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胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 「足が動きにくい気がする」、「両足のしびれが気になる」このような症状がある場合は、もしかすると胸椎椎間板ヘルニアかもしれません。 ヘルニアは腰や首だけでなく背中にある胸椎でも起こります。 本記事では胸椎椎間板ヘルニアについて解説し、痛みを軽減するためのストレッチを紹介します。自宅でも簡単にできる方法を紹介するので、ぜひ実践してみましょう。 胸椎椎間板ヘルニアとは?原因と症状について解説 ここでは胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気なのかを解説します。原因や症状についても紹介するので、自分自身に当てはまる方は早めに整形外科に受診しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの病態 背骨は脊椎と呼ばれ、椎骨と呼ばれるブロックのような小さい骨が積み重なってできています。椎骨の首の部分を頚椎、腰の部分を腰椎と呼び、頚椎と腰椎に挟まれた背中の部分を胸椎と呼びます。 椎骨と椎骨の間には、衝撃を吸収するクッションの役割をもつ椎間板があります。ヘルニアは、椎間板の中にあるゼリー状の髄核(ずいかく)が、椎間板から突き出してしまい、近くの神経を圧迫してしまう状態です。 胸椎の椎間板で生じるヘルニアを胸椎椎間板ヘルニアと呼びます。胸椎は頚椎や腰椎より動きが少ないため、頚椎や腰椎に比べてヘルニアになることが少ないとされています。 胸椎椎間板ヘルニアの原因 椎間板ヘルニアは加齢や繰り返しかかる負担で椎間板が変化したり断裂したりして起こります。繰り返し椎間板に負担のかかる作業といえば、重い荷物を抱えたり、運転など長時間座ったりする作業です。 また動きや接触の激しいスポーツ、事故などの衝撃もヘルニアの原因となります。 前述のように胸椎は動きが少なく、頚椎や腰椎に比べると上記のような原因でヘルニアになるケースは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの症状 胸椎椎間板ヘルニアの症状は以下のようなものがあります。 症状例 ・脚がしびれる ・脚に力が入らない ・歩くとふらつく ・お腹がしめつけられる ・背中や脇腹が痛む ・おしっこが出にくい、漏らしてしまう 胸椎椎間板ヘルニアによってうまく歩けなかったり、ふらついたりするのは、脚の筋力が低下してしまい、うまく力が入らないためです。 なぜ筋力低下が起こるのかというと、ヘルニアにより背中を通る神経が障害されてしまい麻痺してしまうからです。 さらに麻痺が進行すると、排尿を支配する神経も障害されるため、おしっこが出にくいなどの症状が出ます。しびれなどの感覚障害も症状の1つですが、痛みをともなうことは多くありません。 まれに、神経の障害の影響で背中や脇腹のあたりが痛む場合もあります。このような痛みを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。腰椎のヘルニアでよく見られるような、腰から脚に広がる神経痛は胸椎椎間板ヘルニアでは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの治療 胸椎椎間板ヘルニアの治療は症状の進行度合いによって変わり、保存療法と手術療法に分けられます。 それぞれの治療を選択する基準や治療の内容について紹介します。 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法 ヘルニアがあっても症状が軽く、脚の筋力低下や排尿の障害などが伴わない場合は、コルセットや内服薬で痛みの軽減を図ります。 ヘルニアは症状が自然に治る場合もあります。症状が軽い場合は、まず保存療法で様子を見ます。 胸椎椎間板ヘルニアの手術療法 胸椎椎間板ヘルニアの症状が進行し、麻痺の症状が見られると保存療法での治療は困難です。 その場合、放置すると症状が徐々に進行してしまうため、できるだけ早くヘルニアを除去する手術が行われます。 手術は背骨の一部を取り除き、神経を圧迫しているヘルニアを除去する治療をします。 胸椎椎間板ヘルニア(予防)におすすめのストレッチ2選 胸椎椎間板ヘルニアの予防や、痛みの緩和をするためにオススメのストレッチを2つ紹介します。 特別な道具も必要なく自宅でも簡単にできる方法ですので、日頃の生活に取り入れてみましょう。 横になってする胸椎ストレッチ まずは寝た状態でできる胸椎のストレッチです。 胸椎が固くなると猫背になり、胸の前側が固くなります。 このストレッチでは胸の前側の筋肉を伸ばすことができ、姿勢の改善が期待できます。 横になって行う胸椎ストレッチ 1. 左側が下になるように両膝を曲げて背筋を伸ばした状態で横になる 2. 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし、両手のひらを合わせる 3. 右手を大きな半円を描くように頭上を通りながら水平に後ろまで動かす (このとき手の動きを追うように頭も動かす) 4. 右手を元の位置に戻して5往復程度繰り返す 5. 反対も同様に行う ゆっくりと動作を行い痛みが出ない程度の範囲で行いましょう。 四つ這いでする胸椎のストレッチ 四つ這いになって背骨の柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 胸椎のストレッチに加えて、背骨を支える筋肉を働かせるためトレーニングの効果も期待できる運動です。 四つ這いで行う胸椎ストレッチ 1. 背中をまっすぐにして四つ這いになる 2. おへそをのぞき込みながら背中を丸めるようにゆっくり動かす 3. 目線を少し上にして両方の肩甲骨寄せながら背中をそらすようにゆっくり動かす 4. 5往復程度繰り返す 最初の姿勢では肩の下に両手を肩幅に広げて置き、腰の真下に膝がくるようにします。また背骨を一つずつ動かすような意識でゆっくりと実施するのがポイントです。 ストレッチを継続して胸椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげよう| 症状がある場合は早めの受診が大切 胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると歩くのが難しくなり、排尿が障害される怖い病気です。 麻痺の症状は徐々に進行するので、放置せず早めに整形外科へ受診をするようにしましょう。 症状が軽い場合は保存療法が選択されますが、ストレッチを継続して胸椎の柔軟性を高めることで、椎間板への負担を軽減するのもオススメです。 ただし、症状があるからといってマッサージを受けるなど自己判断で治療を進めるのではなく、受診をして医師の指示による正しい治療を受けましょう。 No.162 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考医されませんか 胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について 参照資料 標準整形外科.医学書院,東京,2020,pp550. 日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」
最終更新日:2024.03.01 -
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頚椎椎間板ヘルニアの治療、手術で必要な入院期間と休業期間について解説します 頚椎椎間板ヘルニアで、休職が必要となるのはどんな場合でしょうか?頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫してしまうことで、首の痛みや腕のしびれが生じる病気です。 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアでお仕事を休む休職が必要な期間と症状、休むときのポイントについて解説します。 頚椎椎間板ヘルニアとは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の背骨)と頚椎の間にあるクッションのような役割をしている椎間板が破れたりして、脊髄や神経根が圧迫されることで神経症状が起こる病気です。 症状は首の痛みが急激に生じ、続いて、腕や手指にしびれや痛みを感じます。腕や手指に脱力が生じることもあります。 ヘルニア病変が大きく、脊髄の圧迫が強まると、巧緻(こうち)運動障害を生じ、お箸がうまく使えない、字が下手になる、ボタンを留めることが難しいなどの細かな作業ができなくなったり、さらには歩行障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアでは、ヘルニアが自然に吸収され、自然治癒にいたる例も多数報告されています。そのため、症状が軽い場合にはまずは保存的治療を行い、経過をみていくことが多いです。 例えば、薬の内服や安静、理学療法や頚椎カラー固定などの保存的治療です。 保存的治療 ・薬の内服や安静 ・理学療法 ・頚椎カラー固定 保存療法でも、症状が悪化することは十分にあるため、常に注意をしておく必要があります。 頚椎椎間板ヘルニアの手術と休業期間の目安 では、頚椎椎間板ヘルニアが原因で休職が必要と考えられる症状について述べていきます。 手指の繊細な仕事が必要な場合 手指の巧緻運動障害や、しびれや脱力症状も、頚椎椎間板ヘルニアの症状になります。 そのため、こうした症状がある場合は、絵を描く、工芸品を作る、など繊細な手作業を要する仕事の場合には、症状が改善するまで休むことが必要となる場合があります。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状が重い場合 頚椎椎間板ヘルニアでは、通常は上半身、特に首から肩、腕、手指などにしびれや痛み、時に脱力などの症状が現れます。 一方で、重症になると歩行障害など下半身にも影響がみられるようになります。 そのため、仕事内容によって歩くことが大切である、例えば営業職や医療職などで歩き回ることが多い職種では、治療するまで仕事を休まざるを得ない場合もあるかもしれません。 手術を受けた場合 「頚椎椎間板ヘルニアの症状が保存的な治療で改善しない場合」、「患者さんの強い希望がある場合」、また、「先ほど述べた巧緻運動障害や歩行障害がある場合」などには、前方除圧術や前方除圧固定術といった外科的治療(手術)が選択されます。 頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎前方除圧固定術という手術がよく選ばれます。 外科的治療(手術) 手術時間の目安 入院期間の目安 休職期間の目安 頸椎前方除圧固定術 1〜1.5時間 10~14日 2~3週間 この手術は、頚椎の前側、つまり首の前面から皮膚や筋肉を切り開き、椎間板や頚椎の骨の出っ張っている部分を切除して、神経の圧迫を取り除く、というものです。 手術自体は1〜1.5時間くらいで、翌日から歩行可能とされています。しかしながら、入院期間はリハビリなども含めて通常10〜14日程度のようです。 そのため、その間はもちろん通勤などはできませんし、仕事をするのは難しいでしょう。退院後すぐに出勤できるかどうかは人により様々ですが、手術を行なった場合には休職期間は平均で2〜3週間ほどであると考えられます。 このような治療で、症状が改善することが期待できます。 一方で、ヘルニアによって神経根や脊髄の圧迫が強かったために、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、休職、あるいは仕事を辞めることを検討する必要があるでしょう。 ▼術後の後遺症でお悩みの方へ 頚椎椎間板ヘルニアでも仕事を休めない場合には 基本的には痛みが強い間には安静にしておくことが大切ですが、頚椎椎間板ヘルニアによって、腕のしびれや首の痛みがあっても、仕事によっては休めないということもあります。そのような場合には、頚椎カラーで首を固定したり、首を曲げるような動きは極力避けることで、頚椎椎間板ヘルニアの症状悪化を防ぐことが期待できます。 頚椎椎間板ヘルニアでの症状を軽減させるポイント それでは、頚椎椎間板ヘルニアのために仕事を休んでいる間に注意しておきたいポイントを解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの症状を軽減させるためには、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。特に、後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 例えば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避ける、腹ばいでの読書や、そうした姿勢でのテレビ視聴は避ける、ということがあります。 また、寝る際には首までしっかりと固定できる面積の広い枕を使うことも良いでしょう。 このようなポイントを守ることで、頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状の悪化を、ある程度食い止めることが可能と考えられます。また、頚椎の良い姿勢を保つために、頚椎カラーも有効です。 頚椎の良い姿勢を保つ ・上を見上げる姿勢は取らない ・首をぐるぐると回す運動は避ける ・腹ばいでの読書やそうした姿勢でのテレビ視聴を避ける ・首までしっかりと固定できる面積の広い枕の使用をする まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの治療、手術で必要な入院期間と休業期間について 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状の程度によっては仕事を休まざるを得ないケースについて解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアによる休業期間の必要性は、症状の種類と程度によって異なります。手指の繊細な作業が必要な場合や症状が重い場合は休職が必要となることがあります。症状の程度に応じて適切な休業期間を確保し、適切な治療と姿勢の管理を行うことが必要です。 頚椎椎間板ヘルニアは、多くは保存的治療もしくは手術によって症状が改善することが期待できます。一方で、神経の圧迫の程度が強く、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあり得ます。手術や保存的治療を受けた後でも、症状が改善せず仕事を続けることが難しい場合があります。 最後に頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状を軽減させるためには、適切な姿勢を保つことが重要です。普段から意識して姿勢を整えるようにしたいものです。 ▼当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄内幹細胞を投与することで、傷ついた神経の修復・再生に取り組んでいます。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=64s 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、術後の後遺症に悩んでいる、仕事に早く復帰したい、というような方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 No.161 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p242 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p245 代表的な手術 脊椎外来(脊椎センター)北里大学北里研究所病院 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3):242-251 p245 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 ▼首のヘルニアのリハビリテーションについて解説しています 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法や効果と注意点!
最終更新日:2024.04.16 -
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頚椎(首)椎間板ヘルニアを自分で治す!ストレッチと予防のポイント 「片方の腕がしびれてつらい…」「首の後ろが痛い…」 このような症状はもしかすると頚椎(首)椎間板ヘルニアかもしれません。ヘルニアは腰だけでなく首でも起こり、早めの対策や予防が大切です。 本記事では頚椎(首)椎間板ヘルニアのストレッチ方法と予防のポイントを紹介します。自宅で簡単に実践できるので、ぜひ参考にしましょう。 頚椎(首)椎間板ヘルニアとは?原因と症状について解説 頚椎(首)椎間板ヘルニアに対するストレッチや予防を理解するためには、どのような病気で、なぜ起こるのかを理解することが大切です。 まずは頚椎(首)椎間板ヘルニアの病態や原因、症状について解説します。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの病態 首の骨は7つの小さな骨(頚椎:けいつい)がブロックのように積み重なってできています。頚椎と頚椎の間には椎間板(ついかんばん)と呼ばれる組織があります。 椎間板はクッションのような機能を持ち、動きを滑らかにしたり、衝撃を吸収したりするのが役割です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアは何らかの原因で、椎間板の中にある髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリーのような組織が突き出てしまい、首にある神経を圧迫してしまう病気です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因 頚椎(首)椎間板ヘルニアは30歳代〜50歳代の男性に多く、以下のような原因があげられます。 ・加齢 ・スポーツ ・デスクワーク ・重労働 ・喫煙 ・悪い姿勢 ・遺伝 加齢による椎間板の変化にスポーツやデスクワーク、重労働が重なるとヘルニアにつながります。 また喫煙や悪い姿勢といった生活習慣、遺伝的な原因でも発生するとされています。 頚椎(首)椎間板ヘルニアの症状 頚椎(首)椎間板ヘルニアの主な症状は、片側の首や腕、肩甲骨の痛みやしびれです。これはヘルニアにより首の神経が圧迫されるため生じます。 首にある神経は首だけでなく、腕や肩甲骨の感覚や動きに関わっているため症状が現れるのです。 また首を後ろにそらすと神経の圧迫を強めるため症状が悪化し、首をそらす動きが制限されます。重症になると両手がしびれたり、細かい動作が難しくなったりします。 さらに歩行が難しくなったり、排便や排尿が障害されたりするのが重症化の特徴です。 頚椎(首)椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ2選 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因の1つが、悪い姿勢を続けることです。 ストレートネックや猫背といった不良姿勢が続くと、首への負担が増えて頚椎(首)椎間板ヘルニアにつながります。 そのため、ストレートネックや猫背を防ぐストレッチがおすすめです。 マッサージは腕のしびれや痛みが出ているため自分では難しい点でも、自宅での対策としてストレッチが良いでしょう。 具体的な方法を2つ紹介します。 首の筋肉のストレッチ まずはストレートネックの原因になりやすい首の筋肉のストレッチから紹介します。 ストレートネックになると首から背中にかけてある僧帽筋上部(そうぼうきんじょうぶ)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)、斜角筋(しゃかくきん)などが縮んでしまいます。 ストレッチで筋肉を柔軟にして首への負担を軽減しましょう。 1 .椅子に座って正面を向く 2 .左手を頭頂部に置き、右のこめかみ付近に指先を当てる 3 .手の重みを利用してゆっくり左側に頭を傾ける 4 .15秒から30秒程度キープする 5 .元の位置に戻す 6 .左手を後頭部に回し、指先を右耳の後ろに当てる 7 .手の重みを利用してゆっくり左前側に傾ける 8 .15秒から30秒程度キープする 9 .元の位置に戻す 10 .反対も同様に行う 頚椎(首)椎間板ヘルニアは首を後ろに反らすと症状が強まるため注意しましょう。また、動かしたときに痛みやしびれが強まる場合はすぐに中止しましょう。 胸の前側にある筋肉のストレッチ 猫背になると首を後ろにそらした姿勢になりやすく頚椎へ負担がかかってしまいます。 猫背になると胸の前側にある筋肉が縮んでしまいがちです。 以下の方法で胸を広げた姿勢を保ちましょう。 1 .壁に対して横向きに立つ(右側が壁になるように) 2 .右側の手のひらと腕を壁につける(肩と肘が同じ高さになる位置) 3 .ゆっくり体を左側にひねる 4 .右胸の前側が伸ばされるのを感じた状態で15秒から30秒キープする 5 .反対側も同様に行う 適度に伸びているのを感じる程度まで体をひねりましょう。 頚椎(首)椎間板ヘルニアを予防するポイント3つ 頚椎(首)椎間板ヘルニアを予防する方法はストレッチ以外にも以下のようなポイントが大切です。 ①不良姿勢の改善 ②適切な枕の使用 ③首に負担のかかる生活の改善 それぞれ具体的な改善方法を紹介します。 ①不良姿勢の改善 不良姿勢の改善は前述のストレートネックや猫背です。紹介したストレッチを継続して姿勢の改善を図りましょう。 良い姿勢とは耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線になる姿勢です。座った姿勢をチェックする場合は、耳から腰まで一直線になるか確認しましょう。 特に長時間のスマートフォンの使用やデスクワークで不良姿勢になりやすいので注意が必要です。 ②適切な枕の使用 不適切なサイズの枕を使用すると、寝ている時間ずっと頚椎への負担がかかる寝方になってしまいます。 そのため適切な枕選びは頚椎(首)椎間板ヘルニアの予防にとって重要な対策です。 以下のポイントで枕を選びましょう。 ・やや首が曲がる高さ ・過度に沈み込まない適度な固さ ・寝返りができる広さ 頚椎が反った寝方にならないように低すぎる枕を選ばないようにしましょう。 基本的には立っている頭の位置と同じになる高さの枕を選びますが、それよりやや高い枕で頚椎が反るのを防いでも良いです。 また枕が柔らかすぎると首が反りやすくなるため、適度な固さの枕を選びましょう。 大きさは寝返りしたときも枕が当たる頭3個分程度がおすすめです。 ③首に負担のかかる生活の改善 頚椎(首)椎間板ヘルニアの原因となるような、不良姿勢の持続や重量物の運搬、喫煙をできるだけ行わないようにしましょう。 デスクワークではパソコンのモニターの高さを目線の位置に合わせ、腰にクッションを当てることで良い姿勢を保ちやすくなります。 長時間のスマートフォンの使用や重量物の運搬を繰り返すのを避けて、こまめに休憩をして紹介したストレッチをするようにしましょう。 まとめ・頚椎(首)椎間板ヘルニアの予防のためにストレッチや生活習慣の工夫を継続しよう 頚椎(首)椎間板ヘルニアは首だけでなく肩や腕の症状を招くため、症状を緩和しなければ日常生活に支障をきたしてしまいます。 予防はもちろん、早期の対策で症状の悪化を防ぐことが大切です。 生活習慣や日々の姿勢や動作が原因となるため、本記事を参考にして予防のストレッチや生活習慣の改善を続けましょう。 また症状が見られたら正しい診断を受けるために、整形外科への受診をおすすめします。医師や理学療法士などの専門家に、適切な指導を受けるとストレッチなどもより効果的に実施できます。 No.161 監修:医師 坂本貞範 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp258 日本整形外科学会「頚椎椎間板ヘルニア」 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp392-406.
最終更新日:2023.12.29 -
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頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること 首が痛い、手がしびれるなどの症状で悩む場合は、頚椎椎間板ヘルニアの可能性があります。頚椎椎間板ヘルニアはどなたでも発症する可能性がある疾患の1つであり、首の神経が圧迫されることによりさまざまな症状が現れます。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアとはどのような疾患か、頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因や症状の変化について解説します。特に首や肩が痛い方や手にしびれがある方など、頚椎椎間板ヘルニアを疑う症状がある方はぜひ参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアとは 人の首には7個の頚椎(けいつい)と呼ばれる骨があり、頚椎と頚椎の間には椎間板(ついかんばん)という組織があります。頚椎椎間板ヘルニアはこの椎間板が一般的に後ろ向きに飛び出る疾患です。椎間板には首の骨をつなぎあわせるクッションのような役割があり、椎間板が動くことで首が回ったり曲がるなど可動できます。 椎間板はやわらかい組織である髄核のまわりを、固い繊維輪と呼ばれる組織が取り巻いています。そして線維輪がダメージを受けてひびが入ると、中身の髄核が外に飛び出してきて椎間板ヘルニアの状態となります。 頚椎椎間板ヘルニアは30~50代に多く発症し、さまざまな症状により日常生活に支障が生じることがある疾患です。 頚椎椎間板ヘルニアの原因 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の椎間板の中にある髄核が脱出することが原因ですが、以下のようなことが原因となり発症することがあります。 ・加齢による椎間板の衰え ・激しく体をぶつけあうスポーツ ・急に強い力が首にかかるスポーツ ・首を前に突き出す動作、反り腰、猫背などの姿勢の悪さ ・喫煙による血行不良での椎間板の劣化 ・合わない枕の使用など、寝方の姿勢 脱出する最大の原因は、加齢による椎間板機能の衰えです。首にある椎間板は、常に頭を支えているため老化しやすいと考えられています。 また、最近では加齢以外でも、スポーツや姿勢の悪さが原因となることもあります。 格闘技や柔道、ラグビー、アメリカンフットボールなど激しく体をぶつけあうスポーツや、急に強い力が首にかかる器械体操やスキー、スノーボードなどでも発症します。 そして、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの画面を見ようとして首を前向きに突き出す動作や、反り腰、猫背なども頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因になるため注意が必要です。 そのほか、タバコにより毛細血管の血流が悪くなって椎間板が劣化しやすくなるため、禁煙するようにしましょう。また、寝方によって頚椎椎間板ヘルニアが発症しやすくなり悪化することがあるため、自分に合った枕を使うのがおすすめです。 頚椎椎間板ヘルニアの症状 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首が痛い、首がこる、手がしびれる、力が入りにくいなどさまざまな症状が現れます。 椎間板ヘルニアの症状は、原因である髄核の脱出によって圧迫される部位により、大きく2つに分けられます。 一般的に椎間板ヘルニアは、脊髄と呼ばれる脳につながる神経の束がある背中側(後ろの方)に髄核が飛び出しますが、脊髄の左右には脊髄から分岐した神経根という神経があります。髄核が脊髄を圧迫すれば脊髄症、神経根を圧迫すると神経根症の症状が現れます。 脊髄症の症状 脊髄症の代表的な症状は手のしびれです。手のしびれはどちらか片側のみの場合と、時間がたつと反対側にも現れることがあります。 また、手指を細かく動かせなくなって衣服のボタンをとめたり外したりしにくくなる、お箸をうまく使えなくなるなどの症状も出現します。そして次第に手指だけではなく足がこわばってきて、階段の昇り降りがしにくく歩きにくいという痙性(けいせい)歩行と呼ばれる症状も認めます。 神経根症の症状 神経根症の場合は、主に首から肩、手指にかけての痛み、しびれが現れます。 また、多くの場合には両側ではなく片側にのみ認めます。飲料水を飲む時やうがいをする時などに首を後ろ側に傾けると、神経根がより一層圧迫されることで症状が増強するのが特徴です。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状の変化 頚椎椎間板ヘルニアを初期症状、中期症状、後期症状の3段階に分けて説明します。 頚椎椎間板ヘルニアは、このように発症段階によって症状の現れ方が異なります。しびれや痛みが強まり、症状が進行すると手術が必要になることもあるため、放っておかずに早めの対処することが大切です。 頚椎椎間板ヘルニアの初期症状 初期の頃は首や肩に違和感が出たり鈍い痛みを感じたりしますが、動かずに安静にすれば症状は改善します。初期段階で医師の診察を受ければ約1~8週間で症状はおさまります。 頚椎椎間板ヘルニアの中期症状 中期の段階になると、首や肩にはっきりとした痛みやしびれを認めるようになり日常生活にやや支障が出てきます。 この段階で病院を受診すれば、初期段階と同様に約1~8週間で症状は改善していきますが個人差が大きいです。 具体的には、痛み止めなどを使いながら安静に過ごしたりリハビリテーションを行ったりします。 頚椎椎間板ヘルニアの後期症状 後期の段階では、首や肩の痛みやしびれが強くなるとともに、顔や手指、足などにも痛みやしびれが広がることがあります。強い症状が影響して首がスムーズに動かせなくなり、基本的には手術が必要な状態です。 具体的には約2週間の入院中に患部の手術とリハビリテーションや薬物療法を行います。手術は体への負担が大きいとともに、脊髄損傷と呼ばれる術後合併症が起こるリスクもあります。 そして退院後も定期的な通院が必要なため、治療期間は数ヶ月から約1年かかってしまいます。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること 頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨を支える椎間板の一部が飛び出て神経を圧迫することでさまざまな症状が現れる疾患です。椎間板が脱出する原因として、加齢やスポーツ、悪い姿勢、生活習慣などがあげられます。 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は首や肩の痛みやしびれですが、進行するにつれて症状が強まるとともに、手指や足などにも症状が現れる場合があります。症状が増悪すると手術が必要になることもあるため、首の痛みに気づいたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.160 監修:医師 加藤 秀一 ▼首のヘルニアのセルフストレッチなどご自分でできる事は解説しました 頚椎(首)椎間板ヘルニアを自分で治す!ストレッチと予防のポイント
最終更新日:2024.04.04 -
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頚椎椎間板ヘルニアの初期症状、見逃さない!3つのポイント 次のような症状でお困りの方は、もしかすると頚椎椎間板ヘルニアを発症しているかもしれません。 「首が痛いけど寝違えかな?」 「手がしびれている気がする…」 頚椎椎間板ヘルニアは、発症すると非常につらい痛みが出現し、病状によっては手足を使うことが難しくなることもあります。 薬や負担を避けることで症状が落ち着く人がいる一方、生活が不自由になり手術を受ける方もおられます。本記事では、「頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状」と、「治療の流れ」や放置するとどうなるか?を解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の骨)間のクッションである「椎間板」組織の一部が何らかの理由で本来の場所から逸脱することで起こる疾患です。「ヘルニア」という言葉は臓器や組織が本来あるべき場所からはみ出してしまうことを指します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つの症状 ①首の痛み ②片方の腕や手の痛み・痺れ ③両手の痺れ・感覚障害 ①首の痛み 首の痛みは頚椎椎間板ヘルニアの最初期の症状です。 頚椎椎間板ヘルニアの症状の特徴は急激な発症です。ある日突然に首が痛い、とくに後ろが痛いと感じます。寝違えのような疼痛で、後頭部や肩甲骨周りまで痛みが広がることもあります。 ②片方の腕や手の痛み・痺れ 片方の肩から腕、手にかけての痛みや痺れは「神経根の圧迫」が起こることで認められる症状の典型例です。 「神経根」とは脊髄から体の各部位に伸びる神経の付け根のことです。各椎体と椎体の間から、左右それぞれに1本ずつ神経の束が伸びていきます。 神経根が出てくるのは椎体の外側やや後ろです。椎間板組織がやや斜め後ろに飛び出すことにより神経根の圧迫が起こると、その神経の領域を中心に強い痛みをはじめとした症状が起こります。 頚椎から伸びる神経は主に肩から腕、手にかけて分布する神経です。そのため頚椎椎間板ヘルニアの神経根症状は主に肩・腕・手に認められます。症状は圧迫された側のみに起こるため、左右どちらか一方のみが痛んだり痺れたりします。 神経根圧迫による症状は「電気が走るような」「ビリッとした」などと表現されることが多いです。ときに激痛となり、日常生活が困難になる人もいます。 ③両手の痺れ・感覚障害 片手でなく両手が痺れる場合はヘルニアによる「脊髄」のダメージが起こっている可能性があります。脊髄は椎体(いわゆる背骨)の真後ろを走っています。椎間板の組織が体の後方へ飛び出すことで、脊髄が圧迫されます。 脊髄の圧迫による症状は指先から始まり、徐々に範囲が広がっていくことが多いです。片側から始まることも多いですが、最後には両手に認めます。感覚も鈍くなります。その後はさらに体幹部や足へも症状が広がっていきます。 神経根の圧迫と異なり、脊髄の圧迫では強い痛みはあまり感じません。「なんとなく痺れた感じがする」という一見軽そうな症状が、実は脊髄圧迫のサインであるかもしれないのです。 初期段階で対応しない(放置すると)と何が起こるか 神経根症状の場合は悪化すると、支配神経の感覚障害や筋力低下が起こることがあります。 ただし、神経根症状の場合は安静を心がけるだけでも自然治癒する方も多くいます。 一方、脊髄圧迫の症状が進行すると厄介です。進行していくと、まず手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こります。細かく指を使う動作が難しくなり、箸を使う・ボタンをかける・文字を書くなどの当たり前にできていたことができなくなるのです。 続いて、足の運動障害により歩行が難しくなります。さらに進行すると排尿のコントロールに重要な神経の障害が起こり、頻尿・残尿感・失禁などを認めることもあります。 脊髄圧迫の症状が進行すると ①手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こる ・細かく指を使う動作が難しくなる。 ・箸を使う、ボタンをかける、文字を書けなくなる ・当たり前にできていたことができなくなる ②足の運動障害 ・歩行が難しくなる。 ③さらに進行すると ・排尿の障害 ・頻尿、残尿感、失禁 治療について 初期の症状のうちは保存療法が基本です。 保存療法 最も重要なのは首の安静を保つことです。特に後屈動作、つまり顎を上げる動作は症状悪化の原因になります。なるべく首を動かさないように、頚椎のカラーという装具の使用を指示されることもあります。 痛みが強いときは鎮痛薬の内服やブロック注射など選択肢です。 手術療法 一方、脊髄症状が進行してしまい、巧緻運動障害・歩行障害・排尿障害などが起こると手術を考えることになります。また、神経根症状でも治療抵抗性の場合は手術が選択肢となります。 頚椎椎間板ヘルニアについてよくある質問 Q:頚椎椎間板ヘルニアが心配です。何科に受診すれば良いでしょうか? 頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした頚椎疾患は次のいずれかの診療科で診察を受けることができます。 ・整形外科 ・脳神経外科 ただし、これらの診療科であっても医師によって専門領域が異なることもあります。場合によっては他の病院や診療科に紹介となる可能性も否定できません。 受診希望時に迷うようであれば予め「頚椎の病気」を診てもらえるか問い合わせをしておくとスムーズです。 Q:頚椎椎間板ヘルニアはレントゲンで分かりますか? レントゲンで確定診断をすることはできません。同様の症状をきたす他の病気がないかを診る目的で行います。 頚椎椎間板ヘルニアがあるかどうかはMRI撮影を行って調べます。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの初期症状、見逃さない!3つのポイント 頚椎椎間板ヘルニアはときに自然軽快することもある疾患です。しかしながら、人によっては急激に悪化し、麻痺などの重い神経症状を認めることもあります。 一度重症化してしまうと手術を行わなければならないこともあり、早期に診断して適切な治療を行うことが望ましいです。 今回ご紹介した「首の痛み」「片方の腕や手の痛み・痺れ」「両手の痺れ・感覚障害」があれば、早めに病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.160 監修:医師 坂本貞範 ▼こちらのご覧になりませんか 参考文献 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. 中川幸洋. MB Orthop. 33(3): 27-34, 2020. 吉井俊貴, 江川聡. MB Orthop. 30(10): 7-13, 2017. ▼首のヘルニアについて症状のレベルは以下をご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説!
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頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や治療法 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板というクッションのような構造が後ろに飛び出すことで、神経を圧迫し、しびれや痛みなどが生じる病気です。 この記事では、椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や、治療法について解説していきます。 頚椎椎間板ヘルニアの原因と発症メカニズム 首の部位にある背骨のことを医学用語で「頚椎(けいつい)」と呼びます。 その頚椎が積み重なるようにして、背骨は作られています。そして、頚椎の間には「椎間板(ついかんばん)」というクッションのような構造があります。頚椎椎間板ヘルニアとは、椎骨の間の椎間板が後ろに飛び出てしまい、脊髄や神経根が圧迫されて症状が出る病気です。 頚椎椎間板ヘルニアの原因は、椎間板が加齢などの理由で変性して、後ろの方へ突出することです。30〜50代の働き盛りの方に多く、誘因なく、突然発症することが多いとされています。 また、悪い姿勢での仕事や、スポーツなどがきっかけとなることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの症状としては、急な首の痛みに引き続き、腕や手指のしびれが特徴的とされています。飛び出した椎間板が大きく、脊髄を圧迫してしまうと、歩行障害や手指の運動障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの診断・検査 頚椎椎間板ヘルニアの診断には、首の骨のレントゲン撮影やCT検査、MRI検査などが行われます。 MRIでは、変性した頚椎の椎間板や、頚椎椎間板ヘルニアを確認することが可能です。椎間板が後ろの方へ飛び出すことによって、脊髄や神経根が圧迫されているかどうか、またその程度も確認することが可能です。画像検査の結果と症状を照らし合わせて矛盾がない場合には、椎間板ヘルニアによる症状であると診断することができます。 また、首を斜め後ろへ反らすと腕や手に痛みが走るということも特徴的ですので、診断の際にこうした手技が用いられることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法 それでは、頚椎椎間板ヘルニアの治療法をご紹介していきます。 治療法は、症状の程度によって保存的治療か外科的治療かに分けられます。まずは軽い症状の場合の治療法から解説します。 保存的治療 頚椎椎間板ヘルニアによる痛みを和らげる方法として、鎮痛薬や神経ブロックといった薬物治療、牽引(けんいん)治療や理学療法も行われます。 薬物治療 ・痛みが強い時には、首の安静保持を心がけます。 ・鎮痛薬の内服や神経ブロックを行うこともあります。 牽引治療 ・頚椎カラー装具で首を固定したり、首の牽引治療を行ったりすることもあります。 ・首の牽引治療を行うと、理学療法のみの場合よりも治療開始5週間後の握力の回復が優れていたという報告があります。 ・頚椎の牽引を行うことで、神経根が減圧され、再髄鞘化と血流の改善が起こるためと考えられています。 理学療法 頚椎椎間板ヘルニアを含む頚椎が変性することによって起こる疾患に対しては、理学療法も効果的です。 理学療法としては、マッケンジー法という手法や、首のエクササイズなどがあります。 マッケンジー法では、首の反復運動の検査や姿勢保持検査を行って症状を見ながら、運動療法の内容や負荷、強度などの治療内容を決めていくものです。 運動内容としては、首の曲げ伸ばし、側屈、回すことを組み合わせていきます。 また、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、ヘルニアが自然に吸収されることで自然に治癒する例も多数報告されています。そのため、まずは保存的な治療で様子をみていくことが多いです。 こうした保存的な治療を開始してから3ヶ月経っても症状の改善がない場合には、手術を考慮したほうが良いという報告もあります。 外科的治療 保存的な治療をしても症状が改善しない場合や、早く症状を改善したいという希望が強い場合には、外科的手術が推奨されます。 また、脊髄症の症状、つまり運動麻痺が強く出ている場合にも手術が考慮されます。 外科的手術の方法としては、以下が標準的な術式として推奨されています。 ・前方除圧術 ・前方除圧固定術 頚椎椎間板ヘルニアの日常生活での注意 頚椎椎間板ヘルニアに限らず、頚椎の変性によって起こる病気に対しての日常生活でのポイントをご紹介していきます。 良い姿勢を保つ 保存的治療や予防の段階では、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。特に、後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 例えば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避けましょう。そして腹ばいでの読書や、不適切な姿勢でのテレビ視聴はしないようにします。 寝方に注意する さらに、寝方にもポイントがあります。 就寝時には、頭だけでなく首もしっかりと固定できるような、面積の広い枕を選ぶようにしましょう。 このような日常生活の注意によって、ヘルニアを含め頚椎症による神経症状の悪化をある程度予防することは可能と考えられます。ひいては、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげることにもつながるでしょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法と治療 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの治療や症状を和らげる方法について解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。一方で、手術を行っても脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。その結果、しびれや痛みといった症状が残ってしまう場合もみられます。 そこで当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄腔内ダイレクト注射療法という方法を独自に開発しました。この方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みています。 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しないというような方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 ▼こちらの動画もぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5WTj47BqXbQ&t=110s No.S159 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 「頚椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる PDF:頚椎椎間板ヘルニア 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p242 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p243 頸椎変性疾患患者に対する理学療法の効果.理学療法学.2020. 自然消退がみられた頚椎椎間板ヘルニアの1例.整形外科と災害外科.2012;61:(1)89-93. p91-92 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p246 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476 ▼首のヘルニアの原因について記しました 頚椎椎間板ヘルニアの原因、首の痛みからわかること
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頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と目的、注意点について! 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアとは、首の骨である頚椎と頚椎の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫してさまざまな症状が現れる整形外科の疾患です。頚椎椎間板ヘルニアを発症した場合、一般的に治療法の1つとしてリハビリ(理学療法)を行います。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアの概要やリハビリの目的、効果、注意点、具体的な方法などについて解説します。頚椎椎間板ヘルニアと診断を受けた方やリハビリ方法について知りたい方はぜひご参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリとは 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれが現れます。病状が進むと、手術が必要となる場合もあります。 しかし、頚椎椎間板ヘルニアの治療においてリハビリ(運動療法)を適切に行えば病状や症状の進行や再発を防げるとともに、手術を行わなくても場合によっては治ることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリは、症状を改善し、日常生活を送るために必要な身体機能の回復を目指すための治療法です。そして椎間板は年を取るとともに老化して頚椎椎間板ヘルニアが再発するリスクが高まるため、適切なリハビリを行って予防することも重要です。 リハビリの頻度と期間は、症状と重症度によってことなりますが、通常は週に1~3回程度で、少なくとも4週間は必要です。 またリハビリで通院する際の1回あたりの費用は、レントゲン検査の有無やリハビリを行う時間によって様々ですが、保険診療を用いて1割負担の方で約600円~1000円程度、3割負担の方で約2000円~3000円程度かかります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法 リハビリでは、理学療法士が患者さまの状態や生活習慣に応じて、一人ひとりに合ったリハビリを行います。具体的なリハビリ方法として、運動療法や物理療法などがあります。 運動療法 頚椎椎間板ヘルニアが発症する原因として、首の筋力低下や筋肉が適切に動かないなどが考えられます。 運動療法では首をサポートする筋肉を強化します。首への負荷を減らし、首がスムーズに動くように可動域を広げます。例えば、頚椎と頚椎の間にある関節に直接ストレッチを行ったり、首を支える筋肉の筋力強化を行ったりします。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状を改善するためには、医療機関だけではなく自宅でのセルフケアも重要です。具体的には、頚椎に負荷をかけている姿勢や動作に対する改善のアドバイス、症状が強い時期には首をそらないようになど指導します。 物理療法 物理療法では痛みを改善させるために温熱療法、電気療法、冷却療法などを行います。例えば、ヘルニアによって神経根が圧迫されて症状が現れている場合、電気的刺激を用いて症状を改善させることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリをする目的 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリを行う目的は、悩んでいるつらい症状や頚部の機能を改善し、再発を防止することで患者さんが楽しく快適な生活を送ることです。 それぞれの目的や期待できる効果について詳しく説明します。 つらい症状を改善する 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれを感じるなどの症状から、日常生活がうまく送れない場合があります。リハビリは、痛みやしびれなどの症状を改善して快適な生活を送るサポートを行います。例えば、物理療法やマニュアルセラピーを行ったり、首を支える筋肉を強化することで頚椎や首の筋肉や神経にかかる負荷を減らし、症状の改善を目指します。 頚部の機能を改善する 頚椎椎間板ヘルニアでは、手足にうまく力が入らない、首がスムーズに動かないなどの症状が現れることがあります。頚椎椎間板ヘルニアによる体の機能制限を回復させることも、リハビリの目的の1つです。例えば、適切なストレッチングや筋力トレーニングを行うことで首の可動域が広がって首がスムーズに動くようになります。 姿勢を改善する 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、正しい姿勢を体に学習させ、定着させることで頚椎にかかる負荷を減らします。適切な姿勢を維持することは、症状が改善するだけでなく、ヘルニアの増悪を予防するという点でもとても重要です。 頚椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐ 頚椎椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発しやすい疾患です。頚椎椎間板ヘルニアが再発しないように、リハビリで悪い姿勢や生活習慣を改善し、首周りの筋力を強化します。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを受ける場合の注意点 頚椎椎間板ヘルニアヘルニアのリハビリは、患者さまの状態によって個別にリハビリ内容を計画します。リハビリを受ける時には次のようなことに注意しましょう。 ・痛みやしびれが強い場合は無理に運動しない ・リハビリで身につけた正しい姿勢を維持する ・定期的にリハビリを受ける ・理学療法士など専門家の指導を受ける 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを行う場合は、首に大きな負担がかかると症状が増悪することがあるため、症状が強い場合は無理に運動しないようにしましょう。また、リハビリ以外の日常生活も正しい姿勢で送ることが重要です。例えば、頭を前に突き出すと首に負荷がかかって症状が増悪することもあります。 症状を改善するためには、定期的にリハビリを受けるようにしましょう。一度リハビリを受けただけでは効果が現れにくいですが、何度も定期的に受けることでつらい症状が改善していく場合が多いです。 注意点として、自身のやり方で首の運動を行うのはおすすめできません。誤った方法で首を動かすことでかえって症状が増悪してしまう場合があるため、理学療法士や整形外科の医師などと相談した上でリハビリや首の運動を行いましょう。 ただし、専門的にリハビリを行っても痛みやしびれなどの症状が悪くなる場合もあります。症状の増悪や新しい症状に気づいた場合は速やかに医師や理学療法士に相談しましょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と注意点について! 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれなど日常生活を送るのに支障が出ることがありますが、適切なリハビリを行うことで症状の改善が期待できます。リハビリでは運動療法や物理療法を用いて治療します。 自身の方法ではなく整形外科の医師や理学療法士の指導のもと、適切なリハビリを定期的に受けるのがおすすめです。そしてヘルニアのつらい症状を改善するとともに頚部の機能を改善させ、正しい姿勢を維持して再発を防ぎましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.159 監修:医師 坂本貞範 ▼頸椎椎間板ヘルニアの症状について以下もご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの辛い症状の種類と似た病気、検査と治療法
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頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説! 頚椎椎間板ヘルニアの症状は、首の痛み、手のしびれ、歩行障害、排尿障害など患者さんにより様々です。 どうして「くびの病気」が様々な症状をきたすのでしょうか?また、どのような症状が出たら注意すべきなのでしょうか。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアの症状について、分類や進行するとどうなるかを解説していきます。 頚椎椎間板ヘルニアの症状とは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の間のクッションである椎間板が本来あるべきところから逸脱して起こる疾患です。 頚椎のすぐ後ろには太い神経の束である「脊髄」が走っています。また、脊髄は背骨(椎体)の間から体の各部位に向かって神経線維を伸ばしています。 頚椎椎間板ヘルニアが起こると、最初に生じるのは頚部の痛みです。椎間板の逸脱が脊髄の周囲に及ぶと、脊髄やそこから伸びる神経への圧迫も出現します。すると、色々な神経症状が出現するのです。 頚椎椎間板ヘルニアの分類と神経症状について 頚椎椎間板ヘルニアは椎間板組織の逸脱の仕方により、以下のような外側型、正中型、傍正中型の3タイプに分けられます。このように逸脱の仕方で、神経のどの部分に障害が起こりやすいかが変わるのです。圧迫される部分に応じて「神経根症」あるいは「脊髄症」のいずれか、もしくは両者が混在して認められます。 外側型 ヘルニアが背中の外側に飛び出すタイプです。主に神経根と呼ばれる脊髄から伸びる神経の付け根を圧迫する可能性があります。 正中型 ヘルニアが背中のちょうど真ん中に逸脱するタイプです。主に脊髄の圧迫が起こります。 傍正中型 正中型と外側型の中間です。 頚椎椎間板ヘルニアで起こる神経根症と脊髄症 ここからは、神経根症と脊髄症のそれぞれの症状について解説します。 神経根症とは 神経根症はヘルニアが椎間孔から伸びる神経の根本(神経根)を圧迫することで起こります。主に外側型や傍正中型で認められる神経症状です。 椎間孔とは脊髄から神経が出てくる孔です。上下の椎体の後ろの切れ込みから形成され、ちょうど椎間板の後方に左右それぞれ1つずつあります。 頚椎の左右にある椎間孔から出るのは、頸・肩・腕などの運動や感覚を担う神経です。ヘルニアにより左右どちらかの神経根が圧迫されると、圧迫された側の頸・肩・腕に痛みやしびれなどの症状が起こります。体の片側だけに認めるのが特徴です。 重症化するとどうなる? 最初の症状は圧迫を受けている神経の支配領域の「ビリッ」と走るような痛みです。 進行すると、感覚障害や筋力低下も出現します。腕が上がらなくなったり、箸が持てなくなったりと、日常生活に支障をきたしかねません。 脊髄症とは 椎間板の組織が脊髄の通る場所(脊柱管)に逸脱することで起こる症状です。主に正中型や傍正中型で認められます。 脊髄そのものが圧迫され、感覚障害や筋力の低下を起こします。圧迫のされ方にもよりますが、両側性に症状を認めることが多いです。 上肢、特に手指のしびれや使いづらさが最初に起こることが多いです。 重症化するとどうなる? 進行すると、下肢にも症状が出現し、歩行障害を認めます。脊髄の圧迫による歩行障害では足をつっぱって引きずり歩く「痙性歩行(けいせいほこう)」となることが特徴です。 さらに進むと、排尿機能の障害も認めることがあります。頻尿や残尿感、尿失禁などが起こります。 重症度の評価について 頚椎椎間板ヘルニアの症状の出方は患者さんごとに異なります。 そのため、起こりうる症状の重症度を組み合わせて評価していきます。評価方法によっても注目するポイントが少しずつ違いますが、例えば次のような症状が評価対象です。 様々な種類の症状が起こったり、少ない数の障害であっても進行して生活に支障をきたしたりすると、より重症と考えられます。 痛みやしびれの強さ ・患者さんの主観的な痛みの強さを評価します。 ・痛みやしびれにより日常生活にどの程度支障があるかも重要な評価ポイントです。 頚椎の動き ・日常生活の様々な動きの中で首を上下する運動ができるかを評価します。 ・進行するとコップの水を飲めなくなったり、階段昇降の際に上下を見ることが難しくなります。 上肢の運動機能 ・腕の動きや、手・手指を使った動きがどうかということです。 ・例えば食事の時に箸やスプーンを使えるか、ボタンをとめられるかなどをみます。 下肢の運動機能 ・注目するのは「歩行」です。 ・階段の上り下りができるか評価します ・足踏みができるか評価します。 ・上肢・下肢・体幹部の知覚:これらの部位に「麻痺、しびれ」があるかみます。 排尿障害 ・夜間を中心とした排尿の回数 ・残尿感・排尿がスムーズにできるか ・尿失禁がないかなどがポイントです。 頚椎椎間板ヘルニアでよくある質問 Q.どのような場合に手術を考えるのか 日常生活に差し障る障害がある場合は手術を行います。例えば、手指がうまく使えずに食事ができない・歩けない・尿失禁があるなどです。最初は麻痺症状がなくても、経過中に運動麻痺が進行していくようであれば手術になります。 痛みやしびれが症状の中心であれば最初の治療は保存療法です。しかし、保存療法を続けても良くならず、痛みが耐え難いようであれば手術が検討されることもあります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアで気を付けるべきことは何? 可能な限り、首は動かさずに安静にしてください。特に後屈(首を後ろに反らすこと)は神経症状の悪化につながるリスクがあるため避けましょう。人によっては頚椎カラー(頸の装具)を着けることもあります。 また、外傷が加わると一気に症状が増悪し、麻痺などを起こすこともあります。転倒に注意してください。 Q.マッサージや整体などを受けていいですか? 積極的におすすめすることはできません。 少なくとも脊髄症の症状に対しては、マッサージや整体、カイロプラクティックなどが有効であるという証拠は示されていません。またやり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説! 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルについて解説してきました。 頚椎椎間板ヘルニアは神経根症状と脊髄症が混在するため、患者さんによって症状が異なります。同じ「重症」でも、非常に強い痛み・手の動かしづらさ・麻痺・排尿障害など起こることは様々です。 ご自身の症状がどのタイプなのか、進行するとどうなるかを踏まえた上で、治療についてしっかりと主治医と相談をしてください No.S158 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 安田宗義. Spinal Surgery 28(3), 246-251, 2014. 高山柄哲. ブレインナーシング 27(4): 344-347, 2011. 和田英路, 米延策雄. MB Orthopaedics 27(2): 11-17, 2014. 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 平井高志. 整形外科看護. 24(8): 755-762, 2019. 樋口 大輔, 新谷 和文, 内山 靖. 理学療法科学. 22(4):533–539,2007. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. ▼腰のヘルニア痛みの対処方法は以下を参考にしてください 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や治療法
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ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性がある疾患の1つです。椎間板ヘルニアでは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術よりも、その後の後遺症に困ることがあり、注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 ・痛み止めの飲み薬や注射 ・コルセットなどの装具療法 ・リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。 当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 ・先天性(生まれつき) ・重い荷物を持つ ・排便時にお腹に力を入れる ・加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 ・子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 ・大人:肥満、妊娠など 再生医療 再生医療とは、自身の体を再生する力(治癒力)を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻す体への負担も少ない方法です。 自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を投与することが可能です。 新鮮で元気、質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。当クリニックは、独自の技術により幹細胞を1億個以上、増やせるため、高い治療効果を見込むことができます。 また、培養には余分な薬剤や不純物を使いません。さらに牛などの代替血液を用いません。ご自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に再生医療という選択肢 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択するのですが手術後に手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後、後遺症が出ることがあるため注意が必要です。 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には、最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を数多く行っています。ご不明点がございましたらご遠慮なくお問合せ下さい。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=sQ9ws8CluU_SRVWQ まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について ヘルニアは様々な種類があり、その中でも代表的な椎間板ヘルニアは比較的発症する可能性が高い病態です。保存療法での治療もできるものの、症状が強い場合には手術が必要となることもあります ただ手術は、術後に後遺症が残るケースも少なくありません。 そこで、注目されているのが再生医療です。再生医療はご自身の幹細胞を培養し、身体の治癒力を活用して再生を即す治療法です。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、最新の再生医療である幹細胞治療をお勧めしています。 この治療法は、幹細胞を直接損傷部位に投与することで高い効果を期待できます。また、治療自体は注射のみであり、身体にも優しく、安全性が高いとされています。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に悩む方にとって、再生医療は新たな希望となるかもしれません。当クリニックでは独自の技術と豊富な経験を活かし、患者様の健康と快適な生活のために最善の治療を提供しています。 気になる点やご相談事がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。 椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひご相談ください。 No.158 監修:医師 坂本貞範 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
最終更新日:2024.05.08 -
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椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 椎間板ヘルニアは、高齢者はもちろんのこと、スポーツや重労働をする若い人もなりうる病気の1つです。手や足のしびれや痛みが出てくるので、生活の質を低下させてしまいます。 治療法として保存治療や手術がありますが、術後でも症状が残ってしまう可能性があります。 これまでは術後の後遺症に対しては、対症療法が中心でしたが、最新治療として再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、根治につながるのではないかと期待されています。 そこで、本記事では椎間板ヘルニアの概略から最新の治療までを紹介していきます。 椎間板ヘルニアとは 人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板という組織から構成されます。脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。 また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。椎間板ヘルニアとは、何らかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。 椎間板ヘルニアの原因 原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることが挙げられています。脊椎の中でも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最多です。 椎間板ヘルニアの症状 椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激することで、痛みやしびれが生じます。どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。 例えば、頚椎では首や肩、手のしびれや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足のしびれや痛みが生じます。 椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法が行われます。 保存療法 保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、しびれや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法が行われます。 椎間板ヘルニア治療、保存療法の種類 ・鎮痛薬の内服 ・神経ブロック ・リハビリテーション これらの保存療法を行っても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討することになります。 手術療法 例えば、椎間板ヘルニアで最も多い腰椎の手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、 「経皮的髄核摘出術」があります。 また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射することで、ヘルニア内に空洞を形成します。それにより神経への圧迫を減らすことが出来るというものです。 各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減することが目的です。 椎間板ヘルニアの手術療法 ・顕微鏡下椎間板摘出術 ・内視鏡下ヘルニア摘出術 ・経皮的髄核摘出術 ・経皮的レーザー椎間板減圧術 手術後の後遺症について 先述した治療により、ヘルニアによる神経への刺激が軽減されることで手や足のしびれや痛みは改善することが多いです。 しかし、手術を受けたにも関わらず手足のしびれや痛みが残ったり、中には手術前よりも強い症状が見られる場合があります。このような後遺症を抱える原因としてはいくつかあります。1つはヘルニアの再発です。 1.ヘルニアの再発 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によると、症状の有無にかかわらず術後2年で23.1%(25/108)の患者が再発していたというデータがあります。 症状のない人も含めてですが、およそ4人に1人はヘルニアが再発してしまうということになります。仮にヘルニアが再発したとしても、症状がなければ様子をみるだけですし、症状があったとしても軽いものであれば保存療法がまず行われます。 しかし、保存療法でも奏功しない場合は再手術が必要となりますが、以前の手術による影響で難易度は高くなってしまうことが多いです。 2.脊髄神経の損傷 その他の後遺症が起こる原因としては脊髄の不可逆的な損傷があります。脊髄を含む神経は外力などの刺激により一度損傷が起こると、元通りに回復することはありません。 そのため、手術により神経を刺激する要因を取り除いたとしても、手術前に受けた損傷が激しい場合は、手術後も手足の痛みやしびれに悩まされる場合があります。 保存療法である鎮痛薬や神経ブロックなどが行われますが、どれも対症療法にしか過ぎません。そこで、最新の治療法として紹介したいのが、再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法というものです。 この治療法を説明する前に、「再生医療」や「幹細胞」についてお話します。 再生医療による治療 再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療のことです。その中でも特に注目されているのが、幹細胞を利用した再生医療です。 人間の体にある細胞は体細胞と生殖細胞に分けられます。体細胞は心臓や肺といった各臓器を構成する一般的な細胞で、生殖細胞は精子や卵子のように遺伝情報を伝えることの出来る細胞です。 この2つの細胞の元となるのが幹細胞で、その他の細胞と異なり自己複製能と多分化能をもちます。この2つの能力が再生医療に応用されているのです。 脊髄腔内 幹細胞療法 先に紹介した脊髄腔内幹細胞療法は幹細胞を直接脊髄に投与することで、損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させることが期待できます。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として血管内に点滴で幹細胞を投与することも行われていますが、その治療と比較すると脊髄に直接投与するため、損傷している神経に行き届く幹細胞が多くなります。 その結果、損傷した神経の再生効果を高めることが出来るのです。従来の対症療法に過ぎなかった治療法と異なり、脊髄腔内幹細胞療法は根本的な治療法になりえると考えられます。 まとめ・椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法についてお話しました。 再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法は、上述のように症状を根本的に改善させる可能性があり非常に期待されている治療法です。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=141s ▶椎間板ヘルニア術後の後遺症に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度この治療法について検討してみてはいかかでしょうか。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。 No.S157 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 腰椎椎間板ヘルニアガイドライン2021年版 ▼椎間板ヘルニアの手術について参考されませんか 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)、MEDの違いについて
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腰椎椎間板ヘルニアの再発予防!おすすめのストレッチ5選! 腰椎椎間板ヘルニアの症状に悩まされたことがある方は、このような不安や疑問があるかもしれません。 「腰椎椎間板ヘルニアが再発しないか不安…」 「腰のヘルニアの再発を予防する方法はないの?」 不良姿勢や負担のかかる動作を繰り返すことで起こる腰椎椎間板ヘルニアは、手術などで症状が改善しても再発する可能性があります。 再発を予防するためには、正しい姿勢を保つために体の柔軟性を保ち、腰に負担をかけないのが重要です。 本記事では腰椎椎間板ヘルニアの再発予防に大切な、ストレッチの方法を5つ紹介します。自宅で簡単にできる方法ですのでぜひ参考にしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にストレッチがおすすめである理由 腰椎椎間板ヘルニアに対するストレッチを紹介する前に、腰椎椎間板ヘルニアになぜストレッチがおすすめなのかを解説します。 再発の原因や再発率についても紹介するので参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアは改善後も再発の危険性があり予防が不可欠 腰椎椎間板ヘルニアの原因は重量物の持ち上げやスポーツなどで、腰の骨である腰椎や腰椎の間にある椎間板に繰り返し負担がかかることです。 治療により症状が改善されたとしても、上記のような負担を減らさなければ再発の危険性が生じます。 手術後の再発率は術後2年で23%程度との報告があります。 手術後にも痛みが続いていたり、術前のような症状が新たに生じたりした場合は、再発の前兆として注意が必要です。 治療を受けたとしてもヘルニアの再発を防ぐためには、継続して再発予防に取り組む必要があるのです。 ストレッチにより腰椎の過剰な運動を防ぐことが大切 椎間板にかかる負担を減らすためには以下のような対策があります。 ・動作や環境の工夫する ・腹筋や背筋の筋肉をつける ・背骨や股関節の柔軟性を高める モノを持ち上げ方る際に工夫したり、中腰を避けたりなどの動作・姿勢の工夫やスポーツや重労働を減らすなどの環境の調整は腰への負担を減らす大切なポイントです。 腰への負担を減らすため運動療法により腰を守るような筋肉を強化する必要があります。 また背骨や股関節の柔軟性を高めるのも重要です。 背骨や股関節は腰の上下にある関節で、固くなってしまうと腰椎が過剰に動いてしまい椎間板への負担が増えてしまいます。 ストレッチは背骨や股関節の柔軟性を保ち、腰椎の正常な運動を保つために大切なのです。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防におすすめの「股関節ストレッチ」 まずは脚の付け根にある股関節のストレッチを紹介します。 物を拾ったり座ったりするとき、正常であれば股関節と腰椎が連動して曲がります(腰椎骨盤リズム)。 しかし股関節が固くなり十分に曲がらなくなると、腰椎が股関節の動きを補って過剰に曲がってしまいます。腰椎が曲がると椎間板へのストレスが強まるためヘルニアのリスクを高めてしまうのです。 そこで股関節のストレッチ方法を紹介します。 ①股関節のストレッチ まずは股関節を曲げるストレッチを紹介します。 1. 仰向けに寝る 2. 右足を両手で抱えてできる限り胸に近づけ股関節を曲げる 3. できるだけ股関節を曲げた状態で30秒キープする 4. 左足も同様に行う 深く曲げると腰椎も連動して動くため、痛みが出ない範囲で行いましょう。 ②ハムストリングスのストレッチ 太ももの裏側にあるハムストリングスと呼ばれる筋肉が固くなると、股関節や骨盤がスムーズに動かなくなるため腰椎に負担がかかりやすくなります。 そこでハムストリングスのストレッチを紹介します。 1. 仰向けに寝る 2. 膝をできるだけ伸ばした状態で右足を抱えてお腹に近づけます。 3. 太ももの裏が伸びるのを感じた状態で30秒キープします 4. 左足も同様に実施します 足を抱えにくい時はバスタオルを足の裏に引っ掛けて行うとストレッチしやすいです。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防におすすめの「背骨のストレッチ」 腰椎の上には背中の骨である胸椎や首の骨である頚椎とつながっており、連動して動きます。首・肩甲骨周りの動きが固くなると腰椎に負担がかかってしまいます。 またヘルニアは腰を曲げた状態を継続すると生じやすいため、腰を後ろへ反らす柔軟性も大切です。 そこで背骨がうまく連動して動くために必要な柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 ③背骨を反らすストレッチ 頚椎から腰椎まで連動してスムーズに動くために、背中全体をゆっくり反らすストレッチを紹介します。 1. うつ伏せに寝る 2. 両手をつくようにして体をゆっくり起こしていく 3. 首、背中、腰と順番に反るような意識でできる限りそらして30秒キープする 痛みの出ない範囲でゆっくり行いましょう。 ④背骨をひねるストレッチ 背骨は曲げ伸ばしだけでなく、回旋する動きも必要です。 そこで背骨をスムーズに回旋するためのストレッチを紹介します。 1. 仰向けに寝て両膝を立てる 2. 両膝をゆっくり右に倒していく 3. 倒しきったところで30秒キープする 4. 左も同様に行う 勢いよく倒すと負担がかかるので、ゆっくり行うのがポイントです。 ⑤胸椎のストレッチ 腰椎の上にある胸椎の動きが制限されると、腰椎の過剰な動きを引き起こします。 そのため胸椎の柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 1. 左を下にして横向きに寝る(両膝は軽く曲げた状態にする) 2. 両手を「前ならえ」のようにまっすぐ伸ばした状態で手を合わせる 3. 胸を開くように右手をゆっくり動かす 4. 右手の動きに合わせて顔も右へ回旋させて30秒キープする 5. 左側も同様に行う 胸を開いたときに床に手がつかなくても良いので、痛みのない範囲で動かしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のストレッチは無理のない範囲でコツコツ続けよう 腰椎椎間板ヘルニアが改善したからといって、発症前と同じように生活していては再発の危険性があります。 再発予防のストレッチを継続して、背骨や股関節の柔軟性を保ち、腰の負担を減らしたり正常な動きを習得したりすることが大切です。 ストレッチは1日1回で1つの種目から始めても良いので、できるだけ毎日取り組むようにしましょう。 また再発の前兆があればストレッチなどをする前に整形外科を受診して、再発の恐れはないか、どの程度の運動やストレッチをしていいのかなどを確認するようにしましょう。 本記事を参考に辛い腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防して、腰痛のない元気で健康な生活を送りましょう。 No.157 監修:医師 坂本貞範 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp256-259. 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」 Mindsガイドラインライブラリ 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp417-426. ▼腰のヘルニアの初期症状は以下よりご欄になれます 腰椎椎間板ヘルニアの初期症状|足のしびれや痛みに注意!
最終更新日:2024.04.04 -
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腰椎椎間板ヘルニアの治療について|ブロック注射は有効か? 「腰椎椎間板ヘルニアの痛みがつらいけど手術は怖い」「ブロック注射って本当に効果があるの?」このような不安・疑問を抱えていませんか? 腰椎椎間板ヘルニアの治療は大きく分けて保存療法と手術療法に分けられます。保存療法にはリハビリや薬での治療などが含まれますが、その中でも特に強力なのがブロック注射です。しかし、全ての患者さんに有効なわけではありません。また、治療に伴う副作用が起こるリスクの可能性もあります。 この記事では腰椎椎間板ヘルニアのブロック注射はどのような効果や種類があるか、治療上の注意点などについて解説していきます。 ブロック注射の効果とは ブロック注射の効果は、腰椎椎間板ヘルニアによる辛い症状を和らげることです。神経のすぐ近くに局所麻酔薬や炎症を抑える薬を注射して、過敏になっている神経の興奮を落ち着かせたり炎症をとったりすることでその効果を発揮します。 椎間板ヘルニアとは、本来背骨のクッションである椎間板の一部が後方にはみ出してしまう病気です。ヘルニアという言葉には、体の構造物が本来あるべき位置から出てきてしまうことを指します。 出てきた椎間板は近くを走る神経を圧迫し、炎症をおこします。腰椎のあたりから出てくる神経は腰から足にかけての運動や感覚に関与する神経です。そのため、腰椎椎間板ヘルニアでは腰痛や足の痛み、筋力低下などの症状をきたします。 ブロック注射を行うと、腰椎のあたりから出てくる神経の興奮を鎮め、炎症をとることができます。そのため、腰椎椎間板ヘルニアによる症状の緩和につながるのです。 ブロック注射をすればヘルニアは治るのか ブロック注射が腰椎椎間板ヘルニアを完治させるかどうかは、はっきりとわかりません。 実際にはリハビリをしたり一緒に薬を出したりすることが多く、何がどのくらい効いたかというのは明確にはわかりづらいからです。 その上、ヘルニアは自然治癒してしまうことも多いため、ブロック注射が効いて良くなったのか自然経過なのかは断言できないことも多いです。 ただし、つらい症状を緩和してくれるため、注射を行うことで日常生活をしやすくなる可能性はあります。 腰椎椎間板ヘルニアに対するブロック注射の種類 腰椎椎間板ヘルニアに対して行うブロック注射にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的なものをお示ししましょう。 患者様の症状などに応じてこれらのブロック注射を使い分けて治療を行います。また、施設により取り扱っているブロックの種類に差があります。 仙骨裂孔ブロック 骨盤を構成する骨のうち、後ろ側の骨である「仙骨」の穴から針を刺して行うブロック注射です。 尾てい骨のすぐ真上に「仙骨裂孔」と呼ばれる穴があります。仙骨裂孔ブロックは、患者さんにうつ伏せになってもらい、仙骨裂孔から上に向かって細い針を刺す手技です。脊髄は硬膜という膜に包まれていますが、その外側の硬膜外腔に薬を注入します。薬が硬膜外腔に広がるので、腰の痛みや足の痛みが緩和される注射です。 硬膜外ブロック 背中から硬膜外腔に薬を注入する手技です。 そのため、効果は仙骨裂孔ブロックと同様、広範囲にわたります。痛みは仙骨裂孔より少ないですが、難易度は高くなります。そのため、時にレントゲン装置と造影剤で位置を確認しながら行うこともある手技です。 レントゲンを使わない場合は横向きに寝て、エビのようにまるまって背中を突き出した体勢で行います。レントゲンを用いる場合はうつ伏せになった状態で針を刺します。 神経根ブロック 脊髄から伸びる神経の付け根である「神経根」のすぐ近くに薬を注入する方法です。 仙骨裂孔ブロックや硬膜外ブロックと違い、悪いところにピンポイントで薬剤を届けられます。その分、レントゲン装置による位置確認は必須になります。神経根の造影撮影を行うため、本当にその部位が原因かどうかという診断的な価値もある手技です。足の脱力が起こるため、終了後1〜2時間ほど安静が必要です。 ブロック注射はどのくらいの回数を行えば良いのか? 個人差がありますので一概に言えません。少ない回数で良くなる方もいますし、何回も行う必要がある方もいます。 なお、神経根ブロックの場合、同一部位には10〜14日あけて1ヶ月に最大で3回を限度とすることが推奨されています。 ブロック注射の副作用・注意点について 副作用として、感染症、局所麻酔薬や造影剤によるアレルギー症状、神経や血管の損傷などがあります。リスクは手技によっても変わってきますので、ご自身の受ける注射の説明をしっかりと受けましょう。 麻酔薬や造影剤に対してアレルギーがある場合は担当医に申し出る必要があります。 血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合には、状況によっては一時的に休薬をしなければいけないかもしれません。内服中の方はあらかじめ相談をしましょう。 レントゲン装置を使う検査は妊娠中の方には行うことができません。 腰椎椎間板ヘルニアのブロック注射に対するよくある質問 Q:ブロック注射をすれば手術はせずに済みますか? 残念ながら一部の方は手術が必要になります。 まず、非常に稀ですが、必ず手術をしなければならない方がいます。神経障害により急激に排尿障害や下肢の麻痺など重度の神経麻痺症状が出た場合です。この場合は早急に適切な治療を受けないと、その後も症状が残ってしまうことがわかっています。 また、手術を行う方が痛みの回復が早いです。そのため、治療を急ぎたい場合・ブロック注射を行なってもなかなか症状が取れない場合・持続的な効果がない場合などには手術が検討されます。 Q:ブロック注射は痛いですか? 個々人の感じ方や手技の種類にもよりますが、針を刺すため痛みを伴う治療です。なるべく皮膚の麻酔しっかり行うなど、痛みを軽減する対策は取られています。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアの治療について|ブロック注射は有効か? ブロック注射は、腰椎椎間板ヘルニアのつらい症状を楽にしてくれる効果がある治療法です。 仙骨裂孔ブロック・硬膜外ブロックなどの広範囲に効くものや、原因となっている部位に対する神経根ブロックなどいくつかの種類があり、病状により使い分けがなされています。 しかし、万人に効果があるわけではありません。一部には思ったよりも症状が取れず、手術を選ぶ方もいらっしゃいます。 治療にあたっては、ご自身の希望を主治医に伝え、ブロック注射にどこまで期待するのか・よくならなければ手術など別の方法を考えるか・それはいつまでかなどを話し合っておくと良いでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S156 監修:医師 加藤 秀一 〈参考文献〉 日本腰痛会誌. 9(1):89-94,2003. 整形外科看護. 22(9):816-820,2017. 落合慈之 監修, 下出真法 編集. 整形外科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, 2012. 日本ペインクリニック学会. ペインクリニック治療指針改訂第6版. MB Orthop. 22(5):17-22, 2009. 日本ペインクリニック学会・日本麻酔科学会・日本区域麻酔学会. 抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン. 関節外科 41(suppl-1):116-124, 2022. 日本ペインクリニック学会. インターベンショナル痛み治療ガイドライン. 整形外科看護. 21(7):648-652, 2016. ▼腰椎椎間板ヘルニアの再発について知りたい方は以下もご参照ください 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防!おすすめのストレッチ5選!
最終更新日:2024.04.04