事に復帰するには、リハビリテーションと日常生活の注意点、そして職場復帰支援制度の活用が重要です。 手術後は、段階的なリハビリを通して身体機能の回復を目指します。 日常生活では、人工関節への負担を減らす工夫や転倒防止、感染症予防を心がけ、スポーツや趣味の再開は医師と相談の上、徐々に進めていきましょう。 仕事復帰までの期間は仕事内容や回復状況によって異なり、職場との連携も大切です。 焦らず、自分のペースで復帰を目指し、様々な支援制度を活用しながら、快適な生活を取り戻しましょう。 参考文献 Soffin EM, Wainwright TW. 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膝サポーターのおすすめと注意点を医師が解説
f膝の痛...それを解消する強力なアイテムとなるのが「膝サポーター」です。日本では、特に高齢化社会に伴い、膝のトラブルを抱える方が増加しており、その対策としてサポーターへの注目が集まっています。しかし、ドラッグストアやネット通販で手軽に買えるようになった反面、種類が多すぎてどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? ここでは、最新の研究データに基づいたエビデンスも交えながら、サポーターの効果と限界についても明らかにしていきます。 自分にぴったりのサポーターを見つけることで、痛みを軽減し、快適な日常生活を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。 膝サポーターの種類と特徴 膝の痛みや違和感を感じた時、多くの方がまず手にするのが膝サポーターではないでしょうか。ドラッグストアやスポーツ用品店、オンラインショップなど、様々な場所で手軽に購入できるため、利用されている方も多いと思います。しかし、一口に膝サポーターと言っても、その種類は実に様々です。ご自身の膝の状態に合わないものをつけると、かえって逆効果となります。この章では、様々な種類のサポーターの特徴を一つずつわかりやすく解説していきますので、サポーター選びの際の参考にしていただければ幸いです。 スポーツ用サポーター(バスケットボール、サッカー、バレーボールなど) スポーツ用サポーターは、膝への負担を和らげたり、ケガを未然に防いだりするために使われます。スポーツの種類によって、求められる機能も大きく異なります。 例えば、バスケットボールのようにジャンプや着地動作が多いスポーツでは、いかに膝への衝撃を少なくするかが大事となります。厚みのあるパッドが付いたサポーターや、特殊な素材で衝撃を分散させる機能を持つサポーターを選ぶと良いでしょう。 サッカーでは、急な方向転換やストップ動作が頻繁に行われます。このような動作は、膝関節にねじれの力を加え、靭帯を痛めてしまいます。膝関節をしっかりと固定し、不意のねじれから保護するタイプのサポーターがおすすめです。 バレーボールでは、ジャンプの着地時だけでなく、レシーブの際に床に滑り込むなど、膝を捻るリスクが非常に高い競技です。2023年に発表されたシステマティックレビュー(※複数の臨床研究をまとめて分析したもの)でも、膝蓋骨脱臼に対する手術療法と非手術療法の有効性について、依然として明確な結論が出ていないことが示されています。つまり、サポーターによる予防が非常に重要であると言えるでしょう。バレーボールでは、膝のお皿(膝蓋骨)の周囲をサポートし、脱臼を防ぐサポーターが有効です。 スポーツ用サポーターを選ぶ際には、行うスポーツの特徴を考慮し、適切な機能を持つサポーターを選びましょう。また、通気性の良い素材を選ぶことで、汗による不快感を軽減し、快適にスポーツを楽しむことができます。 日常生活用サポーター 日常生活用サポーターは、家事や仕事、買い物など、日常生活での膝の痛みや不安定感を少なくする効果があります。 高齢になると、膝の軟骨がすり減り、変形性膝関節症を発症する方が多くいらっしゃいます。初期は動き始めが痛いだけですが、放置すると歩行時や夜間にも痛みが出てしまい、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 具体的には、階段の上り下りや、椅子からの立ち上がり動作が楽になるようにサポートしてくれるサポーターや、膝のぐらつきを抑えて安定感を高めるサポーターなどがあります。装着が簡単なものや、薄手で服の下に着けても目立ちにくいものなど、多種多様の製品があり、ご自身の生活スタイルや好みに合わせて選ぶと良いでしょう。 また、最近では関節の動きをサポートするだけでなく、保温効果を高めたものや、通気性に優れた素材を使用したものなど、機能性も重視されています。 医療用サポーター 医療用サポーターは、変形性関節症や靭帯損傷などの特定の疾患に対応するために使用されます。一般的には、医師の指導のもとで使用します。 変形性膝関節症では、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接擦れ合うことで炎症や痛みが発生します。医療用サポーターは、膝関節を安定させることで痛みを軽減し、変形の進行を遅らせる効果が期待できます。 靭帯損傷は、スポーツなどでの急激な動作や外力によって、膝の安定に必要な靭帯がケガすることです。前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷は特に多く、初期治療が大切です。サポーターは、損傷した靭帯を保護し、関節の安定性を高めることで、怪我を治す期間を縮めてくれます。 機能別サポーター(保温、固定など) 膝サポーターは、その機能によっても分類することができます。代表的な機能として、保温機能と固定機能が挙げられます。 保温機能を重視したサポーターは、膝周りの保温性を高めることで、血行を促進し、痛みを和らげる効果があります。冬季のスポーツ時や冷えから膝を守りたい方におすすめです。 固定機能を重視したサポーターは、膝関節をしっかりと固定することで、関節の安定性を向上させます。スポーツ時の怪我予防や、膝の不安定感が強い方、靭帯損傷後のリハビリテーション時などに使用されます。 最近では、保温と固定の両方の機能を兼ね備えたサポーターも販売されています。 素材別サポーター(ネオプレン、ナイロンなど) 膝サポーターは、素材によっても特徴が異なります。 ネオプレン素材のサポーターは、保温性と伸縮性に優れているため、フィット感が良く、膝関節をしっかりと包み込むような装着感が特徴です。保温効果が高いことから、冷え性の方や、冬季のスポーツに適しています。また、水に強く、汚れにくいというメリットもあります。 ナイロン素材のサポーターは、軽量で通気性が良く、速乾性にも優れているため、暑い季節でも快適に使用できます。耐久性も高く、洗濯を繰り返しても型崩れしにくいというメリットがあります。 膝サポーターの効果とデメリット、選び方のポイント 膝の痛みは、日常生活の質を大きく低下させる悩ましい症状です。歩くのも、階段の上り下りも、椅子から立ち上がるのも、痛みが伴うと億劫になってしまいますよね。 自分に合ったサポーターを装着することで、ケガを予防してくれたり、症状の悪化を防いでくれます。しかし、その種類は多岐にわたり、自分に合わないものをつけてしまうと、痛みが増強することもよくあるので注意しましょう。 この章では、膝サポーターの効果とデメリット、そして選び方のポイントを、医師の視点から分かりやすく解説します。ご自身にぴったりのサポーター選びの参考になれば幸いです。 膝サポーターの効果:痛み軽減、関節の安定化、怪我予防 膝サポーターの効果は大きく分けて「痛み軽減」「関節の安定化」「怪我予防」の3つです。 まず「痛み軽減」についてですが、サポーターを装着することで膝関節を適度に圧迫し、保温効果によって血行が促進されます。温かいタオルで患部を温めると痛みが和らぐのと同じですね。また、圧迫によって、関節内の炎症によって生じた腫れを抑える効果も期待できます。 次に「関節の安定化」ですが、膝関節が不安定な状態だと、少しの動きでも痛みを感じたり、転倒のリスクが高まったりします。サポーターは、関節を外部から支えることで安定性を高め、ぐらつきを抑えてくれます。不安定な積み木にそっと手を添えるように、サポーターが膝関節をサポートしてくれるイメージです。 最後に「怪我予防」についてです。スポーツや重労働などで膝に大きな負担がかかる際、サポーターは関節や靭帯を保護し、怪我のリスクを軽減するのに役立ちます。膝への負担が大きい動作を行うスポーツでは、サポーターによる保護が重要です。 膝サポーターのデメリット:締め付けによる不快感、皮膚トラブル、筋力低下 膝サポーターは多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。 まず、サポーターによる締め付けが強すぎると、不快感や痛み、血行障害などを引き起こす可能性があります。また、サポーターの素材によっては、皮膚にかぶれやかゆみなどのアレルギー反応が生じることもあります。特に、汗をかきやすい夏場や、長時間サポーターを装着している場合は注意が必要です。 さらに、サポーターに頼りすぎることで、膝周りの筋肉をあまり使わなくなり、筋力が低下する可能性も懸念されます。これは、怪我をした際にギプスで固定し続けると、その部分の筋肉が衰えてしまうのと同じ原理です。サポーターはあくまで補助的な役割であり、過度な依存は避けるべきです。適切な運動やリハビリテーションと併用することで、筋力低下を防ぎ、膝関節の機能を維持することが重要です。 『膝のサポーターをするととても楽です』と言われる患者様には、必ず、『サポーターをつけると、筋肉が落ちるので、必ず筋トレも忘れずにしましょうね』と言います。筋トレをせずにいて、筋力低下を起こすと、ますますサポーターがなくては生活ができなくなるという悪循環に陥るので注意が必要です。 サイズの選び方:適切なサイズで効果を最大化 膝サポーターは、サイズが合ってないと、関節を痛めることとなり、さらに締め付けによる不快感や血行障害を引き起こす可能性があります。 サポーターのサイズを選ぶ際は、必ず膝周りのサイズを正確に測り、商品ごとのサイズ表と照らし合わせて選びましょう。一般的には、膝のお皿の上約10cmの太ももの周囲の長さを基準とします。メジャーを使用して、立った状態で計測するのがおすすめです。 膝サポーターに関するエビデンスと研究データ 膝サポーターは、スポーツ選手から高齢者まで幅広く利用されています。その効果について、様々な意見を耳にすることがあるかもしれません。「効果がある」という人もいれば、「効果がない」という人もいます。一体どちらが正しいのでしょうか? 実は、膝サポーターの効果については、多くの研究が行われており、その結果も様々です。この章では、科学的根拠(エビデンス)に基づいて、膝サポーターの効果と限界について、わかりやすく解説します。 具体的な研究データに基づいた解説 膝サポーターの効果を検証した研究は、世界中で数多く行われています。例えば、サッカー選手を対象とした研究では、膝サポーターが前十字靭帯(ACL)損傷の予防に役立つ可能性が示唆されています。ACLは膝関節の中にある靭帯の一つで、これが損傷すると、歩行やスポーツに大きな支障をきたします。特に、急な方向転換やジャンプの着地時など、膝に大きな負担がかかる動作で、サポーターの効果が期待できるという研究結果が出ています。 また、ランナーを対象とした研究では、サポーターがランニング中の膝の安定性を向上させる可能性が示唆されています。これは、サポーターが膝関節を外部から支えることで、関節のぐらつきを抑え、安定性を高めるためだと考えられます。 さらに、変形性膝関節症の患者さんを対象とした研究では、サポーター装着によって痛みや歩行機能が改善したという報告もあります。 スクワット時の膝への影響 スクワットのように、膝を深く曲げる運動をするとき、膝サポーターはどのような影響を与えるのでしょうか? 研究によると、スクワット時の膝への負担は、膝の曲げ角度によって変化し、特に60~90度の屈曲で大きくなる傾向があります。サポーターはこの負担を軽減する効果があるとされています。 しかし、一方でサポーターの過度な使用は、膝周りの筋肉のトレーニング効果を弱める可能性も指摘されています。これは、サポーターが膝関節を支える役割を果たすため、筋肉が本来担うべき役割を奪ってしまうためと考えられます。サポーターはあくまで補助的な役割として使用し、過度な依存は避けるべきです。適切な運動やリハビリテーションと併用することで、筋力低下を防ぎ、膝関節の機能を維持することが重要です。 動的膝外反への効果 動的膝外反とは、運動中に膝が内側に入ってしまう状態のことです。ジャンプの着地時やランニング中などに、膝が内側に倒れこむように曲がってしまうと、膝関節や靭帯に大きな負担がかかり、痛みや怪我につながる可能性があります。 研究によると、適切なエクササイズと併用することで、サポーターは動的膝外反の改善に役立つ可能性があると考えられています。特に、シングルレッグスクワットやシングルレッグランディングといった片足での運動時に効果的です。これらの運動は、バランス能力や体幹の安定性を向上させる効果があり、動的膝外反の予防・改善に繋がります。サポーターは、これらの運動を行う際に、膝の怪我の予防に活躍してくれます。 参考文献 Pereira PM, Baptista JS, Conceição F, Duarte J, Ferraz J, Costa JT. "Patellofemoral Pain Syndrome Risk Associated with Squats: A Systematic Review." International journal of environmental research and public health 19, no. 15 (2022). Smith TO, Gaukroger A, Metcalfe A, Hing CB. "Surgical versus non-surgical interventions for treating patellar dislocation." The Cochrane database of systematic reviews 1, no. 1 (2023): CD008106. Alentorn-Geli E, Myer GD, Silvers HJ, Samitier G, Romero D, Lázaro-Haro C, Cugat R. "Prevention of non-contact anterior cruciate ligament injuries in soccer players. Part 1: Mechanisms of injury and underlying risk factors." Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA 17, no. 7 (2009): 705-29. Wilczyński B, Zorena K, Ślęzak D. "Dynamic Knee Valgus in Single-Leg Movement Tasks. Potentially Modifiable Factors and Exercise Training Options. A Literature Review." International journal of environmental research and public health 17, no. 21 (2020). 監修医師 リペアセルクリニック 理事長 医師 坂本貞範
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半月板損傷の原因から治療まで 医師が解説
膝の痛み、気になりますよね? 半月板は膝のクッションの役割を果たす重要な組織。ここでは、半月板損傷の原因から治療まで、医師がわかりやすく丁寧に解説します。加齢や激しいスポーツ、肥満などが原因で起こるこの損傷、実は放置すると変形性膝関節症のリスクを高めることも。早期発見・早期治療が肝心です。あなたの膝の健康を守るための知識を、ぜひここで手に入れてください。 半月板損傷の原因から治療まで解説 膝の痛み、もしかして半月板損傷かも?と心配になりますよね。この記事では、半月板損傷について、原因や症状、診断方法まで、わかりやすく丁寧に解説します。一緒に見ていきましょう。 半月板の役割と構造 半月板は、膝関節の中にあって、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にあるC字型の軟骨です。左右の膝に1つずつ、合計2つあります。例えるなら、お寺の鐘の中にある撞木(しゅもく)のような形をしています。 半月板の役割は、大きく分けて2つあります。1つ目はクッションの役割です。ジャンプやランニングなどで膝に体重の何倍もの力が加わるとき、半月板が衝撃を吸収し、膝への負担を軽減します。ちょうど、トランポリンのように衝撃を和らげる働きをしています。2つ目は、膝関節を安定させる役割です。半月板があることで、大腿骨と脛骨の接触面がより広くなり、関節が安定し、スムーズな動きが可能になります。これは、積み木を安定させるために、間に小さな積み木を挟むようなイメージです。 半月板は主に水分とコラーゲンでできています。コラーゲンは、体の中の様々な組織を構成するたんぱく質の一種で、皮膚や骨、軟骨などにも含まれています。年齢とともに、この水分とコラーゲンが減少し、半月板はもろくなります。みずみずしいゼリーが乾燥して固くなる様子を想像してみてください。そのため、加齢とともに、以前は問題なかった動きでも、半月板に負担がかかり、損傷しやすくなるのです。 半月板損傷の主な原因3つ 半月板損傷の主な原因は3つあります。 加齢:半月板の水分やコラーゲンが年齢とともに減少し、もろくなるため、損傷しやすくなります。若い頃は何ともなかった動きでも、年齢を重ねると膝への負担が大きくなり、損傷のリスクが高まります。50代以降は特に注意が必要です。 激しいスポーツ:バスケットボール、サッカー、テニスなど、ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツは、膝に大きな負担がかかります。特に、プロのスポーツ選手のように、毎日激しいトレーニングを行うと、半月板が損傷するリスクが非常に高くなります。成長期の子供に起こるオスグッド・シュラッター病とは異なり、スポーツによる半月板損傷は大人にも起こりうる疾患です。 肥満:体重が増加すると、膝にかかる負担も増えます。特に、体重がかかった状態で膝をひねると、半月板損傷のリスクが大幅に上昇します。健康的な体重を維持することは、半月板損傷だけでなく、変形性膝関節症などの他の膝の疾患の予防にもつながります。 半月板損傷の症状5つ 半月板損傷の症状は、損傷の程度や場所によって様々です。初期症状は軽微な場合もあり、違和感や音が鳴る程度の場合もあります。しかし、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。 痛み:損傷した部分に炎症が起こり、痛みが生じます。特に、階段の上り下りや正座など、膝を深く曲げたときに強い痛みを感じることが多いです。 腫れ:炎症によって関節内に水が溜まり、膝が腫れることがあります。腫れがひどい場合は、膝のお皿が隠れてしまうこともあります。 関節可動域の制限:痛みや腫れによって、膝の曲げ伸ばしが難しくなります。靴下を履く、椅子に座るといった動作が困難になることもあります。 膝の引っ掛かり感:半月板が裂けると、膝の曲げ伸ばしの際に引っ掛かり感やクリック音を感じることがあります。これは、半月板が裂けて、その裂けた部分が膝関節の動きを妨げているために起こります。 ロッキング:膝が急に動かなくなる状態をロッキングといいます。これは、半月板の一部が剥がれて関節に挟まってしまうことで起こります。ロッキングが起こると、非常に強い痛みを伴い、自力で膝を動かすことが難しくなります。 半月板損傷の診断方法 半月板損傷の診断には、問診、徒手検査、画像検査など、複数の方法を組み合わせて行います。 まず、医師は患者さんの症状について詳しく聞きます(問診)。いつから痛み始めたのか、どのような時に痛むのか、過去に膝を怪我したことがあるかなど、詳細な情報を収集します。次に、医師が膝を触ったり動かしたりして、損傷の有無や程度を調べます(徒手検査)。 レントゲン検査では、骨の状態を確認できます。半月板自体はレントゲンに写りませんが、骨の状態をチェックすることで、他の疾患の可能性を検討したり、MRI検査の必要性を判断したりすることができます。半月板損傷の確定診断には、MRI検査が不可欠です。MRI検査では、半月板の状態を詳細に確認できます。損傷の程度や種類、損傷部位などを正確に把握することができ、適切な治療方針を決定する上で重要な情報となります。近年では、内側半月板根部修復は、部分的な半月板切除や手術をしない治療と比較して、変形性膝関節症や人工関節置換術に至る確率を下げることが示されています。半月板を修復することで、膝関節の機能をより長く維持できる可能性が高まります。また、半月板修復術は、半月板の一部を取り除く手術に比べ、術後の機能的な回復が良好で、時間の経過とともに変性変化も少ないと報告されています。これは、できるだけ半月板を残すことが、長期的な膝関節の健康にとって重要であることを示唆しています。 半月板損傷と間違えやすい疾患 膝に痛みを感じると、「半月板損傷かな?」と不安になりますよね。確かに半月板損傷は膝の痛みの原因として一般的ですが、似たような症状を引き起こす疾患は他にもあります。今回は、半月板損傷と間違えやすい疾患について、それぞれの特徴や違いを詳しく解説します。正しく理解することで、適切な治療に繋がるため、ぜひ最後までお読みください。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、加齢や肥満、激しい運動、遺伝的要因などによって、膝関節の軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じる病気です。半月板損傷と同じように、痛み、腫れ、動きの悪さなどが現れます。実は、半月板損傷を適切に治療しないと、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まることが知られています。半月板は膝関節のクッションの役割を果たしているため、損傷によってクッション機能が低下すると、関節への負担が増加し、軟骨のすり減りを加速させてしまうのです。 靭帯損傷 靭帯は、骨と骨をつなぎとめる丈夫な紐のような組織です。膝関節には、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯の4つの主要な靭帯があり、これらが損傷すると、半月板損傷と同様に、痛み、腫れ、関節の不安定感などが現れます。特に、損傷した直後は強い痛みを感じることが多く、膝関節内で出血を起こすこともあります。 半月板損傷との違いは、靭帯損傷の場合、「膝がぐらつく」「外れる感じがする」といった不安定感を伴うことが多い点です。また、損傷の程度によっては、手術が必要になることもあります。特に、前十字靭帯損傷は、スポーツ活動中に多く発生し、半月板損傷を合併することも少なくありません。 鵞足炎(がそくえん) 鵞足とは、膝の内側にある3つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)の腱が合流する部分のことで、この部分に炎症が起きることを鵞足炎といいます。ランニングやジャンプなどの繰り返しの動作で、鵞足部に摩擦や牽引力が加わり、炎症を引き起こします。 鵞足炎の主な症状は、膝の内側の痛みです。半月板損傷でも膝の内側に痛みを感じることがあるため、鑑別が難しい場合があります。鵞足炎の特徴は、膝を曲げ伸ばしした時や、鵞足の部分を押すと痛みが増すことです。また、安静時にも鈍い痛みを感じることもあります。 オスグッド・シュラッター病 オスグッド・シュラッター病は、成長期の子供、特にスポーツをしている子供に多く見られる疾患です。ジャンプやダッシュなど、膝に負担がかかる運動を繰り返すことで、膝のお皿の下にある脛骨粗面(けいこつそめん)という骨の突起部に炎症が起こります。 オスグッド・シュラッター病の主な症状は、膝の前面の痛みや腫れ、脛骨粗面の圧痛です。運動後に痛みが増強し、安静にすると軽減するのが特徴です。半月板損傷でも似たような症状が出る場合がありますが、オスグッド・シュラッター病は成長期の子供に特有の疾患であるため、年齢である程度区別できます。成長痛と勘違いされることもありますが、適切な治療が必要です。 ジャンパー膝(膝蓋腱炎:しつがいけんえん) ジャンパー膝は、ジャンプ動作を繰り返すことで、膝蓋腱(膝のお皿と脛骨をつなぐ腱)に炎症が起こる病気です。バスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作が多いスポーツ選手に多く見られます。 ジャンパー膝の主な症状は、膝のお皿の下に痛みを感じることです。ジャンプやランニングなど、膝に負担がかかる動作で痛みが増強します。半月板損傷でも似たような症状が出る場合がありますが、ジャンパー膝の場合は、膝のお皿の下を押すと痛みを感じることが特徴です。安静にしていても鈍い痛みを感じることもあります。 これらの疾患は、症状が似ているため自己判断は難しく、医療機関を受診して適切な診断を受けることが重要です。特に、変性半月板病変に対する関節鏡手術は、運動療法と比較して長期的な改善効果が示されていないという研究結果もあり、安易に手術を選択するのではなく、保存療法から始めることが推奨されています。どの疾患も早期発見、早期治療が大切です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 半月板損傷の治療法4選 半月板損傷は、スポーツ選手だけでなく、日常生活の中でも起こりうる身近な怪我です。この章では、半月板損傷の治療法について、保存療法と手術療法のそれぞれの特徴や種類、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。 保存療法(リハビリテーション、薬物療法、注射) 保存療法とは、手術を行わずに、リハビリテーション、薬物療法、注射などを用いて、痛みや腫れなどの症状を和らげ、膝の機能を回復させる治療法です。 まずリハビリテーションについてですが、これはストレッチや筋力トレーニングを通して、膝関節の安定性を高め、関節の動きをスムーズにすることを目的としています。プールでの水中運動のように、膝への負担が少ない運動から始めることで、痛みを悪化させることなくリハビリを進めることができます。痛みが強い時期は無理せず、痛みの様子を見ながら徐々に運動量を増やしていくことが大切です。 薬物療法では、炎症や痛みを抑える薬を使用します。炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤の内服薬や湿布薬が処方されるでしょう。痛みが強い場合は、医師と相談して適切な薬を処方してもらいましょう。自己判断で市販薬を服用するのではなく、医師の指示に従って薬を服用することが重要です。 注射による治療では、ヒアルロン酸を関節内に注射することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節のクッションの役割を果たしています。加齢や損傷によってヒアルロン酸が減少すると、関節の動きが悪くなり、痛みが生じやすくなります。ヒアルロン酸注射は、これらの症状を改善する効果が期待できます。 保存療法は体に負担が少ない治療法ですが、症状が改善しない場合や損傷の程度が大きい場合は、手術療法が検討されます。 手術療法の種類 保存療法で症状が改善しない場合や、半月板が大きく断裂している場合は、手術療法が選択されます。手術療法には、大きく分けて半月板修復術と半月板切除術の2種類があります。半月板修復術は損傷した半月板を縫合する手術で、半月板切除術は損傷した半月板の一部または全部を切除する手術です。 手術のメリット・デメリット 手術療法のメリットは、半月板の損傷を直接修復または切除することで、痛みや腫れなどの症状を早期に改善できる可能性があることです。損傷が大きく、日常生活に支障が出ている場合は、手術によって速やかに症状を改善できる可能性があります。 しかし、手術療法にはデメリットもあります。手術による傷や感染症のリスク、術後のリハビリテーション期間の長さ、そして手術費用などが挙げられます。また、半月板切除術では、半月板の一部または全部を取り除くため、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があることも知られています。半月板は膝関節のクッションの役割を果たしているため、切除によってクッション機能が低下すると、関節への負担が増加し、軟骨のすり減りを加速させてしまう可能性があります。 半月板修復術と半月板切除術 半月板修復術は、損傷した半月板を縫合糸などで修復する手術です。半月板の機能を温存できるため、術後の変形性膝関節症のリスクが低いというメリットがあります。近年では、ハイブリッド型オールインサイドインプラントを用いる方法が一般的で、CT関節造影検査と関節鏡検査で治癒が確認されているという報告があります。これは、半月板修復術の有効性を示す重要な知見です。しかし、半月板の損傷部位や程度によっては、修復が難しい場合もあります。例えば、半月板の辺縁部など、血流が乏しい部位の損傷は治癒しにくいため、修復術が適さない場合があります。 一方、半月板切除術は、損傷した半月板の一部または全部を切除する手術です。修復術に比べて手術時間が短く、回復も早いというメリットがあります。しかし、半月板の機能が失われるため、長期的には変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があります。 どちらの手術法が適しているかは、損傷の部位や程度、年齢、活動レベルなどによって異なります。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。 最新の治療 保険診療での半月板損傷に対する手術は、根本的に半月板を修復させるものではありません。たとえ半月板を縫合しても、数年後には40%の割合で再断裂を起こします。縫合したところの半月板が、またくっつくという訳ではないのです。 そこで、リペアセルクリニックでは幹細胞による再生医療で、根本治療を目指します。多くの患者様が手術をしなくても、手術以上の効果を実感していただいております、詳しくはこちらで説明しています。 https://youtu.be/lSv3oWA6mdk?si=YqKSqLchKDWSndF4 半月板損傷を予防するための対策 半月板損傷を予防するためには、日頃から膝への負担を減らす工夫を心がける必要があります。具体的には、以下のような対策が有効です。 ウォーミングアップとクールダウン: 運動前後のウォーミングアップとクールダウンは、筋肉や関節の柔軟性を高め、怪我のリスクを軽減する上で非常に重要です。特に、膝関節周辺のストレッチを入念に行うことで、半月板への急激な負荷を避け、損傷のリスクを減らすことができます。ウォーミングアップでは、軽いジョギングやストレッチで体を温め、クールダウンでは、ストレッチで筋肉の緊張をほぐしましょう。 適切な筋力トレーニング: 太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を鍛えることで、膝関節を安定させ、衝撃を吸収しやすくなります。具体的には、スクワットやランジなどの下半身の筋力トレーニングが効果的です。これらの筋肉が強化されると、膝関節への負担が軽減され、半月板損傷の予防につながります。筋力トレーニングは、週に2~3回程度行い、無理のない範囲で徐々に負荷を上げていくことが大切です。 体重管理: 体重が増加すると、膝関節にかかる負担も大きくなり、半月板損傷のリスクが高まります。適正体重を維持することで、膝への負担を軽減し、半月板損傷のリスクを減らすことができます。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。 正しい姿勢と動作: 姿勢が悪い、または間違った動作を繰り返すと、膝関節に過剰なストレスがかかり、半月板損傷のリスクが高まります。日常生活動作やスポーツ動作を見直し、正しい姿勢と動作を意識することで、膝への負担を軽減し、半月板損傷の予防につなげることができます。例えば、重い荷物を持つ際は、膝を曲げて持ち上げるようにし、腰への負担を軽減することも重要です。 適切な靴の選択: クッション性の高い靴を選ぶことで、地面からの衝撃を吸収し、膝への負担を軽減することができます。特に、ウォーキングやランニングなどの運動をする際は、スポーツ専用のシューズを着用し、足への負担を軽減することが大切です。 参考文献 Kennedy MI, Strauss M, LaPrade RF. "Injury of the Meniscus Root." Clinics in sports medicine 39, no. 1 (2020): 57-68. Krych AJ, Hevesi M, Leland DP, Stuart MJ. "Meniscal Root Injuries." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 28, no. 12 (2020): 491-499. Rotini M, Papalia G, Setaro N, Luciani P, Marinelli M, Specchia N, Gigante A. "Arthroscopic surgery or exercise therapy for degenerative meniscal lesions: a systematic review of systematic reviews." Musculoskeletal surgery 107, no. 2 (2023): 127-141. Feehan J, Macfarlane C, Vaughan B. "Conservative management of a traumatic meniscal injury utilising osteopathy and exercise rehabilitation: A case report." Complementary therapies in medicine 33, no. (2017): 27-31. Beaufils P, Pujol N. "Management of traumatic meniscal tear and degenerative meniscal lesions. Save the meniscus." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 103, no. 8S (2017): S237-S244. Chirichella PS, Jow S, Iacono S, Wey HE, Malanga GA. "Treatment of Knee Meniscus Pathology: Rehabilitation, Surgery, and Orthobiologics." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 11, no. 3 (2019): 292-308. Wells ME, Scanaliato JP, Dunn JC, Garcia EJ. "Meniscal Injuries: Mechanism and Classification." Sports medicine and arthroscopy review 29, no. 3 (2021): 154-157. Beaufils P, Pujol N. "Meniscal repair: Technique." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S137-S145. 監修医師 リペアセルクリニック 理事長 医師 坂本貞範
![膝の痛みにまつわるQ&A](https://fuelcells.org/img/knee_feature/sakamoto_D.png)
膝の痛みにまつわるQ&A
<骨切り術のメリット>
骨入り術という手術のメリットは、何より自分本来の関節を残すことができることです。骨が癒合(接着、固着に至る)すれば活動制限もなくなり、QOL(日常生活の質)の向上はもちろん、スポーツなどを行うことも可能になります。
また、人工関節への置換術と違い、金属を体内に残すことがありません。そのため脱臼や、将来訪れる人工関節の寿命に際する再手術という心配がありません。
<骨切り術のデメリット>
手術後、入院とリハビリを合わせて長期にわたる療養期間が必要になります。(個人差はありますが、約6ヶ月程)その間、骨が癒合するまでの間は、激しい動きや負荷のかかる動作は控えていただく事となります。
また手術という性格上、身体にメスを入れることとなり、合併症を含めた手術上のリスクが発生します。もちろん身体に負担をかけることは否めません。何より治療においては、仕事や家庭生活を長期間、離れる必要があり、その点が大きなデメリットになるでしょう。
ジャンプ動作の多い競技によく見られる症状です。
膝蓋骨の内側に引っ張られる感覚があり、膝関節を動かすと痛みが出ることがあります。
膝関節の内側と大腿骨の間にある滑膜ヒダの張り出している部分が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれ、膝関節を動かしたときに膝蓋骨の内側に引っかかりを感じ痛みが生じます。
これをタナ障害と言い、膝関節に慢性的に負担をかけることで、タナが厚くなったり硬くなったりすることで挟み込まれて症状を引き起こします。
主に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)がストレッチ不足になっていることが主因と言えますが、先天的に膝蓋骨の形の悪い人や膝蓋腱が長い方も症状を引き起こす可能性が高いと言えます。引っかかりや痛みが生じた状態を長期間放置していると、安静時や起立時でさえも重苦しさが残り疼痛が持続します。そこまで放っておくと、運動パフォーマンスにも支障を来します。
ただ、膝の内側が痛むときは必ずしもタナ障害だとは言い切れません。痛みの原因がタナではなく膝蓋骨や軟骨などに見られることもあります。訴える症状とタナとの関連性を十分に精査する事が必要となります。
その点からも診断では必ずMRI検査を受けましょう。
但し、ほとんどの患者様が、タナ障害で手術に至る人は少ないようですが、まずは疼痛になる運動を回避し、大腿四頭筋の強化やストレッチをすること。
また、痛み止めの服用や温熱療法(熱感があるときは冷却療法)を施し、それでも痛みが引かないときには関節内にステロイド注射を打ち様子を見ます。これらの対処でも改善されない場合や物理的にタナが大きくて引っかかりが強く膝が伸びない場合は他の部位に影響を及ぼすこともあるので手術療法を選択します。
当院では、再生医療のP R P療法を用いて痛みのある膝関節に投与する事で患部の症状を改善する事が可能です。
整形外科で行われている治療方法は、投薬・注射・リハビリ等が一般的では有りますが。どちらの治療方法も一時的に症状の緩和や関節の変形・組織の修復を完全に行う事は難しいです。
結果的には、症状の軽快が、見られない場合は手術の提案になる事が多く見られます。
その為、手術を避けたい患者様の治療法が対処療法になってしまい、根本的な治療の提案と選択肢を広げていく為には、再生医療が非常に有用であると言えます。
手術以外の選択をお考えであれば、一度ご相談頂ければと思います。
変形性膝関節症には、重症度や進行度を示すグレード(ステージ)分類(Ⅰ~Ⅳ)が主にレントゲン画像を見ることで分類することができます。
グレードⅠ:
大きな変化はないが、変形性膝関節症が疑われる状態
グレードⅡ:
膝関節の隙間に僅かな狭小が見られる状態。(25%以下)骨の変化は無いが、僅かに骨の棘(骨棘)が見られる事がある。
グレードⅢ:
膝関節の隙間が半分以上に狭小した状態。(50~70%)骨棘の形成や骨硬化がはっきりと見られる。
グレードⅣ:
膝関節の隙間が75%以上狭小した状態となり、消失の場合もある。大きな骨棘と骨の変化が大きく見られる。
通常の診察では、レントゲンやM R Iで確定診断を行なっていきますが、一定期間、ヒアルロン酸注射など、同じ治療方法を継続して経過を診ていき、変化が見られない場合は定期的なチェックを行った後、手術の治療を選択される場合がほとんどです。
痛みが変わらないのであれば、現在治療されている方法の見直しを行う為にも主治医にご相談されると良いと考えます。
一方、再生医療での幹細胞治療では、すり減った軟骨を再生させる効果を期待できる事から、膝関節のクッション性を高める事により痛みの原因を緩和させる事が出来る治療となっており手術以外の可能性を秘めた治療となっています。
一度ご相談頂ければと思います。
歩行で痛いのであれば膝関節に何らかの原因が考えられます。
再生医療は様々な膝痛にも対応でき、痛みをとる可能性が高い治療法となっております。
ただし、今悩んでおられる膝関節の症状がどのようなもので、どういう状態か診断する必要があります。
一度ご相談を承りますのでお気軽にお問い合わせください。
少しずつ症状が進行しているように思います。
膝の痛みの原因の多くは変形性膝関節症と診断される事が多いです。
軟骨が徐々に減ってしまう事で、膝関節のクッション性が減少し、変形が進んでしまいます。その様な状態が進むと、手術も視野に入れなければなりません。
今気になっておられるのであれば、関節が痛みとしてSOSを出しているのかも知れません。一度受診されてはいかがでしょうか。
問診にて詳しく情報をまとめ、治療法を提案させていただきます。
再生医療が可能であるか判断するためにも、受診をお勧めいたします。