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腰痛が生じる場合、肝臓の不調が原因の可能性があります。肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、自覚症状が出ないまま進行しているケースがあります。重症化を防ぐためにも、早めの受診が重要です。 肝臓が原因の場合、一般的な腰痛とは異なる特徴があるため、違いを理解し自身の症状を見極める必要があります。 本記事では、肝臓と腰痛の関係性について解説します。痛む場所や特徴、見分け方もまとめているので、参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肝臓の不調が原因の腰痛が疑われる症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肝臓と腰痛の関係性 肝臓の不調が腰痛として現れるケースがあり、両者には関連があると考えられています。 ここでは、肝臓と腰痛が結びつく理由を詳しく解説します。 肝臓の不調と腰痛には関係性がある 肝臓の不調が腰痛として現れるケースがあるため、双方には関係性があるといわれています。肝臓は栄養素の代謝や解毒作用など、生命維持に欠かせない機能を持つ重要な臓器です。 肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれており、痛覚神経がほとんどありません。そのため、不調があっても自覚症状が出にくく、気づかないうちに進行する場合があります。 肝臓は右上腹部にあり、稀に神経を介して背中や腰に痛みが出る関連痛が起こる場合があると考えられています。関連痛とは痛みの原因とは別の部位に感じる痛みのことです。 すべての腰痛が肝臓と関係するとは限らない 関係性はありますが、腰痛の原因がすべて肝臓の不調とは限りません。腰痛が生じる原因の多くは、筋肉や姿勢、骨格の問題といわれています。 具体的な腰痛の原因は、以下の通りです。 デスクワークによる長時間の座り姿勢 腰に重いものを持ち上げるといった過度な負荷 運動不足による筋力の低下 反り腰や猫背などによる骨盤のゆがみ 腰痛の種類は、原因がはっきりしている特異的腰痛とはっきりしていない非特異的腰痛に分かれています。(文献1)そのため、必ずしも腰痛と肝臓が関係するわけではない点に注意が必要です。 肝臓が原因の腰痛を見分ける症状の特徴 肝臓が原因の腰痛には、特徴があります。 ここからは、肝臓が原因の腰痛に見られる症状の特徴を解説します。肝臓の不調が原因か見分けたい方は、参考にしてください。 痛む場所が右側の腰や背中で鈍痛が出る 肝臓が原因の場合、右側の腰や背中に鈍痛が生じる傾向といえます。肝臓は、体の右側に位置するためです。一般的な腰痛は腰全体や片側、中央部分など原因によってさまざまな箇所に痛みが生じます。 そのため、右側に違和感を覚えた場合は、肝臓が要因の可能性があります。また、痛みの性質も異なり、一般的な腰痛は動作によって痛みが強まりやすい点が特徴です。対して、肝臓が原因の腰痛は鈍い痛みや圧迫されているような症状が見られます。 ただし、右側の腰痛には、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎疾患の可能性もあるため、自己判断するのは避けましょう。 倦怠感や黄疸など腰痛以外にも症状が見られる 肝臓の不調が原因の場合、腰痛以外にも症状が見られます。主な症状は、以下の通りです。 倦怠感 疲労感 食欲不振 吐き気 黄疸 一般的な腰痛は、腰周辺にのみ痛みを伴います。しかし、肝臓が原因の腰痛は、腰痛とあわせてさまざまな全身症状が現れます。 黄疸は、肝臓の不調を表す代表的な症状の一つです。肝機能が低下する重いサインとなるため、症状が見られた際は、専門機関を受診しましょう。肝臓が原因の腰痛か見極める際は、複数の症状が見られるかチェックすることが大切です。 安静にしていても痛みが続く 肝臓が原因の腰痛は、安静にしていても痛みが続く傾向にあります。一般的な腰痛は、前屈みや体をねじる動作など、特定の姿勢や動作で痛みが悪化します。一方、肝臓が原因の場合は動作と関連なく痛みが続きます。 また、肝臓が原因の場合と一般的な腰痛の違いは、痛みが強まるタイミングです。肝臓が原因の場合は、夜間や安静にしていても、痛みを伴います。 対して、一般的な腰痛は起床時や長時間同じ体勢をとった場合に痛みが生じます。肝臓が原因の腰痛か判断する際は、動作や痛みを感じるタイミングにも注目しましょう。 腰痛が生じる肝臓の病気 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、腰痛が生じる場合はなんらかの病気によって引き起こされている可能性があります。 腰痛が生じる肝臓の病気には、以下の4つが考えられます。 脂肪肝 肝炎 肝硬変 肝臓がん 各病気の概要や原因を解説するので、参考にしてください。 脂肪肝 脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が蓄積されている状態のことです。放置すると、肝炎や肝硬変、肝がんに進行するリスクがあります。 脂肪肝の主な原因は、以下の通りです。 アルコールの飲みすぎ 肥満 糖尿病 運動不足 脂肪肝が進行して肝臓が腫大すると、腰痛を伴う場合があります。ただし、腰痛が生じるのは稀です。脂肪肝は症状が出にくく、異変に気付いたときには深刻化している可能性があります。原因に心当たりがあり、腰痛が生じた場合は医療機関の受診を検討しましょう。 肝炎 肝炎はウイルス性やアルコール性などさまざまな種類がありますが、いずれも肝臓細胞の炎症が原因で細胞が破壊される病気です。自覚症状がない場合が多いため、気づかないうちに肝硬変や肝がんに進行するリスクがあります。 肝炎が発症する主な原因は、以下の通りです。 ウイルス感染 一部の薬剤の服用 アルコールの飲みすぎ 肥満 自己免疫疾患 肝炎の原因は、ウイルス感染が8割を占めています。(文献2)また、肝炎では腰痛以外にも、倦怠感や黄疸、むくみなどの症状が現れる場合があります。 肝硬変 肝硬変とは、肝臓が長期にわたってダメージを受けることによって、肝臓が硬くなり次第に小さくなって機能しなくなる病気です。主な原因は、以下の通りです。 肝炎 脂肪肝 アルコールの飲みすぎ 肝硬変は、肝炎や脂肪肝の進行で起こるため、予防が欠かせません。肝硬変は無症状のケースが多く、進行すると食欲低下や倦怠感などを引き起こし、悪化すると黄疸といった全身症状とともに腰痛が現れる場合があります。 進行するまで自覚症状が出にくいため、定期的な受診が大切です。 肝臓がん 肝臓がんは、肝臓にできるがんです。ほかの病気と同様に、自覚症状がほとんどなく、医療機関での検診などで異常が見つかるケースも少なくありません。 肝臓がんは、肝炎ウイルスが長期間体内に留まることで発症すると考えられています。肝炎ウイルスから肝硬変に進行し、肝がんになるケースが多い傾向といえます。 また、アルコールの飲みすぎや肥満などの生活習慣病も肝臓がんの原因の一つです。症状が進行すると、腰痛のほか腹部にしこりや痛み、圧迫感などの症状が現れる場合があります。 肝臓の不調と腰痛が関係している場合の受診目安 肝臓の不調が関係している場合、一般的な腰痛とは異なる痛みや症状が現れます。腰痛とあわせて以下の症状が見られる場合は、肝臓の不調の原因が考えられるため、医療機関を受診しましょう。 右側の腰や背中に鈍い痛みが続く 腰痛とあわせて全身の倦怠感・吐き気が続く 皮膚や目の白い部分が黄色く、黄疸の症状が見られる 尿の色が濃くなったり、便の色が白っぽくなったりと変化が見られる 安静にしていても強い痛みを引き起こす とくに、日常生活に支障をきたすほどの症状が見られる場合は、医療機関に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肝臓の不調が原因の腰痛が疑われる症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肝臓の不調が腰痛に関係している場合の対処法 肝臓の不調が原因となる腰痛では、生活習慣を見直すことが大切です。肝臓は病気が隠れていても無症状の場合が多く、進行しないと気づかない場合があります。 肝臓の負担を軽減することが予防策になるため、次のように健康的な生活習慣を意識しましょう。 バランスの良い食生活を心がける 飲酒量を調整する 適度に運動する アルコールを飲む際は、水分を一緒にとり、アルコールの分解を促進するなどの対策も効果的です。肝臓を労わることで腰痛が軽減できる場合があるため、健康的な生活を心がけましょう。 肝臓と腰痛の関係性を理解し受診すべきか見極めよう 肝臓の不調と腰痛には関係性があるといわれており、何かしらの病気が潜んでいる可能性も考えられます。肝臓の病気は無症状で進行しなければ気づけないため、腰痛とあわせて倦怠感や黄疸などの症状が現れます。 一般的な腰痛と異なる症状が見られた場合は、専門機関を受診しましょう。肝臓と腰痛の関係性を理解し、医療機関を受診すべきか見極めることが大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肝臓の不調が原因の腰痛が疑われる症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肝臓と腰痛に関するよくある質問 肝臓の不調による腰痛におすすめの運動は? 肝臓の不調による腰痛の緩和には、軽い運動がおすすめです。なかでもストレッチは肝臓周辺の筋肉の緊張を和らげ、血流を促進するのに効果的です。 腰痛緩和には、次のストレッチが挙げられます。 ストレッチ 概要 上体反らしストレッチ 足を肩幅より少し広めに開いて立ち、上体を反らす 両膝抱え込みストレッチ 両手で膝を抱え、ゆっくりと胸の方へ引き寄せる 仰向けひねりストレッチ 仰向けに寝て、両腕を肩の高さで真横に広げ、片側へゆっくり倒す ストレッチをする際は、無理のない範囲で行いましょう。 肝臓の不調による腰痛で検査したい場合は何科を受診すべき? 肝臓の不調による腰痛が現れている場合は、内科もしくは消化器内科を受診しましょう。どのような病気が原因か調べるためには、精密検査を受ける必要があります。 肝臓は無症状なケースがほとんどのため、異常が見られた場合は速やかに医療機関を受診し、早期に対応することが大切です。 肝臓の検査ではどんな検査をするの? 肝臓の検査では、血液検査や画像検査、ウイルス検査などを組み合わせて行うのが一般的です。 検査 概要 血液検査 AST(GOT)やALT(GPT)などの数値から、肝機能の状態や炎症の有無を確認する 超音波検査 超音波を当てて肝臓の状態を画像で確認し、脂肪肝や腫れ、腫瘍の有無を調べる ウイルス検査 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べる 検査結果をもとに、必要に応じてCTやMRIなどの精密検査が追加される場合もあります。症状や既往歴に応じて内容は異なるため、医師の判断に基づいて適切な検査が行われます。 参考文献 (文献1) 理学療法ハンドブック|日本理学療法士協会 (文献2) Q&A|知って、肝炎|厚生労働省肝炎対策国民運動事業
2026.04.30 -
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「手足のしびれやふらつきが続いている」 「原因不明のだるさが何日も続いている」 健診で貧血やビタミン不足を指摘されたことがある方や、手足の違和感・倦怠感にお悩みの方は、ビタミンB12欠乏症の可能性があります。単なる栄養不足にとどまらず、神経障害やさまざまな体調不良につながることがあるため、早めに医療機関を受診することが重要です。 本記事では、現役医師がビタミンB12欠乏症について詳しく解説します。 ビタミンB12欠乏症の症状 ビタミンB12欠乏症の原因 ビタミンB12欠乏症の治療法 ビタミンB12欠乏症の予防法 記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ビタミンB12欠乏症について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ビタミンB12欠乏症とは 項目 内容 定義 ビタミンB12不足による血液・神経への影響 主な役割 赤血球形成・神経機能維持 主な症状 貧血症状(倦怠感・息切れ)。神経症状(しびれ・ふらつき・感覚異常) 進行時の変化 歩行障害や認知機能低下 特徴 貧血と神経症状の併発。単なる栄養不足と異なる性質 主な原因 摂取不足・胃疾患・手術後・吸収障害 注意点 放置による神経障害の進行リスク 対応の重要性 早期発見・早期治療による改善可能性 (文献1)(文献2) ビタミンB12欠乏症は血液と神経の両方に影響が及ぶ点が特徴です。貧血症状に加えて、しびれや歩きにくさなどの神経症状が現れることがあります。 原因は食事だけでなく胃や腸の状態も関与するため、進行して神経機能への影響が残る前に少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 ビタミンB12欠乏症の症状 症状 詳細 貧血症状(倦怠感・めまい・息切れ) 赤血球形成低下による酸素運搬能力の低下、全身の倦怠感・立ちくらみ・動作時の息切れの出現 神経障害(しびれ・感覚異常・筋力低下・歩行障害) 神経機能低下による手足のしびれ・感覚鈍麻・筋力低下、歩きにくさやふらつきの出現 認知症・精神症状(記憶力低下・抑うつ・集中力低下) 脳機能への影響による記憶力の低下・意欲の低下・集中しづらさなど精神機能の低下 ビタミンB12欠乏症では赤血球の形成低下により倦怠感・めまい・息切れといった貧血症状がみられます。 神経機能の低下により手足のしびれ・感覚の鈍さ・歩きにくさなどが現れることもあり、進行すると記憶力の低下や意欲低下など精神・認知機能への影響がみられる場合もあります。 これらの症状は複合的に現れることがあるため、気になる症状があれば早めに受診してください。 貧血症状(倦怠感・めまい・息切れ) ビタミンB12欠乏症では赤血球の成熟が障害されて酸素運搬能力が低下し、組織への酸素供給が不足することで倦怠感・疲れやすさ・めまい・ふらつきが生じます。 また、身体が酸素不足を補おうとして呼吸数が増えるため、軽い動作でも息切れが起こりやすくなります。 こうした症状は単なる栄養不足ではなく全身への影響を示すサインです。そのため、早急に医療機関を受診してください。 以下の記事では、貧血について詳しく解説しています。 【関連記事】 貧血は病気のサイン?症状・原因・受診の目安まで医師監修で解説 貧血の数値でわかる重症度|症状・入院目安・治療の判断ポイント 神経障害(しびれ・感覚異常・筋力低下・歩行障害) 項目 内容 神経保護の低下 神経を守る働きの低下によるダメージを受けやすい状態 感覚異常の出現 神経の伝わりにくさによるしびれ・ピリピリ感・感覚の鈍さ 筋力低下の発生 筋肉への指令低下による力の入りにくさ・動かしにくさ 歩行障害の原因 身体の位置感覚の低下によるふらつき・歩きにくさ (文献1)(文献3) ビタミンB12は神経を保護する役割を担い、不足すると神経の構造や働きに障害が生じます。 感覚や運動の情報伝達が乱れ、しびれ・筋力低下・歩行の不安定さとして現れることがあります。 神経障害は進行すると回復に時間を要するため、気になる症状があれば医師へ相談しましょう。 以下の記事では、神経障害の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 中枢神経障害とは|症状や原因・治療法まで現役医師がわかりやすく解説 末梢神経障害の症状を解説|しびれやストレスとの関係性もあわせて紹介 認知症・精神症状(記憶力低下・抑うつ・集中力低下) 項目 内容 脳機能の低下 神経細胞の働き低下による脳機能全体の低下 記憶・判断力への影響 神経障害の波及による物忘れ・判断力の低下 集中力の低下 情報伝達の乱れによる注意力・思考力の低下 気分の変化 脳内バランスの乱れによる抑うつ・意欲低下 (文献4)(文献5) ビタミンB12は脳や神経の働きを保つ上で大切な役割を担います。不足すると神経細胞の機能が低下し、記憶力・判断力の低下や集中しづらさがみられる場合があります。 脳内の働きの乱れにより気分の落ち込みや意欲低下といった精神的な変化が現れる場合もあり、認知症に似た症状として現れることもあります。こうした症状がみられる場合は自己判断せず、医療機関を受診してください。 以下の記事では、記憶力低下に関する疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 高次脳機能障害と認知症の違いとは?併発の可能性と症状を解説 【医師監修】ウェルニッケ失語症(感覚性失語)とは|症状・原因・治療法を解説 ビタミンB12欠乏症の原因 原因 詳細 摂取不足(偏食・ベジタリアンなど) 動物性食品摂取不足によるビタミンB12供給不足、偏食や食事制限の影響 吸収障害(胃炎・消化管疾患・手術後など) 胃や腸の機能低下による吸収障害。萎縮性胃炎や胃切除後などの影響 薬剤の影響・加齢・生活習慣 胃酸抑制薬や一部薬剤の影響。加齢による吸収低下。飲酒や栄養バランスの偏り ビタミンB12欠乏症は食事からの摂取不足だけでなく、体内での吸収低下や生活背景が関与して発症します。 偏食や動物性食品の制限による供給不足のほか、胃炎や胃の手術後では吸収が妨げられることがあります。胃酸を抑える薬剤の使用や加齢による消化機能の低下も影響するため、こうした要因が重なる場合は早めに医療機関へ相談してください。 摂取不足(偏食・ベジタリアンなど) 摂取不足になる原因 何が起こるか 人の身体はビタミンB12を作れないため 食事から補えないと体内のビタミンB12が徐々に減少 動物性食品をあまり食べない場合 肉・魚・卵・乳製品からの摂取量が不足 偏食や食事制限がある場合 栄養バランスの偏りにより必要量を満たせない状態 ベジタリアン・ビーガンの食生活 ビタミンB12の供給源が限られ慢性的な不足リスク (文献6)(文献7) ビタミンB12は体内では作れず、主に動物性食品から補う必要があります。 偏食や食事制限・ベジタリアンなどの食生活では不足しやすく、体内に一定量が蓄えられるため数年かけて徐々に欠乏が進行する点が特徴です。 食生活の変化が続いている場合は、症状がない場合でも栄養状態を見直しましょう。 吸収障害(胃炎・消化管疾患・手術後など) 原因 何が起こるか 胃炎(萎縮性胃炎・自己免疫など) 胃の働きが低下し、ビタミンB12を体に取り込むための準備ができなくなる状態 消化管疾患(クローン病・セリアック病など) 腸の働きが低下し、ビタミンB12をうまく吸収できなくなる状態 胃や腸の手術後 ビタミンB12を吸収する仕組みや場所が減り、身体に取り込みにくくなる状態 (文献8) ビタミンB12は胃や腸の働きを介して吸収される栄養素です。胃炎や自己免疫の影響で胃の機能が低下した場合や消化管疾患により腸の吸収力が落ちた場合は、十分に摂取していても身体に取り込めなくなります。 胃や腸の手術後では吸収の仕組みや部位が減少して慢性的な不足につながることがあります。食事内容に問題がない場合でも欠乏がみられる際は、医療機関で評価を受けましょう。 以下の記事では、消化管疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 薬剤の影響・加齢・生活習慣 ビタミンB12欠乏症は薬剤の影響・加齢・生活習慣の変化によっても生じます。胃酸を抑える薬や一部の糖尿病治療薬はビタミンB12の吸収を低下させることがあり、加齢に伴う胃の働きの低下や過度な飲酒・食生活の偏りも吸収効率に影響します。 こうした要因は重なって影響することが多いため、高齢者では自覚がないまま欠乏が進行しないよう定期的に栄養状態を確認しましょう。 ビタミンB12欠乏症の治療法 治療法 詳細 ビタミンB12補充(内服・注射) 不足分を補うための内服薬または注射による補充。症状や原因に応じた投与方法の選択 原因に応じた治療(胃・腸疾患や薬剤の見直し) 胃や腸の病気の治療。変更による根本原因への対応 長期管理・再発予防(継続的な補充と経過観察) 定期的な血液検査と症状確認による経過観察。必要に応じた補充継続による再発予防 ビタミンB12欠乏症の治療はビタミンB12の補充を基本とし、内服または注射で対応します。胃や腸の疾患・薬剤の影響など原因に応じた治療を併せて行うことも大切です。 再発を防ぐためには定期的な血液検査による経過観察と必要に応じた補充の継続が必要であり、症状の改善だけでなく原因を踏まえた継続的な管理が求められます。 ビタミンB12補充(内服・注射) 治療法 詳細 内服治療 消化管からの吸収によるビタミンB12補充。軽症や吸収機能が保たれている場合に適応。高用量投与で補充可能 注射治療 血液中へ直接投与による確実な補充。吸収障害や重症例に適応、迅速な効果発現の期待 (文献9)(文献10) ビタミンB12欠乏症では、不足成分を補充することで症状の改善が期待できます。内服は吸収機能が保たれている場合に選択され、注射は消化管の影響を受けずに補充できる点が特徴です。 ビタミンB12を補充することで、貧血症状の軽減が期待されるほか、神経機能の改善にもつながります。治療方法は原因や重症度に応じて選択されるため、医師と相談しながら治療を進めましょう。 原因に応じた治療(胃・腸疾患や薬剤の見直し) ビタミンB12欠乏症では補充療法に加えて原因への対応が大切です。胃炎や消化管疾患がある場合は吸収障害が続いて再び不足することがあるため、基礎疾患の治療が再発予防に寄与します。 胃や腸の機能が改善すれば吸収も回復し、安定した状態を維持しやすくなります。胃酸を抑える薬剤の影響が関与している場合は、原因に応じて内服や注射を使い分けることが重要です。 長期管理・再発予防(継続的な補充と経過観察) 項目 内容 吸収障害の持続 胃や腸の機能低下による吸収不良の持続。補充中止による再欠乏リスク 体内貯蔵の減少 蓄積ビタミンの時間経過による消費。補充中断による再低下 定期検査の必要性 血液検査によるビタミン値・貧血状態の評価。再発兆候の早期把握 神経症状の予防 神経障害進行防止のための早期対応。再発時の重症化予防 (文献1) ビタミンB12欠乏症は吸収障害が続く場合があるため、治療後も継続的な管理が必要です。体内のビタミンは時間とともに減少するため補充を中断すると再び不足することがあります。 定期的な血液検査で状態を確認しながら必要に応じて補充を継続することが再発予防につながります。神経症状は進行すると回復に時間を要するため、違和感の段階での受診が重要です。 ビタミンB12欠乏症の予防法 予防法 詳細 動物性食品を適切に摂取しビタミンB12不足を防ぐ 肉・魚・卵・乳製品からの安定した摂取による不足予防、偏食回避による栄養バランス維持 高齢者や胃の手術後は医師と相談し欠乏を防ぐ 吸収機能低下に応じた補充方法の選択、内服や注射による計画的な補充 定期的な血液検査で早期に異常を発見し進行を防ぐ ビタミンB12値や貧血状態の定期評価、早期異常検出による重症化予防 ビタミンB12欠乏症の予防には、食事と体調管理が欠かせません。肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品を適切に摂取し、ビタミンB12不足を防ぐことが基本です。 高齢者や胃の手術後はビタミンB12の吸収機能が低下しやすくなります。食事から十分に摂取していても不足するケースがあるため、必要に応じて医師へ相談し補充を検討しましょう。 定期的な血液検査でビタミンB12の不足を早期に把握することが、欠乏症の進行防止につながります。 動物性食品を適切に摂取しビタミンB12不足を防ぐ ビタミンB12は肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品に多く含まれ、体内で合成できないため食事から継続的に補う必要があります。 ビタミンB12は体内に一定量が蓄えられるものの、摂取不足が続くと徐々に減少し欠乏状態に至ります。予防の基本は日々の食事の積み重ねであり、動物性食品を控えている場合や食事量が少ない場合は、栄養状態の確認と食事内容の見直しが必要です。 高齢者や胃の手術後は医師と相談し欠乏を防ぐ 項目 内容 加齢による吸収低下 胃酸・内因子分泌低下によるビタミンB12吸収力低下 手術後の影響 胃切除による吸収機能低下・体内への取り込み不足 早期発見の必要性 自覚症状乏しい状態で進行する欠乏リスク 医療管理の重要性 定期検査と内服・注射による計画的補充 (文献9) 高齢者や胃の手術後はビタミンB12の吸収機能が低下しやすく、食事だけでは十分に補えない場合があります。 自覚症状が乏しいまま進行するケースもあるため、定期的な血液検査で状態を確認しましょう。 必要に応じて内服や注射による補充を医師と相談しながら進めることが欠乏の予防と早期対応につながります。 定期的な血液検査で早期に異常を発見し進行を防ぐ 項目 内容 初期症状の乏しさ 体内貯蔵により症状が出にくい欠乏の進行 検査による早期発見 ビタミンB12値や赤血球状態の変化の早期把握 進行予防の重要性 神経障害や認知機能低下の進行抑制 リスク管理 高齢者・手術後・薬剤使用中における再発予防 (文献10) ビタミンB12欠乏症は初期に自覚症状が乏しく、気づかないまま進行するケースがあります。 血液検査でビタミンB12の低下や貧血を早期に把握すれば、症状が現れる前の段階での対応が可能です。 神経症状は進行すると回復に時間を要するため、早期対応が欠かせません。高齢者・胃の手術後・薬剤使用中の方は定期的な検査で状態を確認し、予防につなげてください。 ビタミンB12欠乏症を放置するリスク 放置するリスク 詳細 神経障害が進行し回復が難しくなることがある 神経ダメージの蓄積によるしびれ・歩行障害の悪化。回復困難リスク 認知症・認知機能低下が進行する 脳機能低下による記憶力・判断力低下の進行。日常生活への影響 貧血が進行し全身の機能低下につながる 酸素供給低下による倦怠感増強・活動量低下・全身機能低下 ビタミンB12欠乏症を放置すると、神経へのダメージが進行し、しびれや歩行障害が残る場合があります。 脳機能への影響により記憶力・判断力の低下が進み、日常生活に支障をきたすこともあります。 貧血が悪化すると全身への酸素供給が低下して倦怠感や活動量の低下につながり、進行すると回復に時間を要するため、早期の評価と治療が必要です。 神経障害が進行し回復が難しくなることがある ビタミンB12は神経を保護する役割を担っており、不足すると神経がダメージを受けやすくなります。 欠乏状態が続くと、しびれなどの軽度の症状から感覚低下・筋力低下・歩行障害へと進行し、長期化すると治療後も回復しにくくなる場合があります。 神経障害は進行すると回復に時間を要することもあるため、早期の評価とビタミンB12の補充が必要です。 認知症・認知機能低下が進行する ビタミンB12は脳や神経の働きを維持するために重要な栄養素です。不足すると神経細胞の機能や情報伝達が低下します。 その影響は脳にも及び、記憶力・判断力・集中力の低下として現れることがあり、認知症に似た症状を呈する場合もあります。 放置すると脳機能の低下が進行し回復に時間を要するため、物忘れや集中力の低下が続く場合は加齢によるものと決めつけず、早期にビタミンB12欠乏の可能性も含めて評価しましょう。 貧血が進行し全身の機能低下につながる 項目 内容 赤血球の形成低下 ビタミンB12不足による赤血球成熟不良・数と質の低下 酸素供給の低下 全身への酸素運搬能力低下による慢性的な酸素不足 エネルギー産生低下 酸素不足によるエネルギー産生低下・倦怠感や活動量低下 心肺負担の増加 酸素不足を補うための心拍数・呼吸数増加による息切れ・動悸 (文献1) ビタミンB12が不足すると赤血球の働きが低下し、全身への酸素供給が不十分な状態となります。 その結果、疲れやすさや活動量の低下がみられ、心臓や呼吸への負担が増すことで日常生活にも影響が及びます。 単なる数値異常にとどまらず全身機能の低下を示す状態であるため、早期の評価と対応が必要です。 ビタミンB12欠乏症は放置せず当院へご相談ください 手足のしびれ・倦怠感・貧血を指摘された場合、ビタミンB12欠乏症の可能性があります。気になる症状がある場合は、早めの受診を検討しましょう。 ビタミンB12欠乏症は、後遺症への対応も視野に入れる必要があります。神経や組織の働きに関わる領域では、再生医療という治療の選択肢があります。 改善しないビタミンB12欠乏症の症状にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。 幹細胞はさまざまな細胞に変化する「分化能」を持ち、体内環境の維持に関わる働きから、神経や組織に関連する分野での活用が検討されています。 ビタミンB12欠乏症そのものを直接対象とした治療ではありませんが、しびれや筋力低下などの症状が続く場合の選択肢のひとつとして、ご検討ください。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ビタミンB12欠乏症についてよくある質問 ビタミンB12欠乏症は何科を受診すれば良いですか? ビタミンB12欠乏症が疑われる場合は、まず内科を受診し、血液検査で確認するのが一般的です。 しびれや歩行障害などの神経症状がある場合は神経内科、胃炎や手術歴など消化器の関与が考えられる場合は消化器内科での評価が行われます。 症状に応じて適切な専門科へ紹介されることが多いため、気になる症状がある場合は早めに受診しましょう。 ビタミンB12欠乏症はサプリメントで改善しますか? ビタミンB12欠乏症に対するサプリメントの有効性は原因により異なります。 摂取不足が原因であれば補助として役立ちますが、吸収障害がある場合や症状が進行している場合は十分な補充が難しく、内服薬や注射による治療が必要となることがあります。 ビタミンB12欠乏症は難病に指定されていますか? ビタミンB12欠乏症そのものは指定難病には含まれていませんが、原因となる自己免疫疾患や消化管疾患が難病に該当する場合があります。 適切な補充療法により改善が見込まれることが多く、難治性疾患とは位置づけが異なります。ただし原因が複雑な場合もあるため、気になる点があれば医師へ相談してください。 参考文献 (文献1) ビタミンB12欠乏症|MSDマニュアル家庭版 (文献2) ビタミンB研究委員会 (文献3) 臨床神経生理学|J-STAGE (文献4) Neuropsychiatric manifestations in vitamin B12 deficiency|National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献5) 認知症|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献6) Vitamin B12 Deficiency|Cleveland Clinic (文献7) Vitamin B12|The Nutrition Source (文献8) Vitamin B12 Deficiency Anemia|JOHNS HOPKINS MEDICINE (文献9) 胃がん患者における胃切除の術前および術後早期からのビタミンB12欠乏|公益社団法人日本ビタミン学会 (文献10) ビタミンB12欠乏症を早期に鑑別するには?|日本医事新報社
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「お腹を触ると張っている、硬い感覚がある」 「お腹に違和感があり、病院に行こうか迷っている」 腹部の硬さは便秘やガス溜まりが原因のことが多いですが「もしかして病気では?」と不安になる方もいることでしょう。 実際、便秘・腸内ガス・筋肉の緊張といった日常的な原因から、内臓の炎症など医療機関への受診が必要なケースまで、幅広い原因が考えられます。 本記事では、現役医師がお腹が硬い原因や改善方法について詳しく解説していきます。記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 お腹が硬い症状について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 お腹が硬い原因 原因 詳細 便秘やガスの蓄積 腸内に便やガスが滞留し腹部が張って硬く感じる状態 食べ過ぎや消化機能の低下 消化に時間がかかり、胃腸内に内容物が停滞して膨満感が生じる状態 筋肉の緊張やストレスの影響 自律神経の乱れにより腹部の筋肉が緊張し、硬さとして感じる状態 疾患が関係している可能性 腸の通過障害や炎症・腫瘍などにより腹部の張りや硬さが生じる状態 お腹の硬さは便秘や食生活の影響で生じるケースが多い一方、ストレスによる筋肉の緊張や腸の機能低下が関与することもあります。 まれに腸の通過障害・炎症・腫瘍などが原因となる場合もあるため「症状が一時的か持続的か」「ほかの体調変化を伴うか」が重要な判断材料です。そのため、違和感が続く場合や急に悪化する場合は早めに医療機関を受診してください。 便秘やガスの蓄積 便秘やガスの蓄積はお腹が硬く感じる主な原因です。便が腸内に長くとどまると水分が吸収されて硬くなり、腸が押し広げられることで腹部の張りが生じます。 腸内で発生したガスが排出されずにたまると腸管が膨張し、膨満感が強くなります。便秘の状態ではガスがさらに増えやすくなるため注意が必要です。 運動不足・水分不足・ストレスなどにより腸の動きが低下すると便やガスが排出されにくくなり、腹部の硬さとして自覚されます。 食べ過ぎや消化機能の低下 食べ過ぎや消化機能の低下はお腹が硬く感じる原因のひとつです。一度に多くの食事を摂ると胃腸に負担がかかり、消化が追いつかず内容物が長くとどまります。 消化機能が低下すると胃や腸の動きが鈍くなり、腸内で発酵が進んでガスが増えることで腹部の張りが強くなります。 胃の運動機能が低下すると少量の食事でも膨満感が生じやすく、食べ過ぎはこうした症状を助長する点に注意が必要です。 筋肉の緊張やストレスの影響 筋肉の緊張やストレスはお腹が硬く感じる要因です。自律神経の乱れにより腸の動きが低下すると便やガスがたまって腹部膨満が生じます。 腸脳相関により精神的ストレスは消化機能にも影響し、腸内環境の乱れによるガスの発生とともに腹部の違和感や硬さを助長します。 疾患が関係している可能性 原因 詳細 腸や胃の通過障害 腸閉塞や腫瘍により内容物が滞留し腸が拡張する状態 腹水の貯留 肝疾患やがんなどによる腹腔内への液体貯留による腹部膨満 炎症性疾患 腸の炎症に伴う運動機能低下によるガスや内容物の停滞 機能性疾患 過敏性腸症候群などによる消化管機能の乱れによる膨満感 (文献1) お腹の硬さには消化管の通過障害・炎症・腹水の貯留などが一因となることがあります。検査で明らかな異常がなくても消化管の機能低下により膨満感が生じることもあります。 症状が長く続く場合や急な変化・全身状態の異常を伴う場合は自己判断せず医療機関を受診しましょう。 お腹が硬い場合に考えられる疾患 考えられる疾患 詳細 腸閉塞などの緊急性が高い疾患 腸の通過障害により便やガスが滞留し急激な腹部膨満や硬さが生じる状態 腹水や腫瘍などの器質的疾患 腹腔内の液体貯留や腫瘍による圧迫により腹部が張り硬くなる状態 炎症性腸疾患(IBD) 腸の慢性炎症による運動機能低下や膨満感に伴う腹部の硬さ 機能性・婦人科系の疾患 消化管機能の乱れや子宮・卵巣の影響による腹部膨満や違和感の出現 お腹の硬さは腸閉塞のような緊急性の高い状態から、腹水・腫瘍などの器質的疾患・炎症性腸疾患まで幅広い原因で生じます。 明らかな異常がない場合でも消化管の機能低下や婦人科系の影響により膨満感や腹部の違和感として現れることがあります。 症状の出方・持続期間・ほかの体調変化を踏まえ、自己判断せず気になる場合は早めに医療機関を受診してください。 腸閉塞などの緊急性が高い疾患 腸閉塞では腸管が閉塞することで食べ物・消化液・ガスが通過できなくなり、腸管が拡張して腹部全体が張り硬く感じられます。 ガスや液体の蓄積により膨満が進行し、便やガスの排出も止まって短時間で症状が悪化する点が特徴です。 進行すると腸の血流障害や腹膜炎など重篤な状態に至ることがあるため、急激な腹部の張りや硬さがみられる場合は早急に医療機関を受診しましょう。 腹水や腫瘍などの器質的疾患 腹水や腫瘍などの器質的疾患では腹腔内の構造変化によりお腹の硬さが生じます。 腹水がたまると膨満感や硬さとして自覚され、腫瘍が増大すると臓器を圧迫して消化管の通過障害や腹部の張りにつながります。 腫瘍が腸の動きを妨げることでガスや内容物が滞留して膨満が強まり、進行したがんでは腹水が増加して慢性的な腹部の張りや硬さが持続することがあるため、早期の診断と適切な治療が欠かせません。 以下の記事では、腹水について詳しく解説しています。 炎症性腸疾患(IBD) 考えられる状態 詳細 腸の慢性的な炎症 腸粘膜の炎症による腫脹や肥厚に伴う腹部の張りや違和感 腸の動きの低下 蠕動運動低下による便やガスの停滞に伴う腹部膨満 腸の狭窄 炎症の繰り返しによる腸管狭小化に伴う通過障害 全身症状の合併 下痢・血便・発熱・体重減少を伴う慢性的な消化管症状 (文献2)(文献3) 炎症性腸疾患は腸に慢性的な炎症が起こることで腹部の張りや違和感が持続する疾患です。腸の動きが低下して便やガスがたまりやすくなるほか、炎症の進行により腸が狭くなり通過障害が生じることもあります。 下痢・血便・体重減少などを伴う点が特徴で、単なる消化不良と区別する必要があります。症状が長く続く場合は早急に医療機関を受診してください。 以下の記事では、炎症性腸疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 機能性・婦人科系の疾患 機能性・婦人科系の疾患でもお腹の硬さが生じることがあります。過敏性腸症候群では腸に明らかな異常がなくても機能が乱れ、便秘・下痢・ガスの蓄積により腹部膨満が起こります。 ストレスや自律神経の乱れにより腸の感受性が高まり、わずかな変化でも張りや硬さとして自覚されやすい点が特徴です。 卵巣嚢腫や子宮筋腫などの婦人科疾患では骨盤内の臓器が腫大して周囲を圧迫することで膨満感が生じ、腹水を伴う場合は腹部の張りや硬さが持続することがあります。 以下の記事では、腹痛とストレスや自律神経の乱れなどについて詳しく解説しています。 【関連記事】 腹痛が朝だけ起こるのはなぜ?考えられる原因や対処法を現役医師が解説 【医師監修】腹痛を伴う下痢が続く原因・対処法を詳しく解説 お腹が硬いときに医療機関への受診が必要なサイン 受診が必要なサイン 詳細 急激な腹部の張りや硬さ 短時間で進行する腹部膨満や強い硬さの出現 吐き気・嘔吐や発熱を伴う 消化管異常や炎症に伴う全身症状の出現 便やガスが出ない状態が続く 腸の通過障害による排出停止と腹部膨満の持続 血便・黒色便や体重減少がある 消化管出血や慢性疾患に伴う全身状態の変化 お腹の硬さに加え、急激な張りの進行・吐き気・嘔吐・発熱を伴う場合は、感染や炎症など消化器の異常が関与している可能性があります。 腸炎や腹膜炎では炎症により腸の動きが低下して、内容物やガスが滞留することで腹部の張りや硬さが生じます。 腸閉塞では通過障害により吐き気・嘔吐とともに膨満が進行するため、これらの症状がある場合は早めの受診が必要です。 急激な腹部の張りや硬さ 急激な腹部の張りや硬さには緊急性の高い疾患が関与していることがあります。 腸閉塞ではガスや消化物が短時間で腸内に滞留して腹部が急速に張り、腹膜炎では腹部の筋肉が防御反応で緊張し、触れると板のように硬く感じられます。 消化管穿孔や内出血では腹腔内の状態が急変し強い張りとして現れ、短時間で悪化するため速やかな医療機関での評価が必要です。 吐き気・嘔吐や発熱を伴う 吐き気・嘔吐・発熱を伴う場合は感染や炎症など消化器の異常が関与していることがあります。 発熱を伴う場合は腸炎・虫垂炎・腹膜炎などの感染性・炎症性疾患が関与している可能性があります。 また、腸閉塞では通過障害により吐き気・嘔吐を伴いながら膨満が強くなるため、こうした症状がみられる場合は医療機関への受診が必要です。 便やガスが出ない状態が続く 便やガスが出ない状態が続く場合、腸の通過や機能に異常が生じている可能性があります。腸閉塞では内容物の流れが止まり、ガスや消化液が腸内に蓄積することで腹部の張りや硬さが進行します。 蠕動運動(腸が内容物を押し出すための波状の動き)の低下により排出機能が働かなくなるケースもあり、単なる便秘とは区別が必要です。 血便・黒色便や体重減少がある 血便・黒色便・体重減少がみられる場合は消化管からの出血や慢性的な異常が進行していることがあります。 黒色便は上部消化管からの出血を示唆し潰瘍や腫瘍が原因となることがあり、血便が繰り返される場合は大腸ポリープや大腸がんも考慮が必要です。また、意図しない体重減少は栄養吸収の低下や疾患の進行を示すサインです。 これらが腹部の張りや硬さと同時にみられる場合は、単なる不調ではなく重要な異常の可能性があるため、早期の医療機関での評価が求められます。 以下の記事では、腹痛を伴う下痢の症状について詳しく解説しています。 お腹が硬いときの改善方法 改善方法 詳細 食事内容の見直し(食物繊維・水分摂取) 食物繊維と水分の十分な摂取による便通改善と腸内環境の調整 運動と生活習慣を整える 適度な運動や規則正しい生活による腸の動きの促進 市販薬を適切に活用する 便秘薬や整腸薬の適切な使用による排便促進と膨満感の軽減 お腹の硬さの改善には日常生活の見直しが大切です。食物繊維や水分を十分に摂取することで便通や腸内環境が整いやすくなり、適度な運動や規則正しい生活は腸の動きを整えてガスや便の滞留を防ぎます。 症状に応じて市販薬を活用することで排便を促し膨満感の軽減につながるため、これらを組み合わせて継続的に取り組むことが重要です。 食事内容の見直し(食物繊維・水分摂取) 食物繊維は便のかさを増やして蠕動運動を促し、排便をスムーズにすることでお腹の張りや硬さの改善に役立ちます。 とくに水溶性食物繊維は便を柔らかく保って通過を助け、腸内細菌のバランスを整えることでガスの過剰な発生も抑えられます。 また、水分摂取は便の性状を保ち排出を円滑にします。食物繊維と水分を継続的に取り入れることが、腸内環境の改善と腹部膨満の軽減につながります。 運動と生活習慣を整える 適度な運動と生活習慣の見直しはお腹の張りや硬さの改善に役立ちます。ウォーキングやストレッチは腸の蠕動運動を促して内容物の停滞を防ぎ、腹筋や体幹の働きが高まることで便やガスの排出が円滑になります。 規則正しい生活とストレスの軽減は自律神経のバランスを整えて腸のリズムを安定させるため、腸の働きと排出機能を維持する上で大切です。 市販薬を適切に活用する 市販薬の適切な活用は、お腹の張りや硬さの改善に有効です。酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤は腸内に水分を引き込み、便を柔らかくして排出を促します。 一方、刺激性下剤は腸の動きを補助し排便を促しますが、使用方法には注意が必要です。また、整腸剤などを含め症状に応じて薬剤を使い分けることで、効率的な改善が期待されます。 ガイドラインでも浸透圧性下剤を基本とし、刺激性下剤は必要時の使用が推奨されています。なお、長期使用や効果が乏しい場合は早めに医師へ相談しましょう。 お腹が硬い違和感は放置せず当院へご相談ください お腹の硬さは、便秘や生活習慣が原因であることが多い一方で、消化管の異常や全身疾患が関与するケースもあります。 症状が長引く・急に強くなる・吐き気や発熱・体重減少を伴う場合は、一時的な不調ではなく医療的な評価が必要なサインです。また、自己判断で様子を見ることで対応が遅れるおそれがあります。 お腹が硬い症状についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、お腹が硬い原因を特定し、症状に応じて再生医療が選択肢となる場合もあります。 お腹の硬さの背景には、炎症性腸疾患、機能性疾患など幅広い要因が考えられます。これら炎症が背景にある場合には、手術を伴わない選択肢として再生医療が検討されるケースもあります。 脂肪由来の幹細胞が持つ分化能などの特性を活用した治療で、身体への負担を抑えた形で受けられます。手術後の影響が気になる方や、薬物療法による負担をできるだけ少なくしたい方は、選択肢のひとつとして検討してみてください。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 硬いお腹に関するよくある質問 お腹を押すと痛いのですが重大な疾患のサインでしょうか? お腹を押したときの違和感は、便秘やガスなどによる一時的な不調でもみられます。 ただし、強い圧迫感や手を離したときに違和感が強まる反跳痛・発熱・嘔吐・血便を伴う場合は注意しましょう。 症状の強さや持続期間、他の症状の有無を踏まえ、気になる場合は早めの受診が重要です。 硬いお腹と柔らかいお腹どっちが痩せやすいですか? 一般に硬いお腹は内臓脂肪、柔らかいお腹は皮下脂肪の影響が考えられ、内臓脂肪は比較的減りやすいとされています。 ただし、お腹の硬さは筋肉の緊張やガスでも変化するため、触感だけで判断することはできません。体重管理には食事・運動など生活習慣の継続的な見直しが必要です。 参考文献 (文献1) 7.悪性腹水・腹部膨満感|公益社団法人日本産婦人科医会 (文献2) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献3) クローン病(指定難病96)|難病情報センター
2026.04.30 -
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コロナにかかったあと、熱や喉の痛みは落ち着いたのに、咳だけがなかなか止まらず不安を感じることがあります。 長引く咳はコロナ後遺症の一つとしてみられる一方で、咳喘息や逆流性食道炎、副鼻腔炎、感染症、肺炎など別の原因が隠れているケースもあります。 原因によって必要な対処は変わるため、咳が続く理由を整理しておくことが大切です。 本記事では、コロナで咳が止まらない主な原因や対処法、日常でできるセルフケアをわかりやすく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、コロナ後遺症に用いられている再生医療に関する情報を提供しています。咳が止まらない症状が続く方はもちろん、気になる症状がある方はぜひご登録ください。 コロナで咳が止まらない主な原因 コロナ後に咳が止まらない状態が続くと、後遺症ではないかと不安を感じることがあります。ただし、長引く咳の原因は一つではありません。 ここでは、コロナ後に咳が止まらないときに考えられる主な原因を解説します。 後遺症で咳が続いている 「新型コロナウイルス感染症(以後コロナ)」の後に咳だけが止まらない場合は、いわゆる後遺症の可能性があります。 ただし、コロナ後に咳が続くからといって、すべて後遺症とは限りません。 気道の炎症が残っていたり、別の病気が隠れていたりするケースもあります。 咳が数週間続く場合や、息苦しさ・痰・胸の痛みを伴う場合は、自己判断せず呼吸器内科で原因を確認することが大切です。 コロナの後遺症がいつまで続くかについては、以下の記事でも現役医師が詳しく解説しています。 咳喘息を発症している コロナ後に乾いた咳が何週間も続く場合は、咳喘息を発症している可能性があります。 咳喘息は、ゼーゼー、ヒューヒューという強い喘鳴が目立たず、咳だけが長引きやすいのが特徴です。 とくに夜間から早朝にかけてや、会話・運動・寒暖差などで悪化しやすく、風邪が治ったあとも空咳だけが残るケースが見られます。 後遺症と思っていた咳の背景には、咳喘息が隠れている場合もあるため注意しましょう。 逆流性食道炎が関係している コロナ後に咳が長引く場合は、逆流性食道炎(胃食道逆流症)が関係している場合もあります。 胃酸などが食道や喉を刺激すると、風邪が治ったあとでも咳だけが残るケースがあるのです。 胸やけが目立たなくても、喉の違和感、就寝中や食後の咳、横になると悪化する咳が続く場合は注意してください。 後遺症と判断して咳止めだけで様子を見るのではなく、医療機関を受診して、咳の出やすい時間帯や食後との関係も含めて正確に伝えましょう。 副鼻腔炎が喉を刺激して咳が出る 副鼻腔炎にかかっていると、鼻水が喉の奥に流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」によって咳が止まらない場合があります。 とくに、以下のような咳には注意しましょう。 痰がからむような咳 横になると出やすい咳 鼻づまりや黄色っぽい鼻水を伴う咳 コロナ後は気道や鼻の粘膜が敏感になり、鼻の炎症が長引いて咳につながるケースもあります。 10日以上続く鼻汁や後鼻漏、日中の咳は鼻副鼻腔炎を疑う目安なので、鼻の症状もある場合は咳だけで判断しないことが大切です。(文献1) 感染症によって咳が出る コロナ後に咳が止まらない場合、別の感染症にかかっている可能性があります。 たとえば、気管支炎や肺炎、マイコプラズマ感染症などでは咳や痰、発熱、だるさが続く場合があるのです。 いったんコロナが落ち着いたあとでも、気道が弱った状態では別の病原体に感染しやすくなります。 発熱がぶり返した、痰の色が濃い、胸の痛みや息苦しさがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがある 長引く咳の背景には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が隠れていることもあります。 COPDは主に喫煙との関係が深く、長引く咳や痰、動くと息切れしやすいといった症状が出る病気です。 加齢や風邪が長引いているだけと思われやすく、受診が遅れることも少なくありません。 コロナ後の咳をきっかけに症状が目立つこともあるため、喫煙歴がある方や以前から咳や痰が続いていた方は要注意です。 コロナ肺炎で咳が止まらない コロナによって肺炎を起こしていると咳が止まらないだけでなく、息苦しさや発熱、だるさ、動いたときの呼吸のしづらさを伴うことがあります。 新型コロナは風邪のような軽い症状で済むこともありますが、肺に炎症が及ぶと肺炎として悪化するケースがあるため注意しなければなりません。 とくに、咳に加えて息切れがある、胸が苦しい、高熱が続く場合は後遺症や軽い咳と決めつけないことが大切です。 呼吸の状態確認や画像検査が必要になる可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。 コロナで咳が止まらないときの対処法 コロナ後に咳が止まらないときは、気道の炎症が残っていたり、別の病気が関係していたりなどによって、対応が変わる場合があります。 ここでは、コロナで咳が止まらないときの対処法を見ていきましょう。 気道炎症を抑える コロナ後の咳が続くときは、気道が敏感な状態になって少しの刺激でも出やすくなっているおそれがあるため、気道に残った炎症を抑える治療が行われる場合があります。 吸入ステロイド薬などで気道の炎症を和らげる方法が検討されますが、どの治療が合うかは原因によって異なります。 コロナの後遺症と思っていても、咳喘息や喘息が関わっている場合には治療方針が変わる点に留意しておきましょう。 咳止め薬や痰切り薬を使う コロナ後の止まらない咳に対しては、咳止め薬や痰切り薬を使って症状を和らげる方法もあります。 乾いた咳が続くときは咳を鎮める薬、痰がからむ咳には痰を出しやすくする薬が一般的です。 ただし、咳の原因そのものを治す薬ではないため、効き方には差があります。 たとえば、咳喘息や逆流性食道炎、鼻水が喉に流れる後鼻漏などが原因の場合、咳止めだけでは不十分です。 症状が長引くときは、医療機関で原因に合った治療を受けましょう。 原因疾患を治療する コロナ後の咳を改善するには症状を抑えるだけでなく、原因になっている疾患に応じた治療を行うことが大切です。 長引く咳の背景には咳喘息や逆流性食道炎、副鼻腔炎などが隠れているおそれがあります。 たとえば、咳喘息なら吸入薬、逆流が関係するなら胃酸を抑える治療、副鼻腔炎なら鼻の炎症への対応が必要です。 代替医療を試す コロナ後の咳が止まらない状態に対しては、漢方薬などの補完療法が用いられる場合もあります。 ただし、補完療法は標準的な治療の代わりではありません。 あくまで補助的なものとして捉えましょう。 咳が止まらないときは自己判断で代替医療だけに頼るのではなく、まずは内科を受診するのが基本です。 コロナ後遺症にお悩みなら再生医療も選択肢 咳や息苦しさなどの症状が長引き、一般的な治療や経過観察だけでは不安が残る場合は、再生医療が選択肢の一つになります。 再生医療とは、自分自身の細胞や血液を用いる治療法です。 代表的な方法には、脂肪由来の幹細胞を用いる治療や、血液中の血小板の働きを活かすPRP療法があります。 いずれも注射や点滴で体にアプローチする方法で、入院や手術を必要とせず、日帰りで受けられるのが特徴です。 以下の記事では、コロナ後遺症に幹細胞治療を行った当院の症例を紹介しているので、ぜひご覧ください。 コロナで咳が止まらない場合のセルフケア コロナ後に止まらない咳は、自宅での過ごし方でも辛さが変わる場合があります。 症状を悪化させないために、コロナで咳が止まらない場合のセルフケア方法を確認しておきましょう。 しっかり休む コロナ後に咳が止まらないときは、まず無理をせず体を休めることが大切です。 睡眠不足や疲労が重なると気道の回復が遅れ、咳が長引きやすくなります。 また、仕事や家事を無理に続けると症状がぶり返すこともあるため、体力が落ちている時期は活動量を少し抑える意識が必要です。 休んでも改善しない場合は、後遺症以外の原因も含めて受診を検討しましょう。 加湿・水分補給をする 咳が止まらないときは、喉や気道の乾燥を防ぐことも重要です。 空気が乾くと気道が刺激されやすくなり、咳が出やすくなります。室内では加湿器を使ったり、ぬれタオルを干したりして、乾燥しすぎない環境を意識しましょう。 こまめな水分補給も、喉のうるおいを保ち、痰を出しやすくする助けになります。とくに、起床後や入浴後、咳き込みやすい時間帯は少しずつ飲むのがおすすめです。 飲み物は冷たいものより常温や温かいものを選ぶと、喉への刺激を抑えながらうるおいを保てます。 ハチミツは喉の粘膜を保護する効果があり、咳が辛いときに温かい飲み物に加えるのもおすすめです。 食生活を見直す 咳が夜や食後に悪化する場合は、胃酸の逆流が影響していることがあります。 香辛料や脂っこい食事、アルコール、炭酸、甘いものは咳を誘発しやすい人もいるため、気になる場合は控えてください。 また、咳や息苦しさがある場合は、腹式呼吸で呼吸を整えると楽になることがあります。 まとめ|コロナで咳が止まらない原因はさまざま コロナ後に咳が止まらない場合は後遺症だけでなく、咳喘息や逆流性食道炎、副鼻腔炎、肺炎などが関係しているケースがあります。 長引くときは、咳止め薬に頼るだけでなく原因を確かめることが大切です。 とくに息苦しさや発熱、胸の痛みがある場合は早めに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、コロナ後遺症に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。 咳が止まらない症状が続く方は、ぜひご利用ください。 コロナで咳が止まらないときのよくある質問 コロナで咳が止まらないときに出勤・仕事はできる? 出勤や仕事は可能な場合もありますが、無理は禁物です。 コロナからの回復経過や心身の負担には個人差があります。 厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」においても、療養終了後の職場復帰では、症状を悪化させないよう勤務時間の短縮やテレワークの活用など、負担を減らした働き方が望ましいと案内しています。(文献2) 咳が続く場合は体調に合わせて働き方を調整し、無理に通常勤務へ戻さないことが大切です。 コロナで咳が止まらず寝られないときはどうしたらいい? 咳が止まらず寝られないときは、水分補給や保湿、寝る姿勢の工夫を試してみましょう。 喉の乾燥は咳を誘いやすいため、水分を十分に取り、喉を冷やさないことが大切です。 また、横向きに寝たり、枕やクッションで上半身を少し高くしたりすると、呼吸がしやすくなって辛さが和らぐ場合があります。 咳が止まらないときに有効な市販薬は? 咳が止まらないときは、一般用医薬品(市販薬)としても広く使われている咳止め薬「メジコン」が選択肢の一つです。 多くの咳に対して有効性が認められており、風邪や気管支炎などに伴うコンコンという乾いた咳に対して効果が期待できます。 ただし、痰が多く絡む咳や咳喘息、胃食道逆流症などが原因の場合、効果が限定的になる可能性があります。 また、あくまで咳症状を和らげる薬であり、咳の原因そのものを治療するわけではない点にも注意しましょう。 コロナの咳が止まらない場合に他人へうつりますか? コロナ発症から時間が経過して咳だけが残っている場合、感染リスクがゼロとは言い切れません。 咳や痰だけが長引いている時期でも周囲への配慮は必要です。 とくに、発症から間もない時期や人と近い距離で接する場面では、念のためマスクを着用しましょう。 参考文献 (文献1) 抗微生物薬適正使用の手引き 第三版|厚生労働省 (文献2) 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省
2026.03.31 -
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「多発性硬化症と診断され、将来が不安になった」 「多発性硬化症は寿命が短くなる病気なのだろうか」 このような不安を抱える方は少なくありません。多発性硬化症と診断されると、インターネットで「寿命」や「余命」といった言葉を目にし、不安を感じる方もいます。しかし、多発性硬化症の寿命は一律に決まるものではありません。 平均寿命に一定の差がみられることが報告されている一方で、発症した年代や病型、症状の重さ、治療や生活管理の状況によって、経過や将来の見通しには大きな個人差があることがわかっています。 また、近年は治療の進歩により、以前と比べて死亡リスクが改善しているという報告もあり「多発性硬化症=短命」と単純に結びつけることはできません。 本記事では、多発性硬化症の平均寿命や経過に影響する要因を、研究データをもとに解説します。病気とどう向き合えば良いのかを考えるための参考としてご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状がある方は、ぜひご活用ください。 多発性硬化症の平均寿命 多発性硬化症の平均寿命は、多発性硬化症ではない人より短いとされてきました。しかし、時代とともに死亡リスクは改善しています。 多発性硬化症の方とそうでない方の寿命については、以下のデータが報告されています。(文献1) 多発性硬化症:74.7歳 一般人口(同じ年齢・性別の多発性硬化症ではない人):81.8歳 過去の集団データでは、多発性硬化症の平均寿命は一般人口より約7年短いことが示されています。 一方で、発症した年代ごとに「同じ年齢・性別の一般人口と比べた死亡リスク」を比較すると、近年になるほど一般人口と同等、あるいはそれ以下の死亡リスクまで改善しています。(文献1) 発症した年代 同じ年齢・性別の一般人口と比べた死亡リスク 1953~1974年 3.1倍 1975~1996年 2.6倍 1997~2012年 0.7倍(一般人口より低い) 診断技術の向上や薬の普及、再発予防や合併症管理の進歩といった医療の発展が大きく影響していると考えられます。そのため、現在多発性硬化症と診断された方が同じ経過や寿命をたどるとは限りません。 多発性硬化症の寿命は個人差が大きい 多発性硬化症の経過や将来の見通しは人によって大きく異なります。診断時の年齢、障害の程度、再発の頻度など、予後に影響する要因は30種類にのぼることが報告されています。(文献2) また、これらの要因は単独で作用するのではなく、複数が組み合わさって経過を左右すると考えられています。そのため、同じ多発性硬化症と診断されても、症状の進行速度や日常生活への影響、長期的な予後には大きな個人差が生じます。 多発性硬化症の寿命に個人差が出る要因 多発性硬化症の寿命に個人差が出る主な要因は、以下のとおりです。 病型の種類 性別の傾向 喫煙の有無 初発時の症状 治療の開始時期 多発性硬化症の寿命や経過は、治療内容や生活習慣などに左右されますが、同じ要因があっても状況は人によって大きく異なります。「当てはまる=必ず悪い結果になる」のではなく、治療や生活管理によって影響を小さくできる可能性もあります。 それぞれのポイントについて研究結果をもとに見ていきましょう。 病型の種類 多発性硬化症にはいくつかの病型があります。ノルウェーで行われた60年間の追跡研究では、病型によって平均寿命に以下のような差がみられました。(文献1) タイプ 平均寿命 多発性硬化症ではない人 81.8歳 再発寛解型(症状が急に悪化する「再発」と、症状が落ち着く「寛解」を繰り返す人) 77.8歳 原発性進行型(発症初期から症状がゆっくり進行する人) 71.4歳 症状が急に悪化する「再発」と、その後に症状が落ち着く「寛解」を繰り返す再発寛解型の平均寿命は77.8歳とされ、病気のない人の平均寿命(81.8歳)に比較的近い水準です。 一方、発症初期から症状がゆっくり進行していく原発性進行型では、平均寿命は71.4歳と報告されていて、統計上は寿命が短くなりやすい傾向がみられます。 あくまで集団全体の傾向であり、同じ病型であっても治療の内容や開始時期、症状の現れ方によって経過は大きく異なります。病型は影響する要素の一つと捉えましょう。 性別の傾向 多発性硬化症では、性別によって寿命に一定の傾向がみられることが報告されています。(文献1) 女性:77.2歳 男性:72.2歳 上記の傾向は、多発性硬化症ではない人と同様に、女性のほうが平均寿命が長いという結果と一致しています。(文献3) ただし、あくまで集団データからみた平均的な傾向であり、性別だけで症状の進行や将来の経過、寿命を正確に予測できません。 喫煙の有無 喫煙や受動喫煙は病気の経過に悪影響を及ぼす可能性があり、以下の点が報告されています。(文献2)(文献4) 喫煙している人は、吸わない人に比べて病気の進行が早くなるリスクが約1.6〜2.1倍高い 本人の喫煙だけでなく、周囲のたばこの煙にさらされることも経過に影響する可能性がある 一方で、診断後に禁煙した人は、喫煙を続けた人より経過が良好だったことも報告されています。禁煙に取り組むことや、家族の理解を得てたばこの煙を避けることは、今後の見通しを左右する重要な行動の一つと考えられます。 予後に影響する症状や所見 多発性硬化症では、診断時や経過中に現れる症状・検査所見によって、将来の見通しが左右されることがあります。 研究では、以下のような症状がみられる場合、多発性硬化症の方の中で不利な経過をたどりやすいことが報告されています。(文献2) 症状 具体例 不利な経過をたどりやすいリスク 発症早期から身体の障害が強い 歩きにくさや手先の使いづらさなど 約1.2〜1.7倍高い 認知機能の低下 記憶力や判断力の低下など 約3倍以上高い 脊髄に病変が確認されている MRIで脊髄に病変が確認されている 約2〜4倍高い 小脳に症状が現れる ふらつきや手足の動きのぎこちなさなど 約1.7~3倍高い 括約筋症状 尿の出にくさや便秘など 約1.3〜3.3倍高い 症状や所見は将来の経過を考える際に参考になるポイントで、治療の工夫や生活管理によって影響を小さくできる可能性もあります。症状の有無だけで将来を決めず、現在の状態に合わせた対応が重要です。 治療の開始時期 多発性硬化症では、治療をいつ始めるかによって症状の経過や身体機能に違いがみられることがあり、寿命や経過に個人差が生じる背景のひとつです。 治療の開始が1年遅れるごとに、歩行のしづらさや疲労感などの身体症状が悪化しやすくなると報告されています。(文献5)早く治療を始めた人ほど、身体症状は比較的軽く保たれやすい傾向にあります。 一方で、日常生活の満足度や快適さは、治療の開始時期だけで決まるものではありません。家庭環境や心理的な状態、社会的な支援、仕事や趣味との両立などさまざまな要素が影響します。 そのため、多発性硬化症と向き合うときは寿命だけに注目するのではなく、治療とあわせて日々の生活の充実や周囲の支えも含めて、総合的に考えましょう。 多発性硬化症が進行した場合にみられる症状 病気が進行した場合、神経の障害が徐々に広がり、一部の患者様では以下のような症状が現れることがあります。(文献6) みられる症状 具体的な例 下肢のこわばりや動かしにくさ 脚が突っ張る、歩行が不安定になるなど 排尿・排便のコントロール障害 尿が出にくい、頻尿、失禁、便秘など 認知機能への影響 判断力や情報処理の速度、記憶力などの低下 片側に出る麻痺 症状が体の片側の手足が動かしにくくなる 脳幹に関連する症状 飲み込みにくさ、眼球の動きの異常など 病型の違いや治療の内容、症状が出現した時期、日常生活の管理状況などによって、経過や重症度には大きな個人差があります。そのため、「多発性硬化症=必ず上記のように進行する」と考える必要はありません。 多発性硬化症の治療 多発性硬化症の主な治療は以下のとおりです。 治療 内容 症状が急に現れている場合 ステロイドパルス療法:ステロイドを点滴で投与し、神経の炎症を抑える 血漿浄化療法(血漿交換療法):ステロイド治療の効果が不十分な場合に、炎症に関与する物質を血液中から除去する 症状を和らげる リハビリテーション:筋力や動作能力の維持、転倒予防などを目的にトレーニングやストレッチを行う 薬物の使用:手足の突っ張りには抗痙縮薬、排尿障害には抗コリン薬など 病気の進行を抑える 疾患修飾薬と呼ばれる薬は、再発の頻度を減らしたり障害の進行を抑えたりする効果が期待できる 近年の多発性硬化症に対する治療では、再発がなく、障害の進行やMRI上の新たな病変も認めない状態を目標に治療内容を調整する考え方が広がっています。(文献7) 再発の状況や病変の特徴、患者様自身の希望などを踏まえ、必要に応じて複数の治療を組み合わせて選択します。 まとめ|多発性硬化症は寿命だけで判断しないことが大切 多発性硬化症の寿命は一律に決まるものではなく、経過によって将来の見通しは大きく異なります。研究データで示される平均寿命や死亡リスクは集団全体の傾向であり、診断された方が同じ経過をたどるとは限りません。 治療によって病気の進行を抑えることは重要ですが、将来は治療だけで決まるものではなく、生活環境や心の状態など、さまざまな要素が重なって形づくられます。 不安を一人で抱え込まず、専門医と相談しながら、「今の状態で何ができるのか」「どの選択肢が自分に合っているのか」を整理しましょう。 多発性硬化症の寿命についてよくある質問 多発性硬化症は治りますか? 現時点では、多発性硬化症を完全に治す(完治させる)治療法は確立されていません。 しかし近年は治療の進歩により、再発を抑えて症状の進行を遅らせながら生活の質を維持できる病気へ変わりつつあります。 多発性硬化症になりやすい人の特徴は? 多発性硬化症は誰にでも起こりうる病気で、発症しやすいとされるいくつかの傾向が知られています。 20〜40代の方 女性の方 家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある方 喫煙習慣がある方 上記の特徴に当てはまらない人でも発症する可能性はあります。気になる症状がある場合は、背景に関わらず早めに専門医へ相談しましょう。 以下の記事では、多発性硬化症になりやすい人の特徴について詳しく解説しているので参考にしてください。 参考文献 (文献1) 多発性硬化症の生存率と死因:60年間の縦断集団研究|PubMed (文献2) 多発性硬化症における長期転帰の予測:系統的レビュー|PubMed (文献3) 平均寿命と健康寿命|厚生労働省 (文献4) 口腔たばこと喫煙が多発性硬化症の活動度および進行に与える影響|PubMed (文献5) 多発性硬化症の早期治療と患者報告アウトカムの関連:全国的な観察コホート研究|PubMed (文献6) 進行性多発性硬化症|PubMed (文献7) ケースで学ぶ多発性硬化症治療|日本神経治療学会
2026.02.27 -
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多発性硬化症は、免疫の異常によって脳や脊髄などの中枢神経に炎症が起こり、中枢神経障害をきたす病気です。炎症の起こる場所によって視力低下やしびれ、歩行困難などさまざまな症状が現れます。 この記事では、多発性硬化症になりやすい人の特徴や多発性硬化症の症状について、医学的な知見をもとに解説します。 多発性硬化症は年齢や性別、体質などによって発症しやすい傾向があることが知られていますが、「なりやすい人の特徴」に当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。 自己判断を目的とするものではなく、リスクを正しく理解して不安や気になる症状がある場合に医師へ相談するきっかけとして役立ててください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状がある方は、ぜひご活用ください。 多発性硬化症になりやすい人の特徴 多発性硬化症は、遺伝的ななりやすさや環境の影響が重なって起こると考えられています。 そのため、以下の点については誤解されることが多いですが、実際には次のとおりです。 遺伝だけで決まる病気ではない 家族内で発症するケースはあるが、必ず遺伝するわけではない 見た目や性格で発症が決まるわけではない 生活環境や習慣も関与すると考えられている 年齢や性別、体質、生活習慣など医学的に関連が指摘されている特徴について、ひとつずつ解説していきます。 なお、これらは「当てはまる=発症する」という意味ではありません。ご自身の状況を整理する参考としてお読みください。 20〜40代の人 多発性硬化症は20〜40代で診断されるケースが比較的多く、10歳未満や50歳以上で新たに発症する場合は少ないとされています。(文献1) なお、若い頃に多発性硬化症を発症した方が年齢を重ねてから再発するケースがあるため、20〜40代を過ぎれば安心とは限りません。あくまで発症しやすい年代の傾向として捉えましょう。 女性の人 多発性硬化症は男性よりも女性に多くみられる病気で、男女比はおよそ1:2〜3とされています。(文献1) 一方で、病気の経過については、女性のほうが必ずしも男性より悪いわけではないことが報告されています。(文献2) また、妊娠後期には再発が減少し、出産後には一時的に再発しやすくなる傾向がありますが、妊娠や出産そのものが将来的な障害の程度を悪化させるわけではありません。 女性であること自体は病状や経過を大きく左右するわけではないため、自身の体調やライフステージに合わせて主治医と相談しながら経過をみていきましょう。 家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある人 多発性硬化症は、発症しやすい体質が遺伝する可能性があると考えられています。 多発性硬化症の発症と遺伝の関係について、以下のような研究報告があります。(文献3) およそ半分程度が遺伝的な要因による可能性がある 多発性硬化症のうち約1割は家族内で発症がみられる 同じ家族内で発症した際、発症年齢や症状の出方に共通点がみられることがある 多発性硬化症は遺伝だけで発症が決まる病気ではありません。家族に多発性硬化症や自己免疫疾患がある場合でも、発症しない人のほうが多いことがわかっています。(文献4) 体質的な背景のひとつとして理解し、過度に不安を抱えすぎないことが大切です。 ビタミンDが不足している人 ビタミンDが不足している人は、十分なビタミンDを摂取している人と比べて多発性硬化症を発症するリスクが約54%高い可能性が示されています。(文献5) ただし、年齢や地域、サプリメント摂取の有無などによって差があることもわかっています。 ビタミンDが不足していても、必ず発症するわけではありません。ビタミンDは日光を浴びることや食事からも補われる栄養素であり、発症には遺伝的な体質や他の環境要因も複雑に関与していると考えられています。 ビタミンD不足はあくまで関連が指摘されている要因のひとつとして捉えましょう。 喫煙習慣がある人 喫煙者は非喫煙者に比べて、多発性硬化症の発症リスクが約1.5倍高いことが報告されています。(文献6)さらに、現在喫煙している人は過去に喫煙していた人よりもリスクが高いことや、受動喫煙でもリスクが上昇する可能性があることが示されています。 喫煙習慣がある方は、発症リスクを下げる観点から禁煙や受動喫煙を避けることも選択肢のひとつです。 喫煙は発症を決定づける要因ではありませんが、体質や他の環境要因と重なって影響する可能性があるため、環境要因のひとつとして意識しておきたいポイントです。 ウイルス感染歴がある人 エプスタイン・バーウイルス(EBV)に感染した後では、多発性硬化症の発症リスクが30倍以上に上昇することが報告されています。(文献7) EBVはヘルペスウイルスの一種で、世界人口の90%以上が一生のうちに感染するとされる非常に一般的なウイルスです。 EBV感染に関連して多発性硬化症を発症するケースは非常にまれであり、感染歴があること自体が直ちに発症を意味するわけではありません。ウイルスの感染が多発性硬化症の直接的な原因と確定できない点に注意が必要です。 思春期〜若年期に肥満傾向だった人 子どもから思春期、若年期にかけて太り気味または肥満だった女性は、将来的に多発性硬化症を発症するリスクが高い傾向にあることが報告されています。(文献8) 体重 BMI 体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)} 正常体重の人に比べて多発性硬化症の発症リスク 過体重 25以上30未満 約1.4倍 肥満 30以上 約2倍 上記は、とくに女性で明確に認められた一方、男性は明確なリスク上昇は確認されていません。 なお、研究の結果は思春期から若年期の体重傾向に着目したものであり、成人後の体重や現在の生活習慣と単純に結びつくものではない点に注意が必要です。 多発性硬化症になりやすい特徴に該当しても発症しない人は多い 多発性硬化症には発症リスクが高いとされる特徴がいくつか知られていますが、当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。 多発性硬化症の発症メカニズムは完全には解明されておらず、遺伝的体質、生活環境など複数の要因が複雑に関与していると考えられています。 そのため、特定の要因だけで発症の予測はできません。リスク要因を持っていても一生発症しない人も多い一方で、明確なリスク要因が見当たらないときも発症するときがあります。 気になる症状がある場合は、特徴に当てはまるかどうかで自己判断せず早めに専門医へ相談しましょう。 多発性硬化症の症状 多発性硬化症の症状は、脳・視神経・脊髄など、炎症が起こる場所によって異なります。 炎症が起こる場所 具体例 視神経 片目または両目の視力が低下する 視野の一部が欠ける、ぼやける 脳幹 ものが二重に見える 飲み込みにくい 顔のしびれ 小脳 まっすぐ歩けない 手の震え 大脳 手足のしびれや動かしにくさ 記憶力や判断力の低下 脊髄 排尿・排便のトラブル 手足のしびれ 症状は一時的に現れて自然に治まることもあれば繰り返し起こることもあり、出方や重さには大きな個人差があります。一例として、熱いお風呂に入ったときや、発熱、暑い環境などで体温が上がると、一時的に症状が強くなる場合があります。 気になる症状がある際は、神経内科に相談しましょう。 多発性硬化症の経過 多発性硬化症の経過は人によって大きく異なり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行する場合があります。 主な病型は以下のとおりです。 再発寛解型:症状が出現する「再発」と、症状が軽快・消失する「寛解」を繰り返す 一次性進行型:発症当初から徐々に症状が進行する 二次性進行型:再発と寛解を繰り返した後に徐々に症状が進行する 同じ病気でも再発を繰り返しても障害がほとんど残らない方がいる一方で、再発を重ねるうちに日常生活に支障が出るほど症状が進行する方もおり、経過や予後には非常に大きな個人差があります。 多発性硬化症は長期にわたって向き合っていく病気だからこそ、経過の特徴を正しく理解し、主治医と相談しながら治療を続けていくことが重要です。 以下の記事は、多発性硬化症の寿命について解説しているので参考にしてください。 まとめ|多発性硬化症になりやすい特徴を理解して不安があれば専門医に相談 多発性硬化症は、これまでの研究から発症しやすいとされる一定の傾向が知られています。喫煙やウイルス感染、家族歴などはあくまでリスク要因として関連が示されているものであり、これらに当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。 また、発症には遺伝的要因だけでなく、複数の要素が関与すると考えられており、単一の原因で説明できる病気ではないことも重要なポイントです。 体のしびれや視力低下など気になる症状が続いているときや、リスク要因について不安を感じている際は神経内科に相談しましょう。 多発性硬化症のなりやすい人についてよくある質問 多発性硬化症は何人に1人がなる病気ですか? 2017年に行われた調査によると、多発性硬化症は10万人あたり14〜18人程度と推定され、日本全国で約17,600人と考えられています。(文献1) ただし、上記の数字はあくまで統計上の観点からの推計値であり、実際の発症率は地域や年代によって異なる可能性があります。症状や不安がある場合には、神経内科に相談しましょう。 ストレスが原因で多発性硬化症になることはありますか? 心理的ストレスと多発性硬化症の発症や再発・炎症活動との間に、比較的軽度から中程度に関連がある可能性が示されています。(文献9) しかし、精神的なストレスは多発性硬化症の発症や再発に多少なりとも影響を与える可能性があるものの、ストレスだけで起こるとは言えません。生活上の強いストレスが続く場合でも、多発性硬化症に至るには遺伝的ななりやすさや他の環境要因との組み合わせが関与すると考えられています。 参考文献 (文献1) 多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)|難病情報センター (文献2) 多発性硬化症の感受性と進行における性別関連要因 |PubMed (文献3) 多発性硬化症の遺伝学と家族分布:レビュー|PubMed (文献4) 多発性硬化症の遺伝学:概要と新たな方向性|PubMed (文献5) ビタミンD欠乏と多発性硬化症の関連:最新のシステマティックレビューおよびメタアナリシス|PubMed (文献6) 多発性硬化症における喫煙リスク:症例対照およびコホート研究に基づく20,626例に基づくメタアナリシス|PubMed (文献7) 多発性硬化症の主な原因としてのエプスタイン・バーウイルス:メカニズムと示唆|PubMed (文献8) 子ども期および思春期の過剰体重は多発性硬化症のリスクと関連している:メタアナリシス|PubMed (文献9) ストレスおよび多発性硬化症 - 疾患発症リスクおよび障害進行との関連に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシス|PubMed
2026.02.27 -
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「大腸ポリープの疑いがあると言われた」 「大腸ポリープと聞いて、手術が必要なのか不安」 健康診断で大腸ポリープを指摘されたり、便潜血検査が陽性になったりすると「がんではないか」と感じる方も多いです。こうした不安から、検査自体を先延ばしにしたくなる方もいるでしょう。 多くは良性ですが、放置するとがん化するものもあります。そのため、必要な検査で性質を確認し、適切に対応することが大切です。 本記事では、現役医師が大腸ポリープについて詳しく解説します。 大腸ポリープができる原因 大腸ポリープができたときの症状 大腸ポリープの治療法 大腸ポリープの予防法 記事の最後には、大腸ポリープについてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープとは 項目 詳細 定義 大腸の粘膜が内側にいぼ状に盛り上がった状態 大きさ・形 数mm〜数cmまで幅があり、形状にも個体差がある 良性の可能性 多くが良性で直ちに問題とならない病変 がん化リスク 一部で前がん性変化から大腸がんへ進行する可能性 問題となる理由 無症状のまま増大し、出血や便の変化を来す可能性 見つかり方 便潜血検査や大腸内視鏡での偶発的発見 切除が推奨される理由 内視鏡切除と病理検査による性質判定と大腸がん予防 (文献1) 大腸ポリープは、自覚症状がほとんどないのが特徴です。そのため、定期的な検査による早期発見が欠かせません。 ポリープが見つかった場合は切除して病理検査を行い、性質を確認します。前がん性のポリープを早期に切除することで、将来的な大腸がんの発症予防につながります。 良性の大腸ポリープ 良性の大腸ポリープとは、大腸粘膜がいぼ状に盛り上がった病変で、腫瘍性(腺腫)と非腫瘍性(過形成性・炎症性)に分けられます。 多くは無症状で健診や内視鏡検査で偶然見つかり、内視鏡切除と病理検査で性質を確認します。 良性ポリープは周囲を押し広げるように限局して増大し、がんのような浸潤や転移は起こしません。 ただし、腺腫は前がん病変です。腺腫は長期間で約10%前後ががん化する可能性があり、とくに1cm以上や扁平型はリスクが高いとされています。 悪性の大腸ポリープ 悪性の大腸ポリープとは、ポリープ内にがん細胞が含まれ、周囲の組織へ広がる性質(浸潤)や他の臓器へ移動する性質(転移)を持つものを指します。 病理検査でがん細胞の存在や粘膜下層への浸潤が確認された場合に、悪性と診断されます。多くの大腸がんは、「腺腫」という良性のポリープから始まり、5〜10年程度かけて細胞が変化し悪性化します。 ポリープが大きい場合や表面が不整な場合は、悪性の可能性が高くなります。定期検査で早期に発見し、適切に切除することが重要です。(文献2) 大腸ポリープができやすい人 特徴カテゴリー 大腸ポリープができやすい人(具体例) 年齢 40歳以上(とくに50歳以上) 食生活 高脂肪・低繊維、加工肉・赤身肉が多い 体型 肥満傾向 嗜好 喫煙習慣、過度な飲酒習慣 家族歴・遺伝 家族に大腸がんの既往、家族性大腸腺腫症(FAP)など 腸の病気 潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患がある 検査の重要性が高い人 上記に該当し、無症状でも定期検査が必要 大腸ポリープができやすいのは、加齢や生活習慣、遺伝的背景といった複数の要因が重なる40歳以上の方です。 とくに50歳以上で高脂肪・低繊維の食事を好む方、肥満傾向がある方、喫煙や過度な飲酒習慣がある方、家族に大腸がんの既往がある方は、リスクが高いとされています。 欧米型の食生活(加工肉や赤身肉が多い食事)は、腸内環境を乱し、ポリープの発生を促進する可能性があります。 リスク要因は大きく2つあり、1つ目は脂肪過多の食事、運動不足、飲酒、喫煙といった生活習慣です。2つ目は遺伝的要因で、家族歴がある方や家族性大腸腺腫症(FAP)の方はリスクが2〜3倍高まります。 また、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある方も、ポリープができやすくなります。これらのリスク要因に該当する方は、無症状であっても定期的な検査が欠かせません。 以下の記事では、大腸ポリープができやすい人についてより詳しく解説しています。 大腸ポリープのがん化率 大腸ポリープの「がん化率」とは、ポリープ内にがん細胞を含む確率、または将来がんへ進行する可能性を指します。 腺腫や鋸歯状病変などの腫瘍性ポリープは前がん病変になり得る一方、炎症性・一部の過形成性など非腫瘍性ポリープはリスクが低い傾向です。 とくにサイズが大きいほどリスクは上がるため、小さい段階での内視鏡切除が重要で、切除により大腸がん発生が約76〜90%減少した大規模研究も報告されています。 以下はサイズ別で、おおまかながん化率を表しています。 サイズ別 がんが含まれる・がん化の目安 5mm未満 0.5%未満(ほぼゼロとする報告もある) 6〜9mm 約2〜10% 10〜19mm 約10〜25% 20mm以上 40〜50%以上に達する報告もある なおFAP(家族性大腸腺腫症)では40歳で約50%、60歳でほぼ100%が大腸がんを発症するとされ、高リスク群として厳格な管理が必要です。 大腸ポリープができる原因 原因 詳細 加齢・遺伝的要因 年齢とともに増える粘膜細胞の変化、家族歴や遺伝性疾患(FAPなど)による発症リスク上昇 食事・生活習慣の影響 高脂肪・低繊維の食事、肥満、運動不足、喫煙、過度な飲酒による腸内環境の乱れ・粘膜刺激 慢性炎症・腸疾患の関与 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に伴う粘膜炎症の持続、細胞の増殖異常リスク上昇 大腸ポリープは、粘膜の細胞が増殖しやすくなることで生じ、加齢とともに発生頻度が高まります。 家族に大腸ポリープや大腸がんの既往がある方、あるいは遺伝性疾患を持つ方は、体質的にリスクが高まりやすい傾向です。 また、高脂肪・低繊維の食事、肥満、喫煙、過度な飲酒といった生活習慣は、腸内環境を乱し、ポリープの形成を促します。 さらに、潰瘍性大腸炎などで腸の炎症が長期間続く場合も、ポリープができやすくなります。そのため、自身のリスクに応じた定期的な検査が大切です。 加齢・遺伝的要因 大腸ポリープは、加齢とともに大腸粘膜の細胞に遺伝子異常やDNA損傷が蓄積し、修復機能が低下することで生じやすくなると考えられています。 実際に、50歳以上はポリープが見つかる頻度が急増し、加齢は大腸ポリープの重要なリスク因子のひとつです。そのため、50歳前後以降の定期検査が推奨されています。 また、血縁者(親・兄弟・子)に大腸がんやポリープの既往がある方は、リスクが高いとされています。これは遺伝的背景だけでなく、共通する生活環境も影響していると考えられますが、リスク上昇との関連が多数報告されています。(文献3) 食事・生活習慣の影響 原因 詳細 高脂肪・肉中心の食事 動物性脂肪・赤身肉・加工肉の過多による腸内環境への負担、腸粘膜刺激の増加 食物繊維不足の食事 便の腸内滞留時間の延長、腸粘膜への刺激・炎症リスクの増加 食物繊維の多い食事(保護要因) 便通の改善、腸内環境の維持に役立つ可能性 運動不足 腸の動き(蠕動運動)の低下、便秘・滞留時間の延長 肥満 便通悪化に加え、慢性炎症・代謝異常を介した腸粘膜変化の促進可能性 喫煙 腸粘膜への慢性的刺激、ポリープ形成・大腸がんリスク上昇との関連 過度の飲酒 腸粘膜への刺激、慢性炎症を介したリスク増加の可能性 (文献4)(文献5) 大腸ポリープの発生には、日々の食事や生活習慣が深く関わっています。とくに高脂肪・低繊維の食事は、便の滞留や腸粘膜への刺激を引き起こし、ポリープの形成を促進します。 食物繊維や果物・野菜の摂取はポリープ発生リスクの低下と関連する一方、喫煙・肥満・過度な飲酒はリスク増加が報告されているため、これらの生活習慣がある方は注意が必要です。 慢性炎症・腸疾患の関与 仕組み 詳細 炎症が細胞に継続的な刺激を与える 粘膜ダメージの反復による再生・修復の過剰状態、酸化ストレスやDNA損傷の蓄積 慢性炎症は遺伝子異常を促進する可能性がある 遺伝子変異やエピジェネティック変化の誘発、異常細胞集団の拡大傾向 炎症性ポリープとして現れることもある 潰瘍性大腸炎・クローン病に伴う粘膜隆起(炎症性ポリープ)、炎症背景の存在示唆 炎症性腸疾患と大腸ポリープのリスク 炎症の長期化による粘膜環境の変化、前がん性病変や多発病変のリスク上昇傾向 (文献6) 慢性的な炎症が続くと、大腸粘膜は損傷と修復を繰り返し、酸化ストレスやDNA損傷が蓄積しやすくなります。 遺伝子変異が起こりやすい状態となり、ポリープや前がん病変の発生につながるほか、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、炎症性ポリープが形成されることがあります。 炎症が長期間続く場合は、定期的な内視鏡検査による評価が大切です。 以下の記事では、腸疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 大腸ポリープができたときの症状 症状 詳細 無症状 自覚症状なし、健診で偶然発見 出血に関連する症状 血便、便潜血陽性、貧血症状(ふらつきなど) 便通に関連する症状 便秘や下痢、便が細い、残便感、腹部膨満感 大腸ポリープは多くの場合、自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断や人間ドックの便潜血検査で偶然見つかることが一般的です。 ただし、ポリープが大きくなると、わずかな出血により血便や、便潜血検査で陽性となる場合があります。 また、便秘や下痢を繰り返す、便が細くなる、残便感があるといった便通の変化が現れる場合もあります。これらの症状が続く場合や、いつもと違う違和感がある場合は、早急に消化器内科を受診しましょう。 無症状 大腸ポリープは、できても自覚症状がほとんど出ないことが多い病変です。 初期のポリープは小さく、腸の内腔を狭めて便の通過を妨げるほどではないため、腹痛や便通異常が起こりにくい傾向があります。 また、ポリープは粘膜表面にゆっくり形成されることが多く、強い炎症や刺激反応を伴いにくい点も理由です。さらに、便との接触で出血が起きても微量にとどまり、肉眼では気づかないケースも多いです。 たとえば、便潜血検査で陽性となり内視鏡検査を受けた結果、症状がないままポリープが見つかることは珍しくありません。 このように大腸ポリープは、腸の機能に影響しにくく、炎症や出血も目立ちにくいため、無症状のまま経過することが多いといえます。 以下の記事では、腹痛について詳しく解説しています。 出血に関連する症状 大腸ポリープは大腸粘膜にできる隆起です。便が通過する際に表面がこすれると血管が傷つき、少量の出血を起こすことがあります。 この出血により、便に血が混じることがあります。鮮やかな赤い血であれば肛門や直腸に近い部位からの出血、暗赤色から黒っぽい便であれば大腸の奥での出血が疑われます。 ただし、多くの場合は微量のため肉眼では確認しにくいのが特徴です。微量の出血が長期間続くと鉄分が失われ、鉄欠乏性貧血による疲れやすさやめまいといった症状が現れることがあります。 以下の記事では、下痢を伴う腹痛や血便について詳しく解説しています。 便通に関連する症状 大腸ポリープは無症状のことが多いものの、ある程度大きくなると、便の通過や腸の働きに影響し、便通の変化が現れる場合があります。 たとえば、腸の内腔が部分的に狭くなると便が通りにくくなり、便秘になったり、便が細くなったりすることがあります。 また、ポリープによる刺激で下痢や腹部の張り、膨満感といった不快感が現れることもあります。さらに、腸は粘液を分泌して便の通過を助ける働きがありますが、ポリープがある場合、便に粘液が混ざることがあります。(文献7) 大腸ポリープの治療法 治療法 詳細 経過観察(定期的な検査で様子を見る) 小さく良性が疑われる場合の定期的な内視鏡フォロー 内視鏡治療 大腸内視鏡でのポリープ切除、病理検査による性質判定 外科手術療法 がんの可能性が高い場合や内視鏡切除が難しい場合の手術治療 大腸ポリープの治療は、ポリープの大きさや形、がん化リスクに応じて選択されます。小さく良性が疑われる場合は、すぐに切除せず定期的な内視鏡検査で経過観察を行うのが一般的です。 がん化の可能性がある場合は、内視鏡で切除して病理検査で性質を確認し、内視鏡での対応が難しい場合は外科手術を検討します。 経過観察(定期的な検査で様子を見る) 根拠 詳細 ポリープの性質を見極める 小さく低リスクと判断される場合の慎重な経過確認 新たなポリープの早期発見 定期内視鏡で再発・見逃し・成長をチェックし、必要なタイミングで対応 将来的ながん発生を予防する 前がん病変やがんの早期発見につなげる継続的監視 リスクに応じた観察間隔を設定する ポリープの性質や数などのリスク評価に基づき、検査間隔を決定する (文献8) 経過観察は「何もしない」という意味ではなく、リスク評価に基づいて内視鏡検査を計画的に実施し、変化を早期に捉えるための重要な管理方法です。 小さく低リスクの病変に対しては、過度な処置を避けながら慎重に経過を見極め、再発や新たな病変の早期発見につなげます。 患者のリスクに応じて検査間隔を適切に調整し、必要と判断された時点で治療へ移行します。 内視鏡治療 項目 内容 治療方法 肛門から内視鏡を挿入し、ポリープを直接確認しながら切除 最大の特徴 検査と治療を同時に実施 標準治療の位置づけ 大腸ポリープの標準治療法として確立 重要性 がん化前の腺腫性ポリープ切除で大腸がん発生・死亡率低下 (文献9) 内視鏡治療(内視鏡的切除)は、大腸内視鏡を肛門から挿入し、病変を直接確認しながらポリープを切除する治療法です。病変を見つけた際にその場で切除できるため、「検査」と「治療」を同時に行える点が大きな特徴です。 日本の大腸ポリープ診療ガイドラインでも、内視鏡的ポリープ切除が標準的な治療法として位置づけられています。(文献10) また、内視鏡治療の重要性は、がんになる前の段階で病変を取り除ける点です。多くの大腸がんは腺腫性ポリープから発生するため、早期に切除することでがん化を防ぎ、大腸がんの発生率や死亡率を低下させることが報告されています。(文献11) 外科手術療法 項目 詳細 部分切除 病変を含む大腸の一部切除と腸管のつなぎ合わせ(吻合) 広範囲切除 広い範囲の切除とリンパ節切除を含む根治的手術 開腹・腹腔鏡手術 開腹、腹腔鏡、ロボット支援などの低侵襲手術 がん細胞残さない理由 周囲組織とリンパ節まで含めた切除による再発予防 病理診断の正確性 広い切除標本による進行度評価と浸潤リスク判定 (文献10)(文献12) 外科手術が必要になるのは、ポリープの大きさや形状、場所、深さなどにより内視鏡では適切に切除できない場合です。 また、病理検査でがん化が疑われる、またはがんと確定し、粘膜下層など深部への浸潤の可能性がある場合も該当します。 さらに、内視鏡治療後に切除断端にポリープの残存が疑われ、再発や不完全切除が懸念される場合にも外科手術が検討されます。 外科手術では、病変部と周囲の腸管を切除し、必要に応じてリンパ節も含めて切除することで、根治性を高めつつ適切な病理診断が可能です。 以下の記事では、大腸ポリープの切除後について詳しく解説しています。 大腸ポリープの予防法 予防法 詳細 健康的な食事と体重管理 食物繊維を意識した食事と肥満予防による腸内環境の安定化 運動・喫煙・飲酒の見直し 適度な運動習慣の継続と禁煙、過度な飲酒回避によるリスク低減 定期的な検査とフォローアップ 便潜血検査や大腸内視鏡による早期発見と必要時の切除・経過観察 大腸ポリープの予防は、生活習慣の見直しと定期的な検査を両輪で行うのが基本です。大腸ポリープは体質の影響もありますが、体重増加や運動不足、喫煙、飲酒、食生活の偏りといった要因がリスクと関連しています。 野菜や食物繊維を積極的に摂取し、赤身肉や加工肉の過剰摂取を控えるなど、無理のない範囲で食生活を改善することが大切です。 また、過去にポリープを切除した経験がある方は再発しやすいため、医師が指示する検査間隔を守ることが重要な予防策となります。便潜血検査で異常が見つかった場合は放置せず、必要に応じて内視鏡検査を受けて確認しましょう。 健康的な食事と体重管理 大腸ポリープの予防では、食事の質と体重管理が欠かせません。 野菜、果物、全粒穀物、豆類などの食物繊維を積極的に摂取すると、腸内環境や便通が整い、腸内に有害物質が滞留しにくくなります。 観察研究では、食物繊維を多く含む食事が大腸ポリープのリスクを低下させる可能性が示されています。(文献12) 一方、赤身肉や加工肉、高脂肪食に偏った食生活は控え、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。肥満は慢性炎症や代謝異常を引き起こし、ポリープのリスクを高める可能性があります。 実際に、肥満の方は非肥満の方に比べて大腸ポリープの発生リスクが高い疫学データが報告されています。(文献5) 適正体重を維持するために、バランスの良い食事と適度な運動の継続が不可欠です。 運動・喫煙・飲酒の見直し 大腸ポリープは、運動不足・喫煙・過度な飲酒に伴う炎症や代謝異常により、発生リスクが高まると考えられています。定期的な運動は体重管理やインスリン感受性の改善を通じて、腸内環境や代謝バランスを整える可能性があり、予防に役立ちます。 疫学研究では、身体活動量が多い方ほど大腸がんや大腸ポリープのリスクが低いことが報告されているため、運動習慣を取り入れることが大切です。(文献13) また、喫煙は発がん性物質が消化管粘膜に影響を及ぼし、慢性的な細胞ダメージや遺伝子損傷を促すことで異常増殖につながる可能性が指摘されており、喫煙者では大腸ポリープのリスクが高いことが報告されています。(文献5) さらに、1日数杯以上の飲酒習慣がある方では、ポリープの発生率が高い傾向もあるため、適度な運動習慣や禁煙を心がけ、飲酒を控えることが、大腸ポリープの予防において大切です。 定期的な検査とフォローアップ 定期的な検査とフォローアップ(サーベイランス)は、大腸ポリープの再発や新たな発生を早期に見つけ、将来的ながん化リスクを下げるために重要です。 大腸ポリープは無症状のまま進行することも多く、一度切除しても安心はできません。定期的な内視鏡検査により、小さい段階で病変を発見し、必要に応じて早期治療につながります。 なお、フォローアップの間隔は、過去のポリープの性質や数、病理所見によって変わります。これは単に頻回に検査することが目的ではなく、リスクに見合った適切な間隔を置くことで、効率的に進行を見守るためです。 悪性大腸ポリープが疑われる場合は早期に医療機関を受診しよう 便潜血陽性や血便、貧血、体重減少、便通変化が続く場合は、大腸ポリープを含む大腸の病変を早めに確認することが大切です。 症状の強さだけで良性・悪性は判断できず、自覚症状が乏しいまま進行する病変もあります。「落ち着いたから大丈夫」と自己判断で様子を見るのは避けましょう。 検査や処置に不安があるほど、受診が遅れる傾向がありますが、医療機関で評価すれば経過観察で済むケースも多く、必要に応じて段階的に治療方針を選択できます。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、大腸ポリープの診察に加え、腸の病変の状態に応じて再生医療を用いた治療を提案しています。 再生医療は、患者自身の細胞(幹細胞など)を用いる治療法です。一般に外科手術のように患部を切開しない治療が多く、身体への負担を抑えられる可能性があります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープについてよくある質問 大腸ポリープの予防にヨーグルトは効きますか? ヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ可能性があります。食生活の一助となりますが、大腸ポリープの予防効果を断定できる科学的根拠は限られています。 食物繊維の摂取や体重管理、運動、禁煙、節酒といった総合的な対策が基本です。ヨーグルトを取り入れる場合は、無糖タイプを適量摂取し、体質に合わない場合は無理をしないようにしましょう。 過去にポリープを切除した経験がある方は、食生活の改善とともに定期検査を優先することが大切です。 以下の記事では、大腸ポリープの予防にヨーグルトが役立つのかについて詳しく解説しています。 大腸ポリープが消える食事や食べ物はありますか? 大腸ポリープが食事や特定の食べ物だけで自然に消えることは、医学的に確認されていません。 生活習慣の改善は再発予防に役立ちますが、すでにあるポリープを消す効果は期待しにくいため、便潜血陽性や切除歴がある方は検査も行いましょう。 参考文献 (文献1) 結腸と直腸のポリープ|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 大腸ポリープを理解するために | 大腸内視鏡治療 | Boston Scientific (文献3) Hereditary Colorectal Risk Factors | American Cancer Society (文献4) Colon Polyps|Symptoms, Causes (文献5) Lifestyle Factors and Their Combined Impact on the Risk of Colorectal Polyps|PubMed Central® (文献6) Inflammatory Bowel Disease and Risk of Colorectal Polyps: A Nationwide Population-Based Cohort Study From Sweden|PubMed Central® (文献7) Bowel polyps|NHS (文献8) 大腸内視鏡検査後のサーベイランス間隔|J-STAGE (文献9) 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版|大腸癌研究会 (文献10) 日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|一般財団法人日本消化器病学会 (文献11) Endoscopic management of colorectal polyps|PubMed Central® (文献12) Implementation of a 4-y, high-fiber, high-fruit-and-vegetable, low-fat dietary intervention: results of dietary changes in the Polyp Prevention Trial|ScienceDirect (文献13) 大腸がん(結腸がん・直腸がん) 予防・検診|[国立がん研究センター]
2026.02.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「突然の腹痛で困っている」 「何日も腹痛に悩んでいる」 突然の腹痛は、食べ過ぎや体の冷え、ストレスなど、身近な原因で起こることもあります。しかし腹痛のなかには、消化管の病気が関係していたり、早急な受診が必要だったりするケースもあるため注意が必要です。 とくに、痛みが数日以上続く場合や、発熱・嘔吐を伴う場合は、重い病気が隠れている可能性があります。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。 本記事では、現役医師が腹痛について詳しく解説します。 腹痛の原因 【腹部別】腹痛で考えられる病気 受診すべき腹痛の症状 腹痛の対処法 腹痛の予防法 記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛とは 腹痛とは、お腹に痛み・不快感・違和感を覚える症状の総称です。原因は胃腸だけでなく、肝臓・胆嚢・膵臓、腎臓、婦人科臓器など多岐にわたります。 食べ過ぎや冷え、生活リズムの乱れなど日常的な要因でも起こりますが、臓器の伸展、運動変化、炎症などにより刺激が神経を介して脳に伝わることで生じます。 腸はストレスや自律神経の影響で検査異常がなくても痛むことがありますが、痛みが続く・強まる・繰り返す場合や、発熱・嘔吐・下痢を伴う場合は医療機関を受診しましょう。 腹痛の原因 原因 詳細 日常的な生活習慣によるもの 食べ過ぎ・飲み過ぎ、冷え、ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れなどによる一時的な腹部不調 消化管に関連する病気によるもの 胃炎・胃潰瘍、感染性胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群(IBS)などに伴う胃腸の炎症や機能低下 急性で注意が必要な病気によるもの 虫垂炎(盲腸)、腸閉塞、消化管穿孔、急性膵炎などによる強い腹痛や重症化リスク 消化器以外の病気によるもの 尿路結石、腎盂腎炎、婦人科疾患(卵巣嚢腫・子宮外妊娠など)など腹部以外の臓器由来の痛み 腹痛の原因は主に、食べ過ぎや冷え、ストレス、睡眠不足など日常的な生活習慣による一時的な不調です。 一方で、胃炎・胃潰瘍、感染性胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群など消化管の病気が関与する場合もあります。 さらに虫垂炎や腸閉塞、急性膵炎など急性で重症化しうる病気、尿路結石や婦人科疾患といった消化器以外の病気が原因となることもあります。 日常的な生活習慣によるもの 日常的な生活習慣が関係する腹痛は、病気ほど深刻ではないものの、胃腸への負担や腸の動きの変化によって起こります。 たとえば、食べ過ぎや早食いで消化が追いつかないと、胃もたれや膨満感、ガスによる不快感が生じます。 また、水分不足や運動不足、食事内容の偏りも腹痛を引き起こす要因です。それらは、腸のぜん動運動を乱し、便秘・下痢を引き起こし腹痛につながります。 さらにストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、腸の働きが過敏または低下し、腹部の不調や便通異常が出やすくなります。 このような腹痛は生活習慣の見直しで改善することも多いですが、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。 消化管に関連する病気によるもの 病名 症状の特徴 急性胃炎・慢性胃炎 みぞおちの不快感や痛み、食後・空腹時の症状、ストレス・薬剤・飲酒の関与 胃・十二指腸潰瘍 みぞおち〜上腹部の痛み、胸やけ、食後に増悪する不快感 機能性ディスペプシア 検査で異常が乏しいのに続くみぞおちの不快感、食後のもたれ、慢性的な軽い痛み 感染性胃腸炎 腹部全体の痛みや不快感、下痢・嘔吐・発熱の併発、ウイルス・細菌の関与 腸閉塞(イレウス) 強い張り感と痛み、嘔吐、便やガスが出ない状態 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病) 慢性的な腹痛、下痢、血便、腸の持続的炎症 憩室炎 左下腹部の痛み、発熱を伴うことのある大腸憩室の炎症 虫垂炎(盲腸炎) みぞおち付近の不快感から右下腹部へ移る痛み、発熱、食欲不振 腹痛の原因には、胃腸など消化管の病気が関与することがあります。胃炎や潰瘍ではみぞおちの症状が目立ち、感染性胃腸炎では下痢・嘔吐・発熱を伴いやすいです。 腸閉塞では強い張り感と嘔吐、便やガスが出ない状態が重要なサインとされています。痛みが強い場合や続く場合、発熱や血便を伴う場合は早めの受診が必要です。 急性で注意が必要な病気によるもの 病名 症状の特徴 急性虫垂炎(盲腸炎) へそ周りから右下腹部へ移る痛み、吐き気、食欲不振、発熱、腹膜炎リスク 急性胆嚢炎・胆石発作 右上腹部痛、発熱、背中や右肩甲骨への放散痛、入院・手術リスク 急性膵炎 みぞおち〜上腹部の強い持続痛、背部への放散痛、飲酒・胆石などの誘因 消化管穿孔・腹膜炎 腹部全体の激痛、腹部の硬直、発熱、生命危機を伴う緊急性 大腸憩室炎 左下腹部の痛み、発熱、排便異常、穿孔・膿瘍形成リスク 急性で注意が必要な腹痛には、短時間で悪化し、緊急治療が必要となる病気が含まれます。 右下腹部へ移る痛みは虫垂炎、便やガスが出ず嘔吐を伴う場合は腸閉塞、右上腹部の痛みは胆道系疾患、みぞおちの強い痛みは膵炎が疑われます。 腹部全体の激痛や硬直、発熱を伴う場合は穿孔や腹膜炎の可能性があるため速やかな受診が必要です。 消化器以外の病気によるもの 病名 症状の特徴 尿管結石 腰〜脇腹(側腹部)〜下腹部に及ぶ激痛、血尿、吐き気の併発 膀胱炎・尿路感染症 恥骨上の下腹部の痛みや不快感、排尿時痛、頻尿、残尿感、血尿 卵巣のトラブル(卵巣嚢腫・茎捻転・出血など) 下腹部の片側〜全体の痛み、突然の激痛、吐き気の併発 子宮関連疾患(子宮内膜症・子宮筋腫・月経痛など) 月経周期に関連する下腹部の痛み、鈍痛、違和感の持続 骨盤内感染・膿瘍 下腹部全体〜左右の痛み、発熱、悪臭を伴う分泌物 腹壁由来の痛み(神経絞扼・筋筋膜痛など) 狭い範囲に限局する痛み、体位や動作で増悪する痛み、消化管検査で異常が乏しい所見 血管系の異常(大動脈瘤・血管攣縮など) 激しい腹痛や背部痛、冷や汗、ショック症状を伴う緊急性 胸部や腹部以外の関連痛(心臓・肺疾患など) 腹痛として感じる痛み、胸痛や呼吸困難の併発 消化器以外の病気による腹痛には、泌尿器系・婦人科系・血管系・神経系などさまざまな原因があります。 尿管結石は激しい側腹部痛を、膀胱炎は排尿時の症状を伴うのが特徴です。女性の場合、卵巣や子宮の異常により下腹部の痛みが生じることがあり、月経周期との関連も重要な手がかりです。 また、大動脈瘤や心臓病など生命に関わる疾患が腹痛として現れることもあるため、激痛やショック症状がある場合は速やかな受診が必要です。 【腹部別】腹痛で考えられる病気 考えられる病気 詳細 右上腹部の痛み(胆石・胆嚢炎・肝疾患・膵炎) 胆石や胆嚢の炎症による右上腹部痛、肝臓障害による鈍痛、膵炎によるみぞおち〜右上腹部痛 左上腹部(胃炎・潰瘍・膵炎・脾臓の異常) 胃炎・潰瘍によるみぞおち〜左上腹部痛、膵炎による上腹部痛、脾臓の腫大や損傷による左上腹部痛 右下腹部(虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患) 虫垂炎による右下腹部の痛み、憩室炎による下腹部の痛み、尿路結石による下腹部〜腰の痛み、卵巣疾患などによる片側下腹部の痛み 左下腹部(大腸憩室炎・過敏性腸症候群・尿路疾患・婦人科疾患) 大腸憩室炎による左下腹部の痛み、過敏性腸症候群による腹痛と便通異常、尿路感染症による下腹部不快感、婦人科疾患による下腹部の痛み 全腹部(腸炎・食中毒・便秘・ガスなど) 腸炎や食中毒による腹痛と下痢・嘔吐、便秘やガス貯留による腹部膨満と痛み 腹痛は痛む部位によって、疑われる病気の傾向が異なります。右上腹部では胆石・胆嚢炎や肝疾患、膵炎が関与し、左上腹部では胃炎・胃潰瘍、膵炎、脾臓の異常が原因となることがあります。 右下腹部は虫垂炎や尿路結石、婦人科疾患、左下腹部は大腸憩室炎や過敏性腸症候群、尿路・婦人科疾患が代表的です。腹部全体の痛みは腸炎や食中毒、便秘、ガスなどが考えられます。 右上腹部の痛み(胆石・胆嚢炎・肝疾患・膵炎) 病名 症状の特徴 胆石・胆石発作 脂っこい食後に出やすい右上腹部〜みぞおちの差し込み痛、数十分〜数時間の持続、吐き気・嘔吐の併発 急性胆嚢炎 右上腹部の持続痛、発熱・嘔吐の併発、深呼吸や体動で増悪する痛み、右肩・背部への放散痛 肝疾患(肝炎・脂肪肝など) 右上腹部の鈍い不快感、だるさ・食欲不振の併発、黄疸を伴うことのある慢性的経過 膵炎(膵臓の炎症) みぞおち〜右上腹部の強い持続痛、背部への放散痛、吐き気・嘔吐・発熱の併発、重症化リスク 右上腹部の痛みは胆嚢・肝臓・膵臓の病気で起こることがあり、脂っこい食事後の発作的な痛みは胆石、痛みが続いて発熱を伴う場合は胆嚢炎が疑われます。 鈍い不快感にだるさや黄疸を伴う場合は肝疾患、みぞおちの強い痛みが背中へ広がる場合は膵炎が考えられます。症状が強い場合や続く場合は早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、肝臓に関する症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 肝硬変とは?原因・症状の特徴や主な治療法などを徹底解説! 脂肪肝の薬の種類や注意点を解説!処方薬と市販薬の違いも紹介 左上腹部(胃炎・潰瘍・膵炎・脾臓の異常) 病名 症状の特徴 胃炎(急性・慢性) 左上腹部〜みぞおちの不快感や鈍痛、食後・空腹時の増悪、胸やけ・むかつきの併発、ストレス・暴飲暴食・薬剤・ピロリ菌の関与 胃潰瘍 左上腹部〜みぞおちの焼けるような痛み、空腹時や夜間の増悪、黒色便を伴うことのある出血リスク、慢性化による貧血リスク 膵炎(膵臓の炎症) 左上腹部〜みぞおちの強い持続痛、背部への放散痛、吐き気・嘔吐・発熱の併発、重症化リスク、飲酒・高脂肪食・胆石の誘因 脾臓の異常(脾腫・脾梗塞など) 左上腹部の膨満感や鈍痛、背中や肩への関連痛、易疲労、感染症や血液疾患の関与 左上腹部の痛みは、胃・膵臓・脾臓の異常を示唆します。胃炎や胃潰瘍はみぞおち周辺の不快感が特徴で、食事との関連が見られます。膵炎は激しい痛みが背中に放散し、嘔吐や発熱を伴うため緊急性が高い場合があります。 脾臓の異常は比較的まれですが、膨満感や易疲労感がみられる場合は、血液疾患が関与している可能性もあります。症状が持続する場合や強い痛みがある場合は早めの受診が必要です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に疑われる似た病気を一覧で解説 右下腹部(虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患) 病名 症状の特徴 虫垂炎(盲腸炎) みぞおち・へそ周りから右下腹部へ移る持続痛、押すと増悪する痛み、吐き気・嘔吐・食欲不振・発熱の併発、腹膜炎リスク 憩室炎(右側型) 右下腹部の持続痛、発熱・下痢の併発、血便を伴うことのある炎症所見 尿路結石(尿管結石) 背部〜側腹から右下腹部へ放散する激痛、血尿・排尿時痛・吐き気の併発 婦人科疾患(女性のみ) 片側下腹部の痛み、突然の激痛や持続痛、嘔吐・発熱・不正出血を伴うことのある緊急性(卵巣出血・茎捻転・PID・子宮外妊娠など) 右下腹部の痛みは、虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患などが原因となります。虫垂炎では、みぞおちやへそ周りの不快感から右下腹部へ痛みが移動し、発熱や吐き気を伴う点が特徴的です。 尿路結石は背中から下腹部へ放散する激痛と血尿が見られます。女性の場合、卵巣疾患や子宮外妊娠など緊急性の高い原因もあるため、強い痛みが続く場合は早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、左脇の腹の痛みについて詳しく解説しています。 左下腹部(大腸憩室炎・過敏性腸症候群・尿路疾患・婦人科疾患) 病名 症状の特徴 大腸憩室炎 左下腹部の局所的な鋭い痛み、発熱、下痢・便秘などの便通異常、血便を伴うことのある炎症所見 過敏性腸症候群(IBS) 左下腹部を含む腹部全体の断続的な腹痛・不快感、便秘・下痢・交互性などの便通異常、腹部膨満感、ストレスや生活習慣の関与 尿路疾患(尿路結石・尿管炎・膀胱炎) 側腹〜左下腹部へ放散する痛み、波のある疝痛(結石)、血尿、排尿時痛、頻尿、感染時の発熱 婦人科疾患(女性に特有の原因) 左下腹部の片側性疼痛、突然の激痛(卵巣茎捻転など)、持続する下腹部の痛み(子宮内膜症など)、月経異常・不正出血の併発 左下腹部の痛みは、大腸憩室炎・過敏性腸症候群(IBS)・尿路疾患・婦人科疾患などで見られます。 憩室炎では左下腹部の局所痛に加え、発熱や便通異常、血便を伴うケースがあります。IBSは検査で異常が見られなくても腹痛と便通異常を繰り返し、ストレスが誘因となることが多いです。 尿路結石や感染症では、側腹から下腹部へ放散する痛みや排尿症状が見られます。女性の場合、卵巣・子宮の病気も鑑別が必要となります。 全腹部(腸炎・食中毒・便秘・ガスなど) 病名 症状の特徴 腸炎・感染性胃腸炎(腸全体の炎症) 腹部全体のけいれん様の痛み、下痢・嘔吐・発熱の併発、脱水リスク 食中毒 腹部全体の不快感やけいれん様の痛み、下痢・吐き気・嘔吐、発熱や血便を伴うことのある急性症状 便秘 腹部全体の張り感や鈍痛、圧迫感、腹部膨満、排便困難、ガス貯留 ガス(おなら・ガス溜まり) 腹部全体の圧迫感や張り、腹部膨満、おならの増加、便通不良に伴う不快感 腹部全体の痛みは、腸の炎症や腸内ガス、便の滞留などで起こりやすい症状です。下痢・嘔吐・発熱を伴う場合、腸炎や食中毒が疑われるため、脱水には注意が必要です。 また、便秘やガスによる痛みでは張りや圧迫感が目立ち、排便状況との関連が見られます。血便・高熱・強い痛みがある場合や症状が持続する場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 受診すべき腹痛の症状 受診すべき症状 詳細 強い・持続する腹痛や悪化 我慢できない強い痛み、数時間以上続く痛み、徐々に増悪する痛み、動くと悪化する痛み 発熱・嘔吐・持続する消化器症状がある 38℃以上の発熱、繰り返す嘔吐、水分摂取困難、下痢・便秘の長期化、強い吐き気、脱水兆候(口渇・尿量減少) 出血や異常な排泄物がある場合 血便・黒色便、吐血、コーヒー残渣様の嘔吐、血尿、膿や粘液を伴う便、便が極端に細い状態の持続 めまい・意識障害・特別な状況がある 立ちくらみ・冷や汗・顔面蒼白、意識がぼんやりする状態、ショック症状(脈が速い・息苦しさ)、妊娠中の腹痛、高齢者・小児の強い腹痛、腹部手術歴のある腹痛 腹痛の多くは一時的に軽快しますが、強い痛みが続く場合や時間とともに悪化する場合は、急性疾患が隠れている可能性があります。 発熱・嘔吐・下痢が止まらず水分が取れないときは脱水にも注意が必要です。血便や黒色便、吐血などの出血症状は緊急性が高い所見となります。 また、めまいや意識の低下、妊娠中の腹痛、小児・高齢者の強い腹痛の場合、早急に医療機関を受診する必要があります。 強い・持続する腹痛や悪化 強い腹痛が続く場合や時間とともに悪化する場合は、医療機関の受診が必要です。激しい痛みは虫垂炎・腸閉塞・消化管穿孔・膵炎・胆嚢炎など急性疾患の可能性があります。 また、数時間から数日以上痛みが続く場合は単なる消化不良や軽い胃腸炎ではなく、感染・血流障害・臓器の損傷や閉塞などが疑われます。 さらに発熱・嘔吐・血便・黒色便・食欲不振などを伴うと重症化のリスクが高まるため注意が必要です。 放置すると腹膜炎や敗血症など命に関わる合併症を招くおそれがあります。 発熱・嘔吐・持続する消化器症状がある 腹痛に発熱・嘔吐・下痢などの消化器症状が加わり、数日たっても改善しない場合は受診が必要です。 発熱を伴う腹痛は、感染性胃腸炎など消化管の炎症や感染が関与している可能性が高く、症状の経過や脱水リスクを含めた評価が重要になります。 また、虫垂炎のように初期は消化不良に似た症状でも、進行すると痛みが増し、重症化する場合もあります。 嘔吐が続くと水分と電解質が失われ、脱水や全身状態の悪化を招くおそれがあり、とくに小児や高齢者では注意が必要です。 出血や異常な排泄物がある場合 腹痛に血便・黒色便・粘液便などの排泄物の異常を伴う場合、消化管の出血や炎症が背景にあるため、受診が必要です。 鮮血は肛門や大腸下部からの出血が疑われます。黒色便(タール便)は胃・十二指腸など上部消化管出血のサインです。 痔など良性の原因もありますが、潰瘍性大腸炎・感染性腸炎・虚血性腸炎・大腸がん・憩室出血などの病気が隠れている場合もあります。 血の量が多い場合、繰り返す場合、血の塊が出る場合は緊急性が高く、発熱・下痢・体重減少・めまいを伴うときも医療機関での受診が必要です。 以下の記事では、腹痛を伴う下痢の症状について詳しく解説しています。 めまい・意識障害・特別な状況がある 腹痛にめまい・ふらつき・ぐったり感・意識がはっきりしない状態を伴う場合は、受診が必要です。嘔吐や下痢、発熱で水分が失われると脱水や血圧低下を起こしやすく、脳への血流が減少して立ちくらみが出ることがあります。 さらに反応が鈍い場合や意識障害が見られる場合は、ショック・重い感染症(敗血症)・内臓出血など重篤な病態の可能性があり、救急受診の目安となります。(文献1) とくに妊娠中の方や高齢者、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、注意が必要です。 腹痛の対処法 対処法 詳細 基本的な応急対応(安静・姿勢・休息) 無理をせず安静保持、膝を曲げた楽な姿勢(横向き・仰向け)での休息、腹圧をかけない動作、症状の経過観察 水分補給と消化に優しい食事 少量頻回の水分補給(経口補水液・白湯など)、嘔吐がある場合の段階的摂取、消化に良い食事(おかゆ・うどんなど)、脂質や刺激物の回避 お腹を温める・身体を冷やさないようにする 腹部の保温(カイロ・腹巻など)、入浴や温かい飲み物による体温維持、冷たい飲食の回避、薄着や冷えの予防 腹痛がある場合は、まず無理をせず安静にし、膝を曲げた楽な姿勢で休むことが基本です。嘔吐や下痢がある場合は脱水を防ぐため、白湯や経口補水液などを少量ずつこまめに摂取しましょう。 食事は症状が落ち着いてから、おかゆやうどんなど消化にやさしいものから再開します。また、脂っこいものや刺激物は避けましょう。 冷えが原因となる腹痛もあるため、腹部を温めることや身体を冷やさない工夫も大切です。 以下の記事では、腹痛の治し方について詳しく解説しています。 基本的な応急対応(安静・姿勢・休息) 腹痛が起きたときは、まず安静にして楽な姿勢で休むのが基本です。身体を動かし続けると腹部の筋肉が緊張し、胃腸の動きが刺激されて痛みが強くなることがあります。 横になる、仰向けで膝を曲げる、横向きになるなど負担の少ない体位をとることで、腹部の緊張が和らぎ痛みが落ち着く場合があります。 また、休息は消化不良やストレスなどで乱れた体の回復を助け、症状の改善につながります。安静にしても痛みが軽くならない場合や悪化する場合は、重症化する前に医療機関を受診しましょう。 水分補給と消化に優しい食事 腹痛があるときは、水分補給と消化にやさしい食事が回復を助けます。水分は消化・栄養吸収・便の通過に必要です。それらが不足すると消化が遅れたり便が硬くなったりして、便秘や腹部不快感が悪化することがあります。 とくに下痢や嘔吐を伴う場合は脱水や電解質異常を起こしやすいため、経口補水液などを少量ずつこまめに摂取することが重要です。 食事は脂っこいものや刺激物を避け、おかゆ・うどん・スープなど胃腸に負担の少ないものを少量から再開することで、腸への刺激を抑えた栄養補給が期待できます。 お腹を温める・身体を冷やさないようにする 腹痛があるときにお腹を温め、身体を冷やさないようにすることは、症状の緩和に役立つ場合があります。 温めることで血流が促され、腹部周囲の筋肉の緊張がほぐれやすくなるため、こわばりによる不快感の緩和が期待されます。 また、冷えは腸の動きを乱して腹痛や便通の不調につながることがあるため、腹部を保温し、湯たんぽや温熱パッド、温かい飲み物などで無理のない範囲で温めることが大切です。 ただし、強い痛みや発熱を伴う腹痛では炎症性疾患の可能性も示唆されます。自己判断で温め続けると症状が悪化するおそれがあるため、医療機関を受診しましょう。 腹痛の予防法 予防法 詳細 生活習慣を整える 規則正しい睡眠と休養、適度な運動習慣、ストレス管理、冷えの予防、暴飲暴食の回避 食事の工夫で腸内環境を整える 食物繊維・発酵食品の適量摂取、脂っこい食事や刺激物の控え、よく噛む習慣、腸に負担をかけにくい食事内容 水分補給と消化にやさしい生活を心がける こまめな水分摂取、アルコール・カフェインの過剰摂取回避、冷たい飲食の控え、腹部を冷やさない生活、便秘予防の習慣化 腹痛は、生活習慣や食事内容の乱れ、ストレス、冷えなどが引き金となって起こることがあります。予防には睡眠や運動を含めた生活リズムを整え、暴飲暴食を避けることが大切です。 食事は食物繊維や発酵食品を適量取り入れ、脂っこいものや刺激物を控えることで腸内環境の安定につながります。さらにこまめな水分補給や身体を冷やさない工夫を続けることで、便通の乱れや胃腸への負担を減らし、腹痛の再発予防に役立ちます。 生活習慣を整える 生活習慣を整えることは腹痛の予防に欠かせません。腸の働きは自律神経の影響を受けるため、規則正しい起床・就寝・食事のリズムを保つことで自律神経のバランスが整い、腸のぜん動運動がスムーズになります。 また、規則正しい生活は腸内環境や消化機能を安定させて腹痛や便通異常を起こしにくくする一方、ストレスや不規則な生活は腸の動きを乱し、腹痛・下痢・便秘などの症状を招くおそれがあるため注意が必要です。 研究では、規則正しい食生活・適度な運動・良好な睡眠といった生活習慣の改善が、過敏性腸症候群(IBS)など慢性的な腹部症状の発症リスクを減らす可能性が示唆されています。(文献2) 食事の工夫で腸内環境を整える 食事の工夫で腸内環境を整えることは、腹痛の予防において大切です。腸内細菌は消化・栄養吸収・免疫・炎症の調整に関わり、バランスが崩れると腹痛や便通異常を招きやすくなります。 野菜・果物・豆類・全粒穀物などに多い食物繊維は善玉菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を通じて腸のバリア機能や便通の改善に役立つほか、ヨーグルト・納豆・味噌などの発酵食品は善玉菌を補い、腹部膨満や不快感の予防につながります。 一方で高脂肪・高糖質の食事や加工食品に偏ると腸内環境が乱れやすいため、多様な食品をバランスよく摂ることが大切です。 水分補給と消化にやさしい生活を心がける 適切な水分補給は、消化と便通を支える大切な習慣です。水分は食べ物の分解や栄養吸収を助け、便を柔らかくして排出をスムーズにします。 不足すると便秘や腹部の張りなど不快感が出やすくなります。また、腸のぜん動運動(内容物を送る動き)にも関与しており、脱水状態では腸の動きが低下し、便通異常の原因となります。 さらに水分は栄養素が腸から血液へ吸収される過程にも必要です。水分が欠乏すると体調不良につながる可能性があります。 胃腸が弱っているときは冷たい飲み物を避け、白湯や麦茶など刺激の少ない飲み物をこまめに摂取することが大切です。 改善しない腹痛は当院へご相談ください 腹痛は一時的に落ち着くこともありますが、繰り返す、長引く、以前より強くなる場合は原因の確認が必要です。 腹痛の背景には胃腸の不調だけでなく、胆嚢・膵臓・尿路・婦人科など腹部のさまざまな臓器の異常が関与することがあります。 症状の経過や痛む部位、便の変化、発熱や吐き気の有無を整理しておくと、受診時に必要な検査や診療につながりやすくなります。 改善しない腹痛についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腹痛の症状や状態によっては、再生医療を用いた治療を提案しています。 再生医療は、患者さん自身の細胞(幹細胞など)を用いる治療法のひとつです。治療内容によっては手術のような侵襲や薬物療法に伴う副作用のリスクを抑えられる可能性があります。ただし、適応や有効性は疾患や治療法によって異なるため、医師と十分に相談した上で検討されます。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腹痛に関するよくある質問 腹痛に関する難病ってありますか? 病名(指定難病) 症状の特徴 潰瘍性大腸炎 大腸粘膜の慢性炎症・潰瘍、腹痛・下痢・粘血便が中心で原因不明 クローン病 小腸〜大腸の慢性炎症、腹痛・下痢・血便・体重減少、症状の長期化 (文献3)(文献4) 腹痛の原因となる難病として、代表例が潰瘍性大腸炎とクローン病です。いずれも厚生労働省の指定難病に含まれる炎症性腸疾患(IBD)です。 大腸や小腸に慢性的な炎症が起こり、腹痛に加えて下痢・粘血便(血便)・体重減少などが続くことがあります。症状が長引く場合は早めに消化器内科を受診しましょう。 以下の記事では、腹痛に関する難病について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 【医師監修】クローン病と潰瘍性大腸炎の違いは?覚え方と併発の可能性を解説 性行為をした後に下痢になるのはなぜですか? 性行為のあとに下痢や腹部不快感が出る場合、骨盤内への刺激や体勢による腹部圧迫で腸の動きが一時的に活発になることがあります。 もともと過敏性腸症候群(IBS)など腸が敏感な体質では、刺激で下痢が起こりやすい傾向があります。 また、肛門・直腸への接触がある場合は感染症(性感染症など)による腸症状の可能性も否定できません。症状が続く、発熱や血便を伴う場合は医療機関を受診しましょう。 腹痛に効くツボはありますか? 腹痛に対して「確実に有効」と結論づけられるツボは、現時点では十分な医学的根拠が限られています。ツボ押し(指圧・鍼灸)で一時的に不快感が軽くなる方もいますが、原因となる病気を治す根拠は十分ではなく、標準治療として位置づけられていません。 合谷(手の甲)・足三里(膝下)・中脘(みぞおちとへその中間)などが知られていますが、効果には個人差が大きく科学的エビデンスは限定的です。強い腹痛・発熱・出血・症状の持続がある場合は、ツボに頼らず医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腹痛とツボとの関係性について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 緊急度判定プロトコルVer.1救急受診ガイド(家庭自己判断)|消防庁 (文献2) Lifestyle Factors Associated with Abdominal Pain in Quiescent Inflammatory Bowel Disease|PubMed Central® (文献3) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献4) クローン病(指定難病96)|難病情報センター
2026.02.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「腹痛や下痢の症状が続く」 「発熱や倦怠感が頻繁に起こるようになった」 長引く腹痛や下痢、原因不明の体重減少などの症状は、クローン病と呼ばれる指定難病の可能性があります。クローン病は現在の医学では完治が困難とされています。 クローン病は消化管に慢性の炎症が起こり、寛解と再燃を繰り返す疾患です。適切な治療を継続することで、寛解期を維持し、日常生活や仕事を続けやすくなります。 本記事では、現役医師がクローン病について詳しく解説します。 クローン病の初期症状 クローン病の原因 クローン病の診断方法 クローン病の治療法 クローン病の注意点 記事の最後には、クローン病に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病とは クローン病は、口から肛門までの消化管全体に慢性的な炎症や潰瘍が生じる炎症性腸疾患です。 とくに小腸末端から大腸にかけての回盲部に好発しますが、消化管のあらゆる部位に発症する可能性があります。 一般に若年成人(15〜40代)で診断されることが多いと報告されています。(文献1) 原因は未だ解明されていません。しかし、遺伝的素因、免疫異常、腸内フローラの変化などが複合的に関与していると考えられています。 主な症状は腹痛、下痢、体重減少、発熱、血便などで、寛解と再燃を繰り返すことが特徴です。根治は困難ですが、適切な治療を継続することで症状をコントロールし、日常生活の質を保つことが可能です。 クローン病が寿命に与える影響 クローン病は慢性炎症を繰り返す疾患です。適切な治療を継続している場合、寿命は一般人口と大きく変わらないとする報告が多く、診断後10年の累積生存率は約96.9%とされ、生命予後は概ね良好です。(文献1) 一方、疾患そのものが直接死因となることは稀ですが、消化管がん(結腸がん・小腸がん)や敗血症などの合併症により重篤化するリスクがあります。 また一部の大規模研究では、重症例や合併症を有する場合には平均寿命がわずかに短い可能性も示されています。(文献2) 以下の記事では、クローン病と寿命との関係性について詳しく解説しています。 内部リンク:片桐作成KW(クローン病 寿命) クローン病と潰瘍性大腸炎の違い 比較項目 クローン病 潰瘍性大腸炎 炎症の箇所 口から肛門までの消化管(どこでも起こりうる) 大腸(結腸・直腸)に限られる 炎症の広がり方 飛び飛びに炎症(正常部が間にある) 連続して広がる炎症 腸壁の深さ 腸壁の深い層まで炎症(全層性) 粘膜中心の浅い炎症 主な症状 腹痛・下痢、発熱・体重減少、肛門病変(痔瘻など) 粘血便、腹痛・下痢 診断のポイント 小腸を含めて消化管全体を検査(内視鏡・画像検査など) 大腸内視鏡で連続する炎症を確認 クローン病と潰瘍性大腸炎はいずれも炎症性腸疾患ですが、炎症の起こる範囲と病態が異なります。 クローン病は口から肛門まで消化管全体に発症する可能性があり、炎症が非連続性に起こり、腸壁全層に及ぶ炎症を特徴とする疾患です。また、狭窄や瘻孔(痔瘻を含む)を合併することがあります。 一方、潰瘍性大腸炎は大腸に限局し、直腸から連続性に口側へ炎症が広がり、粘膜層を中心とした炎症のため粘血便が主症状となります。 以下の記事では、クローン病と潰瘍性大腸炎に関して詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】クローン病と潰瘍性大腸炎の違いは?覚え方と併発の可能性を解説 クローン病の初期症状 初期症状 詳細 消化器の症状(下痢・腹部の不快感・血便) 慢性的な下痢、腹部の張り、食後の不快感、血の混じった便の出現、排便回数の増加 全身症状(発熱・体重減少・倦怠感) 微熱の持続、原因不明の体重減少、疲労感、集中力低下など全身の不調 肛門周囲の症状 肛門周囲の腫れ、違和感、膿の排出、痔瘻や膿瘍の形成 クローン病は、胃腸の調子が悪い日が続く程度の初期症状から始まる傾向にあります。下痢が長引く、便に血が混じる、食欲低下や体重減少など、日常的な不調として見過ごされやすい症状に注意が必要です。 また、微熱、倦怠感、口内炎、関節痛など、腸管外症状が先行する場合もあります。これらの症状が数日で改善せず繰り返す場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。 消化器の症状(下痢・腹痛・血便) 症状 詳細 下痢(頻繁な軟便・水様便) 腸の炎症による吸収障害、便がゆるい・水っぽい、排便回数の増加、長期間続く軟便 腹痛(お腹の不快感・けいれん感) 炎症による腹部の違和感、けいれんのような痛み、下痢との同時発生、部位により痛みの位置が変化 血便(便に血が混じる) 腸粘膜の潰瘍やびらんによる出血、赤色や暗赤色の血の付着、炎症部位からの出血 クローン病の初期症状は、下痢、腹痛、血便などの消化器症状が中心となります。 とくに「軟便や水様便が数週間以上続く」「腹痛と下痢が同時に起こる」「便に血が混じる」といった症状は重要なサインです。 これらの症状が持続する場合は自己判断せず、消化器内科を受診し、内視鏡検査や画像検査による精査を受けることが大切です。 全身症状(発熱・体重減少・倦怠感) 症状 詳細 発熱(熱が出る) 腸の炎症による微熱の持続、感染症を伴わない発熱、病気の活動性を示す体温上昇 体重減少(無意識のやせ) 食欲低下、栄養吸収の低下、炎症による体重減少、摂取量に関係なく進むやせ 倦怠感(だるさ) 炎症による全身反応、慢性的な疲労感、栄養不足や炎症性物質の影響によるだるさ クローン病では腸管の慢性炎症により、消化器症状だけでなく全身症状も出現します。持続する微熱、意図しない体重減少、持続する倦怠感などは、疾患活動性の亢進や栄養状態の悪化を示唆する重要な所見です。 これらの症状が数週間以上持続する場合は、速やかに消化器内科を受診し、血液検査、便検査、画像検査などによる精査が必要です。 肛門周囲の症状 症状 詳細 痔瘻(じろう) 肛門周囲にできる瘻孔、膿や分泌物の排出、皮膚と腸をつなぐ異常な通路の形成 肛門周囲膿瘍(のうよう) 肛門周囲に膿がたまる状態、炎症や感染による腫れや熱感、放置による悪化の可能性 裂肛・潰瘍 肛門の粘膜の裂け目や潰瘍、排便時の不快感や出血、炎症による損傷 皮膚のふくらみ(スキンタッグ)・腫れ 慢性炎症による皮膚のふくらみ、肛門周囲の軽度の腫れや変形の出現 クローン病の症状として腸管の炎症が肛門周囲にも及び、痔瘻や肛門周囲膿瘍などの肛門病変が初期からみられることがあります。 肛門周囲の腫脹、疼痛、膿の排出、排便時出血などは痔核の症状と類似しており、見過ごされやすいため注意が必要です。 これらの症状が持続する、繰り返す、強い疼痛や発熱を伴う場合は、速やかに消化器内科または肛門外科を受診しましょう。 クローン病の原因 原因 詳細 免疫の異常 免疫が過剰に反応して腸に炎症が起こる状態、腸を攻撃するような免疫反応、慢性的な炎症の持続 体質的な要因 家族内発症がみられることがある体質、遺伝的素因の関与、特定の遺伝子が発症リスクに関連する可能性 腸内環境や生活要因 腸内フローラの乱れ、食生活の偏りやストレスによる影響、喫煙など生活習慣による腸への負担 クローン病の原因はひとつに特定できず、複数の要因が重なって発症すると考えられています。免疫の働きが過剰になることで腸に慢性的な炎症が起こり、そこに体質的な要因や腸内環境、生活要因などが関与するとされます。 また、感染症のように他人へうつる疾患ではありません。検査で病状を把握しながら、再燃の引き金になりやすい要素を日常生活の中で減らしていくことが大切です。 免疫の異常 理由・背景 詳細 免疫の異常が関係する理由 病原体から守るはずの免疫が腸内フローラを誤って攻撃、過剰な炎症反応の持続、腸粘膜の損傷 炎症が続く理由 炎症を終息させる仕組みの障害、免疫が腸の常在菌を敵と認識、慢性的な炎症と潰瘍の形成 免疫の異常が起きる背景 遺伝的体質による反応性の違い、腸内フローラとの不均衡、食事や生活環境など外的刺激による免疫の暴走 クローン病の原因のひとつとして、免疫システムの異常により腸内フローラなどに対して過剰な免疫応答が生じ、持続的な炎症が引き起こされることが挙げられます。 その結果、腸管粘膜の損傷と慢性炎症が持続します。遺伝的素因、腸内フローラの変化、環境要因などが複合的に作用し、免疫制御機構の破綻を引き起こすことが病態の背景です。 体質的な要因 体質的な要因とは、生まれ持った遺伝子の違いがクローン病の発症リスクを高める可能性があることを意味します。 クローン病患者の家族内での発症頻度が高いことから、遺伝的要因の関与が示唆されています。 家族歴を有する場合に発症リスクが高くなることや、免疫応答や腸内フローラとの相互作用に関連する遺伝子(NOD2遺伝子など)が発症リスクと関連することが研究で明らかです。 ただし、遺伝的素因を有していても必ずしも発症するわけではなく、環境要因などが複合的に作用して発症に至ると考えられています。 腸内環境や生活要因 要因 詳細 腸内フローラ(腸内環境)のバランスと炎症 腸内フローラの多様性低下、善玉菌と悪玉菌の不均衡、免疫反応の過剰化、慢性炎症の誘発 喫煙が腸に与える影響 腸内フローラ構成の変化、腸粘膜バリア機能の低下、再燃・病勢悪化リスクの上昇 食生活と腸のバランス 高脂肪・高糖質食の継続、腸内フローラの偏り、炎症を起こしやすい腸環境の形成 その他の生活要因の可能性 肥満・運動不足の影響、抗生物質使用による腸内環境変化、早期生活環境による免疫形成への影響 クローン病は、腸内フローラのバランス変化や生活習慣が免疫反応に影響し、炎症が起こりやすくなる可能性が指摘されています。とくに喫煙は発症や再燃、治療反応に関わる重要な要因です。 食生活の偏りも腸内環境を変えうるため、治療と並行して生活面の見直しが再燃予防に役立ちます。 クローン病の診断方法 検査項目 詳細 問診・身体診察 腹部症状の経過確認、下痢や体重変化の聴取、家族歴の確認、腹部・肛門の触診による所見の確認 血液・便検査 炎症反応(CRP・白血球)の確認、貧血や栄養状態の評価、感染症や血便の有無の確認 大腸内視鏡、小腸内視鏡(必要に応じて) 腸粘膜の直接観察、縦走潰瘍や敷石像の確認、生検による組織診断 画像検査(CT・MRI・バリウム) 腸壁の厚みや狭窄、瘻孔の存在の評価、小腸全体の立体的観察 クローン病の診断は、問診と診察で症状の経過や体重変化、腹部・肛門の所見を確認し、血液検査で炎症反応(CRPなど)や貧血、栄養状態を評価します。 便検査で感染症や腸の炎症の程度を推定し、確定には内視鏡検査が欠かせません。 必要に応じて生検を行い、CT・MRIなどで小腸病変や狭窄・瘻孔も把握して総合的に判断します。 クローン病の治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑える薬(5-ASA製剤、ステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤など)の使用、症状や再燃のコントロール、長期的な維持治療 栄養療法 栄養バランスの補正、腸への負担軽減を目的とした栄養補助(エレンタールなど)吸収障害や体重減少の改善 手術療法 狭窄・瘻孔・膿瘍など合併症への対応、病変部の切除による症状改善、再発部位を見据えた術後管理 再生医療 難治性肛門病変などへの幹細胞治療の応用、損傷組織の修復促進、今後の治療選択肢としての研究進展 クローン病治療の目的は、炎症を抑えて寛解を導入・維持し、再燃を防ぐことです。治療方針は症状の程度、病変の範囲、合併症の有無により決定されます。 薬物療法で炎症をコントロールし、必要に応じて栄養療法により腸管の負担を軽減します。 狭窄や瘻孔などの合併症を有する場合は外科的治療が検討されます。治療は活動期における寛解導入療法と、寛解期における寛解維持療法に分かれ、継続的な治療が長期予後を左右する大切な要素です。 薬物療法 治療(薬剤の種類) 詳細 薬物療法の目的 腸の炎症を抑える治療、症状の改善、寛解の維持、病状に合わせた薬の調整 生物学的製剤 免疫の働きを狙って炎症を抑える薬、中等症〜重症での選択肢、効果不十分な場合の追加治療、点滴または注射での投与 生物学的製剤の例 インフリキシマブ、アダリムマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブなど その他の薬(補助的役割) 5-ASA製剤の使用(軽症で用いることがある薬、効果が限定的な場合もある薬)、抗生物質の使用(感染や膿瘍が疑われる場合の一時的使用、合併症への補助的治療) 薬物療法は、腸の炎症を抑えて症状を軽くし、寛解をできるだけ長く保つことが目的です。病状に合わせて薬を調整し、必要に応じて複数を組み合わせます。 中等症〜重症では、生物学的製剤により炎症の原因となる免疫反応を狙って抑える治療が選択されます。感染や膿瘍が疑われる場合は抗生物質が補助的に用いられます。 以下の記事では、クローン病で使用される薬の種類と詳細について詳しく解説しています。 内部リンク:片桐作成KW(クローン病 薬) 栄養療法 項目 詳細 食事内容の調整(高カロリー 低脂肪 低残渣) エネルギー確保を重視する食事、高脂肪を控える工夫、食物繊維量を調整する低残渣の工夫 栄養補助食品・経腸栄養 腸に負担をかけにくい栄養剤の活用、飲用またはチューブによる補給、栄養不足の改善と寛解導入の補助 活動期と寛解期の管理 活動期での腸の負担軽減を目的とした調整、寛解期での通常食を基本とした栄養バランス管理、再燃予防を意識した食習慣 腸への負担を減らす工夫 食物繊維の種類と量の調整、脂肪の少ない調理法の選択、たんぱく質と必須栄養素の確保 クローン病では腸管の炎症により消化・吸収機能が低下し、栄養不良や体重減少を来すことがあります。 栄養療法は栄養状態の改善と腸管安静を目的として実施されます。活動期には低脂肪・低残渣食や経腸栄養剤の併用により腸管への負担軽減が欠かせません。 寛解期には通常食を基本としながら栄養バランスを維持し、再燃のリスクとなる食習慣を避けることが大切です。 以下の記事では、クローン病の食事について詳しく解説しています。 内部リンク:片桐作成KW(クローン病 食事) 手術療法 内容 詳細 腸切除術 狭くなった部位や炎症の強い部位の切除、通過障害や痛みの改善を目的とした手術 狭窄形成術(ストリクチュロプラスティ) 狭くなった腸を切らずに広げる手術、腸の長さを温存するための方法 膿瘍ドレナージ(膿の排出) たまった膿の排出処置、感染拡大の予防、痛みや発熱の軽減 瘻孔の手術 腸や肛門周囲にできた瘻孔への外科的対応、排膿や再発を減らすための治療 クローン病には根治的な手術治療が存在しませんが、狭窄、膿瘍、瘻孔などの合併症や内科的治療抵抗性の症状に対しては外科的治療が必要となります。 腸管狭窄に対しては腸切除術や狭窄形成術が、膿瘍形成時にはドレナージ術が選択されます。 手術は合併症への対処と症状改善を目的とした治療選択肢のひとつであり、最終手段ではありません。 患者の症状、検査所見、治療経過を総合的に評価し、適切な時期に実施されます。 術後も再燃予防のための薬物療法の継続と定期的な経過観察が不可欠です。 再生医療 期待される効果 詳細 炎症の軽減 幹細胞の免疫調整作用による炎症反応の抑制 組織の修復 損傷した腸組織の修復促進、治癒環境を整える作用の可能性 肛門周囲瘻の治癒 難治性肛門周囲瘻に対する瘻孔閉鎖率の改善、治癒維持率の向上の可能性 クローン病に対する再生医療は、主に幹細胞の働きを利用して炎症を抑え、損傷した組織の回復を促す治療として研究が進められています。 とくに、治りにくい肛門周囲瘻に対して有効性が示唆されており、瘻孔の閉鎖や再発抑制につながる可能性があります。ただし適応は限られ、現時点では標準治療を補う位置づけです。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 クローン病の注意点 注意点 詳細 治療と受診を継続する 自己判断での休薬・中断の回避、寛解期も含めた定期受診・検査の継続、症状や副作用の早期申告 体調の変化を見逃さないようにする 腹痛・下痢・血便・発熱など再燃兆候の把握、便性状・回数、体重、食欲の変化の確認。肛門症状(痛み・腫れ等)の注意 生活習慣を整える 禁煙の徹底、症状に応じた食事内容の調整、十分な睡眠・休養の確保、ストレス管理、脱水予防の水分補給 クローン病は寛解と再燃を繰り返す疾患です。症状が軽快している時期の自己判断による治療中断は行わないようにしましょう。 再燃予防には、治療の継続、定期的な検査、生活管理の三つが不可欠です。症状が軽微でも腸管の炎症が持続していることがあり、放置すると合併症のリスクが高まります。 自身の再燃の兆候を把握し、早期に対処することが重要です。不安や疑問がある場合は、医師へ相談することを推奨します。 治療と受診を継続する 理由 詳細 完治しない慢性疾患 寛解期でも炎症が残存している可能性があり、継続的な治療により再燃を防止 治療中断による再燃リスク 自己判断での薬剤中断は再燃リスクを増加させ、炎症の再燃を招く可能性 合併症の予防 適切な炎症コントロールにより、狭窄、瘻孔、膿瘍などの合併症発生を抑制 早期の病態変化の把握 定期受診により炎症状態や治療効果を評価し、悪化前に治療方針を調整可能 クローン病は完治が困難な慢性疾患であり、症状が軽快している寛解期においても腸管の炎症が持続していることがあります。 治療の継続により炎症をコントロールすることで再燃を予防し、狭窄や瘻孔などの合併症のリスクを低減可能です。 定期的な受診では炎症の程度や治療効果を評価し、症状悪化前に適切な治療調整が期待できます。自己判断による治療中断は再燃リスクを高めるため、医師の指示に従った継続的な治療と定期受診が欠かせません。 体調の変化を見逃さないようにする クローン病は活動期と寛解期を繰り返す慢性疾患であり、症状が軽快していても腸管の炎症が持続している場合があります。 下痢の回数増加、腹痛の増強、発熱、体重減少などの変化は再燃の兆候です。そのため、早期発見と適切な治療調整、必要な検査の実施が大切です。 症状悪化後の受診では、狭窄や瘻孔などの合併症が進行していることがあるため、早期受診により合併症の発生や手術のリスクを低減できます。 クローン病の症状には個人差が大きいため、日常的な体調変化の記録や症状日誌の作成が、医師による病状評価と治療方針決定において重要な判断材料となります。 生活習慣を整える クローン病は慢性炎症性疾患であり、生活習慣が症状の再燃や病状の変動に影響を与える可能性があります。 とくに喫煙はクローン病の発症リスクを高めるだけでなく、症状の悪化、治療抵抗性、再燃率の増加、手術リスクの上昇との関連が複数の研究で示されており、禁煙が重要な生活習慣改善となります。 また、食生活については特定の食事療法の有効性は確立されていません。しかし、個々の患者において症状を誘発する食品を避け、バランスの良い食事を心がけることが腸内環境の維持や栄養状態の安定に寄与する可能性があります。 適度な運動とストレス管理は疾患自体を治療するものではありませんが、体力維持や心理的安定を通じて間接的に病状管理に貢献すると考えられています。 クローン病でお悩みの方は当院へご相談ください クローン病は指定難病のひとつで、完治させる治療法は確立されていません。しかし、適切な治療や対処法を身につけることで、症状を軽減し、日常生活を送ることは十分可能です。 長引く腹痛や下痢、体重減少などの症状が続いている方、またクローン病と診断されて治療方針に不安を感じている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は治療薬と比べて全身的な副作用のリスクが比較的低いとされています。また手術を伴わないため、感染症や後遺症のリスク、強い痛みの心配も少ない点が特徴です。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病に関するよくある質問 クローン病になったら人生終了ですか? クローン病は完治が難しい慢性疾患ですが、適切な治療と定期通院により、症状をコントロールしながら仕事や生活を続けられます。 治療を自己判断で中断せず、体調の変化や症状に関する悩みは早めに医師へ相談し、無理のない生活を心がけましょう。 クローン病を発症した有名人はいますか? 国内では、お笑い芸人のお侍ちゃんがクローン病であることを公表し、闘病経験や復帰までの経過を発信しています。 海外では、以下の著名人がクローン病と診断されていた(診断歴のある)方々が活動しています。 ピート・デヴィッドソン(俳優) シャノン・ドハーティ(女優) ラリー・ナンスJr.(NBAバスケットボール選手) キャスリーン・ベーカー(オリンピックメダリスト水泳選手) デヴィッド・ギャラード(元NFLクォーターバック) マイク・マクレディ(ミュージシャン) シンシア・マクファデン(ジャーナリストなど) クローン病は適切な治療と自己管理を続けることで、社会生活を維持しながら活動を続けている方も多いです。 クローン病は国の支援や補助金を受け取ることはできますか? クローン病は、一定の要件を満たす場合に公的支援(指定難病の医療費助成)の対象となることがあります。 支援・制度名 内容 対象 ポイント 指定難病の医療費助成(特定医療費) 自己負担に月額上限 重症度基準あり(軽症高額の特例あり) 自治体へ申請、年1回更新 医療受給者証(特定医療費受給者証) 助成適用の証明 認定者 指定医療機関で提示 申請手続き 申請の流れ - 診断書→提出→審査→受給者証 高額療養費制度 月の自己負担が上限超で払い戻し 健康保険加入者 年齢・所得で上限が異なる 自治体独自の支援(例:東京都) 国制度に上乗せ助成 自治体条件 都独自の難病助成あり 代表的な支援として、医療費の自己負担を軽減する制度があり、重症度などの基準に沿って申請します。 申請手続きは、お住まいの都道府県・指定都市(自治体)の窓口や保健所等で行い、難病指定医が作成する臨床調査個人票(診断書)などの書類提出が必要です。 なお、必要書類や運用は自治体により異なる場合があり、また受給者証は原則1年ごとの更新が必要です。 申請や更新をスムーズに進めるために、通院先(主治医・医事課等)へ相談しましょう。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) Comparison of life and healthy life expectancies between IBD patients and the general population | 2 Minute Medicine
2026.02.22 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「健康診断でコレステロールが高いと言われたけど、どうすればいいの?」 「脂質異常症って何?放っておくと危ないの?」 そんな疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 脂質異常症は、初期には症状がほとんど現れませんが、動脈硬化を進め、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにつながる病気です。 この記事では、脂質異常症の種類・原因・数値の見方から、改善方法、治療の選択肢までをやさしく解説します。 リペアセルクリニックの公式LINEでは、脂質異常症に関するご相談や診療予約も受け付けています。気になる症状がある方は、ぜひ気軽にご活用ください。 脂質異常症とは|血液中の脂質バランスが乱れた状態 脂質異常症は、血液中の脂質の数値が、正常の範囲から外れている状態です。 健康診断では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)などがチェックされますが、どれか一つでも基準値を超える、あるいは低すぎる場合に「脂質異常症」と診断されます。(文献1) なお脂質異常症とよく似た言葉で「高脂血症」という表現を目にすることもあります。両者の違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 脂質異常症の症状 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、静かに進行する特徴があります。 血管壁に脂質が徐々に蓄積し、気づかないうちに動脈硬化が進行するメカニズムです。動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。(文献2) 何も感じないからと油断せず、健康診断で数値を指摘されたら、きちんと向き合うことが大切です。 脂質異常症によって引き起こされる脳梗塞に対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご参照ください。 また、脂質異常症と手足のしびれの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脂質異常症の原因 脂質異常症にはいくつかタイプがあり、それぞれに特徴や原因があります。どのタイプが自分に当てはまるかを知っておくと、対処法を考える際に役立つでしょう。 高LDLコレステロール血症 LDLコレステロールは、体のすみずみにコレステロールを届ける役割があります。しかし、多すぎると血管の壁に脂質がたまりやすくなり、これが動脈硬化を引き起こします。 そのためLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれているのです。(文献3) 健康診断ではLDLコレステロールの値が140mg/dL以上の場合「高LDLコレステロール血症」と診断されます。(文献1) 低HDLコレステロール血症 HDLコレステロールは、血管壁の余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ役割のあるリポタンパク質です。 この働きから「善玉コレステロール」とも呼ばれています。 HDLコレステロールが少なくなると、コレステロールの回収が十分にできなくなり、動脈硬化が進むことになるため注意が必要です。(文献2) 血液検査で40mg/dL未満だった場合「低HDLコレステロール血症」と診断されます。(文献1) 高トリグリセライド血症 トリグリセライドは、体を動かすエネルギー源として大切な成分ですが、増えすぎると脂質異常症の原因となる物質です。(文献2) 空腹時150mg/dL以上、または随時(空腹であることが確認できない時)175mg/dL以上の場合、高トリグリセライド血症と診断されます。食べすぎや飲酒、糖質の摂りすぎも大きく影響します。(文献1) 脂質異常症の検査方法 脂質異常症の検査方法は、血液検査です。 LDL・HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の値を測り、基準から外れていないか確認します。 とくに自覚症状がないため、定期的な検査による早期発見がとても大切です。(文献2) 脂質異常症の診断基準や詳しい数値の見方については、以下の記事も参考にしてください。 脂質異常症になりやすい生活習慣 脂質異常症は、生活習慣と関係が深い病気です。普段の生活の中に、脂質異常症を招きやすい原因が潜んでいることがあるため、ひとつずつみていきましょう。 食生活の乱れ・脂質の摂りすぎ 甘いものや脂っこい食事を摂りすぎると、脂質異常症のリスクが高まります。 とくに、バターや肉の脂身、生クリーム、インスタントラーメン、菓子パンなどの加工食品には「飽和脂肪酸」が多く含まれています。この飽和脂肪酸が、LDLコレステロールを上げる原因になるのです。 また、糖質や脂質の過剰摂取は中性脂肪の増加につながるため注意が必要です。(文献1)(文献2) 運動不足・喫煙・飲酒 運動不足や喫煙習慣があると、HDLコレステロールが減ってしまい、脂質バランスが乱れやすくなります。(文献2) また、お酒の飲みすぎにも気をつけたいところです。適量の飲酒はHDLコレステロールを上昇させますが、アルコールは血圧の上昇や肝臓への負担といったデメリットもあるため、なるべく控えめにしましょう。(文献1) 遺伝・病気 生活習慣だけでなく、体質や遺伝も脂質異常症に深く関係しています。 なかでも遺伝が強く関係するのが、「家族性高コレステロール血症」という病気です。LDLコレステロールの処理にかかわる遺伝子の異常で、食事や運動に気をつけていても脂質異常が起こります。(文献4) また、糖尿病や腎臓病、ホルモンバランスの乱れといった持病も、脂質異常症のリスクを高めます。家族に脂質異常症の人がいる方や、これらの病気を指摘されたことがある方は、より意識して検査や健康管理を心がけると良いでしょう。(文献5) 脂質異常症の治療方法 脂質異常症の治療では、まず生活習慣の見直しが基本です。食事や運動の工夫からはじめ、必要に応じて薬を使いながらコントロールしていきます。 食事療法|脂質・糖質の摂りすぎを防ぐ バランスの良い食事を心がけることが大切です。 肉や揚げ物などの脂質が多い食材を控え、魚や大豆製品、野菜をしっかり摂るように意識しましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑制する働きもあります。糖質やアルコールの過剰摂取も控えましょう。(文献6) 脂質異常症で食べてはいけないもの・食べたほうが良いものについては、以下の記事で詳しく解説しているためぜひご覧ください。 運動療法|有酸素運動をする ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やし、脂質バランスを整えるのに役立ちます。 1日30分程度、週3回以上を目安に、無理のない範囲で続けてみてください。(文献6) 運動が苦手な方や忙しい方は、エレベーターの代わりに階段を使う、通勤時ひと駅手前で降りて歩いてみるなど、小さなことから始めるのも効果的です。(文献5) 運動療法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 薬物療法|LDLコレステロールや中性脂肪を下げる 生活習慣を見直しても脂質の数値がなかなか改善しない場合は、薬の力を借りてコントロールする方法も選択肢になります。 脂質異常症の治療薬には、LDLコレステロールや中性脂肪の値を下げるだけでなく、動脈硬化そのものを改善し、脳梗塞や心筋梗塞の再発リスクを減らせる薬もあります。 ただし、薬を飲んでいればそれで十分なわけではありません。薬の力を上手に活用しながら、日々の生活習慣も合わせて見直していきましょう。(文献5) 脂質異常症の薬について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。 脂質異常は放置せず早期改善に努めよう 脂質異常症は、何も症状がなくても油断できない、治療の必要な病気です。 放置すると知らないうちに動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。健康診断で数値を指摘されたときは、自分の生活を見直すことから始めてみてください。早めの対策が、将来の大きな病気を防ぐことにつながります。 「どう改善したら良いのかわからない」と一人で悩んでいるのであれば、専門家に相談するのも一つの方法です。 当院の公式LINEでは、脂質異常症に関するご相談や再生医療の情報提供、簡単なオンライン診断も行っています。気になる症状がある方や、今後の健康が不安な方は、ぜひお気軽にご利用ください。 脂質異常症に関するよくある質問 脂質異常症は痩せている人でもなりますか? 痩せていても脂質異常症になることはあります。 脂質異常症は、体型だけでなく、体質や遺伝、喫煙や飲酒、ホルモンバランスの乱れなどさまざまな要因が関係しているためです。 そのため、体型にかかわらず、定期的な健康診断や血液検査が大切です。 脂質異常症の人はコーヒーやバナナは控えたほうがいいですか? コーヒー自体は基本的に問題ありませんが、砂糖やコーヒーフレッシュを多く入れると脂質や糖分が増えるので、できるだけブラックで飲むのが良いでしょう。 バナナは、ビタミンや食物繊維が豊富で、適量であれば脂質異常の改善にも役立ちます。ただし、糖質が多いので食べ過ぎには注意し、1日1~2本程度が目安量です。(文献7) なお、1日2本のバナナは果物全体の摂取目安量(1日200g程度)にあたるため、バナナを食べる日は他の果物は控えめにしましょう。 参考文献 (文献1) 脂質異常症|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献2) 脂質異常( コレステロールなど)|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献3) コレステロール(これすてろーる)|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献4) 脂質異常症|国立研究開発法人国立循環器病研究センター (文献5) 「脂質異常症」といわれたらーコレステロールと動脈硬化ー|財団法人循環器病研究振興財団 (文献6) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献7) 脂質異常症の食事|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省
2026.02.15 -
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「健康診断で血圧が高いと言われたけど、体調に問題もないし大丈夫かな?」と、放置してしまいがちな高血圧。 しかし、血圧が高い状態が続くと脳や心臓などの臓器がダメージを受け、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気を発症しやすくなります。 そのため、「血圧が高い」と言われた段階で状態を悪化させない対策を講じることが、将来の健康を守ることにつながるのです。 この記事では、高血圧の基準や原因・予防策・治療などを解説します。 「受診すべきか迷っている」「できるだけ自然に改善したい」と感じる方は、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 血圧が高く不安を感じている方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 高血圧とは 高血圧とは、血液の量が増えたり、血液の通り道が狭くなったりすることで、血液が血管の壁に強く圧力をかけ続けている状態を指します。(文献1) 水道のホースに強い水圧がかかっているようなイメージです。 この状態が長く続くと、常に強い圧力にさらされた血管は次第に硬くもろくなっていき、「動脈硬化」と呼ばれる状態につながります。 動脈硬化が進むと、心臓や脳など全身の重要な臓器に深刻なダメージを与えかねません。 そのため「血圧が高い」と指摘された段階から、予防策を講じることが大切です。 2019年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の方のうち47.7%が高血圧に該当するといわれています。 特定の方に起こるものではなく、私たちに身近な病気のひとつといえるでしょう。(文献2) 高血圧の症状 高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行するのが特徴です。(文献1) 血圧が高すぎると、頭痛やめまい、肩こりなどが出ることもありますが、日常的に実感しやすい現象であるため、高血圧が原因だと考える方は少ないでしょう。(文献1) しかし、血圧が高い状態が続くと血管は少しずつダメージを受けます。その結果、脳や心臓、腎臓への負担が大きくなり、以下のような症状があらわれることがあります。(文献1) 突然の手足のしびれや麻痺 話のしづらさ(呂律が回らない) 胸が締め付けられるような痛みや圧迫感 息苦しさ むくみやだるさ 夜間の頻尿 血圧が高めといわれても「何も症状がないから大丈夫」と軽く考えがちですが、気づかないうちに病状は進行しています。 何も感じないうちにこそ生活習慣を見直したり、医師の診断を受けたりして、将来の健康を守りましょう。 高血圧の種類と原因 高血圧には主に以下の2つのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。 高血圧のタイプ 原因 本態性高血圧 多くが原因不明である 二次性高血圧 血圧が上がる明らかな要因がある 詳しく見ていきましょう。 本態性高血圧 原因が特定できない高血圧を「本態性高血圧」と呼び、高血圧の約90%がこのタイプです。(文献3) 遺伝や加齢などの要因に加えて、以下の生活習慣が合わさって発症すると考えられています。(文献1) 塩分の摂りすぎ 運動不足 睡眠不足 過度の飲酒・喫煙 ストレスの蓄積 なかでも日本人は、塩分の過剰摂取とメタボリックシンドロームの増加が高血圧患者の増加に関係しているといわれています。(文献4) 詳しいメカニズムを知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 【関連記事】 喫煙は血圧にマイナスな影響を与える?高血圧の原因や対策について現役医師が解説 【医師監修】ストレスで血圧が上がるメカニズムと予防法を解説! 女性が高血圧になる原因は?更年期との関連性・対策を医師が解説! 二次性高血圧 血圧を上昇させている原因が明らかな高血圧を「二次性高血圧」と呼び、主に以下が要因となります。(文献3) (文献5) 腎臓に関する病気 クッシング症候群 原発性アルドステロン症 褐色細胞腫 薬やサプリメント 本態性高血圧との違いは、原因となっている病気を治療すれば血圧の改善が期待できることです。 すでに病気を抱えている方は、それが血圧に影響している可能性もあるため、かかりつけ医に相談してみましょう。 高血圧の診断基準 日本高血圧学会の基準によると、以下の値以上になったときに「高血圧」と診断されます。(文献4) 診察時血圧(医療機関での測定):140/90mmHg 家庭血圧(自己測定):135/85mmHg 家庭血圧のほうが基準値が低いのは、診察室では緊張して血圧が一時的に上がる「白衣高血圧」と呼ばれる現象があるためです。 高血圧の診断には、診察室での測定だけでなく、家庭での血圧測定も重要となります。 高血圧の放置により起こりうる健康リスク 高血圧は、症状がないまま進行してしまうことが多いため「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」とも呼ばれます。 放置すれば確実に血管にダメージを与え、以下のような病気を引き起こすリスクが高まります。(文献4) 脳卒中(脳出血・脳梗塞) 心筋梗塞・心肥大 慢性腎臓病 大動脈瘤・大動脈解離 認知症発症のリスク増加 こうした合併症を防ぐためには、早期発見と継続的な血圧管理が欠かせません。 「血圧が高い」と指摘された段階で予防策を講じることが、将来的な健康を守ります。 脳卒中の後遺症改善や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳卒中に対する再生医療の治療例については、以下の症例をご覧ください。 【家庭でできる】高血圧の治療法と悪化予防 高血圧の治療は、まず生活習慣の改善から始めます。 高血圧治療ガイドラインでは以下のような生活習慣が推奨されており、治療だけでなく予防にも効果的です。(文献4) 減塩を中心とした食事 適度な運動 アルコールの制限 肥満の改善 生活習慣の改善だけで血圧が下がらない場合や、心血管系疾患のリスクが高い場合には、薬物療法が検討されます。 治療開始後も薬に頼るだけでなく、見直した生活習慣を続けることが長期的な健康維持につながります。 高血圧の予防策を詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 高血圧は症状がなくても要注意!早期対策が重要 高血圧は、多くの方が自覚症状のないまま進行するため、気づかないうちに身体にダメージを与えている可能性があります。 放置すれば、脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの命にかかわる病気を引き起こすリスクもあるため、早期発見・早期対応が何より重要です。 まずは血圧を意識し、生活習慣の見直しから始めることが高血圧の予防と改善につながります。 症状がなくても血圧に不安を感じたら、当院リペアセルクリニックの公式LINEを活用してみてはいかがでしょうか。 再生医療に関する情報発信や、簡易診断のご相談も承っています。ご興味のある方は、お気軽にご登録ください。 高血圧に関するよくある質問 高血圧は何科を受診すれば良いですか? 高血圧に不安を感じたら、まずは一般内科を受診しましょう。 初診では、主に以下のようなことがおこなわれます。(文献4) 自宅と受診時の血圧値の確認 問診による生活習慣や家族歴の把握 必要に応じて、血液検査・尿検査・心電図などの追加検査 高血圧の原因に腎臓やホルモンの異常が疑われる場合には、専門の循環器内科や内分泌内科へ紹介されることもあります。 放置すれば、将来的に心臓や脳、腎臓などに大きなダメージを与える可能性があるため、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、医師の診断を受けることが重要です。 医療機関の受診を迷うなら、当院リペアセルクリニックの公式LINEをご活用いただけます。 公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、高血圧について不安がある方は、ぜひ一度ご登録ください。 高血圧の薬は一生飲み続けなければなりませんか? 高血圧の治療では、一度薬を始めると服用し続けるのが基本です。 ただし、生活習慣の改善によって血圧が安定し、医師の判断で減薬・中止が可能になる方もいます。 「血圧が落ち着いているから」と自己判断で中止してしまうと、再び血圧が上昇してしまう可能性があるため、薬の減量・中止は医師の指示のもとにおこないましょう。 高血圧で頭痛を感じることはありますか? 高血圧そのものでは多くの場合、明らかな自覚症状はあらわれません。 ただし、急激に血圧が上昇した場合や重度の高血圧では、血管や心臓への急激な負荷により、頭痛やめまい、動悸などを発症する恐れがあります。 こうした症状が頻繁に見られる場合は、臓器への負担が大きくなっている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。 高血圧が高くなる時間帯はありますか? 血圧は日中の活動時にやや高くなり、睡眠中は日中よりも10〜20%ほど低くなります。(文献4) 高血圧の既往がない方でもこの変動はありますが、その数値が高い場合は「早朝高血圧」や「夜間高血圧」である可能性が高いです。 1日の変化を把握するために、家庭での血圧測定は朝と夜の決まったタイミングでおこなうと良いでしょう。 高血圧は完治しますか? 高血圧は「完治」よりも「コントロール」する病気と捉えましょう。 日本人の高血圧の約90%を占める「本態性高血圧」は、塩分の摂りすぎ、運動不足、ストレスといった生活習慣や、遺伝的な体質が複雑に絡み合って発症します。 これらの要因を根本からすべて取り除くのは難しく、一度高くなった血圧は元の正常な状態に戻りにくいのです。 そのため高血圧の治療目的は「完治」ではなく、生活習慣の改善や薬物療法により血圧を適切にコントロールし、脳卒中や心疾患などの合併症を予防することです。(文献3) 参考文献 文献1 高血圧|日本臨床内科医会 文献2 国民健康・栄養調査|政府統計の総合窓口 文献3 高血圧|国立循環器病研究センター病院 文献4 高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会 文献5 二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)|日本内分泌学会
2026.02.15 -
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「もしかして痛風?」「痛風って治るの?」「病院に行った方がいい?」そんな不安を感じていませんか。 痛風は、血液中の尿酸が増え、関節にたまって炎症を起こす病気です。 生活習慣と深い関わりがあり、放置すると何度も発作をくり返すおそれもあります。 この記事では、痛風の症状・原因・治療・予防法まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。痛風について正しく理解し、日々の生活習慣を見直すきっかけになれば幸いです。 リペアセルクリニックの公式LINEでは、気になる症状があるときに気軽に相談や予約ができる窓口を用意しています。 「痛風かも」と不安があり、タイミングを見て相談したい方はぜひご登録ください。 痛風とは「尿酸が結晶化して起こる強い炎症」 痛風は、体内にたまった「尿酸」という物質が関節で結晶となり、強い炎症を引き起こすことで発症します。(文献1) 痛風の発作が起こるメカニズム 尿酸の結晶は、体にとって異物のような存在です。 関節にたまった尿酸結晶を免疫細胞が攻撃することで、激しい炎症反応が起こります。(文献2) 炎症により激しい疼痛が生じ、「風が吹いても痛い」と表現されるほどの痛みとなります。 尿酸が結晶化する仕組み 尿酸は水に溶けにくい性質をもっており、血液中の尿酸値が7mg/dLを超えて高い状態が続くと、結晶化しやすくなります。 なかでも足の親指の付け根など、体の末端や体温の低い場所は尿酸が結晶化しやすいため、発作が起こりやすい部位となります。(文献3) 痛風が起こりやすい部位や部位別の対策については、以下の記事も参考にしてください。 痛風の症状 痛風はどんな症状が現れるのか、代表的な例を紹介します。 足の指の激痛・腫れ・熱感・皮膚の赤みが特徴 痛風でもっとも多い症状は、足の親指の付け根に突然起こる激しい痛みです。 夜間に起こることも多く、痛みとともに関節の腫れ、熱感、皮膚の赤みなどを伴います。(文献4) 初めての発作では予兆がないことが多いですが、再発をくり返す人の中には、発作の前に軽い違和感を覚える人もいます。(文献2) 痛風の初期症状については、以下の記事で詳しく解説しているため併せてご覧ください。 手首や膝などに症状が出る場合もある 初めは足の指に出ることが多いですが、痛風発作を繰り返すうちにほかの関節にも炎症が広がるケースもあります。 膝や手首、足首、足の甲、アキレス腱の付け根など、さまざまな関節が痛風の影響を受けるようになるのです。(文献2) また、慢性化してくると、関節や耳などに「痛風結節(つうふうけっせつ)」と呼ばれるしこりのようなものができることもあります。 これは尿酸の結晶がかたまりとなって皮膚の下に沈着したもので、進行すると関節の変形を招く可能性もあります。(文献4) 痛風の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 炎症による発熱やだるさ、倦怠感を伴うこともある 痛風発作は激しい関節の痛みや腫れに加えて、以下のような全身の不調が出るケースもあります。 発熱 寒気 頻脈 全身のだるさなど これらの症状は感染症や他の病気との区別がつかない場合もあるため、早急に医療機関を受診しましょう。(文献4) 痛風の原因 痛風の原因は、体内の「尿酸値」が高くなることです。 尿酸値が上がる原因は以下の3つが考えられます。 腎臓の機能低下 プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取 肥満・ストレス・激しい運動 ひとつずつ詳しくみていきましょう。 尿酸値と痛風の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 腎臓の機能低下 尿酸の大部分は腎臓を通じて尿として排出されます。 しかし、腎機能が低下していると尿酸の排出がうまくいかず、体内にたまりやすくなるのです。さらに、高尿酸状態が続くと、腎臓に悪影響を与える悪循環も生まれます。(文献5) プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取 尿酸は「プリン体」と呼ばれる物質が分解されるときに生じます。 とくにレバーや魚卵、ビールなどはプリン体が多く、過剰に摂取すると尿酸値が上がりやすくなるのです。 また、アルコールは腎臓の働きに悪影響を及ぼしたり、体内で尿酸を作るはたらきを強めたりする作用があり、痛風のリスクを高めます。(文献5) そのため「ビールではないから大丈夫」と安心して他のお酒をたくさん飲んでいると、知らないうちに尿酸値が上がってしまうおそれがあります。日本酒や焼酎、ワインなども含め、飲みすぎには注意が必要です。(文献4) こちらの記事では、痛風の人がコーヒーを飲むことの影響や注意点について解説しているため併せてご覧ください。 肥満・ストレス・激しい運動 肥満の人は、尿酸が体内でつくられる量が増えるだけでなく、腎臓からの排泄もスムーズにいかなくなるため、尿酸値が高くなりやすい傾向があります。(文献6) また、ストレスや睡眠不足はホルモンバランスや自律神経の働きに影響を与え、尿酸の代謝や排泄に悪影響を及ぼすと考えられています。 さらに、激しい運動で大量の汗をかいたときは、一時的に尿酸値が急上昇することがあるため注意が必要です。(文献7) 体重管理とともに、生活全体をととのえることが、痛風予防では大切です。 痛風の合併症 痛風をそのまま放っておくと、関節の痛みだけでなく、ほかの病気につながることもあります。 高尿酸状態が続くと、腎臓に結晶がたまりやすくなり「尿路結石」や「腎機能の低下」などのリスクが高まります。(文献2) 尿酸値が高い状態が続くと、脳卒中や心臓の疾患などのリスクを高める可能性もあるのです。 また、関節が炎症を繰り返すと、変形性関節症のリスクを高める可能性も否定できません。(文献4) つまり痛風は、単なる「関節の病気」ではなく、全身に関わる生活習慣病の一種と考えられるでしょう。 変形性関節症へと進行した場合、根本的な治療法は限られますが、「再生治療」という方法が新たな治療の選択肢として登場しています。 変形性膝関節症の治療について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 痛風の治療 痛風の治療は「発作時の対応」と「再発を防ぐための体質改善・尿酸値の管理」の2つに分けられます。 急性期の治療|患部の冷却と鎮痛薬 発作が起きている間は、痛みと炎症をおさえる治療が中心です。 消炎鎮痛剤を使用し、医師の判断で関節にステロイドを注射するケースもあります。痛む関節はなるべく動かさず、冷やして安静を保つことが基本です。(文献8) ただし、市販薬の使用や冷却の方法は症状によって異なるため、必ず医師に相談してください。 痛風発作時の適切な対処法についてさらに知りたい方は、以下の記事も役立ちます。 長期的な治療|薬物療法 痛風発作を何度も繰り返していたり、関節に痛風結節と呼ばれるしこりができていたりする場合は、尿酸値をしっかりと下げる治療が必要です。 尿酸産生を抑制する(アロプリノール、フェブキソスタット)や、尿酸の排泄を促進させる薬(ベンズブロマロン、ドヌラチドなど)が用いられます。自己判断で中断せず、医師の指示にしたがって継続することが大切です。(文献1) 治療法については、こちらの記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。 痛風の予防・再発防止方法 痛風の発作をくり返さないためには、日頃の生活習慣を見直すことがポイントです。具体的には、以下の3つを心がけると良いでしょう。 プリン体を多く含む食品やアルコールを控える 十分な量の水分を摂る 適度な運動とストレスマネジメントをする 順番に解説します。 以下の記事でも予防法を詳しく紹介しています。 プリン体を多く含む食品やアルコールを控える プリン体を多く含む食品の過剰摂取は痛風の原因のひとつです。そのため、プリン体が含まれる食品は控えましょう。 とくにレバーや魚卵、ビールなどはプリン体が多く含まれており、摂りすぎに注意が必要です。 ただし、プリン体は肉や魚にも含まれているため、「プリン体ゼロ」にこだわりすぎる必要はありません。食事のバランスをととのえ、アルコールは控えめにすることが痛風予防につながります。(文献10) 食事の工夫については以下の記事も参考にしてください。 【関連記事】 痛風の食事療法とは?食べてはいけないもの一覧やストレスをためない食生活改善のポイント 【何パック?】納豆は痛風でも食べていい?おすすめの食べ方を医師が解説 十分な量の水分を摂る 十分な量の水分を摂ることも、痛風対策には大切です。 水分をしっかり摂ることで、尿として尿酸がスムーズに排出されやすくなります。 目安は1日あたり2L程度です。 ただし、アルコールや甘い飲み物を飲みすぎてはいけません。水やお茶、白湯などを飲むよう心がけましょう。(文献7)(文献9) 適度な運動とストレスマネジメントをする ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、尿酸値のコントロールに効果的です。 ただし、激しい筋トレのような無酸素運動は逆に尿酸値を上げてしまう可能性があるため、適度な運動にしましょう。また、ストレスや睡眠不足もホルモンの影響で尿酸代謝に関わるため、日々のリラックスも大切です。(文献1) たとえば、通勤で一駅分歩く、休日に軽くサイクリングする、寝る前にストレッチでリラックスするといったことを意識すると良いでしょう。 痛風とウォーキングの関係性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 痛風をくり返さないためにも医療機関で適切な治療を受けよう 痛風は、一度発作を経験すると再発をくり返しやすい病気です。症状が落ち着いているときでも、尿酸値が高い状態を放置すると新たな発作につながるリスクがあります。 再発を防ぐには、食生活の工夫や適度な運動、水分摂取など、日常生活の見直しが欠かせません。あわせて、必要に応じて医療機関での検査や薬による治療を受けることも重要です。 とくに尿酸値が高めに続いている方や、すでに複数回発作を経験している方は、早めに受診を検討しましょう。痛風は「生活習慣病」のひとつでもあり、早期に対応することで合併症のリスクを下げ、健康を守ることにつながります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。痛風について気になる症状がある方は、ぜひ一度ご登録ください。 痛風に関するよくある質問 痛風は市販薬で治せますか? 痛風発作が出た場合、ロキソプロフェンをはじめとする市販薬で、一時的に痛みを和らげることは可能です。 ただし、根本的な原因である「高尿酸血症」を改善しない限り、再発をくり返す可能性があります。 痛風治療は症状を抑えるだけでなく、食事や運動など生活習慣を見直し、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。(文献4) 薬の選び方や副作用については、こちらの記事も参考にしてください。 痛風に良い食べ物はありますか? 低脂肪の乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)は、痛風のリスクを下げるといわれています。 また、プリン体が少ない野菜や果物、海藻などを意識的に摂り、プリン体の多い食品を控えると良いでしょう。(文献1) 尿酸値を下げる食べ物・飲み物については、こちらで詳しく解説しているため併せてご覧ください。 女性に多い痛風の原因はなんですか? 女性に多い痛風の原因は、「生活習慣」と「閉経による女性ホルモンの変化」です。 痛風は男性に起こりやすい傾向がありますが、女性にも痛風は起こります。 女性に少ないのは、女性ホルモンが尿酸の排泄に関わっているからと考えられています。 そのため、閉経後は女性ホルモンが減ることで尿酸の排泄が低下し、尿酸値が上がりやすくなるので女性でも注意が必要です。(文献3) 女性の痛風については、以下の記事で詳しく紹介しています。 参考文献 (文献1) 2019年改訂高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022年追補版|日本痛風・尿酸核酸学会 (文献2) 「痛風」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献3) 17.痛風(高尿酸血症)|一般社団法人愛知県薬剤師会 (文献4) 痛風|MSDマニュアル家庭版 (文献5) アルコールと高尿酸血症・痛風|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献6) 肥満と痛風・高尿酸血症|一般社団法人日本肥満症予防協会 (文献7) 【痛風】ある日突然、激痛におそわれます|全国健康保険協会 (文献8) 高尿酸血症・痛風の診断と治療|第 112 回日本内科学会講演会 (文献9) 高尿酸血症と食事|独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 (文献10) 高尿酸血症|健康日本21アクション支援システム Webサイト
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