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「しびれや焼けるような違和感が続く」 「触れるだけでつらい」 脳梗塞や脳出血の後にこのような症状に悩んでいませんか。検査で大きな異常が見つからず、不安を抱えている方も少なくありません。 その原因のひとつが「視床症候群」です。視床症候群とは、脳の「視床」が損傷を受けたことで感覚の伝達回路が乱れ、しびれ・灼熱感・アロディニア(触れるだけで強い不快感が生じる状態)などが現れる神経疾患です。 本記事では、現役医師が視床症候群について詳しく解説します。 視床症候群の症状 視床症候群の原因 視床症候群の治療法 視床症候群の再発予防法 記事の後半には、視床症候群に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 視床症候群について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 視床症候群とは 項目 内容 定義 視床の障害による感覚伝達の異常 主な原因 脳梗塞・脳出血などの脳卒中 発症の仕組み 感覚の中継部位の障害による情報伝達の乱れ 感覚の変化 弱い刺激の増幅・刺激がない状態での違和感 症状の特徴 触れただけで生じる強い不快感 出現部位 身体の片側に出現しやすい傾向 発症時期 脳卒中後数週間〜数カ月で出現するケース 生活への影響 睡眠障害・集中力低下・日常動作への支障 (文献1) 視床症候群は、感覚を脳へ伝える「視床」が損傷されることで生じます。脳卒中後に発症するケースが多く、実際の刺激よりも強い不快感やしびれとして感じられるのが特徴です。 症状は身体の片側に出やすく、退院後しばらくしてから気づく場合もあります。見た目にはわかりにくい症状ですが、睡眠や日常生活に支障をきたすこともあるため、違和感が続く場合は早めに受診してください。 脳梗塞・脳出血との関係 観点 脳梗塞・脳出血 視床症候群 位置づけ 発症の原因となる疾患 脳卒中後に現れる後遺症 障害部位 脳の血管・脳組織 視床(感覚の中継部位) 発症のきっかけ 血流障害・出血 視床の損傷による影響 症状の特徴 麻痺・言語障害・意識障害など しびれ・灼熱感・触刺激での違和感 発症時期 突然発症 数週間〜数カ月後に出現する場合 病態の本質 脳の急性障害 感覚伝達の異常 症状の変化 急性期から回復過程へ 時間経過で変化・増悪することあり 注意点 早期治療が重要 退院後の違和感にも注意 脳梗塞や脳出血は、視床症候群の直接的な原因です。とくに視床に障害が及ぶと感覚の中継機能が乱れ、しびれや灼熱感が生じます。 注意が必要なのは、これらの症状が発症直後ではなく、回復期や退院後に現れることです。「退院したのに新たな違和感が出てきた」という場合も、脳卒中の後遺症として起こりうるため、放置せず医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、脳梗塞、脳出血について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説 【医師監修】脳出血とは|症状・種類・原因を詳しく解説 CRPS(複合性局所疼痛症候群)との違いや関連性 観点 視床症候群 CRPS(複合性局所疼痛症候群) 位置づけ 脳障害後の感覚異常 外傷後に起こる神経障害 原因部位 視床(中枢神経) 末梢神経・交感神経 発症のきっかけ 脳梗塞・脳出血 骨折・打撲・手術など 症状の範囲 身体の片側に広く出現 手足など局所に強く出現 症状の特徴 しびれ・灼熱感・触刺激での違和感 強い不快感・腫れ・皮膚色変化・発汗異常 病態の仕組み 感覚中枢での情報処理の乱れ 末梢神経・自律神経の機能異常 共通点 神経障害性疼痛に分類 神経障害性疼痛に分類 治療の考え方 薬物療法・リハビリ中心 薬物療法・リハビリ中心 (文献1)(文献2) 視床症候群とCRPS(複合性局所疼痛症候群)はどちらも慢性的なしびれや灼熱感が続きますが、障害を受ける部位が根本的に違います。 視床症候群は脳(中枢)の損傷が原因であるのに対し、CRPSは骨折や手術を契機に手足の末梢神経や自律神経に異常が生じる状態です。 症状が似ていても原因が異なれば治療法も変わるため、「脳卒中の既往があるか」「いつから・どんな経緯で症状が出たか」を医師に正確に伝えることが、診断の精度を左右します。 視床痛(CPSP)との違い 観点 視床症候群 視床痛(CPSP) 位置づけ 視床障害による症状の総称 視床症候群の中の一症状 含まれる内容 感覚異常・しびれ・運動障害など 不快感が中心の感覚異常 症状の特徴 幅広い症状の組み合わせ 灼熱感・刺すような違和感など 病態の範囲 広い概念(複数症状) 限定的(不快感が主体) 呼び分け 全体を指す名称 不快感が目立つ場合の呼称 関連概念 視床障害による状態全体 脳の障害が原因で続く違和感 原因 脳梗塞・脳出血など 同じ(脳卒中の後) 生活への影響 症状によって異なる 睡眠や集中への影響が出やすい 視床症候群は、視床の損傷によって生じる感覚障害・運動障害・自律神経症状などを包括した概念です。そのうち、焼けるような感覚や触れるだけで走る強い不快感が前面に出る状態を「視床痛(CPSP)」と呼びます。 視床痛は視床症候群の一症状であり、上位・下位の関係にあります。受診時にどちらの言葉を使用しても医師には伝わりますが、両者の違いを頭に入れておくと、自分の症状を説明する際に役立ちます。 視床症候群の症状 症状 詳細 しびれ・灼熱感・触れると強い違和感が出る 軽い刺激で違和感が強まる状態。焼けるような感覚やしびれの出現 温度や圧の感じ方が変わる 温度や圧の感じ方の過敏化・鈍化 身体の片側に出やすく時間とともに変化する 身体の片側に出現する。時間経過で変化する症状 視床症候群では、しびれ・灼熱感・アロディニア(触れるだけで強い不快感が生じる状態)が代表的な症状です。 温度や圧力の感じ方も変わり、冷たいものが熱く感じられたり、軽く押さえただけで不快感が走ったりすることがあります。 症状は身体の片側に集中しやすく、発症当初は感覚が鈍い状態から始まり、後からしびれや灼熱感へと変化するケースもあります。 日によって症状の強さが変動するため、「昨日より今日がひどい」と感じることも珍しくありません。 以下の記事では、アロディニアについて詳しく解説しています。 しびれ・灼熱感・触れると強い違和感が出る 視床症候群のしびれや灼熱感は、皮膚や末梢神経ではなく、脳の感覚処理が乱れることで生じます。脳梗塞や脳出血によって視床が損傷されると、触覚・温度・圧力などの情報を正確に中継できなくなり、弱い刺激でも脳が過剰な不快感として処理します。 この回路の乱れが進むと、衣服が触れる程度の刺激でも強い違和感が走ったり、何も触れていない状態でも不快感が続いたりします。 どこも触っていないのになぜか痛みを感じるのは気のせいではなく、中枢性疼痛に特有のメカニズムによるものです。 以下の記事では、手足のしびれについて詳しく解説しています。 温度や圧の感じ方が変わる 感じ方が変わる理由 内容 感覚経路の障害 温度覚・圧覚の伝達経路と視床の中継機能の障害 感覚の判断異常 刺激の強さ・種類の識別の乱れ 感覚情報の混在 温度・圧・触覚の情報の混同 神経の伝達異常 神経信号の伝わり方の乱れ 感覚バランスの崩れ 過敏化または鈍化した感覚反応 (文献3)(文献4) 視床が損傷されると、温度・圧力・触覚を伝える神経経路の中継機能が乱れ、実際の刺激と脳が受け取る信号にずれが生じます。 冷たいものが熱く感じられたり、軽く押さえただけで強い刺激として伝わったりするのはそのためです。複数の感覚が同時に混線することで、特定の刺激とは結びつかない漠然とした違和感が続くこともあります。 身体の片側に出やすく時間とともに変化する 視床症候群の症状が片側に現れるのは、感覚神経が脊髄で反対側へ交差する構造上、損傷を受けた脳と逆側の身体に影響が出るためです。症状は脳卒中の発症直後ではなく、退院後数週間〜数カ月してから現れることがあります。 これは損傷後に神経回路が再編成される過程で、感覚処理のバランスが崩れることが要因とされています。さらに疲労・睡眠不足・ストレスが症状を悪化させやすい点も、視床症候群の特徴のひとつです。 以下の記事では、片側だけ足がしびれる原因や考えられる病気について詳しく解説しています。 視床症候群の原因 原因 詳細 脳梗塞や脳出血によって視床が損傷される 脳卒中による視床の神経細胞の障害。血流障害や出血による機能低下 視床の障害により感覚の伝わり方が乱れる 感覚情報の伝達経路の異常。刺激の強さや種類の認識の乱れ 視床症候群の主な原因は、脳梗塞や脳出血による視床の損傷です。視床は、身体で感じた触覚や温度、圧などの情報を脳へ伝える「中継役」の部分です。 この部分が傷つくと、感覚の情報が正しく脳に届かなくなり、実際の刺激と脳の認識にズレが生じます。 その結果、弱い刺激が過剰な不快感として処理されたり、何も触れていないのに違和感が続いたりします。 症状は外見からわからないため「気のせい」と見過ごされがちですが、原因は脳の神経回路にあります。思い当たる症状がある場合は、早めに受診してください。 脳梗塞や脳出血によって視床が損傷される 視床症候群は、脳梗塞や脳出血によって視床が損傷されることで発症します。視床は、皮膚や筋肉で感じた触覚・温度・圧力などの情報を脳へ届ける「中継点」のような部位です。 非常に細い血管が集まっているため、わずかな詰まりや出血でも広い範囲の感覚に影響が出やすい場所です。 損傷を受けた回路は刺激を過剰または過小に処理するため、実際の刺激とかけ離れた感覚として認識されます。さらに神経回路は損傷後も変化し続けるため、入院中は症状がなくても、退院後の回復過程でしびれや灼熱感が現れることがあります。 以下の記事では、脳梗塞について詳しく解説しています。 【関連記事】 脳梗塞の前兆を見逃さないためのチェックシートで早期発見しよう 脳梗塞の合併症には何がある?起こる原因や対処法を現役医師が解説 視床の障害により感覚の伝わり方が乱れる 視床は、皮膚や筋肉から届く触覚・温度・圧などの感覚情報を整理し、大脳へ中継する役割を担う部位です。 この働きが損なわれると、弱い刺激が過剰な不快感として伝わったり、強い刺激なのに鈍くしか感じられなかったりと、実際の刺激と脳の認識がかみ合わなくなります。 また、視床には感覚を抑制する回路も備わっており、これが機能しなくなると、刺激がない状況でもしびれや灼熱感が続く原因になります。 視床症候群の治療法 治療法 詳細 薬物療法 神経の興奮を抑える薬の使用。感覚異常の軽減を目的とした治療 運動療法 リハビリによる身体機能の維持・改善。神経機能の調整 再生医療 神経機能の回復を目的とした治療選択肢。幹細胞などを用いたアプローチ 視床症候群の治療は、しびれや灼熱感などの症状を和らげ、日常生活への影響を最小限に抑えることを目的に進められます。 中心となるのは薬物療法です。神経の過剰な興奮を抑えるプレガバリンや三環系抗うつ薬などを使用し、効果を見ながら種類や用量を調整します。 並行して運動療法で身体機能を維持しながら神経回路の回復を促し、従来の治療で十分な効果が得られない場合には再生医療が選択肢となります。 薬物療法 有効である理由 詳細 神経の過剰な興奮を抑えるため 抗てんかん薬による神経興奮の抑制作用 痛覚を抑制する機能を補助するため 抗うつ薬による下行性抑制系の強化 一般的な鎮痛薬が効きにくいため 炎症性ではなく、神経障害性の性質 標準的な治療として確立されているため 神経障害性疼痛に対する基本治療としての位置づけ 症状に応じた調整が可能なため 治療薬の種類・用量の個別調整の柔軟性 (文献5) 視床症候群のしびれや灼熱感は末梢神経ではなく脳の感覚回路の乱れが原因のため、市販の鎮痛薬や一般的な消炎鎮痛薬はほとんど効きません。 治療の中心となるのは、神経の過剰な興奮を抑える抗てんかん薬(プレガバリン・ガバペンチンなど)と、脳内の痛覚抑制系を補助する三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)です。 これらは神経障害性疼痛に対して広く用いられており、効果や副作用をみながら種類・用量を調整していきます。「薬が効かない」と諦める前に、神経に作用する薬剤への切り替えを医師に相談してください。 以下の記事では、視床症候群の薬物療法で用いられる治療薬について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】リリカ(プレガバリン)とは|副作用や効き始めるまでの期間を解説 リリカとトラムセットは併用できる?違い・強さ・副作用を解説 運動療法 運動療法が有効である理由 詳細 脳の回復力(可塑性)を引き出すため 神経の再編成を促す働き 感覚と運動の連携を再学習するため 感覚と動作の一致を高める反復訓練 神経の過敏な反応を落ち着かせるため 段階的刺激による過敏反応の緩和 日常生活の動作を改善するため 歩行や手の動作の機能改善 継続することで効果が現れやすいため 長期的な神経調整の積み重ね (文献6) 運動療法は、身体を動かすことで感覚・運動の信号を脳へ繰り返し送り、乱れた神経回路を少しずつ立て直すことを目的とします。 具体的には、鏡を使って視覚から感覚を再学習させるミラーセラピーや、触覚への刺激量を段階的に増やす脱感作療法などが行われます。 これらは過敏な神経反応を和らげ、歩行や着替えといった日常動作の改善が期待できますが、効果を引き出すには、理学療法士の指示のもとで症状の波に合わせながら継続することが前提です。 以下の記事では、脳の回復力(可塑性)を引き出すための運動療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 視床出血の症状・後遺症を徹底解説|リハビリと生活再建への道も紹介 脳梗塞のリハビリ期間は?方法や注意点も解説【医師監修】 再生医療 薬物療法や運動療法と並ぶ選択肢として、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療があります。脂肪由来の幹細胞には他の細胞へ変化する「分化能」という働きがあり、脳卒中後の神経障害を対象とした研究・臨床応用が進められています。 また、血小板に含まれる成長因子には炎症を抑える働きがあり、神経周囲の環境に関与する可能性が報告されています。現時点では標準治療として確立された段階ではなく、すべての方が対象となるわけではないため、ご自身の状態や適応については受診時に医師へ直接ご確認ください。 リペアセルクリニックは、脳卒中後の神経障害に対応している再生医療専門クリニックです。「片麻痺の後遺症で毎日の生活が辛い」「視床症候群を抱える家族が毎日リハビリを続けているのに、なかなか改善の兆しが見えない」とお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。 当院では、手術や入院を必要としない新たな治療【再生医療】を提供しています。 詳しくは、脳梗塞の後遺症に対する再生医療の症例をご覧ください。 視床症候群の再発予防法 再発予防法 詳細 血圧や血糖などの基礎疾患を管理する 高血圧・糖尿病などの適切なコントロール。脳血管リスクの低減 生活習慣(食事・運動・禁煙)を見直す バランスの取れた食事・適度な運動・禁煙の実践 治療薬の継続と定期受診を行う 処方薬の継続使用。医師による定期的な状態確認 視床症候群の再発予防で軸となるのは、脳梗塞・脳出血の原因となる高血圧・糖尿病・脂質異常症のコントロールです。 これらは自覚症状が出にくいまま血管を傷め続けるため、数値が落ち着いているときこそ油断せず管理を続けることが求められます。 食事の減塩・適度な運動・禁煙は治療薬と同等かそれ以上に血管を守る効果があり、日常の積み重ねが再発リスクを下げます。 処方薬を自己判断で中断せず、定期受診で血管の状態を定点観測する習慣が、長期的な予防の観点において大切です。 血圧や血糖などの基礎疾患を管理する 基礎疾患を管理することが大切な理由 詳細 脳卒中の発症リスクを高めるため 高血圧・糖尿病による血管負担。動脈硬化の進行 血圧管理が予防の中心となるため 血圧コントロールによる再発リスク低減 生活習慣病が関与するため 糖尿病・脂質異常症など複数因子の影響 総合的な管理が効果的であるため 複数リスク因子の同時コントロール 再発で症状が重くなる可能性があるため 脳卒中再発による障害の重症化リスク (文献7)(文献8) 視床症候群の症状を悪化させないためには、背景にある脳卒中の再発を防ぐことが前提となります。高血圧は脳血管にもっとも負担をかける因子であり、家庭血圧を毎日記録して目標値を維持する習慣が基本です。 糖尿病や脂質異常症も血管を傷める原因となるため、これらを一括して医師と管理する体制を整えましょう。数値が安定しているときこそ受診を怠りがちですが、定期的な血液検査と画像確認が異常の早期発見につながります。 以下の記事では、生活習慣の改善について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】糖尿病とは|症状や原因・予防法までを詳しく解説 脂質異常症の改善は食事と運動が基本|発症の原因と改善方法・おすすめの食事を解説 生活習慣(食事・運動・禁煙)を見直す 生活習慣 詳細 食事 塩分・脂質過多による血管負担の軽減。バランスの取れた栄養による血管機能の維持 運動 血圧・血糖の改善。血流促進による動脈硬化リスクの低減 禁煙 血管収縮の抑制。動脈硬化進行の予防 (文献9) 脳卒中の再発を防ぐ上で、食事・運動・禁煙は、脳卒中の再発リスクを下げる上で欠かせない要素です。 食事は塩分と脂質を抑えることで血管への負担を減らし、動脈硬化の進行を緩やかにします。運動は血圧・血糖・コレステロール値を整え、血管を健やかに保つ効果があります。 喫煙は血管を収縮させ動脈硬化を加速させるため、優先して見直すべき習慣です。無理なく続けられる形に落とし込むことが長期的な再発予防につながります。 【関連記事】 痛風予防の対策8選|生活習慣を見直して尿酸値を下げよう 【医師監修】脂質異常症で食べてはいけないもの一覧|食べたほうがいい食材も紹介 治療薬の継続と定期受診を行う 重要である理由 詳細 再発予防のため 抗血小板薬・降圧薬の継続による脳卒中リスク低減 症状調整のため 神経症状に応じた薬剤の種類・用量の調整 副作用確認のため 体調変化や副作用の早期把握 早期発見のため 再発兆候や異常の早期対応 長期安定のため 継続治療による症状の安定化 (文献10)(文献11) 視床症候群の治療は、症状が落ち着いてからも継続が前提です。抗血小板薬や降圧薬は、自己判断で中断すると脳卒中の再発リスクが急激に上がるため、処方通りに飲み続けることが再発を防ぐ上で欠かせません。 定期受診では治療薬の効き具合や副作用の確認に加え、血管の状態を画像や血液検査で定点観測できます。症状の変化を記録して受診時に持参すると、医師が治療薬を調整する際の判断材料になります。 視床症候群でお悩みの方は当院へご相談ください 視床症候群は一般的な鎮痛薬では改善しにくく、原因が脳の神経回路にある疾患です。退院後の「しびれや灼熱感が続いている」「触れただけで強い不快感が走る」といった症状は、時間の経過とともに脳の感覚処理異常が定着し、慢性化する可能性があります。そのため、早期から適切な治療を受けることが重要です。 とくに「退院後もしびれや灼熱感が続いている」「触れるだけで強い不快感がある」「どこに相談すれば良いかわからない」という方も、まず受診して現状を把握することが、症状と向き合う第一歩です。 視床症候群の症状が改善せずお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。脂肪由来幹細胞は他の細胞へ変化する「分化能」を持ち、脳卒中後の神経障害を対象とした臨床応用が進められています。 「片麻痺の後遺症で日々の生活がままならない」「家族が懸命にリハビリを続けているのに変化が見えない」そのようなお悩みを抱えているなら、ぜひ当院へご相談ください。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 視床症候群に関するよくある質問 視床症候群は放置しても自然に改善しますか? 視床症候群は脳の神経回路の乱れが原因であるため、自然に改善するケースは稀です。また、時間の経過とともに症状が慢性化する可能性があります。 薬物療法や運動療法を通じて症状を和らげ、日常生活への影響を最小限に抑えるためにも、早めに医療機関を受診してください。 視床症候群は市販薬で対応できますか? 視床症候群のしびれや灼熱感は脳の神経回路の乱れが原因であるため、市販の鎮痛薬はほとんど効き目がないとされています。 治療の中心となるのは神経の過剰な興奮を抑える抗てんかん薬や、脳内の抑制系に働きかける抗うつ薬などの処方薬です。 効果や副作用には個人差があり、種類・用量を調整しながら継続する必要があるため、自己判断で中断せず定期的に医師へ状態を伝えてください。 視床症候群を発症した家族の接し方を教えてください 視床症候群の症状は外見からわからないため、「怠けている」「大げさではないか」と周囲に誤解されやすく、本人は孤立感を抱えやすい状態です。 まずは症状を否定せず、本人のつらさを受け止めることが大切です。通院や服薬の継続をそばでサポートしながら、症状の変化を記録して受診時に同席するだけでも、治療の助けになります。 介護者自身が疲弊しないよう、医療機関のソーシャルワーカーや地域の支援サービスを活用しましょう。 以下の記事では、脳機能障害を発症した家族の接し方について詳しく解説しています。 【関連記事】 高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスは?対処法や支援制度を現役医師が解説 脳梗塞の患者様の家族が、看護で注意したいポイントを現役医師が解説 参考文献 (文献1) Thalamic Pain Syndrome|National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献2) 標準的神経治療:慢性疼痛|日本神経治療学会 治療指針作成委員会 (文献3) 中枢神経系の機能解剖ー感覚入力系ー|特集 臨床における理論的背景 (文献4) 痛みの生化学 最近20年の進歩|公益社団法人日本生化学会 (文献5) 中枢性脳卒中後疼痛に対するプレガバリン(リリカ )の有効性と安全性|脳外誌24巻2号 2015年 2月 (文献6) 遷延化した視床痛に対する包括的理学療法|第49回日本理学療法学術大会(横浜) (文献7) 第6章 血管性認知症 (文献8) 3.脳血管障害 2)再発予防と後遺症への対応|特集 神経疾患の新しい治療―現場で必須の知識と今後の展望― (文献9) 脳卒中を防ぐ生活習慣|企画:茨城県国民健康保険団体連合会(編集:㈱社会保険出版社) (文献10) 薬局における疾患別対応マニュアル ~患者支援の更なる充実に向けて~ 【 脳卒中 】令和6年3月 ガイドライン作成委員会・脳卒中に関する作業部会 (文献11) 脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂2025〕|編集:日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(改訂2025
2026.08.04 -
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ご家族が多系統萎縮症と診断されたものの、以前は脊髄小脳変性症と説明され、2つの病名の違いがわからず戸惑っている方もいるのではないでしょうか。 本記事では、この2つの病名の関係を整理した上で、症状・進行の速さ・遺伝・検査の4点から違いを解説します。読み終えるころには、医師が何を手がかりに見分けているのかがわかりますので、ぜひ最後までご一読ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違い【比較表】 まず、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いを表にまとめたのでご覧ください。 項目 脊髄小脳変性症 (多系統萎縮症を除く) 多系統萎縮症 位置づけ ふらつきなどが出る病気の総称 脊髄小脳変性症に含まれるタイプのひとつ 制度上の扱い 指定難病18 指定難病17 遺伝 遺伝するタイプとしないタイプがある ほとんどが遺伝と無関係 中心となる症状 ふらつき、ろれつが回らない ふらつきに加えて、立ちくらみ、排尿障害、動作の遅さなどが現れる 進行の速さ ゆっくり進む 比較的速く進む (文献1)(文献2)(文献3) 多系統萎縮症は広い意味では脊髄小脳変性症に含まれますが、指定難病制度では別の疾患として扱われています。 また、多系統萎縮症では、ふらつきに加えて自律神経症状やパーキンソン症状が現れやすく、比較的速く進行する点も主な違いです。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の関係と制度上の違い 2つの病名が混同されやすい理由は、両者が「並んだ別々の病気」ではなく、「大きな枠とその中身」という入れ子の関係にあるためです。 脊髄小脳変性症とは「歩くときにふらつく」「手が震える」「ろれつが回らない」といった症状が出る神経の病気の総称です。はっきりした原因がないまま、小脳とその周辺の神経細胞が変化していく病気を総称してこのように呼んでいます。 このグループは、まず遺伝するものとしないものに分けられ、患者様の約3分の2は遺伝性ではありません。この遺伝性でないグループをさらに分けたときに出てくるのが、多系統萎縮症です。 「以前は脊髄小脳変性症と言われていたのに、今は多系統萎縮症と言われる」という状況が起きるのは、大きな枠での説明から、より正確なタイプの診断へ進んだためであることが少なくありません。 ただし国の難病制度では、多系統萎縮症が「指定難病17」、脊髄小脳変性症が「脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)」として「指定難病18」と別々に登録されています。(文献1)(文献2) 以下の記事では、多系統萎縮症と余命の関係について詳しく解説しています。 内部リンク:8月執筆「多系統萎縮症余命」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「症状の違い」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症では、ふらつきや歩きにくさなど共通する症状があります。ただし、多系統萎縮症では自律神経症状やパーキンソン症状が加わることがあり、症状が現れる範囲に違いがあります。 ここからは、脊髄小脳変性症に多い症状と、多系統萎縮症で加わりやすい症状をそれぞれ確認していきましょう。 脊髄小脳変性症に多い症状 多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症では、主に次のような症状がみられます。 起立時や歩行時にふらつく 手をうまく動かせない 話すときに口や舌がもつれる 日常生活では、まっすぐ歩こうとしても左右に揺れる、ボタンをかけたり字を書いたりする細かい動作がしにくい、電話で聞き返されることが増えるのが特徴です。 ふらつきが中心で、立ちくらみや排尿障害、動作の遅さなどが目立たない場合は、多系統萎縮症以外の脊髄小脳変性症が考えられます。ただし、病型によって症状の現れ方は異なり、この症状の有無だけで自己判断できるものではありません。 多系統萎縮症で加わる症状 多系統萎縮症では、ふらつきに加えて、主に自律神経症状とパーキンソン症状が現れます。 自律神経症状には、次のようなものがあります。(文献2) 立ちくらみや失神を繰り返す トイレの回数が変わる 尿が出にくくなる 尿を我慢できなくなる 便秘がみられる 呼吸に関わる症状が現れる パーキンソン症状には、次のようなものがあります。 筋肉がこわばる 動作が少なくなる 動作が遅くなる 動作全体が小さくなる バランスを崩しやすくなり、転びやすさが増す 「多系統」という名前のとおり、脳の複数の部分が影響を受けることが、症状の幅広さにつながっています。初期はほかの脊髄小脳変性症と症状が重なることも多いため、自己判断は避けて脳神経内科を受診してください。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 末期症状」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「進行の速さの違い」 多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症では、症状は比較的ゆっくりと進みます。(文献1) 年単位で少しずつ変化するため、長期間にわたって身の回りのことを自分で続けられる方もいますが、病型や症状によって進行速度には個人差があります。 一方、多系統萎縮症は、ほかの脊髄小脳変性症と比べて進行が速い傾向です。国内の230人を対象とした研究では、発症後約5年で車椅子を使用し、約8年で臥床状態となり、罹病期間は9年程度と報告されています。(文献3) これらはあくまで平均的な数値です。実際の経過には個人差があります。進行の見通しを把握しておくことで、必要になる医療・介護・住まいの準備を早めに進められます。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「遺伝に関する違い」 ご家族が気にされる点のひとつが、遺伝の問題です。 脊髄小脳変性症には、遺伝するタイプと遺伝しないタイプの両方があります。患者様の約3分の1が遺伝性、約3分の2が非遺伝性とされています。(文献1) 一方、多系統萎縮症のほとんどは遺伝とは関係なく起こり、原則として遺伝する病気ではないと考えられています。(文献2) 「脊髄小脳変性症」の段階では遺伝の可能性を考える余地がありますが、「多系統萎縮症」と診断された場合は、遺伝を過度に心配する必要は基本的にありません。気になる場合は、主治医や遺伝カウンセリングの窓口にご相談ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症を検査で見分ける方法 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の診断では、症状の現れ方や経過を確認した上で、頭部MRIや自律神経機能検査などを組み合わせます。 検査だけで直ちに病名が決まるとは限らず、症状がどのように増えていくかを時間をかけて確認することも重要です。見分ける手がかりは、主に次の3つです。 頭部MRIによる画像検査 頭部MRIでは、小脳や脳幹などの萎縮を確認します。 多系統萎縮症では、中脳・橋・小脳などに特徴的な変化が現れる場合があり、診断の手がかりになります。(文献5) 自律神経機能検査 自律神経機能検査では、立ち上がったときの血圧変化を調べる起立試験や、排尿機能を確認する検査などが行われます。 起立性低血圧や排尿障害などの自律神経症状が早い段階から強く現れている場合は、多系統萎縮症を考える手がかりになります。(文献5) レボドパの効き方の違い パーキンソン症状がある場合は、パーキンソン病の治療薬である「レボドパ」の効き方も参考にされます。 パーキンソン病ではレボドパによって症状が明確に改善することが多い一方、多系統萎縮症では効果が乏しい場合が多いとされています。(文献3)(文献6) ただし、薬の効き方だけで診断が決まるわけではありません。多系統萎縮症でも一時的に効果がみられる場合があるため、ほかの症状や検査結果とあわせて判断されます。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の「治療・対処法の違い」 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症は、どちらも症状を和らげる治療とリハビリテーションが中心です。ただし、多系統萎縮症では自律神経症状や呼吸・嚥下障害にも対応する必要があり、重視される治療内容が異なります。 ここでは、両疾患に共通する治療の考え方と、それぞれで必要となる対応を解説します。 また、以下の記事では「多系統萎縮症の治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説しています。 内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った 人」 治療の中心は症状を和らげることとリハビリ 前提として、どちらも病気の進行を止める治療はまだ確立していません。(文献1)(文献2) そのため、治療では現在困っている症状を和らげ、日常生活をできるだけ維持することが重視されます。 リハビリテーションも重要な治療のひとつです。多系統萎縮症では、短期集中的なリハビリによって運動機能やふらつきが一時的に改善したとの報告があります。(文献4) ただし、無理な運動は転倒や疲労につながる可能性があります。症状や体力に合わせて、医師や理学療法士などと相談しながら取り組むことが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症のリハビリについて詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 リハビリ」 症状別にみる主な治療と対処法 対症療法の中身は、どちらの病気かによって重点が変わります。 症状 脊髄小脳変性症 (多系統萎縮症を除く) 多系統萎縮症 ふらつき タルチレリン水和物などの薬やリハビリを行う 薬やリハビリを行う パーキンソン症状 主な問題にならない病型も多い レボドパなどを使用するが、効果が乏しい場合が多い 立ちくらみ 症状に応じて対応する 血圧を上げる薬や生活上の工夫が必要になる 排尿障害 症状に応じて対応する 薬物療法や自己導尿などを検討する 呼吸・嚥下障害 病型や進行に応じて対応する 呼吸管理や嚥下障害への対応が必要になる場合がある (文献1)(文献2)(文献3)(文献5) 多系統萎縮症では、ふらつきへの対応に加えて、自律神経症状と呼吸・飲み込みの管理が並行して必要になる点が大きな違いです。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症で利用できる支援制度 多系統萎縮症は指定難病17、脊髄小脳変性症は指定難病18に該当します。重症度などの条件を満たした場合は、指定難病の医療費助成を受けることが可能です。 医療費助成を利用すると、1カ月に支払う医療費の自己負担額に、所得に応じた上限が設けられます。上限に達した後は、その月の対象となる医療費について、原則としてそれ以上の自己負担は発生しません。(文献8) また、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症は、いずれも介護保険の特定疾病に含まれています。(文献7) そのため、40歳から64歳の方でも、病気が原因で要介護・要支援状態になり認定を受けた場合は、訪問看護や訪問リハビリ、福祉用具のレンタルなどの介護保険サービスを利用できます。 このほか、症状や障害の程度によっては身体障害者手帳などの支援を受けられる場合があり、利用できる制度は状態により異なるため、自治体の窓口や医療ソーシャルワーカーに相談してください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いを理解して早めに受診・支援の準備を進めよう 多系統萎縮症は広い意味で脊髄小脳変性症に含まれますが、指定難病制度では別の疾患として扱われています。 主な違いは次の4点です。 症状:多系統萎縮症では自律神経症状などが加わる 進行:多系統萎縮症の方が速い傾向がある 遺伝:脊髄小脳変性症には遺伝するタイプがある 検査:MRIや自律神経機能検査などで見分ける どちらも治療は対症療法とリハビリが中心です。ふらつきに加えて立ちくらみや排尿の変化、動作の遅さがみられる場合は、早めに脳神経内科を受診しましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いに関するよくある質問 多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の診断に時間がかかるのはなぜですか? 初期には、両疾患の症状が重なりやすいためです。 日本で多い多系統萎縮症のタイプはふらつきなどの小脳症状から始まるため、この段階では、ほかの脊髄小脳変性症との区別が難しい場合があります。(文献3、文献4) その後、立ちくらみや排尿障害、パーキンソン症状などが現れることで、診断が徐々にはっきりしていきます。 多系統萎縮症とパーキンソン病の違いは何ですか? 多系統萎縮症は、初期にパーキンソン病と似た症状が現れることがあります。主な違いは次のとおりです。 比較ポイント パーキンソン病 多系統萎縮症 安静時の震え みられやすい 比較的少ない 進行の速さ 比較的ゆっくり 比較的速い レボドパの効き方 効果がみられやすい 効果が乏しい場合が多い 立ちくらみ・排尿障害 進行後に目立つことが多い 早期から現れる場合がある (文献3)(文献6) 症状だけでは見分けにくいため、経過や検査結果を含めて脳神経内科で総合的に判断されます。 参考文献 (文献1) 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター (文献2) 多系統萎縮症(3)シャイ・ドレーガー症候群(指定難病17)|難病情報センター (文献3) 多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)|難病情報センター (文献4) 多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症(指定難病17)|難病情報センター (文献5) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献6) パーキンソン病|MSDマニュアル家庭版 (文献7) 特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省 (文献8) 指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター
2026.07.31 -
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ご家族が「多系統萎縮症」と診断されて症状が進んでいく様子を見ながら、この先どうなるのか不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 本記事では、多系統萎縮症の末期にあらわれる症状と、検討される医療的な選択肢、利用できる支援制度を解説します。 これから起こりうることと、今のうちに準備できることが整理できますので、ぜひ最後までご一読ください。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症の末期症状と進行経過 多系統萎縮症(MSA)は、体のバランスや動き、血圧や排尿などを調節する神経が、進行性に働かなくなっていく病気です。国の指定難病(告示番号17)に指定されています。 初期の症状の出方には個人差がありますが、進行するにつれて、ふらつき・動作の遅さ・立ちくらみ・排尿の不調が重なってあらわれるようになります。 発症から末期までの経過の目安 多系統萎縮症の発症から末期までの状態の経過についてまとめました。 項目 発症からの目安 主な状態 歩行が不安定になる 数年 ふらつき、転倒、ろれつが回りにくい 車椅子が必要になる 平均約5年 自力歩行が難しくなる 寝たきりの状態 平均約8年 寝返りが打てず、飲み込みや発声の障害が進む 病気とともに過ごす期間 9年程度 ― (文献3)(文献4) ただし、これらは平均的な数値です。発症した年齢や合併症をどれだけ防げるかによって経過は変わるため、ご家族の状態にそのまま当てはまるものではありません。 残っている身体機能を維持し、日常生活を続けるためには、病状に合わせたリハビリテーションも重要です。具体的な訓練内容や病期ごとの目標は、以下の記事で詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 リハビリ」 多系統萎縮症の末期症状①:呼吸の障害 末期でもっとも注意が必要なのが呼吸の障害です。生命に直結する症状であり、ご家族が知っておく意義がもっとも大きい部分でもあります。 睡眠時の喘鳴(いびきとは異なる高い音) 多系統萎縮症では、息を吸うときに「ヒューヒュー」という高い音が出る喘鳴がよくみられます。(文献2) 声帯を開く筋肉の動きが弱まり、空気の通り道が十分に開かなくなるために起こると考えられています。 単なるいびきと思われて見過ごされやすいのですが、進行すると空気の通り道がふさがれる危険につながります。早い段階から単独であらわれることもあるため、夜間の呼吸音の変化に気づいたら早めに主治医へ伝えてください。 睡眠中に呼吸が止まる 寝ている間に呼吸が繰り返し止まったり、不十分になったりすることもあります。(文献1) 呼吸の問題には、空気の通り道が狭くなって起こるものと、呼吸の指令を出す脳の部分の働きが弱まって起こるものの2種類があり、末期には両方が重なることがあります。 気管切開をしていても突然死が起こりうる 気管切開を行った後でも突然死が起こりうることが知られています。(文献4) 空気の通り道は確保できても、呼吸の指令そのものが弱まっている場合は防ぎきれないためです。 「気管切開をすれば安心」ではなく、何を防げて何は防げないのかを理解した上で判断することが大切です。 多系統萎縮症の末期症状②:飲み込みと会話の障害 多系統萎縮症が進行すると、飲み込みや会話に障害があらわれます。飲み込みの障害は、誤嚥性肺炎や栄養不足につながるため注意が必要です。 会話が難しくなる前に、意思伝達の方法も検討しておきましょう。 飲み込みの障害と誤嚥性肺炎 末期には、食べ物や飲み物を飲み込む機能が大きく低下します。(文献1) 問題になるのは食事のときだけではありません。飲み込む力が落ちると、自分の唾液が気づかないうちに気管へ入り込むようになり、繰り返す誤嚥性肺炎につながります。 誤嚥性肺炎は、多系統萎縮症の主要な死因のひとつです。 「むせる回数が増えた」「食事に時間がかかる」「体重が減ってきた」といった変化は、飲み込む機能が低下しているサインです。障害が強い場合には胃ろうが必要となることも多いとされています。(文献4) 声が出せず意思疎通が難しくなる 飲み込みに使う筋肉と声を出す筋肉は共通する部分が多いため、同じ時期に発声も難しくなります。初期の「ろれつが回りにくい」状態から、末期には声を出すこと自体ができなくなります。 一方で考える力は比較的保たれる方も多く、伝えたいのに伝えられない状態が起こりえるため、文字盤や意思伝達装置は、話せる段階から検討しておくことが大切です。 多系統萎縮症の末期症状③:全身の運動機能と自律神経の障害 多系統萎縮症の末期には、全身を動かす機能が大きく低下します。加えて、自律神経の障害により、血圧や排尿、体温の調節も不安定になりがちです。 ここでは、日常生活に影響する主な症状を見ていきましょう。 寝たきり・関節が硬くなる・床ずれ 末期には自力での動作がほとんどできなくなり、寝返りを打つことも難しくなります。 体を動かさない時間が長くなると、関節が硬くなって動かせる範囲が狭まる「拘縮(こうしゅく)」が進み、着替えやおむつ交換にも痛みを伴うようになります。 同じ部位が圧迫され続けることで床ずれもできやすくなるため、定期的な体位変換や皮膚の観察が重要です。 以下の記事では寝たきりにならないための対策について詳しく解説しています。 血圧・排尿・体温調節の不安定さ 立ち上がったときに血圧が下がり、失神を伴うこともあります。(文献2) 一方、横になると血圧が上がる場合もあるため、血圧の変化に応じた薬の調整や生活上の工夫が必要です。 また、自律神経の障害によって排尿機能も低下し、尿が出にくくなる場合と漏れてしまう場合の両方が起こります。さらに、体温調節の障害や便秘・下痢がみられることもあります。(文献3) 多系統萎縮症の末期に起こりやすい合併症と主な死因 起こりやすい合併症・状態 ご家族が気づけるサイン 誤嚥性肺炎 発熱、痰の増加、呼吸が荒い、食事中のむせ 窒息・空気の通り道の閉塞 睡眠中の高い音の呼吸、苦しそうな様子 睡眠中の突然死 睡眠中の呼吸の停止、朝の様子の変化 尿路感染症 発熱、尿の濁りやにおいの変化 床ずれ・感染 皮膚の赤み、ただれ 多系統萎縮症の末期に生命に関わるのは、病気そのものよりも、そこから生じる合併症であることが少なくありません。早く気づいて対応することで、重症化を防げる可能性があります。 多系統萎縮症の末期に検討される医療的な選択肢 多系統萎縮症の末期には、呼吸や栄養を保つための医療的な対応が必要になることがあります。選択肢によって期待できる効果や限界が異なるため、本人の希望と全身状態を踏まえて検討することが大切です。 ここでは、気管切開や人工呼吸器、胃ろうについて解説します。 気管切開・人工呼吸器を検討するとき 呼吸障害に対しては、鼻や口にマスクを装着し、機器から空気を送り込んで呼吸を補助する非侵襲性陽圧換気が用いられることがあります。(文献4) 手術をせずに呼吸を助けられる方法ですが、気道の狭窄が強い場合などには適さないこともあり、より重度の場合や、空気の通り道がふさがれる危険が高い場合には、気管切開が検討されます。 目安は、睡眠中の酸素の値が下がっている時間が長い場合や、はっきりとした喘鳴・呼吸の苦しさがある場合です。適切な方法は呼吸障害の程度や気道の状態、全身状態によって異なります。主治医と相談しながら、治療方針を決めましょう。 胃ろうを検討するとき 飲み込む力が大きく落ちた場合には、おなかから胃に直接栄養を送る「胃ろう」が選択肢になります。(文献4) 体重の減少が続く、誤嚥性肺炎を繰り返す、食事に時間がかかり本人が疲れきってしまう、といった段階が検討のタイミングです。 気管切開・人工呼吸器・胃ろうの効果と限界 医療的な選択肢 期待できること 知っておきたい限界 気管切開・人工呼吸器 空気の通り道がふさがれる窒息を回避できる ・気管切開後も突然死が起こりうる ・声を出しにくくなる 胃ろう ・栄養・水分・薬を安定して届けられる ・食事による疲労や誤嚥を減らせる ・唾液の誤嚥は防げない ・病気の進行を抑えるものではない マスクによる呼吸の補助 手術をせずに呼吸を助けられる 気道の状態によっては適さない場合がある (文献4) 多系統萎縮症では、病状の進行に応じて気管切開や人工呼吸器、胃ろうといった医療的選択肢が検討されます。 これらは呼吸や栄養を支え、窒息や栄養不足のリスクを軽減して生活を維持するための重要な治療ですが、病気そのものの進行を止めることはできません。 気管切開後も突然死の可能性は残り、胃ろうを造設しても唾液の誤嚥は防げません。それぞれの効果と限界を理解した上で、本人の希望やQOL(生活の質)、家族の考えも踏まえ、主治医と十分に話し合って選択しましょう。 話せるうちに家族で話し合う 多系統萎縮症が進行すると、本人が言葉で意思を伝えることが難しくなります。そのため、話せるうちに今後の医療や過ごし方について、家族で話し合っておくことが大切です。 気管切開や人工呼吸器を希望するか、胃ろうをどう考えるか、最期をどこで過ごしたいかなど一度で決める必要はなく、状態の変化に合わせて話し合いましょう。 多系統萎縮症の末期の緩和ケアと在宅療養という選択 多系統萎縮症に根治的な治療法はなく、対症療法とリハビリテーションで症状を緩和する方針がとられています。(文献3) 病気が進んだ段階では、目標は「進行を抑えること」から「苦痛を和らげ、その人らしく過ごすこと」へと移り、在宅療養を希望する場合は、訪問診療医・訪問看護師・訪問リハビリ・ケアマネジャーが連携し、緊急時にも対応できる体制を整えることで、住み慣れた自宅で過ごせます。 ご家族だけで抱え込まず、早い段階からチームをつくることが負担の軽減につながるでしょう。 以下の記事では「多系統萎縮症が治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説します。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った人」 利用できる医療費助成・介護・福祉の制度 末期には、医療費に加えて介護サービスや福祉用具などの負担も大きくなります。こうした負担を軽減するために、医療費助成や介護保険、障害福祉に関する制度を利用できます。 主な制度と対象者、受けられる支援の内容は以下のとおりです。 利用できる制度 対象 主な内容 特定医療費(指定難病)受給者証 難病指定医の診断を受け、重症度の基準を満たす方 医療費に所得に応じた自己負担上限額が設定される 介護保険(特定疾病) 40歳以上の方 訪問介護、訪問看護、車椅子や介護ベッドの貸与、施設入所 身体障害者手帳 肢体不自由、音声・言語機能障害などの認定を受けた方 補装具費の支給、自治体ごとの医療費助成 とくに知っておきたいのが介護保険です。通常は65歳以上が対象ですが、多系統萎縮症は特定疾病に該当するため、40歳以上であれば要介護認定を受けて利用できます。 窓口は自治体で異なるため、病院の医療相談室やケアマネジャーにご相談ください。 多系統萎縮症の末期症状に備えて早めに医療・介護体制を整えよう 多系統萎縮症の末期には、呼吸の障害、飲み込みの障害と誤嚥性肺炎、寝たきりに伴う拘縮や床ずれ、不安定な血圧や排尿の障害が重なってあらわれます。 生命に関わるのは合併症であることが多く、早めに気づいて対応することが重要です。 そして何より、進行すると本人が言葉で意思を伝えられなくなります。話せるうちに、どのような医療を望むかを話し合っておくことが大きな意味を持ちます。 ご家族だけで抱え込まず、医療・介護の専門職とチームを組んで支えられる体制を早めにつくっていきましょう。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症の末期症状に関するよくある質問 多系統萎縮症の末期は必ず寝たきりになりますか? 発症後平均約8年で寝たきりの状態になると報告されています。(文献3) ただし、進行の速さには個人差があり、リハビリテーションや福祉用具の活用によって身体機能を保つ取り組みには意味があります。 多系統萎縮症では突然死が起こることがありますか? 多系統萎縮症では、睡眠時無呼吸や声帯が十分に開かなくなる障害、呼吸中枢の障害などにより、突然死が起こることがあります。 気管切開で空気の通り道を確保しても、呼吸を調節する脳の働きが低下している場合は、突然死を完全には防げません。(文献4) 睡眠中に高い呼吸音がする、呼吸が止まるといった変化に気づいた場合は、早めに主治医へ伝えてください。 家族は介護に向けて何を準備すれば良いですか? まずは訪問診療や訪問看護、介護保険サービスを利用できる体制を整えておきましょう。車椅子や介護ベッド、意思伝達装置なども、必要になる前から相談しておくと準備を進めやすくなります。 あわせて、気管切開や人工呼吸器、胃ろうを希望するか、どこで療養したいかについて本人の意思を確認することも重要です。家族だけで抱え込まず、主治医やケアマネジャー、病院の医療相談室へ早めに相談してください。 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献3) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献4) 多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17)|難病情報センター
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ご自身やご家族が多系統萎縮症と診断され、「治った人はいるのだろうか」「本当にこの診断で合っているのだろうか」と情報を探している方も多いのではないでしょうか。 本記事では、多系統萎縮症で「治った人」がいるのかという疑問にお答えした上で、なぜそうした話が生まれるのか、間違われやすい病気との違い、今できる治療、そして使える公的支援制度までを順に解説します。 この記事を読めば、今わかっていることと、まだわかっていないことの境界線がはっきりし、これから何を優先して考えれば良いかが整理できますので、ぜひ最後までご一読ください。 再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 多系統萎縮症が「治った人」はいるのか? 現在のところ、多系統萎縮症が完全に治ったと医学的に確認された症例は報告されていません。 一方で、インターネット上には「症状が改善した」「再び歩けるようになった」といった体験談も見られます。 ここでは、多系統萎縮症の完治が難しい理由と、「治った」という話が生まれる背景を解説します。 完全に治った症例は報告されていない 現在の医学では、多系統萎縮症そのものを根本から治す方法は見つかっていません。 多系統萎縮症は脳の神経細胞が少しずつ失われていく病気です。一度失われた神経細胞を元に戻す方法は確立されていないため、失われた神経の働きが元どおりになる「完治」の例は報告されていません。 現在の治療は、現れている症状を和らげることが中心です。(文献1) 厳しい事実ですが、完治が難しいことを理解しないまま療養を進めると、根拠の乏しい民間療法に時間やお金を費やし、本来受けられるケアや支援を逃してしまうおそれがあります。 「多系統萎縮症が治った」という話が生まれる3つの理由 一方で、「症状がよくなった」「歩けるようになった」という話が見られるのも事実です。 これらは作り話とは限らず、多くは次の3つの理由で説明できます。 理由1.似た病気との誤診とその後の診断の修正 多系統萎縮症は、発症してまもない時期には他の神経の病気とよく似ており、専門医でも診断に迷うことがあります。 とくに、動作が遅くなる・体がこわばるといった症状が先に出るタイプは、パーキンソン病との区別が難しい病気です。(文献2) そのため、いったん多系統萎縮症が疑われても、その後の検査や経過観察で診断が別の病気に変わることがあります。 もともとパーキンソン病だった方が薬でよくなれば、周囲には「多系統萎縮症が薬で治った」と映ってしまうのです。 逆に、パーキンソン病と診断されていた方が、後から多系統萎縮症とわかることもあります。診断の見直し自体は珍しいことではありません。 理由2.進行が一時的に穏やかになる「プラトー」がある 多系統萎縮症は進行する病気ですが、進み方は一定ではありません。 数カ月から年単位で症状の変化がほとんど見られない、落ち着いた時期が訪れることがあり、これを「プラトー(停滞期)」と呼びます。 この時期に入ると、ご本人もご家族も「進行が止まった」と感じて「治ったのでは」という印象を持つ可能性があります。 理由3.リハビリで日常の動作が良くなることがある 3つ目は、リハビリによる改善です。 多系統萎縮症では、生活の質を保つためのリハビリが治療の重要な柱とされています。(文献3)(文献4) ふらつきで歩きにくかった方が、バランス訓練や歩行訓練、住まいの環境を整えることで、再び安定して歩けるようになることはあります。ただし、こうした変化は多系統萎縮症そのものが治ったことを意味するものではありません。リハビリは、残っている身体機能を活かし、日常生活を送りやすくすることを目的として行われます。(文献3)(文献4) そのため、「治った」という体験談を見る際は「病気が完治したのか」「リハビリによって症状や生活動作が改善したのか」を分けて考えることが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症のリハビリについて詳しく解説しています。 内部リンク:多系統萎縮症 リハビリ(7月執筆) 「多系統萎縮症が治った人」は診断が見直された可能性もある 「多系統萎縮症が治った」という話のなかには、病気そのものが完治したのではなく、その後の検査や経過観察によって診断が別の病気へ変更されたケースが含まれている可能性があります。 とくに多系統萎縮症とパーキンソン病は、初期に似た症状が現れることがあるため、診断が難しい場合があります。 ここでは、両者の主な違いと、診断に疑問を感じたときの相談先について解説します。 多系統萎縮症とパーキンソン病の違い 多系統萎縮症とパーキンソン病は、動作の遅さや筋肉のこわばりなど共通する症状がある一方、手のふるえ、自律神経症状、レボドパへの反応などに違いがあります。 項目 多系統萎縮症 パーキンソン病 目立ちやすい症状 歩行のふらつき、立ちくらみ、排尿障害、動作の遅さ 手のふるえ、筋肉のこわばり、動作の遅さ 手のふるえ 目立たないことが多い 安静時にみられることがある 自律神経症状 早い段階から強く現れやすい 比較的軽いことが多い レボドパへの反応 効きにくい、または効果が一時的なことが多い 効果が現れやすく、持続しやすい 進行 比較的速い傾向がある 多系統萎縮症より緩やかなことが多い ただし、すべての患者様に典型的な特徴が現れるわけではありません。実際の診断では、症状の経過や神経学的診察、MRIなどの検査結果を組み合わせて総合的に判断します。(文献1)(文献2) 以下の記事では、パーキンソン病について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】パーキンソン病とは|初期・進行期の症状・原因・治療法を解説 【医師監修】パーキンソン病の初期症状とは?セルフチェック法や受診の目安を解説 診断に疑問を感じたときの相談先 「説明を受けた症状と実際の状態が異なる」「治療を続けても診断や今後の見通しに納得できない」など、不安や疑問がある場合は、まず主治医に相談しましょう。 診断時には確認できなかった症状や検査所見が、その後の経過で明らかになることもあります。 必要に応じてセカンドオピニオンを受ける方法もあります。自己判断で治療を中断せず、これまでの検査結果や服薬歴を持参して相談することが大切です。 多系統萎縮症に対して行われている治療・対処法 多系統萎縮症を根本的に治す治療法は確立されていませんが、症状を和らげたり、生活機能を維持したりするための治療は行われています。 薬物療法だけでなく、リハビリや飲み込み・呼吸への対応などを組み合わせることが重要です。 ここでは、現在行われている主な治療や対処法を解説します。 症状に合わせた薬物療法 根本的に治す薬はまだありませんが、それぞれの症状を和らげるための薬が使われています。 主な症状 使われる薬 働きと注意点 ふらつき・話しにくさ セレジスト ふらつきなどの改善を目的に使われます。 動作の遅さ・こわばり レボドパ 効果が乏しい場合や、効果が続きにくい場合があります。 立ちくらみ 血圧を上げる薬 血圧の低下を抑えます。横になったときに血圧が上がりすぎないよう、調整が必要です。 排尿障害 排尿症状に応じた薬 尿が出にくい、尿が近いなど、症状のタイプに応じて使い分けます。 (文献1)(文献2)(文献3) 薬価は毎年の改定で変わるため、費用は医療機関や薬局にご確認ください。 自己判断で薬の量を増減させるのは危険です。気になる点がある場合は、必ず主治医か薬剤師にご相談ください。 飲み込みや呼吸の問題への対応 病気が進むと、飲み込みにくさや、睡眠中の呼吸の問題が出てくることがあります。 飲み込みにくさは肺炎の原因になるため、食事の形を変えたり、食べるときの姿勢を工夫したりする対応が必要です。 十分に食べられず栄養を保てなくなった場合は、胃に直接栄養を送る方法である胃ろうが検討されます。呼吸の問題に対しては、マスクを使った呼吸の補助などが検討されます。 いずれも、ご本人の意思とご家族の生活をふまえた話し合いが必要な選択です。早い時期から主治医と方針を共有しておくと、いざというときに落ち着いて判断しやすくなります。 患者様とご家族が使える公的支援制度【一覧表】 項目 主な対象 受けられる支援 相談・申請窓口 特定医療費(指定難病)受給者証 診断基準を満たし、認定された方 ・医療費の自己負担の軽減 ・月額上限の設定 ・保健所 ・都道府県の窓口 介護保険 40歳以上で要件を満たす方 ・訪問介護 ・訪問看護 ・デイサービス ・福祉用具のレンタル ・住宅改修など ・市区町村の介護保険窓口 ・地域包括支援センター 身体障害者手帳 障害の程度が等級の基準に該当する方 ・補装具の購入費用の助成 ・税の優遇 ・各種割引など ・市区町村の障害福祉窓口 障害者総合支援法のサービス 障害の状態や支援区分などの要件を満たす方 ・居宅介護 ・重度訪問介護などの福祉サービス ・市区町村の障害福祉窓口 治療と同じくらい大切なのが、支援制度を漏れなく活用することです。経済的・身体的な負担が軽くなれば、療養環境を整えることに力を注ぎやすくなります。 多系統萎縮症は指定難病に定められているため、認定を受けると医療費の助成が受けられます。(文献5) 申請には難病指定医が作成する診断書が必要です。診断がついたら、早めに主治医へ相談しましょう。 また、40歳から64歳の方でも、条件を満たせば介護保険のサービスを申請できます。要件や運用は自治体によって異なる場合があるため、詳しくは各窓口にご確認ください。 多系統萎縮症は「治った人」を探すより今できることに目を向けよう 多系統萎縮症を完全に治した例は、現在のところ報告されていません。 インターネット上で見かける「治った」という話の多くは、診断が別の病気に変わったケース、進行が一時的に落ち着くプラトーの時期、リハビリで生活動作がよくなったケースとして説明できます。 一方で、症状を和らげげる薬やリハビリは整備されており、進行を抑えることを目指した研究も進んでいます。医療費の助成や介護保険を使えば、療養に伴う負担を軽くすることも可能です。 進行の速さには大きな個人差があります。診断名や平均的な数字だけで将来を決めつけず、今できることを一つずつ整えていきましょう。 気になることがあれば、遠慮なく主治医や相談窓口に声をかけてみてください。 なお、再生医療の対象となる疾患や治療内容について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 「多系統萎縮症が治った人」に関するよくある質問 多系統萎縮症が治った人の体験談やブログは信頼できますか? 体験談やブログは、療養生活やリハビリの工夫を知る参考にはなりますが、病気が完治した根拠にはなりません。 「治った」と表現されていても、リハビリによって日常動作が改善したケースや、一時的に進行が落ち着いているケース、その後に診断が別の病気へ変更されたケースなどが考えられます。 体験談だけで治療法の効果を判断せず、診断名や治療内容、医学的な根拠が示されているかを確認しましょう。 多系統萎縮症でも長生きする人はいますか? 多系統萎縮症でも、一般的に示される生存期間より長く生活する方はいます。 多系統萎縮症の患者を対象とした研究では、症状が現れてから死亡するまでの期間の中央値は約8.6年と報告されていますが、実際の経過には個人差があります。(文献6) 発症年齢や、早期に現れる自律神経症状の重さなどによって生存期間は異なるため、中央値だけで個人の寿命を判断することはできません。症状や合併症に応じた治療・ケアを続けることが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症と余命の関係について詳しく解説しています。 内部リンク:多系統萎縮症余命(8月KW) 多系統萎縮症の進行速度には個人差がありますか? 多系統萎縮症の進行速度や経過には個人差があります。症状が比較的早く進む方がいる一方で、平均的な経過より長く生活する方もいるため、診断名だけから個人の経過を正確に予測することはできません。 研究では、発症時の年齢が高いことや、発症から3年以内の転倒、膀胱症状、早期からみられる起立性の症状、強い自律神経障害などが、生存期間の短さと関連する要因として報告されています。(文献7) 一方、多系統萎縮症の病型による生存期間の明確な差は認められませんでした。 定期的に症状を確認し、状態に応じて薬物療法やリハビリ、生活環境の調整を行うことが大切です。 以下の記事では、多系統萎縮症になりやすい人の特徴について詳しく解説しています。 内部リンク:8月KW(多系統萎縮症になりやすい人は) 多系統萎縮症の末期にはどのような症状が現れますか? 多系統萎縮症には明確に統一された「末期」の定義はありませんが、病気が進行すると、自力での歩行や姿勢の維持が難しくなり、車椅子での生活や寝たきりの状態になることがあります。 さらに、飲み込みにくさが強くなり、むせや誤嚥性肺炎、栄養不足が起こる場合があります。声帯の動きに障害が生じると、睡眠中などに息を吸う際の高い呼吸音である「吸気性喘鳴」や、呼吸障害が現れることもあります。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 ※内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 末期症状」 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献3) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献4) 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018|日本内科学会雑誌第113巻第6号 (文献5) 多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症(指定難病17)|難病情報センター (文献6) Multiple System Atrophy: Prognostic Indicators of Survival|PMC (文献7) Clinical features and autonomic testing predict survival in multiple system atrophy|PubMed
2026.07.31 -
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「多系統萎縮症と診断されたけれど、リハビリでは実際にどのようなことをするのだろう」 と気になっている方もいるのではないでしょうか。 多系統萎縮症は、歩くときのふらつき、動作のしにくさ、話しづらさ、立ちくらみなど幅広い症状が現れるため、必要なリハビリの内容も一人ひとり異なります。 本記事では、多系統萎縮症のリハビリで行う理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの具体的な内容を、病期ごとの目標や適切に続けるための注意点とあわせて解説します。 この記事を読めば、今のご状況でどのリハビリに力を入れれば良いかが整理できます。ぜひ最後までご一読ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症の特徴と現れやすい症状 項目 MSA-C(小脳症状が中心) MSA-P(パーキンソン症状が中心) 主な特徴 バランスを保ちにくい 手足の動きをうまく調整できない 姿勢が不安定になる 動作が遅くなる 筋肉がこわばる ろれつが回りにくくなることもある 共通して現れる症状 立ちくらみ 排尿障害 便秘 飲み込みにくさ 息苦しさ 息を吸うときの喘鳴 (文献1)(文献2)(文献3) 多系統萎縮症(MSA)は、体の動きやバランス、血圧、排尿などを調整する脳や脊髄の働きが少しずつ低下していく進行性の病気です。国の指定難病の一つで、歩行時のふらつきや動作のしにくさ、筋肉のこわばり、立ちくらみ、排尿障害などが現れます。 多系統萎縮症は、現れやすい症状によって、小脳の機能障害が目立つ「MSA-C」と、パーキンソン病に似た症状が目立つ「MSA-P」の2つに大きく分けられます。(文献1) ただし、完全に分かれるものではなく、病気の進行に伴って両方の症状が重なって現れる場合もあります。また、どちらの病型でも、立ちくらみや排尿のトラブル、便秘などの自律神経症状がみられる点が特徴です。(文献2) 以下の記事では、多系統萎縮症と脊髄小脳変性症の違いについて詳しく解説しています。 内部リンク:7月KW(多系統萎縮症 脊髄小脳変性症 違い) 進行を止める治療がないなかでリハビリが担う役割 多系統萎縮症を含む神経の変性疾患では、変性した神経を元の正常な状態に戻したり、変性の進行を止めたりする治療法は現時点ではありません。 そのため、症状を和らげる対症療法とあわせて、生活の質を維持するためのリハビリテーションを行うことが治療の柱となります。 多系統萎縮症は比較的進行が早く、発症後平均で5年ほどで車椅子を使用し、8年ほどで臥床状態になると報告されています。(文献2) リハビリの目的は、失われた神経を取り戻すことではありません。残っている機能をできるだけ長く使い続け、転倒や誤嚥性肺炎といった二次的なトラブルを防ぐことにあります。 実際、できるだけ多くの日常生活動作を続けることが、筋力と柔軟性の維持に役立つとされています。(文献1) 以下の記事では「多系統萎縮症が治った人はいるのか?」という疑問について詳しく解説しています。 内部リンク:7月執筆「多系統萎縮症 治った人」 多系統萎縮症の病期別リハビリ目標 多系統萎縮症のリハビリでは、病気の進行や現在の生活状況に合わせて目標を見直すことが大切です。 症状が軽い時期と介助が必要な時期では、優先すべきことが異なります。 以下は病期ごとのリハビリ目標の目安です。 項目 リハビリの目標 軽度 今ある機能の維持、運動習慣の定着、転倒の予防 中等度 適切な移動手段の確保、誤嚥と失神の予防 重度 関節の拘縮・床ずれの予防、意思疎通の手段の確保 実際の目標は、症状や生活環境を踏まえ、主治医や理学療法士などのリハビリ専門職と相談して決めましょう。 軽度の時期|運動習慣の定着と転倒予防 身のまわりのことや仕事、外出などを、おおむね自分で行える時期です。 この時期は、現在の身体機能や日常生活をできるだけ長く維持し、無理なく体を動かす習慣を身につけることが主な目標です。 あわせて、転倒につながりやすい場面や生活上の困りごとを早めに把握し、症状が進んだ場合にも対応しやすい環境を整えておくことが重要です。 中等度の時期|移動の安全確保と誤嚥・失神の予防 歩行や身のまわりの動作に、見守りや介助が必要になる時期です。 この時期は、自力で行うことだけにこだわらず、安全に移動して日常生活を続けられる状態を保つことが目標になります。 また、飲み込みにくさによる誤嚥や、起立性低血圧による立ちくらみ・失神にも注意が必要です。事故や体調悪化を防ぐため、ご本人の状態に合った介助方法や生活環境を整えていきます。 重度の時期|拘縮・褥瘡の予防と意思疎通の維持 ベッドで過ごす時間が長くなり、日常生活の多くに介助が必要となる時期です。 この時期は、身体機能を高めることよりも、関節が固まる拘縮や床ずれ、呼吸器の合併症などを防ぎ、苦痛を減らすことが主な目標になります。 あわせて、ご本人が希望や体調を周囲に伝えられるよう、意思疎通の手段を確保することも重要です。話しにくさが強くなる前から、今後のコミュニケーション方法について、ご本人・ご家族・専門職で話し合っておきましょう。 以下の記事では、多系統萎縮症の末期症状について詳しく解説しています。 内部リンク:7月KW(多系統萎縮症 末期症状) 多系統萎縮症のリハビリで行う具体的な訓練 多系統萎縮症のリハビリでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職が、症状や生活上の困りごとに応じた訓練や指導を行います。(文献1) それぞれ担当する領域は異なりますが、複数の専門職が連携し、一人ひとりの状態に合わせてリハビリの内容を組み立てます。 理学療法(PT)|ふらつき・歩行障害・姿勢異常への対応 理学療法では、立つ・歩く・起き上がるといった基本的な動作を支えます。 ふらつきに対しては、手首や足首に軽い重りをつけたり、弾性のあるバンドを体幹に巻いたりして、自分の体の位置を感じ取りやすくする方法がよく用いられます。 動作の遅さやこわばりに対しては、「いつもより大きく足を上げる」「大きく腕を振る」というように、あえて動作の幅を大きくする練習が行われ、小さくなりがちな動きを意識的に補うという考え方です。 また、体が前に強く曲がる、首が下がるといった姿勢の変化は、一度固まると戻しにくくなります。 背中を伸ばす訓練や、鏡で姿勢を確認しながら整える練習を早くから続けることが大切です。 作業療法(OT)|日常生活動作と自助具・住環境の工夫 作業療法では、食事・着替え・入浴・トイレといった動作を、できるだけ自分の力で安全に行えるようにすることを目指します。 手が動かしにくくなった場合は、柄を太くしたスプーンや縁の高い食器、滑り止めマットを使うことで、自分で食べられる期間を延ばせることがあります。 また、住まいの環境整備も重要な役割です。手すりの設置や床の段差の解消で転倒を防ぎます。 どこにどのような手すりが必要かは体の状態で変わるため、実際の生活場面を見てもらいながら決めるのが確実です。 言語聴覚療法(ST)|話しにくさ・飲み込みにくさへの対応 言語聴覚療法では、「話す」と「飲み込む」という、生活の質に直結する2つの機能を支えます。 話しにくさに対しては、声を出し続ける練習や、話す速さを一定に保つ練習が行われます。 ゆっくり区切って話す習慣は、聞き取ってもらいやすさにつながります。 飲み込みにくさについては、あごを軽く引いた姿勢をとるといった姿勢の調整や、飲み物にとろみをつける、ゼリー状の食事に変更するといった食べ物の形態の調整を行います。 飲み込みにくさへの対症療法は診療ガイドラインでも項目として扱われており、経過に応じた判断が必要な領域です。(文献4) 「むせる回数が増えた」「食事に時間がかかる」「体重が減ってきた」といった変化があれば、早めに主治医に相談してください。 呼吸リハビリテーション|息苦しさ・痰への対応 多系統萎縮症では、呼吸や飲み込みの障害、息を吸うときの喘鳴(吸気性喘鳴)がみられることが知られています。(文献3) 胸まわりの動きを保つ運動や、痰を出しやすくするための介助などを行います。 とくに睡眠中の喘鳴やいびきの変化は重要なサインですので、ご家族が気づいた場合は必ず主治医に伝えてください。 多系統萎縮症のリハビリを適切に続けるための注意点 多系統萎縮症のリハビリには、他の病気にはない固有の注意点があります。 とくに自律神経の症状は、運動そのものを危険なものに変えてしまうことがあるため、知っておくことが欠かせません。 起立性低血圧による立ちくらみ・失神を防ぐ もっとも注意が必要なのが起立性低血圧です。 立ち上がったときに血圧が下がり、立ちくらみや、ときには失神を起こします。前ぶれなく意識を失うこともあるため、骨折につながる転倒の大きな原因になります。 対策として、塩分と水分の摂取量を増やすことが大切です。血液の量が増え、血圧の上昇に役立ちます。また、ゆっくり立ち上がることも急激な血圧低下の予防になり、腹帯や弾性ストッキングの着用も助けになることがあります。 なお、塩分や水分の適切な量は、心臓や腎臓の状態によって変わるため、自己判断で大きく増やさず、必ず主治医の指示に従ってください。 誤嚥性肺炎を防ぐ姿勢と食事の工夫 飲み込む力が落ちてくると、食べ物や唾液が気管に入り、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。 食事の際は「あごを引いた姿勢を保つ」「体が傾かないように座る」「一口の量を減らす」「テレビを消して集中する」といった工夫が大切です。 食後すぐに横にならないこと、口の中を清潔に保つことも予防につながります。 自宅でのリハビリと家族の介護負担を軽減する方法 通院や通所でのリハビリだけでは、機能を維持するには十分でないことがあります。 日々の暮らしのなかで体を動かし続けることが、結果的に大きな差につながります。 自宅で続けやすい運動の例 椅子に座った状態での足踏み、手すりやテーブルにつかまっての立ち座りの繰り返し、肩や首をゆっくり回すストレッチなどは、体調に合わせて調整しやすい運動です。 そして何より、できるだけ多くの日常生活動作を続けること自体が、筋力と柔軟性の維持に役立ちます。(文献1) 着替えや洗面など、これまでどおりの動作を時間がかかっても自分で行うことが、自然なリハビリになります。安全な範囲で「代わりにやってあげる」よりも「見守りながらやってもらう」ことを意識してみてください。 ただし、病期によって避けるべき動きがあるため、内容は必ず主治医やリハビリ専門職に確認してください。 介護するご家族の負担を軽くする工夫 多系統萎縮症の療養は長期にわたり、進行とともにご家族の負担も増していきます。 介助を自己流で続けていると、腰を痛めるなど、ご家族自身が体を壊してしまうことも少なくありません。移乗や入浴の介助は、訪問看護師やリハビリ専門職から正しい方法を学んでおくことをおすすめします。また、抱え込まないことも重要です。 訪問リハビリ、デイサービス、ショートステイなどを組み合わせれば、ご家族が休息をとる時間を確保できます。 「まだ大丈夫」と思える段階からケアマネジャーに相談しておくほうが、いざというときに慌てずに済みます。 多系統萎縮症は病期に合ったリハビリを継続しよう 多系統萎縮症のリハビリは、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などを組み合わせ、病期に応じて目標を切り替えながら進めていくものです。 軽い時期には機能の維持と転倒予防を、介助が必要な時期には安全な移動と誤嚥・失神の予防を、重度の時期には合併症の予防と意思疎通の維持を目指します。 神経の変性そのものを止める治療法はありませんが、対症療法とリハビリテーションによって生活の質を維持していくことが治療の中心とされています。(文献2) とくに、起立性低血圧と誤嚥への対策は、リハビリを適切に続ける上で欠かせません。 不安を感じたときは、ひとりで抱え込まず、主治医やリハビリ専門職、ケアマネジャーに相談しましょう。関わる専門職が増えるほど、選べる工夫の幅は広がります。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな疾患や後遺症の治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 多系統萎縮症のリハビリに関するよくある質問 多系統萎縮症のリハビリでやってはいけないことはありますか? すべての方に共通する禁忌はありませんが、症状や病期に合わない運動は避ける必要があります。 とくに、起立性低血圧がある状態で急に立つことや、ふらつきが強い状態で一人で歩行訓練を行うことは危険です。息苦しさや強いめまい、むせが現れた場合は中止し、主治医や理学療法士などのリハビリ専門職に相談してください。 以下の記事では、多系統萎縮症になりやすい人の特徴について詳しく解説しています。 内部リンク:8月KW(多系統萎縮症余命) 多系統萎縮症のリハビリはどこで受けられますか? 多系統萎縮症のリハビリは、脳神経内科やリハビリテーション科のある病院・診療所で受けられます。 通院が難しい場合は、訪問リハビリや通所リハビリを利用できることもあります。対応できる施設や内容は地域によって異なるため、主治医や病院の地域連携室、ケアマネジャーに相談して受け入れ先を探してください。 多系統萎縮症のリハビリには入院が必要ですか? 多系統萎縮症のリハビリに、必ず入院が必要なわけではありません。症状が安定している場合は、外来や訪問、通所で継続できます。 一方、歩行や嚥下機能の詳しい評価、補助具の選定、家族への介助指導などが必要な場合は、短期入院が検討されることもあります。 参考文献 (文献1) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル家庭版 (文献2) 脊髄小脳変性症|済生会 (文献3) 多系統萎縮症(MSA)|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献4) 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018|日本内科学会雑誌
2026.07.31 -
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「急性散在性脳脊髄炎と診断されたが、いつ治るのだろう」 「後遺症が出ないか、心配でたまらない」 このような不安を抱える方は、多くいます。 急性散在性脳脊髄炎はまれな病気で、情報が限られているため、回復の見通しが立たないことに不安を感じるのは当然です。とくにお子さんが発症した場合は、なおさら心配も大きくなります。 しかし、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込めます。まずは、その経過や見通しを正しく知ることが大切です。 そこで本記事では、現役医師が急性散在性脳脊髄炎の完治までの経過・症状・治療法・後遺症や再発の可能性を詳しく解説します。記事の後半にはよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 急性散在性脳脊髄炎でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 急性散在性脳脊髄炎が完治するまでの経過と期間の目安 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、脳や脊髄の神経を覆う「髄鞘(ずいしょう)」に炎症が起こる病気です。この炎症で髄鞘が壊れることを「脱髄(だつずい)」といいます。 急性散在性脳脊髄炎は、ウイルス感染やワクチン接種のあとに発症することが多い病気です。(文献1) 適切な治療を受けた場合、数週間〜数カ月での完全回復が55〜95%と報告されています。時間の経過とともに、症状が改善していくケースがほとんどです。(文献2) ただし、炎症が起きた部位や程度によって、回復までの期間には個人差があります。完治までの大まかな経過は、以下のとおりです。 時期 状態・対応 急性期(発症〜数週間) さまざまな神経症状が現れる。ステロイドパルス療法などで炎症を抑える。 回復期(数週間〜数カ月) 症状が徐々に改善する。必要に応じてリハビリを行う。 経過観察期 多くの場合は、後遺症なく回復する。再発がないか、経過を見守る。 このように、段階を追って回復へと向かっていきます。 【まず知っておきたい】急性散在性脳脊髄炎の主な症状 完治までの経過を理解する前提として、どのような症状が出るのかを部位別に紹介します。 急性散在性脳脊髄炎は、炎症が起きた部位によって症状が異なる点が特徴です。 脳に炎症が起きたときの症状 脳に炎症が起きると、発熱、頭痛、吐き気・嘔吐、けいれん、意識障害(ぼんやりする・呼びかけに反応しにくい)などが現れます。(文献1) 症状は突発的に出て、進行が速い場合が多いため、早期の診断と治療が必要です。 脊髄に炎症が起きたときの症状 脊髄に炎症が起きると、手足の麻痺(力が入らない)やしびれ、歩きにくさ、排尿の障害(尿が出にくい)などが見られます。 また、視神経に炎症が及ぶと、視力が低下することもあります。(文献1) 急性散在性脳脊髄炎の治療法 急性散在性脳脊髄炎の治療は、大きく2つに分かれます。急性期に炎症を抑える治療と機能回復のためのリハビリです。 各治療について、順番に解説します。 ステロイドパルス療法(急性期の中心的な治療) 急性期にまず行うのは、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンの大量点滴)です。強い炎症を抑え、症状の改善を目指します。(文献1) 点滴のあとは、飲み薬のステロイドに切り替えます。ステロイドを急にやめると体に負担がかかるため、数週間かけて少しずつ薬の量を減らしていくのが一般的です。 効果が不十分なときに検討される治療 ステロイドパルス療法で十分な効果が得られない場合は、別の治療を検討します。具体的には、血漿交換療法(血液中の原因物質を取り除く治療)や、免疫グロブリン大量静注療法です。(文献2) けいれんが強い場合は抗けいれん薬、呼吸の障害が強い場合は呼吸管理など、症状に応じた治療も並行して行います。 回復期のリハビリテーション 回復期には、残った症状の改善や回復を促すためにリハビリを行います。症状によっては、リハビリ専門の病院へ移ることもあります。 リハビリの内容は、残った症状によってさまざまです。歩く・立つといった動作には理学療法、着替えや食事などの生活動作には作業療法、言葉や飲み込みには言語聴覚療法を用います。 急性散在性脳脊髄炎における後遺症と再発の可能性 急性散在性脳脊髄炎は多くの場合、後遺症なく回復する病気です。 ただし、まれに症状が残ったり再発したりするため、正しく理解しておくことが重要です。 項目 内容 後遺症 多くの場合は、後遺症なく回復する。炎症の程度により、麻痺などが残ることもある。 再発 通常は一度きり(単相性)で、再発は比較的少ない。 回復の見通し 数週間〜数カ月での完全回復が55〜95%と報告されている。 後遺症が出るかどうかや、その程度には個人差があります。これは、炎症が脳や脊髄のどこに、どの程度で起きたかによって変わるためです。(文献2) 後遺症の代表的な例は、手足の麻痺や、注意力・記憶力の低下などです。 回復のしやすさは、年齢によって変わります。お子さんは比較的よく回復する一方、成人は重症化する例もあるため、慎重な経過観察が欠かせません。 急性散在性脳脊髄炎の完治までを正しく理解し回復に向き合おう 急性散在性脳脊髄炎は、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込める病気です。多くの場合は、後遺症なく治ります。(文献2) 一方で、症状が残るケースもあります。その際は、リハビリや専門医への相談を通じて、焦らず回復を目指していきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、急性散在性脳脊髄炎の後遺症など、治療後も続く神経の症状に対応しています。再生医療には、神経の障害による症状の改善を目指す治療もあります。 現在の治療にお悩みの方や再生医療について興味のある方は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」からお気軽にご相談ください。 【関連記事】 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?原因・症状・治療法を医師が解説 視神経脊髄炎の治療方法を目的別に解説!治療薬の種類も紹介 急性散在性脳脊髄炎の完治に関するよくある質問 急性散在性脳脊髄炎は完治しますか? 多くの場合、適切な治療によって数週間〜数カ月で回復が見込めます。後遺症なく治るケースも多いです。 ただし、炎症の程度によっては、麻痺などが残ることもあります。回復の経過は人それぞれです。 今後の見通しが気になる場合は、主治医に確認しましょう。 急性散在性脳脊髄炎は再発しますか? 通常は一度の発症だけで終わり、再び発症することは比較的少ない病気です。ただし、まれに症状がぶり返すこともあります。 再発が心配な場合は、定期的に受診して経過を見てもらうことが大切です。 急性散在性脳脊髄炎の後遺症にはどのようなものがありますか? 主な後遺症は、手足の麻痺や、注意力・記憶力の低下などです。ただし、多くの場合は後遺症なく治り、麻痺などの症状が残るのは炎症が強かった場合などに限られます。 後遺症が出る場合は、リハビリテーションを通じて機能の回復を目指していきます。 参考文献 (文献1) 重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性散在性脳脊髄炎|厚生労働省 (文献2) 神経疾患領域 急性散在性脳脊髄炎|日本アフェレシス学会雑誌
2026.06.30 -
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三叉神経痛は、洗顔や歯磨きなどで顔に少し触れただけでも激痛が走る疾患です。顔の痛みが強くて直接触れられないものの、「何とかして痛みを和らげる方法はないか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 三叉神経痛の痛みを和らげるには、顔から離れた「手」のツボ押しが効果的です。手のツボであれば、痛む顔に直接触れることなく、手軽にセルフケアができます。 本記事では、三叉神経痛に効果的な手のツボの位置や正しい押し方を解説します。ツボ押し以外の治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。神経痛の治療法でお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 三叉神経痛に手のツボ押しが有効な理由 三叉神経痛を緩和するためには、手のツボ押しがおすすめです。ここでは、手のツボ押しが有効とされる主な理由を説明します。 遠隔からアプローチできるため 三叉神経痛に対して手のツボ押しが有効なのは、症状が出ている顔に直接触れずに遠隔からアプローチできるためです。 三叉神経痛は顔に少し刺激が加わっただけでも電気が走るような激痛が誘発されることが多く、直接顔のツボを押すのはおすすめできません。 たとえば、遠絡療法などの考え方では、痛む顔とつながっている手首や手の甲のツボを刺激することで、気の流れを整え、痛みを和らげられるとされています。刺激に敏感な三叉神経痛のケアには、顔への負担を避けて遠隔からアプローチできる手のツボ押しが適しています。 自律神経を整えて痛みの緩和につなげられるため 自律神経を整えて痛みの緩和につなげられる点も、手のツボ押しが有効な理由の一つです。 三叉神経痛の悪化には、精神的なストレスや疲労による自律神経の乱れが深く関係していると考えられます。痛みが続くと交感神経が優位になって体が緊張し、さらに痛みが強くなるという悪循環に陥る可能性が高いため注意が必要です。 この場合、手のツボを優しく刺激することで、副交感神経が優位になり心身がリラックスできます。また、脳に伝わる刺激によって鎮痛物質が分泌されやすくなる効果も期待できます。手のツボ押しは、ストレスによる自律神経の乱れを整え、痛みの悪循環を断ち切るために有効な方法の一つです。 三叉神経痛に効果的な手のツボと押し方 ここからは、三叉神経痛に対するツボ押しとして手軽に試せる、具体的なツボの位置と押し方を紹介します。 合谷(ごうこく) 三叉神経痛におすすめしたいツボが「合谷(ごうこく)」です。合谷は脳に刺激が伝わりやすく、痛みを緩和する鎮痛物質(エンドルフィン)の分泌を促す効果が期待できます。 合谷は、手の甲側の親指と人差し指の骨が交わる付け根から、やや人差し指側のくぼみにあります。押し方のポイントは以下のとおりです。 反対の手の親指と人差し指で挟むように持つ 親指の腹で少し痛気持ち良いと感じる程度の強さで押す ゆっくり優しく圧をかける 合谷は顔の痛みを和らげる代表的なツボです。日々のセルフケアにぜひ手のツボ押しを取り入れてみてください。 内関(ないかん) 三叉神経痛に効果的な手のツボとして「内関(ないかん)」も挙げられます。内関は、自律神経を整えたり、心身をリラックスさせたりする効果が期待できるツボで、ストレスからくる痛みの緩和につながります。 場所は、手首の内側(手のひら側)の横ジワから指幅3本分ほど肘側に上がったところの、2本筋の間にあります。押し方のポイントは以下のとおりです。 反対の手の親指をツボに当てる 息をゆっくり吐きながら、優しく押し込む 深呼吸をしながら数回繰り返す 内関は押すと気持ちが落ち着くツボです。痛みによる不安やストレスを感じたときに押しましょう。 三叉神経痛の手のツボを押す際の注意点 三叉神経痛に対する手のツボ押しは手軽にできるセルフケアの一つです。しかし、誤った方法でツボを押すと逆効果になる場合もあります。 以下で、ツボ押しによるセルフケアの注意点を解説します。 気持ち良さを感じる程度に優しく押す 手のツボを押す際は、力任せに押さず、じんわりとした痛みを感じる程度の強さにとどめましょう。我慢して強く押しすぎると、筋肉や神経を痛めるだけでなく、身体に対する新たなストレスとなり、かえって痛みを悪化させてしまうリスクがあります。 早く痛みをなくしたいと焦って強く揉むのは避けてください。三叉神経痛の手のツボは、ゆっくりと深呼吸をしながら呼吸に合わせて優しく押しましょう。 適切な強さで優しくツボを押すことで、心身がリラックスし、期待する効果を得やすくなります。 痛みが悪化する場合は無理をしない ツボ押しによるセルフケアをしていて痛みが悪化する場合は、無理に続けず医療機関に相談してください。 三叉神経痛になりやすい人の多くは、血管による神経の圧迫など根本的な原因が潜んでいる可能性が高く、ツボ押しなどのセルフケアだけでは改善に限界があります。 ツボ押しをしても痛みが引かない場合や、食事や会話など日常生活に支障が出るほどの痛みが続く場合は、自己判断でのケアを中止し、専門家の診断を仰ぎましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ぜひ公式LINEにご登録ください。 ツボ押し以外の三叉神経痛の治療法 セルフケアで痛みが治まらない場合は、専門的な治療が必要です。ここでは、ツボ押し以外の三叉神経痛の治療法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 鍼灸治療 鍼灸院での治療は、三叉神経痛に対する東洋医学的アプローチとして選択されます。鍼灸治療によって全身の気血の流れや自律神経を整えることで、痛みを感じる境界を上げ、発作の頻度や痛みの程度の軽減が可能です。 具体的には、顔面のツボだけでなく、手足の遠隔のツボなども使いながら、一人ひとりの体質に合わせて施術します。これにより、心身がリラックスし、痛みの悪循環を断ち切りやすくなります。 鍼灸治療は薬の副作用が心配な方や、手術を避けたい方にとって、痛みをコントロールするための有効な手段です。 西洋医学的アプローチ 痛みを直接的に抑えたり、根本的な原因を取り除いたりするためには、病院やクリニックでの西洋医学的なアプローチが効果的です。 症状の程度に合わせて、痛みの伝達を抑える内科的治療から原因を取り除く外科手術まで、適切な治療法を選択できます。 それぞれの治療法の概要と特徴は以下のとおりです。 治療法 概要と特徴 内服治療 抗てんかん薬などを使用して神経の異常な興奮を抑える 初期治療として選ばれる 副作用や長期間の使用で効果が薄れることがある 神経ブロック注射 神経節やその周辺に麻酔薬などを注射して痛みの伝達を遮断する 筋肉のこわばりを取り、血流を良くする効果が期待できる 外科手術 耳の後ろを切開し、三叉神経を圧迫している血管を移動させる「微小血管減圧術」などを行う 全身麻酔と入院が必要になる まずは内服薬やブロック注射で痛みを和らげ、それでも改善が難しい場合に手術が検討されます。段階的に治療を進められる点も、西洋医学的アプローチならではの特徴です。 漢方薬による体質改善 三叉神経痛には、漢方薬を服用して体質改善や痛みの緩和を目指すアプローチもあります。漢方薬は、西洋薬の副作用が合わない場合や、冷え・ストレスなどの根本的な体質から改善したい場合にとくにおすすめです。 具体的には、患者の症状に合わせて体を温めて血の巡りを良くする漢方や、自律神経を整えて気の巡りを改善する漢方などが処方されます。 鍼灸治療や西洋薬と併用して使用されることも多く、身体の状態を底上げしながら痛みを和らげたい方にとって、漢方薬は有効な選択肢になります。 手のツボで三叉神経痛を和らげ専門機関への相談も検討しよう 三叉神経痛による顔の激痛に対し、直接顔に触れずにできる手のツボ押しは痛みを和らげるセルフケアとしておすすめです。手のツボは、優しく気持ち良さを感じる程度の強さで押しましょう。 ただし、ツボ押しはあくまで痛みを緩和する補助的な手段であり、根本的な原因を解決するものではありません。痛みが悪化したり、長引いたりする場合は、西洋医学的な治療や鍼灸治療なども検討するようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。三叉神経痛の治療法でお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 三叉神経痛に関するよくある質問 三叉神経痛に効くツボは手以外にもありますか? 三叉神経痛に効くツボは、手以外にも存在します。実際に、顔のツボである下関(げかん)や頬車(きょうしゃ)も痛みの緩和に役立つとされています。 しかし、痛みがひどい時は無理に顔に触らないでください。代わりに手のツボや足にある足三里(あしさんり)など、顔から離れたツボを使うと効果的です。三叉神経痛の痛みを和らげたいときには、まず手足のツボから試すようにしましょう。 ツボ押し以外に自分でできる対策はありますか? 三叉神経痛を改善するためには、ツボ押し以外にも、ストレスを減らして自律神経を整えることが重要です。疲労や精神的なストレス、体の冷えは自律神経を乱し、三叉神経痛の発作を誘発したり痛みを悪化させたりする要因になりかねません。 また、三叉神経痛のときに明確に禁止されている食べ物はありませんが、冷たい飲み物や硬い食べ物は咀嚼時に痛みを誘発しやすいため避けましょう。
2026.03.31 -
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三叉神経痛では、顔の片側に突然電気が走るような激しい痛みが起こります。「薬の副作用がつらい」「もっと体に合った治療法はないのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 三叉神経痛の治療には西洋薬が一般的です。しかし、一人ひとりの体質に合わせて痛みの緩和を目指す漢方薬も選択肢の一つです。 本記事では、三叉神経痛に用いられる代表的な漢方薬の種類や期待できる効果、副作用リスクなどを解説します。ご自身に合った適切な治療を見つけるための参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。つらい痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 【前提知識】三叉神経痛の治療課題について 三叉神経痛とは、顔の感覚を伝える三叉神経が血管などに圧迫されることで生じる激しい顔面痛のことです。洗顔や歯磨きなどの日常動作がきっかけで、数秒から数十秒にわたって強い痛みが突然起こります。 治療の第一選択は、カルバマゼピンなどの抗けいれん薬の服用です。しかし、西洋薬の使用は、眠気やめまい、ふらつきといった副作用が現れやすく、薬の減量や休薬が必要になるケースも少なくありません。このような治療課題から、副作用対策や痛みの緩和を目指して漢方薬を併用、あるいは選択する場合があります。 三叉神経痛に漢方薬が用いられる理由 三叉神経痛の治療において、西洋薬だけでなく漢方薬が用いられることには理由があります。主に、西洋医学的な作用への期待と漢方特有の体質改善(随証治療)の2つのアプローチから、痛みの緩和を目指せる点がメリットです。 以下で、三叉神経痛に漢方薬が用いられる理由を詳しく見ていきましょう。 西洋医学的な抗けいれん作用が期待できるため 三叉神経痛の治療において、漢方薬は西洋医学的な抗けいれん作用を期待して用いられます。漢方薬のなかには、西洋薬と似たアプローチで神経痛に働きかけるものがあります。 たとえば、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)や芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などは、けいれんを鎮める働きや痛覚過敏を和らげる効果が期待できる漢方薬です。 カルバマゼピンの副作用が強くて十分な量を飲めない場合には、漢方薬を併用することで、西洋薬の量を減らしながら痛みのコントロールを目指せる場合があります。 漢方薬特有の随証治療ができるため 漢方特有の随証治療ができる点も、漢方薬を取り入れるもう一つの理由です。随証治療とは、一人ひとりの体質や症状に合わせて漢方薬を選ぶ治療法です。 漢方薬を取り入れる際、まずは以下のような身体の状態から痛みの原因を特定していきます。 冷え ストレス 体内の水分バランスの乱れ など 病名だけで漢方を決めるのではなく、患者一人ひとりの体格や顔色、胃腸の強さなどを総合的に判断し、全身のバランスを整えながら痛みの緩和を目指します。体質改善を目指しながら痛みを和らげるアプローチは、漢方薬ならではのメリットです。 三叉神経痛によく用いられる代表的な漢方薬 三叉神経痛によく用いられる代表的な漢方薬は次の3つです。(文献1)(文献2) 五苓散(ごれいさん) 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) それぞれの特徴を紹介するので、ご自身の症状や体質と照らし合わせながら、漢方薬選びの参考にしてください。 五苓散(ごれいさん) 三叉神経痛の治療でよく用いられる漢方薬の一つが五苓散です。利水作用により神経周囲のむくみを軽減することで、鎮痛効果を発揮します。 三叉神経痛は、神経の根元が血管に圧迫されて周囲に浮腫が生じることで痛みが起こります。五苓散は体内の余分な水分を取り除く働きがあり、むくみやすい体質の方や、水分代謝の異常がみられる場合によく用いられる漢方薬です。 主な対象・体質 むくみやすい体質の方 水分代謝の異常(水滞)がある方 期待できる働き 体内の余分な水分を取り除く(利水作用) 五苓散は水滞による神経の圧迫や痛みを和らげるための選択肢になります。 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) 三叉神経痛の発症にストレスの関与が疑われる場合には、柴胡桂枝湯も選択肢の一つです。柴胡桂枝湯は、三叉神経が傷ついたときの痛覚過敏に有効とされており、精神的な緊張が痛みを引き起こしている場合や、抗けいれん薬の副作用を抑えたいときに用いられます。 主な対象・体質 ストレスの関与が疑われる方 精神的な緊張がある方 期待できる働き 痛覚過敏を和らげる なお、五苓散などほかの漢方薬と併用されるケースもあります。柴胡桂枝湯は、ストレスや神経の高ぶりが痛みに影響している場合に有効です。 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 桂枝加朮附湯は、冷えを伴う三叉神経痛の痛みに適しています。桂枝加朮附湯には、体を温める生薬や、水分代謝を促す生薬などが配合されています。血流が悪いことによる冷えや、神経周囲のむくみ、しびれを伴う痛みに作用する点が特徴です。 主な対象・体質 冷えを伴う方 冷たい風に当たると痛みが強くなる方 期待できる働き 体を温めて水分代謝を促すことで、冷えや神経周囲のむくみを改善する 桂枝加朮附湯は、主に冷えや血行不良が痛みの原因となっている三叉神経痛に選ばれます。 そのほかの漢方薬 三叉神経痛の治療にあたり、個別の症状や体質に合わせてそのほか漢方薬が用いられる場合もあります。 小柴胡湯(しょうさいことう)や桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)も有効性が報告されている漢方薬です。(文献3)カルバマゼピンとの併用、または単独で用いられます。 また、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は筋肉のけいれんを伴うような痛みに処方される場合があります。 三叉神経痛に用いられる漢方薬にはさまざまな種類があるため、自身の症状や体質に合わせて選択しましょう。 漢方薬を服用する際の注意点 三叉神経痛の治療で漢方薬を服用するときは、いくつか気をつけるべき注意点があります。漢方薬は自然の生薬から作られていますが、決して「副作用がなく誰にでも安全」というわけではありません。 以下で、注意点を3つ解説するので、ぜひ参考にしてください。 市販薬と併用する場合は必ず医師に相談する 三叉神経痛の治療でカルバマゼピンなどの西洋薬を処方されている場合、自己判断で市販の漢方薬やサプリメントを併用するのは避けましょう。薬の組み合わせによっては、作用が強く出すぎたり、思わぬ相互作用を引き起こしたりするリスクがあるからです。 漢方薬の併用によって西洋薬の量を減らせるケースもありますが、そのためには専門的な判断が必要です。必ず事前に主治医や薬剤師に相談し、指示に従って服用してください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。治療法の選択でお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 副作用のリスクがある 漢方薬を服用する際は、副作用のリスクがあることを理解しておきましょう。体質に合わない漢方薬を服用すると、さまざまな不調が現れる可能性があるため注意が必要です。 軽度な副作用 胃の不快感 吐き気 発疹 など 重大な副作用 偽アルドステロン症 間質性肺炎 肝機能障害 など 漢方薬ならいくら飲んでも安全といった認識は誤りです。必ず用法用量を守り、決められた量を服用しましょう。 異常を感じたときは直ちに服用を中止する 漢方薬を飲み始めてから、少しでも普段と違う様子があれば、直ちに服用を中止してください。体調の変化は重篤な副作用の初期症状である可能性があります。とくに、以下のような症状が現れた場合は注意が必要です。 発熱 ひどい空咳 手足のしびれ 全身のだるさ 尿の色の変化(黄褐色〜赤褐色)など 服用を中止したら、すぐに処方された病院や薬局へ連絡し、医師または薬剤師の診察と適切な処置を受けましょう。 三叉神経痛に対する漢方薬は専門家に相談して服用しよう 三叉神経痛の治療において、漢方薬は西洋薬とは異なる視点から痛みの緩和を目指せる有効な選択肢の一つです。しかし、漢方薬の効果を引き出すためには、自身の体質や痛みの原因を見極める必要があります。 間違った選び方をすると効果が得られないばかりか、副作用のリスクも高まります。自己判断で市販薬を選ぶのではなく、まずは専門のクリニックや漢方薬局に相談し、自分に合った処方をしてもらいましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。漢方薬の服用でお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 三叉神経痛に対する漢方薬に関するよくある質問 市販の漢方薬でも効果が得られますか? ドラッグストアなどで購入できる第2類医薬品のなかにも、三叉神経痛の緩和に用いられる漢方薬があります。 ただし、市販薬は安全性を考慮して医療用の漢方薬よりも成分量が少なく設定されていることが一般的です。また、自身の体質に合ったものを選ばないと十分な効果は期待できません。市販の漢方薬を購入する際は、事前に薬剤師や登録販売者に相談しましょう。 漢方薬は痛みが出たときだけ飲めばよいですか? 痛みが出たときだけの頓服として使えるかどうかは、処方される漢方薬や具体的な症状によって異なります。 漢方薬の種類によっては、五苓散のように比較的早く効果が現れるものもあります。一方で、漢方薬は基本的に体質改善を目的に継続して服用するケースがほとんどです。 自己判断で飲み方を変えず、必ず医師や薬剤師の指示通りに服用してください。 三叉神経痛に効くお茶や自分でできる対処法はありますか? 飲むだけで神経痛が治るお茶というものは存在しません。しかし、体を温めてリラックス効果を高めることは痛みの緩和に役立つ場合があります。そのため、ノンカフェインの温かいハーブティーなどを日常に取り入れるのは良い習慣だといえます。 また、冷たい風に当たる、硬いものを噛むといった痛みを誘発する動作を避けることも、自分でできる身近な対処法の一つです。 参考文献 (文献1) 三叉神経痛に対して漢方薬が有効であった症例の検討|伊勢崎市民病院麻酔・ペインクリニック科 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1982/54/2/54_2_383/_pdf (文献2) 三叉神経痛に対する漢方療法ー病名治療と随証治療ー|大阪歯科大学歯科医学教育開発センター https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjop/16/1/16_33/_pdf/-char/ja#:~:text=%E2%85%A4%EF%BC%8E&text=%E6%BC%A2%E6%96%B9%E8%96%AC%E3%81%AE%E7%97%85%E5%90%8D%E6%B2%BB%20%E7%99%82,34%EF%BC%89%EF%BC%88%E8%A1%A8%202%EF%BC%89%EF%BC%8E (文献3) 三叉神経痛に対する小柴胡湯・桂枝加芍薬湯併用療法の効果|日本ペインクリニック学会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc1994/3/2/3_2_92/_pdf
2026.03.31 -
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三叉神経痛は、電気が走るような鋭い痛みを感じる疾患です。なかには、ストレスが原因で、三叉神経痛が引き起こされると聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。 三叉神経痛は、ストレスが直接的な原因で発症するわけではありません。しかし、ストレスによって痛みが悪化する可能性があります。 本記事では、三叉神経痛とストレスの関係性を解説します。三叉神経痛の原因や痛みを和らげる方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 三叉神経痛の症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレスは三叉神経痛を引き起こす原因にはならない ストレスは、三叉神経痛を引き起こす直接的な原因にはなりません。しかし、ストレスは三叉神経痛の痛みを悪化させる可能性があります。 関係性については明確に解明されていませんが、ストレスによって体が痛みに敏感になる場合も考えられます。つまり、ストレスによって痛覚過敏を引き起こし、三叉神経痛の痛みが強くなっているケースも少なくありません。 とくに、三叉神経痛は電気が走るような痛みを感じるといわれており、症状自体がストレスとなり、激しい顔面痛が生じている可能性があります。 顔面けいれんはストレスにより発症する場合がある 三叉神経痛と同様に、脳血管が顔面神経を圧迫することで起こる顔面けいれんはストレスが原因で発症する場合があります。三叉神経痛と顔面けいれんの違いは、以下の通りです。 三叉神経痛 顔面けいれん 概要 激しい顔面の痛みを引き起こす疾患 顔面の筋肉が自分の意思に反して収縮する疾患 主な発症箇所 片側の顔面 片側の目の周辺 誘発されるきっかけ 化粧や歯磨きなど顔面に触れた場合に誘発 ストレスや緊張している場合に誘発 三叉神経痛は、顔に触れることで痛みを引き起こします。対して、顔面けいれんはストレスや緊張などにより、自分の意思に反して引き起こされます。 ストレス以外に考えられる三叉神経痛の原因 三叉神経痛は、三叉神経の圧迫が原因で発症します。三叉神経が圧迫される原因は複数ある点についても、理解しておくことが大切です。 ここでは、三叉神経痛の主な原因を4つ解説します。 血管による三叉神経の圧迫 血管圧迫は、三叉神経痛でもっとも多い原因です。三叉神経痛は、脳の奥で血管が圧迫されることで起こると考えられています。 三叉神経の根元には、神経を保護する「髄鞘」が中枢から末梢に移行する部分があります。しかし、移行部分は圧迫の刺激に弱い点が特徴です。 血管による圧迫を受けると髄鞘が傷つき、神経の電気信号が漏れを起こし、結果的に疼痛が生じると考えられています。三叉神経を圧迫する血管の多くは上小脳動脈ですが、脳底動脈や前下小脳動脈が原因となる事例もあります。(文献1) 脳腫瘍などの病気による三叉神経の圧迫 三叉神経痛の主な原因は、血管による圧迫です。しかし、脳腫瘍や神経鞘腫などが神経を圧迫することで起こるケースもあるといわれています。三叉神経痛の10%前後は腫瘍によって生じると考えられており、そのうちの9.6%は脳腫瘍によるものと報告されています。(文献1) 腫瘍が大きくなると三叉神経を圧迫し、神経を保護する髄鞘が傷つき、神経の電気信号が漏れを起こして痛みを引き起こす仕組みです。脳腫瘍の場合は、手術で腫瘍を取り除く治療が検討されます。(文献2) 脳動静脈奇形による影響 三叉神経痛は、脳動静脈奇形(AVM)などの血管異常によって発症する場合もあります。まれな原因ではあるものの、実際に症例が報告されています。 Practical Neurologyによると、ある患者があごや歯に強い痛みがあり、検査した結果、後頭蓋窩に動静脈奇形が認められました。CT血管造影検査では異常な血管のかたまりや血管の拡張が確認されました。異常な血管のかたまりや血管の拡張により、三叉神経を圧迫し、痛みを引き起こしたと考えられています。(文献3) 多発性硬化症など神経疾患による影響 三叉神経痛は、多発性硬化症による神経の損傷が原因で発症する場合もあります。多発性硬化症とは、中枢神経系の脱髄疾患の1つです。炎症によって髄鞘が壊れて、痛みをはじめとするさまざまな症状が現れます。 血管や脳腫瘍など、外からの圧迫とは異なり、多発性硬化症などの神経疾患は神経の内側から障害が生じる点が特徴です。なお、多発性硬化症は指定難病に指定されており、日本では比較的稀な疾患といわれています。 三叉神経痛を和らげる方法 三叉神経痛は、セルフケアで痛みが緩和される場合があります。痛みを和らげる方法は、以下の4つです。 痛みの原因と考えられるストレスの解消を図る 三叉神経痛に効く食べ物を食べる 漢方を飲む 手のツボを押す ここでは各緩和方法のポイントを解説するので、三叉神経痛の痛みにお悩みの方は参考にしてください。 痛みの原因と考えられるストレスの解消を図る ストレス解消は、三叉神経痛の痛みを緩和する方法の1つです。三叉神経痛は、ストレスによって痛みを悪化させる原因があると考えられています。そのため、ストレス解消により痛みの緩和が期待できます。 ストレス解消方法は、以下の通りです。 瞑想 運動 読書 入浴 趣味に没頭 カウンセリング ストレスは自律神経のバランスを崩し、血管の収縮を招くことで血行不良を引き起こす可能性があります。入浴は、心身をリラックスさせる効果に加えて、身体を温める働きがあり、ストレス解消に効果的です。 また、規則正しい生活と十分な睡眠も、ストレスを解消する上で重要です。 三叉神経痛に効く食べ物を食べる 三叉神経痛を改善できる食べ物は、医学上解明されていません。しかし、神経痛に効く食べ物はあります。血管の圧迫により血流が悪くなることが原因で、痛みを引き起こします。そのため、次のような血流改善が期待できる食べ物を食べるのが対策の1つです。 味噌や納豆などの発酵食品 サバ イワシ サンマ ナッツ類 にんじん れんこん ごぼう ほうれん草 三叉神経痛では噛む動作が痛みを誘引する原因になるため、硬い食べ物や粘膜を刺激する辛い物などを食べるのは控えましょう。 漢方を飲む 三叉神経痛に対する治療薬として、症例数は限られていますが、漢方薬が有効と報告された例もあります。(文献1)漢方は、冷えやストレスなど体質に合わせた治療により全身のバランスを整えながら痛みを緩和する効果が期待できます。 代表的な漢方は、以下の通りです。 柴胡桂枝湯 桂枝加芍薬湯 五苓散 漢方を服用する際は、用法用量を守ることが大切です。身体に異変を感じた場合は、服用を中断しましょう。 手のツボを押す 三叉神経痛の痛みを緩和する方法には、手のツボも有効です。ツボ押しは、自律神経を整えてリラックス状態に導くため、痛みを和らげる効果が期待できます。 三叉神経痛に効果的な手のツボは、以下の2つです。 合谷(ごうこく) 内関(ないかん) 合谷は、親指と人差し指の付け根あたりに位置するツボです。内関は、手首の内側にあるツボで、いずれも自律神経を整える効果が期待できます。ツボを押す際は、気持ち良さを感じる程度に優しく押すことがポイントです。 三叉神経痛によるストレスを緩和するための治療法 三叉神経痛は激しい痛みが特徴の疾患となるため、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。 ここでは、三叉神経痛の代表的な治療法を解説します。症状の緩和が期待できず、医療機関の受診を検討している方は、参考にしてください。 薬物治療 三叉神経痛は市販の鎮痛剤はほとんど効果がないといわれているため、医療機関での処方が治療法の1つです。てんかんの薬「カルバマゼピン」が、三叉神経痛の痛みに有効といわれています。 カルバマゼピンは、神経に作用して神経痛を緩和する効果が期待できます。ただし、カルバマゼピンはアレルギーを引き起こす可能性があるため、服用には注意が必要です。 また、長期的に服用を続けると効果が薄れて、薬の量を増やす必要が出てきます。副作用のリスクも考慮し、症状の緩和が見られない場合はほかの治療法を検討するのも手段の1つです。 神経ブロック注射 内服薬で痛みが抑えきれない場合は、神経ブロック注射が効果的です。神経ブロック注射は、顔面痛の原因となる神経や周辺に注射し、一時的に痛みを遮断する処置法です。 処置により筋肉の緊張をほぐし、血流を促進するためリラックス効果が期待できます。ただし、神経ブロック注射は一時的な処置となり、定期的な治療が必要になります。手術を避けたい場合に、神経ブロック注射は有効な選択肢の1つです。 手術 薬物療法や神経ブロック注射などで効果が得られない場合は、手術が行われる場合もあります。三叉神経痛では、微小血管減圧術が行われるケースが一般的です。 微小血管減圧術とは、三叉神経痛の原因となる血管が神経を圧迫しないよう固定する手術です。耳の後ろ側を5〜6cm皮膚切開し、100円玉くらいの大きさで行う手術となり、傷跡はほとんど目立ちません。手術の場合、10日間ほどの入院が必要です。 三叉神経痛の原因とストレスの関係を理解して適切な治療を受けよう 三叉神経痛の主な原因は、血管や脳腫瘍などによる三叉神経の圧迫です。ストレスは直接的な原因ではないものの、痛みを悪化させる可能性が考えられています。 痛みの緩和には、ストレス解消が効果的です。運動や入浴など、リラックスできる方法を試して、三叉神経痛の症状回復を目指しましょう。 症状の緩和が期待できない場合の治療法として、再生医療も選択肢の1つです。再生医療は、神経の炎症抑制や組織修復へのアプローチを目的として研究や一部の医療機関で行われています。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 三叉神経痛の症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 三叉神経痛の原因とストレスに関するよくある質問 三叉神経痛にはマッサージが効果的ですか? 三叉神経痛は、首や肩などのマッサージによって痛みが軽減した症例報告があります。(文献4)ただし、三叉神経痛は歯磨きやメイクなど顔に軽く触れるだけで痛みを伴う疾患です。 強い刺激を与えると逆効果になる場合がある点に注意が必要です。セルフマッサージは症状悪化を招く可能性があるため、専門機関に相談しましょう。 三叉神経痛になりやすい人は? 三叉神経痛になりやすい人に見られる共通点は、以下の通りです。 50代〜60代の女性 高血圧や動脈硬化の傾向がある人 多発性硬化症の人 脳腫瘍・脳血管奇形のある人 片頭痛持ちの人 三叉神経痛の発症年齢は50代以降が多く、男女比は1:1.5〜2といわれています。つまり、女性の比率の方が高い疾患です。一般的に遺伝性はありませんが、稀に家族性の報告もあります。(文献1) 三叉神経痛は何科を受診すればいいですか? 三叉神経痛の疑いがある場合は脳神経外科もしくは、神経内科を受診しましょう。歯痛と症状が似ているため、歯科や口腔外科を受診しがちですが、血管による神経の圧迫が原因のケースが多いため、脳神経外科が適しています。 脳神経外科では、神経系の専門的な診断や微小血管減圧術など、三叉神経痛に適した治療を行えます。 参考文献 (文献1) 標準的神経治療:三叉神経痛|日本神経治療学会 (文献2) Trigeminal neuralgia secondary to vascular compression and neurocysticercosis: illustrative case|PMC (文献3) Arteriovenous Malformations & Trigeminal Neuralgia|Practical Neurology
2026.03.31 -
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「三叉神経痛にはどのような薬が使われる?」 「三叉神経痛の薬が効かないのはなぜ?」 上記のように、三叉神経痛の治療で処方された薬について疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 三叉神経痛の治療では、神経の過剰な興奮を抑えるためのカルバマゼピン(テグレトール)やリリカ、ガバペンチンなどが使われます。 本記事では、三叉神経痛に使われる薬の種類や効果、副作用について詳しく解説します。 なお、薬で改善しない神経痛の治療には、損傷した神経の改善が期待できる「再生医療」をご検討ください。 \三叉神経痛に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経の再生・修復を促すことで「三叉神経痛」の改善を目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 いつまで薬を服用すればいいのか不安 つらい神経痛やしびれを早く治したい 痛みやしびれを根本的に治したいが、手術はできるだけ避けたい 保存療法(薬物療法)を続けているが、効果が実感できない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院リペアセルクリニックでは、再生医療について無料相談を実施しているため、お気軽にご相談ください。 まずは「三叉神経痛」の治療について無料相談! 三叉神経痛でよく使われる薬は「カルバマゼピン(テグレトール)」 三叉神経痛の治療において多くのケースで選択されるのが、カルバマゼピン(先発品名:テグレトール)です。三叉神経痛に対する有効性が確立されており、第一選択薬として位置づけられています。(文献1) 以下では、カルバマゼピンの効果の仕組みや、注意すべき副作用について詳しく解説します。 カルバマゼピンの効果と仕組み カルバマゼピンは、三叉神経の過剰な興奮を抑え、電気が走るような激しい痛みの発作を起こりにくくする薬です。(文献2) もともとはてんかんの治療薬として開発されましたが、三叉神経痛にも高い効果が認められており、現在では標準的な治療薬として広く使われています。(文献3) ただし、痛みを抑える効果はあるものの、血管による三叉神経の圧迫という根本的な原因を取り除く薬ではありません。 カルバマゼピンで起こりやすい副作用と注意点 カルバマゼピンは効果が期待できる一方、副作用が出やすい薬でもあります。主な副作用と注意点は以下のとおりです。(文献2) 副作用 詳細 眠気・ふらつき 服用初期に起こりやすく、徐々に薬の量を増やしていくケースも多い 皮膚への発疹 (薬疹) ごくまれに重篤な皮膚症状があらわれるケースも報告されている 肝機能・血液への影響 長期服用では白血球・血小板の減少や黄疸などがあらわることがあり、定期的な検査が必要になるケースもある ただし、服用中に気になる症状があらわれた場合でも、自己判断で薬を中断するのは症状の再発や悪化につながるリスクがあります。副作用が心配なときは、必ず担当医に相談しましょう。 また、カルバマゼピンは他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。詳しくは以下の記事でご確認ください。 カルバマゼピン以外に使われる三叉神経痛の薬 カルバマゼピンで十分な効果が得られない場合や、副作用・他の薬との相互作用によって使用が難しい場合には、別の薬剤が検討されます。 ここでは、カルバマゼピン以外に使われる代表的な薬について解説します。 プレガバリン(リリカ) プレガバリン(商品名:リリカ)は、神経の過剰な興奮を抑えて、神経痛を和らげる薬です。(文献4)カルバマゼピンが合わない場合や、十分な効果が得られない場合に、次の選択肢として使われることがあります。 主な副作用としては、眠気・ふらつき・めまいなどがあり、とくに飲み始めや薬の量を増やしたときにあらわれやすいのが特徴です。(文献5) また、同じタイプの薬として「タリージェ(ミロガバリン)」が処方されることもあります。どちらも神経の興奮を抑える薬ですが、効果の続き方や副作用の出方に違いがあります。いずれにしても、処方された際は用法用量を守って指示通り服用しましょう。 なお、リリカとタリージェの違いは以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ガバペンチン(ガバペン) ガバペンチン(商品名:ガバペン)は、神経の過剰な電気信号を抑えることで、痛みの緩和が期待される薬です。カルバマゼピンが体に合わない場合や、痛みを補助的に抑える目的で使われます。(文献1) 主な副作用には、眠気・めまい・ふらつきなどがあり、とくに飲み始めに出やすい傾向があります。そのため、少量から服用を開始し、体の状態を見て調整していくのが一般的です。(文献6) 補助的に使われる薬(安定剤・筋弛緩薬など) 前述した薬だけでは効果が不十分な場合、以下のような薬が補助的に組み合わされることがあります。 薬剤名 分類 主な役割・特徴 バクロフェン 筋弛緩薬 三叉神経の緊張を和らげる目的で補助的に使用される ラモトリギン 抗てんかん薬 カルバマゼピンに似た働きを持ち、治療が困難なケースで検討される アミトリプチリン 三環系抗うつ薬 帯状疱疹後三叉神経痛に用いられることもあり、難治性の場合は併用されることもある なお、三叉神経痛に対しては五苓散(ごれいさん)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)といった漢方薬が補助療法として用いられる場合もあります。 三叉神経痛に対する漢方薬の効果については、以下の記事にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。 三叉神経痛に市販薬(ロキソニンなど)は効きにくい 三叉神経痛には、市販薬では十分な効果が得られにくいとされています。 ロキソニン(ロキソプロフェン)やイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症や発熱に伴う痛みを抑えるために使われる薬です。(文献7)一方で、三叉神経痛は神経の異常な興奮によって起こる痛みのため、こうした薬では十分な効果が得られないケースが多いとされています。 また、三叉神経痛に効果が期待されるカルバマゼピンやリリカなどは医師の処方が必要で、市販では購入できません。市販薬を飲んでも痛みが改善しない場合は、自己判断で対処を続けず、早めに医療機関で適切な治療を受けることが大切です。 顔に走る激しい痛みが繰り返される場合は、早めに医療機関を受診しましょう。三叉神経痛の治療に対応している診療科には、神経内科・脳神経外科・ペインクリニックなどが挙げられます。 なお、ロキソニンの効果は以下の記事にてより詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。 三叉神経痛で薬が効かない場合の治療法 薬の服用を続けても三叉神経痛が十分にコントロールできない、あるいは副作用で薬の継続が難しい場合には、薬物療法以外の治療法が検討されることもあります。 三叉神経痛の主な治療法としては、以下の3つがあります。 神経ブロック注射 微小血管減圧術 ガンマナイフ 薬で痛みが緩和されない場合は、医師に相談の上で本章で紹介する治療も検討してみてください。 なお、病院での治療の他、普段の食事にも注意が必要です。避けるべき食べ物については以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてください。 神経ブロック注射 神経ブロック注射は、三叉神経に沿って局所麻酔薬を注射し、痛みの信号が脳に伝わるのを一時的に遮断する治療法です。 痛みの軽減が確認できた場合には、より長く効果を持続させるために、神経を部分的に処理する治療(エタノールのような神経破壊薬や、高周波熱凝固術)へ進むこともあります。(文献1) 手術に比べて体への負担が少ないため、薬が効きにくい場合に他の治療の選択肢として検討されることがあります。 微小血管減圧術 微小血管減圧術は、三叉神経痛の原因そのものにアプローチする外科手術です。 三叉神経痛の多くは、脳の近くで血管が神経を圧迫することで起こります。そのため耳の後ろに小さな穴を開けて器具を挿入し、神経を圧迫している血管との間にクッション(パッド)を挟んで圧迫を取り除きます。 このように、圧迫を取り除くことで長期的な改善が得られることがある一方、全身麻酔による開頭手術が必要です。そのため、年齢や全身の健康状態によっては手術を受けられない場合もあります。 ガンマナイフ ガンマナイフは、体にメスを入れずに三叉神経の根元にガンマ線を集中照射する放射線治療です。照射によって神経の異常な働きを抑え、痛みの軽減を図ります。(文献8) 全身麻酔が不要で体への負担が比較的少ないことから、開頭手術が難しい高齢の方や、持病のある方などに検討されることがあります。 一方で、以下のような副作用・注意点もあるため注意が必要です。(文献1) 効果があらわれるまでに数週間〜数か月かかる場合がある 治療後に顔のしびれが残ることがある こうした点を踏まえ、医師と相談しながらガンマナイフの治療を受けるかどうか検討することが大切です。 三叉神経痛の薬と治療を正しく知って今できるケアをしよう 三叉神経痛の治療では、まず「カルバマゼピン(テグレトール)」を中心とした薬物療法が第一選択肢となります。 しかし、副作用や服用効果によっては、他の薬剤や治療法が検討されることも少なくありません。 薬物療法を継続しても痛みが改善しない場合は、まず専門の医療機関に相談することが大切です。 つらい神経痛の治療には、損傷した神経の改善が期待できる「再生医療」も選択肢の一つです。 再生医療は、神経の炎症抑制や組織修復へのアプローチを目的として研究が進み、一部の医療機関で行われています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 いつまで薬を服用すればいいのか不安 つらい神経痛やしびれを早く治したい 痛みやしびれを根本的に治したいが、手術はできるだけ避けたい 保存療法(薬物療法)を続けているが、効果が実感できない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院リペアセルクリニックでは、再生医療について無料相談を実施しているため、お気軽にご相談ください。 まずは「三叉神経痛」の治療について無料相談! 三叉神経痛の薬に関するよくある質問 最後に、三叉神経痛の薬に関するよくある質問に回答します。 三叉神経痛の薬はずっと飲み続ける必要がありますか? 三叉神経痛の痛みをセルフケアで和らげる方法は? 以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。 三叉神経痛の薬はずっと飲み続ける必要がありますか? 三叉神経痛の薬は、一度発症したからといって、必ずしも飲み続けなければならないわけではありません。症状が安定している場合には、医師の判断のもとで減薬や休薬が検討されることもあります。 ただし、自己判断で薬を中断すると、痛みが再び強く出るおそれがあります。薬の変更や中断については、必ず担当医に相談しましょう。 三叉神経痛の痛みをセルフケアで和らげる方法は? 三叉神経痛の痛みはセルフケアだけで完全に改善することは難しいとされていますが、日常生活で痛みのきっかけとなる刺激を避けることで発作の頻度を減らせる可能性もあります。 三叉神経痛の発作は、次のような刺激をきっかけに起こることがあります。 顔に触れる(洗顔・歯磨き・ひげ剃りなど) 冷たい風や空気に当たる 食事(咀嚼)や会話・笑う動作 これらを完全に避けることは難しいものの、冷たい風が直接当たらないようにマスクを着用する、刺激の少ない食事を意識するなど、できる範囲で工夫することが予防につながるでしょう。 なお、三叉神経痛はツボ押しによる三叉神経痛のセルフケア方法もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。 参考文献 文献1 標準的神経治療:三叉神経痛(2021)|日本神経治療学会 文献2 テグレトール錠添付文書(2026年3月改訂(第3版)) 文献3 テグレトール錠医薬品インタビューフォーム 文献4 リリカカプセル・OD錠添付文書(2025年12月改訂(第8版)) 文献5 リリカカプセル・OD錠医薬品インタビューフォーム 文献6 ガバペン錠添付文書(2022年 7 月改訂(第 3 版)) 文献7 ロキソプロフェンナトリウム錠添付文書(2025年 3 月改訂(第 4 版)) 文献8 三叉神経痛に対するガンマナイフ治療|口科誌
2026.03.31 -
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「食事のたびに顔に電気が走るような痛みが出る」 「三叉神経痛といわれたけれど、何を食べればいいのかわからない」 このような苦痛や不安を抱え、この記事にたどり着いた方は多いのではないでしょうか。 三叉神経痛は、顔まわりに突然強い痛みが起こる病気です。(文献1)とくに症状が強い時期は、食事や会話、歯みがきのような日常の動作が痛みの引き金(トリガー)になることがあります。 本記事では、三叉神経痛の時に避けたい食べ物や、食べやすくする工夫、治療法までわかりやすく解説します。 顔の痛みが続いていて治療法に迷っている方は、当院リペアセルクリニックの公式LINEでもご相談いただけます。症状や治療の選択肢について気になる方は、ぜひ一度ご確認ください。 三叉神経痛の時に食べてはいけない食べ物 三叉神経痛では、食事によって痛みが誘発されるケースも少なくありません。三叉神経痛の発作を予防するためには、以下のような食品を避けることが推奨されます。 硬い食べ物や噛む回数が多い食品 刺激の強い食べ物 極端に熱い・冷たい食べ物 痛みが強い時期は本章で紹介する食品を避け、消化が良く柔らかい食事へ切り替えましょう。 硬い食べ物や噛む回数が多い食品 咀嚼(そしゃく)動作は三叉神経を直接刺激し、痛みを誘発する主要な要因です。そのため、以下のような咀嚼回数が多くなりやすい食品は負担になりやすいと考えられます。 せんべい フランスパン するめ 硬い肉 ナッツ類 実際に、三叉神経痛を誘発する食事を調査した研究においては、咀嚼が多くなる硬い食べ物がもっとも多い要因となっています。(文献2) 三叉神経痛の発作を防ぐためにも、うどんやお粥など柔らかいメニューを選ぶようにしましょう。 極端に熱い・冷たい食べ物 熱すぎる料理や冷たすぎる飲み物といった極端な温度の食品は、口腔内への温度刺激により三叉神経痛の発作を引き起こす場合があります。(文献2) また、口腔内だけでなく、冷たい風のような外からの温度刺激でも症状が出ることがあるため、温度の影響にも注意が必要です。 熱い汁物や氷入りの飲み物などは痛みの引き金となります。飲食時は人肌程度の常温に戻してから摂取してください。 刺激の強い食べ物 三叉神経痛では、わずかな粘膜刺激でも発作のきっかけになることがあります。そのため、症状が強い時期には辛味の強い食事を控えるようにしましょう。実際、辛い食べ物が三叉神経痛の誘発因子になるという研究結果も報告されています。(文献2) カレーや麻婆豆腐、キムチなど、唐辛子や香辛料を多く使った料理は口腔内の粘膜を刺激しやすく、痛みを誘発する可能性があります。 食後に痛みを感じる場合は香辛料の使用を控え、刺激の少ない味付けに変更してください。 三叉神経痛は顔の神経に激しい痛みが起こる疾患 三叉神経痛は、顔の感覚を伝える三叉神経の異常により、顔の片側に激しい痛みが起こる疾患です。 神経が過敏になることで、食事や洗顔、歯みがきといったわずかな日常の動作をきっかけに、額や頬、歯ぐきなどに「電気が走る」「刺すような」数秒から数十秒の発作的な痛みが走ります。(文献3) 三叉神経痛の原因の多くは、周囲の血管が神経に接触し、拍動の刺激で神経が傷つき過敏になるためです。(文献1)帯状疱疹や脳腫瘍など別の病気が背景にあるケースも存在します。(文献4) 三叉神経痛の発作は日常生活の負担になるため、原因を見極めて適切な治療につなげることが大切です。50~60代の方や女性がなりやすいと考えられており、詳細を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 三叉神経痛の時に食べやすい食事の工夫 三叉神経痛の増悪時は、食事の形態や温度を調整し、口腔内への物理的・化学的刺激を最小限に抑えることが重要です。 具体的には、以下のような工夫を行いましょう。 やわらかい食べ物を選ぶ 刺激の少ない味付けにする 熱すぎず冷たすぎない温度で食べる やわらかい食べ物を選ぶ 三叉神経痛は咀嚼運動が痛みの誘発要因となるため、噛む負担が少ない食品を選びましょう。 とくに以下のような食品は、噛む負担を抑えやすいため、三叉神経痛の症状がつらいときにおすすめです。 おかゆ 豆腐 卵料理 煮込み料理 やわらかく煮たうどん など 具材に使用する野菜や肉も、十分に煮込んでやわらかくすると食べやすくなります。 三叉神経痛の症状が強い時期は、無理に通常食を続けるのではなく、負担の少ない食品や調理に調整することが大切です。 刺激の少ない味付けにする 口腔内への化学的刺激は三叉神経痛の発作を誘発する恐れがあるため、香辛料や酸味の強い味付けは避けましょう。 だしを活かしたスープ、茶碗蒸し、薄味の煮物などを取り入れることをおすすめします。 唐辛子などの香辛料や、塩分・酸味の過剰な調味料は、痛みが落ち着くまで控えてください。 熱すぎず冷たすぎない温度で食べる 極端な温度刺激は三叉神経痛の誘発要因となるため、食事や飲料は常温から人肌程度の温度にすることが大切です。 たとえば、汁物は少し冷ましてから口にする、冷たい飲み物は控えめにするなど、無理のない範囲で調整してみましょう。 食品の種類だけでなく温度も調整・工夫をすることが、三叉神経痛を予防する有効な手段となります。 【食べ物以外】三叉神経痛の治療法 三叉神経痛は食べ物の工夫で痛みの引き金を避けることも大切ですが、症状を根本的に和らげるには医療機関での治療が欠かせません。 代表的な治療法として、主に以下の4つが挙げられます。 薬物療法 神経ブロック療法 定位放射線治療(ガンマナイフ治療) 手術療法 薬物療法 三叉神経痛の治療では、カルバマゼピンをはじめとする抗けいれん薬が第一選択として使われます。(文献4)一般的な鎮痛薬では十分な効果が得られにくいため、神経の異常な興奮を抑える薬で治療するのが基本です。 副作用等によりカルバマゼピンの使用が困難な場合は、プレガバリンやミロガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬を検討します。 また、食事による三叉神経痛の痛みが強い方は、食前の内服により症状をコントロールできる場合があります。主治医と相談しながら薬の種類や服用量を調整してください。 三叉神経痛の薬については、以下の記事もあわせてご覧ください。 神経ブロック療法 薬物療法で十分な効果が得られない場合は、神経ブロック療法が選択肢となります。(文献3) 神経ブロック療法は、三叉神経の働きを抑えることで痛みを軽減する治療です。局所麻酔薬の注射、アルコール注射などの方法があります。 全身への負担が少ない反面、神経を直接処理するため、治療後に顔面の感覚異常を伴うリスクが存在します。 障害された神経が新たな痛みの原因となる恐れもあるため、適応は主治医と慎重に判断してください。 定位放射線治療(ガンマナイフ治療) ガンマナイフ治療は、開頭せずに三叉神経に放射線を集中させ、痛みの伝達を調整する治療法です。(文献4) 身体的負担を大幅に軽減できるため、全身麻酔での手術が困難な場合や高齢の場合に検討されます。 ただし、治療後すぐに改善を実感できるとは限らず、効果の発現までに一定の時間を要する傾向があります。(文献5) 手術療法 手術療法(微小血管減圧術)は、三叉神経を圧迫する血管を物理的に剥離する治療です。(文献1) 血管の圧迫が原因の三叉神経痛に対する根治的治療として位置づけられており、原因そのものにアプローチできる方法です。 薬で改善しない場合や、副作用のため内服継続が難しい場合、画像検査で血管圧迫が疑われる場合などに検討されます。 治療効果と身体への負担を見比べながら、最適な治療方針を決定してください。 三叉神経痛の時は刺激の少ない食べ物を選ぼう 三叉神経痛は、食材そのものよりも、硬さ・辛さ・極端な温度が痛みの誘発要因となります。症状が強い時期は、やわらかく、刺激が少なく、温度が穏やかな食事を意識すると、日々の食事に伴う苦痛を軽減できます。 ただし、食事の工夫はあくまでも対症療法であり、三叉神経痛の根本的な改善には至りません。痛みが続く場合や、食事や会話に支障が出ている場合は、医療機関での治療を前向きに検討しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、三叉神経痛のような神経の痛みや、薬だけでは改善が難しい慢性的な痛みに関するご相談を受け付けています。公式LINEからもお問い合わせいただけますので、症状や治療法について不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。 三叉神経痛の食べ物に関心がある方からよくある質問 三叉神経痛を和らげる方法はありますか? 三叉神経痛を和らげるには、痛みの誘発要因となる物理的刺激を避ける対症療法が有効です。 具体的には、硬い物を避ける、やわらかい食事にする、洗顔や歯みがきをやさしく行うといった対策があります。 ただし、こうした生活上の工夫は症状の増悪を防ぐ目的であり、疾患の根本治療にはなりません。痛みが続く場合は、薬物療法や神経ブロック、手術などを含めて治療方針を検討する必要があります。 また、三叉神経痛を和らげる方法として、以下の記事もあわせてご覧ください。 内部リンク: 【医師監修】三叉神経痛の痛みに漢方薬は有効?代表的な種類と注意点を解説 【医師監修】三叉神経痛を和らげる手のツボは?押し方・その他治療法を解説 三叉神経痛が自然治癒することはありますか? 三叉神経痛が自然治癒するケースはまれであり、寛解と再発を繰り返すのが一般的です。(文献6)(文献7) 一時的に症状が消えたように見えても、それだけで完治したと自己判断しないよう注意しましょう。痛みが続く場合は自然経過に任せるのではなく、早めに医療機関に相談することを推奨します。 参考文献 文献1 三叉神経痛|慶応義塾大学医学部外科脳神経外科学教室 文献2 Atypical triggers in trigeminal neuralgia: the role of A-delta sensory afferents in food and weather triggers|Korean J Pain 文献3 三叉神経痛|香川県立中央病院 文献4 三叉神経痛・顔面けいれん|国立研究開発法人国立循環器病研究センター 文献5 ガンマナイフ外来|国立研究開発法人国立循環器病研究センター 文献6 三叉神経痛|東邦大学医療センター 文献7 三叉神経痛|日本大学医学部付属板橋病院
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顔に突然、電気が走るような鋭い激痛を感じ「もしかして三叉神経痛?」と不安になっていませんか。 三叉神経痛は、50〜60代の中高年層や女性、また動脈硬化のリスクがある人に多く見られる疾患です。その原因の多くは、変形した血管が三叉神経の根元を圧迫し、神経の膜が傷ついて痛みの信号が暴走してしまうことにあります。 この記事では、三叉神経痛になりやすい人の特徴や突然起こる痛みの原因を詳しく解説します。 「この痛みは一生続くのか」と一人で悩まず、まずは正しい知識を身につけ、適切な治療へつなげましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。三叉神経痛について気になる症状がある方は、ぜひ登録をご検討ください。 三叉神経痛になりやすい人の特徴 三叉神経痛の発症には、加齢や血管の変化、神経の異常などが関係するとされています。ここでは、リスクが高いと考えられる人の特徴を解説します。 50代〜60代の女性 三叉神経痛は、中高年の女性に多い傾向です。 三叉神経痛のなかで最も頻度が高い「典型的三叉神経痛」の発症平均年齢は50代前後とされ、加齢とともに発症リスクが高まる傾向があります。 これは、のちに解説する「動脈硬化」が進みやすい年代であるためと考えられています。(文献1) 一方、40代以下の若年者で三叉神経痛様の症状がみられる場合は、典型的な三叉神経痛だけでなく、多発性硬化症といった別の疾患に伴う二次性三叉神経痛の可能性も考慮しなければなりません。(文献1) 高血圧や脂質異常症などの動脈硬化リスクが高い人 高血圧や脂質異常症などにより動脈硬化が進行している人も、三叉神経痛を発症しやすいと考えられています。(文献1) 三叉神経痛は、脳内の血管が蛇行・屈曲し、三叉神経の根元を圧迫することで発症するとされています。(文献1) 動脈硬化は脳内の血管を蛇行・屈曲させる要因の一つです。そのため、動脈硬化のリスク因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある人は、神経への接触や圧迫が起こりやすく、三叉神経痛のリスクが高いといえます。 多発性硬化症の人 多発性硬化症の人は、三叉神経痛が合併するケースがあります。(文献1) 多発性硬化症は、神経を包む膜(髄鞘:ずいしょう)が傷つき、神経の信号がうまく伝わらなくなる疾患です。 三叉神経の根元付近や脳幹でこのような変化が起こると、神経が過敏になり、少しの刺激でも強い痛み(三叉神経痛)を感じやすくなります。 脳腫瘍・脳血管奇形のある人 脳腫瘍や血管奇形などが三叉神経を圧迫して顔面に激しい痛みが生じることもあります。 原因となる腫瘍には類上皮腫(るいじょうひしゅ)や髄膜腫(ずいまくしゅ)などがあげられ、この2つは典型的三叉神経痛との区別が極めて難しい疾患です。(文献1) 三叉神経痛の約15%は、こうした血管圧迫以外の疾患が原因という報告もあります。 片頭痛の既往がある人 片頭痛のある人は、ない人と比べて三叉神経痛を起こしやすいという報告もあります。なかでも「キラキラした光が見える」といった前兆を伴う片頭痛では、その傾向が強いとされています。(文献2) 片頭痛と三叉神経痛は、いずれも三叉神経のまわりで起こる疾患です。そのため「痛みの感じ方」や「血管の反応」などに共通する体質が影響している可能性が考えられます。 しかし、なぜ片頭痛の人に三叉神経痛が多い理由や詳しい仕組みについて、完全には解明されていないのが現状です。 三叉神経痛の主な症状 三叉神経痛で特徴的な症状は、以下のとおりです。(文献1) 顔の片側にあらわれる突然の痛み 電気ショックのような鋭い痛み 洗顔や食事などの日常のごく軽い刺激が「引き金(トリガー)」 こうした特徴を持つため、患者さんは痛みを恐れて顔を洗えない、歯を十分に磨けない、固いものを噛めない、といった日常生活上の支障をきたすことも少なくありません。 痛みは「電気が走る」「ビリッとくる」「突き刺されるような」「ズキンとする」などと表現されることが多く、通常は一瞬〜数秒、長くても2分以内と短時間で治まります。(文献1) 痛みがあらわれる主な部位は、あごや歯ぐき、唇など、三叉神経が支配している部分の一部です。発作後は痛みが誘発されない「不応期」があるのも特徴です。(文献1) 【分類別】三叉神経痛の原因 三叉神経痛の原因はひとつではなく、血管による圧迫・他の疾患による影響・原因不明のものに大きく分類されます。 原因によって治療方針が異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。 【典型的三叉神経痛】血管による神経の圧迫・変形 三叉神経痛のうち、もっとも多いタイプが「典型的三叉神経痛」と呼ばれるものです。これは血管が三叉神経の根元を圧迫することで起こると考えられています。(文献1) 加齢や動脈硬化などの影響で血管が硬くなったり蛇行したりすると、三叉神経の根元に触れやすくなり、その刺激で神経の膜が傷つきやすくなります。 この結果、電気がショートしたように神経が過敏に興奮し、電撃が走るような顔面の痛みが生じるのです。 【二次性三叉神経痛】他の疾患による神経の圧迫・損傷 「二次性三叉神経痛」は、別の疾患が原因で三叉神経が圧迫・損傷されて起こるものです。二次性三叉神経痛の主な原因は、以下のとおりです。(文献1) 脳腫瘍(髄膜腫や類上皮腫など) 多発性硬化症などの脱髄疾患 脳血管奇形(動静脈奇形など) これらの病変が三叉神経の近くにできると、神経が直接圧迫されたり、神経の一部が壊れたりして痛みが生じます。 40代以下の比較的若い年齢で三叉神経痛様の痛みが出た場合や、電撃痛に加えて顔のしびれ(感覚鈍麻)を伴う場合には、この二次性三叉神経痛を強く疑う必要があります。 【特発性三叉神経痛】検査で原因特定ができない 「特発性三叉神経痛」は、MRIや電気生理学的検査などをおこなっても、はっきりとした血管圧迫や腫瘍といった原因が見つからないタイプです。(文献1) 画像検査では明らかな異常が見つからないものの、典型的三叉神経痛と同じように片側の顔に電撃のような痛みが繰り返し起こるケースは少なくありません。 診断の際には、まず腫瘍や多発性硬化症などの二次性の原因を除外した上で、「特発性」と判断することが重要です。 三叉神経痛になりやすい人が意識すべき日常生活の注意点 三叉神経痛は、日常生活の工夫によって痛みの誘発を減らしたり、症状の悪化を防いだりできる可能性があります。 無理のない範囲で対策を取り入れましょう。 日常生活で痛みの引き金(トリガー)となる行動を避ける 三叉神経痛では、日常のごく軽い刺激がトリガーとなって激しい痛みが誘発されやすくなります。顔を洗う、歯を磨く、ひげを剃る、食事で噛む、会話をする、といった何気ない動作でも工夫が必要です。 たとえば、以下のような対策があげられます。 柔らかめの歯ブラシを使う 食感の軟らかい食事を心がける 痛みが出る側はそっと洗う 冷たい風が直接当たらないようマスクやマフラーで保護する 日常生活ではこれらをできるだけ意識し、刺激となる行動を避けるようにしましょう。 十分な睡眠をとり、不安・ストレスを軽減する 三叉神経痛の人は、強い痛みから睡眠不足や不安、気分の落ち込みを抱えやすく、これらがさらに痛みの感じ方を強くする悪循環に陥ることがあります。 実際に海外の研究では、三叉神経痛の人はうつ病や不安障害のリスクが高まるといった報告も存在します。(文献3)(文献4) このようなリスクを軽減するには、毎日同じ時間に寝起きする、寝る前のスマートフォン操作やカフェイン摂取を控えるなど、睡眠の質を整える習慣が大切です。 すでに三叉神経痛による不安や落ち込みが強い場合は、心療内科や精神科での相談も検討しましょう。 高血圧・肥満などの生活習慣病予防に努める 高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は動脈硬化を進め、血管の硬化・蛇行によって三叉神経を圧迫しやすくする一因となります。 以下を参考にして、生活習慣病予防に取り組みましょう。 血圧の管理(減塩や適度な運動、必要な薬の継続) 体重コントロール 糖尿病や脂質異常症の治療の継続 これらは三叉神経周囲の血管環境を整える意味でも大切な行動です。すでに治療中の疾患がある場合は、かかりつけ医の指示に従い、適切な治療を続けましょう。 痛みを感じたら我慢せず早めに脳神経外科を受診する 三叉神経痛は自然治癒が難しく、放置すると痛みの頻度や強さが増してしまうことがあります。(文献5) 電気が走るような片側の顔の痛みが繰り返し起こる場合は、我慢せず早めに医療機関を受診し、正確な診断を受けましょう。 とくに、歯科で「虫歯はない」と言われたのに顔の痛みが続く場合や、痛みとともに顔のしびれがある場合は、MRI検査が可能な脳神経外科・神経内科で原因を特定することが重要です。 三叉神経痛の主な治療法 三叉神経痛の治療は、薬物療法を基本とし、症状や原因に応じてブロック療法や手術などを組み合わせます。 具体的には以下のような治療法が挙げられます。 薬物療法で神経の異常興奮を抑える 神経ブロック療法で痛みの伝導を遮断する ガンマナイフ治療で痛みを調節する 手術(微小血管減圧術)で根本治療を目指す 薬物療法で神経の異常興奮を抑える 三叉神経痛の薬物療法の第一選択は、ナトリウムチャネル阻害薬であるカルバマゼピンです。(文献1) カルバマゼピンは神経の興奮を伝えるナトリウムチャネルの働きを抑えることで、電気ショックのような痛みを和らげます。(文献6) ただし、ふらつきや眠気、肝機能障害、発疹などの副作用が比較的多いため、投与開始後数カ月は定期的な採血検査や用量調整が必要です。(文献1) 市販の鎮痛薬では効かない顔の強い痛みにお悩みの場合は、自己判断せず、まずは医療機関を受診して適切な診断と薬の処方を受けましょう。 【関連記事】 三叉神経痛に使われる薬とは?副作用や薬が効かない場合の治療法の選択肢を医師が解説 【医師監修】テグレトールとは|効果や副作用を詳しく解説 神経ブロック療法で痛みの伝導を遮断する 薬が使えない場合や、薬だけでは十分に抑えきれない場合には、局所麻酔薬や高周波熱凝固などを用いる神経ブロック療法がおこなわれます。(文献1) これらは三叉神経やその枝の近くに針を刺し、痛みの信号が脳へ伝わる経路を一時的またはある程度長期にわたり遮断する方法です。(文献1) 開頭手術に比べると体への負担が少ない一方で、効果は時間とともに薄れて痛みが再発する場合があるため、「対症療法」として位置づけられます。 薬の副作用が心配な方や、痛みが強くて日常生活に支障が出ている方は、この治療法が適しているか医師に相談してみましょう。 ガンマナイフ治療で痛みを調節する ガンマナイフ治療は、開頭せずに三叉神経の根元付近に高精度の放射線を照射し、痛みの感じ方を変える治療法です。(文献1) 神経そのものを大きく壊さない範囲で線量を調整し、痛みの信号のみを弱めることを目指します。 典型的三叉神経痛の患者のうち、高齢の方や全身麻酔のリスクが高い方など、手術が難しい症例にも適応され、数週間〜数カ月かけて徐々に痛みが軽くなるケースが多いとされています。(文献1) 持病や年齢を理由に手術に不安を感じている方も、体に負担の少ない治療法を選べる可能性があるため、一人で悩まず専門医に受診・相談してみましょう。 手術(微小血管減圧術)で根本治療を目指す 典型的三叉神経痛の原因となっている「血管による神経の圧迫」を直接取り除く根本的な治療が、微小血管減圧術(MVD)です。(文献1) 耳の後ろを小さく開頭し、手術用の顕微鏡を使って三叉神経を圧迫している血管を神経から離して固定し、再び当たらないようにします。(文献7) 典型的三叉神経痛に対しては長期的な痛みのコントロールに優れ、根治的な治療と位置づけられています。 しかし、開頭手術である以上、出血や感染、聴力障害などのリスクも伴うため、年齢や全身状態を踏まえて専門医とよく相談して決めることが大切です。 三叉神経痛になりやすい人の特徴にあてはまったら医療機関受診も検討しよう 50〜60代の女性、高血圧や動脈硬化のリスクがある方、多発性硬化症・片頭痛・脳腫瘍などの持病がある方は、三叉神経痛を起こしやすいとされています。 こうした特徴にあてはまり、「片側の顔に電気が走るような一瞬の激痛」が繰り返し起こる場合は、早めに脳神経外科や神経内科を受診して、三叉神経痛かどうかを確認してもらいましょう。 リペアセルクリニックでは、「この痛みは本当に三叉神経痛?」といった心配がある方の相談も受け付けています。ぜひ当院の公式LINEをご活用ください。 三叉神経痛になりやすい人に関するよくある質問 三叉神経痛と間違えやすい病気・疾患はありますか? 三叉神経痛は虫歯や歯髄炎などの歯の病気と間違えやすく、とくに口の中に痛みのトリガーがある場合は、歯の痛みとの区別がつきにくくなります。 歯科で治療をしても痛みがなかなか良くならないケースでは、三叉神経痛や舌咽神経痛などの神経の痛み(非歯原性疼痛)が隠れていることもあります。 そのほか、以下のような疾患との鑑別が必要です。(文献1) 顎関節症(顎の関節や咀嚼筋の痛み) 副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症) 群発頭痛 舌咽神経痛 持続性特発性顔面痛 三叉神経痛は「電気が走るような一瞬の激痛」が特徴的ですが、痛みの部位や性質によっては他の疾患との見分けは困難です。気になる痛みがある場合は脳神経外科や頭痛外来など、専門医を受診しましょう。 三叉神経痛の痛みはずっと続きますか? 三叉神経痛の痛みは発作性であり、数秒〜長くても2分以内の短い激痛が間欠的に繰り返し起こるのが特徴です。 発作と発作のあいだには、まったく痛みがない時間が続く、あってもごく軽い違和感程度という人も多くみられます。 一方で、1日中じりじり焼け付くような痛みが続く場合は、三叉神経痛ではなく、他のタイプの神経障害性疼痛や持続性特発性顔面痛など、別の疾患である可能性も考えられます。 「痛みがずっと続く」「典型的三叉神経痛と違う気がする」と感じるときには、自己判断せず、専門医に相談しましょう。 三叉神経痛は仕事を休むほど痛みがありますか? 三叉神経痛の痛みは、会話や食事、パソコン作業など、日常の仕事が一時的にまったく手につかないほどの激痛になる場合があります。 痛みへの恐怖から、話す・食べる・顔を動かすこと自体を控えてしまい、仕事や家事に支障が出る人も少なくありません。 そのため、発作が頻繁に起こる時期には、医師の診断書に基づいて、通院や薬の調整、手術前後の準備・療養のために仕事を休むことが必要となるケースもあります。 まずは痛みのコントロールを優先し、主治医と相談しながら治療計画と働き方を一緒に検討していくことが大切です。 参考文献 文献1 標準的神経治療:三叉神経痛(2021)|日本神経治療学会 文献2 Increased risk of trigeminal neuralgia in patients with migraine: A nationwide population-based study|PubMed 文献3 Risk of psychiatric disorders following trigeminal neuralgia: a nationwide population-based retrospective cohort study|PMC 文献4 Evaluation of Sleep Quality, Depression and Anxiety Levels in Trigeminal Neuralgia Patients|Turkish Journal of Sleep Medicine 文献5 三叉神経痛|東邦大学医療センター大森病院脳神経外科 文献6 テグレトール錠100mg/テグレトール錠200mg/テグレトール細粒50%添付文書|独立行政法人医薬品医療機器総合機構 文献7 脳血管障害微小神経血管減圧術(三叉神経痛・顔面けいれん)|東京女子医科大学脳神経外科
2026.03.31







