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CM関節症の原因とは?主な症状や治し方を徹底解説

cm関節症 原因
公開日: 2025.12.31

「痛みでペットボトルの蓋が開けられない」「親指の付け根がズキズキ痛む」このような症状に悩んでいませんか。

CM関節症は、「手の使いすぎ」だけが原因ではありません。親指特有の構造や、加齢に伴うホルモンバランスの変化が深く関係しています。

本記事では、CM関節症の発症原因や、なりやすい人の特徴から治療法までをわかりやすく解説します。

ご自身の症状レベルを把握し、痛みのない生活を取り戻すためのヒントとしてお役立てください。

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CM関節症が発症する3つの主な原因

CM関節症は、一つの要因だけで発症するわけではありません。以下3つの要素が複合的に重なることで症状が現れます。

ここでは、それぞれ詳しく解説します。

1.関節軟骨の摩耗

CM関節症の痛みは、骨から生じるトゲのような突起(骨棘:こつきょく)が神経を刺激することで起こります。

人間の関節には、クッションの役割を果たす「軟骨」が存在しますが、長年の使用による摩擦で徐々にすり減っていきます。

加齢などで軟骨がすり減ると、骨同士が接触しやすくなります。体はこの負荷に対応しようとして骨の端に骨棘を形成します。(文献1)

結果的に骨棘が神経を刺激し、CM関節症を発症してしまいます。

2.親指特有の構造的弱点

CM関節は「鞍状関節(あんじょうかんせつ)」と呼ばれる、馬の鞍のような形状をしています。この構造により、親指は広い可動域を持ち、物をつまむ・握るといった繊細な動作が可能になっているのです。

しかし、よく動く反面、構造的には不安定で脱臼しやすい弱点があります。

また、指先にかかる力の約10倍もの負荷が鞍状関節に集中するため、日常的な動作の繰り返しによって損傷しやすく、CM関節症を発症しやすいのです。

3.加齢と女性ホルモンの減少による関節の緩み

CM関節症は、40代以降の女性に多く発症する傾向にあります。その最大の要因は、エストロゲン(女性ホルモン)の減少です。

エストロゲンには、関節内の滑膜(かつまく)の炎症を抑えたり、軟骨を保護したりする働きがあります。

更年期を迎えてエストロゲンが急激に減少すると、関節を守るバリア機能が低下してしまいます。その結果、滑膜に炎症が起きやすくなり、CM関節症を発症しやすくなるのです。(文献2)

CM関節症になりやすい人の特徴

CM関節症は、年齢や生活習慣、過去の怪我などが関係し、特定の条件を持つ方に発症しやすい傾向があります。

具体的な特徴は、以下のとおりです。

特徴 理由・背景
50代以上の女性 更年期に伴うエストロゲン(女性ホルモン)の分泌低下により、関節を保護する働きが弱まり、関節の炎症や軟骨の摩耗が進みやすくなると考えられている
手を酷使する職業・趣味を持つ人 調理師や美容師、マッサージ師など、日常的に親指を使う動作が多い職業や、園芸・手芸・楽器演奏などの趣味では、CM関節への負担が蓄積しやすい
過去に親指周辺を怪我したことがある人 骨折や脱臼、靱帯損傷など、過去に親指周辺を怪我した経験がある人は、関節の安定性が低下し、軟骨や靱帯への負担が残ることで関節の変性が進みやすくなる可能性がある

なお、これらの特徴に当てはまる場合でも、必ずしもCM関節症を発症するわけではありません。ただし、親指の付け根に違和感や痛みを感じた際は、早めに医療機関を受診しましょう。

CM関節症の具体的な症状

CM関節症の症状は、進行度によってステージが分かれています。

ここでは、各ステージの特徴を解説します。

ステージ1~2(初期~中期)

CM関節症のステージ1~2は、発症初期から中期にあたる段階で、関節の変形がまだ目立たない状態を指します。

初期から中期にかけての主な症状は、以下のとおりです。

  • ビンの蓋を開ける、ドアノブを回すなどの「動作時痛」が中心
  • つまむ動作で親指の付け根に違和感や痛みを感じる
  • 朝起きたときに手がこわばる

発症初期から中期の段階では、レントゲン上で関節の隙間が残っているか、わずかに狭くなっている程度です。そのため「腱鞘炎だろう」と自己判断して放置する方も少なくありません。

しかし、初期の段階で適切な治療を開始すれば、変形の進行を食い止めやすくなります。親指の付け根に違和感を覚えたら、早めに医療機関を受診しましょう。

ステージ3~4(進行期~末期)

CM関節症のステージ3~4は、進行期から末期にあたる段階で、関節の変形がはっきりと現れてくる状態を指します。

この段階では、関節の構造そのものに変化が生じ、痛みや動作の制限が強くなる傾向があります。

進行期から末期にかけて見られる主な症状は、以下のとおりです。

  • 親指の付け根が外側に出っ張るように変形し(亜脱臼)、親指を開きにくくなる
  • 動かしていないときでも痛みを感じる「安静時痛」や、夜間に痛みが強くなる「夜間痛」が現れる
  • 親指に力が入りにくくなり、握力が低下する

進行期から末期になると、軟骨がほぼ消失して骨同士が直接ぶつかり、関節の変形が進行した状態となります。

症状が進行する前に、医療機関を受診しましょう。

CM関節症の3つの治療法

CM関節症の治療法には、症状の程度や患者様の希望に応じて、以下のような選択肢があります。

それぞれ詳しく解説します。

保存療法(対症療法)

保存療法は、症状を緩和するための治療です。具体的には以下の治療法が実施されます。

  • サポーターや装具による関節の固定
  • 痛み止め(内服薬・湿布)の使用
  • ステロイド注射による炎症の抑制

なお、これらはあくまで症状を和らげるための対症療法です。すり減った軟骨そのものを元の状態に戻したり、ホルモンバランスの変化に直接働きかけたりするものではありません。

一時的に痛みが軽減しても、原因そのものが解消されるわけではない点を理解しておきましょう。(文献1)

以下の記事では、CM関節症のリハビリ方法を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や、変形が進行している場合には、手術が検討されます

代表的な手術療法は以下のとおりです。

  • 関節固定術:関節を固定して安定させる手術
  • 切除関節形成術:大菱形骨の一部を切除し、靱帯を再建する手術

(文献1)

手術療法には入院が必要となり、術後の固定期間やリハビリ期間(ダウンタイム)が長くなる傾向にあります。

仕事や家事への復帰に時間がかかる点は、事前に考慮しておきましょう。

再生医療

CM関節症は、手術療法以外の選択肢の一つとして、再生医療が検討されることがあります。

CM関節症における再生医療では、主に以下のような治療法が実施されます。

  • 幹細胞治療:患者様から採取した幹細胞を用いる治療法
  • PRP療法:患者様の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を用いる治療法
    ※軟骨を新たに生成する治療ではありません

これらの治療法は、幹細胞が持つ「他の細胞に変化する能力(分化能)」や、血小板に含まれる成長因子による「組織の修復・炎症を抑える働き」を活かしたものです。

再生医療は入院・手術を必要としないのも特徴です。

当院「リペアセルクリニック」のCM関節症に対する再生医療については、以下の症例をご覧ください。

まとめ|CM関節症の原因や症状を把握して適切な治療法を選ぼう

CM関節症は「ホルモンの減少」や「構造的弱点」が原因であり、放置して自然に治る疾患ではありません。

ステージが進行し、骨が変形してしまう前に、適切な治療を行いましょう。

また、万が一症状が悪化した際は、手術以外の治療法として再生医療も選択肢の一つです。

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CM関節症の原因や症状に関するよくある質問

CM関節症に効果的なストレッチ方法はある?

CM関節症に対しては、母指内転筋のストレッチなどが役立つとされています。

ただし、ストレッチをやりすぎるとかえって負担になる場合があるため、痛みの出ない範囲で無理なく行いましょう

具体的なストレッチ方法や実施時の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

CM関節症はどれくらいで治る?

CM関節症を発症した場合、すり減った軟骨が自然に再生することはなく、放置していても治ることはありません

ただし、適切な治療を行えば、数カ月で炎症が沈静化し、痛みのない生活を取り戻すことは十分に可能です。

症状が軽いうちに治療を開始すると、良好な経過が見込めます。

参考文献

(文献1)
母指CM関節症(親指の付け根の関節の変形性関節症)|日本整形外科学会

(文献2)
Hand osteoarthritis, menopause and menopausal hormone therapy.|Maturitas