• 上肢(腕の障害)
  • テニス肘
  • 肘関節
  • スポーツ外傷

テニスをしてないのにテニス肘?発症の原因や予防法を解説

テニス肘 テニスしてない
公開日: 2022.06.08 更新日: 2025.10.31

「テニスをしていないのにテニス肘は発症する?」
「テニス以外でテニス肘を発症する具体的な原因は?」

テニス肘はテニスをしていなくても発症します。テニス以外のスポーツやパソコン作業、重い物の運搬などにおいても肘に負担がかかるためです。

本記事では、テニスをしてないのにテニス肘を発症するのかどうかをはじめとして以下を解説します。

  • テニス以外のテニス肘の原因
  • テニス肘であるかを判断する方法
  • テニス肘を発症した際の応急処置
  • テニス肘を予防する方法

普段の何気ない動作を少し工夫するだけで肘への負担を軽減できます。予防法を含めてテニス肘について理解を深めるために役立ててください。

なお、テニス肘の治療法には再生医療という選択肢があります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。

テニス肘について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。

\公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ リペアセルクリニック 公式LINE画像

LINE限定で無料オンライン診断を実施中!
>>簡単30秒で診断してみる

テニスをしてないのにテニス肘は発症する?

テニス肘はテニスをしていなくても発症します。

テニス肘は正式には「上腕骨外側上顆炎」といい、手や手首を繰り返し使うことによって肘の外側に痛みが生じる症状です。テニス選手に多く見られることから「テニス肘」と呼ばれていますが、実際にはテニスをしない人も発症します。

例えば、テニス以外の以下の動作を繰り返すことで、テニス肘を発症するリスクが高まります。

  • ネジやボルトを締める
  • 塗料を塗る
  • 肉の塊を切る
  • ハサミを使う
  • マウスの操作をする
  • キーボードを打つ

これらの動作を繰り返すと、肘の腱に微細な損傷が蓄積した状態になります。この状態に特定の負担が加わると、痛みが走りテニス肘を発症してしまいます。

テニスをしてない方がテニス肘を発症する原因

テニス以外でテニス肘を発症させる主な原因として、以下のようなものが挙げられます。

  • テニス以外のスポーツ
  • パソコン作業
  • 重い物の運搬
  • 家事全般

それぞれの詳細を解説します。

テニス以外のスポーツ

テニス肘を発症する割合は、テニスをしている方に多い傾向です。

しかし、以下のようにテニス以外のスポーツでもテニス肘は発症します。

スポーツ種目 発症割合(スポーツ愛好家536人を対象)
テニス 32%
ゴルフ 30%
バレー 13%
バドミントン 7%
野球・ソフトボール 6%
卓球 3%
その他 9%

文献1

以上のようにテニス肘は、肘に負担がかかるスポーツ全般において発症するリスクがあります。

パソコン作業

近年では、デスクワーク勤務者のテニス肘の発症割合が高いです。実際にテニス肘を発症した有職者792人のうち、32%がデスクワーク勤務者であるとの報告があります。文献1

デスクワークのパソコン作業で、前腕の外側の筋肉に強い緊張がかかることが、テニス肘の発症の原因です。

とくに以下に該当する場合は、テニス肘を誘発する恐れがあります。

  • 長時間パソコン作業をする方
  • キーボードを強く打つ方
  • マウスを強く握る方

「手首付近にクッションを置く」「ノートPCの場合は自分の手前に置く」などの工夫により、肘への負担を軽減できます。

重い物の運搬

重い物を運搬する職種や腕に負担がかかる職種は、テニス肘を発症する割合が高いです。

実際に以下のような報告があります。

職種 発症割合(有職者792人を対象)
重量物を運搬する業種 15%
酪農・林業・農業 9%
介護職 8%
包丁を使う業種(料理人や食肉業者など) 8%

文献1

その他にも、保育士や製造業、看護師、美容師、建築業なども発症割合が多いと報告があります。

家事全般

家事全般は肘に負担がかかる作業が多いため、テニス肘を発症するリスクがあります。

肘に負担がかかる作業の一例は以下の通りです。

  • タオルを絞る
  • フライパンを持つ
  • 掃除機をかける

テニス肘の発症頻度における男女比は明らかにされていません。しかし、家事をする主婦に多いとの報告もあります。文献2

テニスをしてない方がテニス肘かどうかを判断する方法

以下はテニス肘であるかどうかを判断する方法です。

テニス肘の判断方法 確認手順
肘の外側の痛みの確認 1.患部側(痛みのある肘)の肘を軽く曲げる
2.肘の外側の骨の出っ張り部分を押し痛みの有無を確認する
Thomsen(トムセン)テスト 1.患部側の腕を前に出し、手の甲を上にして肘と手首を伸ばした状態にする
2.手を握り手首を上方向に反らした状態にする
3.反対側の手で、患部側の手首を下方向に曲げる抵抗を加えて痛みの有無を確認する
中指伸展テスト

1.患部側の腕を前に出し、手の甲を上にして肘と手首を伸ばした状態にする
2.手を開き指を伸ばした状態にする
3.反対側の手で、患部側の中指を下へ押さえ抵抗を加えた際の痛みの有無を確認する

文献3

いずれかの方法を実施して痛みを感じる場合は、テニス肘を発症している可能性があります。

上記のテストは急激な動きや力を加えると、症状を悪化させる恐れがあります。ゆっくりとした動きまたは軽い力を加えるようにしてください。

テニス肘を疑う症状が現れた際の応急処置

テニス肘を疑う痛みが現れたら、以下のような応急処置を実施してください。

応急処置の方法 詳細
1.安静に過ごす ・安静にして痛みが発生する動作は避ける
・スポーツはもちろんパソコン作業や重い物の運搬など、肘に負担がかかることは避ける
2.受傷部位を冷やす

1.氷水を入れたビニール袋やタオルで巻いた保冷剤を用意する
2.1回15分冷やす作業を1日2回行う
3.痛みや熱感がある間は冷却を続ける(通常1週間程度)

テニス肘を発症したら安静を保つのが基本です。とくにひねる動作には注意してください。痛みや熱っぽさが続くうちは冷やす処置を続けます。痛みが強い場合や痛みが長引く場合は、医療機関を受診してください。

テニスをしてない方がテニス肘を予防する方法

テニス肘は再発を繰り返すことがあります。

以下のような方法で予防に努めましょう。

  • 肘に負担がかかる動作は避ける
  • ストレッチを取り入れる
  • 筋力トレーニングを取り入れる

それぞれの詳細を解説します。

肘に負担がかかる動作は避ける

テニス肘を予防する基本的なこととして、できるだけ肘に負担をかけないことが大切です。

例えば、家事においては以下のような工夫をすれば肘への負担を軽減できます。

  • フライパンや鍋は持ち上げずにコンロに置いて使う
  • 掃除機をかけるときは腕を伸ばしすぎないで手前でかける
  • 物をつかむときは、小指側でしっかり握り親指と人差し指は軽く握る
  • 肩や腕に力を入れすぎない

近年では、スマートフォンやパソコンの普及により、肘に負担がかかりやすくなっています。パソコン作業やスマートフォンを使用する際は、長時間同じ姿勢にならないように工夫してください。

ストレッチを取り入れる

仕事や作業の間に、以下のようストレッチを取り入れることでテニス肘の予防につながります。

予防のためのストレッチ 手順
腕の外側のストレッチ 1.手の甲を上にした状態で腕を前に出して肘を伸ばす
2.もう片方の手で伸ばした腕の指先を持ち、手前(上方向)に引っ張る
3.そのまま腕を少しずつ下ろす
腕の内側のストレッチ

1.手の平を上にした状態で腕を前に出して肘を伸ばす
2.もう片方の手で伸ばした腕の指先を持ち、手前(下方向)に引っ張る
3.そのまま腕を少しずつ下ろす

1〜2時間に1回のペースで行うと効果的です。仕事や家事の間に息抜きとして取り入れましょう。

筋力トレーニングを取り入れる

腕全体の筋肉を鍛えることは、テニス肘の予防につながります。

例えば、以下のような前腕を鍛えるトレーニングがあります。

  • 膝を床に付き、椅子に右手のひらが上を向くように手首から肘を置く
  • 右手で水の入ったペットボトルを握り手首を下に反らせる
  • 左手で右の前腕を押さえる
  • 手首と前腕を使いゆっくりペットボトルを上げ下げする
  • 左右両方15〜20回ほどを3〜5セット行う

その他にも、腕立て伏せを取り入れても良いでしょう。テニス肘を発症しているときに筋力トレーニングを行うと悪化する恐れがあります。テニス肘が治癒してから実施してください。

まとめ|テニス肘はテニスをしていなくても発症する!原因を理解して予防しよう

テニスをしてない方でもテニス肘は発症します。原因はテニス以外のスポーツやパソコン作業、重い物の運搬、家事全般などさまざまです。

原因を理解すれば予防につなげられます。例えば、主婦であれば「掃除機をかけるときは腕を伸ばしすぎないで手前でかける」など、肘に負担がかからないように工夫をしましょう。

テニス肘を疑う痛みが現れたら、安静に過ごすことが基本です。受傷部位をタオルで巻いた保冷剤などで1回15分冷やす作業を1日2回は実施しましょう。

痛みが強い場合や痛みが長引く場合は医療機関を受診してください。治療法として再生医療という選択肢もあります。再生医療が気になっている方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。

参考文献

(文献1)
上腕骨外側上顆炎2800肘の疫学的研究およびその本態に関する考察|日本肘関節学会

(文献2)
第3章 上腕骨外側上顆炎の 原因、なりやすさなど|日本整形外科学会

(文献3)
7. テニス肘(上腕骨外側上顆炎)|日本手外科学会広報委員会