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- 腱板損傷・断裂
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野球選手の肩の怪我で多い野球肩には種類があります!原因と最新治療法について メジャーリーグのドジャース山本由伸選手の肩の怪我は、最新の治療方法である「再生医療」で治療できる可能性が高いといえます。 投球やバッティングなど、腕の動作を繰り返す野球選手にとって「肩の怪我」は珍しいことではありません。 肩に問題を生じたら速やかに治療を開始する必要がありますが、どのような原因で、どのような症状を呈するのかについて知っておくことも重要です。 そこで、野球選手の肩の怪我の原因や症状、治療法について解説します。また、最近注目を集めている再生医療についてもご紹介します。 野球選手の肩の怪我は野球肩が原因の可能性が高い! 野球選手の肩の怪我の主な原因は「野球肩」によるものであると考えられます。 野球肩とは、野球の投球動作のように腕を大きく振る動作を繰り返すことにより、肩関節に関わる腱や筋、骨が損傷や炎症を起こしている状態の総称です。 そして、野球肩には種類があります。 野球肩の種類 ・腱板損傷 ・上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー) ・動揺性肩関節症(ルーズショルダー) ・肩甲上神経損傷 ・インピンジメント症候群 「腱板損傷」とは 肩の中にある筋肉の腱の複合体である腱板が損傷を起こしている症状で、日常生活における肩の痛みにより生活の質を大きく落とす可能性が高いです。 「上腕骨骨端線離開」とは 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 「肩甲上神経損傷」とは、 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、或いは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 「インピンジメント症候群」とは、 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 メジャーの山本由伸選手の肩の怪我は再生医療で早期回復を目指せる 野球選手の肩の怪我はさまざまで、その症状次第で適切な治療法は異なります。そして、概ね数週間から、長ければ年単位での肩の安静が必要です。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は有名野球選手も利用実績のある治療法であり、手術や入院を避けることができるため、体への負担が少なく、治療にかかる期間が短めであるというメリットがある治療法です。 肩の症状を早く改善し、スポーツへの早期復帰を目指せる可能性がある治療法として、画期的な方法です。最近非常に注目されています。 もしも、早くスポーツに復帰したいと考えるのであれば「再生医療」を検討してみる価値が大いにあります。 まとめ・野球選手の肩の怪我で多い野球肩の種類!原因と最新治療法について 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
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メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
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腱板損傷と腱板断裂!何がどう違う?その違いと共通点を分かりやすく解説! ここでは、肩のケガの一つである「腱板損傷」と「腱板断裂」について、その共通点と、違いについてお話します。いずれも放っておいては危ないので、こちらで確認してください。 腱板損傷ってどんなもの? 腱板断裂と何がどう違うの? そのような疑問があってこの記事にたどり着かれたのではないでしょうか。ここでは、双方の症状や原因、そして治療に至るまで平易に説明させて頂きました。疑問が解決すれば嬉しく思います。 腱板とは? 腱板とは、肩の4つのインナーマッスルが集まったもの(厳密に言うとその4つの筋群の腱部分)で、正式名称は肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。 インナーマッスルとは、その名の通り内側にある筋肉であり、より骨・関節に近い場所にある筋肉のことを指します。 そんな腱板の大きな役割は、肩関節を安定化させることです。関節が安定すると、アウターマッスル(三角筋など)が働いた時に、より効率よくスムーズに腕を動かすことができます。 腱板損傷の症状と原因 腱や靭帯の損傷とは? 筋肉や腱、靭帯はいずれも繊維状の組織が集まってできており、その一部分が傷んでいる状態のことを損傷や炎症と言います。 肩の腱板はその構造や周囲の血流の状態から、一度損傷を起こしてしまうと自然修復が難しく、ひどいものでは手術が必要となるケースもあります。 腱板損傷の症状 腱板の損傷で特徴的なのは就寝時に痛みが出る夜間痛です。また、腕を挙げる途中で痛み、上まで挙げてしまえば痛みが引くといった症状もみられます。 これは、インナーマッスルである腱板が働かなくなってしまい、関節を安定化させられないため、効率よく力を伝えられないために起こるものです。 他にも特徴的な症状がありますので下記をご参照ください。 【腱板損傷の症状】 ・就寝時に痛みが出る(夜間痛) ・腕を挙げる際、挙げ始めや途中で痛みが出る ・髪を洗う時に痛みが出る ・腕を前に伸ばすと痛む(前の物を取ろうとしたときなど) ・エプロンの紐を後ろで結ぶ時に痛む 腱板損傷の原因 腱板損傷は50代の男性に多くみられる疾患です。中年以降の腱板は、組織に変性(老化のようなもの)がみられることが多く、損傷や断裂が起こりやすい状態になっています。 肩の変性に加えて、仕事や日常生活などで重いものを無理に持ったり、肩を捻るような動きをしたり、転んで肩をぶつけたりなどの負荷がかかることで損傷を起こします。 多くはないですが、若い世代でも、肩に負担がかかるスポーツや強い衝撃が加わる事故などにより損傷を起こすこともあります。 腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点 明確な違いはない?? 実は、損傷と断裂に明確な違いはありません。損傷とは、組織の一部が傷んでいる状態と述べましたが、 「傷んでいる状態=一部切れている状態」と言い換えることもできます。 つまり、腱板損傷と呼ばれるものは腱板部分断裂と同義と捉えていいでしょう。医師によっては、分かりやすく患者さんに伝えるために、腱板損傷と腱板断裂を使い分けているケースも多くあります。 腱板断裂は、部分断裂と完全断裂に分けられる 腱板断裂は大きく2つに分けられます。 その2つとは、腱板部分断裂(不全断裂)と腱板完全断裂です。 【腱板部分断裂】 ・関節面に近いところで起こる関節面断裂 ・腱板の表層を覆う滑液包に近いところで起こる滑液包面断裂 ・腱板の腱内部で起こる腱内断裂 【腱板完全断裂】 ・腱が深く切れており、腱板を上から見た際に中の関節が見えてしまっている状態 出典『肩関節インピンジメント症候群』臨床スポーツ医学.30(5).2013より引用 腱板断裂には、上記のような違いがあります。 さらに、断裂の幅が狭い、広いなどの範囲の違いも分類されることがありますが、ここでは割愛させていただきます。 腱板損傷から腱板断裂へと進行する? ここでは腱板部分断裂から完全断裂へと移行するのかどうかで話を進めていきます。結論から言いますと、腱板断裂は進行します。 例えば、下の写真のようなペーパー状の1枚のゴムがあります。 これを腱板と見立てましょう。 ゴムは劣化するとすぐ切れてしまいますよね?最初は小さな穴だったものが、引っ張る力が繰り返しかかるとどんどん広がっていきます。このゴムのように簡単には広がりませんが、イメージはそのような感じです。 つまり、小さな穴(=腱板損傷、腱板部分断裂)が無理に動かし続けることで大きな穴(=腱板完全断裂、広範囲断裂)へと広がってしまいます。 腱板完全断裂でしかも広範囲となると、リハビリだけではなかなか症状の改善が難しいのが正直なところです。いかに進行を抑えるかが、腱板断裂の重症化予防のカギとなります。 腱板損傷と腱板断裂の治療方法 腱板損傷・断裂の治療法は、大きく保存療法と手術療法の2つに分けられます。 保存療法では以下のような治療法があります。 保存療法 リハビリテーション ・関節の動く範囲を広げる可動域訓練 ・損傷している筋・腱をカバーするための筋力訓練 ・肩の正常な動きを促す機能訓練 ・痛みを和らげるための物理療法(電気治療や温熱治療) ・テーピング処置(スポーツを行う人など) ・日常生活の動作指導 寝方指導 ・腱板損傷では夜間の就寝時に痛みが増強することが多いため、肩にかかる負担を極力減らした寝方を指導 薬物療法 ・痛みが強い時期には炎症を抑えるための消炎鎮痛薬を処方 ・関節内や関節外の軟部組織に対しての注射 いずれも軽度〜中等度の腱板損傷に有効です。 手術療法では以下のようなものがあります。 手術療法 関節鏡視下手術 関節鏡視下手術は、現在の肩腱板損傷の手術の多くを占めている手術方法です。傷口が小さくすみ、手術後の経過が早いのが特徴です。 方法は、肩に穴を空け、一方にカメラを、他方に操作する器具を入れて行います。そして、切れた腱をもともとついている上腕骨に打ち込んで止めます。 手術後は、安静期間を経た後に、徐々に関節を動かしていきます。術後、3ヶ月程度で日常生活はほぼ問題なく行えます。 仕事で重労働が必要な方は、おおよそ6ヶ月必要となりますのでご注意ください。 人工肩関節置換術 広範囲な腱板断裂や関節に変形がみられるケースでは、人工関節を入れる場合があります。人工関節といえば、股関節や膝関節がメジャーですが、肩にもあるのです。 関節の状態や、どのくらい動かせるかなどによって種類も様々ですが、ある程度は痛みなく動かせるようになります。重いものを持つ、スポーツで激しい運動をする場合は、医師と話し合って勝手にやらないことをおすすめします。 まとめ・腱板損傷と腱板断裂!その違いと共通点を医師が分かりやすく解説! 今回は、腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点についてお話しました。 結局のところ明確な違いはないとお伝えしましたが、医師によって使い分けていることがありますので、どのくらい切れているのか、どのような治療が望ましいのか確認した方がいいでしょう。 五十肩だと思って放っておくと、広範囲の腱板断裂を引き起こしかねませんので、痛みや動きづらさでお悩みの際は、専門の医師にご相談ください。 ご参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷・腱板断裂を治療する 腱板損傷・腱板断裂は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼肩の腱板損傷をさらに詳しくご説明します 腱板損傷とは|その症状と治療法|原因と予防方法ついて ▼肩の腱板断裂を詳しくご説明します 腱板断裂とは|その症状と原因、治療法について
2022.10.17 -
- 腱板損傷・断裂
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肩の腱板損傷|その症状と保存療法(リハビリ)について 肩の痛みに悩まされる人が多いですが、その症状、『腱板損傷』かも知れません。 あなたが五十肩だと思っているその痛みも、放っておくとどんどん上がらなくなる・・・かも?! 今回は、腱板損傷の保存的治療方法を中心に解説していきます。 腱板損傷の症状 腱板を損傷すると、以下のような症状がみられます。 腱板損傷の症状 ・夜眠れないほどの痛みが出る ・手を上げる時、ある一定の範囲だけ痛みや引っかかり感が出る ・手を水平の位置に保てない ・手を上げる時に肩全体が上がってしまう(腕の上げ方が左右で違う) ・肩の筋肉(特に棘下筋)の萎縮が進み、見た目でわかる 腱板損傷の症状で多くみられるのが、「夜間痛」です。 その名の通り、夜寝ている時に痛みがひどくなり眠れない、という声がよく聞かれます。 腱板損傷とは 腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩の奥の筋肉です。正式名称は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)であり、以下の4つの筋肉からなります。 腱板とは ・棘上筋 ・棘下筋 ・小円筋 ・肩甲下筋 肩の上腕骨の骨頭と呼ばれる部分を包み込むように付着し、一枚の板のように並んでいるため腱板と言われています。 腱板の役割 この4つの筋肉は、肩を動かす上で非常に重要な役割を担います。肩にはアウターマッスルとインナーマッスルとがあり、腱板はインナーマッスルに属します。 肩の筋肉 役割 筋肉の位置 アウターマッスル 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋 関節を安定させてアウターマッスルを働きやすくする より関節に近いところに位置する インナーマッスル 三角筋、上腕二頭筋など 速くて強い力を生み出す 体の表層 腱板の基本的な役割について説明しました。小さい筋肉ですが、非常に重要な働きをしてくれます。 腱板損傷とはどのような状態なのか そんな腱板が損傷した状態とはどのようなものなのでしょうか。 腱板は筋肉や腱のことであり、他の筋肉、腱と同じで線維状になっています。その線維が部分的に傷んでいる、切れている状態が腱板損傷です。損傷がひどく、一部または大部分に断裂がみられるものは腱板断裂と呼ばれています。 腱板損傷、腱板断裂は、筋肉や腱の変性が起きやすい50代以降の男性に多くみられます。発症のピークは60歳代です。 若い世代でも、肩を酷使するスポーツ選手などにもみられることもあるため、医療機関できちんと検査をすることをおすすめします。 腱板損傷の原因 前述したように、中年以降に多くみられることから、筋肉や腱などの加齢による変性が大きく関わってきます。 腱板が損傷する原因 ・筋肉や腱などの軟部組織の変性が起こりやすい中年男性 ・重い荷物を持ち運ぶ ・野球など投げる動作を繰り返すスポーツ ・後ろのものを取ろうとして不自然な肩の動きをしてしまう ・転んだ拍子に手をつく、もしくは肩を打つ 上記の通り、肩に負担のかかる動作を繰り返すと発症しやすくなります。例えば、重いものを抱える配送の仕事や、肩に強い負荷がかかる野球のピッチャーなどです。 他にも様々な原因で腱板損傷が起こります。 腱板損傷の診断 腱板損傷はレントゲンでは分かりにくく、よく五十肩と勘違いされます。そのため、正確な診断にはMRIやエコー検査などが用いられます。 他にも、前述した腱板損傷の所見を、視診や触診で確認することも重要です。他の肩関節疾患との鑑別を正確にすることで、今後の治療方針を早期に決めることができるため、気になる症状がありましたら早期に医療機関へ受診することをオススメします。 腱板損傷の保存療法(リハビリ) 腱板損傷の治療法には外科的な処置を施す「手術療法」と、注射やリハビリなどで機能の改善を図る「保存療法」とに分けられます。 ここでは、保存療法を中心に詳しくご紹介します。 腱板が傷んでしまうと、その性質から腱板自体が自然に修復するのは難しいのです。 そのため、腱板損傷を発症してしまったら以下のことに留意し、リハビリ等の治療にあたります。 保存療法の目的 ①痛みを減らし、悪循環を断つ ②痛んだ腱板への負荷をできる限り減らす ③肩周囲の動きを良くする 順番に解説していきます。 ①痛みを減らし、悪循環を断つ まず一番に対処すべき症状は痛みです。痛みが残っていると脳がその痛みを覚えてしまい、長引くことがあります。 さらに、痛みが続くと無意識に患部を動かさなくなってしまいます。そうなると関節の動きが悪くなり、結果的に肩関節に機能低下が生じてしまうのです。 痛み → 動かさない → 肩関節の機能低下 → 痛み ではどのように対処していけばいいのでしょうか。 医療機関を受診すると、痛み止めの注射やお薬を処方されることがあります。原因を根本的に治す治療ではないのですが、痛みを一時的にでも抑えることは大切なことです。 また、腱板損傷の方は夜間痛を訴えるケースが多くみられます。痛みのせいで悪い寝姿勢になっている人もしばしば見受けられます。 そこで試して欲しいのが、寝る姿勢の調節です。具体的には以下の通りです。 夜間痛をけいげんするための寝姿勢 ・上半身を少し高くして寝る ・寝る時に痛い方の腕の下にバスタオルを敷き、リラックスした姿勢を保つ ・抱き枕で横向きに寝る しっかり睡眠をとることは、脳や体に良い休息を与え、自律神経の改善につながります。そうすると余分な筋肉の緊張も抜け、痛みが軽くなることがあります。 ②傷んだ腱板への負担をできる限り減らそう 一度傷んでしまった腱板は自然修復が難しく、より重度の損傷が起きてしまうと手術が必要なケースもあります。そのため、余計なストレスをかけず重症化を防ぐことが大切です。 痛んだ腱板の負担を少なくするための注意点 ・重いものを持たない →どうしても持たなければならない場合は、以下のことに注意しましょう。 ・小分けにする ・腰をしっかり落として体の近くで持つ ・急に持ち上げない ・無理な体勢で物を取ろうとしない ・痛みが出ている肩を下向きにして寝ない 以上のことに気をつけて過ごしましょう。 ③肩周囲の動きを良くする 胸の中心にある胸骨、鎖骨、肩甲骨、肋骨など周辺にある様々な骨や関節を総合して『肩』と言います。 つまり、肩を効率的に動かすためには、これらの部位もしっかり動かせることが重要です。 特に鎖骨周りや肩甲骨などは動きが悪くなることが多いので、鎖骨周りのセルフマッサージや、肩甲骨を意識した肩回しをするなど、意識的に動かしましょう。 スポーツを行う人はトレーニングの他にテーピングも有効 スポーツ中のケガで腱板損傷を発症する方もいらっしゃいます。もちろんリハビリやトレーニング等で機能を戻すことが大前提ですが、場合によってはテーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 今回は例として、棘上筋、棘下筋、小円筋をサポートするテーピングを巻いています。テーピングをすることで動きに違和感を覚えるかもしれませんが、安定性が増し、より安全にスポーツを行うことができます。 しかし、テーピングにも限界があります。痛みが強く出てしまう時は、無理せず患部の鎮痛および機能回復を待ちましょう。 まとめ・肩の腱板損傷|その症状と保存療法(リハビリ)について 今回は、腱板損傷の病態と症状、保存療法であるリハビリについてご紹介しました。 腱板損傷は、他の肩の疾患と見分けがつきにくく、医療機関に受診しても見落とされることがあります。しかし、ほとんどの場合は詳しい検査で分かります。 自分の素人判断で五十肩だろう…と決めつけることなく、痛みがあったり長引いたりする時は迷わず医療機関にご相談下さい。そして適切な治療を受け、不安を排して快適な日常を少しでも早く取り戻しましょう。 以上、肩の腱板損傷の症状と機能改善を目指す保存療法(リハビリ)について記してまいりました。 ご参考になれば幸いです。 ▼以下もご産国ください 腱板損傷|発症後、段階別の注意点とリハビリについて
2022.10.08 -
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、入院もなしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
肩の腱板断裂は放置では治りません!医療機関での受診が必要なことをご説明します 肩の腱板断裂(けんばんだんれつ)について どんな症状? どんな年齢層で多く起きるの? 腱板断裂を分かりやすく症状で表すと、「肩上がらない」、「肩が痛い」、「夜寝ていると、肩が痛くて眠れない」、「腕を上げようとしても力が入らない」、「腕を上げるときに肩の前の方で変な音がする」、などといったものになります。 年齢的には、40歳以上の男性に、特に60歳代の方に多くみられる病気になります。 ところが肩が痛くて、40歳以上で・・・というと、「四十肩?、五十肩!?」と思われる方が多いのではないでしょうか?では、「五十肩」とはどう違うのでしょう? 「五十肩」は別名「凍結肩」とも呼ばれているように、関節の動きが固まってしまうものです。 これに対して、「腱板断裂」では、痛みはあっても反対側の手を添えたりすると肩を動かすことができるので肩が動くか、動かないかが大きな違いになります。 腱板断裂 症状 発症しやすい年代 ・肩が上がらない ・肩が痛い ・肩が痛くて眠れない ・腕を上げようとしても力が入らない ・腕を上げると肩の前の方で変な音がする 40代以上の男性に多い 60歳代に多くみられる 肩の腱板って何ですか? 肩の腱板とは、肩関節の中にあり、いわゆる「腱」が筋肉とつながっているために板のようにみえるグループ構造のことで、肩関節の動きを支えています。 肩関節とは、鎖骨(身体の正面、首のしたで中心から左右に伸びる骨)、肩甲骨(肩の後ろの翼のような形の骨)、上腕骨(いわゆる腕の骨)に囲まれた部分です。 肩関節の動きはとても複雑なことができます。例えば、肩をぐるぐる回したり、手(腕)を上に挙げたり、手を後ろに回したり、肘は体につけて「小さく前にならえ」のような動きをしたり、様々な動きができます。 以下のような動きに関係しているのが肩の腱板です。 ・手を横に広げて上げてくる時(鳥が翼を大きく広げるような動作)には「棘上筋」 ・小さく前にならえの姿勢から手を外側に広げる時の動きは「棘下筋」「小円筋」 ・手を体の後ろで組んで少し体から離すような動きの時は「肩甲下筋」 腱板断裂のタイプには、「完全断裂」と「不全断裂」があります。これは、治療方針を決める上で大事になります。 腱板断裂はどんな時に起きるのか? 腱板断裂は、大きく分けて3つあります。 また、スポーツ選手などの活動性の高い人たちの肩の使いすぎで腱板断裂が起きることもあります。野球選手のシーズンオフのニュースなどでも時々耳にすることがあるので、「腱板断裂」という言葉は結構身近に耳にする言葉かもしれません。 (1)転んでしまった時などの怪我を原因とするもの (2)スポーツが原因となるもの (3)主に年齢が上がるにつれて腱板が徐々にすり減っていくことを原因とするもの 明らかに転んでしまった、などの怪我が原因の場合は、多くの方が整形外科を早めに受診されるので、その際にレントゲン撮影、超音波検査、MRI検査などをして診断されることが多いので、適切な治療を早めに開始することができます。 一方で、徐々に腱板がすり減っていって腱板断裂を起こしてしまった場合は、整形外科受診のタイミングを逃してしまう方も多く、「なんとなく肩が痛かったけど、騙しだまし、やってきた・・・、日常生活に不足なかったから」などの理由で放置されることが多く、それも障害がある限りは限界がきます。 そういえば、いつだったか、ずいぶん前にちょっと転んだけど、しばらくしたら痛くなくなって、病院では診てもらわずに放っておいたというのは、よく聞く話です。 こういう方々は、実際に整形外科の受診時に 「ひどい痛みで肩が動かない、、、。日常生活に支障が出てきて困っている!なんとかしてほしい!!」となることがあります。 また、スポーツで断裂が起こる場合は大きく次の3つのタイプに分かれます。 1)慢性障害 野球や、バレーボール、水泳など、肩を大きく回す動作を日常的に繰り返すことで起こります。筋肉の疲労を伴うもので完全に断裂することはあまりなく、多くは部分断裂です。 2)急性障害 急激に大きな力が掛かり急性に完全断裂が起こることがあります。ジムでの筋力トレーニングや、体操、テニス等で見られます。 3)外傷型障害 衝突や転倒により生じる症状です。スキーやスノーボード、ラグビーやサッカーなどで多く見られます。 腱板断裂は放置しないで肩に違和感があれば医療機関を受診する 腱板断裂は放っておけば断裂してしまった部分が自然に修復されるなどということは期待できません。つまり、なんらかの対策、治療や、リハビリテーションが必要となります。 痛みが無くて、日常生活に不便がない場合でも、放置した場合は、肩の機能は低下していきます。また別の病気に移行する危険性があります。 転倒や、スポーツなどの急な怪我で腱板断裂が起きてしまった場合、または肩に違和感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。三角巾などで1−2週間安静にしていただき、強い痛みがある場合は炎症を抑えるための鎮痛剤の内服あるいは、ステロイド注射などの「薬物療法」、湿布、テーピングなども使いつつ、残った部分の腱板や肩回りの筋肉の増強に向けたリハビリテーションを行います。 これで約70%の方が状態は良くなります。しかし、肩の痛みが続き、肩の動きも思うようにままならない場合は、手術(断裂部の修復手術など)も検討しなければなりません。 まとめ・肩の腱板断裂は放置で治りません!早めに受診されることをお勧めします 腱板断裂の症状は、全ての人に痛みが強く出るものではありません。腱板断裂ではあるが痛みがなく、肩が動いて日常生活に不便がない無症候性腱板断裂という方もおられます。また、無症状ではないものの日常の生活には支障がない方もおられます。 そのような方々が腱板断裂を放置する選択をされ(痛くない、支障がない)ますが、肩の機能は低下していくため、最終的に困った状態になってから医療機関を受診されるということになります。 そうなった場合の問題は、症状が進行してしまい極端な場合は、手術による修復が難しく、太ももの筋膜の移植、人工関節手術を検討する羽目になりかねません。まだ、大丈夫と自分で判断するのは重症化のリスクをはらんでいることをご理解ください。 ここまで肩の腱板断裂と放置による危険性を記してまいりました。明らかな痛みや、症状がある場合に病院等、医療機関を受診された方は、スムーズに治療に入れるため放置にはなりません。 肩に軽い痛みや違和感があるだけでは、つい病院等に行きそびれてしまったり、あまり痛まない、肩が上がるから大丈夫などと自己判断で腱板断裂を放置すると症状が悪化することがあります。 日常生活に支障がないからと放置するのではなく、肩に痛み、違和感を感じたら整形外科等、医療機関を受診し、治療は勿論、現状の把握と万一、放置した場合のリスクについて説明を受け、ぜひ前向きに治療を開始されることをお勧めいたします。 ▼ 肩の再生医療 肩の違和感、痛み、再生医療による治療が可能な場合があります ▼こちらも合わせてご覧ください 腱板断裂と四十肩(五十肩)はどう違うのか
2022.07.05 -
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- 肩関節、その他疾患
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腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 肩が痛む時に診断される病気として、「五十肩(四十肩)」と「腱板断裂」とがあります。 『なんだか最近肩が痛いな、年齢のせいかな』『最近肩を動かし過ぎたせいかな』『時間が経てばそのうち治るかな、様子をみよう』などと考え、五十肩(四十肩)だろう…と思って放置していると、実は腱板断裂で治療が必要な状態ということもあります。 そこで、腱板断裂と五十肩はどう違うのかについて比較していこうと思います。 ちなみに「四十肩も五十肩も基本的に同じ」ものです。この名称は、40代〜50代で発症することが多いため、四十肩または、五十肩という名称で呼ばれています。 五十肩(四十肩)とは?!(肩関節周囲炎) 年齢を重ねると肩の動きが悪くなって、手をあげる時や、髪の毛を洗う時などに肩が痛みを感じたり、肩の動きが悪くなったり、肩が強張ることがあります。これを世間では四十肩・五十肩と言いますが、『肩関節周囲炎』という診断名が正式名称です。 原因は、『四十』『五十』と言う文字の通り、加齢による影響と、過度に肩を使ったりした際の過労と言われています。それらの原因が、肩関節を構成している骨や軟骨、靭帯、腱などを痛めて肩関節の周りの組織に炎症を起こすことが原因と言われています。 四十肩で動きが悪くなる原因としては、肩関節の動きをよくするための袋(肩峰下滑液包)や関節を包み込んでいる袋(関節包)が、『くっつくこと』と言われています。 四十肩は、世間でも『そのままにしておいても時が来れば治る』と考えられているように、自然に治ることもあります。しかし放置しておくと、先ほど述べたような関節の周りにある『袋のくっつき』が強くなって余計に動かしにくくなることもあるのです。 そのため、症状の進行に合わせて様々な治療を用いることがあります。三角巾などで安静を保つことも治療法の一つです。また、炎症をおさえる薬を使用することもあります。 炎症をおさえる薬は内服をしたり、肩に注射をしたりします。その他には、温めたり、入浴などといった温熱療法を行ったり、関節がかたくなるのを予防したり、筋肉をつけたりといったリハビリが治療のために必要なこともあります。しかし、これらの治療でよくならない時は手術が必要なこともあります。 腱板断裂とは 腱板断裂も中年以降の肩の病気として有名です。腱板断裂はその診断名が表しているように『腱板』が『断裂する=切れて裂ける』病気です。 四十肩と異なり肩の関節の動きが悪くなることは少なく、肩をあげることは可能であることが多いですが、肩の運動痛、肩の夜間痛といった症状は多いと言われています。 腱板断裂で病院に来る患者さんの理由としては、夜も肩に痛みがあり眠れないというのが、いちばん多いようです。また、肩をあげる時に肩の前で『ジョリジョリ』という音が聞こえるという症状がみられることもあります。 腱板断裂の原因としては外傷のことは少なく、はっきり原因がないのに、日常生活の中で少しずつ断裂が起きていくと言われています。利き腕に多いと言われているので、肩を過度に使い過ぎることも原因の一つなのではないかと言われています。 腱板断裂の治療については、三角巾を用いて安静を保つことが大事です。1週間から2週間を安静で保つことで70%は改善するとも言われています。また、肩にヒアルロン酸や副腎皮質ホルモンの注射を打ったりすることもあります。それらの症状で改善しない時は手術が適応となることもあります。 手術では関節鏡という機械を使用して行うものと、直接切って開いて行うものとあります。 関節鏡を用いる手術の方が、傷口は小さく、手術の後の痛みも少ないです。しかし、断裂が大きくなると、縫うことが、関節鏡による手術では難しくなり、直接切り開く方法を取られることが多いです。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い 腱板断裂と四十肩は非常に似ています。症状も似ていますし、発症する年齢もどちらも四十代〜五十代の中年世代が多いです。 腱板断裂と五十肩では何が違うのか 自分でわかる範囲内の症状としては、先ほど触れたように『腱板断裂は四十肩に比べて、肩の動きが悪くなることが少ない』『腱板断裂は四十肩に比べて夜間の痛みが多い』『腱板断裂ではジョリジョリという音が聞こえる』と言った程度でかなり似ています。 診断の場面でも、身体診察だけではどちらの疾患かわからないことが多いのです。そこで実際の診療では、腱板断裂、四十肩どちらも、レントゲンやM R Iを行って診断していきます。 腱板断裂ではレントゲンを撮影して、肩峰という骨と骨頭の間が狭くなっていたりします。 また腱板断裂ではM R Iを撮影すると骨頭の上が白く光ったりします。一方で、四十肩を診断する時は、レントゲンやM R Iなどで、このような所見がないことを確認することが大事と言われています。 まとめ・腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 何度も述べているように、自分でわかる症状では腱板断裂と四十肩はかなり似ています。『四十肩と思って放置していたら、実は腱板断裂だった』『症状がどんどん悪くなっていってしまい治療が遅れた』『治療が遅れたため、なかなか良くならずに手術が必要になってしまった』などのことはよく耳にします。 腱板断裂と四十肩は症状が似ていても、別々の病気です。自分の判断でどちらかと決めずに、手遅れになる前に、症状が出た際は早めに専門科に相談するのが良いでしょう。 以上、腱板断裂と四十肩はどう違うのかについてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらもご参考にしてください 五十肩・四十肩の腕を上げると肩関節が痛む症状におすすめの治療法
2022.06.10 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板断裂(腱板損傷)とは、肩の関節を安定させるための筋肉(腱板)が傷ついたり、腱組織が断裂して切れていたりする病気です。 腱板は、肩のなかで最も損傷を受ける部位であり、腱板が損傷すると腕の力が入らなくなり、とくに腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。また、夜に激しく痛み、眠れなくなる経験をした方もいるのではないでしょうか。 本記事では、肩に激しい痛みを起こす腱板断裂(腱板損傷)において、やってはいけないことや先端医療による治療について詳しく解説します。 日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作を避けて安静を保つと良いのか、この記事を参考に取り入れてみてください。 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ 腱板損傷直後は基本的に、肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用いて、腕の動きを最小限にするように配慮します。 安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことは、以下の4つです。 ・頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 ・首の後ろで腕を動かす動作 ・上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 肩を後方に回した位置で行う運動腱板損傷後に避けるべき動作を紹介しますので、一つずつチェックしながら症状を悪化させないようにしていきましょう。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 腱板損傷を発症した後、とくに発症初期は以下のような動作や運動は控えたほうが良いでしょう。 ・頭上に手を持っていく動作 ・頭上へ重いモノを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作) また、ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにします。これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があるのです。 したがって、腱板損傷後は「オーバーヘッドでボールを投げること」「重いボールを上半身の力に頼って投げること」「水泳のクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げる」ようなストロークを避ける必要があります。 首の後ろで腕を動かす動作 バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。 この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。この動作の問題は、肩の「外旋(骨を外側にねじるような運動)」にあります。 頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。 この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなりかねません。 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 別名アップライトローと呼ばれる動作のことです。 アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。 アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。 このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は「内旋」と呼ばれ、アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。 肩を後方に回した位置で行う上運動 ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。 具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。 ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度な負荷がかかります。 肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。 腱板断裂(腱板損傷)が改善しない場合は再生医療による治療の可能性 腱板損傷は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着きますが、放置すると悪化する恐れがあり、最悪の場合、完全断裂のリスクがあります。症状が改善されなければ、手術が必要になることも考えなければなりません。 しかし、近年では身体への負担が大きい手術を回避でき、入院や長期間のリハビリが不要の「再生医療」といわれる先端医療で、損傷した腱板の再生を期待できます。 もしも、あなたが腱板損傷の症状が改善されていない、手術が必要な状況でしたら、再生医療を検討されても良いかもしれません。 このように再生医療による治療の可能性はありますが、まずは放置せず、手遅れになる前に整形外科医を受診して、適切な治療を進めていきましょう。 まとめ|腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことに注意して負担を減らそう! 本記事では、腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないこと4つをご説明しました。 腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術を検討しなければなりません。しっかりと安静を保ち、保存的治療に反応すれば、完治も期待できます。 術後も含め、治療の一貫でリハビリを行うこともありますので、もし避けるべき動作についてさらに詳しく知りたい場合は、リハビリの機会などを活用して相談してみることをおすすめいたします。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷をはじめとする肩に関する病気にお悩みの方を対象に、無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。 腱板断裂(腱板損傷)やってはいけないことのよくある質問 腱板断裂(腱板損傷)を放置するとどうなる? 放置した場合、肩の機能が低下し、別の病気に移行する可能性があります。腱板断裂を放置しても自然に治ることは期待できず、治療やリハビリが欠かせません。 放置をして、症状が進行すると手術による修復が難しいだけでなく、人工関節手術を検討する可能性もあります。 以下の記事で、腱板断裂を放置するリスクなどについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 腱板断裂(腱板損傷)はどれくらいで治る? 損傷の程度によって異なりますが、日常生活できるまでは2〜3カ月が目安です。 肩周囲に多くの負担をかけるスポーツや重労働の場合は、6カ月を目安としてください。 治療方法によっても回復期間は変わるため、専門医と相談しながら適切な対応が重要です。
2022.06.09 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
・肩の痛みがなかなか治らない ・運動中や夜に肩が痛む ・肩は上がるのに痛みがひかない 当クリニックでは、上記のような相談を受けるケースが頻繁に発生しており、多くの方が「肩の痛み」に関するお悩みを抱えている印象を受けます。 そこで本記事では、肩の痛みの代表的な原因である「腱板断裂」についてご紹介いたします。 原因や症状、治療法までを医師が詳しく解説しているので、腱板断裂を疑う痛みを発症中の方は最後までご確認いただき、症状の改善へ繋げていただけると幸いです。 腱板断裂とは!その原因や症状、治療法について 腱板断裂とは、上腕骨と肩甲骨をつないでいる腱組織が断裂して切れてしまう状態を指しています。 肩に強い痛みを自覚するところは、いわゆる「四十肩や五十肩」に類似していますが、それらの疾患は自然に軽快するケースが大半です。一方で、腱板断裂は肩に力が入りにくく、痛みが長期的に継続するために適切に治療する必要があります。 今回は、腱板断裂とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説します。 腱板断裂の原因 一般的に肩の痛みを引き起こす疾患には色々なものがありますが、整形外科領域で広く知られている代表的な病気に「腱板断裂」が挙げられます。 腱板断裂では腱板の老化などが影響して中高年の方々が多く罹患する傾向にあり、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの腱から構成される腱板の断裂で肩の痛みを自覚します。 本疾患は腱板組織が年齢を重ねるごとに脆くなってくるために発症するパターンが最も多く、それ以外にも外傷によるものが半数、あるいは肩の使いすぎが原因となっている症例も少なからず存在します。 外傷では、転んで肩を強打したケースのみならず手を軽く突いただけでも肩関節部に相対的な負担がかかって腱板部が損傷、あるいは断裂を引き起こすことがあります。 そして、例えば野球のピッチャーが投球動作を繰り返す、力仕事に長年従事されてきた人なども肩関節のオーバーユース(使いすぎ)によって比較的、腱板損傷を発症する例が多くあります。 腱板断裂、原因の一例 ・加齢 ・使いすぎ ・外傷(外的な衝撃) ・スポーツ いずれもオーバーユース(使いすぎ)が原因 腱板断裂の症状 40歳以上の男性で特に右肩に発生しやすい腱板断裂は、運動時における肩の痛みや夜間痛を訴えやすいのですが、肩の挙上(腕を上げる動作)自体は可能であることが多いとされています。 一般的に、本疾患が四十肩や五十肩と異なる点としては、肩関節が拘縮して関節部の動きが固くなることがあり、肩関節を挙上しようとすると力が入りにくい、あるいは挙上時に肩の部分でジョリジョリという軋轢音が聞こえることもあります。 腱板断裂は通常では肩関節に存在する腱板組織が裂けて起こりますが、ほとんどの場合、断裂を引き起こした初期の段階では断裂部の範囲は小さいと考えられています。 ところが、症状を放置すると次第に断裂部が大きくなり、病状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れがあります。発症初期の段階で早期受診を心がけることが大切です。 ▼こちらも併せてご覧ください 腱板損傷の判断で使う評価テストとは? 腱板断裂の治療方法 腱板断裂の治療方法について、その症状に応じてリハビリによって治療する「保存療法」と、保存療法での改善が目指せない場合の「手術療法」があります。そして近年、先端治療として注目を集める「再生医療」と言われる第三の選択肢があります。それぞれ解説してまいります。 1.保存療法 腱板断裂では、診断が遅れてしまうと症状が進行したり、改善が難しくなってしまうことがあるため、肩を痛めたと自覚した際には、早期に整形外科をはじめとした医療機関の受診に踏み切ることが重要です。 一般的に、外傷によって腱板断裂を認めた際には、三角巾で数週間安静を保持します。断裂部そのものが完全に修復治癒することはないものの、約7割は症状が軽快すると考えられています。 仮に腱板断裂に加えて肩関節周囲炎を合併し、強い夜間痛を認めた場合には、炎症を抑制する副腎皮質ホルモンと鎮痛作用を有する麻酔剤を肩峰下滑液包に局所的に注射して症状推移を経過観察します。 腱板を構成する腱組織すべてが一気に断裂することはほとんど無いと言われています。断裂部以外の健常に残っている腱板機能を活性化させて強靭化することが重要であり、このような腱板機能をリハビリ訓練する手段は有効です。 また、ストレッチ運動で腱板断裂が完全に治癒することは期待できませんが、関節の可動域を良好にする、あるいは腱板周囲の筋肉群の緊張を和らげて肩の痛みを軽減させる効果があります。 2.手術療法 万が一、保存的な療法で肩関節部における痛みといった症状と運動機能の障害が改善しない場合には、関節鏡視下手術や直視下手術などの根治的治療策が考慮されます。 前者の関節鏡視下手術の方がより低侵襲(身体的に少ない負担)で患者さんに優しく、術後の痛みが少ないと考えられていますが、大きな断裂になると、それでは縫合処置が困難であることも指摘されていますので、後者の直視下手術を選択する場合があります。 腱板断裂に関しては治療後再断裂のリスクも懸念されています。これは縫合した糸が筋肉や腱板と擦れることで引き起こされます。もしも再断裂を起こすと損傷範囲が大きくなり、修復がさらに難しくなるだけでなく、もう一度手術を受けなくてはいけないという精神的な苦痛も与えることになりますので、術後の再発防止には慎重に取り組む必要があります。 再断裂防止にはいずれの手術や加療を選択したとしても、術後は約1か月間にわたる患部固定が必要です。術後の固定には患部へのストレスを軽減させる装具を使用します。装具は脱着が可能ですが、基本的には患部を動かさないために装具を装着して生活しますので、日常生活動作に大きく制限がかかります。 さらに固定期間が1ヶ月に及ぶと、関節周囲の組織に癒着が起こり、肩が動かしにくくなる「関節拘縮」が生じることも多いです。関節拘縮を防ぐためには、数か月に及ぶ肩関節部の機能訓練、リハビリの継続が最善です。 3.手術に代わる新たな治療法(手術がしたくない、入院を避けたい) このように手術による治療は、慎重かつ根気強くリハビリをしなければならないため、術後しばらくの間安静が取れない方やリハビリの時間が作れない方、仕事や家事で手を使わなければいけない方などにとってはハードルの高い治療とも言えます。 ところが近年、手術を受けなくとも腱板断裂を修復する幹細胞治療といわれる再生医療があります。幹細胞とは体の様々な組織に分化できる細胞であり、腱板も例外ではないです。もともと腱板は血流が乏しく組織的にも脆いにも関わらず、腕を動かすと腱板は引っ張られるため、損傷した箇所を広げようとする力が働きます。このような状態では腱板はなかなか自然に治癒しませんが、幹細胞の力を使えば断裂した腱板の修復が可能です。 幹細胞を使った再生医療であれば、糸で縫い合わせるような治療ではなく注射による治療のため、再断裂のリスクが極めて少ないです。一方手術をした場合では、わずか数年でも再断裂が多くみられますので、この点において再生医療のメリットは大きいといえます。 しかも幹細胞による治療であれば、再断裂のリスクが少ないため術後のような長期間の固定が必要ありませんので、痛みが出ない範囲であれば日常生活に制限はありません。再生医療においてもリハビリに取り組むことは重要ですが、拘縮を引き起こす治療方法ではないため、術後のように緻密な計画に沿ったリハビリを必要としないのもメリットの1つです。 もちろん手術を受けてしっかりとリハビリに取り組めば、上記のような後遺症があったとしても7割近い満足度があります。ところが再生医療では手術の後遺症を引き起こす恐れが少なく、高い除痛効果や可動域の改善もみられるため、9割近い満足度があるといわれています。 手術後の腱板断裂にも再生医療が効果大! 実は腱板損傷に対する再生医療では、手術を受けた後の場合であっても効果が発揮されます。先述しましたように手術で腱板を縫い合わせると、縫合した部分から再び断裂を引き起こす割合が高く、せっかく手術を受けても腱板の断裂部分が小〜中等度であれば10〜30%、断裂部分が大きいと40〜60%の確率で再断裂が発生します。 そのため再断裂を回避するには、手術よりも再生医療の方がリスクの少ない選択と言えますが、術後の再断裂の予防としても再生医療は効果を発揮します。もし腱板断裂の手術を受けたけれど、再断裂を起こさないように更なる修復を望むのであれば、手術後に再生医療を併用すると再断裂の確率を抑えることができます。 さらに再生医療の併用で、術後に発生する疼痛の抑制も期待でき、計画通りにリハビリを進めやすくなります。 このように手術療法のデメリットを受けることなく腱板断裂を修復できる治療法として、そして手術療法のデメリットをフォローできる治療法としても、「幹細胞治療による再生医療」が注目を集めています。 ▶こちらの動画で詳しく解説しています。是非ご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=bKupVfsXpHM まとめ・腱板断裂とは!その原因や症状、治療法について 今回は腱板断裂とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などについて詳しく解説してきました。腱板断裂は、肩のインナーマッスルである4種類の腱板筋群の腱組織が断裂して切れてしまう状態を意味しています。 主に上腕骨と肩甲骨を接合している腱組織が切れてしまう本疾患では、肩を挙上する際に力が入りにくくなる、あるいは肩関節面で軋轢音を聴取することがありますので、何らかの自覚症状がある方は自己診断せずに専門の医療機関などで的確な診断を受けることが重要です。 医療機関で腱板断裂と診断された方は、医師の判断を受けて保存療法や手術療法、あるいは近年新たな治療選択として注目されている再生医療など様々な治療アプローチに従い、症状の改善を目指しましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 肩の腱板断裂を再生医療(幹細胞治療)で改善を目指す第三選択肢! ▼こちらも併せてご覧ください 肩の腱板断裂は放置では治らない!早めの受診が必要!
2022.04.14 -
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肩の痛みで疑うべき病気の種類|検査方法、治療とは 肩の痛みは、肩関節疾患を抱えた患者さんの自覚症状として最も多いと言われています。肩が痛む患者さんを診察する際には、いつから、どのような動作で、どこが、どう痛むかなど具体的に詳しく問診したうえで診察や検査を進めます。 その上で疼痛といった症状の原因となる疾患を診断し、確実な治療に結び付けることが大切になります。そこで、今回は、肩の痛みで疑うべき疾患とは何なのか、それらの病気に対する検査および治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説してまいります。 肩の痛みで疑うべき肩の病気 一般的に肩の痛みを引き起こす関連疾患は整形外科でも色々な可能性が挙げられますが、広く知られている代表的な病気は、「肩関節周囲炎(別名:五十肩)」、「肩蜂下インピンジメント症候群」、「腱板断裂」といた3つの病気です。 1.肩関節周囲炎 肩関節周囲炎という疾患は、40~60歳代の中高年齢層でよく経験されるいわゆる「五十肩(四十肩)」と呼ばれている状態のことを指しており、この病気は特に誘因になるような契機がないものの、肩の痛みといった症状が出現して知らぬ間に肩を挙げることができないといった可動域制限を認めます。 2.肩蜂下インピンジメント症候群 肩蜂下インピンジメント症候群では、日常生活で頻繁に肩関節を動作させることで肩甲骨の先端部に位置している肩峰と腱板の間に存在している肩峰下滑液包が炎症を引き起こすことによって強い肩の痛みを生じる状態を意味しています。 インピンジメント症候群には、肩峰と棘上筋間で肩峰下包が挟まれるエクスターナル型、あるいは棘上筋の関節包面が後上方関節唇と衝突するインターナル型の2種類があり、野球の投球動作やテニスのサーブ動作などオーバーハンドスポーツ競技者で多く認められます。 3.腱板断裂 腱板断裂という疾患は、中高年齢層の方に罹患率が高く、加齢と同時に喫煙、外傷、スポーツなどの要因によって発症することが知られており、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉腱から構成される腱板が断裂することで肩の痛みを引き起こします。 肩の痛みで代表的な病名 ・肩関節周囲炎(別名:五十肩または四十肩) ・肩蜂下インピンジメント症候群 ・腱板断裂 肩の痛みで疑われる病気と検査方法 肩の痛み、肩関節部を構成する軟部組織におこる炎症に伴う痛みといった症状や、運動制限を特徴とする肩関節周囲炎は自然治癒すると思われがちですが、実際のところは放置すると痛みや拘縮が強くなり症状が慢性化することが多いため、早期的に診断することが重要です。 病院などの医療機関では、専門医による問診、画像検査、可動域を測定することなどを実施して肩関節周囲炎を診断できることが多いです。 一般的には、本疾患ではレントゲン検査上で異常所見を認めないとされており、個々の患者さんの経過や状況に応じて肩関節部の軟部組織状態を精密に評価するために関節造影検査やMRI検査をあわせて実施するケースもあります。 肩蜂下インピンジメント症候群の診断と検査 肩蜂下インピンジメント症候群に対する検査は、問診や肩関節部におけるテスト法、MRI検査、超音波検査などが有効的とされております。 特に、超音波検査を実施することで肩峰下滑液包と腱板の腫脹、腱板断裂の有無を調べることが出来ますし、肩を外転する際に腱板や滑液包の肩峰下への滑動状態やすべり具合を判定することが可能となります。 腱板断裂の診断と検査 腱板断裂においては、診断が遅れてしまうと治療による症状改善が難しくなってしまう可能性があり、早期発見および早期治療が重要な鍵になります。 実際の診察場面では、肩の痛みの場所や症状、肩がどのような動きで痛みを感じるのか確認する外転テスト、ドロップアームテストなどを施行すると共に、レントゲン検査、MRI画像検査などを実行されることが多いです。 これらの画像的な精密検査によって肩関節部の腱板断裂以外の石灰性腱板炎を始めとする疾患との鑑別も可能となります。 肩の痛みで疑われる病気と治療方法 研究によると肩の痛みといった症状が改善することで身体的側面から健康に関連する生活の質(Quality Of Life)が向上する可能性があることが示されています。 肩の痛みに対する治療は、一般的に個々の症例における年齢、職業、生活環境などの要素や患者さん自身の希望を検討したうえで決定することになります。 肩関節周囲炎の治療 肩関節周囲炎に対する治療方法は、まず痛みを自覚している炎症期においては三角巾を用いて上肢を安静に保つ、あるいは消炎鎮痛薬を服用することが考慮されます。 また、症状が比較的強いときには肩関節の患部内に局所麻酔薬を注入して、癒着した関節包組織を開大させる手技法も症状改善に有用であると考えられています。 そして、肩の痛みがある程度軽減して肩部の動作制限が症状の主体である拘縮期においては、リハビリテーションを中心とした関節可動域の訓練を実施します。 万が一これらの保存治療でも奏功しない難治例に対しては、全身麻酔下で鏡視下関節包切離術などの根治的外科的処置が実施される場合もあります。 肩蜂下インピンジメント症候群 肩蜂下インピンジメント症候群では、肩の痛み症状を呈している直接の原因とされてる関節包などの拘縮度を解消するためのストレッチング、あるいは上腕骨頭が上方に向かないようにするためのインナーマッスルを中心とした筋力増強トレーニングが実践されます。 仮に痛みが非常に強い場合や前述した運動療法が著効しないケースでは、滑液包内に炎症を抑制する作用を有する副腎皮質ステロイド剤を注入することもあります。 そして、副腎皮質ステロイド剤の注入を頻回に繰り返しても肩の痛み症状が継続される際には、関節鏡視下に関節包切離処置や肩峰下除圧術などが実施されることになります。 腱板断裂 腱板断裂に対する有用な治療方法としては薬物療法や理学療法が知られています。 特に、加齢に伴う腱の変性による腱板断裂を認める際には、まず保存療法が行われることがほとんどであり、非ステロイド性抗炎症薬を内服あるいは外用する、そして副腎皮質ステロイド剤を関節内注入することを検討します。 また、患部を温熱療法で温める、ストレッチやトレーニングによって肩関節部の可動域を広げて筋力強化に繋げる理学療法もお勧めされます。 若年者における外傷に伴う腱板断裂やスポーツによって引き起こされた断裂病変に対しては、肩峰下除圧術や腱板修復術が実践されることもあります。 まとめ・肩の痛みで疑うべき病気の種類|検査方法、治療とは 今回は肩の痛みで疑うべき病気とは何なのか、それらの病気に対する検査および治療方法などについて詳しく解説してきました。 「肩が痛い」、「肩が挙上できない」などの症状を自覚して日常生活においてお困りの方は、専門の医療機関などで早期的に診察や検査を受けて、保存療法や手術療法など様々な治療アプローチによって症状改善を図るように心がけましょう。 また、これら整形外科的な治療以外にも「再生医療」という新しい治療法も注目を得ています。興味があれば以下のリンクからご参照ください。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=YQsu_VT2ZGqSNB2v 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で肩の痛みを治療できることをご存知ですか 肩の痛みは、再生医療により手術や入院を避けて改善することができます ▼腱板損傷、腱板について参考して頂けます 五十肩・四十肩の腕を上げると肩が痛む症状におすすめの治療法
2022.03.16 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査の特徴には、①簡便かつ非侵襲的(体に傷をつけない)、②リアルタイムで観察可能、③プローブを使用するなどの特徴があります。 検査をするにあたって、場所は選ばず、特別な準備も必要ありません。そのため超音波器械さえあれば、その場で好きなときに好きなだけ検査を行うことができます。また、体の外から当てた超音波は人体には無害で痛みもありません。簡便かつ非侵襲的な診断といえるものです。 最近ではポータブルの超音波器械が普及しており、性能も十分に高いため、器械そのものを持ち込んで集団検診、疫学調査が可能となっています。 スポーツ領域では競技グラウンドや練習現場に、学校などでは集団検診の場で検査が可能であり、一度に大量のデータを集積することも可能となっています。 リアルタイムで観察が可能 超音波画像はリアルタイムで観察できるため、腱板や関節唇上腕二頭筋長頭腱の動態検査、ストレス検査による不安定性の計測が可能です。また超音波の画像をみながら、損傷部位にピンポイントで穿刺(対外から針を刺す)することも可能です。 プローブを使用する 超音波検査ではプローブを用いますが、この際プローブによる軽い圧迫で、患部の圧痛との相関がみられることがあります。腱板の検査においては特にそれが認められ、診断率を上げることが可能です。 (1)使用する装置とプローブ 肩関節の超音波診断に使用する超音波断層装置は、ある程度の上級機種であれば大差はありません。プローブは7.5MHz~10MHz程度のリニアプローブを用いるのが一般的です。 体表面が凹となっている腋窩(わきの下のリンパ節)や肩峰—鎖骨間隙では、小型のコンベックスタイプのプローブが有用です。 (2)肩関節に対する超音波検査 ①患者を坐位または仰臥位とし、肩関節を中間位で軽度伸展させます。 ②まず、上腕二頭筋長頭腱および結節間溝を中心に検索します。肩甲下筋腱は、被検者の上腕を内外旋して小結節付着部を中心に検索します。 ③プローブを頭側へ移動させると棘上筋腱前縁が確認でき、さらに後方へ長軸像のまま棘上筋腱全体を検索します。 ④短軸像でも棘上筋腱全体を調べた後、棘下筋腱を長軸像で付着部を中心に検索します。 ⑤さらに、肩甲棘の中点で棘下筋の筋幅を両側計測します。 腱板損傷の超音波像 (1)肩甲下筋腱断裂・損傷 上腕骨を外旋させ、健側と厚み形態を比較します。健側と比べ腱が非薄化しており、投球障害では頭側関節包面に低エコーを呈します。 (2)棘上筋腱断裂 腱板の表面エコーと内部エコーの変化に注意しながら検査します。 表面エコーが平坦か下方凸になっていれば小断裂の存在を、内部エコーにおいて限局した低エコーが関節包面に存在していれば関節包断裂の存在を、境界エコーが不整で直下の内部エコーが低エコーになっていないケースでは滑液包断裂を示唆します。 また超音波で異常が存在した部位に限局している圧痛を認めたら、臨床的に同部が疼痛の主因になっていることが多いです。 (3)棘下筋断裂 棘下筋は薄いため、左右を比較します。頭側に低エコーを呈することが多いです。 (4)棘下筋萎縮 棘下筋の萎縮は投球動作で出現しやすいです。棘下筋の筋腹の厚みを左右比較するとともに、経時的に観察します。 まとめ・腱板損傷の画像診断|超音波(エコー)による検査方法について 超音波検査は、軟部組織を簡便かつ非侵襲的に診断できるとともに、患者自らモニターに映し出される画像をみることができるという利点があります。 最近では、超音波器機の発達に伴い画像が鮮明化し、診断の精度が向上するとともに、腱板のみならず他の部位にも応用されつつあります。 しかし、まだ診断率は検者の技量と経験に左右されるため、超音波検査の特性と限界を十分理解することが正診率を上げるうえで重要になってきます。 以上、腱板損傷における超音波・画像診断による検査についてご説明しました。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下では腱板損傷の保存療法をご紹介しています 肩の腱板損傷の症状と機能改善のための保存療法について
2021.08.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
肩腱板損傷の画像診断|CT、MRI以外、関節の造影検査をご存知ですか 肩関節疾患の診断において、CTや、MRIの飛躍的な進歩にもかかわらず、造影検査は依然として重要な補助診断法の一つです。この造影検査方法には3種類あります。 1)陽性造影:ヨード製剤を用います。 2)陰性造影:空気を用います。 3)二重造影:ヨード製剤と空気の両方を用います。 この3種類の中では、「1)陽性造影」が広く行われています。 動態関節造影と肩峰下滑液包造影 それぞれの方法をご説明します。 動態関節造影 イメージ透視の映像をビデオなどに連続的に記録する方法で、造影剤のダイナミックな移動が観察でき、所見の見落としを防ぐ事もできるので、肩関節造影時に同時に行っています。 肩峰下滑液包造影 主に腱板滑液包面断裂の診断に用いられています。造影剤(ウログラフイン、イソビストなどの水溶性のもの) 5mLと1%キシロカイン5mLを混和した注射器に、23G短針を接続して、立位または座位で透視下にて、肩峰外側縁のやや下方から AHI(acromio-humeral interval:肩峰前下面の骨皮質と上腕骨頭の頂点との間の距離)の中上 1/3を目標にして、肩峰下滑液包内に刺入します。 二重造影では造影剤1mLと空気10mLを注入します。造影剤が腱板内に入り込んだり、腱板滑液包、局所に貯留したりする場合は腱板滑液包面断裂を疑います。 腱板断裂の関節造影について 関節造影について詳しくご説明します。 腱板断裂で疑われる画像所見 造影剤が肩峰下滑液包に漏出すれば、腱板の全層断裂 (full-thickness tear)の診断が確定します。外旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘上筋腱の断裂を疑い、内旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘下筋腱の断裂を疑います。 scapular Y像 腱板の断裂部への造影剤の漏出だけでなく、水平断裂像の描出も可能です。長期間経過した腱板小断裂や腱板不全断裂 (関節包面断裂や水平断裂)の描出は難しいので、他動的に肩関節をよく動かして、関節内圧を上げてから再度調べる必要があります。 動態撮影を併用すると、断裂の大きさや断裂部位がより明らかとなります。また、腱板滑液包面断裂の診断には、肩峰下滑液包造影が用いられます。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます 一般的な肩関節造影法について 以下で詳しくご説明いたします。 前方刺入法 ① 検査前にヨードや局所麻酔薬に対するアレルギー反応の有無について確認します。 ② 透視台の上に仰臥位になって貰います。 ③上肢を体側に接して透視台の上に置いた状態で外旋位になるように体位を調整します。 ④ 烏口突起を中心に広範囲に消毒をします。 ⑤ 1%キシロカイン10mLの入った注射器に21Gスパイナル針を接続。 ➅透視下にて烏口突起先端の1cm尾側で、1cm外側から関節裂隙に垂直に刺入。 ⓻少量の局所麻酔薬を注入して抵抗がないこと、上肢を少し内外旋して針先が関節内にあることを確認。 ⑥ 21Gスパイナル針を留置したまま ・造影剤 (ウログラフィン、イソビストなどの水溶性のもの) 10mLと1 %キシロカイン10m Lを混和した延長チューブ付きの注射器に交換。 ・透視下にて確認しながら、ゆっくり注入します。(注入量は約 20rnLとされています。) ⓻造影は内旋位、外旋位および挙上位の3枚の前後像を撮影。 ⑧肩関節疾患に応じて軸射位像と scapular Y像などの撮影を追加します。 正常の画像所見 内旋位像 肩関節の前方組織が弛緩するので、内側に肩甲下筋滑液包(subscapularis bursa)、内下方に関節包前部 (anterior pouch)、および下方に関節包下部(腋窩陥凹; axillary pouchまたは inferior pouch) が描出されます。 外旋位像 肩関節の前方組織が緊張するので、肩甲下筋滑液包、関節包前部、および関節包下部は縮小します。外側に上腕二頭筋長頭腱腱鞘 (bicipital tendon sheath) が描出されます。 挙上位像 肩関節の下方組織が緊張するので、関節包下部は縮小します。上方に上腕二頭筋長頭腱腱 鞘、内側に肩甲下筋滑液位が描出されます。 軸射位像 関節窩の前縁と後縁に関節唇が三角形の陰影として描出され、前方には肩甲下筋滑液包も描出されます。 scapular Y像 前方に肩甲下筋滑液包、前下方に関節包前部、下方に関節包下部、および後下方に関節包後部 (posterior pouch)が描出されます。 以上、肩腱板損傷の画像診断について、CT、MRI以外の検査方法である関節の「造影検査」についてご説明いたしました。今回は、専門的な内容で難しかったかもしれませんが、ご不明な点があればご遠慮なくお問い合わせください。 少しでも参考にしていただけたなら幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼以下の検査方法もご参考下さい 腱板損傷の診断法、超音波(エコー)による画像検査について
2021.08.04