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腱板損傷でやってはいけない動作や運動

腱板損傷でやってはいけない動作や運動

肩に激しい痛みを起こす腱板損傷は、日常生活の動作を繰り返すことでも発症することがあります。

発症初期は安静を保つことが重要ですが、日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作が原因となるのかを知り、そしてどのような動作を避けることが安静を保つことになるのか、知っておくことが重要です。

この記事では、腱板損傷を発症したときにやってはいけない、避けるべき動作にどのようなものがあるのか、ご説明いたします。

腱板断裂

腱板損傷とは?

腱板は、実はわたしたちの肩のなかで最もよく損傷を受ける部位です。

肩甲骨と上腕骨をつないでいる筋肉の腱からなる腱板は、腕をあげる動作によって肩甲骨の一部である肩峰と上腕骨頭の間に挟まれてしまうという、解剖学的特徴があります。そのため、外傷だけでなく使いすぎることで磨耗を起こし、損傷されることがあります。

腱板が損傷されると、通常腕の力が入らなくなり、特に腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。また夜に激しく痛み、痛みのために眠れなくなってしまうこともあります。

急性期は肩や腕を使わないように安静にすることが最善です。なお併発する炎症を抑えるために、ステロイド薬を注射することもあります。

ただし、外傷によって腱板損傷を起こした場合や保存的な治療でなかなか改善しない場合は、受傷してから6週間以内を目処に、手術で修復することを考慮することがあります。

腱板損傷後にやってはいけないこと

基本的に損傷直後は肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用い、腕の動きそのものを最小限にするように配慮します。安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。そこで次に、腱板損傷後に避けるべき動作をご紹介します。

頭上で重りを持ち上げる

腱板損傷を発症した後、特に発症初期は、頭上に手を持っていく動作、また頭上で重りを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作)を伴う運動や動作は控えた方が良いでしょう。

ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにすることです。これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があります。

したがって、腱板損傷後はオーバーヘッドでボールを投げること、特に重いボールを上半身の力に頼って投げることや、水泳、特にクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げるようなストロークを避ける必要があります。

首の後ろで腕を動かす動作

バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。

この動作の問題は、肩の「外旋」にあります。

頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなってしまうことにもつながります。

上半身の力を使って重いものを持ち上げること

別名アップライトローと呼ばれる動作のことです。

アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。

アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。

このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は、「内旋」と呼ばれます。アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。

肩を後方に回した位置で行う上腕に負荷のかかる運動

ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。

具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。

ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度に負荷がかかります。肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。

まとめ・腱板損傷でやってはいけない動作や運動

腱板損傷について簡単にご説明し、さらに腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないことをご説明しました。

腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術が必要となる場合もありますが、しっかりと安静を保つことができ、保存的治療に反応すれば、完治も期待できます。

術後も含め、治療の一貫でリハビリを行うこともありますので、もし避けるべき動作について詳しく知りたい場合は、リハビリの機会などを活用して相談してみることをお勧めいたします。

 

No.S080

監修:医師 加藤 秀一

 

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