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脳梗塞とはどんな病気?3つの種類と気をつけたい合併症とは 脳梗塞は誰にでも起こる可能性がある重篤な病気であり、時に生命に関わることもあります。そのため、症状や原因について正しい知識を持つことが重要です。原因、 なぜ、合併症 看護、 消化管出血 なぜ この記事では脳梗塞の3つの種類、原因について解説します。また、治療の上で気をつけるべき合併症やその原因、脳梗塞についてよくある質問についても紹介します。 脳梗塞の3つの種類について まず脳卒中は、脳の血管が詰まって起こる「脳梗塞」と、血管が破れて出血する「脳出血」に大きく分けられます。 脳梗塞では神経細胞に血液を運ぶ血管の一部が詰まってしまい、神経が障害されることにより麻痺や痺れ、意識障害などのさまざまな症状を起こします。 さらに脳梗塞は、血管が詰まる原因によって3つに分類されます。 ラクナ梗塞 1つ目が、動脈硬化によって細くなった血管が詰まる「ラクナ梗塞」です。細い血管が詰まることが多く、他の種類の脳梗塞と比べて症状が軽いことが多い点が特徴です。 アテローム血栓性脳梗塞 2つ目が、血管にコレステロールが溜まった結果、そこに血の固まりができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」です。最初は軽症でも、徐々に血管が詰まっていき症状が悪化するなど、段階的に増悪することがあるという特徴があります。 心原性脳塞栓症 3つ目が、心臓など他の部位で作られた血の固まりが血流によって脳の血管に運ばれて詰まる「心原性脳塞栓症」です。大きな血の塊が太い血管に詰まることによって突然発症し、障害される脳の範囲が広いため重症な場合が多い点が特徴です。 ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞は、高血圧、糖尿症、脂質異常症や喫煙などの生活習慣が危険因子のため、これらを適切に治療することが予防のために必要です。 一方で、心原性脳塞栓症は心房細動という不整脈が原因であることが多く、その他にも心臓弁膜症でも起こりえます。心房細動では脈が乱れ打ちになってしまい、心臓の中で血液がよどんで血栓ができてしまう場合があります。この血栓が脳の血管に運ばれて詰まってしまうと脳梗塞を発症します。 そのため、脳梗塞のリスクが高い方は抗凝固薬という血液をサラサラにするお薬を服用して予防をする場合があります。お薬には副作用もあるため、薬のリスクや服用のメリット、デメリットを考えて治療が検討されます。 脳梗塞の合併症について 脳梗塞では、伴う合併症に発熱、肺炎、脳・消化管出血、脳梗塞の再発など、さまざまなものがあります。 ではなぜ起こるのでしょうか。主な合併症の種類と原因を解説していきます。 発熱 ・人の体温は脳の中枢で管理されていて脳梗塞で脳が障害を受けると体温調節中枢も障害され発熱することがあります ・通常は解熱鎮痛薬で対症的に治療します。 誤嚥性肺炎 ・意識障害や、飲み込みの機能の低下によって唾液や痰が肺に入って肺炎を起こしてしまうことがあります ・誤嚥性肺炎と呼ばれており、抗菌薬の投与や酸素投与などを必要とする場合もあります 脳・消化管出血 ・動脈硬化は血管の色々な部位に起こるので、一度脳梗塞を起こした方は再発する危険性が高くなっています ・再発を予防するために血液をサラサラにする薬を服用することが推奨されます しかし、血液をサラサラにする薬の副作用として、脳、胃や腸などの消化管で出血を起こしてしまう場合があります。脳出血では麻痺の悪化、消化管の出血では貧血によって全身状態が悪化してしまうリスクがありますが、完全に予防することは困難で早期発見、対処が重要になってきます。 脳梗塞についてよくあるQ&A Q : 脳梗塞になりやすい人の特徴は? A:脳梗塞の危険因子として生活習慣病があります。 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などが挙げられ、健診で異常を指摘されている方は早めに治療を開始することが勧められます。 Q : 脳梗塞の前兆の症状はありますか? A:脳梗塞は突然発症するものから、前兆を伴う場合もあります。脳梗塞の前兆とは急に手足や顔の麻痺やしびれが出現して、時間が経って改善することです。 この症状は一過性脳虚血発作と言われており、動脈硬化などによって一時的に脳の血流が悪くなることが原因とされています。 一過性脳虚血発作がみられた場合には脳梗塞になってしまう危険性があり、早期に病院で治療することが必要です。 Q : 合併症を予防する方法はありますか? A:現代の医学でも合併症を完全に予防することは困難です。危険性を下げるために、発症してからすぐの間は医師、看護師の治療や指導を守ることが必要です。 また消化管出血については、胃潰瘍の既往がある方などでは胃酸の分泌を抑えるお薬を服用してリスクを下げる方法が取られる場合があります。 まとめ ・脳梗塞を起こさないように早期発見・治療することが最も重要 脳梗塞にはラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症の3つがあり、それぞれ発症の原因や重症度が異なるのが一般的です。 また、治療の過程で発熱や肺炎を起こす場合があり、再発予防のための血液をサラサラにする薬の使用で出血を起こしてしまうことがあります。そのため、脳梗塞を起こさないようにすることが最も重要ですので、脳梗塞に関する正しい知識を持ち、予防に努めた上で症状がある時には早期発見・治療することが大切です。 健康で充実した生活を送るためにも、ぜひ参考にしてみてください。 No.126 監修:医師 坂本貞範
2023.04.19 -
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脳卒中と脳梗塞?案外知らないその違い、ここでスッキリ解消! 脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれる脳の重い病気です。 ケースによっては、からだを動かすのが不自由になる、言葉が出づらくなる、など後遺症が残ることも少なくありません。身近で脳卒中について話題になったこともあるでしょう。 「脳卒中」とよく似た言葉に「脳梗塞」がありますが、それぞれの違いをご存知ですか!? この記事では、知っているようで知らない脳疾患である「脳卒中と脳梗塞の違い」にスポットを当てながら、病気の症状や原因、予防するための方法についてわかりやすく解説します。 脳卒中は、脳の血管障害によって発症する病気全般を指します! 脳卒中とは、脳の血管が詰まる、あるいは血管が裂けることで起きる脳の病気全般を指す言葉です。 例えば、腹痛と一口にいっても、下痢や便秘もあれば盲腸炎や大腸がんなど、原因となる病気はいくつも考えられるでしょう。 脳卒中には、大きく分けて次の 3 種類があります。 ・脳梗塞 ・脳出血 ・くも膜下出血 それぞれわかりやすく説明していきます。 脳梗塞 脳の血管が詰まる脳卒中の一種です。血管が詰まった先は血液の流れが悪くなるので、脳細胞が壊死していきます。 脳出血 脳の血管が、高血圧などにより内側から強い圧力がかかり、破けてしまう脳卒のことです。出血した血液が塊になって、脳が働かなくなります。 また、脳を圧迫するため、他の脳の部分にもダメージを与えます。 くも膜下出血 脳の太い血管にできた、動脈瘤というこぶが破れて起こる脳卒中のひとつです。 脳梗塞や脳出血は脳の中で起こりますが、出血した血液が脳の表面を覆って発症することがポイントです。 ここまでの説明を表にすると、以下のようなイメージです。 病名 病気の種類 病気が起きる原因 脳卒中 ・脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が行き渡らなくなる ・脳出血 脳の血管が切れて出血して、脳の細胞が壊死する ・くも膜下出血 脳の血管にできた「動脈瘤」(こぶ)が破けて、脳の表面を覆うように出血が広がる もうお分かりですね! この表からもわかるように脳梗塞とは、あくまで脳卒中といわれる病名の中にあって、その種類のひとつなのです。このあたりは、知っている人に取っては当たり前ですが、知らない人にとってはごっちゃになっている部分だと思います。 最近は、脳卒中より脳梗塞という病名が知られるようになったため、別々の病気と思っている人も少なくありませんが、実は同じ病気だということです。 脳梗塞は脳の血管が詰まる・狭くなることで起きる ここまで説明してきたように、脳卒中と脳梗塞は異なるものではなく、脳卒中という大きな病気のひとつの種類に脳梗塞がある、とわかりました。 そして、 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の神経細胞が死んでいくことによって発症します。 脳の血管が詰まる原因は、血栓と呼ばれる血の塊です。 年齢とともに血管の動脈硬化によってできる血栓や、心臓にできる血栓が脳に移動して、脳の血管を詰まらせます。血管が詰まると脳に血液が行き渡らなくなって、酸素や栄養が届かなくなり、脳が壊死してしまうのです。 脳梗塞の状態が重いほど、後遺症が強く残りやすくなります。 このように、脳梗塞や脳出血といった脳卒中は、寝たきりや認知症、高次機能障害といった後遺症を引き起こす重大な病気なのです。 脳卒中は年齢に関係なく突然起きる病気 代表的な脳卒中によくある症状は次の 5 つです。 1.半身がしびれたり、麻痺が続く 2.ふらふらしたり、歩く・立つができなくなる 3.ろれつが回らず、言葉が出ない 4.視野の半分が暗くなる、二重に見える 5.激しい頭痛が突然起きる 脳梗塞をはじめ脳卒中は、ある日突然起きる病気です。脳の血管が詰まる、裂けるといった脳卒中の原因が突然起きると、一気に重い症状が現れることがポイントです。 脳卒中かもしれないと思ったら 「半身がしびれたり、麻痺がつづいている」「ろれつが回らなくなった」こうした脳卒中の症状に気づいたら、すぐに医師に診てもらいましょう。 脳梗塞や脳出血は似たような症状が起きることが多いため、日頃から脳卒中の代表的な症状を覚えておくことが大切です。 気になる症状があったときは、できるだけまずはかかりつけ医に電話で相談する、少しでも症状に不安を感じたら迷わず救急車を呼んでください。 脳卒中のリスクと予防 脳卒中は死に至ることもある重い病気で、後遺症が残ることも多いため、日常的に予防に努めることが大切です。 脳卒中の 5 大リスクとして知られているものは、次の 5 つです。 ①高血圧 ②糖尿病 ③脂質異常症 ④不整脈 ⑤喫煙 ここで挙げたリスクは、生活習慣病といわれていて、以下のような食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善で予防できるものです。 食生活に気を配ることで予防が可能 ・塩分制限をする ・バランスの良い食事を心がける ・適度に運動する ・十分に睡眠をとる ・お酒や喫煙を控える 脳卒中は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。 予防のためにも、まずは生活習慣を見直すことからスタートすることが何より大切です。 また、病院で血圧や血液検査などの異常を指摘された方も、薬による治療を続けると脳梗塞をはじめ脳卒中のリスクをコントロールすることができます。あわせて、定期的な健康診断や通院で、病気を管理することも忘れずに行いましょう。 まとめ・脳卒中と脳梗塞?案外知らないその違い、ここでスッキリ解消! 脳卒中と脳梗塞の違いについて解説してきましたが、次のポイントを改めてチェックしておきましょう。 ・脳卒中は脳の血管障害による病気全般を指す言葉 ・脳卒中と脳梗塞は別々の病気ではなく、実は同じもの ・脳卒中の種類のうち、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」 ・脳卒中は生活習慣病が大きな原因 脳卒中の症状や、脳梗塞の特徴を覚えておいて、ぜひ病気の予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.106 監修:医師 坂本貞範
2022.12.26 -
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脳梗塞は、遺伝的要因に加えて、後天的には食事が関係する!?【食事療法でリスクを回避】 脳梗塞は日本でも死因上位の病気であり、脳梗塞のリスクとして食生活や遺伝が関係しています。 健康的な食事を摂ることは、高血圧 、糖尿病、高コレステロール (脂質) 、冠動脈疾患、肥満などの脳梗塞のリスクを減らすことがわかっています。 そこで今回は、脳梗塞の遺伝についてや、摂るべき食事や控えるべき食事など、食事方法について詳しく説明したいと思います。 脳梗塞は遺伝する!?「食事」が関係する理由 脳梗塞の発症には多因子の関与が知られており、この多因子は大きく後天的要因と遺伝的要因に分けられます。 それぞれ解説していきます。 脳梗塞の遺伝的要因 遺伝的要因としては年齢 、性別 、人種 、家族歴 、高血圧 、糖尿病 、高脂血症 、肥満 、過凝固状態(血液が固まりやすくなること)などの要素が挙げられます。 以下の3つに関してより詳しく解説していきましょう。 ・年齢 ・性別 ・家族歴 脳梗塞はどの年齢でも発生する可能性がありますが、リスクは 1 歳未満の乳児と成人で高くなります。成人では、リスクは年齢とともに増加します。また、若い年齢では、男性は女性よりも脳梗塞を起こす可能性が高くなります。 しかし、女性は長生きする傾向があるため、脳梗塞になる生涯リスクは高くなります。また、経口避妊薬やホルモン補充療法を使用している女性や、妊娠中および出産後の数週間もリスクが高くなります。 脳梗塞の家族歴に関しては、親または他の家族が脳梗塞を発症したことがある場合、特に若い年齢で脳梗塞を発症するリスクが高くなります。 後天的要因とは?体質の遺伝は食事と関係する そして後天的要因として、食事などの生活習慣なども関与し、危険因子と呼ばれます。この後天的要因によって、脳梗塞が遺伝すると考えることもできます。 脳梗塞は稀ではありますが、遺伝に関係しているものはあります。ほとんどの場合は生活習慣、特に自宅で食べる際の食事の味付けに由来しています。 例えば塩辛い味が美味しいと感じる場合は、小さい頃から味付けが濃い食事を食べ続けたことが影響していると言えます。 つまり、脳梗塞の家族歴があると、食生活も家族と同じようなものになる傾向があるため、高血圧症になりやすい体質が遺伝する可能性が高く、同様に発症リスクが高くなるという考え方です。 脳梗塞と食生活との関係は? 脳梗塞後は、よく食べることが回復の鍵です。健康的な食品を選ぶことで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減することができます。 その際、食べてはいけないものはあるのでしょうか?どのような食事を摂り、どのような食事を控えた方がいいのか解説していきます。 脳梗塞の時に摂るべき食事 基本的には脂肪分の少ない食事を心掛けましょう。 ・穀物や青魚 ・野菜(食物繊維): 栄養豊富な濃い緑色とオレンジ色の野菜など ・果物: 冷凍、またはドライフルーツ ・乳製品: 低脂肪または無脂肪の乳製品 ・タンパク質: 低脂肪または赤身の肉、鶏肉など 上記のような食事をバランスよく摂ると、発症リスクを抑えることが可能です。 脳梗塞の時に控えるべき食事 続いて控えるべき食事は以下です。 ・トランス脂肪酸 ・アルコール ・塩分加工食品 ・糖分の多い食品 トランス脂肪は、水素化と呼ばれるプロセスによって、不飽和植物油がより飽和したものに変わるときに形成され、高コレステロールと心血管疾患のリスク増加にも関連しています。 脂肪に関してはバターやマーガリン、またはラードからのものは極力制限しましょう。 脳梗塞の食事療法とは?工夫点について 脳梗塞の時に摂るべき食事、控えるべき食事、さらに具体的にどのような工夫をすればいいか解説していきます。 ①毎食さまざまな色の野菜を取り入れる 果物や野菜に含まれる栄養素をバランスよく得るためには、毎食、さまざまな色の食品を選ぶことが重要です。 濃い赤、オレンジ、鮮やかな黄色、濃い緑、青、紫など、さまざまな色の果物、野菜、豆類を選択することで、さまざまな栄養素を確実に取り入れることができます。 ②飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を制限する 脂肪やコレステロールは体の健康のために必要ですが、血中のコレステロールが多すぎると、脳梗塞や心臓病のリスクが高まる可能性があります。 飽和脂肪酸などは、肉、チーズ、卵黄、バター、アイスクリームなどの動物性食品、および一部の植物油 (パーム、ココナッツ) などに含まれています。 これらの食品から摂取する飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロールの量を制限することが、脳梗塞予防の鍵となります。 ③食物繊維の多い食品を選ぶ 食物繊維はコレステロールと心血管疾患の全体的なリスクに関連しています。 食物繊維の摂取量は、コレステロール値や脳梗塞のリスクに影響するだけでなく、血糖値をコントロールし、胃や腸などの病気を予防し、体重管理に役立つなどの利点があります。 ④食事中のナトリウムを減らす ほとんどの人が、必要以上にナトリウムを摂取しています。ナトリウムを摂りすぎると、体液が貯留し、血圧が上昇する可能性があります。 塩分を減らす方法としては、食卓塩の代わりにハーブやスパイスを使用しましょう。塩味が控えめでも、風味が豊かになることで満足感を得ることができるのでおすすめです。 また、ナトリウムは食品の保存にも使用されるため、食品を加工すればするほど、ナトリウム含有量が高くなります。したがって、加工食品や缶詰食品を使用しないことも大切です。 ⑤健康的な体重を維持する 脳梗塞のリスクを減らすためのもう 1 つの重要な戦略は、健康的な体重を維持することです。 食事量に注意して、食物繊維が多く脂肪の少ない食品を食べる、活動を増やすことで、健康的な体重を達成することができます。減量は無理なく続けることが大切です。 きちんと計画を立てて、最初から現実的に達成可能な短期、又は長期の目標を設定して行うことが成功のポイントです。 ⑥糖分の摂取を減らす 糖分の過剰摂取は、高血圧、肥満、2 型糖尿病、脂質異常症と関連しており、これらはすべて脳梗塞の危険因子となっています。 砂糖の例としては、白砂糖、黒糖、蜂蜜、糖蜜、ゼリー、ジャム、加糖飲料などがあります。使用頻度を減らすか、使用する量を減らすことが推奨されています。 ⑦カリウムを十分にとる カリウムは果物、野菜、乳製品に豊富に含まれていますが、ほとんどの成人はカリウムを十分に摂取していません。 カリウムを摂るためには、バナナ、アプリコット、オレンジ、メロン、リンゴなどの果物がおすすめです。野菜には、じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、ズッキーニ、トマトなどがあります。 適切な心機能を維持するためには、十分な食事性カリウムの摂取が必要不可欠です。 脳梗塞のリスクについて食事療法で気をつけるべきことは? では、食事療法の工夫の次に、注意点についても見ていきましょう。ただ単に食事内容に気をつけるだけではなく、以下のような注意点もあります。 ①肥満予防:食べる量に気をつける 満腹になるまで食べないことです。肥満を防ぐためにも常に8割くらいに抑えて、食事量を調整しましょう。 ②脱水症状予防:水分を一緒に摂る 水分不足にならないように、食事と共に必ずこまめに水分摂取してください。 ただし、水分を摂るといっても、以下のような水分は推奨されません。 ・アルコール ・コーヒー、緑茶 ・甘いジュース 水分不足は、血流が滞り血栓ができやすくなる原因と言われています。水または麦茶など、カフェインの入っていない飲み物は利尿作用がなく、水分の排出が少なく済むのでおすすめです。 ③誤嚥予防:嚥下障害に気をつける 脳梗塞の後遺症として、飲み込みづらさなどがあり、飲み込みづらい場合は、ベット上で頭を上げるなど工夫して食事療法を行います。誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性もあるため、水分や固形物を飲ませる場合は、嚥下機能の評価を行ってからにしましょう。 まとめ・脳梗塞の遺伝的要因と後天的要因のリスク回避に食事療法を! いかがでしたでしょうか。脳梗塞は食事療法を行うことで、予防できることもあります。 今回の記事でご紹介した、摂るべき食品、控えるべき食品を考えた食生活をすることで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減することができます。 より健康的な食事を摂るためにも、困った点があれば、栄養士に相談することも大切です。 今回の記事をご参考にしていただき、ぜひ改善に取り組んでみましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S099 監修:医師 加藤 秀一 ※脳梗塞の後遺症でお悩みなら、再生医療という先端治療法があります。再生医療は、多くの症例数を有する当院までお問い合わせください。
2022.12.14 -
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脳梗塞の様々な後遺症を改善する具体的なリハビリ方法と期間の目安とは 「脳梗塞の後遺症を改善する方法について知りたい。」 「脳梗塞のリハビリについて具体的な方法を知りたい。」 こんな悩みを抱えている方はいませんか? 脳梗塞を発症すると、適切な治療を受けても後遺症が残ることがほとんどです。後遺症を改善し、元の日常生活に戻るためにも、長期間のリハビリが欠かせないのです。 そこで今回は、脳梗塞の後遺症や改善する方法、リハビリについて説明しますので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞の後遺症は改善できるのか? 脳梗塞にはさまざまな後遺症や合併症があり、その後の回復の仕方もさまざまです。 脳梗塞のリハビリは、自立生活を取り戻し、生活の質を向上させるのに役立ちます。脳梗塞の影響を受けた脳の部分に応じて、さまざまなリハビリを行います。 脳梗塞のリハビリには多くの職種が関わります 以下のように脳梗塞のリハビリには、さまざまな専門家が関与します。 医師や看護師 かかりつけの医師は、神経科医や理学療法とリハビリテーションの専門家と同様に、あなたのケアを指導し、合併症の予防に役立ちます。 理学療法士 ウォーキングやバランスの維持などの動きを再学習するのに役立ちます。 作業療法士 着替え、入浴、家事のスキルなどのより自立した活動的な生活を送るのをリハビリを通して助けます。 さらに、感情的、社会的リハビリに焦点を当てた専門職もあります。 ソーシャルワーカー ソーシャルワーカーは、医療、福祉、介護などにおいて、相談員として支援を行い、日常生活を送る上で、困り事や問題を抱えている方に対して援助や支援の調整を行います。 心理学者 これらの専門家は、あなたの思考スキルを評価し、あなたの精神的および感情的な精神衛生上の懸念に対処するのに役立ちます。 脳梗塞のリハビリの結果に影響を与える要因は? 脳梗塞の回復には個人差があります。どれだけ多くの能力を回復させられるか、またどれくらい早く回復できるかのを予測するのは困難です。 一般的に、脳梗塞リハビリの成功は次の要素に依存します。 身体的要因 脳梗塞の重症度など 感情的要因 モチベーションや気分など 社会的要因 友人や家族のサポートなど 治療上の要因 リハビリの早期開始や有無やリハビリチームのスキルなど 回復率は一般に、脳梗塞後の数週間から数ヶ月で最も大きくなります。 脳梗塞からの回復は、長期間にわたって必要であり、途中で挫折してしまうことはよくあることです。 改善に向けて最大限の効果を得るのに長時間かかることを理解しておきましょう。 脳梗塞のリハビリの具体的な方法と期間の目安とは リハビリ計画は、脳梗塞の影響を受けた体の部位や能力の種類によって異なり、主に以下の3つの時期に分けられます。 ①急性期のリハビリ : 発症〜 48 時間以内 急性期のリハビリとしては、運動機能の改善などが含まれます。 運動機能の回復訓練 全身の筋力と協調運動を改善するのに役立ちます。これらには、バランス、歩行、さらには飲み込むために使用される筋肉が含まれます。 歩行器、杖、車椅子、足首装具などの移動補助具の使い方を学んだり、ベッドから立つ、座るなどの離床訓練も必要です。 関節の可動域訓練 特定の運動や治療は、筋肉の緊張(痙縮)を緩和し、可動域を取り戻すのに役立ちます。 看護師や理学療法士が行う他動的運動と自分で動かす自動運動に分けられます。 ②回復期のリハビリ : 3〜6 ヶ月 回復期では、日常生活に戻ることを目的とし、主に以下のようなリハビリを行います。 機能的電気刺激 弱った筋肉に電気を流して収縮させることで、筋肉に運動の仕方を再学習させることができます。 ロボット訓練 ロボット装置は、障害のある手足が反復運動を行うのを支援し、手足の強さと機能を回復するのを助けます。 言語機能訓練 失語症などの後遺症が残ったら、読み書きや言葉の言語機能の訓練を行います。 作業療法 作業療法と言語療法は、記憶、処理、問題解決、社会的スキル、判断力、安全意識などの認知能力の喪失を手助けすることができます。 心理的評価と治療 脳梗塞後の後遺症として心理的なケアも大切です。カウンセリングを受けたり、支援グループに参加したりすることもできます。 ③維持期のリハビリ : 回復期以降 維持期では退院後に主に日常生活を取り戻すためにストレッチなどの軽めの運動から始めます。 退院前に、患者さんとその家族は、病院のソーシャルワーカーやケアチームと協力して、最適なリハビリ環境を決定する必要があります。 ここで考慮すべき要因には、適用される保険、患者さんとその家族にとって何が最も便利かなどがあります。 病院の外来 病院または診療所の外来に通います。 専門的な介護施設 介護施設で受けられるケアの種類はさまざまです。 自宅でのリハビリ 自宅でリハビリを行うことで、柔軟性が高くなります。ただし、専門のリハビリ機器を利用できない可能性があります。また、在宅プログラムの保険適用範囲は大きく異なります。 最良の選択肢について、医師や家族としっかりと話し合うことが大切です。 脳梗塞のリハビリで気をつけるべきポイントは? 脳梗塞の後遺症を改善するためにリハビリが有効ですが、気をつけるべきポイントについてみておきましょう。 残された能力も同時に鍛えながらリハビリを行うこと 失われた機能を取り戻すことに執着しがちですが、健常な機能を維持することも大切です。 例えば、片麻痺で健常な方を鍛えることで、後遺症を残した部位のサポートを行うことが可能です。バランスよくリハビリを行うことを心がけましょう。 リハビリは無理をせずじっくり行うこと リハビリはすぐに効果が出るわけではないため、焦らないことが大切です。 また、痛みが出たら、リハビリは中止しましょう。無理にリハビリを行うと逆効果になってしまいます。 脳梗塞のリハビリに関するよくあるQ&A 最後に、よくある質問について Q & A でまとめましたので、参考にしてください。 Q ,脳梗塞のリハビリはいつから始めるべき? A ,一般的には、脳梗塞のリハビリを開始するのが早ければ早いほど、失われた能力やスキルを取り戻せる可能性が高くなります。 脳梗塞のリハビリは、脳梗塞発症後 24 時間から 48 時間以内の入院中に開始するのが一般的です。 Q ,脳梗塞のリハビリはどのくらい続けますか? A ,脳梗塞リハビリが必要な期間は、脳梗塞の重症度と関連する合併症によって異なります。 ほとんどの場合、長期間にわたるリハビリが必要であり、数か月または数年続く可能性があります。 脳梗塞の様々な後遺症を改善する具体的なリハビリ方法と期間の目安/まとめ いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の後遺症は、適切な治療とリハビリを行って改善を目指すことができます。その為には、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になってまいります。 今回の記事では、実際のリハビリの方法や気をつけるべき点について解説してきました。脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中早い段階からのリハビリを適切に行うことが不可欠です。 今回の記事で、改めてリハビリについて理解し、活用してみてください。 No.S101 監修:医師 加藤 秀一
2022.12.09 -
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脳梗塞は女性に多いその理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について 近年では、わが国でも生活習慣病などに関連した、脳梗塞に関する情報が注目されております。 また、昨今においては、男女間の性差に関連する医療研究が広く実施されるようになってきました。その中で、脳卒中の約3分の2の発症割合を占める脳梗塞についても、男女の性差での違いを認める疾患であることが分かりつつあります。 中でも、女性が脳梗塞に罹患するリスクが存在すると言われており、その原因として高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子が指摘されています。 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脳梗塞の発症原因は? 脳梗塞の患者では、普段から高血圧を始めとする生活習慣病を発症している方が多く、これらの疾患は血管の動脈硬化性変化を進行させるので、脳梗塞を招くリスクが高くなると言えますし、近年の脂質異常症や糖尿病の増加に伴って、最近ではアテローム血栓性梗塞が増えてきています。 また、高齢化にともない心房細動という不整脈を抱えた患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓症も徐々に増えています。 脳梗塞を発症させる原因として挙げられるものは以下です。 ・加齢 ・食生活の欧米化に伴うメタボリック症候群 ・過剰な塩分摂取 ・慢性的な運動不足 ・糖尿病 ・脂質異常症 ・喫煙歴 ・大量飲酒 ・日々の過剰なストレス などが挙げられ、脳梗塞の原因として忘れてはいけない要素です。 加齢に伴ってラクナ梗塞の原因である動脈硬化、あるいはアテローム血栓性脳梗塞の原因である生活習慣病は徐々に進行して、脳梗塞を発症しやすい状況に陥ると考えられます。 したがって、動脈硬化や生活習慣病、心房細動などを抱える高齢者は特に注意が必要です。 脳梗塞になりやすい年代とその発症確率は? 脳梗塞は、一般的に高齢者に発症することが多い疾患であり、初発の発症例では 65 歳以上が全体の 9 割を占め、本疾患は中年以降から高齢層にかけて罹患しやすい病気というイメージがありますが、30 〜 40 歳代の若年者に発症する若年性脳梗塞も存在します。 厚生労働省の発表データによれば、1996 年時点で国内に約 170 万人に及んで存在した脳血管疾患を発症した患者数は、2017 年時点でおよそ 110 万人程度まで減少傾向を示しており、脳梗塞で病院や診療所を受診したのはおよそ15万人程度と言われています。 具体的に、年齢別の内訳としては、 0〜14 歳が 100 人 15〜34 歳が 300 人 35 〜 64 歳が 1 万 4000 人 65 歳以上が 13 万 5000 人 75 歳以上が 10 万 6000 人 という状況です。 つまり、脳梗塞を発症する患者数は特に 75 歳以上の方で全体の7割以上を占めています。 女性に脳梗塞が多いのはなぜなのか? 脳梗塞は男性に多い病気と考えられる傾向があります。 しかし、実は女性の死亡原因の第三位に位置づけられている疾患であり、女性の脳梗塞は増加傾向であり、かつ重症化しやすいことが知られています。 一般的に、脳梗塞は男性に発症数が多い一方で、女性の方が少ないと言われていますが、女性の脳梗塞患者は男性に比べて高齢で発症するケースが多い特徴があり、生命予後も不良になる傾向が認められると指摘されています。 脳梗塞を男女差の面から考えると、一般的に患者数は男性の方が多いです。 女性の持つ危険因子とは ところが、女性には妊娠、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法など特有の脳梗塞を発症する危険因子が背景に存在すると伝えられています。 脳梗塞を代表とする脳心血管疾患における最大の発症要因ともいえる高血圧に関連して、通常約 50 歳前後までは女性よりも男性の方が高血圧の平均数値が高い傾向を認めますが、その後の年代以上では高血圧の有病率に性差はほぼありません。 この理由としては、女性が閉経した後に女性ホルモンであるエストロゲンなどの働きが低下することによって、女性の高齢時における高血圧の発症原因に繋がっていると考えられます。 女性ホルモン「エストロゲン」との関係性 特に、エストロゲンは血管や骨などの状態を維持する機能を有するホルモンであり、おおむね女性が 50 歳前後の更年期に入ると急激にエストロゲンの分泌量が減少して、これまで適正範囲に機能していた保護作用などが効果を示さなくなっていきます。 また、30 歳前後における若年女性の収縮期の血圧は、平均すると同年代の男性層よりも約 10mm Hg 程度低い値であることが知られていますが、女性は男性よりも高血圧の影響が強く出現する傾向がありますので、若い年代の時期から高血圧予防に努めることが重要です。 さらに、動脈硬化の進行を促進する大きな要因である脂質異常症に関しても、若年時には男性の発症率が女性より高いことが判明していますが、年齢を重ねるごとにその発症率において性差が認められなくなります。 その背景には、女性特有のエストロゲンの影響だけでなく、男性だけでなく女性も喫煙習慣、脂肪分のリッチな食事スタイル、糖類を大量に含む飲食物を多く摂取するなど、近年よく見られる生活習慣病が直接的な原因になっていると思われます。 脳梗塞と不整脈 さらに、中年期から高年齢層にかけての女性は男性に比べて不整脈を発症しやすいと言われており、特に不整脈の中でも心房細動は脳梗塞の発症リスクを 5 倍程度に上昇させることが指摘されています。 不整脈のひとつである心房細動は、心原性脳塞栓症における大きな発症危険因子として認識されており、脳梗塞を引き起こす患者さんの約 70 %の割合で合併していると指摘されています。心房細動の頻度は、一般的に男性が女性の約 3 倍高いという報告が見受けられます ところが、心原性脳塞栓症を続発しやすいという観点でみると女性の方が男性よりも発症率が高い傾向にあると言われています。 その他の危険因子 その他にも、偏頭痛、心房細動、うつ病、感情的なストレスは、女性に多い脳梗塞の危険因子となります。 そして、特に女性で妊娠を契機に妊娠高血圧症候群が認められる際には、その後高血圧を発症するリスクが約 4 倍、そして脳梗塞に罹患するリスクが約 2 倍に上昇すると言われています。 また、閉経後の女性に対して女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを投与するホルモン代替治療は、骨密度を上昇させて骨折の危険を減らす利点がある一方で、脳梗塞の発症リスク因子になりますので十分に注意する必要があります。 したがって、女性が脳梗塞を発症した場合には、女性ホルモンの補充療法の有無を確認することが重要であるとともに、すでに投与されている際にはその中止も検討すべきであると言われています。 脳梗塞は女性に多いその理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について/まとめ 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞の年代別発症率では、高齢者を中心に発症しやすいことが分かっており、その発症原因は色々考えられますが、良くない不規則な生活習慣の積み重ねが発症につながるケースは決して少なくありませんし、女性にも脳梗塞を発症するリスク因子が存在します。 特に、女性はエストロゲンの保護や生活習慣病という観点から、加齢に伴って閉経後など脳血管系疾患の影響が強く出て脳梗塞を発症するリスクがあります。 したがって、普段から食生活に気をつけて定期的に運動を実践するなどの予防策を若年期から意識しておきましょう。 脳梗塞の後遺症は取り返しのつかないものですので、元気なうちに対策を講じて、あらかじめ脳梗塞の危険因子を知っておくことが重要なポイントです。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 禁煙や体重管理、運動など生活習慣の改善によって、脳梗塞を引き起こさないようにすることが大切です。 No.S100 監修:医師 加藤 秀一
2022.11.28 -
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脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは 「脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したらいいのか?」 「脳梗塞の看護のポイントについて知りたい」 家族や親戚が脳梗塞になってしまった場合は、どのように看護すればいいのか不安な方は多くいるのではないでしょうか。脳梗塞は早期に治療を受けても、後遺症が残る場合があり、治療だけでなく入院中からの看護計画や介入が大切です。 そこで、今回は脳梗塞の症状や看護のポイントについて説明しますので、ぜひ参考にされてください。 脳梗塞とは?症状や治療について 脳梗塞は、脳に栄養を供給する1 つ、または複数の血管における脳循環が障害されることで、脳の機能にさまざまな異常をもたらします。 脳には機能別にいくつかの部位が分けられていますが、傷害される部位によって、以下のような症状が現れます。 前頭葉障害 人格や性格変化 頭頂葉障害 体が動かなくなる 後頭葉障害 視野の半分が目が見えなくなる(同名半盲) 側頭葉障害 学習、記憶障害 そのほかにも以下のような症状が現れます。 そのほかの症状 ・めまいまたは突然の激しい頭痛 ・視覚障害(バランスの喪失、片麻痺) ・構音障害(話すのが難しい) ・感覚の障害 ・うつ病、その他の心理的問題 脳梗塞後、血液の循環が正常に戻るのが早ければ早いほど、完全に回復する可能性が高くなります。 しかし、脳梗塞を生き延びた人の約半数は、永久に障害が残り、数週間、数か月、または数年以内に再発します。 したがって脳梗塞は治療する上で看護やリハビリもまた重要なのです。 脳梗塞の看護のポイントについて それでは、脳梗塞患者の看護のポイントについて説明したいと思います。 脳梗塞患者は、多くの場合入院による治療が必要であり、ICUなどの集中治療室で看護師によるケアが必要になります。これは、脳梗塞の症状が急速に変化する可能性があり、悪化を防ぐために迅速な介入が必要になるためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多いため、看護師は、身体的および心理社会的にも患者のケアを行います。 それでは具体的に看護のポイントを3つの段階に分けて説明していきます。 ①急性期の看護のポイント 脳梗塞を発症した急性期は全身状態が特に悪く、急変するリスクが高いため、それに応じた看護計画が大切です。 急性期には、脳梗塞が拡大したり、再出血が起こったりと悪化する可能性が高いです。 発症後数時間以内は、脳の機能が4.5時間以内に血栓溶解療法と呼ばれる治療が可能ですが、これらの急性期の治療による脳浮腫などの合併症を予防することも大切になります。 主に急性期にチェックするポイントは以下です。 ・意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) ・呼吸と循環の管理 ・血圧管理 ・体温管理 ・排尿管理 ・皮膚の状態 ・出血管理 特にt-PAによる血栓療法による脳浮腫や脳の血管の圧力の増加によって、意識障害をきたしやすいため、意識レベルおよび呼吸、循環動態のチェックが大切です。 意識レベルはJCS、GCSを用い、開眼の有無、言語機能、運動機能などを確認し、そのほかにも血圧の管理や脱水状態の有無を確認します。 ②回復期のポイント 急性期の後の回復期には、主に引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すための看護を行っていきます。 患者の日常活動における機能障害に関する看護評価を行います。 ・感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) ・栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 ・皮膚の状態、褥瘡対策 ・排尿機能 ・運動機能(上肢および下肢の動き) ・精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 1.栄養機能管理 栄養補助に関しては、咳や、口の片側に食物が溜まってないか、または液体を飲み込むときの逆流がないか観察します。 また、言語聴覚士に相談して、飲み込む機能の評価をしてもらった上で、患者に少量の小さな食物や水分を摂取するように促しましょう。必要に応じて、チューブを介した腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 腸の筋肉の制御が失われている間は、排尿管理自分で行えないため、無菌のカテーテル挿入を行います。 また、十分な水分摂取量(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするようにしましょう。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚悪い兆候を頻繁に評価します。 皮膚を清潔で乾燥した状態に保ち、健康で乾燥した皮膚をやさしくマッサージし、十分な栄養を維持します。 また、褥瘡を防ぐために、1日に数回2時間ごとに位置を変更します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら積極的なリハビリテーションプログラムを開始することになります。 リハビリでは、関節の可動性を維持し、運動機能を回復し、麻痺した四肢の拘縮を予防し、神経筋系のさらなる悪化を防ぎます。 看護の面では、リハビリ中の患者のサポートを行いましょう。長時間のリハビリではなく、複数回の短時間のリハビリを計画します。 また、運動中の肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など) を観察します。 ③慢性期の看護のポイント 慢性期はいよいよ退院に向けての準備を行います。全身管理に加え、主に以下の点を重視して取り組みましょう。 ・退院後の日常生活の支援 ・心理的なケア 慢性期では、患者の健康の維持だけでなく、患者家族が対処するための問題や課題を主に支えます。患者、および家族を巻き込んで、自宅で患者が達成可能な目標を計画します。 心理的な問題は通常、時間の経過とともに改善することを家族に説明し、不安を和らげるために感情的なサポートと理解を提供しましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞の看護に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。 脳梗塞の看護を行う上での疑問をまとめましたので参考にされてください。 Q.脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか? A,脳梗塞では、脳の血流が低下し、脳が浮腫んでしまいます。このむくんだ状態によって、脳の血管が圧迫されると結果的に血圧が高くなってしまいます。 Q.脳梗塞の時はベッド上での安静が必要? A,脳梗塞直後は、ベッド上での安静が基本です。これは頭を上げたり、立ち上がると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 Q. どのくらいで退院できますか? A,患者によって異なりますが、平均的にみて、2-3ヶ月以内に退院するケースが多くなっています。 まとめ・脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは 脳梗塞は適切な治療とリハビリを行えば、治る病気ですが、後遺症が残ることがあり、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になることがあります。 そこで、重要なのが入院中からの適切な看護ケアです。脳梗塞の看護のポイントは、急性期〜慢性期にかけて異なるため、段階に応じた患者対応が必要になります。 脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中の早い段階からのリハビリと共に看護ケアを適切に行うことが不可欠です。 以上、ご参考になれば幸いです。 ▼脳梗塞の治療に関しては、こちらをご参照ください。 https://fuelcells.org/topics/19933/ No.S098 監修:医師 加藤 秀一
2022.11.16 -
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脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 脳梗塞とは、脳の血管が血栓などで詰まり血流が悪くなることで、脳血管が細くなって脳細胞に障害が起こって様々な症状を呈する病気です。 高齢者が寝たきりになる原因の多くを占める脳梗塞は、初期段階での早期治療を行うと共に発症予防することが非常に重要なポイントであると言われています。 今回は、脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞を発症予防、あるいは再発予防するための方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脳梗塞になりやすい人とは 脳梗塞は、いわゆる危険因子を持った方に起こりやすく発症しやすい方は存在します。その危険因子にはいくつかの要素があり、脳梗塞の主な危険因子は3つあり、「高血圧」「糖尿病」「心房細動」があげられます。 1,高血圧 脳梗塞は脳の血管が詰まることが原因で起こり、その原因疾患でもっとも多いのは高血圧であると考えられています。 一般的には、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、あるいは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されることからも、最高収縮期血圧が140mmHg以上を上回ったら脳梗塞の発症リスクが高くなります。 2,糖尿病 また近年では、糖尿病の増加に伴って、「アテローム血栓性脳梗塞」の発症数が増えてきており、血糖値が高い状態が続くと血液中に多量に存在するブドウ糖が血管の壁を傷つけることで、動脈硬化が悪化することとなり、脳梗塞などの病気の発症リスクが高くなります。 3,心房細動 さらに、心臓の中にできた血液の塊が時に遊離して、不幸にも脳の動脈の方に流れていってしまうことで脳の血管が詰まってしまう状態、つまり閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを、「心原性脳塞栓症」と呼んでいます。 心房細動と呼ばれる不整脈を有する場合には、心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇します。 脳梗塞の発症予防方法は? 脳梗塞を発症させる危険因子の有無をチェックして、ひとつでも危険因子が見つかった人は、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」などで脳梗塞の発症予防に努める必要があります。 高血圧の制御で、脳血管障害の発症を予防 高血圧症は日本において約4000万人以上にも及ぶ国民が罹患しているといわれており、高血圧を制御することによって脳血管障害の発症を抑制することが大いに期待されています。 普段から高血圧を指摘されている方では「塩分を控える」「適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする」「なるべく歩くようにする」などの工夫が必要であるとともに、血圧降下作用のあるカリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取することが重要となります。 ・塩分を控える ・適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする ・なるべく歩くようにする ・カリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取する また、普段から規則正しい食生活、運動をするようにして、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して、糖尿病にならないように心掛けましょう。 脳梗塞を引き起こしやすいと考えられている危険な不整脈として認識される心房細動があると、毎年約5%の方に脳梗塞が発症すると指摘されているので、日常生活で動悸を自覚するなどの症状が出現した際には、心臓専門の医療機関で詳しく調べてもらいましょう。 脳梗塞の再発予防とは? 最近、脳ドックを受診する方が増えて「無症候性脳梗塞」が見つかる頻度が増えてきており、この隠れ脳梗塞が発見されたのち数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすと言われていますので、脳梗塞に一度かかったら再発する危険性があると考えておくべきでしょう。 脳梗塞を発症した方においては、再発を予防するための薬剤を飲む必要があって、通常では「ラクナ梗塞」や、「アテローム血栓症」に対しては動脈のように血流がとても速い血管のなかで血栓がつくられるのを防ぐため、「抗血小板薬」が有用となります。 ご注意頂きたいのは、症状が悪化していない、調子が良いからと勝手に自己判断で薬剤服用をやめてしまう方がおられますが、基本的には脳梗塞を再発するための予防薬は継続する必要があります。 また、心臓が原因で起こる脳塞栓の場合には、心臓の中に出来る血液の塊そのものが血管の中に出来る血栓とは性質が異なっているために、その再発予防には通常では「ワーファリン」という薬を使用します。 この薬を飲んでいる方は、定期的に血液検査でプロトロンビン時間(PT-INR)を測定して、薬効を評価しておく必要がありますし、ワーファリンを服用している際には、薬の効果に影響を与えますので、納豆や青汁などを食べてはいけません。 ・脳ドックで「無症候性脳梗塞」が見つかると3年以内に脳梗塞を発症しやすい ・脳梗塞の再発予防に「抗血小板薬」が有用となる ・脳梗塞の予防薬を自己判断で中断してはならない ・脳梗塞の予防として心臓内でできる血液の塊を防ぐ「ワーファリン」の服用時には納豆や青汁を摂取しないこと まとめ・脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 今回は脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞を発症予防、あるいは再発を予防するための方法などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞は突然に起こる病気であり、かかってからしまったと後悔しても手遅れですので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知って身に付けておくことが重要です。 脳梗塞の原因となる高血圧や糖尿病は動脈硬化を進展させますので、脳梗塞の発症や再発を予防するために、高血圧や糖尿病を罹患している場合には疾病の治療を行うとともに、常日頃の生活習慣を見直すことも重要な観点となります。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.093 監修:医師 坂本貞範 こちらも併せてご参照ください。 https://fuelcells.org/topics/18480/
2022.11.07 -
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それ、軽い脳梗塞では?!初期症状チェックリストはこちらです! 脳梗塞は脳の血管が細くなり、血液が固まった血栓と言われるもので脳の血管が詰まり、血液の流れが止まってしまうことで起きる怖い病気です。 大きな脳梗塞だと呂律が回らなくなったり、体の片側に力が入らなくなったりする運動障害や、言葉が分からなくなる失語症などの症状が出てしまうことがあります。 そういった重篤な症状になると、ほとんどの場合で早急に医療機関を受診することとなりますが、中には症状が軽かったりして、その症状も自然に治ったりすることがあるため、脳梗塞はもちろん、その前兆だとも気が付かないケースがあります。 そこで本記事では、以下に脳梗塞を判定するためのチェックリストを設けました。 一つでもチェック☑が当てはまるようであれば、今すぐにでも医療機関を受診し、ご相談されることをお勧めします。 今回は、脳梗塞の起き方から、それぞれの症状、軽い脳梗塞とも言われる一過性脳虚血発作、脳梗塞の治療について詳しく解説していきます。ぜひ参考にされてください。 脳梗塞のメカニズムは? まずは脳梗塞の起き方についてです。脳梗塞は大きく分けて次の3つに分類されます。 ①動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞は高血圧、高脂血症、糖尿病という所謂生活習慣病に伴い、血管壁にコレステロールが溜まる「動脈硬化」という病態が主な原因です。 予防のためには、食事や運動に気を付けることや薬物治療を通して「動脈硬化の進行」を抑えることが最も重要です。 ②心臓から流れてきた大きな血栓による心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症は心房細動といった不整脈などの心疾患が原因で心臓内に血栓が生成され、それが血流に乗って脳血管に運ばれることで引き起こされます。 予防には心疾患の早期発見・治療が重要となります。 ③高血圧により穿通枝という比較的細い血管が詰まるラクナ梗塞 ラクナ梗塞は「高血圧」が主因とされ、予防のためには血圧の管理が重要となってきます。 このように脳梗塞は生活習慣を主として様々な原因で引き起こされるため、リスク因子の発見や対処といった予防が重要となってきます。 脳梗塞で現れる症状を知って万一に備える 脳梗塞の主な症状としては下記のようなものが突然現れることが特徴的です。複数の症状が現れたり、1つだけであったりもします。 以下が「万一に備える脳梗塞の症状のチェックリスト」です。たとえ一つでも当てはまるものがあれば要注意です。 脳梗塞の症状のチェックリスト 運動障害 ☐ 片半身が動かしにくくなる ☐ 片側の顔に力が入らない ☐ 箸や鉛筆が持てない ☐ 片足を引きずってしまう ☐ 呂律が回らない 言語障害 ☐ 言葉が出てこない ☐ 言葉の意味がわからない ☐ 相手に話が伝わらない 感覚障害 ☐ 片半身が痺れる ☐ 触られてもわからない 視覚障害 ☐ものが二重に見える ☐ 視野が狭くなる ☐ 目の前が真っ暗になる 平衡感覚障害 ☐ 体が傾く ☐ まっすぐ歩けない ※一つでも当てはるようなら、すぐに病院にご相談ください 上記のような症状が急に現れると驚かれ、多くの方は医療機関を受診されると思います。しかし、すぐに良くなってしまうことがあるのです。 その場合は、「気のせいか」「まあいいか」と自己判断で治った、大事ないと意図的に良い方に考えて医療機関を受診されようとしない方が一定数いらっしゃいます。 自験例では2週間も症状が続いたにも関わらず、その後ようやく医療機関を受診した方もおられました。 実際、厚生労働省の研究班の調査では症状が続いていれば8割の方が医療機関を受診すると答えたのに対して、症状が自然に改善した場合は5割程度しか受診しないと答えています。 この考え方は極めて危険です! 症状が一時的であって、その後治まった場合でも、再度同様の症状を起こし、今度は一生涯の症状となることがあるからです。 一過性の脳梗塞症状のことを一過性脳虚血発作と言い、脳梗塞の前兆と考えられております。 上記でしましたチェックリストに、一つでもチェック☑があるようなら、早急に医療機関で相談してください。 軽い脳梗塞?一過性脳虚血発作とは 一過性脳虚血発作は文字通り、一時的に脳梗塞のような症状が出現し、時間経過とともに(多くは30分程度)自然に改善するような病態です。分かりやすく地震に例えると余震であり、本震の前兆、前触れとして真剣に向き合うべき事柄なのです。 つまり、数日以内に「本格的な脳梗塞を起こす可能性」があるため、脳梗塞の前兆とも言われております。症状が良くなったからもう良い、疲れが出たからだろうと考えていると、足元を掬われる可能性があります。 実際、一過性脳虚血発作患者の約15%が90日以内に脳梗塞をきたすとされ、一過性脳虚血発作患者には脳梗塞の予防が重要です。 特に脳梗塞に至ってしまうリスクが高いとされる項目は以下です。当てはまるなら、更なる注意が必要です。 ・年齢(60歳以上) ・血圧(140/90mmHg以上) ・臨床症状(片麻痺、言語障害) ・症状の持続時間(10分以上) ・糖尿病 リスクが高い方は入院したり、お薬を開始したりすることがあります。その時に用いるのがアスピリンやクロピドグレルといった血液を固まりにくくするお薬です。 そういったお薬を用いたり、高血圧・高脂血症・糖尿病といった疾患へ生活習慣の介入や薬物治療を行ったりすることで再度の一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防していくこととなります。 症状を感じたら、どこに相談したら良いのか? 上記のような症状に心当たりがある場合、脳神経内科・脳血管内科・脳外科など、脳を専門としている病院にご相談ください。診療科名は病院によって異なることもあるため、詳しくは病院のホームページ確認や問い合わせをすると良いでしょう。 特に発症したばかりの脳梗塞を疑う場合の治療は一刻を争うことが多く、ためらわず救急車を呼ぶ必要があります。 ・脳神経外科、脳神経内科 ・脳血管内科 ・脳外科 まとめ・それって軽い脳梗塞では?!初期症状チェックリストはこちらです! いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の起き方からそれぞれの症状、軽い脳梗塞とも言われる一過性脳虚血発作、脳梗塞の治療についてご紹介させていただきました。 高血圧・高脂血症・糖尿病といったリスクのある方は特に、チェックリストに当てはまるような症状があれば医療機関に至急相談をすることをおすすめします。 ご参考になれば幸いです。 No.S092 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
2022.10.31 -
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脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説! 「脳梗塞って治る見込みはあるのかな・・・」 「脳梗塞になったら、どのくらい入院するのか知りたい。」 脳梗塞は日本の死因第 4 位に入るとても怖い病気です。 脳梗塞になってしまった場合、治る見込みがあるのか?!と、不安なお気持ちになられる方は多くおられることでしょう。脳梗塞を発症した時に最も大切なことは、いかに「早い段階で治療を受けるか」ということになります。尚、年齢や障害の部位、程度によって受ける治療や入院期間が異なります。 そこで、今回は脳梗塞の治る見込みや、具体的な治療方法、そして気になる入院期間や費用についても記した保存版的内容になりました。参考にしていただければ幸いです。 脳梗塞は治すことはできても後遺症が残る危険性が高い病気です 結論から言うと表題で記した通り、脳梗塞は治すことができても発症後、早期に治療を受けないと、重篤な後遺症が残ってしまう場合があります。 脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、脳機能が低下してしまう病気であり、主に以下の3つの種類に分けられます。 ・アテローム血栓性脳梗塞 : 首や脳などのより太い血管が詰まることで起こる ・ラクナ梗塞 : 比較的小さな血管が詰まり、緩やかに症状が現れる ・心原性脳梗塞 : 心臓の血栓の一部が血流により脳に運ばれ、血栓を作る いずれも高血圧や脂質異常症、高血糖などの生活習慣病による動脈硬化が主な原因となり、後遺症としては、片麻痺やしびれなどの感覚障害のほか、記憶や注意力の低下などとして現れます。 脳梗塞を治すにはまず、脳内の正常な血流を回復するために急性期の治療を行い、その後、リハビリ治療によって、後遺症などの二次的影響を治すことになります。 損傷した脳組織を治療によって元に戻すことは不可能ですが、リハビリテーションによって、損傷した部分を補うことを目指すことになります。 脳梗塞の検査は? 脳梗塞に対して早期に治療介入する上で重要になるのが検査です。 脳梗塞を診断するためだけでなく、他の考えられる原因を除外する必要があるため非常に大切です。 ・身体検査 : 心臓の音や血圧を測ったり、神経学的診察を行います。 ・血液検査 : 血液が凝固する速さ、血糖値、感染症の有無を調べます。 ・CT検査 : 脳内出血、虚血性脳梗塞、腫瘍などを調ます。 ・MRI検査 : 虚血性脳梗塞や脳出血によって損傷した脳組織を検出します。 ・頸動脈超音波検査 : 頸動脈の脂肪沈着物 (プラーク) の蓄積と血流が示されます。 ・脳血管造影検査 : 脳と首の動脈を詳細に調べます。 ・心エコー検査 : 心臓から脳に移動して脳梗塞を引き起こした可能性のある心臓内の血栓の原因を見つけます。 これらの検査を行うことで診断を確定することが可能となり、適切な治療へと導くことができる大切な治療プロセスになります。 脳梗塞の急性期(病状が表れた時期)の治療について それでは、実際にどのような治療を行うのか詳しく見ていきましょう。主に3つの治療に加え、薬物療法もおこなっていくことが基本となります。 ①血栓溶解療法(t-PA治療) 虚血性の脳梗塞の場合は、血栓を溶かして脳への血流を回復させるアルテプラーゼと呼ばれる薬を注射することで治療できます。 このアルテプラーゼは、脳卒中の発生後できるだけ早く、確実に 4 . 5 時間以内に開始すると最も効果的です。 4 . 5 時間以上経過した場合は、薬が出血性脳梗塞による出血を悪化させる可能性があるため、利用できません。 ②血管内治療(血栓回収療法) 重度の虚血性脳梗塞の場合は、血栓回収療法と呼ばれる血管内のカテーテル治療によって治療できます。 局所麻酔下または全身麻酔下でカテーテルを動脈に挿入し、小さなデバイスを、カテーテルを通して脳の動脈に挿入します。 このデバイスを使用して血栓を除去することで、脳への血流が回復します。 血栓溶解療法同様に、脳梗塞後できるだけ早く開始すると最も効果的です。 ③抗血栓療法(内服治療) 血管の閉塞を治す急性期治療に加え、再発予防として、内服による治療も同時に行います。 1.抗血小板薬(アスピリン/クロピドグレル) アスピリンは抗血小板薬であり、新しく血栓が形成される可能性を減らすことができます。 また、クロピドグレルなど、他の抗血小板薬も同時に併用する場合があります。 2.抗凝固剤(ワーファリンなど) 将来、新たな血栓ができるリスクを軽減するために、抗凝固薬を投与されることがあります。 ワルファリン、ダビガトランなど、長期間使用できる抗凝固薬があります。 脳梗塞のリハビリについて 急性期治療の後は、できる限り多くの機能を回復するようリハビリに努めることが大切です。それが自立した生活を取り戻すことに繋がるからです。 リハビリには主に急性期、回復期、生活期の 3 つの段階があり、年齢、全体的な健康状態、および脳梗塞による障害の程度に基づいて、リハビリ内容を医師が決定します。 退院後は、同じ病院はもちろんですが、利便性を考慮して自宅の近くなど、別のリハビリ施設で、リハビリを続けることもできます。 リハビリは患者の状態に応じて以下のようなチームで行われるます。 ・医師(脳外科、脳神経内科、精神科など) ・理学療法士 ・看護師 ・栄養士 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 ・ソーシャルワーカー 発症後48時間以内の早期にリハビリを開始することで、脳梗塞による治療後の後遺症を軽減することがわかっています。 脳梗塞の入院期間と費用はどのくらい? 脳梗塞の一般的な入院期間は 78 日前後であり、数ヶ月入院する必要があります。 がん患者では、平均在日日数は 30 日前後なので、入院期間は一般的な病気に比べ長いことが分かります。 費用に関してですが、脳梗塞の入院でかかる費用は平均 50 万円前後と言われています。 ただし、受ける治療内容によってもちろん異なりますし、入院期間が伸びてしまうと追加の費用がかかります。 平均的な入院期間:78 日 費用:50 万円前後(健康保険-3割負担の場合)※高額療養費制度の活用で更に安価になります) ※上記は、治療内容、症状、入金機期間によって変動します 入院期間が伸びてしまう要因としては主に障害部位や重症度があり、詳しく見ていきましょう。 1.障害部位や重症度 脳梗塞の入院期間は、まず障害されている脳の部位や範囲によって異なります。 軽症の場合は、2 週間程度で退院できる場合もありますが、重症度が高くなると、リハビリ期間も長くなるため、入院期間が長くなり、費用も高くなってしまいます。 2.高齢者 年齢が高くなると、急性期治療後のリハビリが長期化するケースも稀ではありません。 令和元年の厚生労働省による平均入院日数調査によると 27. 6 日となっていますが、75歳以上の後期高齢者になると、40 日を超える場合もあります。 脳梗塞の治療や入院に関するよくある質問 最後に、脳梗塞に関するよくある質問についてです。治療期間やリハビリ、仕事復帰の目安などについてまとめていますので、ぜひ参考にされてください。 Q.脳梗塞の治療後、仕事復帰はどのくらいでできる? A.仕事復帰までの期間は、患者それぞれによって異なりますが、基本的には3ヶ月後に退院できるケースが多いようですが、退院してすぐに復帰できるわけではありません。 多くの場合、発症から半年または1年後を目途に復帰できるケースが多いようです。 Q.脳梗塞を早く治すにはどうしたらいいですか? A.脳梗塞を早く治すには、何といっても早期治療が大切です。ただし、早期治療後にすぐに治るというわけではなく、リハビリなど日常生活に戻るには個人差があるのが実情です。 発症後 3ヶ月過ぎると、治りづらくなるため、できるだけ早くリハビリに取り組むことが、早く治すことにつながります。 まとめ・脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説! いかがでしたでしょうか。 脳梗塞は早期の治療開始が大切で、適切なリハビリを行うことで克服できる病気です。 ただし、一刻も早い治療と適切な対処が必要です。遅れれば後遺症が重くなる可能性があり、日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。 脳梗塞は、入院期間の長い病気ではありますが、早い段階からの適切治療と、リハビリを行うことで社会、仕事復帰することも十分に可能です。 費用的にも健康保険や高額療養費制度を用いれば最小の負担で治療に取り組むことが可能です。 この記事では、脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を解説として、詳しくまとめましたので参考にしていただければ幸いです。 No.091 監修:医師 坂本貞範 脳卒中・脳梗塞 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
2022.10.28 -
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若年性脳梗塞をご存知ですか?!脳梗塞は「まだ若いから」との油断は禁物! 脳梗塞という病気を知ってはいても、高齢者の病気だと思っている方も多いのではないでしょうか。 確かに年を取るにつれて脳梗塞の発症率は上昇しますが、若い人でも脳梗塞を発症する人がいることをご存知でしょうか。 この記事では、20代でも起こりうる脳梗塞について解説します。 脳梗塞とは? そもそも脳梗塞とは、どのような病気なのでしょうか。 脳梗塞とは脳卒中と言われる病気のひとつで、脳の血管が障害を受けることによって起こる病気の一つです。 脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血がありますが、その中でも脳梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈が詰まってしまうことで脳への血流が途絶し、脳の機能に傷害が起こる病気です。 脳梗塞ではどのような症状が起こるの? 脳は、場所によってそれぞれさまざまな機能を分担していて、脳梗塞になって血流が途絶してしまうと、その部分の機能が障害されてしまいます。 脳梗塞は、脳の障害を起こす部位によって症状が様々に異なります。 例えば、 ・右手を動かす脳の部位が脳梗塞になれば、右手が動かなくなります ・片方の目から入ってきた情報を処理する部分が脳梗塞になれば、片方の目が見えなくなってしまいます 他にも、脳は感覚や感情、さらには生命維持のために不可欠な様々な機能を担っています。 脳梗塞は様々な症状が起こる上に、場合によっては命に関わってくることもあります。 脳梗塞はどのような原因で起こるの? 脳梗塞は、主に3種類に分類されています。 1,アテローム血栓型脳梗塞 1つ目のアテローム血栓型脳梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈が動脈硬化などによってだんだんと狭くなり、ついに血流が途絶したときに起こります。 そもそも動脈硬化が起こると血管は硬くなるだけではなく、血管の壁の中に粥腫(じゅくしゅ)と呼ばれるコレステロールの塊が蓄積してきます。 血管と粥腫の間は内膜と呼ばれる薄い膜で隔たれていますが、何らかの原因で内膜が破綻すると、粥腫が血液に触れます。 すると血管を修復しようとして血液が凝固します。もともと狭い血管内で血液が固まりますので、血液の流れが完全に途絶してしまい、脳梗塞になってしまうのです。 大きな血管が詰まると、非常に広い範囲の脳が脳梗塞となってしまい、命に関わるような重篤な症状となる事もあります。 2,ラクナ梗塞 2つ目のラクナ梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈の血管の中でも末端の非常に細い動脈に起こる血流の途絶によって起こります。 小さい範囲の脳梗塞のため、症状がない場合もありますが、非常に重要な部分に酸素や栄養を届ける動脈が詰まってしまうと、重篤な状態となってしまうこともあります。 3,心原性脳塞栓症 3つ目の脳梗塞の原因である心原性脳塞栓症は、脳以外の血管に原因がある脳梗塞です。 種々の病気によって、足や心臓の中で血栓という血の塊ができてしまうことがあります。 この血栓が、ある時その場所から剥がれ落ちて血流に乗って脳に届き、血管に詰まってしまいます。血栓のサイズによって症状は様々となります。 多くの場合、心房細動という不整脈に伴って心臓内に血栓ができます。 また、普通心臓内では静脈で全身から帰ってきた血液(静脈血)と、肺から帰ってきて全身に送る血液(動脈血)は混ざらないように分かれています。 しかし、先天性の病気で心臓に穴が空くなどして、静脈血が動脈血に混じってしまう人がいます。 このような人の場合、足の静脈でできた血の塊が動脈に入り込み、脳へ飛んでしまう事があります。これを奇異性塞栓と言います。 脳梗塞はどのように治療するのか? 脳梗塞の治療は、発症後なるべく早い時間に血流を再開させることが重要となります。 血液が届かなくなった脳の細胞は時間が経つにつれ、どんどんと壊死してしまいます。血流が途絶した時間が長くなれば、壊死している範囲が広がってしまいます。 血流を早期に回復させることができたら、最小限の壊死でとどめることができますので、後遺症を減らす事ができます。 特に有効とされているのが、血栓を溶かす治療です。 しかし出血などの合併症があるため、発症4時間30分以内にしか使用できず、なるべく早く病院を受診する必要があります。 他には、血管内治療と言って、カテーテルという細い管を血管の中に通し、脳の中にまで届かせて血栓を吸い取って血流を再開させる治療も行います。 若年性脳梗塞とは? 脳梗塞の中でも、若年に起こる脳梗塞を特別に若年性脳梗塞と言います。 どのような特徴があるのでしょうか。 若年性脳梗塞とはどのようなものなの? 若年性脳梗塞は、特に国際的に決まった定義はありませんが、日本では国立循環器病センターが50歳以下における脳梗塞と区分しており、その辺りの年齢より若い人に起こるものを若年性脳梗塞と言います。 若年性脳梗塞はどのような原因で起こるの? 若年とはいえ、原因は高齢者に起こる脳梗塞と同様に、動脈硬化によるものが多いです。 動脈硬化の原因としては、以下のようなものが挙げられます。 ・喫煙 ・過度の飲酒 ・糖尿 ・高血圧 ・高コレステロール血症 いずれも生活習慣の乱れから起こるものと言えます。 また、前述の奇異性脳塞栓はどの年代でも起こりえますが、動脈硬化の割合が高齢者より少ない分、若年性脳梗塞においては奇異性脳梗塞の割合が高くなる傾向があります。 つまり、危険因子を持ち合わせると、20代であっても脳梗塞が起こる可能性は十分にあり得るのです。 若年性脳梗塞を予防するためにできること では、若年性脳梗塞を予防するためにはどのような事に気をつければ良いのでしょうか。 生活習慣の見直し 若年性脳梗塞を予防するためには動脈硬化を予防する事が最も重要です。 その為には生活習慣を整えることが必要とされています。 ・バランスの取れた食事を意識する ・適度な運動をする ・十分な睡眠をとる ・喫煙、飲酒量の見直し ・ストレスを溜めない 塩分の高い食事や栄養が偏った食事、不規則な生活リズム、運動不足は動脈硬化を悪化させます。 さらに、喫煙や飲酒も問題となりますので、禁煙や飲酒量の調整も必要です。 また、ストレスも動脈硬化の原因となります。ストレスを感じていることが多い場合には、ストレス解消を意識することも重要となります。 検診の受診 高血圧や糖尿病、高コレステロール血症は自覚症状がほとんどないため、検診を受けて診断を受け、適切に治療を受ける必要があります。 また、奇異性脳塞栓の原因となる心臓の異常は、検診の心電図で発見されることもあります。 早期に脳梗塞の原因となる芽を見つけ、脳梗塞を発症する前に治療を開始することで脳梗塞を起こさないように対策をしましょう。 まとめ・20代,30代の脳梗塞「まだ若いから」との油断は禁物! この記事では、若年層、20代でも起こりうる若年性脳梗塞について解説しました。 若年性脳梗塞は、高齢者の脳梗塞に比べて「奇異性脳塞栓」といった特殊な脳梗塞が多いという特徴がありますが、やはり生活習慣病の結果として起こる場合が多くを占めます。 脳梗塞を起こすと、様々な症状が起こります。そして、後遺症を残してしまうことも少なくありません。 普段の生活習慣を改めた上で、医療機関での検診を活用し、若い頃から脳梗塞にならないように気をつけていきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.S091 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
2022.10.26 -
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脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 厚生労働省によると、脳卒中は、2018年の1年間における死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万8,186人で全体の7.9%を占め、死因の上位から4番目という結果となっています。 その翌年、2019年においても、10万6,552人で全体の7.7%となり、こちらも2018年同様に死因の上位から4番目という結果になっています。 脳血管疾患で亡くなった方のうち、60%にあたるおよそ7万人の方が脳梗塞で亡くなっており、一命を取り留めたとしても、後遺症である麻痺が残り、寝たきりになってしまう場合も少なくない怖い病気です。 しかし以前、1950年頃より約30年間、脳卒中は日本人の死因の第1位でした。 少しではあるものの順位が下がったのは、1960年頃より脳卒中発症において最大のリスク原因である高血圧に対する治療が広く行われるようになり、脳卒中の発症を一定以上抑制することが可能になったからです。 また、脳梗塞の発症直後に閉塞した血管を再開通させ、神経細胞死を防止する血栓溶解薬(t-PA)が日本でも認可(2005年)され、さらにカテーテルで脳血管を閉塞している血栓を除去する血管内治療も認可(2010年)されるなど、脳卒中直後の超急性期において神経細胞死を防ぐ治療法も進歩してきました。 脳卒中の兆候を見つけたら即病院を受診 脳卒中は、その兆候を発見したら直ちに病院へ向かいましょう。 早期に治療を開始することで「後遺症が軽くなる可能性」があるからです。 治療を行うには検査が必要となり、その検査に1時間程度必要ですので症状を発見したら早急!遅くとも2時間以内を目処に速やかに病院で受診すべきです。この時間が症状を左右する可能性があります。 病院ではまず、問診、診察、採血、胸部レントゲン、心電図、頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、心エコーなどの検査を行います。検査の結果、脳卒中と診断されると次は治療に移ります。 脳卒中の中でも「脳出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」など各症状別に治療法は少し異なり、点滴や飲み薬による脳血流改善、血栓をできにくくする抗凝固療法や抗血小板療法、脳梗塞後に脳内で発生する活性酸素などの有害な物質を除去して、脳の障害を予防する脳保護薬の使用などがメインで行われます。 また、血圧、体温、脈拍などの全身状態の管理も行い、併せて日常生活動作の改善を目的としてリハビリも行います。 脳卒中の3つの症状とその治療法 1)脳出血 高血圧が脳出血の原因になることが多いので、降圧薬(血圧を下げる)を投与します。また、出血を止めるために止血剤を使用されることもあります。 さらに、出血によって脳が圧迫されるので、浮腫をとるための薬剤(抗浮腫剤)も投与します。また出血量が多い場合には、命にかかわる事もあるので、開頭手術によって血のかたまりを取り除く手術を行うこともあります。 2)くも膜下出血 脳の血管にできた「こぶ」が破裂して出血するので、破裂した部位をふさぐ手術をします。手術の方法は2通りあります。 ■開頭クリッピング術 頭の骨をはずして、「こぶ」の根元を洗濯ばさみのような道具(クリップ)ではさんでふさぎます。 ■血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術) 「こぶ」の中にコイルと呼ばれる細い金属をいれて「こぶ」全体をふさいでしまいます。カテーテルという細いストローのような道具を使って血管を通し、「こぶ」までコイルを運ぶので、開頭手術をすることはありません。 3)脳梗塞 脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化が起きた部位に形成された血栓、あるいは心臓で出来た血栓によって脳の血管が詰まり脳が壊死してしまうものです。 脳梗塞がおこってから4.5時間くらいまでを超急性期といい、この時間内に詰まった血管を再開通させることができると、劇的に症状が改善する可能性があります。 脳梗塞がおこってから48時間以内であれば、血が固まるのを抑制する抗凝固薬を投与します。 脳梗塞の急性期のみに施行される治療には「t-PA」という点滴や、血管内治療などがあります。これらの治療を受けるには、発症してからの経過時間をはじめ、さまざまな条件があります。 それらをクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2~5% (100人中で2~5人)程度しか、この治療は行われていません。 さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪化するような脳出血を生じます。 うまくいけば劇的に症状が改善する一方で、効果が期待できなかったり、症状が悪化したりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。 t-PA:組織型プラスミノゲン・アクティベーター (tissue-type plasminogen activator:t-PA) こちらの薬を点滴して血栓を溶かし、脳の血流を再開させます。t-PAを使用することで、3ヶ月後に自立した生活を送れる患者さんが、使用しなかった時と比べて約50%増加するとされています。 脳梗塞により脳神経細胞が死に至る経過は早く、適切なタイミングを逃すと、出血などの合併症で逆に症状が悪化する危険があります。基本的には発症してから4.5時間以内に治療が開始できる患者さんに限り、治療の対象となります。 (t-PAは2005年10月から日本で認可され、発症後3時間以内の患者さんを対象に使用されていましたが、2012年9月より対象となる治療間が4.5時間に延長されています。) 血管内治療 脳梗塞の血管内治療は、発症してから8時間以内の患者さんが対象となる治療です。 細いビニールの管(カテーテル)を足の血管から挿入して、脳の血管へ進めて、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再度開通させます。 具体的な方法として、カテーテルを閉塞した血管に導入し、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与する方法、バルーンを閉塞した血管に留置し血栓を破壊する方法。 また、メルシーリトリーバーという、先端がらせん状になっている柔らかいワイヤーで、脳の血管をつめている血栓をからめとって回収する方法。 ペナンブラという血栓を吸引する器具で、まるで掃除機のように血栓を吸引し回収する方法(柔らかい血栓も回収することが可能)などがあります。 t-PA療法の注意点 問題点としては、t-PA療法の適応対象となる時間「4.5時間」が強調されるあまり、「4.5時間を過ぎた場合は治療してもあまり意味がない」と誤解されることが多く、専門病院への受診を躊躇されるケースもみられます。 また発症時刻がはっきりとわからない場合では、発見から早急に病院へ搬送してもt-PA療法の適応とならないことがありました。しかし2019年3月より、頭部MRI検査で「発症からあまり経過していない可能性が高い」という所見がみられる場合には、t-PA療法を検討できるようになりました。 そして、脳卒中専門の病棟であるSCU(脳卒中ケアユニット)で従来使用される薬を用いた治療や急性期のリハビリテーションを積極的に行うことで、発症後4.5時間を過ぎて来院された患者さんでも良い治療効果が現れることも少なくないので時間にかかわらず専門施設でしっかりとした初期治療を始めることが重要です。 脳梗塞の再発予防 一度脳梗塞を起こすと再発しやすい傾向があり注意が必要です。統計的には脳梗塞発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%もの人が再発しています。 そこで、脳卒中の再発を予防するには、まず生活習慣の改善を行うことです。脳卒中の危険因子とされている高血圧や喫煙、多量の飲酒、糖尿病、肥満、運動不足などは脳卒中の発症の危険性が高まります。 医師、薬剤師、栄養士など専門職の指導に従い、規則正しい生活や禁煙、減塩や減量に取り組みましょう。 また再発予防として、抗血栓薬を処方されることがあります。脳卒中の原因によって処方される薬剤は違い、心臓が原因で発症した心原性脳塞栓症には抗凝固薬が、心臓以外の原因(血管由来)の非心原性脳梗塞には抗血小板薬が使用されます。 ①具体的な再発予防~危険因子のコントロール~ 脳卒中の危険因子は、再発の危険因子でもあります。過去に一度脳卒中を発症しているということは、すでに危険因子があるということなので、十分注意をしましょう。 脳卒中の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、多量飲酒、肥満、喫煙、運動不足などです。これらを予防し、さらにコントロールしていくことが再発予防につながりますので、以下のようなことを心がけましょう。 禁煙 文字通りタバコを止めましょう 塩分の取り過ぎを控える 成人男性8g未満、女性7g未満で高血圧患者では6g未満 減量 標準体重を知ってダイエットを行う 食事に気を付ける 毎日5種類以上の野菜(350g/日以上)、魚、果物の摂取 減塩、低カロリー、低コレステロール入浴 節酒 アルコール換算20g程度(日本酒1合程度)に抑える 既往症に注意する 高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病などがある場合には適切に治療する 運動 適度な運動を行う、ストレスや疲労をやめない 定期健診 定期的に健診を受け、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖などをチェックする 水分を取る 脱水症状にも注意 ②具体的な再発予防~定期的な検査~ 脳梗塞が治まった後も年に1回程度専門病院へ行き、検査を受けることが重要です。CT、MRIの他に頸部の血管を検査する頚動脈エコーも脳梗塞再発予防には有用です。 ③具体的な再発予防~服薬継続~ 再発予防のためには、処方された薬をきちんと服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく継続して服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど気になることがある場合は、すぐに相談しましょう。 まとめ・脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 脳卒中の治療には、手術・点滴・内服薬などがあります。 これらの中で内服薬な自分で管理をする必要があります。ところが、処方された量を決められた日数できちんと飲みきる人は意外と多くありません。実際のところ、薬を飲み残してしまう理由の大半は単なる飲み忘れです。 服薬カレンダーの使用や一包化するといった工夫で、その時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。 定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォン・携帯を利用してアラームや通知を設定し、飲み忘れを防ぎましょう。 以上、脳卒中の3つの症状とそれぞれの治療法、再発を予防する具体的なコントロール方法について解説にしました。参考にしていただければ幸いです。 No.S024 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の先端治療法として脚光を浴びています
2021.12.21