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ヘルニアの薬で太る?リリカ・タリージェ副作用と体重管理を医師が解説

「リリカを飲み始めてから太ってしまった…」「薬を減らしたいけれど、痛みが戻るのも怖い」
このようなお悩みを抱えている方は多くいらっしゃいます。
ヘルニアの痛みから解放されたいと始めた薬物療法で、体重増加という新たな悩みが生まれてしまうのはとても辛いものです。
とくにデスクワークが中心の生活をされている方にとって、体重増加は腰椎への負担をさらに増やし、痛みの悪化につながる可能性もあります。
しかし、適切な知識と対策を身に付けることで、薬の効果を維持しながら体重をコントロールしていくことは十分可能です。
本記事では、ヘルニア治療薬で体重が増える仕組みから、副作用を抑える服薬のコツ、日常でできるセルフケア方法までを解説します。
また、薬に頼りすぎない治療選択肢として、 再生医療も紹介します。
ぜひ最後までご覧いただき、痛みのない生活と理想的な体重管理を両立させるためのヒントを見つけてください。
目次
ヘルニア治療薬で太る理由
ヘルニア治療に使われるプレガバリン(リリカ)やミロガバリン(タリージェ)などの薬物は、神経の過剰な興奮を抑制して痛みを和らげます。
しかし、これらの薬には体重増加の副作用があることが知られています。
また、痛みによる活動量の減少も体重増加に大きく関与しており、これらの要因が複合的に作用し、治療開始後に体重が増えやすい状態が生まれてしまいます。
薬の副作用でむくみが増加する
プレガバリンやミロガバリンなどのガバペンチノイド系薬剤は、むくみと体重増加が副作用として報告されています(文献1・文献2)。
具体的なメカニズムはまだ解明途中ですが、体内の水分バランスが変化して水分をため込みやすくなることが一因と考えられ、手足や顔がむくんだ結果、体重計の数値が上がるケースがあります。
加えて、軽い眠気や倦怠感といった副作用が日中の活動量を減らし、消費カロリーの不足が体重増加を加速させます(文献3)。
デスクワーク中心の生活ではもともと消費カロリーが少ないため、このような複合要因により、治療開始後数週間〜数カ月で体重が増えることがあります。
塩分を控えた食事と軽い有酸素運動を早期に取り入れると、これらの副作用を緩和しやすくなります。
痛みによる運動量減少と代謝の低下
ヘルニアによる痛みがあると、無意識のうちに体を動かすことを避けるようになります。階段の昇降を控えたり、散歩の頻度を減らしたりすると、日常的な消費カロリーが大幅に減少します。
さらに、運動不足が継続すると筋肉量が落ちて、基礎代謝率が低下してしまうことにも注意が必要です。
基礎代謝とは、じっとしていても心臓を動かしたり体温を保ったりするために使われるエネルギーのことで、1日に消費するカロリーの約6割を占めています。
筋肉量が減少すると、この基礎代謝が低下し、同じ食事量でも太りやすい体質へと変化してしまいます。
とくに、痛みを避けて長期間にわたって安静にしていると、筋肉の萎縮が進行し、代謝効率が著しく悪化します。
この状態では、薬物の副作用と相まって、より急速な体重増加が起こる可能性があります。
また、運動不足は血液の流れを悪くし、むくみの症状をさらに悪化させることがあります。
痛みの程度に応じて、水中歩行やストレッチなどの体の負担が少ない運動を取り入れることで、代謝の低下を最小限に抑えられます。
ヘルニア薬で太る悩みを解決|副作用を抑える服薬のコツ
ヘルニア治療薬による体重増加は、適切な服薬管理により大幅に軽減できます。薬物の特性を理解し、個人の体質に合わせた服用方法を見つけることが重要です。
ここでは、体重増加リスクの現れ方と、副作用を和らげる具体的な服薬マネジメント方法について詳しく解説します。
体重増加リスクの現れ方
リリカ(プレガバリン)とタリージェ(ミロガバリン)は、どちらも神経の過剰な興奮を鎮めるガバペンチノイド系の薬物ですが、体重増加の現れ方には個人差があります。
一般的に、服用量が増えるほどむくみや食欲亢進などの副作用が現れやすくなることは両薬剤に共通しています。
また、同じ用量を服用していても、体重変化の幅には大きな個人差が見られます。
これは、もともとの代謝率、水分保持能力、食欲調節機能の違いが影響しているためです。
そして、生活習慣や併用している他の薬物も体重変化に大きく関与します。
体重増加以外にも、手足のむくみ、眠気、めまい、集中力の低下などの症状が同時に現れることがあります。これらの症状が強く現れる場合は、薬物が体質に合っていない可能性があります。
とくに、服用開始後に急激な体重増加やひどいむくみが現れた場合は、早めに医師に相談が重要です。
逆に、軽度のむくみや1kg程度の体重増加であれば、生活習慣の調整により改善できる場合が多くあります。
副作用を和らげる服薬マネジメント
薬物による副作用を最小限に抑えるためには、段階的な用量調整が最も効果的です。
初回投与時は最小有効量から開始し、痛みの改善状況を見ながら緩やかに増量していくことで、体が薬物に慣れる時間を確保できます。
リリカの場合、1日75mgから開始し、週単位で75mgずつ増量していく方法が推奨されています。(文献4)
急激な増量は副作用のリスクを高めるため、痛みが強くても焦らずに段階的な調整が大切です。 眠気やめまいが気になる場合は、夕食後や就寝前に服用することで、日中の活動への影響を最小限に抑えられます。
また、1日の服用回数を分割すると、血中濃度の急激な変化を避け、副作用の軽減につながります。
食欲増進に対しては、食事の回数を増やして1回あたりの量を減らす方法が効果的です。血糖値の急上昇を避けることで、過度な食欲を抑制できます。
体重増加が気になる場合でも、自己判断で薬を急に中止するのは避けてください。突然の中止により離脱症状や痛みの再燃が起こる可能性があります。
医師と相談しながら、生活習慣の改善と並行して薬物調整を行うことが、効果的な治療継続につながります。
ヘルニア薬で太るのを防ぐセルフケア方法
薬物治療を継続しながら体重増加を防ぐためには、日常生活でのセルフケアが欠かせません。
痛みがある状態でも実践できる具体的な対策を身に付けることで、薬の効果を維持しながら理想的な体重管理を実現できます。
減塩+低GIの食事
ヘルニア治療薬による体重増加を防ぐためには、塩分制限と血糖値コントロールを組み合わせた食事管理が効果的です。
塩分の過剰摂取は体内の水分保持を促進し、薬物によるむくみを悪化させる主要因となります。 この対策として、1日の塩分摂取量を6g以下に制限すると、余分な水分の蓄積を大幅に減らせます。(文献5)
加工食品やインスタント食品には隠れた塩分が多く含まれているため、なるべく避けるようにしましょう。
一方、低GI(グリセミック・インデックス)食品の選択は、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリン分泌を安定させることで脂肪の蓄積を抑制します。
白米の代わりに玄米や雑穀米を選ぶ、白いパンよりも全粒粉パンを選ぶなど、精製度の低い炭水化物を意識的に取り入れてください。
野菜類は基本的に低GI食品であり、食物繊維が豊富なため満腹感も得やすく、総摂取カロリーの削減にも寄与します。
タンパク質源としては、鶏胸肉や白身魚、豆腐などの低脂肪・高タンパク食品を選ぶことで、筋肉量の維持と代謝向上を図れます。
食事のタイミングも重要で、1日3食を規則正しく摂取し、間食は低GIのナッツ類や無糖ヨーグルトをおすすめします。
夜遅い時間帯の食事は代謝効率が悪く、体重増加につながりやすいため、夕食は就寝3時間前までに済ませるようにしましょう。
痛みを避けた有酸素運動
ヘルニアによる痛みがある状態でも実施できる有酸素運動として、水中歩行やウォーキングが効果的です。
水中歩行は、水の浮力により腰椎への負荷を大幅に軽減しながら、全身の筋肉を使った有酸素運動を行えます。浮力で関節へのストレスが軽くなるため、痛みを悪化させずに全身運動ができます。
プールが使えない場合はウォーキングに置き換えましょう。
ウォーキングは血流を促して炎症を鎮めたり、体幹を自然に使うことで腰椎を安定させたりと、多くのメリットがあります。
背筋を伸ばし、かかとから着地してつま先で蹴り出すフォームを意識し、呼吸が少し弾む程度のペースで20〜30分を目標にウォーキングしてみましょう。
腰を守りながら有酸素運動の効果を得られます。
ヘルニア薬に頼らない治療法「再生医療」について
ヘルニア治療の選択肢の一つとしては、再生医療の選択肢もあります。再生医療は、とくにヘルニアの後遺症にお悩みの方に知っていただきたい治療法です。
当院「リペアセルクリニック」では、損傷した脊髄付近に直接注射で幹細胞を届ける治療を行っております。ヘルニア薬に頼らない治療法をお探しの方にとっても、選択肢の一つとなります。
当院では、検査結果や生活状況を踏まえ、再生医療を含む複数の選択肢を説明した上で治療計画をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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まとめ|薬の副作用と体重増加を同時に克服し、痛みのない生活へ
ヘルニア治療薬による体重増加は、薬物の作用機序を理解し、適切な対策を講じることで十分にコントロール可能です。
まず重要なのは、副作用リスクを正しく認識し、医師と連携しながら服薬を行うことです。
段階的な用量調整と服用時間の工夫により、治療効果を維持しながら副作用を最小限に抑えられます。
次に、日常生活でのセルフケアとして、減塩・低GI食事と痛みを避けた有酸素運動を継続的に実践することが、体重管理の鍵となります。
これらの対策は治療開始と同時に始めることで、より高い効果を期待できます。
薬の副作用が気になる場合や十分な痛み緩和が得られない場合は、再生医療も選択肢として検討できます。
当院の公式ラインでは、無料オンライン診断を行っておりますので、お気軽にお試しください。
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ヘルニアの薬で太ることに関してよくある質問
プレガバリン(リリカ)を減量したら体重は戻る?
プレガバリンの減量により体重が元に戻るかどうかは、体重増加の原因によって異なります。
薬物によるむくみが主な原因の場合、適切な減量により比較的短期間で改善が期待できます。
段階的に薬物を減らしながら、同時に塩分制限や軽い運動を並行して行うことで、余分な水分が徐々に排出され、1〜2カ月程度で元の体重に近づくことが多く見られます。
一方、食欲増進により実際に脂肪が蓄積した場合は、より長期的な取り組みが必要になります。
この場合でも、薬物減量と並行して食事療法と運動療法を継続することで、緩やかながら確実に体重減少を図れます。
重要なのは、急な薬の服用中止は避け、医師の指導のもとで計画的に減量を進めることです。
また、体重が戻る過程で一時的に痛みが再燃する可能性もあるため、生活習慣の改善や他の治療法との併用を検討してみましょう。
体重が増えたら受診すべき?
薬物治療開始後の体重増加については、その程度と期間により受診の必要性が異なります。
治療開始から急激な体重増加がある場合や、手足のひどいむくみが続く場合は、速やかに受診をおすすめします。
これらの症状は薬物の用量調整や種類変更により改善できる可能性があります。
また、体重増加により腰痛が悪化している場合も、治療方針の見直しが必要になる可能性があります。
定期的な体重測定を行い、変化を記録しておくことで、医師との相談がより具体的で効果的になります。
早めの相談により、薬物治療の中断を防ぎ、症状管理もしやすくなることが期待できます。
薬を飲み続けると体重は増え続けますか?
体重は投与開始の数週〜数カ月で増え、その後は増加ペースが落ち着く方もいれば、長期投与でさらに増える方もいるため個人差があります。
また、運動不足や高カロリー食が続けば、薬の影響とは別に脂肪が増える可能性がある点にも注意が必要です。
治療を続ける間は、定期的な体重測定と食事・運動の管理を併行し、増え方が気になるときは医師と相談して薬量や生活習慣を見直しましょう。
再生医療で薬をやめられる可能性は?
再生医療による治療は、薬物療法からの脱却を目指す有効な選択肢の一つです。
PRP療法や幹細胞治療により椎間板や周辺組織の炎症が改善されると、痛みの根本原因が軽減され、鎮痛薬の必要量を大幅に減らせる可能性があります。
ただし、効果には個人差があり、ヘルニアの程度や患者様の年齢、症状の持続期間などにより結果は異なります。
薬物に頼らない治療を希望される場合は、専門医との十分な相談をお勧めします。
参考文献
(文献1)
山口政弘ほか.「帯状疱疹後神経痛患者に対するプレガバリン投与の有効性および安全性」『日本ペインクリニック学会誌』17(2), pp.141-148, 2010年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/17/2/17_2_141/_article/-char/ja/ (最終アクセス:2025年6月24日)
(文献2)
日本医薬情報センター「タリージェ錠 添付文書」PINS 新医薬品情報シート, 2024年改訂
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068931.pdf (最終アクセス:2025年6月24日)
(文献3)
医薬品医療機器総合機構「タリージェ適正使用ガイド(安全性編)」2024年
https://www.pmda.go.jp/RMP/www/430574/e561f5e0-9533-4e8b-97a9-699b95f21881/430574_1190026F1028_10_006RMPm.pdf (最終アクセス:2025年6月24日)
(文献4)
日本医薬情報センター「リリカカプセル 添付文書」PINS 新医薬品情報シート, 2024年改訂.
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066754.pdf (最終アクセス:2025年6月24日)
(文献5)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」2020年.
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (最終アクセス:2025年6月24日)