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エクソソームとは、体の中にある多くの細胞から分泌される顆粒状の物質です。 近年、アンチエイジングなどの美容や健康ために点滴などの方法で治療にも用いられるようになってきましたが、その安全性についてはまだ研究段階でもあります。 今回の記事では、エクソソームによって期待できる効果や課題について再生医療の専門医師が解説します。 エクソソーム(幹細胞上清液)と幹細胞の違い まずそもそも、エクソソーム、幹細胞上清液は再生医療でありません。幹細胞治療は再生医療法に守られた治療であり、安全性は確保されています。しかし、エクソソーム、幹細胞上清液は、再生医療法には含まれません。 幹細胞を培養する際に出てくる分泌液が、エクソソーム、幹細胞上清液となります。つまり、幹細胞培養の際の副産物なのです。 幹細胞培養し、治療では、幹細胞のみを使用します。そして副産物のエクソソーム、幹細胞上清液には、幹細胞を培養するときに出てくる不純物が含まれているので、本来は捨てる液体となります。 この液体を、点滴で体内に入れてしまうと、不純物があるので観戦などのリスクがあります。そういう理由で、当院では、開院以来エクソソーム、幹細胞上清液の治療を一才取り扱いはしていません。 再生医療の法律に含まれていないということは、エクソソーム、幹細胞上清液は、点滴投与をしてもいいという法律もなければ、点滴投与をしてはいけないという法律もないのです。 つまり、点滴をするかは、医師の判断ということになります。今後、このエクソソーム、幹細胞上清液には、近々、厚生労働省から何らかの規制やルールが作られるものと言われています。 エクソソームとは何か エクソソームとは、細胞から分泌される大きさ30~200mmほどの顆粒状の小胞です。 幹細胞を培養し、培養液から幹細胞を取り出し処理を行ったあとの上澄みのことを、ヒト幹細胞培養上清液(じょうせいえき)といいます。エクソソームは、この上清液の中に含まれます。*1 エクソソームは1980年代に見つかったのですが、当初は細胞内の不要な物質を捨てるための「ゴミ袋」のようなものだと考えられてきました。 しかし、研究が進むにつれて、エクソソームは細胞同士の相互作用に関して情報伝達の役割を果たすことが分かってきました。*2 つまり、エクソソームは細胞間の情報伝達物質の「運び手」とも言えます。 また、エクソソームはその分泌された細胞由来の細胞膜の成分や核酸、タンパク質などを含んでおり、その細胞の特徴や生理的な機能を持っているとも考えられており、いろいろな疾患に対する新しい治療方法の候補としても注目されています。*3 エクソソームは点滴や局所注射、塗布などの投与方法があります。エクソソームによる治療は自由診療のため、費用は各医療機関で幅があります。一般的な相場は、5万円から20万円程度のようです。 エクソソームの可能性 さて、再生医療の分野でよく用いられるものに、間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう:Mesenchymal stem cell:MSC)があります。 これは、結合組織の中に存在する、多分化能を持つ幹細胞です。MSCは組織が損傷を受けた際に修復を手助けすることが知られています。 最近の研究ではMSCそのもののみならず、MSC由来のエクソソーム、つまりMSCから分泌されるエクソソームにMSC自身と同じような治療効果を示すことも明らかになりつつあります。*4 これまでに報告されている、MSC由来のエクソソームが治療効果を示す疾患には以下のようなものがあります。*5 腎臓疾患 心筋障害 脳疾患(脳卒中やアルツハイマー病) 肺疾患 このような病気に対して、MSC由来のエクソソーム治療は効果があることが分かってきており、今後の研究が期待されるところです。 また、MSC由来のエクソソーム治療は、MSC細胞よりサイズが小さいために、塞栓などの可能性が理論上は低いことや、組織へうまく移行してくれること、また複数回の投与ができることなどのメリットがあります。 また、厚生労働省のワーキンググループでの報告によると、日本の自由診療を行っている121医療機関で、美肌、毛髪再生、勃起不全などが期待される効果や対象疾患に含まれていたとのことです。*6 エクソソームの課題 一方で、エクソソーム治療については課題もあります。 MSC由来のエクソソーム治療では、MSC細胞による治療よりも多くの細胞数が必要なことや、安全性や有効性を確保するためのリスクがまだ研究段階であること、さらに品質の管理や製造管理とともに法律の整備がまだ未成熟なことなどがあります。*7 その他の課題としては、まだエクソソームに関しての基本的な理解が十分ではない可能性があることです。例えば、免疫系の細胞が貪食(どんしょく)作用によってエクソソームを取り込むことが知られているのですが、免疫系の細胞以外の細胞による取り込みの様子は世界でもまだほんのわずかしか報告がない、という状況です。このように、基礎的なメカニズムについて見解がまだ定まっていないという現状があります。 また、エクソソームを回収する方法が統一されていないということも問題となっています。 エクソソームの回収方法は、さまざまな企業が抽出試薬などを販売しつつあるのですが、果たして異なる方法で回収したエクソソームが「同じ」ものとして治療に用いてよいのかどうかという疑問が残ります。*8 さらに、副作用の危険性もあります。 実際に、正常なMSCが分泌するエクソソームには抗がん作用があるのに対して、異常なMSCが分泌するMSCが分泌するエクソソームは、がんの悪性化を促してしまうという報告もあるようです。*9 MSCでもMSC由来のエクソソームであっても、正常な自分の細胞から培養されたものであれば、拒絶反応などのリスクは高くないかもしれませんが、さらなる研究によって安全性が確保されることが期待されるでしょう。 まとめ リペアセルクリニックでは、エクソソームを産生する細胞の元の一つである、自己脂肪由来幹細胞による再生医療を行なっています。 当院での細胞加工の強みとしては、幹細胞を冷凍保存しない都度培養のため細胞の生存率や質が高いこと、2億個の細胞を投与できるので治療成績が良好であること、採取する脂肪の量は米粒3つ分くらいと少量であり負担が少ないこと、さらに患者さん自身の血液を用いるため安全性が高いことが挙げられます。 脳や神経の病気をはじめ、さまざまな疾患に効果があると示されている再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談ください。 再生医療専門クリニック リペアセルクリニック ✉ メール相談はこちら 💻無料オンラインカウンセリングはこちら ✉ webでの来院予約はこちら ☎ 無料電話相談はこちら: 0120-706-313(09:00~18:00) 診療時間:10:00~19:00(完全予約制) 休診日:不定休 各院へのアクセス:札幌院/東京院/大阪院 ▼その他のコラムはこちらからもお読み頂けます。 参考文献 *1 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p11 *2 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p140 *3 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p10 *4 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p141 *5 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p143-147 *6 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p16 *7 エクソソーム等の調製・治療に対する考え⽅ 一般社団法人日本再生医療学会 p4,5 *8 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p147,148 *9 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p149 日本再生医療学会|エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言
2024.08.02 -
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エクソソーム、幹細胞上清液での治療で知っておくべき安全性や副作用、医師が解説! 幹細胞をはじめとした種々の細胞から分泌されるエクソソーム。細胞同士の情報伝達に欠かせない存在であり、抗炎症効果などを示すこともわかっています。現在、がんの診断・多くの疾患の治療・化粧品や食品の研究開発など幅広い分野で注目を浴びています。再生医療においても、エクソソーム治療への期待が高まっています。 再生医療や美容医療を検討されている方の中には、エクソソーム治療を受けたいと考えたことがある方も多いでしょう。 では、エクソソーム治療が安全性の面から全く問題がないのでしょうか。実は一概にそうとも言い切れません。 本記事では、エクソソーム治療の安全性・起こりうる副作用について解説をしていきます。 エクソソーム(幹細胞上清液)と幹細胞の違い まずそもそも、エクソソーム、幹細胞上清液は再生医療でありません。幹細胞治療は再生医療法に守られた治療であり、安全性は確保されています。しかし、エクソソーム、幹細胞上清液は、再生医療法には含まれません。 幹細胞を培養する際に出てくる分泌液が、エクソソーム、幹細胞上清液となります。つまり、幹細胞培養の際の副産物なのです。 幹細胞培養し、治療では、幹細胞のみを使用します。そして副産物のエクソソーム、幹細胞上清液には、幹細胞を培養するときに出てくる不純物が含まれているので、本来は捨てる液体となります。 この液体を、点滴で体内に入れてしまうと、不純物があるので観戦などのリスクがあります。そういう理由で、当院では、開院以来エクソソーム、幹細胞上清液の治療を一才取り扱いはしていません。 再生医療の法律に含まれていないということは、エクソソーム、幹細胞上清液は、点滴投与をしてもいいという法律もなければ、点滴投与をしてはいけないという法律もないのです。 つまり、点滴をするかは、医師の判断ということになります。今後、このエクソソーム、幹細胞上清液には、近々、厚生労働省から何らかの規制やルールが作られるものと言われています。 エクソソームの安全性は不確実 エクソソームの医学への応用はまだごく初期の段階です。医薬品として承認されるために必要な臨床試験などをほとんど経ていません。 流通している「エクソソーム」製剤は医薬品医療機器等法の承認を得ていない試薬などという扱いです。つまり、再生医療の法律外となります。 試薬であっても、自由診療の場では医師の責任において投与することが可能です。幹細胞治療と同等の効果を発揮するためには、非常に高濃度のエクソソームを投与する必要があると考えられています。 しかし、実際に高濃度のエクソソームを投与したときにどのようなことが起こるのかはまだはっきりわかっていません。これまでのところ目立って「悪いこと」が起こったケースがほとんどないため、「安全だろう」ということで使われているのです。 エクソソームの材料とはなにか エクソソームの安全性について論じる時に問題になるのはエクソソームそのものの安全性だけではありません。 多くの「エクソソーム」製品は細胞を培養してその培養液の上澄みを精製することで作られています。そのため、エクソソームをつくる「材料」の安全性もしっかりと考えていく必要があります。材料とは「エクソソームを分泌する細胞」と「細胞培養のための培地」のことです。 一般的に「エクソソーム治療」で使われるものは、様々な細胞に変化できる「間葉系幹細胞」と呼ばれる幹細胞を培養する際に分泌されるものです。では、この幹細胞はどこから来たものでしょうか。ご自身の細胞を手術などで採取していない限りは、誰か「他人」の間葉系幹細胞を使って作られたものです。幹細胞は骨髄・歯髄・脂肪・臍帯血などから得たものが中心になっています。 また、幹細胞を培養するためには最適な環境を整える必要があります。植物を育てる際には、植える時期を選んだり日当たりを気にしたりするでしょう。同様に、細胞を育てるにも細胞に合った「培地」が用いられます。そしてホルモンの供給や有害物質からの保護作用などの役割のため、培地には「血清」が添加されることがほとんどです。培地によく用いられる血清は牛の血清です。 エクソソームの材料による副作用 エクソソームを作る過程で「他人の細胞」「他の動物」由来の成分が含まれていると、心配しなければいけない副作用が2つあります。 ひとつはアレルギー反応、もうひとつは感染症です。 アレルギーは外界から何かを体に投与するときには切っても切り離せない問題です。特に、自分以外のもの由来の成分へのアレルギーは誰にでも起こり得ます。当然、「他人」「他の動物」由来の成分が含まれるエクソソーム療法も例外ではないのです。 そして、残念ながら誰にどんな反応が起こるかを予測する手立てはありません。 製剤として販売されるのですから、細胞も血清も基本的には危険な感染症のスクリーニングを受けたものが使用されているはずと思うかもしれません。しかし、感染が起こった直後のごく微量の微生物や、現時点でまだ知られていないウイルスなどがいる可能性はどうしても否定できないのです。 「エクソソーム」と謳われている製品でも、純粋なエクソソームだけを抽出したものではないのです。エクソソームの回収技術はまだ完全に確立されたものではありません。不純物が完全に除去されている保証はどこにもないのです。 そして一番怖いのは他人の遺伝子が含まれているということです。他人の遺伝子があるということで将来的にどのような疾患が出てくるのか予期できなくなるのです。 幹細胞による再生医療は、再生医療等安全確保法という法律があるのですが、上清液やエクソソームには法律がなく無法地帯なのが現状です。いつどこで、誰から作られたかもわからないでのす。 リペアセルクリニックの幹細胞治療は、「ご自身の細胞と血液を使用」して、国内では珍しい「冷凍せず培養」する方法にこだわっています。これにより、「高い生存率と高い活動率」を持った生き生きとした幹細胞を投与でき、良好な治療成績を実現しております。 エクソソームについて気になるQ & A Q:エクソソーム含有の健康食品やサプリメントに病気の治療や予防効果はある? サプリメントや健康食品は医薬品ではありません。基本的には病気を予防したり治療したりするものでないのです。したがって、エクソソーム含有されていることで、病気にならない・病気を良くするという効果については期待できません。 Q:エクソソーム治療は高額と聞きましたが保険はききませんか? 残念ながら、いかなるエクソソーム治療も現時点(2024/7)で公的な保険の適応外です。 なお、混合診療(自由診療と保険診療を同時に行うこと)は禁じられています。エクソソーム治療と同時に何らかの検査や処方をうけると、それらも自費扱いになることに注意が必要です。 まとめ・エクソソーム・幹細胞上清液での治療について、知っておくべき安全性や副作用、医師が解説!! エクソソーム治療は美容や関節の痛み、神経の損傷の後遺症など幅広い分野で期待されています。しかし、安全性の面からはまだまだ検証の余地が多く残っています。 安全性について心配であれば、幹細胞治療も選択肢になるでしょう。当院では患者様ご本人の細胞・血液を使い、独自の技術で培養することで生き生きとした幹細胞を投与できる体制を整えています。ぜひ一度お問合せください。 ■参考文献落合孝広. 生物資料分析 42(5): 217-221,2019. 花井洋人, 下村和範, 中村憲正. 臨床スポーツ医学. 37(5):599-603, 2020. 一般社団法人再生医療抗加齢学会幹細胞培養上清液に関する死亡事例の発生について 岩崎剣吾, 森田育男. 最新医学 73(9): 1243-1253, 2018. 厚生労働省|再生医療などのリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 第二回ワーキンググループ(R3.1.18)における議論 株式会社ケー・エー・シー 細胞.jp|細胞基礎講座 細胞培養基礎講座 第7回「血清はなぜ必要?」 厚生労働省|再生医療等安全性確保法における再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに資する研究報告書 日本再生医療学会|エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言 ▼その他、「エクソソームや幹細胞上清液」で参考にしていただける記事
2024.07.31 -
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「エクソソームって何?」「どんな効果があるの?」 近年、美容や医療で話題の「エクソソーム」ですが、体にどのような影響を与えるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 エクソソームとは、内部にタンパク質やRNAを含んでいる小さな袋状の構造物です。 細胞の情報交換である「メッセンジャー」として機能しており、身体の健康を維持するのに重要な役割をはたしています。 本記事では、エクソソームの基本情報や美容・医療分野での活用例、注意点を解説します。美容や健康に興味があり、エクソソームについて理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では肌(皮膚)の再生医療が受けられる医療機関の1つです。まずはお気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 エクソソームとは「細胞から分泌される小さな袋」 エクソソームは、細胞から分泌される極小の袋のような構造です。 この袋の中には、細胞が作り出す重要な物質が含まれ、細胞間の情報伝達や体の機能維持に役立っています。 本章ではエクソソームの特徴や仕組みを以下のポイントで解説いたします。 エクソソームは内部にタンパク質やRNAを含んでいる 細胞間の情報伝達を担う物質 幹細胞培養上清液は「エクソソームを含む液体」 それぞれわかりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。 エクソソームは内部にタンパク質やRNAを含んでいる エクソソームは、細胞から分泌される直径30〜150ナノメートルほどの小さなカプセル状の構造物です。 小さな袋の中には、タンパク質やRNAなどのさまざまな物質が含まれており、細胞間で情報を伝達する役割を担っています。(文献1) たとえば、エクソソーム内のRNAは特定の指示を細胞に届け、必要な働きを促進しており、この仕組みを活かして病気の診断や治療にも利用されています。 エクソソームが持つ情報伝達能力が、多くの研究で注目されている理由の1つです。 細胞間の情報伝達を担う物質 エクソソームは、細胞同士が情報を交換する「メッセンジャー」として機能します。 この情報伝達は、免疫系の調整や組織の修復過程において周囲の細胞に働きかけるなど、体内で起こる重要なプロセスを支えているのです。 たとえば、免疫系細胞から分泌されるサイトカインは、感染に対する免疫応答を調節する役割を果たし、他の免疫細胞を活性化させたり、炎症反応を誘導したりします。 また、エクソソームは組織修復過程において、様々な生理活性物質を周囲の細胞に運び、細胞間の情報伝達に関与していると考えられます。 このようにエクソソームは、体の健康維持に関与する重要な役割を担っています。 幹細胞培養上清液は「エクソソームを含む液体」 幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する過程で得られる液体で、エクソソームを含む成分が豊富にあるのが特徴です。 この液体には、成長因子やタンパク質なども含まれており、エクソソーム単体よりも多機能な性質を持ちます。 また、幹細胞培養上清液は、美容クリニックや医療分野で利用され、肌の再生や組織修復の効果が期待されています。 エクソソームにはどんな役割があるの? エクソソームが注目されている理由はさまざまありますが、具体的な役割として以下の3つが挙げられます。 細胞間コミュニケーションの仲介役 体の機能を調整する役割 病気の治療にも役立つ可能性 本章ではエクソソームの可能性と活用例を解説していきますので、チェックしてみてください。 細胞間コミュニケーションの仲介役 エクソソームは、細胞同士が情報を交換する際の仲介役です。 たとえば、免疫細胞から放出されたエクソソームは、炎症反応の調節に関与していると考えられています。また、組織の修復過程において、周囲の細胞に働きかける可能性があります。 細胞間のやり取りがスムーズになると体全体の健康が保たれると考えられ、この役割がエクソソームの研究や治療への応用を後押ししています。 体の機能を調整する役割 エクソソームは、体のさまざまな機能を調整する役割も持っています。 たとえば、ホルモンのように全身の細胞にメッセージを伝え、炎症を抑えたり、傷ついた組織の周囲の細胞に働きかける役割を持ちます。 エクソソームが担うこれらの役割が、病気の予防や治療に新たな可能性を提供していると言えるでしょう。 病気の治療にも役立つ可能性 エクソソームは、病気の治療にも応用が期待されています。 たとえば、がん治療ではエクソソームを使って薬を患部に直接届ける技術が研究されており、神経疾患や心血管疾患でも、情報伝達能力を活用した治療法が注目されています。(文献2) これらの応用例から、エクソソームは治療法の選択肢を広げる重要な要素といえるでしょう。 研究の進展が、さらなる可能性を示しています。 エクソソームが注目される3つの理由 エクソソームは医療や美容の分野で多くの可能性を秘めています。 近年の研究では、診断や治療への応用も進められています。 医療分野での応用 美容分野での効果に期待 病気の診断や治療への応用が研究 ここでは、エクソソームが注目される理由を3つのポイントで解説します。 医療分野での応用 エクソソームは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)として医療分野で注目されています。(文献3) 薬剤を効率的に運ぶ役割を担い、副作用の軽減も期待されています。 たとえば、エクソソームを使ってがん細胞にだけ薬を届ける技術の研究です。 この技術は、治療効果を高めるだけでなく、患者の負担を軽減する大きな可能性を秘めています。 エクソソームを使った治療法は、これからの医療の革新を支える重要な要素と言えるでしょう。 美容分野での効果に期待 エクソソームは、美容業界でも多くの注目を集めています。 肌の再生やエイジングケアを目的とした治療法に活用され、細胞の修復を促すことで肌の若返り効果が期待されています。(文献4) また、美容クリニックではエクソソームを用いた施術が増えており、シワやたるみの改善、肌質の向上が報告されているのも現状です。 そのため、今後エクソソームの作用によって、美容分野での新しいトレンドが生まれる可能性があります。 病気の診断や治療への応用が研究 エクソソームは、病気の診断ツールとしても研究が進んでいます。 血液や尿中のエクソソームの分析によって、がんや神経疾患の早期発見が可能になるとのことです。 また、特定の疾患に関連する分子が含まれるため、個別化医療の発展にも寄与すると期待されています。 これらの研究は、診断の精度を向上させるだけでなく、患者一人ひとりに合った治療法を提供する道を切り開いています。 エクソソーム治療の4つの注意点 エクソソーム治療は、新しい治療法として期待されていますが、まだ発展途上の技術です。 そのため、いくつかの課題があります。 現時点で有効性や安全性が確実に証明されていない まだ技術的にしっかりと確立されたものではない 内容物や生体内での作用の確認技術が未確立 法規制が曖昧 ここでは、エクソソーム治療を受ける前に知っておくべき4つの注意点について解説します。 現時点で有効性や安全性が確実に証明されていない エクソソーム治療は研究段階にあり、有効性や安全性が十分に確認されているわけではありません。 期待される効果がある一方で、治療後の長期的な影響についてはまだ不明な点も多いです。 そのため、治療を受ける際には信頼できる専門機関で最新の情報を確認する必要があります。 過度な期待を抱く前に、正しい現状理解が大切です。 まだ技術的にしっかりと確立されたものではない エクソソームを利用した治療技術は、完全に確立された段階には至っていません。 たとえば、エクソソームの生成方法や質のばらつきが課題となっています。 技術が進化している途中であり、研究者や医療関係者の間でも意見が分かれるケースがあります。 新しい技術ゆえの限界を理解しつつ、最新の動向に注目することが必要です。 内容物や生体内での作用の確認技術が未確立 エクソソームにはさまざまな物質が含まれており、その内容物が生体内でどのように作用するかを完全に把握する技術は未確立です。 このため、想定外の反応が起こるリスクも否定できません。 現時点では適切な品質管理や作用メカニズムの解明が求められる段階です。治療を選ぶ際には、この点を理解しておきましょう。 法規制が曖昧 エクソソーム治療に関する法規制は、国や地域によって異なり、日本国内でも明確ではありません。 一部のクリニックでは法的な枠組みが十分整っていない中で施術が行われるケースもあります。 安全性や倫理面での問題を回避するためにも、治療を受ける前に施設の信頼性や規制状況を確認しておきましょう。 エクソソームの安全性や副作用についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ご覧ください。 まとめ|エクソソーム治療は有効性や安全性を理解しておこう! エクソソームは細胞から分泌される小さな袋状の物質です。細胞間の情報伝達や体の機能調整など、さまざまな役割を担っています。 医療分野では、がん治療や再生医療などへの応用、美容分野では肌の再生や老化防止などの効果も期待されています。 しかしエクソソーム治療はまだ新しい治療法であり、注意すべき点もあるのが事実です。有効性や安全性、費用など注意点を確認の上、治療を受けるべきか判断しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」が提供する皮膚再生医療は、脂肪由来幹細胞を活用した最新の治療です。再生医療が気になる方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 エクソソームに関するよくある質問 エクソソームは何に効くの? エクソソームは、細胞間の情報伝達を担う物質として研究されています。 がん、神経疾患、再生医療など、幅広い医学分野においてエクソソームの研究が行われています。 さまざまな分野で仕組みの解明や可能性の探求が進められており、将来の科学的な発見が期待されています。 エクソソーム点滴の費用はいくらですか? エクソソーム点滴の費用は、施術内容やクリニックによって異なりますが、1回あたり5万円から10万円程度が相場です。 美容や医療目的で利用されるケースが多く、複数回の施術が推奨される場合もあります。 費用の詳細や施術内容を事前に確認し、自分の目的や予算に合った治療を選ぶことが大切です。 また、過剰な価格設定を避けるためにも、信頼性の高いクリニックを選ぶようにしましょう。 エクソソーム点滴治療の有効性については以下の記事でも詳しく紹介しています。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術や入院を必要としない「再生医療」を提供しています。 肌再生治療に興味がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言|一般社団法人日本再生医療学会 理事長 岡野栄之」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001165575.pdf (文献2) 一般社団法人日本再生医療学会「エクソソーム等の調製・治療に対する考え方」 https://www.jsrm.jp/cms/uploads/2021/04/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%AD%A6%E4%BC%9A_%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A0%E8%AA%BF%E8%A3%BD%E3%83%BB%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9.pdf (文献3) 吉岡祐亮,落谷孝広「エクソソームによる新規 DDS キャリアの開発|Drug Delivery System(35,1) https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/35/1/35_35/_pdf (文献4) 金子剛,宮田晃史 ほか「ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム配合美容液の肌に対する有効性評価|診療と新薬(60) https://shinryo-to-shinyaku.com/db/pdf/sin_0060_10_0653.pdf
2024.06.27 -
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PRP療法(多血小板血漿療法)とは、患者様自身から採取した血液から『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、損傷部位に注射して治療を行う再生医療の一種です。 PRP療法の対象は、関節や筋肉、腱、靭帯の疾患・外傷をはじめ、骨治癒の促進や手術創部の治療補助、美容医療における肌のシワ・たるみまで多岐に渡ります。侵襲の少なさから世界的にも注目されている治療法です。 さまざまな分野で行われるPRP療法ですが、以下の疑問を持つ方もいるでしょう。 「良い話ばかり見るけれど、デメリットはないの?」 「本当に効果はあるの?痛みはどれくらい?」 「実は費用が高いのでは?」 この記事では、PRP療法の6つのメリットと4つのデメリットを解説します。治療に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。 PRP療法のメリット|患者様の声も合わせて紹介 最初にPRP療法のメリットを見てみましょう。 認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い 副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない 手術を行わないので最短30分で施術が完了 通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける 患者様の声も交えて、この6項目について紹介します。 1.認可を受けたクリニックだけが施術できるから安心 再生医療の一種であるPRP療法は、厚生労働省の認可を受けたクリニックだけが行える治療法です。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、「再生医療等提供計画(治療)」を作成して審査を受け、厚生労働大臣へ提出するよう定められています。 リペアセルクリニックも「第二種・第三種再生医療提供計画」を厚生労働省に届出し、受理されています。PRP療法は第三種に分類されており、以下のページで届出内容を確認可能です。 参照:届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧|厚生労働省 2.施術できる部位(肩・肘・膝・手首・足首など)が多い PRP療法は、以下のように幅広い部位・疾患に対応できるのが特徴です。これらは一例であり、書かれていない疾患や、難治性の疾患にも対応可能な場合があります。 部位 疾患 肩 四十肩・五十肩 肩腱板損傷 インピンジメント症候群 肘 肘内側(ゴルフ肘)上顆炎 肘外側(テニス肘)上顆炎 手首 手首の靭帯損傷 TFCC損傷 股関節 変形性股関節症 膝 変形性膝関節症 半月板損傷 膝靭帯損傷 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) オスグッド・シュラッター病 足首 アキレス腱炎 足首靭帯損傷 足底腱膜炎 筋肉 肉離れ(筋断裂) またPRP療法は、肌の再生作用にも効果があります。PRPに含まれる成長因子が皮膚組織の修復や再生にはたらくため、美肌治療としても受けていただけます。 3.副作用(アレルギー反応・合併症など)のリスクが少ない PRP療法は、患者様自身から採取した組織・細胞で自分を治す方法です。 ワクチン接種のような身体に異物を注射するものとは異なり、アレルギー症状などの拒絶反応は引き起こしにくく、副作用は非常に少ないとされています。 また、PRP療法は手術を伴わないため、全身麻酔によるアレルギー症状や手術部の感染など合併症の心配もありません。PRP療法は手術と比較し、安全性の観点でメリットが多い治療法です。 患者様からも、以下のメリットを感じるとの声が挙げられています。 手術自体のリスクや、感染症の不安が無い 副作用が少ない 4.手術を行わないので最短30分で施術が完了 PRP療法において、患者様の体への負担は「血液の採取」と「患部への注射」だけです。手術を行わないため、施術は最短30分で完了します。 身体にメスを入れて切ったり、開いたりといった複雑な操作をしないため、安全に配慮した処置ができます。処置の痕が残りにくいことも特徴です。 実際にPRP治療を行った患者様からは、以下の感想をいただくことがあります。 注射だけの処置で、処置の痛みも一瞬だった 処置がすごく短時間で簡単に終わったのでびっくりした 5.通院だけで治療でき日常生活に復帰しやすい PRP療法は通院による治療が可能です。さらに、PRP療法は実施後から日常生活に戻れるため、患者様への負担が非常に少ない治療法です。 処置当日は、施術部位の感染予防のために入浴やシャワーなどを控えていただくことが多いですが、翌日からは入浴やシャワーも可能になります。激しい運動は数日間控える必要はありますが、軽い動作は問題ありません。 手術を行う場合は、数日から数週間の入院期間に加え、リハビリ期間も必要なことから、日常生活への負担も大きくなりがちです。一方PRP療法では、日常生活への影響を最低限に抑えて治療できます。実際に治療を受けた患者様からは、以下のような声も多く聞かれます。 入院の必要が無い 通院だけで処置を終えることができ、家族の心配や仕事に支障をきたさない 学生の場合は、入院による学業の遅れや、単位の不足など進学や留年の心配がない 家族や友人との時間を犠牲にしない 6.プロアスリートの成功症例も多数あるので信頼がおける PRP療法は、けがをしたプロアスリートにも選ばれています。 プロアスリートは、治療の効果だけでなく、治療後にパフォーマンスを維持できるかも重視しています。彼らに選ばれるPRP療法は、信頼できる治療法といえるでしょう。プロアスリートとPRP療法について興味のある方は、以下の記事をご覧ください。 PRP療法のデメリット ここからは、PRP療法のデメリットを紹介します。以下の順で確認していきます。 効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある 処置部位に腫れ・痛みが出ることがある 治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 一部の条件に該当する方は治療を受けられない 1.効果の程度・現れるまでの期間に個人差がある PRP療法の効果の程度や現れる時期、効果の持続時間には個人差が見られます。 ただ、個人差自体はどのような治療にも存在しており、PRP療法に特有のデメリットではありません。むしろ、PRP療法は患者様自身の血液を利用するため、この個人差は副作用のリスクが少ないメリットの裏返しとも考えられます。 2.処置部位に腫れ・痛みが出ることがある PRP療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることがあります。この痛みや腫れについても個人差があり、まったく腫れや痛みを実感しない方もいれば、数日間腫れが続く方もいます。もっとも、腫れや痛みは一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善するケースが多いといわれています。 まれに処置部位が感染するケースもあり、抗生物質による加療が必要なこともあります。ただし、このリスクはPRP療法に限らず、ワクチン接種などの注射を伴う医療行為全般に共通するものです。 腫れや痛みが出る可能性はありますが、PRP療法は手術を伴わないため、手術療法で起こり得る再手術や入院期間の延長といったリスクがありません。この点から、腫れや痛みはデメリットではあるものの、手術の副作用と比べると軽微です。 3.治療にかかる費用負担が大きくなりやすい 再生医療であるPRP療法は、まだ新しい治療法であるため、現在の日本では健康保険の適応がない疾患が多いです。PRP療法の処置のほか、処置後にリハビリテーションを行う場合も自費負担になることもしばしばあります。 例としてリペアセルクリニックの治療費用を見てみましょう。すべて自由診療で治療しており、PRP療法を1回行った場合の費用は165,000円(税込)です。このほか、専門医による初回診察や感染予防のための血液検査にも費用がかかります。 しかし、PRP療法は入院しなくても処置ができます。保険適用の手術でも、入院費用も含めると高額になる傾向があります。それらを踏まえると、保険適用の手術よりPRP療法の処置費用の方が安く済むケースもあります。 4.一部の条件に該当する方は治療を受けられない PRP療法は安全性の高い治療法ですが、すべての方が受けられるわけではありません。以下に当てはまる方は、治療を受けられない場合があります。 心臓や肝臓に疾患がある方 感染症や血液疾患がある方 妊娠をされている方 その他、カウンセリングで医師が不適当と判断した方 最終的には、患者さん一人ひとりの状態を慎重に見極め、医師が判断します。気になることがありましたら、遠慮なく担当医へご相談ください。 まとめ|PRP療法のメリット・デメリットが気になる方はお気軽にお問い合わせください PRP療法は、手術と比べて合併症や副作用のリスクが少なく、安全性が高い点が大きなメリットです。入院不要で施術時間も短いため、日常生活への影響も最小限で済みます。 一方で、効果の個人差や費用面など、PRP療法にもデメリットがあります。どんな治療法でもいえることですが、受診した医療機関や主治医から十分な説明を受けて、自分なりに理解した上で決めていきましょう。 リペアセルクリニックでも、PRP療法に関するご相談を受け付けています。患者様ごとのメリット・デメリットについても丁寧にご説明しますので、お気軽にお問い合わせください。
2022.06.08