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野球選手の肩の怪我で多い野球肩には種類があります!原因と最新治療法について メジャーリーグのドジャース山本由伸選手の肩の怪我は、最新の治療方法である「再生医療」で治療できる可能性が高いといえます。 投球やバッティングなど、腕の動作を繰り返す野球選手にとって「肩の怪我」は珍しいことではありません。 肩に問題を生じたら速やかに治療を開始する必要がありますが、どのような原因で、どのような症状を呈するのかについて知っておくことも重要です。 そこで、野球選手の肩の怪我の原因や症状、治療法について解説します。また、最近注目を集めている再生医療についてもご紹介します。 野球選手の肩の怪我は野球肩が原因の可能性が高い! 野球選手の肩の怪我の主な原因は「野球肩」によるものであると考えられます。 野球肩とは、野球の投球動作のように腕を大きく振る動作を繰り返すことにより、肩関節に関わる腱や筋、骨が損傷や炎症を起こしている状態の総称です。 そして、野球肩には種類があります。 野球肩の種類 ・腱板損傷 ・上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー) ・動揺性肩関節症(ルーズショルダー) ・肩甲上神経損傷 ・インピンジメント症候群 「腱板損傷」とは 肩の中にある筋肉の腱の複合体である腱板が損傷を起こしている症状で、日常生活における肩の痛みにより生活の質を大きく落とす可能性が高いです。 「上腕骨骨端線離開」とは 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 「肩甲上神経損傷」とは、 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、或いは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 「インピンジメント症候群」とは、 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 メジャーの山本由伸選手の肩の怪我は再生医療で早期回復を目指せる 野球選手の肩の怪我はさまざまで、その症状次第で適切な治療法は異なります。そして、概ね数週間から、長ければ年単位での肩の安静が必要です。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は有名野球選手も利用実績のある治療法であり、手術や入院を避けることができるため、体への負担が少なく、治療にかかる期間が短めであるというメリットがある治療法です。 肩の症状を早く改善し、スポーツへの早期復帰を目指せる可能性がある治療法として、画期的な方法です。最近非常に注目されています。 もしも、早くスポーツに復帰したいと考えるのであれば「再生医療」を検討してみる価値が大いにあります。 まとめ・野球選手の肩の怪我で多い野球肩の種類!原因と最新治療法について 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
最終更新日:2024.10.07 -
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メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
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骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法を解説します 骨壊死とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなってしまった結果、骨の一部分が壊死してしまう病気です。ただ、怪我などの外傷による血管の障害や、アルコール、ステロイド使用者などに原因不明で生じることがあります。 この記事では、「骨頭壊死」と「骨壊死」のそれぞれについて解説し、重症度を決める分類方法やステージの内容について詳しく解説していきます。 骨壊死と骨頭壊死症 骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。代表的な部位としては、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節、肩関節についてはそれぞれ、大腿骨頭、上腕骨頭という部位があるので骨頭壊死という病名がつきますが、膝関節は骨頭という部位がないので骨壊死という病名となります。 大腿骨頭壊死の原因と重症度分類 大腿骨頭壊死の原因 股関節を構成している大腿骨頭を栄養している血管が障害されることによって生じます。 原因不明の特発性と股関節の骨折や脱臼などの外傷、放射線治療、潜函病などによって発症する場合があります。 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である特発性骨頭壊死では壊死の範囲によって重症度分類がありType A~Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きく、大腿骨頭が潰れてしまうリスクが高くなりType Aが軽症でCになるとより重症となります。Type CはさらにC-1とより重症なC-2に分けられます。 それぞれの内容(基準)について解説します。 特発性骨頭壊死、重症度分類(基準) ・Type A:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3未満 ・Type B:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3〜2/3 ・Type C:壊死範囲が体重がかかる領域の2/3以上 ・Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの ・Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 初期には壊死部分が潰れていき、進行すると軟骨がすり減ることによって「変形性関節症」になってしまいます。ステージは1〜4に分けられるので、それぞれについて簡単に解説します。 大腿骨頭壊死の進行度についての分類 ・ステージ1:レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる場合 ・ステージ2:レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない時期 ・ステージ3:骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている時期 ・ステージ4:軟骨がすり減り、変形性関節症となっている時期 これらの重症度、ステージ分類とご本人の年齢や社会生活の状況、希望などを考慮して治療方針が決定されます。 軽症なタイプであれば保存治療で治る方もいますが、重症なタイプや末期のステージでは手術を要する場合もあります。 上腕骨頭壊死について 次に上腕骨頭壊死について解説してまいります。 上腕骨頭壊死の原因 肩関節を構成している上腕骨頭という部分を栄養している血管が障害されることによって骨が壊死してしまう病気です。 原因は、「外傷性」と「非外傷性」に分けられます。外傷性には上腕骨の骨折、脱臼などがあり、非外傷性にはステロイドの使用やアルコール、鎌状赤血球症、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患などがあります。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 病型の分類にはCruess分類が最も使われています。 上腕骨頭壊死に対する治療法は、このステージ分類、壊死の範囲、患者の年齢、症状、全身の健康状態などの要因によって決まります。保存治療で治る方もいますが、進行してステージ末期になると人工関節が必要となる場合もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類 ・ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる場合 ・ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像 ・ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める段階 ・ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている場合 膝関節骨壊死について ここからは、膝関節の骨壊死ついて記してまいります。 膝関節骨壊死の原因 膝関節の骨壊死も同じように、何らかの原因で骨が壊死してしまう病気で、膝関節では大腿骨側によく起こります。 高齢の方によく起こりますが、変形性膝関節症などの膝の痛みと比べて安静にしていても痛みが強いことが特徴です。 原因はまだはっきりとわかっていませんが、肥満やステロイド薬の使用の他、軽微な骨折が原因となる場合もあります。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 いくつかのステージ分類が提唱されていますが、代表的なものを1つ紹介します。 膝関節骨壊死のステージ分類 ・ステージ1:レントゲンで異常がみられない時期 ・ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられるもの ・ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいるもの ・ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている時期 骨壊死に対する治療法・保存療法から人工関節置換術へ いずれの骨壊死でも、初期の段階では異常が見つからない場合があります。 しかし、症状が進行すると壊死した部分が潰れてしまい、結果として変形性関節症を起こしてしまいます。関節が変形してしまうと、保存治療の効果は限られているので、基本的には「人工関節置換術」が選択されます。 人工関節を避ける再生医療 しかし、最近では手術に至らないようにする治療として「再生医療」があります。再生医療は導入されたばかりの最新の治療法であり、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを直接関節内に投与することで組織の修復を促します。 それによって骨や軟骨の再生が起こり、症状がよくなる可能性があります。 https://youtu.be/ic_6QaEU5NU?si=p8rKJMhU5cjRfNE6 ▶当院は再生医療の専門院です。治療について詳しく知りたい方は動画をご覧ください。 骨壊死についてQ&A 普段、 骨壊死について患者様からよくお聞きする質問から以下を抜粋しました。 Q . 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 A . 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なので、飲まないことはおすすしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けることができます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送ることが予防に必要と言えるでしょう。 Q . レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 A . 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないことがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRIでは早期に病気を見つけることができます。 痛みが強く心配な場合はMRIなどの精密検査について担当の医師と相談することをおすすめします。 まとめ・骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法について 骨壊死は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 大腿骨頭や上腕骨頭、膝関節によく起こり、初期のレントゲンでは異常がみつからない場合がほとんどです。放置して症状が進行すると骨切り術や、人工関節などの手術が必要になりますが、最近では骨や軟骨の再生を促す再生治療も行われ始めています。 手術に至らないようにするためにも早期に病院で診断してもらい、治療について医師と相談していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にして下さい 参考文献 https://www.cancertherapyadvisor.com/home/decision-support-in-medicine/shoulder-and-elbow/osteonecrosis-of-the-humeral-head/ https://radiopaedia.org/articles/cruess-classification-of-humeral-head-osteonecrosis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562286/
最終更新日:2024.10.07 -
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野球肩|インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について 野球やバトミントンなどオーバーヘッドスポーツで生じやすいインピンジメント症候群。投球動作で肩に痛みが生じる、いわゆる「野球肩」の一種として知られています。インピンジメントとは「衝突」という意味で、インピンジメント症候群は、肩の関節を構成する骨同士が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれたりして痛みが生じる状態です。 インピンジメントを引き起こす原因はさまざまで、原因に合わせたリハビリの実施が必要です。 今回は、インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について解説します。 インピンジメント症候群に対するリハビリの目的 肩の関節は、背中にある肩甲骨と腕の骨である上腕骨、鎖骨によってできています。 上腕骨の先端にある球状の上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩甲骨のくぼみにはまるように作られる肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)が、一般的に肩関節と呼ばれる関節です。 インピンジメント症候群は、以下のような要因で、肩関節の正常な動きが妨げられるため生じます。 インピンジメント症候群の要因 ・関節周辺の組織が固くなり上腕骨頭の位置がずれる ・猫背になり肩甲骨の動きが悪くなる ・筋力が低下して上腕骨頭が正常とは異なる動きをする これらの要因を改善して、インピンジメントを生じさせない動きを取り戻すのがリハビリの目的です。また、リハビリでは、インピンジメント症候群により生じた炎症の回復を補助する目的も含まれます。 次からは具体的なリハビリの内容を紹介します。 インピンジメント症候群のリハビリ|炎症への対応 肩を動かさなくても痛みがでる場合や、夜間に痛みがでる場合は、インピンジメントにより肩周辺の組織に炎症が生じている可能性があります。そのような状態では、積極的な運動よりも、炎症や痛みを和らげる対応が優先されます。 そのため、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)を行い、肩にかかるストレスを軽減させるのが大切です。ポジショニングは、肩や肘の下にタオルなどを入れて痛みがないポジションを作ります。 振り子運動 また、運動では振り子運動により、自重を使った関節の運動を実施して、肩への負担をかけないようにします。 インピンジメント症候群のリハビリ|猫背を改善するリハビリ 猫背になると、肩甲骨の動きが妨げられるため、正常な肩関節の動きが生じずに、インピンジメントを引き起こしやすくなります。 肩の痛みがあり肩関節を動かしにくいときでも、猫背を改善するリハビリは、肩関節を動かさずに実施できるため、積極的に取り組みましょう。 具体的な方法は以下の通りです。 ストレッチポールでのストレッチ ストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開いて背中をストレッチします。 cat & dogストレッチ 四つ這いで背中を丸めたり、反らしたりする「cat & dog」の運動もおすすめです。 インピンジメント症候群のリハビリ|肩関節の動きを改善するリハビリ インピンジメントを起こす原因の1つが、肩の関節周辺にある組織の柔軟性低下です。特に肩の後ろの組織が固くなると、上腕骨頭が前方にずれてしまい、正常な肩関節の運動ができません。その結果、インピンジメントが生じやすくなります。 そこで、肩の後ろで関節を覆っており、動きの制限になりやすい後方関節包(こうほうかんせつほう)のストレッチを紹介します。 クロスボディストレッチ 1つ目の方法は座った状態または立った状態で行います。 具体的な方法は以下の通りです。 1, 痛みのある方の腕を肩の高さまで上げる 2, 反対の手で肘を掴んで体の内側に引きよせる 3, 肩の後ろが伸ばされるのを確認しながら30秒キープする 痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。 スリーパーストレッチ 2つ目の方法は横向きに寝て行うストレッチです。 具体的な方法を解説します。 スリーパーストレッチ 1, ストレッチする方の肩が下になるように横向きに寝る 2, 腕を肩の高さに合わせるように脇を開く 3, 肘を直角に曲げて前腕を立たせる 4, 反対の手で立てた前腕をゆっくり内側に倒す 5, 限界まで倒した状態で30秒キープする 強く抑えるように倒すと痛みが出やすいので、ゆっくり力を入れずに倒しましょう。 インピンジメント症候群のリハビリ|腱板機能を改善するリハビリ 腱板(ローテーターカフ)は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ以下の4つの筋肉をまとめた呼び方です。 腱板とは ・棘上筋(きょくじょうきん) ・棘下筋(きょくかきん) ・肩甲下筋(けんこうかきん) ・小円筋(しょうえんきん) 肩関節をおおうように位置しており、肩関節を安定させて、スムーズに動かせるようにする役割を持っています。そのため、腱板をうまく使えないと、肩関節が不安定になり、正常な関節の運動ができず、インピンジメントを引き起こします。 そこで、腱板の機能を改善するリハビリを紹介します。 棘上筋トレーニング 腱板の1つである棘上筋のトレーニングを紹介します。 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す 負荷をかける場合は、500mlのペットボトルやチューブを使用しましょう。 腱板は関節を安定させるインナーマッスルですので、負荷は軽めにして20〜30回を目安に3〜4セット行いましょう。 棘下筋・肩甲下筋トレーニング 棘下筋と肩甲下筋は、お互い対照的な働きをする筋肉です。 そのため、棘下筋のトレーニングと反対の動きをすると肩甲下筋のトレーニングになります。 1, 腕を体の横につけて、肘を直角に曲げる 2, 脇を開かないように注意して、手を外側に動かしたり、戻したりする(棘下筋トレーニング) 3, 肩甲下筋をトレーニングする場合は、反対に手を内側に動かしたり、戻したりする 脇を開くと、ほかの筋肉が働いてしまうため、棘下筋、肩甲下筋のどちらのトレーニングでも、脇を開かないように注意しましょう。 棘上筋トレーニングと同様、チューブなどを使い、軽めの負荷で、頻度を多く行いましょう。 まとめ・野球肩!インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について インピンジメント症候群は肩の柔軟性低下や腱板機能の低下、悪い姿勢によって、正常な関節の運動ができないことで生じます。そのため、リハビリにより、原因となっている部分を改善して、肩関節の正常な運動を可能にする必要があります。 本記事では、原因ごとに基本的なリハビリ方法を紹介しました。より効果を高めるためには、整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による指導を受けましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 https://youtu.be/B4Vx0of7CsE?si=ypxnq2LyGBRckfpx ▶治療方法の選択肢のひとつとして、こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼肩のスポーツ障害、ゴルフ肩について解説しています ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法
最終更新日:2024.10.07 -
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腱板損傷と腱板断裂!何がどう違う?その違いと共通点を分かりやすく解説! ここでは、肩のケガの一つである「腱板損傷」と「腱板断裂」について、その共通点と、違いについてお話します。いずれも放っておいては危ないので、こちらで確認してください。 腱板損傷ってどんなもの? 腱板断裂と何がどう違うの? そのような疑問があってこの記事にたどり着かれたのではないでしょうか。ここでは、双方の症状や原因、そして治療に至るまで平易に説明させて頂きました。疑問が解決すれば嬉しく思います。 腱板とは? 腱板とは、肩の4つのインナーマッスルが集まったもの(厳密に言うとその4つの筋群の腱部分)で、正式名称は肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。 インナーマッスルとは、その名の通り内側にある筋肉であり、より骨・関節に近い場所にある筋肉のことを指します。 そんな腱板の大きな役割は、肩関節を安定化させることです。関節が安定すると、アウターマッスル(三角筋など)が働いた時に、より効率よくスムーズに腕を動かすことができます。 腱板損傷の症状と原因 腱や靭帯の損傷とは? 筋肉や腱、靭帯はいずれも繊維状の組織が集まってできており、その一部分が傷んでいる状態のことを損傷や炎症と言います。 肩の腱板はその構造や周囲の血流の状態から、一度損傷を起こしてしまうと自然修復が難しく、ひどいものでは手術が必要となるケースもあります。 腱板損傷の症状 腱板の損傷で特徴的なのは就寝時に痛みが出る夜間痛です。また、腕を挙げる途中で痛み、上まで挙げてしまえば痛みが引くといった症状もみられます。 これは、インナーマッスルである腱板が働かなくなってしまい、関節を安定化させられないため、効率よく力を伝えられないために起こるものです。 他にも特徴的な症状がありますので下記をご参照ください。 【腱板損傷の症状】 ・就寝時に痛みが出る(夜間痛) ・腕を挙げる際、挙げ始めや途中で痛みが出る ・髪を洗う時に痛みが出る ・腕を前に伸ばすと痛む(前の物を取ろうとしたときなど) ・エプロンの紐を後ろで結ぶ時に痛む 腱板損傷の原因 腱板損傷は50代の男性に多くみられる疾患です。中年以降の腱板は、組織に変性(老化のようなもの)がみられることが多く、損傷や断裂が起こりやすい状態になっています。 肩の変性に加えて、仕事や日常生活などで重いものを無理に持ったり、肩を捻るような動きをしたり、転んで肩をぶつけたりなどの負荷がかかることで損傷を起こします。 多くはないですが、若い世代でも、肩に負担がかかるスポーツや強い衝撃が加わる事故などにより損傷を起こすこともあります。 腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点 明確な違いはない?? 実は、損傷と断裂に明確な違いはありません。損傷とは、組織の一部が傷んでいる状態と述べましたが、 「傷んでいる状態=一部切れている状態」と言い換えることもできます。 つまり、腱板損傷と呼ばれるものは腱板部分断裂と同義と捉えていいでしょう。医師によっては、分かりやすく患者さんに伝えるために、腱板損傷と腱板断裂を使い分けているケースも多くあります。 腱板断裂は、部分断裂と完全断裂に分けられる 腱板断裂は大きく2つに分けられます。 その2つとは、腱板部分断裂(不全断裂)と腱板完全断裂です。 【腱板部分断裂】 ・関節面に近いところで起こる関節面断裂 ・腱板の表層を覆う滑液包に近いところで起こる滑液包面断裂 ・腱板の腱内部で起こる腱内断裂 【腱板完全断裂】 ・腱が深く切れており、腱板を上から見た際に中の関節が見えてしまっている状態 出典『肩関節インピンジメント症候群』臨床スポーツ医学.30(5).2013より引用 腱板断裂には、上記のような違いがあります。 さらに、断裂の幅が狭い、広いなどの範囲の違いも分類されることがありますが、ここでは割愛させていただきます。 腱板損傷から腱板断裂へと進行する? ここでは腱板部分断裂から完全断裂へと移行するのかどうかで話を進めていきます。結論から言いますと、腱板断裂は進行します。 例えば、下の写真のようなペーパー状の1枚のゴムがあります。 これを腱板と見立てましょう。 ゴムは劣化するとすぐ切れてしまいますよね?最初は小さな穴だったものが、引っ張る力が繰り返しかかるとどんどん広がっていきます。このゴムのように簡単には広がりませんが、イメージはそのような感じです。 つまり、小さな穴(=腱板損傷、腱板部分断裂)が無理に動かし続けることで大きな穴(=腱板完全断裂、広範囲断裂)へと広がってしまいます。 腱板完全断裂でしかも広範囲となると、リハビリだけではなかなか症状の改善が難しいのが正直なところです。いかに進行を抑えるかが、腱板断裂の重症化予防のカギとなります。 腱板損傷と腱板断裂の治療方法 腱板損傷・断裂の治療法は、大きく保存療法と手術療法の2つに分けられます。 保存療法では以下のような治療法があります。 保存療法 リハビリテーション ・関節の動く範囲を広げる可動域訓練 ・損傷している筋・腱をカバーするための筋力訓練 ・肩の正常な動きを促す機能訓練 ・痛みを和らげるための物理療法(電気治療や温熱治療) ・テーピング処置(スポーツを行う人など) ・日常生活の動作指導 寝方指導 ・腱板損傷では夜間の就寝時に痛みが増強することが多いため、肩にかかる負担を極力減らした寝方を指導 薬物療法 ・痛みが強い時期には炎症を抑えるための消炎鎮痛薬を処方 ・関節内や関節外の軟部組織に対しての注射 いずれも軽度〜中等度の腱板損傷に有効です。 手術療法では以下のようなものがあります。 手術療法 関節鏡視下手術 関節鏡視下手術は、現在の肩腱板損傷の手術の多くを占めている手術方法です。傷口が小さくすみ、手術後の経過が早いのが特徴です。 方法は、肩に穴を空け、一方にカメラを、他方に操作する器具を入れて行います。そして、切れた腱をもともとついている上腕骨に打ち込んで止めます。 手術後は、安静期間を経た後に、徐々に関節を動かしていきます。術後、3ヶ月程度で日常生活はほぼ問題なく行えます。 仕事で重労働が必要な方は、おおよそ6ヶ月必要となりますのでご注意ください。 人工肩関節置換術 広範囲な腱板断裂や関節に変形がみられるケースでは、人工関節を入れる場合があります。人工関節といえば、股関節や膝関節がメジャーですが、肩にもあるのです。 関節の状態や、どのくらい動かせるかなどによって種類も様々ですが、ある程度は痛みなく動かせるようになります。重いものを持つ、スポーツで激しい運動をする場合は、医師と話し合って勝手にやらないことをおすすめします。 まとめ・腱板損傷と腱板断裂!その違いと共通点を医師が分かりやすく解説! 今回は、腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点についてお話しました。 結局のところ明確な違いはないとお伝えしましたが、医師によって使い分けていることがありますので、どのくらい切れているのか、どのような治療が望ましいのか確認した方がいいでしょう。 五十肩だと思って放っておくと、広範囲の腱板断裂を引き起こしかねませんので、痛みや動きづらさでお悩みの際は、専門の医師にご相談ください。 ご参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷・腱板断裂を治療する 腱板損傷・腱板断裂は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼肩の腱板損傷をさらに詳しくご説明します 腱板損傷とは|その症状と治療法|原因と予防方法ついて ▼肩の腱板断裂を詳しくご説明します 腱板断裂とは|その症状と原因、治療法について
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肩の腱板損傷|その症状と保存療法(リハビリ)について 肩の痛みに悩まされる人が多いですが、その症状、『腱板損傷』かも知れません。 あなたが五十肩だと思っているその痛みも、放っておくとどんどん上がらなくなる・・・かも?! 今回は、腱板損傷の保存的治療方法を中心に解説していきます。 腱板損傷の症状 腱板を損傷すると、以下のような症状がみられます。 腱板損傷の症状 ・夜眠れないほどの痛みが出る ・手を上げる時、ある一定の範囲だけ痛みや引っかかり感が出る ・手を水平の位置に保てない ・手を上げる時に肩全体が上がってしまう(腕の上げ方が左右で違う) ・肩の筋肉(特に棘下筋)の萎縮が進み、見た目でわかる 腱板損傷の症状で多くみられるのが、「夜間痛」です。 その名の通り、夜寝ている時に痛みがひどくなり眠れない、という声がよく聞かれます。 腱板損傷とは 腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩の奥の筋肉です。正式名称は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)であり、以下の4つの筋肉からなります。 腱板とは ・棘上筋 ・棘下筋 ・小円筋 ・肩甲下筋 肩の上腕骨の骨頭と呼ばれる部分を包み込むように付着し、一枚の板のように並んでいるため腱板と言われています。 腱板の役割 この4つの筋肉は、肩を動かす上で非常に重要な役割を担います。肩にはアウターマッスルとインナーマッスルとがあり、腱板はインナーマッスルに属します。 肩の筋肉 役割 筋肉の位置 アウターマッスル 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋 関節を安定させてアウターマッスルを働きやすくする より関節に近いところに位置する インナーマッスル 三角筋、上腕二頭筋など 速くて強い力を生み出す 体の表層 腱板の基本的な役割について説明しました。小さい筋肉ですが、非常に重要な働きをしてくれます。 腱板損傷とはどのような状態なのか そんな腱板が損傷した状態とはどのようなものなのでしょうか。 腱板は筋肉や腱のことであり、他の筋肉、腱と同じで線維状になっています。その線維が部分的に傷んでいる、切れている状態が腱板損傷です。損傷がひどく、一部または大部分に断裂がみられるものは腱板断裂と呼ばれています。 腱板損傷、腱板断裂は、筋肉や腱の変性が起きやすい50代以降の男性に多くみられます。発症のピークは60歳代です。 若い世代でも、肩を酷使するスポーツ選手などにもみられることもあるため、医療機関できちんと検査をすることをおすすめします。 腱板損傷の原因 前述したように、中年以降に多くみられることから、筋肉や腱などの加齢による変性が大きく関わってきます。 腱板が損傷する原因 ・筋肉や腱などの軟部組織の変性が起こりやすい中年男性 ・重い荷物を持ち運ぶ ・野球など投げる動作を繰り返すスポーツ ・後ろのものを取ろうとして不自然な肩の動きをしてしまう ・転んだ拍子に手をつく、もしくは肩を打つ 上記の通り、肩に負担のかかる動作を繰り返すと発症しやすくなります。例えば、重いものを抱える配送の仕事や、肩に強い負荷がかかる野球のピッチャーなどです。 他にも様々な原因で腱板損傷が起こります。 腱板損傷の診断 腱板損傷はレントゲンでは分かりにくく、よく五十肩と勘違いされます。そのため、正確な診断にはMRIやエコー検査などが用いられます。 他にも、前述した腱板損傷の所見を、視診や触診で確認することも重要です。他の肩関節疾患との鑑別を正確にすることで、今後の治療方針を早期に決めることができるため、気になる症状がありましたら早期に医療機関へ受診することをオススメします。 腱板損傷の保存療法(リハビリ) 腱板損傷の治療法には外科的な処置を施す「手術療法」と、注射やリハビリなどで機能の改善を図る「保存療法」とに分けられます。 ここでは、保存療法を中心に詳しくご紹介します。 腱板が傷んでしまうと、その性質から腱板自体が自然に修復するのは難しいのです。 そのため、腱板損傷を発症してしまったら以下のことに留意し、リハビリ等の治療にあたります。 保存療法の目的 ①痛みを減らし、悪循環を断つ ②痛んだ腱板への負荷をできる限り減らす ③肩周囲の動きを良くする 順番に解説していきます。 ①痛みを減らし、悪循環を断つ まず一番に対処すべき症状は痛みです。痛みが残っていると脳がその痛みを覚えてしまい、長引くことがあります。 さらに、痛みが続くと無意識に患部を動かさなくなってしまいます。そうなると関節の動きが悪くなり、結果的に肩関節に機能低下が生じてしまうのです。 痛み → 動かさない → 肩関節の機能低下 → 痛み ではどのように対処していけばいいのでしょうか。 医療機関を受診すると、痛み止めの注射やお薬を処方されることがあります。原因を根本的に治す治療ではないのですが、痛みを一時的にでも抑えることは大切なことです。 また、腱板損傷の方は夜間痛を訴えるケースが多くみられます。痛みのせいで悪い寝姿勢になっている人もしばしば見受けられます。 そこで試して欲しいのが、寝る姿勢の調節です。具体的には以下の通りです。 夜間痛をけいげんするための寝姿勢 ・上半身を少し高くして寝る ・寝る時に痛い方の腕の下にバスタオルを敷き、リラックスした姿勢を保つ ・抱き枕で横向きに寝る しっかり睡眠をとることは、脳や体に良い休息を与え、自律神経の改善につながります。そうすると余分な筋肉の緊張も抜け、痛みが軽くなることがあります。 ②傷んだ腱板への負担をできる限り減らそう 一度傷んでしまった腱板は自然修復が難しく、より重度の損傷が起きてしまうと手術が必要なケースもあります。そのため、余計なストレスをかけず重症化を防ぐことが大切です。 痛んだ腱板の負担を少なくするための注意点 ・重いものを持たない →どうしても持たなければならない場合は、以下のことに注意しましょう。 ・小分けにする ・腰をしっかり落として体の近くで持つ ・急に持ち上げない ・無理な体勢で物を取ろうとしない ・痛みが出ている肩を下向きにして寝ない 以上のことに気をつけて過ごしましょう。 ③肩周囲の動きを良くする 胸の中心にある胸骨、鎖骨、肩甲骨、肋骨など周辺にある様々な骨や関節を総合して『肩』と言います。 つまり、肩を効率的に動かすためには、これらの部位もしっかり動かせることが重要です。 特に鎖骨周りや肩甲骨などは動きが悪くなることが多いので、鎖骨周りのセルフマッサージや、肩甲骨を意識した肩回しをするなど、意識的に動かしましょう。 スポーツを行う人はトレーニングの他にテーピングも有効 スポーツ中のケガで腱板損傷を発症する方もいらっしゃいます。もちろんリハビリやトレーニング等で機能を戻すことが大前提ですが、場合によってはテーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 今回は例として、棘上筋、棘下筋、小円筋をサポートするテーピングを巻いています。テーピングをすることで動きに違和感を覚えるかもしれませんが、安定性が増し、より安全にスポーツを行うことができます。 しかし、テーピングにも限界があります。痛みが強く出てしまう時は、無理せず患部の鎮痛および機能回復を待ちましょう。 まとめ・肩の腱板損傷|その症状と保存療法(リハビリ)について 今回は、腱板損傷の病態と症状、保存療法であるリハビリについてご紹介しました。 腱板損傷は、他の肩の疾患と見分けがつきにくく、医療機関に受診しても見落とされることがあります。しかし、ほとんどの場合は詳しい検査で分かります。 自分の素人判断で五十肩だろう…と決めつけることなく、痛みがあったり長引いたりする時は迷わず医療機関にご相談下さい。そして適切な治療を受け、不安を排して快適な日常を少しでも早く取り戻しましょう。 以上、肩の腱板損傷の症状と機能改善を目指す保存療法(リハビリ)について記してまいりました。 ご参考になれば幸いです。 ▼以下もご産国ください 腱板損傷|発症後、段階別の注意点とリハビリについて
最終更新日:2024.10.07 -
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、入院もなしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
最終更新日:2024.10.07 -
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喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙することと関節症の間には、一見何も関係がないようにみえます。 しかし最近いくつかの研究の結果から、関節症の経過にタバコがよくない影響を与えていることが明らかになってきました。 そこで今回の記事では、喫煙と関節症の関係についてご説明します。さらに電子タバコによる影響についても、解説いたします。 喫煙が関節症に与える影響 喫煙そのものは、肺がんや肺疾患、また動脈硬化や脳血管障害など、わたしたちの体のあらゆるところによくない影響を与えることは、よく知られていることかと思います。 ここでは特に、関節症の方に対して喫煙が与える影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 関節リウマチと診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することがわかっています。 121,700人の女性が参加する追跡調査で、追跡中に関節リウマチと診断された923名を分析しました。このうち36%は関節リウマチと診断される前に一度も喫煙したことがなく、43%が過去に喫煙しており、21%が現在も喫煙者でした。 この調査によると、関節リウマチと診断された後も年間5パック以上の喫煙を続けていた女性は、診断前から喫煙をしていなかった人や関節リウマチと診断された後に禁煙した人たちと比べても、死亡リスクが2~4倍も高くなっていました。 診断後に禁煙することで、喫煙を継続するよりも死亡リスクは低くなっていましたので、早めに禁煙することは有効だと言えるでしょう。 (参考文献:https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/) また5,677人の関節リウマチの方を平均して約5年間追跡調査した研究では、喫煙者の心血管障害や呼吸器疾患による入院率は、非喫煙者の2倍になっていました。 入院するリスクは、禁煙1年後に著しく低下していましたので、こちらも早めに禁煙することが予後を改善することにつながります。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5623338/) 手術の合併症の増加 喫煙者と非喫煙者における、膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 合計で8,776人の膝関節再置換術を受けた方を対象に実施した研究です。このうち、11.6%が現在も喫煙者でした。再置換人工膝関節置換術を受けた喫煙者は、非喫煙者と比較して、あらゆる創傷合併症、肺炎、および再手術の割合が高くなっていました。 (参考文献:https://www.arthroplastyjournal.org/article/S0883-5403(18)30282-1/fulltext) タバコを吸うと、一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、その結果、全身の組織に運ばれる酸素が少なくなります。手術部位が適切に治るためには、酸素を十分に含んだ血液が必要です。 タバコを吸うと、この治癒プロセスの重要な部分が滞り、治癒に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査したところ、喫煙者は非喫煙者に比べて関節症による膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上であることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1798417/) X線写真の撮影が可能であった311人の初期リウマチ性関節炎の方をフォローした調査では、1年後にX線写真の進行がみられる独立した予測因子は、喫煙でした。つまりX線写真上で悪化する危険因子に喫煙があることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4515990/) タバコに含まれる有害物質が軟骨の減少に寄与している可能性や、血中の一酸化炭素濃度が高いことが、軟骨の修復を妨げている可能性があると推測されています。 電子タバコの関節症に与える影響 電子タバコ(e-cigarettes)の使用率が急速に高まっていますが、電子タバコの使用が関節症状に対して与える影響について、まだ詳細はわかっていません。そこで行われたので、米国で924,882人の成人を対象に実施された、最大規模の全国電話調査です。 この調査では、電子タバコの使用歴と炎症性関節炎に関する情報を入手し、解析しています。 その結果、電子タバコ使用者と電子タバコ未使用者を比較したところ、電子タバコ使用者の方が炎症性関節炎により罹りやすいことが確認されました。この傾向は、電子タバコ使用者でも電子タバコと通常のタバコを併用する使用者でも同様であることがわかりました。(参考文献:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2022.883550/full) まとめ・喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙と関節症の関係、また電子タバコと関節症の関係についてご説明しました。 いずれにしても喫煙は関節症に対し、良い作用は何もないと言えるでしょう。ただ禁煙することで、予後や合併症の改善がみられることも事実です。まだ電子タバコを含め喫煙しておられる方がおられるようであれば、できる限り早く禁煙に取り組むことをお勧めいたします。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
最終更新日:2024.10.07 -
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肩の腱板断裂は放置では治りません!医療機関での受診が必要なことをご説明します 肩の腱板断裂(けんばんだんれつ)について どんな症状? どんな年齢層で多く起きるの? 腱板断裂を分かりやすく症状で表すと、「肩上がらない」、「肩が痛い」、「夜寝ていると、肩が痛くて眠れない」、「腕を上げようとしても力が入らない」、「腕を上げるときに肩の前の方で変な音がする」、などといったものになります。 年齢的には、40歳以上の男性に、特に60歳代の方に多くみられる病気になります。 ところが肩が痛くて、40歳以上で・・・というと、「四十肩?、五十肩!?」と思われる方が多いのではないでしょうか?では、「五十肩」とはどう違うのでしょう? 「五十肩」は別名「凍結肩」とも呼ばれているように、関節の動きが固まってしまうものです。 これに対して、「腱板断裂」では、痛みはあっても反対側の手を添えたりすると肩を動かすことができるので肩が動くか、動かないかが大きな違いになります。 腱板断裂 症状 発症しやすい年代 ・肩が上がらない ・肩が痛い ・肩が痛くて眠れない ・腕を上げようとしても力が入らない ・腕を上げると肩の前の方で変な音がする 40代以上の男性に多い 60歳代に多くみられる 肩の腱板って何ですか? 肩の腱板とは、肩関節の中にあり、いわゆる「腱」が筋肉とつながっているために板のようにみえるグループ構造のことで、肩関節の動きを支えています。 肩関節とは、鎖骨(身体の正面、首のしたで中心から左右に伸びる骨)、肩甲骨(肩の後ろの翼のような形の骨)、上腕骨(いわゆる腕の骨)に囲まれた部分です。 肩関節の動きはとても複雑なことができます。例えば、肩をぐるぐる回したり、手(腕)を上に挙げたり、手を後ろに回したり、肘は体につけて「小さく前にならえ」のような動きをしたり、様々な動きができます。 以下のような動きに関係しているのが肩の腱板です。 ・手を横に広げて上げてくる時(鳥が翼を大きく広げるような動作)には「棘上筋」 ・小さく前にならえの姿勢から手を外側に広げる時の動きは「棘下筋」「小円筋」 ・手を体の後ろで組んで少し体から離すような動きの時は「肩甲下筋」 腱板断裂のタイプには、「完全断裂」と「不全断裂」があります。これは、治療方針を決める上で大事になります。 腱板断裂はどんな時に起きるのか? 腱板断裂は、大きく分けて3つあります。 また、スポーツ選手などの活動性の高い人たちの肩の使いすぎで腱板断裂が起きることもあります。野球選手のシーズンオフのニュースなどでも時々耳にすることがあるので、「腱板断裂」という言葉は結構身近に耳にする言葉かもしれません。 (1)転んでしまった時などの怪我を原因とするもの (2)スポーツが原因となるもの (3)主に年齢が上がるにつれて腱板が徐々にすり減っていくことを原因とするもの 明らかに転んでしまった、などの怪我が原因の場合は、多くの方が整形外科を早めに受診されるので、その際にレントゲン撮影、超音波検査、MRI検査などをして診断されることが多いので、適切な治療を早めに開始することができます。 一方で、徐々に腱板がすり減っていって腱板断裂を起こしてしまった場合は、整形外科受診のタイミングを逃してしまう方も多く、「なんとなく肩が痛かったけど、騙しだまし、やってきた・・・、日常生活に不足なかったから」などの理由で放置されることが多く、それも障害がある限りは限界がきます。 そういえば、いつだったか、ずいぶん前にちょっと転んだけど、しばらくしたら痛くなくなって、病院では診てもらわずに放っておいたというのは、よく聞く話です。 こういう方々は、実際に整形外科の受診時に 「ひどい痛みで肩が動かない、、、。日常生活に支障が出てきて困っている!なんとかしてほしい!!」となることがあります。 また、スポーツで断裂が起こる場合は大きく次の3つのタイプに分かれます。 1)慢性障害 野球や、バレーボール、水泳など、肩を大きく回す動作を日常的に繰り返すことで起こります。筋肉の疲労を伴うもので完全に断裂することはあまりなく、多くは部分断裂です。 2)急性障害 急激に大きな力が掛かり急性に完全断裂が起こることがあります。ジムでの筋力トレーニングや、体操、テニス等で見られます。 3)外傷型障害 衝突や転倒により生じる症状です。スキーやスノーボード、ラグビーやサッカーなどで多く見られます。 腱板断裂は放置しないで肩に違和感があれば医療機関を受診する 腱板断裂は放っておけば断裂してしまった部分が自然に修復されるなどということは期待できません。つまり、なんらかの対策、治療や、リハビリテーションが必要となります。 痛みが無くて、日常生活に不便がない場合でも、放置した場合は、肩の機能は低下していきます。また別の病気に移行する危険性があります。 転倒や、スポーツなどの急な怪我で腱板断裂が起きてしまった場合、または肩に違和感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。三角巾などで1−2週間安静にしていただき、強い痛みがある場合は炎症を抑えるための鎮痛剤の内服あるいは、ステロイド注射などの「薬物療法」、湿布、テーピングなども使いつつ、残った部分の腱板や肩回りの筋肉の増強に向けたリハビリテーションを行います。 これで約70%の方が状態は良くなります。しかし、肩の痛みが続き、肩の動きも思うようにままならない場合は、手術(断裂部の修復手術など)も検討しなければなりません。 まとめ・肩の腱板断裂は放置で治りません!早めに受診されることをお勧めします 腱板断裂の症状は、全ての人に痛みが強く出るものではありません。腱板断裂ではあるが痛みがなく、肩が動いて日常生活に不便がない無症候性腱板断裂という方もおられます。また、無症状ではないものの日常の生活には支障がない方もおられます。 そのような方々が腱板断裂を放置する選択をされ(痛くない、支障がない)ますが、肩の機能は低下していくため、最終的に困った状態になってから医療機関を受診されるということになります。 そうなった場合の問題は、症状が進行してしまい極端な場合は、手術による修復が難しく、太ももの筋膜の移植、人工関節手術を検討する羽目になりかねません。まだ、大丈夫と自分で判断するのは重症化のリスクをはらんでいることをご理解ください。 ここまで肩の腱板断裂と放置による危険性を記してまいりました。明らかな痛みや、症状がある場合に病院等、医療機関を受診された方は、スムーズに治療に入れるため放置にはなりません。 肩に軽い痛みや違和感があるだけでは、つい病院等に行きそびれてしまったり、あまり痛まない、肩が上がるから大丈夫などと自己判断で腱板断裂を放置すると症状が悪化することがあります。 日常生活に支障がないからと放置するのではなく、肩に痛み、違和感を感じたら整形外科等、医療機関を受診し、治療は勿論、現状の把握と万一、放置した場合のリスクについて説明を受け、ぜひ前向きに治療を開始されることをお勧めいたします。 ▼ 肩の再生医療 肩の違和感、痛み、再生医療による治療が可能な場合があります ▼こちらも合わせてご覧ください 腱板断裂と四十肩(五十肩)はどう違うのか
最終更新日:2024.10.07 -
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腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 肩が痛む時に診断される病気として、「五十肩(四十肩)」と「腱板断裂」とがあります。 『なんだか最近肩が痛いな、年齢のせいかな』『最近肩を動かし過ぎたせいかな』『時間が経てばそのうち治るかな、様子をみよう』などと考え、五十肩(四十肩)だろう…と思って放置していると、実は腱板断裂で治療が必要な状態ということもあります。 そこで、腱板断裂と五十肩はどう違うのかについて比較していこうと思います。 ちなみに「四十肩も五十肩も基本的に同じ」ものです。この名称は、40代〜50代で発症することが多いため、四十肩または、五十肩という名称で呼ばれています。 五十肩(四十肩)とは?!(肩関節周囲炎) 年齢を重ねると肩の動きが悪くなって、手をあげる時や、髪の毛を洗う時などに肩が痛みを感じたり、肩の動きが悪くなったり、肩が強張ることがあります。これを世間では四十肩・五十肩と言いますが、『肩関節周囲炎』という診断名が正式名称です。 原因は、『四十』『五十』と言う文字の通り、加齢による影響と、過度に肩を使ったりした際の過労と言われています。それらの原因が、肩関節を構成している骨や軟骨、靭帯、腱などを痛めて肩関節の周りの組織に炎症を起こすことが原因と言われています。 四十肩で動きが悪くなる原因としては、肩関節の動きをよくするための袋(肩峰下滑液包)や関節を包み込んでいる袋(関節包)が、『くっつくこと』と言われています。 四十肩は、世間でも『そのままにしておいても時が来れば治る』と考えられているように、自然に治ることもあります。しかし放置しておくと、先ほど述べたような関節の周りにある『袋のくっつき』が強くなって余計に動かしにくくなることもあるのです。 そのため、症状の進行に合わせて様々な治療を用いることがあります。三角巾などで安静を保つことも治療法の一つです。また、炎症をおさえる薬を使用することもあります。 炎症をおさえる薬は内服をしたり、肩に注射をしたりします。その他には、温めたり、入浴などといった温熱療法を行ったり、関節がかたくなるのを予防したり、筋肉をつけたりといったリハビリが治療のために必要なこともあります。しかし、これらの治療でよくならない時は手術が必要なこともあります。 腱板断裂とは 腱板断裂も中年以降の肩の病気として有名です。腱板断裂はその診断名が表しているように『腱板』が『断裂する=切れて裂ける』病気です。 四十肩と異なり肩の関節の動きが悪くなることは少なく、肩をあげることは可能であることが多いですが、肩の運動痛、肩の夜間痛といった症状は多いと言われています。 腱板断裂で病院に来る患者さんの理由としては、夜も肩に痛みがあり眠れないというのが、いちばん多いようです。また、肩をあげる時に肩の前で『ジョリジョリ』という音が聞こえるという症状がみられることもあります。 腱板断裂の原因としては外傷のことは少なく、はっきり原因がないのに、日常生活の中で少しずつ断裂が起きていくと言われています。利き腕に多いと言われているので、肩を過度に使い過ぎることも原因の一つなのではないかと言われています。 腱板断裂の治療については、三角巾を用いて安静を保つことが大事です。1週間から2週間を安静で保つことで70%は改善するとも言われています。また、肩にヒアルロン酸や副腎皮質ホルモンの注射を打ったりすることもあります。それらの症状で改善しない時は手術が適応となることもあります。 手術では関節鏡という機械を使用して行うものと、直接切って開いて行うものとあります。 関節鏡を用いる手術の方が、傷口は小さく、手術の後の痛みも少ないです。しかし、断裂が大きくなると、縫うことが、関節鏡による手術では難しくなり、直接切り開く方法を取られることが多いです。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い 腱板断裂と四十肩は非常に似ています。症状も似ていますし、発症する年齢もどちらも四十代〜五十代の中年世代が多いです。 腱板断裂と五十肩では何が違うのか 自分でわかる範囲内の症状としては、先ほど触れたように『腱板断裂は四十肩に比べて、肩の動きが悪くなることが少ない』『腱板断裂は四十肩に比べて夜間の痛みが多い』『腱板断裂ではジョリジョリという音が聞こえる』と言った程度でかなり似ています。 診断の場面でも、身体診察だけではどちらの疾患かわからないことが多いのです。そこで実際の診療では、腱板断裂、四十肩どちらも、レントゲンやM R Iを行って診断していきます。 腱板断裂ではレントゲンを撮影して、肩峰という骨と骨頭の間が狭くなっていたりします。 また腱板断裂ではM R Iを撮影すると骨頭の上が白く光ったりします。一方で、四十肩を診断する時は、レントゲンやM R Iなどで、このような所見がないことを確認することが大事と言われています。 まとめ・腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 何度も述べているように、自分でわかる症状では腱板断裂と四十肩はかなり似ています。『四十肩と思って放置していたら、実は腱板断裂だった』『症状がどんどん悪くなっていってしまい治療が遅れた』『治療が遅れたため、なかなか良くならずに手術が必要になってしまった』などのことはよく耳にします。 腱板断裂と四十肩は症状が似ていても、別々の病気です。自分の判断でどちらかと決めずに、手遅れになる前に、症状が出た際は早めに専門科に相談するのが良いでしょう。 以上、腱板断裂と四十肩はどう違うのかについてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらもご参考にしてください 五十肩・四十肩の腕を上げると肩関節が痛む症状におすすめの治療法
最終更新日:2024.10.07 -
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腱板断裂(腱板損傷)とは、肩の関節を安定させるための筋肉(腱板)が傷ついたり、腱組織が断裂して切れていたりする病気です。 腱板は、肩のなかで最も損傷を受ける部位であり、腱板が損傷すると腕の力が入らなくなり、とくに腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。また、夜に激しく痛み、眠れなくなる経験をした方もいるのではないでしょうか。 本記事では、肩に激しい痛みを起こす腱板断裂(腱板損傷)において、やってはいけないことや先端医療による治療について詳しく解説します。 日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作を避けて安静を保つと良いのか、この記事を参考に取り入れてみてください。 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ 腱板損傷直後は基本的に、肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用いて、腕の動きを最小限にするように配慮します。 安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことは、以下の4つです。 ・頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 ・首の後ろで腕を動かす動作 ・上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 肩を後方に回した位置で行う運動腱板損傷後に避けるべき動作を紹介しますので、一つずつチェックしながら症状を悪化させないようにしていきましょう。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 腱板損傷を発症した後、とくに発症初期は以下のような動作や運動は控えたほうが良いでしょう。 ・頭上に手を持っていく動作 ・頭上へ重いモノを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作) また、ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにします。これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があるのです。 したがって、腱板損傷後は「オーバーヘッドでボールを投げること」「重いボールを上半身の力に頼って投げること」「水泳のクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げる」ようなストロークを避ける必要があります。 首の後ろで腕を動かす動作 バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。 この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。この動作の問題は、肩の「外旋(骨を外側にねじるような運動)」にあります。 頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。 この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなりかねません。 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 別名アップライトローと呼ばれる動作のことです。 アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。 アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。 このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は「内旋」と呼ばれ、アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。 肩を後方に回した位置で行う上運動 ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。 具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。 ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度な負荷がかかります。 肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。 腱板断裂(腱板損傷)が改善しない場合は再生医療による治療の可能性 腱板損傷は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着きますが、放置すると悪化する恐れがあり、最悪の場合、完全断裂のリスクがあります。症状が改善されなければ、手術が必要になることも考えなければなりません。 しかし、近年では身体への負担が大きい手術を回避でき、入院や長期間のリハビリが不要の「再生医療」といわれる先端医療で、損傷した腱板の再生を期待できます。 もしも、あなたが腱板損傷の症状が改善されていない、手術が必要な状況でしたら、再生医療を検討されても良いかもしれません。 このように再生医療による治療の可能性はありますが、まずは放置せず、手遅れになる前に整形外科医を受診して、適切な治療を進めていきましょう。 まとめ|腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことに注意して負担を減らそう! 本記事では、腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないこと4つをご説明しました。 腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術を検討しなければなりません。しっかりと安静を保ち、保存的治療に反応すれば、完治も期待できます。 術後も含め、治療の一貫でリハビリを行うこともありますので、もし避けるべき動作についてさらに詳しく知りたい場合は、リハビリの機会などを活用して相談してみることをおすすめいたします。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷をはじめとする肩に関する病気にお悩みの方を対象に、無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。 腱板断裂(腱板損傷)やってはいけないことのよくある質問 腱板断裂(腱板損傷)を放置するとどうなる? 放置した場合、肩の機能が低下し、別の病気に移行する可能性があります。腱板断裂を放置しても自然に治ることは期待できず、治療やリハビリが欠かせません。 放置をして、症状が進行すると手術による修復が難しいだけでなく、人工関節手術を検討する可能性もあります。 以下の記事で、腱板断裂を放置するリスクなどについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 腱板断裂(腱板損傷)はどれくらいで治る? 損傷の程度によって異なりますが、日常生活できるまでは2〜3カ月が目安です。 肩周囲に多くの負担をかけるスポーツや重労働の場合は、6カ月を目安としてください。 治療方法によっても回復期間は変わるため、専門医と相談しながら適切な対応が重要です。
最終更新日:2024.11.06 -
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石灰沈着性腱板炎とは、その原因と症状、治療法について 石灰沈着性腱炎という症状をご存知でしょうか。 石灰沈着性腱炎は、筋肉や腱にカルシウムが沈着することで起こる病です。部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こることが多く、そのために「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。この部分にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。 石灰沈着性腱板炎とは 腱板(上腕を肩につなぐ筋肉)にカルシウムが蓄積 腕の動き(可動域)が制限される 激しい痛み(夜間) 石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子 石灰沈着性腱板炎は、肩が痛む場合の最も一般的な原因のひとつです。 石灰沈着性腱板炎が発症する原因は、腱板へのカルシウムの沈着ですが、このカルシウムとはリン酸カルシウムであり、リン酸カルシウムが結晶化することで、症状が発現します。 ただ、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかは、実のところ、まだよく分かっていません。 リン酸カルシウムの結晶は、初めはどろっとしたミルク状なのですが、次第に固まりだして歯磨き粉状になり、最終的には硬く、そして大きくなっていきます。 なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患などに伴うことが知られています。 またバスケットボールやテニスのようなスポーツをする人や、日常的に腕を上げ下げして重いもの持ち上げる仕事をする人に多く見られる病気です。 発症年齢は、一般的に40~60歳の成人に見られ、男性よりも女性の方が罹患しやすいと言われています。 石灰沈着性腱板炎の症状 石灰沈着性腱板炎になると肩の痛みがひどいために腕を動かせなかったり、眠れないという人もいます。その反面、約3分の1の方で、目立った症状を感じなていないという場合があります。 痛みを感じる場合は、夜間突然に激しい肩の痛みを感じることが多いと言われています。肩の前面または背面から腕にかけて痛みを感じることが多く、痛みは突然やってくることもあれば、徐々に増していくこともあります。 悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかすとか、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うこともあります。なお、発症後4週間程度強烈な痛みが続く急性型、運動時痛が6か月以上続く慢性型などがあります。 石灰沈着性腱板炎の症状(痛み) ・急性型(1か月(4週間)ほど強烈な痛みが続く) ・慢性型(運動痛6か月程度続く) 石灰沈着性腱板炎の診断 異常な肩の痛みや持続的な肩の痛みを自覚した場合に、疑われます。 診察では、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。診察の後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。 通常は肩のX線検査により、石灰化した沈着物を明らかにすることができます。最近は、超音波検査を利用することもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出すこともあります。 石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査をすることもありますし、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をすることもあります。 診断ではいずれか或いは複合的に行われる 検査 ・レントゲン検査 ・超音波エコー ・CT検査 ・MRI検査 石灰沈着性腱板炎の治療法 多くの場合、石灰沈着性腱板炎は手術をせずに治療することができます。軽度の場合、薬物療法と理学療法を組み合わせたり、非外科的処置な処置を行ったりします。 薬物療法 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、治療の第一選択薬と考えられています。また痛みや、腫れを和らげるために、肩にステロイドと局所麻酔薬の注射を行うこともあります。 非外科的処置 急性期に、ミルク状のリン酸カルシウムを吸引することもあります。 肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去することができます。針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながら行うこともあります。 手術 約10%の人が、リン酸カルシウムの沈着物を除去するために手術を受けます。特に慢性型で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。 手術では、関節鏡手術が好んで使われています。術後は1週間以内に通常の機能に戻る人もいれば、痛みが続いて活動が制限される場合もあります。 理学療法 痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法が必要となります。 手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリテーションを行うことになります。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われます。時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行うこともあります。 なお手術後の回復には、個人差があります。場合によっては、完全な回復に3ヶ月以上かかることもあります。そこで手術後のリハビリテーションが必要となります。 石灰沈着性腱板炎の予後 石灰沈着性腱板炎は、痛みを伴うこともありますが、早期に治癒する可能性が高いです。最終的には自然消滅しますが、治療せずに放置すると、合併症を引き起こす可能性があります。 この石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。 まとめ・石灰沈着性腱板炎とは、肩が痛む原因と症状、治療法について 以上、石灰沈着性腱板炎の原因や危険因子、症状や治療法などについて説明をいたしました。 腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていないこともあります。もし、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、ぜひ医療機関を受診されることをお勧めします。 ▼ 再生医療で肩の痛みを治療する 肩に起こる痛みや病気を再生医療により改善することができます ▼肩が痛む症状についてこちらのご覧ください インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法
最終更新日:2024.10.07