-
- 股関節、その他疾患
- 股関節
股関節の痛み。特に、片側だけに痛みを感じると、不安は増幅します。一体何が原因なのでしょうか? ここでは、原因5つをを、分かりやすく解説します。それぞれの原因による症状の違いや、的確な診断に繋がるポイントを具体例とともに詳しく見ていきましょう。 股関節痛の主な原因5つ 股関節の痛みがあると、日常生活が辛いですよね。股関節痛の原因は多岐にわたりますが、ここでは代表的な原因を、詳しく具体的な例を交えて解説します。 リウマチの影響とその症状 リウマチは、体の免疫システムが、誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。主に関節の変形、腫れや痛みを伴います。両方の股関節が同時に痛むことが多いですが、片側だけが痛む場合もあります。 朝起きた時に、股関節がこわばって動かしにくいと言われる方が多くみられます。痛みは、日中活動するうちに徐々に楽になりますが、夜にかけて炎症が増すことが多くみられます。リウマチでは、関節の進行性変化が特徴で、重症化すると、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 大腿骨頭壊死の特徴的な症状 大腿骨頭壊死は、太ももの骨の先端部分である大腿骨頭への血管が詰まり、壊死することで発症します。初めの頃は、何も症状が出ないことがよくありますが、重症化すると、歩くのが辛くなります。特に、足の付け根である鼠径部に痛みが出やすくなります。 原因として、ステロイドの内服を長く服用していたり、お酒をよく飲む方、外傷などが原因で発症することがあります。病態は徐々に進行していくので、注意が必要です。 MRI検査で壊死範囲を診断し、治療法を選択します。末期になると、人工関節置換術などの手術が必要になることもあります。 ▼特発性大腿骨頭壊死症の原因と症状について、併せてお読みください。 滑膜炎・滑液包炎の診断基準 滑膜炎は、関節を包む滑膜に炎症が起こる病気です。滑液包炎は、関節のクッションの役割を果たす滑液包に炎症が起こる病気です。これらは股関節に痛みや腫れ、熱感を引き起こし、子どもに多く見られます。 小児期には、一過性滑膜炎、化膿性股関節炎、ペルテス病などの股関節の病気がよく見られます。これらの病気は似たような症状を示すことが多く、特に小さいお子さんの場合、うまく症状を伝えられないため、診断が難しくなることがあります。 安静、消炎鎮痛剤、冷却などで治療します。重症の場合は、関節内にステロイド薬を注射することもあります。特に、細菌感染が原因となる化膿性股関節炎は、早期の診断が大切です。 脊椎や骨盤からの関連痛の可能性 股関節の痛みは、必ずしも股関節自体に問題があるとは限りません。たとえ、他の場所に病変があっても、その痛みが股関節に広がり、あたかも股関節が痛むように感じることがあります。これを関連痛といいます。 そして、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった腰の病気が原因で、股関節だけでなく、腰から足にかけても痛みやしびれを感じることがあります。 筋肉の問題が引き起こす痛み 股関節周囲の筋肉のトラブルも、股関節痛の原因となります。中殿筋、小殿筋、腸腰筋、大腿四頭筋といった足を動かすための筋肉に問題があると、股関節の痛みが出ます。動かす時に痛みが出て、該当する筋肉を外から押すと、痛みを感じます。 股関節痛の鑑別診断方法 股関節の強い痛みは、まさに日常生活の大きな壁となって立ちはだかります。原因を見つけるには、鑑別診断が欠かせません。股関節痛を引き起こす原因は実に様々で、その一つ一つを見極めることが、痛みからの解放への第一歩となります。 症状に基づく鑑別ポイント 股関節痛を鑑別するには、痛みの種類や症状の特徴を細かく分析することが重要です。単に「痛い」というだけでなく、安静時なのか、鈍いのか、キリキリ痛むなどといった情報を医師に伝えることで、原因を特定するための手がかりとなります。 変形性股関節症の初期症状は動作時に現れて、反対に、安静時痛があれば、変形が進行している可能性も考えられます。また股関節の動きが悪くなるという情報も大切です。 その他、発熱、腫れ、皮膚の発赤などの症状も、感染症や炎症性疾患の可能性を示唆するサインかもしれません。 左右の股関節痛の違い 左右どちらか一方の股関節だけが痛む場合、その原因を探る上で左右差は重要な手がかりとなります。 例えば、右側が痛い場合、右側に体重をかけることが多かったり、いつも同し脚側の足を組む、といった習慣が原因となっているかもしれません。 反対に、左側だけが痛む場合、内臓疾患が隠れている可能性も視野に入れる必要があります。 例えば、大腸憩室炎や尿管結石などは、左側の股関節痛を引き起こすことが知られています。股関節痛の原因が股関節自体にあるとは限らない、ということを覚えておきましょう。 レントゲンやMRIで病気を精査して鑑別します。 痛みの部位ごとの症状 股関節痛と言っても、痛い場所によって原因疾患が異なる場合があります。 足の付け根から太もも前面にかけて痛みがある時は、変形性股関節症や大腿骨頭臼蓋インピンジメント症候群といった病気が疑われます。変形性股関節症は、軟骨がすり減ることで発症し、後者の大腿骨頭臼蓋インピンジメント症候群は、骨頭に余分な骨が存在して、結果として股関節の動きが制限されることで発症します。 ▼変形性股関節症の症状とチェック方法について、併せてお読みください。 股関節の外側が痛む場合、大転子痛症候群や腸脛靭帯炎といった、筋肉の炎症の可能性が高くなります。大転子痛症候群は大腿骨の大転子と呼ばれる部分に付着する筋肉や腱が炎症を起こす病気で、腸脛靭帯炎は太ももの外側を走る腸脛靭帯と呼ばれる組織が炎症を起こす病気です。 股関節の後側が痛む場合は、坐骨神経痛やハムストリングの損傷などが考えられます。ハムストリングは太ももの裏側にある筋肉群のことで、スポーツなどで損傷することがあります。どの部分が痛むのかを把握することでが大切です。 股関節痛の新たな治療法 変形性股関節症や大腿骨頭壊死症など、股関節に対する治療法は、これまで手術しかありませんでした。手術はしたくないけど痛みをどうにかしたい、という股関節の痛みでお悩みの方はぜひ一度当院へご相談・お問い合わせください。股関節への新たな治療法「再生医療」でみなさんを笑顔にしたいと思っています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Pijnenburg L, Felten R, Javier RM. "[A review of avascular necrosis, of the hip and beyond]." La Revue de medecine interne 41, no. 1 (2020): 27-36. Hines JT, Jo WL, Cui Q, Mont MA, Koo KH, Cheng EY, Goodman SB, Ha YC, Hernigou P, Jones LC, Kim SY, Sakai T, Sugano N, Yamamoto T, Lee MS, Zhao D, Drescher W, Kim TY, Lee YK, Yoon BH, Baek SH, Ando W, Kim HS, Park JW. "Osteonecrosis of the Femoral Head: an Updated Review of ARCO on Pathogenesis, Staging and Treatment." Journal of Korean medical science 36, no. 24 (2021): e177. Lepiece C, Dunand X, Thirion T. "[Coxalgia]." Revue medicale de Liege 77, no. 11 (2022): 672-677. "Transient synovitis, septic hip, and Legg-Calvé-Perthes disease: an approach to the correct diagnosis." Pediatric clinics of North America 61, no. 6 (2014): 1109-18. "Hip Pain in Adults: Evaluation and Differential Diagnosis." American family physician 103, no. 2 (2021): 81-89. "Avascular Necrosis of Femoral Head-Overview and Current State of the Art." International journal of environmental research and public health 19, no. 12 (2022): .
2025.02.07 -
- 変形性股関節症
- 股関節、その他疾患
- 股関節
足の付け根の痛み、それは日常生活を脅かす、まさに「歩けないほどの苦痛」と言えるでしょう。立つ、歩く、座る、寝る、どんな動作も困難になり、重たいドスンとした痛みや、チクチクと針で刺したような痛みが出ます。断続的なものから持続的なものまで様々です。原因も、筋肉や靭帯の損傷、鼠径ヘルニア、股関節の病気など多岐に渡り、放置すると日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 今回の表題である足の付け根の痛みは、1999年の統計では約40万人が経験したとされています。そして、現代社会のストレス増加に伴い、その数は増加傾向にあると推測されます。 今回の内容は、足の付け根の痛みの主な原因として4つを紹介し、丁寧にわかりやすく解説します。また、適切な対処法や予防策までを網羅的にご紹介します。もしこの痛みで悩んでいるなら、ぜひこの記事を読んでみてください。 足の付け根の痛みの原因4選と症状 足の付け根の痛みは、とても辛いと思います。歩いたり、座る、寝る、どんな動作も苦痛に感じ、普段の生活に大きな支障をきたしてしまいます。 原因が分からず不安な方も多いと思いますので、今回はそんな不安を解消できるように、足の付け根の痛みについて丁寧に説明します。ぜひ最後までご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ①鼠径部(足の付け根)の痛みとは 鼠径部はどこにあるのでしょう。それはお腹の下の方とお尻の境目あたり、ちょうど太ももの付け根に位置する部分です。ここが痛くなると、歩く、立ち上がる、階段の上り下りといった日常の動作が困難になります。痛みはチクチクとた痛み、重たいズシっとした痛み、継続的な痛み、痛みが出たり、出なかったりを繰り返す痛みなど、様々です。 鼠径部の痛みの原因は色々あります。例えば、太ももの筋肉を急に伸ばしてしまった、長い間無理な姿勢をしていたなどで、筋肉が損傷したり靭帯を伸ばしてしまったりして、痛みが生じることがあります。 注意が必要なのは鼠径ヘルニアです。これは消化器系の病気となり、お腹の中の腸の一部が鼠径部に飛び出てしまう病気も、原因となります。 その他にも、リンパ節に炎症が出て腫れてしまったり、股関節自体の変形や病気で痛みが出ることもあります。この場合は、緊急を要することもありますので、できれば、症状が見られたら早い目に医療機関に受診する方がいいでしょう。整形外科疾患であれば、すぐに命に関わることは少ないですが、やはり消化器系の病気であれば、一刻を争う病気もあるので注意しましょう。 ②股関節の痛み 股関節は、骨盤と太ももの骨をつなぎ、立つ、歩く、座るといった動作を支える重要な関節です。身体を支える重要な股関節が怪我をすると、その痛みが鼠径部に波及(はきゅう)することもよくあります。 股関節の痛みで、よく疑われる疾患として変形性股関節症があげれます。これは、股関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合って炎症を起こし、その結果、股関節や太もも、お尻あたりに痛みが出ます。年齢が高くなると発症しやすくなりますが、若年者であっても股関節の形に異常があったり、スポーツなどで股関節に過度の負担がかかり続けたりすると発症する可能性があります。 初期症状としては、何か動作をするときの初動の時に痛みが出ることが多いですが、末期になるにつれて、動かなくても痛みが出ます。安静にしていても股関節周りの痛みがある場合は、ためらわずに病院に受診しましょう。 ▼変形性股関節症の初期症状とチェック方法について、併せてお読みください。 ③スポーツヘルニア(アスレチックパブアルギア) スポーツヘルニア(アスレチックパブアルギア)は、急に向きを変えることが多い動作を伴うスポーツで起こりやすいです。下腹部の奥の壁が弱くなる、あるいは恥骨結合への筋肉の付着部の損傷によって引き起こされます。 太ももの内側、下腹部、陰部などに痛みが出るのが特徴です。動作時や動作後に痛みが強く出ます。しばらく安静にしていると痛みが軽くなることが多いです。 多くの場合、保存療法で改善しますが、痛みが強い、長引く場合は手術が必要となることもあります。特にアスリートにとっては競技復帰が大きな目標となるため、適切な治療とリハビリテーションが不可欠です。 pubmedの研究によると、スポーツヘルニアの患者は保存療法で効果なければ、手術に踏み切ることになりますが、多くの患者さんが手術によりスポーツ復帰されていると報告されています。 ④腸腰筋の炎症 腸腰筋は、背骨から太ももの骨につながる筋肉で、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしています。腸腰筋を痛めてしまうと、足の付け根が痛くなります。 腸腰筋炎は、スポーツなどで同じ動作を繰り返すことで発症しやすく、陸上競技やバスケットボールなどのアスリートに多く見られます。 また、デスクワークや車の運転などの同じ姿勢でいる時間が長くても、痛みが出ることもあります。この場合、普段動いていないと筋肉が固まってしまい、少し伸ばしただけで筋肉に傷がついてしまうからです。 腸腰筋を痛めてしまうと、足の付け根の奥の方が痛くなり、深くしゃがんだり、足を上げるときに痛みが強く出ることが多いです。 腸腰筋の障害はスポーツ選手における鼠径部痛の重要な原因であり、保存的治療に反応しない場合は、筋腱単位の関節鏡視下延長を含む手術療法が必要となる場合があります。 足の付け根の痛みの対処法と治療 足の付け根の痛みは、日常生活のあらゆる動作に関連して出現します。歩く、立つ、座るという動作も苦痛になってきます。生活の質を大きく下げてしまう厄介な症状です。痛みの原因は多岐にわたり、適切な対処法を見つけることが重要です。 ここでは、家庭でできる対処法と病院で行う治療法、そして将来の痛みを予防するためのストレッチやエクササイズについて、わかりやすく解説します。 家庭でできる対処法:安静、冷却、湿布 足の付け根に痛みを感じたら、まず「安静」にすることが大切です。これは、骨折した腕をギプスで固定するのと同じ考え方です。痛みがある時に動かし続けると、炎症が悪化し、痛みが長引く可能性があります。可能であれば、足を心臓より高く上げて休ませることで、足のむくみを軽減し、痛みの緩和に繋がります。 次に、「冷却」です。氷水を入れた袋や保冷剤をタオルで包み、痛む部分に15~20分程度当ててください。冷却することで、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。ただし、冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意が必要です。皮膚の状態を確認しながら、適度な時間で冷却するようにしましょう。 痛みが強い場合は、「湿布」も有効です。ドラッグストアなどで手軽に購入できる湿布薬には、冷感タイプと温感タイプがあります。一般的に、急性期の炎症には冷感タイプ、慢性的な痛みには温感タイプが適していると言われています。自分のいまの症状に応じて選びましょう。また、湿布薬を使用する際は、説明書をよく読み、かぶれなどに注意してください。 これらの対処法を試しても痛みが改善しない時には、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。 病院での治療法:薬物療法、理学療法、手術 病院での治療法は、痛みの原因や重症度によって異なります。 例えば、細菌感染が原因の場合は抗生物質、痛みが強い場合は痛み止めや炎症を抑える薬が処方されます。薬物療法は、痛みや炎症を抑えるだけでなく、原因となっている病気を治療する効果も期待できます。 また、理学療法士によるリハビリテーションやマッサージなどの理学療法も有効です。理学療法は、関節の可動域を広げたり、筋肉を強化することで、痛みの改善や再発予防に繋がります。 鼠径ヘルニアは、腸の一部が太腿の方に飛び出しているため、手術が必要になることもあります。手術には様々な方法があり、医師とよく相談して最適な方法を選択することが重要です。 スポーツヘルニアの場合、保存的治療に抵抗する場合は手術療法が必要になります。pubmedの研究では、スポーツヘルニアの患者は非手術療法の失敗後に手術療法を必要とする場合が多いとされています。腸腰筋の障害も保存的治療で効果がない場合、手術が選択肢となります。腸腰筋障害の保存的治療としては、活動制限、理学療法、非ステロイド性抗炎症薬、コルチコステロイド注射などが挙げられます。 ▼股関節症の病気の種類と治療法について、併せてお読みください。 予防のためのストレッチとエクササイズ 足の付け根の痛みを予防するためには、日頃からストレッチやエクササイズを行い、股関節周りの筋肉を柔軟に保ち、筋力を strengthening することが重要です。 股関節を柔らかくするストレッチとして、仰向けに寝て片方の膝を曲げ、胸に引き寄せる方法があります。 また、椅子に座った状態で、片足を上げて数秒間キープするエクササイズは、大腿部の筋肉を増やすのに適しています。 これらのストレッチやエクササイズは、痛みがない範囲で行いましょう。無理に行うと、逆に痛みを悪化させる可能性があります。自分に合った方法を見つけることが大切です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 まとめ 足の付け根の痛み、本当につらいですよね。この記事では、その原因と家庭でできる対処法、そして病院での治療法について解説しました。 痛みの原因は、股関節の炎症やスポーツヘルニア、腸腰筋の炎症など様々です。まずは安静、冷却、湿布などで様子を見てみましょう。それでも痛みが続く場合は、我慢せずに医療機関を受診してくださいね。専門家のアドバイスを受けることで、その痛みが緊急性を要するものかの判断もでき、少しでも早く回復することができます。普段から、少しでも筋力トレーニングやストレッチを取り入れることで予防にもつながります。 この記事が、少しでもあなたの痛みの緩和と不安の解消に役立てば幸いです。 参考文献 Weir A, Brukner P, Delahunt E, Ekstrand J, Griffin D, Khan KM, Lovell G, Meyers WC, Muschaweck U, Orchard J, Paajanen H, Philippon M, Reboul G, Robinson P, Schache AG, Schilders E, Serner A, Silvers H, Thorborg K, Tyler T, Verrall G, de Vos RJ, Vuckovic Z, Hölmich P. "Doha agreement meeting on terminology and definitions in groin pain in athletes." British journal of sports medicine 49, no. 12 (2015): 768-74. Elattar O, Choi HR, Dills VD, Busconi B. "Groin Injuries (Athletic Pubalgia) and Return to Play." Sports health 8, no. 4 (2016): 313-23. Anderson CN. "Iliopsoas: Pathology, Diagnosis, and Treatment." Clinics in sports medicine 35, no. 3 (2016): 419-433.
2025.01.31 -
- 変形性股関節症
- 再生治療
- 股関節
股関節の痛みで、やりたいことを諦めていませんか? 歩く、立つ、座るといった日常動作でさえ苦痛なら、一度「人工股関節置換術」について考えてみてはいかがでしょうか。 この記事では、手術の概要からメリット・デメリット、費用、術後の生活まで、丁寧にわかりやすく解説します。日本では年間約10万件もの人工股関節置換術が行われており、技術も進歩しています。最新の知見に基づき、あなたの股関節の痛み解消のヒントとなる情報をお届けします。 人工股関節置換術の概要とメリット・デメリット 股関節の痛みは、日常生活に大きな影を落とします。歩くのがつらくて趣味の散歩も諦めてしまった、買い物に行くのも一苦労…など、やりたいことを我慢していませんか? この記事では、股関節の痛みに悩んでいるあなたのために、人工股関節置換術について、小学生にもわかりやすく解説します。手術のメリット・デメリットや、他の治療法についても説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 人工股関節置換術とは? 人工股関節置換術とは、傷んでしまった股関節を、人工の股関節に取り替える手術です。 私たちの股関節は、骨盤側の受け皿のような形をした臼蓋と、太ももの骨の先端にある丸い大腿骨頭が組み合わさってできています。この精密な構造のおかげで、私たちはスムーズに歩く、走る、しゃがむといった動作を行うことができます。 しかし、加齢や激しい運動、怪我などが原因で、この臼蓋と大腿骨頭がすり減ったり、変形したりすることがあります。すると、まるで砂利道の上を歩いているかのような、ギシギシとした痛みや違和感を感じ始め、次第に歩行が困難になってきます。 人工股関節置換術は、まさにこのすり減ったり変形したりした股関節の表面を、耐久性の高い人工物でできた部品に交換する手術です。 人工関節は、主にチタン合金やセラミック、高分子ポリエチレンといった、人体に優しく、摩耗しにくい素材で作られています。これらの素材は長持ちするように設計されているため、手術後には、再びスムーズに動けるようになり、痛みからも解放される可能性が高まります。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 どのような人が対象となるのか 人工股関節置換術は、すべての股関節痛の方に適応されるわけではありません。主に、変形性股関節症などの疾患で、保存療法(薬物療法、理学療法、注射療法など)で十分な効果が得られない場合に検討されます。 具体的には、以下のような方が対象となる可能性があります。 長時間歩くと股関節に痛みが出て、休憩が必要になる 痛みのために、階段の上り下りや椅子から立ち上がるのが困難 夜間、股関節の痛みで目が覚めることがある 痛み止めを飲んでも、痛みが十分にコントロールできない 股関節の動きが悪く、日常生活に支障が出ている これらの症状に心当たりがある方は、専門医に相談してみることをお勧めします。医師は、あなたの症状、年齢、全身状態などを総合的に判断し、手術の適応かどうかを判断します。 手術のメリット 人工股関節置換術の最大のメリットは、何と言っても痛みが軽減することです。長年、股関節の痛みに悩まされてきた方が、手術後には「まるで魔法みたい!」と驚くほど痛みが消えることもあります。 痛みが軽減することにより、以下のようなメリットが期待できます。 歩行が楽になり、活動範囲が広がる 階段の上り下りや、しゃがむ、立ち上がるといった動作がスムーズになる 趣味のスポーツや旅行などを楽しめるようになる 介護の負担が軽減される 生活の質が向上する より具体的な例を挙げると、手術前はスーパーへの買い物も辛かった方が、手術後には趣味のガーデニングを再開できるようになった、といったケースもあります。 手術のデメリット 人工股関節置換術は、非常に効果的な手術ですが、メリットばかりではありません。デメリットについても、きちんと理解しておくことが大切です。 手術には、感染症、出血、血栓症、神経損傷などのリスクが伴います。これらの合併症は稀ですが、発生した場合には適切な処置が必要になります。 人工関節には寿命があります。一般的には15~20年程度と言われますが、使用頻度や患者さんの状態によって異なります。寿命が来たら、再置換手術が必要になる場合があります。 脱臼のリスクがあります。特に、手術直後は脱臼しやすい時期です。近年、手術方法の進歩により脱臼のリスクは減少していますが、それでも注意が必要です。前方アプローチという手術法は、術後の脱臼率が低いことが報告されています(Meermans et al., 2017)。 手術跡が残ります。傷の大きさは手術の方法によって異なりますが、完全に傷跡を消すことはできません。 手術をしてもなぜか痛みが残ったり、別の痛みが出現する可能性もあります。 これらのデメリットも踏まえた上で、医師とよく相談し、手術を受けるかどうかを判断することが重要です。 ▼人工関節手術のリスクについて、併せてお読みください。 代替治療はあるのか 人工股関節置換術以外にも、股関節の痛みを和らげる治療法はあります。主な代替治療としては、以下のようなものがあります。 薬物療法:痛みや炎症を抑える薬を服用します。 理学療法:ストレッチや筋力トレーニング、温熱療法などで、股関節の柔軟性や筋力を改善します。 注射療法:ヒアルロン酸やステロイドを関節内に注射します。 装具療法:杖や歩行器、サポーターなどを使用して、股関節への負担を軽減します。 これらの治療法は、手術に比べて身体への負担が少なく、比較的安全に行えるというメリットがあります。しかし、症状が進行している場合や、これらの治療法で効果が得られない場合には、人工股関節置換術が検討されます。 手術がどうしても避けたい人は再生医療という選択肢もあります。 再生医療について詳しく知りたい方はこちらへ↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 人工股関節置換術の手術の流れと入院期間・費用 股関節の痛み、本当につらいですよね。歩くのも、立ち上がるのも、寝返りを打つのも苦痛で、やりたいことを諦めてしまう気持ち、よく分かります。人工股関節置換術は、そんな股関節の痛みから解放されるための、有効な手段の一つです。 この手術を受けるかどうかは、人生における大きな決断です。だからこそ、手術の流れや費用、メリット・デメリットなどをしっかりと理解することが大切です。 手術前に行う検査 人工股関節置換術を受ける前には、いくつかの検査が必要です。まるで飛行機が離陸前に綿密な点検を行うように、手術を安全に進めるためには、患者さんの体の状態を詳細に把握することが不可欠です。 具体的には、血液検査、レントゲン検査、CT検査、心電図検査などを行います。 血液検査では、感染症や貧血の有無、肝臓や腎臓の機能などを調べます。 レントゲン検査では、股関節の骨の変形具合や関節の隙間などを確認します。 CT検査では、レントゲンよりもさらに詳細に骨の状態や周囲の筋肉、神経の状態などを把握できます。 心電図検査では、心臓に問題がないかを確認します。 これらの検査結果は、手術の方法や麻酔の方法を決定する上で非常に重要な情報となります。 手術方法の種類 人工股関節置換術には、大きく分けて前方アプローチ、後方アプローチ、側方アプローチといった手術方法があります。それぞれ、手術で皮膚を切開する場所や、筋肉を扱う方法が異なります。 例えば、前方アプローチは、筋肉を切らずに股関節に到達できるため、術後の痛みが少なく、回復が早い傾向があります。一方で、前方アプローチでは特殊な手術台や器具が必要となる場合があり、対応できる施設が限られるという側面もあります。 後方アプローチは、手術の歴史が長く、多くの症例で実績がある方法です。比較的どのような施設でも行えるというメリットがありますが、術後の痛みや回復期間は前方アプローチに比べて長い傾向があります。 側方アプローチは、前方と後方の間をとったようなアプローチで、それぞれのメリット・デメリットを併せ持っています。 どのアプローチ方法が適しているかは、患者さんの状態や医師の経験、病院の設備などによって判断されます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、医師とよく相談して最適な方法を選択することが重要です。前方アプローチに関する研究では、術後の脱臼率が低いことが報告されています(Meermans et al., 2017)。 麻酔方法 人工股関節置換術では、全身麻酔または脊髄くも膜下麻酔が用いられます。 全身麻酔は、全身に麻酔薬を投与し、手術中は意識がなくなります。手術中の痛みや記憶は残りません。 脊髄くも膜下麻酔は、腰のあたりに注射針を刺し、下半身だけに麻酔薬を投与する方法です。手術中は意識がありますが、痛みは感じません。 どちらの麻酔方法にもメリット・デメリットがあります。全身麻酔は、手術中の痛みや不安を感じることがないというメリットがありますが、呼吸器系に持病がある方にとってはリスクが高まる可能性があります。脊髄くも膜下麻酔は、呼吸器系への負担が少ないというメリットがありますが、手術時間が長くなる場合には適さないことがあります。 麻酔科医とよく相談し、自分の状態に合った麻酔方法を選択することが大切です。 手術時間 手術時間は、手術方法や患者さんの状態によって異なりますが、一般的には2~3時間程度です。手術が複雑な場合や合併症がある場合は、さらに時間がかかることもあります。 入院期間 入院期間は、患者さんの回復状況や手術方法によって大きく影響を受けますが、おおむね2週間から4週間程度です。前方アプローチを用いた手術では、入院期間が短縮できる場合もあります。 また、術後のリハビリの進み具合によっても、入院期間は変わってきます。入院中は、医師、看護師、理学療法士など、多くの医療スタッフがあなたの回復をサポートします。 手術費用と保険適用について 人工股関節置換術は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、おおむね50万円から80万円程度が目安となりますが、自己負担額は、加入している保険の種類や、高額療養費制度の利用状況などによって異なります。費用の詳細については、事前に病院で確認しておきましょう。 手術後のリハビリテーション 手術後、早期からリハビリテーションを開始します。リハビリテーションは、術後の痛みや腫れを軽減し、早期の回復を促すためにとても重要です。 リハビリテーションの内容は、患者さんの状態に合わせて、理学療法士が個別にプログラムを作成します。歩行訓練、筋力トレーニング、関節可動域訓練などを通して、日常生活に必要な動作をスムーズに行えるように練習していきます。 術後早期のリハビリテーションは、合併症の予防にもつながりますので、積極的に取り組みましょう。 人工股関節置換術の術後管理と注意点・合併症 人工股関節置換術は、股関節の痛みを和らげ、活動性を向上させる効果的な手術ですが、術後の適切な管理と合併症への注意が不可欠です。 この章では、術後の痛みへの対処法、日常生活の注意点、合併症のリスクと予防策、そして人工関節の寿命について、小学生にも理解しやすいように詳しく解説します。まるで、新しい靴を履いたばかりで、まだ歩き慣れていない状態に似ています。新しい人工股関節に慣れるまでは、少し時間がかかりますが、適切なケアを行うことで、より早く、より安全に回復へと進んでいけます。 術後の痛みと対処法 手術後、傷口の痛みや腫れ、違和感などは誰にでも起こる症状です。これは、体が手術という大きな変化に適応しようとしている証でもあります。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、適切な管理によって軽減できます。 まず、痛み止めは医師の指示に従って服用することが重要です。痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。適切な痛み止めを使用することで、痛みをコントロールし、よりスムーズにリハビリに取り組むことができます。 次に、冷罨法(れいあんぽう)と温罨法(おんあんぽう)を適切に使い分けることも重要です。手術直後や痛みが強い時期には、患部を冷やすことで痛みや腫れを和らげることができます。数日後、痛みが落ち着いてきたら、温めることで血行を促進し、回復を早める効果が期待できます。 そして、忘れてはならないのがリハビリテーションです。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲でリハビリテーションを行うことで、関節の可動域を広げ、筋力を回復することができます。適切なリハビリは、術後の回復を早めるだけでなく、長期的な合併症の予防にも繋がります。 禁忌肢位と日常生活の注意点 人工股関節置換術後、特に重要なのは「禁忌肢位」を避けることです。禁忌肢位とは、人工股関節が脱臼するリスクを高める姿勢のことです。手術のアプローチ方法(前方か後方か)によって、禁忌肢位は異なります。 後方アプローチの場合、股関節を深く曲げたり、内側にひねったり、足を組む姿勢は特に注意が必要です。和式トイレの使用、低い椅子に座ること、あぐらをかく、足を組むなどは避けましょう。 前方アプローチの場合も禁忌肢位はありますが、後方アプローチとは異なります。具体的な禁忌肢位については、担当医に確認してください。近年では、手術方法の進歩により、禁忌肢位を設けない施設も増えています。 日常生活では、靴下を履く、床に落ちた物を拾うといった動作にも注意が必要です。これらの動作を行う際に、無理な姿勢をとってしまうと、脱臼のリスクが高まります。靴下を履くための補助具や、物を拾うためのトングなどを活用することで、無理な姿勢を避け、安全に日常生活を送ることができます。 退院後の生活の送り方 退院後は、医師や理学療法士の指示に従って、徐々に日常生活の活動レベルを上げていくことが大切です。焦らず、無理なく、少しずつ活動範囲を広げていきましょう。 ウォーキングなどの軽い運動は、筋力や体力の維持・向上に役立ちます。ただし、激しい運動や長時間の歩行は、人工股関節に負担をかけるため避けるべきです。運動の種類や強度、時間については、医師や理学療法士に相談し、自分に合った運動プログラムを作成してもらいましょう。 適切な休息も重要です。疲労をためないように、十分な睡眠時間を確保し、疲れた時は無理せず休憩しましょう。 また、定期的な通院も欠かせません。医師の指示に従って、定期的に通院し、経過観察を受けましょう。医師は、レントゲン検査などで人工股関節の状態をチェックし、問題があれば早期に発見・治療することができます。 Zhu Sらの研究(2017)では、ERAS(手術後早期回復プログラム)は、従来の方法と比べて、術後の入院期間を短縮し、合併症発生率を減少させる効果が認められています。 ▼変形性股関節症の手術後の生活で注意したいことについて、併せてお読みください。 合併症のリスクと予防策 人工股関節置換術には、感染症、血栓症、脱臼、人工関節のゆるみなどの合併症のリスクが伴います。これらの合併症は稀ですが、発生した場合には適切な処置が必要になります。合併症を予防するためには、日常生活における注意点を守ること、そして定期的な検診を受けることが重要です。 感染症予防のためには、手術部位の清潔を保ち、傷口に異常がないか毎日確認しましょう。血栓症予防のためには、弾性ストッキングの着用や、血液をサラサラにする薬を服用することが有効です。脱臼予防のためには、禁忌肢位を避け、適切な姿勢を保つように心がけましょう。 定期的なレントゲン検査などを受けることで、人工関節の状態をチェックし、早期発見・早期治療に繋げることができます。 人工関節の寿命と再置換術について 人工関節は、非常に耐久性の高い素材で作られていますが、永久に使えるわけではありません。一般的に、人工股関節の寿命は15~20年程度と言われています。しかし、患者さんの活動レベルや人工関節の種類、体重などによって、寿命は大きく異なります。 人工関節が摩耗したり、破損したりした場合には、再置換術が必要になる場合があります。人工関節の寿命を長く保つためには、適切な体重管理、適度な運動、そして医師の指示に従った適切なケアが重要です。 人工股関節置換術に関するよくある質問と不安の解消 人工股関節置換術は、股関節の痛みを和らげ、活動的な生活を取り戻すための有効な手段です。しかし、手術を受けるとなると、様々な不安や疑問が浮かぶのは当然のことです。 このセクションでは、患者さんからよく寄せられる質問に、経験豊富な医師の視点からお答えします。手術を受けるかどうか迷っている方、術後の生活について具体的に知りたい方など、ぜひ参考にしてください。 術後の痛みはどれくらい続くのか 手術直後は、どうしても痛みを感じます。これは、身体が大きな変化に適応しようとしている証です。 痛みの程度や持続期間は個人差が大きく、手術の方法や患者さんの状態、痛みの感じ方などによって様々です。傷の痛みだけでなく、筋肉や組織の損傷、炎症なども原因となります。 一般的には、数週間から数ヶ月かけて徐々に痛みが軽減していきます。痛み止めを使用することで、痛みをコントロールし、日常生活やリハビリをスムーズに行えるようにサポートします。 術後早期回復プログラム(ERAS)を採用している病院では、痛みを最小限に抑えるための様々な工夫が凝らされています。例えば、手術中の麻酔方法や術後の鎮痛方法を工夫したり、早期からリハビリテーションを開始したりすることで、痛みの軽減と早期回復を目指します。 痛みが強い場合は、我慢せずに医師や看護師に相談することが大切です。適切な鎮痛方法を検討し、より快適に過ごせるようにサポートいたします。 車の運転はいつからできるのか 車の運転再開時期は、手術の方法、回復状況、医師の判断によって大きく異なります。一般的には、術後6週間から3ヶ月程度で運転が可能となることが多いです。 前方アプローチで手術を受けた場合、筋肉へのダメージが少ないため、比較的早期に運転を再開できる可能性があります。しかし、後方アプローチの場合、筋肉の回復に時間がかかるため、運転再開までにはもう少し時間を要する可能性があります。 安全のためにも、必ず医師の許可を得てから運転するようにしてください。運転再開後も、長時間の運転は避け、こまめに休憩を取るように心がけてください。また、運転中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに運転を中止し、医師に相談してください。 スポーツはできるのか 人工股関節置換術後も、適切な運動を行うことは健康維持のために重要です。しかし、すべての人が同じようにスポーツを楽しめるわけではありません。 ウォーキングや水泳、サイクリングなどの比較的股関節への負担が少ない運動は、多くの場合、問題なく行うことができます。これらの運動は、筋力や持久力の維持・向上に役立ち、健康増進にも繋がります。 一方、テニスやバスケットボール、サッカーなどの激しいスポーツや、マラソンやジョギングのように、股関節に大きな負担がかかるスポーツは、人工股関節の寿命を縮める可能性があるため、避けるべきです。 スポーツの種類や強度、開始時期については、必ず医師や理学療法士に相談し、適切な指導を受けるようにしてください。個々の状態に合わせて、安全にスポーツを楽しめるようにサポートいたします。 仕事への復帰はいつ頃できるのか 仕事への復帰時期は、仕事の内容、回復状況、医師の判断によって大きく異なります。デスクワーク中心の仕事であれば、術後数週間で復帰できる場合もあります。 一方、肉体労働や立ち仕事が多い場合は、術後数ヶ月かかることもあります。復帰後もしばらくは、無理のない範囲で仕事を行い、徐々に元の仕事量に戻していくようにしましょう。 職場の上司や同僚に手術後の状況を説明し、理解と協力を得ることも大切です。 家族のサポートはどの程度必要か 術後早期は、日常生活動作において家族のサポートが必要となる場合があります。特に、手術直後は、歩行や着替え、トイレ、入浴などの際に介助が必要となることが多いです。 入院中は看護師や理学療法士がサポートを行いますが、退院後は家族の協力が不可欠です。家族の方は、医師や看護師から手術の内容や術後の注意点、患者さんの状態などを事前にしっかりと説明を聞いておきましょう。 術前教育は、患者さん自身の不安軽減だけでなく、家族の不安軽減にも効果的です。家族が患者さんの状態を理解し、適切なサポートを行うことで、患者さんの回復はよりスムーズに進みます。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Galakatos GR. "Direct Anterior Total Hip Arthroplasty." Missouri medicine 115, no. 6 (2018): 537-541. Meermans G, Konan S, Das R, Volpin A, Haddad FS. "The direct anterior approach in total hip arthroplasty: a systematic review of the literature." The bone & joint journal 99-B, no. 6 (2017): 732-740. McDonald S, Page MJ, Beringer K, Wasiak J, Sprowson A. "Preoperative education for hip or knee replacement." The Cochrane database of systematic reviews 2014, no. 5 (2014): CD003526. Zhu S, Qian W, Jiang C, Ye C, Chen X. "Enhanced recovery after surgery for hip and knee arthroplasty: a systematic review and meta-analysis." Postgraduate medical journal 93, no. 1106 (2017): 736-742. Epidemiological evidence for work load as a risk factor for osteoarthritis of the hip: a systematic review. Therapeutic exercise for people with osteoarthritis of the hip or knee. A systematic review. Primary osteoarthritis of the hip: etiology and epidemiology.
2025.01.30 -
- 再生治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
「特発性大腿骨頭壊死症」…耳慣れない病名に不安を感じた方もおられるでしょう。 30歳から50歳代の男性に多く、太ももの骨の先端が壊死するこの病気は、初期にはどうしても自覚症状が少ないため、気づく頃には進行していることも。股関節の痛みや歩行困難といった症状が現れたら、早期発見・治療が鍵となります。 今回の記事では、特発性大腿骨頭壊死症ってどんな病気なのかについて解説し、原因不明とされるこの病気のメカニズムや、様々な治療法、そして日常生活での注意点まで、医師の視点から分かりやすく解説します。 特発性大腿骨頭壊死症とは?原因・症状・治療法を解説 特発性大腿骨頭壊死症、、、あまり耳にすることはないですよね。簡単に言うと、太ももの骨の先端部分である「大腿骨頭」という場所に血液が行き渡らなくなり、骨が壊死してしまう病気です。「特発性」とは、原因がはっきりと特定できないという意味です。 骨頭が壊死することで、痛みが生じて日常生活が困難となります。早い時期での発見と適切な対応がとても大切となります。 どのような人に多いのか?大腿骨頭壊死の芸能人 特発性大腿骨頭壊死症は、30歳代から50歳代にかけて多く発症し、男性に多いのが特徴です。 千原ジュニアさんやタレントの坂口憲二さんも罹患した、決して他人事ではない病気なのです。 ▼大腿骨頭壊死との違いや特発性大腿骨頭壊死症の原因について、併せてお読みください。 なぜ起こる?原因とメカニズム 特発性大腿骨頭壊死症はどうして起こるのか。原因は大腿骨頭につながる血管が詰まることです。骨は生きている組織であり、常に新しい細胞が作られています。この新陳代謝には、酸素や栄養を運ぶ血液が不可欠です。血流が悪くなると、骨組織への酸素供給が滞り、最後のステージになると骨がもろくなって壊死を起こします。 どうして血流が少なくなるのでしょうか。 残念ながら、現在の医学では明確な原因は特定されていません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。 ステロイド薬の長期使用: ステロイド薬は、炎症を抑える効果が高く、様々な病気の治療に使用されます。そして、このステロイドを長期間にわたって使用すると、血管が収縮しやすくなったり、血液がドロドロになりやすくなったりする副作用があります。その結果、大腿骨頭へつながる血管が詰まり、壊死のリスクが高まるのです。喘息や膠原病などの治療でステロイド薬を長く飲まれている方は、注意が必要です。 過度の飲酒: お酒をよく飲む方は、血管を収縮させ、血流を阻害する作用があります。毎日たくさんの量のお酒を飲みすぎると、大腿骨頭への血流が慢性的に悪化し、骨の壊死の可能性はかなり高くなります。過度な飲酒は控えましょう。 潜水病: ダイバーなどが海中で深く潜った後、急に海面へ浮上すると、体内の窒素が気泡となって血管を詰まらせることがあります。これは潜水病と呼ばれる危険な状態で、大腿骨頭への血流を遮断し、壊死を引き起こす可能性があります。 これらの要因以外にも、膠原病、股関節の骨折や脱臼、高コレステロール血症、鎌状赤血球症なども、大腿骨頭壊死症のリスクを高める可能性があると考えられています。 また、原因不明の股関節痛がある場合は、早期にMRI検査をお勧めします。。そうすることで早期発見につながる可能性が高くなります。MRI検査は、磁場と電波の力で骨の内側の状態がどう変化しているのかを映し出してくれます。 一度壊死してしまった骨を元に戻すことはできません。ただ、早期に治療を行うことで、進行を遅らせたり、痛みを軽くしたりすることは可能です。 もし、いつもと違う違和感が股関節付近に現れたら、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 特発性大腿骨頭壊死症の主な症状 特発性大腿骨頭壊死症は、初期には痛みを感じない方も結構おられます。そのため、症状が現れ始めた頃には、壊死も進んでいるケースもよくあります。早期発見・早期治療がとても大切なので、ほんの小さな痛みや違和感でも変化を感じたら、かかりつけの医師に相談しましょう。 股関節の痛み:初期症状、進行時の痛み方の変化 特発性大腿骨頭壊死症の主な症状は、股関節の痛みです。 最初は、「立ち上がった瞬間だけ少し痛む」「歩き始めると違和感がある」といった程度の軽い痛みであることがほとんどです。しかし、日常生活で痛みを我慢しながら過ごしていると、次第に「歩いているとズキズキ痛む」「階段の上り下りがつらい」「正座やあぐらができない」など、症状が強くなっていきます。 最終的には、「夜寝ているときも痛みで目が覚める」「痛みで全く歩けなくなる」といった深刻な状態になることもあります。 症状ステージ 痛みの度合い 具体的な症状の例 初期 動く時に少し痛む 立つ時、歩き始め、階段の昇降など 中期 安静にしていても痛い、動作時の痛みが増強 長時間座った後、夜間、運動中など 末期 激しい痛み、遠くまで歩けない いつも痛い 生活がしずらい 初めの頃は、症状も軽いため、見逃されてしまいます。本来は、この時期にMRIなどの検査をして発見できれば、その後の症状の進行もある程度抑えることができます。 歩行障害:跛行、杖が必要になることも 股関節の痛みは、歩行にも影響を及ぼします。痛みをかばって歩くうちに、片足を引きずる跛行(はこう)と呼ばれる状態になることがあります。初めは目立ちませんが、病気が進行するにつれて、跛行は顕著になり、最終的には杖や歩行器などの補助具が必要になるケースもあります。 例えば、「少し歩き方がぎこちなくなったかな?」「ゴルフをしていてなんか股関節や太ももがだるいな」「最初の頃よりヨガのポーズがとりにくくなった」などの症状を感じていたが、放置していたら徐々に跛行がひどくなり、最終的には杖なしでは歩行が困難となることもあります。 関節可動域制限:脚が開きにくい、しゃがみづらいなど 特発性大腿骨頭壊死症では、股関節の動きが悪くなる関節可動域制限も生じます。具体的には、「脚が開きにくい」「しゃがみづらい」「靴下が履きにくい」「あぐらがかけない」「正座ができない」といった症状が現れます。 見逃されやすいサイン:臀部の痛み、鼠蹊部痛、腰痛、膝痛 股関節の痛み以外にも、鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根の内側)や臀部(でんぶ:おしり)、腰、膝などに痛みやしびれが現れることもあります。これは、股関節の痛みをかばうことによる姿勢の変化や、周辺の筋肉への負担増加などが原因と考えられます。 40代の男性患者さんは、腰痛を主訴に来院されました。しかし、詳しく問診し、検査を行った結果、大腿骨頭壊死症が見つかりました。このケースのように、股関節以外の場所に症状が現れる場合もあるため注意しなければいけません。 特発性大腿骨頭壊死症に対する診察と治療法 股関節付近が痛くて歩きにくさを感じたら、特発性大腿骨頭壊死症の可能性も考えられます。もし気になる症状があれば、ためらわずに医療機関を受診しましょう。この状態を放置しておくと、日常生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。 ここからは、特発性大腿骨頭壊死症の診断方法と治療法について、できるだけ丁寧に説明します。 診断方法:画像検査(レントゲン、MRI、CT)、身体診察 特発性大腿骨頭壊死症の診断は、患者さんが感じている症状、身体の所見、そして画像検査を総合的に判断して行います。 まず、問診では、いつからどのような痛みがあるのか、どの瞬間痛みが出るかなど詳しくお聞きします。 次に、身体の所見では、股関節の可動域、つまり関節の動く範囲をみたり、痛みのある場所、圧痛の有無などを確認します。股関節の診察では、膝蓋骨恥骨打診検査が特異度 86%と比較的高い精度を誇ります。これは、膝蓋骨を軽く叩いた際に股関節に響く痛みがあるかどうかを調べる検査です。 そして、画像検査が診断を確定づける上でとても大切な検査となります。 MRI検査は病変が小さくても映し出されます。つまり、初期の発見に優れています。MRI検査では、骨がどこまで壊死しているのか、そしてその周りの組織の状態などを詳細に確認できます。 実はレントゲン検査では、初期の壊死の段階では病変は映し出されません。病気の進行とともに大腿骨頭に骨の濃度の変化や陥没が確認できるようになります。 CT検査は、骨の三次元的な構造を詳細に観察でき、手術計画を立てる際に役立ちます。 経験上、レントゲンでは病変の異常が見られなくても、MRI検査を行うことで、病変が小さい時点で発見されるケースも少なくありません。特に、ステロイド薬を服用している方や過度の飲酒歴のある方は、症状が軽微であってもMRI検査を受けることをお勧めします。 ▼特発性大腿骨頭壊死症の治療について、併せてお読みください。 保存療法:理学療法、内服薬、装具 特発性大腿骨頭壊死症の治療は、病状の進み具合によって異なります。まだ痛みが軽いときに適応となります。保存療法とは、手術をせずに理学療法、薬物療法、装具療法、などを組み合わせて症状の改善を目指す治療法です。 内服薬として、ロキソニンなどの鎮痛薬で痛みをとります。また、骨を強くする薬なども用いられます。 装具療法 杖や装具を使用して、歩行の補助をします。 理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、股関節の柔軟性や筋力を維持・向上させます。例えば、お尻の筋肉や太ももの裏側の筋肉を鍛えることで、関節を安定させて痛みを和らげる効果が期待できます。 保存療法の効果には個人差があり、定期的な画像検査を行いながら、病変部がどのくらい拡大しているのかをチェックします。 基本的に病変部が大きくても、痛みが軽ければ手術は選択しないことが多いです。ただし、病変部が大きくなると骨頭が陥没しやすくなり、陥没して痛みが出てしまうと、いよいよ人工骨頭術となります。 手術療法:人工骨頭置換術、骨切り術など 病状が進行していて保存療法でも痛みがおさまらない場合には、手術療法が検討されます。手術療法には、人工関節の手術と骨切り術があります。 人工骨頭置換術は、壊死した大腿骨頭自体を切り取り、そこをカバーできる人工関節に置き換える手術となります。その結果、痛みをとり股関節の可動域も改善されます。 骨切り術は、骨を切って骨頭の位置や角度を調整する手術です。まだ病変部が小さい時に行われます。骨切り術は大腿骨頭壊死症の進行期(ArletとFicat分類のIII期とIV 期)には適応とならず、その場合は人工骨頭の手術となります。 どちらの手術を選択するかの判断は、年齢、活動レベル、骨壊死の程度などを考慮して決定されます。 特発性大腿骨頭壊死症の予防と日常生活の注意点 特発性大腿骨頭壊死症は、その名の通り原因が特定できないため、確実な予防法はありません。しかし、危険因子を避けることで発症リスクを下げることができると考えられています。 具体的には、過度の飲酒を控え、ステロイド薬の服用は医師の指示をしっかりと守りましょう。また、日常生活では、股関節への負担を軽くすることが重要です。 例えば、長時間同じ姿勢でいることを避け、適度な運動を心がけましょう。ウォーキングや水泳などの、股関節への負担が少ない運動がお勧めです。 体重管理も重要です。バランスの取れた食事と適度な運動で適切な体重を維持しましょう。 股関節の再生医療 近年、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。これは、患者さん自身の骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、股関節に移植することで、骨や軟骨の再生や修復をさせる治療法です。間葉系幹細胞を用いた治療法は、この疾患の機能予後を改善する可能性を秘めています。 大腿骨頭壊死症の再生医療について詳しくはこちら↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Reiman MP, Goode AP, Hegedus EJ, Cook CE, Wright AA. Diagnostic accuracy of clinical tests of the hip: a systematic review with meta-analysis. British journal of sports medicine47, no. 14 (2013): 893-902. Pijnenburg L, Felten R, Javier RM. A review of avascular necrosis, of the hip and beyond. La Revue de medecine interne 41, no. 1 (2020): 27-36. Relationship of idiopathic femoral head necrosis with blood lipid metabolism and coagulation function: A propensity score-based analysis. Potential aetiological factors concerning the development of osteonecrosis of the femoral head.
2025.01.30 -
- 変形性股関節症
- 再生治療
- 股関節
最近、股関節やその周りの筋肉に痛みを感じていませんか? 太腿のつっぱり感、階段の上り下り時の痛み、長時間の歩行後の重だるさ… もしかしたら、それは「変形性股関節症」の兆候かもしれません 変形性股関節症は、初期には症状が少なく、気づかないうちに進行してしまう怖い病気です。じわじわと忍び寄る痛みや違和感、徐々に狭まる可動域… 放置すれば、歩行するのも難しくなる可能性が高くなります。 実は、高齢者に多いイメージのある変形性股関節症ですが、近年若い世代にも増加傾向にあります。 アメリカ理学療法士協会整形外科部門(APTA)もその深刻さを指摘しており、早期発見・早期治療の重要性が叫ばれています。 このトピックスでは、変形性股関節症の代表的な5つの初期症状とチェックリストを利用して解説します。 股関節まわりの疼痛、動いた時の違和感、歩行時に重たい感じ、運動に制限がある、可動域の減少… これらの症状に心当たりがある方は、決して軽視しないでください。 自身の股関節の理解を深めるために、今すぐこのトピックスを読み進めて、変形性股関節症の早期発見、そして快適な生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。 変形性股関節症の初期症状とは?よく見る症状5つ 変形性股関節症は、初期段階ではこれといった痛みなどが現れにくい病気です。そのため、気づかぬうちに病気が進行し、手遅れになるケースも少なくありません。まるで静かに忍び寄る影のように、私たちの生活を脅かす病気とも言えるでしょう。 しかし、初期に出る症状をしっかりと理解し、早期に発見することで、症状の進行を抑え、日常生活への影響を最小限にすることが可能です。 この章では、変形性股関節症の初期症状として代表的な5つの症状を、具体的に解説します。これらの症状に心当たりがある方は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 ①股関節の痛みと違和感 健康な股関節は、動きの制限もなく、痛みもありません。しかし、変形性股関節症の初めに出てくる症状として、この滑らかな動きが失われ、股関節に鈍い痛みや違和感を感じることがあります。 この痛みは、長時間立っていたり、歩いたりした後に強くなる傾向があります。まるで股関節が疲れているような、重だるい感覚を覚えるかもしれません。じっとしていても股関節の奥の方に鈍痛のようなものを感じることもあります。 初期の頃の痛みは、常に一定ではなく、痛みが現れたり消えたりを繰り返すこともあります。このため、「気のせいかな?」と軽く考えてしまいがちです。しかし、この「気のせいかな?」を繰り返すうちに、徐々に痛みの頻度や強度が増していきます。 症状 説明 鈍痛 刺すような鋭い痛みではなく、ズーンと響くような鈍い痛みです。 違和感 股関節に何かが挟まっているような、違和感です。 間欠的な痛み 常に痛みがあるわけではなく、痛みが現れたり消えたりします。 休息時の痛み 安静にしているときにも痛みを感じます。 運動後の痛み 運動した後や長い距離を歩いた後に痛みが強くなります。 このような症状は、普段の生活の中で徐々に現れ始めます。例えば、朝目覚めた時に股関節が少し硬く感じる、階段の昇降が以前より辛くなった、長く歩くと股関節に違和感が出てくる、といった変化です。これらの小さな変化を見逃さずに、早いうちに対策をすることが大切です。 ②動作時の関節のこわばり 健康な股関節は、自由に動き、スムーズに動作を行うことができます。しかし変形性股関節症が進行すると、股関節の動きが悪くなり、スムーズに動かせなくなることがあります。 例えば、立ち上がろうとしたときに股関節が硬く感じたり、脚を大きく広げることができなくなったりします。靴下や靴を履く、しゃがむ、正座をするといった日常的な動作もしにくくなることもあります。 このようなこわばりは、朝起きた時や、長い時間同じ態勢でいるといつもより痛みが強く現れることがあります。これは、関節内の滑液が減少したり、関節の軟骨が傷ついてすり減ることで、関節の動く範囲が狭くなるためです。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ③歩行時の負担感 健康な状態では、歩行時に股関節への負担はほとんど意識することはありません。しかし、変形性股関節症になると、歩行時に股関節に負担がかかり、スムーズに歩くことが難しくなります。 初期には、歩いていると股関節が重く感じたり、長距離を歩くと股関節が痛むといった症状が現れます。さらに進行すると、跛行(はこう)といって、片足を引きずるようにして歩くようになります。また、歩幅が狭くなったり、歩行速度が遅くなったりすることもあります。 ④スポーツや日常生活での制限 スポーツを活発にしている方は、股関節を痛めると、パフォーマンスの低下を感じるかもしれません。走ったりジャンプなどの動作で痛みが増強し、思うように動作ができなくなることもあります。 日常生活でも、正座やあぐらがしづらくなったり、椅子から立ち上がる際に痛みを感じたりするなど、様々な動きの制限が出てきます。動作の制限により、生活もしづらくなります。 ⑤股関節の動く範囲が減少 変形性股関節症では、股関節の動きが段々と悪くなっていきます。初期には軽度の制限ですが、進行するにつれて脚を自由に動かせなくなることもあります。 具体的には、股関節の屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋といった動作が制限されます。両股関節の動きに左右差が見られるときは、股関節の病変を疑わなければいけません。今までの経験では痛みが出る前に、すでに関節の可動域が悪くなっている方が多くおられました。 アメリカ理学療法士協会整形外科部門(APTA)も、股関節の痛みと可動域制限に関するエビデンスに基づいた推奨事項を示しています。変形性股関節症は進行性の疾患であるため、専門家による適切な診断とケアが重要です。初期に現れる症状を放っておかず、適切な治療を行うことで、進行を遅らせ、より長く健康な股関節を維持することができるでしょう。 変形性股関節症の初期症状チェックリストと医療機関の選び方 股関節の痛みや違和感が感じたら、それは、もしかしたら変形性股関節症の初期症状かもしれません。初期症状は他の病気と間違えやすく、分かりにくい場合も多いです。 この記事では、変形性股関節症の初期症状をセルフチェックリストで確認し、医療機関の選び方についてご紹介します。症状が見つかり、診断がつけば早いうちに治療を開始することが非常に重要ですので、ぜひご自身のこととして捉え、読み進めてください。 初期症状のセルフチェックリスト 変形性股関節症の初期症状は、下記のチェックリストで確認できます。チェックが多いほど、変形性股関節症の可能性が高まります。 症状 チェック 立ち上がり時や歩き始めに股関節に痛みや違和感がある □ 長時間歩いたり、階段の上り下りで股関節に痛みが増す □ 休むと痛みが軽減する □ 股関節が硬く感じ、動きが悪い □ 靴下を履く、足を組むなどの動作がつらい □ あぐらがかけない □ 股関節の違和感で寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めることがある □ これらの症状にいくつか当てはまる場合、変形性股関節症の初期症状の可能性があります。しかし、自己判断は危険です。必ず医療機関を受診し、医師による正確な診断を受けるようにしてください。 ▼変形性股関節症の原因から治療について、併せてお読みください。 専門医に相談するタイミング 上記のチェックリストで複数の項目にチェックが入る場合や、股関節の痛みや違和感が続く場合は、早めに専門医に相談しましょう。特に、痛みが強くなってきたり、日常生活に支障が出始めた場合は、放っておかずに速やかに受診することが大切です。変形性股関節症は放置しておくと段々悪化していく病気で、早期の診断と介入が、将来の生活の質を大きく左右します。 検査方法と受診すべき医療機関 変形性股関節症の検査は、整形外科で受診できます。「股関節専門外来」や「関節外科」といった専門性の高い医療機関を選ぶと、より専門的な知識と経験に基づいた診断と治療を受けることができます。 整形外科を受診すると、まず医師があなたの症状や既往歴などについて詳しく問診を行います。 その後、股関節のレントゲン検査を行い、関節の隙間や骨の状態などを確認します。レントゲン検査では、骨棘の形成や関節裂隙の狭小化といった変形性股関節症の特徴的な所見を捉えることができます。 必要に応じて、MRI検査やCT検査を行うこともあります。MRI検査では、軟骨や靭帯、関節包などの軟部組織の状態を詳細に評価することができます。CT検査は、骨の三次元的な構造を把握するのに役立ちます。 知っておきたい治療方針と選択肢 変形性股関節症の治療は、保存療法と手術療法に大きく分けられます。 保存療法は、内服治療、理学療法、生活指導など、手術を行わずに症状を改善させる治療法です。 内服治療では、ロキソニンなどの痛みを抑える薬が用いられます。 理学療法では、ストレッチや筋肉トレーニングにより関節の痛みを和らげて動きを良くします。 生活指導では、体重管理や適切な運動方法など、普段の生活で気をつけるべき点について指導を受けます。 ▼変形性股関節症の保存療法について、併せてお読みください。 病態が進行している場合や、保存療法でも痛みが良くならない時には、手術療法が検討されます。 人工股関節置換術は、変形性股関節症に対して一番よく行われている手術です。この手術では、軟骨がすり減ってしまった股関節そのものを、金属製の人工物で関節を入れ替える手術をします。これにより痛みを軽減し、関節の機能を回復させます。 どの治療法が適切かは、患者さんの症状の程度、年齢、生活スタイル、全身状態などを総合的に考慮して決定されます。医師とよく相談し、ご自身にとって最適な治療法を選択することが重要です。 気がついたときにはすでに変形性股関節症の病期の後期になっていることもよくあり、疾患修飾薬による効果を期待できる時期を逃している場合が多いという現状も認識しておく必要があります。 手術しない新しい選択肢 再生医療 今までは、保存療法で痛みが取れないときには人工関節術しか選択はなかったのですが、最近では再生医療による変形性股関節症の治療も行われるようになりました。医療機関によって、再生医療の治療法は様々あります。 再生医療について詳しく知りたい方はこちらへ↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 患者支援団体や参考情報の活用方法 変形性股関節症に関する情報は、インターネットや書籍などで入手できます。信頼できる情報源から、病気への理解を深めるようにしましょう。患者支援団体では、同じ病気を持つ患者さん同士が交流したり、情報交換したりすることができます。このような団体に所属することで、精神的な支えを得たり、病気に対する不安や疑問を解消したりするのに役立ちます。 まとめ 初期症状に気づきにくい変形性股関節症ですが、この記事でご紹介した5つの症状(股関節の痛みや違和感、動作時のこわばり、歩行時の負担感、日常生活の制限、可動域の減少)に心当たりがある方は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 セルフチェックリストを活用し、複数の症状に当てはまる場合や、日常生活に支障が出ている場合は、特に早めの受診が大切です。 整形外科、特に「股関節専門外来」や「関節外科」などを検討し、レントゲン検査などの精密検査を受け、医師と治療方針についてしっかり相談しましょう。 参考文献 Cibulka MT, Bloom NJ, Enseki KR, Macdonald CW, Woehrle J, McDonough CM. "Hip Pain and Mobility Deficits-Hip Osteoarthritis: Revision 2017." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 47, no. 6 (2017): A1-A37. 変形性関節症:臨床実践における最新情報ガイドライン The clinical and radiographic course of early knee and hip osteoarthritis over 10 years in CHECK (Cohort Hip andCohort Knee).
2025.01.29 -
- 再生治療
- 変形性股関節症
- 股関節
あなたは、散歩して歩いている時や寝ている時に、股関節に違和感や痛みが出たことがありますか?そんな時は、股関節の代表的な疾患である変形性股関節症を少し疑ってみましょう。この記事を読んでいただければ、変形性股関節症のポイントがよくわかるように説明しております。是非、最後までご覧ください。 70代以上の高齢者の多くが、程度の差こそあれ発症すると言われている変形性股関節症。主に加齢によって軟骨が傷つき少なくなっていくのが原因ですが、肥満や運動不足のほかに遺伝もリスクを高める要因となります。1kgの体重増加で股関節には3~6kgもの負担がかかるというデータもあります。 初期症状は動作開始時の痛みや可動域の制限ですが、放置すると安静時にも痛みが生じてしまいます。診断にはレントゲンやMRIなどの画像診断が必要で、状態に応じて運動療法、内服薬、そしていよいよ痛みが強くなれば手術療法となります。 この記事では、変形性股関節症を知るところから、治療法に至るまでをわかりやすく、私の体験も含め解説いたします。股関節が痛い方、また今後、変形性膝関節症になるかもしれないと不安な方、ぜひ読み進めてこの症状への理解を深めていただけたら幸いです。あなたが少しでも健康な生活を送れるように、今すぐ知識を深めましょう。 変形性股関節症の原因とリスク要因 股関節の痛み、気になりますよね。もしかしたら変形性股関節症かも…と不安になっていませんか? ここでは、変形性股関節症の原因およびqリスク要因について、整形外科医の立場からわかりやすく解説していきます。原因を知ることで、予防や治療への意識も高まりますので、ぜひ最後までお付き合いください。 加齢と変形性股関節症の関係 年齢を重ねると、どうしても体のあちこちにガタがきてしまいます。これは、長年使い続けた機械が徐々に劣化していくのと似ています。加齢も大きな原因で、徐々に関節の軟骨もすり減っていきます。 若い頃は、股関節の骨の表面を覆う軟骨がクッションの役割を果たし、骨同士がスムーズに動くようサポートしてくれています。。この軟骨は、潤いと弾力性が保たれており、衝撃を吸収してくれるため、私たちは痛みを感じることなく、歩行やジョギングができるのです。。しかし、年齢とともにこの軟骨がすり減ってしまい、骨と骨が直接ぶつかり合うことで、炎症や痛みが生じます。 高齢化社会の現代において、変形性股関節症はとても身近な病気と言えるでしょう。40歳代ぐらいから発症し、70代以上になると股関節の軟骨は傷ついて少なくなる可能性が高くなります。軟骨のすり減りの原因は、加齢以外にも肥満や遺伝、怪我の経歴などが関係しており、これらの要因が重なることでより早く軟骨がすり減ってしまう可能性があります。 肥満がもたらす影響 体重が増えることで、身体を支えるのに大きな役割をする股関節にも影響が生じます。これは例えば、リュックサックに重い荷物を入れると、首に負担がかかるのと同じようなイメージです。1kgの体重増加で、股関節には3〜6kgの負荷がかかります。 体を支える上で、股関節はとても大切です。体重が増えるほど負担が増し、軟骨がすり減りやすくなってしまいます。結果として、変形性股関節症へと進行してしまいます。適正体重を維持することは、股関節の健康を保つ上でとても大切です。具体的には、BMI(Body Mass Index)を25以下に保つことが推奨されています。BMIは、体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)で計算できます。 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 運動不足がもたらすリスク 適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛え、関節を安定させるのに役立ちます。筋肉は、関節を支えるコルセットのような役割を果たしており、筋肉がしっかりしていれば、関節への負担を軽減することができます。 逆に、運動不足だと筋肉が衰え、関節に負担がかかることで軟骨が傷つきやすくなります。さらに運動不足は体重増加となりさらに負担がかかるという悪循環に陥ります。 ウォーキングや水泳など、股関節に負担の少ない運動を継続的に行うのが理想です。プール内でのウォーキングは、浮力により関節への負担が軽くなり、変形性股関節症の方にもおすすめです。1回30分程度、週に3回以上を目安に行うと良いでしょう。 遺伝的要因と家族歴の影響 変形性股関節症は、遺伝的な要因も関係していることが知られています。両親や兄弟姉妹など、家族に変形性股関節症の方がいる場合、自身も発症するリスクが高まる可能性があります。これは、軟骨の質や骨盤の形などが遺伝的に受け継がれるためと考えられています。 遺伝的な要素は変えられませんが、生活習慣を改善することで、発症リスクを下げたり、病状が進むのを予防することができます。変形性股関節症は、加齢や肥満などにも強いつながりがあり、日々の生活の中で予防に取り組むことが重要です。 ▼変形性膝関節症の原因や予防のヒントについて、併せてお読みください。 変形性股関節症の症状と診断方法 股関節の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす悩ましい症状です。中高年の方には変形性膝関節症に続いてよくみられます。できるだけ早期に発見し治療にかかれば、ある程度の病状の進行は抑えられます。 ここでは、変形性股関節症の症状および診断方法について、整形外科医の立場からわかりやすく解説します。ご自身に少しでもあてはまることがあれば、ぜひ参考にしてみてください。 主な症状:痛みと可動域制限 変形性股関節症の主な症状は、関節の痛みと動きの制限です。初期には、立ち上がったり、歩き始めたりしたときなど、関節に負荷がかかり始める時に痛みを感じることが多いですが、安静にしていると痛みは治まります。この時点では、まだ軟骨の損傷は軽微であるため、少し休むことで痛みは治ることが多いです。 しかし、病状が進み関節軟骨がすり減ると、骨同士が接触する面積が増えてきます。すると、炎症が慢性化し、安静時にも痛みを感じるようになります。さらに進行すると歩くことも困難となります。また、関節の動く範囲が狭くなり、足を自由に動かせなくなることもあります。正座やあぐらが難しくなったり、靴下を履く動作で痛みを感じたりする方もいます。 変形性股関節症の症状は、痛みと可動域制限以外にも、下記のような症状もよく言われます。 こわばり: 朝起きた時や長時間同じ姿勢でいた後に、股関節の動きにぎこちない感じや、痛みが生じることがあります。これは、関節液の循環が悪くなっていることが原因と考えられます。 引っかかり感: 関節がスムーズに動かない感じや、カクンと引っかかるような感覚が生じることがあります。 音: 関節を動かしたときに、クリック音やゴリゴリ音など認めることがあります。これは、骨同士が擦れ合っている音です。 これらの症状は、すべての人に現れるわけではなく、症状の強さも人それぞれです。高齢化と肥満人口の増加に伴い、変形性関節症の有病率は増加しているという報告があります。もし心当たりのある症状があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。 痛みの特徴とその場所 変形性股関節症の痛みは、股関節の周囲だけでなく、太ももの前から膝にかけてだったり、お尻の奥、つまりズボンの後ろポケットの辺りの奥が痛くなる方もよくおられます。これは、股関節の近くの神経が影響して「放散痛」と呼ばれています。 初めの頃は、立ち上がる時や、歩き始めに痛みが出て、しばらくすると軽くなることが多いです。これは、動き始めに関節に負荷がかかるためです。また、運動後や長時間の歩行後に痛みが増すこともあります。痛みの出方は人それぞれで、鈍い痛み、刺すような鋭い痛み、うずくような痛みなど、個人によって様々な症状が出ます。私の今までの経験では、股関節の痛みと同時に、太ももの前から膝にかけて痛みを訴える方が多くおられました。 また、痛みの特徴は、関節の変形の程度によって変わることが多いですが、末期になってもあまり痛みが感じなかったり、初期でもかなり痛みが強い方も多く見られました。初期の頃は動く時だけ痛みが出ますが、中期や末期になると安静や夜間で痛みが現れます。 画像検査 一般的によく使用されるレントゲン検査、さらに詳しく調べるためのMRI検査、CT検査などがあります。 レントゲン検査では、軟骨がどのくらい減ったのかを見る目安となる関節の隙間などを知ることができます。変形性股関節症では、関節の間が狭くなったり、骨の棘と書いて骨曲(こつきょく)が出てきます。ただ、この骨曲があることで痛みが強くなるということはありません。 MRI検査では、軟骨や靭帯、筋肉の状態や位置関係などを詳しく調べることができます。レントゲンではわからない、軟骨や靭帯の状態もわかります。レントゲンだけではなく、MRIを撮影してみると、大腿骨頭壊死が見つかったということはよく臨床の場では経験しました。 CT検査は、骨の状態をより詳細に調べるのに役立ちます。特に、手術を検討する場合に、骨の形、位置関係、そして周りの神経の確認もできるので必要となります。近年では、3D-CTを用いることで、立体的な病変の把握が可能となりました。 変形性股関節症の診断は、症状や身体の所見、レントゲンやMRIなどの画像診断を含め総合して総合的に判断して行います。 ▼MRIの費用相場や撮り方について、併せてお読みください。 症状を改善するための生活指導 変形性股関節症の症状を改善するためには、日常生活での工夫が大切です。 運動療法: ウォーキングや水中でのウォーキングなど、股関節に負担をかけすぎない運動が有効です。水中ウォーキングは浮力によって股関節への負担が軽減されるため、比較的に筋力の弱い高齢者の方におすすめです。理学療法士による自宅でできる筋力トレーニングやストレッチの指導を受けることで、さらに症状の軽減を目指しましょう。 体重管理: 肥満は股関節に大きな負担がかかります。適切な体重を維持することが重要です。栄養バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を継続しましょう。BMIを25以下に保つことが推奨されています。 装具の使用: 杖、歩行器、装具などを使用して股関節の負担を減らします。 薬物療法: 痛み止めやヒアルロン酸注射などを行います。痛み止めは、痛みを止める作用はありますが、根本的な治療にはなりません。ヒアルロン酸注射は、関節液の粘性を高め、関節の動きをスムーズにする効果があります。 手術療法: 保存療法でも痛みがおさまらなければ、人工股関節置換術などの手術が検討されます。金属製人工関節で関節ごと入れ替えます。 できるだけ早期に見つかれば、軟骨のすり減りを少しでも食い止めることができるのです。股関節のいつもと違う違和感や痛みなどが現れたら、早い目にレントゲンなどの検査をしましょう。 新しい選択肢としての再生医療 従来の医療では、保存療法で痛みがおさまらなければ、手術という流れになっていたのですが、最近では、変形性股関節症に対する再生医療が注目されています。『いったい再生医療ってなんだろう』『どの再生医療がいいの?』という疑問に対して、こちらでわかりやすく解説しています↓ 股関節の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 Cibulka MT, Bloom NJ, Enseki KR, Macdonald CW, Woehrle J, McDonough CM. "Hip Pain and Mobility Deficits-Hip Osteoarthritis: Revision 2017." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 47, no. 6 (2017): A1-A37. Hunter DJ, Bierma-Zeinstra S. "Osteoarthritis." Lancet (London, England) 393, no. 10182 (2019): 1745-1759.
2025.01.29 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
シンスプリントは、ランニングやジャンプなどを頻回に行うスポーツでみられる症状で、すねに痛みを引き起こします。シンスプリントにはさまざまな原因がありますが、原因を理解して、しっかり対策することでリスクを低減できます。 シンスプリントの原因について以下のようなお悩みはありませんか? シンスプリントの原因と症状を知りたい 痛みを和らげるための方法をしりたい 予防するための注意点や具体的な方法を知りたい この記事ではシンスプリントの原因や予防策について詳しく解説します。これからもランニングやスポーツを継続するためにも、1つずつ理解していきましょう。 シンスプリントの原因 シンスプリントの原因は大きく分けて以下の3つがあります。 ①過剰なトレーニング ②不適切なランニングフォーム ③適切でないシューズの選択 それぞれ詳しく解説します。 ①過剰なトレーニング 長時間のランニングやジャンプを繰り返すことで、すねに付着している「ヒラメ筋」「後脛骨筋」「長趾屈筋」などの筋肉が疲労し炎症を起こし、シンスプリントにつながります。そのため、運動量は徐々に増やしていき、過剰なトレーニングにならないように注意しましょう。 ただし、元々運動していない場合は、低負荷な運動だけでも筋肉が疲労してしまう可能性があります。このため、負荷量は個人に合わせて設定することが大切です。 ②不適切なランニングフォーム シンスプリントの原因となるランニングフォームは以下のとおりです。 大股で走っている 頭の上下動が大きい 歩幅が大きい つま先と膝の向きが異なる 上記に該当すると、着地時に大きな衝撃がすねに伝わります。これが繰り返されることで、筋肉や骨に過度なストレスがかかり、シンスプリントの原因となります。また、扁平足になるとすねの骨が内側に倒れやすくなり、シンスプリントのリスクを高めてしまうため注意が必要です。 ③適切でないシューズの選択 以下の項目に該当する靴は、足に負担がかかりやすいためシンスプリントを発症しやすいと言われています。 靴底が薄い 靴のかかと部分が削れている 靴底が薄ければ、体重がかかった時に足のアーチが崩れやすくなります。足のアーチが崩れると扁平足になりやすくなり、すねの骨が内側に倒れやすくなりシンスプリントのリスクを高めてしまうのです。Nikeによると、ランニングシューズについて以下のように解説しています。 「最適なクッショニングとトラクションを維持するためには、一般的に、約400〜800キロ走ったらシューズを交換するのがベストだ。最終的に、ほとんどのシューズは衝撃吸収力を最大40%失い、全体的なサポート力も同じぐらい失ってしまう。」 引用:https://www.nike.com/jp/a/running-shoes-shin-splints また、靴底のかかとが削れていると、体重をかけた時に靴底の削れた方にすねの骨が倒れやすくなるため筋肉が異常に緊張してしまいシンスプリントの原因となります。そのため、靴底が削れている場合は、定期的に買い替えることをおすすめします。 シンスプリントの予防策 シンスプリントを予防するためには以下の4つが有効です。 ①トレーニング計画の見直し ②正しいランニングフォームの習得 ③筋力トレーニングとストレッチ ④適切なシューズの選択 それぞれ詳しく解説します。 ①トレーニング計画の見直し シンスプリントは、トレーニングを計画的に行うことで予防できます。なぜなら、急激な運動量の増加は、すねの筋肉や骨に過剰なストレスを与え、シンスプリントを引き起こす原因となるからです。また、現在行っているスポーツ以外に水泳やサイクリングなどの「クロストレーニング」と取り入れることで、シンスプリントの原因となる筋肉への負担を軽減できます。 また、トレーニングを行う際は休息日を設けることも大切です。休息を取らなければ筋肉や骨に疲労が蓄積され、シンスプリントのリスクが高まります。さらに、シンスプリント以外の怪我も併発する可能性があるため、日々のトレーニング効果を高めるためにも休息は必要です。 ②正しいランニングフォームの習得 不適切なランニングフォームでは、ふくらはぎの筋肉への負担が大きくなりシンスプリントにつながりやすくなるため、正しいランニングフォームの習得が大切です。 正しいランニングフォームにするには、以下6つのポイントが大切です。 膝とつま先が進行方向を向いていること 腕が後ろまで引けていること 頭を一定の高さに保つこと 重心の真下に足を接地すること 足裏全体で着地すること マラソンの場合はピッチ数を180〜190/分にすること 上記6つのポイントを守ることで、身体に負担の少ないランニングが行えます。しかし、1度に全ての項目を意識してランニングすることは難しいので、1つずつ意識しながら正しいランニングフォームを習得していきましょう。 ③筋力トレーニングとストレッチ シンスプリントに有効なストレッチと筋力強化について以下の3つを紹介します。 ふくらはぎ(ヒラメ筋や後脛骨筋など)のストレッチ ゴムチューブを用いた「ふくらはぎ」の筋トレ 足指でタオルを引き寄せる運動 ふくらはぎ(ヒラメ筋や後脛骨筋など)のストレッチはシンスプリントの痛みを和らげるのに効果的です。ヒラメ筋のストレッチ方法はアキレス腱のストレッチに似ていて、足を前後に開いて後ろ足のヒラメ筋を伸ばしますが、この時後ろ足の膝は曲げて行うことが大切です。後ろ足の膝を伸ばして行うと、ヒラメ筋のストレッチにならなくなってしまいます。また、反動をつけると筋肉を痛めてしまう可能性があるため、ゆっくり30秒ほどかけてストレッチを行うと効果的です。 ゴムチューブを用いた「ふくらはぎ」の低負荷の筋トレでは、足指の付け根にゴムチューブを巻き、手前に引きます。かかとは床につけた状態で、ゴムチューブを伸ばすようにつま先を下に伸ばします。負荷の設定方法は、低負荷から始め、徐々に負荷量を上げていくのが一般的です。いきなり高負荷でトレーニングすると筋肉が再び炎症する可能性があるので注意しましょう。 『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、筋肉の滑走性が滑らかになります。 ④適切なシューズの選択 シンスプリントを予防するための靴選びは、以下2つのポイントを押さえましょう。 クッション性が優れている かかと部分に芯が入っている まず、優れたクッション性により足の土踏まず(アーチ)にかかる負担を軽減します。これによって、すねの骨が内側に倒れるのを防ぐ効果があります。さらに、かかと部分には特殊な芯材が入っているのが特徴です。この芯材によってかかとの骨がしっかりと固定され、安定します。その結果、すねの骨が内側に崩れる可能性も低くなります。このように、足全体をサポートする構造により、歩行時や運動時の快適さと安定性が向上します。 また、靴の他に土踏まずをサポートするインソール(中敷)の使用も有効です。靴に付属しているインソールは平坦な形状であることが多いので、スポーツショップで市販されている物を購入することで、シンスプリントをさらに予防できます。 ランニングシューズに限らず、靴を選ぶ際には実際に試着することが大切です。メーカーにより靴のサイズ感や幅が異なるため、店舗で靴を履いてみて、自分の足に合っているか確認しましょう。 シンスプリントを正しく理解して予防しよう シンスプリントは、原因を理解することで、予防策を講じられるようになります。 シンスプリントは、運動選手や部活を一生懸命行う高校生だけが発症するとは限りません。トレーニング方法によっては、趣味でランニングを行っている方でもシンスプリントになる可能性があります。 シンスプリントを発症してしまうと、痛みが軽減するまでは安静が必要となるため、折角のトレーニングが無駄になってしまいます。そのため、シンスプリントにならないためにも、日頃からストレッチや筋トレを行い予防していきましょう。 今回の記事がご参考になれば幸いです。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 目黒定,川口鉄二,陸上競技選手のシンスプリント治療に関する事例報告,仙台大学大学院スポーツ科学研修修士論文集Vol.8,2007.3,P141〜148 Shin Splints,OrthoInfo,American Academy of Orthopaedic Surgeons. Athletic Shoes,American Academy of Orthopaedic Surgeons,OrthoInfo
2024.11.27 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
妊娠出産で骨盤がゆるむと、陰毛の生え際あたりにある恥骨に負荷がかかりやすく、恥骨結合炎をおこします。痛みをなんとかしたくても、育児中だとなかなか病院にも行けませんし、妊娠中や授乳中だと薬を飲んでいいか悩みますよね。 この記事では以下をポイントに妊娠出産による恥骨結合炎について解説します。 妊娠出産でおこる恥骨結合炎の原因 妊娠・授乳中にできる検査や治療・再発予防 産後の恥骨結合炎で気を付けること うまく痛みとつきあえるよう全力でサポートしますので、ぜひ最後までお読みください。 恥骨結合炎の原因と症状 まずは恥骨結合炎の原因や症状を確認しましょう。 原因や症状を知ることで、なぜ痛いのか・どういうときに痛むのか・どんな動作で痛みが増すか分かります。 原因:①妊娠出産で体が変化するため 原因:②出産時に圧迫されるため 症状:①恥骨や股関節の痛み 症状:②思ったように歩けない 1つずつ解説します。 原因:①妊娠出産で体が変化する 妊娠中はエストロゲンとリラキシンというホルモンが、妊娠の維持や出産の準備のため分泌され骨盤がゆるみます。 恥骨は左右それぞれから身体の正中(もしくは中心)に向き合い、陰毛の生えぎわあたりで軟骨と結合しており、これを恥骨結合といいます。骨盤がひらくとこの恥骨結合に負荷がかかりやすくなり、痛めてしまうことは珍しくありません。 骨盤が不安定ななかで、子どもを抱っこしたり無理な姿勢で育児したり、痛みを我慢して家事をしていると恥骨結合や恥骨にくっついている筋肉に疲労がたまり、恥骨結合炎となります。 原因:②出産時に圧迫されるため 出産で赤ちゃんの頭や体が産道をとおるときに、恥骨周囲が直接圧迫され、恥骨結合や周囲の筋肉に炎症がおきると恥骨結合炎となります。 症状:①恥骨や股関節が痛む 症状は恥骨の前側の痛みや、股関節の痛み、恥骨に筋肉が付着している内ももの痛みです。 また、歩いたり前かがみになる動作、立ち上がり動作、太ももを閉じるような動作でとくに痛みが増すため、動作に注意しましょう。 症状:②思ったように歩けない 恥骨結合にはお腹や太ももの筋肉がくっつているため、恥骨結合炎で周囲の筋肉も炎症をおこすと、思ったように足が動かせなかったりいつものように歩けないといった症状がでます。 恥骨結合炎の検査や診断 妊娠中や出産後に恥骨結合炎を疑うときの検査についてまとめました。 検査の方法 妊娠中・授乳中に検査できるのか 以上の2点を解説します。 恥骨結合炎の検査 恥骨のあたりに痛みがある場合、骨の状態や炎症の具合をみる検査をおこないます。 レントゲン MRI レントゲンは、かたい骨がうつりやすいため恥骨の状態が分かりやすく、恥骨結合炎の診断によくつかわれます。 MRIはやわらかい組織をうつすのが得意で、骨以外の靭帯や筋肉などの炎症も分かりやすいのが特徴の1つ。時間のかかる検査のため、より精密に検査したい場合におこなわれます。 軽い痛みであればレントゲン撮影で済むでしょう。 妊娠中・授乳中にレントゲン・MRI検査はできる? レントゲン検査は放射線を照射するため、妊娠中や授乳中に検査してもいいのか不安ではないでしょうか。 レントゲン撮影は放射線被ばく量が少ないため、妊娠中も授乳中も可能です。 少量の放射線は空気中や大地、食物に含まれており、わたしたちは日頃から少量の被ばくをうけています。自然の被ばく量とレントゲンの被ばく量を比較してみましょう。 空気中から 大地から 宇宙から 食物から レントゲン(胸) 被ばく量 0.48mSv/年 0.33mSv/年 0.3mSv/年 0.99mSv/年 0.06mSv/1回 (参考:環境省) レントゲンの被ばく量の少なさが分かりますね。 帝王切開などの手術の事前検査でレントゲンを撮影したり、身長の低い方・胎児が大きい場合に産道を赤ちゃんが通れるか骨盤計測するためにレントゲンを撮ることもあります。また、放射線は母乳に影響しないため授乳中も検査ができます。 安心してレントゲン検査をうけてください。 また、MRI検査は磁気を利用した検査で、通常のMRI検査は胎児に影響しません。 ただし、造影剤をもちいるMRI検査は胎児に影響がでる報告があり妊娠中はおこなえません。造影MRIは血管の状態をみるときにおこなう検査で、恥骨結合炎疑いで検査することはまずないため安心してくださいね。 治療法と自宅でできるケア 妊娠中や育児中でもできる治療やケアをご紹介します。妊娠中や授乳中は飲める薬が限られますし、なるべく自力で治せたらいいですよね。病院での治療や自宅で出来るケアをまとめたので、ぜひ参考にしてください。 妊娠中・出産後の恥骨結合炎の治し方:①薬を飲む 恥骨結合炎の一般的な治療は、投薬や冷却、注射などです。妊娠中や授乳中は痛み止めが飲めないわけではありません。 しかし、種類が限られるため、なるべく受診して医師に処方してもらいましょう。妊娠中や授乳中に飲める痛み止め成分はアセトアミノフェンです。 アセトアミノフェンが主成分の市販薬もありますが、市販薬は他の成分も含まれているためかならず薬局の薬剤師やかかりつけの医師に相談しましょう。 妊娠中・出産後の恥骨結合炎の治し方:②冷やす 痛みが強い・炎症が強い場合は冷やすのも効果的です。保冷剤などをタオルで巻き、冷やしてみてください。 市販の冷湿布は妊娠中・授乳中につかえない成分が含まれているものがあります。湿布の成分は皮膚を通してからだに吸収されるため、おうちにある湿布を安易に貼らないようにしましょう。 湿布を使いたい場合は薬剤師に相談するか、病院を受診して処方してもらいます。 妊娠中・出産後の恥骨結合炎の治し方:③安静にする なるべく動かずに安静にすることも恥骨結合炎で大事な治療の1つ。 とはいっても、育児中だとなかなか安静にできないですよね。子どもが寝ているときになるべく一緒に寝たり、ネットスーパーを利用しできるだけ家で過ごすなど、痛みが強い場合は無理しないようにしましょう。 自宅でできる恥骨結合炎の治し方:④骨盤ベルト 骨盤ベルトを日頃から使い、骨盤を安定させると痛みの軽減につながります。 妊娠中は出産に向けてすこしずつ骨盤がひらき、胎児が大きくなることで恥骨への負担が増えます。出産後も骨盤はすぐ元にもどらないため、ベルトで骨盤を安定させましょう。 骨盤ベルトは産婦人科のある病院や助産院で購入できる場合があるので、恥骨の痛みを感じたらはやめに助産師や医師に相談してください。 市販の骨盤ベルトを選ぶ場合は、「妊娠中から産後までつかえる」と書いてあるなど、妊産婦向けの商品を選んでくださいね。 自宅でできる恥骨結合炎の治し方:⑤ストレッチや散歩 痛みが強い急性期は、痛み止めの内服や冷却をして安静にするのが基本ですが、痛みが慢性化している場合は軽い運動が効果的です。再発予防にもなるため、医師の診察で軽い運動の許可が出たら少しずつおこないましょう。 マタニティヨガや産後ヨガなど痛みの出ない範囲でおこなうといいでしょう。ベビーカーをつかい、お子さんとお散歩するのもおすすめです。 恥骨結合炎:産後の日常生活で気を付けるべき3つのこと 産後の恥骨結合炎は、赤ちゃんの抱っこやお世話・授乳時に無理な姿勢をとりやすく、恥骨結合炎が悪化することも。 出産後、育児中の恥骨結合炎との付き合い方についてまとめました。 気を付けること①赤ちゃんの抱っこ 出産後は赤ちゃんを抱っこすることが多いですよね。 抱っこするときは前かがみの姿勢になりやすいですが、前かがみは恥骨に体重がかかるため負荷がかかります。床など低い位置から赤ちゃんを抱っこするときは、なるべく背筋をのばし、片膝を立てて抱き上げるようにしましょう。 また、抱き上げたあとも、左右どちらかに体重がかからないよう注意し、片方の腰の骨に赤ちゃんを乗せる抱き方もひかえます。 抱っこして歩くときはなるべく骨盤ベルトを使用してくださいね。 気を付けること②授乳などお世話の姿勢 授乳時も前かがみになりやすいため、なるべく前かがみにならないよう床ではなく椅子に座り、授乳クッションをつかいましょう。 オムツ替えやお着換えなどのお世話も前かがみになりやすいですが、オムツ交換台を使用すると腰の負担が減りますよ。オムツ交換台は転落に十分注意しながら使ってみてくださいね。 気を付けること③恥骨結合離開 恥骨結合の痛みで気を付けなくてはいけないのは、恥骨結合離開です。 恥骨結合に炎症が起きるのとは違い、恥骨結合離開では、左右からつながっている恥骨の結合が離れてしまうことで、出産時に恥骨を強く圧迫されることで起こります。 とくに以下の状態であれば注意してください。 痛みが強い 歩行が困難 安静や冷却、骨盤ベルトをしても痛みが改善しない 6週間以上改善がない場合は手術適応と考える医師もいます。 「恥骨結合炎だ」と自分で判断して我慢しているとなかなか完治しないため、痛みが強い場合ははやめに受診しましょう。 恥骨結合炎とうまくつきあって再発を予防しよう! ここまで、妊娠・出産における恥骨結合炎の原因や検査、ケアや注意点をご紹介しました。 妊娠や出産で骨盤まわりは変化しますが、痛みがでやすいなかでの妊婦生活や育児は大変ですよね。どうしても姿勢がくずれてしまったり、慌ててしまって腰や恥骨に負荷がかかることはよくあります。しかし、お母さんが健康でいることも大切なことです。 痛みがあるときはなるべく安静にし、しっかりケアしてください。また、痛みがひいても姿勢に気を付けたりヨガなどのストレッチや散歩をおこない、再発を予防しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 医学書院医療情報サービス,恥骨炎(恥骨結合炎) 坂本 飛鳥,星 賢治,岸川 由紀,田中 真一,蒲田 和芳,妊娠・産後の骨盤痛が歩行に及ぼす影響:システマティックレビュー,Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol,10,No.1:1-8,2020 産婦人科学会,「母乳中放射性物質濃度等に関する調査」についてのQ&A 環境省,自然・人工放射線からの被ばく線量,放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成26年度版)第1章.放射線の基礎知識と健康影響 高須 厚, 日浅 浩成, 椿 崇仁, 飯本 誠治, 大野 尚徳, 山岡 慎大朗,創外固定で治療した出産に伴う恥骨結合離開の1例,中部日本整形外科災害外科学会雑誌,2019 ,62 巻 2 号,p. 379-380
2024.11.13 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
股関節の関節唇損傷により、今後の競技人生を不安に思っているアスリートはいるのではないでしょうか。関節唇損傷は、痛みや炎症が収まっても股関節の安定性は低下したままであるため、再発のリスクがあり、リハビリテーションが重要です。 そのため、この記事では競技復帰のための適切なリハビリテーションや再発しないための予防法を解説します。関節唇損傷から早く復帰したいと考えている方はぜひご覧ください。 股関節の関節唇損傷とは 関節唇損傷とは、関節の周りに付着している軟骨である「関節唇」が損傷することです。関節唇は、肩や股関節に存在し、関節の安定性やスムーズな動作・衝撃吸収のために不可欠です。股関節の関節唇は、骨盤側の股関節を取り囲むように付着しており、大腿骨を包み込む形状です。 股関節唇は以下の図のように付着しています。 引用:illustAC 股関節唇は、動作時の大腿骨頭の安定化や脚を着いた時の衝撃吸収などに働きます。関節唇には神経があるため、発症時には痛みを感じます。 股関節唇損傷の原因 股関節唇損傷の原因は、主に以下の3つがあります。 スポーツでの損傷 外傷による損傷 先天的な要因による損 スポーツでは、主にサッカー、ゴルフ、ランニングなどが原因で股関節唇損傷を発症することがあります。例えば、サッカーの蹴る動作でのフォロースルーやランニングの着地時など、股関節に大きな負荷がかかるときです。 外傷では、交通事故で股関節脱臼を発症し、関節唇損傷が併発する場合があります。股関節の形状は骨盤側のくぼみが大腿骨頭をほとんど包み込んでいるため、脱臼時には関節唇も一緒に損傷しやすいからです。 先天的な要因としては、臼蓋形成不全・大腿臼蓋インピンジメント症候群などがあります。これらは先天的な形態異常により関節唇に負荷がかかりやすくなってしまう為です。 股関節唇損傷の症状 股関節の関節唇損傷の症状は、代表的なもので3つあります。 股間節を深く曲げた時の痛み 長時間の立位や歩行での痛み 股関節のつまり感・ロッキング 股関節を深く曲げる時に、関節唇が挟み込まれるため痛みが出現します。また、関節唇損傷による股関節の安定性低下は、長時間の立位や歩行での衝撃吸収機能を減少させるため痛みの症状が現れやすいです。さらに、股関節のスムーズな動きが阻害されるため、股関節のつまり感・ロッキングの症状が出現し、動作時に股関節がぐらつく・抜けるような感じがして股関節が動かせなくなります。 股関節唇損傷の診断 股関節唇損傷は、X線、CT、MRIを用いて診断されます。以下に3つの検査方法とその特徴を紹介します。 検査方法 特徴 X線検査 寛骨臼や大腿骨の変形を評価できます。また、骨折がないかも確認可能です。 CT検査 3次元の骨画像を抽出でき、寛骨臼や大腿骨頭の変形などを詳細に調べられます。 MRI検査 股関節唇の損傷の有無を評価できます。しかし、通常のMRIでは詳細な評価は難しく、特殊なMRI検査が行われます。 関節唇損傷には、骨折が併発している可能性がある場合はX線・CT検査を実施し、MRI検査で関節唇損傷の有無を検査します。 股関節唇損傷の治療 股関節唇損傷の治療は、保存療法と手術療法の選択肢があります。どちらを適用するかは、症状の重症度によって異なりますが、一般的には保存療法が選択されることが多数です。保存療法では、安静・薬物療法・リハビリテーションが実施され、手術療法では、股関節鏡視下手術、大腿骨と下前腸骨棘の骨棘切除が行われます。それぞれ下記で詳しく解説します。 保存療法 保存療法では、安静や消炎鎮痛剤の投与、局所麻酔やステロイド注射により、痛みや炎症をコントロールします。その後、リハビリテーションで股関節や体幹の強化により、動作時の股関節の安定性向上や股関節唇への負担を減らします。もし、保存療法で疼痛の軽減が見られない場合は、症状が進行している可能性があるため手術療法を検討します 対象となる人は、疼痛が自制内で、引っかかりの症状がない方が多数です。一方、選手生命にかかわるスポーツ選手や痛みが強く日常生活に大きな支障がある方では手術療法も検討されます。 手術療法 手術療法は、痛みがかなり強い場合やスポーツ選手など選手生命に関わる場合に検討されます。主に、股関節鏡視下手術と骨棘の切除の2つの方法が用いられます。以下で詳しく解説します。 股関節鏡視下手術 股関節鏡視下手術では、臀部から大腿の側面に穴を空け、内視鏡で観察しながら手術します。関節包を切開し、内視鏡で関節唇、軟骨、大腿骨頭の状態を観察します。関節唇が十分残っている場合は、関節唇修復術を行います。一方、関節唇が欠損している場合や縫合不能な断裂では関節唇再建術を行います。以下に手術方法とその特徴を表で紹介します。 特徴 関節唇修復術 損傷している関節唇を寛骨臼から一旦はがし、正しい形にして固定します。 関節唇再建術 関節唇の除去後、大腿から腸脛靭帯を採取し、関節唇の代わりに固定します。 大腿骨と下前腸骨棘の骨棘切除 先天的な形態異常により、大腿骨頭の変形や下前腸骨棘の骨棘がみられる場合は骨を切除します。これらの変形は、股関節運動時に関節唇へストレスを与えやすく、変形性股関節症など他の股関節疾患にもつながりやすいです。変形は小さいことが多く、CT検査では見逃されることもあるため特殊な方法が用いられます。 手術療法と保存療法のメリット・デメリット 手術療法・保存療法の両者にメリットやデメリットが存在します 手術療法は、関節唇損傷の程度が大きい場合、保存療法で症状が改善されなかった場合に実施されます。一方、保存療法は損傷程度が小さい場合に適用されます。これらはどちらにもメリット・デメリットがあるため、下記の表で解説します。 メリット デメリット 手術療法 関節唇の修復・再建が可能 短期間での復帰が可能 約数十万円と高額な費用がかかる 身体への侵襲がある 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 復帰まで時間がかかる 関節唇自体が修復するわけではないため、再発の可能性がある 保存療法は、普通に生活するには問題ないことが多いです。一方で、スポーツ選手など、今後も激しく股関節を使う方では手術療法で修復するのが望ましいです。 治療後の日常生活での注意点 治療後の日常生活で注意する点は以下の4つがあります。 低い椅子に座らない あぐらをかかない 車の乗り降りに注意 イスからの立ち上がりで手すりを使う これらは「股関節を深く曲げてしまう」「股関節に過剰な負荷がかかる」ため避けたい動作です。深く曲げると関節唇が股関節に挟み込まれて損傷する危険性があります。また、立ち上がる際には股関節に負荷がかかるため手すりを用いて負担を軽減することが望ましいです。 日常生活に復帰するまでの期間 日常生活への復帰は、個人差がありますが保存療法では約3カ月、手術療法では約2〜3週間程度になります。保存療法では、痛みを引き起こさない動作や日常生活の仕方を覚えるのが大切です。日常生活に復帰してから痛みを再発したという声もあり、適切な動作の獲得が求められます。 一方、手術療法では、手術・入院は3日ほどで、その後のリハビリテーションが2〜3週間必要です。手術後に関節の癒着や可動域制限を引き起こさないように、術後早期からリハビリテーションを実施するのが大切です。 競技復帰までの期間 競技復帰までの期間は、競技レベル・怪我の重症度、実施した治療方法などで異なりますが、約3〜6ヶ月程かかります。特に、日常生活とは異なり、スポーツでは負荷のかかる動作・瞬発的な動作が必要になるため、より股関節の安定化・柔軟性に着目した運動療法や競技特異的なリハビリテーションが必要です。 股関節唇損傷のリハビリテーション 関節唇損傷では股関節の安定性や衝撃吸収能力が低下します。そのため、股関節の安定性を高める筋トレや股関節の柔軟性を高めるストレッチが大切です。以下で詳しく解説します。 股関節の安定性を高める筋トレ 引用:illustAC 股関節の安定性では、臀部にある複数の筋肉が協調的に働くことが大切です。例えば、股関節の安定性に関与する筋肉は、上記画像の外旋六筋、中殿筋、小殿筋などがあります。筋力だけ高めても動作のなかで応用できなければ、再び関節唇損傷を発症してしまいます。以下に、具体的な筋トレを紹介します。 外旋筋群の筋トレ 外旋筋群はお尻の深いところにある筋肉で、大腿骨頭を安定させる役割があり、股関節のスムーズな運動で重要です。外旋筋は複数の筋肉があり、協調的に働くことで動作時でも大腿骨頭を安定させます。具体的なトレーニングのやり方を以下に記載します。 <やり方> 横を向いて床に寝転ぶ 股関節を45°、膝関節を90°程度曲げる 両足の踵を付けたまま上側の膝を開く 膝を開くときに骨盤が背中側に倒れないように意識しましょう。 中殿筋・小殿筋の筋トレ 中殿筋はお尻の側面についている筋肉で、片足立ちなどで特に働く筋肉です。中殿筋を鍛えることでスポーツでの方向転換動作や片脚立位での動作の安定性を高められます。一方、小殿筋も股関節の安定性を高めるのに大切で、片脚立位で良く働きます。具体的なトレーニングのやり方を以下に記載します。 <やり方> 横になって寝転ぶ 下側の脚を少し曲げて身体を安定させる 上側の脚を上後方へ上げる 上側の膝は伸ばした状態で行い、上後方へ動かすことでより中殿筋・小殿筋を鍛えられます。 股関節の柔軟性を高めるストレッチ 股関節の柔軟性は、スポーツなどで衝撃を吸収するために大切です。柔軟性が低下していると、股関節や膝などに過剰な負荷がかかりやすくなります。特に、殿筋・ハムストリングスのストレッチが大切です。 殿部のストレッチ 殿筋には、大殿筋・中殿筋・外旋筋群などがありますが、それぞれジャンプの着地や方向転換動作で重要な筋肉です。ストレッチにより柔軟性を高めることで、股関節の動きがスムーズになり、傷害予防やパフォーマンスの向上に繋がります。具体的なストレッチのやり方を以下に記載します。 <やり方> 椅子に姿勢よく座る 片脚の足首を反対の太ももに乗せる そのまま身体を前に倒す ハムストリングスのストレッチ ハムストリングスは、半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋の3つの筋肉で構成されます。ダッシュや方向転換などスポーツの多くの場面で使う筋肉です。また、陸上やサッカーなどのスポーツで肉離れしやすい部位でもあるため、ハムストリングスのストレッチは怪我の予防に欠かせません。具体的なストレッチのやり方を以下に紹介します。 <やり方> 仰向けで寝転ぶ 片脚の股関節を90度に曲げる もも裏を両手で抱えて膝を伸ばす 膝を伸ばすときに股関節を90度に保ったまま行うとハムストリングスが伸張されやすく効果的です。 股関節唇損傷を予防するには 予防のためには「股関節の柔軟性向上」「股関節の安定性強化」が必要です。股関節への負担を減らすために日常動作を改善したり、股関節周囲筋を鍛えることで安定性を強化します。また、スポーツではあらゆる方向から様々な力が瞬間的に加わります。そのため、競技特異的なトレーニングにより股関節周囲筋を動作の中で活用する訓練を実施しましょう。 適切なリハビリテーションにより競技復帰を目指しましょう 股関節唇損傷により、股関節の安定性低下・衝撃吸収能力の低下などスポーツに支障が出ます。関節唇自体は自然治癒することはないため、手術により修復するか保存療法で痛みと炎症を抑える方法を実施します。そのため、臀部の筋肉を強化したりハムストリングスの柔軟性を高めるなど、筋肉で股関節の安定性を補う必要があります。 また、スポーツに復帰する際には競技特異的な動作練習が欠かせません。復帰を急ぐと再発の可能性もあるため、焦らずじっくりリハビリテーションを行いましょう。 参考文献一覧 北水会記念病院 股関節専門外来,股関節唇損傷とは 長野整形外科クリニック,手術・入院費用,手術費用| 室伏祐介,岡上裕介,中平真矢,前田貴之,永野靖典,池内昌彦,川上照彦,等張性収縮における小殿筋筋活動と中殿筋筋活動の比較,理学療法科学,31(4):597–600,2016 田城翼,浦辺幸夫,内山康明,山下大地,前田慶明,笹代純平,吉田遊子,大殿筋および股関節外旋筋群への静的ストレッチングはしゃがみこみ動作に影響を及ぼすか,理学療法科学,33(6): 935–940, 2018
2024.10.11 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
肩関節唇の損傷は、野球やテニスのような腕を上から振り下ろすオーバーヘッドスポーツで起こりやすい疾患です。 肩関節唇損傷から回復して競技が継続できるか、将来的に症状は改善するのか不安に思っている方はいるのではないでしょうか。適切な治療により症状は改善し、リハビリテーションにより肩関節の安定化を図ることで競技復帰も望めます。 この記事では、競技復帰するためのリハビリテーションや再発予防の方法について解説します。怪我から早く競技復帰したいと考えている方は、ぜひご覧ください。 肩関節唇損傷とは 肩関節唇損傷とは、肩関節を安定させる機能をもつ関節唇の損傷です。発症の原因は、オーバーヘッドスポーツ、肩の過剰な使用、脱臼に伴う損傷などがあります。特に、野球やテニスなど投球動作を伴うスポーツをしている人に多く見られます。これらのスポーツでは、特に上方や後方の関節唇を損傷しやすいです。主な症状は、肩の痛み、不安定感、可動域制限などがあります。安静により痛みは治まることが多いですが、肩の不安定を軽減するためにリハビリテーションが必要です。また、関節唇は再生することはないため、重症例では手術が必要です。 肩関節唇損傷の治療方法 肩関節唇損傷の治療は、保存療法や手術療法が実施されます。保存療法では、痛みを抑えるために鎮痛薬の投与や安静の確保、痛みが治まれば肩関節の安定性を高めるためのリハビリテーションが行われます。 一方、手術療法では関節唇の修復や再建が行われます。具体的な内容は以下で解説します。 保存療法 軽症例では保存療法を実施する場合が多いです。保存療法では、薬物療法やリハビリテーションを行います。具体的には以下で解説します。 薬物療法 発症直後で痛みが強い場合には、ロキソニンやボルタレンなどの消炎鎮痛薬の内服やヒアルロン酸の関節内注入を行い安静にします。それでも痛みが軽減しない場合はステロイドを注射します。そして、痛みや炎症が落ち着いてきたらリハビリテーションを開始する流れです。ただ、可動域訓練やリラクゼーションは拘縮予防のために多少痛みがあっても実施する場合があります。 リハビリテーション リハビリテーションでは、肩関節周囲のリラクゼーション・可動域の改善・筋力強化を行います。肩関節唇損傷では、肩後面の組織が硬い場合が多いため、後面の組織を中心にリラクゼーションを実施します。また、痛みにより筋肉が反射的に緊張しやすく、可動域制限になりやすいため可動域訓練が大切です。さらに、肩関節の安定性を高めるために腱板筋群の筋力強化を行います。テニスや野球の投球動作では、腱板筋群に大きな負荷がかかるため、負荷に耐えられるように筋力強化が必要です。 手術療法 手術療法は、重症例や脱臼を繰り返してしまう方に適用されます。手術と入院は、数日〜10日間程度であり、術後2〜3週間はリハビリ以外では装具で肩関節を固定します。手術方法はさまざまですが、代表的な手術方法を2つ紹介します。 鏡視下関節唇修復術 鏡視下関節唇修復術は、関節鏡で確認しながら関節唇を元の位置に縫い合わせる方法です。手術は全身麻酔で実施し、皮膚に小さな穴を3か所ほど開けて手術します。ただ、鏡視下関節唇修復術の中でもさまざまな術式があるため、実施方法は微妙に異なります。 保存療法と手術療法のメリット・デメリット 保存療法と手術療法のメリット・デメリットを表で解説します。 メリット デメリット 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 関節唇自体が治るわけではないため、再発や脱臼の可能性がある 症状が良くなるまでに期間がかかる 手術療法 術後の回復が早く、約1ヵ月後には日常生活に戻れるほど早期復帰が可能 脱臼のリスクが低い 身体への侵襲がある 手術や入院で約30万円と高額な治療費がかかる どちらにもメリット・デメリットがあるため、上記表や医師の意見を参考にして選択しましょう。 治療後の注意点 保存療法では、関節唇自体が治るわけではないため肩関節の緩さが少なからず残りやすいです。そのため、肩関節を過度に動かすと脱臼や再び症状を再発する可能性があり、肩のリハビリテーションをしっかり行うのが大切になります。 一方、手術療法では、範囲は狭いものの関節包など深部への侵襲があるため、組織が癒着して可動域が制限されないように術後早期からリハビリテーションが必要です。1ヵ月ほどリハビリを行うと通常の生活レベルに戻れますが、スポーツ復帰には3〜6ヵ月必要です。 競技復帰までのリハビリテーション 肩関節唇損傷のリハビリテーションは、競技復帰で重要です。競技復帰までの期間や具体的なリハビリテーション内容を以下に紹介します。 術後~1ヵ月(炎症管理) 術後初期では、痛みや炎症が残存しているため、まずは安静や消炎鎮痛薬により改善を図ります。夜間に肩を動かさないように、術後2週間ほどは装具を着用します。ただ、癒着予防のためにリハビリは手術翌日から開始する場合が多いです。この時期にたくさん筋トレしてしまうとより悪化してしまうため運動量や負荷には注意です。 術後1ヵ月~2ヵ月(可動域向上・筋力強化) この時期では、特にテニスや野球の投球動作で必要な肩関節外旋・外転可動域の向上を目指します。可動域が狭いと肩関節に負担がかかりやすいです。また、スポーツ復帰を目指す場合、全身の心肺機能を戻すのも大切なので、有酸素運動など持久力トレーニングも実施します。肩の筋力トレーニングは低負荷から実施し、段階的に難易度を上げていきましょう。 術後2ヵ月~3ヵ月(動作練習) 筋力トレーニングの負荷を上げつつ、スポーツに特化した動作練習を行っていきます。スポーツの中では、予測不能な外力が加わる場合や瞬発的な動作が多いため、素早い動作にも対応できる身体づくりが大切です。特に、受傷のきっかけとなった動作を入念にチェックし、再発を防止しましょう。 肩関節唇損傷の再発を予防する方法 肩関節唇損傷の再発を予防するには、腱板筋群のトレーニングや肩後面のストレッチが大切です。以下に具体的な内容を解説します。 腱板筋群のトレーニング 腱板筋群は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋で構成されており、肩関節の安定化に必須の筋群です。投球動作の繰り返しにより、腱板筋群は大きなストレスを受けるため、これらの筋群が弱化しやすくなります。そのため、練習時間の制限や投球動作の回数制限を設けて練習しましょう。具体的な腱板筋群のトレーニングを以下に記載します。 <やり方> イスに座り、わきをしめて肘を90度に曲げる わきをしめたまま腕を外に開く 負荷はチューブなどを用いて行い、低負荷・高回数で実施します。腱板筋は小さい筋肉であり、負荷が高いと間違った動作になってしまうため気をつけましょう。 肩後面のストレッチ テニスや野球などの投球動作を頻繁に行うスポーツでは、肩後面の棘下筋・大円筋・小円筋・三角筋が硬くなりやすいです。そうすると、上腕骨頭の動きがぎこちなくなり、腱板筋群が作用しづらくなります。結果、肩関節への負担が増加します。そのため、肩後面のストレッチにより肩の滑らかな動きを獲得するのが大切です。具体的なストレッチの方法を以下に記載します。 <やり方> 両手の甲を脇腹につけます 肘を前方に向けるように閉じていきます 肩の後面が伸びているのを意識します 肩をすくめたり体幹だけを回したりしないように、肩後面が伸張されているのを意識して実施しましょう。 競技を継続できるように肩関節のケアを行いましょう 肩関節唇損傷は、テニスや野球などオーバーヘッドスポーツで発症しやすい疾患です。関節唇は、肩の安定化に欠かせない組織であり、再生もしないためリハビリテーションによる訓練が大切になります。 また、投球フォームによっては肩後面の組織が硬くなりやすいことや腱板筋群が弱化しやすいため、入念にトレーニングやストレッチを行います。スポーツの実施前後で行うことで肩の柔軟性や筋力を保てるでしょう。 今回ご紹介したストレッチや筋力トレーニングにより、可動域向上・筋力向上を目指せるため、再発予防のためにも毎日ケアしましょう。 参考文献一覧 舟橋整形外科病院,肩関節の疾患と手術 Jpn J Rehabil Med 2018;55:495-501,投球障害のリハビリテーション治療 日本臨床スポーツ医学会誌,投球障害肩の現況,Vol. 26 No. 3, 2018.
2024.10.09 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
大転子滑液包炎(だいてんしかつえきほうえん)は、特にランニングやスポーツなどをおこなう方に多く、1,000人中の5〜6人が発症します。 また、男性よりも女性、40~60歳の方が発症しやすいと言われてます。 大転子滑液包炎について以下のようなお悩みがありませんか? 痛みの改善方法が分からない 症状を悪化させる原因を知りたい ストレッチや運動などの予防策を知りたい この記事では大転子滑液包炎を改善・予防するための正しい知識を身につけ、原因や生活習慣、予防策について解説しています。 将来、自分の足が大転子滑液包炎になるのを防ぐためにも、適切な対策を行えるようになりましょう。 大転子滑液包炎とは? 大転子滑液包炎とは、 股関節の外側に存在する大転子という骨の周囲の滑液包が炎症を起こす症状 です。滑液包とは、関節や筋肉がスムーズに動くために存在する滑液という潤滑液を含む袋のことで、滑液包が炎症を起こすと関節や筋肉の動きが制限され、多くの場合、痛みを伴います。 大転子滑液包炎の原因には「大腿筋膜張筋」と「腸脛靭帯」の2つが関係しています。この2つの組織は大転子の上部を通過しているため、ランニングやサイクリングなどの同じ動作が行われ大転子滑液包と摩擦が起きることで炎症すると言われています。 また、大転子滑液包炎のリスクとなる要因は下記4つです。 転倒やスポーツなどによる外傷 大転子に付着する組織(中殿筋・小殿筋など)の損傷に伴う二次的な滑液包炎 滑液包自体の摩擦・微細損傷による炎症 関節リウマチや痛風などの疾患 外傷や内部の炎症性疾患が大転子滑液包炎を引き起こす要因です。 現在、股関節の疾患に対する治療法のひとつとして「PRP療法(再生医療)」 が注目されています。人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 大転子滑液包炎の症状 発症初期のころの痛みは股関節の外側と局所的ですが、症状が悪化すると大腿の外側まで痛みの範囲が拡大します。また、大転子を圧迫すると痛みが出現するため、横を向いて寝ることが大変になります。 また、痛みの程度により、日常生活やランニングなどの趣味活動に制限される場合もあるのです。 下記の記事では、股関節の疾患についてまとめています。ほかの病気もチェックしたい方は、あわせてご覧ください。 大転子滑液包炎が発症する原因3つ 大転子滑液包炎の原因は大きく分けて以下の3つがあります。 大転子を動かす激しい運動 長時間の立ち仕事 肥満体型 それぞれ以下で詳しく解説します。 大転子を動かす激しい運動 ランニングやサイクリングなどを頻繁に行う方は、大転子滑液包に対する摩擦が増え、炎症を引き起こす可能性があります。 階段の上り下りや、登山といった関節の動きが活発な動作も、大転子滑液包に負担をかけるため、大転子滑液包炎になる要因のひとつです。 長時間の立ち仕事 一般的に長い時間立っている方は、大転子滑液包にストレスがかかりやすいため、大転子滑液包炎を発症しやすくなります。 また、散歩やランニングの際に体が左右どちらかに傾いていたり猫背などの不良姿勢であることも、大転子滑液包にストレスがかかる原因となります。 このため、立ち仕事が増えたことや、ランニングを始めてから大転子周囲に痛みが出現した方は、大転子滑液包にストレスがかかっているかもしれません。 肥満体型 生活習慣では肥満も大転子滑液包炎の発症に影響を与えます。なぜなら、体重が増えると大転子滑液包にかかる負担も増加するためです。 肥満傾向の方は、体重を少し落とすだけでも痛みや症状の進行を抑えられるでしょう。 また、大転子滑液包炎は「PRP療法(再生医療) 」でも治療できます。PRP療法(再生医療)とは、血液に含まれる血小板の力を利用して傷ついた組織を修復する医療技術です。身体に負担の少ない治療法として、今注目されています。 「PRP療法(再生医療)で大転子滑液包炎はどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療専門の『 リペアセルクリニック 』にお気軽にお問い合わせください。実際の治療例をお見せしながら、再生医療の仕組みをわかりやすくお伝えいたします。 大転子滑液包炎の診断方法 大転子滑液包炎の診断は以下を用いて総合的に行われます。 問診 身体所見の確認 MRI 問診では、これまでの病歴や痛みが出現する前に行っていたこと、どのような時に痛いのかを確認します。身体所見の確認では、大転子を圧迫し痛みが出現するのかを確かめます。関節包に水が溜まっているかどうかや関節包の炎症の有無の判断は、MRIを使用しなければ分かりません。 大転子滑液包炎の効果的な治療方法 大転子滑液包炎の治療方法は大きく分けて以下の3つです。 保存的治療 手術療法 PRP療法(再生医療) それぞれ以下で詳しく解説します。 保存的治療 大転子滑液包炎の保存的治療の重要な目標は、痛みの軽減を図ることです。大転子滑液包炎に限らず、炎症があり痛みが強い場合にはアイシングが有効です。アイシングをすることで炎症を抑え痛みを抑制できます。 また、大転子滑液包の炎症を抑えるためには、ステロイドの注射や消炎鎮痛剤の内服も有効です。しかし、30%の方は痛みが改善しないと言われているため、保存的治療で痛みを改善できない場合には以下の方法の検討も必要となります。 手術療法 大転子滑液包炎が長期化し慢性化すると、大転子滑液包内に異常な血管が生じてしまいます。この場合、ステロイドや消炎鎮痛剤の使用により一時的に痛みは軽減しますが、再度痛みが出現します。 そのため、大転子滑液包炎が長期化している場合は、運動器カテーテル治療を行い、異常な微小血管を減らす治療が有効です。施術時間は20〜30分ほどで終了します。 運動器カテーテル治療後は、大転子滑液包炎による痛みが改善します。しかし、他にも原因がある場合は、痛みが残存する可能性があるため、医師への相談が必要です。 PRP療法(再生医療) 「PRP療法(再生医療)」とは、患者さまの血液に含まれる血小板の治癒力を利用して、傷ついた組織を修復する医療技術です。 注射を打つだけなので、日常生活や仕事への影響はありません。普段どおりの生活を送りながら、早期回復を期待できます。 弊社『リペアセルクリニック』は、再生医療専門のクリニックです。国内での症例数は10,000例以上に及び、多くの患者さんの治療に携わってきました。 大転子滑液包炎は再生医療の治療対象です。弊社では無料相談を受け付けていますので、詳しい治療法や効果を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 大転子滑液包炎の予防法 大転子滑液包炎の予防法を解説します。主な予防法は以下の3つです。 ストレッチ 適度な運動 規則正しい生活習慣 順番に見ていきましょう。 ストレッチ 大転子滑液包炎を予防するためには、股関節周囲の筋肉、 特に「大腿筋膜張筋」の柔軟性を高めること が重要です。大腿筋膜張筋のストレッチは座った状態と寝た状態どちらでも行えます。 まずは座った状態でのストレッチから解説します。椅子に浅く腰掛け、片方の足を反対側の太ももの上に乗せます。上体をゆっくりと前に倒し、太ももの外側に軽い張りを感じるところで20~30秒ほど保持します。反対側も同様に行います。 次に、寝た状態でのストレッチを説明します。両膝を立てて膝を左右どちらかに倒し、20~30秒ほど保持します。膝を右側に倒した時は左足の大腿筋膜張筋、左側に倒した時は右足の大腿筋膜張筋が伸ばされます。 どちらのストレッチも、1日に数回行うことで筋肉の柔軟性を維持できます。ストレッチを行う際は、痛みを感じない範囲で行い、呼吸を止めないように注意しましょう。膝を倒した時に痛みが強い場合は、痛みが出る直前まで倒すことで痛みなくストレッチできます。 無理なストレッチは症状を悪化させる可能性があるため、痛みのない範囲で行うことが大切です。 適度な運動 大転子滑液包炎を予防するためには、股関節周囲の筋力アップが必要です。 ここでは、自宅で簡単に行える以下2つの運動をお伝えします。 スクワット 足を横に開く運動 スクワットの方法は以下のとおりです。 足を肩幅にひらく 膝がつま先より前に出ないように膝を90度ほど曲げる 膝を伸ばし1の状態に戻る 上記を10回繰り返す この時に1つ注意点があり、膝を曲げている時は膝が内側に寄らないようにしましょう。スクワットを行うことで「大腿四頭筋」や「大臀筋」などの筋肉を強化できます。 また、足を横に開く運動は以下のとおりです。 立った状態で椅子や手すりなどに軽くつかまる 体が横に傾かない範囲で片方の足を横に開いて戻す 上記を10回繰り返す この時に1つ注意点があり、足を横に開く時はつま先が外側へ向かないように注意しましょう。足を横に開く運動では「中臀筋」や「小臀筋」の筋肉を強化できます。 規則正しい生活習慣 大転子滑液包炎を生活習慣から予防するためには以下の2つが大切です。 定期的な運動習慣 バランスの良い食事 定期的な運動習慣がなければ足腰の筋力が低下してしまい、大腿筋膜張筋にストレスがかかりやすくなります。また乱れた食生活では肥満につながり、体重が増えることでも大腿筋膜張筋へのストレスが増加します。 これらの日常生活での予防策は、大転子滑液包炎の予防だけでなく、他の整形外科疾患の予防にもつながります。 大転子に関するよくある質問 最後に大転子に関するよくある質問と回答をまとめます。 大転子が痛いと感じたら何科を受診すればいい? 整形外科を受診しましょう。痛みを放置すると症状が慢性化するリスクがあるので、股関節周りに痛みや違和感を感じたら、なるべく早く病院を受診するのがおすすめです。 股関節が突然痛くなり歩けなくなりました。考えられる原因はなんでしょうか? 歩けないほど股関節に痛みが出る原因として考えられるのは、下記の外傷や疾患です。 骨折 大転子滑液包炎 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、骨の変形によって痛みがともなう疾患です。変形性股関節症も「再生医療 」の治療対象です。 まとめ|大転子が痛いと感じたら大転子滑液包炎の可能性あり 大転子滑液包炎は、ランニングやサイクリング、階段の上り下りなど、趣味のスポーツや日常の動作を繰り返す過程で発症します。 症状が悪化すると、歩いたり、横を向いて寝たりする際に強い痛みを感じます。症状の悪化を防ぐためにも、大転子に痛みを感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。 現在、大転子滑液包炎の治療法のひとつとして「PRP療法(再生医療)」が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 リペアセルクリニック では、無料相談も受け付けていますので「PRP療法(再生医療)で大転子滑液包炎をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 参考文献一覧 ・Effect of corticosteroid injection for trochanter pain syndrome: design of a randomised clinical trial in general practice. Brinks A, van Rijn RM, Bohnen AM, Slee GL, Verhaar JA, Koes BW, Bierma-Zeinstra SM BMC Musculoskelet Disord. 2007 Sep 19; 8():95. ・Lustenberger DP, Ng VY, Best TM, Ellis TJ: Efficacy of treatment of trochanteric bursitis: A systematic review. Clin J Sport Med 2011;21(5):447-453. ・Fox JL: The role of arthroscopic bursectomy in the treatment of trochanteric bursitis. Arthroscopy 2002;18(7):E34. ・渡邉 博史.静的ストレッチングの効果的な持続時間について.第47回日本理学療法学術大会.
2024.07.18 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
「人工関節置換術を受けたのに痛みが続いてしんどい」 「痛みの原因がわからず不安」 人工関節置換術を受けた方で、痛みが続いて本当に回復するのか不安に感じている方も多いでしょう。痛みが続くと日常生活に支障をきたしたり、回復しない焦りで不安になったりしますよね。 そうした術後の痛みに対しては、適切なリハビリテーションと痛みのコントロールが重要です。 そこで今回は、人工関節置換術後の痛みの原因から自宅でできるリハビリテーションの方法、人工関節を長期的に保つためのケア方法まで紹介していきます。 人工関節置換術後の痛みが生じる原因 まず人工関節置換術後に痛みが生じるのは「遺残疼痛(いざんとうつう)」と呼ばれる状態です。 人工関節置換術後、痛みは多くの場合数週間から3カ月程度で回復します。 しかし、痛みが気になる方や長引いている方は、主に以下の原因から生じている可能性があります。 手術による損傷 リハビリ不足 感染(合併症) 人工関節の耐久性の問題 それぞれ詳しく解説していきます。 原因1:手術による損傷 人工関節置換術後に生じる痛みの原因は、手術による損傷が代表的な理由です。 人工関節置換術は、患部の股関節の骨を削る工程があるため、体への負担がかかる治療法です。骨を削るだけでなく、人工関節の埋め込みに伴い、筋肉や血管などを傷つけてしまいます。 手術をしている最中に神経が引っ張られて損傷し、足の感覚が鈍くなる症例も認められています。 多くの場合、手術による損傷は一時的で回復する傾向にはありますが、長引いている方は早めに担当医師に相談しましょう。 以下の記事では、人工関節における年代別のリスクも取り上げているので、あわせてご覧ください。 原因2:リハビリ不足 人工関節置換術後に痛みが生じる原因には、リハビリ不足もあげられます。人工関節置換術後のリハビリは、関節の動きを改善するだけでなく、筋力強化が主な目的です。 リハビリが不足していると、筋肉や靭帯への負荷がかかります。無理に歩くと人工関節周辺にかかった負担が炎症につながってしまうのです。逆に早く痛みを改善しようと、無理なリハビリをおこなってしまうのも注意が必要です。 適切なリハビリ方法は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 原因3:感染(合併症) 人工関節置換術後の痛みは、合併症を引き起こした場合でも現れる可能性があります。 痛みを感じる合併症の代表的なものとして感染があり、痛みが長期的に続いたり、強くなったりする方は注意が必要です。 感染が起こると、痛みのほかに関節の腫れ、発赤、熱感、発熱、倦怠感を伴う場合もあります。 なお、以下の危険因子※1がある方は感染症にかかるリスクが高いため、注意してください。 ※1特定の病気や状態を引き起こす可能性がある要因 肥満 糖尿病 関節リウマチ 心血管障害など 人工関節置換術後に痛みだけでなく、感染を疑わせる症状を伴う場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 高齢者の方は、危険因子以外に注意しておきたい手術のリスクがあるため、以下の記事もあわせてご覧ください。 原因4:人工関節の耐久性の問題 人工関節の耐久性も術後に痛みを感じる原因の1つです。 人工関節をできるだけ長持ちさせるには、定期的な診察が重要です。しかし、日常生活において過度に負担をかけていると、耐久性に問題が生じてしまいます。 術後は3カ月、6カ月、1年後、その後は年1回のペースでレントゲン検査や医師の診察を受けましょう。 人工関節への負担を抑えるために、杖のような生活支援用具を使用した生活がおすすめです。 さらに、運動をする場合には、ウォーキングや水中エクササイズ、ルームバイクなどの実施をおすすめします。 ジョギングや器械体操、シングルテニスなどを含め、走ったりジャンプしたりと急な動きは避けましょう。 万が一、違和感や痛みを感じた場合は、我慢せずに医師にご相談ください。早期発見や対処が、人工関節の長期的な機能維持につながります。 人工関節置換術後の痛みに対処する方法 人工関節置換術後の痛みが気になる方には、以下の方法で対処しています。 薬物療法 リハビリ 再手術 それぞれ詳しく解説していきます。 薬物療法 人工関節置換術後の痛みに対処するため、まずおこなわれるのが薬物療法です。 主に、炎症を抑えるためにロキソニンのような痛み止めを処方します。ただし、薬物療法の場合は根本的な解決を目的にしているわけではないため注意してください。 また、薬によっては胃腸障害や眠気などの副作用が伴うケースがあります。長期間使用すると、効果が薄れてしまうため、あくまで一時的な対処と覚えておきましょう。 リハビリ 人工関節置換術後の痛みには、適切なリハビリも重要です。 効果的なリハビリは、関節の動きを改善する運動や筋力をつける運動、日常動作の練習など複数あります。 具体例をあげると、以下のようなリハビリを実施しています。 種類 内容例 関節可動域訓練 足首の曲げ伸ばし 膝の曲げ伸ばし ストレッチポールなどを使った下肢のストレッチ 筋力増強運動 踏み台昇降運動 椅子からの立ち上がり運動 歩行練習 平行棒内歩行 杖歩行 ひとり歩き バランス運動 足踏み運動 日常生活動作の訓練 階段の昇り降り 着替え 入浴 トイレ動作 複数の運動を組み合わせ、患者様の状態に合わせて難易度を上げていくと、関節の機能回復と日常生活への復帰がしやすいでしょう。 再手術 人工関節置換術後の痛みを感じる場合、以下の原因が考えられます。 インプラントの緩み 感染 関節の不安定性 周囲組織の炎症や損傷 診断により原因を特定し、必要に応じて再手術を検討します。 再手術では、緩んだインプラントの交換や、感染組織の除去、位置の修正などを行うことで、多くの場合症状の改善が期待できます。一方で、回復そのものに時間がかかってしまう点には注意が必要です。 人工関節置換術後の痛みには再生医療が1つの選択肢になる 人工関節置換術後の痛みについて、再手術以外の新たな選択肢として再生医療があります。 再生医療は、患者様自身の幹細胞を用いて関節の修復・再生を促す治療法です。手術と比べて体への負担が少なく、軟骨の再生や炎症の軽減により、痛みの改善が期待できます。 従来の人工関節置換術後の痛みに対する治療は、薬物療法やリハビリといった保存的治療、または再手術が一般的でした。しかし、再手術には入院期間や回復期間が必要で、手術に伴うリスクも考慮する必要があります。 再生医療は、そのような手術のリスクを避けながら、痛みの軽減と関節機能の改善を目指す新しい治療選択肢です。 再生医療について、より詳しい情報は以下のページでご紹介しています。痛みでお悩みの方は、ぜひご覧ください。 人工関節置換術後の痛みについて、再手術以外の新たな選択肢として再生医療があります。再生医療は、患者様自身の幹細胞を用いて関節の修復・再生を促す治療法です。 手術を必要としないため体への負担が少なく、治療により炎症の軽減や症状の改善が期待できます。 再生医療について詳しくは、以下のページで紹介しています。痛みでお悩みの方は、ぜひご覧ください。 まとめ・人工関節置換術後の痛みが気になったら早めの受診を! 今回は人工関節置換術後の痛みを感じる原因や対処法について解説しました。 人工関節置換術後の痛みの原因として、手術による損傷やリハビリ不足などがあげられます。 痛みを早く解決するために無理なリハビリをするのはおすすめできません。症状の改善には、専門医による適切な指導のもとでリハビリを進めることが大切です。 また、人工関節の不安定性や炎症が痛みの原因の場合は、再手術が検討されます。「手術を避けたい」とお考えの方には、手術に頼らない再生医療という選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」では幹細胞を用いた再生医療を行っています。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、痛みにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 人工関節置換術後の痛みの原因が知りたい方からのよくある質問 そもそも人工関節置換術後の痛みはいつまで続くの? 人工関節置換術後の痛みは、手術した日とその翌日をピークに、1週間程度続きます。痛みは次第に回復し、手術後に処方された痛み止めを徐々に減らしていきます。 術後のつっぱり感も多くの場合、半年程度で回復しますが、長期的な健康維持が大切です。 なお、仕事の完全復帰や旅行、スポーツなどを考えている方は6カ月〜1年程度と考えてください。 無理をしてしまうと、痛みが続く期間が伸びる可能性があるため、定期的な受診をおすすめします。 以下の記事では人工関節置換術について、知っておきたいポイントを網羅的に解説しています。 人工関節置換術後にやってはいけないことは? 人工関節置換術後、やってはいけない姿勢や動きがあります。 たとえば、横座りやあぐら、足組みなどがあげられます。和式トイレの使用や前傾姿勢も、脱臼の可能性があるので、控えてください。 また、人工関節置換術後は適度な運動が推奨されていますが、野球やテニスのような関節の動きが多いスポーツは避けましょう。 日常生活でも階段の利用は控え、立ちっぱなしの時間が長くならないよう、座ってできる作業をおすすめします。 転倒にも注意が必要なため、術後はとくに杖やストックを使って歩くのがおすすめです。 自宅でできる予防法はある? 自宅で簡単に行える予防法は、以下のようなエクササイズです。 エクササイズ 内容 目的 足関節ポンプ運動 仰向けに寝て足を台の上に乗せ、足首を上下に動かし、血流を促進する 浮腫の軽減 ストレートレッグレイズ 手術した脚を真っすぐに保ったまま持ち上げ、保持する 太もも前面の筋力強化 膝の屈曲・伸展運動 椅子に座り、手術した膝を曲げたり伸ばしたりする 関節可動域の維持 上記のエクササイズを毎日行うと、筋力と関節の動きが改善され、日常の動作がスムーズに行える場合もあります。 しかし、人工関節の種類によっては関節の動きに制限があるため、必ず医師や理学療法士の指示に従い、痛みに注意しながら行ってください。 なお、エクササイズだけでなく、日頃の感染予防も大切です。手術した部位を清潔に保てるよう、定期的な受診や抗菌薬の服用が主な予防法です。 発熱や腫れ、痛みが生じた場合は速やかに担当医に相談してください。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2024.07.17