-
- 肝疾患
脂肪肝を改善するために食べてはいけないもの 脂肪肝という病気は、脂質のひとつである中性脂肪と呼ばれる成分が肝臓内に多く蓄積してしまう状態を指しています。 脂肪肝と一言で言っても、普段から過剰に飲酒をしすぎるケースに起こるアルコール性が原因で引き起こされる種類、またはアルコールを摂取していないのにも関わらず発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(略称:NAFLD)というタイプが存在します。 脂肪肝はそもそも肝臓に脂肪が沈着する病気なので、日常的に食事メニューで脂肪分を過度に摂取しないようにだけ対策すればよいと考えている方がいますが、本当にそれだけでいいのでしょうか。 今回は、脂肪肝を改善するために食べてはいけないものに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脂肪肝を改善するために食べてはいけないもの 脂肪肝に罹患した人にとって、病気を改善させるために日頃から出来る限り食べてはいけないものを紹介していきます。 まず、一つ目は炭水化物や糖質から取り込まれる摂取エネルギーを抑えたほうがよいです。その背景には、肥満体形や糖尿病の発症率と脂肪肝の重症度は比例すると考えられており、脂肪肝を指摘された方においては食事からの摂取エネルギー量を可能な範囲で制限して、理想的な標準体重を目標にして近づけることが重要な視点となります。 一般的な摂取エネルギー量の目安としては、通常労働をしている場合には標準体重(身長m×身長m×22)×25kcal/日を基準として自分なりに適切なカロリー量を計算してみましょう。 食事から取り込まれる過剰な糖質成分は、中性脂肪に変換されて肝臓に沈着して脂肪肝を発症させやすくしてしまうことが知られています。 ・制限:炭水化物、糖質、脂質→中性脂肪に変換され肝臓に沈着>脂肪肝のリスク増大 ・肥満体形:糖尿病の発症率、脂肪肝の重症度は比例 ・標準体型を目指す 糖質について 通常では、白米や十六穀米などの穀類に含まれる糖質は、比較的肝臓への影響が少ないと考えられているため、一食につき、お茶碗一杯程度なら食べても大きな問題には繋がりません。 何より、常日頃から甘いものを制限するように意識しましょう。例えば自動販売機で売られているジュース類、あるいは駄菓子に含まれているショ糖、そして果物に豊富に含有されている果糖は、穀物のでんぷん類と比較して中性脂肪が肝臓に蓄積しやすい特徴があるため注意が必要です。 したがって、普段の食生活でも間食などはできるだけ避け、砂糖類を沢山含んでいる食べものは出来る限り摂取しないように回避するべきです。また果物にも果糖を含んでいるため、控えめにするように心がけましょう。 脂質成分を控える 脂質成分を控えることが脂肪肝を改善させるためには重要なキーポイントとなっています。 脂肪肝を患っている場合には、食べ物を調理する際にはなるべく動物性ではなく、植物性の油を使用するように心がけて、1日あたりの油の使用量は大さじ1杯程度までに抑制するように認識しておきましょう。 脂質を過剰摂取すると肝臓に中性脂肪が蓄積する原因となることが知られていますが、極端な脂肪制限は必須脂肪酸の欠乏に繋がるため、バランスよく脂質を制限することを忘れてはいけません。 バランス良い脂質制限とは、その目安として、脂質を多く含むものを摂取する機会を週に1〜2回程度の頻度になるように調整しましょう。 たんぱく質について たんぱく質に関しては、適正量を確保して良質なものを適切な範囲で補給することが必要であると考えられており、たんぱく質を摂取しすぎても極端に不足に陥っても脂肪肝そのものを悪化させることが指摘されていますので注意を払いましょう。 アルコールの考え方 アルコールに関しては、肝臓で脂肪に合成されやすく、脂肪肝に拍車をかける懸念がありますので出来るなら禁酒するほうが望ましく、飲むとしても特にアルコール度数の高い酒や、糖質の多い発泡などは、肝臓における脂肪蓄積にも繋がりますのでなるべく控えましょう。 どうしても我慢できない場合には、成人では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g)程度までに制限して、週に2日以上は休肝日を設けるように意識しておきましょう。 昨今では、脂肪肝を実際に診療する場面では、従来のアルコール性肝障害から非アルコール性脂肪性肝疾患に着眼点が移行してきています。特に、肥満症や2型糖尿病が蔓延する現代では,メタボリックシンドロームを基本として病態を理解して診療指針を立てることが重要であると指摘されています。 万が一、自分が脂肪肝になってしてしまったら、過剰な糖質や脂質の摂取を控えて、良質なたんぱく質や糖質や脂肪の吸収を緩徐にして脂肪蓄積を予防できる食物繊維を中心とした食事に改善するように心がけましょう。 日常生活における食事内容としては、余分な脂質や糖質を出来るだけ抑えることが期待できる蒸し物や焼き物、あるいは魚料理であれば刺身などを食べる事をお勧めします。 まとめ・脂肪肝を改善するために食べてはいけないもの 今回は特に脂肪肝を改善させるために普段食べてはいけないものに焦点を当てて説明してきました。脂肪肝とは肝臓を構成している肝細胞表面に脂肪成分が沈着して蓄積される病気を意味します。 本疾患の原因として、肥満、糖尿病、過度のアルコール摂取などが挙げられます。今一度食事内容を見直して生活習慣を修正することにより、脂肪肝を改善することが期待できますので前向きに実践するように心がけましょう。 以上、脂肪肝の改善|食べてはいけないものについて記させて頂きました。参考になれば幸いです。 No.053 監修:医師 坂本貞範 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.05.19 -
- 肝疾患
肝臓は代謝機能を司る重要な臓器!その役割と注意したい病気について 肝臓とは、人間が生きて行く上で大切な臓器であることはご存知だと思います。では、肝臓の役割ついてご存知でしょうか? 肝臓は、人体の腹部内において右上の肋骨に位置する臓器であり、成人では約1kg以上もの重量がある臓器で体重の50分の1にあたるほどの存在感があります。 肝臓という臓器の役割は、栄養素などを含めて様々な物質を化学的に変化させる機能を有しており、人間の身体の中で最大の代謝機能を司る重要な臓器です。 この臓器は、日々何千という生体酵素を介して500種類以上の複雑な代謝過程を起こしており、肝臓が元気であることは、その他のすべての器官や臓器にとっても非常に重要なことと言えるのです。 そこで今回は、「肝臓の役割」と「肝臓に関する主な病気」に関して詳しく解説していきます。 肝臓の働と重要な役割 肝臓は、非常に多くの働きをしている臓器ですが、その中でも大きく4つの事項に分けることができます。 1)一つ目は、胆汁を作るということです。胆汁は、食べ物の中に含まれる脂肪成分などを消化するために必要な液体の分泌物であり、おおむね黄緑色の色調を呈しています。胆汁は、肝臓における細胞から絶えず分泌されており、肝細胞レベルでは脾臓から運搬されてきたビリルビンという黄色の色素性成分を水に溶けやすいように変化させています。 2)二つ目の役割としては、栄養素を貯えて、適宜変化させるという働きです。普段私たちが摂取している多くの食べ物はそのままの状態では身体に吸収されませんので、有効な栄養素として効率よく吸収できるように肝臓で代謝しているのです。 肝臓は糖や脂質における代謝という観点においても中心的な役割を果たしている臓器のひとつであると考えられています。例えば、炭水化物から摂取されるブドウ糖成分をグリコーゲンという物質に変化させた状態で体内に貯えることができます。 その上で、必要な時に合わせてエネルギーとして使用できるよう肝臓外の体内へ送り出す機能を有しています。 また、骨髄という場所で赤血球などの血液成分を作成するために必要な物質である葉酸やビタミンB12を貯蔵し必要時に分配する役割も担っています。同様にたんぱく質から摂取されるアミノ酸成分からアルブミンとフィブリノゲンという物質を作って血中に循環させる機能を持っています。 3)3つ目の重大な役割としては毒を中和する解毒作用を有しているということです。 肝臓は生体にとって極めて重要な機能を司っており、体内に侵入した毒物を分解して毒性のない物質に変換することが出来ます。例えば、飲酒時のアルコールを中和したり、喫煙では、ニコチンを人体にとって無害なものへと中和して解毒する作用を有しています。 また、体内に乳酸が余分に溜まると、ヒトは倦怠感など自覚すると言われていますが、肝臓内においてはその乳酸成分をグリコーゲンに変化させることが出来ます。 4)4つ目の役割として肝臓内では免疫細胞が活躍していると考えられています。 肝臓内においてクッパー細胞と呼ばれる重要なセル成分が生体に入ってきた異物を貪食する、あるいはナチュラルキラー(NK)細胞がウイルスに感染した細胞や老廃物を処理するなど免疫機構にとって重要な細胞に対して肝臓は指令する重大な働きを担っているのです。 肝臓の4つの役割 1.胆汁を作る役目(脂肪成分を消化するための液体) 2.代謝、栄養素(エネルギー)を貯える役目 3.有害な同素等の中和、解毒 4.免疫機能 肝臓の働きは多岐にわたります。本稿では働きを上記の4つに分けて示しましたが、代謝と、備蓄を別にとらえたり、免疫を含めなかったり、色々な面から解説されています。そのため、肝臓の働きを4つと限定するものではありません。 ・肝臓の注意すべき病気とは ここでは、肝臓に関連するおもな病気について、いくつか紹介していきます。 急性肝炎 まずは、「急性肝炎」に関してご説明いたします。この病気は、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響によって肝臓内に存在する細胞が破壊されて、強い炎症所見を呈するものです。 例えば、「アルコール性肝炎」は、飲酒の習慣化し、その量が多い場合に起こりやすい疾患です。肝臓に脂肪が蓄積されることで炎症が起こります。また、飲酒の習慣が内にも関わらずアルコール性肝炎似ている症状で肝臓に脂肪が蓄積し炎症が起こす「非アルコール性肝炎」というものもあります。 肝炎ウイルス(A・B・C・E型/Dもあるが日本ではあまり見られない)に感染する「ウイルス性肝炎」の場合、数週間から数カ月経過して身体の倦怠感、食欲不振、白目や皮膚が黄染される黄疸などの症状が出現すると言われています。 これらの疾患では、原因となっている「飲酒をやめる」、原因となる「ウイルスを排除」する、原因となっている「薬剤を中止」するなどの対応ができれば、数カ月単位で症状が改善していく傾向があります。 慢性肝炎 次に、「慢性肝炎」に関して説明します。この病気は、急性肝炎とは異なりおよそ半年以上に渡って肝臓自体の炎症が継続している状態を指しています。 主な発症要因としては、急性肝炎が完全に治りきらない状態が続くために引き起こされますが、本疾患における自覚症状が非常に軽微であるために健康診断の血液検査でたまたま発見されることのほうが多いと言われています。 仮にそのまま放置すると肝硬変や肝臓癌などに移行することもあると問題視されているため、健康診断の数値などに対して十分に注意を払う必要があります。異常な数値がみられる場葵は早期に病院等、医療機関の早期受診をお勧めします。 肝硬変 そして、次に「肝硬変」という病気を紹介したいと思います。 この病気は皆さんもよく耳にする機会が多いかもしれませんが、慢性肝炎などによって肝臓内の細胞が破壊されて修復再生を繰り返すうちに、肝臓組織が繊維化されて固くなってしまう特徴を有していることから名づけられた疾患です。 肝臓における重要な機能や役割が低下して、元の正常な状態に改善できなくなってしまい、肝細胞癌など悪性腫瘍病変に進展してしまうことも十分に考えられます。 初期にはほとんど有意な症状を認めないことが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、あるいは体重減少など多彩な症状が出現することが知られています。 さらに病状が悪化すると、四肢の浮腫像や腹部膨満感、そして全身が黄色く染まる黄疸と呼ばれる症状などが自覚されることになります。 肝臓病の例 ・急性肝炎 ・慢性肝炎 ・アルコール性肝炎 ・非アルコール性肝炎 ・ウイルス性肝炎 ・肝硬変 ・肝臓がん まとめ・肝臓は代謝機能を司る重要な臓器!その役割と注意したい病気について 今回は、肝臓の役割と肝臓に関する主な病気に焦点を当ててご紹介してまいりました。肝臓という臓器は身体にとって非常に重要な役割を数多く有している大切な臓器です。組織を修復する能力や代償する機能にも優れています。 今回、代表的な肝臓の病気をご紹介しましたが、皆様ご存じの通り、肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。通常、わたしたちは体のどこかに異常があると、何かしらかの痛みを自覚するなど、様々な自然反応が出現します。 これに対して、肝臓は非常に我慢強く、多少の異常が起こっても症状が乏しい特徴があります。そのため、病変の存在に気付きにくく、知らぬ間に病状が進行していることが往々にしてあります。ある意味、非常に怖い臓器なのです。注意して見守ってやらねばなりません。 したがって、定期的な健康診断などを受診して自分の肝臓が正常に機能しているかどうかを評価することは大変重要なことですし、実際に肝臓病になって出現する症状は個々で異なる場合も考えられますので、不安であれば主治医や肝臓専門医に相談しましょう。 また自身で予防できることとして、暴飲暴食などの習慣化を避けるだけでも一部の肝臓病は避けることができます。もの言わぬ臓器だけに自分自身を労わる気持ちをもって生活を見直し、管理するようにしましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S068 監修:医師 加藤 秀一 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています
2022.04.04 -
- 肝疾患
検診結果で「肝臓の数値に異常」が見つかった場合、肝機能障害の原因と対策 皆様の中で健診などにおいて肝臓の数値が悪い、あるいは肝臓の機能が低下(肝機能障害)していると指摘された人はいませんでしょうか。 日本人間ドック学会によると、ドック受診者の中でおよそ3割の方が肝機能の障害や肝臓数値の異常を指摘されていると報告されています。肝機能障害とは、何らかの原因によって肝臓にある細胞が障害を受けて炎症が起こることで細胞が破壊されてしまう病態のことを意味します。 肝臓の機能障害を引き起こす原因は、B型やC型の肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、過剰な脂質の摂取や肥満、そして自己免疫の異常など非常に多岐にわたります。 肝機能が著しく低下する状態が続くと、肝硬変や肝臓癌を発症するリスクも高くなりますし、顕著な肝障害を呈する場合には食道静脈瘤や肝性脳症など命に関わる重篤な合併症を併存しやすくなります。 今回は、肝臓の機能障害(肝機能障害)を引き起こす原因を中心に詳しく解説していきます。 肝臓の数値異常・機能障害を引き起こす原因について 普段、職場で受診する健康診断などで肝機能障害を急に指摘され、不安に思われている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。 肝臓の機能障害が引き起こされると健診の血液検査項目で肝臓数値の異常として表示されることになります。これは、肝臓の細胞内に含まれるAST(GOT)や、ALT(GPT)といった指数で表されます。 これらは、肝臓の細胞に含まれる酵素のことで、肝臓がダメージを受けると、この酵素が血液中に漏れ出てくるため、その量をもって肝臓のダメージを数値化して計ることができます。 ダメージが大きいほどASTや、ALTの数値は増え、数値が著しく大きな場合は「脂肪肝」「慢性肝炎」「急性肝炎」「アルコール性肝炎」などに罹患している可能性があります。 肝機能障害の原因 一般的にこういった肝臓の機能障害は、何が原因となって引き起こされるのでしょうか。慢性的に認められる肝機能障害の原因として有名なのは、B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪性肝炎、自己免疫性肝炎などが挙げられます。 これらの代表的な肝機能障害の原因によって、長期間にわたって肝臓に炎症が継続することで、肝臓の細胞は徐々に破壊されていき、その部位に硬い組織が蓄積して形成されていきます。 また近年、現代の飽食や運動不足といった背景から引き起こされる肥満や、糖尿病などの生活習慣病から発症する非飲酒者における脂肪肝といった非アルコール性脂肪性肝機能障害といった例も増加しているといいます。 欧米ではアルコール(飲酒)が原因の肝臓の機能障害が多いと言われています。 一般的に、エタノールを1日に男性は30g以上(ビールで換算すれば750ml、日本酒で計算すれば1合半相当に該当)、また女性は20g以上、アルコールを接収すると肝臓の機能障害を引き起こすと考えられています。 アルコール関連の肝機能障害は、慢性的な過剰飲酒によって生じることが知られており、脂肪肝炎をはじめとして急性肝不全、肝硬変、肝がんなど多彩な病型を呈することが報告されています。 その一方で、わが国では肝炎ウイルスの感染によるものが多く、特に肝機能障害の原因となる肝炎ウイルスの中でもC型肝炎(以下、HCV)とB型肝炎(以下、HBV)が多く見られます。それに次いで飲酒が主たる原因となります。 通常では、肝炎を引き起こすウイルスの中にはA型、B型、C型、E型の4種類が存在しますが、HBVの場合には輸血歴や出産歴、注射針の使い回しや性行為によって感染し、HCVでは、輸血や血液製剤、あるいは体に入れ墨を施す行為などによって感染することが知られています。 ウイルス感染による肝炎 感染原因の一例 C型肝炎(HBA) 輸血歴、出産歴、注射針の使い回し、性行為 B型肝炎(HCV) 輸血、血液製剤、入れ墨 また、薬剤によって肝機能の障害が起こる可能性があることも忘れてはいけません。 通常、基礎疾患の治療目的であったとしても、その薬物の副作用によって肝臓に障害が起こることがあります。具体的に肝障害の原因となる薬剤の代表例としては抗生物質や解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬など多岐に渡ります。 その他、原発性胆汁性胆管炎などで胆汁がスムーズに排出されなくなる、あるいは中年以降の女性に発症しやすい自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、または慢性心不全などの病気を契機に肝機能障害に陥ることもあります。 肝炎を引き起こす感染以外の原因の一例 アルコール、飲酒 抗生物質、解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬等 自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、慢性心不全 肝臓の機能障害は将来的に肝硬変や肝臓癌に移行するリスクが高い状態と考えられているため、常日頃から肝障害の原因となるものを認識しておく必要があります。 まとめ・検診結果で「肝臓の数値に異常」が見つかった場合、肝機能障害の原因と対策 今回は特に肝機能障害の原因に焦点を当ててご説明してきました。 肝臓はその一部が線維化して働けなくなってしまっても、残っている細胞が代わりに機能を受け持つことで、しばらくは自覚症状がほとんど出ません。それゆえに、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。 一般的に自覚症状が出にくく、症状の出現に気づいた時には肝臓の機能障害がかなり進行していたという場合も決して珍しくありません。したがって、健康診断などで肝臓の数値に異常があった場合には自覚症状がないからという理由だけで放置すると深刻な病気に進行する懸念があることを認識すべきです。 肝臓の機能障害は、肝臓の様々な病気やお酒などによって肝臓の細胞が破壊され続けることでも起こります。心配であれば、病院や、最寄りの内科クリニックや、消化器内科などをの専門医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。 以上、肝臓の数値にドキッ!機能障害を引き起こす原因について記載させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S064 監修:医師 加藤 秀一 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病(肝炎、肝硬変)の新たな治療法として注目を浴びています
2022.03.25 -
- 肝疾患
脂肪肝は放置厳禁、その原因と症状、治療法について解説します 肝臓に中性脂肪が貯留した状態を「脂肪肝」と言い、この疾患はメタボリック症候群に合併しやすいことが指摘されており、放置すると肝炎などを引き起こして重症化することが知られています。 一般的に、脂肪肝という病気には飲酒をしすぎる場合に発症するアルコール性、あるいはアルコールを多量に摂取していないけれども引き起こされる非アルコール性脂肪性肝疾患(略称:NAFLD)に分類されます。 このNAFLDは、さらに細かく分けると病状があまり進行しない種類の非アルコール性脂肪肝(略称:NAFL)と、その逆に肝炎へ進展しやすいことが問題視されている非アルコール性脂肪性肝炎(略称:NASH)に分類されます。 脂肪肝 ・アルコール性 飲酒が原因 ・非アルコール性脂肪性肝疾患 略称:NAFLD 飲酒を原因としない ・非アルコール性脂肪肝/略称:NAFL 症状が進行しずらい ・非アルコール性脂肪性肝炎/略称:NASH 肝炎に進行しやすい 脂肪肝は基本的には無症状のままで経過することが多く、健康診断などで初めて指摘される方も少なくありませんが、本疾患を放置しすると約1~2割の頻度で「肝炎、肝硬変、肝細胞がん」へと病状が悪化するケースも散見されるため注意が必要です。 この病気は生活習慣と関連して発症することが多いことが判明しており、肝硬変などに進行していない状態であれば普段の生活習慣を見直して改善することで肝臓の機能が回復することも十分に期待できます。 今回は、脂肪肝とはいったいどのような病気なのか、その原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脂肪肝の原因 脂肪肝を引き起こす主要な原因としては過食と多量の飲酒習慣です。 それ以外にも、糖尿病、基礎疾患に対するステロイド剤の長期服用、栄養障害による代謝異常なども本疾患を発症させる原因になることが判明しています。 導入でも触れましたが、特にアルコールではなく過度の食事摂取などが原因で脂肪肝から肝炎や肝硬変に進展するタイプを「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」と呼称しており、近年では年々罹患率が増加していることから特に注目を浴びています。 アルコール性の脂肪肝に関しては当然のことながら過剰な飲酒習慣が継続されることによって発症すると伝えられている一方で、非アルコール性の脂肪肝ではその背景に肥満やメタボリックシンドロームなどが潜在して引き起こされることが通常です。 その他にも、やせ過ぎ、遺伝的な代謝疾患、妊娠を契機として、等を始めとして様々な原因や経過によって脂肪肝が引き起こされることも報告されています。 脂肪肝の原因の一例 ・過食 ・過度の飲酒 ・糖尿病 ・ステロイド剤の長期服用 ・栄養障害(代謝異常) ・肥満、メタボリックシンドローム ・痩せすぎ、遺伝的代謝疾患、妊娠 ・その他、さまざまな要因 脂肪肝の症状 脂肪肝の初期にはほとんど自覚症状はなく、顕著な症状が現れにくい状態でもあります。脂肪肝が悪化して、やがて肝炎を起こして肝硬変に進行して初めて食欲不振や倦怠感、右上腹部痛などの有意な症状が出現するようになる傾向があります。 これらの病気が進行すると、手足の浮腫所見や体が黄色く染まる黄疸、あるいは腹水貯留などの症状が出現しますし、仮に肝臓への血流が停滞して門脈圧が増えすぎる食道静脈瘤を形成して命に係わる場合も考えられます。 このように、脂肪肝は進行すると重篤で致命的な症状が現れる可能性がある疾患ですので、無症状でも指摘された際には放置することなく医療機関を受診するように心がけましょう。 近年の肥満人口の増加に伴って、過剰な栄養摂取による脂肪蓄積を原因とする非アルコール性脂肪性肝疾患 (non‐alcoholic fatty liver disease:略称NAFLD) が世界的にみて患者数が増えていると言われています。 NAFLDの中でも単純な脂肪肝の場合には一般的に予後良好とされています。 ところが、肝臓レベルでの炎症や線維化を主徴とする過度のアルコール摂取歴が関与しない脂肪性肝炎 (non‐alcoholic steato‐hepatitis: 略称NASH)については肝硬変や肝細胞癌に進展する重症なタイプであると考えられています1)。 脂肪肝の検査 仮に健康診断などで脂肪肝を指摘されて医療機関を受診して実施された血液検査で肝数値などの異常所見が認められた場合には、肝臓の状態をより詳細に精査するために腹部超音波検査やCT検査、MRI検査などを始めとした画像をもって評価が実行されるでしょう。 それ以外にも、肝細胞を採取する肝生検という処置が行われて、それによって得られた細胞の特性を顕微鏡で詳しく調査することによって病気の進展度や悪性所見の有無などが確実にアセスメントすることができます。 基本的には、摂取したエネルギーが消費するエネルギーを上回ると余分なエネルギーが自然に発生して中性脂肪につくり替えられて肝臓にも貯蔵されることが知られていることから、肝細胞の30%以上で中性脂肪が沈着していると原則脂肪肝と診断されます。 脂肪肝の治療 脂肪肝はその原因や発症機序によって治療方針が異なりますし、生活で注意すべき視点も柔軟に変化させる必要があります。アルコールが原因で脂肪肝に罹患した場合には、日々の生活においてアルコール摂取量を減らすことが肝要です。 また、非アルコール性脂肪性肝疾患のように肥満やメタボリックシンドロームなどが背景として存在している際は、運動して減量する、食事量を調整するなどの対策が必要となります。 脂肪肝の治療では、一度生活習慣を是正出来たとしても元通りの生活リズムに戻ってしまうと脂肪肝が再発してしまうこともあり、日常的に運動療法や食事治療などを楽しむ心意気を持ちながら、決して無理しない範囲で継続することがキーポイントとなります。 脂肪肝を指摘された際には、放置せずに早めに医療機関を受診して確実な治療に結び付けることが重要な視点となります。 まとめ・脂肪肝は放置厳禁、その原因と症状、治療法について解説します 今回は脂肪肝とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 脂肪肝とは、一言で言うと肝臓内に中性脂肪を始めとした脂質成分などが異常蓄積する状態を指しており、通常では日々の生活習慣において栄養バランスの偏った食生活や慢性的な運動不足などが原因で引き起こされます。 健康診断や人間ドックで肝機能の数値の異常が発見されることが多く、初期の段階ではほとんど自覚症状が無いのが特徴的ですが、病状が進行すると倦怠感、腹部膨満感、食欲不振などの有意症状が出現する場合もあります。 この病気に対する基本的な治療策としては、主に生活習慣の改善、食事療法や運動療法になりますので、定期的に主治医やかかりつけ医と相談しながら肝機能の数値を検査して自分の状態を適切に把握していくことが重要な観点です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 肝臓の再生医療についてはこちらもご覧ください 肝臓(肝炎・肝硬変)の再生医療・幹細胞治療 No.S060 監修:医師 加藤 秀一
2022.03.17