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肩腱板断裂に対するCT検査の役割|MRIや造影検査の重要性も解説

腱板断裂 ct
公開日: 2021.08.04 更新日: 2025.11.29

「肩腱板断裂に対するCT検査はどんなことがわかる?」
「検査の流れや注意すべきことは?」

肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)に対するCT検査で確認できることは、主に骨の形態や変形などです。初診時に「肩に痛みがある」「腕が上がらない」などの症状がある場合は、まずはCT検査やレントゲン検査を行います。

本記事では、肩腱板断裂に対するCT検査の役割をはじめとして以下を解説します。

  • CT検査の流れや注意点
  • MRI検査について
  • その他の検査
  • 主な治療方法

患者様自身がCT検査の役割やその他の検査について知ることは、納得感のある治療を受けるために大切です。本記事を肩腱板断裂に対する検査の理解を深めるために役立ててください。

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肩腱板断裂に対するCT検査の役割

CT検査は「肩に痛みがある」「腕が上がらない」などで受診した際に行う検査の1つです。必要に応じて後述するMRI検査や関節造影検査、エコー検査を追加します。

肩腱板断裂に対するCT検査では、以下のようなことを確認できます。

  • 骨の形態や位置関係を確認できる
  • 脂肪変性の状態を確認できる

それぞれの詳細を解説します。

肩幅や骨の位置を確認できる

肩腱板断裂に対するCT検査では、骨の形態や位置関係を確認します。上腕の骨と肩の骨の位置がずれている場合や、骨棘(こつきょく:トゲ状の骨)などの変形が見られる場合は肩腱板断裂を疑います。

また、人工肩関節を入れる手術を行う場合は、手術前のCT画像が役立ちます。たとえば、術前のCT画像をコンピュータ上で確認しながら、人工肩関節の設置位置や方向を検討するために活用されます。

脂肪変性の状態を確認できる

CT検査では、肩腱板断裂後の脂肪変性の状態を確認できます。脂肪変性とは、筋肉が脂肪に変わることです。肩腱板断裂の部位に脂肪変性が確認できると、筋肉の萎縮も認められ、治療期間が長くなる傾向です。

手術の治療成績にも悪影響を及ぼすといわれています。脂肪変性は時間の経過とともに発生しやすくなります。「肩に痛みがある」「腕が上がらない」などの肩腱板断裂を疑う症状が現れている場合は、医療機関を受診しましょう。

肩腱板断裂におけるCT検査の流れや注意点

CT検査の流れや注意点は以下の通りです。

検査の流れ 1.案内後、検査室に入室する
2.医療スタッフにより撮影部位と金属類の確認が行われる
3.必要に応じて着替えを行う
4.準備が整ったらCT装置の上に寝て検査を始める
注意点

・医療スタッフより検査終了の声かけがあるまでは体を動かさない
・息止めの指示があった場合は合図に合わせて息を止める
・金属類は検査の妨げになるため、当日は金属が含まれるアクセサリーや衣服は控える

CT検査の時間は一般的に5〜15分です。

肩腱板断裂の診断においてはMRI検査が重要

肩腱板断裂の診断においてMRI検査は重要です。腱板の断裂の有無を鮮明に確認できるためです。他にも、筋肉が萎縮している様子などを確認できます。

初診時にCT検査やレントゲン検査を行い腱板断裂が疑われる際は、MRI検査を実施して確定診断をします。検査時間は20分ほどです。

肩腱板断裂に対するその他の検査

肩腱板断裂に対するその他の検査には、以下のようなものがあります。

  • 関節造影検査
  • エコー検査
  • レントゲン検査

それぞれの検査の詳細を解説します。

関節造影検査

MRI検査だけでなく関節造影検査も重要な検査です。補助診断法(病気の診断を補完する検査)として用いられます。肩関節の中に造影剤を注射して、腕を動かしながらレントゲン検査を行います。

関節造影検査でわかることは、MRIでは確認できない小さな断裂や肩を動かした際の異常の有無などです。検査前は造影剤や局所麻酔薬に対するアレルギーの有無を確認しなければなりません。

エコー検査

エコー検査でも断裂の状態を確認できます。しかし、MRI検査と比較すると、不明瞭であるため確定診断にはなりません。エコー検査の利点は、リアルタイムで観察ができることです。

その他に以下のようなことが確認できます。

  • 筋肉や腱の厚さ
  • 断裂の位置や範囲

皮膚に当てるプローブという検査器具の位置を調整することで、小さな断裂や部分的な損傷の確認もできます。

レントゲン検査

レントゲン検査は初診時に行うことが多い検査です。CT検査と同様に肩幅や骨の位置などを確認できます。上腕の骨と肩の骨の間が狭かったり、骨棘(こつきょく)が伸びていたりすると腱板断裂を疑います。

レントゲン検査だけでは、腱板断裂を鮮明に確認できません。レントゲン検査で肩腱板断裂を疑う場合は、追加でMRI検査やエコー検査を行います。

肩腱板断裂の治療方法

肩腱板断裂の治療方法には、以下のようなものがあります。

  • 保存療法
  • 手術療法
  • 再生医療

それぞれの治療方法について解説します。

保存療法

肩の腱板を断裂したからといって、必ずしも手術を検討するわけではありません。肩を動かすことができ、痛みが少なければ保存療法を検討します。

保存療法には、以下のようなものがあります。

保存療法 詳細
薬物療法 炎症を抑える薬の服用または注射によって痛みをコントロールする
運動療法 残っている腱板の機能を向上させるリハビリを行う

急性の外傷で受傷した場合は、三角巾で1〜2週間安静にします。保存療法により断裂した部分そのものは治癒しませんが、痛みや機能は70%の割合で改善するといわれています。(文献1

手術療法

保存療法で肩関節の痛みや運動障害が改善しない場合、または80歳以下で活動性が高い方などは手術を検討します。多くの場合は、関節鏡(細い管の先にカメラとライトが取り付けられて器具)を用いて行う腱板修復術が選択されます。

関節鏡を用いた手術は患者様に負担が少ないのが特徴です。ただし、大きな断裂では、直接目で見て切開する直視下手術の検討が必要です。腱板の修復が困難で再断裂が予想されるケースでは、人工関節の挿入が必要になる場合もあります。

再生医療

肩腱板断裂に対しては再生医療も選択肢に挙げられます。再生医療とは、注射などによって自己の細胞を患部(断裂部位)に注入して、身体が持つ自然治癒力を活かす治療法です。

再生医療には、以下のような種類があります。

再生医療の種類 詳細
幹細胞治療
(かんさいぼうちりょう)
組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法
PRP療法

血液中の血小板に含まれる成長因子などが持つ、炎症を抑える働きや組織修復に関与する働きを利用した治療方法

肩腱板断裂に対する再生医療について詳細を知りたい方は、以下の当院での症例を参考にしてください。

まとめ|肩腱板断裂に対するCT検査の理解を深めておこう

肩腱板断裂に対するCT検査では、肩幅や骨の位置を確認できます。上腕の骨と肩の骨の位置がずれている場合は、肩腱板断裂を疑い確定診断ができるMRI検査を追加します。

CT検査の時間は一般的に5〜15分です。医療スタッフの指示に従いながら、体は動かさず、必要な時には息止めを行いましょう。検査の妨げになるため、当日は金属類が含まれるアクセサリーや衣服は控えてください。

適切な治療を選択するためにも、検査内容の理解は大切です。断裂の状態を患者様自身が理解することで、納得感のある治療の選択に役立てられるためです。検査内容で不明な点がある場合は、医師に確認しながら治療を受けましょう。

肩腱板断裂の治療法として、再生医療という選択肢もあります。再生医療が気になっている方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。

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肩腱板断裂のCT検査に関するよくある質問

CT検査で肩関節を撮影する際のポジショニングは?

肩関節に対するCT検査では、以下のようなポジショニングをとります。

  • 患側(断裂側)を上にして横向きになる
  • 患側の前腕は軽く曲げて腹部辺りに置く
  • 下側の腕は頭側に上げて腕枕のようにする

これらは一例です。医療スタッフの指示に従い検査を受けてください。

肩腱板断裂の造影剤の検査は痛い?

注射時や注射後24〜48時間の間は、痛みを感じる場合があります。検査中の痛みや不快感は局所麻酔薬によって抑えられますが、完全になくなるわけではありません。

参考文献

(文献1)
肩腱板断裂|日本整形外科学会