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グレープフルーツ以外にも要注意?高血圧薬と柑橘類の相互作用を解説 高血圧の治療において薬は中心的な役割を果たしています。 しかし、その効果は摂取する食品や飲み物によって大きく左右されることがあります。 特に、グレープフルーツが薬の代謝に影響を与えることは広く知られていますが、他にも多くの食品が薬の効果に影響を及ぼす可能性があります。その中でも、今回は高血圧の薬との飲み合わせに注意したい『柑橘類』について、またその訳についても解説していきます。 Citrus fruits グレープフルーツと降圧薬を一緒にとってはいけない理由 グレープフルーツと一部の薬を一緒に摂取することは避けるべきとされています。 以下では、グレープフルーツの成分と高血圧の薬剤との相互作用のメカニズム、影響を受ける薬剤のタイプを交えながら解説します。 相互作用の科学的背景 グレープフルーツ及びグレープフルーツジュースに含まれる特定の化学成分(主にフラノクマリン類)が、人体内で薬物を分解する酵素(特にCYP3A4というシトクロムP450酵素)の働きを阻害します。 この酵素は、薬物をより無害な形に分解し、体外へ排出するために重要です。グレープフルーツによるこの酵素の阻害は、薬物の体内での濃度を予期せず増加させることがあり、副作用のリスクを高めることがあります。 グレープフルーツで影響を受ける薬剤 グレープフルーツが影響を及ぼす薬剤には、以下のようなものがあります。 ・高血圧治療薬(例:カルシウムチャネル拮抗薬 フェロジピン) ・コレステロール低下薬(例:スタチン類) ・抗不安薬 ・免疫抑制剤 ・抗アレルギー薬 これらの薬剤は、CYP3A4酵素によって代謝されるため、グレープフルーツやグレープフルーツジュースとの同時摂取は特に注意が必要です。 注意 グレープフルーツと一部の薬物との間には重要な相互作用が存在します。これは、薬の効果を不当に強化し、副作用のリスクを増大させるため、注意が必要です。健康を守るためにも、薬を服用している場合は、グレープフルーツジュースの摂取に関して医師や薬剤師と相談することが大切です。 グレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類 グレープフルーツ以外にも、高血圧治療薬と相互作用を起こしやすい柑橘類があります。 フラノクマリン類を含む柑橘類は、特定の薬剤、特に高血圧治療に用いられる拮抗薬との相互作用により、その薬剤の血中濃度を意図しないほど高めることが報告されています。 さまざまな柑橘類に含まれるフラノクマリン類の量を調べた研究の結果が以下にあります。 (下表参照) この表での「DHB換算量」とは、簡単にいうと「フラノクマリン類の量がどれくらいか」ということになります。 引用) 酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含量のスクリーニング.医療薬学.2006;32(7):693-699. p696 果汁と果皮でのフラノクマリン類含有量は異なります。 果汁の場合 果汁ではスウィーティー、メロゴールド、バンペイユおよびレッドポメロがグレープフルーツと同程度の結果でした。 そして、フラノクマリンなどの量が増えるとCYP3A4の活性が阻害(働きが妨げられること)される強さの度合いはほぼ比例すると報告されています。 そのため、スウィーティー、メロゴールド、バンペイユおよびレッドポメロはグレープフルーツと同様に、フラノクマリン類による相互作用に注意が必要であると考えられます。ダイダイ、ブンタン(ザボン)についてはやや少ないですが、これらも注意が必要です。 なお、スウィーティーとレッドポメロはすでに生物の体内でもグレープフルーツと同様にCYP3A4の働きを妨げることが報告されていますが、メロゴールドについてはまだ報告されていないとされています。 果皮の場合 また、果皮についてはメロゴールドとスウィーティー、甘夏みかんおよびサワーポメロがグレープフルーツに近い結果でした。さらに、フラノクマリン類は、ほとんどの柑橘類で、果汁よりも果皮の方に数十倍から数千倍多く含まれていることがわかりました。 相互作用の心配が少ない柑橘類 一方で、レモンや日向夏、ネーブルオレンジ、スウィートオレンジ、温州みかん、ポンカン、イヨカン、デコポン、ゆず、カボス、すだち、キンカン、バレンシアオレンジといった柑橘類については、少なくとも果汁にフラノクマリンはほぼ含まれていない(N.D.:未検出)ので、CYP3A4との相互作用の心配は少ないのではないかと考えられます。 柑橘類と降圧薬の相互作用 血圧を下げる作用を持つ薬剤(降圧薬)の一群として、『カルシウムチャネル拮抗薬』という種類の薬があります。 なお、その他の降圧薬としては、アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARBs)や、α遮断薬、β遮断薬、利尿薬などがあります。 ・カルシウムチャネル拮抗薬 ・アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARBs) ・α遮断薬 ・β遮断薬 ・利尿薬 カルシウムチャネル拮抗薬は、血管を拡張させることで血圧を下げる働きをします。 しかし、グレープフルーツなどに含まれるフラノクマリン類との相互作用により、これら薬剤の効果が強まり、低血圧やめまい、倦怠感などの副作用を引き起こすリスクが高まる可能性があります。 グレープフルーツとカルシウム拮抗薬の関係 例として、グレープフルーツにより相互作用を受ける主な薬物についてご紹介します。 ・カルシウム拮抗薬(フェロジピン) 高齢者で収縮期血圧、拡張期血圧が低下、心拍数がわずかに上昇 ・カルシウム拮抗薬(二ソルジピン) 収縮期血圧、拡張期血圧が低下、頭痛 柑橘類をとる際の注意点 先ほど述べたように、柑橘類の果汁よりも「果皮」にフラノクマリンが多く含まれていることが分かっています。そのため、果皮の果物漬けや、マーマレードなどの加工食品を食べる際には、十分な注意が必要になると考えられます。 ただし、グレープフルーツ由来のフラノクマリンなどの成分は小腸のCYP3A4に数日間影響を与えます。 そのため、降圧薬を飲む場合には、グレープフルーツジュースで薬を飲むことを避けるだけでは不十分と考えられます。日常生活の中で、グレープフルーツジュースだけでなく、果汁やサワー、マーマレードなどの加工食品を摂取するのは避けた方が良いでしょう。 ミックスフルーツジュースを飲む際も、グレープフルーツが含まれているかどうかを確認する必要があります。 レモンやオレンジ、みかんは問題ないでしょう。 それでもグレープフルーツジュースが飲みたいとき ここまで述べてきたように、CYP3A4で代謝される薬物と、グレープフルーツが相互作用を起こします。ただし、もともとCYP3A4による薬の代謝能ならびにグレープフルーツの影響にはかなりの個人差があるということがわかっています。 そのため、グレープフルーツと薬物との相互作用がほぼ認められない人もいますし、かなり影響が出る人もいます。 そのため、薬とグレープフルーツジュースの飲み合わせについては、専門家と相談し、ご自身の健康をよく観察しながら対応することが大切だと考えられます。 代替となる安全な飲み物や食品 グレープフルーツや特定の柑橘類が持つ特定の薬剤との相互作用は、高血圧治療薬を含むさまざまな薬の効果に影響を及ぼす可能性があります。 しかし、柑橘類にはビタミンCをはじめとする、健康的な食生活にとって大切な食品であるという側面もあります。 そこで、柑橘類のように高血圧の薬との相互作用を避けるため、他のビタミンCが豊富な食品への代替が推奨されます。 ビタミンCは抗酸化作用を持ち、免疫機能のサポートやコラーゲンの生成に必要な栄養素です。 おすすめの代替食品 キウイ:キウイはビタミンCが豊富であり、1個のキウイで1日のビタミンC推奨量のほぼ100%を提供します。また、抗酸化物質、食物繊維、ビタミンKも豊富に含まれています。 赤ピーマン: 野菜の中でも特にビタミンCが豊富で、グレープフルーツや柑橘類を避ける必要がある人にとって優れた選択肢です。サラダや料理の彩りも良くしてくれ、栄養も豊富なためおすすめです。 医師と薬剤師からのアドバイスを参考に判断しよう 薬剤師や医師は、高血圧薬との飲み合わせに関する専門的な知識を持っています。 薬を服用中の患者は、新しい食品やサプリメントを摂取する前に必ず医療の専門家に相談しましょう。 例えば、主治医である血圧の診療に長けている医師や、治療薬に精通した薬剤師などは、自分の状況に合ったアドバイスをくれるでしょう。 高血圧の治療中に、自己判断で、新しいサプリメントなどを飲み始めることはあまり勧められません。 摂取すべきでない食品や飲み物、サプリメントを避けることで、高血圧の治療効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小化できるでしょう。 まとめ・グレープフルーツ以外にも柑橘類には要注意 今回の記事では、グレープフルーツやそれ以外の柑橘類と薬の相互作用について解説しました。 こうした知識は、安全な医薬品の使用と健康管理のためにとても重要です。 日々の生活の中で、この情報を念頭に置き、安全に食品と薬を併用できるようにしましょう。 この記事を通じて、高血圧治療薬を服用中の方々が、より安全に、効果的に治療を続けられるよう、日々の食生活における注意点について理解を深めることができれば幸いです。 No.4 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 Bailey, D. G., Malcolm, J., Arnold, O., & Spence, J. D. (1998). Grapefruit juice-drug interactions. British Journal of Clinical Pharmacology, 46(2), 101-110. 酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含量のスクリーニング.医療薬学.2006;32(7):693-699. p696 3.高血圧 | 薬事情報センター | 一般社団法人 愛知県薬剤師会 グレープフルーツと薬物の相互作用 - 「 健康食品 」の安全性・有効性情報 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 健康豆知識(果物ジュースと薬の飲み合わせ)公益社団法人日本薬学会 Chambial S, Dwivedi S, Shukla KK, John PJ, Sharma P. Vitamin C in disease prevention and cure: an overview. Indian J Clin Biochem. 2013 Oct;28(4):314-28.
最終更新日:2024.04.25 -
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高血圧の原因に女性ホルモンの影響が?更年期高血圧と対策 高血圧は生活習慣病の一つとして広く知られています。 しかし、高血圧の裏に別の病気が隠れていることも少なくありません。 思い当たる節がないのになぜか血圧が高いと思ったことは?その高血圧は、更年期によるものかもしれません。 40〜50代の女性が注意すべき更年期高血圧! 更年期は、女性ならば誰しもが通る道です。そして、更年期の変化によって生じる高血圧を『更年期高血圧』と呼びます。 これまで健康診断に引っかかることもなかったのに急に血圧が上がったり、生活習慣には気をつけているのに血圧を測ったら高かった、などということがあれば要注意!高血圧を放置しておくと、心臓病や脳血管障害に繋がることも。だからこそ、病態を理解し、きちんと対策を行うことが大切なのです。 女性ホルモンの減少によって生じる更年期障害 更年期とは、閉経前後それぞれ5年間を合わせた10年間を指します。日本人の平均閉経年齢は50歳とされていますが、早い人では40代前半、遅い人では60歳手前で迎えることもあります。 女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。更年期になると卵巣機能が低下し、それに伴い女性ホルモンも減少します。このうちエストロゲンの減少が、更年期障害の発症に大きく関わっていると考えられています。ホルモンバランスを保てなくなったことに対して、脳がそれを補おうと必死に身体に様々な命令を送り、それが更年期症状として現れてしまうのです。 加えて、加齢による身体的影響、性格などの心理的影響、そして家庭や仕事によるストレスが複雑に絡み合い、個々の症状に現れてきます。症状が軽度で済む人もいれば、日常生活に支障が出るくらい重い症状を呈する人もいます。軽度の場合は更年期症状、症状が重くなると更年期障害となります。 多岐にわたる更年期症状ですが、高血圧以外には以下のようなものが挙げられます。 ・血管運動に関わる症状(ほてり、のぼせ、発汗、動悸、息切れ、むくみなど) ・精神症状(頭痛、不眠、不安感、イライラ、抑うつ、無気力など) ・消化器症状(便秘、下痢、胃の不快感、胸焼け、吐き気など) ・皮膚症状(かゆみ、湿疹など) ・運動器に関わる症状(肩こり、腰痛、背中の痛み、関節痛など) ・そのほか(疲労感、排尿トラブル、不正出血など) それでは、どうして更年期になると血圧まで影響を受けてしまうのでしょうか? 更年期障害と高血圧の関係性 日常生活の中で、例えば運動中は血圧は上がり、運動後リラックスしている時は血圧が下がります。このように血圧の変動がある中でも、私たちの身体は常に一定の血圧を保持できるよう機能しており、高くなりすぎず、低くなりすぎないように調整されているのです。エストロゲンは、その調整因子の一つであり、血管を広げて血圧を下げる働きをします。よって、このエストロゲンが減少すると、血圧は下がりにくくなってしまうのです。 さらにもう一つ、自律神経の乱れも更年期高血圧に大きく関わる因子です。 自律神経には、交感神経と副交感神経があります。活発な時や緊張状態の時には交感神経が優位となり、血管が収縮して血圧が上昇します。逆に休んでいる時や就寝中は副交感神経が優位となり、血管は拡張して血圧が下がります。このように血圧調整にとても大切な自律神経ですが、女性ホルモン低下に追いつけないことでパニックになった脳は、様々な命令を身体に送る中で、自律神経も乱してしまうのです。自律神経の乱れは血圧変動のみならず、上記に述べたような精神症状や身体症状の原因にもなっています。 このようにエストロゲンの減少と自律神経の乱れは、本来私たちに備わっている血圧調整の歯車を狂わせ、結果的に更年期高血圧を引き起こすのです。 更年期高血圧の特徴とは? 更年期高血圧の特徴は、大きく2つあります。 特徴①40〜50代の女性に生じる まず一つ目の特徴として、更年期に生じる高血圧のため、40〜50代の女性にみられます。 それゆえ、更年期を過ぎると血圧も正常化する人もいます。しかし、加齢とともに血管の老化や自律神経の働きが低下し、更年期高血圧以降もそのまま高血圧に転じてしまう人も多くみられます。 特徴②血圧が不安定になり上がりやすくなる 二つ目の特徴は、血圧が不安定になることです。 不安やイライラなどの精神的な要素も加味され、ちょっとしたことで血圧が上がりやすくなっています。 更年期高血圧に!今日から自分でできる対策 今日からご自身で始められる、更年期高血圧の対策をいくつかご紹介いたします。 血圧の管理 まずは血圧の測定を定期的に行い、その血圧上昇が一時的なものなのか、あるいは血圧が高い状態がずっと続いているのか、そしてどのような時に高くなるのか確かめることが大切です。 ①血圧上昇が一時的なものなのか ②血圧が高い状態がずっと続いているのか ③どのような時に高くなるのか 外出時は精神的・身体的・環境的因子が血圧に影響することも多いため、自宅での血圧測定を推奨します。 定期測定は起床時と就寝前の2回、そしてめまいや動悸など、上記の更年期症状が出た際にも血圧を測定し、血圧の推移とともにどのような状況で血圧が上がったのかを書き留めておくと良いでしょう。自分の状況を把握するだけでなく、医師からの診察の際にも役立ちます。 生活習慣の見直し 次に、生活習慣の見直しも行いましょう。 冒頭で述べたとおり、塩分過多は高血圧の原因として最も多いとされています。また、肥満は動脈硬化を起こし、結果的に高血圧を生じさせます。 近年は特に、インスタント・冷凍食品の改良化や食事のデリバリー事業などが進み、便利な時代となりました。しかし、既製品や外食は塩分量とカロリーが高くなる傾向にあります。減塩調味料の使用や野菜多めの食事を心がけるようにしましょう。 運動習慣を取り入れる 仕事や家事に追われて、なかなか運動の時間をとるのが難しい方もいらっしゃいます。 1日の中で、少し早起きしてウォーキングをしてみる、パソコンで10分のエクササイズ動画を真似してみる、休日にスポーツセンターに行ってみる、一駅分歩いてみる、など小さなことで構いません。 ・ウォーキング ・10分簡易エクササイズ ・休日にスポーツセンターに行く ・一駅分歩いてみる 自分のできる範囲内で何か始めてみましょう。運動するとイライラした気持ちも収まり、身も心もスッキリします。 睡眠時間を十分に取る 睡眠不足は交感神経を刺激し、高血圧を引き起こします。 しかし更年期障害の一つに不眠もあり、夜なかなか寝付けない人もいるかと思います。 就寝時間の2時間前までに食事を摂り終える、布団に入ったらスマートフォンはいじらない、夜にカフェインやお酒は控える、リラックス効果のある香りや音楽をつけてみる、などの工夫をおすすめします。 ・就寝時間の2時間前までに食事を摂り終える ・布団に入ったらスマートフォンはいじらない ・夜にカフェインやお酒は控える ・リラックス効果のある香りや音楽をつける ここまでの対策は自身でできることですが、やはり重症化予防の鍵は早期受診となります。 高血圧を適切に治療しなかった場合、心臓や脳の血管に障害を生じ、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がります。こうならないためにも、適切な治療を受けることが必要です。 循環器内科を受診しましょう 更年期症状の改善に関しては婦人科、高血圧の改善に関しては循環器内科が専門となります。今はオンライン診療やオンライン医療相談も広まってきていますので、コロナ以降病院から足が遠のいた方や忙しい人も医師に気軽に相談できます。気になる方はぜひ調べてみてください。 治療法としては、上記に述べたような生活指導の上、高血圧に対しては降圧薬、更年期症状に対しては漢方薬や抗精神薬の処方、そして必要な場合にはホルモン療法なども検討されます。 どの治療法になるかは、患者さん一人一人に合った方法を医師と相談して決めていくこととなります。 まとめ・高血圧の原因に女性ホルモンの影響が?更年期高血圧と対策 更年期高血圧は、更年期の身体の変化に伴って生じるものです。 更年期を過ぎると血圧が元に戻ることもありますが、多くの場合は加齢の変化と相まって高血圧のままとなります。命を脅かす病気に発展しないよう、血圧のコントロールを行うことが大切です。 毎日の生活習慣を改善し、早期に病院を受診しましょう。このコラムがご参考なれば幸いです。 No.3 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019.
最終更新日:2024.04.22 -
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高血圧の原因と対策:食事・運動・薬で血圧をコントロール! 高血圧を放置すると、脳卒中・心疾患・腎臓病など命に関わる病気に発展するリスクがあります。 それにもかかわらず、国内で4300万人と推計されている高血圧罹患者のうち、適切に血圧がコントロールされているのはたった3分の1といわれています。残りの3分の2の方はコントロール不良あるいは未治療、その半数は自分が高血圧であることに気づいてすらいないのです。 高血圧は、気がつかない間に重大な病気を引き起こし得るため「サイレントキラー」とも呼ばれています。 血圧を予防・改善するには何をすれば良いのでしょうか。鍵となるのは、食事や運動の見直しと適切な薬の使用です。 本記事では、高血圧の原因や症状、基準値などの基本的な情報とともに、効果的な対策法を分かりやすく解説していきます。 高血圧の原因:何が血圧を上げるのか 高血圧には、原因別に「二次性高血圧」と「本態性高血圧」の2つがあります。 二次性高血圧 二次性高血圧は、特定の病気が原因で血圧が上昇するケースを指します。 その病気を治療することで、高血圧を改善することが期待できます。 本態性高血圧 本態性高血圧は、複合的な原因で起こる高血圧のことです。 原因として、体質や遺伝的な要素に加え、不適切な食事・肥満・運動不足・喫煙などの生活習慣が関係しています。特に日本人は塩分をとりすぎやすく、血圧上昇に大きな影響があります。血圧を下げるためには減塩をはじめとした生活習慣の改善に取り組むことが必要です。 二つの高血圧のうち、圧倒的に多いのは本態性高血圧です。この記事でも主に本態性高血圧について取り上げていきます。 高血圧診断の基本:血圧の基準値とは 高血圧の診断は、診察室と自宅それぞれの血圧測定で行います。 まず、診察室血圧が【収縮期血圧140/拡張期血圧90mmHg以上】であれば自宅で血圧を測定します。 自宅の血圧が135/85mmHgであれば高血圧の確定診断となります。自宅での血圧が測定できない場合は、診察室の血圧だけでも「高血圧」と考えます。 では、基準値より低ければ正常かというと、そうではありません。 「正常血圧」は、診察室で測った血圧が120/80mmHg未満、自宅で測った血圧が115/75mmHg未満の場合を指します。 高血圧でなくても、正常血圧より高いグレーゾーンがあるのです。 病院での測定値で120〜139/80〜89mmHg、家庭血圧で115〜134/75〜84mmHgの場合が、以下のグレーゾーンに該当します。 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 高血圧の診断を満たさなくとも、血圧が高くなるにつれて脳卒中や心筋梗塞などの「脳心血管の疾患」が起こりやすいのです。また、グレーゾーンの方は生涯のうちに「高血圧」の基準を満たす可能性も高くなります。たとえ診断に至らなくても、血圧が高めの方は対策をとることをおすすめします。 また、自宅での血圧が高血圧に該当しなくても、診察室血圧のみが高血圧の基準を満たす場合は「白衣高血圧」といいます。白衣高血圧の方は高血圧でない方と比べて、将来的に脳心血管の病気を起こすリスクが高く、要注意です。 自宅血圧測定の方法:計測する時間帯や回数 自宅で血圧を測定することは高血圧の診断に重要ですが、それ以上に治療においても重要です。家庭血圧が降圧治療の一番の指標になるからです。 家庭血圧が正常範囲になることが、高血圧対策が有効と判断する重要な材料になるのです。高血圧と診断されたら、家庭血圧を毎日測って把握することが治療の第一歩になります。 では、家庭で血圧を測定するときのポイントをお伝えします。 家庭血圧測定のポイント 1日の中で血圧を測る時間帯は、朝と夜の両方が基本です。 朝は起きてから1時間以内に測ります。朝ごはんを食べる前、薬を飲む前、トイレに行った後が良いです。測定前に水分を取ることは構いません。夜は寝る前に測定しましょう。 血圧測定時は、1〜2分間じっと落ち着いてから行います。測る前に深呼吸をしてリラックスしましょう。急いで測定すると、正確な血圧が出ないことがあります。 血圧は原則的には、都度2回測定します。2回の結果はどちらとも記録しておきましょう。つまり、朝2回、夜2回、計4回測ります。 ・起床後 1時間以内に2回 ・就寝前 2回 2回測った血圧の値は、平均値で判断します。 高血圧の診断や治療の効果を判断するには、5〜7日間の血圧の平均値を用います。そのため、毎回の血圧測定毎に「高かった」「今日は下がっている」と一喜一憂することはあまり意味がありません。 家庭血圧測定で一番大事なことは、継続することです。ご自身の生活スタイルに合わせて測定時間を調整しましょう。 毎日決まった時間に測定することが望ましいですが、難しい場合は担当医師と相談しましょう。 高血圧の自覚症状:頭痛・肩こりとの関係と潜むリスク 高血圧のみでは自覚症状がないことが多いです。人によっては、血圧が高いと軽度の頭痛や肩こりなどの症状が現れることがあります。 一方で、血圧が急激に高くなることによって危険な状態に陥る場合もあります。それが、「高血圧緊急症」です。脳・心臓・腎臓・大きな血管などに障害をきたし、放置すると命に関わります。多くの場合は180/120mmHg以上の高度の血圧上昇により起こるものです。 高血圧緊急症の例として次のような疾患が含まれます。 〈高血圧緊急症の例〉 ・高血圧性脳症 ・脳卒中 ・急性大動脈解離 ・急性心不全 ・急性心筋梗塞 ・急性腎不全 とくに「高血圧性脳症」は耳慣れない言葉かもしれません。これは急激に血圧が上昇することで、脳の血流が必要以上に増加して脳が浮腫む病気です。 そのまま放置すると脳出血や昏睡状態を引き起こし、命を落とす危険性もあります。急激な血圧上昇に加えて悪化する頭痛・吐き気・嘔吐・視力の障害・意識障害・痙攣などの症状は、緊急で受診をする必要があります。 高血圧対策!生活習慣の見直しで予防・改善 高血圧は生活習慣病であり、生活習慣を見直すことは高血圧の予防・改善の第一歩です。 具体的に改善すべき点の例を以下に挙げます。 〈高血圧対策において見直すべき項目〉 ・塩分を控えめにしているか ・食事の内容は野菜・果物・魚などが中心になっているか ・運動習慣があるか ・適正な体重(BMI 25kg/m2未満)を維持できているか ・お酒を飲み過ぎていないか(エタノールで男性20-30mL/日、女性で10-20mL/日以下) ・タバコを吸っていないか このような項目の1つだけを見直したとしても、一気に10mmHgも20mmHgも血圧が下がるものではありません。2つ、3つと可能な限り複数合わせて取り組むことで、大きな効果をもたらす可能性はあります。 降圧薬を飲んでいる状況でも、生活習慣を改善することで薬を減らすことができるかもしれません。それぞれの項目は互いに関連することも多いため、まずはできることから始めましょう。 食事療法で高い血圧を下げるには 食事で血圧を下げるのに重要な見直しポイントは「減塩」と「食事の内容と量」です。また、「飲酒量のコントロール」も大切です。一つずつ解説していきましょう。 減塩について 減塩については、1日に6g未満を目標にします。 厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によると日本人の1日の塩分摂取量の推定は10.1gとされています。多くの日本人にとって6g未満の塩分量の食事は、非常に薄味に感じるでしょう。 医療機関では尿検査で1日の塩分量の推定をすることができます。あくまで推定値で誤差はありますが、自分がどのくらいの塩分を取っているかを知る一つの目安になるでしょう。気になる方はかかりつけの病院や最寄りの医療機関で相談してみてください。 減塩のポイントは、出汁やスパイス、お酢などを上手に使うことです。また、漬物やハム・ソーセージなどの加工食品には食塩が多く含まれるためなるべく避けましょう。味噌汁やラーメン・うどんなどの汁は飲み干さないようにしましょう。 食事の内容と量 食事の内容としては、野菜・果物・魚を積極的に摂り、肉類など動物性の脂肪は控えめにすることが重要です。 野菜や果物に多く含まれるカリウムは、塩分に含まれるナトリウムを排出させて血圧を下げることがわかっています。ただし、カリウム摂取については腎臓病の方は制限が必要な場合もあります。通院中の方は主治医の指示に従いましょう。 肉や高脂肪の乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸が過多になると、血中のコレステロールが増え動脈硬化が進み血圧が上がります。一方で魚や多くの植物性油脂・ナッツなどに多く含まれる不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減らし血圧を下げる効果があります。 そして、どんなに体に良い食事でも食べ過ぎは肥満のもとです。肥満は血圧上昇とも関連するため、腹八分目を心がけましょう。 飲酒量のコントロール 飲酒習慣は血圧を高くします。節酒も血圧を下げるのに有効です。高血圧がある方の飲酒量の目安は1日あたりエタノールで男性20-30mL、女性で10-20mL以下です。 〈1日あたりの飲酒量の目安:男性の場合〉 ・日本酒 1合 ・ビール 中瓶1本 ・焼酎 0.5合 ・ウイスキー ダブル(約60mL) ・ワイン 2杯 ※女性はこの半分を目安にしてください。 運動療法で血圧は下がる?有酸素運動のすすめ 運動は血圧を下げるだけでなく、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や改善にも効果があります。 おすすめは有酸素運動です。ウォーキングやジョギング、エアロビクス、水泳など、ご自身が楽しいと感じるものが継続しやすいでしょう。 「少しきつい」と感じるくらいの運動強度で、1日30分以上行ってください。 毎日続けるのが難しい場合は、まずは週に1回でも運動習慣を作るところから始めてみてはいがかでしょうか。 薬物療法による高血圧のコントロールについて知ろう 高血圧の薬は様々な作用機序で血圧を下げます。代表的なものは以下の通りです。 〈代表的な降圧薬〉 ・ACE阻害薬、ARB:血圧を上昇させるホルモンの作用を阻害する ・カルシウム拮抗薬:血管を拡張させて血圧を下げる ・利尿薬:余分な水分やナトリウムを体外に排出する ・β遮断薬:交感神経を抑制して心収縮を抑えて血圧を下げる 血圧を下げる薬を内服する上で大切なことがあります。それは、血圧が下がっても自己判断で中止しないことです。 どのような降圧薬であっても、効果はあくまで一時的なものです。飲み始めて血圧が下がったからと内服をやめてしまうと、元の高い血圧に戻ってしまいます。ただし、生活習慣を良くしていくことで徐々に減薬・中止をすることができる方もいます。薬の調整は、運動や食事に気をつけながら、家庭血圧の測定結果をもとに医師と相談して決めましょう。 まとめ・高血圧は食事・運動・薬でコントロール! 本記事では高血圧の原因をはじめとした基本情報と、効果的な対策について説明しました。 高血圧の多くを占める本態性高血圧では、塩分のとりすぎをはじめとした生活習慣が大きく関わっています。症状がないからといって高血圧を放置すると、命に関わる病気を起こしかねません。 血圧が気になるのであれば、まずは定期的な血圧測定を行い日々の血圧がどのくらいかを把握するように努めましょう。 高血圧対策の第一歩は生活習慣を改善することです。一気に運動も食事も改善しようとするのが難しければ、できるところから始めてみましょう。薬をすでに処方されている方は、しっかり続けることもお忘れなく。 本コラムが皆様の健康的な生活に少しでも役立ちますと幸いです。 No.2 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019
最終更新日:2024.04.24 -
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高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説! 高血圧は世界中で数多くの人々が罹患している疾患です 。この病気は、しばしば「サイレントキラー」と呼ばれています。 高血圧自体では症状がほとんどないにもかかわらず、心臓病や脳卒中など、命に関わる病気のリスクを高めるからです。高血圧とストレスの関係は、多くの研究で注目されており、これら二つの間には密接なつながりがあることがわかっています。 本記事では、ストレスと高血圧の関係を深く掘り下げ、予防や改善のために役立つポイントを解説していきます。 高血圧とは何か 高血圧は、血液が血管壁にかかる圧力が通常よりも高い状態を指します。この状態が継続すると、心臓や血管に過剰な負担がかかり、心臓病、脳卒中、腎臓病などの重大な健康問題のリスクが高まります。 血圧は「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の二つの数値で表されます。 収縮期血圧(上の数値)は、心臓が収縮して血液を体中に送り出す際の圧力です。拡張期血圧(下の数値)は、心臓が次の収縮に備えて血液で満たされる際の圧力です。 通常、成人の正常な血圧は収縮期が120mmHg未満、拡張期が80mmHg未満とされています。一方、高血圧は、収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が80mmHg以上である状態を指します。 引用) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 血圧は、測定する場所によって以下のように分けられています。 診察室血圧 医療機関で医療従事者が測定する血圧です。 この環境で高い血圧を示す人は、白衣高血圧の可能性があります。 白衣高血圧は、医療機関での血圧測定時にのみ高血圧の値が出る状態を指します。家庭での測定や、24時間血圧モニタリングでは正常範囲内の血圧値を示すにも関わらず、医療機関で測定すると血圧が上昇する現象です。この現象は、医療環境に対する不安や緊張が原因で起こります。 白衣高血圧自体が直接的な健康リスクを示すわけではありませんが、一部の研究では、白衣高血圧の人が将来的に持続的な高血圧(本態性高血圧)を発症するリスクが高まる可能性が指摘されています。したがって、白衣高血圧の診断を受けた場合でも、定期的な血圧のモニタリングと、必要に応じたライフスタイルの見直しが推奨されます。 家庭血圧 患者自身が自宅で測定する血圧です。 日常生活における血圧の変動をより正確に把握できる方法とされています。 24時間血圧モニタリング(ABPM: Ambulatory Blood Pressure Monitoring) 24時間持続的に血圧を測定する方法で、患者が通常の日常生活を送りながら測定します。 昼夜の血圧の変動や、睡眠中の血圧を含めた全体的な血圧コントロール状態を評価するのに有用です。 高血圧2つのタイプと原因 高血圧には二つの主なタイプがあります。「一次性高血圧」(原因不明の高血圧)と「二次性高血圧」(特定の原因による高血圧)です。 一次性高血圧 ほとんどの高血圧はこのタイプに該当し、明確な原因は特定されていませんが、遺伝、食生活、生活習慣など複数の要因が関連していると考えられています。 二次性高血圧 何らかの病気や状況が原因で血圧が高くなるケースです。腎臓病、内分泌異常、特定の薬剤の使用などが原因で起こります。 高血圧のリスク要因として考えられること 高血圧のリスクを高める要因には、以下のようなものがあります。 ①年齢 加齢とともに血圧は高くなる傾向にあります。 ③性別 年齢によっては、 男性の方が女性より 高血圧になりやすい時期があります。 ③家族歴 高血圧の方が家族に多い場合、遺伝的要因が関係している可能性があります。 ④不健康な生活習慣 不健康な食事(特に塩分の過剰摂取)、運動不足、肥満、過度のアルコール摂取、喫煙などが高血圧のリスクを高めます。 ⑤ストレス ストレスと緊張も高血圧のリスクを高める重要な因子です。 なぜストレスがかかると血圧が上昇するのか? さて、血圧が上がる原因の一つに、ストレスがあると述べました。 ストレスは、私たちの身体に多方面から影響を及ぼします。その影響の一つとして、身体の自律神経系を活性化させることで心拍数と血圧を一時的に上昇させることが知られています。これは、身体が直面した脅威に対処するための「戦うか逃げるか」の反応として機能し、短期間であれば自然な生理現象とみなされます。しかし、この反応は短期的なものに留まらず、ストレスが慢性化すると、高血圧を引き起こす原因となり得ます。 慢性的なストレスは、心拍数と血圧の持続的な上昇を引き起こし、高血圧につながる恐れがあります。加えて、ストレスが多い環境にいると、健康に良くない食生活や運動不足など、高血圧につながる他のリスク要因が増えがちです 。不健康な生活習慣は、さらに血圧に悪影響を及ぼし、悪循環を生むことになります。 ストレスは交感神経を刺激し、一時的な心拍数と血圧の上昇を引き起こすだけでなく、長期間にわたるストレスの影響で高血圧症を引き起こす可能性があることが分かります。 そして、慢性的なストレスが不健康な生活習慣へと導くこともあり、さらに血圧に悪影響を及ぼす可能性があるのです。したがって、ストレス管理は血圧コントロールの観点からも非常に重要であると言えます。 高血圧を引き起こす主なストレス源 職場や家庭内でのストレスは、高血圧の主な原因の一つとして広く認識されています。 職場での過剰な負担や、期限の迫ったプロジェクト、職場内での対人関係の問題などが、ストレスレベルを高める主な要因となるのです。これらのストレスは、交感神経系を刺激し、心拍数の増加や血管の狭窄を引き起こし、結果的に血圧を上昇させる可能性があります。 家庭環境も、ストレスの大きな源となり得ます。家族間の不和、経済的な問題、子育てや介護などの責任は、個人のストレスレベルを大幅に高めることがあります。家庭内でのストレスは、しばしば外部には見えにくいため、解決されずに長期化することがあります。このようなストレス状態が続くと、心身の健康に悪影響を及ぼします。特に血圧に関しては、その数値を大幅に高めるリスクになります。 さらに、職場と家庭の双方からのストレスは、不健康な生活習慣につながってしまうことがあります。過剰なストレスは、不安や抑うつといった精神的な問題を引き起こすことがあり、これが不健康な食事、運動不足、過度のアルコール摂取や喫煙など、高血圧に直結する生活習慣へつながるのです。したがって、職場や家庭内でのストレス管理は、血圧を健康的なレベルに保つために、 極めて重要です。 血圧測定時にストレスの影響で血圧は変動するのか 病院や自宅で測定した血圧が正常でも、職場や家庭のストレスにさらされている昼間の時間帯の血圧が高くなることがあります。具体的には、135/85mm/Hg以上の場合、昼間高血圧と定義されています。 精神的・身体的なストレスは血圧に影響を与えることが知られています。 健康診断の際や病院での血圧は正常でも、ストレス状況にある職場で測定した血圧が高い「職場高血圧」は、肥満の方や高血圧の方が家族にいる方に多いという特徴があります。 高血圧の治療 -生活指導や薬物療法 - 高血圧治療は、患者のライフスタイルの見直しと薬物療法を組み合わせていきます。 ①ライフスタイルの改善 高血圧治療においては、生活習慣の改善が重要となります。例えば、食生活、運動習慣、禁煙、ストレス管理など、日々の生活習慣を見直していきます。 具体的には、塩分の過剰摂取を避け、果物や野菜を豊富に含むバランスの取れた食事を心がけ、規則正しい運動を行うことが推奨されます。 具体的な食塩摂取量は、「健康日本21(第三次) 」の目標値では7g未満、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。 成人男性・・・7.5g未満 成人女性・・・6.5g未満 また、日本高血圧学会では、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることが勧められています。 禁煙や適度なアルコール摂取、良好な睡眠習慣、効果的なストレスマネジメントが血圧管理に役立ちます。 ②薬物療法 生活習慣の改善だけでは血圧がコントロールできない場合、薬物療法が検討されます。 血圧降下薬には、ACE阻害薬、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、βブロッカーなどがあります。 患者の状態や既往症などを医師が総合的に判断することによって、こうした薬剤は個別に処方されます。 ストレスによる高血圧の予防法 - 生活習慣の改善 - 上記で述べたように、ストレスは高血圧と深い関係があります。そこで、ストレスに上手く対処することが血圧の上昇を防ぐために重要となります。 ここでは、ストレスへの対処法と改善策を詳しくご紹介します。 規則正しい運動 軽い有酸素運動は、ストレスを軽減し、血圧を低下させるのに役立ちます。週に数回、歩行やジョギング、水泳などを行うことをお勧めします。 バランスの取れた食事 塩分の摂取量を控えめにし、果物、野菜、全粒穀物を豊富に含む食事を心掛けてください。これらは血圧を健康的なレベルに保つのに役立ちます。 十分な睡眠 良質な睡眠はストレスレベルを低下させることができます。毎晩7〜8時間の睡眠を目指しましょう。 禁煙と節度ある飲酒 喫煙と過度の飲酒は血圧に悪影響を及ぼします。これらの習慣を控えることで、血圧の管理に役立ちます。 深呼吸や瞑想 深呼吸や瞑想は、ストレスを感じたときに交感神経の活動を鎮め、リラックス効果を促進します。日常生活にこれらの練習を取り入れることで、ストレスレベルを下げることができます。 趣味や興味の追求 好きな活動や趣味に時間を割くことで、心のリフレッシュが可能となり、ストレス軽減につながります。 社会的サポート 友人や家族との良好な関係は、ストレスの軽減に非常に重要です。信頼できる人と感情を共有することで、ストレスを効果的に管理できます。 ストレスに上手く対処することが、血圧の上昇を防ぐために重要です。日常生活にぜひ取り入れてみましょう。 まとめ・高血圧とストレスの深い関係とは?予防法や改善策を解説! 高血圧とストレスは、現代社会において無視できない健康問題です。しかし、適切なストレス管理、健康的な生活習慣、そして必要に応じて医療機関を受診し、治療を受けることによって、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。 生活の中で意識的にリラックスする時間を作り、バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.1 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献 高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p18 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p15 高血圧:診断と治療の進歩 トピックスI.診断と病態 1.本態性高血圧の成因.日本内科学会雑誌.2007;96(1):4-8. 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p21 高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)作成委員会 p22 健康日本21(第三次) 厚生労働省 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針 p28
最終更新日:2024.04.22 -
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リウマチによる膝の関節炎とは?症状と治療について医師が解説 関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも非常に多い症状の1つです。膝が痛いときは、変形性膝関節症で年のせいと思うかもしれませんが、もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 関節炎、関節リウマチとは 関節炎とは様々な原因で関節に炎症を起こしている状態の総称であり、関節リウマチは関節炎を起こす病気の1つです。 関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こり、痛みや腫れを起こしてしまいます。関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形したり、痛みだすなど、機能的な障害をきたしてしまいます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40-60歳代ごろの中高年の女性に発症します。正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患と考えられており、自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜という組織にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られることが原因と考えられています。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。また、膝関節で滑膜が増殖して、炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は、膝が腫れる、膝に水が溜まる、歩く時や階段での痛み、膝が曲がらないなどです。膝の痛みは膝裏に起こることが多く、曲げ伸ばしの時に音が生じることもあります。 また、炎症が強い場合には安静にしていても激痛を感じたり、歩けないくらいの痛みを生じる場合もあります。 膝関節炎、放っておくとどうなる? 膝関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまい、徐々に関節の変形が進んでいきます。その結果、徐々に膝の曲げ伸ばしが難しくなり、骨同士がぶつかることによって痛みが悪化してしまいます。関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。これは関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。そのため、関節リウマチの診断基準を使用して診断を行います。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用することが一般的です。 この基準では、 ①症状がある関節の数 ②症状が続いている期間 ③血液検査での炎症反応の数値 ④血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 これらの4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。しかし、両方とも陰性でも関節リウマチである場合や、陽性でも関節リウマチではない場合もあります。また、炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇することがあります。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では骨びらんという、骨の透亮像がみられる場合があります。また関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 治療の基本は、薬物治療です。リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始します。また、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 お薬を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をする方法があります。しかし、膝関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合には、人工関節置換術などの手術治療が行われます。 抗リウマチ薬の種類 抗リウマチ薬には複数の種類があります、日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を紹介します。 第一段階ではメトトレキサートが推奨されます。世界中で使用されている薬剤で有効性が高いことから関節リウマチ治療の第一選択となっています。 メトトレキサートに複数の抗リウマチ薬を併用しても炎症が治らない場合には第二段階の治療として、生物学的製剤やJAK阻害薬というお薬が使用されます。バイオテクノロジーを用いて製造されたお薬で、非常に効果が高いのですが、同時に自己免疫を抑える作用があるため、専門医に処方してもらうことが必要です。 ・メトトレキサート ・生物学的製剤 ・JAK阻害薬 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者さんも多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっており、効果が高いお薬もあるため、適切に治療することで症状を抑えることが可能になってきています。 まとめ・リウマチによる膝の関節炎とは?症状と治療について医師が解説 関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチによって膝関節炎が起きている場合は、放置してしまうと関節の変形、破壊が進行してしまい、人工関節手術が必要になることもあります。そのため、早期に発見、治療することが大事な病気です。 早めに治療をすることで、悪化を防ぐことができるので、膝に痛みがあり、なかなかよくならない方は早めに病院を受診するようにしましょう。 No.S151 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.02.12 -
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関節リウマチしてはいけないことについて 関節リウマチの原因は、「自己免疫疾患」とみなされる「炎症性疾患」です。特定の食品や飲料を除去すること、また特定の運動や生活様式を避けることは関節リウマチの人々の症状を緩和し、全体的に生活の質を向上させる可能性があります。 この記事では、関節リウマチを患っている場合に避けるべき飲食品、また生活様式を紹介します。 関節リウマチ!避けるべき食事とは まず、関節リウマチには食事に注意が必要様です。症状を悪化させる可能性のある飲食品があるからです。ここでは、それについてご紹介しましょう。 砂糖に注意 砂糖の摂取は、元気な人であってもある程度の制限はすべきですが、関節リウマチを患っている場合は特に注意が必要です。 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした、自己申告による研究では、20種類の食品のうち、砂糖入りの炭酸飲料とデザートを摂取することが、関節リウマチの症状を悪化させることと関係があると報告しています。 (出典: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/ ) さらに、約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%上昇していました。 (出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/) (出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4135503/)。 つまり砂糖は、「関節リウマチの悪化因子」であるだけなく、「発症リスクを高める因子」でもある可能性があるということです。なお、砂糖は、キャンディー、炭酸飲料、アイスクリームだけでなく、バーベキューソースやドレッシングなどのようにあまり目立たない食料品にも含まれているので注意が必要です。 加工肉と赤身肉に注意 赤身肉や加工肉も、関節リウマチを悪化させる可能性のある食品として知られています。 前述の217人の関節リウマチ患者を対象とした研究でも、赤身の肉は共通して関節リウマチの症状を悪化させることが分かっています。 (出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/) さらに、約2万5千人を対象に詳しく調査した研究でも、赤肉の大量摂取は関節リウマチの危険因子である可能性があると判定されています。 (出典:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/art.20731)。 高度に加工された食品に注意 ファーストフードや朝食用シリアルなどの加工食品は、精製された穀物や砂糖、保存料、その他炎症を引き起こす可能性のある成分を多く含んでおり、すべて関節リウマチの症状を悪化させる可能性があります。 また加工食品を多用した欧米型の食生活は、炎症や肥満などの危険因子を助長し、関節リウマチの患者における心筋梗塞や脳卒中など、心血管系の疾患を発症する可能性が高くなることもわかっています。 (出典:https://link.springer.com/article/10.1007/s10067-019-04916-4) 特定の植物油に注意 植物油に多く含まれる「オメガ6系脂肪」が多く、魚油やエゴマなどに含まれる「オメガ3系脂肪」が少ない食事は、関節リウマチの症状を悪化させることがあります これらの脂肪は健康維持に必要なものです。しかし、西洋系の食事に含まれる油はオメガ6系が多く、オメガ3系が少なすぎるため、双方の比率がアンバランスとなり、炎症が増加する可能性があります。 (出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817233/)。 植物油などのオメガ6系脂肪を多く含む食品の摂取を減らし、脂肪分の多い魚などのオメガ3系脂肪を多く含む食品の摂取を増やすと、関節炎の症状が改善される可能性があります。 関節リウマチで避けるべき運動や生活様式とは 次に、関節リウマチの方の症状を悪化させる可能性のある運動や生活様式をご紹介します。 過度な運動は避けましょう 関節リウマチの方々に、適度な運動は推奨されています。しかし、痛みを堪えなければできないほどの過度な運動は避けるべきです。 よく関節リウマチの方が痛みを訴えると、安静にすることを指導されます。しかしここでいう「安静」とは「まったく動かさない」」ということではありません。 むしろまったく運動しないことによって、各関節を支える筋肉の力が低下したり、筋肉が萎縮したりして、結果として関節が固まってしまって動かせなくなってしまう、拘縮を生じることがあります。 そこで手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持するために、適度な運動を行うことはとても重要なことです。 ただ関節が腫れたり、熱感があったりするときは、内服だけでなく冷湿布をし、安静にし、重い荷物を長時間持ったり、長時間歩いたりなど、関節に負担がかかることは避けるようにしましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身が消耗する病気です。そのため、全身と関節の安静が必要です。夜、十分な睡眠をとるとともに、日中も疲れたら休憩や昼寝など適時休息をとることが大切です。心身の疲れを溜め込みすぎないように心がけましょう。 体や関節を冷やしすぎてはいけません 関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い時期だけでなく、夏の時期も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。ただし、関節が腫れて熱感があるときは、関節の炎症が起きている可能性もがありますので、その際は温めないようにしましょう。 首に負担のかかる行動を避ける 関節リウマチは、進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限を来します。そのような状況で、過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、また呼吸障害をきたす可能性があります。 したがって、朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰を掛け間を置いて立つ習慣をつける。そして朝は不用意に首を回さないようにすることです。 また運動する時も首の運動は原則として禁止しましょう。首の骨に異常のないことが医師の診察のもと確認できていれば、指導を受けながら首の運動をすることは構いません。 まとめ・関節リウマチでやってはいけないこと 関節リウマチを患っている場合、健康的な食事とライフスタイルが症状の改善に役立つ可能性があります。 特に食事や、生活様式は症状の管理に大きな影響を与えます。加工度の高い食品、赤身の肉、揚げ物、砂糖を多く含む食品など、特定の食品や飲料を避けるべきであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。 これら砂糖や加工食品の摂取を制限し、赤身肉や加工肉も控えれば炎症の悪化を防ぐことができます。 また、適切な運動と休息を取ることも重要です。関節の負担を減らし、筋力や可動域を維持することで、関節リウマチの症状を和らげることができます。 適切な食事と生活様式の選択は、関節リウマチ患者の生活の質を向上させる上で不可欠です。 是非、健康的な生活を送ることができるよう、この記事を参考にしていただけましたら幸いです。 以上、関節リウマチしてはいけないことについて記させていただきました。 No.085 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
最終更新日:2024.04.24 -
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膝に水がたまる病気と、水を抜いたあと注意すべきこと 多くの方を悩ませる「膝の痛み」。膝痛の症状が長期にわたると日常生活に支障をきたすようにもなってきます。このような膝の痛みを抱える方によくある症状のひとつに「膝に水が溜まる」というものがあります。 この症状のある方は医療機関を受診した際に膝に溜った水を抜く処置を受ける場合が往々にしてあります。この記事では、主に膝に溜った水を抜いたあとの注意点について医師が解説したいと思います。 なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 膝の水はなぜ溜まるのか? 膝の関節は、関節包というもので覆われ、更にその中には、滑膜と言われる膜があり、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割を果たす「関節液」が存在します。この関節液は、健常者においても常に作られながら吸収され、一定の量になるように調整されています。 これが半月板損傷や、変形性関節症など関節の炎症をはじめとして、骨折や何らかの感染や外傷、靭帯損傷、痛風、偽痛風、関節リウマチなどといった原因により関節液が作られるスピードが吸収されるスピードを超えてしまうことがあります。 これにより「膝に水が溜まる」という症状が起こります。 膝に水が溜る原因(病気) ・半月板損傷 ・変形性関節症 ・靭帯損傷 ・痛風、偽痛風 ・関節リウマチ 何らかの関節の炎症 ・骨折 ・何らかの感染や外傷 なぜ膝に溜った水を抜くのか? 膝の痛みで医療機関を受診した際に膝の水を抜くことがありますが、医療用語でこの診療行為を「関節穿刺」といいます。 この関節穿刺には主に診断と治療の2つの目的があります。 ①関節液が溜まる原因を調べるとき(診断): ・膝に水が溜まる原因はさまざま ・その原因によって適切な治療が変わる可能性がある。 ・関節液を採取し、検査することで膝に水が溜まっている原因を知る(関節穿刺) ②関節の痛みを和らげるとき(治療): ・膝に水が溜まると、その溜まった水が膝の痛みをより悪くする可能性がある。 ・関節液を排出したり、状況に応じて関節内注射を行い症状を和らげることがある。 ・kぽのような治療目的に関節穿刺(膝の水を抜く)を行う場合があります。 膝の水を抜いた後の注意|合併症 関節穿刺を行った後に注意することは、関節穿刺によって起きる別の症状や病気、つまり合併症です。関節穿刺後の一般的な合併症について解説します。 ①感染 ・通常、関節内は無菌状態です。 ・関節穿刺を行うことで細菌が関節内に入ってしまうことがあります。 ・細菌が関節内に入り感染を起こす可能性があります。 ・症状は、膝が赤く腫れたり、熱持ったり、痛みを伴うことがあります。 通常、関節穿刺を行った後数時間は穿刺を行ったことによる痛みが生じることがありますが、これが長引く場合はこの感染の可能性があります。 一般的な目安としては48時間以上持続する症状、48時間以内でも悪化を伴う症状を認めた場合には感染などの可能性を考慮し、可能な限り処置を行った医療機関に相談することをお勧めします。 ②出血 ・関節穿刺で関節周囲の血管を傷つけることがあります。 ・血管が傷つくと出血を起こすことがあります。 ・多くの場合は細い血管の損傷にとどまり、自然に止まることがほとんどです。 ・穿刺後に貼付していたテープなどを剥がした際に出血が起きても、しばらく圧迫すれば止血が可能です。 他の持病などで血液をサラサラにする薬を飲まれている方や、もともと血が固まりにくい病気の方、またより大きな血管を損傷してしまった場合などは自然に止血できないこともあります。 ※圧迫しても止まらない出血は、速やかに処置を行った医療機関にご相談ください。 ③その他 ・その他の合併症として、関節内に薬剤を注射した場合に起こりやすいものもあります。 ・例えば、アレルギー反応は通常原因となる薬剤などの物質を投与されてから起こる合併症です。 ・数時間以内に、発疹・呼吸困難感・腹痛などの多彩な症状を生じることが多いです。 ・多くの場合は投与後すぐに発症し、医療機関で発見される場合がほとんどです ・まれに帰宅後に発症することもあります。 血管以外の神経、靭帯、腱などの損傷も稀な合併症の例です。穿刺のみでこれらの組織に重大な損傷をきたすことは稀ですが、薬剤注入などを伴うと症状をきたす可能性があります。 膝の水を抜いた後に注意しておきたい観察項目 関節穿刺後に気になる症状が出現した場合、どこまで様子を見て良いのか判断に迷うことがあると思います。悩んだ場合はまず処置を行った医療機関に相談することをお勧めしますが、一般的な観察項目について解説します。 ・症状が長く続く: 通常、痛みなどの症状は処置をしたことにより生じたものであれば数時間から1日程度で消失します。しかし、なかなか症状が消失せず持続期間が長い場合は合併症を疑うサインとなります。 ・症状がどんどん悪くなる: 処置からあまり時間が立っていなくても、どんどん悪化する症状は合併症を疑うサインになります。通常徐々に改善する痛みが、ぶつけたなどのきっかけもなく悪くなる場合は速やかに相談しましょう。 まとめ・膝に水がたまる病気と、水を抜いたあと注意すべきこと 今回の記事では膝に水がたまる病気と、水を抜いたあと注意すべきことについて解説しました。 症状が出現した際に自己判断で放置せず気になる場合は速やかに処置を行った医療機関に相談しましょう。処置を行った医療機関が時間外などで対応できない場合は夜間救急などの受診を検討しましょう。 https://youtu.be/IyBCkOjTPi8?si=NqgIWpsWtI96eVEh ▶こちらの動画でも詳しく解説しています。是非ご覧ください。 No.072 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療が膝の治療を変える! 変形性膝関節症をはじめ膝の障害に対する新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療 ▼以下もご参考にしてください 膝の上の筋肉、ふとももが痛む場合の対策と考えられる病気
最終更新日:2024.04.08 -
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人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝関節に変形や炎症が起きたりする病気があると、膝に人工関節を入れなくてはいけない状態になることもあります。それが膝への人工関節置換術という名称の手術になります。その手術を決断する前に、手術の流れや合併症、手術に備えて準備するべきことなどを知ることは非常に大事です。 膝関節とは まず、膝関節とは何かについて述べていきます。膝関節は3つの骨で支えられています。太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、いわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の3つです。 その3つの骨と、太ももの筋肉である大腿四頭筋と、膝の腱である膝蓋腱で膝関節をつくっています。これらの3つの骨と筋肉、腱が支え合うことで、私たちが、走ったり、飛んだり、座ったりするときに安定するようになっています。 膝関節の病気 膝関節の病気については様々なものがあります。変形性膝関節症、膝靭帯損傷、関節リウマチなど様々な病気があります。また、スポーツ外傷でも膝の慢性的な障害を起こしたりします。それらの病気の中で、変形性膝関節症や関節リウマチは、変形や炎症が強くなった時に、人工膝関節置換術という、人工関節のための手術を行う必要のある病気です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝が痛くなり水が貯まる病気です。最初は歩き始めに痛い程度ですが、徐々に階段を登ることが難しくなり、最終的には、休んでいる時も痛みが取れなくなるような病気です。 変形性膝関節症では、膝が変形して、伸ばすことができなくなります。変形性膝関節症の治療法は、症状が軽いうちは、炎症を抑える薬を飲んだり、膝関節にヒアルロン酸の注射をしたり、リハビリを行なったりします。しかし、重症になると、人工関節の手術をするか否かの選択が必要になります。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節内にある『滑膜』とよばれる組織が、異常に増えることが原因で、関節の中に炎症が起きる病気です。関節リウマチでは身体の中のいろいろな関節が破壊されるので、膝だけでなく、手や足など様々な関節に変形を起こします。 関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や、炎症を抑える薬、免疫抑制剤、ステロイド剤などの薬を飲むことが一番大事です。お薬の治療に併用して、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリなどが行われることもあります。 関節リウマチも治療が遅れたりして重傷になると、人工関節のための手術を行うか同課の選択が必要になります。 膝の人工関節とは 膝の人工関節は、金属や、ポリエチレンやセラミックなどで作られます。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で、変形し傷ついた膝関節を取り出して、手術によって膝用の人工関節を変わりに入れます。悪くなってた関節を置換えるイメージです。 この人工関節は、膝の動きを再現するために3つの部品から作られています。人工関節の3つの部品は、実際の膝を構成している3つの骨(大腿骨部、脛骨部、膝蓋骨部)の部分をそれぞれ担当しています。 人工関節置換術/手術 膝の人工関節を入れるためには人工関節置換術という手術が必要です。手術が必要ということは、もちろん入院も必要です。昨今の新型コロナウイルスの関係で、入院生活は、家族や友人との面会が制限されているところが多いです。 入院前に入院生活のために必要な物品や、家族や友人との連絡手段を事前に決めておく必要があります。手術は全身麻酔をかけて眠った状態で行われます。そのため、麻酔から覚めて、目が覚めると手術が終わっている状態になります。 手術自体は、膝の皮膚を切り開いて、骨が見える状態になったら、器械を使って傷のある膝の部分を削り、人工関節の形に合わせて残りの骨の形を調整します。形の調整ができたら人工関節をはめ込みます。しっかりと固定できていることを医師が確認したら、縫い合わせます。 手術の傷口にたまった血液を出すための管を入れて傷口をふさぎ手術が終わります。手術の時間は、平均2−3時間程度のことが多いですが、もともとの病気や膝の状態に応じて手術の時間は変わってきます。 人工関節置換術の術後 手術が終わればすぐに退院できるという訳ではありません。手術した関節を安定させるために、リハビリを開始します。リハビリは手術後の状態に応じて開始時期が異なりますが、早ければ手術翌日から段階的に始めることが多いです。 リハビリは、寝たまま膝を伸ばしたりして筋力をつけることから始まり、だんだんと平行棒などを使用したり、歩行器などで歩く練習などへと移行していくのが一般的です。 外来通院でリハビリを実施できる患者さんは退院が早くなりますが、外来に通院するのが難しい患者さんは、手術した病院からリハビリ専門の病院に転院してリハビリを行うことになります。 そのため入院期間は患者さんによって異なりますが、多くは2週〜4週くらいのことが多いです。 人工関節置換術(手術の合併症) 人工関節置換術を行うことで一番気をつけなくてはいけないのが、手術した場所に悪い菌が感染することです。感染すると、腫れたり、発熱したりします。 手術した場所に感染が起きると抗生物質による治療が行われますが、多くの場合、再び手術のやり直しが必要になることがあります。そのほかには麻酔によるアレルギー反応や、手術によって身体が防御反応を示し、血液が固まりやすい状態になることから血栓症の心配もあります。 手術中はもちろん、手術後にじゃ身体を動かすことができないことから、血の流れが滞ることで静脈内に血栓という血液が固まったものができる事がああります。これが深部静脈血栓症です。この血の塊が血液の中に混じって肺へ移動することで、肺の血管を詰まらせることがあります。これを肺塞栓症といい、生命の危機にもかかわりかねないため注意が必要です。 その他、術後としては、人工関節のゆるみや、歩けるようになったことで逆に転倒し、脱臼や、その周りの骨を骨折するという心配もあります。もちろんこれらのリスクには予防法があります。手術に際しては主治医から説明を受け、十分に納得して挑んで頂ければと思います。 人工膝関節置換術/手術の一般的なリスク ・細菌による感染症(抗生物質、再手術) ・麻酔によるアレルギー反応 ・肺塞栓症、深部静脈血栓症 ・人工関節は、緩むことがある ・転倒による脱臼や骨折の可能性 ・その他 まとめ・膝の人工関節、手術を決断する前に知っておくべきこと 人工関節にするには、手術が必要なため入院が必要です。入院期間は短くはなってきましたが1か月ほどは見ておきたいものです。また、手術を行うことによる合併症のリスクもあります。できれば膝に違和感を感じたり、痛みを感じるようになった時は早めにリハビリや投薬などの保存的治療を受けて手術を避けることが一番です。 ただ、既に症状が進んでしまった場合は、しっかりと説明を受けて納得して手術を受けましょう。 ですが近年は医学が発達、「再生医療」という新しい先端医療を選択できる道ができました。この方法なら手術が不要で、入院も不要という興味深い方法です。 https://youtu.be/N1DJGcURhsg?si=rMtZGgghatI3U2n0 ▶山や川が好きな患者様。再生医療(幹細胞治療)を体験されたご友人にお薦めされご来院。 手術に不安をお待ちの方は、当院のような再生医療専門の医療機関に問い合わせてみても良いでしょう。いずれにしても人工関節になると、元には戻せないだけによく理解してお取組みください。 また、昨今は新型コロナウイルスの関係で面会が制限されています。家族と会えない数週間は、患者さんにとって、とても寂しくつらい期間です。手術のために入院する患者さんは、家族や友人とビデオ通話ができるように準備などをしてのぞむのも一つ方法ではないかと思います。 以上、膝への人工関節置換術、その手術を決断する前に知っておくべきことについて記載させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 No.070 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療が膝関節の治療を変える! 手術不要、入院も必要ない日帰りで治療する膝関節症の新たな選択肢、再生医療
最終更新日:2024.03.29 -
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- 変形性膝関節症
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膝の痛み|朝寝起きや歩きはじめに痛みや違和感を感じたときの治療法 膝の痛みは、しばしば経験する症状です。膝は、座る・立つ・歩くといった日常動作に深く関わるため、症状が強くなると日常生活への影響はとても大きなものになります。 膝の痛みを抱える方の中には、「朝寝起きに膝が痛い」「歩きはじめの膝に違和感を感じる」といった症状を経験する方もいるのではないでしょうか。 この記事では、そのような特徴的な症状を含む膝の痛みを生じる疾患と、その原因および治療法について解説します。なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 朝の寝起きに膝が痛む、歩きはじめ膝に違和感を感じる 膝の痛みの中でも、このような症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」などの疾患に特徴的と言われています。それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きた時や、動き始めの時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 原因① 関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患で、その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 ・関節リウマチの診断 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけでなく、レントゲン上での関節腔の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 ・関節リウマチの治療 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 原因② 変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症することもあります。 ・変形性膝関節症の診断 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされていますが、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とすることがあります。 レントゲンでは関節腔の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 ・変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主眼となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。しかし、加齢による変化そのものは不可逆性のため、消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮することもあります。 > 変形性膝関節症の新世代医療「再生医療」とは 関節リウマチと変形性膝関節症の違い 今回紹介した関節リウマチと変形性膝関節症は同じ膝関節の痛みを生じる疾患ですが、異なる特徴もあります。症状については、一般的には関節リウマチは関節を動かさないと症状が悪化するという特徴があるため、朝のこわばりが特徴になります。一方で変形性膝関節症は関節の疲労で症状が悪化するため、夜のこわばりが特徴と言われています。 また関節リウマチは全身の炎症を起こすため血液検査で異常が出ることがありますが、変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 まとめ・膝の痛み|朝寝起きや歩きはじめに痛みや違和感を感じたときの治療法 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」について、その症状と治療法について解説しました。 この二つの疾患は類似点もありますが診断や治療など、大きく異なるものもあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している、整形外科または、最寄りの医療機関に問い合わせることを推奨します。 以上、本記事が参考になれば幸いです。 No.067 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で膝の痛み、違和感を治療する 膝の痛み、違和感の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療とは ▼こちらの参考にされませんか 膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について
最終更新日:2024.02.29 -
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- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
膝の裏が痛い?その原因と治療、考えられる病気について 膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)症状を覚えることに繋がります。 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 ひざの裏の痛みむ原因 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 膝の裏が痛い場合に考えられる病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「関節リウマチ」や膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 1)関節リウマチ 2)靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 1.関節リウマチとは 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症が引き起こします。 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。 この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 また、膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯というもので、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 2.靭帯損傷とは 例えば、交通事故にあう、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏が痛む疾患に対する治療 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患として「関節リウマチ」、「膝靱帯損傷」に関して触れました。 1) 関節リウマチの治療 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 ところが、本疾患を罹患している患者さんにおいては抗リウマチ薬のみならず、対症療法のための薬剤処方などによって多剤併用となることが多いと指摘されています。 そのため、基本的には一生かけて症状と付き合っていく必要がある病気であると言えます。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 関節リウマチの治療 ・抗リウマチ薬など薬剤処方 ・関節に負担を掛けないよう ・一生かけて症状と付き合っていく必要 2) 膝の靭帯損傷への対策 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療することが多く、前十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシングを行って患部を冷却して固定して患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部のハムストリングスを鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 まとめ・膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。膝裏部が痛む原因としては、主に関節リウマチや、膝靱帯損傷が考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒することが期待できる病気になってきました。 膝靱帯損傷した際には早期的にアイシングして患部固定することで症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.061 監修:医師 坂本貞範 ▼膝の痛みに再生医療という選択肢! 再生医療の幹細胞治療なら手術せずに症状を改善できます ▼こちらも参考にしていただけます 膝の痛みは放置してはいけません!今すぐ病院へ!
最終更新日:2024.04.24 -
- 糖尿病
- 内科疾患
Ⅱ型糖尿病・妊娠糖尿病|ストレスを発散!その予防や改善に必要な運動とは 糖尿病にはその発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。 日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避することが可能であると考えられています。 そのような観点から今回は、「Ⅱ型糖尿病」や「妊娠糖尿病」において、規則正しい食生活は勿論のこと日常生活に運動、身体を動かすことを実践し、ストレスを出来るだけ発散できるように努めることで予防や改善ができることを詳細に紹介していきます。 その一方で、大変残念なのですが、主に自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」については現在のところ改善や予防できる方法は見つかっていません。 以下、明記しない場合の糖尿病の表示は2型並びに妊娠糖尿病に向けた情報になります。 ・1型糖尿病 完全に予防できない ・2型糖尿病 ・妊娠糖尿病 ライフスタイルを見直せば予防、改善、予防が可能 なぜ糖尿病の予防、改善に運動が有効なのか 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の中で大きな基本となっています。 特に、糖尿病の発症要因として「肥満体形、過食傾向、運動不足」の関与が強く疑われています。 なぜ運動が必要かというと、運動することでエネルギーを消費して、肥満を解消できるのみならず、運動を行うことで筋肉活動量が向上してインスリン機能を改善する効果が期待できるからです。 糖尿病の発症原因 ・肥満体形、過食傾向、運動不足 なぜ運動が必要か? ・運動でエネルギーを消費し、肥満を解消できる ・運動で筋肉活動量が向上し、インスリン機能の改善を期待できる 食事摂取直後には運動をなるべく控えるほうがよいですが、食後1時間程度経過してから運動を行うことで食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用が効率的に促進されて血糖値が有効的に下降する可能性も指摘されています。 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものが回復することによる治療効果はあまり期待できませんが、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献します。 ただし、血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには運動と食事に関する治療どちらか一方が欠けてもうまく制御できませんので、毎日運動するからという理由で入念な食事療法は怠らないように心がけましょう。 取り組むべき運動の種類について 一般的に、糖尿病を抱えている患者様の場合には、ダンベルや重りなどの器具を用いて筋肉に過剰な負荷をかける筋肉トレーニングに代表されるレジスタンス運動よりも、ウォーキングやジョギング、水泳などを始めとする全身を使う有酸素運動が適合しています。 ✕ 器具を使って筋力に負荷をかけるトレーニング(レジスタンス運動) 〇 身体を動かす有酸素運動が最適(有酸素運動) その背景には、有酸素運動を継続して実践することで、インスリンの働きがよくなって血糖値を上手く調整しやすいと考えられているからです。 したがって、糖尿病における運動療法の目標としてはまずは有酸素運動で身体の不活動を改善させて、余裕があれば次のステップでレジスタンス運動を検討しましょう。 レジスタンス運動とは 具体的には、有酸素運動として可能であれば少なくとも週に3回程度、それぞれ30分から60分間行うように意識して実施することが重要であると伝えられています。 この有酸素運動は、週当たり150分(2時間30分)以上かけて実施することがひとつの目標とされています。 通常では、糖代謝の改善期間は運動してからおよそ半日から3日間前後持続することが知られていますので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を少なくとも1週間のなかで3日間は実践することが理想的です。 運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められますし、特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると伝えられています。 また、糖尿病のみならず高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化して減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 運動を実行することは加齢に伴って引き起こされやすい筋肉の衰弱や骨粗鬆症を回避する期待が込められていますし、関節や骨が強靭化する以外にも心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果も併せて考慮できます。 運動をしなければと、精神的に追い込まない。逆にストレスがたまらないような取り組みも大切です。 実際に、運動療法を実践する時には準備運動やストレッチを丹念に行って軽動作から開始して、徐々に運動強度を増やしていくように意識しながら、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動の実行にあたって ・無理せず、継続することが大切 ・軽めの運動から、徐々に始める ・体調に気を配る ・ストレスを発散、運動が逆にストレスをためることにならないように まとめ・Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.057 監修:医師 坂本貞範 ▼糖尿病の合併症が心配な方への先端医療|最新の「再生医療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼運動療法をさらに詳しく以下もご参考にしていただけます 糖尿病のタイプと糖尿病を改善または予防するために効果的な運動方法とは
最終更新日:2024.02.19 -
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糖尿病|女性は要注意!なぜ更年期から発症するリスクが高まるのか? これまでに「糖尿病という病気は、やっかいだ…」ということを耳にされたことはおありでしょうか。 我が国における糖尿病の患者数は増加傾向であり、2016 年の厚生労働省による国民健康調査によると糖尿病有病者と糖尿病予備軍はいずれも約1000万人近く存在すると推計されています。 この疾患は、体内の「インスリン」と呼ばれる血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているホルモンが機能しなくなることによって血液中に存在する「ブドウ糖が増加する病気」です。 糖尿病が更年期の女性にとって「注意しなければならない」リスクになる?! 女性の場合、誰にでも訪れる更年期を迎えると「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれる「女性ホルモン」が急激に減少します。 特に、エストロゲンは、「血糖値を下げるインスリンの働きをサポートする作用」があります。そのため、更年期を迎えるにあたってエストロゲンの量が減少すれば相対的にインスリンの働きも弱くなってしまうのです。 つまり、この血糖値が下がりにくくなることにより「糖尿病を発症するリスク」が上昇するということなのです。 そこで今回は、糖尿病とはどのような病気なのか、特に「更年期から注意したい女性の糖尿病」に関する情報を中心に詳しく解説していきましょう。 糖尿病とは、どのような病気なのか 糖尿病は、生活習慣病とも関連する注意すべき病気です。血糖値を降下させる作用のあるインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下する、もしくはインスリンの働きが悪くなることで発症します。 この糖尿病は、大きく「1型」と、「2型」に分類されています。 自己免疫異常によってインスリンを産生する膵臓の細胞が攻撃を受けることで発症するタイプの糖尿病は1型糖尿病と呼ばれており、生活習慣の乱れなどはあまり発症に関与していません。 一方で、糖尿病患者さんの約9割以上が「2型糖尿病」と言われており、ストレスや肥満体形、運動不足や暴飲暴食など日々の生活習慣の乱れが主な原因となってインスリンが相対的に効きにくくなることでブドウ糖が細胞に十分に取り込まれなくなるタイプが存在します。 このような、2型糖尿病の場合でインスリンの分泌機能に異常をきたす原因として多いのは、高脂肪、高カロリーなどを始めとした悪しき食習慣であり、糖質成分の取り過ぎや顕著な運動不足が続くとインスリンの抵抗性が増して徐々に血糖値が上昇するといった症状が発生するようになります。 その他、妊娠や更年期を契機に発症する糖尿病のパターン、あるいは膵炎や膵臓癌など膵臓疾患に合併して発症する場合なども挙げられます。 なぜ女性の更年期から発症リスクが高まるのか 一般的に、女性は40代頃から更年期と呼ばれるフェーズに入り、この時期には体が火照って疲労を感じやすいなど辛い期間が訪れるのですが、実はこの「更年期に入ると糖尿病の発症リスクが高まる」ことを知っておくべきだと思います。 前章で述べたように、血糖値が上昇する原因としては「最近忙しくて」、「つい面倒だから」「付き合いで」などと外食する機会が頻繁に増加している。 昔に比べて「体重増加が著しい」、会社や私生活など周囲環境などで「過剰なストレス」を抱えているなどの典型的な糖尿病の発生原因の他に、「女性特有の要因として更年期前後におけるエストロゲンの分泌量低下」が挙げられます。 女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、様々な「健康リスクから女性の身体を守る」働きがあります。その代表例として「血糖値を調整する働き」があります。このエストロゲンの分泌量は、およそ40代頃から減少し始めて、50代の閉経期になれば急激に落ち込んでしまいます。 通常であれば、女性はエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンに保護されているため、男性と比して糖尿病になりにくいという傾向がありますが、それが更年期を過ぎてしまうとエストロゲンの分泌量が低下するにあわせて糖尿病を発症する危険性が増していきます。 そのためにも自治体の定期検診や、勤務されているなら企業健診における「血糖値(空腹時血糖126mg/dl以上、ヘモグロビンHbA1c 6.5%以上)」や、「尿検査」の結果に注目するようにし、問題があれば医療機関を受診し、指示を受けることをお勧めします。 血糖値上昇の原因 ・外食機会の増加 → 「最近忙しくて」「面倒だから」「付き合いで」 → 更年期で女性を護るべき女性ホルモンが減少(エストロゲン、プロゲステロン) まとめ・糖尿病、女性のリスクについて!なぜ更年期から特に注意すべきなのか 今回は「女性が更年期から注意すべき糖尿病リスク」について解説しました。 糖尿病は血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気を指しており、現代の疫病とも称され糖尿病予備軍まで含めると全人口の約3割程度が発症していると考えられています。 糖尿病の原因や発症リスクから考えて、普段から規則正しい食生活、運動を心がけて、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して糖尿病にならないように心がけましょう。 女性のリスクを減らすために ・規則正しい生活 ・定期的に適度な運動の実行 ・禁煙 ・ストレスの除去 エストロゲンなどの女性ホルモンが減少し始める更年期の時期を迎えると、どんな女性にも糖尿病を罹患するリスクが増大することが指摘されていることを知っておきましょう。 普段から特段の自覚症状がなくても知らぬ間に高血糖になっていることも考えられますので、特に女性の場合は、更年期前後になれば、これまでの生活習慣に意識を向けてみることが必要になります。 女性なら知っておきたい発症リスク ・更年期以降、どんな女性でも糖尿病の発症リスクが高まる ・自覚症状のない高血糖に注意 糖尿病の発症リスクを知り、血糖値が上昇しにくい生活スタイルを学び、意識して健康的な生活を実践することが大切です。 糖尿病は、早期に発見して的確に治療すると症状を良好にコントロールできる病気です。心配であればぜひ専門医を受診してご相談されることをおススメします。 以上、女性が更年期から注意したい糖尿病のリスクについて記させていただきました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.055 監修:医師 坂本貞範 ▼女性の糖尿病|最新、幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、女性の糖尿病の新たな治療法として注目してください ▼こちらもご参考下さい Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病を改善または予防に必要な運動とは
最終更新日:2024.02.19