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激しい頭痛と吐き気…あなたは大丈夫ですか? この症状、実は様々な原因が潜んでいることをご存知ですか? 単なる風邪やストレスから、脳腫瘍など命に関わる病気を示すサインである可能性も。 年間150万人以上もの方が悩むと言われるうつ病のように、現代社会では様々な病気が増加傾向にあります。 今回の記事では、頭痛と吐き気の原因を4つに分類し、それぞれの症状の特徴や、病院へ行く目安を分かりやすく解説します。 さらに、ご自宅でできる7つの対処法もご紹介します。 「いつもの頭痛と何か違う…」と感じた時、あなたを守るための知識を手に入れましょう。 この記事を読み終える頃には、頭痛と吐き気の対処法と、受診すべきサインを理解し、安心できるはずです。 頭痛と吐き気の原因4選 頭痛と吐き気。どちらもよくある症状ですが、一緒に起こると不安になりますよね。実は、その原因は様々で、緊急性の低いものから命に関わるものまであります。今回は、頭痛と吐き気が同時に起こる原因を4つご紹介し、それぞれの症状の特徴や、病院へ行く目安などについて詳しく解説します。 緊張型頭痛 緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張が原因で起こる頭痛です。まるで頭全体を締め付けられるような痛み、あるいは後頭部が重苦しい感じが特徴です。吐き気は、痛みがひどくなった場合に現れることがあります。精神的なストレスや、長時間のパソコン作業、猫背などの悪い姿勢が原因となることが多いです。 思春期に発症することが多く、20代でピークを迎えます。30代以降は徐々に頻度が減少していく傾向にありますが、日常生活でのストレスや長時間労働などで、30代以降も緊張型頭痛に悩まされる方は少なくありません。私自身も、医療現場の激務で首や肩が凝り固まり、緊張型頭痛に悩まされた経験があります。 緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も多く、多くの人が経験するありふれた頭痛です。一次性頭痛とは、他の病気から引き起こされる二次性頭痛とは異なり、頭痛自体が病気であるものを指します。 緊張型頭痛の対処法として、ストレス軽減、姿勢改善、マッサージ、鎮痛薬の服用などが挙げられます。 日常生活の中で、リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、軽い運動をするなど、ストレスを軽減する工夫をしてみましょう。また、正しい姿勢を意識し、長時間同じ姿勢を続けないようにすることも重要です。デスクワークの方は、1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをすることをお勧めします。 片頭痛 ズキンズキンと脈打つような激しい痛みが特徴の片頭痛。多くの場合、頭の片側が痛みますが、両側が痛むケースもあります。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、光、音、匂いに敏感になることもあります。女性に多く、遺伝的な要因も関係していると考えられています。 片頭痛も緊張型頭痛と同様に一次性頭痛に分類され、身体活動によって悪化するのが特徴です。また、遺伝的要因や、光や音に過敏になる光恐怖症、音恐怖症なども片頭痛の特徴として挙げられます。 片頭痛の症状は人それぞれですが、代表的な症状としては、脈打つような痛み、吐き気や嘔吐、光・音・匂いへの過敏さ、めまいなどがあります。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 片頭痛の対処法としては、以下の3つが挙げられます。暗くて静かな場所で横になる、こめかみなどに冷却シートを貼って冷やす、市販の鎮痛薬や医師から処方された薬を服用するなどです。 群発頭痛 群発頭痛は、目の奥やこめかみあたりに強烈な痛みが起こり、同時に激しい吐き気が伴います。片側の目が充血したり、涙や鼻水が出たりすることもあります。男性に多く、1~2ヶ月間、毎日同じ時間帯に起こるのが特徴です。 群発頭痛は、その名の通り、一定期間に集中して起こる頭痛です。群発期と呼ばれるこの期間は、数週間から数ヶ月続くことがあり、患者さんにとっては非常に辛い時期となります。群発期が終わると、しばらくは頭痛のない期間が続きますが、再び群発期が訪れることもあります。 群発頭痛の対処法としては、医師の指示に従って酸素を吸入する、医師から処方されたトリプタン系薬剤を服用する、などが挙げられます。 脳腫瘍などの命に関わる病気 頭痛と吐き気は、脳腫瘍などの命に関わる病気のサインである場合もあります。今までに経験したことのないような激しい頭痛や、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合は特に注意が必要です。このような症状が現れた場合は、ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに病院を受診してください。 命に関わる病気のサインを見逃さないためには、以下の症状に注意することが大切です。突然の激しい頭痛、意識障害、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、ものが二重に見える、けいれん、高熱などです。 これらの症状は、脳腫瘍以外にも、くも膜下出血や髄膜炎など、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。少しでも気になる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。 頭痛と吐き気を和らげる7つの対処法 頭痛と吐き気。日常生活で経験する方も多いのではないでしょうか。これらの症状は、単独で起こることもあれば、同時に起こることもあり、その辛さは経験した人にしかわからないものです。 吐き気や嘔吐を伴う頭痛は、日常生活に支障をきたすだけでなく、時に命に関わる重篤な疾患のサインである可能性も否定できません。 今回は、ご自宅でできる頭痛と吐き気を和らげる7つの方法をご紹介します。これらの方法を試しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。 市販薬(鎮痛薬)を服用する 市販の鎮痛薬は、ドラッグストアなどで手軽に入手でき、多くの場合、頭痛と吐き気を和らげるのに役立ちます。代表的な鎮痛薬としては、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどがあります。 アセトアミノフェンは、必ず医師や薬剤師に相談してから服用するようにしてください。イブプロフェンは、解熱鎮痛効果に加えて、抗炎症作用も持ち合わせています。 鎮痛薬を服用する際には、用法・用量を厳守することが重要です。決められた量以上を服用したり、長期間にわたって服用し続けたりすると、胃腸障害や肝機能障害などの副作用が現れる可能性があります。 また、持病がある方や他の薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談の上、市販薬との飲み合わせを確認することが大切です。鎮痛薬の中には、吐き気を悪化させる成分が含まれているものもありますので、注意が必要です。 冷却シートで頭を冷やす ズキンズキンと脈打つような痛みを伴う片頭痛の場合、冷却シートで頭を冷やすのが効果的です。冷却シートを額やこめかみに貼ることで、血管が収縮し、痛みを和らげることができます。 冷却シートがない場合は、氷嚢や冷たいタオルでも代用可能です。ただし、長時間冷やしすぎると、凍傷を起こす可能性がありますので、15~20分程度を目安に使用してください。 温かいタオルで首や肩を温める 肩や首の筋肉の緊張が原因で起こる緊張型頭痛の場合、温かいタオルで首や肩を温めるのが効果的です。温めることで、筋肉の緊張がほぐれ、血行が促進され、頭痛が和らぎます。吐き気も、首や肩の筋肉の緊張が原因で起こることがありますので、温めることで症状が改善される可能性があります。 お風呂に浸かったり、蒸しタオルを使用したりするのも効果的です。40~42度くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かるのがおすすめです。 静かな場所で休息する 頭痛や吐き気があるときは、心身ともに疲れている状態です。静かな場所で休息することで、副交感神経が優位になり、身体をリラックスさせ、症状を和らげることができます。 照明を暗くしたり、リラックスできる音楽を聴いたりするのも効果的です。また、吐き気があるときは、横になることで症状が楽になることがあります。 カフェインを控える カフェインは、血管を収縮させる作用があり、一時的には頭痛を和らげる効果がありますが、カフェインの摂取を急にやめると、反動で頭痛が悪化することがあります。「カフェイン離脱性頭痛」と呼ばれるこの頭痛は、カフェインの常用をやめた後12~24時間以内に発症し、2~9日間続くことがあります。 また、カフェインには利尿作用があり、体内の水分が失われ、脱水症状を引き起こす可能性があります。脱水症状は、頭痛や吐き気を悪化させる原因となりますので、カフェインの過剰摂取は控え、徐々に摂取量を減らしていくことが大切です。 水分を十分に摂る 脱水症状は、頭痛や吐き気を引き起こす原因となります。水分を十分に摂ることで、体内の水分バランスを維持し、症状の悪化を防ぐことができます。 常温の水やスポーツドリンクなどがおすすめです。冷たい飲み物は、胃腸を刺激し、吐き気を悪化させる可能性がありますので、避けるようにしましょう。 刺激物を避ける 強い光や音、においなどの刺激は、頭痛や吐き気を悪化させる可能性があります。これらの刺激を避けることで、症状を和らげることができます。 例えば、明るい場所にいる場合は、暗い場所に移動したり、目を閉じたりする、大きな音がする場所にいる場合は、耳栓をしたり、静かな場所に移動したりするなどの工夫をしましょう。 また、食べ物や飲み物にも注意が必要です。香辛料の効いた食べ物やアルコールなどは、胃腸を刺激し、吐き気を悪化させる可能性がありますので、避けるようにしましょう。周期性嘔吐症候群(CVS)は、片頭痛と共通の特徴を持つものの頭痛を伴わない症候群であり、数時間から数日続く吐き気、嘔吐、腹痛の発作を繰り返します。小児期に発症することが多く、大人になって初めて発症することもあります。 病院は何科?受診の目安と3つの注意点 頭痛と吐き気。多くの方が経験する症状ですが、その裏には深刻な病気が隠れている可能性もあるため、安易に考えてはいけません。 緊急性の高い症状を見極め、適切なタイミングで医療機関を受診することは、健康を守る上で非常に重要です。 緊急度の高い症状 「いつもの頭痛と何か違う」「吐き気がひどい」と感じたら、すぐに医療機関を受診すべきサインかもしれません。 特に以下の症状が現れた場合は、ためらわず救急車を呼ぶか、すぐに病院へ向かってください。一刻を争う事態の可能性があります。 意識障害:呼びかけに反応が鈍い、意識がもうろうとする ろれつが回らない、言葉が出てこない 手足のしびれや麻痺 激しい嘔吐 高熱 けいれん 首の痛みやこわばり 突発的な激しい頭痛(今まで経験したことのないような痛み) これらの症状は、くも膜下出血や脳卒中といった命に関わる病気を示唆している可能性があります。 また、慢性的な大量大麻使用によって過剰嘔吐を引き起こす、カンナビノイド過剰嘔吐症候群の可能性も考慮しなければなりません。 受診の目安 緊急性の高い症状がない場合でも、以下の項目に当てはまる場合は、医療機関への受診をおすすめします。 頭痛が慢性的に続いている(4週間以上) 吐き気が慢性的に続いている(4週間以上) 市販薬を服用しても症状が改善しない 日常生活に支障が出ている 不安が強い 慢性的な吐き気と嘔吐は、消化器系の問題(胃不全、周期性嘔吐症候群など)だけでなく、薬の副作用や内耳の異常といった消化器系以外の原因でも起こり得ます。 原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。周期性嘔吐症候群は、片頭痛と類似の特徴を持つものの頭痛を伴わず、数時間から数日間続く吐き気、嘔吐、腹痛の発作を繰り返します。小児期に発症することが多いですが、成人後に初めて発症するケースもあります。 受診する診療科 頭痛と吐き気が起こった際は、まず内科を受診してください。内科では、問診、身体診察、血液検査などを通して症状の原因を探ります。 必要に応じて、神経内科、脳神経外科、消化器内科など、専門の診療科に紹介状を書いてもらうことができます。 例えば、慢性的な頭痛と吐き気は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが疑われるため、内科や神経内科の受診が適切です。 胃の不快感を伴う吐き気であれば、胃腸炎や胃潰瘍の可能性があるため、内科または消化器内科を受診します。 めまいを伴う吐き気の場合は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症が考えられるため、内科または耳鼻咽喉科の受診が適切です。 診察時に伝えること 医師に症状を正しく伝えることは、正確な診断と適切な治療を受けるために不可欠です。 以下の情報を整理して伝えられるようにしておきましょう。 症状が始まった時期 痛みの種類(ズキズキする、締め付けられるなど) 痛みの強さ(軽い、中等度、激しい) 痛む場所 吐き気の程度 その他の症状の有無(発熱、めまい、視覚異常など) 現在服用している薬 過去の病気 生活習慣(食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒など) 受診前に準備しておくこと スムーズな診察のために、以下のものを事前に準備しておきましょう。 健康保険証 医療証(お持ちの方) 服用中の薬 過去の検査結果やお薬手帳(お持ちの方) メモした症状 医師の説明はしっかりと聞き、不明な点は積極的に質問することが大切です。 原因が特定できない場合や、治療が難しい場合(循環性嘔吐症候群など)もあります。医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが重要です。 まとめ 頭痛と吐き気は、原因も対処法も様々です。この記事では、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、そして命に関わる病気の可能性についても解説しました。 ご自宅でできる対処法として、市販薬の服用、冷却・温熱療法、休息、カフェインの制限、水分補給、刺激物の回避などを紹介しました。しかし、これらの方法で症状が改善しない場合、または、意識障害や激しい嘔吐などの緊急性の高い症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。 受診する際は、内科を受診し、必要に応じて神経内科や脳神経外科などに紹介されることもあります。診察時には、症状の開始時期や種類、痛みの強さ、吐き気の程度、その他の症状などを詳しく医師に伝えましょう。 頭痛と吐き気は、放置すると危険な場合もあります。少しでも不安を感じたら、早めに医療機関を受診し、安心を得てください。早期発見・早期治療が、症状の改善に繋がります。 参考文献 Kemper LT, Vedder IR, Ter Avest E. "Woman With Headache and Nausea." Annals of emergency medicine 79, no. 6 (2022): e109-e110. Goldman L. "Griseofulvin." The Medical clinics of North America 54, no. 5 (1970): 1339-45. Lacy BE, Parkman HP, Camilleri M. "Chronic nausea and vomiting: evaluation and treatment." The American journal of gastroenterology 113, no. 5 (2018): 647-659. Johns T, Lawrence E. "Evaluation and Treatment of Nausea and Vomiting in Adults." American family physician 109, no. 5 (2024): 417-425. Frazier R, Li BUK, Venkatesan T. "Diagnosis and Management of Cyclic Vomiting Syndrome: A Critical Review." The American journal of gastroenterology 118, no. 7 (2023): 1157-1167. Patniyot I, Qubty W. "Headache in Adolescents." Neurologic clinics 41, no. 1 (2023): 177-192. Cheema S, Matharu M. "Abdominal migraine and cyclical vomiting syndrome." Handbook of clinical neurology 198, no. (2023): 209-219. Onan D, Younis S, Wellsgatnik WD, Farham F, Andruškevičius S, Abashidze A, Jusupova A, Romanenko Y, Grosu O, Moldokulova MZ, Mursalova U, Saidkhodjaeva S, Martelletti P, Ashina S. "Debate: differences and similarities between tension-type headache and migraine." The journal of headache and pain 24, no. 1 (2023): 92. 医師監修 リペアセルクリニック 医師 圓尾 知之
2025.02.10 -
- 頭部、その他疾患
めまい、それは、立っていられないほどの激しい回転感から、雲の上を歩くようなフワフワとした浮遊感、あるいは船酔いのようなゆらゆらとした動揺感まで、様々な形で私たちを襲います。実は、めまいの原因は多岐にわたり、その種類を理解することが最初のステップです。この記事では、代表的な5つのめまいの種類と原因を詳しく解説。良性発作性頭位めまい症、メニエール病といった具体的な病名も交えながら、あなたが経験しているめまいが一体何なのか、その正体に迫ります。さらに、めまいの検査方法から、日常生活への影響を抑える治療法・予防法まで、医師が丁寧に解説しますので、ぜひご自身と照らし合わせてみてください。 めまいの種類と原因5選 めまいは、日常生活で経験する頻度の高い症状の一つです。その症状は、激しい回転感から、フワフワとした浮遊感、あるいは体が揺れているような感覚まで実に様々です。また、めまいを引き起こす原因も多岐にわたるため、まずはどのような種類があるのかを理解することが大切です。ここでは、めまいの種類と、それぞれの原因となる代表的な病気を5つご紹介します。 回転性めまい:グルグル回るような感覚 回転性めまいは、周囲がグルグルと回転しているように感じる、あるいは自分自身が回転しているように感じるめまいです。まるでコーヒーカップのような遊園地の乗り物に乗っている最中、あるいは回転椅子から急に立ち上がった時のような感覚を想像してみてください。 この回転性めまいは、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、時に立っていられないほど激しいこともあります。このような回転性めまいを引き起こす原因として、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メニエール病など、様々な病気が考えられます。 良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石という小さなカルシウムの結晶が剥がれ落ち、三半規管という管の中に入り込んでしまうことで起こります。Dix-Hallpike試験という簡単な検査で診断が可能です。 前庭神経炎は、平衡感覚をつかさどる前庭神経に炎症が起こることで、激しい回転性めまいが突然始まり、数日間続くことがあります。 メニエール病は、内耳のリンパ液のバランスが崩れることで起こり、回転性めまいの他に、難聴、耳鳴り、耳閉感といった聴覚症状を伴うことが特徴です。 さらに、稀ではありますが、脳梗塞や脳腫瘍といった深刻な病気が原因となる場合もあります。めまいが続く場合や、繰り返し起こる場合は、医療機関への受診をお勧めします。 浮動性めまい:フワフワと浮いているような感覚 浮動性めまいは、地面から足が離れ、フワフワと浮いているような感覚のめまいです。まるで雲の上を歩いているような、あるいは体が宙に浮いているような感覚と表現されることもあります。 この浮動性めまいは、回転性めまいとは異なり、周囲が回転している感覚はありません。原因としては、貧血、低血圧、自律神経の乱れ、過呼吸、不眠、精神的なストレスなど、様々なものが挙げられます。また、脳梗塞や脳腫瘍などの脳血管疾患が原因となる場合もあります。 特に、急な歩行困難やろれつが回らなくなるといった神経症状を伴う場合は、脳血管疾患の疑いがあるため、速やかに救急車を呼ぶ必要があります。 動揺性めまい:体が揺れているような感覚 動揺性めまいは、体が揺れているような感覚のめまいです。実際には揺れていないのに、まるで地震が起きているかのような感覚、あるいは船酔いしている時のような感覚を覚えることがあります。 動揺性めまいは、パニック障害、うつ病、過換気症候群などの精神的な原因で起こることが多く、大きな地震を経験した後などに、不安感が強まり、実際には揺れていないにも関わらず、揺れているように感じることもあります。 メニエール病:回転性めまい、難聴、耳鳴り、耳閉感 メニエール病は、内耳のリンパ液のバランスが崩れることで起こる病気で、回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感の4つの症状が特徴です。めまい発作は数十分から数時間続き、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。 難聴は、初期には低い音が聞こえにくくなり、徐々に高い音にも広がっていきます。耳鳴りは、「ブーン」「ゴー」といった低い音で、めまい発作の前に強くなる傾向があります。耳閉感は、耳が詰まったような感覚です。 メニエール病は、再発を繰り返す病気であり、その発作の頻度や症状の程度は人それぞれですが、日常生活に大きな影響を与えることもあります。適切な治療を行うことで、症状をコントロールし、日常生活をより快適に送ることが可能になります。 良性発作性頭位めまい症:特定の頭の位置で起こる回転性めまい 良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、めまいの中で最も頻度の高い疾患です。内耳にある耳石という小さなカルシウムの結晶が、本来あるべき場所から剥がれ落ち、三半規管に入り込むことで起こります。特定の頭の動きによって、数秒から数十秒程度の回転性のめまい発作が起こるのが特徴です。起床時や寝返りを打った時などにめまいが起こりやすい傾向があります。 めまい発作は自然に治まることが多いですが、再発することもあります。BPPVの治療法としては、耳石を元の位置に戻すための頭位変換法が有効です。この治療法は、医療機関で医師の指導のもと行われます。BPPVは比較的予後が良い疾患ですが、適切な診断と治療が重要です。 めまいの検査と診断方法 めまいは、その原因が実に多岐にわたるため、適切な治療を行うためには正確な診断が不可欠です。まるで探偵が事件を解決するように、医師は様々な情報を集め、分析し、めまいの原因を探っていきます。ここでは、めまいの検査と診断方法について、分かりやすく解説します。 問診:めまいの種類、症状、発症時期などを確認 問診は、すべての検査・診断の出発点です。患者さんがどのようなめまいを感じているのか、いつから始まったのか、どのくらいの頻度で起こるのか、他に症状はあるのかなど、詳細な情報を得ることで、原因を特定するための重要な手がかりが得られます。 例えば、「グルグル回るようなめまい」なのか、「フワフワ浮いているようなめまい」なのか、「体が揺れているような感覚」なのか。これらのめまいの種類によって、疑われる病気が異なります。 また、めまいが始まった時期や持続時間、頻度、誘因なども重要な情報です。例えば、頭を動かした時にめまいが起こる場合は、良性発作性頭位めまい症の可能性が高まります。 さらに、吐き気や嘔吐、耳鳴り、難聴、頭痛、手足のしびれなど、めまい以外の症状の有無も確認します。これらの症状は、めまいの原因を特定する上で重要な手がかりとなるだけでなく、緊急性の高い病気が隠れている可能性を示唆する場合もあるからです。問診によって得られた情報は、その後の検査方針を決定する上で非常に重要になります。 身体診察:神経学的検査、眼振検査など 身体診察では、神経系の異常や眼振の有無を確認します。眼振とは、眼球が不随意に動く状態のことで、めまいの原因を特定する上で重要な手がかりとなります。 例えば、良性発作性頭位めまい症では、特定の頭の位置で眼振が出現します。この眼振は、Dix-Hallpike法と呼ばれる検査で確認することができます。この検査では、患者さんを診察台に座らせ、頭を特定の方向に素早く倒します。もし良性発作性頭位めまい症であれば、この頭の動きによって眼振が誘発され、患者さんは回転性のめまいを感じます。 また、神経学的検査では、眼球運動、瞳孔の反応、顔の感覚や運動、聴力、平衡機能などを調べます。これらの検査は、中枢神経系や末梢神経系の異常を検出するのに役立ちます。例えば、脳梗塞や脳腫瘍などの脳の病気が原因でめまいが起こっている場合、神経学的検査で異常が見つかることがあります。 聴力検査:聴力低下や耳鳴りの有無を確認 聴力検査は、聴力低下や耳鳴りの有無を確認するための検査です。メニエール病など、内耳の異常が原因でめまいが起こる場合、聴力検査で異常が見つかることがあります。メニエール病では、めまい発作と同時に、低い音から高い音へと徐々に聴力が低下していくことが特徴です。また、耳鳴りもメニエール病の代表的な症状の一つです。 聴力検査には、純音聴力検査や語音聴力検査など、様々な種類があります。純音聴力検査では、様々な周波数の音を聞かせて、どの周波数の音が聞こえにくくなっているかを調べます。語音聴力検査では、単語や文章を聞かせて、どの程度理解できるかを調べます。 平衡機能検査:平衡感覚の異常を検出 平衡機能検査は、平衡感覚の異常を検出するための検査です。平衡感覚は、内耳の前庭器官、視覚、体性感覚(筋肉や関節からの情報)の3つの要素によって維持されています。平衡機能検査では、これらの要素が正常に機能しているかを調べます。 平衡機能検査には、眼振検査、姿勢動揺検査など、様々な種類があります。眼振検査では、眼球の不随意な動きを調べます。姿勢動揺検査では、立っている時の体の揺れを測定します。これらの検査によって、どの部分の平衡機能に異常があるかを調べることができます。 画像診断(MRI、CTなど):脳腫瘍や脳梗塞などの病気を除外 画像診断(MRI、CTなど)は、脳腫瘍や脳梗塞など、めまいを引き起こす可能性のある病気を除外するために実施します。特に、神経学的検査で異常が見つかった場合や、めまいの症状が重篤な場合は、画像診断が不可欠です。 MRI検査は、強力な磁場と電波を使って脳の断層画像を撮影する検査です。CT検査は、X線を使って脳の断層画像を撮影する検査です。これらの検査によって、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血などの病気を発見することができます。 ただし、良性発作性頭位めまい症のように、画像診断で異常が見つからないめまいも多数存在します。また、ガイドラインでは、良性発作性頭位めまい症の診断基準を満たす患者で、矛盾する追加の徴候や症状がない限り、画像診断は推奨されていません。 めまいの治療法と予防法 めまいは、日常生活に大きな支障をきたす症状です。立っていられないほどの激しい回転感から、まるで雲の上を歩いているようなフワフワとした浮遊感、あるいは船に乗っている時のようなゆらゆらとした動揺感まで、その症状は実に様々です。 めまいの原因も多岐にわたるため、それぞれの原因に合わせた適切な治療法と予防法を選択することが、より早く日常生活を取り戻すために重要です。この記事では、めまいの治療法と予防法について、分かりやすく解説します。 薬物療法:めまいを抑える薬、吐き気止めなど めまいの治療には、症状や原因に合わせて様々な薬が用いられます。めまいを引き起こす原因が炎症であれば抗炎症薬、内耳の循環障害であれば血流改善薬などを使用します。 めまいの症状を抑える抗めまい薬は、吐き気や嘔吐といった自律神経症状にも効果があります。また、吐き気が強い場合には、吐き気止めを併用することもあります。 抗めまい薬の中には、眠気を引き起こすものもあるため、車の運転や危険を伴う作業をする際は注意が必要です。内耳の循環を改善する薬は、内耳の血流を良くすることで、めまいを改善する効果が期待できます。 これらの薬は、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは、症状の悪化や副作用のリスクを高める可能性がありますので、必ず医師に相談しましょう。 理学療法:前庭リハビリテーションなど 薬物療法に加えて、理学療法もめまいの治療に効果的です。特に、前庭リハビリテーションは、平衡感覚をつかさどる前庭機能の改善に役立ちます。 前庭リハビリテーションとは、耳の奥にある三半規管というセンサーの働きを良くするためのリハビリです。具体的には、様々な頭の動きや体の動きを繰り返し行うことで、めまいを起こしにくい体を作っていきます。 例えば、良性発作性頭位めまい症では、耳石という小さな粒が三半規管に入り込んでめまいを引き起こします。この場合、エプリー法などの頭位変換法を用いて、耳石を元の位置に戻すことでめまいを改善します。 前庭神経炎のように、前庭機能が低下している場合は、低下した側の前庭機能を鍛えるとともに、残っている機能を最大限に活用する訓練を行います。これらの訓練は、専門の理学療法士の指導のもとで行うことが重要です。 アメリカ理学療法士協会神経理学療法アカデミーによる末梢性前庭機能低下に対する前庭リハビリテーションに関する最新の臨床診療ガイドラインでも、前庭リハビリテーションの有効性が示されています。 前庭リハビリテーションは、めまいの種類や重症度に応じて適切なプログラムが選択されます。また、効果を高めるためには、継続的にリハビリテーションを行うことが大切です。 手術:メニエール病など メニエール病など、薬物療法や理学療法で改善しない重症の場合には、手術が必要となることもあります。手術には、内リンパ嚢減圧術や前庭神経切断術などがあり、めまいの原因となっている内耳に直接アプローチすることで症状の改善を図ります。 内リンパ嚢減圧術は、内耳のリンパ液の圧力を下げる手術です。メニエール病では、内耳のリンパ液のバランスが崩れることでめまい発作が起こると考えられています。この手術によってリンパ液の圧力を調整することで、めまい発作の頻度や重症度を軽減することが期待できます。 前庭神経切断術は、平衡感覚を伝える前庭神経を切断する手術です。この手術は、他の治療法で効果が得られない重症のメニエール病患者さんに適用されることがあります。前庭神経を切断することで、めまい発作を抑制することができます。 ストレス管理:ストレスを軽減するためのリラクセーション法など ストレスは、めまいを悪化させる要因の一つです。日常生活でストレスを避けられないとしても、そのストレスにどのように対処するかが重要です。ストレスを軽減するためには、リラクセーション法や瞑想、ヨガ、アロマテラピーなど、自分にとって心地よい方法を見つけることが大切です。 また、十分な睡眠をとることも、ストレス管理に効果的です。睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、めまいを悪化させる可能性があります。毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい睡眠リズムを保つように心がけましょう。 生活習慣の改善:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など 健康的な生活習慣を維持することも、めまいの予防と改善に重要です。具体的には、次の点に注意しましょう。 十分な睡眠:睡眠不足は、めまいだけでなく、様々な身体の不調を引き起こす可能性があります。質の高い睡眠を確保するために、寝る前にカフェインを摂取したり、スマートフォンを長時間見続けたりすることは避けましょう。 バランスの良い食事:栄養バランスの取れた食事は、健康維持に不可欠です。特に、ビタミンB群や鉄分は、神経機能の維持に重要な役割を果たしており、めまいの予防にも効果的と言われています。 適度な運動:適度な運動は、血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を見つけ、無理なく続けましょう。 カフェインやアルコールの摂取量を控える:カフェインやアルコールは、めまいを悪化させる可能性があります。過剰な摂取は避け、適量を守るようにしましょう。 めまいは、様々な原因で起こる可能性があります。自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。 まとめ めまいは、回転性、浮動性、動揺性など様々な種類があり、原因も多岐にわたります。グルグル回るような回転性のめまいは、耳の異常が原因であることが多い一方、フワフワする浮動性のめまいは、貧血や低血圧、自律神経の乱れなど、様々な原因が考えられます。 めまいを感じたら、まずはどんなめまいなのか、いつから始まったのか、他にどんな症状があるのかなど、落ち着いて症状を把握してみましょう。 原因を特定し適切な治療を受けるためには、医療機関への受診が大切です。自己判断で対処せずに、専門家のアドバイスを受けることで、安心して日常生活を送れるようになりますよ。 参考文献 Kim JS, Zee DS. 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2025.02.10 -
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突然ですが、手足のしびれや筋力低下を感じたことはありませんか?もしかしたら、それはギラン・バレー症候群の初期症状かもしれません。聞き慣れない病名かもしれませんが、年間10万人あたり1~2人が発症する身近な病気で、2021年のLancet誌では世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因と報告されています。免疫システムが誤って自分の神経を攻撃してしまうこの病気、実は風邪や下痢といった感染症がきっかけで発症することも。重症化すると呼吸困難に至るケースもありますが、早期発見・早期治療で後遺症を最小限に抑えることが可能です。この記事では、ギラン・バレー症候群の症状、原因、治療法、予後まで、詳しく解説します。正しく理解し、もしもの時に備えましょう。 ギラン・バレー症候群を理解する3つのポイント ギラン・バレー症候群は、あまり聞き慣れない病名かもしれません。しかし、誰にでも起こりうる可能性のある病気であり、決して他人事ではありません。正しい知識を持つことで、早期発見・早期治療につながり、後遺症を最小限に抑えることができるのです。この章では、ギラン・バレー症候群を理解するための3つのポイントを、わかりやすく丁寧に解説します。 ギラン・バレー症候群とは? ギラン・バレー症候群は、自分の免疫システムが誤って自分の末梢神経を攻撃してしまう自己免疫疾患です。通常、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る大切な役割を担っています。しかし、ギラン・バレー症候群では、この免疫システムが正常に機能せず、味方であるはずの神経を攻撃してしまうのです。 この攻撃によって末梢神経が炎症を起こし、神経を覆うミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されたりします。その結果、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなり、手足のしびれや筋力低下といった症状が現れます。 ギラン・バレー症候群は、世界中で年間10万人あたり1~2人が発症すると言われており、年齢や性別を問わず、誰にでも起こりうる病気です。小児から高齢者まで、どの年齢層でも発症の可能性があり、男性にやや多い傾向が見られます。また、2021年のLancet誌の報告によれば、ギラン・バレー症候群は世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因であり、多くの患者さんが進行性の運動弱化の前に、上気道感染症などの先行感染症を経験するとされています。 ギラン・バレー症候群は、一般的には急速に症状が進行しますが、自然に回復していくことが多いのも特徴です。多くの患者さんは数ヶ月で回復に向かいますが、約20%の方は1年後も何らかの後遺症が残る可能性があります。また、再発する可能性も2~5%程度存在します。 ギラン・バレー症候群の原因とメカニズム ギラン・バレー症候群の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの場合、風邪や下痢などの感染症がきっかけとなって発症すると考えられています。例えば、カンピロバクター・ジェジュニという細菌による食中毒が、ギラン・バレー症候群の引き金になることが知られています。2022年のInternational Journal of Molecular Sciencesに掲載された研究では、ギラン・バレー症候群の約3分の1はカンピロバクター・ジェジュニ感染が原因であると報告されています。 これらの感染症に対して、私たちの体は免疫システムを活性化させ、体内に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃します。しかし、この免疫反応が過剰に起こったり、制御が効かなくなったりすると、本来攻撃すべきでない自分の神経を攻撃してしまうことがあるのです。これがギラン・バレー症候群の発症メカニズムの一つと考えられています。 具体的には、病原体の表面構造と神経の構成成分が類似している場合、免疫システムがこれらを誤認識し、神経を攻撃してしまう「分子模倣」という現象が関与していると考えられています。カンピロバクター・ジェジュニ関連のギラン・バレー症候群では、この分子模倣によって引き起こされる自己抗体媒介性免疫プロセスが関与している強力な証拠があるとされています。 ギラン・バレー症候群を引き起こす可能性のある感染症には、カンピロバクター・ジェジュニ以外にも、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルス、マイコプラズマ属の細菌、腸管系のウイルスなどが挙げられます。また、ジカウイルス感染症やCOVID-19の後に発症するケースも報告されています。さらに、免疫チェックポイント阻害薬という、一部のがん治療薬の副作用として発症するケースもあるため、注意が必要です。 患者さんの約60%で、抗ガングリオシド抗体という物質が血液中に見つかることが知られています。これは、免疫システムが神経の特定の部分を攻撃している証拠と考えられています。 ギラン・バレー症候群の種類と分類 ギラン・バレー症候群は、大きく分けて「脱髄」が優勢なタイプと、「軸索」が侵されるタイプの2つに分類されます。 脱髄が優勢なタイプ:神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が壊れてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。代表的なものとして、急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)が挙げられます。これはギラン・バレー症候群の中で最も一般的なタイプです。 軸索が侵されるタイプ:神経線維そのものが傷ついてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。代表的なものとして、急性運動軸索神経障害(AMAN)が挙げられます。 また、フィッシャー症候群(またはミラー・フィッシャー症候群)と呼ばれるタイプも存在します。これは、眼球運動障害、体のバランスがとりにくくなる運動失調、腱反射の消失といった症状が見られますが、手足の筋力低下はあまり見られないという特徴があります。2013年のNeurologic clinics誌に掲載された論文では、このフィッシャー症候群を含め、純粋感覚型変異、自律神経症状の限定的な発現、咽頭・頸部・腕神経叢型パターンなど、他のまれな表現型の変異についても報告されています。 これらの種類によって、症状や経過、予後が異なる場合があるため、正確な診断が重要です。 ギラン・バレー症候群の症状と診断 ギラン・バレー症候群は、初期症状が他の病気と似ていることが多く、診断が難しい場合があります。風邪のような軽い症状だと安易に考えて放置してしまうと、後遺症が残ってしまう可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。 この章では、ギラン・バレー症候群の代表的な症状と、どのように診断されるのかについて詳しく解説します。 初期症状:しびれや筋力低下 ギラン・バレー症候群の初期症状は、両手足の指先にしびれやチクチクするような感覚が現れることが多いです。まるで手袋や靴下を履いているような感覚で、左右対称に症状が現れる点が特徴です。 患者さんの中には、「最初は足が少しジンジンするだけだったのに、数日のうちに両足全体がしびれて、歩くのもつらくなった」と訴える方もいます。このように、症状の進行は非常に速く、数時間から数日のうちに急速に悪化していく場合もあるため注意が必要です。 また、しびれと同時に、筋力低下も現れ始めます。具体的には、次のような症状が現れることがあります。 ボタンを留める、箸を使うといった細かい動作が難しくなる。 ペットボトルの蓋を開けられない。 文字を書くのが困難になる。 歩行がふらつく。 階段の上り下りが難しくなる。 これらの初期症状は、風邪や疲れなど、他の原因によるものと勘違いしやすいので注意が必要です。特に、症状が急速に悪化する場合は、ギラン・バレー症候群の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診することが大切です。 症状の進行:歩行困難や呼吸麻痺 ギラン・バレー症候群の初期症状が現れてから数日~数週間で、筋力低下はさらに進行し、手足の麻痺へと繋がっていきます。「最初は足がしびれる程度だったのが、今では杖がないと歩けない」というケースも珍しくありません。 症状が進行すると、歩行が困難になるだけでなく、日常生活における様々な動作に支障をきたすようになります。例えば、衣服の着脱、食事、洗面、トイレといった動作が一人では行えなくなることもあります。 さらに重症化すると、呼吸に必要な筋肉や、食べ物を飲み込むための筋肉も麻痺し、呼吸困難や嚥下障害を引き起こす可能性があります。最悪の場合、人工呼吸器の装着や経管栄養が必要となるケースもあり、まさに生命の危険に晒される状態となります。2015年のPrimary care誌の報告によれば、認識されず、または治療されなかった場合、ギラン・バレー症候群は著しい罹患率と死亡率につながる可能性があります。 診断方法:神経伝導検査や髄液検査 ギラン・バレー症候群の診断は、患者さんの症状や経過、神経学的診察、神経伝導検査、髄液検査などの結果を総合的に判断して行います。2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、腰椎穿刺と電気生理学的検査は、診断を裏付け、脱髄型と軸索型のGBSを鑑別するのに役立つと報告されています。 神経伝導検査では、神経に電気刺激を与えて、その伝わる速度や反応を測定します。ギラン・バレー症候群では、神経の伝導速度が遅くなったり、反応が弱くなったりするといった異常が見られます。これは、神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されていることを示しています。 髄液検査では、腰椎穿刺という方法で採取した髄液を調べます。ギラン・バレー症候群の特徴的な所見として、髄液中のタンパク質が増加している一方で、細胞数は正常であるという「蛋白細胞解離」が見られます。これは、神経に炎症が起こっていることを示唆する重要な指標です。 ギラン・バレー症候群と類似する疾患との鑑別 ギラン・バレー症候群は、他の神経疾患と症状が似ている場合があり、鑑別が難しいケースもあります。特に、重症筋無力症、ボツリヌス症、ポリオ、ダニ麻痺症、ウエストナイルウイルス感染症などは、ギラン・バレー症候群と似たような症状を示すことがあります。 これらの疾患とギラン・バレー症候群を鑑別するためには、症状の持続時間や対称性、感覚異常の有無、自律神経症状の有無など、様々な要素を考慮する必要があります。医師は、これらの要素を詳細に確認することで、正しい診断を下し、適切な治療方針を決定します。例えば、重症筋無力症は、ギラン・バレー症候群とは異なり、筋力低下が日内変動を示すことが多く、また、眼瞼下垂や複視などの眼症状を伴うことが多いです。ボツリヌス症は、眼球運動障害や嚥下障害、構音障害などの症状が特徴的で、ギラン・バレー症候群のように四肢の筋力低下が対称性に起こることは少ないです。このように、それぞれの疾患に特徴的な症状や経過を把握することで、鑑別が可能となります。 ギラン・バレー症候群の治療法と予後 ギラン・バレー症候群は、適切な治療を行うことで多くの場合回復に向かう病気です。しかし、重症化すると呼吸困難など生命に関わる危険性もあるため、早期の診断と治療開始が非常に重要です。ここでは、ギラン・バレー症候群の治療法と予後について、より詳しく解説していきます。 治療方法:免疫グロブリン療法や血漿交換 ギラン・バレー症候群の治療の中心は、免疫グロブリン療法と血漿交換です。これらの治療は、免疫システムの働きを調整することで、誤って自分の神経を攻撃している状態を鎮め、症状の改善を促します。2021年のLancet誌の報告によれば、免疫グロブリン療法と血漿交換は同等の効果があり、どちらの治療法も発症早期に開始することが重要であるとされています。 免疫グロブリン療法: 健康な人の血液から精製された免疫グロブリンを、点滴で投与する方法です。免疫グロブリンは、過剰に反応している免疫システムのバランスを整え、神経への攻撃を抑える働きがあります。点滴による投与のため、入院が必要となるケースが多いです。副作用として、まれに頭痛、発熱、吐き気、血管痛などがみられることがあります。これらの副作用は一過性であることがほとんどですが、気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが大切です。 血漿交換: 血液中の液体成分である血漿を専用の機器で取り出し、神経を攻撃している抗体などを含む血漿成分を除去し、代わりに新しい血漿やアルブミン製剤を補充する方法です。この治療法も入院が必要となります。副作用としては、血圧の低下、アレルギー反応、出血、血栓塞栓症、低カルシウム血症などがみられることがあります。 免疫グロブリン療法と血漿交換は、どちらも有効な治療法ですが、患者さんの状態やアレルギーの有無、合併症の有無などによって、どちらが適しているかは異なります。医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、静脈内免疫グロブリンと血漿交換は効果的な治療法であることが証明されていると報告されています。 リハビリテーション:機能回復のための運動療法 ギラン・バレー症候群では、筋力低下や麻痺といった症状がみられるため、リハビリテーションも治療の重要な一部です。リハビリテーションの目的は、低下した身体機能の回復を促し、日常生活への復帰をスムーズにすることです。 リハビリテーションの内容は、患者さんの病状の進行度や年齢、体力、合併症の有無などを考慮して、個別に設定されます。初期段階で症状が重い時期には、関節の拘縮を防ぐため、関節可動域訓練や寝たきり状態を防ぐための体位変換などが中心となります。症状が軽快してくると、筋力トレーニングや歩行訓練、日常生活動作訓練など、より積極的な運動療法が開始されます。 理学療法士や作業療法士などの専門家と連携しながら、無理のない範囲でリハビリテーションに取り組むことが大切です。焦らず、少しずつ身体機能の回復を目指していくことが重要です。 予後:後遺症や再発の可能性 ギラン・バレー症候群の予後は、多くの場合良好で、数ヶ月から1年程度で回復に向かいます。2015年のPrimary care誌の報告では、多くの症例は後遺症を残さずに回復しますが、そうでない場合は、著しい持続的な衰弱が残る可能性があるとされています。しかし、患者さんによっては後遺症が残る場合もあり、軽度の筋力低下やしびれ、倦怠感などが挙げられます。また、稀に再発することもあります。 予後は、発症時の症状の重さ、治療への反応、年齢、基礎疾患の有無など、様々な要因によって影響を受けます。重症例や高齢者の場合、後遺症が残る可能性が高くなる傾向があります。 再発は2~5%程度とされています。再発した場合も、初回と同様の治療が行われます。 最新の治療法と研究 ギラン・バレー症候群の治療法は、現在も研究開発が続けられています。新しい治療薬の開発や、既存の治療法の改良など、様々な研究が行われています。 例えば、補体阻害剤などの新しい治療薬の臨床試験が進行中です。これらの治療薬は、神経へのダメージをさらに軽減する効果が期待されています。また、国際的な共同研究も盛んに行われており、ギラン・バレー症候群の病態解明や新たな治療法の開発に役立てられています。2021年のLancet誌の報告では、全てのギラン・バレー症候群患者への治療アクセス改善と、神経損傷の程度を制限できる効果的な疾患修飾療法の開発が必要であるとされています。 ギラン・バレー症候群の日常生活の注意点 ギラン・バレー症候群を発症すると、日常生活に様々な支障が出てきます。症状が落ち着くまでは、無理をせず安静にすることが大切です。また、日常生活を送る上での工夫も必要になります。 日常生活の注意点: 転倒のリスクを減らすために、手すりや杖などを活用する。 入浴時には、滑り止めマットを敷いたり、浴槽の縁に手すりを取り付けたり、シャワーチェアを使用するなど転倒防止に努める。 トイレには、補助便座や手すりなどを設置する。 衣服は、着脱しやすいものを選ぶ。ボタンやファスナーの代わりに、マジックテープやゴム紐を使用するのも良いでしょう。 食事の際は、介助が必要な場合は家族などに手伝ってもらう。食事内容も、食べやすいように工夫する。 また、精神的なサポートも重要です。不安や恐怖、焦りを感じやすい時期なので、家族や医療従事者と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。周囲の理解とサポートが、回復への大きな力となります。 まとめ ギラン・バレー症候群は、末梢神経が自分の免疫システムに攻撃される自己免疫疾患です。手足のしびれや筋力低下といった症状が現れ、進行すると歩行困難や呼吸麻痺に至ることもあります。原因は明確には解明されていませんが、感染症がきっかけとなることが多いと考えられています。治療は免疫グロブリン療法や血漿交換、リハビリテーションなどがあり、多くの場合、数ヶ月から1年で回復に向かいます。しかし、後遺症が残る場合や再発の可能性もあるので、早期発見・早期治療が大切です。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。症状が改善した後も、日常生活で無理をせず、周りのサポートを受けながら、焦らずに回復を目指してくださいね。 参考文献 Shahrizaila N, Lehmann HC, Kuwabara S. "Guillain-Barré syndrome." Lancet (London, England) 397, no. 10280 (2021): 1214-1228. Finsterer J. "Triggers of Guillain-Barré Syndrome: Campylobacter jejuni Predominates." International journal of molecular sciences 23, no. 22 (2022): . Dimachkie MM, Barohn RJ. "Guillain-Barré syndrome and variants." Neurologic clinics 31, no. 2 (2013): 491-510. van den Berg B, Walgaard C, Drenthen J, Fokke C, Jacobs BC, van Doorn PA. "Guillain-Barré syndrome: pathogenesis, diagnosis, treatment and prognosis." Nature reviews. Neurology 10, no. 8 (2014): 469-82. Ansar V, Valadi N. "Guillain-Barré syndrome." Primary care 42, no. 2 (2015): 189-93. ギラン・バレー症候群ガイドライン2023 追加情報 [title]: Guillain-Barré syndrome., ギラン・バレー症候群 【要約】 ギラン・バレー症候群(GBS)は、世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因であり、多くの患者が、進行性の運動弱化の発症前に、上気道感染症などの先行感染症を経験する。 GBSの発症には、カンピロバクター・ジェジュニ、ジカウイルス、そして2020年にはSARS-CoV-2などの様々な微生物が関連している。カンピロバクター・ジェジュニ関連GBSでは、末梢神経の構成成分と微生物との分子模倣によって引き起こされる自己抗体媒介性免疫プロセスが関与する証拠が強い。 古典的なGBSの診断は比較的容易だが、既存の診断基準には限界があり、GBSの変異型を見逃す可能性がある。 多くのGBS患者は免疫療法で良好な経過をたどるものの、かなりの割合が障害を残し、死亡することもある。国際ギラン・バレー症候群転帰研究の結果は、低所得国における免疫療法へのアクセス不足など、GBSにおける地理的差異を示唆している。 全てのGBS患者への治療アクセス改善と、神経損傷の程度を制限できる効果的な疾患修飾療法の開発が必要であり、補体阻害剤など、いくつかの治療候補を検討する臨床試験が進行中である。これらの試験や大規模な国際共同研究からの新たなデータは、GBSの多様な側面の理解に大きく貢献するだろう。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33647239, [quote_source]: Shahrizaila N, Lehmann HC and Kuwabara S. "Guillain-Barré syndrome." Lancet (London, England) 397, no. 10280 (2021): 1214-1228. [title]: Triggers of Guillain-Barré Syndrome: Campylobacter jejuni Predominates., ギラン・バレー症候群の誘因:カンピロバクター・ジェジュニが最も多い 【要約】 ギラン・バレー症候群(GBS)は、胃腸炎や呼吸器感染症の後に発症する、まれな免疫介在性の急性多発性神経根神経炎である。 GBSの最も一般的な亜型は、急性炎症性脱髄性多発神経炎(AIDP)と急性運動軸索神経障害(AMAN)である。 GBSの約3/4は、先行する感染が引き金となっている。 最も一般的な感染性病原体には、カンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)、マイコプラズマ・ニューモニエ、サイトメガロウイルスなどがある。 C. jejuniは、GBS症例の約1/3の原因となっている。C. jejuniが原因のGBSは、他の原因によるものより通常重症である。 GBSの臨床症状は、Toll様受容体(TLR)-4シグナル伝達を介して自然免疫系を誘発する病原性リポオリゴ糖(LOS)の構造に大きく依存する。 AIDPは脱髄によるものであり、AMANでは、軸索膜の構造がノードまたはノード間隙で影響を受ける。 結論として、GBSはミエリン鞘または軸索膜の成分に対する自己抗体によって引き起こされる神経免疫疾患である。病原体の表面構造とミエリンまたは軸索の成分との間の分子擬態は、GBSの病態生理を説明する可能性のあるシナリオの1つである。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36430700, [quote_source]: and Finsterer J. "Triggers of Guillain-Barré Syndrome: Campylobacter jejuni Predominates." International journal of molecular sciences 23, no. 22 (2022): . [title]: Guillain-Barré syndrome and variants., ギラン・バレー症候群とその変異型 【要約】 ギラン・バレー症候群(GBS)は、急速に進行する上行性の筋力低下、軽度の感覚障害、および低反射または無反射を特徴とする疾患です。 1世紀以上前に認識された急性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが、GBSの最も一般的な型です。 過去30年間で、軸索性運動型および感覚運動型の変異型が報告されており、末梢神経運動軸索を標的とする分子模倣によって媒介されています。 最近では、純粋感覚型変異、自律神経症状の限定的な発現、咽頭・頸部・腕神経叢型パターンなどの他のまれな表現型変異も報告されています。 血漿交換療法と静脈内免疫グロブリン療法という同等の有効な治療法があるため、GBSとその変異型を認識することが重要です。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23642721, [quote_source]: Dimachkie MM and Barohn RJ. "Guillain-Barré syndrome and variants." Neurologic clinics 31, no. 2 (2013): 491-510. [title]: Guillain-Barré syndrome: pathogenesis, diagnosis, treatment and prognosis., ギラン・バレー症候群:病態生理、診断、治療、予後 【要約】 ギラン・バレー症候群(GBS)は、生命を脅かす可能性のある感染後疾患であり、急速に進行する対称性の四肢脱力(手足の痺れや麻痺)を特徴とする。 約25%の患者が呼吸不全を起こし、多くの患者が自律神経機能障害の兆候を示す。 診断は通常、臨床的に行うことができるが、腰椎穿刺と電気生理学的検査は、診断を裏付け、脱髄型と軸索型のGBSを鑑別するのに役立つ。 病原体由来抗原の分子模倣が、ガングリオシドも標的とする交差反応性抗体の産生につながることが、GBSの発症に関与している。症候群のサブタイプと重症度は、先行感染の性質とこれらの抗体の特異性によって部分的に決定される。 静脈内免疫グロブリンと血漿交換は効果的な治療法であることが証明されているが、多くの患者にかなりの残存障害が残る。 治療関連の変動を示す患者と急性発症慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)の患者を区別することが重要である。これらの疾患は異なる治療を必要とする可能性がある。 新しい予後モデルは、人工呼吸器が必要かどうか、予後を正確に予測することができ、予後不良の患者に対するより個別化されたケアの選択を支援する可能性がある。 本論文は、GBSの臨床的特徴と診断基準を要約し、その病態生理、治療、予後について論じている。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25023340, [quote_source]: van den Berg B, Walgaard C, Drenthen J, Fokke C, Jacobs BC and van Doorn PA. "Guillain-Barré syndrome: pathogenesis, diagnosis, treatment and prognosis." Nature reviews. Neurology 10, no. 8 (2014): 469-82. [title]: Guillain-Barré syndrome., ギラン・バレー症候群 【要約】 ギラン・バレー症候群とその臨床的変異型は、急速に進行し、重篤な神経障害を引き起こす可能性のある疾患群です。認識されず、または治療されなければ、著しい罹患率・死亡率につながる可能性があります。 最も一般的な症状としては、上昇性の四肢の脱力と麻痺があり、呼吸不全に進行する可能性があります。診断は臨床症状と検査によって行われます。 プラズマ交換や静脈内免疫グロブリンの投与など、いくつかの治療法が存在します。 多くの症例は後遺症を残さずに回復しますが、そうでない場合は、著しい持続的な衰弱が残る可能性があります。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25979580, [quote_source]: Ansar V and Valadi N. "Guillain-Barré syndrome." Primary care 42, no. 2 (2015): 189-93.
2025.02.10 -
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脳卒中の中でも、血管が詰まることで発症する脳梗塞。一命を取り留めても、麻痺やしびれ、言語障害といった後遺症が残る可能性があり、人生を大きく変えてしまうほどの影響を及ぼすケースも少なくありません。 脳梗塞の後遺症は、発症場所や範囲、治療開始までの時間によって症状の重篤度が大きく異なり、早期の治療開始が後遺症を最小限に抑える鍵となります。 この記事では、脳梗塞の後遺症の種類や症状、そして後遺症と共に生きるための治療法やリハビリテーション、日常生活の工夫、社会支援まで、幅広く解説します。ご自身やご家族が脳梗塞に直面した際に、少しでもお役に立てれば幸いです。 脳梗塞後遺症の種類と症状 脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の機能が損なわれる病気です。一命を取り留めたとしても、後遺症が残ってしまう可能性があります。後遺症の症状や程度は、脳梗塞が起こった場所や範囲、そして治療開始までの時間などによって大きく異なります。一刻も早い治療開始が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。 後遺症の種類や症状を正しく理解することは、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、その後のリハビリテーションや日常生活の工夫、社会資源の活用を考える上で非常に重要です。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 運動麻痺は、脳梗塞で最も多く見られる後遺症の一つです。脳梗塞によって運動機能を司る脳の領域が損傷すると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、手足の麻痺が生じます。 麻痺には、体の片側だけに症状が現れる「片麻痺」と、両側に現れる「対麻痺」があります。多くの場合、右脳に梗塞が起こると左半身に、左脳に梗塞が起こると右半身に麻痺が現れます。これは、脳の神経線維が交差しているためです。 麻痺の程度は、軽度であれば少し動きにくい、力が入りにくいといった症状ですが、重度になると全く動かせなくなってしまいます。また、麻痺が続くと、関節が硬くなって動かなくなる「関節拘縮」も起こりえます。 例えば、箸がうまく使えない、ボタンが留められない、歩行が困難になるといった日常生活の動作に支障をきたすだけでなく、寝返りが難しくなることで床ずれのリスクが高まったり、手足のむくみが生じやすくなるなど、二次的な合併症を引き起こす可能性も懸念されます。 脳梗塞後の痙縮に関する研究では、麻痺の重症度が高いほど、後遺症として痙縮(筋肉が異常に緊張した状態)が生じやすいことが報告されています。痙縮は、関節の痛みや運動制限を引き起こし、日常生活の質を低下させる一因となります。 麻痺の種類 症状 片麻痺 体の片側の麻痺(右半身もしくは左半身) 対麻痺 体の両側の麻痺 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 感覚障害(しびれ、痛み) 感覚障害も脳梗塞の代表的な後遺症です。皮膚の感覚を司る脳の領域が損傷を受けると、触覚、温度覚、痛覚などを感じにくくなったり、逆に過敏になったりします。 「しびれ」は、感覚が鈍くなる症状で、手足の先端などによく起こります。まるで手袋や靴下を履いているように感じたり、何も触っていないのに何かが触れているような感覚が生じることがあります。 また、損傷を受けた神経が過剰に反応することで、「痛み」を生じることもあります。痛みの程度や種類は人それぞれで、ピリピリとした痛み、ズキズキとした痛み、焼けるような痛みなど様々です。 これらの感覚障害は、日常生活においても様々な困難をもたらします。例えば、温度感覚が鈍くなると、やけどに気づきにくくなります。また、触覚が鈍いと、物を持つときに適切な力加減ができず、物を落としてしまったり、逆に握りすぎて物を壊してしまうこともあります。 言語障害(失語症) 脳梗塞によって言語中枢が損傷すると、言葉の理解や発話が難しくなる失語症が起こることがあります。失語症は、単に言葉が出ないだけでなく、言葉の理解にも影響を及ぼすことがあります。 失語症には、大きく分けて3つの種類があります。 表出性失語: 言葉を発することが難しくなる症状です。話したい言葉がなかなか出てこなかったり、間違った言葉を使ってしまったり、言葉がつっかえたりします。 受容性失語: 相手の言葉が理解できない症状です。相手が何を言っているのか理解できず、会話が成立しなくなります。 混合性失語: 表出性失語と受容性失語の両方の症状が現れるものです。 失語症はコミュニケーションを大きく阻害するため、社会生活や日常生活に大きな影響を与えます。 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断など、高度な精神活動を司る脳の機能に障害が起こることを指します。 記憶障害: 新しいことを覚えられなくなったり、過去の出来事を思い出せなくなったりします。 注意障害: 集中力が続かなかったり、気が散りやすくなったり、複数のことに同時に注意を払えなくなったりします。 その他にも、計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが難しくなる「実行機能障害」、体の片側を認識できなくなる「半側空間無視」、意図した動作ができなくなる「失行」、対象が認識できなくなる「失認」など、様々な症状があります。 嚥下障害 嚥下障害は、食べ物や飲み物をスムーズに飲み込めなくなる症状です。脳梗塞によって、飲み込むための筋肉や神経がうまく働かなくなると、食べ物が気管に入ってむせてしまったり、うまく飲み込めずに口の中に残ってしまったりします。 嚥下障害があると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を起こしやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は、命に関わる危険性もあるため、食事の際には細心の注意が必要です。 排尿障害・排便障害 脳梗塞によって、排尿や排便をコントロールする神経が損傷すると、排尿障害や排便障害が起こります。尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、我慢できずに失禁してしまうこともあります。また、尿や便が出にくくなることもあります。これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があります。 これらの後遺症は、単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。脳梗塞は、後遺症の種類も多岐にわたり、その症状の程度も人それぞれです。 脳梗塞後遺症の治療とリハビリテーション 脳梗塞の後遺症は、患者さん一人ひとりの生活に大きな影を落とす可能性があります。後遺症の種類や重症度は、脳梗塞が発生した場所や範囲、そして迅速な治療開始の可否によって大きく異なります。 後遺症による様々な困難を少しでも軽減し、より良い生活を送るためには、適切な治療と地道なリハビリテーションが欠かせません。 薬物療法 薬物療法は、脳梗塞の再発予防と後遺症の症状改善を目的として行います。脳梗塞は再発率の高い病気であるため、再発予防は特に重要です。 用いられる薬剤の種類や服用方法は、患者さんの状態や病歴、他の病気の有無などを考慮して決定します。主な薬剤として、血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)、血小板がくっつくのを防ぐ薬(抗血小板剤)、血液が固まるのを防ぐ薬(抗凝固剤)などがあります。 血栓溶解剤は、発症早期に投与することで閉塞した血管を再開通させる効果が期待できます。しかし、投与可能な時間は限られており、全ての患者さんに適用できるわけではありません。 抗血小板剤と抗凝固剤は、血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低下させる薬です。これらの薬剤は、医師の指示に従って継続的に服用することが重要です。自己判断で服薬を中断すると、再発のリスクが高まる可能性があります。服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) リハビリテーションは、脳梗塞後遺症による運動麻痺、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などの改善を目的として行います。患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを作成し、日常生活の自立を目指します。 理学療法では、体の動きや機能の回復を目指します。筋力トレーニングや関節可動域訓練、歩行訓練などを通して、日常生活に必要な動作の改善を図ります。 作業療法は、日常生活動作(食事、着替え、トイレ、入浴など)の改善を目的としています。患者さんの生活環境や生活スタイルを考慮し、自宅での生活をスムーズに行えるように訓練を行います。 言語療法は、脳梗塞によって損なわれた言語機能の回復を目指します。発声練習や言葉の理解・表現の訓練などを通して、コミュニケーション能力の向上を図ります。 リハビリテーションの効果を高めるには、早期開始と継続が重要です。根気強く取り組むことで、症状の改善や日常生活の自立に繋がる可能性が高まります。 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 脳梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の改善と服薬管理が重要です。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は脳梗塞の危険因子となるため、適切な管理が必要です。 バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけましょう。食生活においては、塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取を避け、野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。適度な運動は、血圧や血糖値の調整に役立ちます。また、禁煙は血管の健康維持に不可欠です。 医師から処方された薬は、指示通りに正しく服用しましょう。自己判断で服薬を中断することは危険です。 最新の治療法 近年、脳梗塞後遺症に対する新たな治療法として、再生医療が注目されています。 本来、人には、損傷したところを修復させる力があります。それを担っているのが、幹細胞です。この幹細胞を利用して、脳梗塞の後遺症の改善が期待できるのです。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に特化した再生医療を行なっています。 詳しくはこちらをご覧ください↓ 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Gurková E, Štureková L, Mandysová P and Šaňák D. "Factors affecting the quality of life after ischemic stroke in young adults: a scoping review." Health and quality of life outcomes 21, no. 1 (2023): 4. Wissel J, Verrier M, Simpson DM, Charles D, Guinto P, Papapetropoulos S and Sunnerhagen KS. "Post-stroke spasticity: predictors of early development and considerations for therapeutic intervention." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 7, no. 1 (2015): 60-7. Andalib S, Divani AA, Ayata C, Baig S, Arsava EM, Topcuoglu MA, Cáceres EL, Parikh V, Desai MJ, Majid A, Girolami S and Di Napoli M. "Vagus Nerve Stimulation in Ischemic Stroke." Current neurology and neuroscience reports 23, no. 12 (2023): 947-962. Wang L, Ma L, Ren C, Zhao W, Ji X, Liu Z and Li S. "Stroke-heart syndrome: current progress and future outlook." Journal of neurology 271, no. 8 (2024): 4813-4825. Zhao Y, Zhang X, Chen X and Wei Y. "Neuronal injuries in cerebral infarction and ischemic stroke: From mechanisms to treatment (Review)." International journal of molecular medicine 49, no. 2 (2022): .
2025.02.10 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
高次脳機能障害の症状の一つに、怒りやすくなることが挙げられます。「最近怒りやすくなった」「感情の起伏が激しくて対応に困っている」など、高次脳機能障害患者を側で支える家族のなかには、不安な気持ちを抱えている方もいるでしょう。 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人に怒りで反応してしまうと、かえって逆効果になるため注意が必要です。 お互いにストレスを抱え込まないためには、どのような場面で怒りやすいのかを理解した上での対応が求められます。 今回は、高次脳機能障害で怒りやすい人への対応について詳しく解説します。高次脳機能障害に対する基本対応から、怒りやすい人の症状別に対応例をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は多い 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は少なくありません。高次脳機能障害にはさまざまな症状がありますが、そのうちの一つが社会的行動障害です。 社会的行動障害とは、状況に応じた感情や言動のコントロールが難しくなる障害です。 厚生労働省の調査によると、社会的行動障害の具体的な症状として最も多いのが「感情コントロールの障害・易怒性」で、対象者の85%に現れているという結果でした。(文献1) なお、本人が社会的行動障害に対する家族の不安や負担を理解していないケースも多く、対応の難しさを感じる方も少なくありません。 まずは怒りやすさが高次脳機能障害による影響であると理解し、対応を工夫しましょう。 ▼ 高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 【症状別】高次脳機能障害で怒りやすい人への対応例 怒りやすいと一言でいっても、怒りの原因や具体的な症状はさまざまです。 以下で、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人への対応例を症状別に解説します。 怒りが爆発する場合 高次脳機能障害の影響によって、患者が怒りを爆発させることがあります。高次脳機能障害患者の怒りが爆発した場面では、以下のポイントを押さえて対応しましょう。 イライラしてきたと感じたら一時的に本人を一人にさせる その場で本人の行動に介入しない 本人の怒りにさらされる疲労やストレスを抱え込まない どのような場面で怒りが爆発したかを記録する 爆発した怒りにさらされることで、周囲は疲労や負担を感じます。怒りやすい人の対応においては、特定の人にこうしたストレスを集中させないための工夫も必要です。 感情のコントロールが難しい場合 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、感情のコントロールが難しいためです。感情のコントロールが難しい人に対しては、以下のような対応を心がけましょう。 本人をイライラの原因から離す 気分を切り替えるためのきっかけを決めておく 感情を表に出しすぎるデメリットを冷静に伝える どのような態度が望ましいか、落ち着いているときに一緒に考える 感情のコントロールが難しくて怒りやすい場合は、本人の気持ちが落ち着いているタイミングで一緒に対応の仕方を考えておくことがポイントです。 周囲の刺激にすぐ反応してしまう場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、周囲の刺激にすぐ反応してしまうケースがあります。周囲からの刺激を減らすためには、具体的に以下のような対応が効果的です。 行動する前に一呼吸を置くよう伝える イライラしたら深呼吸をするよう伝える 聴覚過敏の場合は耳栓やノイズキャンセラーを使用する トラブルの原因になる場所や人との接点を減らす また、本人が集中しているときは、できるだけ刺激しないよう無理のない範囲で配慮しましょう。 欲求を抑えられない場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、欲求を抑えられなくてイライラするケースもあります。この場合、単に禁止するだけではなく、ルール作りやサポートを重視した対応が効果的です。 本人と相談してルールを決める 特定の行為がなぜ問題となるのかを丁寧に説明する 行動を制限するだけではなく対策もあわせて伝える 視覚的にわかりやすいようメモや写真に残す 本人が制限されていると感じるのではなく、自己管理のための協力だと納得できるよう支援することが大切です。 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の4つの基本対応 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は、本人への接し方だけではなく、生活環境を整えたり、支援者間で情報を共有したりすることも大切です。 以下で、高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の基本対応について解説します。 ▼ 高次脳機能障害への対応の仕方について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 1.生活環境を整える 高次脳機能障害患者にとって、生活環境の乱れや不規則な生活リズムは、怒りを引き起こす要因になりかねません。 まずは、どのような状況で怒りやすいのかを観察し、以下のポイントを押さえて少しずつ生活環境を整えましょう。 毎日の生活に規則性を持たせる 静かな環境を確保する リラックスできる場所をつくる など 生活環境を整えて落ち着ける空間をつくることで、本人の心理的な安定を図ります。 2.第三者に相談する 高次脳機能障害患者が怒りやすいと感じるようになったら、早めに第三者に相談しましょう。症状の改善のためには、医師や作業療法士などと連携して、適切な治療とリハビリテーションを受けることが大切です。 とくに怒りのコントロールが難しい場合には、心理的なサポートも不可欠です。心理士やカウンセラーなどは、本人が感じている怒りや不安の根本的な原因を探る手助けをしてくれます。 また、周囲がどのように接したら良いか、適切な対処法についてアドバイスしてもらうことも可能です。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状がなかなか改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 3.障害福祉・介護保険サービスを利用する 高次脳機能障害と診断されたら、症状に応じて、障害福祉サービスや介護保険サービスの利用を検討しましょう。公的制度の利用は、家族の負担を軽減できるだけではなく、本人がより安定した生活を送るための基盤になります。 サービス 対象者 主なサービス内容 障害福祉 サービス 自治体の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方 居宅介護(ホームヘルプ) 同行援護 行動援護 短期入所(ショートステイ) 施設入所支援相談支援 自立訓練 就労継続支援 自立生活援助 など 介護保険 サービス 要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方 ただし、厚生労働省が指定する16種の特定疾病(高次脳機能障害を含む)に該当する場合は、40歳以上65歳未満の方 訪問介護 訪問看護 訪問リハビリ 定期巡回・随時対応型訪問看護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所(ショートステイ) 福祉用具貸与 など 公的制度や各種サービスを利用する際は、自治体の障害福祉窓口や地域包括支援センターに相談してください。 4.支援者間で情報を共有する 高次脳機能障害患者への対応においては、支援者間で情報を共有しておくことが大切です。家族のほか、医師や看護師、理学療法士などが協力して一貫した対応が可能になると、本人の混乱や怒りのきっかけを防ぐことにつながります。 人間関係における心理的な安全は、怒りやすい症状を和らげるために不可欠です。そのため、本人に直接「周囲が協力している」と伝えることも重要です。 支援者間のスムーズな連携が、患者の「自分は周りに支えられている」という気持ちを育むことにつながります。 高次脳機能障害の治療法 ここでは、高次脳機能障害の主な治療法について解説します。 薬物療法 リハビリテーション 再生医療 以下で、それぞれの治療法について解説するので、医師と相談しながら、症状に合わせて適切なアプローチを図ってください。 ▼ 以下の記事では、高次脳機能障害の回復事例を紹介しています。 高次脳機能障害は回復する?事例やリハビリの重要性を現役医師が解説 薬物療法 薬物療法の主な目的は、症状の軽減と生活の質の向上です。 脳の神経伝達物質のバランスを整える作用がある薬のほか、抗精神病薬や認知機能を改善するための薬が用いられます。 たとえば、抗精神病薬は、イライラや興奮を落ち着ける効果が期待されます。薬物療法は、感情の起伏を穏やかにし、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人の精神状態を安定させるために効果的です。 ただし、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としているため、根本的な治療法ではない点を理解しておく必要があります。高次脳機能障害の症状を改善するためには、薬物療法だけではなく、心理的なサポートを含めて多角的にアプローチしましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは、高次脳機能障害の回復において重要な役割を果たします。高次脳機能障害のリハビリテーションには、主に以下のような内容が含まれます。 理学療法 作業療法 言語療法 認知行動療法 なかでも、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人に対しては、認知行動療法が効果的です。認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方など、認知に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一種です。 認知行動療法を取り入れることで、怒りやストレスなどの感情をコントロールしやすくなる効果が期待できます。 ▼ 高次脳機能障害のリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 高次脳機能障害のリハビリ効果とは?方法や内容をあわせて紹介 再生医療 再生医療は、高次脳機能障害の治療効果が見込める点で最近注目を集めている治療法です。自然治癒力を最大限に引き出すために用いられる医療技術で、幹細胞や血小板の投与により症状改善の一助となる場合があります。 高次脳機能障害は進行性の障害ではないものの、薬物療法やリハビリテーションで思うような改善が見られないケースも珍しくありません。 近年は再生医療の研究が進み、幹細胞治療によって高次脳機能障害の原因である脳卒中の後遺症が回復した事例も数多く報告されています。 リペアセルクリニックでは、脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。メール相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、再生医療による治療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は第三者に相談して対応しよう 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、社会的行動障害の一種です。脳の損傷によって感情のコントロールが難しくなり、怒りやすくなるケースも珍しくありません。 高次脳機能患者が以前と比べて怒りやすくなったと感じたら、早めに第三者に相談しましょう。 怒りにさらされることは、本人だけではなく、周囲にとって心理的負担が大きいものです。第三者への相談や公的制度の活用を通して、周囲の負担を減らせるほか、本人が生活しやすい環境づくりも可能です。 高次脳機能障害は、適切なアプローチによって症状の改善を目指すことが可能です。怒りやすい症状への対応に悩んでいる場合は、早めに専門家に相談してサポートを受けましょう。 参考文献一覧 (文献1) 厚生労働省「社会的行動障害への対応と支援」 https://www.rehab.go.jp/application/files/9915/7559/7229/201912_.pdf
2025.02.07 -
- 頭部
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高次脳機能障害で悩んでいるうちに、「本当に症状が改善するのか」「回復事例はあるのか」などと疑問を持つ方もいるでしょう。 結論からいうと、高次脳機能障害による症状は、適切な治療やリハビリテーションによって回復が見込めます。 今回は、高次脳機能障害の回復事例を紹介します。 回復過程におけるリハビリテーションの重要性や最近注目を集めている再生医療についても解説するので、高次脳機能障害の症状でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害の症状は治療次第で回復する 高次脳機能障害は、適切な治療とリハビリテーションによって、症状の改善が見込まれる場合があります。 ただし、どれほどの回復が見込まれるかは、損傷の程度や治療のタイミングなどによって個人差があります。 また、高次脳機能障害の治療は、早ければ早いほど効果が期待できます。脳の機能を少しでも回復させられるよう、医師の診断と治療計画に基づき、できるだけ早くリハビリテーションに取り組みましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状がなかなか回復せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼ 高次脳機能障害の発症の原因や対応方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ 高次脳機能障害(脳卒中による後遺症)の回復事例 高次脳機能障害の原因の多くは、脳卒中による後遺症です。 高次脳機能障害の基本治療である薬物療法とリハビリテーションに加えて、近年は再生医療による治療効果が注目を集めています。 リペアセルクリニックでは、高次脳機能障害の原因である脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。 以下で、当院における高次脳機能障害の回復事例を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。 事例1.幹細胞治療によってふらつきやめまいが改善 70代の男性は、脳梗塞発症後2カ月のときに当院を受診しました。脳梗塞の後遺症として、主に以下のような症状に悩んでいました。 左口周り・左手にしびれがある 左側の視野がみえにくい 歩行時にふらつく 夜間頻尿がひどい 再生医療を選択したきっかけは、「できるだけ後遺症を残したくない」と考えたことです。再生医療とは、下腹部から採取した脂肪細胞の幹細胞を分離・培養し、ホーミング効果を期待して静脈から点滴する治療法です。 70代の男性は、計3回の点滴で1億個の細胞を投与しました。初回の投与後1週間で、左口周りと左手のしびれが軽くなり、夜間頻尿もなくなりました。 さらに、4カ月後には歩行時のふらつきやめまいがなくなり、小走りができるまで回復した事例です。 ▼ 急性期脳梗塞に対する幹細胞治療の症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 事例2.幹細胞治療によってスムーズに発語できるまで回復 60代の男性は、脳梗塞発症後2週間のときに当院を受診しました。 心臓や頸動脈にできた血栓が脳の血管に詰まって脳梗塞を発症し、抗凝固薬の内服も開始しています。脳梗塞発症直後は、主に以下の症状に悩んでいました。 不整脈がある 呂律が回らない 発語がスムーズにできない 左手がしびれて力が入らない 60代の男性は、過去に右変性股関節症に対する幹細胞治療を受け、良好な効果を得られたことをきっかけに再生医療を選択しました。 1億個の細胞を3回に分けて投与する計画を立て、まずは幹細胞を採取・培養します。1回目の投与から数週間後には、左手のしびれが完全になくなり、不整脈も収まりました。 また、1回目の投与から1カ月後の診察では、呂律の回りにくさはやや残っているものの、考えていることをスムーズに発語ができるようになっていました。 ▼ 急性期脳梗塞の後遺症が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 事例3.幹細胞治療によって身体機能の回復を実感 70代の男性は、3年前の脳梗塞によって以下のような後遺症に悩まされていました。 呂律が回らない 食事がつっかえる 歩行時にふらつく めまいがする 脳梗塞の発症から3年後も週4回のリハビリテーションに取り組んでいるものの、日に日に悪化する症状に不安を抱えていました。 近年は研究が進み、幹細胞を使った再生医療によって脳卒中の後遺症が回復した例が数多く報告されています。 70代の男性は、3回に分けて計3億個の細胞を点滴投与しました。1回目の投与後3カ月で呂律が回るようになり、食事がつっかえる感覚も軽減しました。 また、体幹が安定して歩行時のふらつきが改善され、周囲からも歩くのが早くなったと言われているそうです。 ▼ 小脳出血後のふらつきや呂律が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 高次脳機能障害の主な原因 高次脳機能障害は、さまざまな原因によって引き起こされます。 とくに脳外傷や脳卒中が主な原因として挙げられますが、その他にも脳炎、脳腫瘍、低酸素脳症などが原因となることもあります。 以下では、主な原因について詳しく解説します。 脳外傷(頭部外傷) 脳外傷は、高次脳機能障害を引き起こす原因の一つです。 交通事故やスポーツ事故などで頭部に強い衝撃を受けると、脳の内部が損傷して出血を起こし、結果として高次脳機能障害の症状が現れる場合があります。 脳には、認知機能をつかさどる前頭葉や記憶をつかさどる海馬などがあるため、脳の損傷によって判断力や注意力の低下、記憶障害などの症状を引き起こします。 脳卒中(脳血管障害) 脳卒中は、脳の血流障害によって脳細胞が損傷を受ける病気です。脳卒中には、脳梗塞(血管の詰まりによるもの)と脳出血(血管の破れによるもの)の2つがあります。 いずれも十分な血流が脳細胞に行き渡らなくなることで、脳細胞の働きが低下し、高次脳機能障害の症状を引き起こします。 高次脳機能障害の回復におけるリハビリテーションの重要性 高次脳機能障害の回復過程では、リハビリテーションが非常に重要です。 以下で、リハビリテーションの目的や進め方、具体的な方法を解説します。 なお、高次脳機能障害の治療におけるリハビリテーションは、必ず医療機関と相談の上、進めるようにしてください。 リハビリテーションの目的 高次脳機能障害の治療におけるリハビリテーションの目的は、患者が可能な限り自立した生活を送れるよう支援することです。 具体的には、自立した生活を送るために必要な認知機能の向上と精神の健康を目指します。 認知機能の向上 リハビリテーションによって、記憶力、注意力、問題解決能力などの認知機能を向上を目指す 精神の健康 リハビリテーションによって自信を回復し、抑うつや不安を軽減する また、リハビリテーションを通じて人とのコミュニケーションを増やすことも、社会参加につながる側面が期待できます。 リハビリテーションの進め方と期間 高次脳機能障害のリハビリテーションは、以下の流れで、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが協力して進めることが一般的です。 1.初期評価 2.目標設定 3.治療計画の立案 4.治療計画の実施 5.再評価とデータの収集・解析 リハビリテーションの期間は個人差があるものの、数カ月から1年ほどかかるケースが多いとされています。 なお、高度脳機能障害の治療においては、リハビリテーションの早期開始と継続的な取り組みが回復の可能性を高めます。 リハビリテーションの方法 高次脳機能障害の治療においては、以下の内容を含めたリハビリテーションが中心です。 内容 目的 理学療法(運動療法) 運動機能の向上を目的に、筋力トレーニングや体幹を鍛えるための訓練を行う 作業療法 日常生活で必要となる作業や動作ができるよう、着替えや掃除などの実践的な訓練を行う 言語療法 発語やコミュニケーション能力の改善を目的に、言葉の発音や理解力を高める訓練を行う なお、リハビリテーションの内容は、個別の治療計画に基づいて決まります。 高次脳機能障害のリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 自宅でリハビリテーションを取り入れるポイント 高次脳機能障害の回復を促進するためには、自宅で工夫してリハビリテーションを取り入れることも大切です。自宅でリハビリテーションを取り入れるポイントは、以下の通りです。 生活リズムを整える: 朝起きる時間や食事のタイミングを決め、規則正しい生活を心がける 座って頭を使う時間をつくる:クロスワードパズルや簡単な計算問題、読書などを行う 軽く体を動かす時間をつくる: 無理のない範囲で軽いストレッチやラジオ体操などを行う 無理のない範囲で家事をする:郵便物の整理や洗濯物をたたむなど、無理のない範囲で家事をする 規則正しい生活と日中活動は、社会活動につながるための重要なポイントです。 また、洗濯や掃除などのそれぞれの家事は、注意力や記憶力、遂行機能など、多様な高次脳機能を必要とします。 自宅で過ごすときは、昼寝をしすぎて昼夜逆転しないように注意しながら、日中の過ごし方を工夫しましょう。 高次脳機能障害の回復過程における再生医療の可能性 再生医療や幹細胞治療は、高次脳機能障害の治療法として近年注目を集めています。 再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術です。 薬物療法やリハビリテーションに加えて再生医療を取り入れることで、高次脳機能障害の症状改善の一助となる場合があります。 リペアセルクリニックでは、高次脳機能障害の原因である脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。 当院はトップクラスの細胞培養技術を誇る施設と提携しているため、米粒2〜3粒程度の脂肪を採取するだけで1億個以上の細胞を培養できることが特徴です。採取する細胞が少なくて済むため、身体への負担を抑えられるメリットがあります。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・高次脳機能障害は回復事例を参考に早めに治療に取り組もう 高次脳機能障害は、適切な治療とリハビリテーションによって、症状の回復が期待できます。 ただし、回復には個人差があり、治療をしたからといって必ずしも症状が改善するわけではありません。 また、高次脳機能障害による症状の回復には、早期の治療が不可欠です。脳の機能を少しでも回復させるためには、医療機関と連携し、適切な治療を受ける必要があります。 加えて、薬物療法やリハビリテーションで効果が得られない場合には、再生医療もご検討ください。
2025.02.07 -
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高次脳機能障害患者への対応において、ストレスを抱える家族は少なくありません。高次脳機能障害では、感情のコントロールや日常生活の維持が難しくなる場合があります。そのため、高次脳機能障害患者を側で支える家族の負担は大きくなりがちです。 今回は、高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスについて解説します。ストレスの対処法や利用できる支援制度もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害患者の家族が抱える主なストレス 高次脳機能障害患者の家族は、日常生活や求められる役割の変化などを理由に、ストレスを感じやすくなります。 以下で、高次脳機能障害患者の家族が抱える主なストレスについて詳しく解説します。 ▼ 高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 日常生活に対するストレス 高次脳機能障害患者がいる家庭では、日常生活においてさまざまな変化が生じます。たとえば、患者が自立して身の回りのことをできなくなると、家族は常にサポートにまわる必要があります。また、患者が社会生活を維持できなくなるにつれて、家族も外出する機会が限られるでしょう。 高次脳機能障害による日常生活の変化が大きいと、家族は社会からの孤立感を感じるようになり、次第にストレスが増加します。 求められる役割に対するストレス 高次脳機能障害患者の家族は、本人に代わってさまざまな手続きを担います。通院スケジュールの管理や医療費の支払いのほか、各種制度に関する手続きなど、慣れないうちはストレスを感じる場面も多いでしょう。 また、高次脳機能障害患者が高齢の場合や症状が重い場合には、介護も必要です。とくに、介護者にあたる家族が仕事や子育てで忙しいケースでは、求められる役割の多さにストレスを感じやすくなります。 当事者に対するストレス 高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスのなかには、当事者に対する感情もあります。高次脳機能障害の症状の一つに、感情や行動のコントロールが難しくなることが挙げられます。 そのため、患者が感情的になって過剰に反応したり、急に暴力的な行動を取ったりするケースも珍しくありません。 患者の不安定な言動は、家族が精神的な負担を感じるきっかけになります。日常生活において、患者の言動に振り回されていると、気づかないうちにストレスが蓄積されてしまうため注意が必要です。 今度の不安に対するストレス 高次脳機能障害患者の家族に多いのが、今後の不安に対するストレスです。 高次脳機能障害は、治療やリハビリテーションによって症状の改善が期待できます。しかし、必ずしもすべての方に治療の効果があるとは限りません。 そのため、多くの家族が、将来自分が介護できなくなったときのことを考えて不安を感じてしまいます。 高次脳機能障害は進行性の障害ではないものの、根本的な治療が見込めないことに不安を覚える方も少なくありません。障害に対する不安は、患者だけではなく、家族にとって大きなストレスになります。 高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスの対処法 高次脳機能障害患者の家族は、日常生活においてさまざまなストレスを抱えています。ただし、家族の精神的・身体的な負担は、いずれ介護疲れにつながるため注意が必要です。 以下で、高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスの対処法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 症状にあわせて対応の仕方を工夫する 高次脳機能患者の家族が抱えるストレスを減らすためには、症状にあわせて対応の仕方を工夫する必要があります。高次脳機能障害は症状が多岐にわたるほか、どのような症状がどの程度現れるかも個人差が大きい障害です。 症状別の対応のポイントは、以下の通りです。 症状 対応のポイント 注意障害 こまめに休息を取るよう促す 周囲の刺激を減らして静かな環境を整える 記憶障害 メモ帳やカレンダーを活用する 習慣化しやすい環境をつくる 遂行機能障害 時間に余裕を持って計画する 作業を小さなステップに細分化する 社会的行動障害 本人と一緒に行動ルールを決める 行動する前に一呼吸を置くよう促す 失語症 ゆっくりと簡潔に話す 時間の余裕を持って話を聞く はい・いいえで答えられる質問をする 症状にあわせて対応の仕方を工夫すると、患者だけではなく、家族のストレス軽減にもつながります。 ▼ 高次脳機能障害への対応の仕方について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 第三者の協力を得る 高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスを軽減するためには、専門家や支援機関からの協力が重要です。 患者の家族だけですべてを背負い込むと、精神的にも身体的にも負担が大きくなり、介護を継続することが困難になる場合があります。 高次脳機能障害の治療では、長期にわたって治療やリハビリテーションに取り組む必要があります。そのため、医療機関と連携しながら、適切なサポートを受けることが大切です。定期的に症状の進行や回復をモニタリングしてもらうと、家族の不安を軽減できます。 なお、介護の負担が大きいときは、各自治体に設置されている地域包括支援センターや福祉窓口への相談がおすすめです。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 家族会に参加する 家族会への参加も、高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスの軽減につながります。 家族会とは、高次脳機能障害患者の家族が集まって悩みを共有したり、情報交換したりできる場です。 家族会は、自治体や国立障害者リハビリテーションセンターなどの支援を受けて各地域で活動しており、高次脳機能障害患者の家族であれば参加できます。 高次脳機能障害患者の家族同士で、日常生活におけるストレスや悩みなどを共有できると、孤独感の軽減につながります。また、交流を通して、対応の仕方を工夫するためのヒントも得られるでしょう。 なかには、専門家による相談会や勉強会を開催している家族会も少なくありません。勉強会は、介護の方法や支援制度の活用法などについて理解を深められる貴重な機会になるため、参加を検討しましょう。 高次脳機能障害患者と家族が利用できる支援制度 高次脳機能障害患者と家族が利用できるサービスとして、以下のような支援制度があります。 障害福祉サービス 介護保険サービス 就労支援サービス 以下で、それぞれの支援制度について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 障害福祉サービス 高次脳機能障害患者が障害者手帳を取得すると、さまざまな障害福祉支援を受けられます。障害者手帳の申請には、医師の診断書が必要です。 代表的な障害福祉サービスは、以下の通りです。 居宅介護(ホームヘルプ) 居宅訪問による介護を行う 自立生活援助 定期的な訪問や随時の対応による日常生活支援を行う 共同生活援助(グループホーム) 施設で共同生活を送る障がい者を対象に日常生活支援を行う なお、障害福祉サービスの内容は自治体によって異なります。障害福祉サービスの手続きと利用に関しては、自治体の障害福祉担当課に相談してみてください。(文献1) 介護保険サービス 介護保険制度に基づく要介護認定を受けると、高次脳機能障害患者も介護保険サービスを利用できます。 介護保険制度は、65歳以上の方と40歳以上で脳血管疾患による高次脳機能障害と診断された方が、要支援・介護状態になった場合に利用できる制度です。 代表的な介護保険サービスは、以下の通りです。(文献2) 施設サービス 老人ホームや介護施設に入所する人を対象に介護を行う 訪問型サービス 居宅訪問による介護を行う 通所型サービス 老人ホームや介護施設に通所する人を対象に介護や運動機能訓練、日常生活支援を行う なお、各サービスにはそれぞれ利用条件があります。介護保険サービスを利用する際は、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談しましょう。 就労支援サービス 高次脳機能障害患者の方は、就労支援の各種制度を利用できます。就労支援サービスを利用するためには、全国に設置されている公共職業安定所(ハローワーク)や自治体の障害福祉担当課へ問い合わせしてみてください。 高次脳機能障害患者が利用できる主な就労支援は、以下の通りです。(文献3) 公共職業安定所(ハローワーク) 障がい者専用の職業窓口を設置し、職業紹介を行う 障害者職業能力開発校 障がい者向けに職業訓練を行う 障害者職業センター 就業や復職に向けた職場順応のための支援を行う 症状に合わせて適切な支援を受けられるよう、まずは相談するところから始めましょう。 高次脳機能障害に対する再生医療の可能性 高次脳機能障害の治療法として、最近では再生医療や幹細胞治療が注目を集めています。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術で、幹細胞や血小板の投与によって症状改善を目指す治療法の一つです。 再生医療は、従来の薬物療法やリハビリテーションといった治療法で、十分な改善が得られない場合に選択肢となる治療法です。 再生医療を取り入れることで、高次脳機能障害の症状改善の一助となる場合があります。 リペアセルクリニックでは、高次脳機能障害の原因の一つである脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。 なお、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・高次脳機能障害患者の家族は公的制度を利用してストレスを軽減しよう 高次脳機能障害患者の家族は、日常生活においてさまざまなストレスを抱えています。高次脳機能障害は長期にわたって付き合っていかなければならない障害です。 そのため、ストレスを溜め込みすぎると、当事者と家族が共倒れしてしまう可能性があります。 そのため、家族だけで悩みを抱え込まず、障害福祉サービスや介護保険などの公的制度を活用しましょう。また、医療機関と連携しながら、適切なサポートを受けることも重要です。 支援を上手に利用することで、家族の負担を軽減し、高次脳機能障害と向き合う日々を前向きに過ごせる環境を整えましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「障害福祉サービスについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html (文献2) 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf (文献3) 厚生労働省「ハローワーク インターネットサービス 障害のある皆様へ」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/sy_guide.html
2025.02.07 -
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高次脳機能障害になった場合の治療法には、リハビリがあります。しかし、なかには「リハビリにより症状が回復するのか」「どのような内容なのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。 高次脳機能障害は適切なリハビリにより、症状の回復が期待できます。 今回は、高次脳機能障害のリハビリ効果を解説します。リハビリの流れや内容、世界で注目されている再生医療についても紹介するので、高次脳機能障害の症状でお悩みの方は参考にしてください。 高次脳機能障害のリハビリによる効果 高次脳機能障害はリハビリにより、症状の改善や進行の遅延が見込めます。 「高次脳機能障害のリハビリテーション」によると、リハビリの実施により家事手伝い・何もしていない人の割合が34.2%から20.7%に減少した結果が明らかになりました。 さらに、社会復帰した人は30.6%から43.7%に増加した結果も報告されています。(文献1) これらの結果から、リハビリによって高次脳機能障害の症状が改善し、社会復帰につながる可能性があることがわかります。 そのため、医師や理学療法士の方と相談しながら、個々の状態に合わせた継続的なリハビリに取り組むことが推奨されます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状やリハビリ方法に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。 ▼高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 高次脳機能障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の症状回復には、それぞれの症状や状態に合ったリハビリが重要です。ここでは、リハビリをする上で押さえておきたいポイントを紹介します。 リハビリの流れ リハビリ期間 以下で詳しく解説するので、高次脳機能障害のリハビリ方法が知りたい方は参考にしてください。 リハビリの流れ 高次脳機能障害のリハビリでは治療だけでなく、定めた目標到達へ向けて訓練を進めていきます。医学的リハビリの流れは、以下の通りです。 1.リハビリ計画を立てる 高度機能障害に関する診断や評価結果に基づいたリハビリ計画を立てる 2.具体的な目標を設定する 当事者がイメージしやすく、かつ短期間で実現可能な目標を決める 3.リハビリを実施する リハビリ計画と目標設定をもとにリハビリを開始。訓練は段階的に進める 4.結果を判定し、目標の修正 リハビリの評価を定期的に繰り返し、プログラムの妥当性や体勢を見直す 高次脳機能障害のリハビリは漠然と進めていくのではなく、定期的に評価を繰り返して最終的な目標に到達するよう計画を立てていく流れとなります。 ▼高次脳機能障害への対応について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 リハビリ期間 高次脳機能障害のリハビリ期間は、6カ月~1年ほどです。はじめの6カ月間は、症状回復を目的に医学的リハビリを受けます。 6カ月目以降は、必要に応じて生活訓練や機能訓練を実施するのが一般的な流れです。「高次脳機能障害者支援の手引き」によると、リハビリを受けた74%が6カ月、97%が1年でリハビリの成果が得られています。 高次脳機能障害の場合、リハビリ期限となる180日を超えて訓練を受けられるため、訓練期間は6カ月〜1年が目安です。(文献2) 高次脳機能障害のリハビリ内容 高次脳機能障害のリハビリ内容は幅広く、個々の症状によっても異なります。主なリハビリ内容は、以下の7つです。 環境調整 要素的訓練 代償訓練 行動変容療法 認知行動療法 社会技能訓練 調理行動 各リハビリ内容を解説するので、参考にしてください。 環境調整 高次脳機能障害のリハビリの際は、治療環境を整える必要があります。環境調整では、環境が要因となる不成功を減らせるため、当事者に余分なエネルギーをかけず済みます。 環境調整における症状別の対策は、以下の通りです。 症状例 対策 注意障害 気が散りやすい環境とならないよう配慮する 左半側空間無視 ベッドの左側から降りられないよう壁につける 失算 時計をアナログ時計にする 視空間失認 階段に手すりをつける また、症状によって人的環境を整えるのもポイントです。例えば、注意障害の場合は集中力が続かないため、複数の相手と話すのを苦手とします。リハビリでは、複数人ではなく1対1で会話するよう心がけましょう。(文献3)(文献4) 要素的訓練 要素的訓練は注意障害や記憶障害など、症状の改善を目的とする訓練です。高次脳機能障害における症状の回復では、症状別に作業を実践する方法が再構築に寄与すると考えられています。 例えば、相手の話を理解できない失語症の場合は、実際に何かを見せて答えてもらいます。集中力が続かない注意障害であれば、問題集を解いてもらうのが要素的訓練として効果的です。 なお、要素的訓練を実践する際は当事者の意識や周囲の環境、治療方法の適切さが目標達成のポイントとなります。(文献3) 代償訓練 代償訓練とは、症状に対する対処法を身につけるリハビリです。対処法を身につけると、障害を自身でカバーしながら仕事や生活ができるようになります。 例えば、注意障害には以下の対処法があります。 集中が維持できないときに適宜休憩を挟んでもらう 作業時間を長く確保する 工程表を提示する 代償訓練は高次脳機能障害で発症した症状を上手く対処し、社会生活や日常生活で支障をきたさないようにするためのリハビリです。 行動変容療法 行動変容療法は、オペラント条件付け理論に基づいたリハビリです。オペラント条件付け理論とは、行動が報酬を得られる道具と認識させる学習法を指します。 例えば、突然怒り出す行動が減少するよう、当事者が自分の感情を抑えた場合に褒めたり、やりがいを感じさせたりします。当事者が褒められた喜びから、自分の感情を抑えようとする過程をつくるのが行動変容療法です。 突然怒り出した場合は、無視をして自発的に行動するよう促します。すなわち、行動変容療法は褒められる機会を増やし、徐々に怒り出す頻度を減らしていくリハビリ内容です。 認知行動療法 認知行動療法とは物事の見方や考え方、行動を変えて、心の状態の改善を図るリハビリです。高次脳機能障害における怒りやすい・うつなどの症状は、自分でコントロールできない感情に悩まされている場合に起こります。 認知行動療法では、障害や環境、周囲の対応などに対する否定的かつ誤った解釈を修正していきます。診察するときは、当事者の感情を否定せず受け入れながら現状に適応できるよう行動を促すのです。 認知行動療法では感情的に怒る前に一呼吸置いて冷静になれるよう訓練していくため、トラブル回避につながります。 社会技能訓練 社会技能訓練は、高次脳機能障害の方が社会に復帰できるようにするリハビリです。主なリハビリ内容は、以下の通りです。 主な支援 リハビリ内容 就労支援 職業訓練の場となるハローワークや障がい者職業総合センターなどの就労支援機関と連携して、復職の可能性を検討する 万が一、復職が不可と判断された場合は、リハビリで職業能力を高めていく 自動車運転支援 自動車運転に際し、視野欠損や半側空間無視、運動操作能力の有無など運動能力評価や診断、指導を実施する また、グループの中で自分の考えや気持ち、相手に対する要求など社会で人と関わりながら生きていくためのスキルを身につける訓練も、社会技能訓練では実施します。(文献3)(文献5) 調理行動 高次脳機能障害では、調理を題材にしたリハビリを実施しています。調理行動では、調理を行う危険性を認識させる目的があります。 調理は危険をともなう行動となるため、高次脳機能障害の当事者に自身の能力を認識してもらうのが重要です。 「高次脳機能障害者の自立に向けた調理行動振り返り支援システムに基づく認知リハビリテーション」によると、リハビリとして当事者に自身の調理体験映像を見せ、客観的に自分の行動を見る機会を設けた支援を行いました。 客観視により、リハビリに対する意欲向上が見込まれた事例となり、調理行動は高次脳機能障害の訓練に効果的だとわかります。 高次脳機能障害におけるリハビリ以外の治療方法 高次脳機能障害におけるリハビリ以外の治療法には、再生医療があります。再生医療とは、けがや病気などにより、機能障害に陥った組織や細胞などを元通りにするための治療法です。 体の自然治癒力を高め、組織や機能などの修復を行うのが再生医療です。再生医療による治療は早いほど、脳機能の回復が期待できます。 また、再生医療ではヒトの体に存在する幹細胞の修復力を治療に使用しています。細胞の損傷や不足している細胞を代替し、体の機能を修復する役割を幹細胞が担っているのです。 体へ戻す幹細胞は患者の細胞のため、拒絶反応やアレルギー反応などが起こりづらい点も再生医療の特徴です。 リペアセルクリニックでは、高次脳機能障害の原因の一つとなる脳卒中の再生医療・幹細胞治療を実施しています。メール相談やオンラインカウンセリングも提供していますので、再生医療について詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・適切なリハビリを受けて高次脳機能障害の回復を目指そう 高次脳機能障害は適切なリハビリにより、症状の回復効果が期待できます。リハビリでは治療だけでなく、定めた目標到達へ向けて訓練を進めていくため、期間は6カ月~1年ほどが目安です。 高次脳機能障害のリハビリ内容はさまざまで、症状別に訓練が異なります。漠然とリハビリをするのではなく、定期的に評価を繰り返して最終的な目標に到達するのが症状の回復へつながります。 なお、症状の回復へつなげるには、リハビリをできるかぎり早く始めるのが大切です。 医師や理学療法士の指導のもと、個々の症状に合わせたリハビリを行い、高次脳機能障害の症状回復を目指しましょう。 加えて、リハビリで効果が得られない場合には、再生医療もご検討ください。 参考文献 (文献1) J-STAGE「高次脳機能障害のリハビリテーション」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/13/1/13_22/_pdf (文献2) 国立障害者リハビリステーションセンター「第1章 高次脳機能障害 診断基準ガイドライン 」 https://www.rehab.go.jp/ri/event/brain_fukyu/pdf/10.pdf (文献3) J-STAGE「高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療―患者・家族会との連携―」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/4/58_58.418/_pdf/-char/ja (文献4) 香川大学医学部附属病院 リハビリテーション部「高次脳機能障害と暮らす」 https://www.med.kagawa-u.ac.jp/~neuron/summary/performance/pdf/lecture2022_04.pdf (文献5) 京都府 健康福祉部 障害者支援課「京都府高次脳機能障害者支援プラン 」 https://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/documents/1327459933391.pdf
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高次脳機能障害になった際、余命がどれくらいか不安を感じる方もいるのではないでしょうか。高次脳機能障害は、脳の損傷や異常により知的能力や行動に影響を及ぼしている状態です。そのため、健常な方に比べると、寿命に差が生じる可能性は十分考えられます。 今回は、高次脳機能障害の平均余命について解説します。高次脳機能障害に関する基礎知識や再生医療の可能性もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 高次脳機能障害の平均余命 高次脳機能障害の平均余命は、健常者の平均余命に比べて短い傾向です。ここでは、高次脳機能障害の平均余命を男女別に紹介します。 なお、高次脳機能障害の平均余命に関しては「脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」の症状を平均としています。 男性の平均余命 東京福祉局と厚生労働省のデータをもとに比較したところ、高次脳機能障害の男性は健常な男性より平均余命が短くなっています。 高次脳機能障害の男性と健常な男性の平均余命は、以下の通りです。 年齢 ※高次脳機能障害の場合、発症年齢 高次脳機能障害の男性 健常な男性 平均余命の差 20歳 42.61年 61.45年 18.84年 30歳 35.59年 51.72年 16.13年 40歳 28.88年 42.06年 13.18年 50歳 20.16年 32.60年 12.44年 60歳 11.56年 23.68年 12.12年 70歳 5.62年 15.65年 10.03年 80歳 2.47年 8.98年 6.51年 高次脳機能障害の男性と健常な男性における平均余命は、約10年以上の差が生じています。 また、80歳で高次脳機能障害を発症した場合でも、約6年ほど異なります。 データを比べた結果、若いうちに高次脳機能障害を発症するほど平均余命は健常時と比較して短くなってしまう可能性が考えられます。 女性の平均余命 東京福祉局と厚生労働省のデータをもとに比較したところ、男性同様、高次脳機能障害の女性は健常な女性より平均余命が短くなっています。 高次脳機能障害の女性と健常な女性の平均余命は、以下の通りです。 年齢 ※高次脳機能障害の場合、発症年齢 高次脳機能障害の女性 健常な女性 平均余命の差 20歳 50.21年 67.48年 17.27歳 30歳 42.58年 57.65年 15.07歳 40歳 35.18年 47.85年 12.67歳 50歳 26.30年 38.23年 11.93歳 60歳 15.84年 28.91年 13.07歳 70歳 7.22年 19.96年 12.74歳 80歳 3.35年 11.81年 8.46歳 高次脳機能障害の女性と健常な女性における平均余命は、約10年以上の差が生じています。また、80歳で高次脳機能障害を発症した場合でも、約8年ほど異なります。(文献1) 高次脳機能障害になった女性の平均余命は男性に比べて長いものの、健常な女性と比較すると短い傾向です。(文献2) 高次脳機能障害の主な症状 高次脳機能障害は、脳の損傷によって「考える」「記憶する」「行動する」といった人間の重要な機能に影響を及ぼします。 高次脳機能障害を発症すると、主に以下の症状が見られます。 新しいことを覚えられない・事実と異なる話をするなどの記憶障害 ミスが多い・集中できないなどの注意障害 寝てばかり・暴力的などの社会的行動障害 自分で計画ができない・優先順位が決められないなどの遂行機能障害 うまく話せないなどの症状 高次脳機能障害はさまざまな症状を引き起こすため、自立した生活が困難になります。また、外見だけでは症状がわかりにくいため、仕事や人付き合いなどの社会活動が困難と感じるケースも少なくありません。 一般的には高次脳機能障害の症状が理解されにくい点から、本人や家族が周囲との関係でストレスを感じる場合もあります。 高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 数年後に治った人はいる?高次脳機能障害の回復過程 高次脳機能障害が完治した事例は、2025年1月において確認されていません。高次脳機能障害は、脳の損傷による障害のため、完治するのは難しいとされています。 しかし、リハビリ専門医療機関や地域活動支援センターなどで適切な支援を受けると、症状が回復する可能性があります。また、症状が残っても、支援により日常生活や社会生活を送れるようになるケースが期待できます。 そのため、家族や職場など周囲の方が高次脳機能障害への理解を深め、適切な支援をすることが回復過程においては重要です。 高次脳機能障害は治るのか知りたい方は、あわせて以下の記事をご覧ください。 高次脳機能障害の治療法 高次脳機能障害の治療法は、薬物療法とリハビリの2つに分類されます。各治療法の特徴は、以下の通りです。 治療法 特徴 薬物療法 主に症状の軽減や日常生活における質の向上が目的 症状のコントロールがメインのため、根本的な治療法ではない点に注意 リハビリ 症状の回復をサポートするのが目的 作業療法や理学療法、言語療法を実施 また、高次脳機能障害のリハビリ方法は、症状や患者の状態に応じて異なります。例えば、注意障害がある場合は、集中しやすい環境を整えるリハビリを実施します。 体を動かしたり脳トレを実施したりと、自宅でできるリハビリもあるため、医師に相談の上、無理のない範囲で取り入れてみましょう。 高次脳機能障害の余命に悩む方への選択肢「再生医療」 近年、高次脳機能障害の新たな治療法として再生医療が注目されています。再生医療は人間が持っている再生力を用いた治療法で、失われた組織や機能の修復を行います。 再生医療で期待できる治療効果は、以下の通りです。 壊れた脳細胞を再生医療で修復し、身体の機能回復を目指す 後遺症に対するリハビリ効果を向上させる 傷ついた血管を修復し再発を予防する 高次脳機能障害の症状でお悩みの方は、治療の選択肢の一つとして再生医療をご検討ください。 リペアセルクリニックでは、高次脳機能障害の原因の一つとなる脳卒中の再生医療・幹細胞治療を実施しています。メール相談やオンラインカウンセリングを行っているため、再生医療について詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・高次脳機能障害の平均余命を踏まえたうえで適切な治療を受けよう 高次脳機能障害の平均余命は、健常な方と比べて短い傾向です。特に、発症した年齢が若いほど健常な方と比較して、余命は短いと考えられます。 高次脳機能障害を発症すると、記憶障害や注意障害などさまざまな症状が見られます。完治した事例は確認されていませんが、適切な治療法により症状が改善する可能性はあります。 高次脳機能障害の治療法として、薬物療法やリハビリの他に再生医療という選択肢もあります。 再生医療は、人間の体が持つ能力を活かした最新の治療法となるため、高次脳機能障害の症状回復へ向けた一助となる場合があります。 高次脳機能障害に向き合い適切な治療を受け、症状の回復へ向けて行動しましょう。 参考文献 (文献1) 東京都福祉保健局「高次脳機能障害者実態調査結果 第3章 高次脳機能障害者数の推計」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/houkoku4 (文献2) 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf
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筋トレの最中に頭痛がして、脳の血管が切れていたらどうしようと不安になっていませんか。 筋トレで負荷のかかる動きをしたり、重い器具を無理に持ち上げたりすると、脳血管に負担がかかり切れてしまうケースがあります。脳卒中などの疾患を予防するには、筋トレ中も力まないように意識する工夫が大切です。 本記事では、筋トレで脳血管が切れる原因と予防策・対処法を詳しく解説します。 さらに、筋トレ中の頭痛が辛いときの対策法も解説しているため、症状がつらくて悩んでいる方に読んでいただきたい記事です。 ぜひ本記事を参考に、脳血管が切れるリスクに注意しながら筋トレを続ける工夫をしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の後遺症や再発予防の治療を行っております。 メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付け中です。気になる方はぜひ当院までお気軽にご相談ください。 筋トレで脳血管が切れる可能性がある 筋トレ中に重いダンベルを持ったり強い負荷をかける種目を行ったりすると、過度に力んでしまい脳血管に負担をかけるリスクがあります。 筋トレ中に脳血管が切れる大きな要因は「血圧の上昇」です。 筋トレで「力む」ことで血管が強く収縮し、一時的に血圧が急激に上がります。この状態が続くと、血管に過度な負荷がかかり、脳出血を引き起こすリスクがあります。 とくに力みやすい種目は、以下のとおりです。 ベンチプレス ダンベルスクワット 懸垂 上記のような筋トレを行う場合は力まないよう、呼吸や負荷に十分注意しましょう。 筋トレ中に力みすぎてしまい脳血管が切れると「くも膜下出血」になるリスクがあるため注意が必要です。くも膜下出血について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 筋トレで頭痛が起こる3つの原因 筋トレ中に頭痛が起こる原因として、主に以下の3つがあります。 血管の一時な強い収縮 激しいトレーニングメニュー 慢性頭痛の悪化 トレーニング中に頭痛が頻繁に起こる方は、本章の内容をチェックしてみてください。 血管の一時な強い収縮 筋トレ中に頭痛が起こる主な原因のひとつは「血管の一時的な強い収縮」を伴う 「可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群」 です。 一時的に力んだ際に 1分未満で痛みのピークに達する「雷鳴頭痛」 が発生するのが特徴です。(文献1) 個人差はありますが、突然の激しい頭痛が発症した後、数週間にわたって繰り返されることがあります。 また、雷鳴頭痛は 脳出血へと進行するリスク もあるため、注意が必要です。 激しいトレーニングメニュー 激しいトレーニングの繰り返しは、脳血管への負担につながります。 過度な運動を繰り返すと、体が酸素不足に陥ることがあります。全身に十分な酸素が供給されないと、より多くの酸素を体に取り込む過程で血管が拡張され、頭痛が引き起こされるのです。 また、感染予防のためにジムでマスクをつけている場合も、酸欠状態になるリスクがあるため注意が必要です。 筋トレの途中で息苦しさを感じたら、マスクを外してこまめに休憩しましょう。 慢性頭痛の悪化 慢性的な偏頭痛を持っている場合、筋トレにより症状を悪化させるリスクがあります。 片頭痛は、何らかの原因で頭の血管が縮んだ後、急に広がることで脈打つような頭痛が起こるのが特徴です。(文献2) 運動をすると血管が開き、血流が良くなるため片頭痛が一時的に悪化する場合があります。 慢性的な頭痛を持っている人は、急激に運動量を増やさずに無理のない範囲で筋トレすることを心がけましょう。 頭痛の分類については、以下のコラムで詳しく解説しています。気になる方はこちらも合わせて参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 必ずやってほしい筋トレ頭痛の予防策3選 筋トレによる頭痛の予防に効果的な対策として、以下の3つがあります。 筋トレ前後に水分補給をする 筋トレ前にストレッチをする 筋トレ中は息を止めない 筋トレ中の頭痛に悩んでいる人は、本章を参考に予防を心がけてみてください。 筋トレの前後に水分補給をする 運動により体内の水分が不足すると、血の巡りが悪くなります。脳へ栄養や酸素が行き届かなくなった結果、頭痛につながる可能性があります。 脱水症状に陥らないよう、筋トレ前後には十分な水分補給をしましょう。 また、頭痛以外の脱水症状として以下の症状があげられます。 吐き気 喉の渇き めまい など このような症状があらわれた場合は、すぐに筋トレを中止して水分補給をして休息をとってください。 筋トレ前にストレッチをする 筋トレ前にウォーミングアップとしてストレッチを行うことも、頭痛を防ぐのに効果的な対策です。 急に激しい運動をすると血流の速さが一気に変わり、血管や筋肉に負担をかけるリスクがあります。 ストレッチでウォーミングアップすると全身の血流が緩やかに早くなるため、頭痛を予防する効果が期待できます。頭痛を防ぎ、安全に筋トレを行うためにも、ウォーミングアップとしてストレッチを行ってから運動を始めましょう。 筋トレ中は息を止めない 筋トレ中に息を止めると、力みが生じて血圧の急上昇を招き、脳血管に負担を与えるリスクがあります。筋トレ中は息を止めず、力まないように注意しましょう。 とくに重いダンベルを持ち上げたり、きついポーズをとったりするときに 無意識に息を止めてしまう人が多いため、注意が必要です。 筋トレ中に息を止める癖がある方は、トレーニング中の呼吸を以下のように意識してみてください。 ポーズをとる際に、呼吸を止めない 力むときに息を吐き、力を抜くときに息を吸う(例:ダンベルを持ち上げる際に息を吐き、下げるときに息をする) どうしても息を止める場合は、筋トレで最もつらい一瞬だけに留める この呼吸法を意識すると、筋トレ中の血圧上昇を抑えられて頭痛の予防にもつながるでしょう。 筋トレ頭痛がつらい場合の3つの対策法 運動の最中に頭痛がつらくなった場合に有効な対処法は、以下の3つです。 運動を中止する トレーニング器具の負荷を軽くする 痛み止めを飲む 筋トレの最中に頭痛がつらくなった際は、本章を参考に無理をせず、症状を和らげることを優先しましょう。 運動を中止する 筋トレ中に頭痛を感じた場合は、直ちに運動を中止し症状が治まるまでゆっくり休みましょう。 頭痛がつらいまま我慢して筋トレを続けると、症状が悪化するリスクがあります。また、脳血管に負担をかけ深刻な症状を招くリスクもあるため注意が必要です。 頭痛を感じたら無理をせず暗く涼しい場所で横になって休むようにしましょう。 トレーニング器具の負荷を軽くする 筋トレ頭痛の頻度が多い人は、トレーニング器具の負荷を軽くして力みを減らしましょう。 筋トレによる頭痛の一因として負荷をかけすぎてしまい、力んでしまっている可能性があります。どうしても強い負荷で筋力をつけたい場合は「徐々に」重さを上げるようにしましょう。急激に負荷を上げると頭痛や脳出血のリスクを上げるため、注意が必要です。 痛み止めを飲む 休息をとったり筋トレ時の負荷を軽くしたりしても頭痛が続く場合は、我慢せずに痛み止めを服用することが大切です。 筋トレ頭痛に効果のある痛み止めは、以下のような成分の薬です。 イブプロフェン アセトアミノフェン インドメタシン これらの成分を含む薬は、病院の処方のみならず、薬局やドラッグストアなどでも購入できます。 ただし、痛み止めで改善がなければ別の要因も考えられるため、一度頭痛外来に受診してみましょう。 まとめ|脳の血管に負担をかけず安全に筋トレをしよう 筋トレによる脳血管への負担を減らすためには、未然の防止策と症状が出た際に適切な対処を行うことが大切です。 頭痛を感じたら無理をせずに休み、症状が落ち着いてから再開しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、人体にある幹細胞を用いて脳出血後の再発予防や後遺症の治療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付けておりますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 筋トレで脳血管が切れる症状についてよくある質問 筋トレは血管を老化させますか? 筋トレ自体が血管に悪影響を与えるわけではありませんが、アスリートのような運動を長期的に行うと動脈硬化を促進させるリスクがあります。 ただし、適切な頻度と負荷の筋トレは血流を改善し、健康体を維持する効果が期待できます。年齢に合わせて トレーニングの頻度や負荷を下げて有酸素運動を取り入れると、筋トレのメリットを活かしながら無理なく運動ができるでしょう。 脳血管が切れるとどうなりますか? 脳血管が切れると脳出血が起こり、以下のような症状があらわれる場合があります。 手足や顔がしびれる ろれつが回らない 視界がぼやける 脳出血後の後遺症は、早期の対応によってその後回復できるかどうかが大きく変わります。これらの症状があらわれたらすぐに受診しましょう。 脳出血の予防については、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 橋本洋一郎「可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome)| 神経治療(35) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/35/4/35_416/_pdf (文献2) 古和 久典「片頭痛の病態と治療|神経治療(39)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/3/39_200/_pdf/-char/ja
2025.02.07 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「最近イライラしたり、落ち込んだりしやすい」 「セロトニンは幸せホルモンと聞いたが、自分は不足しているのではないか」 このようなお悩みはありませんか? 日常の中で、些細なことでも強い怒りを感じる、また気持ちが沈んでしまう場合は、セロトニンが不足している可能性があります。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、心を穏やかに保つためにとても大切なホルモンです。 この記事では、セロトニンが不足している際に起こる「セロトニン欠乏脳」の自己チェック方法と、対策についてご紹介します。セロトニン不足のお悩みの参考になれば幸いです。 自分の状態がセロトニン欠乏脳ではないか不安、またセロトニン欠乏脳による気分の不調を解消したいと感じたら、当院のメール相談 やオンラインカウンセリングもご活用ください。 セロトニン欠乏脳チェック【当てはまったら要注意】 いつもよりキレやすい、気持ちが落ち込みやすいといった場合には「セロトニン欠乏脳」の状態かもしれません。 セロトニンは脳内で作られる神経伝達物質の1つで、喜びの感情を司るドーパミンや怒り・恐怖といった感情を司るノルアドレナリンといった神経伝達物質をコントロールする働きがあります。(文献1) そのため、セロトニンが欠乏すると、気分が安定しにくくなります。 「もしかしたら自分もセロトニン欠乏脳ではないか」と思う方もいるでしょう。下に「セロトニン欠乏脳」になると現れる変化をチェックリストとしてまとめています。複数当てはまる方はセロトニン欠乏からの不調かもしれないので、注意が必要です。(文献2) 1.疲れやだるさが続く 2.動悸やめまいがする 3.慢性的な頭痛がある 4.よく眠れない、すっきりと起きられない 5.食欲が湧かない 6.身支度が整わない 7.時間通りの行動が難しい 8.遅刻や早退が多い 9.いつもよりミスが多い 10.自分は無価値だと思う 11.気分が落ち込みやすい 12.理由もなく不安になる、緊張する 13.すぐにイライラしてしまう 14.他の人には聞こえない声が聞こえる セロトニン欠乏脳の症状6選 セロトニン欠乏脳は、脳の中でセロトニンの分泌が少なくなることで起こります。有田秀穂氏の論文によれば「セロトニン欠乏脳」の代表的な症状として以下の6つが挙げられています。(文献3) 朝すっきりと起きられない 自律神経失調症の症状がある 背筋や顔の筋緊張が弱い 痛みに弱い キレやすい状態 生活習慣が乱れている それぞれの項目について詳しく解説します。 1.朝すっきりと起きられない セロトニン欠乏脳になると朝すっきりと起きられなくなります。 なぜなら、朝の調子を整えるための自律神経の働きに、セロトニンが関わっているからです。 自律神経には、体を活発に動かすための交感神経と、体を休ませるための副交感神経があります。眠っている時には体をリラックスさせる副交感神経が働いていますが、目覚めてから体を動かすためには交感神経を働かせるというのが通常の働きです。セロトニンは、この切り替えを円滑にするために用いられます。 そのため、セロトニン欠乏脳の状態では、うまく自律神経が切り替わらず「朝目覚めても、なんだかすっきりしない」と感じやすくなります。 2.自律神経失調症の症状がある セロトニンが欠乏すると、自律神経失調症の症状が出ます。 自律神経失調症とは、病気ではないのに体になんらかの不調がある状態です。自律神経失調症では、全身のだるさやめまい、頭痛、動悸などが現れます。(文献4) こちらも、自律神経の切り替えにセロトニンが関わっているためです。自律神経は臓器とつながっているため、セロトニンの欠乏により交感神経と副交感神経の働きが乱れると、各臓器、そして全身に悪影響を及ぼします。 そのため、自律神経失調症のような症状があるときには、セロトニン欠乏脳が疑われます。 3.背筋や顔の筋緊張が弱い 背筋や顔の筋肉の収縮が弱くなることも、セロトニン欠乏脳の特徴です。 セロトニンは筋肉の収縮を司る「運動ニューロン」という神経細胞にも影響を及ぼします。とくに、姿勢を維持するための体幹や筋肉、そして顔のまぶたや頬の筋肉の収縮を司っています。そのため、セロトニンがしっかり分泌されていると、背筋がピンとして顔に締まりが出るのです。 いつもより姿勢が悪い、顔がゆるんでいるといったときには、セロトニンが上手く分泌していないかもしれません。 4.痛みに弱い セロトニンは、脊髄から脳に痛みを伝える伝達路にも作用し、痛みを和らげる鎮痛作用も持っています。そのため、セロトニンが少なくなると、痛みが脳に伝わりやすくなり、少しの傷やけがでも痛みの感じ方が強くなってしまいます。 これはキレやすい子どもにとくに見られやすいと言われています。 5.キレやすい状態である セロトニン欠乏脳の状態になると、ささいなことでもキレやすくなります。 原因としては「青斑核ノルアドレナリン神経」という、ストレスを他の神経に伝える道筋を抑えられなくなるからです。ストレスが他の神経にすぐ伝わってしまうと、ストレスをうまく制御できず、感情的になる、普通では考えられないような行動を取るといったことが起こります。 いつもよりキレやすい、すぐ感情が爆発してしまって手が付けられなくなってしまう、といった状態が続く場合は、セロトニンが足りていないかもしれません。 6.生活習慣が乱れている セロトニンが少なくなると、眠りが浅く朝起きられなくなったり、食欲がコントロールできなくなったりして生活習慣が乱れてしまいます。 まず、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という2つの種類があります。レム睡眠は浅い眠りで体がよく休まっている状態、ノンレム睡眠は深い眠りで脳がよく休まっている状態のことです。セロトニンが足りなくなるとレム睡眠の時間が短くなり、体が十分に休まらなくなってしまいます。そのため、朝すっきり起きられず生活習慣の乱れにつながってしまうのです。 そして、セロトニンは食欲の調節にも重要です。ドパミンという神経伝達物質が食欲を司っていますが、この調節機能にもセロトニンが作用します。食欲をコントロールできなくなると、精神面にも体の健康にも悪影響が出てしまいます。 よく眠れているか、そして暴飲暴食はないかといった生活習慣についても確かめてみましょう。 セロトニン欠乏脳とは気持ちが揺らぎやすい状態 セロトニン欠乏脳になると、突然怒りが爆発したり、気分が落ち込んでしまったりと揺らぎやすい状態になります。この章では、そもそもセロトニンとはどのようなものか、そしてそこからどのようにセロトニン欠乏が起こるのかという部分について解説します。 セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる セロトニンは脳の「脳幹」と呼ばれる部分から分泌される神経伝達物質です。セロトニンが分泌されることで、喜びを感じる伝達物質と怒りや恐怖を感じる伝達物質の調節をし、心の安静を保ちます。分泌によって気持ちを穏やかに保ったり、幸福感を感じたりすることから「幸せホルモン」と呼ばれているのです。 また、セロトニンは腸でも作られています。ある文献によれば、腸内に細菌がいるマウスよりも、いないマウスの方がセロトニンの量が少なかったという研究があります。(文献5) セロトニン欠乏脳は怒りやすさや気分の不安定を招く セロトニンが欠乏すると、感情を司る神経伝達物質のバランスが崩れて、気持ちのコントロールが難しくなります。感情が不安定になると、仕事や人間関係がうまくいかなくなってしまうでしょう。有田氏の論文によれば、セロトニンの欠乏は生活習慣の乱れにより引き起こされるという結果があります。(文献3) しかし、逆に言えば、生活習慣を整えればセロトニンの分泌を促せるということです。 次の項目でセロトニン欠乏脳を改善するときのポイントを6つ載せていますので、ぜひ今日から取り入れてみてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ セロトニン欠乏脳を改善するときのポイント セロトニンは、食事や運動、そして日常生活の中での少しの工夫で分泌を促せます。(文献6) すぐに実践できる内容ですので、ぜひお試しください。 1.バナナや乳製品などを積極的に摂る 2.リズム性の運動を行う 3.日光を浴びる習慣を持つ 各項目について、詳しく解説します。 1.バナナや乳製品などを積極的に摂る セロトニンは、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンから合成されます。必須アミノ酸とは、体の中では合成できないため、食品から摂る必要のある栄養素です。そのため、トリプトファンを多く含む食品を摂ることで、セロトニンを増やせます。 トリプトファンを含む食品としては、以下のようなものが挙げられます。 果物:バナナ、キウイなど 乳製品:牛乳、チーズなど 豆製品:大豆、納豆など 卵 種実類:ゴマ、アーモンドなど 日頃の生活に、プラス一品トリプトファンを含む食品を取り入れてみましょう。 2.リズム性の運動を行う 一定のリズムで行う運動もセロトニン欠乏の予防・改善に効果があるといわれています。論文によれば、運動として、歩行、咀嚼(そしゃく)、呼吸が挙げられています。 日々の生活の中で、以下のような行動を取り入れましょう。 歩行 少し息が上がるくらいのリズミカルな運動を取り入れましょう。 通勤や通学などの日々の生活のなかで、少し早足で歩いてみることも良いでしょう。また、時間のある方はウォーキングで歩く習慣を作るのもおすすめです。 咀嚼 噛む、という動きも等間隔でのリズム運動です。 そのため、よく噛むことでリズム運動の機会を増やせます。家事や仕事に追われて、ついつい早食いになっていることも多いでしょう。食事をよく噛んで食べるだけでもセロトニンが増えます。 呼吸 ストレッチやヨガ、座禅でゆっくりと大きな呼吸をしましょう。ストレスを感じると、呼吸は浅くなりがちです。一日のなかで、少しでも自分のために呼吸を整える習慣を作ってみましょう。 運動や呼吸自体のリラックス効果や食事で満足感を得られることに加え、セロトニンの分泌が促進されることで、より充実感が得られるでしょう。 3.日光を浴びる習慣を持つ 太陽光を浴びることでセロトニンの分泌が活性化します。(文献6) 電球の光だけでは分泌を促すほどの照度がないため、カーテンを開けたり、外に出たりしてしっかり日光を浴びましょう。日光を浴びると、1日の体内時計のリズムも整い、調子よく過ごせます。 まとめ|セロトニン欠乏脳だと感じたら生活習慣を見直そう いつもよりも怒りっぽい、調子が悪いと感じたら、セロトニンが欠乏している状態かもしれません。先述のチェックリストで自分がセロトニン欠乏脳ではないかと感じたら、生活習慣の見直しからはじめましょう。それでも体調や気分が変わらない場合は、ほかの心身の病気の可能性もあります。 自分だけでは判断が難しい、もっと詳しく話を聞きたいという場合には、当院のメール相談 、オンラインカウンセリング にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ セロトニン欠乏脳についてよくある質問 セロトニン欠乏脳について、よくある質問をまとめました。ぜひご参考ください。 日本人はセロトニンが少ないですか? 過去の論文においては、日本人の遺伝子型としてセロトニンが少ないことも示されているようです。しかし、日本人といっても一人一人の遺伝子型は異なります。もともと落ち込みやすい性格である、不満を感じやすいといった特徴があれば、セロトニン欠乏を疑うべきでしょう。 セロトニンを増やすマッサージやストレッチはありますか? 目、顔、背中のリズミカルなマッサージがセロトニン神経を活発にする、という研究結果があります。規則的に、気持ちよいくらいの強さでトントンと指や手全体で刺激をしてみましょう。加えて、ストレッチで体を動かすことも呼吸を早く、大きくするため、セロトニンを増やす効果があります。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「セロトニン|e-ヘルスネット」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html (文献2) 厚生労働省「セルフメンタルヘルス」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf (文献3) 有田秀穂「セロトニン欠乏脳 −キレる脳・鬱の脳を鍛え直す−」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbs/3/2/3_123/_pdf/-char/ja (文献4) 厚生労働省「自律神経失調症:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」 https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1591/ (文献5) 尾畑佑樹氏,腸内細菌による消化管神経回路の修飾 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/36/1/36_21/_pdf (文献6) 小西正良ほか「セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境|大阪河﨑リハビリテーション大学紀要」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1050285299827544832
2025.02.07 -
- 脳梗塞
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突然の肩こりや、中々治らない肩こりに悩まされていませんか。 原因が思い当たらない肩こりが数日間続いたり、急に症状があらわれたりすると「ただの肩こりじゃなかったらどうしよう」「脳梗塞の前兆かもしれない」と不安になる方もいるでしょう。 突然の激しい肩こりが、実は脳梗塞の前兆である場合があります。「ただの肩こりだから」と軽視して放置すると病状が悪化する恐れもあるため、早期に医療機関を受診し、原因を的確に見極めることが大切です。 本記事では、肩こりが脳梗塞の前兆になる理由や、その他気を付けるべき症状について詳しく解説します。 最後まで読むことで肩こりから脳梗塞を早期に見つけられる方法がわかり、悪化を防げる可能性が高まるでしょう。 ぜひ本記事を参考に、今の肩こりが脳梗塞の前兆であるかどうかをチェックしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を用いて脳梗塞の後遺症改善や再発予防を目指した治療を行っています。メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付けておりますので、気になる症状がある方はぜひ当院までご相談ください。 「突然の」肩こりは放置厳禁!脳梗塞のリスクもあり 多くの人が肩こりを放置しがちですが「突然の」肩こりは、脳梗塞の前兆の疑いがあるため、注意が必要です。 脳梗塞から起こる肩こりは、首周辺の血流の滞りや神経の麻痺によって引き起こされます。その影響で筋肉が凝り固まり、肩周りの神経の動きが低下するため、肩こりがあらわれる可能性があります。 とくに以下の症状を伴う突然の肩こりの場合は、脳梗塞の前兆であるため注意が必要です。 片側だけ鋭い痛みを感じる 短時間で急速に痛みや肩こりが悪化する 目がかすんだり、見える範囲が狭くなったりする ほとんどの肩こりの場合は単なる筋肉のコリや重労働が原因であり、脳梗塞である可能性は非常に稀です。 しかし、デスクワークのしすぎや重たい荷物を持つといった原因が思い当たらないのに、突然原因不明の肩こりがする場合は注意が必要です。 軽視せずに他の症状が出ていないかを確認し、異変を感じたら自己判断で放置せず早めに医療機関を受診しましょう。 「首の後ろの痛み」も脳梗塞の前兆の可能性あり 肩こりと同様に、突然あらわれる「首の後ろの痛み」も脳梗塞の前兆である疑いがあります。 その理由の一つが、首の後ろを通る血管が損傷する「椎骨(ついこつ)動脈解離」です。 椎骨動脈解離が起こると、頭の後ろから首の付け根にかけて激しい痛みが生じ、めまいや吐き気を伴うことがあります。この状態が進行すると脳梗塞やくも膜下出血へ発展する可能性があります。(文献1) 脳梗塞や椎骨動脈解離はMRIやCTなどの検査でわかる場合が多いため、首の後ろの痛みがあれば早めに受診しましょう。 また、首の後ろの痛みは「くも膜下出血」の疑いもあります。くも膜下出血からくる首の後ろの痛みについて詳しく知りたい方は以下のコラムも参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【要チェック】肩こり以外脳梗塞の前兆4つ 肩こり以外の脳梗塞の代表的な前兆には、以下の症状があります。 痙攣・麻痺 言語障害 視覚障害 歩行困難 違和感のある肩こりがある方は、本章で解説している症状も一緒に出ていないかどうか確認してみてください。 1.痙攣・麻痺 脳梗塞の代表的な前兆として痙攣や麻痺があげられます。 脳梗塞が起こることで血管が詰まり、血流が遮断され、神経の働きが阻害されます。その結果、痙攣や麻痺といった症状が現れるのです。 痙攣や麻痺が脳梗塞によるものかどうかは「突然発症したものか」「片側だけに生じているか」がポイントです。 早期に治療を行うと後遺症が軽くなる可能性が高まります。片側のみや突然の痙攣・麻痺がみられる場合は、迅速に医療機関を受診しましょう。 2.言語障害 脳梗塞の初期症状で知られているのが「ろれつが回らない」「言葉を発するときに言葉が出てこない」といった言語障害です。 言語障害は、会話や言葉を理解する能力に関わる「前頭葉」や「側頭葉」などの脳部分が脳梗塞により損傷を受けることで生じます。(文献2) また「簡単な文章を書けない」「滑舌が突然悪くなった」といった症状も多く見られます。 このような言語障害が「突然」あらわれた場合は脳梗塞の可能性があるため、注意が必要です。 3.視覚障害 「視覚障害」も脳梗塞の初期症状としてあらわれる可能性があります。 脳梗塞で脳の血液の流れが滞り、視覚に関わる脳の部位が損傷すると視覚障害が起こるため、注意が必要です。 脳梗塞による視覚障害として、以下のような症状があげられます。 視野欠損(片側だけ欠けて見える) 複視(物が二重に見える) 突然の視力低下 見え方に突然違和感をもった場合は、早めに脳神経外科へ受診しましょう。 4.歩行困難 筋肉の麻痺による歩行困難があらわれるのも脳梗塞の前兆のひとつです。 脳梗塞により筋肉が無意識に収縮して硬直し、スムーズに体を動かせなくなります。このため、いつも通り歩くのが難しくなり、独特な歩き方となります。(文献3) 脳梗塞による歩行困難として、以下のような兆候が知られています。 歩行困難の種類 特徴 内反尖足(ないはんせんそく) つま先が下を向いたり、足首・足裏が内側に向いたりする 膝関節伸展 膝関節をまっすぐに伸ばして歩く 股関節屈曲 股関節が曲げられなくなる 脳梗塞の前兆のチェック項目については以下の記事で詳しく解説しております。気になる方は、合わせて参考にしてください。 肩こり含む脳梗塞の前兆が治っても油断は禁物!早急の受診が大切 前兆が治まった場合でも、再発リスクは否定できません。「脳梗塞の前兆かもしれない」と感じた症状が軽くなっても、その後すぐに受診しましょう。 症状が消失した場合「一過性脳虚血性発作(TIA)」の可能性があります。TIAは一時的に脳への血流が滞り、短時間のみ脳梗塞の症状があらわれるものの、24時間以内に回復する状態です。 TIAは脳梗塞の前触れ症状ともいわれています。TIAが消失したとしても、その後脳梗塞に発展するリスクが高いため、早急の処置が必要です。 脳梗塞の前兆が治っても放置せず、速やかに受診して専門医の治療を受けましょう。 また、脳梗塞を含む脳卒中のセルフチェックについては以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は合わせてご確認ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【今すぐできる】脳梗塞の予防方法3選 突然の肩こりを引き起こす脳梗塞は、日常生活でできる対策をすると未然に発症リスクを下げられます。 本章で紹介する方法を実践し、脳梗塞のリスクを減らしましょう。 1.減塩食を心がける 脳梗塞の予防には「減塩食」が欠かせません。 脳梗塞の大きな要因のひとつは「高血圧」です。塩分を摂りすぎると体内の水分のバランスや血管の負担が増えてしまい、血圧が上がり脳梗塞に発展するリスクがあります。そのため、日頃から塩分を控える食事を心がけることが大切です。 今すぐできる減塩食の対策には、以下の方法があります。 いつもの調味料を減塩タイプに切り替える 加工食品(ハムやソーセージなど)を避ける 揚げ物から蒸し料理・焼き料理へ調理方法を変更する また、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」において、高血圧の重症化予防のために成人の塩分摂取量を、男女ともに1日6g未満に抑えることを推奨しています。(文献4) 減塩を心がけ、脳梗塞の予防に努めましょう。 2.積極的に魚を取り入れる 脳梗塞を予防するもう一つの食事のコツは、積極的に「魚」を取り入れることです。 魚に含まれるEPAやDHAは、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして血液をサラサラにする効果があります。そのため血栓がつくられるのを抑えるため、脳梗塞の予防につながるでしょう。 とくに以下のような「青魚」は魚類の中でもEPAやDHAを多く含むためおすすめです。 サバ サンマ イワシ 食生活に乱れがあった人は、魚を日々の食事に取り入れてみてください。 また、脳梗塞予防に避けるべき食品については、以下のコラムで詳しく解説しています。詳しく知りたい方は、あわせて参考にしてください。 3.筋トレと有酸素運動を定期的に行う 運動面で脳梗塞予防に効果的なのが、定期的に筋トレと有酸素運動を両方行うことです。 運動を定期的に取り入れることで、高血圧が改善したり血行が良くなったりします。そのため、脳梗塞予防にも効果的です。 また、筋トレと有酸素運動は以下のように得られる効果が異なります。両方取り入れるとより健康により効果をもたらすでしょう。 運動の種類 効果 運動例 筋トレ 基礎代謝量を増やして体脂肪を減らす スクワット 腕立て伏せ 懸垂 有酸素運動 心肺機能を向上させ血の巡りを改善する ジョギング 水泳 ウォーキング 脳梗塞のリスクを下げるためにも生活習慣に合った運動を無理のない範囲で取り入れてみてください。 まとめ|突然の肩こりは脳梗塞の前兆の可能性あり!放置せず早めに受診しよう 何気ない「突然の肩こり」は、脳梗塞の前兆である可能性が否定できません。軽視せずにいつもの肩こりと違いがないか観察して適切な対策をとることが大切です。 とくに麻痺や言語障害など脳梗塞の代表的な症状と一緒にあわらわれた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善・再発予防治療を行っています。 メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付けておりますので、気になる症状が出ている方や脳梗塞の後遺症にお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳梗塞の前兆についてよくある質問 肩こりはくも膜下出血の前兆ですか? 突然の肩こりは、くも膜下出血の前兆の可能性もあります。 突然の肩こりや首の後ろの痛みを伴う場合は、血管が破裂しかけている可能性も否定できないため注意が必要です。違和感を感じた場合は、迅速に受診しましょう。 くも膜下出血の原因と症状についてより詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 軽い脳梗塞の前兆はどのような症状ですか? 軽い脳梗塞の前兆の一例は、以下のとおりです。 片側の手足に力が入らない 言葉がスラスラと出てこない 視界の一部が見えにくい 脳梗塞の前兆が軽度だったり一時的なものであると見過ごされるケースもありますが、のちに脳梗塞を発症するリスクが高まります。 予後が大きく変わるため放置せず、早めに受診して適切な治療を受けましょう。 参考文献一覧 (文献1) 弘中 康雄,西村 文彦 ほか「椎骨動脈解離に対する外科治療 ─再出血予防と穿通枝温存を目指した microneurosurgery─」脳卒中の外科(44)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/44/1/44_31/_pdf (文献2) MSDマニュアル「脳の機能障害の概要」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%84%B3%E3%81%AE%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%84%B3%E3%81%AE%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81 (文献3) 川手信行,中島卓也「脳卒中歩行障害の総論|日本義肢装具学会誌 2022(38,3)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo/38/3/38_190/_pdf/-char/ja (文献4) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
2025.02.07