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坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 坐骨神経痛とは、いわゆる腰付近に存在している坐骨神経に沿ってお尻辺りの臀部から下肢のうしろ面などにかけて電撃のように引き起こされる痛みを伴う症状の総称です。 坐骨神経は腰の辺りから足先までに伸びている神経の束であり、この坐骨神経が何らかの原因によって物理的に刺激されると下半身に痛みや、しびれ、といった症状が引き起こされることとなります。 今回は、そのような坐骨神経痛という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 坐骨神経痛の原因 坐骨神経痛の原因は、一般的には「腰椎椎間板ヘルニア」や、「腰部脊柱管狭窄症」などが挙げられます。傾向としては若年者の場合では、腰椎椎間板ヘルニアが多く、その一方で高齢者では腰部脊柱管狭窄症の罹患率が増加してきます。 腰椎椎間板ヘルニアの場合は、日常的に腰部に負担がかかりやすい重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどが主な発症原因として知られています。 腰部脊柱管狭窄や腰椎椎間板ヘルニアの両者とも腰椎と呼ばれる背骨の部分に引き起こされる異常によって脊髄の神経根が圧迫されて、同様に坐骨神経痛を始めとする下半身痛や下肢領域の「痺れるような痛み」を起こすと言われています。 また頻度としては少ないですが、坐骨神経痛は骨盤内腫瘍などによって神経束が圧迫されることが原因として症状を表すこともあります。 さらに注意したいのは、体重が増加すると腰に負担がかかるため、肥満体形にならないように食事や運動などを意識して行い体重管理に努めることが必要です。また、下半身の冷えが坐骨神経痛につながることがあることも知っておきましょう。 坐骨神経痛の辛い症状 坐骨神経痛による代表的な症状としては、お尻や脚の後面にかけて「電撃のような痛み」や、「痺れるような痛み」が起こります。 また、それ以外にも、冷感や灼熱感を自覚する事もありますし、それらの症状は下肢の一部の領域のみに出現することもあれば、下肢全体にかけて認められることもあります。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛では局所的な疼痛症状を訴えることが多い一方で、腰部脊柱管狭窄症が原因のケースでは間歇性跛行という症状を生じることが往々にして認められます。 間歇性跛行とは、日常生活において、しばらく歩くなど動くことでお尻や太ももにかけて痛みといった症状を自覚するものの、一旦休むことで自然と痛みが治まり、歩行を再開すると再度同様に疼痛症状を起こすことが特徴の一つです。 本疾患では、様々な症状をくり返すうちに、痛みがさらに悪化して、歩行自体や椅子から立ち上がることすら困難になる可能性も指摘されているため、日常生活に高度に支障をきたす恐れがある病気ですので十分な注意が必要です 坐骨神経痛の検査 坐骨神経痛における検査方法は、本疾患の原因となっている病気を精査することで特定します。 ほとんどの腰椎レベルにおける病変自体が坐骨神経痛の原因となることが多いとされているのですが、時に帯状疱疹、子宮筋腫、変形性股関節症などの病気が主症状の根本的な原因となっていることもあるため、疑われる病気に応じて各種検査が行われます。 実際に医療機関を受診する場合の一般的な診断の流れは、まずは問診や診察を行って坐骨神経痛が強く疑われたときには、その後にX線によるレントゲン検査やMRIを用いた画像検査などを行うことによって病変部を詳細に評価します。 坐骨神経痛の治療方法 坐骨神経痛に対する治療策はさまざまであり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因となるケースでは、まずは患部安静や固定、薬物療法、理学療法などを中心とした保存療法が勧められます。 1.薬物療法 非ステロイド性消炎鎮痛薬が処方されることが一般的であり、それ以外にも神経障害性疼痛に対する治療薬、筋緊張を和らげる薬剤、あるいは血管拡張薬などを服用することもあります。 2.理学療法 日常生活の質の維持などを目標として、コルセットと呼ばれる装具を身につけながらストレッチ体操や歩行訓練などを行って疼痛症状を緩和できるようなリハビリを実践します。 3.神経ブロック療法 局所麻酔を行うことで、神経に痛みが伝わらないように行うのがブロック療法です。(痛みをブロックすることから)整形外科や、ペインクリニックなどで行われ流ことが多いです。 4.認知行動療法 物事の考え方・捉え方や行動に働きをかけて、ストレスを軽減する治療法です。痛みについての認識を改めて理解し、必要以上のストレスや悪い感情を軽減することを目的としています。 5.装具療法 コルセットをはじめとした装具を用いて、腰椎を安定させることで痛みを和らげる療法です。ただし、あまり長い期間使いすぎてしまうと元々の体力が低下してしまうため、医師と相談をしながら、1ヶ月前後を目安にしましょう。 6.物理療法 神経痛の原因の一つに、血行不良が挙げられるケースがあります。そのため、マッサージや低周波電気療法などを行い、血液の流れに訴えかけたり、刺激を促す効果を期待します。 身体への負担が少ないため、自身の体力に合わせて検討してください。 万が一、これらの保存的治療で症状が改善しない場合、あるいは下半身の脱力症状や膀胱直腸における排尿や排便に関する機能そのものに障害が認められるケースでは脊椎内視鏡を用いた外科的手術治療を考慮することがあります。 坐骨神経痛の痛みの予防方法と改善の仕方 坐骨神経痛を予防・改善するためには椎間板や背骨の関節への負担をかけないことが重要です。小さなことでも日頃から意識をすることで、大怪我の予防につながるためしっかり理解しておきましょう。 1.坐骨神経痛を予防するために 坐骨神経痛を予防するためには、ストレッチを行うことが効果的です。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢になりがちな方は、こまめにストレッチを挟むことで、筋肉や背骨の緊張をほぐすことにつながります。 2.坐骨神経痛を改善するために 坐骨神経痛の改善には以下にご注意ください。 ・同じ姿勢を長時間とらない ・あまり重たいものを持ち上げる動作を行わない ・腰回りの筋力をつける ・肥満を避ける生活を心がける ただし、症状や原因によっても異なるため、具体的な予防法・改善方は診断を受けている医師と相談しましょう。 まとめ・坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 今回は坐骨神経痛とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 坐骨神経痛とは、主に腰部から足先にかけて走行している坐骨神経束が色々な原因によって圧迫されて物理的に刺激されることで痛みやしびれなどの症状を来す疾患を指します。 この病気は、日々の生活習慣を見直すことで予防や症状改善に繋がりますので、疑わしい症状がある際には自己判断で放置せずに専門医に相談しましょう。 以上、坐骨神経痛とは、その原因と症状、治療についてと題してご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S070 修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
2022.04.13 -
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腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 最も多くの日本人が悩んでいる健康の問題とは何かご存知でしょうか? がん? 肺炎? 新型コロナウイルス感染症? 心筋梗塞・・・いえいえ!答えは「腰痛」と「肩こり」です。(平成28年国民健康基礎調査より) 特に腰痛は、男性の中で最も多く、また女性のなかでも2番目に悩んでいる人が多い症状です。この記事を読まれている人の中にも、腰痛で悩んでいる方が多いのではないでしょうか。 今回は、そんな腰痛の中の約7%を占めるという「腰椎椎間板ヘルニア」と、「腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと」について解説してまいります。 腰椎椎間板ヘルニアとは 腰椎とは腰にある背骨のことです。 骨盤の上で、上半身の重さを支えている5つの骨を腰椎と言います。この背骨(腰椎)は1つずつ椎間板と呼ばれるクッションでつながっており、クッションがあることで腰を回したり、伸ばしたりするなどの動きが可能になっています。 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰に過度な負担が掛かることによって、クッションとなっている椎間板が壊れて神経を圧迫し、腰痛が出現するという病気です。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 腰椎椎間板ヘルニアを起こしてしまう原因の一つに、椎間板に過度な負担がかかることがあげられます。 腰に負担をかける動作 では、腰への負担をかけてしまうような動作とはどのようなものでしょうか。 なんとなく、腰に負担がかかる場面は思い起こすことができますね。重いものを持ったり、中腰の体勢を続けていたりした時に腰が痛んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。 1966年に日常生活における動作と腰にかかる負担についての報告がされています。 この報告によると、立ったまま前かがみになると、ただ立っているときと比べて約1.5倍の圧が腰にかかることが分かりました。さらに中腰で20㎏のものを持とうとすると、ただ立っているときの2倍以上の負担が腰にかかることも判明しています。 1999年には、新しい計測機器を用いて腰の負荷をさらに正確に測定した報告がされています。 その報告によると、座っているときの腰の負担は、立っているときとほとんど変わりがないという衝撃の内容でした。しかも、中腰の場合での腰の負荷は立っているときの2倍。さらに中腰で20㎏のものを持っているときの腰の負荷は実に4.5倍にもなるということがわかりました。 重いものを持ちあげるときに注意したいのは、その姿勢です。膝を折り、しゃがんだ状態で足を延ばして持ち上げるようにすることで、腰の負荷を2/3程度まで減少させることができたと報告されています。 これらの報告から、腰部への過度な荷重がかかる場面は、中腰になっているときであることがわかりました。また重い荷物を持つ際には、お辞儀するように上体を前に折った体勢をとると腰の負担が増えてしまうことが科学的に判明されています。 腰椎椎間板ヘルニアと診断された方は、ぜひこのような科学的根拠に基づいて、腰に負担をかけないよう、注意して動作を行うようにしてください。 立っているときと比較して 腰への負担 座っている状態 立っている時とほぼ同等 中腰になっているとき 2倍 中腰で20㎏の持つと(重い荷物を持つ想定) 4.5倍 上記のように腰に負担を与えないためには、姿勢や、重いモノを持ち上げるなどでは、やり方をよく研究することが大切であることが分かります。 やってはいけない、避けたい喫煙 腰椎椎間板ヘルニアは、「喫煙」との関係が深い疾患であることが知られています。 喫煙者は、1.27倍、腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクが上がることがわかっています。たばこの中に含まれるニコチンが椎間板周囲の毛細血管を収縮させ、椎間板に栄養が充分に行き渡らなくなることで椎間板がもろくなり、腰椎椎間板ヘルニアのリスクが上がるようです。 それだけではなく、非喫煙者は喫煙者に比べて痛みの程度が低く、痛み止めの内服量も少なく済んだという報告もあります。 つまり喫煙者は腰椎椎間板ヘルニアになりやすいだけでなく、腰椎椎間板ヘルニアによる痛みも強く、なかなか痛み止めを飲んでも疼痛のコントロールが難しいことが示唆されています。 喫煙は、個人の嗜好ですが腰椎椎間板ヘルニアに非常に悪い影響を与えます。もし、腰椎椎間板ヘルニアを患っていて喫煙されているのなら、これを機に禁煙をするほうが良いでしょう。 喫煙は、不利です、やってはいけないではなく、吸ってはいけない!と言えるのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアで喫煙の弊害 ・喫煙者の発症リスクは、1.27倍 ・喫煙者は痛みの程度が高くなる傾向がある ・喫煙者は痛み止めの効果が薄くなる傾向がある ・喫煙者は痛み止めの内服量が多くなる まとめ・腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 今回は腰椎椎間板ヘルニアとは何か、腰椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんが日常生活で気を付けるべき注意点をお伝えしました。 やってはいけません ・中腰での動作は避ける ・重いものを持つときには膝を曲げて持つ ・姿勢をよくする ・喫煙者は、禁煙する 上記に気を付けて、腰椎椎間板ヘルニアにならない!悪化させないような生活を送りましょう。 No.S013 監修:医師 加藤 秀一
2021.11.23 -
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日本人は多くの人が1度は腰痛に悩まされた経験があります。 多くの腰痛は時間が経てば症状が改善しますが、もし腰椎椎間板ヘルニアの場合は、痛みが強く生活に影響を与える可能性があります。 ヘルニアとは身体の組織の一部が、本来あるべき、正しい位置からはみ出した状態をいいます。なぜ、本来とは関係ない場所にはみ出るのでしょうか? そこで今回は、「腰椎椎間板ヘルニアを生じる原因・症状と痛みを和らげる方法」について詳しく解説します。 腰椎椎間板ヘルニアとは 背骨は頸椎(首の骨)が7個・胸椎(胸の骨)が12個・腰椎(腰の骨)が5個に分かれて、それぞれ1つずつ骨が積み上げたように構成されています。 そして、1つずつの骨と骨のあいだには椎間板が存在します。椎間板は、多くの水分を含んだゼリー状の髄核、その周りを取り囲む線維輪により二重構造となっており、腰にかかる負担を和らげるクッションのような役割があります。 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の椎間板に負担がかかり、椎間板の中にある髄核という組織が外に飛び出して神経にぶつかった状態です。 腰椎椎間板ヘルニアの症状 腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、お尻・足の痛みはもちろん、しびれ、力を入れにくい、動かしにくいなどの症状があります。痛み・しびれは下半身のどの場所にも出ますが、その中でもお尻から太ももの裏側の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、代表的な症状です。 また、神経が強く押されている場合は、おしっこ・お通じなどが出にくい、漏れてしまう場合もあります。 腰椎椎間板ヘルニアは2つのタイプに分かれる 椎間板ヘルニアは下記の2つのタイプに分かれ、圧迫される神経によって症状が変わります。 神経根型 神経根型は、背骨に対して縦に走っている神経ではなく、そこから左右へ枝分かれして伸びている神経根という場所を圧迫しています。症状として、腰・片足の痛みなどがありますが、危険度は高くありません。 馬尾型 馬尾型は、背骨に対して縦に走っている神経を圧迫します。 症状として、お尻・足全体への痛みがあるだけでなく、そのまま放置すると尿漏れなどの排尿障害が生じる、場合によっては歩けなくなり、寝たきりになる可能性があるなど馬尾型は神経根型よりも危険性が高くなります。 ▼もし、下記の症状が当てはまる場合は注意が必要です。 ・痛みはないが、しびれがある ・両足にしびれ・痛みが生じる ・両足の裏側がしびれる ・お尻の周辺がしびれる ・歩いてる最中に尿が出そうになる 腰椎椎間板ヘルニアを生じる原因 腰椎椎間板ヘルニアは下記のようにさまざまの原因で生じます。 年齢 体にある組織の多くは、年齢とともに劣化します。椎間板もその中の1つです。 椎間板は、体重を支えるため、身体の中で最も負担のかかる組織ですが、血管がないため栄養の届きにくい仕組みとなっており、なんと10歳代後半から劣化が始まり、少しずつ徐々に、みずみずしさが失われてクッション機能を果せなくなっていきます。 姿勢の悪さ 普段の姿勢が反り腰・猫背の人は、一般的な姿勢より、体重が腰にかかりやすくなります。そのため、長期間そのような姿勢でいると椎間板への負荷が大きくなり、ヘルニアの原因になる場合があります。 また、意外かもしれませんが、腰への負担は立っているよりも座っているときの方が大きくなります。そのため、車の長時間の運転、デスクワークなど、長時間座るような生活をしている人は注意が必要です。定期的に立つ、歩く、屈伸を行うなどで姿勢を変化させることが必要です。 喫煙 ご存知でしょうか!喫煙と椎間板ヘルニアには関係があります。 上記で解説したように椎間板には血管がありません。そのため、周囲の毛細血管から必要な栄養分をもらっています。しかし、喫煙者はタバコの影響のため、毛細血管の血流が悪くなり、椎間板の回復が遅く劣化しやすい状態になりかねません。 痛みを和らげる方法 腰椎椎間板ヘルニアは、どれだけ腰に負担をかけないで過ごせるかが大切です。痛みを和らげる方法としては下記のようなものがあります。 姿勢に気を付ける 座った姿勢は腰に負担がかかるため、長時間座らないようにし、休憩時間には気分転換にストレッチをする、また周囲を歩いて気分転換をおこないましょう。 また、座るときの姿勢も腰のあたりにクッションを入れる、背もたれの角度を調整できる椅子を選ぶなど自分にとって負担が少ない姿勢を見つけることが重要です。 筋肉トレーニングや、ストレッチをおこなう 筋肉を強化すると、お腹まわりの筋肉がコルセットのような役割をするため腰にかかる負担を軽減できます。また、硬くなっている筋肉をストレットで柔らかくすることにより、ヘルニアの症状を軽減できます。 筋肉トレーニングは身体の深部に存在するインナーマッスルを中心におこないます。インナーマッスルは、腰を安定させて腰椎をゆがまさない役割があるため、腰の負担が減り症状の改善が期待できます。 また、ストレッチは腰だけでなく、股関節や足などの下半身と体幹を中心にストレッチすることにより、筋肉に柔軟性が出るため腰への負担が軽減されます。 まとめ 腰椎椎間板ヘルニアの80〜85%は症状が良くなるといわれています。しかし、場合によっては強い痛み・しびれに長い間、悩まされている人もいます。 今回解説した内容をおこなえば多くの人は症状が改善されますが、1週間程度経過したのに関わらず症状が全く改善されない場合は、そのまま放置せず、躊躇することなく専門医を受診しましょう。 No.S012 監修:医師 加藤 秀一
2021.11.23