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ヘルニア治療のPLDD手術で適応もしくは不適応となる症例について 椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。その治療法として、PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression;経皮的レーザー椎間板減圧術)が注目を集めています。しかし、すべての患者さんにとって最適な治療法とは限りません。 本記事では、PLDD法を受ける際に後悔や失敗がないようにするためのポイントについて解説します。 PLDD法とは PLDD法は、レーザーを使って椎間板の飛び出した部分を蒸発させ、圧迫されていた神経の圧力を解放する手術です。メスを使わないため出血が少なく、全身麻酔の必要もないため、患者さんの負担が少ないのが特徴です。多くの場合、日帰り手術が可能です。 しかし、PLDD法でも失敗するリスクはあります。治療を受けたことを後悔しないためにも、頚椎または腰椎椎体ヘルニアに対するPLDD法について、良い適応となる症例と、逆に不適応となる症例について知っておくことが大切です。 PLDDが適している場合とは では、ここからはPLDDの良い適応について解説します。 ①症状が神経根の圧迫によるものである 下肢への放散痛(坐骨神経痛)、腕への放散痛などが典型的な症状です。 ②画像診断(MRIなど)でヘルニアが確認され、症状と一致する 椎間板の突出が神経根を圧迫していることが明確に示されている必要があります。 特に、PLDDは膨隆型(ぼうりゅうがた)というタイプで、椎間板が全体的に膨らんだような形になっているヘルニアに良い適応といわれています。 ③保存的治療(薬物療法、物理療法など)で十分な改善が見られない 通常、数週間から数ヶ月の保存的治療後に効果が不十分であれば、PLDDを検討することがあります。 PLDDが適していない場合とは 逆に、PLDDが不適切な症例について述べていきます。 PLDD治療の適応は患者さんの状態や症状によって異なるため、専門の医師による詳細な診断と評価が必要です。治療の選択にあたっては、他の治療方法との比較検討も含めて、医師と十分に相談することが重要です。 ①椎間板の破裂や大きな脱出がある PLDDは椎間板の小さな突出に対して効果的ですが、大きな脱出や破裂には適していません。 ②重度の椎間板の狭窄や脊椎管狭窄がある これらの状態はPLDDで改善することが難しく、他の手術的治療が必要な場合があります。 ③椎間板感染症や腫瘍がある これらの病態はPLDDの適応外です。 ④椎間板以外の原因による症状がある 例えば、筋肉の緊張や関節の問題など、椎間板ヘルニア以外の原因で症状が出ている場合、PLDDは適切とは言えません。 PLDD治療を受ける前に確認すべきこと 上記の説明を理解した上で、さらにPLDD法を受ける前に以下のことを確認しておきましょう。 ・詳細な診断と検査を受け、PLDD法が自分に適しているか確認する ・治療費用や、期待できる効果、さらに副作用について医師と十分に話し合う ・治療後の経過観察や、 リハビリの必要性について理解する 治療後の注意点 PLDDは、身体に与える負担が小さい治療です。しかし治療後には以下のような注意すべき点もあります。 ・術後は安静にし、医師の指示に従って徐々に活動を再開する ・痛みやしびれが再発した場合は、早めに医師に相談する ・手術を受けた病院に定期的に通院したり、リハビリを受けるなどのフォローアップ を受け、症状の変化に注意する PLDDと再生医療 PLDD法は短期的な痛みの軽減に有効であると考えられます。一方、変性した椎間板そのものを修復することはできません。 椎間板の修復や再生を目指す治療として、再生医療も有効な治療法といえます。厚生労働省に許認可が必要な治療法ですが、徐々に治療できる施設が広がってきており、その効果も期待されていますさらに、術後後遺症としての神経障害に対しても有効な治療となりえる治療法です。 再生医療とは 再生医療とは、損傷した組織や臓器の機能を回復させるための最新医療技術です。 再生医療の一つである幹細胞治療は、椎間板ヘルニアにおいても研究が進められています。椎間板ヘルニアによる神経損傷や、変性した椎間板の修復にも効果が期待されています。 そこで、PLDDと再生医療とを組み合わせることが、椎間板ヘルニアの治療において、痛みの軽減と椎間板の修復・再生を目指すアプローチとなる可能性があります。PLDD法で椎間板内の圧力を減少させ、痛みを軽減した後、幹細胞治療などの再生医療技術を用いて椎間板の修復や再生を促進するのです。 幹細胞治療では、患者自身から採取した幹細胞を損傷した椎間板に注入し、椎間板の細胞の増殖や組織の修復を促すことが期待されています。例えば、幹細胞治療としては、例えば骨髄由来自己幹細胞や、脂肪由来自己幹細胞などがあります。 このような組み合わせ治療は、椎間板ヘルニアの根本的な治療として期待されています。しかし、再生医療についても治療費が高額になる可能性があるため、経済的な負担も考慮する必要があります。 まとめ・ヘルニア治療のPLDD手術で適応もしくは不適応となる症例 PLDD法は、椎間板ヘルニアの治療において有効な選択肢の一つですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。 治療を受ける前には、自分がPLDD法の良い適応かどうかを理解し、医師と十分に相談することが重要です。また、治療後も適切なケアとフォローアップが必要です。 患者さんご自身が積極的に情報を収集し、自分に最適な治療法を選択することが、後悔しないための鍵となります。また、再生医療の進展にも注目が集まっています。 椎間板ヘルニアそのものに対しても、さらにPLDDの後遺症に対しても、将来的な治療の選択肢として検討することが望まれます。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=132s ▶万が一、手術後に後遺症が残ってしまった場合には、再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。 No.179 監修:医師 坂本貞範 参考文献 レーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. Hellinger J. "Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD)." Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31.
最終更新日:2024.04.12 -
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ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!? PLDDは、頚椎および腰椎の椎間板ヘルニアの手術のなかでも最小と言っていいほど体への負担が少ない術式です。 しかし、どんなに画期的な手術であっても、術後に後遺症が残る可能性はゼロではありません。特に懸念すべきは神経障害による痺れ・痛み・麻痺などの症状です。神経障害を改善するために行なった手術で神経障害が悪化してしまうのは不幸なことです。 こうした術後後遺症に対して、最新治療である「再生医療」が吉報となるかもしれません。 本記事では、PLDDの概要と起こりうる術後後遺症、そして後遺症に対する最新治療についてご説明します。 椎間板ヘルニアの機序と治療、手術になるのはどんな時? 脊椎の中には、 太い神経の束である脊髄が走っています。脊髄からは運動や感覚を司る神経が出ています。重なる脊椎と脊椎の間には椎間板というクッション材が挟まっており、 椎間板の中央部には柔らかいゲル状の「髄核」があります。 椎間板ヘルニアとは 、この髄核が椎間板の外に飛び出す疾患です。飛び出したヘルニアが脊髄から伸びる神経の根本を圧迫してしまうと、「びりっ」とした痛みを感じるようになります。症状が進行すると神経へのダメージが大きくなり、感覚障害や麻痺を起こしたり排尿障害が起こることもあります。 しかし、重症化することはごく稀です。椎間板ヘルニアの多くは自然に縮小していく疾患 です。 たとえば、 腰椎椎間板ヘルニアは症状がある人の60%以上で吸収されると言われています。頚椎でも腰椎でもほとんどの椎間板ヘルニアと診断された方は、手術を受けることはありません。3ヶ月ほどの保存療法で自然と痛みが取れてくるのです。 では、不幸にも良くならなかったらどうなるのでしょう。保存療法でも改善しない痛みが続く場合や、麻痺・排尿障害をきたす場合は手術が行われます。 手術となると、「全身麻酔が大変」「術後は安静にしなければならない」「傷の痛みに耐えながら回復を待つ 」というイメージがあるかもしれません。 しかし、そのイメージと全く異なり、体への負担を最小限に抑えられる術式があります。それは、PLDD:Percutaneous Laser Disc Decompressionです。日本語では「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれています。 PLDDってどんな手術? PLDDはレーザーを用いて椎間板の中央部にある髄核に照射して 、椎間板内の圧力を減少させる手術です。髄核が焼かれた後の空洞は縮もうとするため、時間経過とともにヘルニアは自然と小さくなっていきます。椎間板内にレーザーを照射するのみであれば、メスや針・糸は不要です。細い針を刺せばレーザーファイバーを通すことができます。そのため、PLDDを行ってもほんの小さな刺し傷しか残りません。安静も短くて済むため、日帰り手術をしている医療機関 も少なくありません。 PLDDの合併症について 体への負担の少なさについて強調されがちなPLDDですが、医療行為である以上は治療の合併症とは切っても切り離せない関係にあります。 特に深刻な術後後遺症を残すのが神経障害です。本来は神経の圧迫を改善するための手術なので、時間経過とともに痺れ・痛みなどは良くなるはずです。症状が術後に悪化している場合には神経障害の可能性が考えられます。神経障害が起こる要因にはいくつかの可能性があります。 ひとつはレーザーファイバーを入れる際に針で神経を傷つけてしまうことです。 次に、レーザーの誤照射により、神経がレーザーに当たってしまう可能性も否定できません。他に懸念されるのは、レーザーの熱などの間接的な要因でも神経障害が起こる可能性です。実際にレーザー照射を直接受けていないはずの近くの骨が壊死を起こしてしまった例が報告されています。 術後後遺症の神経障害に対する再生医療の可能性とは 最新の再生医療である「幹細胞治療」がPLDD術後後遺症への新たな希望となるかもしれません。 従来、神経が傷ついてしまうと完全にもとに戻すことは難しいとされてきました。そのため椎間板ヘルニアの術後後遺症が残ってしまっても、薬やブロック注射などの対症療法を行うことしかできませんでした。 しかし、最新治療の幹細胞治療が神経を回復させてくれるのではないかと期待されています。幹細胞治療では、どんな細胞にも変化できる万能細胞の「幹細胞」 を使用します。幹細胞を投与することにより、傷ついた組織の再生が促されるのです。 まとめ・PLDD術後後遺症に対する最新治療とは! PLDDの概要と合併症のリスク、そして術後後遺症に対する最新治療についてご説明しました。 合併症が起こらないことが一番ですが、万が一起こってしまった時にどのような治療の選択肢があるか知っておくことは重要です。 当院では、PLDDをはじめとした椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、幹細胞治療を行っております。当院ではフレッシュで生き生きとした細胞を多く届けることができるように2つの工夫をしております。 ひとつは細胞の保存や輸送のプロセスにおけるものです。細胞を凍結せずに保存・輸送を行なっているのです。多くの病院の細胞加工室では細胞を保存、輸送する際に凍結してしまいます。しかし、冷凍された幹細胞は弱くなり、 解凍時の生存率が大きく低下します。 当院では細胞の凍結を行わないため、新鮮で強い細胞が投与可能なのです。 もうひとつは細胞の投与方法です。当院では損傷した脊髄に対して直接幹細胞を投与できる「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行なっております。従来は脊髄の障害があるときの幹細胞投与は点滴でした。当院では点滴の他に「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行うため、脊髄に届く幹細胞の数がより多くなります。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDをはじめ、椎間板ヘルニアの手術における術後後遺症でお悩みであれば、一度当院へご相談ください。 No.178 監修:医師 坂本貞範 参考文献 日本整形外科学会 パンフレット 「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. Tonami H, et al. AJR Am J Roentgenol 173 : 1383―1386, 1999.
最終更新日:2024.03.20 -
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PLDD とはどんな先進医療?医師が詳しく解説します 椎間板ヘルニアは多くの人々が抱える健康問題であり、その治療法は常に進化を続けています。近年、注目を集めているのが、PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression )という先進医療です。この治療法は、レーザーを用いて椎間板の圧力を軽減し痛みを和らげるもので、従来の手術に比べて身体への負担が少ないことが特徴です。 本記事では、PLDDの概要やメカニズム、保険や医療費控除は適用なのか等の費用面について、また後遺症の治療における再生医療の可能性について詳しく解説します。 PLDDとは PLDDは、1980年代初頭に開発された治療法です。主に頚椎や腰椎の椎間板ヘルニアに対して行われます。 治療は局所麻酔のもと、針を椎間板に挿入し、レーザーを照射して椎間板内の圧力を低下させ、ヘルニアを小さくすることで痛みを軽減します。 この方法の大きな利点は、局所麻酔下で行うことができるので入院の必要がなく、日帰りで行えるため、患者の負担が少ないことです。従来の外科手術に比べて侵襲が少なく、術後の回復も早いという利点もあります。 PLDDの最も良い適応は、膨隆型(ぼうりゅうがた:椎間板が膨らんだような形になり、神経を少し圧迫しているタイプのヘルニア)とされています。 椎間板の変性が進んでいるケースでは、PLDDを行っても椎間板ヘルニアの症状が改善しないことがあります。 治療方法と疼痛緩和のメカニズム PLDD治療は、局所麻酔のもとで行われます。まず、針を椎間板に挿入し、その後レーザーファイバーを通してレーザー光を照射します。レーザー光によって椎間板内の水分が蒸発し、圧力が減少することでヘルニアが縮小します。これにより、神経根への圧迫が緩和され、疼痛が軽減されます。 治療時間は約30分程度で、多くの場合は日帰りでの治療が可能です。 PLDDの費用と保険適用の現状 PLDDの費用は、クリニックによって異なりますが一般的には30万円から50万円程度が相場とされています。現在、PLDDは日本では健康保険の適用外となっています。そのため、治療費は全額自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。 医療費控除とは、一定期間内に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分について所得税から控除される制度です。PLDDの治療費も、他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合は医療費控除の対象となる可能性があります。しかしながら、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。 先進医療とPLDD 頚椎椎間板ヘルニアに対するPLDDは、厚生労働省による先進医療の指定を受けていましたが、数年前に取り消されています。 その理由としては、PLDDは日本での普及がまだ進んでいないからといったものです。 しかし、その後もPLDDの効果や安全性については多くの臨床研究によって実証されており、今後は保険適用の対象となることが 期待されています。 PLDDはどんな病院で受けられるのか PLDDを受けられるクリニックは全国にありますが、施設によって技術や設備に差があります。 治療を受ける際には、事前に情報を収集し信頼できる施設 を選ぶことが重要です。また、治療後のフォローアップ体制も確認しておくと安心です。 後遺症の治療と再生医療 PLDD治療は、傷口も少なく身体に与える負担はとても小さい治療です。そのため、PLDDそのものによる後遺症はほとんどないと考えられます。 一方で、ヘルニアそのものによる症状が残り後遺症となってしまう場合もあります。このようなヘルニアの後遺症に対しては、脊髄神経の再生を目的とする治療する再生医療 が有効な場合があります。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE 再生医療では、患者自身の幹細胞を用いて損傷した脊髄神経の再生を目指します。具体的には、自分の血液や脂肪を採取し、培養した「自己間葉系幹細胞 」によるものがあります。 この自己間葉系幹細胞 には、脊髄神経の再生を促したり 、部分的に再生したりするといった能力があると考えられています。 この分野は現在も研究が進められており、より効果的な治療法が開発されることが期待されています。 まとめ・PLDD とはどんな先進医療?医師が詳しく解説します 今回は、PLDDはどのようなものなのか、費用、保険適用、医療費控除、どのような病院で受けられるのか、そして後遺症の治療における再生医療の可能性について解説しました。 PLDDは、レーザーを活用した医療技術として、椎間板ヘルニア の治療に新たな選択肢を提供しています。費用は自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。治療を検討する際には、クリニック選びやフォローアップ体制にも注意が必要です。 PLDDは今後、さらなる普及と発展が期待される治療法です。 一方で、PLDDを行っても頚椎あるいは腰椎の椎間板ヘルニアによる後遺症が残ってしまうこともあります。こうした場合には、再生医療による治療も選択肢として上がります。 当院では、脊髄損傷 に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。 これは、自分の脂肪組織や血液から幹細胞を抽出、培養し、点滴で静脈注射、 あるいは当院独自技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内 ダイレクト注射療法もあります。 再生医療にご興味のある方や、治療を考えたいという方は、 ぜひ一度当院までご相談ください。 No.177 監修:医師 坂本貞範 参考文献 レーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. Hellinger J. "Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD)." Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31. 【保険適用外の手術費用の補助】保険適用外の手術(ヘルニアのレーザー手術)を受けたのですが、その費用(約50万円)は高額医療費として一部支給されないのでしょうか?また、支給を受けるためにはどのような手続きが必要になるのでしょうか? | よくある質問 | 日本アイ・ビー・エム健康保険組合 既存の先進医療に関する保険導入等について 平成 22 年1月 20 日 先進医療の各技術の概要|厚生労働省 Mochida J, et al. "Regeneration of intervertebral disc by mesenchymal stem cells: Potentials, limitations, and future direction." European Spine Journal,2006 Aug;15(Suppl 3): 406–413.
最終更新日:2024.03.29 -
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PLDDは効果なしって本当?術後の痛みや経過について 首や腰の痛みを引き起こすとともに、手や足へ分布する神経を圧迫して厄介な痺れを引き起こす椎間板ヘルニア。進行すると、筋力低下をきたしたり、排尿障害を起こしたりもします。 つらいヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、 手術療法の中でも体への負担が非常に低いとされています。傷は小さく日帰り手術もできる、一見魅力的な方法と思えますが、有効性や安全性はどうなのでしょうか。 この記事ではPLDDについての紹介や、有効性・術後の経過などについて解説します。 椎間板ヘルニアの治療とPLDD 椎間板ヘルニアの治療の基本は、 痛み止めやリハビリなどの「保存療法」です。しかし、保存療法の効果がない場合には手術が検討されます。 現在、椎間板ヘルニアの手術は多くの種類があります。特に「体への負担が少ない」とされている治療の一つがPLDDです。 PLDDはPercutaneous Laser Disc Decompressionの略称で、日本語では経皮的レーザー椎間板減圧術と呼ばれている術式です。現在、いくつかの病院で腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアに対する治療として行われています。 PLDDでは特殊な針を使って背中から椎間板の中央へとレーザーファイバーを通します。椎間板の中央部には「髄核」というゲル状の柔らかい物質があり、髄核が飛び出してくるのがヘルニアの原因です。PLDDではこの髄核をレーザーで焼いて気化させてしまうのです。これにより、椎間板の内圧を下げることができます。焼いた部分は空洞化し、椎間板は穴を埋めようと縮むため、ヘルニアが改善するのです。 PLDDで用いる針は細く柔軟性が高いものです。局所麻酔のみで手術が可能で、侵襲(手術の傷) が少ないため、病院によっては日帰り手術も可能となっています。傷も非常に小さくて済みます。 PLDDの費用は? PLDDは公的健康保険の適応として認められていません。そのため、治療に関連する医療費全てが自費になります。つまり、手術手技に関連した費用のみでなく、適否を見極めるための診察や検査の費用・関連した処方などもすべて患者さんの自己負担となるのです。病院によって費用は異なりますが、数十万の医療費がかかります。 かつてPLDDは厚生労働省の指定する「先進医療」であり、特定の医療機関では保険診療との併用が認められていました。この場合は手術に関連した費用のみ自費で、その他の診察や検査・処方にかかわる費用は公的保険を用いることが可能でした。しかし、平成24年に「有効性や効率性が十分に示されていない」ということで先進医療の指定から削除されたのです。 PLDDって効果がないの? 先進医療から取り消されたということは、 効果がないということでしょうか。 PLDDの有効率は文献によってばらつきますが、おおむね70%程度と報告されています。もしかしたら、「そんなに悪くないのでは」と感じた人もいるかもしれません。 腰椎椎間板ヘルニアにおいては、診療ガイドライン上手術療法で推奨されるのは「椎間板切除術」です。椎間板切除術後、ヘルニアが再発して再手術が必要になるのは、術後5年で1.5〜8.5%と報告されています。単純比較はできませんがPLDDはこれらよりも治療成績に劣るとされています。 もう一つ、頭に入れておかなければいけないことは、PLDDが効かないヘルニアがあるということです。先ほどの「70%の人に有効」というのは、PLDDの効果が期待できる人を選んで行った成績です。 PLDDが適しているのは、保存療法が効かない患者さんのうち、ヘルニアが「後縦靭帯」を突破していない患者さんです。 図1,2 後縦靭帯を突破していない図 引用)腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 PLDDは,椎間板の内圧を下げることでヘルニアによる圧迫を改善させる効果があります。しかし、後縦靭帯を破って外に出てしまったヘルニアの場合はすでに椎間板内圧が下がってしまっていて、髄核を焼き飛ばしてもヘルニアは縮みません。残念ながら適切でない方に行われるケースもあり、そうなると「効果がない」のです。 PLDDの手術中や手術後の痛みはどのくらい? PLDDは小さな針を刺すだけなので、他の手術のように手術に伴う痛みが少ないことがメリットの一つです。 最初に皮膚に局所麻酔を行うことで、針を刺すときの痛みもカバーされます。そして、切開をする必要がないため、手術後に「傷の痛みがつらい」ということがありません。 したがって、手術に関連した痛みは最小限で済む術式と言えるでしょう。 PLDDの術後の経過は? PLDDは他の手術よりも即効性には乏しいです。 ヘルニアが退縮することで、神経の圧迫が軽くなっていきますが、それには時間がかかるのです。個人差はありますが、術後1週間程度から徐々に症状が改善され、2〜3ヶ月ほどで良くなったことが実感されてきます。 そのため、すぐにでも良くしたい、という人は他の方法を選んだ方が良いでしょう。 PLDDにも合併症はあるの? 傷が小さく一見安全な手術のように思えるPLDDにも、合併症が起こるリスクがあります。 合併症の例として、感染やレーザーの影響による骨壊死などが挙げられます。 中でも、術後後遺症として長期に日常生活に深刻な影響を与えるのが神経障害です。レーザーの誤照射や針による損傷、血腫を作ることで圧迫されることで神経が傷つき、もともとあった痺れが悪化したり新規に痺れたりすることがあります。 まとめ・PLDDは効果なしって本当?術後の痛みや経過について 椎間板ヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、低侵襲であることから、早く日常生活に復帰したい人にとっては良い選択肢かもしれません。 しかし、高額な費用負担、有効性の問題、また適応が広くないことなど手術を受ける上での問題も少なくありません。 また、いくら体への負担が少ないといっても、神経障害をはじめとした合併症リスクもあるため、慎重な選択が必要です。 なお、当院ではPLDDを含めたヘルニアの術後後遺症に対して再生医療の一つである「幹細胞治療」を提供しています。これは万能細胞である幹細胞を障害部位へ届けることで組織の再生を促すものです。 従来、神経損傷に対する幹細胞治療では点滴で幹細胞を投与してきました。当院では、点滴に加えて脊髄腔内に直接幹細胞を注入する手法も行っています。脊髄腔内ダイレクト注射療法により、さらに多くの幹細胞を損傷した神経に届けることができるようになりました。 さらに国内でも有数の細胞加工室の高い技術により、幹細胞を凍結することなく保存しています。フレッシュな幹細胞の投与により、良好な治療成績をおさめています。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDの術後後遺症でお悩みであれば、ぜひ当院の最新治療をご検討ください。 No.176 監修:医師 坂本貞範 参考文献 小坂理也. 整形外科看護 10(4): 329-333, 2005. 加藤昌代, 西山敬浩, 加藤篤史, 笹生豊, 大橋健二郎. 東日本整形災害外科学会雑誌 15(1): 111-114, 2003. 井上和彦, 橋本俊彦, 関根千晶, 千葉純司. 日本レーザー医学会誌 22(1): 5-14, 2001. 慢性疼痛診療ガイドライン 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 厚生労働省 HP 腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44
最終更新日:2024.03.06 -
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頚椎椎間板ヘルニアの治療、手術で必要な入院期間と休業期間について解説します 頚椎椎間板ヘルニアで、休職が必要となるのはどんな場合でしょうか?頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫してしまうことで、首の痛みや腕のしびれが生じる病気です。 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアでお仕事を休む休職が必要な期間と症状、休むときのポイントについて解説します。 頚椎椎間板ヘルニアとは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の背骨)と頚椎の間にあるクッションのような役割をしている椎間板が破れたりして、脊髄や神経根が圧迫されることで神経症状が起こる病気です。 症状は首の痛みが急激に生じ、続いて、腕や手指にしびれや痛みを感じます。腕や手指に脱力が生じることもあります。 ヘルニア病変が大きく、脊髄の圧迫が強まると、巧緻(こうち)運動障害を生じ、お箸がうまく使えない、字が下手になる、ボタンを留めることが難しいなどの細かな作業ができなくなったり、さらには歩行障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアでは、ヘルニアが自然に吸収され、自然治癒にいたる例も多数報告されています。そのため、症状が軽い場合にはまずは保存的治療を行い、経過をみていくことが多いです。 例えば、薬の内服や安静、理学療法や頚椎カラー固定などの保存的治療です。 保存的治療 ・薬の内服や安静 ・理学療法 ・頚椎カラー固定 保存療法でも、症状が悪化することは十分にあるため、常に注意をしておく必要があります。 頚椎椎間板ヘルニアの手術と休業期間の目安 では、頚椎椎間板ヘルニアが原因で休職が必要と考えられる症状について述べていきます。 手指の繊細な仕事が必要な場合 手指の巧緻運動障害や、しびれや脱力症状も、頚椎椎間板ヘルニアの症状になります。 そのため、こうした症状がある場合は、絵を描く、工芸品を作る、など繊細な手作業を要する仕事の場合には、症状が改善するまで休むことが必要となる場合があります。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状が重い場合 頚椎椎間板ヘルニアでは、通常は上半身、特に首から肩、腕、手指などにしびれや痛み、時に脱力などの症状が現れます。 一方で、重症になると歩行障害など下半身にも影響がみられるようになります。 そのため、仕事内容によって歩くことが大切である、例えば営業職や医療職などで歩き回ることが多い職種では、治療するまで仕事を休まざるを得ない場合もあるかもしれません。 手術を受けた場合 「頚椎椎間板ヘルニアの症状が保存的な治療で改善しない場合」、「患者さんの強い希望がある場合」、また、「先ほど述べた巧緻運動障害や歩行障害がある場合」などには、前方除圧術や前方除圧固定術といった外科的治療(手術)が選択されます。 頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎前方除圧固定術という手術がよく選ばれます。 外科的治療(手術) 手術時間の目安 入院期間の目安 休職期間の目安 頸椎前方除圧固定術 1〜1.5時間 10~14日 2~3週間 この手術は、頚椎の前側、つまり首の前面から皮膚や筋肉を切り開き、椎間板や頚椎の骨の出っ張っている部分を切除して、神経の圧迫を取り除く、というものです。 手術自体は1〜1.5時間くらいで、翌日から歩行可能とされています。しかしながら、入院期間はリハビリなども含めて通常10〜14日程度のようです。 そのため、その間はもちろん通勤などはできませんし、仕事をするのは難しいでしょう。退院後すぐに出勤できるかどうかは人により様々ですが、手術を行なった場合には休職期間は平均で2〜3週間ほどであると考えられます。 このような治療で、症状が改善することが期待できます。 一方で、ヘルニアによって神経根や脊髄の圧迫が強かったために、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、休職、あるいは仕事を辞めることを検討する必要があるでしょう。 ▼術後の後遺症でお悩みの方へ 頚椎椎間板ヘルニアでも仕事を休めない場合には 基本的には痛みが強い間には安静にしておくことが大切ですが、頚椎椎間板ヘルニアによって、腕のしびれや首の痛みがあっても、仕事によっては休めないということもあります。そのような場合には、頚椎カラーで首を固定したり、首を曲げるような動きは極力避けることで、頚椎椎間板ヘルニアの症状悪化を防ぐことが期待できます。 頚椎椎間板ヘルニアでの症状を軽減させるポイント それでは、頚椎椎間板ヘルニアのために仕事を休んでいる間に注意しておきたいポイントを解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの症状を軽減させるためには、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。特に、後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 例えば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避ける、腹ばいでの読書や、そうした姿勢でのテレビ視聴は避ける、ということがあります。 また、寝る際には首までしっかりと固定できる面積の広い枕を使うことも良いでしょう。 このようなポイントを守ることで、頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状の悪化を、ある程度食い止めることが可能と考えられます。また、頚椎の良い姿勢を保つために、頚椎カラーも有効です。 頚椎の良い姿勢を保つ ・上を見上げる姿勢は取らない ・首をぐるぐると回す運動は避ける ・腹ばいでの読書やそうした姿勢でのテレビ視聴を避ける ・首までしっかりと固定できる面積の広い枕の使用をする まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの治療、手術で必要な入院期間と休業期間について 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状の程度によっては仕事を休まざるを得ないケースについて解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアによる休業期間の必要性は、症状の種類と程度によって異なります。手指の繊細な作業が必要な場合や症状が重い場合は休職が必要となることがあります。症状の程度に応じて適切な休業期間を確保し、適切な治療と姿勢の管理を行うことが必要です。 頚椎椎間板ヘルニアは、多くは保存的治療もしくは手術によって症状が改善することが期待できます。一方で、神経の圧迫の程度が強く、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあり得ます。手術や保存的治療を受けた後でも、症状が改善せず仕事を続けることが難しい場合があります。 最後に頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状を軽減させるためには、適切な姿勢を保つことが重要です。普段から意識して姿勢を整えるようにしたいものです。 ▼当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄内幹細胞を投与することで、傷ついた神経の修復・再生に取り組んでいます。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=64s 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、術後の後遺症に悩んでいる、仕事に早く復帰したい、というような方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 No.161 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p242 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p245 代表的な手術 脊椎外来(脊椎センター)北里大学北里研究所病院 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p245 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 ▼首のヘルニアのリハビリテーションについて解説しています 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法や効果と注意点!
最終更新日:2024.04.16 -
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頚椎(首)椎間板ヘルニアを自分で治す!ストレッチと予防のポイント 「片方の腕がしびれてつらい…」「首の後ろが痛い…」 このような症状はもしかすると頚椎(首)椎間板ヘルニアかもしれません。ヘルニアは腰だけでなく首でも起こり、早めの対策や予防が大切です。 本記事では頚椎(首)椎間板ヘルニアのストレッチ方法と予防のポイントを紹介します。自宅で簡単に実践できるので、ぜひ参考にしましょう。 頚椎(首)椎間板ヘルニアとは?原因と症状について解説 頚椎(首)椎間板ヘルニアに対するストレッチや予防を理解するためには、どのような病気で、なぜ起こるのかを理解することが大切です。 まずは頚椎(首)椎間板ヘルニアの病態や原因、症状について解説します。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの病態 首の骨は7つの小さな骨(頚椎:けいつい)がブロックのように積み重なってできています。頚椎と頚椎の間には椎間板(ついかんばん)と呼ばれる組織があります。 椎間板はクッションのような機能を持ち、動きを滑らかにしたり、衝撃を吸収したりするのが役割です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアは何らかの原因で、椎間板の中にある髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリーのような組織が突き出てしまい、首にある神経を圧迫してしまう病気です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因 頚椎(首)椎間板ヘルニアは30歳代〜50歳代の男性に多く、以下のような原因があげられます。 ・加齢 ・スポーツ ・デスクワーク ・重労働 ・喫煙 ・悪い姿勢 ・遺伝 加齢による椎間板の変化にスポーツやデスクワーク、重労働が重なるとヘルニアにつながります。 また喫煙や悪い姿勢といった生活習慣、遺伝的な原因でも発生するとされています。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの症状 頚椎(首)椎間板ヘルニアの主な症状は、片側の首や腕、肩甲骨の痛みやしびれです。これはヘルニアにより首の神経が圧迫されるため生じます。 首にある神経は首だけでなく、腕や肩甲骨の感覚や動きに関わっているため症状が現れるのです。 また首を後ろにそらすと神経の圧迫を強めるため症状が悪化し、首をそらす動きが制限されます。重症になると両手がしびれたり、細かい動作が難しくなったりします。 さらに歩行が難しくなったり、排便や排尿が障害されたりするのが重症化の特徴です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ2選 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因の1つが、悪い姿勢を続けることです。 ストレートネックや猫背といった不良姿勢が続くと、首への負担が増えて頚椎(首)椎間板ヘルニアにつながります。 そのため、ストレートネックや猫背を防ぐストレッチがおすすめです。 マッサージは腕のしびれや痛みが出ているため自分では難しい点でも、自宅での対策としてストレッチが良いでしょう。 具体的な方法を2つ紹介します。 首の筋肉のストレッチ まずはストレートネックの原因になりやすい首の筋肉のストレッチから紹介します。 ストレートネックになると首から背中にかけてある僧帽筋上部(そうぼうきんじょうぶ)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)、斜角筋(しゃかくきん)などが縮んでしまいます。 ストレッチで筋肉を柔軟にして首への負担を軽減しましょう。 1 .椅子に座って正面を向く 2 .左手を頭頂部に置き、右のこめかみ付近に指先を当てる 3 .手の重みを利用してゆっくり左側に頭を傾ける 4 .15秒から30秒程度キープする 5 .元の位置に戻す 6 .左手を後頭部に回し、指先を右耳の後ろに当てる 7 .手の重みを利用してゆっくり左前側に傾ける 8 .15秒から30秒程度キープする 9 .元の位置に戻す 10 .反対も同様に行う 頚椎(首)椎間板ヘルニアは首を後ろに反らすと症状が強まるため注意しましょう。また、動かしたときに痛みやしびれが強まる場合はすぐに中止しましょう。 胸の前側にある筋肉のストレッチ 猫背になると首を後ろにそらした姿勢になりやすく頚椎へ負担がかかってしまいます。 猫背になると胸の前側にある筋肉が縮んでしまいがちです。 以下の方法で胸を広げた姿勢を保ちましょう。 1 .壁に対して横向きに立つ(右側が壁になるように) 2 .右側の手のひらと腕を壁につける(肩と肘が同じ高さになる位置) 3 .ゆっくり体を左側にひねる 4 .右胸の前側が伸ばされるのを感じた状態で15秒から30秒キープする 5 .反対側も同様に行う 適度に伸びているのを感じる程度まで体をひねりましょう。 頚椎(首)椎間板ヘルニアを予防するポイント3つ 頚椎(首)椎間板ヘルニアを予防する方法はストレッチ以外にも以下のようなポイントが大切です。 ①不良姿勢の改善 ②適切な枕の使用 ③首に負担のかかる生活の改善 それぞれ具体的な改善方法を紹介します。 ①不良姿勢の改善 不良姿勢の改善は前述のストレートネックや猫背です。紹介したストレッチを継続して姿勢の改善を図りましょう。 良い姿勢とは耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線になる姿勢です。座った姿勢をチェックする場合は、耳から腰まで一直線になるか確認しましょう。 特に長時間のスマートフォンの使用やデスクワークで不良姿勢になりやすいので注意が必要です。 ②適切な枕の使用 不適切なサイズの枕を使用すると、寝ている時間ずっと頚椎への負担がかかる寝方になってしまいます。 そのため適切な枕選びは頚椎(首)椎間板ヘルニアの予防にとって重要な対策です。 以下のポイントで枕を選びましょう。 ・やや首が曲がる高さ ・過度に沈み込まない適度な固さ ・寝返りができる広さ 頚椎が反った寝方にならないように低すぎる枕を選ばないようにしましょう。 基本的には立っている頭の位置と同じになる高さの枕を選びますが、それよりやや高い枕で頚椎が反るのを防いでも良いです。 また枕が柔らかすぎると首が反りやすくなるため、適度な固さの枕を選びましょう。 大きさは寝返りしたときも枕が当たる頭3個分程度がおすすめです。 ③首に負担のかかる生活の改善 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因となるような、不良姿勢の持続や重量物の運搬、喫煙をできるだけ行わないようにしましょう。 デスクワークではパソコンのモニターの高さを目線の位置に合わせ、腰にクッションを当てることで良い姿勢を保ちやすくなります。 長時間のスマートフォンの使用や重量物の運搬を繰り返すのを避けて、こまめに休憩をして紹介したストレッチをするようにしましょう。 まとめ・頚椎(首)椎間板ヘルニアの予防のためにストレッチや生活習慣の工夫を継続しよう 頚椎(首)椎間板ヘルニアは首だけでなく肩や腕の症状を招くため、症状を緩和しなければ日常生活に支障をきたしてしまいます。 予防はもちろん、早期の対策で症状の悪化を防ぐことが大切です。 生活習慣や日々の姿勢や動作が原因となるため、本記事を参考にして予防のストレッチや生活習慣の改善を続けましょう。 また症状が見られたら正しい診断を受けるために、整形外科への受診をおすすめします。医師や理学療法士などの専門家に、適切な指導を受けるとストレッチなどもより効果的に実施できます。 No.161 監修:医師 坂本貞範 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp258 日本整形外科学会「頚椎椎間板ヘルニア」 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp392-406.
最終更新日:2023.12.29 -
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頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること 首が痛い、手がしびれるなどの症状で悩む場合は、頚椎椎間板ヘルニアの可能性があります。頚椎椎間板ヘルニアはどなたでも発症する可能性がある疾患の1つであり、首の神経が圧迫されることによりさまざまな症状が現れます。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアとはどのような疾患か、頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因や症状の変化について解説します。特に首や肩が痛い方や手にしびれがある方など、頚椎椎間板ヘルニアを疑う症状がある方はぜひ参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアとは 人の首には7個の頚椎(けいつい)と呼ばれる骨があり、頚椎と頚椎の間には椎間板(ついかんばん)という組織があります。頚椎椎間板ヘルニアはこの椎間板が一般的に後ろ向きに飛び出る疾患です。椎間板には首の骨をつなぎあわせるクッションのような役割があり、椎間板が動くことで首が回ったり曲がるなど可動できます。 椎間板はやわらかい組織である髄核のまわりを、固い繊維輪と呼ばれる組織が取り巻いています。そして線維輪がダメージを受けてひびが入ると、中身の髄核が外に飛び出してきて椎間板ヘルニアの状態となります。 頚椎椎間板ヘルニアは30~50代に多く発症し、さまざまな症状により日常生活に支障が生じることがある疾患です。 頚椎椎間板ヘルニアの原因 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の椎間板の中にある髄核が脱出することが原因ですが、以下のようなことが原因となり発症することがあります。 ・加齢による椎間板の衰え ・激しく体をぶつけあうスポーツ ・急に強い力が首にかかるスポーツ ・首を前に突き出す動作、反り腰、猫背などの姿勢の悪さ ・喫煙による血行不良での椎間板の劣化 ・合わない枕の使用など、寝方の姿勢 脱出する最大の原因は、加齢による椎間板機能の衰えです。首にある椎間板は、常に頭を支えているため老化しやすいと考えられています。 また、最近では加齢以外でも、スポーツや姿勢の悪さが原因となることもあります。 格闘技や柔道、ラグビー、アメリカンフットボールなど激しく体をぶつけあうスポーツや、急に強い力が首にかかる器械体操やスキー、スノーボードなどでも発症します。 そして、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの画面を見ようとして首を前向きに突き出す動作や、反り腰、猫背なども頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因になるため注意が必要です。 そのほか、タバコにより毛細血管の血流が悪くなって椎間板が劣化しやすくなるため、禁煙するようにしましょう。また、寝方によって頚椎椎間板ヘルニアが発症しやすくなり悪化することがあるため、自分に合った枕を使うのがおすすめです。 頚椎椎間板ヘルニアの症状 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首が痛い、首がこる、手がしびれる、力が入りにくいなどさまざまな症状が現れます。 椎間板ヘルニアの症状は、原因である髄核の脱出によって圧迫される部位により、大きく2つに分けられます。 一般的に椎間板ヘルニアは、脊髄と呼ばれる脳につながる神経の束がある背中側(後ろの方)に髄核が飛び出しますが、脊髄の左右には脊髄から分岐した神経根という神経があります。髄核が脊髄を圧迫すれば脊髄症、神経根を圧迫すると神経根症の症状が現れます。 脊髄症の症状 脊髄症の代表的な症状は手のしびれです。手のしびれはどちらか片側のみの場合と、時間がたつと反対側にも現れることがあります。 また、手指を細かく動かせなくなって衣服のボタンをとめたり外したりしにくくなる、お箸をうまく使えなくなるなどの症状も出現します。そして次第に手指だけではなく足がこわばってきて、階段の昇り降りがしにくく歩きにくいという痙性(けいせい)歩行と呼ばれる症状も認めます。 神経根症の症状 神経根症の場合は、主に首から肩、手指にかけての痛み、しびれが現れます。 また、多くの場合には両側ではなく片側にのみ認めます。飲料水を飲む時やうがいをする時などに首を後ろ側に傾けると、神経根がより一層圧迫されることで症状が増強するのが特徴です。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状の変化 頚椎椎間板ヘルニアを初期症状、中期症状、後期症状の3段階に分けて説明します。 頚椎椎間板ヘルニアは、このように発症段階によって症状の現れ方が異なります。しびれや痛みが強まり、症状が進行すると手術が必要になることもあるため、放っておかずに早めの対処することが大切です。 頚椎椎間板ヘルニアの初期症状 初期の頃は首や肩に違和感が出たり鈍い痛みを感じたりしますが、動かずに安静にすれば症状は改善します。初期段階で医師の診察を受ければ約1~8週間で症状はおさまります。 頚椎椎間板ヘルニアの中期症状 中期の段階になると、首や肩にはっきりとした痛みやしびれを認めるようになり日常生活にやや支障が出てきます。 この段階で病院を受診すれば、初期段階と同様に約1~8週間で症状は改善していきますが個人差が大きいです。 具体的には、痛み止めなどを使いながら安静に過ごしたりリハビリテーションを行ったりします。 頚椎椎間板ヘルニアの後期症状 後期の段階では、首や肩の痛みやしびれが強くなるとともに、顔や手指、足などにも痛みやしびれが広がることがあります。強い症状が影響して首がスムーズに動かせなくなり、基本的には手術が必要な状態です。 具体的には約2週間の入院中に患部の手術とリハビリテーションや薬物療法を行います。手術は体への負担が大きいとともに、脊髄損傷と呼ばれる術後合併症が起こるリスクもあります。 そして退院後も定期的な通院が必要なため、治療期間は数ヶ月から約1年かかってしまいます。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること 頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨を支える椎間板の一部が飛び出て神経を圧迫することでさまざまな症状が現れる疾患です。椎間板が脱出する原因として、加齢やスポーツ、悪い姿勢、生活習慣などがあげられます。 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は首や肩の痛みやしびれですが、進行するにつれて症状が強まるとともに、手指や足などにも症状が現れる場合があります。症状が増悪すると手術が必要になることもあるため、首の痛みに気づいたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.160 監修:医師 加藤 秀一 ▼首のヘルニアのセルフストレッチなどご自分でできる事は解説しました 頚椎(首)椎間板ヘルニアを自分で治す!ストレッチと予防のポイント
最終更新日:2024.04.04 -
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頚椎椎間板ヘルニアの初期症状、見逃さない!3つのポイント 次のような症状でお困りの方は、もしかすると頚椎椎間板ヘルニアを発症しているかもしれません。 「首が痛いけど寝違えかな?」 「手がしびれている気がする…」 頚椎椎間板ヘルニアは、発症すると非常につらい痛みが出現し、病状によっては手足を使うことが難しくなることもあります。 薬や負担を避けることで症状が落ち着く人がいる一方、生活が不自由になり手術を受ける方もおられます。本記事では、「頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状」と、「治療の流れ」や放置するとどうなるか?を解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の骨)間のクッションである「椎間板」組織の一部が何らかの理由で本来の場所から逸脱することで起こる疾患です。「ヘルニア」という言葉は臓器や組織が本来あるべき場所からはみ出してしまうことを指します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状 ①首の痛み ②片方の腕や手の痛み・痺れ ③両手の痺れ・感覚障害 ①首の痛み 首の痛みは頚椎椎間板ヘルニアの最初期の症状です。 頚椎椎間板ヘルニアの症状の特徴は急激な発症です。ある日突然に首が痛い、とくに後ろが痛いと感じます。寝違えのような疼痛で、後頭部や肩甲骨周りまで痛みが広がることもあります。 ②片方の腕や手の痛み・痺れ 片方の肩から腕、手にかけての痛みや痺れは「神経根の圧迫」が起こることで認められる症状の典型例です。 「神経根」とは脊髄から体の各部位に伸びる神経の付け根のことです。各椎体と椎体の間から、左右それぞれに1本ずつ神経の束が伸びていきます。 神経根が出てくるのは椎体の外側やや後ろです。椎間板組織がやや斜め後ろに飛び出すことにより神経根の圧迫が起こると、その神経の領域を中心に強い痛みをはじめとした症状が起こります。 頚椎から伸びる神経は主に肩から腕、手にかけて分布する神経です。そのため頚椎椎間板ヘルニアの神経根症状は主に肩・腕・手に認められます。症状は圧迫された側のみに起こるため、左右どちらか一方のみが痛んだり痺れたりします。 神経根圧迫による症状は「電気が走るような」「ビリッとした」などと表現されることが多いです。ときに激痛となり、日常生活が困難になる人もいます。 ③両手の痺れ・感覚障害 片手でなく両手が痺れる場合はヘルニアによる「脊髄」のダメージが起こっている可能性があります。脊髄は椎体(いわゆる背骨)の真後ろを走っています。椎間板の組織が体の後方へ飛び出すことで、脊髄が圧迫されます。 脊髄の圧迫による症状は指先から始まり、徐々に範囲が広がっていくことが多いです。片側から始まることも多いですが、最後には両手に認めます。感覚も鈍くなります。その後はさらに体幹部や足へも症状が広がっていきます。 神経根の圧迫と異なり、脊髄の圧迫では強い痛みはあまり感じません。「なんとなく痺れた感じがする」という一見軽そうな症状が、実は脊髄圧迫のサインであるかもしれないのです。 初期段階で対応しない(放置すると)と何が起こるか 神経根症状の場合は悪化すると、支配神経の感覚障害や筋力低下が起こることがあります。 ただし、神経根症状の場合は安静を心がけるだけでも自然治癒する方も多くいます。 一方、脊髄圧迫の症状が進行すると厄介です。進行していくと、まず手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こります。細かく指を使う動作が難しくなり、箸を使う・ボタンをかける・文字を書くなどの当たり前にできていたことができなくなるのです。 続いて、足の運動障害により歩行が難しくなります。さらに進行すると排尿のコントロールに重要な神経の障害が起こり、頻尿・残尿感・失禁などを認めることもあります。 脊髄圧迫の症状が進行すると ①手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こる ・細かく指を使う動作が難しくなる。 ・箸を使う、ボタンをかける、文字を書けなくなる ・当たり前にできていたことができなくなる ②足の運動障害 ・歩行が難しくなる。 ③さらに進行すると ・排尿の障害 ・頻尿、残尿感、失禁 治療について 初期の症状のうちは保存療法が基本です。 保存療法 最も重要なのは首の安静を保つことです。特に後屈動作、つまり顎を上げる動作は症状悪化の原因になります。なるべく首を動かさないように、頚椎のカラーという装具の使用を指示されることもあります。 痛みが強いときは鎮痛薬の内服やブロック注射など選択肢です。 手術療法 一方、脊髄症状が進行してしまい、巧緻運動障害・歩行障害・排尿障害などが起こると手術を考えることになります。また、神経根症状でも治療抵抗性の場合は手術が選択肢となります。 頚椎椎間板ヘルニアについてよくある質問 Q:頚椎椎間板ヘルニアが心配です。何科に受診すれば良いでしょうか? 頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした頚椎疾患は次のいずれかの診療科で診察を受けることができます。 ・整形外科 ・脳神経外科 ただし、これらの診療科であっても医師によって専門領域が異なることもあります。場合によっては他の病院や診療科に紹介となる可能性も否定できません。 受診希望時に迷うようであれば予め「頚椎の病気」を診てもらえるか問い合わせをしておくとスムーズです。 Q:頚椎椎間板ヘルニアはレントゲンで分かりますか? レントゲンで確定診断をすることはできません。同様の症状をきたす他の病気がないかを診る目的で行います。 頚椎椎間板ヘルニアがあるかどうかはMRI撮影を行って調べます。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの初期症状、見逃さない!3つのポイント 頚椎椎間板ヘルニアはときに自然軽快することもある疾患です。しかしながら、人によっては急激に悪化し、麻痺などの重い神経症状を認めることもあります。 一度重症化してしまうと手術を行わなければならないこともあり、早期に診断して適切な治療を行うことが望ましいです。 今回ご紹介した「首の痛み」「片方の腕や手の痛み・痺れ」「両手の痺れ・感覚障害」があれば、早めに病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.160 監修:医師 坂本貞範 ▼こちらのご覧になりませんか 参考文献 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. 中川幸洋. MB Orthop. 33(3): 27-34, 2020. 吉井俊貴, 江川聡. MB Orthop. 30(10): 7-13, 2017. ▼首のヘルニアについて症状のレベルは以下をご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説!
最終更新日:2024.04.04 -
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頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や治療法 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板というクッションのような構造が後ろに飛び出すことで、神経を圧迫し、しびれや痛みなどが生じる病気です。 この記事では、椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や、治療法について解説していきます。 頚椎椎間板ヘルニアの原因と発症メカニズム 首の部位にある背骨のことを医学用語で「頚椎(けいつい)」と呼びます。 その頚椎が積み重なるようにして、背骨は作られています。そして、頚椎の間には「椎間板(ついかんばん)」というクッションのような構造があります。頚椎椎間板ヘルニアとは、椎骨の間の椎間板が後ろに飛び出てしまい、脊髄や神経根が圧迫されて症状が出る病気です。 頚椎椎間板ヘルニアの原因は、椎間板が加齢などの理由で変性して、後ろの方へ突出することです。30〜50代の働き盛りの方に多く、誘因なく、突然発症することが多いとされています。 また、悪い姿勢での仕事や、スポーツなどがきっかけとなることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの症状としては、急な首の痛みに引き続き、腕や手指のしびれが特徴的とされています。飛び出した椎間板が大きく、脊髄を圧迫してしまうと、歩行障害や手指の運動障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの診断・検査 頚椎椎間板ヘルニアの診断には、首の骨のレントゲン撮影やCT検査、MRI検査などが行われます。 MRIでは、変性した頚椎の椎間板や、頚椎椎間板ヘルニアを確認することが可能です。椎間板が後ろの方へ飛び出すことによって、脊髄や神経根が圧迫されているかどうか、またその程度も確認することが可能です。画像検査の結果と症状を照らし合わせて矛盾がない場合には、椎間板ヘルニアによる症状であると診断することができます。 また、首を斜め後ろへ反らすと腕や手に痛みが走るということも特徴的ですので、診断の際にこうした手技が用いられることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法 それでは、頚椎椎間板ヘルニアの治療法をご紹介していきます。 治療法は、症状の程度によって保存的治療か外科的治療かに分けられます。まずは軽い症状の場合の治療法から解説します。 保存的治療 頚椎椎間板ヘルニアによる痛みを和らげる方法として、鎮痛薬や神経ブロックといった薬物治療、牽引(けんいん)治療や理学療法も行われます。 薬物治療 ・痛みが強い時には、首の安静保持を心がけます。 ・鎮痛薬の内服や神経ブロックを行うこともあります。 牽引治療 ・頚椎カラー装具で首を固定したり、首の牽引治療を行ったりすることもあります。 ・首の牽引治療を行うと、理学療法のみの場合よりも治療開始5週間後の握力の回復が優れていたという報告があります。 ・頚椎の牽引を行うことで、神経根が減圧され、再髄鞘化と血流の改善が起こるためと考えられています。 理学療法 頚椎椎間板ヘルニアを含む頚椎が変性することによって起こる疾患に対しては、理学療法も効果的です。 理学療法としては、マッケンジー法という手法や、首のエクササイズなどがあります。 マッケンジー法では、首の反復運動の検査や姿勢保持検査を行って症状を見ながら、運動療法の内容や負荷、強度などの治療内容を決めていくものです。 運動内容としては、首の曲げ伸ばし、側屈、回すことを組み合わせていきます。 また、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、ヘルニアが自然に吸収されることで自然に治癒する例も多数報告されています。そのため、まずは保存的な治療で様子をみていくことが多いです。 こうした保存的な治療を開始してから3ヶ月経っても症状の改善がない場合には、手術を考慮したほうが良いという報告もあります。 外科的治療 保存的な治療をしても症状が改善しない場合や、早く症状を改善したいという希望が強い場合には、外科的手術が推奨されます。 また、脊髄症の症状、つまり運動麻痺が強く出ている場合にも手術が考慮されます。 外科的手術の方法としては、以下が標準的な術式として推奨されています。 ・前方除圧術 ・前方除圧固定術 頚椎椎間板ヘルニアの日常生活での注意 頚椎椎間板ヘルニアに限らず、頚椎の変性によって起こる病気に対しての日常生活でのポイントをご紹介していきます。 良い姿勢を保つ 保存的治療や予防の段階では、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。特に、後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 例えば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避けましょう。そして腹ばいでの読書や、不適切な姿勢でのテレビ視聴はしないようにします。 寝方に注意する さらに、寝方にもポイントがあります。 就寝時には、頭だけでなく首もしっかりと固定できるような、面積の広い枕を選ぶようにしましょう。 このような日常生活の注意によって、ヘルニアを含め頚椎症による神経症状の悪化をある程度予防することは可能と考えられます。ひいては、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげることにもつながるでしょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法と治療 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの治療や症状を和らげる方法について解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。一方で、手術を行っても脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。その結果、しびれや痛みといった症状が残ってしまう場合もみられます。 そこで当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄腔内ダイレクト注射療法という方法を独自に開発しました。この方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みています。 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しないというような方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 ▼こちらの動画もぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5WTj47BqXbQ&t=110s No.S159 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 「頚椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる PDF:頚椎椎間板ヘルニア 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p242 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p243 頸椎変性疾患患者に対する理学療法の効果.理学療法学.2020. 自然消退がみられた頚椎椎間板ヘルニアの1例.整形外科と災害外科.2012;61:(1)89-93. p91-92 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p246 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 ▼首のヘルニアの原因について記しました 頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること
最終更新日:2024.04.04 -
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頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と目的、注意点について! 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアとは、首の骨である頚椎と頚椎の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫してさまざまな症状が現れる整形外科の疾患です。頚椎椎間板ヘルニアを発症した場合、一般的に治療法の1つとしてリハビリ(理学療法)を行います。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアの概要やリハビリの目的、効果、注意点、具体的な方法などについて解説します。頚椎椎間板ヘルニアと診断を受けた方やリハビリ方法について知りたい方はぜひご参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリとは 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれが現れます。病状が進むと、手術が必要となる場合もあります。 しかし、頚椎椎間板ヘルニアの治療においてリハビリ(運動療法)を適切に行えば病状や症状の進行や再発を防げるとともに、手術を行わなくても場合によっては治ることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリは、症状を改善し、日常生活を送るために必要な身体機能の回復を目指すための治療法です。そして椎間板は年を取るとともに老化して頚椎椎間板ヘルニアが再発するリスクが高まるため、適切なリハビリを行って予防することも重要です。 リハビリの頻度と期間は、症状と重症度によってことなりますが、通常は週に1~3回程度で、少なくとも4週間は必要です。 またリハビリで通院する際の1回あたりの費用は、レントゲン検査の有無やリハビリを行う時間によって様々ですが、保険診療を用いて1割負担の方で約600円~1000円程度、3割負担の方で約2000円~3000円程度かかります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法 リハビリでは、理学療法士が患者さまの状態や生活習慣に応じて、一人ひとりに合ったリハビリを行います。具体的なリハビリ方法として、運動療法や物理療法などがあります。 運動療法 頚椎椎間板ヘルニアが発症する原因として、首の筋力低下や筋肉が適切に動かないなどが考えられます。 運動療法では首をサポートする筋肉を強化します。首への負荷を減らし、首がスムーズに動くように可動域を広げます。例えば、頚椎と頚椎の間にある関節に直接ストレッチを行ったり、首を支える筋肉の筋力強化を行ったりします。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状を改善するためには、医療機関だけではなく自宅でのセルフケアも重要です。具体的には、頚椎に負荷をかけている姿勢や動作に対する改善のアドバイス、症状が強い時期には首をそらないようになど指導します。 物理療法 物理療法では痛みを改善させるために温熱療法、電気療法、冷却療法などを行います。例えば、ヘルニアによって神経根が圧迫されて症状が現れている場合、電気的刺激を用いて症状を改善させることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリをする目的 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリを行う目的は、悩んでいるつらい症状や頚部の機能を改善し、再発を防止することで患者さんが楽しく快適な生活を送ることです。 それぞれの目的や期待できる効果について詳しく説明します。 つらい症状を改善する 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれを感じるなどの症状から、日常生活がうまく送れない場合があります。リハビリは、痛みやしびれなどの症状を改善して快適な生活を送るサポートを行います。例えば、物理療法やマニュアルセラピーを行ったり、首を支える筋肉を強化することで頚椎や首の筋肉や神経にかかる負荷を減らし、症状の改善を目指します。 頚部の機能を改善する 頚椎椎間板ヘルニアでは、手足にうまく力が入らない、首がスムーズに動かないなどの症状が現れることがあります。頚椎椎間板ヘルニアによる体の機能制限を回復させることも、リハビリの目的の1つです。例えば、適切なストレッチングや筋力トレーニングを行うことで首の可動域が広がって首がスムーズに動くようになります。 姿勢を改善する 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、正しい姿勢を体に学習させ、定着させることで頚椎にかかる負荷を減らします。適切な姿勢を維持することは、症状が改善するだけでなく、ヘルニアの増悪を予防するという点でもとても重要です。 頚椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐ 頚椎椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発しやすい疾患です。頚椎椎間板ヘルニアが再発しないように、リハビリで悪い姿勢や生活習慣を改善し、首周りの筋力を強化します。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを受ける場合の注意点 頚椎椎間板ヘルニアヘルニアのリハビリは、患者さまの状態によって個別にリハビリ内容を計画します。リハビリを受ける時には次のようなことに注意しましょう。 ・痛みやしびれが強い場合は無理に運動しない ・リハビリで身につけた正しい姿勢を維持する ・定期的にリハビリを受ける ・理学療法士など専門家の指導を受ける 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを行う場合は、首に大きな負担がかかると症状が増悪することがあるため、症状が強い場合は無理に運動しないようにしましょう。また、リハビリ以外の日常生活も正しい姿勢で送ることが重要です。例えば、頭を前に突き出すと首に負荷がかかって症状が増悪することもあります。 症状を改善するためには、定期的にリハビリを受けるようにしましょう。一度リハビリを受けただけでは効果が現れにくいですが、何度も定期的に受けることでつらい症状が改善していく場合が多いです。 注意点として、自身のやり方で首の運動を行うのはおすすめできません。誤った方法で首を動かすことでかえって症状が増悪してしまう場合があるため、理学療法士や整形外科の医師などと相談した上でリハビリや首の運動を行いましょう。 ただし、専門的にリハビリを行っても痛みやしびれなどの症状が悪くなる場合もあります。症状の増悪や新しい症状に気づいた場合は速やかに医師や理学療法士に相談しましょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と注意点について! 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれなど日常生活を送るのに支障が出ることがありますが、適切なリハビリを行うことで症状の改善が期待できます。リハビリでは運動療法や物理療法を用いて治療します。 自身の方法ではなく整形外科の医師や理学療法士の指導のもと、適切なリハビリを定期的に受けるのがおすすめです。そしてヘルニアのつらい症状を改善するとともに頚部の機能を改善させ、正しい姿勢を維持して再発を防ぎましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.159 監修:医師 坂本貞範 ▼頸椎椎間板ヘルニアの症状について以下もご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの辛い症状の種類と似た病気、検査と治療法
最終更新日:2024.04.16 -
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頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説! 頚椎椎間板ヘルニアの症状は、首の痛み、手のしびれ、歩行障害、排尿障害など患者さんにより様々です。 どうして「くびの病気」が様々な症状をきたすのでしょうか?また、どのような症状が出たら注意すべきなのでしょうか。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアの症状について、分類や進行するとどうなるかを解説していきます。 頚椎椎間板ヘルニアの症状とは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の間のクッションである椎間板が本来あるべきところから逸脱して起こる疾患です。 頚椎のすぐ後ろには太い神経の束である「脊髄」が走っています。また、脊髄は背骨(椎体)の間から体の各部位に向かって神経線維を伸ばしています。 頚椎椎間板ヘルニアが起こると、最初に生じるのは頚部の痛みです。椎間板の逸脱が脊髄の周囲に及ぶと、脊髄やそこから伸びる神経への圧迫も出現します。すると、色々な神経症状が出現するのです。 頚椎椎間板ヘルニアの分類と神経症状について 頚椎椎間板ヘルニアは椎間板組織の逸脱の仕方により、以下のような外側型、正中型、傍正中型の3タイプに分けられます。このように逸脱の仕方で、神経のどの部分に障害が起こりやすいかが変わるのです。圧迫される部分に応じて「神経根症」あるいは「脊髄症」のいずれか、もしくは両者が混在して認められます。 外側型 ヘルニアが背中の外側に飛び出すタイプです。主に神経根と呼ばれる脊髄から伸びる神経の付け根を圧迫する可能性があります。 正中型 ヘルニアが背中のちょうど真ん中に逸脱するタイプです。主に脊髄の圧迫が起こります。 傍正中型 正中型と外側型の中間です。 頚椎椎間板ヘルニアで起こる神経根症と脊髄症 ここからは、神経根症と脊髄症のそれぞれの症状について解説します。 神経根症とは 神経根症はヘルニアが椎間孔から伸びる神経の根本(神経根)を圧迫することで起こります。主に外側型や傍正中型で認められる神経症状です。 椎間孔とは脊髄から神経が出てくる孔です。上下の椎体の後ろの切れ込みから形成され、ちょうど椎間板の後方に左右それぞれ1つずつあります。 頚椎の左右にある椎間孔から出るのは、頸・肩・腕などの運動や感覚を担う神経です。ヘルニアにより左右どちらかの神経根が圧迫されると、圧迫された側の頸・肩・腕に痛みやしびれなどの症状が起こります。体の片側だけに認めるのが特徴です。 重症化するとどうなる? 最初の症状は圧迫を受けている神経の支配領域の「ビリッ」と走るような痛みです。 進行すると、感覚障害や筋力低下も出現します。腕が上がらなくなったり、箸が持てなくなったりと、日常生活に支障をきたしかねません。 脊髄症とは 椎間板の組織が脊髄の通る場所(脊柱管)に逸脱することで起こる症状です。主に正中型や傍正中型で認められます。 脊髄そのものが圧迫され、感覚障害や筋力の低下を起こします。圧迫のされ方にもよりますが、両側性に症状を認めることが多いです。 上肢、特に手指のしびれや使いづらさが最初に起こることが多いです。 重症化するとどうなる? 進行すると、下肢にも症状が出現し、歩行障害を認めます。脊髄の圧迫による歩行障害では足をつっぱって引きずり歩く「痙性歩行(けいせいほこう)」となることが特徴です。 さらに進むと、排尿機能の障害も認めることがあります。頻尿や残尿感、尿失禁などが起こります。 重症度の評価について 頚椎椎間板ヘルニアの症状の出方は患者さんごとに異なります。 そのため、起こりうる症状の重症度を組み合わせて評価していきます。評価方法によっても注目するポイントが少しずつ違いますが、例えば次のような症状が評価対象です。 様々な種類の症状が起こったり、少ない数の障害であっても進行して生活に支障をきたしたりすると、より重症と考えられます。 痛みやしびれの強さ ・患者さんの主観的な痛みの強さを評価します。 ・痛みやしびれにより日常生活にどの程度支障があるかも重要な評価ポイントです。 頚椎の動き ・日常生活の様々な動きの中で首を上下する運動ができるかを評価します。 ・進行するとコップの水を飲めなくなったり、階段昇降の際に上下を見ることが難しくなります。 上肢の運動機能 ・腕の動きや、手・手指を使った動きがどうかということです。 ・例えば食事の時に箸やスプーンを使えるか、ボタンをとめられるかなどをみます。 下肢の運動機能 ・注目するのは「歩行」です。 ・階段の上り下りができるか評価します ・足踏みができるか評価します。 ・上肢・下肢・体幹部の知覚:これらの部位に「麻痺、しびれ」があるかみます。 排尿障害 ・夜間を中心とした排尿の回数 ・残尿感・排尿がスムーズにできるか ・尿失禁がないかなどがポイントです。 頚椎椎間板ヘルニアでよくある質問 Q.どのような場合に手術を考えるのか 日常生活に差し障る障害がある場合は手術を行います。例えば、手指がうまく使えずに食事ができない・歩けない・尿失禁があるなどです。最初は麻痺症状がなくても、経過中に運動麻痺が進行していくようであれば手術になります。 痛みやしびれが症状の中心であれば最初の治療は保存療法です。しかし、保存療法を続けても良くならず、痛みが耐え難いようであれば手術が検討されることもあります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアで気を付けるべきことは何? 可能な限り、首は動かさずに安静にしてください。特に後屈(首を後ろに反らすこと)は神経症状の悪化につながるリスクがあるため避けましょう。人によっては頚椎カラー(頸の装具)を着けることもあります。 また、外傷が加わると一気に症状が増悪し、麻痺などを起こすこともあります。転倒に注意してください。 Q.マッサージや整体などを受けていいですか? 積極的におすすめすることはできません。 少なくとも脊髄症の症状に対しては、マッサージや整体、カイロプラクティックなどが有効であるという証拠は示されていません。またやり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説! 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルについて解説してきました。 頚椎椎間板ヘルニアは神経根症状と脊髄症が混在するため、患者さんによって症状が異なります。同じ「重症」でも、非常に強い痛み・手の動かしづらさ・麻痺・排尿障害など起こることは様々です。 ご自身の症状がどのタイプなのか、進行するとどうなるかを踏まえた上で、治療についてしっかりと主治医と相談をしてください No.S158 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 安田宗義. Spinal Surgery 28(3), 246-251, 2014. 高山柄哲. ブレインナーシング 27(4): 344-347, 2011. 和田英路, 米延策雄. MB Orthopaedics 27(2): 11-17, 2014. 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 平井高志. 整形外科看護. 24(8): 755-762, 2019. 樋口 大輔, 新谷 和文, 内山 靖. 理学療法科学. 22(4):533–539,2007. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. ▼腰のヘルニア痛みの対処方法は以下を参考にしてください 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や治療法
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ヘルニアの種類と症状そして再生医療の適応を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアの1つは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性があるよくある疾患の1つです。椎間板ヘルニアは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術後の後遺症に困ることがあるため注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 ・痛み止めの飲み薬や注射 ・コルセットなどの装具療法 ・リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 ・先天性(生まれつき) ・重い荷物を持つ ・排便時にお腹に力を入れる ・加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 ・子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 ・大人:肥満、妊娠など リペアセルクリニックが再生医療を行う疾患 再生医療とは、自身の体を再生する力を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻しています。自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を数多く得られます。元気で質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。 また、当クリニック独自の技術により幹細胞を1億個以上まで増やせるため治療成績も良く、余分な薬剤や不純物を使わず自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 そして米粒2~3粒程度の脂肪を採取すれば十分な数にまで幹細胞を増やせるため、体への負担を少なく幹細胞を準備できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には再生医療がおすすめ 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択します。しかし、手術後の手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後後遺症が出たりすることがあるため注意が必要です。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を行っています。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=141s ▶椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひ一度ご相談ください。 No.158 監修:医師 坂本貞範 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか ヘルニア(椎間板)の手術後のしびれ、後遺症に悩むあなたへ
最終更新日:2024.04.12