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側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて 側弯症について次のような疑問や不安がある方はいませんか? 「側弯症の手術はどのような流れなの?」 「手術後の後遺症やリハビリについて知りたい」 今回の記事では、側弯症の手術の流れや後遺症、手術後のリハビリの内容を解説します。側弯症の手術について疑問や不安のある方は、ぜひ参考にしてください。 側弯症の手術の内容や流れ 側弯症は、前から見ると背骨が左右に曲がっている状態のことです。さまざまな原因によって起こりますが、多くが原因不明とされています。 変形が重度の場合は、進行しやすいとされ、息がしづらいなどの他の症状も出るため背骨をまっすぐにする手術が推奨されます。 まずは、手術の内容や流れを解説します。 手術の内容 手術は金属製のさまざまな器具を使って変形を矯正して、背骨を固定します。脇腹を切開する前方法と、背中の真ん中を切開する後方法があります。 手術は 3 〜 6 時間程度かかり、手術の方法や変形の程度によって差があります。 入院期間は 10 日前後で、退院後から通学が可能となることが多いです。 整形外科の手術の中で、最も大きく体に傷を入れるため、合併症や後遺症の注意が必要な手術です。 後遺症の詳細については後ほど解説します。 手術の流れ 手術をしてからの流れを表に示します。 手術からの日数 手術から退院までの流れ 手術前 術前に画像や血液の検査を行い、手術に向けた準備をします。 また手術により多くの出血をするため、自分の血液をためる自己血貯血(じこけつちょけつ)をします。自己血貯血は手術の 1 カ月くらい前から何回かに分けて行います。 手術当日 手術後は全身麻酔後のため、ICU(集中治療室)で状態の観察をします。全身の状態が落ち着いていれば、一般病棟に戻ります。 手術翌日以降 術後で痛みや動きにくさがあり、起き上がりや立ち上がりなども難しい場合があります。その場合、床ずれを防ぐために体の向きを定期的に変えてもらいます。 手術後 4 〜 5 日 痛みが我慢できる範囲で起きたり、歩いたりします。1 週間前後でシャワーも可能になります。 手術後 1 週間 背骨に負担がかからないよう固定するための装具を装着します。装具は手術後 3〜 6 カ月装着します。 手術後 10 日前後 痛みも和らぎ、合併症もないようなら退院します。 10 日以降で退院したら、すぐに通学も可能となります。 しかし、体をひねったり、かがむといった動作は禁止で、体育など背骨に負担のかかる運動もできません。 接触が激しくないスポーツは 6 カ月以降での再開が望ましいです。 側弯症の手術による後遺症 体の損傷が大きい側弯症の手術では、以下のような後遺症のリスクがあります。 手術では背骨の周辺に傷をつけるため、背骨を通る脊髄(せきずい)や、脊髄から枝分かれする神経を損傷させる危険性があります。 その場合、足に力が入りにくくなったり、感覚が麻痺したりといった後遺症が残ります。また、肺を損傷すると肺炎や無気肺といった肺の病気を引き起こす危険があります。 大きな傷をつけるため感染のリスクも高いです。 また、骨のくっつきが不十分なままになってしまったり(偽関節:ぎかんせつ)、固定した以外の関節が不安定になったりすることで腰痛が発生する場合もあります。 側弯症、手術の後遺症 ・神経損傷 ・肺炎や無気肺などの肺の病気 ・感染 ・腰痛 側弯症の手術についてメリット・デメリットを解説、以下の記事をご参考ください。 https://fuelcells.org/topics/20662/ 側弯症の術後リハビリ 側弯症の手術は体に大きな傷をつけるため痛みがあります。そのため、リハビリでは手術による体の状態に合わせた内容になります。 大きく分けて 3 つの時期に分けられます。 1, 術直後から離床前のリハビリ 手術直後は痛みも強く、体も十分に動かせないため、ベッド上でのリハビリとなります。 特に側弯の手術は胸や背中に傷をつけて、痛みを生じさせるため、呼吸がしにくくなります。そのため、呼吸を改善するリハビリをします。 また、痛みで起きられない場合は、体の機能がどんどん低下する「廃用症候群:はいようしょうこうぐん」を引き起こします。そのため、ベッドでできる運動やストレッチをして、廃用症候群を予防することが重要です。 2, 離床後から退院までのリハビリ 全身の状態が安定していれば、痛みの範囲で起きたり、立ち上がったりして、ベッドから離れる時間を増やします。 可能であれば 1 週間以内で病院内での歩行を始めて、以降は痛みの強まらない範囲で、階段や屋外といった応用的な歩行練習をします。 自宅に帰れば、無理に体をひねったり、前にかがんだりしなければ、普通の生活が可能です。 3, 退院後のリハビリ 退院後は徐々に活動量を増やしていき、体力を戻していきます。また、手術後の背骨を安定させて腰痛などを予防するために、体幹の筋肉を鍛える必要があります。 背骨をひねったり、かがまないような工夫をするなど、背骨に負担のかからないように気を付けてトレーニングをしましょう。 例えば、四つ這いで手足を対角に上げる運動や、仰向けで両足を上げる運動は、体幹だけでなく股関節などの筋力も同時に鍛えられるためおすすめです。 四つ這いトレーニング 両足上げトレーニング 運動は自宅に帰った直後は制限されており、術後 3 ヶ月程度でランニングなどの軽い運動から始めて、スポーツや体育が可能になるのは術後 6 カ月程度です。 さらに、器械体操など激しいスポーツは術後 1 年間程度控える必要があります。 まとめ・側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて 側弯症は子どもに多い疾患で、手術をするとなると体に大きな傷をつけるため不安になる方も多いでしょう。 そのため、事前に手術の流れや後遺症、リハビリといった情報を知ることで、少しでも不安を減らしましょう。 最近は治療成績も良くなり、しっかりした術前の説明もされます。手術を検討する場合は、しっかりメリットやデメリットを把握することも大切です。 そのため、遠慮せずに整形外科の医師に相談し、納得した治療が受けられるようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S107 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.08.27 -
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脊柱管狭窄症を自力で治す!ストレッチと筋トレの方法を紹介 「脊柱管狭窄症の痺れや痛み、自力で和らげる方法を知りたい」 「脊柱管狭窄症に効果的な運動療法は、どのようなものがあるの?」 このような疑問がある方はいませんか? この記事では、脊柱管狭窄症とはどのようなものかを理解して、自分で治すためにできる、ストレッチや筋トレについて知ることができます。 運動をしたくても、正しい方法がわからない方はぜひ参考にしましょう。 脊柱管狭窄症とは?原因や症状を紹介 背骨は脊椎(せきつい)とも呼ばれ、椎骨(ついこつ)という骨がつながってできています。椎骨の後ろ部分には穴が空いており脊柱管と呼ばれます。 脊柱管には脳から続く神経である脊髄(せきずい)が通り、脊髄から全身につながる神経が枝分かれします。 脊柱管狭窄症は脊椎の変形などにより脊柱管が狭くなり、神経を圧迫してさまざまな症状を呈する病気です。 脊柱管狭窄症の原因 脊柱管狭窄症の原因で最も多いのは、加齢による脊椎の変形です。骨の一部が飛び出たり、骨がずれたりして神経を圧迫します。 また、事故や生まれつきの変形、手術による脊椎の固定なども原因になります。 脊柱管狭窄症の症状 脊柱管狭窄症の症状はお尻から足にかけての痺れや痛みです。筋肉を動かす神経が圧迫されると力が入りにくくなります。 また、しばらく歩くと痛みや痺れが強まり歩けなくなるものの、数分間休んだり、前屈みの姿勢をとったりすると症状が和らいで歩けるようになる神経性間欠跛行(しんけいせいかんけつはこう)の症状が特徴的です。 重症な場合は排泄や排便が障害されます。 脊柱管狭窄症におすすめのストレッチ 脊柱管狭窄症のストレッチの重要な目的は、次の 2 点です。 ・狭くなっている神経の通り道を広げて、神経の圧迫を取り除く ・腰や足の付け根の、関節の動きを妨げる筋肉の凝りをほぐす これらを踏まえた具体的なストレッチの方法を 、ポイントを交えながら3 つ紹介します。 1 ,膝かかえストレッチ 初めに紹介するのは、神経の通り道を広げたり、背中の筋肉をほぐしたりするストレッチです。 ・仰向けになり両膝をかかえます ・太ももをお腹に近づけるようにします ・ 15 秒キープします ・ 5 回ほど繰り返します POINT: 太ももを近づけるタイミングで息をフーッと吐き出しましょう。 2 ,正座ストレッチ 次も、膝かかえストレッチと同じ効果が期待できるストレッチです。 少し難易度が高くなります。 ・四つ這いの状態で背中を丸めます ・手の位置は変えずに徐々に膝を曲げていきます ・背中を丸めるように意識して、正座のような姿勢になります ・また四つ這いの姿勢にゆっくり戻ります ・ 5 回ほど繰り返します POINT: 先ほどのストレッチと同じように、正座をするときは息を止めないようにして、リラックスをしましょう。 3 ,片膝立ちストレッチ 最後は太ももの前の筋肉である腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチです。 腸腰筋が硬くなると腰が反る姿勢になりやすいため、柔軟性を保つことが大切です。 ・壁などを支えにして片膝立ちになります ・膝をつけている方の足を後ろに少し引きます ・前方の足の膝を曲げて、膝をついている方の太ももの前をストレッチします POINT: 腰を反ったり、上半身が前かがみにならないように注意しながら行いましょう。 脊柱管狭窄症におすすめの筋トレ 脊柱管狭窄症の筋トレのポイントは、脊椎にかかる負担を減らすために、腹筋や背筋といった体幹(インナーマッスル)の筋肉を鍛えることが大切です。 ここでは、 2 つの方法をポイントとともに紹介します。 1 ,ドローイング 椎骨を支える筋肉として、コルセットのような役割をする「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉があります。 お腹が割れたように見える筋肉は腹直筋(ふくちょくきん)ですが、脊柱管狭窄症の場合は腹筋の中でも「腹横筋」を鍛え、椎骨にかかる負荷をサポートしましょう。 ・仰向けになり両膝を立てます ・腹式呼吸の要領で、息を大きく吸ったり吐いたりします ・息を吐くときに合わせて、お腹を限界までへこませます ・これを 10 回程度繰り返します POINT: 息を吐くときは口をすぼめるようにして、ゆっくり長く吐くようにしましょう。 2 ,ダイアゴナル 腹筋と背筋の中でも、「インナーマッスル」という姿勢を保つ筋肉を鍛える運動です。 ・四つ這いの姿勢で、背中が曲がったり反ったりしないようにします ・右手と左足をまっすぐ上げて 15 秒キープします ・次に左手と右足をまっすぐ上げて 15 秒キープします ・ 10 回程度繰り返します POINT: 手足を上げたときに、体が傾かないように意識しましょう。また、お腹をへこませるように力を入れると効率よく筋肉を刺激でき、反り腰の防止にもなります。 ストレッチや筋トレをする上での注意点 3 つ ストレッチや筋トレなどの運動療法は、正しい方法で行う必要があります。 そこで 、3 つの意識したいことと注意点を紹介します。 1 ,痛みがあるときは無理をしない 「痛みを我慢した方がよく効く気がする」と思われる方がいるかもしれません。しかし、痛みがあるのに無理して運動療法をすると、脊柱管狭窄症の症状を悪化したり、別の部位を怪我したりする危険性があります。 筋肉がつっぱる程度のストレッチに止め、痛みや痺れが出るまで無理をしないようにしましょう。 2 ,崩れた姿勢で行わない 運動療法は正しい姿勢で行わないと、怪我の原因となったり、狙った効果がえられなかったります。 脊柱管狭窄症のストレッチでは、「腰を反らない」という点が大切になります。お腹に力を入れることを意識すれば腰が反りにくいです。 3 ,継続して取り組む ストレッチや運動を実施して症状が和らいでも、脊柱管狭窄症の原因となっている脊椎の状態や姿勢は、すぐには元に戻りません。 そのため、症状が楽になる運動は、特に継続して取り組むのが大切です。 特に筋トレは継続しなければ筋肉がつきません。最低 1 ヵ月は継続しましょう。 まとめ・脊柱管狭窄症に合わせた正しいストレッチや筋トレで症状を和らげよう 脊柱管狭窄症の症状を和らげるためには、原因を理解して、状態に合わせたストレッチや筋トレをするのが大切です。 今回の運動療法は家でもできる簡単な方法ですので、症状が和らぐのを確認しながら、継続するようにしましょう。 また、脊柱管狭窄症は運動療法の他にも、薬物療法や生活の工夫などを組み合わせて治療をするのが基本です。 そのため、症状が気になる場合は整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による助言を受けながら実施するようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S105 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.06.30 -
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側弯症の人がやってはいけないことはある? 側弯症を悪化させないために心がけるべきことは? 側弯症と診断されたけれど、筋トレやスポーツはやっていいの? この記事を読んでいるあなたは、側弯症の人がやってはいけない動作や運動があるか気になっているのではないでしょうか。 「無意識に側弯症が悪化する動作をやっているのではないか?」と不安になることもあるかもしれません。 結論からいえば、側弯症の人がやってはいけない動作や運動は、明確になっていないのが現状です。ただし、長時間の崩れた姿勢や過度な運動は歪み・痛みの原因になるため、普段から正しい姿勢を保つよう心がけましょう。 本記事では側弯症の人がやってはいけない・注意すべき動作や運動について解説します。 記事を最後まで読めば、側弯症を悪化させないために普段から意識すべきことがわかるでしょう。 側弯症の人がやってはいけない・注意すべきことは? 結論からいうと、側弯症の人がやってはいけない動作は、科学的に証明されていません。ただし、通常よりも背骨の歪みや痛みが出やすいため、日常から正しい姿勢を保ち、無理な運動は避ける必要があります。 まずは側弯症がやってはいけない・注意すべきことを、以下のポイントごとに解説します。 日常動作 筋トレ・ストレッチ スポーツ 本章を参考にして、側弯症の人が避けるべき動作や運動をひと通り理解しておきましょう。また、側弯症の症状については以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 側弯症の人がやってはいけない・注意すべき日常動作 多くの日常生活習慣・動作は、側弯症と直接的な関係がないという研究があります(文献)。そのため、側弯症の人がやってはいけないことは明確にわかっていないのが事実です。 ただ、側弯症の人は姿勢が傾きやすく、腰痛や姿勢の歪みが生じやすい傾向があります。見た目上の歪みや腰痛予防のためにも、長時間崩れた姿勢を取らないようにしましょう。 また、腰痛があるときは重いものを持ったり、無理に運動することを控えてください。 側弯症の人がやってはいけない筋トレ・ストレッチ 側弯症の人が姿勢矯正のために筋トレをおこなう場合は、湾曲している凸側を鍛えましょう。誤って凹側の筋力を強化してしまうと、かえって背骨のゆがみを強めてしまいます。 また、ストレッチをする場合は、痛みが出るまで伸ばしたり、反動や勢いをつけたりしないよう注意が必要です。無理なストレッチは、変形した背骨に負荷をかける原因になります。 筋トレやストレッチは、側弯の状態に合わせて適切な方法でおこないましょう。整形外科などで姿勢を評価してもらい、専門家の助言を受けることをおすすめします。 側弯症の人におすすめのエクササイズ・ストレッチは以下の記事でご紹介していますので興味がある方はぜひご覧ください。 側弯症の人がやってはいけない・注意すべきスポーツ 現時点で特定のスポーツが原因で側弯症の発症が増える可能性について、科学的な根拠は明らかになっていません。 よって側弯症でも特定のスポーツを避ける必要はないでしょう。 ある研究では、クラシックバレエの経験がある女子に側弯が発生しやすいといわれています(文献)。しかしバレエが側弯に影響しているのか、側弯になりやすい体型の子がバレエをやっていることが多いのかはわかっていないのが現状です。 よって、側弯症の悪化や予防といった観点でいえば、特定のスポーツを制限する必要はありません。 ただし、腰痛などの症状が出ている場合は、腰に大きな負担がかかるような種目や動きは控えましょう。 側弯症における3つの治療法 側弯症と診断された場合、主に以下3つの治療を行います。 経過観察 装具による矯正 手術 側弯症と診断され、治療を検討している方の参考になれば嬉しく思います。 経過観察 側弯症が軽度(背骨の曲がり角度が30度未満)の場合は、経過観察として定期的に整形外科での診察・レントゲン検査を受けるのが一般的です。 とくに子どもの側弯症の場合、成長期が終わるとともに側弯の進行も止まるケースも多くあります。経過観察で悪化が見られなければ、矯正など特段の治療を行わないこともあるでしょう。 装具による矯正 背骨の曲がり角度が30度以上50度未満の場合は、中等度の側弯症と診断されます。 中等度の側弯症の場合は、症状の進行を抑えるため「アンダーアーム装具」と呼ばれる装具を使って矯正を行います。 装具による矯正治療は、側弯症を根本的に改善する効果はなく、あくまでも進行を止める手段として行われます。 手術 背骨の曲がり角度が50度以上と重度の側弯症である場合、外科手術を検討するケースもあります。 側弯症の手術は、以下2つの方法が一般的です。 後方矯正固定術 前方矯正固定術 「後方矯正固定術」は背中側から皮膚を切開し、脊椎にロッド等を取り付けて固定するものです。一方「前方矯正固定術」では、身体の側面から皮膚を切開して胸椎や腰椎を固定します。 入院期間の目安は約2週間~3週間で、その後リハビリ期間を経て退院する流れが一般的です。 側弯症の外科手術については以下の記事もご覧ください。 まとめ|日常から正しい姿勢・適度な運動を継続して側弯症とうまく付き合おう 本記事では、側弯症の人がやってはいけない、あるいは注意すべき動作や運動について解説しました。 日常生活や運動において、側弯症の人がやってはいけないことは明確ではありません。しかし、無理な姿勢や運動は症状を悪化させる可能性があるため、整形外科など医療機関に相談し、専門家の助言を受けましょう。 この記事を読んだあなたが、側弯症の人が注意すべき姿勢や運動を理解し、普段から意識して生活できるようになれば嬉しく思います。 側弯症でやってはいけないことについてよくある質問 側弯症に良い運動はありますか? 姿勢改善の効果があるヨガやストレッチがおすすめです。スポーツなら姿勢や体重が偏りにくい水泳、ウォーキングなどが良いでしょう。 ただし、いずれも無理のない範囲で行い、痛みがあるときは安静にする必要があります。 側弯症は年をとるとどうなりますか? 側弯症が悪化するタイミングは思春期に多く、成長してから悪化するケースは比較的少ない傾向があります。 しかし、中高年になってから進行する場合もゼロではないため、定期的に整形外科での受診、レントゲン検査を受けましょう。 中高年で側弯症が悪化した場合、脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアなどの合併症リスクもあります。早期発見・早期治療のためにも、経過観察を続ける必要があります。 監修:医師 加藤 秀一 参考文献 Kota Watanabe,Takehiro Michikawa,et al. Physical activities and lifestyle factors related to adolescent idiopathic scoliosis.2017;99:284-294.
最終更新日:2024.10.02 -
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脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いとセルフチェックの方法 脊柱管狭窄症は、腰椎ヘルニアと並び、最も代表的な腰部の疾患の一つです。 神経への影響という部分では、ヘルニアと似ているところもありますが、原因や症状、治療法などが微妙に違ってきます。 今回は、脊柱管狭窄症の病態や自分でできるチェック方法、治療について解説します。 脊柱管狭窄症とは? 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、脊柱(背骨)で構成される脊柱管というトンネルが狭くなる疾患です。 脊柱管が狭くなる原因は、椎間板の突出と黄色靱帯の肥厚が面の原因となって、脊髄神経の前側と後ろ側を圧迫するのです。 その脊柱管の中には、脳と全身の器官を繋ぐ脊髄神経が通り、感覚や運動の指令を伝達するとても重要な役割を果たしています。 脊柱管狭窄症では、脊髄神経が通るトンネルが狭くなるため、脊髄神経は圧迫されてしまい、痛みやしびれ、力の入りづらさなど様々な症状で大きく悩まされる疾患です。 脊柱管狭窄症は部位によって分類される 脊柱は、7 個の頸椎と 12 個の胸椎、5 個の腰椎が連なって構成されます。 そのため、脊柱のどの部分で狭窄が起きているかで、呼び名が変わるのです。 ・頸椎で狭窄‥頸部脊柱管狭窄症 ・胸椎で狭窄‥胸部脊柱管狭窄症 ・腰椎で狭窄‥腰部脊柱管狭窄症 割合としては、腰部脊柱管狭窄症が 1 番多くみられるため、本記事でも腰部脊柱管狭窄症について述べていきます。 脊柱管狭窄症の症状 脊柱管狭窄症は、圧迫される場所によりタイプ分けされており、それぞれ症状が違います。 タイプは以下の2つに分けられます。 ①馬尾型 ②神経根型 また、この 2 つが組み合わさった混合型というのもあります。 ①馬尾型の症状 脊柱管狭窄症の 1 割程度でみられ、脊柱管の中心部に近いところで圧迫が起きます。 馬尾型では、両下肢のしびれやだるさ、膀胱直腸障害(排尿・排便障害)などがあり、症状が出現した場合は、すみやかに整形外科を受診するようにしましょう。 ②神経根型の症状 脊柱管狭窄症の 7 割が、神経根型といわれています。 多くは、片方の臀部や脚にかけてのしびれやピリピリする痛みがあります。 症状がなかなか落ち着かない場合は、整形外科に受診し、圧迫の程度や身体機能のチェックをおすすめします。 長時間(一定時間)の歩行で症状が増強する間欠性跛行 馬尾型、神経根型のいずれにおいても、長時間の歩行で痛みやしびれの増強がみられます。これが間欠性跛行です。 これは脊柱管狭窄症と診断された患者さんの大部分が訴える症状です。 いつもなら何事もなく歩ける距離が、急に辛くなった、休まないといけなくなった、などの症状が出たら、脊柱管狭窄症を疑いましょう。 この間欠性破行は前かがみ、つまり前屈によって症状は軽快します。自転車を乗ると全然痺れが出ないなどもこの背中の前屈によるものとされます。 もちろん、下肢の循環障害などでも同様の症状が出てくる可能性もあるので、専門機関でしっかり診断してもらうことが大切です。 出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 脊柱管狭窄症の原因 脊柱管狭窄症は、脊髄神経が通る脊柱管が狭くなることで引き起こされる疾患です。 では、どうして狭くなってしまうのでしょうか? 脊柱管が狭窄を起こしてしまう原因は、以下の 3 つが考えられます。 ①加齢による骨や周囲の軟部組織の変化 人の体は20歳をピークに徐々に衰え始め、中高年の時期に急激に変化していきます。 脊柱でも同様のことが起こり、脊柱管狭窄につながる変化としては以下のものが挙げられます。 ・椎骨の変形(骨の形態が変わること) ・椎間板の変性・膨隆(椎間板の性質が変わること・椎間板が後方の脊柱管内に膨らむこと) ・脊柱周囲の靭帯の肥厚(主に黄色靭帯が厚くなること) 椎骨は脊柱の骨組みになるものであり、椎間板は背骨と背骨の間に入り込みクッションのような役割を果たし、靭帯は背骨を安定させるために働いてくれます。 これらの機能が落ちてくると、上記の 3 つのような変化が現れ、脊柱管を狭くし脊髄神経を圧迫、そしてしびれや痛み、脚の脱力感などの症状が出てしまうのです。 ②姿勢や動作習慣など日常的な体の使い方によるもの 加齢による背骨やその周りの組織の変化が起こると同時に、問題になるのが姿勢や動作習慣です。 脊柱管狭窄症の人は反り腰となっていることが多く、その原因は猫背姿勢や運動不足による体幹筋力の低下、股関節や上半身を上手に使えない誤った動作習慣が挙げられます。 腰を反らした姿勢では、脊柱管はより狭くなってしまい、症状が強く現れます。 反対に、腰を少し前かがみにすれば、脊柱管が広がり、痛みやしびれが軽くなります。 脊柱管狭窄症の人が、痛みがある時に腰を一時的に曲げる動作をとるのは、このような理由があるからです。 ③先天的な疾患によるもの 割合としては非常に少ないですが、先天的な骨の形態異常により脊柱管が狭くなってしまい発症する脊柱管狭窄症もあります。 脊柱管狭窄症は、中高年の年齢から発症することが圧倒的に多いですが、この先天的なものが原因となる脊柱管狭窄症では、発育途上の若い年代で起こることが多いです。 側弯症もその一つで、脊柱管が曲がって狭くなることで神経症状が出ることがあります。 脊柱管狭窄症とヘルニアの違い 脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアは、腰部の疾患に挙げられる代表的なものですが、その違いは以下です。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアは、脊椎と脊椎の間にあるクッションの役割をする椎間板が後方へ飛び出てしまい、神経を圧迫して症状が出ます。 よく発症する年齢は、50 歳代ですが、10 〜 20 歳代の若い男性に多くみられることがあります。 腰椎椎間板ヘルニアの場合、脊柱管狭窄症と違って、間欠性跛行の症状はありません。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、そこを通る神経が圧迫され発症します。 主に椎間板と黄色靭帯による前後からの圧迫によって生じることが多く見られます。黄色靭帯の肥厚は若い人にはほとんどみられることはありません。 脊柱管狭窄症は、ヘルニアを伴うこともあり、完全に違う病気であるとは言い切れない部分もあるため、鑑別が難しいです。 好発年齢は 60 〜 70 歳代以降の人に多く、背骨の変形や姿勢の変化を伴うことが多いです。 脊柱管狭窄症のセルフチェック 脊柱管狭窄症は、特徴的な症状がいくつかあるため、セルフチェックができます。 下記の項目にチェックを付けて下さい 脊柱管狭窄症のチェックリスト ▢一定時間歩いていると脚に痛みやしびれが出てくる ▢立ったままの状態を長時間続けられない ▢足首や足の指を動かしづらい ▢陰部やお尻周りがしびれる ▢腰を反らすと痛い ▢腰を前に曲げると楽になる ▢尿漏れがある ▢身長が縮んだ ▢壁に踵・お尻・頭をつけた状態で立った時、腰と壁の間のスペースが大きい ▢下にある物を持ち上げる時、股関節や膝を曲げずに腰だけ曲げて持ち上げる いかがでしたか? ひとつでも当てはまるものがある方は、注意が必要です。 脊柱管狭窄症になっている可能性がある人や、今後脊柱管狭窄症になりやすい人は複数の項目でチェックが入るかもしれません。 特に下半身のしびれや長時間の歩行での痛み、尿漏れなどの症状が出ている人は、放置せずにできるだけ早めに専門の医療機関に相談しましょう。 https://www.youtube.com/watch?v=3yN5q8_ATpc 脊柱管狭窄症の治療 脊柱管狭窄症の治療法は様々あります。 【脊柱管狭窄症の治療方法】 ・神経からくる痛みに対しての内服 ・コルセットなどで腹圧を高めるためのサポートを行う ・体幹や肩周り、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチ ・体幹や下半身の筋力トレーニング ・立っている時、座っている時の姿勢の改善 ・歩き方、動き方の改善 ・重症度の高い脊柱管狭窄症への手術療法 重度の脊柱管狭窄症の場合は、早急に神経の圧迫を取り除く必要があるため、手術療法が用いられます。 また、体にメスを入れない保存療法では、リハビリテーション、薬物療法、装具療法があります。 保存療法では、神経的な痛みに対する薬を処方し、まずは症状を抑えることが多いです。そして、症状の原因となる姿勢の改善や、誤った動作習慣を改善する目的でリハビリテーションを行います。 高齢になると、どうしても活動量が落ちてしまい、同一姿勢をとる時間が長くなります。そうすると、脊柱の柔軟性や体幹を保とうとする筋力が低下し、脊柱にかかる負荷が増えてしまうのです。 そんな悪循環を断ち切るために、気になる症状が出てきた時は、専門の整形外科へ相談しあなたにあった治療方法を探してみましょう。 まとめ・脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いについて 今回は、脊柱管狭窄症の病態や、他の腰部疾患であるヘルニアとの違い、セルフチェック、治療方法について紹介しました。 中高齢の方に多い疾患ですが、その多くがそれ以前の姿勢や動作習慣が原因となって起こります。 今、症状が出ている人は、できるだけ早めに医療機関へ相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。 まだ症状が出ていない方、そして年齢的にもまだまだ若い方は、脊柱への過剰な負荷がかからないように、今のうちから姿勢や体の使い方を見直し、予防に努めましょう。 ▼脊柱管狭窄症でのお悩みは、再生医療という治療方法があります。手術や入院を避けることができる最新療法です。当院までお問い合わせ下さい。 No.S103 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.08.30 -
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脊柱管狭窄症の手術|入院期間や費用、手術からリハビリまでの流れ 「脊柱管狭窄症の手術はどれくらい入院するの?」 「手術費用がいくらかかるか不安」 脊柱管狭窄症は足の痺れや痛みで歩けなくなる病気で、症状が悪化すると手術による治療が必要になります。 どのような手術やリハビリをするかはもちろんですが、入院期間や費用がどのくらいかかるかが気になる方も多いのではないでしょうか。 そこで、脊柱管狭窄症について、手術からリハビリまでの流れ、入院期間や必要な費用を詳しく解説します。 脊柱管狭窄症とは?原因とその症状 脊柱管狭窄症はさまざまな原因により、背中にある神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫することで症状を引き起こす状態です。 まずは脊柱管狭窄症についての理解を深めるために、原因や症状を紹介します。 脊柱管狭窄症の原因 多くの場合は、加齢により「脊柱の変形による神経の圧迫」が原因となります。 脊柱は小さな積み木のような骨が積み重なってできており、後方の脊柱管という空間に脳から伸びた神経(脊髄:せきずい)が通っています。また、脊髄から枝分かれした神経は脊柱の左右の隙間を通って、手足につながり感覚や運動を司っています。 脊柱の変形のため、これらの通り道が狭くなってしまうと、神経にダメージを与えてしまい、脊柱管狭窄症の症状につながるのです。 加齢による変形の他に、骨の代謝障害や生まれつきの変形によるものなどがあります。 脊柱管狭窄症の症状 お尻から脚全体にかけての痺れや痛み、脱力といった神経の症状が特徴です。 また、ある程度の距離を歩くと痛みや痺れなどが悪化して歩けなくなるものの、数分間休憩して前屈みの姿勢をとると再び歩けるようになる間欠性跛行(かんけつせいはこう)という症状がみられます。 症状が悪化すると排泄の障害や性機能が不全になるなどの膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)がみられます。 脊柱管狭窄症の治療方法について 脊柱管狭窄症の治療は、保存療法と手術療法があります。まず選択されるのは、手術をしない保存療法です。 脊柱管狭窄症の保存療法 保存療法は次のようなものがあります。 ・薬物療法 ・神経ブロック注射 ・運動療法 ・生活指導 薬物療法は、痛み止めや神経の働きを改善する薬を服用します。 神経ブロック注射は、傷害された神経に麻酔薬を注射して一時的に神経働きを麻痺させ痛みの軽減や神経症状の改善を目的とします。 また、運動や生活の工夫で腰部の負担を軽くして、症状の改善や悪化予防を図ります。 それでも回復しなかったり、症状が悪化したりする場合は、手術の適応となります。 脊柱管狭窄症の手術療法 脊柱管狭窄症の手術は大きく分けて「除圧術」と「除圧固定術」の 2 種類あります。 1 つ目は、神経を圧迫している背骨の一部を取り除いて、圧迫されている部分の除圧をする手術(除圧術)です。 もう 1 つは、除圧術をしたあとに、その部分を別の箇所の骨を移植して固定する手術(除圧固定術)です。 背骨が狭窄だけでなく、ずれがあったり変形が強かったりする場合、除圧術をすると背骨の関節が不安定になってしまいます。そのため、除圧に加えて固定をする必要があり、除圧固定術が適応となります。 最近では小型のカメラを使用して、わずかな傷で手術を行う内視鏡での手術が多くなっています。手術は全身麻酔で行われ、手術箇所や状態によりますが 1〜3 時間以内で終了することが多いです。 傷口が小さくて回復も早いため、従来の切開して行う手術に比べて入院期間が短くなっています。 脊柱管狭窄症の入院期間と費用 脊柱管狭窄症は状態に合わせて手術の方法が異なるため、入院期間や費用は手術内容に応じて変わってきます。 そこで、手術ごとの入院期間や費用の目安を紹介します。 入院期間の目安 内視鏡を使用した手術の場合、入院期間は 1 〜 2 週間程度です。 病院や状態によっては 1 週間以内で退院が可能になる場合もあります。 入院期間は除圧術の方が固定術に比べて短く、手術箇所が多いほど入院が長くなる傾向にあります。 また、脊柱管狭窄症にヘルニアなどの合併している場合も入院期間が長くなります。 費用の目安 費用は除圧術の場合、25 万円〜 40 万円程度になります。 除圧固定術は除圧術に比べて費用がかかり、 60 万円〜 85 万円程度になります。 術式や入院期間、リハビリの量などによって差が出ますので、手術を検討する病院でしっかり確認をしましょう。 脊柱管狭窄症の手術からリハビリまでの流れ 脊柱管狭窄症で内視鏡手術をした場合、早期からベッドを離れて、体を動かすことができます。 そこで、手術からリハビリまでの流れについて解説します。 手術の翌日からリハビリ開始 手術当日は安静にしますが、翌日からリハビリが始まります。 ベッドから起きたり、座ったりという動きを確認したあと、経過が良好であれば、コルセットを装着して歩くことも可能です。 コルセットは術後の背骨が安定するまで約 3 カ月間装着する必要があり、手術の翌日から正しい装着方法を習得することが重要です。 2日目以降は状態に応じて積極的なリハビリを実施 2 日目以降は歩行練習を含めて、活動的な生活を送るためのリハビリがしっかり行われます。 歩行が安定してくると、階段の昇降や屋外での歩行も開始して、退院が可能な状態まで回復を目指します。 中腰の作業や重い荷物を持つなどは腰に負担がかかるため、しばらくは行ってはいけません。 退院までに日常生活での注意点もしっかり理解を深めておくことが重要です。 退院後も必要に応じて外来でのリハビリを受けることがあります。 脊柱管狭窄症の手術内容やリハビリまでの流れを知って不安を減らそう 脊柱管狭窄症は症状が悪化して、手術を勧められても、手術の費用や入院期間やリハビリまでの流れを知らないと不安になるのも仕方ありません。 紹介した情報を知ることで、少しでも不安を減らしていただければ幸いです。 脊柱管狭窄症により神経症状が悪化すると、日常生活を送るのに支障をきたします。手術が必要になる前に、早めに整形外科を受診し、症状の悪化を防ぎましょう。 ▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。術後後遺症でお困りでしたら当院にご相談ください。 https://youtu.be/3yN5q8_ATpc No.102 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2024.08.30 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
側弯症の手術で後悔しない為に、そのメリットとデメリット 小学生の時に学校検診で前屈の動きをした覚えはありませんか? あの動き、実は側弯症を見極めるテストの一つなんです。なぜ成長期の時期に側弯症の健診があるのでしょうか? 本記事ではそんな疑問にお応えすべく、放っておくと実は怖い側弯症について、様々な治療法をメリット・デメリットとともにご紹介していきます。 側弯症とは 側弯症とは、背骨(脊柱)が前から見た時に曲がっている(捻れている)状態のことを言います。側弯の程度は個人差が大きく、背骨の曲がり方の指標である『コブ角』の測定が重要となります。 側弯症により痛みを伴うことは少ないですが、見た目の問題で心理的ストレスを感じたり、高度の側弯で肺活量の低下などの呼吸機能障害が起こったりすることもあります。 背骨(脊柱)の役割 通常、背骨は前から見ると真っ直ぐになっており、横から見るとS字のカーブを描いています。この形状により、重い頭部を効率よく支えることができ、重力による背骨への負荷を減らすことができるのです。 側弯症の指標であるコブ角とは? 側弯症の説明で必ずと言っていいほど出てくる指標がコブ角です。これは、背骨の横方向への曲がり方を表す角度になります。 角度を測る際に用いられるのが、レントゲン画像です。背骨(椎体)の上下で最も曲がりの強い椎体から線を引き、その2つの線が重なってできた角度がコブ角になります。 出典:脊椎手術.com (https://www.sekitsui.com/specialist/sp014-html/) コブ角が大きければ大きいほど側弯が強い、という判断になります。コブ角の程度により治療方法の選択が変わりますので頭に入れておきましょう。 側弯症の種類と原因 側弯症は、大きく2つの種類に分類されます。 種類 ・機能性側弯症 ・構築性側弯症 以下で詳しく解説していきます。 機能性側弯症とは 機能性側弯症とは、日常の姿勢や、仕事動作の反復、腰痛などによる逃避的な姿勢など、左右非対称に偏った姿勢を高頻度にとる人に多くみられる側弯症です。 機能性側弯症の場合、コブ角も小さいことが多く、根本となる姿勢の問題を改善することで解消できます。 構築性側弯症とは 構築性側弯症は、その中でもいくつか分かれており、側弯の程度も人により様々です。後述する装具療法や手術療法の適応となるのは、ほとんどがこの構築性側弯症になります。 構築性側弯症は以下の側弯症に分けられます。 構築性側弯症 ①特発性側弯症 ②原因疾患があり、二次的に発症する側弯症 それぞれ解説していきます。 ①特発性側弯症 特発性側弯症は原因不明の側弯症であり、構築性側弯症の大部分を占めます。 発症する時期により、 ・乳児期側弯症・・・3歳以下で発症 ・学童期側弯症・・・4〜9歳で発症 ・思春期側弯症・・・10歳以上で発症 このように分類されます。特に日本では思春期側弯症が多くみられます。 乳児期側弯症は 3 歳以下の男児に、思春期側弯症は 10 歳以上の女子に多いです。 学校検診で発見されることも多く、コブ角が少ない初期の段階では見逃されることも多いのですが、少しでも左右差があれば専門の整形外科への受診を勧められます。 進行のスピードには個人差があるため、1回のみでなく、定期的な受診により変形の程度を確認しましょう。治療の内容については後で述べますが、早ければ早いほど治療効果も高まります。 もし継続的な診察が必要だと言われたら、医師の指示に従い、そのまま放置しないよう注意してください。 ②原因疾患がある側弯症 もともと原因となる疾患がもとになって側弯症が引き起こされるものもあります。 それが以下になります。 ・先天性側弯症・・・背骨の一部である椎骨の先天的な変形によって起こる側弯症 ・症候性側弯症・・・筋ジストロフィーや脳性麻痺、レックリングハウゼン病、マルファン症候群、やけど、脊椎の腫瘍などに続発して起こる側弯症 挙げればキリがないほど、多くの原因疾患があります。 しかし、必ずしも側弯になるわけではありませんし、側弯の程度も個人差があるため、専門の医療機関でしっかりみてもらうことが必須となります。 構築性側弯症の治療方法 側弯症の治療方法はいくつかありますが、今回は構築性側弯症に絞ってご紹介します。 コブ角により推奨される治療方法が変わる 側弯症の程度を測る指標として最も用いられているものに、コブ角があります。 コブ角〜25°: 見た目にも分かりにくい状態。多くは経過観察。 コブ角25°〜40°: 見た目にも変形が分かるようになる。進行の防止および変形の矯正のために装具療法が用いられることが多い。 コブ角40°〜: 高度の側弯が見られる状態。場合によっては神経症状や呼吸機能の低下がみられる。手術療法により側弯を矯正する方法が推奨される。 出典:日本側弯症学会(https://www.sokuwan.jp/patient/disease/index.html) このコブ角の大きさにより、推奨される治療方法が変わります。 側弯症の治療方法①装具療法 装具療法では、進行しやすい成長期の段階で装着することが多いです。 側弯が進行しないようにすることが一番の目的であり、装具をしたからといって側弯した背骨が戻るわけではありません。骨の成長が終了するまで装具を装着し、できるだけ側弯の進行を抑える目的で処方されます。 基本的には装着時間が長ければ長いほど効果が高いと言われており、“お風呂以外の時間は装着”や、“家にいる時間は装着”、“24時間できるだけ装着”などと医療機関により多少ばらつきがあります。 しかし、装着時の違和感が強く、許可された時間以外でも外してしまうケースも多いです。 アンダーアーム装具(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp) 海外の権威ある研究においても16時間以上の装具装着により進行を抑えられたという報告もあることから、装着時間を守ることをオススメします。 側弯症の治療方法②手術療法 高度の側弯症に対しての唯一有効な治療法が手術療法です。 コブ角が50°を超えてしまうと、骨が成熟した後でも変形が進行する可能性があります。 変形が進行する=合併症の危険性が上がる、ということです 【高度な側弯症の手術】 ・変形が進行するリスクがある ・変形による他の合併症の恐れがある ・保存的治療(装具療法やリハビリ)では限界がある そこで、変形を矯正するための方法が手術になります。 現在は、手術技術や機器の向上により治療成績が格段に上がっているため、手術を推奨するケースが多いです。 側弯症の術前(左)と術後(右)(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp/) 上の写真を見れば、手術前と後での違いが一目瞭然ですよね。 側弯症の手術のメリット・デメリット いざ手術となると不安もでてきます。まず考えるのは、手術を受ける際のリスクだと思います。 「手術による後遺症はないのか?」「手術をしてもあんまり変わらないんじゃないの?」「手術で失敗したら怖い・・・」 このように考えてしまうのも無理はありません。そこで、手術をする、しないの選択に後悔しないように、手術によるメリットとデメリットについてお話します。 側弯症手術のメリット 側弯症の一番大きなメリットは、側弯の度合いを軽減させることができる、という点です。それにより、見た目が変わり心理的ストレスが改善されます。 また、側弯による呼吸器をはじめとした他の合併症のリスクを減らすことができます。基本的に現在の治療技術では、手術後でもほとんど前と同じような日常生活が送れます。 【側弯症手術のメリット】 ・側弯の矯正ができる ・側弯の程度の減少により心理的ストレスが改善できる ・側弯の程度の減少により呼吸器疾患などの合併症のリスクを減らすことができる ・手術後でも前と同じような日常生活を送ることができる そのため、以前に比べ手術を推奨する例が多くなっています。 側弯症手術のデメリット 側弯症に限らず、手術をする際には多少のリスクが伴います。また、手術後の過ごし方によって様々な問題を引き起こすこともあるのです。 まず頭に入れておいてほしいことは、手術後すぐには元の生活には戻れない、ということです。 手術後に最も重要なのは、処置した箇所の骨癒合(骨がくっつくこと)になります。骨癒合のためには、ある程度の安静が必要です。 背骨を過度に反らす、曲げる、捻る動きをとってしまうことで、金属挿入部が緩んでしまうことがあります。そうなると、再手術が必要となってしまうことがありますので、注意が必要です。 手術をするにあたり、神経に近いところにメスを入れます。どの手術でも言えることですが、小さい神経などを傷つけてしまうこともあります。 それにより麻痺や感覚異常などの神経障害が出てくる可能性もゼロではありません。 さらに、背骨の周囲には様々な臓器が隣接しています。そのため、呼吸器や循環器、泌尿器などの合併症を引き起こす可能性もあるのです。 また、手術後の創部管理が行き届いていないと、免疫が低下してしまうなどの理由で感染症を起こすことも考えられます。 【側弯症手術のデメリット】 ・手術後早期は術部に負荷のかからないような生活が必要 ・手術後は、ラグビーや柔道、バレーボールなどの激しくぶつかり合ったり、脊柱の大きな動きを伴うようなスポーツができない ・手術の侵襲により神経障害を引き起こすことがある ・手術の侵襲により他臓器の合併症を引き起こす可能性がある ・手術後の感染のリスクがある 手術にはこれらの危険性をはらんでいることを頭に入れて、後悔しないような選択をしましょう。 まとめ・側弯症の手術で後悔しない為に、そのメリットとデメリット 今回は、側弯症の病態からその治療方法、そして手術療法を行う上でのメリット、デメリットについてお話しました。 側弯症は専門性が求められる疾患であり、初期の状態では見過ごされることも多い疾患です。気になる症状があったり、治療方法で悩まれている方がいらっしゃいましたら、ぜひ専門家へ相談することをオススメします。 手術療法についてはデメリットも多く感じるかもしれませんが、昔と比べると格段と治療成績が良くなっています。 治療をより効果的なものにするためには、術後の過ごし方や変形を助長させないような対処が必要になります。 病態の理解、経過観察、治療の選択などが重要なポイントとなりますので、1人で悩まず専門家や家族と相談しながら側弯症と付き合っていきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.100 監修:医師 坂本貞範 ▼以下も参考にしていただけます 側弯症の改善!ストレッチとエクササイズについて
最終更新日:2024.08.27 -
- ひざ関節
- 脊柱管狭窄症
- 膝部、その他疾患
なんの前触れもなく膝から下が痛くなり、以下のような症状に不安を感じていませんか。 「何もしていないのに足が痛い」 「膝から下が重い・だるい」 「ふくらはぎがジンジン・ズキズキする」 これまで感じたことのないような痛みや違和感だと重い症状ではないかと心配にもなりますよね。膝の痛みから考えられる疾患や原因はさまざまあり、症状が続くと日常生活に影響してしまうものです。 そこで本記事では「膝から下が痛い・重い・だるい」ときに考えられる4つの疾患と原因を医師が解説します。多くの症例実績がある「リペアセルクリニック」だからこそお伝えできる、膝から下が痛いときに取るべき行動もお伝えします。 最後まで読めば、今抱えている不安が少しは軽くなり、どこに相談すべきか迷わずに正しく判断できます。 膝から下が痛いときに考えられる4つの疾患と原因 膝から下が痛いときに考えられる疾患と原因は、以下の4つが挙げられます。 閉塞性動脈硬化症 深部静脈血栓症 脊柱管狭窄症 下肢静脈瘤 普段聞きなれない言葉が並んでおり、不安になる方もいるかもしれません。これらの各疾患について、症状や原因を記しながら、できるだけ簡単に説明してまいります。 なお、膝の内側・外側のように痛む場所から考えられる疾患もあるので、ある程度「痛みの場所が特定」できている方は、以下の記事もご覧ください。 ①閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう) 閉塞性動脈硬化症とは、以下のように足の血管の動脈硬化が進んでしまい、血液が流れづらくなったり、つまったりする病気です。 足の血流が悪くなるので、歩くときに足の痛みや痺れ、冷たさを感じることがあります。進行すると、安静にしていても同様の症状が出てきますので、注意が必要です。 「動脈硬化」は全身に起こりやすいものなので、足だけでなく手にも同様の症状が出てくる可能性もあります。安静時の足の痛みや足の潰瘍、壊死はだいぶ進行している状態です。下表に閉塞性動脈硬化症の症状や原因をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。 閉塞性動脈硬化症の症状 ・足の痺れや冷感(しびれ・冷える) ・歩行の時の足の痛み ・間欠性跛行(しばらく歩行していると、足の痛みが強くなり歩行困難となる症状) ・安静時の足の痛み ・足の潰瘍・壊死 閉塞性動脈硬化症の原因 ・肥満 ・高血圧 ・喫煙 ・糖尿病 このように、動脈硬化の主な原因として生活習慣の乱れによるものが大きいことがわかります。 治療には早めの対処が必要となりますので「足の痺れ」「痛み」「冷たい感覚」などの症状を感じたら医療機関を受診し、早めにご相談されることをお勧めします。 ②深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう) 深部静脈血栓症とは、以下のように足の奥深くに通る静脈血管のなかに、血の塊(血栓)ができてしまう病気です。 この血栓が心臓や肺に流され詰まってしまうと、心筋梗塞や肺塞栓症などの命に関わる重大な疾患を引き起こす危険性があります。 特に足の整形外科の手術後や長時間のフライトなどで多くみられ、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれることもあります。下表に深部静脈血栓症の症状や原因をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。 深部静脈血栓症の症状 ・片足が大きく腫れ上がる ・赤黒く変色する ・ジンジンとした痛みが伴う ・肺塞栓症へ移行した場合、呼吸が荒くなり、胸が痛くなる 深部静脈血栓症の原因 ・手術や怪我による静脈血管の損傷 ・長期の臥床(寝たきり)など、足を動かしていない期間が長い ・喫煙 ・脱水 ・その他血流の低下が起こりうる場合 手術やケガによって「血液が固まりやすい・静脈内血液の流れが悪い・静脈が傷ついている」という3つの状態が満たされる場合に深部静脈血栓症が起こりやすくなります。 このように、不動に伴う血液循環が滞りやすい期間が長くなってしまった場合によく起こります。 放置しておくと、重篤な肺塞栓症へと進行してしまう可能性もあるため、おかしいと思ったらただちに専門の医療機関へ行きましょう。 ③脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) 脊柱管狭窄症とは、脊髄や抹消神経が通るトンネル(脊柱管)が何らかの影響を受けて狭くなってしまい、発症する疾患です。 中高年で腰痛を伴う代表的なもので、長時間歩くことができなくなる間欠性跛行(かんけつせいはこう)がみられます。 脊柱管狭窄症で悩む中高年の患者さんは数多くいます。それゆえ、見過ごされやすいのも事実です。脊柱管狭窄症を見過ごさないためにも、下表を参考に当てはまる症状がないかチェックしてみてください。 脊柱管狭窄症の症状 ・お尻から足にかけて痛みや痺れがある ・長く歩いたり、立ったままになるのが辛い ・足に力が入りにくい ・体を反らす動きがしづらい ・体を前屈みにすることで症状が楽になる ・尿漏れなどの排尿・排便障害がある 脊柱管狭窄症の原因 ・加齢による背骨の変形や、ヘルニア ・先天的なもの ・猫背などの偏った姿勢 ・反り腰 ・仕事などで腰に負担のかかる動作の繰り返し ひどいものでは「足に力が入らない」「オムツが必要となる排尿障害」が起こるなど、日常生活に大きく影響してくる場合もあります。 気になる症状が出たら、できるだけ早く専門医に受診しましょう。 ④下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう) 下肢静脈瘤とは、足の血管(静脈)に異常が起こる病気です。血管がコブ(瘤)のように膨れ上がり、以下のように体表からはボコボコしたように見えます。 静脈の中には、血液の逆流を防ぐための弁がついており、ふくらはぎの筋肉などの力で下から上に血液を戻してくれます。 しかし、その弁が壊れて正常に働かない場合は、血液が滞ってしまい、下の方に溜まってしまうのです。その血液が溜まった状態を下肢静脈瘤と言います。 下肢静脈瘤の症状や原因は、さまざまあります。見た目的にも分かりやすいため、自分で気づきやすい病気です。下表に下肢静脈瘤の症状や原因をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。 下肢静脈瘤の症状 ・ふくらはぎのだるさ、重さ ・湿疹や皮膚の変症、皮膚炎 ・足がむくむ ・足がつる(こむら返り) ・血管が目立つ(ボコボコなる) 下肢静脈瘤の原因 ・加齢による筋肉や血管機能の低下 ・立ち仕事 ・妊娠や出産 ・遺伝的な要素 ・激しいスポーツ このように下肢静脈瘤は加齢による血管のしなやかさがなくなったり、立ちっぱなしの仕事を続けたりなど、誰にでも起こりうる病気です。上記の症状に当てはまる場合は、医療機関に相談しましょう。 膝から下が痛いときは何科を受診すべきか【疾患別に解説】 「膝から下が痛い」と感じた時に、考えうる疾患について4例説明しました。一見、全く違う病気のようにみえますが、似ている症状も数多くあります。そのため、疾患の見分け方は専門医でなければ難しいことが多々あります。 そこで、以下に疾患ごとのおすすめ受診科目を挙げています。早めの対処が必要な疾患もありますので、気になる症状がみられましたら、下記を参考に専門医へご相談ください。 症状 受診科目 下肢静脈瘤 ・血管外科※ ・心臓血管外科 ・皮膚科 ・形成外科 ・循環器内科 閉塞性動脈硬化症 ・血管外科※ ・循環器内科 深部静脈血栓症 ・血管外科※ ・循環器内科 ・整形外科 脊柱管狭窄症 ・整形外科 ※血管外科は、日本にあまり多くないのが実情です。 お近くに「血管外科」が無い場合は、「循環器内科」や「皮膚科」、「整形外科」などの他の診療科も視野に入れて、早めにご相談されることをおすすめします。 まとめ|膝から下が痛いと重大な疾患も考えられるので早めに受診を! 今回は、膝の病気で「膝から下が痛い・重い・だるい」という症状で、考えられる疾患についてお話しました。 本記事で挙げた疾患の中には命に関わる重大な疾患も含まれている為、気になる症状がありましたらできるだけ早めに専門医へ相談してください。 難しい言葉が並び、読むのも嫌になるかもしれませんが、これらの疾患は誰にでも起こりうるものです。例えば「深部静脈血栓症」から「肺塞栓症」へ移行してしまうと、一刻も争う状態になります。 「あの時、もっと早く相談しておけば良かった……」そんな声が1人でも少なくなるよう、本記事を読んでいただけると幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みなどに関する再生医療や幹細胞治療をおこなっています。万が一、重い症状だとしても再生医療を実施すれば、身体に負担のかかる手術をしなくてもよくなる可能性があります。 膝の痛みで少しでも気になる症状がありましたら、当院へご相談ください。 No.S094 監修:医師 加藤 秀一 膝から下が痛いのよくある質問 Q.膝がズキズキ痛む原因はなんですか? A.膝がズキズキ痛む原因として、以下が挙げられます。 靭帯損傷 変形性膝関節症 半月板損傷 鵞足炎 膝の使いすぎ(オーバーユース) このほかにも膝がズキズキ痛む原因は考えられます。「膝が痛むときは何科を受診すべきか」でもお伝えした通り、膝の痛み一つとっても似ている症状は数多くあるため、適切な診断をするためにも専門医に相談しましょう。 膝の痛みに関するお悩みがあれば、放置せず当院にお気軽にご相談ください。 Q.膝が痛くて夜寝れない原因と対処法はありますか? A.膝が痛くて寝れない場合の原因は様々ありますが、「変形性膝関節症」の可能性が考えられます。主な原因としては、加齢や膝への負担により軟骨が摩耗するためです。 進行すると痛みで膝を伸ばせず寝ていても痛みを感じるケースも珍しくありません。少しでも痛みを軽減する対処法としては、以下が挙げられます。 腓腹筋のストレッチ ハムストリングのストレッチ 寝るときの姿勢は仰向け これらの具体的な方法については、以下の記事をご覧ください。 なお、膝が痛くて夜に寝れない場合、他の疾患の可能性も考えられるので、早めに医療機関に相談しましょう。
最終更新日:2024.09.23 -
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- 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症と注意すべきポイントについて解説します あなたは脊柱管狭窄症が『薬で治る』と思っていませんか? 多くの日本人を悩ます、腰痛。腰痛の原因は様々ありますが、よく耳にする病名の一つに「脊柱管狭窄症」というのがあります。 本記事では、聞いたことあるけどイマイチよく分からない脊柱管狭窄症の原因や症状、治療法、そして脊柱管狭窄症との向き合い方を分かりやすく説明します。 脊柱管狭窄症とは? 脊柱管狭窄症とは、その名の通り脊柱管がなんらかの原因により狭くなってしまい、脊柱管を通る神経や血管を圧迫している状態を指します。 脊柱管狭窄症は、50代以降の中高年に多く発症する腰部の疾患です。 脊柱とは24個の背骨(椎骨)で構成されており、それらが連なることで縦に長いトンネルができます。そのトンネルが脊柱管と呼ばれ、脳から伸びる脊髄神経が通る場所になります。 なお脊髄神経は、脳からの指令を手脚に伝えたり、手で触れたものなどの情報を脳に伝える役割をしており、その脊髄神経を保護する役割を担うのが脊柱管です。 出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 脊柱管狭窄症の症状・原因 脊柱管狭窄症の症状は多岐にわたります。症状の中で当てはまるものがないかチェックしましょう。 脊柱管狭窄症の症状 脊柱管狭窄症の症状で特徴的なものに間欠性跛行があります。しばらく歩いていると下肢の痛みや痺れがひどくなり、歩くのが困難になります。 しかし、しばらく座ったり前屈みになったりして休んでおくと症状が落ち着き歩けるようになるのです。間欠性跛行以外にもさまざまな症状がありますので下記をご参照ください。 【脊柱管狭窄症の症状の例】 ・おしりから脚にかけての痛みや痺れがある ・脚に力が入らない ・長く歩いたり、立ったままになるのが辛い ・歩いているときに症状が出ても、少し休憩すれば症状が和らぐ ・体を反らす動きがしづらい ・体を前屈させると症状が楽になる ・尿漏れなどの排尿・排便障害がある 出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 脊柱管狭窄症になる原因 脊柱管狭窄症がどのように生じるのか簡単に説明しました。ではなぜ狭窄が起こってしまうのでしょうか? 原因はさまざまありますが、ここでは3つ紹介します。 ①加齢により、骨や軟部組織の変性が起こる 人間の体は20歳代半ばをピークに成長し、30歳を超えたあたりから機能が落ちてくると言われています。特に中高年では、加齢に伴う体の変化が顕著です。 そのため、背骨を構成する椎骨の変形や、椎間板の変性、靭帯の肥厚などが生じ、脊柱管が狭くなると言われています。 脊柱管が狭くなる原因 ・椎骨の変形 ・椎間板の変性 ・靭帯の肥厚 ②先天的な疾患によるもの 稀にですが、先天的に生じる脊柱管狭窄症があります。発育段階で脊柱管が狭くなっているせいで、比較的若い年代で症状が発症します。 割合としてはかなり少ないですが、比較的若い年代で上記の症状を有している人がいましたら詳しい検査を受けましょう。 ③普段の姿勢や体の使い方によるもの 加齢による骨や靭帯組織の変性と合わせて主な原因となるのが日々の姿勢や動作習慣です。特に反り腰の人に多くみられます。 背骨は首から骨盤まで繋がっているため、反り腰の原因は腰だけではありません。胸椎や骨盤、股関節の可動性の低下が影響します。 猫背や偏った姿勢をとることが多い人は特に注意が必要でしょう。 脊柱管狭窄症の診断 脊柱管狭窄症の診断には主にレントゲンやMRIなどの画像診断が用いられます。特に分かりやすいのがMRIで、骨以外の靭帯や椎間板の変性も確認しやすく、診断の手助けとなる検査法の一つです。 また、神経圧迫の程度や他の腰部疾患との鑑別のために、腱反射や感覚検査、筋力測定も行います。 脊柱管狭窄症の治療 脊柱管狭窄症の治療法は様々あります。大まかにいうと、内服やリハビリ、装具などを用いた保存療法と、外科的な処置を行う手術療法に分けられます。 保存療法 保存療法の例は以下です。 薬物療法 神経障害性疼痛という神経由来の痛みに効果的なお薬が処方されることがあります。また、局所の炎症を抑え、血液循環を良くする目的に神経ブロック注射を行うこともあります。 いずれも痛みの悪循環を断つ目的で行う治療法です。 装具療法 腰椎の不安定性がある状態や、圧迫により症状が緩和する場合はコルセットを処方されることがあります。コルセットは、腹圧を高めるサポートをし、背骨を安定させ、余分な筋肉の緊張を緩和する効果があります。 ただし、長期間装着することで腹筋の筋力が低下する可能性もあるため注意が必要です。 リハビリテーション リハビリテーションは、疼痛の緩和を目的とした物理療法と、関節の動きの改善、筋力の向上、体の使い方を改善させる運動療法からなります。物理療法の中には、電気刺激を与えて痛みを緩和させる電気刺激療法、温めることで痛みを緩和させる温熱療法を用いることがあります。 いずれも運動療法と併用して行うことでより効果が得られます。 運動療法は、理学療法士が中心となって、関節の動きや筋力の改善をサポートします。脊柱管狭窄症では、腰だけでなく、上部体幹(首や胸椎、胸郭など)や骨盤、下肢関節の動きも悪くなっていることが多々あります。 ストレッチや筋力トレーニング、姿勢の指導などその人に合わせたリハビリテーションを提供するのが特徴です。 手術療法 保存療法で症状の改善が見込めない場合や、神経の高度の圧迫により症状が強く出ている場合などには、手術療法を選択することがあります。 手術療法の一つに、狭くなった脊柱管を広げる方法があります。それは、椎弓と呼ばれる脊椎の一部と、肥厚した靭帯を部分的に切除する方法です。この手術により狭窄が解消でき、症状の改善につながります。 また、別の手術療法に、固定術というのがあります。腰椎分離症やすべり症といった背骨の不安定性を伴う脊柱管狭窄症の場合、神経を圧迫している場所の上下の背骨を固定する方法です。 いずれも重度な脊柱管狭窄症に用いられる手術療法ですが、その後のリハビリや生活習慣の見直しが重要となります。 脊柱管狭窄症で気をつけたいポイント 脊柱管狭窄症の治療は簡単なものではありません。脊柱管狭窄症は、薬で完全に治る病気でもなく、手術したからといって完全に元のように痛みがとれるわけではないからです。 老化や長年の姿勢、負担のかかる動作の繰り返しなどがいくつも重なって生じるものなので、症状の改善も一筋縄ではいきません。 では、どういうところに気をつけて過ごしていくべきなのでしょうか。 歩き過ぎは禁物 リハビリに来られる患者さんの中には、 「歩くのが大事なんでしょ?」 と言って、痛いのを我慢してより長い距離を歩こうとする方も多くいらっしゃいます。 しかし、前述したように脊柱管狭窄症は間欠性跛行が特徴としてみられ、それだけ負担がかかっている状態なのでかえって痛みが増強することがあります。その結果、さらに悪い姿勢をとってしまう危険性もあるのです。 姿勢や動作の改善が大事 無理な歩き過ぎはかえってよくないとお話しましたが、ではどのように対処していけばいいのでしょうか。 対処法の一つに、ストレッチや筋力トレーニングがあります。それらを駆使して偏った体の状態を戻すことが重要です。 背骨は、首から腰までつながっており、S字にカーブしています。そのカーブによって背骨にかかる負担が分散され、安全に効率よく体を動かすことができます。しかし、脊柱管狭窄症の患者さんはよく反り腰になっているのです。 反り腰になることで、背骨の一つ一つがずれてしまい、その結果、脊柱管が狭くなってしまいます。反り腰は腰だけが悪いのではなく、首や胸椎など腰以外に原因があることが多いのです。 例えば、背中が丸まってしまうと、バランスをとろうとして自然と腰が反ってしまいます。スマホ首や、肩こりが多い人も要注意です。 そんな人は、首から肩周りにかけてストレッチをすることをオススメします。特に胸を張る動作がしづらくなっている方も多いので、胸を開くようなストレッチを頑張っていきましょう。 まとめ・脊柱管狭窄症と注意すべきポイントについて 本記事では中高齢者が悩む「脊柱管狭窄症の注意すべきポイント」について紹介しました。 脊柱管狭窄症は、特に中高年に多く見られる腰部の疾患で、腰痛や下肢の痛み、痺れなどが特徴です。脊柱管が狭くなることで神経や血管が圧迫され、さまざまな症状を引き起こします。 この病気の原因は主に加齢による骨や軟部組織の変性、先天的な要因、そして日々の姿勢や体の使い方に起因するものです。 治療方法は大きく分けて保存療法と手術療法があります。 保存療法には、薬物療法やリハビリテーション、装具療法などがあり、症状を緩和し、生活の質を向上させることを目指します。一方、重度の場合や保存療法で改善が見られない場合には、手術療法の可能性もあります。 手術では狭くなった脊柱管を広げることや、不安定な背骨を固定することが行われます。 脊柱管狭窄症の治療において重要なのは、痛みの軽減だけでなく、姿勢や動作の改善です。無理に歩き過ぎることはかえって症状を悪化させる恐れがあるため、適度な運動やリハビリテーションを通じて体のバランスを整えることが大切です。 また、日常生活における姿勢の見直しやストレッチ、筋力トレーニングも効果的です。 脊柱管狭窄症は一朝一夕で完治する病気ではありません。 脊柱管狭窄症は完治が難しく、内服や注射、手術にリハビリと多くの治療法が用いられています。症状を緩和することは大事なことですが、普段の姿勢の改善や無理な動作をしないなど、体を根本から変えることも必要です。 腰の痛みや痺れ、歩きづらさで悩んでいる方は、医療機関でしっかりみてもらうと同時に、普段の生活の中で負担になっている動きがないか、偏った姿勢をとっていないか見直してみましょう。 No.S086 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.05.22 -
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腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説! 腰椎分離症をご存じですか? 今回は、成長期の疾患で意外と見落とされがちな腰椎分離症についてご紹介します。分離症はどのようになってしまうのか、なってしまった後の治療法や予防法などを分かりやすく解説します。 腰椎分離症はどういうもの? 腰椎分離症とは、10代前半から中盤(小学生高学年、中学生、高校生)の成長期のスポーツ選手に多い腰のケガです。 背骨を構成する腰椎の「椎弓(ついきゅう)」と呼ばれる部分に疲労骨折が起こり、その名の通り腰椎が2つに分離してしまう状態のことを言います。 引用;「日本整形外科学会」 発症は成長期ですが、腰椎分離症に気づかず、大人になってから指摘されるケースも珍しくありません。場合によっては、疲労骨折した部分がより離れてずれてしまう「腰椎すべり症」へと進行することもありますので、早期の発見・治療が必要です。 腰椎分離症の原因 腰椎分離症の原因は大きく2つあります。 まず一つめは、未熟な骨の脆弱性です。10代の子どもたちの骨はまだ未熟で、軟骨部分も多いため強いストレスが繰り返し加わると悲鳴をあげてしまいます。 二つめに、激しいスポーツ動作により繰り返される腰椎へのストレスが挙げられます。 以下に発症しやすい動作を伴うスポーツとその動作を挙げていますのでご参照ください。 [スポーツの種類の例] ・サッカー ・ラグビー ・バスケットボール ・バレーボール ・野球 [スポーツ動作の例] ・ダッシュ ・ストップ ・ジャンプ ・体の反り ・強く捻りを伴う動作 このような「反らす」「捻る」動作が特に負担がかかりやすく、繰り返し加わることで疲労骨折が生じます。さらに、カラダの柔軟性が低下していたり、下半身や体幹の力が弱くなっていたり、不良な動作を身につけてしまうことで、腰椎分離症を発症しやすくなるのです。 腰椎分離症の症状と診断 症状 例えば、こんな症状はありませんか? ・体を反らす、捻る動きによる腰の痛み ・スポーツ中やスポーツ後の痛み ・下半身のしびれ(神経症状) ・骨折した部分の圧痛(指で押した時の痛み) もしかすると、腰椎分離症の症状かも知れません。医療機関では以下のようにして診断が行われることがあります。 診断 痛みやしびれの程度は個人差がありますので、年齢やスポーツ歴、痛みの問診、理学所見、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査で総合的に判断します。 ①問診 これまでの研究では、スポーツ選手の約3割程度が腰椎分離症を持っていると言われています。 スポーツ歴やどの動作で痛みやしびれが出るのか、これらを聴取することが重要な判断材料となります。 ②理学所見 理学所見は、身体の診察のことで視診、触診を中心に行います。 痛みの場所を触診したり、痛みが出る動きを再現させて原因を特定したりします。 ③画像診断 レントゲン レントゲンで分離部(骨折部)がハッキリ写る(※1スコッチテリアの首輪)と進行期や終末期である可能性が高く、骨の癒合が極めて困難である場合が多い ※1スコッチテリアの首‥‥分離部が犬の首輪のように見えるためこのように表現されている。 CT 骨癒合の状態をみることができるため、分離部の進行状況や固定期間の予測に有用。 MRI 完全に分離していない初期段階の疲労骨折の発見に有用。ヘルニアの有無など他の腰部疾患との鑑別にも有用。 腰痛やしびれを症状とする腰部疾患は多く存在するので、腰椎ヘルニアや筋膜性腰痛などの他の疾患との見極めが必要です。 ▼腰椎分離症について、こちらの動画でも詳しく解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=hF14XAyVS0Y 腰椎分離症の治療法3つのポイント では実際に腰椎分離症になってしまったらどのような治療をしていくのでしょうか。治療を進めていく中で重要なことは、「早期発見、早期治療」です。 他のどの病気にも言えることですが、放っておくと、高校生になった時や大人になった時に痛みが再発し、思うように動けなくなってしまうことも多々あります。そのような状況を未然に防ぐことが重要です。 ポイント①疲労骨折部の安静 腰椎分離症の治療は「患部の癒合」が一番に優先されます。そのため、初期の段階であれば、患者のカラダに合わせた硬いコルセットを用い、患部に負担がかからないように固定し安静を保ちます。 コルセットを装着することにより、脊柱の捻るストレスを軽減することができるため、骨折部の癒合を促せるのです。骨が未熟な小・中学生では癒合の可能性も高いため、スポーツを一定期間中止し、癒合に専念することをオススメします。 ポイント②患部以外の柔軟性、筋力の強化 原因のところでも述べましたが、腰椎に負担がかかる要因は以下のことが挙げられます。 ・下肢(特に股関節など)や上半身(胸椎など)のかたさ ・下肢、体幹の筋力および筋持久力の低下 ・不良なスポーツ動作 これらの改善には、ストレッチや筋力トレーニングといったカラダのコンディショニングが重要となります。患部に負担のかからないところから徐々にストレッチや筋力強化をし、身体機能を上げていきましょう。 ポイント③腰椎へ過度なストレスにならない動作の獲得 柔軟性や筋力不足だけでなく、カラダの使い方も大きな原因となります。 例えば「カラダを反らせてください」と指示した時に、本来なら弓なりに背骨全体で反らせてほしいところ、胸が張れずに腰のところだけで反らせている人を多くみかけます。この動きだと腰だけに負担がかかりやすく、腰椎分離症を発症するリスクが高くなるのです。 また、カラダを捻る動きになると、頑張って背骨を捻ろうとしてしまいます。背骨の動きはそんなに大きな動きはできません。 カラダを捻る時に大事な役割をしてくれるのが、骨盤や股関節です。骨盤、股関節の動きが不十分だと背骨にかかる負担も増えてくるので、スポーツ復帰する前に改善しておきましょう。 予防の観点からもストレッチや筋力トレーニング、動作訓練は大切 前述した治療方法は、そのまま予防にもつながります。腰が痛くない人でも、普段から運動前後のストレッチやウォーミングアップ、クールダウンを徹底して行うとケガのリスクを下げることができます。 動作においても、日頃から自分の動きをチェックしておきましょう。無理な使い方をしていないか、指導者や保護者の方と一緒に確認することでケガの予防だけでなくパフォーマンスの向上にもつながります。基本的な動作の反復練習は、地味ですが大きな意味を持ちます。 腰椎分離症のQ&A 腰椎分離症になったらどうしたらいいの?腰椎分離症について、Q&Aでお答えしていきます。 Q.固定期間や安静期間はどれくらい必要? A.初期の腰椎分離症では、癒合の目安がおよそ2〜3ヶ月、進行期になると3〜6ヶ月と言われています。ただ、骨癒合には安静度や年齢、栄養状態などさまざまな要素が絡んでくるので一概には言えません。 定期的なCT画像検査により、癒合状況を確認することをオススメします。 Q.コルセットはずっとつけておかないといけないのか? A.医療機関にもよりますが、基本的にはお風呂以外の時間はつけておきましょう。 Q.安静にしておけば必ず骨癒合するのか? A.腰椎分離症にも初期から終末期があり、なりたての初期段階であればかなりの確率で癒合できます。しかし、終末期になると癒合は難しいので、体幹の強化や動作の改善の訓練を行い、患部に負担をかけない工夫が必要になります。 Q.固定以外にも治療方法はあるのか? A.終末期で症状がとれない、分離部がぐらぐらする、などといった症状が残っており、今後のスポーツ活動に支障を及ぼす可能性が高い場合に、手術療法を行うこともあります。 まとめ・腰椎分離症とは?成長期のスポーツ選手に多くその症状と原因、治療法を分かりやすく解説! 本記事では、腰椎分離症について原因や症状、治療法について紹介しました。 腰椎分離症は、早期に発見し、適切な治療を行えば後遺症も残さず治る傷害です。ただし、骨癒合まではある程度の期間、固定と安静が必要となります。 スポーツを休まなければいけないのは根気と我慢が必要となりますが、無理して治療を先延ばしにしておくと、痛みが長引くだけでなく、後になってより強い腰痛を引き起こす原因となることもあります。成長期の年代で腰痛に悩んでいる方は、ぜひ一度整形外科に相談してみましょう。 No.08 監修:医師 坂本貞範 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
最終更新日:2024.08.30 -
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胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について 胸椎椎間板ヘルニアをご存知でしょうか? 椎間板とは、背骨の間のクッションとなる組織です。それが、つぶれたり、変形したりして飛び出てしまうことを、椎間板ヘルニアと呼びます。ヘルニアとは、“飛び出る”という意味です。 人の背骨は全部で24個あります。これらのうち、首(頸椎)の背骨が7個、胸の背骨が12個、腰の背骨が5個あります。この胸の背骨の間にある椎間板がこわれて飛び出てしまうことを、❝胸椎椎間板ヘルニア❞と呼びます。 今回は、そんな胸椎椎間板ヘルニアについて解説していきます。 胸椎椎間板ヘルニアの原因と症状は? 椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で引き起こる、胸椎椎間板ヘルニア。 胸椎椎間板ヘルニアの症状は、脚に出てきます。太ももやふくらはぎのしびれ、痛みが出ることがあります。脚の力が入らなくなったり、歩き方がおぼつかなくなったりします。最悪、歩けなくなることもあるので注意が必要です。 また、背中の痛みを感じることもあります。さらに、脇に放散する痛みがあることもあります。これを、肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。中には、背中や肋間神経痛は出ず、脚の症状だけが出ることがある人もいます。 胸椎椎間板ヘルニアの特徴は? 胸椎椎間板は、胸の背骨(胸椎)にできます。実は、胸椎のヘルニアは珍しい疾患で、首や腰のヘルニアよりも起こりにくい疾患です。 これは、胸椎が、肋骨とつながっていて安定している為です。その為、胸椎は首や腰にくらべて椎間板のストレスが少なく済み、椎間板ヘルニアが起こりにくいのです。 胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の下の方に多いと言われています。これは、背骨が前後に曲がって、バネのようになっているからです。 背骨は曲がっていることで、上下方向にバネのように動かすことができます。ちょうど、胸椎の下はバネが曲がるところなので、ストレスが多くかかります。その為、胸椎椎間板ヘルニアの好発部位となります。 肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)について 胸椎の椎間板の脇から、肋骨に沿って神経が出ています。この神経を肋間神経とよびます。この肋間神経が圧迫されると、肋骨に沿ったしびれや痛みが出ます。 よって、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧排すると、肋間神経に沿ってしびれや痛みを生じます。その為、脇の下にしびれが走ることが多くなったら、胸椎椎間板ヘルニアを疑いましょう。 実はこわい、胸椎椎間板ヘルニア!? 実は、胸椎椎間板ヘルニアはとてもこわい病気でもあります。放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性すらあります。 胸椎椎間板の後ろには、脊髄があります。脊髄は手足を動かす神経の大もとです。これが、椎間板ヘルニアで押されると、急に脚が動かなくなることがあります。 しかも、胸椎はもともと神経の通り道がせまいのです。その為、軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出やすく悪化しやすいと言われています。 急に尿や便が出ないことも!? また、胸椎椎間板ヘルニアの特徴として、尿を出したり、便を出したりする力がだめになることがあります。これは、胸椎の後ろを通る脊髄に、尿を出したり、便を出したりする自律神経を扱う部位がある為です。 その神経を障害されると「急に尿や便がでない!」といった症状が出ます。 胸椎椎間板ヘルニアの診断方法は? 適切な治療を受ける為には、適切な診断が必要です。実は、胸椎椎間板ヘルニアは診断が難しく、見逃されてしまうケースも多い病気です。診断には整形外科を受診しましょう。 レントゲン撮影やMRI画像検査で診断をおこないます。特に、MRIは椎間板がよく見えるので、確定診断につながります。 胸椎椎間板ヘルニアって、予防できる?薬で治るの? 残念ながら、有効とされる予防方法はありません。また、ヘルニアを治すのみ薬も現在ありません。 また、脚の動きが悪い場合は手術となるケースも多く、脚の運動障害は、薬や運動、鍼灸などでは改善することはできません。ですので、早めの病院への受診をしましょう。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について 椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で引き起こる、珍しい疾患の胸椎椎間板ヘルニア。 胸椎椎間板ヘルニアは、背骨の胸の部分にある椎間板が飛び出すことで引き起こされ、症状は脚のしびれや痛み、背中や脇の痛みとして現れることが多いです。特に胸椎は安定しているため、首や腰に比べてヘルニアが起こりにくいのですが、一度発症してしまうと身体に深刻な影響を及ぼしかねません。 胸椎椎間板ヘルニアは、脊髄を圧迫することで脚の力が入らなくなります。最悪の場合は歩行困難、尿や便の排出が困難になることもあります。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、生活の質が著しく低下する恐れがある怖い病です。 太ももやふくらはぎのしびれ、痛みが脚に出てきたり、脚の力が入らない、歩き方がおぼつかないなどの症状を感じたら、胸椎椎間板ヘルニアを疑ってみましょう。軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出やすく悪化しやすいと言われています。 診断は整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査を行います。特にMRI検査は椎間板の状態を詳しく把握できるため、欠かせません。今起こっている症状を軽視せず早めの受診をおすすめします。 実は残念なことに、胸椎椎間板ヘルニアを予防する確実な方法はないのが実情で、治療薬も現状ではありません。そのため、症状が出た場合は早期の診断(検査)と早めの治療が必要です。場合によっては手術が必要となることもあり、放置すると症状が悪化するリスクが高まるので注意が必要です。 このように胸椎椎間板ヘルニアは放っておくと危険な病気です。脚や背中に異常や違和感を感じたら、早めに医療機関を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。 放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性すらある怖い胸椎椎間板ヘルニアです。 自身の健康を守るためにも、体のサインに気をつけましょう。 No.S086 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にしていただけます 胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について
最終更新日:2024.08.30 -
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腰椎分離症でやってはいけないこと3つ!正しい治療で悪化を防ぐ スポーツ活動をしている成長期の子どもによく見られる腰椎分離症。 選手として取り残される不安から、早く競技復帰したい気持ちになるかもしれません。しかし、正しい治療を守らなければ症状が悪化する恐れがあります。 今回は腰椎分離症でやってはいけないことを、治療の流れを確認しながら紹介したいと思います。 腰椎分離症とは 腰椎分離症は疲労骨折により背骨の骨が分離してしまった状態です。 背骨は椎骨(ついこつ)というブロックのような骨が積み重なってできています。 椎骨の背中側には椎弓(ついきゅう)と呼ばれる出っ張りがありますが、この椎弓が分離してしまうことで、腰から殿部、太ももにかけての痛みがみられます。また、骨折でずれた骨が神経を圧迫するとしびれが見られる場合もあります。 椎弓が分離する主な原因は成長期の過剰なスポーツ活動による疲労骨折で、成長期のスポーツ選手による腰痛の30〜40%を占めるとされています。 一度の衝撃で起こる骨折ではなく、骨が発達しきっていない時期に、腰を繰り返し捻ったり、ジャンプを繰り返したりして、椎弓部分にかかる負担が蓄積して起こります。骨折は発生の初期であるほど癒合(※)しやすく、完全に分離してしまったら骨が癒合することはありません。 (※癒合(ゆごう)・・・傷が治り、離れていた皮膚や筋肉、骨がくっつくこと) 腰椎分離症でやってはいけないこと3つ 腰椎分離症は骨折の早期であるほど骨が癒合しやすい為、正しい時期に無理をしないことが重要です。 そこで、腰椎分離症になった場合に、やってはいけないことを3つ紹介します。 ①無理な運動やスポーツをする 安静が必要な期間に無理な運動をすると、骨折している部分に負担がかかり、分離が悪化したり、骨が治癒するのを妨いだりしてしまいます。 特にスポーツ活動をしている場合、競技に早く復帰したい焦りから、少しでも体を動かしたい気持ちになるかもしれません。しかし、骨折部に負担がかからないように固定している期間は、腰を無理に曲げ伸ばししたり、捻ったりする動作は禁物です。 そのため、医師に指示されている間は、運動やスポーツは中止しましょう。 ②コルセットの装着を守らない 腰椎分離症の最初の治療として、疲労骨折により分離した部分を守るため、硬いコルセットの装着をして動きを制限します。腰痛があるうちはコルセットの装着を守るものの、痛みが軽くなればコルセットが動きを妨げるため、邪魔な感じがするかもしれません。 しかし、腰椎分離症は骨がしっかり癒合するより先に腰痛がなくなるため、痛みがなくなったからといって治ったわけではありません。そのため、痛みの程度により自己判断でコルセットを外さないようにすることが大切です。 ③痛い部分にマッサージやストレッチをする 腰痛があるからといって、痛い部分を圧迫するようなマッサージや腰をひねるようなストレッチをすると骨折を悪化させる恐れがあります。そのため、自己判断で痛い部分のマッサージやストレッチをしないようにしましょう。 ただし、腰椎分離症が起こりやすい発育期は、筋肉の柔軟性が低下して、腰椎分離症を含め、さまざまな成長期特有の怪我の要因となります。そのため、適切な指導のもとで行う脚のストレッチなど、骨折部分以外のストレッチを行うことは重要です。 腰椎分離症の治療の流れ 腰椎分離症ではやってはいけないことに関して理解を深めるために、治療の流れを知っておきましょう。 骨折の初期〜進行期(急性期) 疲労骨折が起こり、進行するまでの間を急性期(きゅうせいき)と呼びます。 急性期に治療を開始すれば、骨の結合する可能性が高いため、正しい治療を継続する必要があります。治療は硬いコルセットや体専用のギプスを着用して、腰の動きを制限するとともに、スポーツなどの運動を中止します。 あくまでも骨を癒合させるための治療ですので、痛みがなくなったからといって勝手に治療を中止しないことが大切です。しっかりと骨が癒合するのを待ち、医師の指示が出たら運動やスポーツを再開します。 骨折の終末期 骨の分離が進んでしまった時期を終末期(しゅうまつき)または慢性期(まんせいき)と呼びます。 慢性期で完全に骨が分離しまうと、再び癒合することは期待できません。そのため、骨を癒合させる目的での安静は行わずに、痛みをコントロールしながら運動やスポーツを再開していきます。 痛みのコントロールは、柔らかいコルセットを着用したり、痛み止めを服用したりします。分離したからといって強い痛みがなく、日常生活で支障が出ない場合も多く、腹筋や背筋などを鍛えていくことで腰痛の予防につながります。 成人に見られる腰椎分離症も骨が癒合することはないので、痛みが軽い場合は必ずしも仕事や運動を中止する必要はありません。 まとめ/腰椎分離症でやってはいけないことを守り悪化を防ごう 腰椎分離症は骨折部に負担をかけないようにして、骨が癒合するのを待つことが重要です。そのため、腰椎分離症でやってはいけないことをしっかり守る必要があります。 早期での治療が行われれば高い確率で骨が癒合する骨折ですので、腰痛が見られた場合は無理をせず早めに整形外科への受診をして、正しい治療を行いましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S085 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.07.05 -
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腰部脊柱管狭窄症の後遺症!手術後に痛みや痺れが残った場合の治療法 腰部脊柱管狭窄症とは、背中に通る神経の束である脊髄を保護している脊椎のうち、腰骨に当たる部分が変形したり、椎間板や黄色靭帯により脊髄を圧迫している状態をいいます。 これは加齢にしたがって生じることが多く、文字通り、脊柱管が狭くなることで神経を物理的に圧迫するため、足のしびれなどの症状や、腰痛などが起こります。 腰部脊柱管狭窄症の発症率は、高齢化社会を迎えている我が国では増加の一途を辿り、中年以降に発症する確率が高くなっているので注意が必要です。 この疾患に対する治療は、対症療法を含めて保存的加療が中心となりますが、症状を根本的に改善させるためには手術が有効とされています。 手術は、患者個々のケースで症状や、部位を診断したうえで、出来る限り正常な組織を温存して神経への圧力を減らす除圧術が望まれます。ただ、その一方で手術を行っても場合によっては症状が再発する可能性もあることを知っておきましょう。 今回は、腰部脊柱管狭窄症の症状と手術後のしびれ、うずき、痛みなどの症状が残った場合に新たな光明となる「再生医療」という先端医療の可能性について解説していきます。 腰部脊柱管狭窄症の症状 腰部脊柱管狭窄症という病気は、主に椎間板の変化や、その周りの靱帯が腫れて厚くなったことが原因となり、脊柱管を圧迫した結果、管内のスペースを狭めてしまい神経を圧迫し、発症します。 その結果としてお尻周辺の殿部から、足を中心に「下肢全体に“しびれ”などの症状」を生じさせます。時には「膀胱障害」なども現われることがあります。 現在において日本では概ね500万人以上の患者数が存在していると考えられており、超高齢化社会が進行するにしたがって今後、さらに本疾患で悩まれる方が増加していくことが予想されます この病気で感じる痛みは、腰椎椎間板ヘルニアほど強くはないのですが、それとは別に「下肢痛やしびれを代表とする感覚異常が主な症状」となり、患者さんを苦しめます。 腰部脊柱管狭窄症の症状については、安静時にはそれほどではないものの、歩行していると、ふくらはぎの筋肉がうずくように痛みだして、とても歩き続けることができない状態となります。 これを間欠的破行といいます。前屈すると症状が軽くなるのが特徴です。 これはしばらく休憩すると落ち着くのですが、再び歩きはじめると同じように痛みだすという厄介なものです。 腰部脊柱管狭窄症は、60歳以降あるいは70歳前後の高齢者に多くみられるとされており、先に記した歩行時のような症状が進行すると、連続して動くことが出来なくなります。 それだけではなく、進行すると次第に安静時にも、しびれや、うずき、痛み等を強く感じるようになり日常生活に支障をきたすようになります。 腰部脊柱管狭窄症の治療と、術後のしびれや痛み 腰部脊柱管狭窄症における一般的な治療は、「薬物療法やブロック注射などの保存的治療」が行われますが、効果が見込めないケースでは「手術的治療」を考えねばなりません。 症状が軽い場合は、神経レベルの血流改善を図るべく、内服薬が処方されますが、数ヶ月以上服薬しても症状の改善がみられない場合や、逆に症状が悪化する際には、根治的な手術治療が考慮されます。 手術による治療成績は、おおむね良好です。術式としては、脊柱管間隙スペースを拡大することによって神経そのものへの物理的な圧迫を除去することになり、神経に関するものだけに慎重な手術が行われます。 ここで注意すべき点は、「手術前に長期間にわたって神経症状を自覚されている場合」です。 こうなると圧迫された神経そのものが元通りに改善できなくなる可能性があり、残念なことに例え手術が成功しても、しびれや、痛みなどの症状の回復が思い通りにいかない例もあるということです。 長期間圧迫を受けた神経は一部が不可逆的に組織が死んでしまい、圧迫を取り除いても回復されないのです。さらに、その死んでしまった組織が年数が経つにつれて拡大することもあります。手術して圧迫を取り除いても後遺症が残ってしまった。しかし、数年後にはさらに後遺症の症状が重たくなっていくケースがあるのです。 そして、実際にそのようなケースになった場合で日常生活に支障をきたすことがあります。こうなった場合は、一般的な保存的治療や痛み止めのブロック注射などをするしかなく、辛い症状が続くことになります。 そこで注目したい「再生医療」という可能性 この再生治療の利点は、脊椎手術を受けたあとで下肢のしびれ症状や筋力低下などが残存してしまっている方にとどまらず、腰部脊柱管狭窄症の術前状態で厳しい症状に日々悩まされている人にも推奨できる治療法であることです。 ご自身の幹細胞を培養し、患部に投与することで改善を目指せる最新の治療法です。厚生労働省への届出が必要なため、再生医療専門クリニックでしか治療を受けることが出来ません。 さらに当院の特徴として国内ではほとんど行われていない、脊髄内へのダイレクト注射というものがあります(詳しくはこちらへ)。 当院は、多くの症例実績を有する再生医療の専門クリニックです。術後の後遺症(痛み、しびれ)についてお悩みなら、再生医療の可能性についてご説明いたしますのでお気軽にご相談下さい。 治療 ・保存療法(薬物療法、ブロック注射など) ・手術療法(保存療法で効果が見込めない場合) 手術 ・術前の症状が長期にわたっていた場合、術後にもしびれ、痛みが残る可能性 再生医療 ・最新の切らない治療法。ご自身の幹細胞を培養後、注射で投与し、後遺症の改善を目指せる画期的な方法 まとめ・腰部脊柱管狭窄症の後遺症!手術後に痛みや痺れが残る可能性について 腰部脊柱管狭窄症は、年齢を重ねると罹患しやすく特に高齢者に起こりやすい病気です。いわゆる椎間板ヘルニアや変性すべり症、あるいは椎体の変形や椎間関節および靭帯が厚く変化することによって脊柱管という神経を覆う管を狭くすることが発症します。 脊柱管内に存在している神経が圧迫を受けてしまうと「腰痛や下肢痛のみならず足全体のしびれや、うずき、痛みなどの症状を自覚」することになります。 治療法は、保存療法として消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛に対する鎮痛薬、血流障害を改善するための血管拡張剤などをはじめとする内服薬を使用し、外用薬を貼付してブロック注射などを併用する場合があります。 これら数週間から数か月程度の保存的治療を行っても良い効果を示さない場合や、しびれ症状が強く下肢の筋力低下や膀胱、直腸障害がある場合には根治的な手術となる可能性が高くなります。 ▼また昨今では、そういった手術治療と従来の保存治療とは異なる最新の治療法「再生医療という選択肢」ができるようになってきました。お困りの方は無料でご相談いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=3yN5q8_ATpc No.S016 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の可能性 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
最終更新日:2024.08.30