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母指CM関節症は自然治癒する?治療法・症状・予防法を解説
「親指の付け根がズキッと痛む」「ビンのふたが開けづらい」といった違和感を感じていませんか?
それは、母指CM関節症の初期症状かもしれません。
更年期以降の女性に多く見られ、放置すると関節の変形や日常生活への支障につながる恐れがあるため注意が必要です。
本記事では、母指CM関節症の症状や原因、治療法、セルフケアを詳しく解説するので参考にしてみてください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな関節痛の治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。
目次
母指CM関節症は何もしない自然治癒は期待できない
母指CM関節症は、親指の付け根にある関節がすり減ってしまう「変形性関節症」の一種です。
関節の軟骨が少しずつ摩耗していく状態であり、放っておいても自然に回復することは期待できません。
逆に、何もしないまま放置しておくと、関節の変形や痛みが進んでしまうリスクがあるため要注意です。
ただし、症状がまだ軽いうちであれば、関節を安静に保つことで痛みを軽減できる可能性があります。
早めに負担を減らすことができれば、日常生活への影響を小さく抑えることも可能です。
母指CM関節症の治療法
ここでは、治療法の特徴や効果が出るまでの期間、放置による悪化のリスクについて解説します。
保存的治療
母指CM関節症の治療の基本は、関節への負担を軽くする「保存的治療」です。
親指の付け根をできるだけ動かさずに、休ませます。
親指を支えるサポーターや専用器具で関節を固定し、1日中着けたままの状態で2〜3か月続ける処置が一般的です。
症状が軽い段階であれば、湿布や塗り薬といった外用薬や消炎鎮痛剤の内服を併用する場合もあります。
また、患部を温めて血行を良くすることも、補助的な治療として有効です。
ステロイド注射
痛みや腫れが強く、仕事や家事に大きな支障が出ている場合には「ステロイド注射」が治療の選択肢になります。
関節内にステロイド薬を直接注入し、炎症や腫れ、強い痛みを一時的に抑えることが目的です。
通常、数日から1〜2週間ほどで痛みを和らげる効果が現れます。
ただし、効果は永続的ではなく、時間とともに薄れていく点に留意しておきましょう。
また、短期間に繰り返し注射を行うと、関節軟骨にダメージを与える可能性があり、合併症を引き起こすリスクもあります。
あくまでも痛みを一時的に和らげる補助的な治療であり、基本となる保存療法と組み合わせて行うことが重要です。
外科手術
保存療法やステロイド注射を続けても痛みが改善せず、関節に亜脱臼や「白鳥の首変形(スワンネック変形)」と呼ばれる高度な変形が現れている場合には、手術が選択肢になります。
手術には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 切除関節形成術:親指の関節を構成する大菱形骨(だいりょうけいこつ)の一部またはすべてを取り除き、周囲の靱帯を再建する方法
- 関節固定術:関節の表面を削って固定し、動かないようにする方法。
手術後は数週間のギプス固定を行い、その後リハビリをスタートし、術後およそ3か月を目安に握力を必要とする動作の回復を目指します。
母指CM関節症はどれくらいで治るのか
母指CM関節症の治療期間は、症状の進み具合や選択する治療方法によって大きく異なります。
保存的治療の場合、一般的に数週間から数か月ほどで痛みや腫れが落ち着くケースが多いとされています。
一方、関節内へのステロイド注射は数日から1〜2週間ほどで痛みが和らぐことが多いですが、効果が長期間持続するわけではない点に注意が必要です。
手術を受けた場合は数週間のギプス固定後、さらに数週間から数か月のリハビリが必要になります。
日常生活で手を問題なく使えるようになるまでには、手術後おおよそ3か月が目安です。
ただし、関節がしっかりと安定した状態まで回復するには、半年以上かかるケースもあります。
放置するとどうなるのか
母指CM関節症を「そのうち自然に良くなるだろう」と放置してしまうと、症状が徐々に悪化していくリスクがあります。
はじめは、親指の付け根にだるさや鈍い痛みを感じる程度です。
しかし、軟骨のすり減りが進行すると、ズキッとするような鋭い痛みに変わり、関節の周囲が腫れて膨らんでくるケースがあるのです。
さらに進行すると、親指の第1関節が曲がり、第2関節が過度に反る「白鳥の首変形(スワンネック変形)」や、関節がずれてしまう「亜脱臼」が起こる場合があります。
物をつまむ・握るといった動作が困難になるなど、日常生活にも大きな支障が出てしまう恐れがあるため、早い段階で治療を始めることが進行を防ぐ上で重要です。
母指CM関節症のステージ別症状
母指CM関節症の初期の症状としては、ビンやペットボトルのふたを開ける、タオルを絞るといった動作で、親指の付け根に痛みを感じることから始まります。
とくに、更年期の女性に多いのが特徴です。
病気が進行すると、次のような症状が現れます。
- 関節の腫れや熱っぽさ
- 指の不安定な感覚
- 「くの字」に曲がるような変形
- 動かせる範囲が狭くなる可動域の制限
- 握力やつまみ力の低下
以下のように、進行の程度を表すステージによって、症状の現れ方が異なります。
ステージ1
ステージ1は、レントゲン検査をしても大きな異常は見られない初期の段階です。
フタを開ける・タオルを絞るなど、強くつまむ・握る動作をしたときに痛みが出やすく、親指の付け根に違和感や痛みが現れはじめます。
痛みは一時的で、手を休めると自然におさまることが多く、関節の腫れや変形もほとんど見られません。
まだ外見には大きな変化がないため、見過ごされやすい時期でもあります。
ステージ2
ステージ2になると、レントゲン上で関節のすき間が狭くなり、軟骨のすり減りが明確に確認できるようになるのが特徴です。
つまむ・握るといった動作をした際の痛みが強まり、関節のまわりに軽い腫れや熱っぽさを感じることもあります。
痛みの頻度が増えてきますが、外から見てわかるような大きな変形はまだ見られません。
症状は徐々に進行しますが、適切な対処を行えば、日常生活を大きく妨げる前に痛みをコントロールすることも可能です。
ステージ3
ステージ3に進行すると、親指の付け根の関節に明らかな変形が現れ、「くの字変形」と呼ばれる独特の外見が目立つようになります。
関節の安定性が失われて不安定感が強くなるほか、腫れや熱感に加えて、動かせる範囲が狭まり、握力やつまみ力の低下がはっきりしてくるのが特徴です。
ビンのふたを開ける、硬いものをつまむといった動作が難しくなり、日常生活にも大きな支障をきたします。
レントゲン検査では、関節がずれかかっている「亜脱臼」に近い状態が確認される場合もあります。
ステージ4
ステージ4に進行すると母指CM関節だけでなく、その周囲の関節にも変化が広がるのが特徴です。
関節の変形や不安定性はさらに深刻になり、強い痛みに加えて、物をつまむ・握るといった基本的な動作が大きく制限されるようになります。
握力やつまみ力の低下も顕著で、ボタンを留める、袋を開けるといった日常の動作すら困難になる場合も少なくありません。
保存的治療だけで症状を改善することは難しく、多くのケースで手術による治療が選択肢になります。
母指CM関節症の主な原因
母指CM関節症は、ひとつの原因だけではなく、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。
主な原因の背景を知り、発症や進行を予防するための工夫につなげていきましょう。
加齢による関節軟骨の摩耗
母指CM関節症の根本的な原因のひとつに、加齢による関節軟骨のすり減りがあります。
親指の付け根の関節は、物をつまむ・ひねるといった動作で日常的に大きな負担がかかりやすく、年齢を重ねるとともに軟骨が摩耗しやすくなるのです。
軟骨が薄くなると骨同士のすき間が狭くなり、動かすたびに関節にかかる圧力が集中し、炎症や痛み、関節の変形が進行しやすくなります。
親指への過剰な負担
親指の使い過ぎは、母指CM関節症の大きな原因のひとつです。
たとえば、ペットボトルのふたを開ける、タオルを絞る、細かい作業を繰り返す仕事をしているといった日常動作は、親指の付け根に常に負担がかかっています。
手を頻繁に使う方ほど発症リスクが高くなるため、日常の負担を意識的に軽減することが重要です。
更年期の女性ホルモンの変化
母指CM関節症は、女性ホルモンの変化が関係しているとされており、更年期以降の女性に多く見られます。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、関節や軟骨の健康を保つ役割がありますが、閉経の前後に分泌が減少すると関節の変性(軟骨のすり減りや変形)が進みやすくなると考えられています。
さらに、更年期の時期は家事や育児、仕事などで手を使う機会が多く、親指の関節にかかる負担が重なりやすい点も見逃せません。
母指CM関節症の予防法
母指CM関節症は、早い段階で負担を減らし、関節を守るセルフケアを続けることが大切です。
ここでは、日常生活の中で取り入れやすい予防・悪化防止のポイントをご紹介します。
自覚症状が出たらサポーターなどで保護・固定する
親指の付け根に痛みや違和感を感じ始めたら、できるだけ早い段階でサポーターやテーピングを使って母指CM関節を保護・固定しましょう。
関節を固定すると余計な動きを抑えられ、関節を安静に保てます。
長期的に症状をコントロールするには、初期の段階での適切な対処が重要です。
大豆製品をバランスよく食べる
母指CM関節症の予防には、日々の食事に大豆製品を取り入れると良いとされています。
豆腐、納豆、煮豆、みそなどに含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」に似た働きを持っているのです。
エストロゲンは、関節や軟骨の健康を保つうえで重要な役割を果たしており、大豆イソフラボンをバランスよく摂取することで、関節の炎症を抑える効果が期待できます。
ただし、大豆イソフラボンの効果には個人差があります。サプリメントでの過剰摂取は避け、食品から摂取しましょう。
母指内転筋のストレッチ
母指CM関節症の予防には、親指を閉じる筋肉(母指内転筋)のストレッチが有効です。
1.両手のひらを上に向け、手首を体の前で交差させる
2.症状の出ている親指の付け根の筋肉に、反対側の手の指を添える
3.親指の付け根を外側へと開くように伸ばす
親指の付け根の筋肉が伸びていることを意識しながら行うのがポイントです。
母指対立筋のエクササイズ
母指CM関節症の予防には、母指の対立運動を行う筋肉(母指対立筋)のエクササイズも効果的です。
1.手を開いて、親指と人差し指の先端同士を触れ合わせる
2.小さな粒を摘まむくらいの力を入れながら、10秒そのまま保持する
3.親指と中指、親指と薬指、親指と小指も同様に行う
4.反対側の手も同様に行う
ただし、痛みが強いという場合には無理をせず、安静を保ってください。
まとめ|母指CM関節症は早期に対処すれば改善できる
母指CM関節症は、早期に発見して適切な治療や生活上の工夫を行えば、進行を防ぎながら症状の改善を目指せます。
違和感や痛みを放置せず、早めに整形外科を受診して診断を受けましょう。
正しい知識と予防対策を実践し、無理のない範囲で親指をいたわることが、健康な手の機能を長く保つ鍵となります。
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母指CM関節症に関するよくある質問
仕事を休んだり、辞めたりする必要はある?
母指CM関節症を発症しても、仕事を完全に休んだり辞めたりする必要はありません。
職種や日々の作業内容によって対応は異なりますが、作業時間を調整したり、道具の持ち方や使い方を工夫したりなどにより、関節への負担を減らしながら仕事を続けられるケースが多くあります。
無理をせず、適切なケアを取り入れることで、治療と仕事の両立は十分に可能です。
母指CM関節症のセルフケアチェック方法を知りたい
母指CM関節症かどうかは、以下のセルフチェックで確認できます。
- ペットボトルやビンのふたを開けるときに親指の付け根が痛む
- ドアノブを回すときに痛みが出る
- タオルを絞るときに痛みを感じる
- 親指の付け根が腫れている
- 字を書くときに親指に痛みがある
- 親指が動かしにくい、または変形している
これらの症状が続いている場合、母指CM関節症の可能性があります。
母指CM関節症でやってはいけないことは?
母指CM関節症は、親指に過度な負担がかかる動作を続けると、症状が悪化しやすくなります。
痛みや変形を防ぐためには、以下のような行動を避けましょう。
- 重い物を片手だけで持ち上げる
- 親指を使って強くひねる、つまむ動作を繰り返す
- 痛みを我慢して同じ作業を続ける
これらの動作を無理に続けると、関節の炎症や変形が進行するリスクが高まります。
親指に違和感や痛みを感じた段階で、早めに作業内容を見直すことが重要です。






