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乳がんの手術後の痛みと後遺症について|乳房切除後疼痛症候群(PMPS)

「乳がん治療後の痛みがひどい…」
「手術後、腕や脇辺りが腫れていて痛む」
乳がんの手術後は上記のような痛みを感じることがあります。
手術後長期間にわたって慢性的に続く痛みは「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」と呼ばれています。
また、薬物療法による副作用で痛みが残ることもあり、適切な対応を行わないと日常生活に支障をきたすことがあります。
こうした状況を避けるためには、乳がんの治療とその後遺症、特に痛みについて理解を深めることが重要です。
もし後遺症の痛み治療に行き詰まりを感じたら、再生医療も検討しましょう。
この記事を読むとわかること
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それでは、乳がん治療後の痛みの種類とその対処法について詳しく見ていきましょう。
目次
乳がんの手術後の慢性的な痛みと後遺症
基本的に、どんな手術や治療にも合併症が起こり得ます。
もちろん、乳がんの治療も例外ではありません。
治療後、長期間にわたって後遺症に悩まされることもあるでしょう。
本章では、乳がん治療の合併症とその対処方法について詳しく見ていきます。
手術後に痛む「乳房切除後疼痛症候群(PMPS)」
乳房切除後疼痛症候群(PMPS)は、乳がんの手術後に乳房、胸部、腋窩、上腕にかけて起こる慢性的な痛みです。
PMPS は、手術で肋間上腕神経などの神経が損傷されることで起こる神経障害性疼痛に分類されます。
乳房切除後疼痛症候群(PMPS)の主な症状は、火傷をした後のようなひりつく痛みやびりびりした痛みです。
痛みとともに、何かが挟まっているような違和感を覚える方も多くいます。
下着がすこし擦れただけでも強い痛みを感じるという方もいるのです。
これらの症状は仕事や日常生活に支障をきたしたり、うつ病・適応障害などの精神障害と関与したりする可能性があります。
治療の中心は薬物療法です。一般的な痛み止めはあまり効果がありません。
神経の痛みを抑える薬・抗うつ薬・抗けいれん薬などが処方されます。
また、痛みで関節や筋肉が動かせなくなり、日常生活に影響が出ている方はリハビリも必要です。
心理的な因子や症状の精神面での影響を評価してサポートすることも考慮されます。
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乳がんの転移による「骨の痛み」
乳がん治療後の痛みは、ほかにもあります。
乳がんの転移が多い場所の一つは骨です。
転移が起こった骨は、骨折をしやすくなります。
治療後も、骨折の痛みが残ってしまう可能性があります。
また、抗がん剤治療による副作用も少なくありません。
一部の抗がん剤では末梢神経障害を起こします。
手や足のびりびりした痛み・しびれが起こると、長期間持続することもあります。
手術後の合併症「リンパ浮腫」
術後の合併症で多いリンパ浮腫は通常痛みを伴いません。
しかし、急激に腫れたり感染を合併したりすると痛みが起こることがあります。
このように、がんの治療後の痛みは様々です。
まずは、痛みの原因を探り、それぞれに適した対応をしていく必要があります。
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乳がんのステージ分類について
乳がんはその進行の度合いにより、0期からⅣ期までのステージに分類されます。
ステージを決定するのは、がんの大きさや広がり・リンパ節転移の有無・遠隔転移の有無といった要素です。
なお、遠隔転移とは他の臓器への転移のことで、乳がんが転移しやすいのは骨・肝臓・肺・脳などです。
以下に各ステージについて解説します。
<乳がんのステージ分類>
遠隔転移(他の臓器への転移)がない場合 → 0〜Ⅲ期のいずれか 0期 非浸潤がん(乳がんが、発生した場所にとどまっており、広がったり転移を起こしていたりしない状態) Ⅰ期 がんの大きさが2cm以下+リンパ節転移をしていない ⅡA期 がんの大きさが2cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されておらず動く) がんの大きさが2cm以上5cm以下+リンパ節転移がない ⅡB期 がんの大きさが2cm以上5cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されておらず動く) がんの大きさが5cm以上+リンパ節転移がない ⅢA期 がんの大きさが5cm以下+腋窩リンパ節に転移がある(リンパ節は固定されているか、リンパ節同士が癒着している) がんの大きさが5cm以下+腋窩リンパ節に転移がない+内胸リンパ節に転移がある がんの大きさが5cm以上+腋窩リンパ節あるいは内胸リンパ節のどちらか一方に転移がある ⅢB期 がんが胸壁に固定されている がんが皮膚に食い込んでいたり、皮膚から出ていたりする 炎症性乳がん(乳房が腫れたり赤くなったりといった炎症を伴う乳がん) ⅢC期 腋窩リンパ節と内胸リンパ節のどちらにも転移がある 鎖骨の上あるいは下のリンパ節に転移している 遠隔転移(他の臓器への転移)がある場合 →Ⅳ期 |
乳がんの手術・治療法について
乳がんの治療は外科的手術・放射線治療・化学療法(薬物治療)の3つを組み合わせて行います。
これから紹介するのはあくまでも標準療法です。
実際には患者様の状態や希望にあわせて臨機応変に治療が行われます。
治療を受ける際には、担当の医師としっかり話をした上で選びましょう。
本章では、先ほど紹介した乳がんのそれぞれのステージごとに、選択されることが多い治療内容を紹介していきます。
<0期からⅢA期の治療について>
0期からⅢA期の乳がんでは、治療の中心は手術です。
がんのサイズや広がり方で、乳房の切除範囲が異なります。
がんが小さければ乳房部分切除術が可能です。
最近では、早期のがんはラジオ波で焼いたり、内視鏡の手術で切除したりという方法も徐々に広まってきています。
一方、大きい場合や広がりが大きい場合は、乳房全切除術を行わなければなりません。
リンパ節への転移が疑われれば、その部位のリンパ節も切除します。
また、状況に応じて放射線療法を行なったり、手術の前や後に薬物療法を行ったりすることもあります。
患者様のご希望に応じて、乳房再建術を検討します。
<ⅢB期からⅣ期の治療について>
ⅢB期からⅣ期の場合の中心は薬物療法です。
患者様の体の状態や希望・がんの性質など様々な要因を加味して治療薬を選びます。
乳がんの薬物療法で使う薬には一般的な抗がん剤のほか、ホルモン療法薬や分子標的薬と呼ばれる薬もあります。
分子標的薬とは、がん細胞に特有の遺伝子・タンパクなどをターゲットにした治療薬のことです。
治療の効果・症状の経過次第で手術や放射線療法が追加されることもあります。
<再発した場合の治療について>
再発した乳がんの場合には、その再発部位により治療法が異なります。
手術を受けた側の乳房やその周囲の皮膚、リンパ節に発生する局所領域の再発では、治癒を目指して手術でがんを切除します。
必要に応じて放射線療法や薬物療法を併用します。
手術で切除するのが難しいような局所再発や、他の臓器への遠隔再発では、薬物療法を中心に行います。
<緩和ケアについて>
がんの患者様は緩和ケアを受けることができます。
緩和ケアは、がんで苦しんでいる人たちが、できるだけ穏やかに生活できるように助けるためのケアです。
緩和ケアは終末期のケアというイメージがあるかもしれません。
しかし、実はがんと診断されてからいつでも緩和ケアを受けることができます。
がんに伴うつらい症状を和らげるだけでなく、気持ちの落ち込みや不安を軽くしたり、生活での困りごとに対処したり、人生の意味についての悩みにも対応します。
患者様とその家族が抱えるいろいろな苦しみに対して、身体的、精神的、社会的な面から全体的に支援するのが緩和ケアなのです。
まとめ|乳がんの手術後の痛みは乳房切除後疼痛症候群などの可能性あり
乳がんはその進行の度合いにより、治療は手術や薬物療法など多岐にわたります。
乳房切除後疼痛症候群(PMPS)や乳がんの転移による骨の痛み、手術後の合併症リンパ浮腫など様々な原因が考えられます。
これから治療を受ける方は、ご自身の治療内容についての説明をよく聞いてどのようなことに気をつけるべきかしっかり理解しましょう。
後遺症に悩まされている方は、一人で抱え込まずに主治医に相談してください。
後遺症の痛みの治療に行き詰まったら、再生医療も一つの選択肢です。一般的に神経の障害は治らないとされています。
しかし、幹細胞治療とよばれる再生医療では、神経の修復ができるかもしれません。
当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞治療を提供しています。実際に乳がん治療の後遺症の痛みにお困りの方の治療実績もあります。
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再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひお問合せください。
乳がんの手術後の後遺症に関してよくある質問【Q&A】
Q:乳がん手術後ずっと痛みが続きます。いつ良くなりますか?
A:乳房切除後疼痛症候群において、症状が改善するまでは長い時間がかかる可能性があります。
例えば、国内の報告では、術後9年経過後も21%、およそ5人に1人が痛みを抱えていると言われています。
自然に良くなると思わず、早めに受診をすることをご検討ください。
Q:乳がん手術後の痛みは何科に相談したら良いの?
A:麻酔科やペインクリニックなどで相談すると良いでしょう。
お近くにそういった医療機関がない、どこに行ったら良いかわからない場合は、主治医やかかりつけ医に相談することをおすすめします。
必要に応じて専門の病院・クリニックなどを紹介してもらうことができます。
Q:乳がん手術後の腕や脇の腫れが治まりません
A:乳がん手術後の腕や脇の腫れ(リンパ浮腫)は、手術や放射線治療によるリンパ管の詰まりが原因で起こることがあります。
対応としてまずは、腕の傷のケアを徹底しましょう。
小さな傷でも感染のリスクがあるため、アルコール消毒と軟膏の使用がおすすめです。
リンパの流れを改善するために、リンパマッサージやアームスリーブの着用も有効です。
適度な腕の位置調整(長時間座る際は心臓より高くする)や、重い物を持たないようにすることも大切です。
少しでも腫れを引き起こしている原因を少なくする対応が重要です。
もし腫れが続いたり、腕が赤く熱を持ち、強い痛みや発熱を伴う場合は、速やかに医師に相談しましょう。
参考文献 小島圭子. Practice of Pain Management 5(3): 164-168, 2014. |
監修者

渡久地 政尚 医師 (医療法人美喜有会)
Masanao Toguchi
日本再生医療学会 所属
日本内科学会 所属
再生医療の可能性を追求しながら、体への負担が少なく効果的な治療を提供し、患者様が早期に活動的な生活に戻れるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。
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