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前十字靭帯断裂、復帰までの期間は?症状と治療法も併せて解説!

前十字靭帯断裂、復帰までの期間は?症状と治療法も併せて解説!

前十字靭帯断裂は膝のケガでよくみられ、運動する人が多く受傷するスポーツ外傷の1つでもあります。前十字靭帯はACL(anterior cruciate ligament)と省略されることもあります。

今回は、前十字靭帯が断裂したとき、気になる復帰までの期間、症状と治療法も併せて解説していきます。

前十字靭帯断裂 復帰

前十字靭帯とは

靭帯とは、コラーゲンや弾性線維でできている多少伸び縮み可能なひも状のようなもので、関節で骨同士をつないで、過剰に骨が離れるのを防いで関節の安定性を保っています。

膝の関節は太ももの大腿骨(だいたいこつ)とすねの内側にある脛骨(けいこつ)、そして膝のお皿とよく呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨でできています。

そのうち大腿骨と、脛骨をつないでいる靱帯は、以下の4つです。

  • ・内側側副靱帯
  • ・外側側副靱帯
  • 前十字靭帯
  • ・後十字靭帯

内側/外側側副靱帯は、膝関節の左右にあり、膝が左右にずれすぎないような役目をしています。

前/後十字靭帯は、大腿骨と脛骨の間で交叉していて、前十字靭帯は脛骨が前に出すぎないように、後十字靭帯は脛骨が後ろにずれないような役目を担っています。

前十字靭帯の断裂とは?/損傷の分類

前十字靭帯の傷害を「前十字靭帯 損傷」と言います。

前十字靭帯損傷は程度によって1度から3度までに分類され、数字が大きいほど損傷が強いことを表しています。

  • 1度損傷
前十字靭帯は切れておらず、軽い痛みと腫れのみ。膝の不安定さはない。
  • 2度損傷
前十字靭帯は部分的に断裂し、膝には不安定さが現れる。
  • 3度損傷
前十字靭帯が完全に断裂している。内出血も起きる。膝には不安定さがある。

このうち、「前十字靭帯 断裂」は2度と3度が該当します。

前十字靭帯断裂の原因

前十字靭帯は、大腿骨と脛骨をつなぐ靱帯です。

役割としては脛骨が前に移動しすぎないように制御すること、そして、膝をひねったときにひねりすぎないように制御する役割があります。

ただし、強い力で脛骨だけが前に押し出されたり、膝を過剰にひねると、前十字靭帯の限界を超えるため靱帯断裂が起こります。

前十字靭帯に負担がかかる動き
  • ・ジャンプした後の着地
  • ・走っている間に急に向きを変える
  • ・全力で走って急に止まる
  • ・他人とぶつかる(接触プレー)

とくに前十字靭帯の断裂は、バスケットボールやサッカー、バレーボールや野球などのスポーツ中に起きることが多く、上記のような激しい動きの時に発症しやすいと考えられています。

前十字靭帯断裂の症状

前十字靭帯が断裂した瞬間は膝の中で紐がちぎれたような感覚を感じることがあります。

その後、膝がガクガクしたり、膝の痛み、膝の腫れなどが見られます。多くの場合では膝の関節の中で出血もしています。

しばらく放置すると痛みと腫れは引いてきますが、靱帯は勝手に治ることは少なく、膝の不安定さが残ります。

そのまま生活していると、膝がガクッと崩れたり、長期的には膝関節の中にある半月板や軟骨も傷んできます。すると変形性膝関節症という状態になります。

そうなるのを防ぐために、検査や治療を行うのが一般的です。

前十字靭帯断裂の検査

膝の不安定さや、どのような力が加わると痛みが出るかを触って確認するなどの検査を行います。

  • ・ラックマンテスト
  • ・前方引き出しテスト 

その他にレントゲンやMRI検査を行うこともあります。

前十字靭帯の治療方法と、気になる復帰までの期間は?

前十字靭帯が断裂すると、自然に修復されることはありません。

将来スポーツを行う可能性がある場合には、靱帯を再建する手術療法、将来的にスポーツなどをしない人であれば運動療法を行うことが一般的です。

1.自家腱移植

自分の組織を用いて再建する方法です。

腱移植は膝の内側の腱(ハムストリング腱)や、前面の腱(膝蓋骨を割った骨付きの膝蓋腱)を使う方法があります。

手術は関節鏡という鉛筆くらいの細いカメラを用いて、小さな切開で行なうことが主流です。この関節鏡で大腿骨と脛骨をつなぐトンネルをつくり、そこに加工した腱を通して、上下を金具で固定します。

最低限の切開で、早くリハビリを始められることからスポーツ選手でよく行われています。

この手術の一般的な術後経過は、1週間程度(最短4日)の入院でその間は車いす生活、退院後は松葉杖となり、きちんとリハビリを継続していれば1ヶ月で日常生活が可能となり、約半年から1年でスポーツ復帰となります。

再建術を行った後、スポーツへの復帰ができる割合は手術後1年で約6割程度と報告されています。

2.保護的早期運動療法

将来的にスポーツなどをしない人であれば、前十字靭帯専用の装具を装着して、リハビリをするという治療を選択する場合もあります。

保存的治療ではいずれは日常生活やレクレーションレベルの動作は可能ですが、競技スポーツへの復帰は困難とされています。

また前十字靭帯損傷後に手術を行わなかった場合、約6割の患者さんが変形性膝関節症となることが報告されているため、治療を選択する際にはきちんと損傷の程度を理解し、その後の生活やスポーツへの影響を考えて決めましょう。

まとめ/前十字靭帯断裂、復帰までの期間は?症状と治療法について解説!

いかがでしたでしょうか。

前十字靭帯断裂は、膝の中の靭帯が切れた状態です。特にスポーツをしているときに多く発生する外傷です。

受傷直後は傷みや膝の腫れがありますが、時間が経てばその症状は軽くなります。ただし、何も治療をしないと膝が不安定なままになったり、将来「変形性膝関節症」を発症することもあります。

前十字靭帯断裂の可能性がある場合は、早期に整形外科を受診することが重要です。

前十字靭帯断裂、復帰復帰までの期間は?症状と治療法について解説しました。ご参考になれば幸いです。

 

No.092

監修:医師 坂本貞範

 

スポーツ外傷(靭帯損傷、腱)の治療に有効な再生医療とは
当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています

 

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