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足の付け根の痛み、それは日常生活を脅かす、まさに「歩けないほどの苦痛」と言えるでしょう。立つ、歩く、座る、寝る、どんな動作も困難になり、重たいドスンとした痛みや、チクチクと針で刺したような痛みが出ます。断続的なものから持続的なものまで様々です。原因も、筋肉や靭帯の損傷、鼠径ヘルニア、股関節の病気など多岐に渡り、放置すると日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 今回の表題である足の付け根の痛みは、1999年の統計では約40万人が経験したとされています。そして、現代社会のストレス増加に伴い、その数は増加傾向にあると推測されます。 今回の内容は、足の付け根の痛みの主な原因として4つを紹介し、丁寧にわかりやすく解説します。また、適切な対処法や予防策までを網羅的にご紹介します。もしこの痛みで悩んでいるなら、ぜひこの記事を読んでみてください。 足の付け根の痛みの原因4選と症状 足の付け根の痛みは、とても辛いと思います。歩いたり、座る、寝る、どんな動作も苦痛に感じ、普段の生活に大きな支障をきたしてしまいます。 原因が分からず不安な方も多いと思いますので、今回はそんな不安を解消できるように、足の付け根の痛みについて丁寧に説明します。ぜひ最後までご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ①鼠径部(足の付け根)の痛みとは 鼠径部はどこにあるのでしょう。それはお腹の下の方とお尻の境目あたり、ちょうど太ももの付け根に位置する部分です。ここが痛くなると、歩く、立ち上がる、階段の上り下りといった日常の動作が困難になります。痛みはチクチクとた痛み、重たいズシっとした痛み、継続的な痛み、痛みが出たり、出なかったりを繰り返す痛みなど、様々です。 鼠径部の痛みの原因は色々あります。例えば、太ももの筋肉を急に伸ばしてしまった、長い間無理な姿勢をしていたなどで、筋肉が損傷したり靭帯を伸ばしてしまったりして、痛みが生じることがあります。 注意が必要なのは鼠径ヘルニアです。これは消化器系の病気となり、お腹の中の腸の一部が鼠径部に飛び出てしまう病気も、原因となります。 その他にも、リンパ節に炎症が出て腫れてしまったり、股関節自体の変形や病気で痛みが出ることもあります。この場合は、緊急を要することもありますので、できれば、症状が見られたら早い目に医療機関に受診する方がいいでしょう。整形外科疾患であれば、すぐに命に関わることは少ないですが、やはり消化器系の病気であれば、一刻を争う病気もあるので注意しましょう。 ②股関節の痛み 股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぎ、立つ、歩く、座るといった動作を支える重要な関節です。身体を支える重要な股関節が怪我をすると、その痛みが鼠径部に波及(はきゅう)することもよくあります。 股関節の痛みで、よく疑われる疾患として変形性股関節症があげれます。これは、股関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合って炎症を起こし、その結果、股関節や太もも、お尻あたりに痛みが出ます。年齢が高くなると発症しやすくなりますが、若年者であっても股関節の形に異常があったり、スポーツなどで股関節に過度の負担がかかり続けたりすると発症する可能性があります。 初期症状としては、何か動作をするときの初動の時に痛みが出ることが多いですが、末期になるにつれて、動かなくても痛みが出ます。安静にしていても股関節周りの痛みがある場合は、ためらわずに病院に受診しましょう。 ▼変形性股関節症の初期症状とチェック方法について、併せてお読みください。 ③スポーツヘルニア(アスレチックパブアルギア) スポーツヘルニア(アスレチックパブアルギア)は、急に向きを変えることが多い動作を伴うスポーツで起こりやすいです。下腹部の奥の壁が弱くなる、あるいは恥骨結合への筋肉の付着部の損傷によって引き起こされます。 太ももの内側、下腹部、陰部などに痛みが出るのが特徴です。動作時や動作後に痛みが強く出ます。しばらく安静にしていると痛みが軽くなることが多いです。 多くの場合、保存療法で改善しますが、痛みが強い、長引く場合は手術が必要となることもあります。特にアスリートにとっては競技復帰が大きな目標となるため、適切な治療とリハビリテーションが不可欠です。 pubmedの研究によると、スポーツヘルニアの患者は保存療法で効果なければ、手術に踏み切ることになりますが、多くの患者さんが手術によりスポーツ復帰されていると報告されています。 ④腸腰筋の炎症 腸腰筋は、背骨から太ももの骨につながる筋肉で、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしています。腸腰筋を痛めてしまうと、足の付け根が痛くなります。 腸腰筋炎は、スポーツなどで同じ動作を繰り返すことで発症しやすく、陸上競技やバスケットボールなどのアスリートに多く見られます。 また、デスクワークや車の運転などの同じ姿勢でいる時間が長くても、痛みが出ることもあります。この場合、普段動いていないと筋肉が固まってしまい、少し伸ばしただけで筋肉に傷がついてしまうからです。 腸腰筋を痛めてしまうと、足の付け根の奥の方が痛くなり、深くしゃがんだり、足を上げるときに痛みが強く出ることが多いです。 腸腰筋の障害はスポーツ選手における鼠径部痛の重要な原因であり、保存的治療に反応しない場合は、筋腱単位の関節鏡視下延長を含む手術療法が必要となる場合があります。 足の付け根の痛みの対処法と治療 足の付け根の痛みは、日常生活のあらゆる動作に関連して出現します。歩く、立つ、座るという動作も苦痛になってきます。生活の質を大きく下げてしまう厄介な症状です。痛みの原因は多岐にわたり、適切な対処法を見つけることが重要です。 ここでは、家庭でできる対処法と病院で行う治療法、そして将来の痛みを予防するためのストレッチやエクササイズについて、わかりやすく解説します。 家庭でできる対処法:安静、冷却、湿布 足の付け根に痛みを感じたら、まず「安静」にすることが大切です。これは、骨折した腕をギプスで固定するのと同じ考え方です。痛みがある時に動かし続けると、炎症が悪化し、痛みが長引く可能性があります。可能であれば、足を心臓より高く上げて休ませることで、足のむくみを軽減し、痛みの緩和に繋がります。 次に、「冷却」です。氷水を入れた袋や保冷剤をタオルで包み、痛む部分に15~20分程度当ててください。冷却することで、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。ただし、冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意が必要です。皮膚の状態を確認しながら、適度な時間で冷却するようにしましょう。 痛みが強い場合は、「湿布」も有効です。ドラッグストアなどで手軽に購入できる湿布薬には、冷感タイプと温感タイプがあります。一般的に、急性期の炎症には冷感タイプ、慢性的な痛みには温感タイプが適していると言われています。自分のいまの症状に応じて選びましょう。また、湿布薬を使用する際は、説明書をよく読み、かぶれなどに注意してください。 これらの対処法を試しても痛みが改善しない時には、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。 病院での治療法:薬物療法、理学療法、手術 病院での治療法は、痛みの原因や重症度によって異なります。 例えば、細菌感染が原因の場合は抗生物質、痛みが強い場合は痛み止めや炎症を抑える薬が処方されます。薬物療法は、痛みや炎症を抑えるだけでなく、原因となっている病気を治療する効果も期待できます。 また、理学療法士によるリハビリテーションやマッサージなどの理学療法も有効です。理学療法は、関節の可動域を広げたり、筋肉を強化することで、痛みの改善や再発予防に繋がります。 鼠径ヘルニアは、腸の一部が太腿の方に飛び出しているため、手術が必要になることもあります。手術には様々な方法があり、医師とよく相談して最適な方法を選択することが重要です。 スポーツヘルニアの場合、保存的治療に抵抗する場合は手術療法が必要になります。pubmedの研究では、スポーツヘルニアの患者は非手術療法の失敗後に手術療法を必要とする場合が多いとされています。腸腰筋の障害も保存的治療で効果がない場合、手術が選択肢となります。腸腰筋障害の保存的治療としては、活動制限、理学療法、非ステロイド性抗炎症薬、コルチコステロイド注射などが挙げられます。 ▼股関節症の病気の種類と治療法について、併せてお読みください。 予防のためのストレッチとエクササイズ 足の付け根の痛みを予防するためには、日頃からストレッチやエクササイズを行い、股関節周りの筋肉を柔軟に保ち、筋力を strengthening することが重要です。 股関節を柔らかくするストレッチとして、仰向けに寝て片方の膝を曲げ、胸に引き寄せる方法があります。 また、椅子に座った状態で、片足を上げて数秒間キープするエクササイズは、大腿部の筋肉を増やすのに適しています。 これらのストレッチやエクササイズは、痛みがない範囲で行いましょう。無理に行うと、逆に痛みを悪化させる可能性があります。自分に合った方法を見つけることが大切です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 まとめ 足の付け根の痛み、本当につらいですよね。この記事では、その原因と家庭でできる対処法、そして病院での治療法について解説しました。 痛みの原因は、股関節の炎症やスポーツヘルニア、腸腰筋の炎症など様々です。まずは安静、冷却、湿布などで様子を見てみましょう。それでも痛みが続く場合は、我慢せずに医療機関を受診してくださいね。専門家のアドバイスを受けることで、その痛みが緊急性を要するものかの判断もでき、少しでも早く回復することができます。普段から、少しでも筋力トレーニングやストレッチを取り入れることで予防にもつながります。 この記事が、少しでもあなたの痛みの緩和と不安の解消に役立てば幸いです。 参考文献 Weir A, Brukner P, Delahunt E, Ekstrand J, Griffin D, Khan KM, Lovell G, Meyers WC, Muschaweck U, Orchard J, Paajanen H, Philippon M, Reboul G, Robinson P, Schache AG, Schilders E, Serner A, Silvers H, Thorborg K, Tyler T, Verrall G, de Vos RJ, Vuckovic Z, Hölmich P. "Doha agreement meeting on terminology and definitions in groin pain in athletes." British journal of sports medicine 49, no. 12 (2015): 768-74. Elattar O, Choi HR, Dills VD, Busconi B. "Groin Injuries (Athletic Pubalgia) and Return to Play." Sports health 8, no. 4 (2016): 313-23. Anderson CN. "Iliopsoas: Pathology, Diagnosis, and Treatment." Clinics in sports medicine 35, no. 3 (2016): 419-433.
2025.01.31 -
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股関節の痛みで、やりたいことを諦めていませんか? 歩く、立つ、座るといった日常動作でさえ苦痛なら、一度「人工股関節置換術」について考えてみてはいかがでしょうか。 この記事では、手術の概要からメリット・デメリット、費用、術後の生活まで、丁寧にわかりやすく解説します。日本では年間約10万件もの人工股関節置換術が行われており、技術も進歩しています。最新の知見に基づき、あなたの股関節の痛み解消のヒントとなる情報をお届けします。 人工股関節置換術の概要とメリット・デメリット 股関節の痛みは、日常生活に大きな影を落とします。歩くのがつらくて趣味の散歩も諦めてしまった、買い物に行くのも一苦労…など、やりたいことを我慢していませんか? この記事では、股関節の痛みに悩んでいるあなたのために、人工股関節置換術について、小学生にもわかりやすく解説します。手術のメリット・デメリットや、他の治療法についても説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 人工股関節置換術とは? 人工股関節置換術とは、傷んでしまった股関節を、人工の股関節に取り替える手術です。 私たちの股関節は、骨盤側の受け皿のような形をした臼蓋と、太ももの骨の先端にある丸い大腿骨頭が組み合わさってできています。この精密な構造のおかげで、私たちはスムーズに歩く、走る、しゃがむといった動作を行うことができます。 しかし、加齢や激しい運動、怪我などが原因で、この臼蓋と大腿骨頭がすり減ったり、変形したりすることがあります。すると、まるで砂利道の上を歩いているかのような、ギシギシとした痛みや違和感を感じ始め、次第に歩行が困難になってきます。 人工股関節置換術は、まさにこのすり減ったり変形したりした股関節の表面を、耐久性の高い人工物でできた部品に交換する手術です。 人工関節は、主にチタン合金やセラミック、高分子ポリエチレンといった、人体に優しく、摩耗しにくい素材で作られています。これらの素材は長持ちするように設計されているため、手術後には、再びスムーズに動けるようになり、痛みからも解放される可能性が高まります。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 どのような人が対象となるのか 人工股関節置換術は、すべての股関節痛の方に適応されるわけではありません。主に、変形性股関節症などの疾患で、保存療法(薬物療法、理学療法、注射療法など)で十分な効果が得られない場合に検討されます。 具体的には、以下のような方が対象となる可能性があります。 長時間歩くと股関節に痛みが出て、休憩が必要になる 痛みのために、階段の上り下りや椅子から立ち上がるのが困難 夜間、股関節の痛みで目が覚めることがある 痛み止めを飲んでも、痛みが十分にコントロールできない 股関節の動きが悪く、日常生活に支障が出ている これらの症状に心当たりがある方は、専門医に相談してみることをお勧めします。医師は、あなたの症状、年齢、全身状態などを総合的に判断し、手術の適応かどうかを判断します。 手術のメリット 人工股関節置換術の最大のメリットは、何と言っても痛みが軽減することです。長年、股関節の痛みに悩まされてきた方が、手術後には「まるで魔法みたい!」と驚くほど痛みが消えることもあります。 痛みが軽減することにより、以下のようなメリットが期待できます。 歩行が楽になり、活動範囲が広がる 階段の上り下りや、しゃがむ、立ち上がるといった動作がスムーズになる 趣味のスポーツや旅行などを楽しめるようになる 介護の負担が軽減される 生活の質が向上する より具体的な例を挙げると、手術前はスーパーへの買い物も辛かった方が、手術後には趣味のガーデニングを再開できるようになった、といったケースもあります。 手術のデメリット 人工股関節置換術は、非常に効果的な手術ですが、メリットばかりではありません。デメリットについても、きちんと理解しておくことが大切です。 手術には、感染症、出血、血栓症、神経損傷などのリスクが伴います。これらの合併症は稀ですが、発生した場合には適切な処置が必要になります。 人工関節には寿命があります。一般的には15~20年程度と言われますが、使用頻度や患者さんの状態によって異なります。寿命が来たら、再置換手術が必要になる場合があります。 脱臼のリスクがあります。特に、手術直後は脱臼しやすい時期です。近年、手術方法の進歩により脱臼のリスクは減少していますが、それでも注意が必要です。前方アプローチという手術法は、術後の脱臼率が低いことが報告されています(Meermans et al., 2017)。 手術跡が残ります。傷の大きさは手術の方法によって異なりますが、完全に傷跡を消すことはできません。 手術をしてもなぜか痛みが残ったり、別の痛みが出現する可能性もあります。 これらのデメリットも踏まえた上で、医師とよく相談し、手術を受けるかどうかを判断することが重要です。 ▼人工関節手術のリスクについて、併せてお読みください。 代替治療はあるのか 人工股関節置換術以外にも、股関節の痛みを和らげる治療法はあります。主な代替治療としては、以下のようなものがあります。 薬物療法:痛みや炎症を抑える薬を服用します。 理学療法:ストレッチや筋力トレーニング、温熱療法などで、股関節の柔軟性や筋力を改善します。 注射療法:ヒアルロン酸やステロイドを関節内に注射します。 装具療法:杖や歩行器、サポーターなどを使用して、股関節への負担を軽減します。 これらの治療法は、手術に比べて身体への負担が少なく、比較的安全に行えるというメリットがあります。しかし、症状が進行している場合や、これらの治療法で効果が得られない場合には、人工股関節置換術が検討されます。 手術がどうしても避けたい人は再生医療という選択肢もあります。 再生医療について詳しく知りたい方はこちらへ↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 人工股関節置換術の手術の流れと入院期間・費用 股関節の痛み、本当につらいですよね。歩くのも、立ち上がるのも、寝返りを打つのも苦痛で、やりたいことを諦めてしまう気持ち、よく分かります。人工股関節置換術は、そんな股関節の痛みから解放されるための、有効な手段の一つです。 この手術を受けるかどうかは、人生における大きな決断です。だからこそ、手術の流れや費用、メリット・デメリットなどをしっかりと理解することが大切です。 手術前に行う検査 人工股関節置換術を受ける前には、いくつかの検査が必要です。まるで飛行機が離陸前に綿密な点検を行うように、手術を安全に進めるためには、患者さんの体の状態を詳細に把握することが不可欠です。 具体的には、血液検査、レントゲン検査、CT検査、心電図検査などを行います。 血液検査では、感染症や貧血の有無、肝臓や腎臓の機能などを調べます。 レントゲン検査では、股関節の骨の変形具合や関節の隙間などを確認します。 CT検査では、レントゲンよりもさらに詳細に骨の状態や周囲の筋肉、神経の状態などを把握できます。 心電図検査では、心臓に問題がないかを確認します。 これらの検査結果は、手術の方法や麻酔の方法を決定する上で非常に重要な情報となります。 手術方法の種類 人工股関節置換術には、大きく分けて前方アプローチ、後方アプローチ、側方アプローチといった手術方法があります。それぞれ、手術で皮膚を切開する場所や、筋肉を扱う方法が異なります。 例えば、前方アプローチは、筋肉を切らずに股関節に到達できるため、術後の痛みが少なく、回復が早い傾向があります。一方で、前方アプローチでは特殊な手術台や器具が必要となる場合があり、対応できる施設が限られるという側面もあります。 後方アプローチは、手術の歴史が長く、多くの症例で実績がある方法です。比較的どのような施設でも行えるというメリットがありますが、術後の痛みや回復期間は前方アプローチに比べて長い傾向があります。 側方アプローチは、前方と後方の間をとったようなアプローチで、それぞれのメリット・デメリットを併せ持っています。 どのアプローチ方法が適しているかは、患者さんの状態や医師の経験、病院の設備などによって判断されます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、医師とよく相談して最適な方法を選択することが重要です。前方アプローチに関する研究では、術後の脱臼率が低いことが報告されています(Meermans et al., 2017)。 麻酔方法 人工股関節置換術では、全身麻酔または脊髄くも膜下麻酔が用いられます。 全身麻酔は、全身に麻酔薬を投与し、手術中は意識がなくなります。手術中の痛みや記憶は残りません。 脊髄くも膜下麻酔は、腰のあたりに注射針を刺し、下半身だけに麻酔薬を投与する方法です。手術中は意識がありますが、痛みは感じません。 どちらの麻酔方法にもメリット・デメリットがあります。全身麻酔は、手術中の痛みや不安を感じることがないというメリットがありますが、呼吸器系に持病がある方にとってはリスクが高まる可能性があります。脊髄くも膜下麻酔は、呼吸器系への負担が少ないというメリットがありますが、手術時間が長くなる場合には適さないことがあります。 麻酔科医とよく相談し、自分の状態に合った麻酔方法を選択することが大切です。 手術時間 手術時間は、手術方法や患者さんの状態によって異なりますが、一般的には2~3時間程度です。手術が複雑な場合や合併症がある場合は、さらに時間がかかることもあります。 入院期間 入院期間は、患者さんの回復状況や手術方法によって大きく影響を受けますが、おおむね2週間から4週間程度です。前方アプローチを用いた手術では、入院期間が短縮できる場合もあります。 また、術後のリハビリの進み具合によっても、入院期間は変わってきます。入院中は、医師、看護師、理学療法士など、多くの医療スタッフがあなたの回復をサポートします。 手術費用と保険適用について 人工股関節置換術は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、おおむね50万円から80万円程度が目安となりますが、自己負担額は、加入している保険の種類や、高額療養費制度の利用状況などによって異なります。費用の詳細については、事前に病院で確認しておきましょう。 手術後のリハビリテーション 手術後、早期からリハビリテーションを開始します。リハビリテーションは、術後の痛みや腫れを軽減し、早期の回復を促すためにとても重要です。 リハビリテーションの内容は、患者さんの状態に合わせて、理学療法士が個別にプログラムを作成します。歩行訓練、筋力トレーニング、関節可動域訓練などを通して、日常生活に必要な動作をスムーズに行えるように練習していきます。 術後早期のリハビリテーションは、合併症の予防にもつながりますので、積極的に取り組みましょう。 人工股関節置換術の術後管理と注意点・合併症 人工股関節置換術は、股関節の痛みを和らげ、活動性を向上させる効果的な手術ですが、術後の適切な管理と合併症への注意が不可欠です。 この章では、術後の痛みへの対処法、日常生活の注意点、合併症のリスクと予防策、そして人工関節の寿命について、小学生にも理解しやすいように詳しく解説します。まるで、新しい靴を履いたばかりで、まだ歩き慣れていない状態に似ています。新しい人工股関節に慣れるまでは、少し時間がかかりますが、適切なケアを行うことで、より早く、より安全に回復へと進んでいけます。 術後の痛みと対処法 手術後、傷口の痛みや腫れ、違和感などは誰にでも起こる症状です。これは、体が手術という大きな変化に適応しようとしている証でもあります。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、適切な管理によって軽減できます。 まず、痛み止めは医師の指示に従って服用することが重要です。痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。適切な痛み止めを使用することで、痛みをコントロールし、よりスムーズにリハビリに取り組むことができます。 次に、冷罨法(れいあんぽう)と温罨法(おんあんぽう)を適切に使い分けることも重要です。手術直後や痛みが強い時期には、患部を冷やすことで痛みや腫れを和らげることができます。数日後、痛みが落ち着いてきたら、温めることで血行を促進し、回復を早める効果が期待できます。 そして、忘れてはならないのがリハビリテーションです。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲でリハビリテーションを行うことで、関節の可動域を広げ、筋力を回復することができます。適切なリハビリは、術後の回復を早めるだけでなく、長期的な合併症の予防にも繋がります。 禁忌肢位と日常生活の注意点 人工股関節置換術後、特に重要なのは「禁忌肢位」を避けることです。禁忌肢位とは、人工股関節が脱臼するリスクを高める姿勢のことです。手術のアプローチ方法(前方か後方か)によって、禁忌肢位は異なります。 後方アプローチの場合、股関節を深く曲げたり、内側にひねったり、足を組む姿勢は特に注意が必要です。和式トイレの使用、低い椅子に座ること、あぐらをかく、足を組むなどは避けましょう。 前方アプローチの場合も禁忌肢位はありますが、後方アプローチとは異なります。具体的な禁忌肢位については、担当医に確認してください。近年では、手術方法の進歩により、禁忌肢位を設けない施設も増えています。 日常生活では、靴下を履く、床に落ちた物を拾うといった動作にも注意が必要です。これらの動作を行う際に、無理な姿勢をとってしまうと、脱臼のリスクが高まります。靴下を履くための補助具や、物を拾うためのトングなどを活用することで、無理な姿勢を避け、安全に日常生活を送ることができます。 退院後の生活の送り方 退院後は、医師や理学療法士の指示に従って、徐々に日常生活の活動レベルを上げていくことが大切です。焦らず、無理なく、少しずつ活動範囲を広げていきましょう。 ウォーキングなどの軽い運動は、筋力や体力の維持・向上に役立ちます。ただし、激しい運動や長時間の歩行は、人工股関節に負担をかけるため避けるべきです。運動の種類や強度、時間については、医師や理学療法士に相談し、自分に合った運動プログラムを作成してもらいましょう。 適切な休息も重要です。疲労をためないように、十分な睡眠時間を確保し、疲れた時は無理せず休憩しましょう。 また、定期的な通院も欠かせません。医師の指示に従って、定期的に通院し、経過観察を受けましょう。医師は、レントゲン検査などで人工股関節の状態をチェックし、問題があれば早期に発見・治療することができます。 Zhu Sらの研究(2017)では、ERAS(手術後早期回復プログラム)は、従来の方法と比べて、術後の入院期間を短縮し、合併症発生率を減少させる効果が認められています。 ▼変形性股関節症の手術後の生活で注意したいことについて、併せてお読みください。 合併症のリスクと予防策 人工股関節置換術には、感染症、血栓症、脱臼、人工関節のゆるみなどの合併症のリスクが伴います。これらの合併症は稀ですが、発生した場合には適切な処置が必要になります。合併症を予防するためには、日常生活における注意点を守ること、そして定期的な検診を受けることが重要です。 感染症予防のためには、手術部位の清潔を保ち、傷口に異常がないか毎日確認しましょう。血栓症予防のためには、弾性ストッキングの着用や、血液をサラサラにする薬を服用することが有効です。脱臼予防のためには、禁忌肢位を避け、適切な姿勢を保つように心がけましょう。 定期的なレントゲン検査などを受けることで、人工関節の状態をチェックし、早期発見・早期治療に繋げることができます。 人工関節の寿命と再置換術について 人工関節は、非常に耐久性の高い素材で作られていますが、永久に使えるわけではありません。一般的に、人工股関節の寿命は15~20年程度と言われています。しかし、患者さんの活動レベルや人工関節の種類、体重などによって、寿命は大きく異なります。 人工関節が摩耗したり、破損したりした場合には、再置換術が必要になる場合があります。人工関節の寿命を長く保つためには、適切な体重管理、適度な運動、そして医師の指示に従った適切なケアが重要です。 人工股関節置換術に関するよくある質問と不安の解消 人工股関節置換術は、股関節の痛みを和らげ、活動的な生活を取り戻すための有効な手段です。しかし、手術を受けるとなると、様々な不安や疑問が浮かぶのは当然のことです。 このセクションでは、患者さんからよく寄せられる質問に、経験豊富な医師の視点からお答えします。手術を受けるかどうか迷っている方、術後の生活について具体的に知りたい方など、ぜひ参考にしてください。 術後の痛みはどれくらい続くのか 手術直後は、どうしても痛みを感じます。これは、身体が大きな変化に適応しようとしている証です。 痛みの程度や持続期間は個人差が大きく、手術の方法や患者さんの状態、痛みの感じ方などによって様々です。傷の痛みだけでなく、筋肉や組織の損傷、炎症なども原因となります。 一般的には、数週間から数ヶ月かけて徐々に痛みが軽減していきます。痛み止めを使用することで、痛みをコントロールし、日常生活やリハビリをスムーズに行えるようにサポートします。 術後早期回復プログラム(ERAS)を採用している病院では、痛みを最小限に抑えるための様々な工夫が凝らされています。例えば、手術中の麻酔方法や術後の鎮痛方法を工夫したり、早期からリハビリテーションを開始したりすることで、痛みの軽減と早期回復を目指します。 痛みが強い場合は、我慢せずに医師や看護師に相談することが大切です。適切な鎮痛方法を検討し、より快適に過ごせるようにサポートいたします。 車の運転はいつからできるのか 車の運転再開時期は、手術の方法、回復状況、医師の判断によって大きく異なります。一般的には、術後6週間から3ヶ月程度で運転が可能となることが多いです。 前方アプローチで手術を受けた場合、筋肉へのダメージが少ないため、比較的早期に運転を再開できる可能性があります。しかし、後方アプローチの場合、筋肉の回復に時間がかかるため、運転再開までにはもう少し時間を要する可能性があります。 安全のためにも、必ず医師の許可を得てから運転するようにしてください。運転再開後も、長時間の運転は避け、こまめに休憩を取るように心がけてください。また、運転中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに運転を中止し、医師に相談してください。 スポーツはできるのか 人工股関節置換術後も、適切な運動を行うことは健康維持のために重要です。しかし、すべての人が同じようにスポーツを楽しめるわけではありません。 ウォーキングや水泳、サイクリングなどの比較的股関節への負担が少ない運動は、多くの場合、問題なく行うことができます。これらの運動は、筋力や持久力の維持・向上に役立ち、健康増進にも繋がります。 一方、テニスやバスケットボール、サッカーなどの激しいスポーツや、マラソンやジョギングのように、股関節に大きな負担がかかるスポーツは、人工股関節の寿命を縮める可能性があるため、避けるべきです。 スポーツの種類や強度、開始時期については、必ず医師や理学療法士に相談し、適切な指導を受けるようにしてください。個々の状態に合わせて、安全にスポーツを楽しめるようにサポートいたします。 仕事への復帰はいつ頃できるのか 仕事への復帰時期は、仕事の内容、回復状況、医師の判断によって大きく異なります。デスクワーク中心の仕事であれば、術後数週間で復帰できる場合もあります。 一方、肉体労働や立ち仕事が多い場合は、術後数ヶ月かかることもあります。復帰後もしばらくは、無理のない範囲で仕事を行い、徐々に元の仕事量に戻していくようにしましょう。 職場の上司や同僚に手術後の状況を説明し、理解と協力を得ることも大切です。 家族のサポートはどの程度必要か 術後早期は、日常生活動作において家族のサポートが必要となる場合があります。特に、手術直後は、歩行や着替え、トイレ、入浴などの際に介助が必要となることが多いです。 入院中は看護師や理学療法士がサポートを行いますが、退院後は家族の協力が不可欠です。家族の方は、医師や看護師から手術の内容や術後の注意点、患者さんの状態などを事前にしっかりと説明を聞いておきましょう。 術前教育は、患者さん自身の不安軽減だけでなく、家族の不安軽減にも効果的です。家族が患者さんの状態を理解し、適切なサポートを行うことで、患者さんの回復はよりスムーズに進みます。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Galakatos GR. "Direct Anterior Total Hip Arthroplasty." Missouri medicine 115, no. 6 (2018): 537-541. Meermans G, Konan S, Das R, Volpin A, Haddad FS. "The direct anterior approach in total hip arthroplasty: a systematic review of the literature." The bone & joint journal 99-B, no. 6 (2017): 732-740. McDonald S, Page MJ, Beringer K, Wasiak J, Sprowson A. "Preoperative education for hip or knee replacement." The Cochrane database of systematic reviews 2014, no. 5 (2014): CD003526. Zhu S, Qian W, Jiang C, Ye C, Chen X. "Enhanced recovery after surgery for hip and knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis." Postgraduate medical journal 93, no. 1106 (2017): 736-742. Epidemiological evidence for work load as a risk factor for osteoarthritis of the hip: a systematic review. Therapeutic exercise for people with osteoarthritis of the hip or knee. A systematic review. Primary osteoarthritis of the hip: etiology and epidemiology.
2025.01.30 -
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最近、股関節やその周りの筋肉に痛みを感じていませんか? 太腿のつっぱり感、階段の上り下り時の痛み、長時間の歩行後の重だるさ… もしかしたら、それは「変形性股関節症」の兆候かもしれません 変形性股関節症は、初期には症状が少なく、気づかないうちに進行してしまう怖い病気です。じわじわと忍び寄る痛みや違和感、徐々に狭まる可動域… 放置すれば、歩行するのも難しくなる可能性が高くなります。 実は、高齢者に多いイメージのある変形性股関節症ですが、近年若い世代にも増加傾向にあります。 アメリカ理学療法士協会整形外科部門(APTA)もその深刻さを指摘しており、早期発見・早期治療の重要性が叫ばれています。 このトピックスでは、変形性股関節症の代表的な5つの初期症状とチェックリストを利用して解説します。 股関節まわりの疼痛、動いた時の違和感、歩行時に重たい感じ、運動に制限がある、可動域の減少… これらの症状に心当たりがある方は、決して軽視しないでください。 自身の股関節の理解を深めるために、今すぐこのトピックスを読み進めて、変形性股関節症の早期発見、そして快適な生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。 変形性股関節症の初期症状とは?よく見る症状5つ 変形性股関節症は、初期段階ではこれといった痛みなどが現れにくい病気です。そのため、気づかぬうちに病気が進行し、手遅れになるケースも少なくありません。まるで静かに忍び寄る影のように、私たちの生活を脅かす病気とも言えるでしょう。 しかし、初期に出る症状をしっかりと理解し、早期に発見することで、症状の進行を抑え、日常生活への影響を最小限にすることが可能です。 この章では、変形性股関節症の初期症状として代表的な5つの症状を、具体的に解説します。これらの症状に心当たりがある方は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 ①股関節の痛みと違和感 健康な股関節は、動きの制限もなく、痛みもありません。しかし、変形性股関節症の初めに出てくる症状として、この滑らかな動きが失われ、股関節に鈍い痛みや違和感を感じることがあります。 この痛みは、長時間立っていたり、歩いたりした後に強くなる傾向があります。まるで股関節が疲れているような、重だるい感覚を覚えるかもしれません。じっとしていても股関節の奥の方に鈍痛のようなものを感じることもあります。 初期の頃の痛みは、常に一定ではなく、痛みが現れたり消えたりを繰り返すこともあります。このため、「気のせいかな?」と軽く考えてしまいがちです。しかし、この「気のせいかな?」を繰り返すうちに、徐々に痛みの頻度や強度が増していきます。 症状 説明 鈍痛 刺すような鋭い痛みではなく、ズーンと響くような鈍い痛みです。 違和感 股関節に何かが挟まっているような、違和感です。 間欠的な痛み 常に痛みがあるわけではなく、痛みが現れたり消えたりします。 休息時の痛み 安静にしているときにも痛みを感じます。 運動後の痛み 運動した後や長い距離を歩いた後に痛みが強くなります。 このような症状は、普段の生活の中で徐々に現れ始めます。例えば、朝目覚めた時に股関節が少し硬く感じる、階段の昇降が以前より辛くなった、長く歩くと股関節に違和感が出てくる、といった変化です。これらの小さな変化を見逃さずに、早いうちに対策をすることが大切です。 ②動作時の関節のこわばり 健康な股関節は、自由に動き、スムーズに動作を行うことができます。しかし変形性股関節症が進行すると、股関節の動きが悪くなり、スムーズに動かせなくなることがあります。 例えば、立ち上がろうとしたときに股関節が硬く感じたり、脚を大きく広げることができなくなったりします。靴下や靴を履く、しゃがむ、正座をするといった日常的な動作もしにくくなることもあります。 このようなこわばりは、朝起きた時や、長い時間同じ態勢でいるといつもより痛みが強く現れることがあります。これは、関節内の滑液が減少したり、関節の軟骨が傷ついてすり減ることで、関節の動く範囲が狭くなるためです。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ③歩行時の負担感 健康な状態では、歩行時に股関節への負担はほとんど意識することはありません。しかし、変形性股関節症になると、歩行時に股関節に負担がかかり、スムーズに歩くことが難しくなります。 初期には、歩いていると股関節が重く感じたり、長距離を歩くと股関節が痛むといった症状が現れます。さらに進行すると、跛行(はこう)といって、片足を引きずるようにして歩くようになります。また、歩幅が狭くなったり、歩行速度が遅くなったりすることもあります。 ④スポーツや日常生活での制限 スポーツを活発にしている方は、股関節を痛めると、パフォーマンスの低下を感じるかもしれません。走ったりジャンプなどの動作で痛みが増強し、思うように動作ができなくなることもあります。 日常生活でも、正座やあぐらがしづらくなったり、椅子から立ち上がる際に痛みを感じたりするなど、様々な動きの制限が出てきます。動作の制限により、生活もしづらくなります。 ⑤股関節の動く範囲が減少 変形性股関節症では、股関節の動きが段々と悪くなっていきます。初期には軽度の制限ですが、進行するにつれて脚を自由に動かせなくなることもあります。 具体的には、股関節の屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋といった動作が制限されます。両股関節の動きに左右差が見られるときは、股関節の病変を疑わなければいけません。今までの経験では痛みが出る前に、すでに関節の可動域が悪くなっている方が多くおられました。 アメリカ理学療法士協会整形外科部門(APTA)も、股関節の痛みと可動域制限に関するエビデンスに基づいた推奨事項を示しています。変形性股関節症は進行性の疾患であるため、専門家による適切な診断とケアが重要です。初期に現れる症状を放っておかず、適切な治療を行うことで、進行を遅らせ、より長く健康な股関節を維持することができるでしょう。 変形性股関節症の初期症状チェックリストと医療機関の選び方 股関節の痛みや違和感が感じたら、それは、もしかしたら変形性股関節症の初期症状かもしれません。初期症状は他の病気と間違えやすく、分かりにくい場合も多いです。 この記事では、変形性股関節症の初期症状をセルフチェックリストで確認し、医療機関の選び方についてご紹介します。症状が見つかり、診断がつけば早いうちに治療を開始することが非常に重要ですので、ぜひご自身のこととして捉え、読み進めてください。 初期症状のセルフチェックリスト 変形性股関節症の初期症状は、下記のチェックリストで確認できます。チェックが多いほど、変形性股関節症の可能性が高まります。 症状 チェック 立ち上がり時や歩き始めに股関節に痛みや違和感がある □ 長時間歩いたり、階段の上り下りで股関節に痛みが増す □ 休むと痛みが軽減する □ 股関節が硬く感じ、動きが悪い □ 靴下を履く、足を組むなどの動作がつらい □ あぐらがかけない □ 股関節の違和感で寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めることがある □ これらの症状にいくつか当てはまる場合、変形性股関節症の初期症状の可能性があります。しかし、自己判断は危険です。必ず医療機関を受診し、医師による正確な診断を受けるようにしてください。 ▼変形性股関節症の原因から治療について、併せてお読みください。 専門医に相談するタイミング 上記のチェックリストで複数の項目にチェックが入る場合や、股関節の痛みや違和感が続く場合は、早めに専門医に相談しましょう。特に、痛みが強くなってきたり、日常生活に支障が出始めた場合は、放っておかずに速やかに受診することが大切です。変形性股関節症は放置しておくと段々悪化していく病気で、早期の診断と介入が、将来の生活の質を大きく左右します。 検査方法と受診すべき医療機関 変形性股関節症の検査は、整形外科で受診できます。「股関節専門外来」や「関節外科」といった専門性の高い医療機関を選ぶと、より専門的な知識と経験に基づいた診断と治療を受けることができます。 整形外科を受診すると、まず医師があなたの症状や既往歴などについて詳しく問診を行います。 その後、股関節のレントゲン検査を行い、関節の隙間や骨の状態などを確認します。レントゲン検査では、骨棘の形成や関節裂隙の狭小化といった変形性股関節症の特徴的な所見を捉えることができます。 必要に応じて、MRI検査やCT検査を行うこともあります。MRI検査では、軟骨や靭帯、関節包などの軟部組織の状態を詳細に評価することができます。CT検査は、骨の三次元的な構造を把握するのに役立ちます。 知っておきたい治療方針と選択肢 変形性股関節症の治療は、保存療法と手術療法に大きく分けられます。 保存療法は、内服治療、理学療法、生活指導など、手術を行わずに症状を改善させる治療法です。 内服治療では、ロキソニンなどの痛みを抑える薬が用いられます。 理学療法では、ストレッチや筋肉トレーニングにより関節の痛みを和らげて動きを良くします。 生活指導では、体重管理や適切な運動方法など、普段の生活で気をつけるべき点について指導を受けます。 ▼変形性股関節症の保存療法について、併せてお読みください。 病態が進行している場合や、保存療法でも痛みが良くならない時には、手術療法が検討されます。 人工股関節置換術は、変形性股関節症に対して一番よく行われている手術です。この手術では、軟骨がすり減ってしまった股関節そのものを、金属製の人工物で関節を入れ替える手術をします。これにより痛みを軽減し、関節の機能を回復させます。 どの治療法が適切かは、患者さんの症状の程度、年齢、生活スタイル、全身状態などを総合的に考慮して決定されます。医師とよく相談し、ご自身にとって最適な治療法を選択することが重要です。 気がついたときにはすでに変形性股関節症の病期の後期になっていることもよくあり、疾患修飾薬による効果を期待できる時期を逃している場合が多いという現状も認識しておく必要があります。 手術しない新しい選択肢 再生医療 今までは、保存療法で痛みが取れないときには人工関節術しか選択はなかったのですが、最近では再生医療による変形性股関節症の治療も行われるようになりました。医療機関によって、再生医療の治療法は様々あります。 再生医療について詳しく知りたい方はこちらへ↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 患者支援団体や参考情報の活用方法 変形性股関節症に関する情報は、インターネットや書籍などで入手できます。信頼できる情報源から、病気への理解を深めるようにしましょう。患者支援団体では、同じ病気を持つ患者さん同士が交流したり、情報交換したりすることができます。このような団体に所属することで、精神的な支えを得たり、病気に対する不安や疑問を解消したりするのに役立ちます。 まとめ 初期症状に気づきにくい変形性股関節症ですが、この記事でご紹介した5つの症状(股関節の痛みや違和感、動作時のこわばり、歩行時の負担感、日常生活の制限、可動域の減少)に心当たりがある方は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 セルフチェックリストを活用し、複数の症状に当てはまる場合や、日常生活に支障が出ている場合は、特に早めの受診が大切です。 整形外科、特に「股関節専門外来」や「関節外科」などを検討し、レントゲン検査などの精密検査を受け、医師と治療方針についてしっかり相談しましょう。 参考文献 Cibulka MT, Bloom NJ, Enseki KR, Macdonald CW, Woehrle J, McDonough CM. "Hip Pain and Mobility Deficits-Hip Osteoarthritis: Revision 2017." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 47, no. 6 (2017): A1-A37. 変形性関節症:臨床実践における最新情報ガイドライン The clinical and radiographic course of early knee and hip osteoarthritis over 10 years in CHECK (Cohort Hip andCohort Knee).
2025.01.29 -
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あなたは、散歩して歩いている時や寝ている時に、股関節に違和感や痛みが出たことがありますか?そんな時は、股関節の代表的な疾患である変形性股関節症を少し疑ってみましょう。この記事を読んでいただければ、変形性股関節症のポイントがよくわかるように説明しております。是非、最後までご覧ください。 70代以上の高齢者の多くが、程度の差こそあれ発症すると言われている変形性股関節症。主に加齢によって軟骨が傷つき少なくなっていくのが原因ですが、肥満や運動不足のほかに遺伝もリスクを高める要因となります。1kgの体重増加で股関節には3~6kgもの負担がかかるというデータもあります。 初期症状は動作開始時の痛みや可動域の制限ですが、放置すると安静時にも痛みが生じてしまいます。診断にはレントゲンやMRIなどの画像診断が必要で、状態に応じて運動療法、内服薬、そしていよいよ痛みが強くなれば手術療法となります。 この記事では、変形性股関節症を知るところから、治療法に至るまでをわかりやすく、私の体験も含め解説いたします。股関節が痛い方、また今後、変形性膝関節症になるかもしれないと不安な方、ぜひ読み進めてこの症状への理解を深めていただけたら幸いです。あなたが少しでも健康な生活を送れるように、今すぐ知識を深めましょう。 変形性股関節症の原因とリスク要因 股関節の痛み、気になりますよね。もしかしたら変形性股関節症かも…と不安になっていませんか? ここでは、変形性股関節症の原因およびqリスク要因について、整形外科医の立場からわかりやすく解説していきます。原因を知ることで、予防や治療への意識も高まりますので、ぜひ最後までお付き合いください。 加齢と変形性股関節症の関係 年齢を重ねると、どうしても体のあちこちにガタがきてしまいます。これは、長年使い続けた機械が徐々に劣化していくのと似ています。加齢も大きな原因で、徐々に関節の軟骨もすり減っていきます。 若い頃は、股関節の骨の表面を覆う軟骨がクッションの役割を果たし、骨同士がスムーズに動くようサポートしてくれています。。この軟骨は、潤いと弾力性が保たれており、衝撃を吸収してくれるため、私たちは痛みを感じることなく、歩行やジョギングができるのです。。しかし、年齢とともにこの軟骨がすり減ってしまい、骨と骨が直接ぶつかり合うことで、炎症や痛みが生じます。 高齢化社会の現代において、変形性股関節症はとても身近な病気と言えるでしょう。40歳代ぐらいから発症し、70代以上になると股関節の軟骨は傷ついて少なくなる可能性が高くなります。軟骨のすり減りの原因は、加齢以外にも肥満や遺伝、怪我の経歴などが関係しており、これらの要因が重なることでより早く軟骨がすり減ってしまう可能性があります。 肥満がもたらす影響 体重が増えることで、身体を支えるのに大きな役割をする股関節にも影響が生じます。これは例えば、リュックサックに重い荷物を入れると、首に負担がかかるのと同じようなイメージです。1kgの体重増加で、股関節には3〜6kgの負荷がかかります。 体を支える上で、股関節はとても大切です。体重が増えるほど負担が増し、軟骨がすり減りやすくなってしまいます。結果として、変形性股関節症へと進行してしまいます。適正体重を維持することは、股関節の健康を保つ上でとても大切です。具体的には、BMI(Body Mass Index)を25以下に保つことが推奨されています。BMIは、体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)で計算できます。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 運動不足がもたらすリスク 適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛え、関節を安定させるのに役立ちます。筋肉は、関節を支えるコルセットのような役割を果たしており、筋肉がしっかりしていれば、関節への負担を軽減することができます。 逆に、運動不足だと筋肉が衰え、関節に負担がかかることで軟骨が傷つきやすくなります。さらに運動不足は体重増加となりさらに負担がかかるという悪循環に陥ります。 ウォーキングや水泳など、股関節に負担の少ない運動を継続的に行うのが理想です。プール内でのウォーキングは、浮力により関節への負担が軽くなり、変形性股関節症の方にもおすすめです。1回30分程度、週に3回以上を目安に行うと良いでしょう。 遺伝的要因と家族歴の影響 変形性股関節症は、遺伝的な要因も関係していることが知られています。両親や兄弟姉妹など、家族に変形性股関節症の方がいる場合、自身も発症するリスクが高まる可能性があります。これは、軟骨の質や骨盤の形などが遺伝的に受け継がれるためと考えられています。 遺伝的な要素は変えられませんが、生活習慣を改善することで、発症リスクを下げたり、病状が進むのを予防することができます。変形性股関節症は、加齢や肥満などにも強いつながりがあり、日々の生活の中で予防に取り組むことが重要です。 ▼変形性膝関節症の原因や予防のヒントについて、併せてお読みください。 変形性股関節症の症状と診断方法 股関節の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす悩ましい症状です。中高年の方には変形性膝関節症に続いてよくみられます。できるだけ早期に発見し治療にかかれば、ある程度の病状の進行は抑えられます。 ここでは、変形性股関節症の症状および診断方法について、整形外科医の立場からわかりやすく解説します。ご自身に少しでもあてはまることがあれば、ぜひ参考にしてみてください。 主な症状:痛みと可動域制限 変形性股関節症の主な症状は、関節の痛みと動きの制限です。初期には、立ち上がったり、歩き始めたりしたときなど、関節に負荷がかかり始める時に痛みを感じることが多いですが、安静にしていると痛みは治まります。この時点では、まだ軟骨の損傷は軽微であるため、少し休むことで痛みは治ることが多いです。 しかし、病状が進み関節軟骨がすり減ると、骨同士が接触する面積が増えてきます。すると、炎症が慢性化し、安静時にも痛みを感じるようになります。さらに進行すると歩くことも困難となります。また、関節の動く範囲が狭くなり、足を自由に動かせなくなることもあります。正座やあぐらが難しくなったり、靴下を履く動作で痛みを感じたりする方もいます。 変形性股関節症の症状は、痛みと可動域制限以外にも、下記のような症状もよく言われます。 こわばり: 朝起きた時や長時間同じ姿勢でいた後に、股関節の動きにぎこちない感じや、痛みが生じることがあります。これは、関節液の循環が悪くなっていることが原因と考えられます。 引っかかり感: 関節がスムーズに動かない感じや、カクンと引っかかるような感覚が生じることがあります。 音: 関節を動かしたときに、クリック音やゴリゴリ音など認めることがあります。これは、骨同士が擦れ合っている音です。 これらの症状は、すべての人に現れるわけではなく、症状の強さも人それぞれです。高齢化と肥満人口の増加に伴い、変形性関節症の有病率は増加しているという報告があります。もし心当たりのある症状があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。 痛みの特徴とその場所 変形性股関節症の痛みは、股関節の周囲だけでなく、太ももの前から膝にかけてだったり、お尻の奥、つまりズボンの後ろポケットの辺りの奥が痛くなる方もよくおられます。これは、股関節の近くの神経が影響して「放散痛」と呼ばれています。 初めの頃は、立ち上がる時や、歩き始めに痛みが出て、しばらくすると軽くなることが多いです。これは、動き始めに関節に負荷がかかるためです。また、運動後や長時間の歩行後に痛みが増すこともあります。痛みの出方は人それぞれで、鈍い痛み、刺すような鋭い痛み、うずくような痛みなど、個人によって様々な症状が出ます。私の今までの経験では、股関節の痛みと同時に、太ももの前から膝にかけて痛みを訴える方が多くおられました。 また、痛みの特徴は、関節の変形の程度によって変わることが多いですが、末期になってもあまり痛みが感じなかったり、初期でもかなり痛みが強い方も多く見られました。初期の頃は動く時だけ痛みが出ますが、中期や末期になると安静や夜間で痛みが現れます。 画像検査 一般的によく使用されるレントゲン検査、さらに詳しく調べるためのMRI検査、CT検査などがあります。 レントゲン検査では、軟骨がどのくらい減ったのかを見る目安となる関節の隙間などを知ることができます。変形性股関節症では、関節の間が狭くなったり、骨の棘と書いて骨曲(こつきょく)が出てきます。ただ、この骨曲があることで痛みが強くなるということはありません。 MRI検査では、軟骨や靭帯、筋肉の状態や位置関係などを詳しく調べることができます。レントゲンではわからない、軟骨や靭帯の状態もわかります。レントゲンだけではなく、MRIを撮影してみると、大腿骨頭壊死が見つかったということはよく臨床の場では経験しました。 CT検査は、骨の状態をより詳細に調べるのに役立ちます。特に、手術を検討する場合に、骨の形、位置関係、そして周りの神経の確認もできるので必要となります。近年では、3D-CTを用いることで、立体的な病変の把握が可能となりました。 変形性股関節症の診断は、症状や身体の所見、レントゲンやMRIなどの画像診断を含め総合して総合的に判断して行います。 ▼MRIの費用相場や撮り方について、併せてお読みください。 症状を改善するための生活指導 変形性股関節症の症状を改善するためには、日常生活での工夫が大切です。 運動療法: ウォーキングや水中でのウォーキングなど、股関節に負担をかけすぎない運動が有効です。水中ウォーキングは浮力によって股関節への負担が軽減されるため、比較的に筋力の弱い高齢者の方におすすめです。理学療法士による自宅でできる筋力トレーニングやストレッチの指導を受けることで、さらに症状の軽減を目指しましょう。 体重管理: 肥満は股関節に大きな負担がかかります。適切な体重を維持することが重要です。栄養バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を継続しましょう。BMIを25以下に保つことが推奨されています。 装具の使用: 杖、歩行器、装具などを使用して股関節の負担を減らします。 薬物療法: 痛み止めやヒアルロン酸注射などを行います。痛み止めは、痛みを止める作用はありますが、根本的な治療にはなりません。ヒアルロン酸注射は、関節液の粘性を高め、関節の動きをスムーズにする効果があります。 手術療法: 保存療法でも痛みがおさまらなければ、人工股関節置換術などの手術が検討されます。金属製人工関節で関節ごと入れ替えます。 できるだけ早期に見つかれば、軟骨のすり減りを少しでも食い止めることができるのです。股関節のいつもと違う違和感や痛みなどが現れたら、早い目にレントゲンなどの検査をしましょう。 新しい選択肢としての再生医療 従来の医療では、保存療法で痛みがおさまらなければ、手術という流れになっていたのですが、最近では、変形性股関節症に対する再生医療が注目されています。『いったい再生医療ってなんだろう』『どの再生医療がいいの?』という疑問に対して、こちらでわかりやすく解説しています↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 Cibulka MT, Bloom NJ, Enseki KR, Macdonald CW, Woehrle J, McDonough CM. "Hip Pain and Mobility Deficits-Hip Osteoarthritis: Revision 2017." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 47, no. 6 (2017): A1-A37. Hunter DJ, Bierma-Zeinstra S. "Osteoarthritis." Lancet (London, England) 393, no. 10182 (2019): 1745-1759.
2025.01.29 -
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変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12 -
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股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 人工股関節置換術 骨切り手術 関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症を発症!悪化させないために気をつけたいこと 変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないようにしたいものです。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士がこすれあうことで炎症が起こり、痛みを伴う病気です。 悪化すると日常生活にも支障をきたします。今回は、この変形性股関節症を悪化させないために気をつけるべきことについて解説してまいります。 変形性股関節症になったら気をつけることとは? 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、気をつけたいことがあります。 股関節への負担を減らす 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も多くあります。しかし、股関節には日常の動作、つまり、歩いたり、階段を上ったり、座ったりといた動作が起こり、それだけでも股関節に負担がかかっています。 また、股関節の骨と骨の間に存在し、衝撃を吸収したり、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしている軟骨は、加齢だけでなく、関節を使うことで徐々にすり減ってしまいます。 そのため、変形性股関節症では、日常生活を工夫して、股関節への負担を減らすように気をつけることが大切です。 股関節を安静に保つ 荷物など、重いものを持つことを避けたり、腰をかがめる動作を減らすなど、股関節への負担を減らすことを意識して、安静に保つことで股関節への負担が減り、変形性股関節症の進行を遅らせることができます。 ゆっくり歩き/長時間歩かない 変形性股関節症と診断された場合は、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないようにゆっくり歩くことを意識してください。また、連続して長時間歩くことも避けるようにしましょう。自分の大丈夫だろうという意識を捨て、無理は禁物です。 変形性股関節症は軽度の運動でも気をつける 変形性股関節症の初期の治療では、軽度の運動が推奨されます。これは筋肉をつけることで股関節の動きをサポートし、股関節の位置を正しい位置に矯正することで痛みの緩和が期待できるからです。 ただし、変形性股関節症でありながら運動する場合には、軽度の運動であっても気をつけることがあります。 15分以上の運動は控える 15分以上の連続した運動は筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうので控えるようにしましょう。 痛みを感じるような運動は控える 早く治そうと無理することは禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうこともあるので無理のない範囲で運動するようにしましょう。 肥満を解消する 普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、変形性股関節症の人が気をつけることの1つとして、肥満解消や体重コントロールも挙げられます。 股関節の負担が掛からないよう体重を管理し、肥満を防ぐ 中高年になると身体の基礎代謝が落ちてまいります。そのため、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 体重は、股関節へ直接負荷をかけることになるため、注意しなければなりません。体重は、けして切り離せないだけに留意すべき大切な要素です。 変形性股関節症において食事で気をつけたいことは、とにかく食べ過ぎないことと、栄養バランスよく食べることです。夕食は、寝る2~3時間以上前には済ませるようにしましょう。暴飲暴食は厳禁です。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防ぐことができます。食事内容のバランスにも気をつけましょう。脂っこい食事を避けて緑黄色野菜を多めに摂る、筋肉の基となるたんぱく質も意識して食べるようにしましょう。 無理に股関節を動かさない 変形性股関節症では適度な運動は推奨されますが、無理に股関節を動かすと、症状が悪化する可能性があります。激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリは、関節への負担が少なくて済むウォーキングや水中歩行のようなスポーツをゆっくり行うなど、関節に無理をかけないように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|家族が気をつけること 変形性股関節症と診断された場合に、その家族が気をつけることを以下にまとめました。どのようなことがあるのでしょうか。 重いものを持たなくて済むようにサポートする 重いものを持つと関節に負担がかかりやすくなります。また、重いものを持つために、腰をかがめる動作も股関節に負担がかかるため、変形性股関節症の場合に荷物を持つときには、できるだけ家族が持つなどのサポートが大切です。 痛みの管理をサポートする 変形性股関節症では、痛み止めなどの内服薬も処方されます。痛み止めは、副作用で胃が荒れてしまうこともあり、それを予防するための胃薬や湿布のような外用薬など、数種類の薬が処方されることもあるため、薬の管理をサポートしましょう。 また、どのようなときに痛みが出たり、ひどくなったりするかの記録をつけることで、痛みの管理ができるため、家族もいっしょになって記録を取る手伝いをしましょう。 これら変形性股関節症では、その個人だけではなく、周りの家族も思いやりと、協力で、症状の進行を遅らせ、痛みを改善させ、より快適に過ごすことができるのではないでしょうか。 精神面でも支えになる 変形性股関節症の人は、症状が進むと動いていなくても痛みを感じる場合があります。今までできていたことができなくなり、トイレに行くにも不自由になり、ストレスを感じるようになる人もいます。 ですから、変形性股関節症の人の家族は、日常的な生活のサポートだけでなく、精神的な支えにもなるように気をつけることが必要です。 変形性股関節症の悪化|治療で気をつけること 変形性股関節症の治療で気をつけることも確認しておきましょう。 本人や家族が満足、納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療では、「薬物治療」、「運動療法」、「手術療法」などさまざまな治療がおこなわれます。手術療法を行う場合は入院が必要になりますが、どうしても仕事が忙しく時間がとれないなどの理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が満足できる、納得できる医療機関を見つけて治療を受けることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の人は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望も伝えておけば良いでしょう。 なぜなら自分の望む治療がおこなわれないと、治療に対するモチベーションも下がってしまい、治療自体に影響が出ることもあります。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは薬で治療をしたいのか、飲み薬のほかに湿布薬や座薬も使いたいのかなど、医師にしっかり話をして、相談しながら治療をしていきましょう。 変形性股関節症に再生医療という選択肢もある! 変形性股関節症の治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。 そのため、変形性股関節症は、日常生活においても股関節に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを飲んで緩和しながら進行を遅らせるなど、精神面や痛みのコントロールもとても大変でした。 しかし、最近ではスポーツ選手なども選択している再生医療という治療方法が注目を浴びています。 手術との違い 変形性股関節症における痛みの原因は、関節の軟骨がすり減ることで発生しています。再生医療では、修復が不可能と言われている関節の軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。 この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節のような大掛かりな手術を実施した場合には、少なからずリスクを伴います。代表的な合併症としては、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼などがありますが、再生医療においてはこれらの合併症が発生することはありません。 再生医療の効果はいつまであるのか また、人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度と言われています。人工関節をすると、経年劣化による不具合により疼痛などが発生することがあり、日常生活に支障が出た時には、再手術が必要となる場合も少なくありません。 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。しかも手術に伴う合併症のリスクを負うことなく、手術と同じ程度の治療成績が得られることからも、再生医療を選択するメリットは大きいと考えられます。 これまでの治療では効果が感じられず、手術を受けようかとお悩みの方、あるいはどうしても手術を受けたくないという方にとって、安全で治療効果の高い再生医療は新たな選択肢と言えるでしょう。 下記の動画ではは、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減し、患者様が日常生活でより多く動けるようになったかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/ZYdyeWBuMQA?si=VGWXjnYGmS4UpHbm まとめ・変形性股関節症の発症後に気をつけたいこと 変形性股関節症で症状を悪化させないために気をつけたいことをご紹介しました。 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切で、安静や食生活の管理、適度な運動、また、家族のサポートも必要です。 これまでの変形性股関節症の治療では、痛み止めを服用して痛みを緩和し、手術をおこなう方法しかありませんでした。そのため症状の進行を抑える目的でリハビリを含め、生活上で注意すべきことが多々あります。 しかし、近年注目を浴びている再生医療は、変形性股関節症の治療の選択肢にすることができます。副作用が少なく、高い治療効果が期待できるので、治療方法を検討する際には、再生医療の選択もできるようになりました。 以上、変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいことを記しました。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もご参考になりませんか 変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリについて
2022.04.07 -
- 股関節
- 変形性股関節症
「病院で人工股関節への置換術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。手術後は、股関節に負担がかからないよう動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活で注意したいこと 人工股関節手術後は、過度な運動や負担がかかる姿勢を避けて生活する必要があります。具体的には、以下の3つに注意して過ごしましょう。 過度の運動を避ける 転倒しないように気をつける 股関節に負担がかかる姿勢を避ける それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 ▼ 人工股関節手術後のリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。 過度の運動を避ける 人工股関節手術後は、過度の運動を避ける必要があります。手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 転倒しないように気をつける 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 股関節に負担がかかる姿勢を避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。以下のポイントを参考に、できるだけ股関節の動きや状態を意識して生活してください。 歩行時の注意点 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 座るときの注意点 人工股関節手術後の脱臼を防ぐためにも、座る際は以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認すると安心です。 入浴時の注意点 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 人工股関節手術後の生活における早期回復のためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 ▼ 股関節のセルフケアについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 1.生活スタイルを変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 2.体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 3.重いものを持たない 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように気をつけてください。重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 4.適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 ▼ 変形性股関節症におけるリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 【職種別】人工股関節手術後の仕事復帰までの目安 人工股関節手術後の仕事復帰までの期間は、職種によって異なります。たとえば、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。一方で、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 変形性股関節症に対する再生医療の可能性 人工股関節手術は、入院およびリハビリテーションが必要になるため、長期間にわたって仕事を休む必要があります。働いていない場合でも、手術後どのくらいで日常生活に戻れるのか、不安を覚える方も少なくありません。 変形性股関節症の場合、手術療法のほかに再生医療による治療も可能です。再生医療とは、患者の脂肪から採取した幹細胞を股関節に投与し、傷ついた軟骨の再生を促す治療法です。再生医療であれば、治療のための手術や入院が必要ありません。 また、自身の細胞を使用して自然治癒力を高める方法のため、身体への負担が少ないメリットもあります。 リペアセルクリニックでは、膝の痛みや変形性膝関節症の再生医療・幹細胞治を行っています。メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・人工股関節手術後は負担をかけないよう配慮して生活しよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
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- 変形性股関節症
変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリ 変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになるため、日常生活を送る上で大きな支障となります。 股関節が痛む原因は2つあり、関節軟骨の摩耗と関節唇の損傷です。股関節へかかる負荷が原因で、クッション材である関節軟骨がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激することで痛みを感じます。 また、股関節の安定性を高める関節唇が傷むことでも、関節が不安定になり痛みにつながります。 そんな変形性股関節症への治療は、関節への負荷を減らしながら、同時に関節を安定させることが重要です。この記事では、変形性股関節症を悪化させない具体的な工夫や取り組みを紹介します。 変形性股関節症の特徴 中高年以降の女性に多く発症 動き出しなど、初期動作に痛み 悪化すると安静時にも痛む 生活スタイルを変え負担を避ける 日常生活を工夫することで股関節へかかる負荷を減らし、痛みを軽減します。日常生活で最も股関節に負荷がかかる姿勢は、関節が深く曲がるようなしゃがむ動作です。また低い位置から立ち上がる動作でも負荷がかかるため注意が必要です。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の初期には、痛みをかばうことから骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちです。そうした姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。そうして不安定になった関節に体重が加わると、関節軟骨への負荷が増し、痛みにつながります。 では骨盤を後傾させれば良いのか?というと、そうでもありません。猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、その問題は背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、それもまた痛みにつながります。(ヒップ−スパイン・シンドローム) 大切なのは、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしておくことです。 低い位置での生活をやめる 畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。 ほかには、トイレを洋式へ変えたり、布団からベッドに変更したりと低い位置での生活はなるべくやめていきましょう。また、キッチンで料理をする際、頻繁に使う物は高い位置に収納することで、頻繁にかがむ機会を減らします。 減量する 肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は体重を落とすことで、病気の悪化を防ぐことができます。 手すりの設置 段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。 積極的に運動療法(リハビリ)に取り組む 運動療法では筋肉を鍛え、関節の安定性を高めます。また適度な運動が股関節の可動域を拡大させ、変形の進行を防ぎます。運動療法は、自分のペースで無理せず行います。痛みを我慢して運動を続けると痛みは悪化し、ついには運動に取り組めないことがあるため気をつけましょう。 ウォーキング 歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。 健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。ウォーキングを始める際は、自分のペースでゆっくり歩くことがポイントです。 また慣れないうちから長時間や長距離を歩くのはオススメできません。無理をした疲労から動けなくなると、継続的な運動ができないため、短い距離・時間でも毎日継続することが大切です。 プールでの運動 水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方でも、水中では痛みなく歩ける場合があります。 また、水の抵抗に負けないように歩く必要があるため、筋力強化が期待できます。普段から股関節に痛みを感じており、満足に運動療法に取り組めない方には最適です。さらに地上でのウォーキングと比べて転倒リスクがないこともポイントです。 室内での運動 1日の大半を家で過ごす方も多いのではないでしょうか。そうした場合、室内で手軽にできる体操やトレーニングがあります。股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。室内での運動を通して、筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。 股関節に関する筋肉の体操 1. 椅子に座り骨盤に手をかけます 2. おへそを出すように、ゆっくり骨盤を前方へ倒す 3. おなかを引っ込めるように、ゆっくり骨盤を後方へ倒す ※ 2~3を繰り返しを1分間行います。 1. 仰向けで寝転び、両膝を立てる 2. 両膝をそろえた状態で左右へ倒す ※ 左右各10回を、1日2セット行う 股関節に関する筋肉のトレーニング 1. 仰向けに寝転び、膝を立てます 2. 両膝にゴムを固定します 3. 左右同時に外へ向けてゴムを引っ張ります 4. 元の位置へ戻します 中臀筋や大腿筋膜張筋のような股関節の外転筋のほか、梨状筋や大臀筋のような外旋筋を鍛えます。 まとめ・変形性股関節症を進行させない工夫 変形性股関節症と診断された方は、痛みが少ない頃から股関節への負荷を減らし、関節を安定させ進行を遅らせます。 もし変形性股関節症が進行した場合、痛みをかばって歩くことで対側の股関節にも痛みがでることがあります。そうなると、活動量は低下し、さらに状態が悪くなる悪循環になります。 変形性股関節症を進行させないためには、股関節へ負荷がかからないように、低い位置で過ごすことが多い和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組みましょう。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する方法 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下も参考にされませんか 変形性股関節症でやってはいけない禁忌肢位とは
2022.01.22 -
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変形性股関節症|股関節の負担が大きな「立ち上がり動作」で注意したいこと 変形性股関節症を発症すると、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担を掛けないようにする必要があります。 特に、変形性股関節症の日常生活で気をつけて欲しい動作として、「立ち上がり動作」があります。今回は、変形性股関節症を発症した場合に、なぜ「立ち上がり動作に気をつけるべきなのか」について、その理由を解説します。 変形性股関節症とは 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨が「すり減り」、骨の変形によって「股関節の隙間」が減ることで、骨同士が直接すれ合うことで痛みを感じる病気です。 軟骨のすり減りや、骨が変形するような股関節の摩耗は、多くの場合、加齢が中心ですが、実はそれ以外にも日常動作や、激しいスポーツでの負担が原因となっている場合があります。 いずれの理由であっても一旦、軟骨のすり減りや、骨が変形し、組織が損傷してしまうと元通りの状態に治すのは、非常に難しくなります。 変形性股関節症を発症後の「立ち上がり動作」は、股関節の屈曲による負担がかかる上、体重もかかってしまうため、「股関節にとっては大きな負担」になりやすい動作となります。 そのため、変形性股関節症は、可能な限り股関節に負担がかからないように過ごすことを意識し、進行を遅らせる努力が必要になります。 その意味で立ち上がり動作には特に特に気をつけなければなりません。変形性股関節症で股関節の負担に関わる「立ち上がり動作」で気を付けたいことを記してまいります 立ち上がり動作しだいで症状が悪化しかねない 変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気です。しかも、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。 前傾した姿勢や、しゃがみこんだ姿勢から立つような「立ち上がり動作」をするときには、大きな動きをしていないつもりでも自分自身の体重そのものが股関節に負荷を与えることになるため、どうしても痛みを伴います。 立ち上がり動作を繰り返すと痛みが出る 初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合が多くあります。 初期のころは、痛みがないだけに不用意に股関節に負荷をかけがちとなり、注意が必要です。股関節への負担が日常的に続くと軟骨のすり減りが進むことになります。股関節の摩耗や疲弊が進むと期せずして歩行時、立ち上がり時に徐々に痛みが出るようになります。 このように変形性股関節症を発症後、頻繁に「立ち上がり動作」を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進み、症状が進行して痛みを強く感じるようになります。さらに症状が進行すると安静にしていても痛みを感じたり、就寝時にも痛みで目が覚め、眠れなくなってしまうこともあります。 股関節以外(腰や膝)にも負担がかかります 注意したいのは、変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」を行うと、どうしても股関節をかばってしまうため腰や、膝にも負担がかかり、時間とともに「腰の痛み」や、「膝の痛み」に繋がる可能性があります。 負担の少ない「立ち上がり動作」をするために 変形性股関節症を発症した場合でも、できるだけ症状の進行は抑えたいものです。そのためには、日常の過ごし方はがとても大切になります。 生活様式を洋式に変える 立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、痛みなしに立ち上がることができる場合があるかもしれません。それでも症状は徐々に進行していきます。 注意が必要とはいえ、日常生活で立ち上がり動作を一切しないことは難しいと思います。そのようなときには、生活自体を変更してく必要性があります。 例えば床に布団を敷くことはやめてベッドにする。トイレが和式であるなら洋式に変更する。畳に座っているなら椅子にする。食事もテーブルで行う。玄関には椅子を置くなど、生活様式そのものを徹底して、洋風に変えたり、しゃがむ動作を無くしていく工夫が大切です。 そうすることで、変形性股関節症であっても日常生活上で立ち上がる動作を減らすことが可能になります。 生活様式を変える/生活を洋風にするイメージ 布団をやめてベットにする トイレを和式から洋式にする 畳から椅子にする 低いテーブルから、椅子に座って使うテーブルにする その他 筋肉をつけるようにする 変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、ますます歩くことが億劫になり、そうなると股関節周辺の筋力も低下してきます。そもそも股関節は筋肉によってサポートされているため、筋力の低下は、変形性股関節症を悪化させる原因になります。 そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつける意識を持つことが必要です。 変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなる? 立ち上がり動作とは、例えば下記ような日常の動作のことを指します。どれも日常生活でおこなうことが多い動作です。変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。 無理していると 落ちている物を拾う 椅子から立ち上がる トイレに行く 靴ひも結ぶ 靴下を履く・・・ 歩くのも困難になりかねない 変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。 股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなる可能性があります。 進行すると杖や車いすに移動を頼るようになる 杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。 しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には歩くことが困難となり、車いすに移動を頼ることになってしまう可能性があります。 変形性股関節症の治療に「再生医療」という選択肢 これまでの変形性股関節症は、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的な治療として今ある関節を人工関節に置換える手術を行うしかありませんでした。 しかし、外科的な手術には抵抗がある、療養期間が長くなることから仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇する。その他、さまざまな理由から手術を受けることができないという人もいます。 また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、最も憂慮すべきは、人工関節の経年劣化による再手術の必要性があるということです。 そこで紹介するのが、「再生医療」です。再生医療とは、自分自身の「幹細胞」や「血小板」を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。 自己脂肪由来・幹細胞治療 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にも変化できる細胞です。この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、「自己脂肪由来・幹細胞治療」という再生医療です。 PRP療法・再生医療 血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。 再生医療は、副作用のリスクが少なく、メリットが多い 自己脂肪由来・幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応や、アレルギーなどの副作用の心配が少なく、安全性が高く治療期間も短いという特徴があります。 さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットがあります。 まとめ・変形性股関節症|股関節の負担が大きい立ち上がり動作に注意 変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」についてご紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるように意識しましょう。 しかし、工夫して進行を遅らせることは可能であっても、残念ながら症状そのものの進行を止めることはできません。いつしか痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになるばかりか、移動を車椅子に頼らざるを得なくなることは希ではありません。 このように日常生活に支障をきたすような場合、手術によって人工関節に置換える治療法もありますが近年は、手術を避けて再生医療を選択することも可能になりました。 以上、変形性股関節症を発症した場合は、立ち上がり動作をはじめ、股関節に負担をかけない意識で生活しましょう。もちろん早期に整形外科をはじめ、病院等にて専門的な治療をお受けになること強くお勧め致します。 尚、既に治療をはじめておられ、その治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたい。そもそも手術は嫌だ!という場合は、「再生医療」も選択肢のひとつとして検討されることをオススメします。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=-Q71vVuG9D6rlNPe ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術・入院を避けて改善することが可能です ▼話題/以下もご覧ください 変形性股関節症|農業で発症、やめる!やめない?悪化させないために
2021.12.17 -
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変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をやっていて、不安定な姿勢で長時間作業を繰り返していくうちに変形性股関節症になってしまい、痛みがつらいという人もいるかもしれません。変形性股関節症は、関節の痛みと機能障害が起こりますが進行すると持続痛となり取れなくなる恐れもあります。 そのため、「変形性股関節症になってしまったら、農業はやめるべきなのか?」「股関節に関節症を発症したら農業は、してはいけない仕事なのか?」「そもそも立ち仕事は避けるべきなのか?」など、不安に感じるられているのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症になったら農業をやめるべきなのか、という疑問について、やめるわけにはいかない場合の予防法と治療について解説します。 結論から言いますと、もし変形性股関節症になってしまった場合でも、「農業をやめるべきである」「してはいけない」とは一概に言いきれません。ただし、変形性股関節症になった状態で通常どおりに農業をおこなうというのは危険です。 変形性関節症になっても農業を続けるには? 変形性関節症になったとしても農業を続けたい場合は、痛みのコントロールや症状の進行を抑えるための治療をおこなうことが大切です。痛みの緩和や症状の進行を抑えていく必要があります。 股関節に負担がかからないように生活する 変形性股関節症は、股関節に負担がかかることにより痛みが生じ、症状が進行します。股関節には、農業以外にも、立ち仕事はもちろん、日常生活の中でも無意識のうちに大きな負担がかかる動作や仕事があります。 例えば、歩くだけでも負担がかかりますし、トイレが和式であったり、いつも履いている靴の質が悪いなどということが股関節への大きな負担になることもあります。 そのため、なるべく股関節に負担がかからないよう生活スタイルを変えることや、クッション性に優れ、弾力があって股関節への衝撃を和らげることができる靴を選ぶなど、身近なところから股関節への負担を軽減するように変えていくことが必要です。 変形性股関節症の治療法を検討する 変形性股関節症には、いくつか治療法が存在します。変形性股関節症の場合、股関節に負担のかからないエクササイズや、水中運動などの運動療法が有効です。 このした治療法は、股関節周辺の筋力をつけていくことで、痛みを緩和させる効果が期待できるからです。そのほかには、薬物による治療方法や、症状が進んでしまった場合には人工関節置換手術などがあります。 長期的かつ健康的な視野で見れば、軽度の変形性股関節症は、運動による治療も可能ですが、日常に支障をきたすレベルで関節が痛むなどの場合は、薬物や手術などによる治療を検討されたほうが良いでしょう。 主治医に相談をする 変形性股関節症では、進行の程度や症状によって治療法が異なります。股関節に違和感がある、痛みがあるという場合は、まずは、整形外科をはじめとした専門の医療機関を受診し、診断をしてもらいましょう。 その上で、これまで通りに農作業をおこなっても良いのか、股関節への負担を軽くするために、農業のやり方を変えていくほうがいいのかなどについて主治医に相談してみてください。 農業をしていると変形性股関節症になりやすいの? 農業をしていると変形性股関節症になりやすいという声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。 結論から述べますと、一概に農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、農業と変形性股関節症にはいくつかの関係性があります。 農業は変形性股関節症の原因となる姿勢や動作が多い 農業は長時間の立ち仕事であることはもちろんのこと、重たいものを運ぶ、不安定な体勢で作業をするなど、変形性股関節症の原因となる動作が多いです。 変形性股関節症は、股関節への過度な負荷によって引き起こされるため、そういう意味でも農業は多かれ少なかれ変形性股関節症のリスクがあると言えるでしょう。 農業でかかる関節への負担は股関節だけではない 農業は、不安定な姿勢が多いため股関節に負担がかかると言われますが、そのほかの関節にも負担がかかり、膝や腰を痛める人もいます。また、股関節に痛みが生じ、その痛みをかばいながら作業をすると、今度は腰や膝などほかの関節の痛みも併発する可能性もあります。 つまり農業は、股関節だけでなく全身の関節との付き合い方がとても大切になってくる職業であると言えます。 変形性股関節症|予防と悪化させないために 農業だけが変形性股関節症になるリスクがあるというわけではありません。 しかし、農業には変形性股関節症になるリスクが大きな動作が多いことは間違いありません。そのため、農業で変形性股関節症にならないように意識し、悪化させないようにするための予防が必要です。 椅子に座って農業をする 長時間の立ち仕事による農業は股関節に負担をかけるため、変形性股関節症になるリスクがあります。ですから、立ち仕事の時間を減らせるように工夫しましょう。最近は、座ったまま移動ができるキャスター付の農業作業用の椅子などが広く出回っています。そういったアイテムの使用もおススメです。 休憩をこまめにとる 農業で変形性股関節症にならないようにするには、小まめに休憩をとるようにしましょう。 一般のサラリーマンに比べ、農業は明確な就業時間や休憩時間が決まっていないことが多いと思います。そのため、農業を営む人の中には、定期的な休憩を取らずに働いてしまう人もいるようです。 しかし、休憩を取らずに、働き続けることは良くありません。例えば一時間ごとに10分などと決めておくと休憩を意識しやすくなります。どうしても休憩が取りづらい状況であるならば、立ち仕事を減らす工夫や、少しでも関節への負担をかけない工夫をしましょう。 疲労がたまったらストレッチをする 農業をしていて股関節が痛く感じることがあれば、疲労がたまっている証拠です。もしも痛みを感じたら、少し休み、股関節周辺のストレッチをしましょう。 また、お風呂上がりや寝る前などにも、太ももの筋肉やお尻の後ろにある大殿筋などをほぐすようにストレッチするのも効果的です。農業による筋肉の疲労を放置せず、日々しっかりとストレッチをすることで、変形性股関節症の予防につながります。 変形性股関節症でも農業を続けられる関節の痛みの緩和法とは 変形性股関節症になった状態で農業を続けることは大変です。しかし、医師の判断にもよりますし、個人差もありますが、痛みのコントロールをすることができれば、ある程度は農業を続けることが可能でしょう。 変形性股関節症の痛みの緩和方法を紹介します。 関節を温める 関節を温めることによって痛みを緩和できます。ホットタオルや使い捨てカイロなどで関節を温めましょう。股関節を温めることで血行が良くなり、体の修復機能が向上するので、「痛みの緩和」が期待できます。 半身浴をする 関節を温め、血行を良くするという観点から、半身浴もおススメです。お湯の温度を38度から40度ぐらいに設定して半身浴をしてみてください。ホットタオルなどで部分的に温めるよりも、半身浴は股関節全体を温めて、より血行を良くする効果が期待できます。 また半身浴は変形性股関節症の痛みをやわらげるだけでなく、血行が良くなることで体の新陳代謝機能が上がるため、健康そのものにも効果的です。毎日の疲れをとるためにも、ゆっくり半身浴をするという習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。 農業を続けたい!変形性股関節症には再生医療という治療方法もある! 変形性股関節症になり、痛みが生じるようになると、農業を続けることが大変になってきますが、それでも農業を続けたい!そもそも農業が生業でやめるわけにはいかない!という場合は、短い治療期間で済み、副作用のリスクも少ない最先端の治療法「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療で痛みの改善が可能になれば、生活の質が上がりますし、人工関節に置換えるなどの外科的手術も不要になる可能性が高まります。変形性股関節症の痛みで農作業に支障があると悩まれているのであれば、検討される価値のある治療法です。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=xBpcu7q-w5wcdT8Y ▶こちらの動画では、変形性股関節症に効果的な再生医療について解説しています。是非ご覧ください。 まとめ・変形性股関節症を農業で発症!予防と悪化を防ぐには 農業をしていると必ず変形性股関節症になるというわけではありません。しかし、ほかの仕事に比べて股関節への負担がかかりやすい農業は、股関節に対する関節症、特に変形性股関節症のリスクがあるのは確かです。 現在、農業に携わっていて変形性股関節症に悩まされている人や、痛みが強くなったら農業ができなくなるのではないかと不安に感じている人は、今回ご紹介した予防や痛みを緩和する方法を試されてはいかがでしょうか。 また、変形性股関節症は専門医による治療が必要です。せっかく診断を受けても軽度ならと仕事を優先し、つい無理な作業や立ち仕事を続けられてしまう方もおられます。 ご注意頂きたいのは放置して自然治癒することはありません。変形性股関節症は放置すると症状が進行する病気です。早めに専門医の指導の下、適切な治療を受けましょう。 以上、変変形性股関節症は農業で起こりやすいのか?その予防と治療法について、という視点でからご説明させていただきました。変形性股関節症と正しく向き合い、毎日元気に農業を続けていきたいものです。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下もぜひご覧ください 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
2021.02.10 -
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変形性股関節症で歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方を解説 変形性股関節症の方が歩行するのに頼りになるのが「杖」です。そこで「正しい杖の選び方、使い方」をお話ししてまいります。 変形性股関節症と診断された人にとって「歩くのが辛い」、「歩行するのが不安」などといったことで悩まれている方はいませんか?すでに「杖」を使用されていたり、これから購入をお考えの方もおられることでしょう。 杖は、不安定になりがちな足元を支えて歩行を助けてくれる第三の足ともいえるものです。そのためにも杖の正しい使い方を理解して、少しでも不自由なく股関節に負担ない、自分に合った杖を選ぶことが大切になります。 杖の使用は、変形性股関節症の人にとって股関節の負担を和らげるだけでなく、歩行時の転倒防止などに対して大きなメリットがあります。股関節に痛みのある状態で生活を送っていると、痛みをかばうために膝や腰にも負担がかかり、結果として膝痛や腰痛を招いてしまうため、注意しなければなりません。 そのため、杖の使用が推奨されます。 杖を使えば股関節への負担だけではなく、膝や腰への負担の改善も期待できます。 しかし、ひとくちに杖と言っても、一本足タイプの杖や、複数足タイプの杖、木製のものや金属製のものなど、さまざまな種類があります。それらを使って正しい杖の使い方をしなければ、痛みの緩和や歩行のサポートとしての役割を発揮することができません。 歩行を補助するために安全で体に負担をかけることのない正しい杖の使い方をするためにも、まずは杖の選び方にこだわりましょう。自分に合った杖を選ぶことが大切です。 自分に合った正しい杖の選び方、気をつけたいポイント せっかく杖を買っても、その杖が自分に合っていないと、歩行のたびに股関節へ余計な負担がかかってしまう危険性があります。そこで杖について大切なことを以下に記しました。 1)杖の選び方・杖の重さ 杖に重さがあると安定感があり、杖自体も頑丈で歩行にも安心感を感じるかもしれません。しかし、重すぎると疲れやすくなり、慣れるまで時間がかかり、時間とともに使いづらく感じてしまう場合もあります。 一般的には強度と軽さを兼ね備えたアルミ製のものが多く販売されていますが、最近ではより軽いカーボン製の杖も販売されています。いずれも軽量でありながら強度が高いところが特徴です。 杖の重さ メリット デメリット 重い 頑丈、安心感 使用で疲れ、使いずらくなる 軽い 軽量で強度が高く使いやすい - 2)杖の選び方・握りやすさ 杖の持ち手にもコダワリが必要です。自分に合った握りやすく、太すぎず、細すぎず違和感のなく握れることができる杖であることが選ぶポイントです。 滑りにくく掴みやすい、自分の手にあった握りやすい杖を選ぶことで握力がなくても疲れにくくなるでしょう。購入前に、実際に握ってみて、ぜひ少しでも歩く練習をしてみてくださいね。 3)杖の選び方・長さ 杖の長さの目安は身長の半分+2~3cmが適切といわれています。 杖の長さが短いと、前傾姿勢になり、股関節へ負担が大きくなります。これでは、せっかく杖を使っても症状が悪化する原因となってしまいかねません。 逆に、杖が長すぎると扱いずらく歩きにくい、操作が難しくなります。長時間の使用や長距離の歩行の場合、疲れやすくなります。 正しい姿勢で歩行ができるように、自分にあった適切な長さの杖を選びましょう。長さを調整できる伸縮するタイプの杖もあり、これを選ぶと、細かく長さを調整することができます。 適切な長さポイント 身長の半分プラスして2~3cm 正しい姿勢で歩行できるよう調整する → 短い杖:前に姿勢が倒れるため、股関節への負担が大きい → 長い杖:扱いずらく、歩きにくい、疲れやすくなる 4)杖の形 杖の形も歩きやすさに影響を与えます。 デザインなどで選ぶことなく、杖としての基本的な性能を比べてご自身に合った形を探しましょう。 T字杖 一本杖に握り手がついた一番多くられる一般的な杖のひとつです。このタイプは、使用する人を選ばず、比較的、誰にでも簡単に使用することが可能です。 しかし、多脚杖ほどの安定感はないため、高齢の人や、症状が進み自分での歩行に難がある人に安定性の面からあまり向いていません。 ロフストランド杖 一本杖のひとつですが、上部に腕を通す輪があり、下部にも握り手がついていて、T字杖よりも安定感があります。 手が変形している人や、筋力が足りずにT字杖では、歩行の折に体重を支え切れない場合などで選択される杖です。 多脚杖 T字杖は一本杖なので地面と接している部分が一か所のみですが、多脚杖は3点あるいは4点が地面と接します。支える部分が多いため、力が分散され、T字杖よりも安定性が高い杖です。そのため、T字杖のような一本杖では安定しない、筋力が低下しているという人におすすめです。 多脚杖は安定感があるため、変形性股関節症の痛みがひどい人が杖に体重をかけても転倒しづらいですが、一本杖よりも重くなってしまうというデメリットもあります。 変形性股関節症における杖の選び方 変形性股関節症の人が杖を買うときには、実際に自分の手で持ってみる、少しでも歩いてみるなどして選ぶことも大切ですが、やはり専門家の意見を取り入れたほうが良いでしょう。理学療法士や専門の医師に相談しながら、自分に合った杖を見つけましょう。 そして、杖の長さは、重心をかける位置などにも関わってきます。立ったままでなく、直接手に取って、持って、歩いて、相談しながら長さの調節をすると良いでしょう。歩行時の安定感が大切です。 杖の正しい使い方について専門家の指導を受けよう 変形性股関節症の人が杖を購入したら、その杖の効果を最大限に発揮できるよう杖の使い方の指導を受けるようにしましょう。正しく杖を使うことで、痛みが改善されるほか、歩行が楽に感じられるようになると行動範囲も広がります。 変形性股関節症の人は、運動療法もおこなって筋力をつける必要があります。痛みの改善や行動範囲の拡大は、運動療法もやりやすくする効果があるため、正しい杖の使い方を習得して、少しずつウォーキングのような運動もするようにしましょう。 杖を正しく使うことによるメリット 変形性股関節症で歩行がつらくなっていても、正しい杖の使い方をすることで痛みの改善ができると、行動範囲も広くなります。 痛みが強いとトイレに行く、お風呂に入るといった日常動作が億劫になり、筋力が落ちてさらに痛みが増してしまうという悪循環に陥る人もいますし、さらに症状が進むと寝たきりになってしまう可能性もあります。 正しく杖を使って歩行できれば行動範囲を広げることになり、何より変形性股関節症の方でも気持ちを明るくすることができます。このように杖ひとつで前向きな気持ちになれるきっかけになれば何よりです。 まとめ・変形性股関節症|歩行の負担を和らげる頼りになる杖の選び方とは 変形性股関節症で杖を使う場合は、杖を使った正しい歩行方法を知ることが大切です。今回は、正しい杖の使い方をするための第一歩、杖の選び方についてご紹介しました。 自分にピッタリな杖を正しい使い方で使ってこそ、杖を役立てることができます。変形性股関節症の人で杖の使い方や選び方に悩んでいる人は、実際に店舗や病院に行って理学療法士や専門の医師のアドバイスを受けながら杖を選ぶようにすると良いでしょう。 以上、変形性股関節症で歩行する際に知っておきたい正しい杖の使い方と、杖の選び方について記しました。 ▼ 再生医療が変形性股関節症の治療を変える 変形性股関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で入院や手術せずに症状を改善できます 変形性膝関節症についてはこちらも参照ください ▼こちらも参考にされませんか? 変形性股関節症のリハビリ|運動療法!避けたい運動と行うべき運動
2021.02.08