親指と人差し指の間が痛い!考えられる疾患CM関節症とは?原因や治療法を解説
CM関節症は、50歳以上やゴルフなどの運動をする方、女性によくみられる疾患です。親指の根本にある「CM関節」の使いすぎや加齢による変性が関係しています。
瓶やペットボトルのふたを開けたり、ボタンを閉めたりと、親指に力を入れた動作をすると「親指と人差し指の間あたりが痛い」と感じます。日常生活の質に影響する痛みなので、早めに解消したいと考える方は多いでしょう。
そこで本記事では、CM関節症の原因や症状を解説するとともに、治療法や筋肉のほぐし方などについて詳しくご紹介します。
親指と人差し指の間が痛いときに考えられるCM関節症とは?
CM関節症とは、親指の根本にある「CM関節」の使い過ぎや加齢により変性し、痛みや腫れ、さらには亜脱臼などの症状を引き起こす疾患です。
「CM関節」は、母指(親指)の根本の骨である第1中手骨と、手首の小さい骨である大菱形骨の間に存在している関節をいいます。
母指が他の指と対立運動(つまみ動作)ができるのは、このCM関節の役割が大きくかかわっています。「握る」「つまむ」などの動作を行う際に負担がかかる部位を「CM関節」と覚えておきましょう。
ただ「握る」「つまむ」などの動作は、けして特別なものではなく、日常生活においても比較的多く行われる動作のため、CM関節には常に負担が掛かり続けていると言えるのです。そのため、関節をスムーズに動かしたり、衝撃を和らげるクッションの役割を果たす軟骨がすり減ったりすることで関節の腫れや亜脱臼などが生じることとなり、これが「CM関節症」といわれます。
CM関節症で考えられる8つの症状
CM関節症の場合、母指(親指)に力を入れた動作をした際、手首の母指の付け根付近に痛みが生じます。主に痛みが生じる場面は下記8つのとおりです。
瓶やペットボトルのふたを開ける
ホッチキス・ハサミ使用時
タオルを絞る
ドアのノブを回す
字を書く
草むしり
布団を挙げる
ボタンをかける
また、症状が進行すると、手首の母指の付け根付近が腫れて膨らんできて母指を開くことが難しくなります。場合によっては、関節が変形して親指の指先の関節が曲がり、付け根の関節が反る「白鳥の首変形(スワンネック変形)」になる可能性もあります。
CM関節症のステージごとの症状
CM関節症の症状は、ステージごとに区分され以下のように細かく分類されています。
stage1
レントゲン上での問題はみられない
stage2
関節の隙間が少し狭くなり、骨硬化が少しみられる
stage3
関節に隙間がほとんどなくなり、骨硬化や骨棘がみられる
stage4
完全に関節の隙間がなくなり、骨棘の形成もみられる。
一般的にstage1・2は保存療法、stage3・4は重症になり手術の検討が必要となります。
ただ、必ずしもレントゲン上の結果と一致しないため、最初はサポーターなどの装具、テーピング、リハビリなどの手術以外の選択肢で治療を行うこともあります。
CM関節症の原因
CM関節症を生じる主な原因は、加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形です。それ以外にも、過去に母指に受けた外傷・怪我も原因になりえます。
CM関節が正常の場合は、軟骨がしっかり骨を覆っており、スムーズな曲げ伸ばしや、クッション性も豊かです。しかしCM関節症の場合、軟骨がすり減ってしまった結果、骨と骨同士がぶつかり合い、関節への負担が生じることとなります。
一般的には下記の因子(原因)が当てはまる人はCM関節症になりやすいと推測されます。
女性
肥満
40歳以上
靭帯のゆるみなどの遺伝
親指周囲の骨折など過去の外傷や怪我
スポーツや労働で親指に強い負担が、かかっている状況
CM関節症の治療方法
CM関節症の治療法は大きく下記の4つに分けられます。
保存療法:テーピング・サポーターなどの装具治療・リハビリ
薬物療法:消炎鎮痛剤・痛み止め・注射によるステロイド製剤
手術療法:関節形成術・骨切り術・靭帯再建術
再生医療:幹細胞の投与
CM関節症は、まず保存治療を実施します。テーピング・サポーターなどの装具治療、リハビリをしっかり行うだけで症状の改善がみられる場合がほとんどです。
装具治療は、手の状態に合わせて取り外し可能な装具を作成し、症状が軽い場合は、寝るときに装具を付けて過ごすだけで数週間後には痛みが軽減する場合もあります。装具治療でも痛みが軽減しない場合は、消炎鎮痛剤の内服・注射治療を実施します。
保存療法や薬物療法を実施しても症状が改善しない場合は、手術による治療法も選択の1つとしなければなりません。手術の内容は「関節形成術」「骨切り術」「靭帯再建術」の3つ方法が主要となり、どの手術後も一定期間の固定が必要なため、母指を正常に使えるようになるまでに長い期間を要することがデメリットとなります。
ただし、手術を必要としない方法として、再生医療による幹細胞の投与が挙げられます。関節の軟骨がすり減っている部分などに、幹細胞を投与することでCM関節症の改善が期待できるのです。実際に痛みが10分の2まで軽減された事例もあり、下記の動画で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
CM関節症による筋肉への影響とほぐし方
手には多くの筋肉が存在するため、CM関節症になると、さまざまな筋肉に影響が出ます。今回はその中でも主要な筋肉のほぐし方について解説します。
第一背側骨間筋
背側骨間筋は、第1中手骨(親指)と第2中手骨(人差し指)の間にある筋で、親指を内側(手のひら側)に曲げたときに背側へ盛り上がってくる筋です。
この筋肉が緊張すると、痛みが出る・指がこわばる・力が入りにくくなります。また、中手骨の間にも走行するため、場合によって、神経が圧迫されて、しびれの原因にもなります。
背側骨間筋のほぐし方は下記のとおりです。
ほぐす側の手の平を台に置いて安定させる
手の甲を上に向ける
逆側の手で第1中手骨と第2中手骨の間に指を入れる
親指と人差し指の間の筋をつかむ
押さえるように、ほぐしましょう。
母指対立筋
母指(親指)を動かす筋は全部で4つあり、そのうち、短母指屈筋・短母指外転筋・母子対立筋の3つの筋で親指の付け根の膨らみである母指球を形成しています。
母指対立筋は短母指屈筋と短母指外転筋に覆われており、親指を手の平に近づける作用である対立運動に関与します。母指対立筋のほぐし方は下記のとおりです。
ほぐす側の手の平を上に向けて指を広げる
反対側の手で母指を握る
母指CM(親指の根本)を手のひらとは反対側、手の甲側へ伸ばす
まとめ|親指と人差し指の間が痛いと感じたら医師に相談を!
本記事では、親指と人差し指の間が痛いときに考えられる「CM関節症」の症状や治療法について詳しく解説しました。
CM関節症は、50歳以上の人に多く見られる疾患で、親指の根元に位置するCM関節の軟骨がすり減ることにより発症します。主な原因は加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形・過去に親指に受けた外傷や怪我の影響とお伝えしました。
「握る」や「つまむ」などの日常的な動作で親指に負担がかかり、痛みや腫れを引き起こす疾患です。日常生活の質を大きく左右するため、早期発見と適切な治療が欠かせません。親指と人差し指の間に痛みが少しでもあれば、我慢せず自己判断を避け、専門医の診断とアドバイスを受けることが重要です。
当院「リペアセルクリニック」は、手術を必要としない再生医療を得意としており、CM関節症の治療もしていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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公開日:2024.10.28