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内側側副靭帯損傷(MCL)とは?早く治す方法を現役医師が解説

公開日: 2023.08.21
更新日: 2024.11.06

内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷は、内側側副靭帯という膝の内側の安定性を保っている靭帯が何らかの原因で損傷を受けることです。

今回は、医師の目線から、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説します。

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内側側副靭帯損傷(MCL)とは?

内側側副靭帯損傷

内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷(MCL)とは、膝関節の裏側にある内側側副靭帯によくみられる外傷です。

靭帯が何らかの原因で損傷を受けた状態を指します。

内側側副靭帯損傷は、後述しますが珍しいものではありません。

自力での治療は難しいため、症状が疑われた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。

また、放置してしまうと悪化する恐れがあるので、早めに受診しましょう。

内側側副靭帯の役割

内側側副靭帯は、膝の裏側にあって、関節が必要以上に開かないようにおさえる役割を果たします。

この靭帯は、膝関節に関わる腿骨と脛骨をつないでいます。

しかし、2つの骨は、決して衝撃に強くありません。

しかし内側側副靭帯があることで、外部からの衝撃に耐性を発揮できます。

結果として、この靭帯により、強い衝撃があっても必要以上に関節が開かないようになります。

なお、膝関節には、前十字靭帯と後十字靭帯という靭帯があり、関節の外側には内側側副靭帯が外側側副靭帯があります。

その中でも、内側側副靭帯は、特に膝の内側の安定性を保つ役割を持ちます。

内側側副靭帯損傷(MCL)の原因とは?

スポーツ外傷や、交通事故などで、膝に外反強制(がいはんきょうせい:すねを無理に外側に向けられること)するような大きな力が加わった際に、内側側副靭帯損傷(MCL損傷)が起こりやすいとされています。

内側側副靭帯損傷は、膝の靭帯損傷の中で最も多いとされています。

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内側側副靭帯損傷の4つの症状

次に、内側側副靭帯損傷に多い以下4つの症状に関して解説します。

  • ・痛みや腫れ
  • ・膝の不安定感
  • ・運動動作が困難になる
  • ・可動域の低下

内側側副靭帯損傷があると、上記する症状によって、スポーツへの参加や日常生活に支障が生じます。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

内側側副靭帯損傷の症状①痛みや腫れ

急性期(怪我をしてから3週間頃)に、膝の痛みと可動域制限がみられます。

しばらくして腫れ(関節内血腫)が目立ってくることもあります。

急性期が過ぎると、重症度にもよりますが、一般的に痛みや腫れ、可動域制限は軽快してきます。

内側側副靭帯の損傷の症状②膝の不安定感

この頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。

ひねり動作の際にはっきりすることが多いです。

内側側副靭帯損傷の場合は、膝の内側の不安定感が出ます。

この状態のまま放置しておくと、新たに半月(板)損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(水腫)になってしまうこともあります。

内側側副靭帯の損傷の症状③運動動作が困難になる

さらに、以下のような形で運動動作を取るのが困難になります。

  • ・痛みや腫れによって、ランニング、ジャンプなどがしにくくなる
  • ・症状が重い場合は歩きにくくなる
  • ・膝の安定感が失われ、思うように方向転換できなくなる

スポーツの参加はもちろん、日常生活でも感じる方が多いです。

また、トレーニングができなくなるため、筋力が低下するという問題もあります。

内側側副靭帯の損傷の症状④可動域の低下

内側側副靭帯の損傷によって、動かせる関節の範囲が限られます。

膝をまっすぐにしたり、自由に曲げたりするのが難しくなります。

膝が固くなったようにも感じられます。その結果、足を引きずったような歩き方になるかもしれません。

内側側副靭帯損傷の重症度

内側側副靭帯損傷は、American Medical Associationの分類によって、1〜3度に分かれます。

  • ・1度
    軽症ですが、治療とリハビリを行うことが推奨されます。
  • ・2度
    中等症で、膝の外反動揺性つまりぐらぐら感を中程度に認めます。
    初期治療(ギ プス固定、装具療法など)が重要となります。
  • ・3度
    重症で、膝の外反動揺性が顕著であり、手術を要する場合が多いです。

内側側副靭帯損傷の検査方法

それでは、次に内側側副靱帯の検査方法について解説します。

ストレステスト

診察では膝関節にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。

① 外反ストレステスト(valgus stress test)

患者が仰向けになり、膝を伸ばした姿勢と30°膝に曲げた姿勢の2パターンでチェックをします。

医師などの検査者が膝関節の外側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に外反強制力、つまりすねを内側に向ける力を加え、膝関節の外反不安定性をみます。

この際、30°屈曲位で外反不安定性があれば、MCL損傷を疑います。

MCL単独損傷では伸展位での不安定性は認めません。

② 内反ストレステスト(varus stress test)

外反ストレステストとは逆に、医師などの検査者が膝関節の内側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に内反強制力、つまりすねを外側に向ける力を加え、膝関節の内反不安定性をみます。

この際、30°屈曲位で内反不安定性があれば、内側側副靱帯損傷を疑います。

画像検査

画像診断ではMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)が有用です。

X線(レントゲン)写真では靭帯は写りませんがMRIでは損傷した靭帯を描出できます。

また、半月(板)損傷合併の有無も同時に評価できます。

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内側側副靭帯損傷の治療法

内側側副靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や症状に基づいて決められます。

保存的治療

内側側副靭帯の単独靱帯損傷の場合には、手術ではなくリハビリテーション治療による保存的治療が選択されます。

受傷後急性期には、 RICE(安静または短期の固定、冷却、弾力包帯などによる圧迫、患肢の挙上)処置に引き続いて、できるだけ早期から筋力訓練を開始します。

サポーター装着

膝に不安定性がある場合は、損傷靱帯保護の目的で支柱付きのサポーター装用を考慮します。

手術療法

前十字靭帯や半月板との混合損傷や、重症度3度であり保存的治療では治らないことが予想される場合には手術療法が行われます。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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関連記事:次世代の再生医療とは

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内側側副靱帯損傷についてよくある質問

Q1:内側側副靱帯損傷は自然に治りますか?

A1 :内側側副靱帯損傷は、損傷の程度が軽い場合や部分的な断裂では、膝関節周囲の血流が豊富で栄養供給が行われやすいため、治癒しやすく保存療法が行いやすいといえます。

しかし完全な断裂など、重症の場合は自然治癒は期待しがたいので、靭帯の再腱術を行うことが必要になります。

Q2:内側側副靱帯損傷の固定期間はどれくらいですか?

A2:個人差はありますが、約1〜2週間程度ギプスシーネやニーブレースなどで固定後、靭帯矯正サポーターを装着し、リハビリテーションとして可動域、歩行訓練を行っていきます。

膝装具は一般的には約6週間以上装着します。

膝の可動域と不安定性が、怪我をしていない方の膝と同じレベルまで改善したらスポーツ復帰が可能となります。

まとめ|内側側副靭帯損傷(MCL)とは?早く治す方法を現役医師が解説

今回の記事では、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説しました。

内側側副靱帯損傷が起こると、その治療には数週間を要する場合が多いです。

しかしながら、再生医療によって、治療期間や回復までの時間を短くできる可能性があります。

こちらの動画も是非ご覧ください。

膝の靭帯のメカニズムと再生医療について解説。

また当院では、自己脂肪由来幹細胞治療を行うことで、膝の靭帯損傷をより早く治し、筋力低下などを防ぐための再生医療を提供しています。

ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。

この記事がご参考になれば幸いです。

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No.S146
監修:医師 加藤 秀一

変形性膝関節症の治療

参考文献

膝の最前線|理学療法科学23(2):335−340,2008.p336
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/2/23_2_335/_pdf
「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ligament_injury_of_th_knee.htm 
膝のスポーツ外傷・障害と装具 東京女子体育大学小出清一|日本技師装具学会誌4(4):291〜295,1988.p292
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo1985/4/4/4_4_291/_pdf/-char/en 
スポーツ理学療法で必要となる 整形外科徒手検査と徴候|理学療法科学23(2):337−362,2008.p361
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/3/23_3_357/_pdf 
スポーツにおける膝外傷・障害に対する リハビリテーション治療 p1029
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/12/56_56.1027/_pdf

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