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【医師監修】シンスプリントの原因を解説|正しい治し方と再発予防法もあわせて紹介

「シンスプリントの原因を知りたい」
「すねに違和感を抱えたまま、練習を続けても大丈夫なのか」
ランニングや部活動の練習を続けていると、すねの内側に違和感を覚えることがあります。走る習慣のある人に多くみられる代表的なトラブルのひとつがシンスプリントです。
無理な練習量やフォームの乱れ、硬い路面やシューズの状態など、日常のさまざまな負荷がシンスプリントの原因です。シンスプリントの原因を理解することで、改善や再発の予防につながります。
本記事では、現役医師がシンスプリントの原因について詳しく解説します。最後には、シンスプリントの原因に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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シンスプリントの原因
原因 | 詳細 |
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運動負荷の影響 | 急激な走行距離や練習量の増加によるすね内側への繰り返されるストレス |
不適切なランニングフォーム | 過回内や姿勢の乱れによる筋肉と骨膜への不均一な負担 |
シューズと路面の問題 | クッション性の低下した靴や硬い路面での走行による衝撃の増加 |
筋力・柔軟性の不足 | 下肢筋群の筋力低下や柔軟性不足による衝撃吸収力の低下 |
(文献1)
シンスプリントは、医学的に脛骨過労性骨膜炎と呼ばれるスポーツ障害です。すねの内側の骨膜が繰り返す衝撃により炎症を起こすことで発症します。主な症状は運動時や運動後の鈍い痛みです。
原因には、過度な練習、不適切なフォーム、シューズや路面の環境、筋力や柔軟性の不足などが複合的に関与します。
以下の記事では、シンスプリントの症状について詳しく解説しています。
運動負荷の影響
原因 | 詳細 |
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過剰なトレーニング | 長時間のランニングやジャンプによるヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋の疲労と骨膜への炎症 |
急激な運動量の増加 | 運動初心者や再開者に起こりやすい急激な負荷増加による筋肉と骨膜への過度なストレス |
不適切なランニングフォームや身体の使い方 | 過回内足や扁平足による衝撃増大や関節柔軟性の低下による骨膜の微細損傷 |
足の構造や筋力の問題 | 扁平足や過回内足などのアライメント異常と筋力不足による骨膜への牽引増加 |
運動環境の影響 | 硬い路面やクッション性の乏しいシューズによる衝撃増幅と骨膜への反復ダメージ |
シンスプリントは、運動量を急激に増やした際に発症しやすいスポーツ障害です。とくに部活動やマラソン練習で短期間に走行距離を伸ばすと、すねの骨膜や周囲の筋肉に繰り返し負担がかかり炎症を生じます。
硬い地面での走行や休養不足により、組織の回復が追いつかず炎症が蓄積することが原因です。予防には、運動量を段階的に増やし、週単位で無理のないペースに調整することが重要です。
不適切なランニングフォーム
原因 | 詳細 |
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過剰な衝撃がすねに伝わる着地 | かかとからの強い着地による骨膜や筋肉への反復負担、オーバープロネーション(過回内)による足首の内倒れ |
オーバープロネーション(過回内) | 足首の過度な内倒れによる骨膜の牽引と筋肉への不均等な負担 |
筋力や柔軟性のバランスの乱れ | 足首やふくらはぎの筋力不足・硬さによる衝撃吸収力の低下 |
足の指の使い方の問題 | 足指の機能低下による足の安定性不足と衝撃分散不良 |
足のアーチ構造の問題 | 扁平足による足底クッション性低下と着地衝撃の直達 |
ランニングフォームの乱れは下腿への負担を偏らせ、シンスプリントの原因となります。かかとからの強い着地や体重の偏りは骨膜や筋肉を繰り返し刺激し、とくに足首が内側に過度に傾くオーバープロネーションは代表的な要因です。
予防には、自身の走りを鏡や動画で確認し、必要に応じて専門家の指導を受けることが有効です。正しい姿勢とバランスの取れた動作を習慣化することで、下腿への過剰な負担を軽減できます。
シューズと路面の問題
原因 | 詳細 |
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シューズのクッション性不足 | 薄い底や硬い素材による衝撃吸収力の低下と骨膜への直接負担 |
靴底の摩耗や劣化 | 片側に偏った荷重による筋肉と骨膜への不均等なストレス |
足に合わないシューズの使用 | 足形に合わない靴による安定性低下と下肢関節への余計な負担 |
硬い路面での運動 | アスファルトやコンクリートによる地面衝撃の直達と負担増加 |
シンスプリントの発症には、シューズや走行環境も大きく影響します。クッション性の乏しい靴やかかとの摩耗したシューズを使用すると、衝撃が直接すねに伝わりやすくなります。
アスファルトやコンクリートなど硬い路面での長時間走行は骨や筋肉への負担を増大させるため、予防には適切なランニングシューズを定期的に交換し、芝生やトラックなど柔らかい路面を練習に取り入れることが有効です。
筋力・柔軟性の不足
原因 | 詳細 |
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筋力不足による負担集中 | 前脛骨筋・腓腹筋・ヒラメ筋のバランス不良による後脛骨筋や長趾屈筋への過剰負担 |
筋力バランスの乱れと身体連動性の低下 | 骨盤周囲や背筋の硬直による下肢筋肉への負担集中と衝撃吸収力低下 |
筋肉の柔軟性不足 | ふくらはぎやすね周囲の筋硬直による骨膜への牽引増加 |
筋力不足が起こりやすい状況 | 初心者や運動再開者に多い筋力低下と柔軟性不足 |
筋肉ケアの重要性 | 後脛骨筋やヒラメ筋のマッサージ・筋トレ・ストレッチによる骨膜負担軽減 |
下腿の筋力不足は走行時の衝撃吸収を妨げ、骨膜への負担を増加させます。さらに、ふくらはぎや大腿の筋肉が硬く柔軟性が低下すると、動作のたびにすねへ強い張力が加わり、炎症を起こしやすくなります。
予防と改善には、下腿や足部を安定させる筋力トレーニングと、柔軟性を保つストレッチが有効です。とくに運動後のストレッチは筋疲労を和らげ、再発リスクの低減につながります。
シンスプリントの治し方
治し方 | 詳細 |
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休養とセルフケア | 練習量調整と運動制限による負担軽減、アイシングやストレッチによる炎症抑制 |
シューズ・インソールの見直し | 足型に合ったシューズ選択とインソール使用による衝撃分散と負担軽減 |
医療機関への受診 | 疲労骨折との鑑別や画像検査による診断、専門的治療による適切な改善 |
シンスプリントの治療には、まず休養とセルフケアが重要です。練習量を調整し必要に応じて運動を制限することで負担を軽減し、アイシングやストレッチで炎症を抑えます。また、足型に合ったシューズやインソールを使用することで衝撃を分散させ、再発予防につながります。
強い痛みがある場合や疲労骨折が疑われるときは、医療機関を受診して画像検査と専門的治療を受けることが回復への近道です。
以下の記事では、シンスプリントが治らない原因を詳しく解説しています。
休養とセルフケア
内容 | 詳細 |
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運動の休止・調整による炎症の回復促進 | 負担軽減による炎症悪化防止と自然治癒促進 |
冷却ケア(アイシング)による炎症・痛みの緩和 | 血管収縮による腫れ軽減と症状緩和 |
ストレッチ・筋トレによる筋肉の柔軟性・筋力強化 | 下肢筋群の柔軟性向上と衝撃吸収力強化による骨膜負担軽減 |
シンスプリントを発症した場合は、まず運動を中止して休養を取ることが基本です。無理に続けると炎症が悪化し、治癒が遅れる原因となります。
自宅でのセルフケアとしては、患部のアイシングや軽いマッサージにより炎症や筋緊張を和らげる方法が有効です。痛みが落ち着いた段階では、軽いストレッチを取り入れることで徐々に回復を促せます。ただし、違和感が生じた場合は直ちに中止することが重要です。
以下の記事では、シンスプリントにおける休む期間を詳しく解説しています。
シューズ・インソールの見直し
内容 | 詳細 |
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足の負担を軽減するクッション性 | 着地衝撃の吸収による骨膜へのストレス減少 |
足のアラインメントをサポート | 偏平足や過回内の補正による重心バランス改善 |
個々の足の形状に合わせた調整 | カスタムインソールによる効率的な負担分散 |
適正な靴の選択による姿勢とフォーム改善 | 足の安定性確保による繰り返し負担の軽減 |
シンスプリントの再発予防には、シューズとインソールの見直しが重要です。不適切な靴や摩耗したシューズを使用し続けると負担が蓄積し、症状を繰り返す原因となります。
クッション性と安定性のあるランニングシューズを選び、自分の足型に合ったインソールを使用することで衝撃を分散できます。とくに扁平足や過度の内反足がある場合には補正効果が有効です。再発予防には、専門店や医療機関で足型測定を受け、適切なサポートを選ぶことが推奨されます。
以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。
医療機関への受診
シンスプリントは疲労骨折など他疾患と症状が類似するため、医療機関での正確な診断が不可欠です。画像検査により病態を把握し、運動制限や保存療法を含む適切な治療計画を立てます。
医師によるリハビリ指導で再発防止を図り、必要に応じて体外衝撃波治療(患部に衝撃波を当てて治癒を促す治療法)などの治療法も選択できます。自己判断で放置すると慢性化や悪化を招くため、症状が現れた場合は早期の受診が必要です。
シンスプリントの再発予防策
再発予防策 | 詳細 |
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運動量とコンディション管理 | 負荷の段階的調整と体調や筋肉状態の観察による回復促進 |
シューズ・路面・インソール | 足型に合ったシューズ選択と路面環境調整、インソールによる衝撃分散 |
筋トレ・ストレッチ | 下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上による骨膜負担の軽減 |
ウォームアップ・クールダウン | 始動前の筋温上昇と運動後の血流改善による疲労回復促進 |
シンスプリントの再発予防には、運動量を段階的に調整し、体調や筋肉の状態を観察しながら負荷を管理することが基本です。加えて、足型に合ったシューズやインソールを用いて衝撃を分散し、硬い路面を避ける工夫も有効です。
さらに、下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上により骨膜への負担を軽減できます。運動前のウォームアップで筋温を高め、運動後のクールダウンで血流を改善することで疲労回復を促し、再発防止につながります。
運動量とコンディション管理
内容 | 詳細 |
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運動量を段階的に増やすことで負担を調整 | 急激な練習増加を避けた段階的な負荷調整による炎症再発防止 |
適切なウォームアップとクールダウンによる筋肉の準備・回復 | 柔軟性向上と疲労除去による衝撃吸収力改善と回復促進 |
体調や筋肉の柔軟性の維持・管理 | ストレッチと筋トレによる下肢柔軟性維持と骨膜負担分散 |
適切な休息と体重管理による負担軽減 | 疲労蓄積予防と適正体重維持による下肢負担軽減 |
シンスプリントの再発予防には、計画的な運動量の調整が不可欠です。練習量は週単位で徐々に増やし、疲労が強い状態でのトレーニングは避けることが推奨されます。
さらに、運動前後のウォームアップとクールダウンを徹底し、下肢の柔軟性と筋力を継続的にケアすることが重要です。十分な休養、適切な睡眠や食事による体調管理、体重コントロールも有効であり、これらを実践することで再発を防ぎつつ競技パフォーマンス向上にもつながります。
以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピングの方法を詳しく解説しています。
シューズ・路面・インソール
内容 | 詳細 |
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衝撃吸収力が予防の要 | クッション性シューズやインソールによる地面衝撃の緩和と骨膜への負担軽減 |
足のアライメント補正による負担軽減 | インソールによる扁平足や過回内の補正と重心移動の安定化 |
適切な路面選びによる負担軽減 | 土や芝など柔らかい路面による衝撃減少と炎症再発防止 |
個別のフィット感で疲労軽減 | 足形に合った靴やカスタムインソールによる安定性確保とフォーム維持 |
シンスプリントの再発予防には、シューズ・路面・インソールの見直しが重要です。クッション性を確認し摩耗した靴は早めに交換すること、インソールで足のアーチを支えバランスを整えることが局所的な負担軽減につながります。
さらに、芝生や土のトラックなど柔らかい路面を活用することで下腿への衝撃を和らげられます。自分の足に合った用具選びと練習環境の工夫が、再発防止に不可欠なセルフケアであり、専門的アドバイスの活用も推奨されます。
筋トレ・ストレッチ
内容 | 詳細 |
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筋力強化で衝撃吸収力を向上 | 後脛骨筋やヒラメ筋の強化による衝撃吸収力改善と骨膜負担軽減 |
筋肉の柔軟性向上で負担を分散 | ストレッチによる筋緊張緩和と骨膜牽引力低下 |
姿勢とフォームの改善 | 関節周囲筋群のバランス改善による正しい姿勢と走行フォーム維持 |
継続的なケアで疲労の蓄積防止 | 筋耐久性向上によるフォーム乱れ防止と再発リスク低減 |
シンスプリントの再発予防には、筋力強化とストレッチを継続することが重要です。下腿や足部の筋力を高めることで衝撃を吸収し、骨膜への負担を軽減できます。
予防には、カーフレイズやチューブを用いた足首運動が効果的です。加えて、ふくらはぎや大腿のストレッチで柔軟性を保つことで負荷を分散し、正しいフォーム維持や疲労防止につながります。
以下の記事では、シンスプリントに効くストレッチを詳しく解説しています。
ウォームアップ・クールダウン
内容 | 詳細 |
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筋肉と関節の準備(ウォームアップ) | 筋肉と関節の柔軟性向上と血流促進による負担分散 |
運動後の筋肉の回復促進(クールダウン) | 筋緊張緩和と疲労物質除去による炎症予防と回復促進 |
正しいフォームを維持しやすくする | 筋肉の準備による着地安定化と骨膜への過剰負担防止 |
継続的な習慣化が身体に良い効果をもたらす | 柔軟性維持と疲労回復機能向上による再発リスク低減 |
シンスプリントの再発防止には、運動前後のケアが欠かせません。ウォームアップで筋肉と関節を温め血流を促すことで、運動中の負担を軽減できます。
運動後はクールダウンを行い、筋肉の疲労回復と柔軟性維持を図ることが重要です。これらを習慣化することで、正しいフォームが維持され過剰な負担を防ぎ、再発リスクを低減できます。医療機関やトレーナーの指導を受けつつ継続することが、スポーツを続けるために有効です
原因不明のシンスプリントは医療機関を受診しよう
シンスプリントは原因を理解することで予防が可能なスポーツ障害です。発症すると痛みが落ち着くまで安静が必要となります。そのため、日頃からストレッチや筋力トレーニングを行い、発症を防ぐことが大切です。
また、症状を放置すると回復が遅れ競技復帰にも影響するため、長引く場合は早めに医療機関を受診することが推奨されます。
シンスプリントが改善しない場合は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を用いて組織の回復を促し、シンスプリントの改善を目指す治療法を選択肢のひとつとして提案しています。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
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シンスプリントの原因に関するよくある質問
成長期の子どもはシンスプリントになりやすいですか?
成長期の子どもは骨や筋肉、腱が未発達で負担に弱く、シンスプリントを起こしやすい状態です。
とくに練習量の急増、硬い路面、不適切なシューズ、筋力や柔軟性の不足が重なるとリスクが高まります。予防には段階的な練習、休養の確保、シューズや環境の見直しが重要です。
体力があればシンスプリントは防げますか?
体力や筋力があることはシンスプリント予防に一定の効果がありますが、それだけでは防げません。
練習量の急増、硬い路面や不適切なシューズ、扁平足などの足の特徴、柔軟性の低下などが重なると発症することがあります。シンスプリントは運動量・環境・身体特性が複合的に関与するため、休養、シューズの見直し、ストレッチやフォーム改善を含む総合的な対策が必要です。
シンスプリントと疲労骨折はどう違いますか?
シンスプリントと疲労骨折はいずれも下腿に起こるランニング障害ですが、病態や重症度に違いがあります。シンスプリントは脛骨内側の骨膜に繰り返しの衝撃や筋肉の牽引が加わり炎症を起こす状態で、運動時に鈍い痛みが出て休むと軽快することが多いのが特徴です。
一方、疲労骨折は骨そのものに微細なひびが入った状態で、安静時にも痛みが続くことがあり、X線やMRIなどの画像検査で診断が必要です。シンスプリントは炎症主体で比較的改善しやすいのに対し、疲労骨折は骨損傷が主体で運動制限や固定を要することがあります。
以下の記事では、疲労骨折について詳しく解説しています。
家族がシンスプリントになったときの対処法や注意点はありますか?
家族がシンスプリントになった場合は、無理に運動を続けさせず休養を確保することが大切です。練習後のアイシングやストレッチを促し、シューズやインソールの状態を確認しましょう。
痛みが強い、長引く場合は医療機関への受診が必要です。とくに成長期の子どもでは症状を軽視しやすいため、家族の早期対応が重要です。
参考文献