腱板損傷の筋力や痛み確認テスト6選|画像検査や治療方法も解説
公開日: 2021.04.01更新日: 2024.10.23
腱板損傷とは 、肩についている腱板と呼ばれる筋肉が損傷する疾患です。腱板損傷になると、肩の痛みや筋力低下の症状が現れます。
腱板損傷を放置すると、痛みの増幅や 腱板断裂 の発症リスクをともなうため、早期治療が大切です。
本記事では、腱板損傷の診断に役立つテストを紹介します。自覚症状があればテストを実施し、腱板損傷の可能性を感じたら病院を受診して適切な治療を受けましょう。
「腱板損傷が悪化して手術が必要になりそう…」という方は、「再生医療 」による治療を一度検討してみてください。身体にメスを入れない治療法で、今注目を浴びています。
目次
腱板損傷の代表的筋力テスト4つ
まずは、筋力低下の状態を確認するテストを4つ紹介します。
- 棘上筋(S S P)テスト
- 棘下筋(I P S)テスト
- 肩甲下筋(S S C)テスト
- Drop arm sign(ドロップアームサイン)
筋肉の可動域に制限が出たり、左右の動きに差が生じたりする場合は、腱板損傷の可能性があります。また、動作で痛みがともなう場合も腱板損傷を疑いましょう。
棘上筋(S S P)テスト
棘上筋は外転(腕を体の横から挙上する動作)で作用する筋肉です。 腱板の中で最も損傷が多いのが棘上筋 であり、棘上筋が断裂すると外転筋力が20〜30%低下するといわれています。
- Full can test:
- ・肩関節外転30°で外旋位(親指を上に向ける)にする
- ・腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする
- Empty can test:
- ・肩関節外転30°で内旋位(親指を下に向ける)にする
- ・腕を上げてもらう力に対し、検者は抵抗を加えてチェックする
棘下筋(I P S)テスト
棘下筋は肩関節の外旋(腕を外にひねる動作)で作用する筋肉です。
- External rotation lag sign:
- ・腕を下に下ろした状態から肘を90°に曲げます
- ・肘から先を外側に開いていき左右で差がみられれば陽性
肩甲下筋(S S C)テスト
肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内にひねる動作)で作用する筋肉です。腱板損傷の場合、痛みにより手を背中に回す動作ができないことがありますので、そのような時は下の2つのテストを試みる。
- Lift off test:
- ・背中に手を回し、その手を背中から離して保持できるかチェックする
- Bear-hug test:
- ・患側(痛みのある方)の手で、健側(痛みのない方)の肩を押し込み、その力の強さをチェックして評価する
- Belly-press:
- ・患側(痛みのある方)の手で、お腹を押し込む力の強さをチェックし、評価する
Drop arm sign(ドロップアームサイン)
- 検査する人が外転90°まで持ち上げ、支持している手を離す
- 患者さんが腕を支えられなかったり、わずかな抵抗で腕を下ろした場合は陽性
このように腱板の各筋肉を個別にスクリーニングするテスト法はありますが、 実際は損傷している筋肉と検査結果が一致しない場合があります。
例えば、棘上筋が単独で損傷している時に肩甲下筋テストで陽性となる場合や、逆に肩甲下筋が損傷している時に棘上筋テストが陽性になる場合があります。
腱板損傷の有無はその他のテストも併用してチェックしましょう。
腱板損傷のテスト法には、筋力テスト以外に疼痛誘発テストがあります。疼痛誘発テストは検査者が患者さんに特定の動きを操作する、または患者さん自身に体を動かしてもらうことで腱板に疼痛が発生するかをチェックし評価します。
▼ 腱板損傷を再生医療で治療する
腱板損傷の痛む場所を特定する2つのテスト
次に、痛みの部位の特定や状態を確認するテストを2つ紹介します。
- インピンジメントサイン
- ペインフルアークサイン
動作に痛みを感じれば、腱板損傷の可能性があります。
インピンジメントサイン
- 1) Neer test:
検者は患側の肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させていく。
これは上腕骨を肩峰下面に押し当てるテストであり、外転90°を過ぎたあたりで疼痛がみられれば陽性
- 2) Hawkins test:
検者は屈曲(前方に腕を上げる動作)90°まで腕を上げ、内旋を加える。
これは上腕骨の大結節を烏口肩甲靭帯の下面に押し当てるテスト法であり、疼痛がみられれば陽性。
ペインフルアークサイン
患者さんの力により外転方向に挙上する。 棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。
紹介したテストを実施して、腱板損傷の可能性があれば病院を受診しましょう。腱板損傷を放置して、無理に肩を動かせば症状が悪化するリスクがあります。
下記の記事では、腱板損傷の人がやってはいけない動作について解説しています。病院で腱板損傷の診断を受けた方は、日常生活での過ごし方の参考にしてみてください。
腱板損傷の3つの画像診断方法
腱板損傷の診断では上記のテスト法が判断の手がかりになりますが、腱板損傷以外の疾患と鑑別し、正確に損傷部位を特定する場合には、画像による検査が必要となります。腱板損傷ではM R Iや超音波による検査が有用です。
M R I検査
腱板損傷に対する画像診断では、M R Iによる検査が最も有用です。 M R I検査とは磁気共鳴画像といい、レントゲン検査やC T検査のように放射線を使用するのではなく、電磁波を使用した画像診断です。
M R I検査では、どの腱板が損傷しているのか、どの範囲まで損傷しているのか、腱板のどの場所で損傷しているのかなどを評価することが可能です。
超音波(エコー)検査
超音波検査 では、筋肉や腱の状況を確認することができ、炎症が起きている場所の特定も可能です。超音波検査はM R Iと違い診察室で手軽に行える検査のため、患者さんと一緒にモニターを見ながら肩の状態を説明することもできます。
また超音波を当てながら注射の針を進めることで、より正確な目的地(炎症部位や筋膜、神経など)まで誘導することができます。
レントゲン検査
レントゲン検査では筋肉や腱の状態は確認できないため、腱板損傷の判断をするには難しいです。ただし、 腱板が断裂すると関節の隙間(肩峰と上腕骨頭の間)が狭くなることがあります。
また腱板損傷は肩関節の肩峰が変形し、骨棘(こつきょく:トゲのように変形した骨)により腱板がすり切れて発生する場合もありますので、原因究明の手がかりにもなります。
検査して重症と診断されれば、手術になる可能性があります。「手術の傷跡が残るのが嫌だ」「仕事があるから入院やリハビリをしたくない」という方には「再生医療」がおすすめです。
再生医療とは、修復力のある幹細胞の働きを利用して、弱ったり、傷ついたりした細胞を再生する医療技術です。手術のように身体を切開しないので、入院やリハビリをする必要がありません。
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まとめ|腱板損傷の疑いがあればテストを受けて確かめよう!
腱板損傷を評価するためのテスト法は検査をする目的によって方法が異なります。陽性反応がみられるテストは痛みを伴いますので、痛みの出る強さはポジション、筋力低下の加減を記録しておくと、治療経過を確認する上での指標にもなります。
ただし、腱板損傷は時間の経過とともに疼痛が消失したり、拘縮により関節の動きに制限がかかり、正確なテストの評価ができないことがあります。また急性期であってもテスト法だけでは情報が不十分なため、画像診断も含めて判断する必要があります。
現在、腱板損傷の治療法のひとつとして「再生医療」 が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。
リペアセルクリニック では、無料相談も受け付けていますので「再生医療で腱板損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック 』にお気軽にお問い合わせください。