-
- その他、整形外科疾患
肋骨骨折は放置しても大丈夫は間違い!症状チェックとその治療法を解説! 肋骨骨折は、胸部の外傷で最も多くみられる疾患です。 ラグビーや柔道などの激しいスポーツ外傷や転倒、転落などのケガ、ゴルフのスイング、慢性的な咳などの繰り返しの負担で骨折する場合もあります。また、ケガをしてレントゲン写真を撮っても、骨折がわからない場合もあります。 「肋骨を骨折したかも・・・痛むけど放置してても大丈夫かな」など、痛みが続く場合、いつまで続くのか、自然に治るのか不安に感じてしまうことと思います。 この記事では、肋骨を痛めた時に病院を受診するべき目安の症状チェックと、肋骨骨折の治療法について解説していきます。 肋骨骨折の症状 肋骨は左右12対の骨で背中の胸椎から胸の前にある胸骨までかごのようになっており、その中にある心臓や肺などの臓器を保護しています。 肋骨骨折は胸部外傷の中で最も多くみられ、激しいスポーツ、転倒や打撲などの軽いケガ、交通事故などの大きいケガによって損傷してしまうことがあります。 症状としては、骨折した部位の痛み、皮下出血、腫れです。骨折部を軽く圧迫すると骨がきしむ音がすることがあります。また、体をそらしたり、肩を動かしたりした時や、咳、深呼吸で痛みが強くなることが特徴です。 肋骨骨折の症状 ・骨折部位の痛み ・皮下出血 ・腫れ ・骨折部位の圧迫で骨の”きしむ”音がする ・体をそらす、肩を動かす、咳、深呼吸等で強い痛み 肋骨骨折の診断 診断は、問診と胸部の触診、レントゲンが一般的ですが、病院によってはエコーで診断を行うことがあります。 肋骨は肺や肋骨同士の重なりがあるためレントゲンでの判断が難しく、特に小さい骨折はレントゲンでは見つからない場合も多いことがあります。レントゲン写真のメリットとして、肋骨骨折に合併する気胸(肺を損傷して空気が漏れてしまうこと)を診断できることがあります。 エコーでは、レントゲンで明らかにならない小さいひびを見つけることも可能ですが、実施していない医療機関もあるので注意が必要です。 病院受診の目安 病院を受診する目安を記しますが、痛みや、違和感が強い場合は、放置することなく医療機関を受診するようにしましょう。 受信する目安について、胸をぶつけた後に押して痛みがある、呼吸やくしゃみで痛みが悪化する、内出血がある場合には、骨折をしている可能性があるので受診をすることが勧められます。 また、息苦しさがある場合には気胸を起こしていることがあるので、できるだけ早めに受診するようにしましょう。 医療機関を受診の目安 ・押すと痛い ・呼吸、くしゃみで痛みが強い ・内出血がある ・息をするいのが苦しい(気胸の可能性) 肋骨骨折の治療法 明らかな骨折、不全骨折(いわゆる“ひび”)、X線で骨折がはっきりしない打撲の場合でも治療は、ほぼ同じです。 痛みが軽い場合には、消炎鎮痛薬の内服と湿布などで痛みを和らげます。 痛みが強い場合には、バストバンドやトラコバンドとよばれる固定帯(コルセット)で、骨折した部分を圧迫固定します。呼吸で胸が広がることによって、骨折した肋骨に負担がかかり痛みが出てしまいますが、息を吐いた状態でバンドを巻くことで、骨折部の動きが少なくなり痛みが緩和されます。 これらの治療で、多くは数週間で痛みが軽快します。骨折部のずれが大きいときや、複数の肋骨が折れている時には手術が行われることもありますが、かなり稀です。 また、大きいケガで血気胸(胸の中に血液や空気がたまること)がある場合には、呼吸の管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。 肋骨骨折についてよくある質問 Q:肋骨が痛いのですが、どのような病気が考えられますか。 A:ケガなど明らかな原因がある場合には打撲、肋骨骨折が最も考えられます。また、ゴルフなどのスポーツ、慢性的な咳などがある時にも肋骨の疲労骨折の可能性があります。 これらの原因がない場合には、肋間神経痛という神経の痛みや、帯状疱疹、稀ですが骨の“がん”などを考える必要があります。帯状疱疹では皮膚のぶつぶつができますが、皮膚の症状より先に痛みがでることが多いので、肋骨周辺の痛みがあるときには、皮膚の上からの、見た目にも注意するようにしてください。 Q:肋骨骨折はどのくらいで治りますか? A:骨折の痛みが軽減するまでは数週間、骨癒合するまでは2-3ヶ月を要するのが一般的です。 肋骨骨折は自然に骨が癒合する確率が高いので、固定のバンドは痛みが和らぐまでの数週間の装着で問題ありません。骨折を起こした後、骨折した部分には3週間程度で仮骨(骨のもと)が作られ、これによって骨折部が安定化することで痛みが和らぎます。その後徐々に骨形成が進むことで骨癒合していき、症状がなくなります。 Q:肋骨骨折をした後にしてはいけないことはありますか? A:大きなケガで血気胸がなければ、痛みの範囲で日常生活に制限はありません。ただし、重いものを持つなどの重労働、激しいスポーツなどの衝撃は痛みが悪化することにつながるので、控えるようにしてください。 まとめ・肋骨骨折は放置しても大丈夫は間違い!症状チェックとその治療法を解説! 胸部の外傷で最も多い肋骨骨折について解説しました。 動いた時や呼吸で痛みが悪化するので、症状がよくなるか心配になりますし、レントゲンでも明らかにならないことが多いケガの1つです。 通常は数週間で痛みがよくなり、特別な治療も必要がない骨折ですが、肺などの臓器の損傷や別の病気が隠れている可能性もあります。その場合、放置してもなおりません。上記のような症状が出た後は早めに病院で診断してもらい治療を受けることが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S124 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか 肋骨骨折の原因と安静期間の注意、仕事復帰の目安について
最終更新日:2024.04.23 -
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
胸郭出口症候群とは?症状、原因と治療法、病気を解説します 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作や、上げたままの姿勢が続くと肩や腕、手にしびれや痛み、だるさなど、上肢に症状が現れる病気です。 とくに、なで肩の女性や筋トレ習慣のある男性をはじめ、野球やバレーボール、バドミントン、テニスなどのように、腕をよく回すアスリートや運動部の学生によく見られるスポーツ障害でもあります。 そこでこの記事では、胸郭出口症候群とは?と題して、その特徴や原因、リハビリや手術などの治療法について紹介しますのでご一読ください。 胸郭出口症候群の原因と症状 胸郭出口とは、手や腕を動かす神経や血管が走っている首と胸の間にある通路のことです。この通路は、首の付け根にあり、その隙間にある神経や血管が締め付けられたり、圧迫されたりすると、胸郭出口症候群の原因になります。 なお、胸郭出口にあるどの筋肉と関係するかによって、次の3つの症候群があり、胸郭出口症候群とは、下記の3つの症候群をまとめた病名なのです。 胸郭出口症候群とは以下の症候群をまとめた病名 ・ 斜角筋(しゃかくきん)症候群 ・ 肋鎖(ろくさ)症候群 ・ 小胸筋(しょうきょうきん)症候群(≒過外転症候群) 原因(動作) 胸郭出口症候群は、日常生活やスポーツで次のような動作をよく行った場合、原因となります。 胸郭出口症候群の原因(一例) ・ 野球でボールを投げる ・ テニスでラケットを振る ・ 剣道で竹刀を上下に動かす ・ 水泳のクロールで繰り返し腕を回す ・ つり革を持つ ・ 洗濯を物干し竿に干す ・ 腕や肩の筋トレを繰り返す ・ なで肩や片肩でバッグを持つなどの姿勢不良 上記のうち4つ目までは、そのスポーツでの独特な動きが発症原因となっています。 スポーツ障害と胸郭出口症候群 先程紹介したように、胸郭出口症候群は、なで肩や良くない姿勢、日常動作の動きのクセ(リュックサックや肉体労働など)によって起きるといわれています。 一方で、野球やバレーボール、バドミントンなど、プレーの中で腕を上げたり、よく腕を回転させたりするスポーツでも発症する病気です。そのため、オスグッド病、シンスプリント、野球肘など、繰り返し同じ動きによって痛みが続く「スポーツ障害」の一種でもあります。 日頃からスポーツや運動、トレーニングなどをしている方で上肢や肩、腕や手の違和感がある場合、胸郭出口症候群の可能性があることを知っていただき意識の上、注意しておきましょう。 胸郭出口症候群の「症状」 胸郭出口症候群になると腕を上げる動作を取ることで、肩や腕、手、肩甲骨周辺などに「しびれ」や「痛み」、「だるさ」が生じます。 症状が進行すると、前腕から手の指(とくに小指側)に強い痛みや、しびれ、ピリピリ感が走る、握力が低下する、指先を使う作業が不器用になる、といった症状も加わります。 このように胸郭出口症候群を発症すると上肢に痛みやしびれが生じ、運動麻痺の症状が重なるは、日常生活に支障をきたす病気です。 人によっては、手の甲の骨の間が凹んだり、手のひらの小指側の小指球筋と呼ばれる盛り上がりが痩せてくることもあります。さらに、血行不良によって腕が白っぽくなったり、青紫色になったりするケースも少なくありません。 胸郭出口症候群の「治療法」 胸郭出口症候群の治療には、次の 4つがあります。とくに 3 番目のリハビリは、整形外科に通院して効果が期待できる方法なのでぜひチェックしましょう。 治療法 1. 生活指導 2. 薬物療法 3. リハビリ 4. 手術 1. 生活指導 原因となっている日常生活での腕を挙げる動作やスポーツ・運動を控えることが大切です。また、正しい姿勢を維持したり、生活動作を腕に負担のないように見直す必要もあります。 ストレッチやエクササイズなどの運動療法で筋肉の緊張や血行不良を改善する方法も有効です。 2. 薬物療法 痛みを和らげる消炎鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレンなど)や神経の痛みに対する薬(プレガバリン・ミロガバリンなど)といった内服薬の処方が一般的です。 痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。 3. リハビリ(理学療法) 整形外科に通院して、理学療法士から正しい姿勢を学んだり、手技で胸郭出口周辺の筋肉の緊張を和らげたり、神経や血管への刺激を緩めたりして痛みの緩和を目指します。 生活指導と理学療法を合わせて受けられるケースが多いため、今後の予防にもつながる方法です。 4. 手術 症状が重くて日常生活やスポーツに大きな支障をきたしているときは、原因となっている筋肉や肋骨の一部を切除して隙間を広げ、神経や血管の圧迫を取る手術を選択することがあります。 近年、手術のほかカテーテルによる治療が行われるケースも増えています。 まとめ:胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説! 今回紹介した胸郭出口症候群には、次のようなポイントがありました。 ・ 腕を挙げると動作で肩や腕、手のしびれや痛みが生じる ・ 胸郭出口周辺の神経や血管の圧迫が原因 ・ 日常動作や姿勢、スポーツが原因で発症する ・ 治療法は内服薬やリハビリが中心 ・ 重度の場合は手術を選択することもある 胸郭出口症候群は、日常の腕を上げる動作や、スポーツなどで発症しやすい疾患です。原因は主に胸郭出口における神経や血管の圧迫であり、特になで肩の女性やスポーツ選手に多く見られます。 症状は上肢にしびれや痛みが生じ、日常生活に支障をきたします。治療法は生活指導や薬物療法、リハビリ、手術などですが、リハビリを用いた治療が大切です。また、手術は症状が著しい場合に選択される場合があります。適切な治療法を選択し、生活指導やリハビリを積極的に行うことが重要です。 普段から姿勢が気になっている方、スポーツを楽しんでいる方で腕や手のしびれや痛みがある場合、胸郭出口症候群かもしれません。 この記事を読まれて、身体の違和感に気が付かれたなら、症状が進行する前に、整形外科を受診しましょう。 以上、参考にしていただければ幸いです。 No.115 監修:医師 坂本貞範 ▼胸郭出口症候群について以下も参考にされませんか 【胸郭出口症候群】自分でできる!症状チェック法を紹介!
最終更新日:2024.04.17 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
肋骨骨折の原因と安静期間中の注意事項、仕事復帰の目安について 肋骨(ろっこつ)骨折について、以下のような疑問やお悩みがある方はいませんか?尚、正確な復帰の判断は整形外科の専門的な知識が必要ですので医療機関の受診をおすすめします。 「肋骨骨折は、いつまで安静にすればいいの?」 「肋骨骨折は、どのくらいで仕事復帰ができるか知りたい」 今回は肋骨骨折と、その安静期間や仕事復帰までの目安をご紹介します。本記事を参考にしていただき整形外科の受診時、医師に確認するための参考にして頂ければと思います。 肋骨骨折とは?症状や原因について解説 肋骨骨折とは、胸を囲っている肋骨にひびが入ったり、折れたりする怪我です。一部が骨折する場合もあれば、いくつかの骨折が同時に起こることもあります。 骨折の原因はさまざまで、年齢問わず起こりうる骨折です。 まずは、肋骨とはどのような骨なのかを紹介し、肋骨骨折の原因や症状を解説します。 肋骨とは? 肋骨は胸を囲むようについている骨で、左右 12 対の合計 24 本あります。 胸の正面にある胸骨と、背中にある背骨をつなぐようについていて、心臓や肺などを覆っています。肋骨の役割は、これらの重要な臓器を守ることです。 また、呼吸のときには肺が膨らんだり、縮んだりするのに合わせて肋骨も動きます。そのため、肋骨の動きが制限されると、呼吸がしづらくなってしまいます。 肋骨骨折の原因 肋骨骨折はすべての骨折の 10〜20 %を占めるとされています。肋骨に直接衝撃が加わり起こる骨折は、転倒や交通事故、転落などが原因です。 また、肋骨に直接衝撃が加わらなくても、他の部位に大きな衝撃が加わり、肋骨がたわむことで骨折が生じることもあります。 交通事故や転落などで強い衝撃が加わると、肺の損傷を伴う場合があります。 スポーツ外傷としても肋骨骨折が生じ、外傷による骨折は、ラグビーや柔道といったコンタクトスポーツで胸を強打することが原因です。また、ゴルフや野球などで繰り返し同じ動作をすることで肋骨にかかる負担が蓄積して疲労骨折が生じる場合もあります。 高齢者で骨が脆くなっていると、くしゃみや体をひねる動作も肋骨骨折を引き起こす原因となります。 肋骨骨折原因 ・転倒、転落 ・交通事故 ・スポーツ傷害(ラクビー、柔道などのコンタクトスポーツ) ・スポーツ傷害:ゴルフ、野球の繰り返し動作での疲労骨折) ・高齢者(くしゃみ、身体の動作) 肋骨骨折の症状 骨折部の痛みが主な症状で、特に呼吸や体を動かしたときに痛みが増えるのが特徴です。肋骨が動く、寝返りや体を反らす、肩を動かすという動作で痛みが強まります。 骨折してからしばらく経つと痛みがピークを迎えて、3 〜 4 週間で症状は和らぎます。 また、胸を圧迫したときの痛みや内出血、腫れがみられます。骨折による肋骨の動きの制限や痛みにより、息苦しさや呼吸がしづらいといった点も症状の 1 つです。 もし、肺などに損傷がある場合は、酸素が不足して皮膚が青っぽく変色する「チアノーゼ」がみられたり、意識がもうろうとしたりします。放置すると危険ですので、すぐに救急車を呼んだり、近くの病院を受診しましょう。 肋骨骨折の安静期間 肋骨骨折は、骨折の状態により安静期間が異なります。そのため、必ず整形外科に受診をして、医師の判断を仰ぎましょう。 肋骨に「ひび」が入っている程度だったり、骨折箇所が 1カ所だとすると、痛みは 1カ月以内に和らいでくることが多いです。 ただ、骨折の状態によってはそれ以上、痛みが続く場合があります。基本的に痛みがある間は、痛みが出る動作は極力行わないようにして、安静にしておくのが良いでしょう。 骨が癒合(※)するのは3週間〜6週間とされており、骨折の程度によって差があります。 (※癒合(ゆごう)・・・骨がくっつくこと) その間は骨に負担がかかるような動作はしないようにしましょう。 ただし、骨折部に響かないように生活するのは問題ありません。むしろ、安静にしすぎて寝てばかりでは、体のほかの部分の機能が衰えてしまいかねません。 病院で骨折している肋骨が動かないように、バストバンドと呼ばれる装具(コルセット)を巻いて固定しますので、強い痛みが落ち着いてきたら、肋骨に負担のないように動くようにしましょう。 骨折後の注意 骨の癒合(ひっつく)機関の目安:3~6週間 安静期間:痛みが治まったら、負担の無い範囲で活動すること、安心にし過ぎは他の機能が衰えるため、注意が必要 肋骨骨折で仕事復帰をする目安 肋骨骨折の場合、骨折の状態や復帰する職種によって復帰の目安が変わってきます。 肋骨骨折の程度がひどくなければ、バストバンドで固定し、痛み止めの内服薬を服用しながら自宅での生活を送ることになります。 そのため、骨折部に負担をかけないデスクワークなどは骨折の数日後からの復帰も可能です。しかし、重い荷物を抱えたり、体の捻りを繰り返したりといった肋骨に直接負担がかかるような仕事は、骨が癒合するまでは控えた方が良いでしょう。 例え痛みが和らいだとしても、肋骨が完全に元の状態にまで治癒しているとは限りません。骨が癒合していないのに無理をすると、骨折や痛みなどの症状が悪化する危険性があります。 仕事復帰を検討する場合は、整形外科で医師に診察してもらい、許可を得てからにしましょう。 復帰の目安 ・デスクワークなど:骨折の数日後 ・身体に負担が掛かる仕事:医師の指示に従ってください ※重い荷物や身体を動かす仕事は注意が必要です 肋骨骨折の安静期間は骨折の程度により違うため、正しい復帰時期は医師に確認しよう 肋骨骨折は骨折の程度により安静期間や仕事復帰の時期が異なります。 そのため、骨が不十分に癒合した状態で無理な動きをすると、症状が強まったり、骨がくっつきにくくなったりします。 必ず整形外科の医師に相談して、正しい復帰時期を教えてもらいましょう。 また、復帰時期は仕事の内容によっても差があります。 デスクワークなど動きの少ない仕事は早期に復帰しやすいですが、体を酷使するような仕事は骨折部に負担がかかるため、しっかり治癒してからになります。 痛みが和らいだからといって、無理に復帰を焦らないように注意しましょう。 No.113 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか 肋骨骨折で放置は禁止!症状とその治療法を解説!
最終更新日:2024.04.17 -
- その他、整形外科疾患
【胸郭出口症候群】自分で分かる!症状をチェックできる方法をご紹介! 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作を行った時に腕の痺れや肩周りの痛みが生じる疾患です。日本人の女性に多く見られ、症状が強いと日常生活に影響が出ることもあります。 この記事では、そんな胸郭出口症候群の原因や、症状を疑った際に確かめられるチェックリスト、セルフテスト方法を紹介します。 胸郭出口症候群の原因 肩甲骨周りから腕にかけての、運動と感覚を支配する神経の集まりを、腕神経叢(わんしんけいそう)と言います。 この腕神経叢と、同部位に血流を送る鎖骨下動脈は、同じ筋肉や骨の間を通ります。その間で圧迫され、神経障害や血流障害が生じるため痺れや痛みの症状が起こるのです。 具体的に、「前斜角筋と中斜角筋の間・鎖骨と第一肋間の間・小胸筋の肩甲骨烏口突起 停止部の後方」を走行し、圧迫される部位により名前は異なりますが、総称して"胸郭出口症候群"と呼びます。 なで肩の女性や重いものを持ち上げることが多い人、野球やバスケット、バドミントンなど腕を上げる動作が多いスポーツをよくおこなう方になりやすい疾患です。そのため、スポーツ障害の一種ともされています。 また、頚肋(けいろく)の方も胸郭出口症候群になりやすいとされています。人の頚椎には、横突起という側方に出っ張るような構造があります。頚肋とは、第 7 頚椎の横突起が発達して、まるで短い肋骨のように側面まで伸びてきてしまっているもののことを言います。 胸郭出口症候群の症状 胸郭出口症候群の主な症状は、神経や血管が圧迫されることによる神経症状や血行障害によるものです。 神経症状は、肩周りから腕にかけてのビリビリとした痺れや感覚障害です。 血行障害は、動脈が腕に行き届かず白くみえたり、逆に静脈がきちんと帰っていかず、鬱血状態になってしまうことで青紫色のように見えてしまうなどです。 それ以外に、腕のだるさや肩凝りのような肩の重い感じ、腕の冷えを訴える方も多くおられ、症状は人によってさまざまです。 上記のような神経症状や血管症状が持続し進行すると、手の握力低下や細かい動作がしにくくなるといった指の運動障害を認めることがあります。この運動障害がある場合、手の筋肉が萎縮してしまうため手の甲の骨の間がへこんでしまいます。 胸郭出口症候群の治療 胸郭出口症候群の治療は、原則保存療法です。痛み止めや血流を改善させる薬を用いつつ、リハビリを行い症状の軽減を目指します。頚肋が原因の場合や症状がとても強い場合などは、手術で骨の遺残を取り除く手術を行うことがあります。 胸郭出口症候群のセルフチェックリストとセルフテスト 前述したように胸郭出口症候群は症状が人によってさまざまであるため、診断することが難しくきちんと治療を受けることができない場合があります。そんな時に活用できる、ご自身で胸郭出口症候群かどうか疑うためのチェックリストと、より明確なセルフテスト方法を紹介します。 以下のチェックリストにある症状のうち、 1 つでもある場合は、胸郭出口症候群の可能性があります。 胸郭出口症候群セルフチェックリスト ▢重いものを持つと肩こりがひどくなる、もしくは腕の痛みや痺れが出現する ▢腕を上げると、腕から背中にかけての痛みや痺れが出現し辛い ▢腕が冷える、白っぽく見える ▢腕のむくみが最近ひどくなり、色調も悪い 胸郭出口症候群セルフテスト 胸郭出口症候群を疑うかどうかを判断するためのテスト方法があります。ご自身で簡単に行うことができるため、紹介します。 胸郭出口症候群のセルフテストの代表的なもので 4 種類のテスト方法があります。 a.モーレイテスト モーレイテストは、症状が出現する腕側の鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫するテストです。胸郭出口症候群であった場合は、圧迫した際に腕や肩周りに痛みや痺れが生じます。 b.アドソンテスト アドソンテストは椅子に座って行います。また、2 人で行う必要があるため家族などの力を借りて行ってください。 やり方は、椅子に座って手首で脈拍を確認してもらい、その状態のままであご先をあげて、頭を症状が生じる側に傾けます。 この時に脈が触れなくなったり、触れにくくなった場合は陽性と判断します。 c.ライトテスト ライトテストも 2 人で行うテストです。 まず手首で脈拍を確認してもらいます。そしてその状態で腕を開いて肩まで挙上し、手が上になるように肘を直角に曲げます。 アドソンテストと同様に、あげた状態で脈が触れなくなったり弱くなったりした場合陽性と判断します。 d.ルーステスト ルーステストは 1 人で行うことができるテストです。 ライトテストと同じように、腕を開いて肩まで挙上し手が上になるように肘を直角に曲げます。その状態で、手を握って開くという動作を繰り返します。この動作を腕を上げたまま 3 分継続できない場合、陽性と判断します。 これらのテストが陽性であった場合、胸郭出口症候群の可能性が高まります。 まとめ・【胸郭出口症候群】自分でできる症状チェック方法を紹介! 胸郭出口症候群やそのセルフチェックに関して紹介しました。この記事で述べたようにこの疾患は、腕を上げるなど日常的に行う動作で痛みや痺れが生じるため日々の生活に支障をきたします。 治療は基本的に保存療法となりますが、発見と治療介入が遅れると症状緩和のために手術を行わなければならなくなる場合もあります。早期にリハビリなどを始めることで少しでも症状を和らげましょう。 そんな時にこの記事で紹介した「チェックリスト」や「セルフテスト」が有効です。 違和感をはじめ、少しでも疑う症状があった場合は、ぜひ一度確認してみられてはいかがでしょうか。 症状があるのであれば、整形外科を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S112 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下にも胸郭出口症候群の情報を記しました 胸郭出口症候群のセルフケア!効果的なマッサージやストレッチ方法をご紹介
最終更新日:2024.04.17 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
胸郭出口症候群のセルフケア!自分でできる効果的なマッサージやストレッチ方法について 胸郭出口症候群でお悩みではありませんか? この疾患には、スポーツ選手から主婦まで、幅広い年代や分野の人が悩まされています。 今回は、その胸郭出口症候群に対するストレッチ方法やマッサージ方法、効果的なツボの位置も合わせたセルフケアをご紹介します。 胸郭出口症候群ってなに? 胸郭出口症候群をはじめて聞く方もいらっしゃるかもしれません。腕の動きや感覚を支配する神経(腕神経叢)や、血管(鎖骨下動脈・静脈)が胸郭出口で圧迫されて起こる疾患です。 首から腕に走る神経や血管が、骨や筋肉、腱によって圧迫されることで、手の指先の痺れや、首から腕にかけての痛み、力の入りづらさ、血行不良など様々な症状を引き起こします。 胸郭出口症候群の原因は? 野球やバレーボール、バドミントンなど腕を上から振り下ろすような動作を反復するスポーツ選手が罹患するスポーツ外傷としても知られています。 他にも、なで肩の女性や、重いものを持ち運びする仕事の人にも多く、普段の姿勢や負担のかかる動作が原因となることが多いです。 割合は少ないですが、頚肋といって発達段階で生じる骨の形態異常から神経・血管を圧迫するケースもあります。 胸郭出口症候群になりやすい人の特徴 胸郭出口症候群になる人の多くは以下のような特徴がみられます。 自分に当てはまるものが一つでもあれば、注意が必要です。 オーバーハンドスポーツをする人 オーバーハンドスポーツとは、野球のピッチングやバレーボールのアタック、バドミントンのスマッシュなど、腕を上に挙げる動作を繰り返すスポーツのことを指します。 腕を上から振り下ろす動作は、肩の前方から前胸部の筋肉を使うことが多いため、それらの筋肉が発達し過ぎて、腕神経叢や鎖骨下動静脈を圧迫する可能性がでてきます。 オーバーワークの人も、カラダのコンディションがついていかず、発症する危険性も上がるため注意が必要です。 なで肩の人 胸郭出口症候群で特徴的な姿勢の一つが「なで肩」です。 なで肩では、鎖骨の位置が下がるため、神経・血管が通る鎖骨と肋骨の間が狭くなり、圧迫を起こしやすくなります。 猫背など姿勢が悪い人 猫背にみられるような背中が曲がった姿勢を長時間とってしまうと、胸の前の筋肉の一つである小胸筋が短縮してしまいます。 その小胸筋は硬くなってしまうと、腕神経叢や鎖骨下動静脈を圧迫してしまう恐れがあります。 小胸筋の柔軟性が低下している状態で胸を張ろうとすると、小胸筋がある脇の下で圧迫が強くなり、症状が酷くなることも多いです。 普段から背中が曲がった姿勢をとってしまう人は、胸郭出口症候群になる可能性も高まります。 胸郭出口症候群は治らない?いいえ治ります! 神経症状が辛い胸郭出口症候群ですが、症状が長引くことも多く、「治らないんじゃないか?」と心配の声も多く聞かれます。 しかし、胸郭出口症候群は基本的には治る疾患です。日常生活での姿勢や動作習慣の見直し、そしてこれからお伝えする「セルフケア」によって原因を取り除くことができれば、症状の改善が見込めるはずです。 胸郭出口症候群に対するセルフケア 胸郭出口症候群に対するケアの方法で重要なことは、“胸を開ける状態にする”ことです。胸を開けるとは、胸を張ること。 しかし、胸周りの筋肉が硬い状態で胸を張ろうとしても返って逆効果になることもあります。 まずは、首から胸、肩甲骨周りなどの筋肉、関節の柔軟性を出して、胸を張りやすい状態にすることが大切です。 それでは柔軟性改善のために必要な具体的な方法をお伝えします。マッサージに効果的な、東洋医学のツボの位置も合わせてご紹介します。 胸鎖関節のマッサージ ①「兪府(ゆふ)」というツボを押さえる(鎖骨の真下、胸骨の際から指一本分横の位置に取ります) ②手で胸骨と鎖骨の繋ぎ目のところをさするようにマッサージする ③慣れてきたら、同部位を押さえた状態で肩を回す 鎖骨周囲筋のマッサージ ①「欠盆(けつぼん)」というツボを挟むようにつかむ(鎖骨中央のすぐ上、大きくへこんでいる場所にあります) ②少し前屈みになり鎖骨を浮き出させたら、反対の手の親指を鎖骨の下に入れ、その上から人差し指で挟むようにつかむ ③つかみながら周りの筋肉をほぐすようにマッサージする 小胸筋のストレッチ ⓵「中府(ちゅうふ)」というツボの位置を押す(鎖骨の外側端から指一本分下の場所です) ②反対側の手で小胸筋(※)に対して垂直に押す ※鎖骨外側 1 / 3部から 3 ~ 4 横指下の部分をゆっくりと触診します ③押した状態で腕を 20 回ほど前後に振る ④少しずつ位置をずらしながら 5 セット程度行う 無理のない範囲で、様子を見ながら行いましょう。 まとめ・胸郭出口症候群のセルフケア!効果的なマッサージやストレッチ方法をご紹介 胸郭出口症候群に対するセルフケアの方法を紹介してきました。 症状の程度は人それぞれであり、セルフケアだけではなかなか改善が難しいケースももちろんあります。 セルフケアを行うと同時に、専門の医療機関でしっかり状態をみてもらい、専門家より適切なアドバイスを受けることが大切です。 気になる症状がある人は、できるだけ早めに受診することを心がけましょう。 No.S108 監修:医師 加藤 秀一 ▼胸郭出口症候群の治療法につて 胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説!
最終更新日:2024.04.17 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
鎖骨骨折とは?!症状と手術、入院期間とリハビリについて 鎖骨骨折は、骨折全体の約 10%を占めると言われており、非常に頻度の高い骨折です。年齢も若年層から高齢者まで幅広く、ほとんどが転倒によって引き起こされます。 今回は、鎖骨骨折全治に向けて、少しでも早く治すための治療方法をお伝えします。特に手術療法については、その期間とリハビリの内容などを交えてご紹介します。 鎖骨骨折とは? 鎖骨骨折は、前述した通り、発生頻度が高い骨折の一つです。肩の痛みや機能障害(肩を動かせない等)を呈する疾患です。自転車走行中の転倒をはじめとして、スポーツで横から倒れた際に受傷するなどのスポーツ外傷が多くみられます。 鎖骨骨折の症状 鎖骨骨折の受傷直後は、とにかく肩の痛みが強く、自力で動かせないことが多くあります。 そのため、反対の手でケガした側の腕をカラダの近くで抑えて来院する方をよく見かけます。 鎖骨骨折の症状は以下です。 鎖骨骨折の症状 ・腕が上がらない ・気分不良 ・吐気、嘔気 ・手の指の感覚障害 ・鎖骨部の腫れ ・鎖骨の連続性の欠如(骨が途中で突出している状態) 鎖骨骨折の手術 鎖骨骨折後の治療は大きく「保存療法」と「手術療法」の 2つに分けられます。ズレが少ない、小さい子どもなどの条件の場合は、保存療法が用いられることが多いです。 一方、ズレや骨折の場所、年齢などによっては手術療法を選択した方が治りが早い場合もあります。ではどのような場合に手術療法が用いられるのでしょうか。 手術療法が選択されるケースは以下です。 手術が必要となる場合 ・骨片同士のズレが大きい ・複雑骨折(開放骨折、骨が皮膚から飛び出るケースなど) ・骨片が多い、3 つ以上 ・神経や血管、靭帯を損傷している可能性がある ・より早く確実に治したい さらに詳しく解説していきましょう。 骨のズレが大きい場合 骨のズレが大きい場合は、手術で固定した方が治りが早く、偽関節になるリスクも抑えられます。また、ズレが大きいと整復が難しい場合もあり、鎖骨の短縮が起こってしまい、肩の運動制限につながる恐れもあります。 このような理由から、ズレが大きい場合にオススメする治療は手術療法です。 骨片が複数ある場合、複雑骨折の場合 骨片(折れた骨のかけら)が複数ある骨折の場合は、きれいな整復が難しいため、手術療法の方が適している場合があります。 また、骨が体外に出てしまうような複雑骨折(解放骨折)の場合は、感染や多量出血により危険な状態に陥る可能性もあるため、できるだけ早めに手術で対応したほうがいいです。 いずれの骨折も、相当な痛みと動きの制限が伴うので、早めに医療機関への受診をしましょう。 烏口鎖骨靭帯が損傷または、断裂している場合 鎖骨は、肩甲骨の烏口突起と呼ばれるところに付く靭帯により、下から引っ張られています。この靭帯が烏口鎖骨靭帯といい、鎖骨の浮き上がりを抑えてくれる重要な役割を果たしています。 鎖骨骨折の時に、この烏口鎖骨靭帯が断裂してしまうと、胸に近い側の鎖骨骨片が浮き上がってしまい、折れた骨同士がくっつきにくくなるのです。 その場合は、骨の固定とともに、靭帯の修復まで行う必要があります。 鎖骨骨折の手術方法 手術による治療は一般的なもので、ワイヤーで固定する方法と、プレートで固定する方法の 2 種類があります。 ワイヤーの場合は、ズレが比較的小さい骨折が適応となり、小さい傷口で済みます。 プレート固定では、傷口は大きくなりますが、ズレが大きい骨折も強固に固定することができ、また靭帯損傷など合併している場合にも用いられることがあります。 プレート固定のデメリットとしては、費用がかかる、固定に使われた金属を取り除くためもう一度手術が必要となる、など何かと負担がかかることがあります。 いずれの治療方法も、保存療法と比較して、より確実に骨癒合が得られるでしょう。 ただ、保存療法よりも費用や身体的、精神的な負担も増えることが多いため、家族や専門医としっかり相談をして、より良い治療法を見つけてください。 1.ワイヤーによる固定 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html ) 2.プレートによる固定 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html) 鎖骨骨折の手術後の流れ~固定方法や入院期間〜 手術をした後の流れや固定方法、入院期間について解説していきます。 鎖骨骨折後の固定方法 鎖骨骨折の手術後は、基本的に三角巾固定をします。 固定期間は骨の繋がり状況によって変わりますが、順調に行けば 3 〜 4 週間で外すことができます。(プレート固定であればもっと早期に外すことが可能です。) 鎖骨骨折の手術後の入院期間? 鎖骨骨折の手術後の入院期間は、早くて 2 泊 3 日、長くても 1 〜 2 週間で退院できます。 痛み自体は比較的早く落ち着くため、早期に退院される方が多い印象です。但し、1 人暮らしの高齢者や術後の経過が思わしくなかった場合などはその限りではありません。 自宅に帰って身の回りのことをやる自信が無い人は、遠慮なく医師や看護師に相談しましょう。 入院期間 ・早い場合:2泊3日 ・長い場合:1~2週間(経過次第) 力仕事は骨癒合がしっかりしてきた後 手術後、力を入れる動作や体重をかける動作ができるのは、おおよそ 2 〜 3 ヶ月後です。 プレート固定であれば、もっと早めに許可が出る場合があります。 車の運転や力仕事は、3 か月を過ぎた辺りの骨がしっかりした時期より再開することを推奨します 鎖骨骨折の手術後のリハビリテーション 以前は、手術後のリハビリテーションは骨のズレを恐れて慎重に進めることが多かったのです。 しかし、動かさないことによる拘縮(関節が固まってしまった状態)などの後遺症が引き起こされてしまうため、早期に動かすことがスタンダードとなりました。 そのため、プレート固定では術翌日から、ワイヤー固定では 1 〜 2 週間後に肩を動かす訓練を行います。 可動域訓練(関節の動きを広げる運動) 可動域訓練の初めは、患者自身は力を抜き、リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)が腕を挙げていく他動運動から始めます。 2 〜 3 週目あたりから、自分で力を入れて動かす自動運動を開始します。 角度は、腕を下ろした状態から 90°(直角、目の前より低い位置)までの間で動かします。 そして、骨の繋がりがしっかりしてきた時に、より腕を挙げていくリハビリを行います。 これらの訓練は、骨の繋がり具合や、骨の転位、手術の方法により変動しますので、自分で勝手に判断しないよう注意が必要です。 【可動域訓練の順序の一例】 ①術後初期は、肩周囲の筋肉のリラクゼーションを中心に行う ②他動運動から開始し、徐々に 90°を目標に挙げていく ③痛みがなく骨癒合もできてきたら、徐々に動かす範囲を広げていく ④他動運動に加え、自分で動かす自動運動を開始する ⑤目標は、ケガをしていない方の肩と同じ範囲まで動かせるようにすること ※いずれのメニューも、代償動作が入らないように、専門のリハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)の指導のもと行います 筋力訓練(力を戻していく運動) 可動域(動かせる範囲)が戻ってきたら、次に力を戻す運動を始めます。 ケガをしてから手術直後は安静期間で固定しているため、どうしても筋力が落ちていきます。 リハビリで大事なことは、焦らずに段階的に筋力を戻す、ということです。 【筋力訓練の順序の一例】 ①ケガをしていない方と手術側の手を握り、一緒に上に挙げていく ②手術側の腕だけで挙げていく(前、外、後ろの順番で行う) ③力が入ってきたら、ペットボトルなど軽い負荷をかけた状態で腕を挙げていく ④弱いバンドや、1 〜 2 キロのダンベルを持った状態で挙げていく ⑤痛みなくしっかり力が入るようになったら( 2 ヶ月ほど)、膝をついた状態での腕立て伏せを行う(慣れてきたらスタンダードな腕立て伏せを行う) ※④以降は患者の力量に合わせて行います 鎖骨骨折の手術前後に気を付けておくべきポイント! 鎖骨はつながりやすい骨折であり、ほとんどの場合スムーズに良好な経過を辿ります。 しかし、手術後早めに無理をしたことで、癒合が遅れたり、痛みがなかなか引かないと訴えたりするケースも少なくありません。 手術後早期はリハビリ以外しっかり固定をしておく 手術後は、基本的に三角巾やアームホルダーで固定(腕を吊るしておく)します。 これは、肩にかかる負担を減らすとともに、腕を極力使わないようにする予防策でもあります。骨の繋がりをしっかり確認し、担当医師より許可が出てから外すようにしましょう。 仕事の復帰や車の運転は3ヶ月から 特に力仕事や車の運転といった患部に負担のかかる動作は、手術後 3ヶ月後より始めるようにしましょう。 ただ、プレート固定など強固な固定をした手術の場合、その時期が早まることがあります。しかし、自分で判断せず、担当医師に確認することが大事です。 手術療法は保存療法と比べ費用がかかる 当然ですが、手術療法は保存療法と比べ費用が高くなります。 鎖骨骨折の場合、医療機関にもよりますが、おおよそ 15 〜 20 万円の手術代、入院費用、ご飯代、その他諸々の費用がかかります。 高額な医療費に対して、全国健康保険協会の「限度額適用認定証」により費用を抑えることは可能ですが、個室代や入院費用の中には実費負担のものもあります。 いずれにしても、保存療法よりは高額になることが予想されますので、注意が必要です。 手術療法の費用 ・ 手術代:15 〜 20 万円 ・入院費用、ご飯代、その他 ※「限度額適用認定証」は、自分で申請する必要があります。詳しくは、手術を受けられる医療機関でお尋ねください。 まとめ・鎖骨骨折とは?!症状と手術の場合、入院期間とリハビリについて 今回は、鎖骨骨折の手術に至るケースや、手術後の経過や費用についてもお話ししました。 鎖骨骨折の治療には「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 保存療法は、骨片のズレが少ない場合や、小さな子どもの場合に適用されます。一方、手術療法は、骨片のズレが大きい場合や、複雑な骨折の場合に選択されることが多いです。 手術後は患部を適切に固定した上、リハビリが重要となります。手術後のリハビリでは、可動域訓練と筋力訓練が行われ、正しい手順で行われることが大切です。 手術療法は、保存療法よりも手術費用やそれ以外に負担が大きい場合があります。骨の癒合(ひっつく)をより確実に得られる利点があります。 注意点としては鎖骨骨折は、骨がくっつきやすく、痛みもすぐ引くことが多いため、早めから患部に負担をかけたり、動かす方が少なくありません。 「せっかく手術までしたのに・・・」と、ならないよう医師からの提示された指示をしっかり守って過ごしていきましょう。 治療方法の選択や手術後のケア、リハビリについては医師としっかりご相談されお進めください。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S104 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下の記事も参考にされませんか 鎖骨骨折中の過ごし方|この痛みはいつまで続くの?
最終更新日:2024.04.24 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか?を解説します 鎖骨骨折の発生要因と症状、治療、注意すべきポイントを紹介していきます。 鎖骨骨折は、どうやって起こるのか? 鎖骨骨折は、交通事故や転倒、スポーツ中などのスポーツ外傷として、鎖骨に対して強い衝撃が加わることで起こるケガです。骨折全体の中でもかなり多い骨折と言えるでしょう。 よく耳にするのが、自転車から落車。そして、鎖骨骨折をしてしまったという話やラグビーの試合中にタックルを受けて、肩から地面に倒れて骨折するスポーツ外傷など、いずれもコントロール不能な状態で肩を強打し受傷しています。 鎖骨骨折は、転倒した時に肩から落ちてその衝撃が鎖骨に伝わり受傷するパターン(介達外力)と、鎖骨を直接強く打って受傷するパターン(直達外力)があります。 受傷パターン ・肩から落ちるなど衝撃が鎖骨に伝わり受傷:介達外力 ・鎖骨を直接強く打って受傷:直達外力 このような鎖骨への力の加わり方の違いは、折れる場所などに影響してくるため、どのような状況で骨折したのか確認することが非常に重要です。 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会( https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html ) 鎖骨骨折の症状 鎖骨骨折の症状で特徴的なものは、骨折部の痛みと腫れ、腕を上に挙げられないなどの運動制限です。 さらに、鎖骨周囲には血管や神経が通っているため、骨折の程度によりそれらの組織を傷つけ、手指がしびれたり動かせなくなる場合もあります。 また、鎖骨は皮膚の上から触れるほど体表にあるため、骨折している場合は簡単に観察できます。 肌を露出することが可能であれば、骨折があるかどうか目で確認してみましょう。 鎖骨骨折した後の対応 鎖骨骨折をしてしまった、もしくは鎖骨骨折が疑われる場合の対処についてお話しします。 鎖骨骨折はすぐに受診を 鎖骨骨折が疑われる場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。 なぜなら、症状の時にも述べましたように、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性があるからです。その場合は、早急な対処が必要になります。 三角巾を使った鎖骨骨折の固定 また、そのまま固定もせずに無理に過ごしていると、折れた箇所がズレてしまい(転移)、骨癒合しにくくなることもあります。そうなると、手術をせざるを得ない状況になるのです。 早急に病院受診をおすすめしましたが、時間帯や日にちによっては専門の医療機関が空いていない場合もあります。 そんな時に使える鎖骨骨折後の応急処置として、三角巾での固定方法をお伝えします。 ①怪我した方の手を反対の手で固定してもらいます。(この姿勢が楽だと感じる人が多い) ②三角巾の頂点を骨折側の肘の下に挟み込むようにセットし、一方の端を反対の肩に回します。 ③他方の端を骨折側の脇の下を通すように背中側に回します。そうすると骨折側の腕を包み込むように固定できます。 ④首のところで両端を結び固定します。 ⑤頂点は肘の位置がズレないように結びます。 ⑥もう一つ三角巾を用意し、肘を体幹で固定するように巻くとぶれずに固定できます。 鎖骨骨折後の治療 ここまで、鎖骨骨折の発生要因や症状、鎖骨骨折後の対処についてお話ししてきました。それでは実際にどのような治療方法があり、どのような経過をたどるのでしょうか? 治療の方法は大きく2つに分けられます。一つは、体にメスを入れない保存療法、そしてもう一つは折れた骨同士を癒合させる手術療法です。 今回は、保存療法を中心にご説明します。保存療法が選択されるケースは以下です。 保存療法が必要となるケース ・単純骨折(骨片が2つ) ・骨片同士のズレが小さい ・骨形成率が早い子ども ・神経や血管、靭帯を損傷していない ・手術に対して抵抗がある 骨のずれが少ない場合は、鎖骨バンド(クラビクルバンド)と呼ばれるサポーターで固定をし、骨が繋がるのを待ちます。 出典:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip03.html) 鎖骨骨折の特徴として、胸の中心に近い方の骨片が上に移動し、外側の肩に近い方の骨片が相対的に下に位置することがあります。 そのため、バンドで胸の中心の方の骨片を上から抑えこむことで、そのズレを少なくし、骨を繋がりやすくします。通常であれば、2 〜 3 ヶ月もすれば、ある程度骨癒合(ひっつく)します。 ただ、鎖骨バンドを早期に外してしまったり、つけ方が甘かったり、早くから腕を動かし過ぎたりすると、骨が癒合するのが遅れ、遷延治癒(※)となることもあるので注意が必要です。 (※遷延治癒・・・一定期間が経過しても治らない状態) 鎖骨骨折の完治までの期間は? 鎖骨骨折は、およそ全治 3ヶ月と言われています。また、骨折部自体の痛みは 1ヶ月でかなり軽減し、2ヶ月頃には、ほとんど感じなくなる人も多いです。 腕をしっかり上まで挙げると鎖骨も大きく動くため、痛みが出ることもありますが普段の日常生活では、ほとんど痛まなくなるでしょう。 しかし、ズレが大きい場合、治療内容によっては 3ヶ月より長くかかることがあります。専門医と相談の上、適切な治療方法を選ぶよう心がけましょう。 鎖骨骨折後に気をつけること 最後に鎖骨骨折後に気を付けるポイントを2つご紹介します。やはり不便な場面は出てきますが、以下の注意点をしっかり守ることが早期治癒に繋がります。 ①鎖骨骨折後の日常生活ではとにかく腕を挙げないこと 鎖骨は腕(上肢)を動かすための、非常に重要な骨です。鎖骨が動かせなければ、腕はほんの少ししか上がりません。 腕を大きく挙げようとすれば鎖骨は動く、ということです。つまり、鎖骨が折れている状態で腕を大きく動かせば、鎖骨は自ずと動き、ズレようとする力が働くため、強い痛みが出てしまい、さらには骨の癒合を邪魔してしまいます。 そうなると、治りが遅くなり肩の動きが悪くなる後遺症が残る可能性もあります。 また、偽関節ができてしまい、力が入りづらくなることも考えられます。そのため、鎖骨骨折後の早期は手術の有無に関わらず、腕を挙げる行動を控えることが重要です。 ②鎖骨骨折後は寝方にも注意 鎖骨骨折後の早期は、寝る姿勢にも注意しなければなりません。 基本的に仰向けか患部を上にした横向きで寝ることが推奨されています。その際、骨折した側の腕が動かないようにバンドや三角巾などで固定しておくとよいでしょう。 仰向けで寝る場合は、肘が下に落ち過ぎて肩に負担がかかる場合もありますので、バスタオルを折り畳んだものを骨折側の肘の下に敷いておくと安定感が得られます。 車の運転はいつからいいの? よく聞かれる質問の一つに、「車の運転はいつからしていいのか?」というものがあります。 一人一人骨の繋がり具合や手術の有無によって差があるので一概には言えませんが、腕をしっかり挙げてOKと医師から許可が出た頃から練習をし始めるのがいいでしょう。 運転では、やむを得ず急ハンドルを切る場面が出てくるかもしれませんし、大きいカーブでは腕が上がる動作も加わります。 予測できないハンドル操作が出てくることも考えると、少なくとも1ヶ月半〜2ヶ月程度は我慢した方が良さそうです。 とにかく、鎖骨骨折をしてしまったら、自分で判断せずに専門の医療機関に診てもらい、骨折後や手術後すぐに肩を大きく動かす動作は避けましょう。 骨の繋がり状況は、レントゲンなどによって判断されるので、医師の指示のもと、段階的に動かすよう心がけましょう。 まとめ・鎖骨骨折の過ごし方|痛みはいつまで続くのか? 今回は、鎖骨骨折について発生要因や症状、治療方法、過ごし方などについてご紹介しました。 骨折の中では頻度が高い鎖骨骨折ですが、その予後は良く、医療機関の指示を守って生活すると大部分は前と同じように動かせるようになります。 鎖骨骨折そのものは、交通事故やスポーツ外傷などで発生しやすい怪我の一つです。 骨折するパターンとしては介達外力と直達外力の二種類があり、これによって治療法や経過に影響が出ます。症状は痛みや腫れ、腕の運動制限などで現れ、いずれも早めの受診が重要となります。 治療方法は保存療法と手術療法に分かれ、保存療法では鎖骨バンドの使用が一般的です。また、日常生活では腕の挙げ方や寝方にも注意が必要です。 骨の繋がり具合や手術の有無によって完治までの期間や注意点が異なるため、専門医の指示に従い、段階的な動作復帰を心がけましょう。 尚、鎖骨の骨片で大事な神経や血管を傷つけている可能性もあるため、骨の繋がり状況を確認しながら段階的に治療に取り組むことが完治への一番の近道、早く治すために有効です。 鎖骨骨折が疑われる場合は、手術をせざるを得ない状況も考えられますので「大丈夫だろう」と自分の判断で無理されることなく早めに医療機関を受診してください。 No.103 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にされませんか 鎖骨骨折の症状!?見た目の特徴、治療法と後遺症
最終更新日:2024.04.24 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
鎖骨骨折の症状?見た目の特徴、治療法と後遺症を解説します 以下のような症状がある場合、もしかすると鎖骨を骨折しているかもしれません。 ・事故のあと鎖骨が盛り上がっている気がする ・転んだあと鎖骨が痛む 骨折を放置すると、症状が悪化するばかりか、骨折が本来とは違った形、ずれた状態で”くっついて”しまう可能性もあります。 今回は鎖骨骨折について、骨折時の見た目の特徴や症状、治療法、後遺症について詳しく解説します。 鎖骨骨折の症状は?見た目でわかる?! 鎖骨骨折は全ての骨折のうち約10%を占める比較的頻度の多い骨折です。 交通事故やスポーツなどで腕を後ろにそらしたり、肩を下にしたりして転ぶと、地面についた衝撃が鎖骨に伝わって骨折してしまいます。 また、鎖骨に直接強い衝撃が加わって骨折する場合もあります。体の表面にあり確認しやすい骨なので、外見にもわかりやすい症状がみられる骨折です。 どのような症状があるのか、具体的に紹介します。 見た目の特徴:皮膚が盛り上がる 鎖骨はS字にカーブした長細い骨で、筋肉など厚みのある組織に覆われていないため、骨折時の見た目で分かることも少なくありません。 鎖骨は、中央1/3の部分で骨折することが多く、鎖骨の外側は腕の重さなどの影響で下にずれやすく、内側は首の筋肉の力で上にずれやすいという特徴があります。 そのため、骨折により骨がずれてしまうと、鎖骨の内側の部分が飛び出し、皮膚が上に盛り上がったような見た目になるのが特徴です。 また鎖骨が浮き上がらないように支えている烏口鎖骨靭帯(うこうさこつじんたい)が損傷した場合も鎖骨をおさえる機能が低下して、鎖骨が浮き上がりやすくなります。 骨がずれて重なってしまうことで、折れた方の肩幅が狭くなったように見える場合もあります。 鎖骨や肩の痛み 鎖骨は胸の中央にある骨(胸骨)や肩甲骨と合わせて関節を作っています。 肩甲骨は腕を上げたりおろしたりといった運動に関わり、肩甲骨と鎖骨でできる関節(肩鎖関節:けんさかんせつ)も、腕の運動に重要な役割を持っています。 そのため、鎖骨の骨折をすると肩を動かす場合に鎖骨に負担がかかり、痛みが生じることがあります。 肩の動きが制限される 前述のように鎖骨は肩の動きと関係するため、鎖骨を骨折すると腕を上げにくかったり、広げにくかったりといった制限がみられます。 腫れやアザができる 骨折による炎症症状で患部が腫れたり熱をもったりします。また、骨折による出血のため、アザがみられることがあります。 血流の障害や痺れ さらに、鎖骨は首の近くにある血管や神経を守る役割も担っています。 事故などで鎖骨に強い衝撃が加わったときに、周辺にある血管や神経も一緒に損傷される場合があります。その場合、血の流れが悪くなる血行障害や神経損傷による手の痺れや痛みといった症状がみられます。 鎖骨骨折の治療法 治療は手術をしない保存療法が基本ですが、骨が大きくずれてしまっている場合は手術を選択することがあります。 それぞれの治療方法について解説します。 手術しない保存療法 第一に選択されるのが、三角巾や鎖骨バンド(クラビクルバンド)と呼ばれる装具をつけて、骨折部が動かないように固定する治療です。 胸を張り、両肩を強く後ろに引いた状態で固定することで、鎖骨の変形を矯正して、骨を正しい位置でくっつけることになります。 入浴時以外はバンドをつけて生活して、入浴の際は骨折している方の手で体を支えない、90°以上の高さに腕を上げないという注意点があります。 固定の期間は4〜6週間が目安ですが、年齢が若いほど骨がくっつくのが早いため、固定期間が短くなりやすいです。 固定により腕を上げる制限がみられた場合は、リハビリで改善を図る場合があります。 骨のずれがひどい場合は手術療法 骨のずれが大きい場合や骨が砕けてしまうような骨折の場合は、手術が選択されます。 また仕事の都合できるだけ早く社会復帰を希望して、手術を選ぶ場合も少なくありません。手術療法だと、手術した後すぐにリハビリで腕を動かすことができるので、動作が改善しやすいというメットがあります。 手術は針金のようなワイヤーを鎖骨に通したり、プレートで支えたりして体の内側から鎖骨を固定します。 入院期間は手術の方法により異なり、必要に応じてリハビリを行います。 鎖骨骨折の後遺症 骨折した部分のずれがひどいと、元の位置に戻そうとしても十分な位置に戻らず、ずれたまま変形して骨がくっつく(変形治癒)という後遺症の可能性があるため、注意が必要です。 また、鎖骨の外側は平らな形をしており、折れた場合にくっつきにくいという特徴があります。くっつかずにそのままにしておくと、そこが別々の骨に分離した状態になり、まるで関節ができたようになります(偽関節:ぎかんせつ)。 いずれにしても、このような後遺症があると、痛みが出たり、肩の動きが制限されたりします。そのため、後遺症ができるだけ残らないように、状態に応じた適切な治療の選択が重要になるのです。 まとめ・鎖骨骨折の症状?見た目の特徴、治療法や後遺症について 鎖骨骨折は、外見の特徴もあり痛みも強くなりやすいため、症状がわかりやすい骨折です。外傷によって起こり、症状や治療法、後遺症について理解して治療を進めましょう。 症状と外見 ・骨折による皮膚の盛り上がりや、骨が浮き上が見られます。 ・肩や鎖骨周辺に対する痛みや腫れ、アザなどが見られます。 ・構造上、肩の動きが制限されることがあります。 ・手の痺れや痛みが生じることもあります。 治療法について ・保存療法としては、三角巾や鎖骨バンドで固定し、骨を正しい位置に保ちます。 ・骨のずれが大きい場合や、骨が砕けている場合は手術が必要です。 ・手術後は早期のリハビリが大切になります。 後遺症 ・骨折を治さないままにすると「変形治癒」や、「偽関節」が生じる可能性があります。 ・後遺症によって痛みや肩の動きの制限が生じます 鎖骨骨折は早期の診断と適切な治療が重要であり、後遺症を最小限に抑えるためには専門医の指導に従って適切な治療を行うことが必要です。 そのため、紹介したような症状がみられた場合は、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。治療をせず放置すると、変形治癒や偽関節になったりといった後遺症が生じる危険性があります。 早めの受診で、適切な診断や正しい治療を受けて、後遺症を防ぐようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.099 監修:医師 坂本貞範 ▼鎖骨骨折について以下もご覧になりませんか 鎖骨骨折とは?!症状と手術の場合、入院期間とリハビリについて
最終更新日:2024.04.24