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膝関節捻挫の症状と原因、治療法を解説

膝関節捻挫の症状と原因、治療法を解説

膝をグキッとひねってしまい「歩くと痛い」「曲げ伸ばしすると痛い」という経験がある方も多いのではないでしょうか?

捻挫というと、足首の怪我を想像される方が多いと思いますが、膝にも捻挫が起こることがあります。

今回は「ぎっくり膝」と呼ばれたり検索されることもある、膝関節捻挫について解説します。膝関節捻挫には、重症な怪我が隠れている場合もありますので、膝を痛めた方はぜひ今回の記事を参考にしてください。

膝関節捻挫
Knee joint sprain

 膝関節捻挫の原因

膝の曲げ伸ばしを安定して行うために、重要な働きをしているのが、関節を包む袋である「関節包」と関節を支える組織である「靭帯」です。関節包と靭帯がしっかりと機能しているおかげで、私たちの膝は本来動かない方向へ曲がらないようになっており、体重をかけても安定して歩くことができます。

しかし、運動中や転倒などにより関節が、通常の範囲を越えて動いてしまうことがあります。それよって、この「関節包」や「靭帯」を痛めてしまった状態を捻挫といいます。ただし、「捻挫」は軽症の場合に限ります。損傷が強く、関節が不安定になった場合は捻挫ではなく、靭帯損傷という診断になります。

多くは、スポーツ時に膝をひねったり、相手と接触して転倒してしまったりした際に起こりますが、普段の生活でも階段やちょっとした段差などで、思いがけず膝をひねってしまい受傷することがあります。

膝関節捻挫の症状

受傷直後は痛みが強いですが、機能は比較的保たれている事が多く、その後も痛みを我慢して普通に生活できる方もいます。ですが、徐々に内出血とむくみが出てきて、膝全体が腫れてきます。

膝全体が腫れると、膝を動かす際に痛みが生じます。また、左右を比較すると動かせる範囲が減ってしまう「可動域制限」がでてきます。ひどい場合は痛みで足が地面に付けないこともあります。

ただし、「捻挫」であれば、一時的な症状であり、数日で改善してきます。いつまでたっても痛みが引かない、腫れがひどくなってきたという場合は「靭帯損傷」のレベルまでいっていることがありますので、注意が必要です。

「歩けるけど痛い」、「膝がぐらぐらして不安定」は要注意!

「ただひねっただけだと思って様子を見ていたら、実は靭帯損傷だった。」という方は意外と多いです。

膝には主に4つの重要な靭帯があります。前後方向の安定性を保つ前十字靭帯と後十字靭帯、左右方向の安定性を保つ内側側副靭帯と外側側副靭帯です。これらはバスケやサッカーなどのスポーツはもちろん、転倒などでも痛めることがあります。

歩けるけれども痛みが続くとき、膝がぐらぐらして不安定だと感じるときは、これらの靭帯を痛めていることがあります。また、靭帯を痛めていると関節の中に血が溜まることが多いです。このような場合は自己判断せずに病院を受診しましょう。

また、膝のクッションや安定性を保つ役割をしている組織に、半月板があります。半月板は左右に1つずつありますが、こちらも膝をひねって痛めた際に損傷してしまうことがあります。年を取ると、徐々にすり減って切れやすくなるので、高齢の方はバスのステップなど少しの段差を下りただけでも切れてしまうことがあります。ブチッという感覚がある方もいます。半月板損傷も、病院でMRIなどを撮影しなければわからない怪我です。

捻挫には、このような損傷が隠れている場合がありますので、是非皆さんも知っておいてください。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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膝関節捻挫の治療

膝をひねってしまったら、受傷直後は、まずRICE処置を行いましょう。

  • Rest:安静
  • Ice:冷やす
  • Compression:圧迫
  • Elevation:挙上

スポーツはすぐに中止し、歩行もできればしない方が望ましいです。氷や保冷材などを使って膝を冷やしながら、包帯などがあれば圧迫してください。

また、寝ているときは心臓より高い位置に足をあげておくことで、膝が腫れてくるのを予防することができます。その後は、なるべく早期に整形外科医の診察を受けてください。

膝関節捻挫の診断

問診と身体診察で、どのような怪我が疑わしいのか予想がつく場合もあります。基本的には、まずレントゲンで骨折がないかどうか確認します。レントゲンだけではわからない場合は、骨をより詳しく見るためにCT検査を行うこともあります。その後、靭帯損傷や半月板損傷が疑われる場合にはMRI撮影を行うことになります。

  • レントゲン撮影 → CT検査 → MRI撮影

検査の結果、手術が必要な靭帯損傷などの疑いがなければ保存療法になります。

損傷された関節包や靱帯が修復する期間は、通常3週間前後とされることが多いです。この期間は、激しい運動や重労働などはせず、安静にしていましょう。安静を保つ目的で、一定期間添木や松葉杖などを使用することもあります。

痛みが強い場合は、飲み薬や湿布を処方することもありますが、鎮痛薬は痛みを止めるだけで治ったわけではないので、一番大事なのは膝の安静です。

そのまま通常の生活に戻れる場合は、治療終了となりますが、安静にしていたことによって筋力が低下したり、動きが悪くなることがあります。その際は、リハビリテーションを行い、機能を戻すとともに、次の怪我をしにくくする予防を行うことが大切です。

膝関節捻挫についてのQ&A

Q1:膝関節捻挫の予防法はありますか?

運動をされる場合は、適切なストレッチやウォーミングアップが大切です。筋肉の柔軟性を保ち、温めてしっかりと動かせる状態にしてから運動を始めることで、関節に負担がかかりにくくなります。

また、普段から、下肢の筋力が衰えないように意識してトレーニングをしておくことも重要です。さらに、自分の足に合った靴を選ぶことも転倒の予防になります。

Q2:スポーツにはどのくらいで復帰できますか?

スポーツ復帰には、痛みがなくなっていることが大前提です。痛みがあるまま再開すると、膝をさらに痛めたり、かばって別の部位の怪我を起こしたりすることがあります。

通常の捻挫であれば2〜3週間で痛みが落ち着いてくることが多いので、軽い運動から再開するように指導します。

膝に過度な負担をかけないよう、自分自身が意識するためにもサポーターなどの補助具を使用することも勧められます。

まとめ・膝関節捻挫の症状と原因、治療法を解説

今回は膝関節捻挫について解説しました。

捻挫は適切な治療を行えば、問題なく日常生活に復帰できる怪我です。その裏に潜む重大な怪我を見逃さないように、適切に医療機関を受診しましょう。

変形性膝関節症の治療No.S148

監修:医師 加藤 秀一

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